(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】物品の分離供給装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
B65G47/14 Q
(21)【出願番号】P 2021198103
(22)【出願日】2021-12-06
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】中 一真
(72)【発明者】
【氏名】板谷 俊吾
(72)【発明者】
【氏名】森田 護
(72)【発明者】
【氏名】大山 健二
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-001915(JP,A)
【文献】特開平01-231761(JP,A)
【文献】実開平04-088424(JP,U)
【文献】実開平01-106420(JP,U)
【文献】特開平10-035865(JP,A)
【文献】特開昭56-155114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送コンベヤによって多列で搬送される物品を、所定個数集合した物品群として分離してシート状部材上に供給する物品の分離供給装置であって、
前記搬送コンベヤで搬送される物品の各列間に配置され、堰止め位置への移動によって各列の物品を堰き止める堰止め手段と、
前記搬送コンベヤの側方であって、前記堰止め手段より物品の搬送方向の下流に配設され、物品の搬送路に対して進退移動すると共に、搬送方向の前後に往復移動する移動制限手段と、
前記搬送路の上方に配設され、物品群における搬送方向の前側を支持可能な前支持部材および物品群の搬送方向の後側を支持可能な後支持部材を搬送方向に離間して有し、両支持部材を、搬送路に対して進退移動すると共に、搬送方向の前後に往復移動可能な移送手段と、を備え、
前記堰止め手段による堰止め解除により前記搬送コンベヤで搬送される先頭の物品を、前記搬送路に進出して搬送コンベヤによる物品搬送速度より遅い速度で下流側に移動する前記移動制限手段で受けて物品の搬送を制限し、
前記移動制限手段の下流側への移動に伴って搬送コンベヤで搬送される物品群として分離する最後尾の物品が前記堰止め手段を通過した位置で、該移動制限手段を停止すると共に、堰止め手段を堰止め位置に移動して後続の物品を堰き止め、
前記移動制限手段の下流側への移動を再開し、前記堰止め手段で堰き止められる物品と、前記最後尾の物品との間に生じた搬送路の隙間に前記後支持部材を進出させると共に、移動制限手段より下流側で搬送路に進出して待機する前記前支持部材の近傍まで移動した移動制限手段を搬送路から退出させ、
前記搬送路に進出している前記前支持部材および前記後支持部材で物品群を前後から挟持して両支持部材を下流側へ移動することで、物品群を前記搬送コンベヤの下流に位置付けたシート状部材上に供給するよう構成した
ことを特徴とする物品の分離供給装置。
【請求項2】
前記前支持部材に、搬送方向の上流側に向けて延出する整列ガイドを、前記搬送コンベヤで搬送される物品の各列間に位置するように設けたことを特徴とする請求項1記載の物品の分離供給装置。
【請求項3】
前記搬送方向に沿って延在し、前記搬送路において各列の物品の搬送レーンを画成するサイドガイドが設けられ、
該サイドガイドは、前記堰止め手段と一体的に搬送方向と交差する幅方向に移動調節可能に構成したことを特徴とする請求項1または2記載の物品の分離供給装置。
【請求項4】
前記堰止め手段は、凹面が上下方向に延在する弧状の板部材であって、
前記堰止め手段は、上下方向の軸回りに回転して前記堰止め位置において凹面側で物品を堰き止めるよう構成したことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の物品の分離供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送コンベヤで搬送される物品を、所定個数集合した物品群として分離して供給する分離供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送コンベヤで搬送される物品を、所定個数集合した物品群に分離して後処理部に供給する供給装置が、特許文献1として提案されている。特許文献1に開示の供給装置は、物品を押せ押せ状態で搬送するコンベヤの下方に、所定間隔離間して複数のフィンガを配設した無端チェンを走行可能に配設し、このフィンガをコンベヤの搬送面より上方に突出させると共に、コンベヤよりも遅い速度で走行させることより、押せ押せ状態で搬送される物品群から所定個数の物品を分離し、分離した物品群を、フィンガより速い速度で走行するコンベヤによって上流側の物品群から分離して下流側に搬送するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の供給装置では、コンベヤで搬送される前後の物品間に、コンベヤの下方からフィンガを進入させるため、該フィンガが物品の底面を突き上げて倒してしまい、運転を停止させる必要を生ずる問題が指摘される。また、フィンガが物品側面を擦って傷付けてしまう難点もある。更に、フィンガがコンベヤの搬送面から没して該フィンガによる支えがなくなった物品群は、コンベヤによって加速されるため、物品の高さ等によっては倒れてしまう恐れも指摘される。
【0005】
本発明は、搬送コンベヤで搬送される物品を、倒したり傷付けたりすることなく所定個数集合した物品群として分離して安定して供給し得る物品の分離供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1に係る発明の物品の分離供給装置は、
搬送コンベヤ(11)によって多列で搬送される物品(10)を、所定個数集合した物品群(14)として分離してシート状部材(17)上に供給する物品の分離供給装置であって、
前記搬送コンベヤ(11)で搬送される物品(10)の各列間に配置され、堰止め位置への移動によって各列の物品(10)を堰き止める堰止め手段(12)と、
前記搬送コンベヤ(11)の側方であって、前記堰止め手段(12)より物品(10)の搬送方向の下流に配設され、物品(10)の搬送路に対して進退移動すると共に、搬送方向の前後に往復移動する移動制限手段(13)と、
前記搬送路の上方に配設され、物品群(14)における搬送方向の前側を支持可能な前支持部材(32)および物品群(14)の搬送方向の後側を支持可能な後支持部材(33)を搬送方向に離間して有し、両支持部材(32,33)を、搬送路に対して進退移動すると共に、搬送方向の前後に往復移動可能な移送手段(16)と、を備え、
前記堰止め手段(12)による堰止め解除により前記搬送コンベヤ(11)で搬送される先頭の物品(10)を、前記搬送路に進出して搬送コンベヤ(11)による物品搬送速度より遅い速度で下流側に移動する前記移動制限手段(13)で受けて物品(10)の搬送を制限し、
前記移動制限手段(13)の下流側への移動に伴って搬送コンベヤ(11)で搬送される物品群(14)として分離する最後尾の物品(10)が前記堰止め手段(12)を通過した位置で、該移動制限手段(13)を停止すると共に、堰止め手段(12)を堰止め位置に移動して後続の物品(10)を堰き止め、
前記移動制限手段(13)の下流側への移動を再開し、前記堰止め手段(12)で堰き止められる物品(10)と、前記最後尾の物品(10)との間に生じた搬送路の隙間(T)に前記後支持部材(33)を進出させると共に、移動制限手段(13)より下流側で搬送路に進出して待機する前記前支持部材(32)の近傍まで移動した移動制限手段(13)を搬送路から退出させ、
前記搬送路に進出している前記前支持部材(32)および前記後支持部材(33)で物品群(14)を前後から挟持して両支持部材(32,33)を下流側へ移動することで、物品群(14)を前記搬送コンベヤ(11)の下流に位置付けたシート状部材(17)上に供給するよう構成したことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、物品の列間に位置する堰止め手段によって物品を堰き止めると共に、堰止め手段より下流で搬送コンベヤの側方から搬送路に進出する移動制限手段で物品を所定個数集合した物品群として分離するので、物品を倒したり傷付けることなく、後続の物品から物品群を好適に分離することができる。また、後続の物品から分離した物品群の前側を、搬送コンベヤによる搬送速度より遅い速度で移動する移動制限手段で支持しながら物品群を下流側に移動させるので、物品群を安定して下流側に移動することができる。更に、移動制限手段は、下流側で待機している前支持部材の近傍まで移動して搬送路から退出するので、該制限部材による支えがなくなった物品と前支持部材との離間距離は短かく、該物品が前支持部材に当接した際の反動で物品群の列が乱れるのを抑制できる。更にまた、分離された物品群を、支持部材によって前後から挟持して移送するので、物品を倒すことなくシート状部材上に供給することができ、運転を停止する等の事態が発生するのを防ぐことができる。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記前支持部材(32)に、搬送方向の上流側に向けて延出する整列ガイド(44)を、前記搬送コンベヤ(11)で搬送される物品(10)の各列間に位置するように設けたことを特徴とする。
請求項2の発明によれば、前後の支持部材で挟持した物品群を移送する際に、各列の物品の幅方向への移動を整列ガイドで規制して、物品の整列状態が乱れるのを防ぐことができるので、シート状部材上には整列状態が保たれた物品群を供給でき、シート状部材の製函処理等を良好に行うことができる。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記搬送方向に沿って延在し、前記搬送路において各列の物品(10)の搬送レーン(19)を画成するサイドガイド(18)が設けられ、
該サイドガイド(18)は、前記堰止め手段(12)と一体的に搬送方向と交差する幅方向に移動調節可能に構成したことを特徴とする。
請求項3の発明によれば、物品のサイズ変更に応じて、物品を適正に案内し得ると共に堰き止めすることができる。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記堰止め手段(12)は、凹面が上下方向に延在する弧状の板部材であって、
前記堰止め手段(12)は、上下方向の軸回りに回転して前記堰止め位置において凹面側で物品(10)を堰き止めるよう構成したことを特徴とする。
請求項4の発明によれば、弧状に曲がる板部材の側端部を、前後の物品の間に挿入し易く、物品の堰き止めを好適に行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、物品の列間に位置する堰止め手段によって物品を堰き止めると共に、堰止め手段より下流に位置する移動制限手段によって物品の搬送コンベヤによる搬送を制限しつつ該物品を移動して所定個数集合した物品群として分離することができるので、物品を倒したり傷付けることなく所定個数の物品を集合することができる。また、前後の支持部材によって物品群を前後から挟持して移送するので、物品を倒すことなく整列状態を維持した物品群をシート状部材上に供給することができ、該箱詰め部で処理不良を招くことはない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】分離供給装置を物品搬送方向の下流側から見た概略図である。
【
図4】ストッパと物品との関係を示す説明図である。
【
図5】物品群を分離して箱詰め部に供給する工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る物品の分離供給装置の好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例】
【0013】
実施例に係る物品の分離供給装置は、
図1~
図3に示す如く、物品10を多列で連続搬送する搬送コンベヤ11と、該搬送コンベヤ11で搬送される物品10を堰き止める堰止め手段12と、該堰止め手段12による堰き止め解除により搬送される物品10の搬送を制限しつつ下流側に移動する移動制限手段13と、該移動制限手段13により搬送コンベヤ11上を移動して集合された物品群14を、前後から挟持して搬送コンベヤ11の下流に位置付けた段ボールシート(シート状部材)17上に供給する移送手段16と、を備える。搬送コンベヤ11の下流には図示しないラップラウンドケーサが配置され、該ケーサのマガジンから取り出された段ボールシート17は、搬送コンベヤ11の下流に隣接する箱詰め部15において、胴部を構成する底面パネル17aに連設された各側面パネル17b,17bが上向きに折曲されると共に、搬送コンベヤ11による物品10の搬送方向(物品搬送方向)に開口する半起函状態で置かれる。なお、一方の側面パネル17bには、底面パネル17aから離間する端部に天面パネル17cが連設されている。そして、移送手段16によって物品群14は、底面パネル17a上に側方の開口から送り込まれる。実施例では、物品10として、胴部10aに対して口部に装着されたキャップ10bが小径で、胴部10aが円筒形のペットボトルを挙げて説明するが、ガラス、あるいは金属を材質とする容器、その他の物品であってもよい。
【0014】
前記搬送コンベヤ11は、物品搬送路(搬送路)を一方向に連続走行する無端状の搬送体11aの搬送面に、ペットボトル10を載置して搬送する。
図2に示す如く、物品搬送路には、搬送面から上方に離間して、物品搬送方向に沿って延在するサイドガイド18が、物品搬送方向と交差する幅方向に離間して複数(実施例では5つ)配置されており、隣り合うサイドガイド18,18間に、ペットボトル10が1列で搬送される搬送レーン19が画成される。実施例では、物品搬送路に4つの搬送レーン19が並列に画成される。サイドガイド18は、ペットボトル10における胴部10aを案内するよう設定されている。なお、図示しないが、搬送コンベヤ11の上流側に振分け装置が配設されており、振分け装置より上流側から1列で搬送されてくるペットボトル10が、該振分け装置によって各搬送レーン19に振り分けられるよう構成される。なお、搬送コンベヤ11の搬送終端と箱詰め部15との間にテーブル45が設けられ、搬送コンベヤ上の物品群14は、前記移送手段16によりテーブル45を滑らせて箱詰め部15の底面パネル17a上に供給される。
【0015】
図2に示す如く、前記物品搬送路を挟む幅方向の両側に固定フレーム20,20が配設され、物品搬送路の上方において両固定フレーム20,20間に、幅方向に延在する複数(実施例では2本)のガイドシャフト21が平行に架設されている。ガイドシャフト21には、その延在方向(幅方向)の中央に基準支持体22が位置固定されると共に、該基準支持体22から幅方向に離間して左右に2つずつ移動支持体23が、ガイドシャフト21に移動可能に支持されている。基準支持体22と、幅方向一方の最外側に位置する移動支持体23を除く3つの移動支持体23との4つの支持体22,23に、堰止め装置24が夫々配設されている。堰止め装置24は、
図1に示す如く、支持体22,23に対して上下方向の軸回りに回転可能に支持された前記堰止め手段としてのストッパ12と、該ストッパ12を所定角度で回転するエアシリンダ等からなる作動手段25とを備える。ストッパ12は、上下方向に長尺な板状の部材であって、前記搬送レーン19,19間(ペットボトル10の列間)に配置されて、ペットボトル10の胴部10aに所定長さで当接可能な位置まで下方に延在している。そして、作動手段25は、ストッパ12を回転して、ストッパ12が対応する搬送レーン19に突出してペットボトル10の胴部10aに当接可能な堰止め位置(
図4の実線位置)と、ストッパ12が搬送レーン19に突出せずにペットボトル10の搬送を許容する堰止め解除位置(
図4の二点鎖線位置)とに、ストッパ12を位置付けるよう構成される。ストッパ12は、凹面が上下方向に延在する弧状の板部材であって、堰止め解除位置では回転軸から離間する開放端(側端部)が、物品搬送方向の下流側を向き、堰止め位置では開放端が斜め側方を向くよう設定される。実施例では、ストッパ12は、堰止め位置において凹面側がペットボトル10の胴部10aに当接してペットボトル10を堰き止めるよう構成される。
【0016】
ここで、
図4に示す如く、前記搬送レーン19を押せ押せ状態で搬送される前後のペットボトル10,10は、その円筒形の胴部10a,10aが当接することで、両ペットボトル10,10間には、側方に開放する凹状の空所Sが画成されている。前記ストッパ12は、前記搬送コンベヤ11で搬送される前後のペットボトル10,10間の空所Sが、該ストッパ12の配設位置に到来した状態で、堰止め解除位置から堰止め位置に移動することで、後側のペットボトル10の胴部10aに当接して堰き止めるよう構成される。
【0017】
前記基準支持体22に、物品搬送路において幅方向の中央に位置する前記サイドガイド18が配設されると共に、各移動支持体23に、該移動支持体23と一体的に移動するよう対応する位置のサイドガイド18が配設されている。また、前記固定フレーム20,20間に調節ネジ26が回転可能に支持されると共に、該調節ネジ26におけるネジが設けられていない中央部が、基準支持体22に回転可能に支持されている。調節ネジ26には、基準支持体22から一方の固定フレーム20に向けて延在する部分に右ネジが設けられると共に、他方の固定フレーム20に向けて延在する部分に左ネジが設けられている。そして、基準支持体22に対して幅方向の一方側に離間している2つの移動支持体23が、図示しない雌ネジ部材を介して右ネジに螺合すると共に、基準支持体22に対して幅方向の他方側に離間している2つの移動支持体23が、図示しない雌ネジ部材を介して左ネジに螺合している。調節ネジ26には、図示しない調節ハンドルが設けられており、該調節ハンドルによって調節ネジ26を時計方向または反時計方向に回転することで、4つの移動支持体23は、基準支持体22に対して接近・離間移動し、基準支持体22と、該基準支持体22を挟む両側の移動支持体23との間隔、および対向する移動支持体23,23間の間隔が、夫々同じ間隔となるよう調節可能に構成されている。すなわち、基準支持体22に対して各移動支持体23を幅方向に移動することで、前記ストッパ12およびサイドガイド18を、物品サイズに応じて幅方向に移動調節可能に構成される。実施例では、調節ネジ26および支持体22,23によって、ストッパ12およびサイドガイド18を移動調節する調節手段が構成される。
【0018】
前記ストッパ12の配設位置より物品搬送方向の下流に、前記搬送コンベヤ11で搬送されるペットボトル10の搬送を制限可能な前記移動制限手段としての制限部材13を備える制限装置27が配設されている。
図2、
図3に示す如く、制限装置27は、搬送コンベヤ11を挟む幅方向の両側に対向して配設されて、両制限装置27,27は、制限部材13,13を同期して移動するよう制御される。各制限装置27は、制限部材13と、該制限部材13を物品搬送路に対して進退移動するエアシリンダ(進退動手段)28と、該エアシリンダ28と共に制限部材13を物品搬送方向の前後に往復移動可能な移動機構29と、を備える。エアシリンダ28は、制限部材13を、幅方向において、物品搬送路から外側方に退避した退避位置と、物品搬送路に進出してペットボトル10に当接可能な制限位置とに位置付けるよう構成される。制限部材13は、板状の部材であって、制限位置における高さ位置が、上流側から搬送されてくるペットボトル10における胴部10aの下部側に当接可能な位置に設定されている。実施例では、搬送コンベヤ11によって4列で搬送されるペットボトル10の内、2本ずつの搬送を左右の制限部材13,13で夫々制限するよう構成される。
【0019】
図2に示す如く、前記制限装置27の移動機構29は、サーボモータなどの駆動モータ30により作動するリニアスライド機構が採用され、移動機構29は、物品搬送方向に沿って延在している。移動機構29によって前記エアシリンダ28が、物品搬送方向の前後に往復移動するよう構成される。移動機構29は、制限位置に位置付けられた制限部材13を、物品搬送方向において、前記ストッパ12によって堰き止められているペットボトル10より下流側に離間した制限の開始位置P1(
図2における堰止め装置24に近接する位置で示す二点鎖線位置)と、該開始位置P1から下流側に所定距離だけ離間した分離位置P2(
図2の一点鎖線位置)と、該分離位置P2から更に下流側に離間する制限の終了位置P3(
図2における搬送コンベヤ11の搬送終端近傍で示す二点鎖線位置)とに位置付くように停止し得るよう構成される。分離位置P2は、
図5(b)に示す如く、分離する物品群14の最後尾(実施例では物品群14の先頭から6個目)のペットボトル10がストッパ12を通過した位置であって、該最後尾のペットボトル10に続く次の物品群14の先頭のペットボトル10がストッパ12により堰き止め可能な位置に設定され、該分離位置P2に制限部材13が停止した状態で、ストッパ12が堰止め解除位置から堰止め位置に移動することで、次の物品群14の先頭のペットボトル10が堰き止められる(
図4参照)。また、終了位置P3は、
図5(c)に示す如く、ストッパ12で堰き止められたペットボトル10と、先行する物品群14の最後尾のペットボトル10との間に、前記移送手段16の後述する後支持部材33の物品搬送路への進出を許容する隙間Tを画成する位置に設定される。
【0020】
前記移動機構29は、制限部材13を物品搬送方向の上流側から下流側に移動する際には、前記搬送コンベヤ11における搬送体の走行速度(搬送速度)より遅い速度で下流側へ移動するよう設定される。なお、移動機構29は、制限部材13を物品搬送方向の下流側から上流側に移動する際には、上流側から下流側への移動時より速い速度で移動するよう設定される。また、前記エアシリンダ28は、前記開始位置P1に対応する退避位置に位置付けられた制限部材13を制限位置まで前進して物品搬送路に進出させると共に、前記終了位置P3において制限位置に位置付けられている制限部材13を退避位置まで後退することで物品搬送路から退出させるよう設定される。
【0021】
図1、
図3に示す如く、前記搬送コンベヤ11(搬送路)の上方に配設された支持フレーム31に、前記制限装置27,27によって分離された物品群14を、前記箱詰め部15に位置する段ボールシート17の底面パネル17a上に移送(供給)する前記移送手段16が配設されている。移送手段16は、物品群14における物品搬送方向の前側(下流端側)を支持可能な前支持部材32と、該物品群14の物品搬送方向の後側(上流端側)を支持可能な後支持部材33とを、物品搬送方向に離間して有している。また、移送手段16は、各支持部材32,33を、物品搬送路に対して進退するよう上下方向に昇降動する昇降機構34,35と、各支持部材32,33を物品搬送方向の前後に往復移動する往復動機構36,37と、を備える。前支持部材32を往復移動する前往復動機構36および後支持部材33を往復移動する後往復動機構37は同じ構成であって、各往復動機構36,37は、前記支持フレーム31に配設されて物品搬送方向に沿って延在するレール部材38に、対応する昇降機構34,35が配設されたスライダ39が移動可能に支持され、該スライダ39に、サーボモータ40によって物品搬送方向に沿って走行する無端状ベルトなどの索状体41が連結される。そして、サーボモータ40によって索条体41を物品搬送方向の前後に走行することで、対応する支持部材32,33を物品搬送方向の前後に独立して往復移動し得るよう構成される。往復動機構36,37は、前後の支持部材32,33を、前記搬送コンベヤ11上で分離された物品群14を前後から挟持した状態で、該物品群14を前記箱詰め部15まで供給する。また、後往復動機構37は、前支持部材32に対して後支持部材33を、物品群14の搬送方向長さより離間した位置と、該物品群14を前支持部材32との間で前後から挟持可能な位置とに移動し得るよう構成される。
【0022】
前記前支持部材32を昇降動する前昇降機構34および後支持部材33を昇降動する後昇降機構35は同じ構成であって、サーボモータなどの駆動モータ42により作動するリニアスライド機構が採用される。すなわち、各昇降機構34,35は、
図1に示す如く、当該昇降機構34,35により上下方向に移動する移動体43に、対応する前支持部材32または後支持部材33が配設されている。昇降機構34,35は、対応する支持部材32,33を、物品搬送路を移動するペットボトル10に干渉しない上方の退避位置と、物品搬送路を移動するペットボトル10を支持可能な支持位置との間を昇降するよう構成される。
【0023】
前記前往復動機構36は、支持位置に位置付けられた前記前支持部材32を、前記制限部材13,13の終了位置P3の近傍であって該終了位置P3より下流側の待機位置M1(
図2の一点鎖線位置)と、前記箱詰め部15に位置する底面パネル17aにおける搬送コンベヤ11から離間する後端近傍の供給位置M2(
図2の二点鎖線位置)とに位置付けるよう構成される。また、前記後往復動機構37は、支持位置に位置付けられた前記後支持部材33を、制限部材13,13が分離位置P2で停止した際に、先行する物品群14の最後尾のペットボトル10と、前記ストッパ12で堰き止められたペットボトル10との間の隙間Tに臨む待機位置N1(
図2の一点鎖線位置)と、箱詰め部15に位置する底面パネル17aにおける搬送コンベヤ11に近接する前端近傍の供給位置N2(
図2の二点鎖線位置)とに位置付けるよう構成される。
【0024】
図1、
図3に示す如く、前記前支持部材32には、物品搬送方向の上流側に向けて延出する整列ガイド44が、物品群14における各列間に位置するよう幅方向に離間して平行に配設されている。整列ガイド44は、物品群14における各列間において、先頭のペットボトル10から最後尾のペットボトル10までの間に延在する長さに設定される。また、整列ガイド44は、前支持部材32の支持位置において、隣り合うペットボトル10,10におけるキャップ10b,10bの下端部付近に対応する高さで位置するよう設定される。
【0025】
次に、実施例に係る物品の分離供給装置の作用について説明する。
図2、
図5(a)に示す如く、前記搬送コンベヤ11の各搬送レーン19を上流側から搬送されてくるペットボトル10は、堰止め位置に位置付けられている各対応の前記ストッパ12によって搬送が規制され、連続走行する搬送コンベヤ11によって上流側から搬送されてくるペットボトル10が、ストッパ12で搬送が規制されている先頭のペットボトル10に当接して搬送が規制され、複数のペットボトル10が押せ押せ状態で順次堰き止められて貯留される。
【0026】
前記開始位置P1に対応する外側方の退避位置に位置する左右の制限部材13,13を、対応するエアシリンダ28,28によって制限位置まで前進することで、該制限部材13,13を開始位置P1に位置付ける。前記ストッパ12によって堰き止められるペットボトル10が、予め設定された所定個数(実施例では24本)になったことを図示しない検出手段が検出すると、全ての堰止め装置24の作動手段25によってストッパ12を堰止め位置から堰止め解除位置に移動する。これにより、堰き止められていたペットボトル10は、連続走行している搬送コンベヤ11によって下流側に搬送される。ストッパ12による堰き止めが解除されると、前記制限装置27,27は、移動機構29,29によって制限部材13,13の下流側への移動を開始させる。制限部材13の移動速度は、搬送コンベヤ11の物品搬送速度より遅いため、ストッパ12による堰止め解除により搬送コンベヤ11で搬送される先頭のペットボトル10は、制限部材13に追いつき、該制限部材13で受けられて移動制限される。そして、制限部材13の移動に伴って、先頭のペットボトル10から上流にかけて、複数のペットボトル10が押せ押せ状態で集合されて、搬送コンベヤ11上を下流側に移動する。
【0027】
先行する物品群14における最後尾のペットボトル10が、堰止め装置24のストッパ12により堰き止め可能な位置を通過すると、
図5(b)に示す如く、前記制限装置27,27は、制限部材13,13を分離位置P2で停止する。そして、堰止め装置24はストッパ12を堰止め位置に移動し、次の物品群14の先頭となるペットボトル10を堰き止め、先行する物品群14と、次の物品群とを区画する。その後、制限装置27,27は、制限部材13,13の下流側への移動を再開し、これに伴って所定個数の物品群14は前端側が制限部材13,13で支えられた状態で下流側に移動し、
図5(c)に示す如く、最後尾のペットボトル10と、ストッパ12で堰き止められているペットボトル10との間に隙間Tが形成される。
【0028】
前記移送手段16は、前記制限部材13,13が前記分離位置P2に至る前に、前後の往復動機構36,37によって退避位置に位置付けられている前後の支持部材32,33を、前記待機位置M1,N1の上方まで移動すると共に、前昇降機構34によって前支持部材32を下降し、該前支持部材32を、下流側へ移動中の制限部材13,13より下流側において物品搬送路に進出して支持位置に位置付ける(
図5(b)参照)。前記制限装置27,27は、制限部材13,13が、支持位置で待機している前支持部材32の近傍である終了位置P3まで移動すると、エアシリンダ28,28によって制限部材13,13を制限位置から退避位置まで移動する。制限部材13,13が退避位置に移動すると、物品群14は搬送コンベヤ11によって下流側に搬送され、既に支持位置で待機している前支持部材32に先頭のペットボトル10が当接して搬送が規制される。その後、前記移送手段16は、後昇降機構35によって後支持部材33を下降して前記隙間Tに進出させて、該後支持部材33を支持位置に位置付ける(
図5(c)参照)。そして、移送手段16は、後往復動機構37によって後支持部材33を前進させ、該後支持部材33が物品群14の最後尾のペットボトル10に後方から当接する時期に、前往復動機構36によって前支持部材32の前進を開始し、これによって物品群14を前後から挟持した状態で下流側に移動する(
図5(d)参照)。移送手段16は、物品群14を挟持している前後の支持部材32,33を供給位置M2,N2まで移動することで、前記箱詰め部15に半起函状態で置かれている段ボールシート17の底面パネル17a上に物品群14が供給される。
【0029】
前記終了位置P3まで移動した制限部材13,13を退避位置まで移動した前記制限装置27,27は、移動機構29,29によって制限部材13,13を開始位置P1に対応する退避位置まで移動した後、物品群14の最後尾のペットボトル10とストッパ12で堰き止められたペットボトル10との間の隙間Tに、エアシリンダ28,28によって制限部材13,13を側方から進出させて制限位置(開始位置P1)に位置付け、次の物品群14の分離を待機する。また、底面パネル17aに物品群14を供給した移送手段16は、昇降機構34,35によって支持部材32,33を退避位置まで上昇した後、各支持部材32,33を待機位置M1,N1に対応する搬送コンベヤ11の上方に位置付け、次の物品群14の移送を待機する。
【0030】
実施例の分離供給装置では、ペットボトル10の列間に位置するストッパ12によって該ペットボトル10を堰き止めると共に、ストッパ12より下流で物品搬送路に側方から進出する制限部材13,13でペットボトル10を所定個数集合した物品群14として分離するので、ペットボトル10を倒したり傷付けることなく、後続のペットボトル10から物品群14を好適に分離することができる。すなわち、従来装置のように搬送面の下方からフィンガを突出させるものではないので、ペットボトル10を突き上げて倒すおそれはない。また、ペットボトル10を所定個数集合する制限部材13,13は、ストッパ12で堰き止められているペットボトル10から下流側に離間した位置(制限の開始位置P1)にコンベヤ側方から物品搬送路に進出して予め待機しているので、該制限部材13,13の物品搬送路への進出時にペットボトル10を擦って傷付けることもない。また、後続のペットボトル10から分離した物品群14の前側を、搬送コンベヤ11の物品搬送速度より遅い速度で移動する制限部材13,13で支持しながら物品群14を下流側に移動させるので、物品群14を安定して下流側に移動することができる。更に、制限部材13,13は、待機位置M1で待機している前支持部材32の近傍まで移動して物品搬送路から退出するので、該制限部材13,13による支えがなくなった物品群14の先頭のペットボトル10と前支持部材32との離間距離は短かく、先頭のペットボトル10が前支持部材32に当接した際の反動で物品群14の列が乱れるのを抑制できる。更にまた、分離された物品群14を、前後の支持部材32,33によって前後から挟持して箱詰め部15に位置付けられた段ボールシート17の底面パネル17a上に供給するので、ペットボトル10を倒すことなく段ボールシート17上に供給することができ、該段ボールシート17の製函処理を良好に行い得ると共に、運転を停止する等の事態が発生するのを防ぐことができる。
【0031】
実施例の分離供給装置は、前記移送手段16の前支持部材32に、物品群14における各列間に延在する整列ガイド44を設けたので、前後の支持部材32,33で前後から挟持して物品群14を移送する際に、ペットボトル10が幅方向に移動するのを整列ガイド44で規制して、物品群14が千鳥状となる等の整列状態が乱れるのを防ぐことができる。すなわち、箱詰め部15の底面パネル17a上に、整列状態が保たれた物品群14を供給することができ、箱詰め部15での段ボールシート17の製函処理等に支障を来すのを防ぐことができる。また、ストッパ12を、凹面が上下方向に延在する弧状で、上下方向の軸回りに回転して堰止め位置において凹面側でペットボトル10を堰き止めるよう構成したので、ストッパ12の側端部(回転軸から離間する端部)を、前後に連なるペットボトル10,10間に挿入し易く、後側のペットボトル10の堰き止めを好適に行うことができる。また、ストッパ12を、その先端が上流側から前記空所Sに入り込むように移動してペットボトル10を堰き止めるので、該ストッパ12でペットボトル10の表面を擦ることはなく、ペットボトル10を傷付けることもない。更に、ストッパ12とサイドガイド18を一体的に幅方向に移動調節可能に構成したので、ペットボトル10のサイズ変更に応じて、ペットボトル10を適正に案内し得ると共に堰き止めすることができる。
【0032】
前記制限装置27における制限部材13を物品搬送方向に往復移動する移動機構29や、前記移送手段16における前後の支持部材32,33を物品搬送方向に往復移動する往復動機構36,37として、サーボ制御可能な機構を用いるよう構成したので、ペットボトル10のサイズや、物品群14として集合するペットボトル10の個数に応じて、制限部材13や支持部材32,33の各位置を適正に変更することができる。また、移送手段16における前後の支持部材32,33を昇降動する昇降機構34,35として、サーボ制御可能な機構を用いるよう構成したので、支持部材32,33の支持位置での高さを、ペットボトル10の高さ寸法に応じて適正に支持可能な位置に設定することができる。
【0033】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1) 実施例では、搬送コンベヤ11を挟む幅方向の両側に制限装置27を配設したが、制限部材13を、搬送コンベヤ11により多列で搬送される行方向の物品10の全てに当接可能な長さ寸法に設定すれば、何れか一方の制限装置27のみを設けた構成を採用することができる。
(2) 制限部材13は、板状に限らず、棒状の部材を上下方向に複数並ベて構成し、物品10を所定高さ範囲で当接支持可能な構成を採用することができる。
(3) 実施例では、ストッパ12を弧状としたが、湾曲していない平板状、あるいは棒状の部材で構成したものであってもよい。
(4) 実施例では、堰止め手段として、上下方向の軸回りに回転するストッパ12を用いたが、堰止め手段は、物品10の各列間に配置されて、搬送レーン19に対して側方から直線的に進退するものであってもよい。
(5) 実施例では、複数のストッパ12を夫々対応する作動手段25により移動するよう構成したが、複数のストッパ12を連繋機構により連繋し、該連繋機構を単一の作動手段によって作動することで、複数のストッパ12を同時に移動する構成を採用することができる。
(6) 物品10は、ペットボトルに限らずその他の物品でもよいことは前述したが、横断面が円形や楕円、あるいは多角形で、前後の物品10,10の間に前記空所Sが形成される断面形状のものが好適な対象とされる。
(7) 物品群14が供給されるシート状部材は、半起函状態の段ボールシート17に限らず、各側面パネル17bが折曲されていない平らな状態であってもよい。また、シート状部材の材質は、段ボール紙に限らず、カートン紙等、その他各種材質であってもよい。
【符号の説明】
【0034】
10 ペットボトル(物品),11 搬送コンベヤ,12 ストッパ(堰止め手段)
13 制限部材(移動制限手段),14 物品群,16 移送手段
17 段ボールシート(シート状部材),18 サイドガイド,19 搬送レーン
32 前支持部材,33 後支持部材,44 整列ガイド,T 隙間