(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】ゲーミングマシン
(51)【国際特許分類】
A63F 11/00 20060101AFI20240327BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
A63F11/00 A
A61L2/10
(21)【出願番号】P 2020122826
(22)【出願日】2020-07-17
【審査請求日】2023-01-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598098526
【氏名又は名称】株式会社ユニバーサルエンターテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】▲配▼島 淳
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-266298(JP,A)
【文献】特開2006-034340(JP,A)
【文献】特開2015-221085(JP,A)
【文献】特開2009-165801(JP,A)
【文献】米国特許第10850184(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 1/00 - 13/98
A61L 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体から前方に突出する操作テーブルの上面に設けられ、プレイヤーからのゲームに関する操作入力を受け付けるコントロールパネルと、
UV-C(200~280nm)に分類される紫外線を出射する出射面を有し、前記コントロールパネルの上方における前記筐体の前面の特定の高さに、前記筐体の両端に渡って水平に前記出射面を露出して配置された直管型殺菌灯と、
前記筐体の前方に人が存在することを検出可能な検出部と、を備え、
前記出射面から出射される前記紫外線の照射領域は、前記検出部が検出可能な人体検出領域内に含まれており、且つ、前記人体検出領域は、前記紫外線の照射領域よりも大きいこと
を特徴とするゲーミングマシン。
【請求項2】
プレイヤーからのゲームに関する操作入力を受け付けるタッチパネルを有するディスプレイを備え、
前記ディスプレイは、前記タッチパネルの操作面全体が、前記直管型殺菌灯からの紫外線が出射される方向に配置されていること
を特徴とする請求項1に記載のゲーミングマシン。
【請求項3】
前記直管型殺菌灯を点灯状態または消灯状態に切換可能な制御部を備え、
前記制御部は、前記直管型殺菌灯が点灯状態、且つ前記検出部が人の存在を検出した場合、前記直管型殺菌灯を消灯状態に切り換えること
を特徴とする請求項1に記載のゲーミングマシン。
【請求項4】
前記制御部は、前記直管型殺菌灯が消灯状態、且つ前記検出部が所定の時間継続して人の存在を検出しない場合、前記直管型殺菌灯を点灯状態に切り換えること
を特徴とする請求項3に記載のゲーミングマシン。
【請求項5】
前記制御部は、前記直管型殺菌灯の点灯状態が所定の時間継続した場合、前記直管型殺菌灯を消灯状態に切り換えること
を特徴とする請求項3に記載のゲーミングマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーミングマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
カジノ等のゲーム施設では、一般的に複数台のゲーミングマシンが連続して設置される。この連続して設置された複数台のゲーミングマシンはバンクと呼ばれ、バンクは別のバンクと対面して配置される。また、ゲーミングマシンは不特定多数のプレイヤーによって操作されるため、ウィルスが付着しやすい環境にある。そこで、ゲーミングマシンを殺菌するための技術が開示されている。
【0003】
古くは、殺菌灯と言われる紫外線で殺菌する方式が知られており、強い殺菌効果があるとされている。波長区分がUV-C(100nm~280nm)の紫外線は、空気中で吸収され易い。空気中で吸収された紫外線は、空気中の酸素分子を分解しオゾン(O3)を生成する。オゾンは強い酸化力を有し、接触した物質を容易に酸化する。オゾンと接触した物質がウィルスの場合、ウィルスはオゾンによって酸化されることにより死滅する。最近では、特許文献1のゲーミングマシン用除菌装置に開示されているように、深紫外線LEDがウィルスの殺菌に使用することが提案されており、特許文献1では、ゲーミングマシンの操作部として、パチンコマシンにおけるゲーム球発射用のハンドル、及びゲーミングマシンにおけるリールの回転を開始させるためのレバー及び回転中のリールを停止させるためのボタンが例示されている。除菌装置はゲーミングマシンとは別体に構成されて玉箱載置台等に設置される形態と、ゲーミングマシンの一部として組み込まれる形態とが開示されている。そして、除菌装置は操作部付近に設けられ、ゲーミングマシンの前に人が存在しないと判定すると前記操作部に紫外線を照射する。ナイトライド・セミコンダクター株式会社の発表によれば、深紫外線LEDのコロナウィルス不活性試験では、「10分間の波長275nmの深紫外線LEDの照射で、検出限界99.6%(実質100%)の不活化を実証しました」としている。
(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000030186.html)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、操作部はプレイヤーがゲーミングマシンの中で頻繁に触れる箇所ではあるが、ディスプレイやゲーム媒体払出穴等、操作部の他にもプレイヤーが触れる箇所は存在する。そのため、これらの箇所にもウィルスが付着している可能性はある。また、ゲーミングマシン本体だけでなく周辺の空気にもウィルスは存在している可能性はある。上述従来技術では、ゲーミングマシンの操作部しか殺菌しないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、広範囲に殺菌処理を行うことが可能なゲーミングマシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のゲーミングマシンは、
筐体と、
前記筐体から前方に突出する操作テーブルの上面に設けられ、プレイヤーからのゲームに関する操作入力を受け付けるコントロールパネルと、
紫外線を出射する出射面を有し、前記コントロールパネルの上方における前記筐体の前面の特定の高さに、前記筐体の両端に渡って水平に前記出射面を露出して配置された直管型殺菌灯と、
を備えていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、直管型殺菌灯が筐体の両端に渡って水平に出射面を露出して配置されているため筐体前面側に設けられたコントロールパネルを含む広範囲に殺菌することが可能となる。また、ゲーミングマシンはバンク単位に複数台が連続して設置されることが一般的である。これにより、ゲーミングマシンの直管型殺菌灯は、特定の高さに筐体の両端部同士を接続するように水平に露出して配置されているため、バンク全体として見ると、各ゲーミングマシンが有する複数の直管型殺菌灯が、バンクに渡る長尺の紫外線出射装置を構成することになる。また、一般的に、バンクは別のバンクと対面して配置される。即ち、バンクに構成される長尺の紫外線出射装置は、対面する他のバンク、及び、これらバンク同士の空間に対して紫外線を照射し得る。このように、ゲーミングマシンのコントロールパネルに紫外線が照射されるだけでなく、対面するバンクのゲーミングマシンの前面領域、及びバンク間の空気にも紫外線が照射される可能性がある。その結果、広範囲に殺菌処理を行うことが可能となる。
【0009】
また、本発明のゲーミングマシンは、
前記直管型殺菌灯を点灯状態または消灯状態に切換可能な制御部と、
前記筐体の前方に人が存在することを検出可能な検出部と、を備え、
前記制御部は、前記直管型殺菌灯が点灯状態、且つ前記検出部が人の存在を検出した場合、前記直管型殺菌灯を消灯状態に切り換えてもよい。
【0010】
上記構成によれば、直管型殺菌灯が点灯している状態でプレイヤー等の人の存在を検出すると、直管型殺菌灯は自動的に消灯し、紫外線の出射を停止する。その結果、安全に殺菌処理を行うことが可能となる。
【0011】
また、本発明のゲーミングマシンにおいて、
前記直管型殺菌灯が消灯状態、且つ前記検出部が所定の時間継続して人の存在を検出しない場合、前記直管型殺菌灯を点灯状態に切り換えてもよい。
【0012】
上記構成によれば、直管型殺菌灯が消灯した状態で、検出部が所定の時間継続してプレイヤー等の人の存在を検出しない場合、直管型殺菌灯は自動的に点灯し、紫外線の出射を開始する。その結果、安全に殺菌処理を行うことが可能となる。
【0013】
また、本発明のゲーミングマシンにおいて、
前記直管型殺菌灯の点灯状態が所定の時間継続した場合、前記直管型殺菌灯を消灯状態に切り換えてもよい。
【0014】
上記構成によれば、直管型殺菌灯の点灯状態が所定の時間継続した場合、直管型殺菌灯は自動的に消灯し、紫外線の出射を停止する。その結果、過度な紫外線出射を行うことによる消費電力量の増大を抑制することが可能となる。
【0015】
また、本発明のゲーミングマシンは、
プレイヤーからのゲームに関する操作入力を受け付けるタッチパネルを有するディスプレイを備え、
前記ディスプレイは、前記タッチパネルの操作面全体が、前記直管型殺菌灯からの紫外線が出射される方向に配置されていてもよい。
【0016】
ゲーミングマシンでは、プレイヤーからのゲームに関する操作入力を受け付けるものとして、ボタン等の機械式の入力装置だけでなくタッチパネルが多用されることが一般的である。上記構成によれば、直管型殺菌灯が点灯状態になると、操作テーブル上に設けられたコントロールパネルだけでなくディスプレイのタッチパネルにも紫外線が照射され得る。その結果、プレイヤーが操作を行う複数個所を同時に殺菌することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】殺菌灯と殺菌対象となる構成の前後方向の位置関係の概要を示す説明図である。
【
図3】対面するスロットマシンへの紫外線照射領域を示す図である。
【
図5】プレイヤートラッキングシステムのブロック図である。
【
図6】紫外線の照射領域と人体検出領域との関係を示す図である。
【
図7】スロットマシンがバンク配置された場合の紫外線照射領域を示す図である。
【
図9】殺菌灯の自動点消灯制御処理のフローチャートを示す図である。
【
図10】スロットマシン間の殺菌灯消灯連携処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のゲーミングマシンを図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、ゲーミングマシンとして、スロットゲームを実行するスロットマシンを一例に挙げるがこれに限定されない。
【0019】
初めに、
図1を参照して、本実施形態におけるスロットマシン1010の斜視図について説明する。
【0020】
図1に示すように、スロットマシン1010は、筐体1011と、筐体1011の上側に設置されたトップボックス1012と、を備えている。筐体1011は、前面側を覆うメインドア1013を有している。メインドア1013には、上部に、ゲーム画面が表示されるディスプレイ装置として機能する下側画像表示パネル1141が設けられる。下側画像表示パネル1141の前面には、タッチパネル1069が設けられていて、プレイヤーはタッチパネル1069を操作して各種の指示を入力することができる。
【0021】
下側画像表示パネル1141の下方には、前面側が露出されるように、PTS(Player Tracking System)装置1700が筐体1011に組み込まれている。即ち、
図1に示すように、PTS装置1700は、前面側が、筐体1011の前面側の中央領域を両端に渡って占有するように、筐体1011に引き出し状に収容される。PTS装置1700は、前面側に、殺菌灯1050と、LCD(Liquid Crystal Display)1719を有している。殺菌灯1050は、PTS装置1700の前面上部の左右端のそれぞれに、前方へ突出して配置された一対のランプホルダ1050aに挟持された状態で指示されている。即ち、殺菌灯1050は、PTS装置1700の前面において、上端縁全体に沿うように水平に設けられる。言い換えれば、殺菌灯1050は、下側画像表示パネル1141の下端に沿って、下側画像表示パネル1141の下方に設けられる。また、LCD1719は、殺菌灯1050の下方に設けられる。LCD1719には、ゲームに関する情報や会員情報、会員向け情報等が表示される。また、LCD1719は、タッチパネル1720を前面に備えており、プレイヤーからのゲームに関する操作入力を受け付けることが可能となっている。
【0022】
また、LCD1719の右側には、撮像窓1712が設けられており、撮像窓1712の裏側に配置された検出部としての人体検出カメラ1713が、この撮像窓1712を介してプレイヤーなどを撮像する。撮像窓1712は、例えば、スモーク等のシールド処理がなされたハーフミラー材であってもよい。
【0023】
また、筐体1011のメインドア1013は、LCD1719の下方において、前方に突出する操作テーブル1031を有している。操作テーブル1031の上面には、コントロールパネル1030が設けられる。コントロールパネル1030は、スロットマシン1010の筐体から前方に突出する操作テーブル1031の上面に設けられた複数のボタン及び後述する紙幣識別器1022の紙幣投入口により構成される。即ち、プレイヤーは、コントロールパネル1030のボタンを押下することにより、ベット処理、ビデオリールの回転の開始等のスロットゲームに関する操作を行うことが可能となっている。このように、コントロールパネル1030は、プレイヤーからのゲームに関する操作入力を受け付けるための入力装置として機能する。
【0024】
ここで、殺菌灯1050について、具体的に説明する。殺菌灯1050は、波長区分がUV(Ultra Violent)-C(100nm~280nm)の紫外線を、露出された出射面から周囲へ出射する。UV-Cの紫外線は、次の理由により殺菌効果を有することが知られている。UV-Cの紫外線は空気中で吸収され易い。空気中で吸収された紫外線は空気中の酸素分子を分解し、オゾン(O3)を生成する。オゾンは強い酸化力を有し、接触した物質を容易に酸化する。オゾンと接触した物質がウィルスの場合、ウィルスはオゾンによって酸化されることにより死滅する。
【0025】
また、本実施形態では、冷陰極管または熱陰極管の直管型の殺菌灯1050を使用する。冷陰極管または熱陰極管の直管状の殺菌灯1050には、LED(Light Emitted Diode)の殺菌灯と較べ、安価でかつ熱効率に優れているという特徴がある。また、本実施形態で使用する殺菌灯1050は、UV-A(315~380nm)、UV-B(280~315nm)、またはUV-C(200~280nm)に分類される近紫外線を出射し得るが、特にUV-Cが好適である。なお、殺菌灯の種類はこれに限定されない。
【0026】
本実施形態の殺菌灯1050は、コントロールパネル1030の上方におけるスロットマシン1010の筐体1011の前面の特定の高さに、筐体1011の両端に渡って水平に出射面を露出して配置される。ここで、出射面とは、殺菌灯1050を構成する直管の硝子管の表面の内、紫外線を外部へ出射する面のことである。殺菌灯1050の露出された出射面からは、直管の径方向へ放射状に紫外線が出射され、出射方向にあるコントロールパネル1030、下側画面表示パネル1141、及び、LCD1719を殺菌する。
【0027】
図2を参照して、殺菌灯1050と、コントロールパネル1030、下側画面表示パネル1141、及び、LCD1719との位置関係について、具体的に説明する。
図2は、殺菌灯1050と殺菌対象となる構成の前後方向の位置関係の概要を示す説明図である。
【0028】
図2に示すように、殺菌灯1050は、PTS装置1700の上端において前方へ突出した位置に設けられている。即ち、殺菌灯1050は、コントロールパネル1030の直上に位置しているため、LCD1719やその枠体等に阻害されることなく、殺菌灯1050からの紫外線がコントロールパネル1030へ到達する。また、PTS装置1700の前面において、殺菌灯1050が前方へ突出した位置に設けられていることにより、LCD1719の表面全体が殺菌灯1050よりも後方に位置している。これにより、殺菌灯1050からの紫外線が、入力装置として機能するLCD1719の操作面全体へ到達可能となる。また、下側画面表示パネル1141の下端は、殺菌灯1050よりも後方に位置している。さらに、下側画面表示パネル1141の上端は、殺菌灯1050と下側画面表示パネル1141の下端とを結ぶ直線よりも前方に位置している。これにより、殺菌灯1050からの紫外線が、入力装置として機能する下側画面表示パネル1141の操作面全体へ到達可能となる。
【0029】
次に、
図3を参照して、本実施形態におけるスロットマシン1010が対面して配置された場合の特徴について説明する。
【0030】
スロットマシン1010が対面して配置されると、殺菌灯1050から出射される紫外線は、バンク間の空気及び対面のスロットマシン1010に照射される。紫外線の強度は光源からの距離の2乗に比例して減衰する一方、紫外線の出射面は光源からの距離の2乗に比例して拡がることが知られている。そのため、対面のスロットマシン1010に対する殺菌効率は低下するが、対面のスロットマシン1010の前面の広範囲に渡り紫外線を照射することが可能となる。
【0031】
例えば、対面するバンク間の距離が2メートルの場合、5Wの紫外線出力を有するGL-15タイプの殺菌灯1050により紫外線を出射すると、対面のスロットマシン1010に照射される紫外線の強度は約70μWとなる。約70μWの強度では、約10分の紫外線の照射で、照射範囲の99%以上のウィルスを殺菌することが可能となる。
【0032】
このように、スロットマシン1010は、筐体1011と、筐体1011から前方に突出する操作テーブルの上面に設けられ、プレイヤーからのゲームに関する操作入力を受け付けるコントロールパネル1030と、紫外線を出射する出射面を有し、コントロールパネル1030の上方における筐体1011の前面の特定の高さに、筐体1011の両端に渡って水平に前記出射面を露出して配置された直管型殺菌灯1050と、を備えている。
【0033】
また、スロットマシン1010は、プレイヤーからのゲームに関する操作入力を受け付けるタッチパネル1069・1720を有するディスプレイ1141・1719を備え、ディスプレイ1141・1719は、タッチパネル1069・1720の操作面全体が、直管型殺菌灯1050からの紫外線が照射される方向に配置されている。
【0034】
これにより、配置された殺菌灯1050から紫外線を照射することで、コントロールパネル1030を効率的に殺菌することが可能となる。また、殺菌灯1050が点灯状態になると、コントロールパネル1030だけでなく、下側画面表示パネル1141及びLCD1719上のタッチパネル1069・1720にも紫外線が照射され得る。その結果、プレイヤーが操作を行う複数個所を同時に殺菌することが可能となる。
【0035】
上述したように、メインドア1013には、下側画像表示パネル1141が設けられている。下側画像表示パネル1141には、図示しないが、スロットゲーム画面が表示され、シンボルを縦方向に回転させた後に停止する再配置を行うビデオリールが複数設けられる。
【0036】
ここで、「再配置」とは、シンボルの配置が解除された後、再びシンボルが配置される状態を意味する。「配置」とは、シンボルが外部のプレイヤーに対して目視により確認可能な状態であることを意味する。スロットマシン1010は、回転したビデオリールが停止することによるシンボルの配置状態によって、ウィニングコンビネーション(入賞役)に応じた配当を付与する所謂スロットゲームを実行する。
【0037】
尚、本実施形態では、スロットマシン1010が所謂ビデオゲーミングマシンである場合について説明しているが、本発明のスロットマシン1010は、所謂機械式リールを採用してもよいし、一部のビデオリールに代用してもよい。
【0038】
トップボックス1012の前面には、上側画像表示パネル1131が設けられている。上側画像表示パネル1131は、液晶パネルからなり、ディスプレイを構成する。上側画像表示パネル1131は、演出にかかる画像や、ゲームの内容の紹介やルールの説明を示す画像が表示される。また、トップボックス1012には、ランプ1111が設けられている。
【0039】
スロットゲームにおいて、下側画像表示パネル1141には、クレジット数表示部(不図示)が表示されており、現在のクレジット数が表示されている。ここで、「クレジット」とは、プレイヤーがベットする際に使用するゲーム上での仮想のゲーム媒体である。尚、クレジット数表示部には、プレイヤーが現在所有するクレジットの合計数が表示されるようになっている。また、ゲーム媒体としては、会員カード(ICカード)、紙幣またはこれらに相当する電子的な有価情報が用いられる。
【0040】
PTS装置1700の左右には、それぞれ、スピーカが設けられている。スロットマシン1010は、上側画像表示パネル1131による画像の表示、スピーカによる音の出力、及び、トップボックス1012のランプ1111による光の出力等によってスロットゲームの演出が実行される。
【0041】
次に、
図4を参照して、本実施形態におけるスロットマシン1010のブロック図について説明する。
【0042】
スロットマシン1010は、PTS装置1700を備えている。PTS装置1700は、PTSコントロールユニット1700AとPTSユーザインターフェースユニット1700Bとを有している。PTSコントロールユニット1700Aは、PTS装置1700の各種の処理動作を制御すると共に、外部の各種装置にデータ通信可能に接続されている。また、PTSユーザインターフェースユニット1700Bは、主にプレイヤーとの間で入力処理や出力処理を可能にするように構成されている。
【0043】
また、スロットマシン1010は、精算機1868を備えている。スロットマシン1010は、PTS装置1700のPTSコントロールユニット1700A及びネットワークを介して管理サーバ1310に接続されている。PTSコントロールユニット1700Aは、通信回線(またはスロットマシン1010)を介して、紙幣識別器1022と接続されている。また、PTSコントロールユニット1700Aは、所定のプロトコルに基づいて、コントローラ1100とデータの送受信を行うと共に、ネットワークを介して接続されている管理サーバ1310等とデータ通信を行う。例えば、PTSコントロールユニット1700Aからコントローラ1100に対しては、ゲームを開始するのに必要なクレジットの情報や、連動演出の際にスロットゲームの停止を指示する停止コマンドなどが送信され、コントローラ1100からPTSコントロールユニット1700Aに対しては、ゲーム結果としてのクレジットの情報やスロットゲームの開始通知、終了通知などが送信され得る。
【0044】
また、PTS装置1700のPTSコントロールユニット1700Aは、会員カードの取込通知や取出通知、スロットゲームの開始通知や終了通知、抽籤結果、ベット情報、払出数等のゲーム情報、ボーナス当選通知、会員のクレジットの情報等を送受信する。
【0045】
ここで、会員の場合のゲームフローは概略以下のようになる。最初に、会員カード発券端末によって会員登録を行い、その際に、会員カード(ICカード)が発券される。その後、プレイヤーは、スロットマシン1010のPTS装置1700(PTSユーザインターフェースユニット1700B)に会員カードを挿入し、そこで、現金を投入する。紙幣識別器1022は、紙幣が投入されると、金種及び金額を識別し、その識別結果として、金種データ及び金額データをPTSコントロールユニット1700Aへ送信する。PTSコントロールユニット1700Aは、金種データ及び金額データから、ゲーム用のクレジットを求め、これをコントローラ1100に送信する。
【0046】
コントローラ1100は、PTSコントロールユニット1700Aから送信されたクレジットに基づいてスロットゲームを実行する。ゲーム結果に応じたクレジットは、コントローラ1100からPTSコントロールユニット1700Aへ送信され、PTSコントロールユニット1700Aにおいて、ゲーム結果に基づく配当の払出し計算が行われ、プレイヤーに払い出される金額が決定される。PTS装置1700(PTSユーザインターフェースユニット1700B)では、この決定された金額をそのまま会員カードに書き込み、会員カードを排出する。また、会員カードには、ゲームの実行等に応じて、所定のポイントが付与される。
【0047】
会員であるプレイヤーが次にゲームを行う場合、PTSコントロールユニット1700Aは、挿入された会員カードを読み込むと、会員カードに記憶されている金額を読み取る。読み取られた金額は、クレジットに変換され、コントローラ1100に送信される。ゲーム結果に応じたクレジットは、上記と同様に、コントローラ1100からPTSコントロールユニット1700Aへ送信され、PTSコントロールユニット1700Aにおいて、ゲーム結果に基づく払出し計算が行われ、プレイヤーに払い出される金額が決定される。このとき、挿入されている会員カードの金額に対して、ゲームの結果得られた金額を加算することによりこれを更新する。
【0048】
このときさらに、PTSコントロールユニット1700Aは、会員カードから読み取った識別コード(またはプレイヤー識別コード)と更新された金額を管理サーバ1310に送信し、管理サーバ1310は、PTSコントロールユニット1700Aから送信された金額を、上記の識別コードで特定される会員の金額に加算し記憶する。この処理により、会員の保持する金額が常に管理される。
【0049】
会員であるプレイヤーはその後必要に応じて、キャッシャーカウンタ等で、会員カードに記憶されている金額に基づいて精算を行うことができる。また、スロットマシン1010が精算機1868を備える場合は、当該スロットマシン1010において会員カードによる精算を行うことができる。
【0050】
一方、非会員の場合ゲームフローは概略以下のようになる。プレイヤーは、スロットマシン1010のPTS装置1700(PTSユーザインターフェースユニット1700B)に現金を投入する。紙幣識別器1022は、紙幣が投入されると、金種及び金額を識別し、その識別結果として、金種データ及び金額データがPTSコントロールユニット1700Aへ送信される。PTSコントロールユニット1700Aは、金種データ及び金額データから、ゲーム用のクレジットを求め、これをコントローラ1100へ送信する。
【0051】
コントローラ1100は、PTSコントロールユニット1700Aから送信されたクレジットに基づいてゲームを実行する。ゲーム結果に応じたクレジットは、コントローラ1100からPTSコントロールユニット1700Aに送信され、PTSコントロールユニット1700Aにおいて、ゲーム結果に基づく払出し計算が行われ、プレイヤーに払い出される金額が決定される。PTS装置1700(PTSユーザインターフェースユニット1700B)では、この決定された金額を、スロットマシン1010にストックされている新たなICカードに書き込み、そのICカードを排出する。非会員は、ここで初めてICカードを手にすることになる。
【0052】
非会員であるプレイヤーはその後必要に応じて、キャッシャーカウンタ等で、ICカードに記憶されている金額に基づいて精算を行うことができる。また、スロットマシン1010が精算機1868を備える場合は、当該スロットマシン1010においてICカードによる精算を行うことができる。
【0053】
人体検出カメラ1713は、スロットマシン1010前面の空間を撮像することに加え、スロットマシン1010前面に存在するプレイヤー等の人を検出する。具体的に、人体検出カメラ1713は、スロットマシン1010前面の椅子に着座しているプレイヤー及び見物客、バンク間の通路に立っている見物客、バンク間の通路を歩いている通行人等を検出する。人を検出すると、人体検出カメラ1713は、人を検出したことを示す信号である人体検出信号を制御部としてのPTSコントローラ1750へ送信する。PTSコントローラ1750は、人体検出信号を受信したことをトリガーとして、殺菌灯1050の点消灯の状態を制御する。
【0054】
人体検出カメラ1713における人体検出方式は、人が放出する赤外線量の変化を感知して人の存在を判定する赤外線式人感センサ方式でもよいし、スロットマシン1010前方の空間を撮像し、撮像した画像を解析することにより人の存在を判定するイメージセンサ方式でもよい。なお、イメージセンサ方式は、ToF(Time―of―Flight Camera)等の測距センサを備えた3次元イメージセンサ方式でもよい。
【0055】
PTSコントローラ1750は、人体検出信号の未受信期間及び殺菌灯1050の点消灯状態の継続期間を記憶しており、殺菌灯1050の点消灯状態を変更するための判定条件として利用する。また、PTSコントローラ1750は、殺菌灯1050の点消灯制御を実行したことを通知する殺菌灯点消灯通知信号を管理サーバ1310へ送信する。一方、管理サーバ1310は、PTSコントローラ1750に対して、殺菌灯1050の点消灯制御を指示する殺菌灯消灯指示信号を送信することが可能となっている。殺菌灯1050の点消灯制御については、後に詳述する。
【0056】
次に、
図5を参照して、PTS装置1700のブロック図について説明する。
【0057】
PTS装置1700は、PTSコントロールユニット1700AとPTSユーザインターフェースユニット1700Bとを有している。
【0058】
PTSコントロールユニット1700Aは、PTSコントローラ1750を有している。PTSコントローラ1750は、CPU、ROM、及びRAMを有する。PTSコントローラ1750のCPUは、PTS装置1700の各構成部の実行制御を行うと共に、ROMに格納された各種プログラムを実行したり、演算したりする。例えば、CPUは、クレジット更新プログラムを実行して、図示しないプレイヤーのICカードに記憶されたクレジット関連データを更新する。
【0059】
PTSコントローラ1750のROMは、フラッシュメモリ等のメモリデバイスからなり、CPUにより実行される恒久的なデータが記憶されている。例えば、ROMには、ICカードに記憶されたクレジット関連データを書き換えるクレジット更新プログラムや、サーバ1310からの要求に応じて実行される連動演出制御プログラム、管理サーバ1310からの要求(報知情報など)に応じて実行される報知プログラム等が記憶される。また、PTSコントローラ1750のRAMは、ROMに記憶された各種プログラムを実行する際に必要なデータを一時的に記憶する。
【0060】
PTSコントロールユニット1700Aは、サーバI/F(インターフェース)1755とスロットマシンI/F(インターフェース)1756と紙幣識別器I/F(インターフェース)1757と精算機I/F(インターフェース)1758とを、外部装置との通信インターフェースとして有している。
【0061】
サーバI/F1755は、管理サーバ1310等のサーバとPTS装置1700とのデータ通信を実現する。スロットマシンI/F1756は、スロットマシン1010のコントローラ1100とPTS装置1700とのデータ通信を実現するものであり、当該データ通信には、規定のプロトコルが使用され得る。紙幣識別器I/F1757は、紙幣識別器1022に接続されている。精算機I/F1758は、精算機1868と接続されている。
【0062】
また、PTSコントロールユニット1700Aは、USB制御部1759を有している。USB制御部1759は、USB端子において電源ユニットからの電源を供給するかどうかを判定し、所定の条件を満たす場合に、USB端子を充電可能にする。プレイヤーは、所定条件を満たす場合に、USB端子に電子機器を接続し、当該電子機器を充電することができる。
【0063】
さらに、PTSコントロールユニット1700Aは、PTSユーザインターフェースユニット1700Bの各部に接続された制御部を有している。具体的には、PTSユーザインターフェースユニット1700Bは、フルカラーLED1721a・1721b、LCD1719、カードユニット1741、カードスタッカー1742、インクジェットボタン1732、タッチユニット1745、人体検出カメラ1713、殺菌灯1050、マイク1715・1717、スピーカ1707・1709、オーディオ端子1738を有している。一方、PTSコントロールユニット1700Aは、LED駆動部1761とLCD制御部1762とICカード制御部1763とタッチユニット制御部1764とカメラ制御部1766と殺菌灯制御部1054とDSP1765とを有している。
【0064】
LED駆動部1761は、管理サーバ1310からの報知要求等に応じて、PTSユーザインターフェースユニット1700BのフルカラーLED1721a及びフルカラーLED1721bを所定のタイミングで点灯させるように制御する。フルカラーLED1721aは、
図5のPTSユーザインターフェースユニット1700BにおけるLCD1719の上側の発光板1720aを発光させる。フルカラーLED1721bは、LCD1719の下側の発光板1720bを発光させる。
【0065】
LCD制御部1762は、スロットゲームで順位を競う複数人参加型のゲームに関する情報や会員情報、会員向け情報等をLCD1719に表示させたり、ICカードから読み取ったデータや、プレイヤーによって入力されたデータを表示させたりするように制御する。尚、LCD1719はタッチパネル機能を備えており、プレイヤーによってタッチパネルが操作されたとき、所定の信号がPTSコントローラ1750のCPUに送信される。
【0066】
ICカード制御部1763は、ICカードの挿入、排出、クレジットデータの書き込み等を制御する。ICカード制御部1763は、ICカードR/W(リーダライタ)制御部、ICカード吸入排出制御部、LED制御部を備える。
【0067】
ICカード制御部1763のICカードR/W制御部は、カードユニット1741を制御して、ICカードに記憶されているクレジット関連データを更新する。また、新たにICカードを発行する場合は、精算された金額に対応するクレジット関連データを記憶する。カードユニット1741は、ICカードにNFC等によりデータを読み取り、または書き込むためのアンテナ部を有する。カードユニット1741は、ICカードに記憶された情報を読み取るICカードリーダ、及び、ICカードに情報を書き込むICカードライタの機能を備えるが、必要に応じてどちらか一方の機能を有するものとしてもよい。
【0068】
ICカード制御部1763のICカード吸入排出制御部は、ICカードの吸入及び排出の制御を行う。プレイヤーによってカード挿入口1730にICカードが挿入されると、プレイヤーがゲームを実行している間、ICカードをカードユニット1741の中に保持するよう制御する。また、精算時にクレジット関連データがICカードに書き込まれた後、そのICカードを排出するよう制御する。さらに、イジェクトボタン1732が押された場合に、ICカードの排出を行う。また、新たにICカードを発行する場合は、カードスタッカー1742からICカードを新たに取り出して、クレジット関連データを記憶させるために、ICカードをカードユニット1741に供給する。
【0069】
ICカード制御部1763のLED制御部は、カードユニット1741のカード挿入口1730の近傍に設けられたLEDを点灯するよう制御すると共に、イジェクトボタン1732の近傍に設けられたLEDを点灯するよう制御する。
【0070】
タッチユニット制御部1764は、ICカード、携帯電話、スマートフォン等のタッチ操作に伴うデータ送受信を制御する。タッチユニット制御部1764は、非接触R/W(リーダライタ)制御部とLED制御部を備えている。
【0071】
タッチユニット制御部1764の非接触R/W制御部は、タッチユニット1745でICカードや携帯電話が所定の距離に近接した(例えば、タッチ操作があった)か否かを判定し、所定の距離に近接した場合に、タッチユニット1745から読み取り結果等を取得する。タッチユニット1745は、ICカードや携帯電話との間でNFC等によりデータ送受信を行うためのアンテナ部を有する。
【0072】
タッチユニット1745は、ICカードや携帯電話に記憶された情報を読み取るICカードリーダ、及び、ICカードや携帯電話に情報を書き込むICカードライタの機能を備えるが、必要に応じてどちらか一方の機能を有するものとしてもよい。
【0073】
カメラ制御部1766は、人体検出カメラ1713により撮像されたプレイヤー等の画像を取得し、必要に応じて所定の画像処理を施し、処理後のデータをPTSコントローラ1750のCPUに送信する。当該データは、例えば、サーバI/F1755を介して、管理サーバ1310等に送信される。また、カメラ制御部1766は、人体検出カメラ1713により撮像された撮像情報を管理サーバ1310などに送信する。さらに、カメラ制御部1766は、人体検出カメラ1713が人を検出した際に送信する人体検出信号を受信し、PTSコントローラ1750へ送信する。
【0074】
DSP1765は、マイク1715・1717から取得した音声データを受信し、所定の音声処理を行った後、そのデータをPTSコントローラ1750のCPUに送信する。また、DSP1765は、受信した音声データをスピーカ1707・1709に送信する。さらに、DSP1765は、ヘッドセットの接続されたオーディオ端子に対して、受信した音声をヘッドフォンに出力すると共に、マイクから受信した音声を処理してPTSコントローラ1750のCPUに送信する。なお、ここでは概略の構成を示すものであり、A/D変換器、D/A変換器、アンプ等は省略してある。
【0075】
次に、
図6を参照して、本実施形態における殺菌灯1050の照射領域1060と、人体検出カメラ1713による人体検出領域1061との関係について説明する。
【0076】
人体検出領域1061は、人体検出カメラ1713が人体を検出可能な領域を示す。照射領域1060は、殺菌灯1050が紫外線を照射可能な領域を示す。殺菌灯1050が点灯中の状態で人が人体検出領域1061に進入すると、人体検出カメラ1713は人の存在を検出し、PTSコントローラ1750に人体検出信号を送信する。人体検出信号を受信したPTSコントローラ1750は、殺菌灯1050を消灯状態に切り換え、照射領域への紫外線の照射を停止する。殺菌灯1050の消灯状態への切換後、PTSコントローラ1750は、殺菌灯消灯通知信号を管理サーバ1310へ送信する。一方、人が人体検出領域1061から退出すると、人体検出カメラ1713は人を検知しなくなり、その状態が所定時間継続すると、PTSコントローラ1750は殺菌灯1050を点灯状態に切り換え、照射領域への紫外線の照射を開始する。殺菌灯1050の点灯状態への切換後、PTSコントローラ1750は、殺菌灯点灯通知信号を管理サーバ1310へ送信する。これにより、安全でかつ効率的な殺菌処理が可能となる。
【0077】
殺菌灯1050から出射される紫外線は、照射領域1060の他に、
図6の矢印で示される方向にも出射される。特に、プレイヤーが最も頻繁に触れるコントロールパネル1030は、紫外線が照射され易い箇所に配置されているため、より高い殺菌効果が期待できる。また、下側表示パネル1141上のタッチパネル1069、及びLCD1719上のタッチパネル1720もプレイヤーに触れられることの多い箇所であるが、紫外線の照射範囲に含まれるため、プレイヤーが操作を行う複数個所を同時に殺菌することが可能となる。
【0078】
具体的に、コントロールパネル1030、下側表示パネル1141上のタッチパネル1069、及びLCD1719上のタッチパネル1720は、殺菌灯1050から約20cmの範囲内に配置されている。本実施形態の殺菌灯1050を、GL-15タイプの殺菌灯とした場合、30秒未満の紫外線照射でこれらプレイヤーが操作を行う箇所のほぼ完全な殺菌を同時に行うことが可能となる。
【0079】
また、殺菌灯1050は、出力調整部を有し、出射する紫外線の出力を調整することにより、照射領域1060を縮小または拡大できるように構成されてもよい。出射する紫外線の出力を弱くした場合、照射範囲が狭くなり、また、完全な殺菌までに要する時間も長くなる一方で、誤検知等により人に紫外線が照射された場合の人体への影響を低減させることが可能となる。なお、紫外線の出力は、オペレータが管理サーバ1310を操作すること等により調整されるように構成されてもよいし、人体検出カメラ1713から人までの距離等の情報に基づき、PTSコントローラ1750等により自動的に調整されるように構成されてもよい。
【0080】
次に、
図7を参照して、本実施形態のスロットマシン1010がバンク単位に配置された場合の構成について説明する。
【0081】
上述の通り、カジノ等のゲーム施設では、一般的に複数のスロットマシン1010が連続したバンク1070構成で配置される。本実施形態のスロットマシン1010がゲーム施設内に配置された場合、殺菌灯1050は、特定の高さに筐体1011の両端部同士を接続するように水平に露出して配置される。具体的に、スロットマシン1010に配置された殺菌灯1010は、スロットマシン1010に配置可能な範囲で、管長が筐体1011前面の幅と限りなく等しくなるように、筐体1011前面の左右両端に渡り水平に配置される。また、バンク1070を構成する全てスロットマシン1010の殺菌灯1050は、同一の高さに水平に配置される。さらに、同一バンク1070内のスロットマシン1010は、保守面及び安全面上の支障のない範囲で近接して配置される。これらの配置により、バンク1070全体として見ると、各スロットマシン1010が有する複数の殺菌灯1050が、バンク1070に渡る長尺の紫外線出射装置を構成することになる。この特徴により、バンク1070に構成される長尺の紫外線出射装置は、対面するバンク1070、及び、これらバンク1070同士の空間に対して紫外線を照射し得る。このように、スロットマシン1010のコントロールパネル1030、下側表示パネル1141上のタッチパネル1069、及びLCD1719上のタッチパネル1720に紫外線が照射されるだけでなく、対面するバンク1070のスロットマシン1010の前面領域、及びバンク1070間の空気にも紫外線が照射される可能性がある。その結果、広範囲に殺菌処理を行うことが可能となる。
【0082】
次に、
図8を参照して、殺菌灯状態管理テーブルについて説明する。殺菌灯状態管理テーブルは、管理サーバ1310の記憶装置に記憶され、各スロットマシン1010に備えられた殺菌灯1050の点消灯の状態を保存する。殺菌灯状態管理テーブルは、『スロットマシンID』と、『グループID』と、『点消灯状態』と、『制御対象フラグ』と、を有する。『スロットマシンID』は、スロットマシン1010を識別する値を示す。『グループID』は、スロットマシン1010が所属するグループを識別する値を示す。スロットマシン1010は複数のグループIDに所属していてもよい。『点消灯状態』は、スロットマシン1010が備える殺菌灯1050が点灯状態か、或いは消灯状態かを示す。『制御対象フラグ』は、スロットマシン1010が備える殺菌灯1050を管理サーバ1310による制御対象とするか否かを示す。
【0083】
PTSコントローラ1750は、殺菌灯1050を消灯すると、殺菌灯消灯通知信号を管理サーバに送信する。殺菌灯消灯通知信号には、殺菌灯消灯通知信号を送信したPTSコントローラ1750を備えたスロットマシン1010のスロットマシンIDと、消灯トリガーと、が含まれる。消灯トリガーについて、PTSコントローラ1750が人体検出カメラ1713からの人体検出信号により殺菌灯1050を消灯した場合は「人体検出センサ」、管理サーバ1310からの殺菌灯消灯指示信号により殺菌灯1050を消灯した場合は「管理サーバ」がセットされる。
【0084】
次に、
図9を参照して、人体検出カメラ1713による殺菌灯1050の自動点消灯処理について説明する。
【0085】
はじめに、PTSコントローラ1750は、管理サーバ1310から殺菌灯消灯指示信号を受信したか否かを判定する(S10)。
【0086】
管理サーバ1310から殺菌灯消灯指示信号を受信していないと判定する場合(S10:NO)、PTSコントローラ1750は、人体検出カメラ1713から人体検出信号を受信したか否かを判定する(S11)。人体検出カメラ1713から人体検出信号を受信したと判定する場合(S11:YES)、PTSコントローラ1750は、殺菌灯1050が点灯状態であるか否かを判定する(S12)。殺菌灯1050が点灯状態であると判定する場合(S12:YES)、または、ステップS10の処理において、管理サーバ1310から殺菌灯消灯指示信号を受信したと判定する場合(S10:YES)、PTSコントローラ1750は、殺菌灯1050を消灯状態へ切り換え、殺菌灯点1050の点灯状態継続時間をリセットする(S13)。
【0087】
ステップS13の処理の実行後、PTSコントローラ1750は、管理サーバ1310へ殺菌灯消灯通知信号を送信し、殺菌灯1050の消灯状態継続時間のカウントを開始する(S14)。ステップS14の処理の実行後、PTSコントローラ1750は、ステップS10の処理に戻る。殺菌灯1052が点灯状態でないと判定する場合(S12:NO)、PTSコントローラ1750は、ステップS10の処理に戻る。
【0088】
PTSコントローラ1750が、人体検出カメラ1713から人体検出信号を受信していないと判定する場合(S11:NO)、PTSコントローラ1750は、人体検出信号を受信しない期間が所定時間継続したか否かを判定する(S15)。人体検出信号の未受信期間が所定時間継続していないと判定する場合(S15:NO)、PTSコントローラ1750は、ステップS10の処理に戻る。
【0089】
人体検出信号の未受信期間が所定時間継続したと判定する場合(S15:YES)、PTSコントローラ1750は、殺菌灯1050が消灯状態か否かを判定する(S16)。殺菌灯1050が消灯状態であると判定する場合(S16:YES)、PTSコントローラ1750は、殺菌灯1050を点灯状態に切り換え、殺菌灯点1050の消灯状態継続時間をリセットする(S18)。ステップS18の処理の実行後、PTSコントローラ1750は、管理サーバ1310へ殺菌灯点灯通知信号を送信し、殺菌灯1050の点灯状態継続時間のカウントを開始する(S19)。ステップS19の処理の実行後、PTSコントローラ1750は、ステップS10の処理に戻る。
【0090】
殺菌灯1050が消灯状態でない、即ち点灯状態であると判定する場合(S16:NO)、PTSコントローラ1750は、殺菌灯1050の点灯状態が所定時間継続しているか否かを判定する(S17)。殺菌灯1050の点灯状態が所定時間継続していると判定する場合(S17:YES)、PTSコントローラ1750は、ステップ13の処理を実行する。ステップS13の処理の実行後、PTSコントローラ1750は、ステップS14の処理を実行し、ステップS10の処理に戻る。殺菌灯1052の点灯状態が所定時間継続していないと判定する場合(S17:NO)、PTSコントローラ1750は、ステップS10の処理に戻る。
【0091】
次に、
図10を参照して、スロットマシン1010間の殺菌灯消灯連携処理について説明する。
【0092】
同一バンク1070のスロットマシン1010は連続して配置されている。また、バンク1070間の通路の通行人は、同一バンク1070及び対面するバンク1070のスロットマシン1010の前を次々と通過していくため、人が近づいていることを迅速に検知し、殺菌灯1050を消灯させることが、安全性を高める上で重要である。そこで、本実施形態では、あるスロットマシン1010が人を検出すると、そのイベントを他のスロットマシン1010にも通知し、殺菌灯1050の消灯を指示するように構成されている。
【0093】
はじめに、管理サーバ1310は、PTSコントローラ1750から殺菌灯消灯通知信号を受信したか否かを判定する(S21)。PTSコントローラ1750からの殺菌灯消灯通知信号を受信したと判定する場合(S21:YES)、管理サーバ1310は、殺菌灯状態テーブル(
図8参照)を参照し、殺菌灯消灯通知信号に含まれるスロットマシンIDが『スロットマシンID』欄に存在する場合には、当該スロットマシンIDに対応する『点消灯状態』の記憶領域に保存された値を「消灯」で更新する(S22)。PTSコントローラ1750からの殺菌灯消灯通知信号を受信しないと判定する場合(S21:NO)、管理サーバ1310は、ステップS21の処理に戻る。
【0094】
ステップS21の処理の実行後、管理サーバ1310は、殺菌灯消灯通知信号に含まれる消灯トリガーの値が「人体検出センサ」か否かを判定する(S23)。殺菌灯消灯通知信号に含まれる消灯トリガーの値が「人体検出センサ」であると判定する場合(S23:YES)、管理サーバ1310は、殺菌灯状態テーブル(
図8参照)を参照し、殺菌灯消灯通知信号に含まれるスロットマシンIDが『スロットマシンID』欄の記憶領域に存在する場合には、当該スロットマシンIDに対応する『グループID』欄の記憶領域に保存された値を取得する。さらに、管理サーバは、取得したグループIDに対応する『スロットマシンID』欄の記憶領域に保存された値を取得する(S24)。ただし、『点消灯状態』欄の記憶領域に保存された値が「消灯」、または『制御対象フラグ』欄の記憶領域に保存された値が「OFF」であるスロットマシンIDは除外される。
【0095】
殺菌灯消灯通知信号に含まれる消灯トリガーの値が「人体検出センサ」であると判定しない場合(S22:NO)、管理サーバ1310は、ステップS21の処理に戻る。
【0096】
ステップS24の処理の実行後、管理サーバ1310は、ステップS24の処理で取得したスロットマシンIDのスロットマシン1010に備えらえたPTSコントローラ1750に対して、殺菌灯消灯指示信号を送信する(S25)。殺菌灯消灯指示信号を受信したPTSコントローラ1750は、殺菌灯1050を消灯状態に切り換える。ステップS25の実行後、管理サーバ1310は、ステップS21の処理に戻る。
【0097】
上述したスロットマシン1010間の殺菌灯消灯連携処理では、殺菌灯1050が消灯状態に切り換わったことをトリガーとして連携処理が開始されるが、プレイヤーがスロットゲームを開始したことをトリガーとしてもよい。この場合、スロットゲームが開始されたスロットマシン1010が所属するグループと同一のグループに所属するスロットマシン1010の殺菌灯1050が消灯状態に切り換わる。この際、殺菌灯点消灯状態管理テーブル(
図8参照)における、殺菌灯1050が消灯状態に切り換わったスロットマシン1010のスロットマシンIDに対応する『制御対象フラグ』欄の記憶領域に保存された値が「OFF」に更新されるように構成されてもよい。この場合、当該『制御対象フラグ』欄の記憶領域に保存された値が「ON」になるまで、当該スロットマシン1010の殺菌灯1050は殺菌灯消灯連携処理から除外される。また、プレイヤーがスロットゲームを終了したことをトリガーとして、殺菌灯1050が消灯状態に切り換わったスロットマシン1010のスロットマシンIDに対応する『制御対象フラグ』欄の記憶領域に保存された値が「ON」になるように構成されてもよい。
【0098】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定
するものではなく、各手段等の具体的構成は、適宜設計変更可能である。また、本発明の
実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本
発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。