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特許7461058変位拡大機構、研磨装置、アクチュエータ、ディスペンサ、およびエアバルブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】変位拡大機構、研磨装置、アクチュエータ、ディスペンサ、およびエアバルブ
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/04 20060101AFI20240327BHJP
   H02N 2/12 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
H02N2/04
H02N2/12
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021167612
(22)【出願日】2021-10-12
(62)【分割の表示】P 2020550197の分割
【原出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2022009056
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】502254796
【氏名又は名称】有限会社メカノトランスフォーマ
(74)【代理人】
【識別番号】110003476
【氏名又は名称】弁理士法人瑛彩知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100140899
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 如洋
(72)【発明者】
【氏名】徐 世傑
(72)【発明者】
【氏名】矢野 健
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭雄
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/009035(WO,A1)
【文献】特開2019-103193(JP,A)
【文献】特開2018-202312(JP,A)
【文献】特開2015-177720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/04
H02N 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基盤となる基部と、
前記基部に一端部が連結され、第1長手方向に延びる圧電素子と、
前記基部から、前記第1長手方向と交差する第2長手方向に延び前記圧電素子と並んで前記基部側から前記圧電素子との間隔が作用部に向かって狭くなるように配置される支持部材と、
前記圧電素子および前記支持部材それぞれにおける他端部と接続され、前記圧電素子の伸縮に伴って、前記第1長手方向および前記第2長手方向それぞれと異なる方向である変位方向に変位する、前記作用部と、
前記第1長手方向および前記第2長手方向を含む平面視において、前記第1長手方向および前記第2長手方向それぞれと交差する第3長手方向に延び、前記圧電素子および前記支持部材のそれぞれの側面に対して並べた配置とされ、前記基部および前記作用部それぞれに連結され、少なくとも前記圧電素子と前記支持部材と前記基部により囲まれる空間内には配置されていない、前記圧電素子を圧縮する圧縮部材と、
を備える変位拡大機構。
【請求項2】
前記圧電素子における前記第1長手方向の剛性は、前記支持部材における前記第2長手方向の剛性より小さく、前記支持部材における前記変位方向の剛性は前記圧電素子における前記変位方向の剛性より小さいことを特徴とする請求項1に記載の変位拡大機構。
【請求項3】
前記支持部材はヒンジ部を有し、
前記作用部は、前記圧電素子の伸縮に伴って、前記支持部材のヒンジ部が変形することにより、前記第1長手方向および前記第2長手方向それぞれと異なる方向である変位方向に変位することを特徴とする請求項1または2に記載の変位拡大機構。
【請求項4】
前記支持部材における前記第2長手方向と直交する断面において、前記支持部材の中心を通り、かつ前記変位方向と直交する軸回りの断面二次モーメントは、前記支持部材の前記ヒンジ部によって小さくなることを特徴とする請求項3に記載の変位拡大機構。
【請求項5】
前記圧電素子における前記一端部と、前記基部と、を連結する連結部材を備え、
前記連結部材は、前記支持部材よりも熱膨張率の高い材質により形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の変位拡大機構。
【請求項6】
前記連結部材は、前記基部と一体に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の変位拡大機構。
【請求項7】
前記圧電素子における前記他端部と、前記作用部と、を連結する連結部材を備え、
前記連結部材は、前記支持部材よりも熱膨張率の高い材質により形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の変位拡大機構。
【請求項8】
前記連結部材は、前記作用部と一体に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の変位拡大機構。
【請求項9】
前記圧縮部材は、前記圧電素子に沿って前記圧電素子を前記第1長手方向に圧縮する位置で、前記基部および前記作用部と連結されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の変位拡大機構。
【請求項10】
前記圧縮部材は2つ設けられ、前記圧電素子に沿って前記圧電素子を挟む位置にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の変位拡大機構。
【請求項11】
前記圧縮部材は2つ設けられ、前記圧電素子および前記支持部材を挟む位置にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の変位拡大機構。
【請求項12】
前記圧縮部材のうちの少なくとも一方は、前記第1長手方向に延び、
前記第1長手方向に延びる前記圧縮部材には、前記第1長手方向に伸縮可能な伸縮部が形成されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の変位拡大機構。
【請求項13】
基盤となる基部と、
前記基部に一端部が連結され、第1長手方向に延びる圧電素子と、
前記基部から、前記第1長手方向と交差する第2長手方向に延び前記圧電素子と並んで前記基部側から前記圧電素子との間隔が作用部に向かって狭くなるように配置される支持部材と、
前記圧電素子および前記支持部材それぞれにおける他端部と接続され、前記圧電素子の伸縮に伴って、前記第1長手方向および前記第2長手方向それぞれと異なる方向である変位方向に変位する、前記作用部と、
前記第1長手方向および前記第2長手方向を含む平面視において、前記第1長手方向および前記第2長手方向それぞれと交差する第3長手方向に延び、前記圧電素子および前記支持部材のそれぞれの側面に対して並べた配置とされ、前記基部および前記作用部それぞれに連結され、少なくとも前記圧電素子と前記支持部材と前記基部により囲まれる空間内には配置されていない、前記圧電素子を圧縮する圧縮部材と、
前記作用部において、前記圧電素子および前記支持部材が取り付けられた面と逆側の面に設けられた研磨部と、
を備える研磨装置。
【請求項14】
基盤となる基部と、
前記基部に一端部が連結され、第1長手方向に延びる圧電素子と、
前記基部から、前記第1長手方向と交差する第2長手方向に延び前記圧電素子と並んで前記基部側から前記圧電素子との間隔が作用部に向かって狭くなるように配置される支持部材と、
前記圧電素子および前記支持部材それぞれにおける他端部と接続され、前記圧電素子の伸縮に伴って、前記第1長手方向および前記第2長手方向それぞれと異なる方向である変位方向に変位する、前記作用部と、
前記第1長手方向および前記第2長手方向を含む平面視において、前記第1長手方向および前記第2長手方向それぞれと交差する第3長手方向に延び、前記圧電素子および前記支持部材のそれぞれの側面に対して並べた配置とされ、前記基部および前記作用部それぞれに連結され、少なくとも前記圧電素子と前記支持部材と前記基部により囲まれる空間内には配置されていない、前記圧電素子を圧縮する圧縮部材と、
前記圧電素子および前記支持部材に電圧又は電流を供給して、前記圧電素子を伸縮駆動させる駆動部と、
を備えるアクチュエータ。
【請求項15】
チップ状の電子部品を処理する電子部品処理装置において電子部品の処理に用いる作用子を駆動する、請求項1に記載のアクチュエータ
【請求項16】
前記電子部品処理装置は、電子部品の特性の測定を行うための測定装置であり、前記作用子は、前記電子部品に接触されて特性を測定するための計測プローブである、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項17】
前記電子部品処理装置は、電子部品の特性の測定を行うための測定装置であり、前記作用子は、前記電子部品を吸着するための吸着ノズルであり、前記吸着ノズルに吸着された電子部品が特性を測定するための測定プローブに接触される、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項18】
前記電子部品処理装置は、電子部品をテーピングする際に電子部品をキャリアテープに挿入する挿入装置であり、前記作用子は、前記電子部品を吸着するための吸着ノズルであり、前記吸着ノズルに吸着された電子部品が前記テープに挿入される、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項19】
液体が導入され、導入された液体を吐出する液体吐出部材と、
前記液体吐出部材からの液体の吐出および遮断を行う弁と、
前記弁を駆動する、請求項15に記載のアクチュエータと、を備えるディスペンサ。
【請求項20】
圧力空気が導入される空気圧力室と、該空気圧力室から外部へ通じる空気排出口とを有するバルブ本体と、
前記空気圧力室の内部で前記空気排出口を閉鎖および開放するように動作する弁体と、
前記空気圧力室に設けられ、前記弁体を駆動する、請求項1に記載のアクチュエータと、
を備えるエアバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変位拡大機構、アクチュエータ、研磨装置、電子部品処理装置、ディスペンサ、およびエアバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、比較的低い電圧で所要の変位を発生させる素子として、圧電素子(ピエゾ素子)が存在する。圧電素子は、圧電効果を備えた物質と薄い電極とを交互に積み重ねた構造を持ち、力を電圧に変換する、または、電圧を力に変換する機能を持った素子である。
【0003】
圧電素子は、電圧の制御によって微妙に伸縮変化させることが可能であるため、インクジェットプリンタのインク射出機構やアクチュエータなどの制御機構等、種々の分野に用いられている。
【0004】
圧電素子は、電圧が印加されると伸縮するが、発生する変位が小さいため、当該伸縮する圧電素子の変位を拡大して対象物に作用させる変位拡大機構が用いられる。
【0005】
特許文献1には、2つの圧電素子を変位させることにより、変位量を効果的に拡大して出力することができる変位拡大機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開2019/009035号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の変位拡大機構では、圧電素子を2つ用いるため、それぞれの圧電素子の駆動を制御する必要があり、所望する変位を得るための駆動系の制御が難しいという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、簡単に駆動系を制御することができる変位拡大機構、研磨装置、アクチュエータ、電子部品処理装置、ディスペンサ、およびエアバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る変位拡大機構は、基盤となる基部と、基部の取付け面に一端部が連結され、第1長手方向に延びる圧電素子と、取付け面に圧電素子と並んで一端部が取付けられ、第1長手方向と交差する第2長手方向に延びる支持部材と、圧電素子および支持部材それぞれにおける他端部と接続され、圧電素子の伸縮に伴って、第1長手方向および第2長手方向それぞれと異なる方向である変位方向に変位する作用部と、基部および作用部それぞれに連結され、圧電素子を第1長手方向に圧縮する圧縮部材と、を備える。
【0010】
また、圧電素子における第1長手方向の剛性は、支持部材における第2長手方向の剛性以下であってもよい。
【0011】
また、圧電素子における一端部と、基部と、を連結する連結部材を備え、連結部材は、支持部材よりも熱膨張率の高い材質により形成されてもよい。
【0012】
また、連結部材は、基部と一体に形成されてもよい。
【0013】
また、圧電素子における他端部と、作用部と、を連結する連結部材を備え、連結部材は、支持部材よりも熱膨張率の高い材質により形成されてもよい。
【0014】
また、連結部材は、作用部と一体に形成されてもよい。
【0015】
支持部材における変位方向の剛性は、圧電素子における変位方向の剛性以下であってもよい。
【0016】
また、支持部材における第2長手方向から見た断面において、変位方向と直交し、かつ支持部材における変位方向の中心を通る中心軸回りの断面二次モーメントは、第2長手方向の位置により異なってもよい。
【0017】
また、圧電素子における第1長手方向の一端部、および支持部材における第2長手方向の一端部の少なくとも一方には、圧電素子および支持部材に対して、変位方向の変形を促すヒンジ部材が設けられてもよい。
【0018】
また、圧電素子における第1長手方向の他端部、および支持部材における第2長手方向の他端部の少なくとも一方には、圧電素子および支持部材に対して、変位方向の変形を促すヒンジ部材が設けられてもよい。
【0019】
圧縮部材は2つ設けられ、圧電素子および支持部材を挟む位置にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の変位拡大機構。
【0020】
圧縮部材は、第1長手方向および第2長手方向を含む平面視において、第1長手方向および第2長手方向それぞれと交差する第3長手方向に延び、圧縮部材には、第3長手方向に伸縮可能な伸縮部が形成されていることを特徴とする請求項10に記載の変位拡大機構。
【0021】
圧縮部材のうちの少なくとも一方は、第1長手方向に延び、第1長手方向に延びる圧縮部材には、第1長手方向に伸縮可能な伸縮部が形成されていることを特徴とする請求項10に記載の変位拡大機構。
【0022】
また、本発明の研磨装置は、基盤となる基部と、基部の取付け面に一端部が連結され、第1長手方向に延びる圧電素子と、取付け面に圧電素子と並んで一端部が取付けられ、第1長手方向と交差する第2長手方向に延びる支持部材と、圧電素子および支持部材それぞれにおける他端部と接続され、圧電素子の伸縮に伴って、第1長手方向および第2長手方向それぞれと異なる方向である変位方向に変位する作用部と、基部および作用部それぞれに連結され、圧電素子を第1長手方向に圧縮する圧縮部材と、作用部において、圧電素子および支持部材が取り付けられた面と逆側の面に設けられた研磨部と、を備える研磨装置。
【0023】
また、本発明のアクチュエータは、基盤となる基部と、基部の取付け面に一端部が連結され、第1長手方向に延びる圧電素子と、取付け面に圧電素子と並んで一端部が取付けられ、第1長手方向と交差する第2長手方向に延びる支持部材と、圧電素子および支持部材それぞれにおける他端部と接続され、圧電素子の伸縮に伴って、第1長手方向および第2長手方向それぞれと異なる方向である変位方向に変位する作用部と、基部および作用部それぞれに連結され、圧電素子を第1長手方向に圧縮する圧縮部材と、圧電素子および支持部材に電圧又は電流を供給して、圧電素子を伸縮駆動させる駆動部と、を備える。
【0024】
また、本発明のアクチュエータは、チップ状の電子部品を処理する電子部品装置において電子部品の処理に用いる作用子を駆動してもよい。
【0025】
また、本発明のアクチュエータは、電子部品処理装置は、電子部品の特性の測定を行うための測定装置であり、作用子は、電子部品に接触されて特性を測定するための計測プローブであってもよい。
【0026】
また、本発明のアクチュエータは、電子部品処理装置が、電子部品の特性の測定を行うための測定装置であり、作用子が、電子部品を吸着するための吸着ノズルであり、吸着ノズルに吸着された電子部品が特性を測定するための測定プローブに接触されてもよい。
【0027】
また、本発明のアクチュエータは、電子部品処理装置が、電子部品をテーピングする際に電子部品をキャリアテープに挿入する挿入装置であり、作用子が、電子部品を吸着するための吸着ノズルであり、吸着ノズルに吸着された電子部品がテープに挿入されてもよい。
【0028】
また、本発明のアクチュエータは、液体が導入され、導入された液体を吐出する液体吐出部材と、液体吐出部材からの液体の吐出および遮断を行う弁と、弁を駆動する、前述のアクチュエータと、を備える。
【0029】
また、本発明のエアバルブは、圧力空気が導入される空気圧力室と、該空気圧力室から外部へ通じる空気排出口とを有するバルブ本体と、空気圧力室の内部で空気排出口を閉鎖および開放するように動作する弁体と、空気圧力室に設けられ、弁体を駆動する、前述のアクチュエータと、を備える。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る変位拡大機構では、基部に圧電素子と支持部材とが取付けられ、これらに作用部が取付けられている。このため、圧電素子が第1長手方向に変位することで、作用部を変位方向に変位させることができる。これにより、一つの圧電素子だけを用いて変位拡大機構を構成することで、圧電素子を2つ用いる場合と比較して、簡単に駆動系を制御することができる。
【0031】
また、変位拡大機構が圧縮部材を備えているので、圧電素子に対して、圧縮方向の予圧を与えることができる。これにより、引張方向の加重に対して損傷しやすい圧電素子に、引張方向の加重がかかりにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】一実施形態に係る変位拡大機構の正面図である。
図2】変位拡大機構の斜視図である。
図3】変位拡大機構における圧縮部材の正面図である。
図4】圧縮部材が装着されていない状態の変位拡大機構の正面図である。
図5図4における(a)B-B線断面図、(b)C-C線断面図である。
図6】第1変形例に係る変位拡大機構の正面図である。
図7】第1変形例に係る変位拡大機構の斜視図である。
図8】第1変形例に係る圧縮部材の正面図である。
図9】圧縮部材が装着されていない状態の第1変形例に係る変位拡大機構の側面図である。
図10】第2変形例に係る変位拡大機構の正面図である。
図11】第2変形例に係る圧縮部材の正面図である。
図12】変位拡大機構を用いたアクチュエータの一例を示す正面図である。
図13図12のアクチュエータを電子部品の処理に用いる作用子である測定プローブの駆動に用いた一例を示す正面図である。
図14】測定プローブにより電子部品の電気特性を測定している状態を示す図である。
図15図12のアクチュエータを電子部品の処理に用いる作用子である吸着ノズルの駆動に用いた他の例を示す正面図である。
図16】吸着ノズルを装着したアクチュエータを用いた電子部品の測定を行うための測定装置の例を示す図である。
図17】吸着ノズルを装着したアクチュエータを用いた電子部品をキャリアテープに装入する挿入装置の例を示す図である。
図18】一実施形態に係るエアバルブを示す断面図である。
図19】一実施形態に係る研磨装置の正面図である。
図20】一実施形態に係るディスペンサを示す部分断面正面図である。
図21図20のディスペンサの液吐出部材を塞いだ状態を示す断面図である。
図22図20のディスペンサの液吐出部材を開いた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(変位拡大機構1)
まず、本発明の一実施形態に係る変位拡大機構1について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る変位拡大機構1の正面図である。
図1に示すように、変位拡大機構1は、印加電圧に応じて伸縮する圧電素子20の変位を拡大して対象物に作用させる圧電素子20を利用した機構である。
変位拡大機構1は、基部10と、圧電素子20と、支持部材30と、作用部40と、連結部材50と、圧縮部材60と、を備えている。
【0034】
基部10は、変位拡大機構1の基盤となる部分であり、例えば後述する各種の装置に変位拡大機構1が採用される際には、基部10が装置に取付けられる。
基部10には、圧電素子20および支持部材30を取り付ける取付部11が、並んで一対形成されている。基部10は、取付部11が設けられ、変位拡大機構1が設けられる各種の装置に設置可能であれば、どの様な形状又は材質でもよい。
基部10は、具体的には、図1に示すように、矩形状とすることができる。また、材質としては、例えば、ステンレス等の一定の剛性を備えた金属を用いることができる。
【0035】
圧電素子20は、基部10の取付け面に一端部が連結されている。圧電素子20は、第1長手方向D1に延びる細長い形状に形成されている。基部10の取付け面は、取付部11に形成されている。
圧電素子20は、印加電圧に応じて伸縮する部材である。圧電素子20は、図1に示すように、片側の取付部11に、後述する連結部材50を介して連結されている。圧電素子20は、例えば、図1に示すように矩形状に形成することができる。圧電素子20を構成する主要な材料としては、圧電効果を有する物質である圧電体、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を用いることができる。
【0036】
圧電素子20は、薄い電極と、薄い圧電体を交互に積み重ねた積層構造であってよい。このような積層構造とすることで、低い電圧でも大きな変位を実現することが可能になる。なお、圧電素子20は、本例では矩形状に形成された例を示したが、特に矩形状に限定されず、圧電効果によって作用部40に効率よく変位を作用させることができる形状であれば、どのような形状でもよい。
【0037】
支持部材30は、取付け面に圧電素子20と並んで一端部が取付けられている。支持部材30は、第1長手方向D1と平面視で交差する第2長手方向D2に延びる細長い形状に形成されている。
【0038】
圧電素子20における第1長手方向D1の剛性は、支持部材30における第2長手方向D2の剛性以下となっている。すなわち、支持部材30を第2長手方向D2に引っ張り、圧電素子20を第1長手方向D1に引っ張った際には、支持部材30の方が変形しにくくなるか、同じ変形量となる。
【0039】
ここで、圧電素子20が伸縮すると、支持部材30もそれに合わせて変形する。そして、作用部40の先端が、変位方向D4に変位する。この際、圧電素子20および支持部材30も変位方向D4に沿って変形する。
そして、支持部材30における変位方向D4の剛性は、圧電素子20における変位方向D4の剛性以下となっている。また、支持部材30における第2長手方向D2から見た断面において、変位方向D4と直交し、かつ支持部材30における変位方向D4の中心を通る中心軸M回りの断面二次モーメントは、第2長手方向D2の位置により異なっている。この点について図5を用いて詳述する。
【0040】
図5(a)は、図4におけるB-B線矢視断面図、図5(b)は、図4におけるC-C線矢視断面図である。
図4および図5に示すように、支持部材30の断面形状は、第2長手方向D2の位置により、異なっている。そして、それぞれの断面形状における中心軸M回りの断面二次モーメントを比較すると、図5(a)に示す断面形状の方が、図5(b)に示す断面形状よりも断面二次モーメントが大きい。
【0041】
これは、図5(b)に示す断面形状において、局所的に切り欠かれた肉抜き部30Aが形成されていることにより、中心軸M回りの断面二次モーメントが小さくなっているからである。このように、支持部材30については、圧電素子20と比較して、断面形状の自由度を確保することができる。
【0042】
図1に示すように、作用部40は、圧電素子20および支持部材30それぞれにおける他端部と接続されている。作用部40は、圧電素子20の伸縮に伴って、第1長手方向D1および第2長手方向D2それぞれと異なる方向である変位方向D4に変位する。この際、圧電素子20が伸縮すると、支持部材30もそれに合わせて変形する。そして、作用部40の先端が、変位方向D4に変位する。
【0043】
連結部材50は、圧電素子20における一端部と、基部10の取付部11と、を連結する。連結部材50は、支持部材30よりも熱膨張率の高い材質により形成されている。
連結部材50は、基部10の取付部11と一体に形成されていてもよい。なお、連結部材50は設けられなくてもよい。この場合には、圧電素子20の一端部が、直接、取付部11に連結される。
【0044】
また、連結部材50は、圧電素子20の一端部に代えて、圧電素子20の他端部に配置されてもよい。すなわち、連結部材50は、圧電素子20における他端部と、作用部40と、を連結してもよい。この場合には、連結部材50は作用部40と一体に形成されてもよい。
【0045】
図1に示すように、圧縮部材60は、基部10および作用部40それぞれに連結され、圧電素子20を第1長手方向D1に圧縮する。
図2に示すように、圧縮部材60は2つ設けられている。2つの圧縮部材60は、圧電素子20および支持部材30を挟む位置にそれぞれ配置されている。
【0046】
図3に示すように、圧縮部材60は、平面視において、第1長手方向D1および第2長手方向D2それぞれと交差する第3長手方向D3に延びている。圧縮部材60には、第3長手方向D3に伸縮可能な伸縮部61が形成されている。
【0047】
図3に示すように、伸縮部61は、平面視で第3長手方向D3に延びるとともに、繰り返し湾曲する蛇腹状に形成されている。図示の例では、第3長手方向に3箇所湾曲している構造となっているが、この例に限られず、形状は任意に変更することができる。
伸縮部61は、圧縮部材60における第3長手方向D3の中間部に形成されている。
圧縮部材60の第3長手方向D3における両端部には、第3長手方向D3と直交する方向の寸法である幅寸法が大きく形成された固定部62が形成されている。
【0048】
図4に示すように、作用部40および基部10それぞれには、固定スリット70が形成されている。この固定スリット70に、図1に示すように、圧縮部材60を装着する。この際、圧縮部材60を引張り、少し伸ばした状態で取付ける。この内容について以下に詳述する。
【0049】
図3に示す2つの固定部62同士の第3長手方向D3の寸法L1は、図4に示す作用部40および基部10それぞれに形成された固定スリット70同士の第3長手方向D3の寸法L2よりも短くなっている。
このため、圧縮部材60を作用部40および基部10の固定スリット70に装着する際には、圧縮部材60を第3長手方向D3に引張り、少し伸ばした状態に弾性変形した状態で取付ける。これにより、圧縮部材60が固定スリット70に装着された後に、第3長手方向D3に復元変形することで、圧縮部材60からの圧縮力を作用部40および基部10に与えることができる。
【0050】
(変位拡大機構1の第1変形例)
次に、図6から図7を用いて、第1変形例に係る変位拡大機構2について説明する。図6は第1変形例に係る変位拡大機構2の正面図、図7は、第1変形例に係る変位拡大機構2の斜視図、図8は第1変形例に係る変位拡大機構2における圧縮部材60Bの正面図、図9は、第1変形例に係る変位拡大機構2における圧縮部材60Bを装着する前の側面図である。
【0051】
第1変形例に係る変位拡大機構2では、圧縮部材60Bが取り付けられる位置が、第1実施形態に係る変位拡大機構と異なっている。
すわなち、2つの圧縮部材60Bの一方は、圧電素子20に沿って第1長手方向D1に延びており、他方は支持部材30に沿って第2長手方向D2に延びている。そして、第1長手方向D1に延びる圧縮部材60Bには、第1長手方向D1に伸縮可能な伸縮部61Bが形成されている。
【0052】
圧縮部材60Bの第1長手方向D1における両端部には、第1長手方向D1と直交する方向の寸法である幅寸法が大きく形成された固定部62Bが形成されている。
図8に示す2つの固定部62B同士の第3長手方向D3の寸法L3は、図9に示す作用部40および基部10それぞれに形成された固定スリット70同士の第3長手方向D3の寸法L4よりも短くなっている。
【0053】
このため、圧縮部材60Bを作用部40および基部10の固定スリット70に装着する際には、圧縮部材60Bを第1長手方向D1に引張り、少し伸ばした状態に弾性変形した状態で取付ける。
これにより、圧縮部材60Bが固定スリット70に装着された後に、第3長手方向D3に復元変形することで、圧縮部材60Bからの圧縮力を、作用部40および基部10を介して圧電素子20に与えることができる。
【0054】
(変位拡大機構1の第2変形例)
次に、図10および図11を用いて、第2変形例に係る変位拡大機構3について説明す
る。図10は第2変形例に係る変位拡大機構3の正面図、図11は、第2変形例に係る変
位拡大機構3における圧縮部材60の正面図である。
【0055】
第2変形例に係る変位拡大機構3では、圧縮部材60の形状が、第1実施形態に係る変位拡大機構と異なっている。すなわち、本変形例に係る変位拡大機構3の圧縮部材60には、伸縮部61が形成されておらず、全体が第3長手方向D3に真っすぐ延びている。
図11に示す2つの固定部62同士の第3長手方向D3の寸法L5は、図10に示す作用部40および基部10それぞれに形成された固定スリット70同士の第3長手方向D3の寸法L2よりも短くなっている。
【0056】
このため、圧縮部材60を作用部40および基部10の固定スリット70に装着する際には、圧縮部材60を第1長手方向D1に引張り、少し伸ばした状態に弾性変形した状態で取付ける。これにより、圧縮部材60が固定スリット70に装着された後に、第3長手方向D3に復元変形することで、圧縮部材60からの圧縮力を作用部40および基部10に与えることができる。
【0057】
また、その他の変形例として、圧電素子20における第1長手方向D1の一端部、および支持部材30における第2長手方向D2の一端部の少なくとも一方に、圧電素子20および支持部材30に対して、変位方向D4の変形を促すヒンジ部材が設けられてもよい。
このようなヒンジ部材は、圧電素子20における第1長手方向D1の他端部、および支持部材30における第2長手方向D2の他端部の少なくとも一方に設けてもよい。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係る変位拡大機構1~3によれば、基部10に圧電素子20と支持部材30とが取付けられ、これらに作用部40が取付けられている。このため、圧電素子20が第1長手方向D1に変位することで、作用部40を変位方向D4に変位させることができる。これにより、一つの圧電素子20だけを用いて変位拡大機構1~3を構成することで、圧電素子20を2つ用いる場合と比較して、簡単に駆動系を制御することができる。
【0059】
また、変位拡大機構1~3が圧縮部材60,60B,60Cを備えているので、圧電素子20に対して、圧縮方向の予圧を与えることができる。これにより、引張方向の加重に対して損傷しやすい圧電素子20に、引張方向の加重がかかりにくくすることができる。
【0060】
また、圧電素子20における第1長手方向D1の剛性が、支持部材30における第2長手方向D2の剛性以下なので、圧電素子20が第1長手方向D1に伸縮した際のエネルギーが、支持部材30の変形により損失するのを抑えることができる。これにより、変位拡大機構1~3のエネルギー効率を上げることができる。
【0061】
また、圧電素子20における一端部と、基部10と、を連結する連結部材50を備え、連結部材50は、支持部材30よりも熱膨張率の高い材質により形成されている。このため、仮に支持部材30が、圧電素子20よりも大きな熱膨張を起こしたとしても、連結部材50が支持部材30よりも大きな熱膨張を起こすことで、基部10と作用部40とを連結している構造物のうち、一方側に位置する圧電素子20および連結部材50の熱膨張量の総和と、他方側に位置する支持部材30の熱膨張量と、に大きな違いがでるのを抑えることができる。これにより、熱の影響で、作用部40の変位方向D4の初期位置が大きく変化するのを抑えることができる。
また、連結部材50が、基部10と一体に形成されている場合には、部品点数を削減することができる。
【0062】
また、連結部材50が、圧電素子20における他端部と、作用部40と、を連結する位置に設けられている場合にも、前述したように、圧電素子20側の熱膨張量と、支持部材30側の熱膨張量と、に大きな違いがでるのを抑えることができる。
【0063】
また、支持部材30における変位方向D4の剛性が、圧電素子20における変位方向D4の剛性以下なので、圧電素子20の伸縮に伴って、作用部40が変位方向D4に変位する際に、支持部材30が作用部40の変位方向D4の変位を制限するのを抑えることができる。
【0064】
また、支持部材30における第2長手方向D2から見た断面において、変位方向D4と直交し、かつ支持部材30における変位方向D4の中心を通る中心軸M回りの断面二次モーメントが、第2長手方向D2の位置により異なっている。すなわち、例えば積層構造により形成される圧電素子20と異なり、支持部材30の形状については自由度を確保することができる。このため、支持部材30に局所的に変形しやすい部分を設けることが容易となり、変位拡大機構1~3全体の変位特性を、支持部材30の形状により調整することができる。
【0065】
また、圧電素子20における第1長手方向D1の一端部、および支持部材30における第2長手方向D2の一端部それぞれに、圧電素子20および支持部材30に対して、変位方向D4の変形を促すヒンジ部材が設けられている場合には、ヒンジ部材により圧電素子20および支持部材30を変位方向D4に変形しやすくすることができる。
【0066】
ヒンジ部材については、圧電素子20における第1長手方向D1の他端部、および支持部材30における第2長手方向D2の他端部それぞれに設けられている場合にも、前述と同様の効果を奏することができる。
【0067】
また、圧縮部材60が2つ設けられ、圧電素子20および支持部材30を挟む位置にそれぞれ配置されているので、1つの圧縮部材60により、圧電素子20および支持部材30を圧縮する構成と比較して、圧電素子20および支持部材30に対して、均一に圧縮力を負荷することができる。
【0068】
また、圧縮部材60に、伸縮可能な伸縮部61が形成されている場合には、圧縮部材60を基部10および作用部40に装着する際に、圧縮部材60を第3長手方向D3に伸ばしやすくすることが可能になる。これにより、圧縮部材60の組み立て性を確保することができる。
【0069】
(アクチュエータ)
次に、本発明の変位拡大機構1をアクチュエータとして用いた例について説明する。
図12は、第1変形例に係る変位拡大機構2を用いたアクチュエータ1000の一例を示す正面図である。アクチュエータ1000とは、電気指令により駆動され、所定の運動を行う制御機械である。
アクチュエータ1000は、変位拡大機構2と、駆動部80と、を備えている。駆動部80は、圧電素子20および支持部材30に電圧又は電流を供給して、圧電素子20を伸縮駆動させる。
【0070】
(アクチュエータを電子部品の処理に用いる作用子の駆動に用いた例)
図13は、図12のアクチュエータを電子部品の処理に用いる作用子の駆動に用いた例を示す正面図である。アクチュエータ1000の作用部40の先端部には、対象物として作用子である測定プローブ1101が取り付けられている。作用子は、チップ上の電子部品に接触して電子部品の特性を評価に用いられる。
【0071】
駆動部80は、圧電素子20が所定の量で変位するように、圧電素子20に電圧または電流を供給する。これにより、拡大した変位を測定プローブ1101に伝達して、測定プローブ1101を変位方向D4に変位させることができる。また、駆動部80は、圧電素子20への電圧又は電流の供給を停止する。これにより、測定プローブ1101を元の位置に復元させることができる。
【0072】
図14は、測定プローブ1101により電子部品の電気特性を測定している状態を示す図である。
図14に示すように、測定プローブ1101とともに使用される測定装置のターンテーブル1090は、回転可能に設けられ、周方向に沿って電子部品1080を収納する複数の収納溝1091を有している。そして、ターンテーブル1090を回転させつつ、駆動部80により作用子としての測定プローブ1101を高速で繰り返し変位(上下動)させることにより、複数の収納溝1091に収納された電子部品1080の電気特性等を順次測定する。
【0073】
すなわち、ターンテーブル1090を回転させて収納溝1091に収納された電子部品1080が測定プローブ1101の直上の測定位置に達した際に、測定プローブ1101を上方に変位させる。
これにより、測定プローブ1101の先端を電子部品1080の下面に設けられた電極1081に接触させ、電子部品1080の電気特性を測定し、測定後、測定プローブ1101を下方に変位させて退避させる。そして、次の電子部品1080が測定位置に到達した時点で再び同様の動作を行い、これら動作を高速で繰り返す。
【0074】
このように、アクチュエータ1000を電子部品の測定に用いることにより、作用子である測定プローブを実用的なストロークで高速に駆動させることができる。また、圧電素子20の引張りによる破損や、熱膨張およびクリープの影響を低減することができる。
以上は、作用子として測定装置の測定プローブ1101を用いた例について示したが、作用子は測定プローブに限るものではない。
【0075】
図15は、作用子として吸着ノズル1102が装着されたアクチュエータ1000を電子部品処理装置に用いた状態を示す図であり、駆動される作用子が電子部品を吸着する吸着ノズルである場合を示す。
図15に示す構造は、アクチュエータ1000の作用部40に取り付けられている作用子が吸着ノズル1102に代わっている以外は、図13に示す構造と同じである。
【0076】
吸着ノズル1102は、上下方向に延びるように作用部40に装着されている。吸着ノズル1102は、吸着機構(不図示)と接続されている。そして、吸着機構に設けられた真空ポンプ等の吸引機構により吸引することにより、吸着ノズル1102の下端の吸着口1104に電子部品を吸着する。
【0077】
アクチュエータ1000は、電子部品の測定を行うための測定装置に用いることができる。その際の測定装置の例を図16に示す。この測定装置は、アクチュエータ1000(図15参照)と、吸着ノズル1102と、吸着機構と、ターンテーブル1110と、基盤1120と、測定治具1130とを有する。
【0078】
ターンテーブル1110は、回転可能に設けられ、周方向に沿って電子部品1080を収納する複数の収納溝1111を有している。収納溝1111はターンテーブル1110を貫通するように設けられている。
電子部品1080は、電極1081が下面側になるように収納溝1111に収納される。基盤1120は、ターンテーブル1110を回転可能に支持し、その表面が電子部品1080の搬送面となっている。また、基盤1120には貫通孔1121が形成され、貫通孔1121の上方位置に作用子としての吸着ノズル1102が設けられ、貫通孔1121の下方位置に測定治具1130が設けられている。測定治具1130は架台1140に取り付けられており、測定治具1130の上面には、電子部品1080の電極1081に対応する位置に測定端子1131が設けられている。
【0079】
そして、ターンテーブル1110を回転させつつ、圧電素子20に所定の電圧または電流を供給して、作用部40を介して作用子としての吸着ノズル100を高速で繰り返し変位(上下動)させることにより、複数の収納溝1111に収納された電子部品1080を順次吸着してその電気特性等を測定する。
【0080】
すなわち、ターンテーブル1110を回転させ、収納溝1111に収納された電子部品1080を基盤1120の搬送面に沿って搬送させて、貫通孔1121に対応する位置に達した際に、電子部品1080を吸着ノズル1102に吸着させる。
そして、この状態で吸着ノズル1102を下方に変位させて電子部品1080の電極1081を測定治具1130の測定端子1131に接触させ、電子部品1080の電気特性を測定する。
【0081】
測定後、吸着ノズル1102を上方に変位させて吸着ノズル1102に吸着された電子部品1080を搬送面に戻し、吸着を解除する。そして、次の電子部品1080が貫通孔1121に対応する位置に到達した時点で再び同様の動作を行い、これら動作を高速で繰り返す。
【0082】
このとき、作用子が測定プローブ1101から吸着ノズル1102に代わっただけであるので、測定プローブ1101を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
また、吸着ノズル1102を装着したアクチュエータ1000は、電子部品をキャリアテープに装入する挿入装置に用いることもできる。その際の挿入装置の例を図17に示す。この挿入装置は、アクチュエータ1000(図15参照)と、吸着ノズル1102と、吸着機構と、ターンテーブル1150と、基盤1160と、磁石1180と、を有する。
【0083】
図17に示すように、ターンテーブル1150は、回転可能に設けられ、周方向に沿って電子部品1080を収納する複数の収納溝1151を有している。収納溝1151はターンテーブル1150を貫通するように設けられている。
基盤1160は、ターンテーブル1150を回転可能に支持し、その表面が電子部品1080の搬送面となっている。
【0084】
また、基盤1160の下方には、キャリアテープ1170が移動可能に配置されている。キャリアテープ1170には、電子部品1080が収納される複数のキャビティ1171が等間隔で設けられている。
基盤1160には貫通孔1161が形成され、貫通孔1161の上方位置に作用子としての吸着ノズル1102が設けられ、キャリアテープ1170下方の貫通孔1161に対応する位置には磁石1180が設けられている。
【0085】
そして、ターンテーブル1150を回転させ、かつキャリアテープ1170を移動させつつ、圧電素子20に電圧または電流を供給して、作用子としての吸着ノズル1102を高速で繰り返し変位(上下動)させる。
これにより、複数の収納溝1151に収納された電子部品1080をキャリアテープ1170のキャビティ1171内に順次挿入させる。すなわち、ターンテーブル1150を回転させる。
【0086】
そして、収納溝1151に収納された電子部品1080を基盤1160の搬送面に沿って搬送させて、貫通孔1161に対応する位置に達した際に、電子部品1080を吸着ノズル1102に吸着させるとともに、貫通孔1161に対応する位置にキャビティ1171を位置させる。
【0087】
そして、その状態で吸着ノズル1102を下方に変位させ、吸着ノズル1102の吸着を解除して電子部品1080をキャビティ1171内に挿入する。挿入後、吸着ノズル1102を上方に変位させて貫通孔1161および収納溝1151を経て図17の位置まで戻す。
そして、次の電子部品1080が貫通孔1161に対応する位置に到達した時点で再び同様の動作を行い、これら動作を高速で繰り返す。なお、磁石1180は、キャビティ1171内の電子部品1080に対して、電磁的な引力を負荷して電子部品1080の姿勢を安定させるためのものである。
以上のように吸着ノズル1102を挿入装置に用いた場合にも、測定プローブ1101を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0088】
(エアバルブ)
次に、上記実施形態のアクチュエータを用いたエアバルブについて説明する。図18は、一実施形態に係るエアバルブを示す断面図である。エアバルブとは、内部に供給された気体を任意に密封、排出する機械である。
図18に示すように、エアバルブ3000は、圧力空気が導入される空気圧力室3101を画成し、空気圧力室3101から外部へ通じる空気排出口3103が形成されたハウジング3102と、空気排出口3103を閉鎖および開放するように動作する弁体3200と、弁体3200を駆動するアクチュエータ3300とを有している。
アクチュエータ3300は第1実施形態に係る変位拡大機構1が、駆動部80を備えた構成となっている。
【0089】
空気圧力室3101を画成するハウジング3102には、空気供給口3104が形成されており、図示しない空気圧供給源から空気供給口3104を介して圧力空気が導入される。空気供給口3104と、変位拡大機構1の基部10は、異なる平面にそれぞれ配置されている。
空気排出口3103は、空気圧力室3101からエアバルブ3000の外側に気体が抜けるように、ハウジング3102の壁部の一箇所に設けられている。
弁体3200は、例えばゴムシートで形成することができる。
【0090】
図18の例では、空気供給口3104は圧電素子20に対応する位置、すなわち、空気供給口3104から供給された空気が当たりやすい位置に設けられている。これにより、空気供給口3104から供給される空気の流れにより、圧電素子20を冷却する効果が期待できる。また、空気供給口3104を空気排出口3103と一直線になるように配置した場合には、空気供給口3104から空気排出口3103に至る圧力損失を最小化できる。
【0091】
ハウジング3102と蓋(不図示)は、アルミダイキャストあるいはPPS等の樹脂材料を適用することができる。蓋は、ハウジング3102と平面視で同形をなし、ハウジング3102に接合されることで、ハウジング3102の内部を密閉する。
ハウジング3102と蓋(不図示)の接合は、アルミダイキャストの場合には、適宜シール材を挟んでエアタイトにネジ止めにより行うことができる。樹脂材料の場合には、超音波溶着あるいはレーザ溶着等を適用することができる。
【0092】
このように構成されるエアバルブ3000においては、アクチュエータ3300の駆動部80が、圧電素子20に電圧または電流を供給して、圧電素子20が伸縮変位することにより、作用部40から拡大された変位が出力される。これにより、弁体3200が変位方向D4に変位し、弁体3200と空気排出口3103との間にギャップが生じる。これにより、空気供給口3104から供給された圧縮空気は、アクチュエータ3300の両脇の空間を通り、形成されたギャップを通して空気排出口3103から噴出する。
【0093】
また、圧電素子20に電圧が印加されていない状態で、弁体3200により空気排出口3103が塞がれ、圧電素子20に縮み変位を発生させることにより、弁体3200が空気排出口3103から離間して、空気排出口3103が開かれて圧縮空気が空気排出口3103から噴出されるようなノーマルクローズにしてもよい。
【0094】
また、電圧を印加していないときに空気排出口3103が開いた状態となり、電圧の印加により圧電素子20に延び変位を発生させた際に、弁体3200が変位して、空気排出口3103が塞がれるノーマルオープンであってもよい。
このように、圧電素子20に延び変位を発生させ、エア漏れ等を防ぐことができる。
【0095】
(研磨装置)
次に、第1の実施形態に係る変位拡大機構1を用いた研磨装置について説明する。研磨装置は、被研磨物を自動で研磨する装置である。
図19は、本発明の第1の実施形態に係る変位拡大機構1を用いた研磨装置900の構成の一例を示す正面図である。研磨装置900は、変位拡大機構1と、作用部40の、圧電素子20に接している面とは逆側の面に設けられた研磨部800と、を備える。
【0096】
研磨装置900は、変位拡大機構1の作用部40に取り付けられ、ポリッシングツールとしての研磨部800は、その先端を被研磨物901に当接し、もしくは遊離砥粒902を介した状態で、被研磨物901に接している。
ここで例示する研磨方法は、研磨位置に液体に混ぜた遊離砥粒902を備え、圧電素子20を伸縮させることで研磨部800が被研磨物901の面上を摺動し、被研磨物901を研磨するものとしているが、研磨部800に直接ダイヤモンド砥粒等を固定したものを研磨する研磨方法も考えられる。
【0097】
研磨装置900は、作用部40に被研磨物901を取り付け、研磨部800を固定するという構成にしても、研磨部800と被研磨物901との相対的な動きには変わりはないので、同様な研磨を行うことができる。
【0098】
研磨装置900において、このような構成にすることで、圧電素子20に加わる引張力を効率よく解消することができ、圧電素子20に対して引張力が負荷されることによる破壊や接続箇所の剥離等を効率よく防止することができる研磨装置900を提供することができる。
【0099】
(ディスペンサ)
次に、上記実施形態のアクチュエータを用いたディスペンサについて説明する。ディスペンサは、液体の封入と吐出を自動で切り替える装置である。
図20は一実施形態に係るディスペンサを示す部分断面正面図、図21は、図20のディスペンサの液吐出部材を塞いだ状態を示す断面図である。図22は、図20のディスペンサの液吐出部材を開いた状態を示す断面図である。
【0100】
図20に示すように、ディスペンサ2000は、液体が導入され、導入された液体を吐出する液体吐出部材2100と、液体吐出部材2100からの液体の吐出および遮断を行う弁2200と、弁2200を駆動するアクチュエータ2300とを有する。アクチュエータ2300は、第1変形例に係る変位拡大機構2が駆動部80を備えた構成となっている。
【0101】
液体吐出部材2100は、図21に示すように、本体部2101と、本体部2101内に形成された弁2200が挿通される液室2102と、液室2102に液体を導入する液体導入部2103と、液室2102の底部に連通する液体吐出口2104と、液室2102の底部に設けられ、弁2200の先端が着座する弁座2105とを有する。
【0102】
弁2200は先端が球面のロッド状をなし、鉛直方向に延びており、液室2102は弁2200の形状に対応した円柱状をなしている。弁2200は、通常、図21に示すように、その先端が弁座2105に着座しており、液体吐出口2104は塞がれている。この状態では、液体は吐出されない。
【0103】
弁2200は、アクチュエータ2300により変位方向D4に昇降駆動されるようになっている。図21の状態から、アクチュエータ2300を駆動させて弁2200を上昇させることにより、図22に示すように液体吐出口2104が開かれて、液体吐出口2104から液体が吐出される。
【0104】
アクチュエータ2300は、図12のアクチュエータ1000と同様の構造となっている。
作用部40に、弁2200が取り付けられている。作用部40は、軽量化のため、高張力アルミニウム材で構成され、図示するように中央部が肉薄部501になるように加工されていてもよい。
【0105】
そして、駆動部80により圧電素子20に電圧を印加して伸長させることにより作用部40が上方に駆動され、それにともなって弁2200を上昇させることができる。また、圧電素子20への電圧の印加を解除することにより、弁2200を下降させることができる。また、圧電素子20に縮み変位を発生させて弁2200を上下動させてもよい。
【0106】
なお、アクチュエータ2300の基部10は、土台2400に支持されている。また、土台2400は、液体吐出部材2100も支持している。
また、圧電素子20に電圧が印加されていない状態で、図21に示すように、弁2200により液体吐出口2104が塞がれ、圧電素子20に延び変位を発生させることにより、図22に示すように、弁2200が上昇して液体吐出口2104が開かれ、液体吐出口2104から液体が吐出されるようなノーマルクローズにしてもよい。
また、電圧を印加していないときに、弁2200が液体吐出口2104を開いた状態となり、電圧の印加により圧電素子20に縮み変位を発生させた際に、弁2200が下降され、液体吐出口2104が塞がれるノーマルオープンであってもよい。
【0107】
(他の適用)
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、本発明の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0108】
例えば、本発明の一実施形態に係る変位拡大機構1は、直列又は並列に複数配置して、複合的に使用しても良い。その際に、複数の変位拡大機構1を直列に接続するような使い方、つまり、変位拡大機構1の基部10と別の変位拡大機構1の作用部40とを接続することも可能であり、それによって、変位をより大きくすることもできる。特に、スペースの制約が厳しい箇所では、このような使い方は、有効である。また、2台の変位拡大機構1を、その接続角度が90゜になるように結合する等の接続方法のバリエーションも考えられる。
【0109】
さらに、また、上記実施の形態では伸縮素子として圧電素子20を用いた場合について説明したが、伸縮する素子であれば特に限定されず、磁歪素子あるいは形状記憶合金等の伸縮機能を有する他の素子を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0110】
1 変位拡大機構
10 基部
11 取付部
20 圧電素子
30 支持部材
40 作用部
50 連結部材
70 駆動部
800 研磨部
900 研磨装置
1000 アクチュエータ
2000 ディスペンサ
3000 エアバルブ
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