(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】空気供給システム
(51)【国際特許分類】
C05F 17/979 20200101AFI20240327BHJP
C05F 17/993 20200101ALI20240327BHJP
C02F 11/02 20060101ALI20240327BHJP
B09B 3/60 20220101ALI20240327BHJP
B09B 101/70 20220101ALN20240327BHJP
【FI】
C05F17/979
C05F17/993
C02F11/02
B09B3/60
B09B101:70
(21)【出願番号】P 2021187698
(22)【出願日】2021-11-18
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】591196625
【氏名又は名称】株式会社晃伸製機
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角谷 博規
(72)【発明者】
【氏名】角谷 一範
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/170581(WO,A1)
【文献】特開2006-335630(JP,A)
【文献】特開2021-059471(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0368605(US,A1)
【文献】特開平11-157973(JP,A)
【文献】特表平08-508705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C05F
B09B
C02F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物の内部に空気を供給する駆動力を発生するモータを有するブロアと、
前記ブロアに接続し、前記有機性廃棄物に空気を供給する送気管と、
前記モータに電力を供給する電力供給部と、
前記モータの状態を、前記駆動力を発生する駆動状態と、前記駆動力を発生しない非駆動状態とに切り替えるスイッチと、
所定時間t1の前記駆動状態と、所定時間t2の前記非駆動状態とを1つのサイクルとしつつ、前記駆動状態と前記非駆動状態とを交互に切り替えながら、前記サイクルが繰り返されるように前記スイッチを作動させる切替処理を実行する制御部とを備える空気供給システムであって、
前記モータに流れる電流を検出すると共に、前記電流の検出値を出力する電流センサを備え、
前記制御部は、
前記モータに流れる電流と前記ブロアの風速との関係を表す予め定められた関係式と、前記検出値と
、前記送気管の断面積と、前記有機性廃棄物の体積とに基づいて、前記サイクル毎の平均空気供給量を算出する算出処理を実行する空気供給システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記平均空気供給量が許容範囲内か又は許容範囲外かを判定する判定処理を実行する請求項1に記載の空気供給システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記平均空気供給量が前記許容範囲外と判定されたサイクルが、予め定められた許容回数N、連続した場合に、前記平均空気供給量が前記許容範囲内となるように、前記所定時間t1又は前記所定時間t2が変更される時間変更処理を実行する請求項2に記載の空気供給システム。
【請求項4】
前記判定処理は、前記許容範囲外として、前記平均空気供給量が前記許容範囲を上回ったか又は下回ったかを判定し、
前記時間変更処理は、前記平均空気供給量が前記許容範囲を上回ったと判定されたサイクルが、前記許容回数N、連続した場合に、前記所定時間t1を短く又は前記所定時間t2を長くし、かつ前記平均空気供給量が前記許容範囲を下回ったと判定されたサイクルが、前記許容回数N、連続した場合に、前記所定時間t1を長く又は前記所定時間t2を短くする請求項3に記載の空気供給システム。
【請求項5】
前記所定時間t1は、0.5分~60分であり、前記所定時間t2は、3分~90分である請求項1~請求項4の何れか一項に記載の空気供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
畜糞や生ゴミ等の有機性廃棄物を、醗酵処理プラントで好気性微生物により醗酵分解させて、堆肥(有機肥料)を製造することが行われている。この種の醗酵処理プラントでは、有機性廃棄物の醗酵を促進させる等の目的で、攪拌装置による攪拌が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年、このような攪拌を伴った醗酵処理の前に、予め醗酵効率を高めるべく含水率をある程度、低下させるために、有機性廃棄物を堆積した状態で約一週間程度、醗酵処理を行うことが主流となっている。このように堆積した状態で事前に行う比較的、短期間での有機性廃棄物の醗酵は、その後に続く攪拌を伴った本格的な醗酵と区別するために、一次醗酵(又は事前醗酵)と称される場合がある。一次醗酵は、例えば、水分を多く含んだ状態の有機性廃棄物(例えば、生糞)を、醗酵処理プラント又はその付近に用意された一次堆積場に約一週間放置して、堆積醗酵させることにより行われる。有機性廃棄物は、醗酵に伴って発熱するため、有機性廃棄物の温度が上昇し、有機性廃棄物中の水分がある程度、蒸発する。
【0004】
なお、特許文献1には、醗酵槽に収容した堆肥材料(有機性廃棄物)に対して、空気を間欠的に供給し、かつ堆肥材料の温度に応じて、空気の供給量を制御する装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
有機性廃棄物の内部に形成される通路(風路)の形状や大きさ等は、有機性廃棄物中に含まれる水分や、羽毛等の影響を受けて変化し易い。そのため、ブロア(空気供給手段)から、送気管(パイプ)を介して供給された空気が、有機性廃棄物内の通路を通過する際に受ける抵抗(圧力損失)も変化し易い。例えば、有機性廃棄物内の通路から受ける抵抗が大きくなると、通路通過時に空気が及ぼす静圧が大きくなるため、ブロアの風速(風量)が低下してしまうことがあった。これに対して、有機性廃棄物の乾燥が進行等して、有機性廃棄物内の通路から受ける抵抗が小さくなると、通路通過時に空気が及ぼす静圧が小さくなるため、ブロア4aの風速(風量)が上昇することになる。
【0007】
このように、ブロアを利用して有機性廃棄物の内部に、所望の割合で空気を供給しようとしても、ブロアの風速は、有機性廃棄物の状態等に応じて、適宜、変化してしまうため、有機性廃棄物内に供給する空気量を、適切に把握しつつ管理することが行われていないのが実情であった。
【0008】
本発明の目的は、有機性廃棄物内に供給される空気量を適切に把握可能な空気供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 有機性廃棄物の内部に空気を供給する駆動力を発生するモータを有するブロアと、前記モータに電力を供給する電力供給部と、前記モータの状態を、前記駆動力を発生する駆動状態と、前記駆動力を発生しない非駆動状態とに切り替えるスイッチと、所定時間t1の前記駆動状態と、所定時間t2の前記非駆動状態とを1つのサイクルとしつつ、前記駆動状態と前記非駆動状態とを交互に切り替えながら、前記サイクルが繰り返されるように前記スイッチを作動させる切替処理を実行する制御部とを備える空気供給システムであって、前記モータに流れる電流を検出すると共に、前記電流の検出値を出力する電流センサを備え、前記制御部は、前記モータに流れる電流と前記ブロアの風速との関係を表す予め定められた関係式と、前記検出値とに基づいて、前記サイクル毎の平均空気供給量を算出する算出処理を実行する空気供給システム。
【0010】
<2> 前記制御部は、前記平均空気供給量が許容範囲内か又は許容範囲外かを判定する判定処理を実行する前記<1>に記載の空気供給システム。
【0011】
<3> 前記制御部は、前記平均空気供給量が前記許容範囲外と判定されたサイクルが、予め定められた許容回数N、連続した場合に、前記平均空気供給量が前記許容範囲内となるように、前記所定時間t1又は前記所定時間t2が変更される時間変更処理を実行する前記<2>に記載の空気供給システム。
【0012】
<4> 前記判定処理は、前記許容範囲外として、前記平均空気供給量が前記許容範囲を上回ったか又は下回ったかを判定し、前記時間変更処理は、前記平均空気供給量が前記許容範囲を上回ったと判定されたサイクルが、前記許容回数N、連続した場合に、前記所定時間t1を短く又は前記所定時間t2を長くし、かつ前記平均空気供給量が前記許容範囲を下回ったと判定されたサイクルが、前記許容回数N、連続した場合に、前記所定時間t1を長く又は前記所定時間t2を短くする前記<3>に記載の空気供給システム。
【0013】
<5> 前記所定時間t1は、0.5分~60分であり、前記所定時間t2は、3分~90分である前記<1>~<4>の何れか1つに記載の空気供給システム。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、有機性廃棄物内に供給される空気量を適切に把握可能な空気供給システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態1に係る空気供給システムの構成を示す説明図
【
図3】切替処理によってスイッチが作動するタイミングを示す説明図
【
図4】ブロアのモータに流れる電流とブロアの風速(m/秒)との関係式を示すグラフ
【
図5】サイクル毎の平均空気供給量と、サイクル毎のON時間t1及びOFF時間t2との関係を表したグラフ
【
図6】他の実施形態におけるON時間t1とOFF時間t2との変更パターンを示す図
【
図7】サイクル毎の平均空気供給量と、サイクル毎のON時間t1及びOFF時間t2との関係を表したグラフ
【
図8】他の実施形態におけるON時間t1とOFF時間t2との変更パターンを示す図
【
図9】有機性廃棄物の温度と時間との関係を表したグラフを示す図
【
図10】実施形態2に係る空気供給システムの構成を示す説明図
【
図11】実施形態2で使用される端末装置の構成を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係る空気供給システム1を、
図1~
図9を参照しつつ説明する。
図1は、実施形態1に係る空気供給システム1の構成を示す説明図である。空気供給システム1は、有機性廃棄物Wを一次醗酵させて堆肥中間体を製造する際に利用されるシステムであり、堆積された状態の有機性廃棄物Wの内部(堆積物の内部)に空気を間欠的に供給する。有機性廃棄物Wは、畜糞(例えば、鶏糞、牛糞、豚糞、馬糞等)や生ゴミ等からなる。
【0017】
有機性廃棄物Wの一次醗酵は、醗酵処理プラントで行う醗酵処理(二次醗酵)の前に、予め有機性廃棄物Wの水分量(含水率)を少なくするために行われる。本実施形態の一次醗酵は、醗酵処理プラントの付近に設置された一次醗酵槽2に、有機性廃棄物Wを堆積した状態で、約一週間行われる。本明細書において、有機性廃棄物Wを一次醗酵したものを、「堆肥中間体」と称する。
【0018】
空気供給システム1は、
図1に示されるように、主として、制御盤3と、空気供給手段4とを備えている。
【0019】
制御盤3は、一次発酵槽2の付近等に設置され、主として、制御部5、記憶部6、タイマー7、通信部8、入力表示部9、スイッチ(切替手段)10、電流センサ11、電源(電力供給部)12を備えている。また、空気供給手段4は、堆積された有機性廃棄物Wの内部に空気を供給する手段であり、ブロア4aと、送気管4bとを備えている。
【0020】
ブロア4aは、モータ4a1で駆動する回転翼を備えており、吸引口から回転翼の動作で空気(外気)を吸引すると共に、吸引した空気に所定の圧力を付して送気口から送気管4bを介して有機性廃棄物Wに空気を供給する。ブロア4aは、外部に設置された電源(電力供給部)12に、電線13を介して電気的に接続されている。ブロア4aは、電源12から電力(例えば、供給電圧:200V)が供給されると、モータ4a1は、回転翼を駆動させる駆動力を発生する。電線13の途中には、ブロア4aのモータ4a1の状態を切り替えるためのスイッチ10と、ブロア4aに流れる電流を計測する電流センサ11とが設けられている。
【0021】
図2は、一次発酵槽2を模式的に表した上面図である。ここで、有機性廃棄物Wが堆積される一次発酵槽2等について、
図2を参照しつつ説明する。一次発酵槽2は、有機性廃棄物Wが載せられる床面2aを備えている。本実施形態の床面2aは、上面視で横長の矩形状をなしており、
図2の下側に示される床面2aの長辺側の部分が、一次発酵槽2の出入口2cとなっている。この出入口2cから一次発酵槽2に、一次醗酵前の有機性廃棄物Wが搬入されると共に、一次醗酵後の有機性廃棄物W(堆肥中間体)が搬出される。そして、出入口2cが設けられた箇所以外の床面2aの周縁には、壁部2dが立設されている。壁部2dは、所定の高さを備えており、床面2aに堆積された有機性廃棄物Wが外部に広がらないように、有機性廃棄物Wを周囲から支える機能等を備えている。なお、一次発酵槽2には、必要に応じて、床面2aを上方から覆う屋根部(雨除け)が設けられてもよい。
【0022】
一次発酵槽2の床面2aの下側には、分岐した複数の送気管4b(分岐部4b1)が配設されている。送気管4bは、塩化ビニル等の合成樹脂からなる円筒状のパイプであり、主として、ブロア4aと接続する本体部4b2と、本体部4b2から分岐した複数の分岐部4b1とを備えている。分岐部4b1の末端には、エンドキャップ4b3が嵌められており、分岐部4b1の末端が塞がれている。
【0023】
本実施形態の場合、送気管4bの本体部4b2は、一次発酵槽2の奥側にある床面2aに形成された溝部内に埋設されており、そのような本体部4b2から、複数の分岐部4b1が、互いに間隔を保ちつつ平行に並ぶように配設されている。また、各分岐部4b1も、床面2aに設けられた溝部内に埋設されている。各分岐部4b1には、空気の噴出口として利用される複数の孔部4b4が設けられている。各孔部4b4から空気が上方に向かって吹き出すように、各孔部4b4の位置が設置されている。また、各孔部4b4は、長手状をなした分岐部4b1の長手方向において、等間隔で並ぶように、各位置が設定されている。このような送気管4b及びブロア4aを備えた空気供給手段4を利用して、床面2a上に堆積された有機性廃棄物Wに対して、下側から内部に空気を万遍なく供給することができる。
【0024】
なお、一次発酵槽2に有機性廃棄物Wを収容する場合、有機性廃棄物Wは、床面2aを全面的に覆うように床面2a上に堆積される。また、有機性廃棄物Wは、床面2aからの高さが略均等になるように、床面2a上に堆積されることが好ましい。このような一次発酵槽2内の有機性廃棄物Wの体積は、例えば、床面2aの面積と、床面2a上に積み上げられた堆積物の高さから、概算することができる。場合によっては、床面2aから立ち上がる壁部2dに、高さ方向の基準(高さを示す目盛り)を設け、その基準から、床面2a上に積み上げられた有機性廃棄物W(堆積物)の高さを見積もってもよい。なお、有機性廃棄物Wの体積は、他の方法で測定してもよい。
【0025】
次いで、制御盤3を構成する各部について説明する。制御部5は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成される。制御部5のCPUは、記憶部6に記憶されているプログラムを読み出して、RAMのワークエリアに展開し、展開したプログラムにしたがって、後述する各種処理を実行する。制御部5において実行される各種処理の内容は、後述する。
【0026】
記憶部6は、制御部5が適宜、実行するプログラムや、各種処理に必要なデータ等を記憶する。記憶部6は、メモリやハードディスクドライプ等の物理ドライブによって構成される。
【0027】
タイマー7は、例えばタイマーIC、水晶振動子又はクロックモジュール等を含んで構成されるものであり、適宜、時刻をカウントする。
【0028】
通信部8は、通信インターフェースであり、他の装置に情報を送信する機能、及び他の装置から情報を受信する機能を備えている。通信部8は、無線通信機能を有していてもよいし、有線通信機能を有していてもよい。通信部8は、無線通信又は有線通信を利用することで、通信経路を介して他の装置と通信してもよい(例えば、WiFi(登録商標)等)。通信経路は、例えば、LAN(Local Area Network)等のネットワークやインターネット等である。通信部8は、近距離無線通信等を利用することで、通信経路を介さずに他の装置と通信してもよい。近距離無線通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)、RFID(Radio Frequency Identifier)、NFC等である。
【0029】
入力表示部9は、例えばタッチパネルを用いて構成される。入力表示部9は、使用者の操作を受け付け可能であり、かつ制御部5において生成された各種の情報を表示する。
【0030】
スイッチ(切替手段)10は、ブロア4aが備えるモータ4a1の状態を、有機性廃棄物Wに空気を供給するための駆動力を発生する駆動状態と、前記駆動力を発生しない非駆動状態とに切り替える手段である。
【0031】
スイッチ10は、例えば、マグネットスイッチにより構成される。マグネットスイッチは、回路を開閉する電磁接触器を備えている。スイッチ(マグネットスイッチ)10の電磁接触器は、制御部5からの指示に基づいて、ブロア4aのモータ4a1の状態を、駆動状態と非駆動状態とに切り替えるために、駆動回路を開閉する。電磁接触器は、制御部5から電流が供給されず、電磁石のコイルを励磁していない状態では、固定設定と可動接点とが離れており、駆動回路を開放している。このようにスイッチ10の駆動回路が開放した状態を、「ON状態」と称する。スイッチ10がON状態の場合、ブロア4aのモータ4a1に電力が供給され、モータ4a1が駆動状態となる。
【0032】
これに対して、制御部5から電流が供給され、電磁石のコイルを励磁している状態では、固定接点と可動接点とが接触し、駆動回路を閉じている。このようにスイッチ10の駆動回路が閉じた状態を、「OFF状態」と称する。スイッチ10がOFF状態の場合、ブロア4aのモータ4a1に電力が供給されず、モータ4a1が非駆動状態となる。このように、スイッチ10が、制御部5からの指示に基づいて、作動することにより、ブロア4aのモータ4a1の状態が、駆動状態と非駆動状態とに切り替えられる。
【0033】
電流センサ11は、ブロア4aのモータ4a1に流れる電流を検出すると共に、電流の検出値を制御部5に出力する。
【0034】
空気供給システム1は、更に、温度測定手段16を備えてもよい。温度測定手段16は、温度を測定する温度センサ16aと、測定された温度データを送信する送信部16bとを備える。温度センサ16aは、有機性廃棄物Wの内部(中心部)に到達し得る程度の長尺な支持部材(不図示)の先端部に取り付けられる。温度センサ16aは、例えば熱電対を含んで構成される。温度センサ16aは、送信部16bに対して電線を利用して電気的に接続されている。送信部16bは、温度センサ16aにより測定された温度データを、無線通信により通信部8を介して制御部5に送信する。なお、制御部5に送信された温度データは、適宜、記憶部6に記憶されると共に、必要に応じて、入力表示部(タッチパネル)9に表示される。
【0035】
次いで、制御部5において実行される各種処理について説明する。制御部5は、切替処理、算出処理、判定処理、時間変更処理を実行する。
【0036】
切替処理は、有機性廃棄物Wに空気を間欠的に供給するために、ブロア4aのモータ4a1の状態を、駆動状態から非駆動状態に、又は非駆動状態から駆動状態に切り替わるようにスイッチ10を作動させる処理である。切替処理は、具体的には、所定時間t1の駆動状態と、所定時間t2の非駆動状態とを1つのサイクルとしつつ、そのような駆動状態と非駆動状態とを交互に切り替えながら、前記サイクルが繰り返されるようにスイッチを作動させる処理である。
【0037】
なお、所定時間t1は、ブロア4aのモータ4a1が駆動状態(スイッチ10がON状態)となっている時間であり、その間に、有機性廃棄物Wにブロア4aから空気が供給される。所定時間t2は、ブロア4aのモータ4a1が非駆動状態(スイッチ10がOFF状態)となっている時間であり、その間は、有機性廃棄物Wにブロア4aから空気が供給されない。本明細書において、所定時間t1を、「ON時間t1」と表し、所定時間t2を、「OFF時間t2」と表す場合がある。
【0038】
図3は、切替処理によってスイッチ10が作動するタイミングを示す説明図である。
図3に示されるタイミングで、スイッチ10の状態が、ON状態とOFF状態とに交互に切り替えられることで、ブロア4aのモータ4a1の状態が、駆動状態と非駆動状態とに交互に切り替えられる。
【0039】
また、所定時間t1の駆動状態と、それに続く所定時間t2の非駆動状態とが、1つのサイクル構成しており、切替処理が実行されると、そのようなサイクルが複数回繰り返される。なお、本明細書において、所定時間t1の駆動状態と、所定時間t2の非駆動状態とを含む上述したサイクルを、「空気供給サイクル」と称する場合がある。
【0040】
所定時間t1は、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、0.5分~60分に設定されてもよい。所定時間t2は、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、3分~90分に設定されてもよい。なお、有機性廃棄物Wの一次醗酵を行う場合、所定時間t2は、所定時間t1よりも長く設定することが好ましい。
【0041】
算出処理は、ブロア4aのモータ4a1に流れる電流とブロア4aの風速との関係を表す予め定められた関係式と、電流センサ11が検出したモータ4a1に流れる電流の検出値とに基づいて、サイクル毎の平均空気供給量を算出する処理である。
【0042】
図4は、ブロア4aのモータ4a1に流れる電流とブロア4aの風速(m/秒)との関係式を示すグラフである。この関係式は、ブロア4aのモータ4a1に流れる電流値(A:アンペア)と、ブロア4aから供給される空気の流れの速さ(風速:m/秒)との関係を、予め行われた実験により求められたものである。このように、モータ4a1を流れる電流値と、ブロア4aの風速とが1対1の関係で予め定められていると、電流センサ11の検出値に基づいて、ブロア4aの風速(m/秒)を求めることができる。関係式は、予め記憶部6に記憶されている。
【0043】
そして、ブロア4aの風速(m/秒)と、ブロア4aに続く送気管4bの断面積とから、ブロア4aの風量(m3/分)が求められる。
【0044】
電流センサ11は、例えば、1秒毎に、モータ4a1に流れる電流を検出して、その電流の検出値を制御部5へ送信する。そして、制御部5において、得られた検出値と、上記関係式とを利用して、電流の検出値に対応した、ブロア4aの風速(m/秒)を求める算出処理が実行される。
【0045】
例えば、1つのサイクルにおける所定時間t1が2分であり、所定時間t2が22分である場合、算出処理では、2分間の駆動状態と22分間の非駆動状態とを合わせた24分間(1サイクル)における風速(m/秒)の平均値が求められる。
【0046】
なお、駆動状態における風速(m/秒)の平均値は、例えば、2秒間隔で求められたブロア4aの風速(m/秒)の平均値からなる。これに対して、非駆動状態における風速(m/秒)の平均値は、例えば、30秒間隔で求められたブロア4aの風速(m/秒)の平均値からなる。非駆動状態のブロア4aの風速は、通常、0m/秒となる。非駆動状態では、基本的に、ブロア4aから有機性廃棄物Wに対して空気が供給されない(つまり、風速が0m/秒である)ため、駆動状態よりも長い時間の間隔で、風速(m/秒)が求められてもよい。
【0047】
そして、算出処理では、得られた1つのサイクルにおけるブロア4aの風速(m/秒)の平均値と、ブロア4aに接続する送気管4bの断面積と、有機性廃棄物Wの体積とから、そのサイクルについての、有機性廃棄物1m3における単位時間当たりの平均空気供給量(L/分/m3)が求められる。このような平均空気供給量(L/分/m3)は、すべてのサイクルについて、サイクル毎に求められる。
【0048】
このように、制御部5において、算出処理が実行されることにより、有機性廃棄物W内に供給される空気量を適切に把握することができる。なお、算出処理で求められた平均空気供給量(L/分/m3)を、適宜、入力表示部9の表示面で表示させるように構成してもよい。
【0049】
判定処理は、サイクル毎に求められた平均空気供給量が許容範囲内か又は許容範囲外かを判定する処理である。
【0050】
例えば、平均空気供給量の許容範囲が、18L/分/m3±8L/分/m3に設定されている場合(つまり、10L/分/m3以上26L/分/m3以下に設定されている場合)、サイクル毎に、求められた平均空気供給量と、前記許容範囲とが比較され、平均空気供給量が前記許容範囲内か又は許容範囲外かが判定される。このような判定は、すべてのサイクルについて、サイクル毎に行われる。
【0051】
例えば、判定処理では、許容範囲外として、平均空気供給量が許容範囲を上回ったか又は下回ったかが判定される。
【0052】
このような判定処理の結果(判定結果)を利用すれば、有機性廃棄物W内に供給される空気量が適切に管理されているか否かを容易に判断することができる。なお、判定処理で得られた結果(判定結果)を、適宜、入力表示部9の表示面で表示させるように構成してもよい。また、判定処理の判定結果が、許容範囲外の場合、必要に応じて、図示されない報知器や、入力表示部9等を利用して、使用者にその旨を報知してもよい。
【0053】
時間変更処理は、平均空気供給量が許容範囲外と判定されたサイクルが、予め定められた許容回数N、連続した場合に、平均空気供給量が許容範囲内となるように、所定時間t1又は所定時間t2が変更される処理である。このような時間変更処理により、有機性廃棄物W内に供給される空気量を適切に管理することができる。
【0054】
時間変更処理では、先ず、判定処理において、平均空気供給量が許容範囲外と判断されたサイクルが、予め定められた許容回数N、連続するか否かが判断される。
【0055】
例えば、許容回数Nが8回に設定されている場合、時間変更処理では、判定処理において、許容範囲外と判定されたサイクルが、8回連続するか否か判断される。判定処理において、許容範囲外と判定されたサイクルが、8回連続した場合、時間変更処理は、有機性廃棄物Wに供給される平均空気供給量(L/分/m3)を調整するために、所定時間t1の長さ、及び/又は所定時間t2の長さが変更される。
【0056】
所定時間(ON時間)t1は、上述したように、ブロア4aのモータ4a1が駆動状態(スイッチ10がON状態)となっている時間である。所定時間t2を変更しない場合において、所定時間t1を長くすると、1サイクルにおける平均空気供給量を増加させ、所定時間t1を短くすると、1サイクルにおける平均空気量を減少させることができる。
【0057】
所定時間(OFF時間)t2は、上述したように、ブロア4aのモータ4a1が非駆動状態(スイッチ10がOFF状態)となっている時間である。所定時間t1を変更しない場合において、所定時間t2を長くすると、1サイクルにおける平均空気量を減少させ、所定時間t2を短くすると、1サイクルにおける平均空気量を増加させることができる。
【0058】
例えば、判定処理において、平均空気供給量が許容範囲を上回ったと判定されたサイクルが、許容回数N(例えば、8回)、連続した場合に、時間変更処理では、所定時間t1を短く及び/又は所定時間t2を長くする処理が実行される。このように、所定時間t1及び/又は所定時間t2を変更することにより、供給過剰状態であった平均空気供給量(L/分/m3)が減らされて、平均空気供給量が許容範囲内となるように調整される。
【0059】
図5は、サイクル毎の平均空気供給量と、サイクル毎のON時間t1及びOFF時間t2との関係を表したグラフである。
図5に示されるように、サイクル毎に、平均空気供給量が算出されると共に、平均空気供給量が、許容範囲内か又は許容範囲外かが判定される。ここでは、平均空気供給量の許容範囲が18L/分/m
3±8L/分/m
3に設定されている。また、ON時間t1は、2分、OFF時間t2は、22分に設定されている。上述した切替処理が実行されることにより、このようなON時間t1及びOFF時間t2の空気供給サイクルが繰り返される。
図5には、平均空気供給量が許容範囲(上限値:28L/分/m
3)を上回ったサイクルが、8回(許容回数N)連続した場合が示されている。平均空気供給量が8回連続して許容範囲の上限値を上回ると、それ以降のサイクルにおけるON時間t1が短くなるように(例えば、ON時間t1:1分)変更されて、平均空気供給量が許容範囲内となるように減らされる。なお、ここでは、OFF時間t2については変更されない。
【0060】
なお、他の実施形態においては、平均空気供給量が許容範囲を上回ったサイクルが、許容回数N、連続した場合に、
図6に示されるようにON時間t1を変更せず、OFF時間t2を長くするように変更してもよい。このようにして、変更前よりも平均空気供給量を減らしてもよい。
【0061】
一方、判定処理において、例えば、平均空気供給量が許容範囲を下回ったと判定されたサイクルが、許容回数N(例えば、8回)、連続した場合に、時間変更処理では、所定時間t1を長く及び/又は所定時間t2を短くする処理が実行される。このように、所定時間t1及び/又は所定時間t2を変更することにより、供給不足状態であった平均空気供給量(L/分/m3)が増やされて、平均空気供給量が許容範囲内となるように調整される。
【0062】
図7は、サイクル毎の平均空気供給量と、サイクル毎のON時間t1及びOFF時間t2との関係を表したグラフである。
図7に示されるように、サイクル毎に、平均空気供給量が算出されると共に、平均空気供給量が、許容範囲内か又は許容範囲外かが判定される。ここでは、平均空気供給量の許容範囲が18L/分/m
3±8L/分/m
3に設定され、ON時間t1は2分、OFF時間t2は22分に設定されている。
図7には、平均空気供給量が許容範囲(下限値:10L/分/m
3)を下回ったサイクルが、8回(許容回数N)連続した場合が示されている。平均空気供給量が8回連続して許容範囲の下限値を下回ると、それ以降のサイクルにおけるON時間t1が長くなるように(例えば、ON時間t1:3分)変更されて、平均空気供給量が許容範囲内となるように増やされる。なお、ここでは、OFF時間t2については変更されない。
【0063】
なお、他の実施形態においては、平均空気供給量が許容範囲を上回ったサイクルが、許容回数N、連続した場合に、
図8に示されるようにON時間t1を変更せず、OFF時間t2を短くするように変更してもよい。このようにして、変更前よりも平均空気供給量を増やしてもよい。
【0064】
有機性廃棄物W内に形成される通路(風路)の形状や大きさ等は、有機性廃棄物W中に含まれる水分や、羽毛等の影響を受けて変化し易い。そのため、ブロア4aから送気管4bを介して供給された空気が、有機性廃棄物W内の通路を通過する際に受ける抵抗(圧力損失)も、変化し易い。例えば、有機性廃棄物W内の通路から受ける抵抗が大きくなると、通路通過時に空気が及ぼす静圧が大きくなるため、ブロア4aの風速(風量)が低下すると共に、ブロア4aのモータ4a1に流れる電流値が小さくなる。これに対して、有機性廃棄物W内の通路から受ける抵抗が小さくなると、通路通過時に空気が及ぼす静圧が小さくなるため、ブロア4aの風速(風量)が上昇すると共に、ブロア4aのモータ4a1に流れる電流値が大きくなる。
【0065】
本実施形態の空気供給システム1では、上述した切替処理、算出処理、判定処理、時間変更処理が実行されることにより、ブロア4aのモータ4a1に流れる電流値に基づいて、有機性廃棄物Wに供給される平均空気供給量を把握しつつ、有機性廃棄物Wに対して、適切な空気量を供給することができる。特に、空気供給システム1では、上記算出処理により、有機性廃棄物W内に供給される空気量を適切に把握することができる。また、空気供給システム1では、上記判定処理により、有機性廃棄物W内に供給される空気量が適切に管理されているか否かを容易に判断することができる。また、空気供給システム1では、時間変更処理により、有機性廃棄物W内に供給される空気量を適切に管理することができる。
【0066】
また、本実施形態の空気供給システム1は、インバータ等の高価な装置を利用して、ブロアの風量を制御する必要がなく、単に、ブロアをオンオフ制御するだけでよいため、装置のコスト等が抑えられる。また、本実施形態の空気供給システム1は、有機性廃棄物W内の温度を、実際に測定し、その測定結果に基づいて、平均空気供給量を調整するものではないため、この点からも、装置が簡便化されており好ましい。
【0067】
ここで、
図9を参照しつつ、空気供給システム1を使用した堆肥中間体の製造方法を簡単に説明する。
図9は、有機性廃棄物の温度と時間との関係を表したグラフを示す図である。堆肥中間体の製造方法は、堆積された有機性廃棄物Wの内部に、上述した空気供給システム1を利用して空気を間欠的に供給することにより、有機性廃棄物Wを醗酵させて、堆肥中間体を製造するものである。堆肥中間体の製造方法は、主として、昇温工程と、維持工程とを備えている。
【0068】
なお、堆肥中間体の製造開始前に、醗酵時の有機性廃棄物Wの目標温度α(℃)が設定される。目標温度α℃は、有機性廃棄物W中の好気性微生物(醗酵に関与する高温菌)の活動が活性化する温度や、雑菌(例えば、アンモニア臭、硫黄臭等の悪臭の原因菌、サルモネラ菌、大腸菌等の病原菌等)が死滅する温度等を考慮して予め定められる値であり、例えば、α=70(℃)に設定される。目標温度α(℃)は、例えば、65≦α(℃)≦80に設定される。
【0069】
堆肥中間体の製造方法において、有機性廃棄物Wの醗酵(一次醗酵)は、有機性廃棄物Wの温度を目標温度α(℃)に到達させることを目的とした昇温工程と、目標温度α(℃)に到達した後、所定の温度範囲で有機性廃棄物Wの温度を維持させることを目的とした維持工程との2つの段階に分けられる。
【0070】
昇温工程は、例えば、10時間以上30時間の範囲で行われる。
図9には、昇温工程を、24時間行った場合が示されている。昇温工程の開始時(つまり、堆肥中間体の製造開始時)、有機性廃棄物Wの温度は、外気と略同じである。そのため、昇温工程では、有機性廃棄物Wの温度をなるべく早く、目標温度αまで上昇させるために、有機性廃棄物Wに対して、比較的、多くの空気を供給する必要がある。そのため、例えば、昇温工程におけるON時間t1は、2分~30分に設定され、OFF時間t2は、5分以上60分以下に設定される。また、昇温工程において、1サイクル分の平均空気供給量は、81L/分/m
3以上250L/分/m
3以下に設定されることが好ましい。
【0071】
維持工程は、例えば、昇温工程の開始時(つまり、堆肥中間体の製造開始時)から、7日程度行われる。
図9に示される場合では、維持工程が6日間(144時間)行われる。有機性廃棄物Wの醗酵が進むと、有機性廃棄物Wの温度が上昇して、有機性廃棄物W中の水分がある程度、蒸発して減少する。水分の減少した有機性廃棄物Wの内部は、空気が移動し易い状態となっており、そのような有機性廃棄物Wに空気が供給されると、空気が有機性廃棄物Wを通り抜けて外部へ放出され易くなる。つまり、有機性廃棄物W内に蓄積されていた熱が空気の流れに乗って空気と共に外部へ放出され易くなる。そのため、有機性廃棄物の温度が、目標温度α(℃)に到達した後は、有機性廃棄物Wの内部に空気が多く供給されると、有機性廃棄物Wの温度がかえって低下してしまう。したがって、維持工程では、有機性廃棄物1m
3における単位時間当たりの平均空気供給量(L/分/m
3)が、昇温工程の平均空気供給量(L/分/m
3)よりも少なく設定されることが好ましい。
【0072】
例えば、維持工程におけるON時間t1は、30秒~15分に設定され、OFF時間t2は、30秒以上2時間以下に設定される。また、維持工程において、1サイクル分の平均空気供給量は、10L/分/m3以上80L/分/m3以下に設定されることが好ましい。
【0073】
維持工程では、有機性廃棄物Wの温度が、予め定められた許容温度β(℃)(ただし、α-20≦β(℃)≦α+20)で維持されることが好ましい。許容温度β(℃)は、最終的に得られる堆肥中間体の水分量(含水率)等を考慮して、適宜、予め定められる。
【0074】
なお、上述した空気供給システム1における判定処理において、判定基準となる平均空気供給量の許容範囲は、昇温工程と、維持工程とでそれぞれ異なる範囲で設定されてもよいし、互いに同じ範囲で設定されてもよい。
【0075】
本実施形態の空気供給システム1では、有機性廃棄物Wの温度は、確認的に測定されるものであり、有機性廃棄物Wの温度の測定値を使用して、有機性廃棄物Wに供給する空気量(平均空気供給量)を調整するものではない。
【0076】
<実施形態2>
次いで、本発明の実施形態2に係る空気供給システム1Aを、
図10及び
図11を参照しつつ説明する。
図10は、実施形態2に係る空気供給システム1Aの構成を示す説明図であり、
図11は、実施形態2で使用される端末装置の構成を示す説明図である。本実施形態の空気供給システム1Aも、実施形態1と同様、有機性廃棄物Wを一次発酵槽2で一次醗酵させて堆肥中間体を製造する際に利用されるシステムであり、堆積された状態の有機性廃棄物Wの内部(堆積物の内部)に空気供給手段4(ブロア4a、送気管4b)を利用して空気を間欠的に供給する。また、空気供給システム1Aは、各種処理(算出処理、判定処理、時間変更処理等)を実行する制御部5Aを含む制御盤3Aを備えている。
【0077】
そして、更に、本実施形態の空気供給システム1Aは、端末装置30を備えている。端末装置30は、空気供給システム1Aに対する使用者からの各種指示を受け付ける機能や、空気供給システム1Aにおける各種データを表示する機能を備える。端末装置30としては、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型端末、スマートフォン等の装置が利用される。
【0078】
端末装置30は、
図11に示されるように、主として、制御部31、入力表示部32,通信部33、記憶部34等を備えている。
【0079】
制御部31は、CPU、RAM等を備えて構成され、空気供給システム1Aの制御盤3A(制御部5A)に対して、各種指示を送信するための処理等を実行する。
【0080】
記憶部34は、制御部31が適宜、実行するプログラムや、各種処理に必要なデータ等を記憶する。また、記憶部34は、制御盤3A側から適宜、送信されるデータ等も記憶する。記憶部34は、メモリやハードディスクドライプ等の物理ドライブによって構成される。
【0081】
通信部33は、通信インターフェースであり、制御盤3A等の他の装置と情報を送信する機能、及び前記他の装置から情報を受信する機能を備えている。通信部33は、無線通信機能を有しており、ネットワーク20を介して、制御盤3Aとの間で、各種データの送受信を行う。
【0082】
入力表示部32は、例えばタッチパネルを用いて構成される。入力表示部32は、使用者の操作を受け付け可能である。また、入力表示部32は、制御盤3A側から送信される各種データを表示する。
【0083】
入力表示部32には、例えば、
図5に示されるような、サイクル毎の平均空気供給量や、サイクル毎のON時間t1及びOFF時間t2との関係を表したグラフが示されてもよい。また、この場合、入力表示部32の表示面に上記グラフの画像を表示すると共に、その表示面の画像(例えば、グラフのうちON時間t1を示す部分やOFF時間t2を示す部分)に、使用者が触れることで、表示面に、具体的なON時間t1の長さ(例えば、2分)やOFF時間t2の長さ(例えば、20分)を表示させてもよい。また、入力表示部32には、温度測定手段16(温度センサ16a、送信部16b)や、図示されないその他の測定手段(例えば、アンモニア濃度測定手段、酸素濃度測定手段)から供給される測定結果が示されてもよい。
【0084】
このように本実施形態では、使用者が端末装置30を使用することで、例えば、一次発酵槽2から遠く離れた場所(遠隔地)において、空気供給システム1Aの管理が可能であり、有機性廃棄物Wの状態等を把握することができる。
【0085】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0086】
(1)上記実施形態1の空気供給システムは、1つの一次発酵槽における有機性廃棄物に空気を間欠的に供給するものであったが、本発明はこれに限られず、例えば、複数(2つ以上)の一次発酵槽を用意し、各一次発酵槽にそれぞれ空気供給手段を設けて、複数の一次醗酵槽における有機性廃棄物に、それぞれ空気を間欠的に供給できるように、空気供給システムを構成してもよい。
【0087】
(2)他の実施形態においては、制御盤の制御部ではなく、他の制御部(例えば、実施形態2で示した端末装置30の制御部)において、算出処理、判定処理、時間変更処理等の各種処理を実行してもよい。
【符号の説明】
【0088】
1…空気供給システム、2…一次醗酵槽、3…制御盤、4…空気供給手段、4a…ブロア、4b…送気管、5…制御部、6…記憶部、7…タイマー、8…通信部、9…入力表示部、10…スイッチ、11…電流センサ、12…電源(電力供給部)、13…電線、16…温度測定手段、W…有機性廃棄物