(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】多列充填包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 9/067 20120101AFI20240327BHJP
【FI】
B65B9/067
(21)【出願番号】P 2020153791
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】592242660
【氏名又は名称】株式会社東陽機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松野 真次
(72)【発明者】
【氏名】竹下 肇
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-084326(JP,A)
【文献】特開平05-085521(JP,A)
【文献】実開昭52-049068(JP,U)
【文献】国際公開第99/002408(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/067
B65B 41/18
B65B 41/00
B65B 41/12
B65B 41/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原反フィルムを長さ方向に平行に切断して、互いに平行に並ぶ複数の分断フィルムを形成するスリッタ装置と、
前記複数の分断フィルムに1つずつ割り当てられ、各々が前記分断フィルムを筒形にする互いに平行に並んだ長手状の複数のフォーマを含む製袋装置と、
前記スリッタ装置側から供給された前記複数の分断フィルムを、互いに平行に並んだ状態で前記製袋装置側へ移動させる移動装置とを備える多列充填包装機であって、
前記複数の分断フィルムは、それぞれ、前記スリッタ装置側に配される上流側分断フィルム部と、前記製袋装置側に配される下流側分断フィルム部と、前記上流側分断フィルム部と前記下流側分断フィルム部との間に配される中間分断フィルム部とを有し、
前記移動装置は、
前記複数の分断フィルムに1つずつ割り当てられ、前記上流側分断フィルム部が湾曲するように、対応する前記下流側分断フィルム部が各々に架けられ、各々が回転自在な状態で配置される複数の回転自在ローラと、
前記複数の分断フィルムに1つずつ割り当てられ、各々が対応する前記回転自在ローラと平行に並ぶように配置され、前記回転自在ローラに架けられた前記下流側分断フィルム部が、前記製袋装置側へ繰り出されるように更に各々に架けられ、各々が前記分断フィルムの繰り出し量を調節しつつ回転駆動する複数の回転駆動ローラと、
前記複数の分断フィルムに1つずつ割り当てられ、隣り合った前記中間分断フィルム部の側縁同士が互いに重なり、かつ前記複数の分断フィルムの総横幅が、前記原反フィルムの横幅よりも小さくなるように、各々が対応する前記分断フィルムの横幅方向の位置を規制する複数のガイド部とを備える多列充填包装機。
【請求項2】
前記複数のガイド部は、それぞれ対応する前記回転自在ローラよりも前記分断フィルムの上流側に配置される請求項1に記載の多列充填包装機。
【請求項3】
前記複数のガイド部は、それぞれ対応する前記中間分断フィルム部の両側縁と対向する一対の側壁部を含む請求項2に記載の多列充填包装機。
【請求項4】
前記複数のガイド部は、それぞれ対応する前記回転自在ローラに設けられ、各々が前記回転自在ローラに架けられた前記下流側分断フィルム部の両側縁と対向する一対の側壁部からなる請求項1に記載の多列充填包装機。
【請求項5】
前記複数のガイド部は、隣り合った前記分断フィルムにおける長さ方向に沿った中心線同士の間隔が、隣り合った前記フォーマの中心線同士の間隔と同じになるように、前記複数の分断フィルムの横幅方向の位置を規制する請求項1~請求項4の何れか一項に記載の多列充填包装機。
【請求項6】
前記製袋装置と、前記移動装置との間に設置され、前記複数の回転駆動ローラからそれぞれ繰り出された前記複数の分断フィルムの長さを調整する長さ調整装置を備える請求項1~請求項5の何れか一項に記載の多列充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多列充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
多列に形成された合成樹脂製の筒形の包装袋内に、食品や医薬品等の被充填物を充填する多列充填包装機が知られている(例えば、特許文献1)。この種の多列充填包装機では、原反フィルムを長さ方向に平行に切断して複数の帯状の分断フィルムが形成される。そして、それらの分断フィルムをそれぞれフォーマで幅方向に巻き込んで筒形に形成し、重ね合わせられた部位を適宜、シールすることで、一端に開放部を有する包装袋が形成される。このようにして得られた包装袋内に被充填物が充填され、その後、開放部のシール(密封)と、長さ方向で繋がった他の包装袋との切断が行われることで、一袋毎に被充填物が充填された充填済み包装袋が得られる。
【0003】
このような多列充填包装機において、複数の分断フィルムを対応する各フォーマまで移動させる際に、原反フィルムの横幅と同じような横幅で、互いに平行に並べて配置すると、多列充填包装機全体が大型化する等の問題があった。
【0004】
そこで、例えば、互いに平行に並んだ複数の分断フィルムを移動させる際に、その長手方向(進行方向)に対して45°の角度で傾斜した傾斜部を含むガイド板を利用して、進行方向を途中で90°転換させると共に、その転換後に、隣り合った側縁同士を互いに重ね合わせて分断フィルム同士を近付けることで、平行に並んだ複数の分断フィルム全体の横幅を小さくすることが試みられていた(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-105346号公報
【文献】特開平6-179425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の多列充填包装機では、分断フィルムを90°方向転換させるために、分断フィルムがガイド板の上面側から傾斜部を経てガイド板の下面側に巻き架けられている。そのため、分断フィルムとガイド板との間の摩擦抵抗等の影響により、複数の分断フィルムをそれぞれ下流側へ安定的に繰り出すことが難しい場合があった。例えば、分断フィルムが、必要以上の大きな力で下流側へ引っ張られると、分断フィルムが長手方向に伸びてしまう虞があった。
【0007】
また、従来の多列充填包装機では、分断フィルムを方向転換させる機構が複雑な構成であるため、それに分断フィルムを取り付ける作業が煩わしく、問題となっていた。特に、分断フィルムの繰り出し量を調節する作業が難しく、問題となっていた。
【0008】
本発明の目的は、平行に並んだ複数の分断フィルムの総横幅を小さく抑えつつ、各分断フィルムの下流側への繰り出し量を調節し易い移動装置を有する多列充填包装機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る多列充填包装機は、原反フィルムを長さ方向に平行に切断して、互いに平行に並ぶ複数の分断フィルムを形成するスリッタ装置と、前記複数の分断フィルムに1つずつ割り当てられ、各々が前記分断フィルムを筒形にする互いに平行に並んだ長手状の複数のフォーマを含む製袋装置と、前記スリッタ装置側から供給された前記複数の分断フィルムを、互いに平行に並んだ状態で前記製袋装置側へ移動させる移動装置とを備える多列充填包装機であって、前記複数の分断フィルムは、それぞれ、前記スリッタ装置側に配される上流側分断フィルム部と、前記製袋装置側に配される下流側分断フィルム部と、前記上流側分断フィルム部と前記下流側分断フィルム部との間に配される中間分断フィルム部とを有し、前記移動装置は、前記複数の分断フィルムに1つずつ割り当てられ、前記上流側分断フィルム部が湾曲するように、対応する前記下流側分断フィルム部が各々に架けられ、各々が回転自在な状態で配置される複数の回転自在ローラと、前記複数の分断フィルムに1つずつ割り当てられ、各々が対応する前記回転自在ローラと平行に並ぶように配置され、前記回転自在ローラに架けられた前記下流側分断フィルム部が、前記製袋装置側へ繰り出されるように更に各々に架けられ、各々が前記分断フィルムの繰り出し量を調節しつつ回転駆動する複数の回転駆動ローラと、前記複数の分断フィルムに1つずつ割り当てられ、隣り合った前記中間分断フィルム部の側縁同士が互いに重なり、かつ前記複数の分断フィルムの総横幅が、前記原反フィルムの横幅よりも小さくなるように、各々が対応する前記分断フィルムの横幅方向の位置を規制する複数のガイド部とを備える。
【0010】
前記多列充填包装機において、前記複数のガイド部は、それぞれ対応する前記回転自在ローラよりも前記分断フィルムの上流側に配置されることが好ましい。
【0011】
前記多列充填包装機において、前記複数のガイド部は、それぞれ対応する前記中間分断フィルム部の両側縁と対向する一対の側壁部を含むことが好ましい。
【0012】
前記多列充填包装機において、前記複数のガイド部は、それぞれ対応する前記回転自在ローラに設けられ、各々が前記回転自在ローラに架けられた前記下流側分断フィルム部の両側縁と対向する一対の側壁部からなることが好ましい。
【0013】
前記多列充填包装機において、前記複数のガイド部は、隣り合った前記分断フィルムにおける長さ方向に沿った中心線同士の間隔が、隣り合った前記フォーマの中心線同士の間隔と同じになるように、前記複数の分断フィルムの横幅方向の位置を規制することが好ましい。
【0014】
前記多列充填包装機において、前記製袋装置と、前記移動装置との間に設置され、前記複数の回転駆動ローラからそれぞれ繰り出された前記複数の分断フィルムの長さを調整する長さ調整装置を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、平行に並んだ複数の分断フィルムの総横幅を小さく抑えつつ、各分断フィルムの下流側への繰り出し量を調節し易い移動装置を有する多列充填包装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態1の多列充填包装機の全体構成を模式的に表した側面図
【
図6】各分断フィルムの各中心線と、対応する各フォーマの各中心線との位置関係を模式的に表した説明図
【
図7】他の実施形態に係る移動装置が備えるガイド部付き回転自在ローラの説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係る多列充填包装機を、
図1~
図6を参照しつつ説明する。
図1は、実施形態1の多列充填包装機1の全体構成を模式的に表した側面図である。本実施形態の多列充填包装機1は、縦型であり、食品や医薬品等の被充填物が充填された筒形の包装袋を、6列に亘って連続的に製造するものである。被充填物は、粉状(粒状)であってもよいし、液状又はゲル状であってもよい。
図1は、多列充填包装機1を右側の側面から見た状態が示されている。なお、
図1の左側に、多列充填包装機1の正面側が配され、
図1の右側に、多列充填包装機1の背面側が配されている。
【0018】
多列充填包装機1は、
図1に示されるように、主として、フィルム供給部10、繰り出し装置20、スリッタ装置30、移動装置(テンションコントロール装置)40、レーザ印字装置45、長さ調整装置50、製袋装置60、充填装置70、縦シール装置81、横シール装置82、カッター装置90等を備えている。
【0019】
フィルム供給部10は、ロール状の包材ロール11から原反フィルムFを下流側へ供給する装置である。繰り出し装置20は、繰り出しローラ等の複数のローラ(不図示)を備えており、それらのロールに架けられた原反フィルムFを、繰り出しローラの駆動によって、フィルム供給部10側から下流側へ供給する装置である。なお、繰り出しローラは、サーボモータ(不図示)で駆動制御される。スリッタ装置30は、繰り出し装置20側から供給された原反フィルムFをその長さ方向に平行に切断して、6列の分断フィルムfを形成する装置である。
【0020】
移動装置(テンションコントロール装置)40は、スリッタ装置30側から供給された複数(6つ)の分断フィルムfを下流側(製袋装置60側)へ移動させる装置である。移動装置40の詳細は、後述する。レーザ印字装置45は、移動装置40側から供給された複数(6つ)の分断フィルムfに対して、それぞれ所定のレーザ印字を行う装置である。
【0021】
長さ調整装置50は、移動装置40側から供給された印字済みの各分断フィルムfの長さを調整する装置である。長さ調整装置50は、各分断フィルムfが架けられる回転自在の複数のローラ51~54を備えている。分断フィルムfは、ローラ51から、ローラ52、ローラ53及びローラ54の順に折り返されながら架けられている。各分断フィルムfは、各ローラ51~54に架けられつつ、互いの長さ(長さ方向の位置)が揃うように調整される。
【0022】
製袋装置60は、各分断フィルムを筒形に成形する装置である。製袋装置60は、複数(6つ)の分断フィルムfに1つずつ割り当てられる複数(6つ)のフォーマ61を備えている。フォーマ61は、一方向に長く延びたパイプ状をなし、各々が上下方向(鉛直方向)に沿いつつ、互いに平行に並んだ状態で配置されている。
【0023】
充填装置70は、製袋装置60の対応するフォーマ61の上端部にそれぞれ接続する複数のシュート部71を備えている。また、充填装置70は、所定量の内容物(被充填物)をそれぞれシュート部71へ落下させる計量充填部(不図示)を備えている。
【0024】
縦シール装置81は、筒形に成形された分断フィルムfの長さ方向の合わせ目をシール(熱圧着)して筒状フィルムf1を形成する装置である。
【0025】
横シール装置82は、筒状フィルムf1を幅方向(横幅方向)にシールして、シールされた領域の上流側に一方向に開放したスティック型の開放状包装袋や、被充填物を含む密封された包装袋を形成する装置である。横シール装置82は、上流側横シール装置82Aと、下流側横シール装置82Bとを備えている。上流側横シール装置82Aは、一対のローラを備えており、それらの間で、筒状フィルムf1が幅方向にシール(熱圧着)されることで、下端がシールされかつ上端が開放されたスティック型の開放状包装袋が形成される。このように上流側横シール装置82Aでシールされた後、開放状包装袋には、所定量の被充填物が充填される。なお、下流側横シール装置82Bの下流側には、図示されない引張手段が設けられており、その引張手段によって開放状包装袋が形成された筒状フィルムf1が、製品長さ(1つの包装袋の長さ)分だけ下流側へ引っ張られる。
【0026】
その後、被充填物が充填された開放状包装袋の上端が、上流側横シール装置82Aによってシールされる。このようシールされることで、被充填物を含む密封された包装袋が得られると共に、その包装袋の上流側に、次に充填される開放状包装袋が繋がった状態で形成される。なお、本実施形態の場合、包装袋の下端は、一対のローラを備えた下流側横シール装置82Bにより、再度、シールされる。このように、横シール装置82(上流側横シール装置82A、下流側横シール装置82B)を利用して、被充填物が充填された包装袋のシールを連続的に行うことができる。
【0027】
カッター装置90は、長さ方向に繋がった内容物(被充填物)入りの包装袋同士の境界部分を切断して、包装袋を1つずつに切り分ける装置である。
【0028】
図2は、背面側から見た移動装置40の斜視図であり、
図3は、移動装置40の構成を模式的に表した背面図であり、
図4は、移動装置40の構成を模式的に表した側面図である。移動装置40は、スリッタ装置30側から供給された6つの分断フィルムfを、互いに平行に並んだ状態で製袋装置60側へ移動させる装置である。ここでは、6つの分断フィルムfを、それぞれ分断フィルムf1、分断フィルムf2、分断フィルムf3、分断フィルムf4、分断フィルムf5及び分断フィルムf6と表す場合がある。
【0029】
また、各分断フィルムfは、スリッタ装置30側(上流側)に配される上流側分断フィルム部faと、製袋装置60側に配される下流側分断フィルム部fbと、上流側分断フィルム部faと下流側分断フィルム部fbとの間に配される中間分断フィルム部fcとを含んでいる。
【0030】
移動装置40は、主として、6つ(複数)の回転自在ローラ41と、6つ(複数)の回転駆動ローラ42と、6つ(複数)のガイド部43とを備えている。
【0031】
複数の回転自在ローラ41は、それぞれ対応する複数の分断フィルムf(f1~f6)に1つずつ割り当てられている。複数の回転自在ローラ41は、多列充填包装機1の左側面側(
図2,3の右側)から右側面側(
図2,3の左側)に向かって、上下方向における高さ位置が徐々に低くなるように設定されている。本実施形態の場合、最も左側面側(
図2,3の右側)に配置される回転自在ローラ41は、最も高さ位置が高く、そのような回転自在ローラ41に分断フィルムf1が架けられる。また、最も右側面側(
図2,3の左側)に配置される回転自在ローラ41は、最も高さ位置が低く、そのような回転自在ローラ41に分断フィルムf6が架けられる。
【0032】
回転自在ローラ41は、上下方向に沿って配される基台46から、側方に延びた板状の支持部44に対して回転自在な状態で取り付けられている。回転自在ローラ41の軸41aは、多列充填包装機1の前後方向に沿いつつ水平に配置されている。複数の回転自在ローラ41には、上流側分断フィルム部fbが湾曲するように、対応する下流側分断フィルム部fbが架けられる。回転自在ローラ41に架けられた下流側分断フィルム部fbに接続する中間分断フィルム部fcは、概ね鉛直方向に沿いつつ垂れ下がった状態となっている。そして、その垂れ下がった中間分断フィルム部fcには、上流側分断フィルム部faが下側に膨らむように湾曲した状態で接続されている。なお、上流側分断フィルム部faの上流側の端部は、スリッタ装置30によって把持されている。
【0033】
分断フィルムf1が架けられる回転自在ローラ41は、基台46からの距離が最も長く設定され、分断フィルムf6が架けられる回転自在ローラ41は、基台46からの距離が最も短くなるように設定されている。
【0034】
複数の回転駆動ローラ(テンションコントロールローラ)42は、それぞれ対応する複数の分断フィルムf(f1~f6)に1つずつ割り当てられている。回転駆動ローラ42は、上下方向に沿って配される基台46と、回転自在ローラ41との間に配置されている。回転駆動ローラ42は、対応する回転自在ローラ41と平行に並ぶように配置されている。回転駆動ローラ42には、回転自在ローラ41に架けられた下流側分断フィルム部fbが、製袋装置60側へテンション(張力)が調節された状態で繰り出されるように架けられている。本実施形態の場合、回転自在ローラ41に架けられた下流側分断フィルム部fbは、下流側に向かって、ぴんと張った状態で繰り出される。
【0035】
なお、下流側分断フィルム部fbが回転自在ローラ41に架けられる際、下流側分断フィルム部fbの第1面fxが、回転自在ローラ41に接触する。そして、下流側分断フィルム部fbが、回転駆動ローラ42に架けられる際、第1面fxの反対側にある下流側分断フィルム部fbの第2面fyが、回転駆動ローラ42に接触する。
【0036】
各回転駆動ローラ42は、それぞれサーボモータ等を備えており、図示されない制御部からの指示を受けて、各分断フィルムf(f1~f6)の繰り出し量を調節するように回転駆動する。
【0037】
複数のガイド部43は、それぞれ対応する複数の分断フィルムf(f1~f6)に1つずつ割り当てられている。各ガイド部43は、隣り合った中間分断フィルム部fcの側縁同士が互いに重なり、かつ複数の分断フィルムf(f1~f6)の総横幅Wが、原反フィルムFの横幅よりも小さくなるように、各々が対応する分断フィルムf(f1~f6)の横幅方向の位置を規制する。
【0038】
各ガイド部43は、それぞれ対応する回転自在ローラ41よりも分断フィルムfの上流側に配置されている。
図5は、ガイド部43の拡大図である。
図5には、ガイド部43を、分断フィルムfの上流側から下流側に向かって見た状態が示されている。ガイド部43は、全体的には、断面C字状をなしている。ガイド部43は、支持部44に片持ち状に支えられている。このようなガイド部43は、分断フィルムfの横幅よりも長い板状の底面部43aと、底面部43aの両端に、一対の側壁部43bを備えている。一対の側壁部43bは、底面部43aから立ち上がり、分断フィルムfの中間分断フィルム部fcの両側縁とそれぞれ対向する。側壁部43bの先端には、分断フィルムf(中間分断フィルム部fc)の両側縁と、厚み方向で対向する庇部43cが設けられている。
【0039】
スリッタ装置30側から移動装置40へ供給された複数の分断フィルムfは互いに平行に並んでおり、かつその総横幅が、原反フィルムFの横幅と略同じ状態となっている。そのような各分断フィルムfは、上流側分断フィルム部faが湾曲するように、下流側分断フィルム部fbが回転自在ローラ41と回転駆動ローラ42にそれぞれ架けられている。また、各分断フィルムfについて、上流側分断フィルム部faと下流側分断フィルム部fbの間にある中間分断フィルム部fcが、各ガイド部43によって横幅方向の位置が規制されている。その際、各ガイド部43は、隣り合った中間分断フィルム部fcの側縁同士が互いに重なり、かつ複数の分断フィルムfの総横幅Wが、原反フィルムの横幅よりも小さくなるように、各中間分断フィルム部fcの横幅方向の位置を規制する。
【0040】
各ガイド部43を通過した後の各分断フィルムfは、原反フィルムの横幅よりも小さい総横幅Wを維持した状態で、回転自在ローラ41及び回転駆動ローラ42に供給される。そして、更に、各回転駆動ローラ42から繰り出された各分断フィルムfも、総横幅Wを維持した状態で、下流側(製袋装置60側)へ移動する。
【0041】
図6は、各分断フィルムfの各中心線L1と、対応する各フォーマ61の各中心線L2との位置関係を模式的に表した説明図である。
図6には、製袋装置60の各フォーマ61に対応する分断フィルムfが供給される状態が模試的に示されている。
図6に示されるように、6つのフォーマ61は、互いに間隔を保ちつつ、上下方向に沿って平行に並ぶように設置されている。各フォーマ61は、隣り合った中心線L2同士の間隔D2がすべて同じになるように設置されている。このような各フォーマ61に対して、各分断フィルムfが、互いに平行に並んだ状態で供給される。各分断フィルムfは、各中心線L1が対応するフォーマ61の中心線L2と一致するように供給される。各分断フィルムfの隣り合った中心線L1同士の間隔D1は、すべて同じになるように設定されている。
【0042】
なお、中心線L1は、分断フィルムfの幅方向(横幅方向)における中心を通る長さ方向に沿った線である。また、中心線L2は、パイプ状のフォーマ61の中心を通る上下方向に沿った線である。
【0043】
本実施形態の移動装置40では、各ガイド部43が、隣り合った分断フィルムfにおける長さ方向に沿った中心線L1同士の間隔D1が、隣り合ったフォーマ61の中心線L2同士の間隔D2と同じになるように、各分断フィルムfの横幅方向の位置を規制するように設定されている。
【0044】
本実施形態の移動装置40では、回転自在ローラ41よりも上流側に、中間分断フィルム部fc及び上流側分断フィルム部faが配されている。各分断フィルムfの各中間分断フィルム部fcは、上述したように各ガイド部43によって、総横幅Wが原反フィルムFの横幅よりも小さくなるように、各幅方向の位置が規制されている。また、各分断フィルムfの各上流側分断フィルム部faは、自重で垂れ下がるように湾曲した状態となっているため、上流側分断フィルム部faに長さ方向の余裕があり、各回転駆動ローラ42が、仮に対応する分断フィルムfの繰り出し量を多くするように回転駆動しても、各分断フィルムfがスリッタ装置30との間で長手方向に伸びるように引っ張られることが防止される。
【0045】
以上のように、本実施形態の多列充填包装機1は、平行に並んだ複数の分断フィルムfの総横幅Wを小さく抑えつつ、各分断フィルムfの下流側への繰り出し量を調節し易い移動装置を備えている。
【0046】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0047】
(1)上記実施形態1では、縦型の多列充填包装機を例示したが、他の実施形態においては、横型の多列充填包装機であってもよい。その際、移動装置は、中間分断フィルム部fcが略水平方向に配されるように、横倒しした状態で配置される。なお、この場合も上流側分断フィルム部は、湾曲した状態に設定される。
【0048】
(2)
図7は、他の実施形態に係る移動装置40Aが備えるガイド部43A付き回転自在ローラ41Aの説明図である。他の実施形態においては、ガイド部と回転自在ローラとを一体化したガイド部43A付き回転自在ローラ41Aを用いてもよい。各ガイド部43Aは、それぞれ対応する回転自在ローラ41Aの両端部に取り付けられる一対の側壁部43Aを備えている。一対の側壁部43Aは、回転自在ローラ41Aに架けられた下流側分断フィルム部fbの両側縁と対向し、下流側分断フィルム部fbの幅方向(横幅方向)における位置を規制する。このように、ガイド部43A付き回転自在ローラ41Aを用いてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…多列充填包装機、10…フィルム供給部、11…包材ロール、20…繰り出し装置、30…スリッタ装置、40…移動装置、41…回転自在ローラ、42…回転駆動ローラ、43…ガイド部、45…レーザ印字装置、50…長さ調整装置、60…製袋装置、61…フォーマ、70…充填装置、81…縦シール装置、82…横シール装置、82A…上流側横シール装置、82B…下流側横シール装置、90…カッター装置