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特許7461077読取装置、読取方法、音声再生システムおよび評価システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】読取装置、読取方法、音声再生システムおよび評価システム
(51)【国際特許分類】
   G11B 7/002 20060101AFI20240327BHJP
   G11B 3/60 20060101ALI20240327BHJP
   G11B 3/36 20060101ALI20240327BHJP
   G11B 7/005 20060101ALI20240327BHJP
   G11B 7/09 20060101ALI20240327BHJP
   G11B 20/02 20060101ALI20240327BHJP
   G11B 7/125 20120101ALI20240327BHJP
   G11B 7/1372 20120101ALI20240327BHJP
【FI】
G11B7/002 A
G11B3/60
G11B3/36
G11B7/005 C
G11B7/09 B
G11B20/02 Z
G11B7/125
G11B7/1372
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022501489
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2020006642
(87)【国際公開番号】W WO2021166135
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】516252724
【氏名又は名称】株式会社CSイノベーション
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100163511
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 啓太
(72)【発明者】
【氏名】筒井 雅夫
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-071427(JP,A)
【文献】特開2010-033673(JP,A)
【文献】特開平05-120725(JP,A)
【文献】特開平01-277334(JP,A)
【文献】特開2009-223932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 7/002
G11B 3/60
G11B 3/36
G11B 7/005
G11B 7/09
G11B 20/02
G11B 7/125
G11B 7/1372
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レコード盤の一面に形成された音溝の形状を読み取る読取装置であって、
前記レコード盤に光を照射する光源と、
撮像素子と、
前記音溝内の所定の深さの位置を焦点位置とするレンズであって、前記光源からの光が前記焦点位置における前記音溝の内壁で反射した反射光のうち、前記レンズの光軸と平行な反射光を前記撮像素子の受光面に結像させるレンズと、
前記撮像素子の撮像信号に基づいて前記音溝の形状を示す画像を生成する画像処理部と、
前記レコード盤を周方向に回転可能に保持するとともに、前記レコード盤の前記一面に沿った方向に移動可能に保持する保持部を備え、
前記光源、前記撮像素子および前記レンズからなる撮像部は、前記レコード盤の前記一面の一部の範囲に光が照射されるように固定され、
前記保持部により、前記レコード盤を周方向に回転させつつ、前記レコード盤を前記一面に沿って移動させることで前記光源からの光の照射位置を変更し、
前記撮像部に固定され、前記音溝に接触する案内プローブをさらに備え、
前記保持部は、前記レコード盤の回転に伴い、前記案内プローブの前記音溝との接触箇所が前記レコード盤の径方向に移動するように、前記レコード盤を移動させる、読取装置。
【請求項2】
レコード盤の一面に形成された音溝の形状を読み取る読取装置であって、
前記レコード盤に光を照射する光源と、
撮像素子と、
前記音溝内の所定の深さの位置を焦点位置とするレンズであって、前記光源からの光が前記焦点位置における前記音溝の内壁で反射した反射光のうち、前記レンズの光軸と平行な反射光を前記撮像素子の受光面に結像させるレンズと、
前記撮像素子の撮像信号に基づいて前記音溝の形状を示す画像を生成する画像処理部と、
前記レコード盤を周方向に回転可能に保持するとともに、前記レコード盤の前記一面に沿った方向に移動可能に保持する保持部を備え、
前記光源、前記撮像素子および前記レンズからなる撮像部は、前記レコード盤の前記一面の一部の範囲に光が照射されるように固定され、
前記保持部により、前記レコード盤を周方向に回転させつつ、前記レコード盤を前記一面に沿って移動させることで前記光源からの光の照射位置を変更し、
前記保持部は、
前記レコード盤の両面に設けられた弾性部材と、
前記レコード盤および前記レコード盤の両面に設けられた弾性部材を前記レコード盤の両面から挟んで支持するフランジと、
前記弾性部材と前記フランジとの間、および、前記レコード盤と前記弾性部材との間にそれぞれ設けられた滑り止めシートとを備える、読取装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の読取装置において、
前記レンズは、テレセントリックレンズである、読取装置。
【請求項4】
レコード盤の一面に形成された音溝の形状を読み取る読取装置であって、
前記レコード盤に光を照射する光源と、
撮像素子と、
前記音溝内の所定の深さの位置を焦点位置とするレンズであって、前記光源からの光が前記焦点位置における前記音溝の内壁で反射した反射光のうち、前記レンズの光軸と平行な反射光を前記撮像素子の受光面に結像させるレンズと、
前記撮像素子の撮像信号に基づいて前記音溝の形状を示す画像を生成する画像処理部と、を備え、
前記光源は、線状の光を前記レコード盤に照射し、
前記レンズは、前記音溝内の所定の深さの位置を焦点位置とするシリンドリカルレンズであり、前記光源からの光が前記焦点位置における前記音溝の内壁で反射した反射光のうち、前記レンズの光軸と平行な反射光を前記撮像素子の受光面に結像させ、
前記レコード盤は、前記レコード盤の所定の載置領域の周辺にマーカが配置された載置部の前記載置領域に載置され、
前記画像処理部は、前記音溝の形状とともに前記マーカを読み取り、該マーカの読取結果に応じて、前記音溝の形状を示す画像を生成する、読取装置。
【請求項5】
請求項に記載の読取装置において、
前記レコード盤の前記音溝が形成された面を前記線状の光により走査可能に構成される、読取装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の読取装置において、
前記画像処理部により生成された前記音溝の形状を示す画像に基づき、前記焦点位置を
調整する焦点位置調整部をさらに備える、読取装置。
【請求項7】
レコード盤に形成された音溝の形状を読み取る読取装置における読取方法であって、
光源から出射された光を前記レコード盤に照射し、
前記音溝内の所定の深さの位置を焦点位置とするレンズにより、前記光源からの光が前記焦点位置における前記音溝の内壁で反射した反射光のうち、前記レンズの光軸と平行な反射光を撮像素子の受光面に結像させ、
前記撮像素子の撮像信号に基づいて前記音溝の形状を示す画像を生成し、
前記レコード盤は、周方向に回転可能に保持されるとともに、前記レコード盤の前記一面に沿った方向に移動可能に保持され、
前記光源、前記撮像素子および前記レンズからなる撮像部は、前記レコード盤の前記一面の一部の範囲に光が照射されるように固定され、
前記レコード盤を周方向に回転させつつ、前記レコード盤を前記一面に沿って移動させることで前記光源からの光の照射位置を変更し、
前記レコード盤の回転に伴い、前記撮像部に固定され、前記音溝に接触する案内プローブの前記音溝との接触箇所が前記レコード盤の径方向に移動するように、前記レコード盤を移動させる、読取方法。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載の読取装置と、
前記読取装置により生成された前記音溝の形状を示す画像に基づき、前記レコード盤に記録された音声を再生する再生装置と、を備える音声再生システム。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載の読取装置と、
前記読取装置により生成された前記音溝の形状を示す画像に基づき、前記レコード盤の状態を評価する評価装置と、を備える評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、読取装置、読取方法、音声再生システムおよび評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レコード盤には、記録された音声に応じた音溝が形成されている。レコード盤を平面視した際の音溝の形状は、記録された音声による振動の波形を示している。レコード盤の再生装置は、音溝をレコード針で走査し、音溝の形状により生じるレコード針の振動を音声信号に変換して、記録された音声を再生する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-192317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなレコード針を用いた再生装置では、レコード針との接触により音溝が摩耗する。音溝が摩耗すると、音溝の形状により示される波形の振幅および周波数が変化し、音溝を走査して再生される音声の劣化を招いてしまう。従って、レコード盤にレコード針を接触させることなく、より安価に音溝の形状を読み取る技術が求められている。
【0005】
上記のような問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、レコード盤に形成された音溝にレコード針を接触させることなく、より安価に音溝の形状を読み取ることができる読取装置、読取方法、音声再生システムおよび評価システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る読取装置は、
レコード盤の一面に形成された音溝の形状を読み取る読取装置であって、
前記レコード盤に光を照射する光源と、
撮像素子と、
前記音溝内の所定の深さの位置を焦点位置とするレンズであって、前記光源からの光が前記焦点位置における前記音溝の内壁で反射した反射光のうち、前記レンズの光軸と平行な反射光を前記撮像素子の受光面に結像させるレンズと、
前記撮像素子の撮像信号に基づいて前記音溝の形状を示す画像を生成する画像処理部と、を備える。
【0007】
一実施形態に係る読取方法は、
レコード盤に形成された音溝の形状を読み取る読取装置における読取方法であって、
光源から出射された光を前記レコード盤に照射し、
前記音溝内の所定の深さの位置を焦点位置とするレンズにより、前記光源からの光が前記焦点位置における前記音溝の内壁で反射した反射光のうち、前記レンズの光軸と平行な反射光を撮像素子の受光面に結像させ、
前記撮像素子の撮像信号に基づいて前記音溝の形状を示す画像を生成する。
【0008】
一実施形態に係る音声再生システムは、
上記の読取装置と、
前記読取装置により生成された前記音溝の形状を示す画像に基づき、前記レコード盤に記録された音声を再生する再生装置と、を備える。
【0009】
一実施形態に係る評価システムは、
上記の読取装置と、
前記読取装置により生成された前記音溝の形状を示す画像に基づき、前記レコード盤の状態を評価する評価装置と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る読取装置、読取方法、音声再生システムおよび評価システムによれば、レコード盤に形成された音溝にレコード針を接触させることなく、より安価に音溝の形状を読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の第1の実施形態に係る読取装置の要部構成を示す図である。
図2図1に示す読取装置が読み取る音溝の形状について説明するための図である。
図3A図1に示す画像処理部が生成する音溝の形状を示す画像の一例を示す図である。
図3B】一般的なレンズを用いて生成される音溝の形状を示す画像の一例を示す図である。
図4】第1の実施形態に係る読取装置の構成例を示す図である。
図5図4に示す保持部の構成例を示す図である。
図6図1に示す読取装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図7A】本開示の第2の実施形態に係る読取装置の構成例を示す図であり、レコード盤の厚み方向から見た図である。
図7B】本開示の第2の実施形態に係る読取装置の構成例を示す図であり、レコード盤の径方向から見た図である。
図8A】第2の実施形態に係る読取装置を用いた音溝の読み取りの一例を示す図である。
図8B】第2の実施形態に係る読取装置を用いた音溝の読み取りの別の一例を示す図である。
図8C】第2の実施形態に係る読取装置を用いた音溝の読み取りのさらに別の一例を示す図である。
図9】レコード盤を載置する載置部の一例を示す図である。
図10】本開示に係る読取装置を含む音声再生システムの構成例を示す図である。
図11】本開示に係る読取装置を含む評価システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本開示の第1の実施形態に係る読取装置10の要部構成を示す図である。本実施形態に係る読取装置10は、一面1aと、一面1aに対向する他の一面1bとを有するレコード盤1の一面1aに形成された音溝1cの形状を読み取るものである。図1において、紙面左右方向は、レコード盤1の径方向を示し、紙面上下方向はレコード盤1の厚み方向を示し、紙面奥行方向は、レコード盤1の周方向を示す。
【0014】
本実施形態に係る読取装置10が読み取るレコード盤1の音溝1cの形状について、図2を参照してより詳細に説明する。図2に示すように、レコード盤1は、円盤形状を有し、レコード盤1の一面1aには、レコード盤1の周方向に延在する音溝1cが、レコード盤1の径方向に亘って形成されている。音溝1cは、レコード盤1を平面視すると、図2に示すように、径方向にジグザグ形状を有する。このジグザグ形状は、レコード盤1に記憶された音声による振動を示す。すなわち、レコード盤1を平面視した際の音溝1cの形状は、レコード盤1に記憶された音声による振動の波形を示す。したがって、摩耗していない音溝1cの形状を正確に読み取ることができれば、レコード盤1に記録された音声をより高い再現性で再生することができる。本実施形態に係る読取装置10は、図2に示すような、レコード盤1を平面視した際の音溝1cの形状を読み取るものである。
【0015】
図1に示す読取装置10は、光源11と、ハーフミラー12と、撮像素子13と、テレセントリックレンズ14と、画像処理部15とを備える。光源11、ハーフミラー12、撮像素子13およびテレセントリックレンズ14は、撮像部16を構成する。撮像部16は、図1に示すように、レコード盤1の一面1aに対向して配置される。
【0016】
光源11は、光を出射する。光源11としては、例えば、白色蛍光ランプあるいは発光ダイオードなどを用いることができる。
【0017】
ハーフミラー12は、光源11から出射された光をレコード盤1の一面1aに向かって反射する。ハーフミラー12で反射された光は、レコード盤1の一面1aの一部に照射される。すなわち、光源11から出射された光は、ハーフミラー12を介して、レコード盤1に照射される。ハーフミラー12を介してレコード盤1に照射された光は、レコード盤1で反射する。ハーフミラー12は、レコード盤1で反射した反射光を透過させる。
【0018】
撮像素子13は、受光面を有し、受光面で受光した光を光電変換し、電気信号(以下、「撮像信号」と称する)を出力する。撮像素子13としては、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサあるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを用いることができる。
【0019】
テレセントリックレンズ14は、テレセントリックレンズ14の光軸と平行な光を透過するレンズである。テレセントリックレンズ14は、音溝1c内の所定の深さの位置が焦点位置となるように配置される。テレセントリックレンズ14は、光源11からの光がテレセントリックレンズ14の焦点位置で反射した反射光のうち、テレセントリックレンズ14の光軸と平行な反射光を、撮像素子13の受光面に結像させる。上述したように、テレセントリックレンズ14の焦点位置が音溝1c内の所定の深さとなるように、テレセントリックレンズ14は配置される。したがって、テレセントリックレンズ14は、光源11からの光が焦点位置における音溝1cの内壁で反射した反射光のうち、テレセントリックレンズ14の光軸と平行な光を撮像素子13の受光面に結像させる。
【0020】
上述したように、撮像部16はレコード盤1の一面1aに対向して配置される。より具体的には、撮像部16は、光源11から出射され、ハーフミラー12で反射された光がレコード盤1の一面1aに照射されるように配置される。また、撮像部16は、レコード盤1に照射され、レコード盤1で反射した反射光がハーフミラー12に入射するように配置される。
【0021】
画像処理部15は、撮像素子13から出力された撮像信号に基づいて、レコード盤1に形成された音溝1cの形状を示す画像を生成する。
【0022】
本実施形態においては、テレセントリックレンズ14を用いることで、光源11からの光がテレセントリックレンズ14の焦点位置における音溝1cの内壁で反射した反射光のうち、テレセントリックレンズ14の光軸と平行な光のみが、撮像素子13で受光される。したがって、焦点位置以外の位置での反射光および斜め方向からテレセントリックレンズ14に入射した反射光などは、撮像素子13において受光されない。そのため、撮像素子13の撮像信号から、焦点位置における音溝1cの形状を高精度に示す画像を生成することができる。したがって、レコード盤1に形成された音溝1cにレコード針を接触させることなく、音溝1cの形状を読み取ることができる。
【0023】
レコード針を音溝1cに接触させることなく音溝1cの形状を読み取る方法として、レーザダイオードと、光センサとを備えるレーザピックアップを用いる方法もある。この方法では、レーザダイオードから出射されたレーザ光を音溝1cの内壁に照射し、照射したレーザ光が音溝1cの内壁で反射した反射光を光センサで受光することで、音溝1cの形状が読み取られる。一般に、上述したようなレーザピックアップは高価であり、レーザピックアップを用いる方法では高コスト化を招いてしまう。一方、本実施形態に係る読取装置10では、そのような高価な部材を用いることなく、より安価に音溝1cの形状を読み取ることができる。
【0024】
図3Aは、本実施形態に係る読取装置10において、画像処理部15が生成する音溝1cの形状を示す画像の一例を示す図である。また、図3Bは、テレセントリックレンズ14の代わりに、光軸に対して斜め方向から入射した光も透過する通常のレンズを用いた場合の、画像処理部15が生成する音溝1cの形状を示す画像の一例を示す図である。
【0025】
図3Bに示すように、通常のレンズを用いた場合、音溝1cの形状を明確に把握可能な画像が得られなかった。一方、本実施形態に係る読取装置10においては、図3Aに示すように、音溝1cの形状を明確に把握可能な画像が得られた。したがって、本実施形態に係る読取装置10によれば、レコード盤1に形成された音溝1cの形状を高精度に読み取ることができる。
【0026】
図4は、本実施形態に係る読取装置10の構成例を示す図である。図4において、図1と同様の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。本実施形態に係る読取装置10は、レコード盤1を周方向に回転させながら、撮像部16によりレコード盤1の一部に光源11からの光を照射することで、光の照射範囲を撮像し、音溝1cの形状を示す画像を生成する。
【0027】
図4に示す読取装置10は、画像処理部15と、撮像部16と、案内プローブ17と、保持部18と、焦点位置調整部19とを備える。
【0028】
案内プローブ17は、撮像部16に固定され、レコード盤1の一面1aに形成された音溝1cに接触する針である。案内プローブ17は、音溝1cと接触しながらのレコード盤1の回転により変形しないような、高い剛性および靭性を有する素材により構成される。案内プローブ17の先端(音溝1cとの接触箇所)には、音溝1cの摩耗を低減するために、レコード盤1との摩擦を低減して滑りをよくする表面処理が施されている。案内プローブ17と音溝1cとの接触箇所は、撮像部16による撮像箇所の近傍である。案内プローブ17が撮像部16の撮像箇所の近傍でレコード盤1の音溝1cと接触することで、レコード盤1にたわみ(波打ち)がある場合にも、撮像部16と音溝1cとの距離を所定値以上に保つことができる。
【0029】
保持部18は、レコード盤1を周方向に回転可能に保持するとともに、レコード盤1の一面1aに沿った方向に移動可能に保持する。上述したように、撮像部16は、レコード盤1の一面1aの一部の範囲に光源11からの光が照射されるように固定される。保持部18により、レコード盤1を周方向に回転させつつ、レコード盤1を一面1aに沿って移動させることで、光源11からの光の照射位置を変更することができる。その結果、レコード盤1の一面1a全面を撮像し、音溝1cの形状を読み取ることができる。
【0030】
上述したように、案内プローブ17は、レコード盤1の音溝1cに接触する。したがって、案内プローブ17自体が変位可能であれば、レコード盤1の回転に伴って、案内プローブ17は、レコード盤1の径方向に移動する。しかしながら、本実施形態においては、案内プローブ17は、撮像部16に固定されており、案内プローブ17自体が変位することはできない。そのため、案内プローブ17は、レコード盤1の回転に伴って、案内プローブ17と音溝1cとの接触位置がレコード盤1の径方向に移動するように、レコード盤1を径方向に引っ張る力を生じさせる。保持部18は、その力により、レコード盤1を一面1aに沿って移動させる。すなわち、保持部18は、レコード盤1の回転に伴って、案内プローブ17の音溝1cとの接触箇所がレコード盤1の径方向に移動するように、レコード盤1を移動させる。
【0031】
上述したように、画像処理部15は、撮像素子13の撮像信号から、音溝1cの形状を示す画像を生成する。画像処理部15は、生成した画像を後述する外部装置に出力する。また、画像処理部15は、生成した画像を焦点位置調整部19に出力してもよい。
【0032】
焦点位置調整部19は、画像処理部15により生成された音溝1cの形状を示す画像に基づき、テレセントリックレンズ14の焦点位置を調整する。例えば、焦点位置調整部19は、生成された画像における音溝1cの形状により示される波形の振幅および周波数に基づき、焦点位置を調整する。一般に、レコード針との接触による摩耗が音溝に生じていない場合、音溝の形状により示される波形の振幅および周波数は所定値以上となることが知られている。焦点位置調整部19は、生成された画像における音溝1cの形状により示される波形の振幅および周波数がその所定値未満である場合、テレセントリックレンズ14の焦点位置が、レコード針による摩耗が生じている部分に含まれると判定し、テレセントリックレンズ14の焦点位置を調整する。こうすることで、テレセントリックレンズ14の焦点位置を、レコード針と音溝1cとの摩耗が生じていない部分に自動的に調整することができる。テレセントリックレンズ14の焦点位置は手動により調整可能であってもよい。
【0033】
図5は、保持部18の構成例を示す図である。
【0034】
図5に示す保持部18は、弾性部材181a,181bと、フランジ182a,182bと、滑り止めシート183a,183b,183c,183dと、モータ184と、金具185とを備える。以下では、弾性部材181a,181bを区別しない場合には、弾性部材181と称する。フランジ182a,182bを区別しない場合には、フランジ182と称する。滑り止めシート183a,183b,183c,183dを区別しない場合には、滑り止めシート183と称する。
【0035】
弾性部材181aは、レコード盤1の一面1a上に滑り止めシート183aを介して設けられる。弾性部材181bは、レコード盤1の他の一面1b上に滑り止めシート183bを介して設けられる。すなわち、レコード盤1の両面に弾性部材181が設けられる。また、レコード盤1と弾性部材181との間に滑り止めシート183が設けられる。弾性部材181は、例えば、スポンジなどの弾性を有する部材である。
【0036】
フランジ182aは、弾性部材181aの、レコード盤1の一面1aとは反対側の面上に滑り止めシート183cを介して設けられる。フランジ182bは、弾性部材181bの、レコード盤1の他の一面1bとは反対側の面上に滑り止めシート183dを介して設けられる。すなわち、フランジ182は、レコード盤1およびレコード盤1の両面に設けられた弾性部材181を挟んで支持する。また、弾性部材181とフランジ182との間に滑り止めシート183が設けられる。
【0037】
滑り止めシート183は、両面において滑り止め機能を生じさせるために、両面にある程度の粘性を有する粘着剤などが塗布されたシートである。レコード盤1と弾性部材181との間に滑り止めシート183が設けられることで、レコード盤1と弾性部材181との間で滑りが発生すること防ぐことができる。また、弾性部材181とフランジ182との間に滑り止めシート183が設けられることで、弾性部材181とフランジ182との間で滑りが発生することを防ぐことができる。
【0038】
モータ184は、フランジ182bを、レコード盤1の周方向に回転させる。フランジ182bの回転により、フランジ182bと滑り止めシート183を介して接続された弾性部材181b、レコード盤1、弾性部材181aおよびフランジ182aは、レコード盤1の周方向に回転する。
【0039】
金具185は、弾性部材181、フランジ182、滑り止めシート183およびレコード盤1からなる積層体をレコード盤1の一面1a側から固定する。金具185は、モータ184によるレコード盤1などの回転が妨げられない程度の強度で、積層体を固定する。
【0040】
レコード盤1の中心には穴(センターホール)が設けられ、レコード盤1は、センターホールにセンタースピンドルが挿入された状態で周方向に回転する。保持部18は、センターホールを中心にレコード盤1が周方向に回転可能なように、レコード盤1を保持する。ここで、レコード盤1に設けられたセンターホールが、レコード盤1の中心位置からずれている場合がある。この場合、レコード盤1の偏心により、レコード盤1の回転に伴って、案内プローブ17と音溝1cとの接触箇所の位置ずれが生じることがある。このような位置ずれにより、案内プローブ17が音溝1cから外れてしまうことがある。案内プローブ17が音溝1cから外れてしまうと、音溝1cの形状を連続的に読み取ることができなくなってしまう。
【0041】
本実施形態においては、弾性部材181によりレコード盤1の両面を挟んで保持することで、レコード盤1の偏心による案内プローブ17と音溝1cとの接触箇所の位置ずれを吸収し、案内プローブ17が音溝1cから外れることを防ぐことができる。その結果、音溝1cの形状を連続的に読み取ることができる。
【0042】
図6は、本実施形態に係る読取装置10の動作の一例を示すフローチャートであり、読取装置10における、音溝1cの形状の読取方法について説明するための図である。
【0043】
まず、レコード盤1が保持部18により保持される。光源11は光を出射し、光源11から出射された光はハーフミラー12で反射され、レコード盤1に照射される(ステップS11)。
【0044】
レコード盤1に照射された光はレコード盤1で反射し、反射光がハーフミラー12に入射する。ハーフミラー12は、入射した反射光を透過する。上述したように、テレセントリックレンズ14は、音溝1c内の所定の深さの位置を焦点位置とするレンズである。テレセントリックレンズ14は、光源11からの光が焦点位置における音溝1cの内壁で反射した反射光のうち、テレセントリックレンズ14の光軸と平行な光を撮像素子13の受光面に結像させる(ステップS12)。
【0045】
撮像素子13は、受光面で受光した光を光電変換し、撮像信号を生成する。画像処理部15は、撮像素子13により生成された撮像信号に基づいて、音溝1cの形状を示す画像を生成する(ステップS13)。
【0046】
このように本実施形態に係る読取装置10は、光源11と、撮像素子13と、テレセントリックレンズ14と、画像処理部15とを備える。光源11は、レコード盤1に光を照射する。テレセントリックレンズ14は、音溝1c内の所定の深さの位置を焦点位置とし、光源11からの光が焦点位置における音溝1cの内壁で反射した反射光のうち、テレセントリックレンズ14の光軸と平行な反射光を撮像素子13の受光面に結像させる。画像処理部15は、撮像素子13の撮像信号に基づいて音溝1cの形状を示す画像を生成する。
【0047】
テレセントリックレンズ14を用いることで、テレセントリックレンズ14の焦点位置における音溝1cの内壁で反射し、テレセントリックレンズ14の光軸と平行な反射光のみが撮像素子13で受光される。そのため、焦点位置以外の位置での反射光および斜め方向からテレセントリックレンズ14に入射した反射光などは、撮像素子13において受光されないので、撮像素子13の撮像信号から、焦点位置における音溝1cの形状を高精度に示す画像を生成することができる。したがって、レコード盤1に形成された音溝1cにレコード針を接触させることなく、音溝1cの形状を読み取ることができる。また、レーザピックアップなどの高価な部材を用いる必要が無いので、より安価に音溝1cの形状を読み取ることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、本開示の第2の実施形態に係る読取装置10Aについて説明する。本実施形態に係る読取装置10Aは、レコード盤1を回転させることなく、読取装置10Aがレコード盤1の一面1a上を移動することで、音溝1cの形状を読み取るものである。本実施形態に係る読取装置10Aの構成について、図7A,7Bを参照して説明する。図7Aは、本実施形態に係る読取装置10Aがレコード盤1の一面1a上に載置された状態を、レコード盤1の厚み方向から見た図である。図7Bは、本実施形態に係る読取装置10Aがレコード盤1の一面1a上に載置された状態を、レコード盤1の径方向から見た図である。図7A,7Bにおいて、図1と同様の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0049】
図7A,7Bに示す読取装置10Aは、複数の光源11と、撮像素子13と、画像処理部15と、シリンドリカルレンズ21,22とを備える。
【0050】
複数の光源11は、一列に並んで配列される。
【0051】
シリンドリカルレンズ21は、少なくとも片面がシリンドリカル面で構成されているレンズである。シリンドリカル面とは円筒面のことで、一方向には曲率を持つが、それと直交する方向には曲率を持たない面のことである。図7Aに示すように、シリンドリカルレンズ21は、シリンドリカルレンズ21の長軸が複数の光源11の配列方向に沿って設けられる。シリンドリカルレンズ21は、図7Aに示すように、複数の光源11から入射された光を線状に集光し、レコード盤1の一面1aに向けて出射する。すなわち、複数の光源11は、シリンドリカルレンズ21を介して、線状の光をレコード盤1に照射する。レコード盤1に照射された光は、レコード盤1で反射する。
【0052】
シリンドリカルレンズ22は、シリンドリカルレンズ21から出射され、レコード盤1で反射した反射光が入射する位置に設けられる。シリンドリカルレンズ22は、レコード盤1の一面1aに形成された音溝1c内の所定の深さの位置を焦点位置とするレンズである。シリンドリカルレンズ22は、シリンドリカルレンズ21を介した光源11から光が、焦点位置における音溝1cの内壁で反射した反射光のうち、シリンドリカルレンズ22の光軸と平行な光を撮像素子13の受光面に結像させる。
【0053】
そのため、本実施形態に係る読取装置10Aによれば、第1の実施形態に係る読取装置と同様に、レンズ(シリンドリカルレンズ22)焦点位置における音溝1cの内壁で反射した反射光のうち、レンズ(シリンドリカルレンズ22)の光軸と平行な反射光のみを撮像素子13の受光面に受光させる。そのため、第1に実施形態に係る読取装置10と同様に、レコード盤1に形成された音溝1cにレコード針を接触させることなく、音溝1cの形状を読み取ることができる。また、レーザピックアップなどの高価な部材を用いる必要が無いので、より安価に音溝1cの形状を読み取ることができる。
【0054】
第1の実施形態に係る読取装置10は、レコード盤1を回転させつつレコード盤1を移動させることで、撮像部16の撮像範囲をずらしていき、レコード盤1の全面を走査して、音溝1cの形状を読み取る。一方、本実施形態に係る読取装置10Aは、レコード盤1は回転させずに、読取装置10Aがレコード盤1の一面1a上を移動しながら走査することで、音溝1cの形状を読み取る。すなわち、本実施形態に係る読取装置10Aは、レコード盤1の音溝1cが形成された一面1aをシリンドリカルレンズ21から出射される線状の光により走査可能に構成される。
【0055】
例えば、本実施形態に係る読取装置10Aは、ユーザが手で動かして対象を走査する、いわゆるハンディスキャナとして構成される。読取装置10Aがハンディスキャナとして構成される場合、図7A、7Bに示す読取装置10Aにおいては、読取装置10Aがレコード盤1上に載置され、シリンドリカルレンズ21から出射された線状の光がレコード盤1に照射された状態で、ユーザが読取装置10Aをレコード盤1の一面1a上で移動させる。こうすることで、レコード盤1の一面1a全面を走査することができる。
【0056】
読取装置10Aがハンディスキャナとして構成されることで、シリンドリカルレンズ21から出射された線状の光の照射範囲(読取装置10Aの走査範囲)の長さが、レコード盤1の直径よりも大きい場合には、図8Aに示すように、読取装置10Aをレコード盤1の径方向沿って移動させることで、レコード盤1の全面を走査し、音溝1cの形状を読み取ることができる。また、読取装置10Aの走査範囲が、レコード盤1の直径よりも小さい場合には、図8Bに示すように、位置をずらして複数回に分けて、読取装置10Aをレコード盤1の径方向に沿って移動させることで、レコード盤1の全面を走査し、音溝1cの形状を読み取ることができる。また、図8Cに示すように、読取装置10Aをレコード盤1の周方向に沿って移動させることで、レコード盤1の全面を走査し、音溝1cの形状を読み取ってもよい。
【0057】
読取装置10Aをレコード盤1上で移動させて音溝1cの形状を読み取ることで、レコード盤1を回転させる必要が無くなる。そのため、レコード盤1の偏心あるいはレコード盤1のたわみの影響を受けずに、音溝1cの形状を読み取ることができる。
【0058】
なお、本実施形態のように、読取装置10Aをレコード盤1上で移動させることで音溝1cの形状を読み取る場合、読取装置10Aの移動に伴って順次生成される、音溝1cの形状を示す画像を、音溝1cの連続性が保たれるようにつなぎ合わせる必要がある。
【0059】
そこで、本実施形態においては、読取装置10Aによりレコード盤1を走査する際に、図9に示す載置部30に載置するのが好ましい。載置部30は、レコード盤1を載置する載置領域31と、載置領域31の周辺に配置されたマーカ32とを備える。マーカ32は、例えば、所定の基準位置からの回転位置を識別可能な態様で設けられる。載置部30は、例えば、載置領域31とマーカ32とが印刷された紙媒体などで構成される。
【0060】
載置部30の載置領域31にレコード盤1が載置された状態で、読取装置10Aにより、載置領域31に載置されたレコード盤1および載置領域31の周辺に配置されたマーカ32を含む領域を走査する。画像処理部15は、撮像素子13の撮像信号から、音溝1cの形状を読み取るとともに、マーカ32を読み取る。そして、画像処理部15は、マーカ32の読取結果に応じて、音溝1cの形状を示す画像を生成する。すなわち、画像処理部15は、読取装置10Aの移動に伴って順次生成される、音溝1cの形状を示す画像に含まれるマーカ32により示される基準位置からの回転位置に齟齬が生じないように、各画像をつなぎ合わせる。こうすることで、音溝1cの連続性が保たれた、音溝1cの形状を示す画像を生成することができる。
【0061】
なお、本実施形態に係る読取装置10Aが、図4を参照して説明した、焦点位置調整部19を備えていてもよい。
【0062】
本開示に係る読取装置10,10Aは、種々のシステムに適用可能である。例えば、読取装置10,10Aは、レコード盤1に記録された音声を再生する音声再生システムに適用可能である。
【0063】
図10は、本開示に係る読取装置10(もしくは読取装置10A)を含む音声再生システム100の構成例を示す図である。
【0064】
図10に示す音声再生システム100は、読取装置10(もしくは読取装置10A)と、外部装置としての再生装置110とを備える。
【0065】
再生装置110は、読取装置10(もしくは読取装置10A)により生成された音溝1cの形状を示す画像に基づき、レコード盤1に記録された音声を再生する。具体的には、再生装置110は、読取装置10(もしくは読取装置10A)により生成された音溝1cの形状を示す画像に対する画像認識を行い、音溝1cの形状により示される波形の振幅および周波数を特定する。そして、再生装置110は、特定した振幅および周波数に応じた音声を再生する。上述したように、読取装置10,10Aにより、レコード針との接触による摩耗が生じていない部分の音溝1cの形状を読み取ることで、再生装置110は、レコード盤1に記録された音声を高い再現性で再生することができる。
【0066】
また、本開示に係る読取装置10,10Aは、レコード盤1の状態を評価する評価システムに適用可能である。
【0067】
図11は、本開示に係る読取装置10(もしくは読取装置10A)を含む評価システム200の構成例を示す図である。
【0068】
図11に示す評価システム200は、読取装置10(もしくは読取装置10A)と、外部装置としての評価装置210とを備える。
【0069】
評価装置210は、読取装置10(もしくは読取装置10A)により生成された音溝1cの形状を示す画像に基づき、レコード盤1の状態を評価し、評価結果を出力する。上述したように、レコード針との接触による摩耗が音溝1cに生じていない場合、音溝1cの形状により示される波形の振幅および周波数は所定値以上となることが知られている。評価装置210は、読取装置10(もしくは読取装置10A)により生成された音溝1cの形状を示す画像に対する画像認識を行い、音溝1cの形状により示される波形の振幅および周波数を特定する。そして、評価装置210は、特定した振幅および周波数と、上述した摩耗のないレコード盤における振幅および周波数の所定値との比較により、音溝1cの形状を読み取ったレコード盤1の状態を評価する。
【0070】
一般に、レコード盤1の外観だけでは、音溝1cの劣化の程度まで評価することは困難である。本開示に係る評価システム200によれば、レコード盤1の音溝1cの形状を読み取ることで、音溝1cの摩耗による劣化の程度を推定し、レコード盤1の状態をより適切に評価することができる。
【0071】
なお、上述した実施形態においては、レコード溝1cの形状を読み取るためのレンズとして、テレセントリックレンズ14あるいはシリンドリカルレンズ23を用いた光学系を例として説明したが、これらに限られるものではない。光源11からの光が音溝1cの内壁で反射した反射光のうち、レンズの光軸と平行な反射光を撮像素子13の受光面に結像させることができれば、任意のレンズを用いた光学系を本発明に適用することができる。
【0072】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本開示の趣旨および範囲内で、多くの変更および置換が可能であることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形および変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 レコード盤
1a レコード盤の一面
1b レコード盤の他の一面
1c 音溝
10,10A 読取装置
11 光源
12 ハーフミラー
13 撮像素子
14 テレセントリックレンズ
15 画像処理部
16 撮像部
17 案内プローブ
18 保持部
19 焦点位置調整部
21,22 シリンドリカルレンズ
30 載置部
31 載置領域
32 マーカ
100 音声再生システム
110 再生装置
200 評価システム
210 評価装置
181a,181b 弾性部材
182a,182b フランジ
183a,183b,183c,183d 滑り止めシート
184 モータ
185 金具
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11