IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アダチの特許一覧

<>
  • 特許-捕集チャンバの保存容器 図1
  • 特許-捕集チャンバの保存容器 図2
  • 特許-捕集チャンバの保存容器 図3
  • 特許-捕集チャンバの保存容器 図4
  • 特許-捕集チャンバの保存容器 図5
  • 特許-捕集チャンバの保存容器 図6
  • 特許-捕集チャンバの保存容器 図7
  • 特許-捕集チャンバの保存容器 図8
  • 特許-捕集チャンバの保存容器 図9
  • 特許-捕集チャンバの保存容器 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】捕集チャンバの保存容器
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
A61B1/00 650
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020126233
(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公開番号】P2022023354
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000126643
【氏名又は名称】株式会社アダチ
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】樋口 博行
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-054250(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0053484(US,A1)
【文献】特開2018-121568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
A61B 10/00-10/06
G01N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡を介して採取された生体組織を複数の捕集室で捕集した捕集チャンバを保存液とともに収容する保存容器であって、
上部開口を有し、前記捕集チャンバ及び前記保存液を収容する容器本体と、
前記容器本体の上部開口を閉塞する蓋体とを備えており、
前記捕集チャンバは、円筒状をなすチャンバ本体と、当該チャンバ本体の内部空間を周方向に沿って前記複数の捕集室に仕切る仕切り壁と、当該仕切り壁に仕切られた前記複数の捕集室の下面を形成する捕集網部とを有しており、
前記容器本体の底部には、前記捕集網部の下側に形成されたデッドスペースとなる凹部に対応した第1凸部が形成されている、保存容器。
【請求項2】
前記捕集チャンバにおいて前記捕集網部の下側は前記仕切り壁により複数の凹部に仕切られており、
前記容器本体の底部には、前記捕集網部の下側に形成された複数の凹部に対応した複数の第1凸部が形成されている、請求項に記載の保存容器。
【請求項3】
前記捕集チャンバは、前記捕集室の外側に形成され、前記生体組織を通過する通過部をさらに有しており、
前記容器本体の底部には、前記通過部に対応した第2凸部が形成されており、前記容器本体の底面からの高さは、前記第2凸部の方が前記第1凸部よりも高い、請求項1又は2に記載の保存容器。
【請求項4】
前記捕集チャンバは、吸引装置側のチューブが接続される吸引管部が差し通される挿入部をさらに有しており、
前記容器本体の底部には、前記挿入部に対応した第3凸部が形成されており、前記容器本体の底面からの高さは、前記第3凸部の方が前記第1凸部よりも高い、請求項1乃至3の何れか一項に記載の保存容器。
【請求項5】
前記蓋体の裏面には、前記捕集チャンバを前記容器本体の底部に押し付けるクッション部材が設けられている、請求項1乃至の何れか一項に記載の保存容器。
【請求項6】
前記蓋体の表面には、患者情報ラベルが設けられている、請求項1乃至の何れか一項に記載の保存容器。
【請求項7】
前記蓋体は、別の保存容器の容器本体に積み重ね可能に構成されており、
前記容器本体は、別の保存容器の蓋体に積み重ね可能に構成されている、請求項1乃至の何れか一項に記載の保存容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡を介して採取されたポリープなどの生体組織を捕集した捕集チャンバをホルマリン等の保存液とともに収容する保存容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生体組織回収容器としては、非特許文献1に示すように、内視鏡を介して採取された生体組織が導入される容器本体の内部を複数の捕集室に仕切り、それら各捕集室に生体組織を捕集するようにしたものがある。
【0003】
この生体組織回収容器に回収された生体組織を病理検査室・検査センター等で検査する場合には、複数の捕集室それぞれから生体組織を取り出し、1つの生体組織に対して1つの保存容器にホルマリン等の保存液とともに収容している。そして、この生体組織を収容した収容容器を病理検査室・検査センター等に持ち運び、生体組織の検査が行われる。
【0004】
しかしながら、生体組織回収容器の複数の捕集室から生体組織を1つ1つ取り出して収容容器に入れ替える必要があり、この作業が手間となってしまう。また、収容容器に入れ替える際に、生体組織の取り違い等のヒューマンエラーを招いてしまう。さらに、1つの生体組織に対して1つの収容容器を用いることから、ホルマリン等の保存液の使用量が増えてしまう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】「トラップイーズ ポリープ回収システム」、ボストン・サイエンティフィック、[令和1年9月6日検索]、インターネット<URL:https://www.bostonscientific.com/jp-JP/products/retrieval-device/TrapEasePolypTraps.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は上記の問題点を解決すべくなされたものであり、採取した生体組織をホルマリン等の保存液とともに保存容器に収容する手間を軽減するとともに、保存液の使用量を削減することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る保存容器は、内視鏡を介して採取された生体組織を複数の捕集室で捕集した捕集チャンバを保存液とともに収容する保存容器であって、上部開口を有し、前記捕集チャンバ及び前記保存液を収容する容器本体と、前記容器本体の上部開口を閉塞する蓋体とを備えることを特徴とする。
【0008】
このような保存容器であれば、内視鏡を介して採取された生体組織を複数の捕集室で捕集した捕集チャンバを保存液とともに収容するので、捕集チャンバの捕集室から一々生体組織を保存容器に入れ替える必要がない。このため、生体組織を保存容器に収容する作業を簡単にすることができ、また、その時間を短縮することができる。さらに、生体組織の取り違い等のヒューマンエラーを低減することもできる。
また、本発明の保存容器であれば、複数の生体組織を1つの保存容器に収容する構成であり、ホルマリン等の保存液の使用量を削減することができる。さらに、1つの生体組織に対して1つの保存容器を準備する必要がないので、保存容器の保管スペースを小さくすることができる。
【0009】
特に本発明では、前記容器本体又は前記蓋体は、前記捕集チャンバに形成された凹部に対応した凸部を有することが望ましい。
この構成であれば、保存容器内のデッドスペースを小さくすることができ、ホルマリン等の保存液の使用量をより一層削減することができる。また、捕集チャンバの凹部に凸部が嵌ることにより、保存容器内で捕集チャンバを固定することができる。
【0010】
前記捕集チャンバの具体的な実施の態様としては、前記捕集チャンバが、円筒状をなすチャンバ本体と、当該チャンバ本体の内部空間を周方向に沿って前記複数の捕集室に仕切る仕切り壁と、当該仕切り壁に仕切られた前記複数の捕集室の下面を形成する捕集網部とを有する構成が考えられる。
この構成において、保存容器のデッドスペースを小さくして、ホルマリン等の保存液の使用量を削減するためには、前記容器本体の底部には、前記捕集網部の下側に形成された凹部に対応した第1凸部が形成されていることが望ましい。
【0011】
前記捕集チャンバの具体的な実施の態様としては、前記捕集チャンバにおいて前記捕集網部の下側は前記仕切り壁により複数の凹部に仕切られていることが考えられる。
この構成において、保存容器のデッドスペースを小さくして、ホルマリン等の保存液の使用量を削減するためには、前記容器本体の底部には、前記捕集網部の下側に形成された複数の凹部に対応した複数の第1凸部が形成されていることが望ましい。
【0012】
また、前記捕集チャンバには、前記捕集室の外側に形成され、前記生体組織を通過する通過部をさらに有する構成のものがある。
この構成において、保存容器のデッドスペースを小さくして、ホルマリン等の保存液の使用量を削減するためには、前記容器本体の底部には、前記通過部に対応した第2凸部が形成されており、前記容器本体の底面からの高さは、前記第2凸部の方が前記第1凸部よりも高いことが望ましい。
【0013】
さらに、前記捕集チャンバは、吸引装置側のチューブが接続される吸引管部が差し通される挿入部をさらに有する構成のものがある。
この構成において、保存容器のデッドスペースを小さくして、ホルマリン等の保存液の使用量を削減するためには、前記容器本体の底部には、前記挿入部に対応した第3凸部が形成されており、前記容器本体の底面からの高さは、前記第3凸部の方が前記第1凸部よりも高いことが望ましい。
【0014】
容器本体内において捕集チャンバを固定して、捕集チャンバ内の生体組織の移動を防止するためには、前記蓋体の裏面には、前記捕集チャンバを前記容器本体の底部に押し付けるクッション部材が設けられていることが望ましい。
【0015】
生体組織を収容した収容容器の管理を容易にするためには、前記蓋体の表面には、患者情報ラベルが設けられていることが望ましい。なお、患者情報ラベルには、例えば採取日時、患者情報、採取場所などが表示される。
【0016】
例えば使用前の複数の保存容器の保管スペースを小さくするためには、前記蓋体は、別の保存容器の容器本体に積み重ね可能に構成されており、前記容器本体は、別の保存容器の蓋体に積み重ね可能に構成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
以上に述べた本発明によれば、採取した生体組織をホルマリン等の保存液とともに保存容器に収容する手間を軽減するとともに、保存液の使用量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る生体組織回収容器の構成を示す生体組織捕集時の断面図である。
図2】同実施形態に係る生体組織回収容器の分解した状態を示す断面図である。
図3】同実施形態の生体組織回収容器の正面図である。
図4】同実施形態に係る捕集チャンバの平面図、A-A線断面図及びB-B線断面図である。
図5】同実施形態の保存容器に捕集チャンバを収容した状態を示す断面図である。
図6】同実施形態の保存容器に捕集チャンバを捕集した状態を示す別の断面図である。
図7】同実施形態の保存容器に捕集チャンバを収容する前の分解した状態を示す断面図である。
図8】同実施形態の保存容器の容器本体の平面図である。
図9】同実施形態の蓋体の平面図である。
図10】同実施形態の保存容器を積み重ねた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る捕集チャンバ用の保存容器について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
<生体組織回収容器100>
本実施形態の生体組織回収容器100は、図1に示すように、内視鏡(不図示)を介して採取された例えばポリープなどの生体組織を回収するものであり、内視鏡からのチューブT1が接続されるとともに、吸引装置(不図示)からのチューブT2が接続される。そして、吸引装置からチューブT2を介して吸引することにより、内視鏡からチューブT1を介して採取された生体組織が生体組織回収容器100に吸い込まれて、当該生体組織回収容器100により回収される。
【0021】
具体的に生体組織回収容器100は、図1図3に示すように、生体組織が導入される容器本体2と、容器本体2の上部開口2Hを塞ぐ蓋体3と、容器本体2に収容されて容器本体2に導入された生体組織を捕集する捕集チャンバ4と、容器本体2の内部において捕集チャンバ4の下側に設けられて捕集チャンバ4を誤って通過した生体組織を捕集する下側捕集体5とを備えている。
【0022】
以下、各部2~5について詳述する。
容器本体2は、上部に開口2Hを有する有底の円筒形状をなすものである。この容器本体2は、内部が視認可能なように透光性を有する例えば樹脂等の材料から形成されている。
【0023】
蓋体3は、容器本体2に対応した円筒状をなす樹脂製のキャップであり、内視鏡からのチューブT1が接続されるとともに、捕集チャンバ4の上部で開口する接続ポートP1と、吸引装置側のチューブT2が接続される接続ポートP2から容器本体2の内部において下側に延びる吸引管部31を有している。
【0024】
吸引管部31は、蓋体3の中心軸と同軸上に設けられている。つまり、蓋体31が容器本体2に装着された状態で、吸引管部31は容器本体2の中心軸と同軸上となる。また、吸引管部31の上端部は、蓋体3の上面よりも外部に延び出ており、この延び出た部分が、チューブT2が接続される接続ポートP2となる。
【0025】
また、蓋体3は、図3に示すように、容器本体2に取り付けられた状態において、容器本体2に対する接続ポートP1の位置を示す下方に延びる下向き突起部32を有している。この下向き突起部32の外面又は下向き突起部32の上部の蓋体3の外面には、接続ポートP1の位置を示す識別表示X1が設けられている。この識別表示X1は、例えば矢印等の標識又は記号である。
【0026】
その他、蓋体3の外側周面には、容器本体2から蓋体3の取り外しを容易にするために、側方に延びる複数の横向き突起部33が周方向に沿って間欠的に設けられている。
【0027】
捕集チャンバ4は、特に図4に示すように、容器本体2に着脱可能に収容されるものであり、仕切り壁42によって上部が開口する複数の捕集室4Sに仕切られるとともに、複数の捕集室4Sの下面にはそれぞれ生体組織を捕集する捕集網部43が設けられている。なお、捕集網部43は、所望のサイズの生体組織を捕集できるものであれば良い。また、捕集チャンバ4は、上記の捕集室4Sとは別に、生体組織を捕集しない通過部4Tをさらに有している。この捕集チャンバ4は、内部が視認可能なように透光性を有する例えば樹脂等の材料から形成されている。
【0028】
具体的に捕集チャンバ4において、捕集室4S及び通過部4Tは、捕集チャンバ4の中心軸周りに配置されており、円筒状をなすチャンバ本体41と、当該チャンバ本体41の内部空間を周方向に沿って複数(ここでは4つ)の捕集室4Sに仕切る仕切り壁42と、当該仕切り壁42に仕切られた4つの捕集室4Sの下面を形成する捕集網部43とを有している。なお、仕切り壁42により仕切られた空間において下面に捕集網部43が設けられていない部分が通過部4Tとなる。また、捕集チャンバ4の中央部には、蓋体3の吸引管部31が差し通される挿入部44が設けられている。これにより、吸引管部31は、容器本体2の内部において捕集網部43よりも下側に延びることになる(図1参照)。
【0029】
また、この捕集チャンバ4において、中心軸に対して互いに対向する2箇所に通過部4Tが形成されるとともに、2つの通過部4Tの間にそれぞれ2つの捕集室4Sが連続して形成されており、2つの通過部4Tを介して捕集チャンバ4を指で摘むことができるように構成されている。
【0030】
そして、本実施形態の捕集チャンバ4には、図3に示すように、各捕集室4Sを示す識別表示X2が設けられている。具体的にこの識別表示X2は、捕集チャンバ4の外側周面において各捕集網部43の下側に設けられている。ここでは、4つの捕集室4Sを有することから、「1」、「2」、「3」、「4」といった捕集室4Sの番号を示す識別表示X2が設けられている。なお、識別表示X2は、各捕集室を区別できるものであれば、その他の標識又は記号であっても良い。
【0031】
また、本実施形態の捕集チャンバ4には、図3に示すように、各通過部4Tを示す識別表示X3が設けられている。この識別表示X3は、例えば横線「-」等の標識又は記号である。この識別表示X3も識別表示X2と同様に、捕集チャンバ4の外側周面において各捕集網部43よりも下側に設けられている。
【0032】
下側捕集体5は、誤って生体組織を吸引機に通過させないためのものである。この下側捕集体5は、容器本体2に着脱可能に収容されるものであり、平面視円形状をなす捕集網部51を有している。また、下側捕集体5は、内部が視認可能なように透光性を有する例えば樹脂等の材料から形成されている。なお、下側捕集体5の中央部には、蓋体3の吸引管部31が差し通される挿入部52が設けられている。これにより、吸引管部31は、容器本体2の内部において下側捕集体5よりも下側に延びることになる。また、挿入部52の上部には、指で摘むことができる摘み部53が設けられている。
【0033】
上記のように構成した生体組織回収容器100において、蓋体3を容器本体2に対して回転させることにより、生体組織の捕集に使用する捕集室4Sを切り替えることができる(図1参照)。ここで、蓋体3の下向き突起部32及びその識別表示X1を見つつ、かつ、捕集チャンバ4の捕集室4Sの識別表示X2を見ながら、それらの位置を合わせることにより、所望の捕集室4Sの上部に蓋体3の接続ポートP1を位置させることができる。このとき、蓋体3に設けた横向き突起部33及び容器本体2に設けた突起部21により容器本体2に対する蓋体3の回転が容易となる。ここで、蓋体3を回転させた際に、クリック感を出すために、蓋体3の下面に、仕切り壁42に係合する凸部34を設けている(図2参照)。蓋体3を回転させると、凸部34が仕切り壁42の上辺部を乗り越えることによって、クリック感が出て、捕集室4S又は通過部4Tを切り替えたことが分かりやすくなる。
【0034】
生体組織を回収した後は、蓋体3を取り外す。このとき、蓋体3に設けた横向き突起部33により蓋体3の取り外しが容易となる。そして、容器本体2から捕集チャンバ4(必要に応じて下側捕集体5)を取り出して、保存容器200に収容する。
【0035】
<保存容器200>
本実施形態の保存容器200は、内視鏡を介して採取された生体組織を複数の捕集室4Sで捕集した捕集チャンバ4を例えばホルマリン等の保存液PSとともに収容するものである。なお、保存容器200は、使い捨てのものであっても良いし、洗浄して使い回されるものであっても良い。
【0036】
具体的に保存容器200は、図5図7に示すように、上部開口200Hを有し、捕集チャンバ4及び保存液PSを収容する容器本体201と、容器本体201の上部開口200Hを閉塞する蓋体202とを備えている。
【0037】
容器本体201は、捕集チャンバ4全体を収容できるものであり、有底の円筒形状をなすものである。また、容器本体201は、内部が視認可能なように透光性を有する例えば樹脂等の材料から形成されている。これにより、内部に収容された捕集チャンバ4の各捕集室4Sを示す識別表示X2や生体組織が視認可能となる。
【0038】
また、蓋体202は、容器本体201に対応した円筒状をなす樹脂製のキャップである。蓋体202の裏面(下面)には、容器本体201に収容された捕集チャンバ4を容器本体201の底部に押し付けるクッション部材203が設けられている。このクッション部材203は、例えばホルマリン等の保存液PSに対して耐食性を有する材料からなり、例えば、シリコン樹脂である。このクッション部材203により、蓋体202を容器本体201に装着することによって、保存容器200内において捕集チャンバ4がガタつきにくくなる。
【0039】
そして、本実施形態の保存容器200において、容器本体201は、捕集チャンバ4に形成されたデッドスペースとなる凹部に対応した凸部204、205、206を有している。
【0040】
具体的に容器本体201の底部には、図5に示すように、捕集チャンバ4の捕集網部43の下側に形成された凹部に対応した第1凸部204が形成されている。なお、捕集網部43の下側に形成された凹部は、チャンバ本体41、仕切り壁42、捕集網部43及び挿入部44により形成される。本実施形態では、捕集チャンバ4において捕集網部43の下側は仕切り壁42により複数の凹部に仕切られていることから、容器本体201の底部には、図8に示すように、捕集網部43の下側に形成された複数の凹部に対応した複数(ここでは4つ)の第1凸部204が形成されている。
【0041】
さらに、容器本体201の底部には、図6に示すように、捕集チャンバ4の通過部4Tに対応した第2凸部205と、捕集チャンバ4の挿入部44に対応した第3凸部206が形成されている。本実施形態では、容器本体201の底部には、図8に示すように、捕集チャンバ4の凹部である2つの通過部4Tに対応した2つの第2凸部205が形成されている。また、第3凸部206は、容器本体201の中心部に位置している。ここで、容器本体201の底面からの高さは、第2凸部205の方が第1凸部204よりも高い(図7参照)。本実施形態では、第2凸部205は、チャンバ本体41の軸方向において捕集網部43よりも上側まで延びている。また、容器本体201の底面からの高さは、第3凸部206の方が第2凸部205よりも高い(図7参照)。
【0042】
また、蓋体202の表面(上面)には、図9に示す患者情報ラベル207が設けられている。この患者情報ラベル207には、例えば採取日時、患者情報、採取場所などが表示される。なお、採取場所1~4は、捕集室1~4に対応しており、生体組織を採取した場所(部位)が記入される。
【0043】
上記のように構成した保存容器200は、図10に示すように、互いに積み重ね可能に構成されている。つまり、蓋体202は、別の保存容器200の容器本体201が積み重ね可能に構成されており、容器本体201は、別の保存容器200の蓋体202上に積み重ね可能に構成されている。ここでは、蓋体202の上面に、別の保存容器200の容器本体201の下端部が嵌るように係合凹部201xが形成されている。これにより、複数の保存容器200を上下に積み重ねることができる。
【0044】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態の生体組織回収容器100によれば、内視鏡を介して採取された生体組織を複数の捕集室4Sで捕集した捕集チャンバ4を保存液PSとともに収容するので、捕集チャンバ4の捕集室4Sから一々生体組織を保存容器200に入れ替える必要がない。このため、生体組織を保存容器200に収容する作業を簡単にすることができ、また、その時間を短縮することができる。さらに、生体組織の取り違い等のヒューマンエラーを低減することもできる。
【0045】
また、本実施形態の保存容器200であれば、複数の生体組織を1つの保存容器200に収容する構成であり、ホルマリン等の保存液PSの使用量を削減することができる。さらに、1つの生体組織に対して1つの保存容器200を準備する必要がないので、保存容器200の保管スペースを小さくすることができる。
【0046】
特に本実施形態では、容器本体201は、捕集チャンバ4に形成された凹部に対応した凸部204、205、206を有するので、保存容器200内のデッドスペースを小さくすることができ、ホルマリン等の保存液PSの使用量をより一層削減することができる。また、捕集チャンバ4の凹部に凸部204、205、206が嵌ることにより、保存容器200内で捕集チャンバ4を固定することができる。
【0047】
本実施形態では、通過部4Tに対応した第2凸部205が第1凸部204よりも高いので、保存容器200のデッドスペースをより一層小さくして、ホルマリン等の保存液PSの使用量をより一層削減することができる。また、第3凸部206の方が第2凸部205よりも高いので、保存容器200のデッドスペースをより一層小さくして、ホルマリン等の保存液PSの使用量をより一層削減することができる。
【0048】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0049】
例えば、前記実施形態では通過部4Tを有する構成であったが、通過部4Tを有さない構成であっても良い。
【0050】
さらに、前記実施形態では捕集チャンバ4の下側に下側捕集体5を設けていたが、下側捕集体5を有さない構成であっても良い。さらに、下側捕集体5は容器本体2の着脱不能に構成されたものであっても良い。
【0051】
前記実施形態では、捕集チャンバ4の凹部に対応した凸部が容器本体に設けられていたが、蓋体202に捕集チャンバ4の凹部に対応した凸部を設けても良い。
【0052】
捕集チャンバの構成は、前記実施形態に限られず、複数の捕集室を有するものあって、生体組織回収容器の容器本体2に着脱可能なものであれば良い。
【0053】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0054】
200 ・・・保存容器
201 ・・・容器本体
201H・・・上部開口
202 ・・・蓋体
203 ・・・クッション部材
204 ・・・第1凸部
205 ・・・第2凸部
206 ・・・第3凸部
207 ・・・患者情報ラベル
4 ・・・捕集チャンバ
41 ・・・チャンバ本体
42 ・・・仕切り壁
4S ・・・捕集室
42 ・・・捕集網部
4T ・・・通過部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10