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特許7461042シール構造体及びシール構造体の接着良否判定方法
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  • 特許-シール構造体及びシール構造体の接着良否判定方法 図1
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  • 特許-シール構造体及びシール構造体の接着良否判定方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】シール構造体及びシール構造体の接着良否判定方法
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/10 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
F16J15/10 N
F16J15/10 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020151764
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2022045974
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000143307
【氏名又は名称】株式会社荒井製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100183357
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義美
(72)【発明者】
【氏名】望月 恒夫
(72)【発明者】
【氏名】橋本 修司
(72)【発明者】
【氏名】林 新一郎
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-97146(JP,A)
【文献】特開2014-82034(JP,A)
【文献】特開2004-76877(JP,A)
【文献】特開2006-170358(JP,A)
【文献】特開2008-45643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を備えたベース材と、前記凹部に一体に設けられるとともに、前記凹部から外方に向けて突出するシールリップを備えたシール材と、で構成され、前記シールリップによって密封内側と外側とを区分けするシール構造体であって、
前記ベース材の凹部は、第一の凹部と、前記第一の凹部から前記密封内側方向に向けて連続して分岐されると共に、前記第一の凹部よりも浅く凹設された第二の凹部と、を備え、
前記シール材は、
前記ベース材の第一の凹部に接着して備えられるシールリップと、
前記ベース材の第二の凹部に接着して備えられ、前記シールリップと連続して一体に設けられる試片部と、で構成され、
前記試片部には、前記第二の凹部の底面と接する面部と相対向する反対側の面部から突出して一体成形された摘み部が備えられていることを特徴とするシール構造体。
【請求項2】
前記シールリップと前記試片部との間に薄肉部を設けるとともに、
前記摘み部は前記試片部に向かい径が太くなるように形成にされていることを特徴とする請求項1に記載のシール構造体。
【請求項3】
請求項1に記載の前記摘み部を引っ張り、前記摘み部が前記試片部から千切れるか否かかにより、前記ベース材と前記シール材の接着良否を判定することを特徴とするシール構造体の接着良否判定方法。
【請求項4】
請求項2に記載の前記摘み部を引っ張り、前記試片部が前記ベース材から剥離するか否かにより、前記ベース材と前記シール材の接着良否を判定することを特徴とするシール構造体の接着良否判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車エンジンの部品で用いられ、流体の密封性を備えるシール構造体及びシール構造体の接着良否判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車エンジン部品で液体や気体のシール構造体として、ゴム状弾性部材のOリングが用いられることが良く知られ、種々のOリングの事例が開示されている(特許文献1、第1図参照)。このようなOリングが良く用いられる参考例として、例えば、図4(a)、(b)に示すような、金属製のベース材8の内周に設けられた凹状の開口幅x、深さyからなる凹部にOリング9が挿入・装着され、このOリング9を相手部材から押圧されて密着することによりシール機能を有し、密封内側から密封外側への流入を遮断するシール構造体がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭58年38072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このようなOリングを振動の激しい自動車用製品のシール構造体として用いた場合、Oリングの断面視が円形状であることからシールリップの捩じれが発生して強度が低下し、シール機能が維持されないおそれがある。そこで、出願人は、相手部材とシールリップが安定して接触密封するように、シールリップの突出側を断面視凸部形状に形成すると共に、シールリップの着座面がベース材の凹部形状とが強固に接着するようにベース材に接着剤を塗布してシール材を加硫成形で行うシール構造体の改良を行っている。
ただ、このようなシール構造体においても、接着剤の塗布不足や加硫不足等の処理工程の問題を起因とするベース材とシール材との接着不良を生ずる場合がある。このような接着不良が発生すると、接着部分を簡単に目視点検することができず不良品が出荷されてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決する目的のためになされており、シール材にシールリップと一体に試片部を設けることにより、ベース材とシール材の接着状態の良否を簡単かつ正確に判定をすることができるシール構造体及びシール構造体の接着良否判定方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、第一の発明は、凹部を備えたベース材と、前記凹部に一体に設けられるとともに、前記凹部から外方に向けて突出するシールリップを備えたシール材と、で構成され、前記シールリップによって密封内側と外側とを区分けするシール構造体であって、前記ベース材の凹部は、第一の凹部と、前記第一の凹部から前記密封内側方向に向けて連続して分岐されると共に、前記第一の凹部よりも浅く凹設された第二の凹部と、を備え、前記シール材は、前記ベース材の第一の凹部に接着して備えられるシールリップと、前記ベース材の第二の凹部に接着して備えられ、前記シールリップと連続して一体に設けられる試片部と、で構成され、前記試片部には、前記第二の凹部の底面と接する面部と相対向する反対側の面部から突出して一体成形された摘み部が備えられていることを特徴とする。
第二の発明は、第一の発明において、前記シールリップと前記試片部との間に薄肉部を設けるとともに、前記摘み部は前記試片部に向かい径が太くなるように形成にされていることを特徴とする。
第三の発明は、第一の発明に記載の前記摘み部を引っ張り、前記摘み部が前記試片部から千切れるか否かかにより、前記ベース材と前記シール材の接着良否を判定することを特徴とするシール構造体の接着良否判定方法である。
第四の発明は、第二の発明に記載の前記摘み部を引っ張り、前記試片部が前記ベース材から剥離するか否かにより、前記ベース材と前記シール材の接着良否を判定することを特徴とするシール構造体の接着良否判定方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シール材にシールリップと一体に試片部を設けることにより、ベース材とシール材の接着状態の良否を簡単かつ正確に判定することができるシール構造体及びシール構造体の接着良否判定方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)は、本発明の一実施形態に係るシール構造体の構成を一部拡大して示す略断面図で、(b)は、(a)のシール構造体の一部分を示す概略平面図である。
図2】本発明に係るシール構造体の概略断面図である。
図3】本発明に係る他の実施形態のシール構造体の概略断面図である。
図4】(a)は、従来技術に係るシール構造体の概略断面図で、(b)は、(a)のシール構造体の一部分を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願の一実施形態に係る発明は、自動車エンジンのリードバルブのガスケット等に用いられ、接着剤を塗布したベース材にシール材が加硫成形されたシール構造体に係るものである。以下に添付図面を参照して説明する。なお、本実施形態は本発明の一例にすぎず、何らこれに限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0010】
本実施形態のシール構造体1は、図1(a)、(b)に示すように、凹部20を備えたベース材2と、その凹部20に一体に設けられると共にその凹部20から外方に向けて突出するシールリップ4を備えたシール材40と、で構成され、シールリップ4によって密封内側と外側とを区分けるものである。
なお、本実施形態のシール構造体1の説明において、ベース材は金属製とし、シール材40はゴム状弾性部材(以下、単にゴム材3という。)とし、ベース材2とゴム材3の接着は、ベース材2にゴム接着剤を塗布し、ゴム材料を金型に流し込む加硫成形による製造とする。また、ゴム接着剤は、ゴム材料に適したものが用いられ、十分な接着強度を得られるものであれば、従来公知の他の接着方法を適用してもよい。また、ベース材は金属製に限定されることなく、また、シール材はゴム材に限定されることなく、例えば、それぞれが樹脂材であっても本実施形態の適用の範囲である。この場合、樹脂用接着剤が用いられる。
【0011】
本実施形態におけるシール構造体1のベース材2の凹部20は、第一の凹部21と、第一の凹部20から密封内側方向に向けて連続して分岐されると共に、第一の凹部21よりも浅く凹設された第二の凹部22と、を備えている。
具体的には、ベース材2は、図1(a)、(b)に示すように、所定の厚さdからなり、ゴム材3の凸状に形成されたシールリップ4の底面41と接着する第一の凹部21と、第一の凹部20から密封内側方向に向けて連続して分岐されシールリップ4の密封内側に位置すると共に、ゴム材3の接着良否の試片部5が接着する第二の凹部22と、が断面視で段差状に連続(一体)して形成されている。すなわち、第二の凹部22の深さd3は、第一の凹部21の深さd1よりも浅くなるように形成されている。
【0012】
また、シールリップ4の底面41を着座させ接合する第一の凹部21aの底面深さd1とシールリップ4の山状の突出高さh1とは略同等の長さである。すばわち、シールリップ4の底面41を着座させる着座面となる第一の凹部21の底面21a及び、その第一の凹部21の両側面(両壁面)21b、21cは、シールリップ4が安定するように接着面積が大きく取って、ゴム材3が当該第一の凹部21に挿入されたときは隙間なく接合状態となる。さらに、当該第一の凹部21の底面21a、両側面(両壁面)21b、21cにはゴム接着剤がむらなく塗布されているため加硫成形したときに接着状態となる。これにより、シールリップ4が相手部材(図示せず、以下同じ。)と取り付け時に押圧されたとき、シールリップ4のゴム材3の接着姿勢が歪み変形することなくシール機能を十分に発揮することができる。
なお、ゴム材3を当該第一の凹部21aに挿入し接合させるにはプレス機械によるが、手動または器具を用いて上方からゴム材3を押圧して挿入しても構わない。
【0013】
また、ベース材2は、密封内側に、後述する試片部5を着座させる第二の凹部22が第一の凹部21と一体となって、それぞれの深さd1、d3が異なる断面視段差状に形成されている。そして、図1(a)に示すように、試片部5の第二の凹部22の底面の幅W3は、シールリップ4の第一の凹部21の底面21aの幅W1と略同等の長さであるが、試片部5を着座させるベース材2の第二の凹部22の深さd3は、シールリップ4を接着させるベース材2の深さd1よりも浅く形成されている。これは、試片部5の役割がシールリップ4のようにシール機能を持たせるものではなく、後述するように、ゴム材3とベース材2の加硫成形後の接着の状態を確認(判定)する機能にあるからである。
【0014】
次に、ゴム材3は、ベース材2の第一の凹部21に接着して備えられるシールリップ4と、ベース材2の第二の凹部22に接着して備えられ、シールリップ4と連続して一体に設けられる試片部6と、で構成されている。そして、図1(a)から図3に示すように、ゴム材3は、ベース材2の第一の凹部21の底面21a、両側面(両壁面)21b、21cと接合する面の幅、深さの長さが略同一の逆対象の凸形状となっている。また、ゴム材3には、相手部材と接する側にはシールリップ4が形成され、一方、ベース材3と接する側には、シールリップ4の底面41がベース材3に着座する第一の凹部21の底面21a、両側面21b、21cに収まるように幅と長さが、略同一の肉厚に形成されている。これは、シールリップ4をベース材3に確実に固定するためである。
【0015】
また、本実施形態では、図1(a)~図3に示すように、ゴム材3には、シールリップ4は高さh1の山状の凸部と、相手部材と接し押圧・取り付けされたときにシールリップ4が変形したときのゴム材3の逃げ部の第三の凹部4a、4bが形成されている。具体的には、第三の凹部4a、4bは、シールリップ4の山状の麓にあたる凸状両端の幅W2の円弧状に形成されている。このように、ベース材2の表面(相手部材側の面、図上では上側面)より低い位置に、変形時のゴム材3の逃げ部となる第三の凹部4a、4bが設けられていることにより、相手部材からのゴム材3への強い押圧により第三の凹部4a、4bが埋まることで、劣化起因となるような変形歪み状態を避けることができ、シール機能が維持される。
【0016】
また、図1(a)~図3に示すように、ゴム材3は、シールリップ4と一体となって延長し連続する試片部5が平板状に形成されている(厚さはd3と同じ長さ)。この試片部5は、シールリップ4の密封内側(図面では右側)に位置している。このように、シールリップ4の密封内側に形成されることにより、シールリップ4のレイアウトに影響を及ぼさないことができる。
【0017】
この試片部5が着座し接着する第二の凹部22の底面の幅W3は、シールリップ4の第一の凹部21の底面の幅W1と略同等の横長さとし、試片部5のベース材2と接着される厚み(図上での符号d3と同じ)は、シールリップ4の底面41を着座させるベース材2の底面までの深さ(図上での符号d1と同じ)よりも浅くしている。これは、試片部5の役割がゴム材3とベース材2の接着の状態を確認する機能にあるからである。
【0018】
試片部5の底面42を着座させる着座面となる第二の凹部22の底面22a及び、その第二の凹部22の片側面(片壁面)22bは平坦な面となっており、試片部5が第二の凹部22に挿入されたときは隙間なく接合状態となる。さらに、第二の凹部22の底面22a、片側面(片壁面)22bにはゴム接着剤がむらなく塗布されていて、加硫成形したときに接着状態となる。
なお、シール構造体1に設けられる試片部5の数は、図1(b)の平面図においては、矩形のベース材2の一辺毎に1個が示されていいて計4個となるが、ゴム材3とベース材2の加硫成形後の接着の状態を確認する状況によっては、この数よりも少なくても或いは多くても構わない。
【0019】
さらに、試片部5には、図1(a)に示すように、第二の凹部22の底面22aと接する試片部5の面部42と相対向する反対側の試片部5の面部43から突出して一体成形された摘み部6が備えられている。具体的には、試片部5と摘み部6とで逆T字状に形成され、円柱状に突出する摘み部6が設けられている(図1(a)(b)参照。)。なお、この摘み部6の長さh2及び太さ(径)W4は任意であって本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0020】
[シール構造体1の接着良否判定方法1]
本発明のシール構造体1の接着良否判定方法1は、図2に示すように、検品時に摘み部6を引っ張ることで加硫成形後のシールリップ4とゴム材3との接着状態の確認を行うもので、摘み部6を引っ張り、摘み部6が試片部5から千切れるか否かかにより、ベース材2とゴム材3の接着良否を判定するものである。
すなわち、シールリップ4と試片部5とが一体となったゴム材3は、ベース材2に同じ加硫条件で同時に加硫成形され接着されるため、試片部5の接着良否を判定することで、シールリップ4の接着良否までも判定することができる。このようなシール構造体1の良否判定方法は、シールリップ4が剥離するなどの影響を与えることなく摘み部6が試片部5から千切れるだけで終えることができる。
【0021】
このシール構造体1の接着確認の良否判定方法は次のとおりである。
(1)摘み部6を機械的或いは手動にて摘み持ち、試片部5の剥離方向(図面では矢印X方向)に強く引っ張って接着状態の確認を行う。
(2)ここで、ゴム材3がベース材2に確実に接着されていると、試片部5がベース材2から剥離することなく、摘み部6が試片部5から千切れる状態になる(図2の一点鎖線で囲った一部拡大図参照)。すなわち、ゴム材3がベース材2に確実に接着されている状態では、試片部5がベース材2から剥離するより先に摘み部6が試片部5から千切れるようにしてある。
(3)摘み部6が試片部5から千切れた場合、ゴム材3がベース材2の接着状態は「良」と判定し、そのシール構造体1製品は出荷可能とする。千切れた試片部5に、例えば、摘み部6の径W4で深さaの円弧状の剥離痕跡(凹み)6aが目印で残されることで、「良」と判定されたことが一目瞭然となり出荷時の品質チェック効率化につながる。
また、剥離痕跡6aが目視で分かり簡単であるため、抜き取り検査方法よりも、全製品のチェックが実施することができ確実な検品が可能となる。
(4)これに対し、摘み部6が試片部5から千切れず、摘み部6と一体となる試片部5がベース材2から剥離してしまった場合は、ゴム材3とベース材2の接着状態は「不良」と判定し、そのようなシール構造体1製品は出荷不可とする。
【0022】
[他の実施形態]
ゴム材3の試片部5と摘み部6の形状を一部変えたことによる他の実施形態について説明する。なお、ここでは、ベース材2及びゴム材3のシールリップ4の形状は先の実施形態と変わりがないため、相違する試片部5と摘み部6の構造を中心に説明を行う。
ここでの実施形態では、機械等で摘み部6を強く引っ張り、ベース材2から強制的に試片部5を剥離させて接着状態の確認を行うものである。
【0023】
ベース材2から強制的に試片部5を剥離させる構造として、図3に示すように、ゴム材3には、シールリップ4と試片部5の間に薄肉部7を設けている。薄肉部7は、特に、一点鎖線の一部拡大図に示すように、試片部5のベース材2の着座面から反対方向に長さc1で、その幅c2からなる三角形状の切込みを、シールリップ4の逃げ部である第三の凹部4bの方向に入れることで千切れやすくしている。
その結果、摘み部6を強く引っ張っても、試片部5がベース材2から剥離する際にシールリップ4とベース材2との接着が剥離するなどの影響を及ぼさないことができる。すなわち、このような薄肉部7をゴム材3に設けることにより、容易に試片部5が薄肉部7の位置で千切れて、シールリップ4がベース材2から一緒に剥離してしまうようなことはない。
【0024】
また、先の実施形態では、摘み部6を同一径の円柱状としていたが、この実施形態では、摘み部6を試片部5側に向かって径を徐々に太くして略錐体状に形成している。具体的には、一点鎖線の一部拡大図に示すように、試片部5から摘み部6が千切れない構造とするための補強的観点から、摘み部6の部分に裾広がりの傾斜(テーパー)6bを設けている。すなわち、摘み部6を試片部5(図上では、符号h3から下側へ)に向かい径が太くなる傾斜6bを設け肉厚となるように形成している。
【0025】
[シール構造体1の接着良否判定方法2]
この実施形態のシール構造体1の接着良否判定方法2は、特に図に示していないが、検品時に摘み部6を引っ張り、試片部5がベース材2から剥離するか否かにより、ベース材2とゴム材3の接着良否を判定するものである。先の実施形態とは違い、この実施形態では試片部5が剥離すれば「良」と判定する点で判定方法が相違する。
【0026】
このようなシール構造体1の接着確認の良否判定方法は次のとおりである。
(1)摘み部6を機械で強く引っ張って、試片部5が強制的にベース材2から(薄肉部7で千切れ)剥離させ接着状態の確認を行う。
(2)試片部5の剥離に至る引っ張り力を測定する。
(3)引っ張り力が所定(或いは一定)の値未満であった場合には「不良」と判定し、そのシール構造体1製品は出荷不可とする。また、所定(或いは一定)の値以上であった場合は「良」と判定し、そのようなシール構造体1の製品は出荷可能とする。
【0027】
本発明のシール構造体及びシール構造体の接着良否判定方法は、図1に説明したように、自動車等のガスケットやパッキンのほか、空気調和装置分野などにも適用できるなど、工業全般に幅広く適用し得るものである。
【符号の説明】
【0028】
1 シール構造体
2 ベース材
21 第一の凹部
22 第二の凹部
3 シール材(ゴム材)
4 シールリップ
5 試片部
6 摘み部
7 薄肉部
8 ベース材(従来技術)
9 Oリング
図1
図2
図3
図4