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  • 特許-間葉系幹細胞増殖剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】間葉系幹細胞増殖剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/644 20150101AFI20240327BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240327BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240327BHJP
   C12N 5/02 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
A61K35/644
A61P43/00 105
A23L33/10
C12N5/02
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020095538
(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公開番号】P2021187793
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】598162665
【氏名又は名称】株式会社山田養蜂場本社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100206944
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 絵美
(72)【発明者】
【氏名】岡本 秀人
(72)【発明者】
【氏名】奥村 暢章
(72)【発明者】
【氏名】長江 英世
(72)【発明者】
【氏名】粟根 聖次
【審査官】伊藤 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-113442(JP,A)
【文献】特開2007-295919(JP,A)
【文献】特開2002-112715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローヤルゼリーを有効成分として含み、哺乳類動物の胎盤又は植物種属の胎座から抽出された胎盤抽出物を含まない、間葉系幹細胞増殖剤。
【請求項2】
前記ローヤルゼリーが酵素分解ローヤルゼリーである、請求項1に記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間葉系幹細胞増殖剤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、哺乳類動物の胎盤又は植物プラセンタから抽出した胎盤抽出物、及び動物又は植物から抽出した油脂を含む栄養補給剤が開示されており、該栄養補給剤が脂肪由来幹細胞の増殖を促すことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-113442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新規な間葉系幹細胞増殖剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の間葉系幹細胞増殖剤は、ローヤルゼリーを有効成分として含む。
【0006】
上記ローヤルゼリーは酵素分解ローヤルゼリーであることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、新規な間葉系幹細胞増殖剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】2%FBS添加増殖培地での脂肪由来幹細胞増殖促進試験結果を示すグラフである。
図2】0.2%FBS添加増殖培地での脂肪由来幹細胞増殖促進試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
本発明の間葉系幹細胞増殖剤は、ローヤルゼリーを有効成分として含む。
【0011】
ローヤルゼリーは、生ローヤルゼリーであってもよく、生ローヤルゼリーに処理を施したローヤルゼリー処理物であってもよい。生ローヤルゼリーは、例えば、常法に従い養蜂産品として入手することができる。ローヤルゼリーの産地は、制限されず、日本、中国、ブラジル、ヨーロッパ諸国、オセアニア諸国、アメリカ等のいずれであってもよい。
【0012】
生ローヤルゼリーに施す処理としては、例えば、濃縮、希釈、乾燥、粉末化、有機溶媒抽出、酵素分解等であってよい。処理は2種以上の組合せであってもよい。ローヤルゼリー処理物としては、ローヤルゼリー濃縮物、ローヤルゼリー希釈物、ローヤルゼリー乾燥物、ローヤルゼリー粉末、ローヤルゼリー有機溶媒抽出物、酵素分解ローヤルゼリー等が挙げられる。ローヤルゼリー処理物は複数の処理が施されたものであってもよい。ローヤルゼリーは、より高い間葉系幹細胞増殖作用を発揮する観点から、酵素分解ローヤルゼリーであることが好ましい。ローヤルゼリーは酵素分解及び粉末化が施された酵素分解ローヤルゼリー粉末であってもよい。
【0013】
ローヤルゼリー濃縮物は、例えば、生ローヤルゼリーから水分を除去することにより得ることができる。ローヤルゼリー希釈物は、例えば、生ローヤルゼリーに水分を添加することにより得ることができる。
【0014】
ローヤルゼリー粉末は、例えば、凍結乾燥及び噴霧乾燥等の方法により生ローヤルゼリーを粉末化することにより得ることができる。乾燥方法としては、通風乾燥、天日乾燥等の自然乾燥、電気等で加熱して乾燥させる強制乾燥、凍結乾燥など、一般食品加工で採用される方法を使用することができる。好ましくは、凍結乾燥である。なお、乾燥時間は特に制限されず、通風、天日乾燥等の自然乾燥の場合は、約3日程度、電気などで加熱して強制乾燥させる場合は、50℃程度で1~3日程度であってよい。通常、水分含量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下になるように乾燥させることが好ましい。通風、天日乾燥等の自然乾燥の後、更に凍結乾燥機にかけて水分を下げてもよい。また、凍結乾燥又は噴霧乾燥後に、粉砕機(例えば、ピンミル、ハンマーミル、ボールミル、ジェットミル)により粉砕してローヤルゼリー粉末を得てもよい。
【0015】
ローヤルゼリー有機溶媒抽出物は、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、アセトン等の有機溶媒を溶媒として生ローヤルゼリー又はローヤルゼリー粉末を抽出することで得ることができる。抽出時間は、原料として用いられる生ローヤルゼリーの形態、溶媒の種類及び量、抽出の際の温度及び攪拌条件等に応じて適宜設定することができる。抽出後、ろ過、遠心分離等により固形分を除去してもよい。また、抽出された溶液をそのまま用いてもよいし、当該溶液から溶媒を除去して、濃縮液又は粉末として用いてもよい。ローヤルゼリー有機溶媒抽出物としては、ローヤルゼリーエタノール抽出物であることが好ましい。
【0016】
酵素分解ローヤルゼリーは、例えば、生ローヤルゼリー又はローヤルゼリー粉末をタンパク質分解酵素で処理することで得ることができる。タンパク質分解酵素としては、例えば、エンドペプチダーゼ作用を有する酵素、エキソペプチダーゼ作用を有する酵素、エンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用の両方を有する酵素からなる群より選択されることが好ましい。特に、エンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用の両方を同時に有するペプチダーゼであることが好ましい。ここで、エンドペプチダーゼ作用は、非末端のアミノ酸のペプチド結合を分解する作用であり、エキソペプチダーゼ作用は、末端のアミノ酸のペプチド結合を分解する作用である。このようなペプチダーゼを使用した酵素処理によれば、一段階酵素処理でタンパク質を低分子化することができるので、操作が簡便であるとともに、ローヤルゼリーに含まれる有用成分の生理活性の消失及び大幅な低減を防止することができるという利点がある。
【0017】
タンパク質分解酵素は、その由来は特に制限されず、動物、植物、及び微生物(細菌、ウィルス、真菌類(カビ、酵母、キノコ等)、藻類など)に由来するペプチダーゼを広く使用できる。
【0018】
「エキソペプチダーゼ」は、「アミノペプチダーゼ」と「カルボキシペプチダーゼ」とに分類される。また、ペプチダーゼは、至適pHによって、それぞれ酸性、中性、アルカリ性という用語を各酵素につけることがあり、例えば、「酸性エキソペプチダーゼ」、「中性アミノペプチダーゼ」、「アルカリ性エンドペプチダーゼ」のように記載することもある。
【0019】
少なくともエンドペプチダーゼ作用を有するタンパク質分解酵素としては、動物由来(例えば、トリプシン、キモトリプシン等)、植物由来(例えば、パパイン等)、微生物由来(例えば、乳酸菌、酵母、カビ、枯草菌、放線菌等)のエンドペプチダーゼなどが挙げられる。
【0020】
エンドペプチダーゼ作用を有する酵素の好ましい例としては、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)産生ペプチダーゼ(商品名:オリエンターゼ22BF、ヌクレイシン)、バチルス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)産生ペプチダーゼ(商品名:アルカラーゼ)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)産生ペプチダーゼ(商品名:プロテアーゼS)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)産生ペプチダーゼ(商品名:ニュートラーゼ)、バチルス属産生ペプチダーゼ(商品名:プロタメックス)を挙げることができる。
【0021】
少なくともエキソペプチダーゼ作用を有するタンパク質分解酵素としては、カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼ、微生物由来(例えば、乳酸菌、アスペルギルス属菌、リゾープス属菌等)のエキソペプチダーゼ、エンドペプチダーゼ活性も併せて有するパンクレアチン、ペプシン等が挙げられる。
【0022】
エキソペプチダーゼ作用を有する酵素の好ましい例としては、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)産生ペプチダーゼ(商品名:ウマミザイムG、Promod 192P、Promod 194P、スミチームFLAP)、アスペルギルス・ソーエ(Aspergillus sojae)産生ペプチダーゼ(商品名:Sternzyme B15024)、アスペルギルス属産生ペプチダーゼ(商品名:コクラーゼP)、リゾプス・オリゼー(Rhizopus oryzae)産生ペプチダーゼ(商品名:ペプチダーゼR)を挙げることができる。
【0023】
エンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用の両方を有する酵素の好ましい例としては、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)産生ペプチダーゼ(商品名:アクチナーゼAS)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)産生ペプチダーゼ(商品名:プロテアーゼA、フレーバーザイム、プロテアックス、スミチームLP-G)、アスペルギルス・メレウス(Aspergillus melleus)産生ペプチダーゼ(商品名:プロテアーゼP)を挙げることができる。
【0024】
生ローヤルゼリーをタンパク質分解酵素で処理する際の反応条件(タンパク質分解酵素の使用量、反応時の温度、pH、反応時間等)は、使用するタンパク質分解酵素の種類等に応じて、適宜設定すればよい。
【0025】
間葉系幹細胞増殖剤におけるローヤルゼリーの含有量は、間葉系幹細胞増殖剤全量に対して固形分で、例えば、0.1質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、3.5質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、93質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、99質量%以上、又は100質量%であってよい。間葉系幹細胞増殖剤におけるローヤルゼリーの含有量は、間葉系幹細胞増殖剤全量に対して固形分で、例えば、100質量%以下、99質量%以下、98質量%以下、95質量%以下、93質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、又は1質量%以下であってよい。
【0026】
間葉系幹細胞増殖剤は、生ローヤルゼリー量として、例えば体重60kgの成人に一日当たり10mg~30000mgの用量で用いることができ、100mg~20000mg、150mg~15000mg、600mg~12000mg、1200mg~10000mg、又は2400mg~8000mgの用量で用いてもよい。
【0027】
本実施形態に係る間葉系幹細胞増殖剤は、哺乳類動物の胎盤又は植物種属の胎座(植物プラセンタ)から抽出された胎盤抽出物を含まないことが好ましい。
【0028】
ローヤルゼリーは、後述の実施例に示すように、間葉系幹細胞の増殖を促進する作用を有する。したがって、本実施形態に係る間葉系幹細胞増殖剤は、ローヤルゼリーを有効成分として含むことにより、間葉系幹細胞を増殖させる、又は間葉系幹細胞の増殖を促進する作用を有する。間葉系幹細胞の由来は、例えば、脂肪由来、骨髄由来、歯髄由来等であってよい。本実施形態に係る間葉系幹細胞増殖剤を摂取することにより、体内に存在する間葉系幹細胞にローヤルゼリーが接触し、増殖効果を発揮することができると考えられる。体内の間葉系幹細胞は年齢とともに徐々に減少すると言われているため、本実施形態に係る間葉系幹細胞増殖剤を摂取することにより、体内の間葉系幹細胞を補うことができる。
【0029】
本実施形態に係る間葉系幹細胞増殖剤は、経口投与されてもよく、非経口により投与されてもよい。また、本実施形態に係る間葉系幹細胞増殖剤は、皮膚外用剤であってもよい。間葉系幹細胞増殖剤は、例えば、滴下、散布、塗布等の処置により、必要とする皮膚の部位に直接適用されてもよい。本実施形態に係る間葉系幹細胞増殖剤は、一日一回投与されてもよく、一日二回、三回等、複数回に分けて投与されてもよい。
【0030】
本実施形態に係る間葉系幹細胞増殖剤の投与対象者は、健常者であってよい。投与対象者は高齢者であってもよい。高齢者は例えば60歳以上の者であってよく、63歳以上又は65歳以上の者であってもよい。
【0031】
本実施形態に係る間葉系幹細胞増殖剤は、有効成分に加えて、他の成分を更に含有していてもよい。他の成分としては、例えば、薬学的に許容される成分(例えば、賦形剤、結合材、滑沢剤、崩壊剤、乳化剤、界面活性剤、基剤、溶解補助剤、懸濁化剤)、食品として許容される成分(例えば、ミネラル類、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤)を挙げることができる。
【0032】
本実施形態に係る間葉系幹細胞増殖剤は、固体、液体、ペースト等のいずれの形状であってもよく、錠剤(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠、トローチ剤等を含む)、カプセル剤、丸剤、粉末剤(散剤)、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁液、乳濁液、シロップ、ペースト、注射剤(使用時に、蒸留水又はアミノ酸輸液若しくは電解質輸液等の輸液に配合して液剤として調製する場合を含む)等の剤形であってもよい。これらの各種製剤は、例えば、有効成分と、必要に応じて他の成分とを混合して上記剤形に成形することによって調製することができる。
【0033】
上記間葉系幹細胞増殖剤は、医薬品、医薬部外品、食品組成物又は化粧品そのものとして、またはこれらの製品中の成分として使用することができる。間葉系幹細胞増殖剤を一成分として含む医薬品、医薬部外品、食品組成物又は化粧品は、例えば、これら製品の製造工程における中間製品に、間葉系幹細胞増殖剤を添加することにより製造することができる。
【0034】
化粧品には、動物(ヒトを含む)の皮膚、粘膜、体毛、頭髪、頭皮、爪、歯、顔皮、口唇等の部位に適用され得る、あらゆる化粧品が含まれる。
【0035】
化粧品の剤形は、例えば、可溶化系、乳化系、粉末系、油液系、ゲル系、軟膏系、エアゾール系、水-油2層系、水-油-粉末3層系等であってよい。上記化粧品は、例えば、洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、エッセンス、美容液、パック、マスク、ミスト、UV予防化粧品等の基礎化粧品、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ等のメークアップ化粧品、洗顔料、マッサージ用剤、クレンジング用剤、アフターシェーブローション、プレシェーブローション、シェービングクリーム、ボディソープ、石けん、シャンプー、リンス、へアートリートメント、整髪料、へアートニック剤、ヘアミスト、ヘアフォーム、ヘアリキッド、ヘアジェル、ヘアスプレー、育毛剤、制汗剤、入浴剤、マウスリンス、口腔化粧品、歯磨剤などであってよい。
【0036】
化粧品には、ローヤルゼリー以外に、通常化粧品に用いられる成分、例えば、美白剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色材、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0037】
間葉系幹細胞増殖剤を食品組成物として又はその一成分として用いる場合、該食品組成物は、食品の3次機能、すなわち体調調節機能が強調されたものであることが好ましい。食品の3次機能が強調された製品としては、例えば、健康食品、機能性表示食品、栄養機能食品、栄養補助食品、サプリメント及び特定保健用食品を挙げることができる。
【0038】
食品組成物としては例えば、コーヒー、ジュース及び茶飲料等の清涼飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト飲料、炭酸飲料、並びに、日本酒、洋酒、果実酒及びハチミツ酒等の酒などの飲料;カスタードクリーム等のスプレッド;フルーツペースト等のペースト;チョコレート、ドーナツ、パイ、シュークリーム、ガム、ゼリー、キャンデー、クッキー、ケーキ及びプリン等の洋菓子;大福、餅、饅頭、カステラ、あんみつ及び羊羹等の和菓子;アイスクリーム、アイスキャンデー及びシャーベット等の氷菓;カレー、牛丼、雑炊、味噌汁、スープ、ミートソース、パスタ、漬物、ジャム等の調理済みの食品;ドレッシング、ふりかけ、旨味調味料及びスープの素等の調味料などが挙げられる。
【実施例
【0039】
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
ローヤルゼリーによる脂肪由来幹細胞の増殖に与える影響を調べた。試験に用いた細胞、ローヤルゼリー、培地、試薬等は以下のとおりである。
1)細胞
・脂肪由来幹細胞(PT-5006、Lonza、Batch No:0000605220、Tissue Acquisition Number:31363)
2)ローヤルゼリー
・未酵素分解ローヤルゼリー(山田養蜂場社。生ローヤルゼリーを乾燥、粉末化したもの。)
・酵素分解ローヤルゼリー(山田養蜂場社)
酵素分解ローヤルゼリーとしては、pH7.8に調整した未酵素分解ローヤルゼリー水溶液をプロテアックス(天野エンザイム株式会社)で50℃、2時間反応させることにより加水分解したものを用いた。
3)培地、試薬、器材等
・増殖用培地:間葉系幹細胞用無血清培地(FKCM 301T、フコク)
・FBS(ウシ胎児血清、BI、04-400-1A)
・IMDM(イスコブ変法ダルベッコ培地、ナカライテスク、11506-05)
・生細胞数測定試薬SF (ナカライテスク、07553-44)
・シリンジフィルター(6896-2502、Whatman-GE)
【0041】
Lonza社より購入した脂肪由来幹細胞(P1:継代1)を解凍後、T-75フラスコを用いて、2%FBS添加FKCM301T培地(増殖培地)で増殖させた(P2)。P2を95%コンフルエントでT-175フラスコに継代し(P3)、2~3×10cells/tubeで凍結保存した。下記の試験には、P3を解凍して増殖させたP4の脂肪由来幹細胞を用いた。
【0042】
[ローヤルゼリー溶液の調製]
未酵素分解ローヤルゼリー粉末又は酵素分解ローヤルゼリー粉末を精製水に懸濁、撹拌し、5分間超音波破砕したものをそれぞれ未酵素分解ローヤルゼリー原液又は酵素分解ローヤルゼリー原液とした。培地9mlに、未酵素分解ローヤルゼリー原液又は酵素分解ローヤルゼリー原液1mlを添加してボルテックスで撹拌し、10分間室温で放置した後、0.2μmフィルターでろ過滅菌することにより各ローヤルゼリーの10%溶液を調製した。
【0043】
[細胞毒性試験]
脂肪由来幹細胞を上述の増殖培地で1×10cells/mLに調製し、96ウェルプレートに100μL/wellで播種した。翌日に95~100%コンフルエントの状態になった細胞を細胞毒性試験に用いた。ローヤルゼリーサンプルは増殖培地で1%濃度になるように調製し、更に同培地で2倍希釈して、0.004%までの9段階の濃度を作製した。ウェルの培地を除去して、調製したローヤルゼリーサンプルを添加して37℃のCOインキュベーターで24時間培養した。24時間後に培地を除去し、生細胞数測定試薬SFを10%添加したIMDMを75μL/wellで添加し、1~2時間インキュベートして450nmの吸光度を測定した。細胞毒性試験は、1濃度につき3wellで行い、ブランクの吸光度を100%として各濃度の細胞生存率(%)を算出した。
【0044】
細胞毒性試験の結果、未酵素分解ローヤルゼリー及び酵素分解ローヤルゼリーともに0.004%から1%の全ての濃度で、無添加の場合の細胞生存率(100%)を上回った。したがって、未酵素分解ローヤルゼリー及び酵素分解ローヤルゼリーともに細胞毒性はないと判断された。
【0045】
[増殖促進試験]
脂肪由来幹細胞をIMDMで3×10cells/mLに調製し、96ウェルプレートに100μL/wellで播種し、翌日に30%コンフルエントの状態になった細胞を増殖促進試験に用いた。ローヤルゼリーサンプルとしては、増殖培地(2%FBS増殖添加増殖培地)、及び増殖培地をIMDMで10倍希釈した培地(0.2%FBS増殖添加増殖培地)の2種類で、それぞれ2倍希釈系列のサンプルを調製した。ウェルの培地を除去して、調製したローヤルゼリーサンプルを添加して37℃のCOインキュベーターで3日間培養した。培地を除去し、生細胞数測定試薬SFを10%添加したIMDMを75μL/wellで添加し、1~2時間インキュベートした。その後450nmの吸光度を測定した。測定は1濃度につき3wellで行った。結果を図1及び図2に示す。
【0046】
2%FBS添加増殖培地(図1)では、未酵素分解ローヤルゼリー及び酵素分解ローヤルゼリーともに、0.25%濃度の場合に最大の増殖促進効果を示した。0.25%濃度では、無添加の場合と比較して、未酵素分解ローヤルゼリーでは約30%、酵素分解ローヤルゼリーでは約60%、脂肪由来幹細胞の増殖を促進した。
【0047】
0.2%FBS添加増殖培地(図2)では、未酵素分解ローヤルゼリーでは0.5%濃度の場合に、酵素分解ローヤルゼリーでは0.25%濃度の場合に、それぞれ最大の増殖促進効果を示した。無添加の場合と比較して、0.5%濃度の未酵素分解ローヤルゼリーでは約60%、0.25%酵素分解ローヤルゼリーでは約40%、脂肪由来幹細胞の増殖を促進した。
図1
図2