(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】電磁ノイズ耐性評価装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/30 20060101AFI20240327BHJP
G01R 29/26 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
G01R31/30
G01R29/26 F
(21)【出願番号】P 2020094426
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】506209422
【氏名又は名称】地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 秀勝
(72)【発明者】
【氏名】佐野 宏靖
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-130917(JP,A)
【文献】特開2020-030073(JP,A)
【文献】特開2012-154662(JP,A)
【文献】特開2005-241645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/30
G01R 29/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のインピーダンスを有する正規化ユニットと、
所定周波数および所定強度に予め定められたコモンモードノイズを発生して前記正規化ユニットまたは評価対象へ入力するコモンモードノイズ源と、
前記正規化ユニットまたは前記評価対象に接続してディファレンシャルモードノイズを検出するプローブと、
前記評価対象を前記コモンモードノイズが伝達する際に前記ディファレンシャルモードノイズへ変換される量を示すデータとして、
回路網の通過・反射特性を表すSパラメータのうち、Sdc21
に該当するCM-DM変換量を求め、前記CM-DM変換量を用いて前記評価対象の電磁ノイズ耐性を示すデータを生成する制御・演算部と、
を備え、
前記制御・演算部は、
前記正規化ユニットに前記コモンモードノイズ源から前記コモンモードノイズを入力して前記正規化ユニットに前記プローブを接続した場合に、
前記コモンモードノイズ源が発生させた前記コモンモードノイズ、および、前記正規化ユニットから検出された前記ディファレンシャルモードノイズを用いて正規化データを生成し、
前記正規化ユニットに替えて前記評価対象に前記コモンモードノイズ源から前記コモンモードノイズを入力して前記評価対象に前記プローブを接続した場合に、前記コモンモードノイズ源が発生させた前記コモンモードノイズ
の周波数およびノイズ強度と、前記評価対象から検出されて前記正規化データで正規化した前記ディファレンシャルモードノイズ
の周波数およびノイズ強度とを
対比することによって前記CM-DM変換量を求める、
ことを特徴とする電磁ノイズ耐性評価装置。
【請求項2】
前記制御・演算部は、
適宜測定した、前記評価対象のDPI法による電磁ノイズに対する耐久レベルを示すデータと、前記CM-DM変換量と、を用いて所定の演算を行い、前記評価対象の電磁ノイズ耐性を示すデータを求める、
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁ノイズ耐性評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体の電子デバイスを備えた電子機器の電磁ノイズに対する評価を行う電磁ノイズ耐性評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プリント基板等に回路素子を実装して電子回路を構成すると、この電子回路等の周囲に生じた電磁ノイズがプリント基板に形成された電源パターンや、信号等の伝送に用いる配線パターンなどに侵入し、電子回路が誤動作を起こす場合がある。
電子回路を有するユニット、もしくは電子機器などには、コモンモード(以下、CMと記載する)ノイズとディファレンシャルモード(以下、DMと記載する)ノイズが影響する。これらのノイズは、それぞれ異なる経路を伝達する特性を有することから、同様な対処方法でノイズレベルを低減することが困難である。また、CMノイズおよびDMノイズに対するノイズ耐性等を適切に評価することも容易ではない。
【0003】
例えば、CMノイズやDMノイズ(妨害電波)に対する通信装置のノイズ耐性を知得する技術がある。
この技術は、1次コモンモード、2次コモンモード、ディファレンシャルモードの各伝搬モードを定義し、さらに物理的ポートを定義して、各ポートの伝搬モードにおける妨害電波の伝達特性を評価するものである(例えば、特許文献1参照)。
この評価技術は、通信装置を構成する電気回路の基準グラウンドに、妨害電波などの電磁ノイズを遮蔽する、例えば、同軸ケーブルの外部導体(シールド材)を接続させることによって、即ち、測定系のグラウンド接続を理想的に構成することによって適確な伝達特性を取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実際の装置等においては、実装ユニットのグラウンド構造(グラウンド引き回しなど)が複雑に構成され、例えば、電磁ノイズ遮蔽用のシールド材などが、実装ユニットの基準グラウンドに理想的に接続されていないことがある。
そのため、装置内部の実装ユニットなどについて、電磁ノイズに対する耐性特性等を取得しようとすると、耐性評価の要素となる測定結果が適確に取得することができなくなる。
また、上記の技術は、評価対象となる例えば通信装置と、測定系(測定装置のプローブなど)とのインピーダンス整合が不適当な場合には、正確な測定結果が得られず、多様な評価対象に対応させて耐性評価を行うことが難しくなる。
【0006】
本開示は、上記の問題を解決するためになされたもので、評価対象の内部における電磁ノイズの伝達特性を測定することにより、評価対象の電磁ノイズに対する耐性を定量的に評価することができる電磁ノイズ耐性評価装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る電磁ノイズ耐性評価装置は、所定周波数および所定強度のコモンモードノイズを発生して評価対象へ入力するコモンモードノイズ源と、前記評価対象に接続してディファレンシャルモードノイズを検出するプローブと、前記コモンモードノイズ源が発生したコモンモードノイズを示すデータおよび前記プローブが検出したディファレンシャルモードノイズを示すデータを用いて、前記評価対象を前記コモンモードノイズが伝達する際に前記ディファレンシャルモードノイズへ変換される量を示すデータであるCM-DM変換量を求め、前記CM-DM変換量を用いて前記評価対象の電磁ノイズ耐性を示すデータを生成する制御・演算部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、前記制御・演算部は、適宜測定した、前記評価対象のDPI法による電磁ノイズに対する耐久レベルを示すデータと、前記CM-DM変換量と、を用いて所定の演算を行い、前記評価対象の電磁ノイズ耐性を示すデータを求めることを特徴とする。
【0009】
また、所定のインピーダンスを有する正規化ユニットを備え、前記正規化ユニットに前記コモンモードノイズ源から前記コモンモードノイズを入力し、前記正規化ユニットに前記プローブを接続して前記ディファレンシャルモードノイズを検出し、前記制御・演算部が、前記正規化ユニットから検出されたディファレンシャルモードノイズを用いて正規化データを生成し、前記正規化データを用いて前記CM-DM変換量の正規化を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、CMノイズとDMノイズとのモード変換量を求めることにより、電子ユニットや電子デバイス等の電磁ノイズ耐性を定量的に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態による電磁ノイズ耐性評価装置の概略構成を示す説明図である。
【
図2】
図1の電磁ノイズ耐性評価装置に評価対象を接続した状態の概略構成を示す説明図である。
【
図3】DPI法による評価対象の電磁ノイズに対する耐久レベルの測定結果を示す説明図である。
【
図4】
図2の電磁ノイズ耐性評価装置によって測定されたCM-DM変換量を示す説明図である。
【
図5】
図2の電磁ノイズ耐性評価装置が求めた評価対象の電磁耐性を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態による電磁ノイズ耐性評価装置(評価装置1)の概略構成を示す説明図である。この図は、評価装置1の伝達特性を正規化させる場合の接続構成を示している。
評価装置1は、例えば、ベクトルネットワークアナライザ等の測定装置である装置本体2、例えば、アクティブディファレンシャルプローブ等であるプローブ3、コモンモードのノイズを発生させる装置であるコモンモードノイズ源5を備えている。
また、評価装置1は、後述する評価対象20の測定結果を正規化させる際に使用するデータを取得するため、いわゆる治具となる正規化ユニット6等を備えて構成されている。
コモンモードノイズ源5および正規化ユニット6は、例えば、金属板などの導体によって形成されたコモンモード基準グラウンド面7に載置されている。なお、コモンモードノイズ源5ならびに正規化ユニット6は、コモンモード基準グラウンド面7と接続されると、短絡などの異常状態となる部分は、コモンモード基準グラウンド面7から絶縁されるように載置されている。
【0013】
装置本体2は、前述のようにベクトルネットワークアナライザ等であり、図示を省略した(測定結果等を表示する)表示装置や、外部接続されたプリンタなどへ測定結果を示すデータを出力する出力手段等を備えて構成されている。
また、装置本体2は、予め設定された制御プログラム(演算プログラム)、演算処理を施したデータなどを記憶する記憶部10を備えている。
また、装置本体2は、記憶部10に記憶されている制御プログラムなどに従って、演算処理や各部の動作制御を行うプロセッサ等からなる制御・演算部11などを備えて構成されている。
【0014】
制御・演算部11は、コモンモードノイズ源5の動作、即ち、発生させるCMノイズの周波数ならびにノイズ強度等を制御するように、当該コモンモードノイズ源5に配線接続されている。
また、制御・演算部11は、プローブ3が検出した(取得した)高周波信号などを、例えば、図示されない入力インタフェース等を介して入力するように、プローブ3に接続配線されている。
【0015】
コモンモードノイズ源5は、制御・演算部11から出力された所定の周波数の高周波信号からコモンモードノイズを生成するように構成されている。
【0016】
プローブ3は、前述のように差動アクティブプローブであり、例えば、数[GHz]の高周波信号(高周波ノイズ)に対応することができるように、低容量ならびに高い入力抵抗値を備えて構成されている。
正規化ユニット6は、コモンモードノイズ源5から出力されたCMノイズをプローブ3に検出させるための、例えば、複数の回路素子などを実装して、グラウンドとの間に所定値の基準インピーダンス(例えば、50[Ω])を有する回路を構成させたボードであり、このボードに入力されたCMノイズがプローブ3によって検出されるときの特性(CMノイズがDMノイズに変換される度合等)、即ち、評価装置1の測定系が定性的に有する特性を装置本体2(制御・演算部11)に認識させるための治具である。
【0017】
図2は、
図1の評価装置1に評価対象20を接続した状態の概略構成を示す説明図である。この図は、
図1の評価装置1に示した正規化ユニット6に替えて、コモンモードノイズ源5に評価対象20を接続し、また、評価対象20から電磁ノイズ(DMノイズ)を検出することができるようにプローブ3を接続したものである。
評価対象20は、任意の電子デバイス、もしくは回路素子などをプリント基板等に実装させた電子ユニットなどである。
また、
図2に示した評価装置1は、コモンモードノイズ源5、評価対象20、電源4が前述のコモンモード基準グラウンド面7に載置されている。なお、電源4は、コモンモードノイズ源5等に接続され、評価対象20が実際に使用される(動作させる)場合の電源系となるように接続されている。即ち、電源4は、評価対象20が動作可能に接続されている。
【0018】
次に動作について説明する。
評価装置1を用いて評価対象20の電磁ノイズ耐性を評価する場合、初めに、
図1に示したように、正規化ユニット6の入力部分(例えば、入力端子)にコモンモードノイズ源5を接続し、また、正規化ユニット6の出力部分(例えば、出力端子)にプローブ3を接続する。
この接続状態で、コモンモードノイズ源5を動作させ、所定の周波数の電磁ノイズ(CMノイズ)を、所定の強度で出力させる。上記の電磁ノイズ(CMノイズ)の所定周波数および所定強度は、例えば、装置本体2からコモンモードノイズ源5へ出力される制御信号によって設定される。このとき、制御・演算部11は、上記の所定周波数および所定強度を示すデータを予め記憶部10等に記憶させており、後述する演算等に使用することができるように有している。
【0019】
コモンモードノイズ源5から正規化ユニット6の所定の入力部分へCMノイズが入力されると、正規化ユニット6の出力部分に接続されたプローブ3が、正規化ユニット6を通過した電磁ノイズ(DMノイズ)を検出し、装置本体2へ入力する。
装置本体2の制御・演算部11は、プローブ3から入力した信号(正規化ユニット6から検出したDMノイズを示す信号)から所定様式の正規化データを生成し、当該正規化データを記憶部10に記憶させる。
【0020】
次に、プローブ3ならびにコモンモードノイズ源5と、正規化ユニット6との接続を外し、替りに評価対象20を(
図2に示したように)接続する。
例えば、制御・演算部11は、コモンモードノイズ源5を制御して、正規化ユニット6へ供給したCMノイズ(同様な周波数ならびに強度の高周波信号)を、評価対象20へ入力させる。このとき、コモンモードノイズ源5の出力端子等は、評価対象20に接続されている。即ち、コモンモードノイズ源5の2つの出力端子のうち、ローレベル側の端子は、コモンモード基準グラウンド面7に接続され、ハイレベル側の端子は、評価対象20の回路信号が伝送される配線パターンや電源パターンなどに接続されている。
【0021】
プローブ3は、評価対象20の所定部位に接続されており、コモンモードノイズ源5から供給された電磁ノイズ(CMノイズ)が、当該評価対象20の内部(回路等)を通過した後の電磁ノイズ(DMノイズ)を検出する。
プローブ3は、評価対象20のコモンモードノイズ源5の出力端子(同軸ケーブル等)が接続された部分から適当に離れた部分に接続され、例えば、評価対象20に備えられた高周波回路、発振回路、当該評価対象20の入力端部などに接続される。
具体的には、プローブ3の例えばハイレベル側の(一方の)検出端部は、評価対象20のハイレベル側の信号パターンや端子部分、またはハイレベル側の電源パターンなどに接続される。また、プローブ3のローレベル側の(他方の)検出端部は、評価対象20のローレベル側の信号パターンや端子部分、またはローレベル側の電源パターンなどに接続される。即ち、プローブ3は、コモンモード基準グラウンド面7には接続されない。
【0022】
装置本体2は、プローブ3が検出した信号(DMノイズを示す信号)を入力すると、制御・演算部11が、所定様式のデータに変換し、このデータに、後述するように正規化処理を施し、評価対象20にCMノイズを供給したとき、当該評価対象20内部を伝達する際に、CMノイズがDMノイズに変換される度合い、即ち変換量を示すデータ(CM-DM変換量)を求める。
【0023】
ここまでは、評価装置1により、評価対象20のCM-DM変換量を求める動作を説明したが、評価装置1によって評価対象20の電磁ノイズ耐性を評価する場合、適宜、評価対象20に備えられている(実装されている)電子デバイス(半導体を用いたLSI、ICなど)の端子に直接電磁ノイズ(DMノイズ)を供給するDPI法(Direct Power Injection Method)を用いて、当該評価対象20が備える電子デバイスの(電磁ノイズに対する)耐久レベルを測定する。
【0024】
図3は、DPI法による評価対象20が備える電子デバイスの電磁ノイズに対する耐久レベルの測定結果を示す説明図である。具体的には、この横軸は、電子デバイスに入力した電磁ノイズ(高周波信号)の周波数を示している。また、この図の縦軸は、評価対象20の電子デバイスが正常に動作することができる限界の電磁ノイズの強度(レベル)を示している。即ち、
図3は、電磁ノイズの各周波数における電子デバイスの耐久性を示す特性曲線を表したグラフである。
【0025】
DPI法によって耐久レベルを測定するとき、電子デバイスに入力する電磁ノイズは、CM-DM変換量を測定するときと同様な周波数に設定して強度を可変する。
評価対象20の電子デバイスの、DPI法による電磁ノイズに対する耐久レベルの測定は、適宜(例えば、評価対象20からDMノイズの検出を行う前に)行う。
制御・演算部11は、DPI法による測定によって(上記のプローブを用いて)取得した評価対象20の電子デバイスに関する電磁ノイズの耐久レベルを示す信号を、所定様式のデータ(DPI法による耐久レベルデータ)に変換し、例えば、記憶部10に記憶させる。
【0026】
図4は、
図2の評価装置1によって測定されたCM-DM変換量を示す説明図である。この図は、横軸が評価対象20の所定部分に入力したCMノイズの周波数、縦軸が評価対象20に入力されたCMノイズが、評価対象20内部においてDMノイズに変換される量(CM-DM変換量)を示している。
制御・演算部11は、記憶部10に記憶されている正規化データを用いて、評価対象20から取得したDMノイズを示すデータに所定の演算処理を施し、評価装置1の測定系が定性的に有する伝達特性の影響を排除した(正規化した)CM-DM変換量を求める。
【0027】
ここで、差動線路の周波数特性を表す手法として、回路網の通過・反射(電力)特性を表すときに用いられる下記のSパラメータがある。
なお、下記のSパラメータは、2端子対回路(電子デバイス、ユニット、装置等)に関するものである。
【0028】
【0029】
上記のSパラメータのうち、Sdc21が、回路内を伝達するCMノイズがDMノイズに変換される程度を示すCM-DM変換量に該当する。
本発明は、上記のSパラメータ全てを必要とすることなく、CM-DM変換係数のみに着眼し、制御・演算部11が評価対象20のCM-DM変換量を求めて電磁ノイズ耐性の評価を行うようにしたものである。
【0030】
制御・演算部11は、前述のように、コモンモードノイズ源5から評価対象20へ入力したCMノイズの周波数および強度(ノイズレベル)を認識している。また、プローブ3を用いて評価対象20からDMノイズの周波数および強度(ノイズレベル)を取得している。
そこで、制御・演算部11は、周波数毎に(評価対象20に)入力されたCMノイズレベルと(評価対象20から)検出されたDMノイズレベルとを対比することにより、
図4に示した周波数毎のCM-DM変換量を求める。
【0031】
図5は、
図2の評価装置1が求めた評価対象20の電磁耐性を示す説明図である。この図は、横軸が評価対象20に入力した電磁ノイズ(高周波信号)の周波数、縦軸が評価対象20の電磁ノイズ耐性を示している。即ち、
図5の特性曲線は、電磁ノイズの各周波数における評価対象20の耐久性を表している。
【0032】
制御・演算部11は、例えば、前述のように記憶部10に記憶されているDPI法による耐久レベルデータと、CM-DM変換量とを用いて所定演算を行い、評価対象20の電磁ノイズ耐性、即ち、イミュニティ特性を求める。
例えば、周波数毎に、DPI法による耐久レベルデータ(強度等)とCM-DM変換量(強度等)とを対比し、電磁ノイズ耐性[dBm]を求める。具体的には、DPI法による耐久レベルデータの強度等の値を、CM-DM変換量の強度等の値で割った値を電磁ノイズ耐性値として求める。
【0033】
図5に示した特性曲線は、上記のように求めた電磁ノイズ耐性の一例である。この特性曲線において、最も電磁ノイズ耐性が低い値が評価対象20の電磁ノイズに対する強さを示し、また、最も電磁ノイズ耐性が低い値となった周波数帯域が、評価対象20に最も影響を与える電磁ノイズ帯域であることが分かる。
【0034】
即ち、評価装置1は、評価対象20が耐えられる電磁ノイズの強さと、評価対象20が最も影響を受けるノイズ周波数とを、数値データとして取得する(表現する)ことができる。さらに、これらの数値によって、評価対象20の電磁ノイズに対する強さ(耐性)を評価することが可能になる。
【0035】
また、評価装置1は、プローブ3として差動アクティブプローブを備え、当該差動アクティブプローブを用いて評価対象20等からDMノイズを検出するように構成されているので、評価対象20のグラウンドと、評価装置1の測定系のグラウンドとの接続態様によらず、また、評価対象20が有するインピーダンスの大きさによらず、適確にDMノイズを検出することができる。即ち、評価装置1は、評価対象20の測定点(プローブ3を接続する部分)のインピーダンスによらず同様なCM-DM変換量を求める(電磁ノイズの伝達特性を求める)ことができ、適確な電磁ノイズ耐性の評価を行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0036】
1 評価装置
2 装置本体
3 プローブ
4 電源
5 コモンモードノイズ源
6 正規化ユニット
7 コモンモード基準グラウンド面
10 記憶部
11 制御・演算部
20 評価対象