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特許7461111タービンにおいて使用するための案内羽根装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】タービンにおいて使用するための案内羽根装置
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/02 20060101AFI20240327BHJP
   F01D 5/14 20060101ALN20240327BHJP
【FI】
F01D9/02 101
F01D5/14
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019091136
(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公開番号】P2019206965
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】18172093.9
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519171642
【氏名又は名称】アリアーネグループ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ルイ スフェライン
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-232603(JP,A)
【文献】国際公開第2017/085383(WO,A1)
【文献】特開2006-177341(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0079060(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 9/02
F01D 5/14
F01D 25/00
F02C 7/00
B33Y 10/00
B33Y 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内羽根装置(10)であって、この装置(10)が、
第1の案内羽根(12)と、
第2の案内羽根(14)であって、前記第2の案内羽根(14)が前記第1の案内羽根(12)に隣接して配置されるので、流路(16)が、前記第1の案内羽根(12)の前面(18)と前記第2の案内羽根(14)の後面(20)との間に画定される、第2の案内羽根(14)と、を具備する案内羽根装置において、
前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)が、
前記第2の案内羽根(14)の後縁部(34)に隣接して配置されていて且つ前記第1の案内羽根(12)の後縁部(30)と前記第2の案内羽根(14)の前記後縁部(34)とにより画定される、仮想平面(P)に対して第1の角度(αout)において配置される、後部分(32)と、
前記第2の案内羽根(14)の前縁部(38)に隣接して配置されていて且つ前記第1の案内羽根(12)の前記後縁部(30)と前記第2の案内羽根(14)の前記後縁部(34)とにより画定される、前記仮想平面(P)に対して第2の角度(αin)において配置される、前部分(36)であって、前記第2の角度(αin)が前記第1の角度(αout)より大きい、前部分(36)と、
前記後部分(32)と前記前部分(36)との間に配置されていて且つ前記第1の案内羽根(12)の前記後縁部(30)と前記第2の案内羽根(14)の前記後縁部(34)により画定される、前記仮想平面(P)に対して第3の角度(αinter)において配置される、中間部分(40)であって、前記第3の角度(αinter)が前記第1の角度(αout)よりも小さい、中間部分(40)と、を具備し、
前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)は、前記第1の案内羽根(12)の後縁部(30)に隣接して配置された出口部分(28)を備え、
前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の前記前部分(36)の前記仮想平面(P)への投影は、前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)の前記出口部分(28)の前記仮想平面(P)への投影と少なくとも部分的に一致
前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の前記中間部分(40)の前記仮想平面(P)への投影は、前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)の出口部分(28)の前記仮想平面(P)への投影と一致しないことを特徴とする案内羽根装置(10)。
【請求項2】
前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)は、
前記第1の案内羽根(12)の前縁部(26)に隣接して配置されていて且つ前記流路(16)の中心軸線(C)に対して、前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の前記前部分(36)に対向して配置される、入口部分(24)であって、前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)の前記入口部分(24)及び前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の前記前部分(36)が、前記流路(16)を介して流れる流体流れ(F)の流れ方向において減少する、流れ断面を有する前記流路(16)の制限部分(42)を画定する、入口部分(24)をさらに具備する、ことを特徴とする請求項1に記載の案内羽根装置。
【請求項3】
前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の前記後部分(32)の前記仮想平面(P)への投影は、前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)の出口部分(28)の前記仮想平面(P)への投影と一致しない、ことを特徴とする請求項2に記載の案内羽根装置。
【請求項4】
前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)は、第1の移行部分(44)を更に具備しており、
前記第1の移行部分(44)は、前記前部分(36)と前記中間部分(40)との間に配置されており、前記流路(16)の前記中心軸線(C)に対して、前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)の前記出口部分(28)に対向して配置されており、及び/又は、前記流路(16)の前記中心軸線(C)に対して凸状曲率を有しており、
前記流路(16)は、前記流路(16)を出る時に、前記流体流れ(F)が所望の第1の流速(Mout)において流れるように設計されており、
前記第1の移行部分(44)及び前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)の前記出口部分(28)は、前記流路(16)を介して流れる前記流体流れの流れ方向において増大する、流れ断面を有する、前記流路(16)の膨張部分(46)を画定、更に、
前記膨張部分(46)は、前記膨張部分(46)を介して流れる時に、前記流体流れ(F)が前記所望の第1の流速(Mout)よりも高い第2の流速(Mexp)まで加速されるように設計される、ことを特徴とする請求項2に記載の案内羽根装置。
【請求項5】
前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)は、第2の移行部分(48)を更に具備しており、
前記第2の移行部分(48)は、前記中間部分(40)と前記後部分(32)との間に配置されており、及び/又は、前記流路(16)の前記中心軸線(C)に対して凹状の曲率を有しており、
前記第2の移行部分(48)は、前記流路(16)を介して流れる前記流体流れ(F)の流れ方向において減少する、流れ断面を有する、前記流路(16)の再圧縮部分(50)を画定
前記再圧縮部分(50)は、前記流体流れ(F)が、前記再圧縮部分(50)を介して流れる際に、前記所望の第1の流速(Mout)まで減速されるように設計される、ことを特徴とする請求項4に記載の案内羽根装置。
【請求項6】
前記第2の角度(αin)は、取り外し可能な支持構造により支持されることなく、付加製造法により前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の前記前部分(36)の製造を可能にするように選択されており、
前記第2の角度(αin)は、25度よりも大き、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の案内羽根装置。
【請求項7】
前記第1の案内羽根(12)と前記第2の案内羽根(14)は、お互いに及びキャリア構造(22)と一体的に形成されており、前記キャリア構造(22)は、タービンマニホールド及び/又はタービンハウジングにより画定される、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の案内羽根装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の案内羽根装置(10)を運転する方法であって、
第1の案内羽根(12)の前面(18)と第2の案内羽根(14)の後面(20)との間に画定された、流路(16)に流体流れ(F)を供給する手順と、
前記第2の案内羽根(14)の後縁部(34)に隣接して配置された、前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の後部分(32)に沿って前記流体流れ(F)を案内する手順であって、それにより前記流体流れ(F)が前記第1の案内羽根(12)の後縁部(30)と前記第2の案内羽根(14)の前記後縁部(34)とにより画定される、仮想平面(P)に対して第1の流れ角度(αFout)において流路(16)を出るように、前記流体流れ(F)を偏向させる手順と、を具備する方法において、
前記流体流れ(F)は、前記後面(20)の前記後部分(32)に沿って案内される前に、前記第2の案内羽根(14)の前縁部(38)に隣接して配置された、前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の前部分(36)に沿って、前記流体流れ(F)が案内されており、それにより前記流体流れ(F)が前記第1の案内羽根(12)の前記後縁部(30)と前記第2の案内羽根(14)の前記後縁部(34)とにより画定される、前記仮想平面(P)に対して第2の流れ角度(αFin)において流れるように偏向されており、前記第2の流れ角度(αFin)は、前記第1の流れ角度(αFout)より大きく、
そしてその後、前記流体流れ(F)は、前記後部分(32)と前記前部分(36)との間に配置された、第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の中間部分(40)に沿って案内されており、それにより前記第1の案内羽根(12)の前記後縁部(30)と前記第2の案内羽根(14)の前記後縁部(34)とにより画定される、前記仮想平面(P)に対して第3の流れ角度(αFinter)において、前記流体流れ(F)が流れるように偏向されており、前記第3の流れ角度(αFinter)は、前記第1の流れ角度(αFout)よりも小さい、ことを特徴とする案内羽根装置の運転方法。
【請求項9】
前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)は、前記第1の案内羽根(12)の前縁部(26)に隣接して配置されていて且つ前記流路(16)の中心軸線(C)に対して、前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の前記前部分(36)と対向して配置される、入口部分(24)を具備しており、そして
前記流体流れ(F)の流速は、前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)の前記入口部分(24)と前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の前記前部分(36)とにより画定されていて且つ前記流路(16)を介して流れる前記流体流れ(F)の流れ方向において減少する、流れ断面を有する、前記流路(16)の制限部分(42)を介して案内される時に加速される、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)は、第1の移行部分(44)を更に具備しており、前記第1の移行部分(44)は、
前記前部分(36)と前記中間部分(40)との間に配置されており、
前記流路(16)の前記中心軸線(C)に対して、前記第1の案内羽根(12)の後縁部(30)に隣接して配置される、前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)の出口部分(28)に対向して配置されており、及び/又は、
前記流路(16)の前記中心軸線(C)に対して、凸状曲率を有しており、
前記流路(16)内の前記流体流れ(F)の流速は、前記流路(16)を出る時に前記流体流れ(F)が所望の第1の流速(Mout)において流れるように制御されており、そして、
前記流体流れ(F)の流速は、前記第1の移行部分(44)と前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)の前記出口部分(28)とにより画定されていて且つ前記流路(16)を介して流れる前記流体流れ(F)の前記流れ方向において増大する流れ断面を有する、前記流路(16)の膨張部分(46)を介して案内される時に、前記所望の第1の流速(Mout)より高い、第2の流速(Mexp)まで加速される、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)は、第2の移行部分(48)を更に具備しており、
前記第2の移行部分(48)は、前記中間部分(40)と前記後部分(32)との間に配置されており、及び/又は、前記流路(16)の前記中心軸線(C)に対して、凹状曲率を有しており、
前記流体流れ(F)の前記流速は、前記第2の移行部分(48)により画定されていて且つ前記流路(16)を介して流れる前記流体流れ(F)の前記流れ方向において減少する流れ断面を有する、前記流路(16)の再圧縮部分(50)を介して案内される時に、前記所望の第1の流速(Mout)まで減速される、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記案内羽根装置(10)は、付加製造法により製造される、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の案内羽根装置の製造方法。
【請求項13】
前記案内羽根装置(10)の層状形成において、少なくとも前記中間部分(40)及び選択可能に後部分(32)もまた、支持構造(S)により支持される、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記案内羽根装置(10)の層状形成が完了した後に、前記支持構造(S)を取り外す手順を具備する、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~7のいずれか一項に記載の案内羽根装置(10)を具備する、ターボポンプにおける使用のためのタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンにおいて使用するための案内羽根装置と、案内羽根装置の運転方法と、案内羽根装置の製造方法と、案内羽根装置を具備するタービンと、に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばターボポンプにおいて使用するためのタービン等の、タービンは一般的に、タービンの回転子の上流に配置されていて且つ流体流れが供給される前に流体流れを加速及び偏向させるように機能する、案内羽根装置又は案内格子を備える。特に、案内羽根装置は、回転子がその設計条件において動作することを可能にする、角度及び流速において流体流れが回転子翼に衝突するような状態で流体流れを加速及び偏向させる。
【0003】
ターボポンプタービンにおいて使用するための案内羽根装置は、多段階式製造工程において製造される。第1の手順において、案内羽根及び、同様に案内羽根装置のキャリア(支持部)構成要素、例えばタービンマニホールド管の管本体又はタービンハウジング等は、お互いに別々に鋳造又は機械加工される。その後、個別の構成要素は、お互いに溶接される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、その複雑な幾何学的形状にも係わらず、簡単で且つ費用効果の高い方法で製造可能な案内羽根装置を特定することを目的とする。更に、本発明は、この種の案内羽根装置を運転する方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、この種の案内羽根装置を簡単で且つ費用効果の高い方法で製造することを可能にする、方法を提供することを目的とする。最後に、本発明は、この種の案内羽根装置を備えた、タービンを特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する案内羽根装置と、請求項9の特徴を有する案内羽根装置を運転する方法と、請求項12の特徴を有する案内羽根装置を製造するための方法と、請求項15の特徴を有するタービンと、により達成される。
【0006】
特にターボポンプにおける使用のために適した、案内羽根装置は、第1の案内羽根と第2の案内羽根とを具備する。第2の案内羽根は、流路が、第1の案内羽根の前面と第2の案内羽根の後面との間において画定されるように、第1の案内羽根に隣接して配置される。案内羽根装置は、例えば回転対称な案内格子を形成するように配置されてもよい、複数の第1と第2案内羽根を具備することが好ましい。案内格子は、タービン回転子の上流でタービンマニホールド内に設置されてもよく、そして回転子シャフト(軸)の周りにおいて回転対称な状態で伸びてもよい。案内羽根装置の案内羽根は、隣接する案内羽根の間に画定された流路を介してタービン回転子に供給されるべき流体流れを、流体流れが所望の速度及び所望の角度において回転子の回転子翼に衝突するように制御する、即ち偏向させ且つ加速させる、ように機能する。
【0007】
第1と第2の案内羽根は、同一の形状を有することが好ましい。従って、本明細書において1つの隣接する「第2の案内羽根」に対して「第1の案内羽根」と指定される、案内羽根はまた、別の隣接する「第1の案内羽根」に対して「第2の案内羽根」を構成する。
【0008】
第2の案内羽根の後面は、第2の案内羽根の後縁部に隣接して配置されていて且つ第1の案内羽根の後縁部と第2の案内羽根の後縁部とにより画定される、仮想平面に対して第1の角度において配置される、後部分を具備する。具体的には、後部分と仮想平面とによって画定される第1の角度は、流体流れが仮想平面に対して所望の流れ角度において流路から出るように、流路を介して流れる流体流れが制御されるように選択される。一般的には、後部分と仮想平面とにより画定される第1の角度は、流路を出る時に、流体流れが仮想平面と画定する、所望の流れ角度に実質的に対応する。
【0009】
第2の案内羽根の後面は、第2の案内羽根の前縁部に隣接して配置されていて且つ第1の案内羽根の後縁部と第2の案内羽根の後縁部とにより画定される、仮想平面に対して第2の角度において配置される、前部分を更に具備する。第2の角度は、第1の角度より大きい。従って、流路に入った後に、流体流れは、前部分に沿って流れ、それにより流路を出る時の流体流れの所望の流れ角度よりも大きい、仮想平面との流れ角度を画定するように偏向される。
【0010】
従って、第2の案内羽根の後面はまた、後部分と前部分との間に配置されていて且つ第1の案内羽根の前縁部と第2の案内羽根の後縁部により画定される、仮想平面に対して第3の角度(αinter)において配置される、中間部分を備える。第3の角度は、第1の角度よりも小さい。従って、中間部分に沿って流れる時に、流体流れは、流路を出る時の流体流れの所望の流れ角度よりも小さい、仮想平面との流れ角度を画定するように偏向される。
【0011】
第2の案内羽根の後面の上述の設計は、第2の案内羽根の後面の前部分が、従来技術の設計よりも大きな角度である、案内羽根の後縁部により画定される仮想平面に対する角度で伸びることを可能にする。結果として、例えば前部分に表面仕上げを施すために、又は付加製造法中に前部分を支持するために付加製造法により形成された支持構造を取り外すために、前部分への接近可能性は改善される。案内羽根装置の設計に応じて、場合によっては、支持構造もまた完全に回避されてもよい。結果として、案内羽根装置は、付加製造法により費用効果の高い方法で製造可能である。
【0012】
特に、案内羽根装置は、粉末原料から生成的層形成法により製造可能である。具体的には、原料粉末層は、キャリア(支持部)に塗布されてもよく、そして生成されるべき案内羽根装置の所望の幾何学形状に応じて、選択された位置においてレーザー放射を受けてもよい。レーザーは、CADデータにより制御される。粉末層を貫通するレーザー放射は、原料粉末粒子の加熱、ひいては溶融又は焼結を引き起こす。続いて、案内羽根配置が所望の形状及び寸法を有するまで、キャリア上の既に放射された層に、順次更なる原料粉末層が塗布される。例えば、案内羽根装置は、金属、特にチタン、あるいはチタン又はニッケル合金で構成されてもよい。
【0013】
それとは別に、案内羽根装置はまた、しかしながら、例えばアルミニウム又は鋼合金等の別の金属材料から製作されてもよい。
【0014】
第1の案内羽根の前面は、第1の案内羽根の前縁部に隣接して配置されていて且つ流路の中心軸線に対して、第2の案内羽根の後面の前部分に対向して配置される、入口部分を具備してもよい。第1の案内羽根の前面の入口部分及び第2の案内羽根の後面の前部分は、流路の制限部分を画定してもよい。流路の制限部分は、流路を介して流れる流体流れの流れ方向において減少する、流れ断面を有してもよい。流路の制限部を介して流れる時に、流体流れは加速される。
【0015】
更に、第1の案内羽根の前面は、第1の案内羽根の後縁部に隣接して配置された、出口部分を具備してもよい。第2の案内羽根の後面の前部分の仮想平面への投影は、第1の案内羽根の前面の出口部分の仮想平面への投影と少なくとも部分的に一致することが好ましい。従って、案内羽根の後縁部の方向から見た時に、第2の案内羽根の後面の前部分は、第1の案内羽根の前面の出口部分により少なくとも部分的に覆われる。
【0016】
反対に、第2の案内羽根の後面の中間部分の仮想平面への投影は、第1の案内羽根の前面の出口部分の仮想平面への投影と一致しないことが好ましい。これとは別に又はそれに加えてやはり、第2の案内羽根の後面の後部分の仮想平面への投影は、第1の案内羽根の前面の出口部分の仮想平面への投影と一致しないことが好ましい。
【0017】
仮想平面に対する前部分の増大する角度は、後部分と仮想平面との間に画定される角度よりも更により小さい、仮想平面に対する角度で伸びる、中間部分の存在を必要とする。しかしながら、第2の案内羽根の上記の設計は、案内羽根の後縁部の方向から見た時に、第2の案内羽根の後面の中間部分及び/又は後部分が第1の案内羽根の前面の出口部分により覆われないこと、及び従って例えば、表面仕上げを提供するために、又は中間部分及び/又は後部分を支持するための案内羽根装置の付加製造中に形成される、支持構造を除去するために、容易に接近可能であることを保証する。
【0018】
第2の案内羽根の後面は、前部分と中間部分との間に配置される第1の移行部分を更に具備してもよい。流路の中心軸線に対して、第1の移行部分は、第1の案内羽根の前面の出口部分に対向して配置されてもよい。第1の移行部分は、流路の中心軸線に対して凸状曲率を有することが好ましい。
【0019】
案内羽根装置の第1と第2案内羽根との間に画定された流路は、特に、流路を出る時に、流体流れが所望の第1の流速において流れるように設計される。第1の移行部分及び第1の案内羽根の前面の出口部分は、流路の膨張部分を画定してもよい。流路の膨張部分は、流路を介して流れる流体流れの流れ方向において増大する、流れ断面を有してもよい。流路の膨張部分を介して流れる時に、流体流れは加速される。第1の移行部分と第1の案内羽根の前面の出口部分とにより画定される膨張部分は、しかしながら、膨張部分を介して流れる時に、流体流れが所望の第1の流速よりも高い第2の流速まで加速されるように設計されてもよい。従って、膨張部分は、流体流れを過膨張させる。
【0020】
第2の案内羽根の後面は、中間部分と後部分との間に配置される、第2の移行部分を更に具備することが好ましい。第2の移行部分は、流路の中心軸線に対して、凹状の曲率を有することが好ましい。案内羽根装置の好適な実施の形態において、第2の移行部分は、流路を介して流れる流体流れの流れ方向において減少する、流れ断面を有する、流路の再圧縮部分を画定する。特に、第2の移行部分により画定される再圧縮部分は、流体流れが、再圧縮部分を介して流れる際に、膨張部分を出る時で且つ第2の案内羽根の後面の中間部分に沿って流れる間に、流体流れが流れる第2の速度から、流路の出口における所望の第1の流速まで減速されるように設計される。目的は、後縁部30及び34により画定される、出口平面Pにおいて平均設計流速及び平均設計角度を生成することである。出口流れ角度及び出口速度の両方の所望の平均値を達成するように、αinter及びαoutの値は、設定されなければならない。
【0021】
案内羽根配置の好適な実施の形態において、第2の角度、即ち、第2の案内羽根の後面の前部分と、第1と第2の案内羽根の後縁部により画定される仮想平面と、により画定される角度は、取り外し可能な支持構造により支持されることなく、付加製造法により前部分の製造を可能にするように選択される。好適には、第2の角度は、25度よりも大きく、特に30度よりも大きく、そして特に好適には35度よりも大きい。それ(第2の案内羽根の後面の前部分)が案内羽根装置の付加製造中に支持をもはや必要としないような状態で、第2の案内羽根の後面の前部分を設計することにより、付加製造法の効率は、更に向上可能である。
【0022】
第2の案内羽根の後面の後部分と、第1と第2の案内羽根の後縁部により画定される仮想平面と、により画定される第1の角度は、好適には10~35度又は15~35度の範囲内であり、好適には20~30度の範囲内にあり、そして特には約25度である。第2の案内羽根の後面の前部分と、第1と第2の案内羽根の後縁部により画定される仮想平面と、により画定される第2の角度は、好適には50~70度の範囲内にあり、好適には55~65度の範囲内にあり、そして特には約60度である。第2の案内羽根の後面の中間部分と、第1と第2の案内羽根の後縁部により画定される仮想平面と、により画定される第3の角度は、好適には1~15度又は5~15度の範囲内にあり、好適には7~13度の範囲内にあり、そして特には約10度である。
【0023】
案内羽根装置の特に好適な実施の形態において、第1と第2案内羽根は、お互いに及びキャリア構造と一体的に形成される。キャリア構造は、例えば、タービンマニホールド及び/又はタービンハウジングにより画定されてもよい。案内羽根は、案内羽根装置を画定するように、お互いに隣接してキャリア構造に取り付けられてもよい。特に、キャリア構造と案内羽根と、好適には複数の第1と第2の案内羽根と、を具備する一体型の案内羽根装置は、付加製造法により製造される。
【0024】
案内羽根装置を運転する方法において、第1の案内羽根の前面と第2の案内羽根の後面との間に画定された流路に流体流れを供給する。流体流れは、第2の案内羽根の後縁部に隣接して配置された、第2の案内羽根の後面の後部分に沿って案内されており、そしてそれにより、流体流れは、第1の案内羽根の後縁部と第2の案内羽根の後縁部とにより画定される、仮想平面に対して第1の流れ角度において流路を流体流れが出るように偏向される。後面の後部分に沿って案内される前に、第2の案内羽根の前縁部に隣接して配置された、第2の案内羽根の後面の前部分に沿って流体流れが案内されており、それにより流体流れが第1の案内羽根の後縁部と第2の案内羽根の後縁部とにより画定される、仮想平面に対して第2の流れ角度において流れるように、流体流れは偏向される。第2の流れ角度は、第1の流れ角度よりも大きい。その後、流体流れは、後部分と前部分との間に配置された、第2の案内羽根の後面の中間部分に沿って案内されており、それにより第1の案内羽根の後縁部と第2の案内羽根の後縁部とにより画定される、仮想平面に対して第3流れ角度において、流体流れが流れるように偏向される。第3の流れ角度は、第1の流れ角度よりも小さい。
【0025】
第1の案内羽根の前面は、第1の案内羽根の前縁部に隣接して配置されていて且つ流路の中心軸線に対して第2の案内羽根の後面の前部分に対向して配置される、入口部分を具備することが好ましい。流体流れの流速は、第1の案内羽根の前面の入口部分と第2の案内羽根の後面の前部分とにより画定されていて且つ流路を介して流れる流体流れの流れ方向において減少する流れ断面を有する、流路の制限部分を介して案内される時に加速されてもよい。
【0026】
第2の案内羽根の後面は、第1の移行部分を更に具備することが好ましく、第1の移行部分は、前部分と中間部分との間に配置されており、流路の中心軸線に対して、第1の案内羽根の後縁部に隣接して配置される、第1の案内羽根の前面の出口部分に対向して配置されており、及び/又は流路の中心軸線に対して、凸状曲率を有する。流路内の流体流れの流速は、流路を出る時に流体流れが所望の第1の流速において流れるように制御されることが好ましい。流体流れの流速は、第1の移行部分と第1の案内羽根の前面の出口部分とにより画定されていて且つ流路を介して流れる流体流れの流れ方向において増大する流れ断面を有する、流路の膨張部分を介して案内される時に、所望の第1の流速より高い、第2の流速まで加速されることが好ましい。
【0027】
第2の案内羽根の後面は、第2の移行部分を更に具備することが好ましく、第2の移行部分は、中間部分と後部分との間に配置されており、及び/又は流路の中心軸線に対して凹状曲率を有する。流体流れの流速は、第2の移行部分により画定されていて且つ流路を介して流れる流体流れの流れ方向において減少する流れ断面を有する、流路の再圧縮部分を介して案内される時に、所望の第1の流速まで減速されることが好ましい。
【0028】
上述の案内羽根装置の製造方法において、案内羽根装置は、付加製造法により製造される。
【0029】
案内羽根装置を層状に形成する時に、少なくとも中間部分及び選択可能に後部分もまた、支持構造により支持されてもよい。
【0030】
案内羽根装置の層状形成が完了した後に、支持構造は、取り外されてもよい。
【0031】
ターボポンプにおける使用に特に適したタービンは、上述の案内羽根装置を具備する。
【0032】
本発明の好適な実施の形態はここで、添付の概略図を用いてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、従来技術による二段階式タービンを示す。
図2図2は、図1によるタービンの案内羽根装置であって、90度回転される案内羽根装置を示す。
図3図3は、本発明による案内羽根装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、第1の段階102と第2の段階104とを具備する、従来の二段階式タービン100を示す。第1のタービン段階102は、複数の第1の案内羽根106aと、複数の第1の回転子翼108aを有する第1の回転子108と、を有する第1の案内羽根装置106を具備する。第2のタービン段階104は、複数の第2の案内羽根110aと、複数の第2の回転子翼112aを有する第2の回転子112と、を有する第2の案内羽根装置110を具備する。第1と第2の案内羽根装置106、110の案内羽根106a、110aがタービンマニホールド及び/又はタービンハウジング(図示せず)内に静止して設置される一方で、第1と第2の回転子108、112の回転子翼108a、112aは、回転可能なシャフト(軸)(図示せず)に取り付けられるので、従って流体流れFが回転子翼108a、112aに衝突してタービン回転子108、112を駆動する時に、タービンマニホールド及び/又はタービンハウジングに対して回転可能である。
【0035】
第1の案内羽根装置106は、第1の回転子108に供給される、流体流れFを制御するように機能する。具体的には、流体流れFは、第1の案内羽根装置106の隣接する案内羽根106aの間に画定される、チャネル(流路)114を介して配向されると偏向されて更に、第1の回転子108がその設計条件において駆動されることを可能にする、角度及び流速において第1の回転子108の回転子翼108aに、流体流れFが供給されるように加速される。同様に、第2の案内羽根装置110は、第2の回転子112に供給される流体流れF’を制御するように機能する。具体的には、流体流れF'は、第2の案内羽根装置110の隣接する案内羽根110aの間に画定される、チャネル116を介して配向されると偏向されて更に、流体流れFが第2の回転子112の回転子翼112aに、第2の回転子112がその設計条件において駆動されることを可能にする、流れ角度及び流速において供給されるように加速されてもよい。
【0036】
案内羽根装置106、110のチャネル114、116内の流体流れF、F’の偏向及び加速は、案内羽根装置106、110の設計、即ち個々の案内羽根106a、110aの形状及び寸法、並びに隣接する案内羽根106a、110aの間の間隔に依存する。第1の案内羽根装置106において、隣接する案内羽根106aの間に画定されたチャネル114は、1つの案内羽根106aの前面119の一部と隣接する案内羽根の後面120の一部との間に画定された流れ膨張領域118を具備する。流れ膨張領域118を介して流れると、第1の回転子108に供給されるべき流体流れFは、所望の速度まで、図示の例においてMABS=1.10 / MREL=0.73まで加速される。
【0037】
加えて、図2から明らかになるように、流体流れFは、それ(流体流れF)が流体流れFと案内羽根106aの後縁部122により画定される仮想平面Pとの間に画定される、流れ角度αFoutにおいて流路114から出るように偏向される。一般的に、流体流れFと仮想平面Pとの間に画定される流れ角度αFoutは、案内羽根106aの後面120と案内羽根106aの後縁部122により画定される仮想平面Pとの間に画定される、角度αoutに実質的に対応する。図1に示される例示的なタービン100において、約20度の流れ角度αFoutにおいて第1の案内羽根装置106から出る流体流れFは、流体流れFが第1の回転子108の回転子翼108aにα=67.2度及びβ=58.0度の所望の流れ角度で供給されることを確保する。
【0038】
第1の案内羽根装置106において、案内羽根106aの後面120と案内羽根106aの後縁部122により画定される仮想平面Pとの間に画定される角度αoutは、約15度、即ち<25度である。しかしながら、それは、角度が25度よりも大きい場合であってもよい。結果として、付加製造法により第1の案内羽根装置106を製造することは、図2において参照番号124により指定される、支持構造の提供を必要とする。特に、チャネル114の流れの横断面が小さいことにより、チャネル114の流れ膨張領域118において及びそれに隣接して伸びる、支持構造124の一部分124aを取り外すことは非常に困難である。
【0039】
本発明による案内羽根装置10は、図3に示される。案内羽根装置10は、第1の案内羽根12と第2の案内羽根14とを具備する。流路16が第1の案内羽根12の前面18と第2の案内羽根14の後面20との間に画定されるように、第2の案内羽根14は、第1の案内羽根12に隣接して配置される。案内羽根装置10がタービン内に設置される時に、案内羽根装置10の下流に設置される、回転子の回転子翼に流体流れFを案内するように、流路16は機能する。
【0040】
図3は、単一の第1の案内羽根12と単一の第2の案内羽根14のみを示す。しかしながら、案内羽根装置10は、お互いに隣接するように配置されて複数の流路114を画定する、複数の第1と第2の案内羽根12、14を備える。案内羽根装置10の案内羽根12、14は、同一の形状及び寸法である。従って、図3の構成において、第1の案内羽根12の右側に配置された第2の案内羽根14に対して第1の案内羽根12を構成する、案内羽根は、第1の案内羽根12左側に配置された別の案内羽根(図3に示されない)に対して第2の案内羽根を構成する。
【0041】
第1と第2の案内羽根12、14は、お互いに、且つ図3において点線で概略的に示されるキャリア(支持部)構造22と、一体的に形成される。キャリア構造22は、例えば、回転対称なタービンマニホールド及び/又はタービンハウジングの形態で設計されてもよく、それ(タービンマニホールド及び/又はタービンハウジング)に対して、案内羽根装置10の個々の案内羽根12、14は、案内羽根装置10の下流のタービン内に設置されるべき回転子に供給されるべき、流体流れFのための案内格子を形成するように取り付けられる。
【0042】
第1の案内羽根12の前面18は、第1の案内羽根12の前縁部26に隣接して配置された入口部分24と、第1の案内羽根12の後縁部30に隣接して配置された出口部分28と、を具備する。第1の案内羽根12の前面18と共に流路16を画定する、第2の案内羽根14の後面20は、第2の案内羽根14の後縁部34に隣接して配置された後部分32と、第2の案内羽根14の前縁部38に隣接して配置された前部分36と、後部分32と前部分36との間に配置された中間部分40と、を具備する。
【0043】
第1の案内羽根12の前面18の入口部分24は、流路18の中心軸線Cに対して、第2の案内羽根14の後面20の前部分36に対向して配置されており、そして第2の案内羽根14の後面20の前部分36と共に、流路16の制限部分42を画定する。流路16の制限部分42は、流路16を介して流れる流体流れFの流れ方向において減少する、流れ断面を有する。従って、流体流れFは、制限部分42を介して案内される時に加速される、即ち制限部分42を出る時に、流体流れFは、第1と第2の案内羽根12、14の前縁部26、38の領域内の流路16に入る時の流体流れFの流速よりも速い流速を有する。
【0044】
図3から明らかになるように、第2の案内羽根14の後面20の後部分32は、第1と第2の案内羽根12、14の後縁部30、34により画定される仮想平面Pに対して第1の角度αoutにおいて伸びる。案内羽根装置10の運転中に、流体流れFは、後部分32に沿って案内され、それにより、流体流れFは、第1の角度αoutに実質的に対応する、仮想平面Pに対する第1の流れ角度αFoutにおいて流路16から出るように偏向される。
【0045】
第2の案内羽根14の後面20の前部分36は、第1と第2の案内羽根12、14の後縁部30、34により画定される仮想平面Pに対して第2の角度αinで伸びる。案内羽根装置10の運転中に、流体流れFは、後部分32に沿って案内される前に、前部分36に沿って案内され、それにより、前部分36の領域において、第2の角度αinに実質的に対応する、仮想平面Pに対する第2の流れ角度αFinにおいて、流体流れFが流れるように偏向される。
【0046】
第2の案内羽根14の後面20の中間部分40は、第1と第2の案内羽根12、14の後縁部30、34により画定される仮想平面Pに対して第3の角度αinterにおいて伸びる。案内羽根装置10の運転中に、流体流れFは、中間部分40に沿って案内され、それにより、中間部分40の領域内において、流体流れFが第3の角度αinterに実質的に対応する、仮想平面Pに対する第3の流れ角度αFinterにおいて流れるように偏向される。
【0047】
第2の角度αinは、第1の角度αoutより大きく、第3の角度αinterは、第1の角度αoutより小さい。同様に、第2の流れ角度αFinは、第1の流れ角度αFoutより大きく、第3の流れ角度αFinterは、第1の流れ角度αFoutより小さい。図3に示される案内羽根装置10の例示的な実施の形態において、第1の角度αout及び第1の流れ角度αFoutは約25度であり、第2の角度αin及び第2の流れ角度αFinは約60度であり、そして第3の角度αinter及び第3の流れ角度αFinterは約10度である。
【0048】
更に、案内羽根12、14は、第2の案内羽根14の後面20の前部分36の仮想平面Pへの投影PR1が、第1の案内羽根12の前面18の出口部分28の仮想平面Pへの投影PR0と実質的に一致する一方で、第2の案内羽根14の後面20の中間部分40及び後部分32の仮想平面の投影PRi、PRtが、第1の案内羽根12の前面18の出口部分28の仮想平面Pへの投影と一致しないようにお互いに対して設計され且つ配置される。従って、案内羽根12、14の後縁部30、34の方向から見た時に、第2の案内羽根14の後面20の前部分36だけが第1の案内羽根14の前面18の出口部分28により覆われるのに反して、第2の案内羽根14の後面20の中間部分40及び後部分32は、自由に接近可能である。
【0049】
第2の案内羽根14の後面20は更に、第1の移行部分44を備える。第1の移行部分44は、前部分36と中間部分40との間において配置されており、及び流路の中心軸線Cに対して、第1の案内羽根12の前面18の出口部分28に対向して配置される。流路16の中心軸線Cに対して、第1の移行部分44は、凸状の曲率を有する。第1の移行部分44及び第1の案内羽根12の前面18の出口部分28は、流体流れFの流れ方向において増大する、流れ断面を有する、流路16の膨張部分46を画定する。
【0050】
流路16は一般的に、流体流れFが、流路16を出る時に所望の第1の流速Moutで流れることを確保する設計を有する。しかしながら、膨張部分46は、流体流れFが膨張部分46を流れる時に所望の第1の流速Moutよりも速い第2の流速Mexpまで加速されるように設計される。言い換えれば、膨張部分46は、流体流れFの過膨張をもたらす。
【0051】
最後に、第2の案内羽根14の後面20は、中間部分40と後部分32との間に配置されていて且つ流路16の中心軸線Cに対して凹状の曲率を有する、第2の移行部分48を備える。案内羽根装置10はまた、44と後縁部34との間において後面20の全長に沿って伸びる、緩やかな曲線により設計されてもよい。その場合において、部分40及び32は、一点に落ち込み、そして角度αinter及びαoutは、移行部分48の始点及び終点における壁の傾斜を画定する。
【0052】
第2の移行部分48は、流路16を介して流れる流体流れFの流れ方向において減少する、流れ断面を有する再圧縮部分50を画定する。再圧縮部分50は、流体流れFが再圧縮部分50を介して流れる時に、所望の第1の流速Moutまで減速されるように設計される。従って、再圧縮部分50は、膨張部分46内の流体流れFの過膨張の補償を提供する。
【0053】
案内羽根装置10の作動中に、制限部分42と膨張部分46と再圧縮部分50は、流体流れFが所望の第1の流速Moutにおいて流路16を出ることを確保するように流体流れFの流速を制御する。同時に、案内羽根12、14の設計により、付加製造法による案内羽根装置10の製造が可能になる。特に、図3に示される案内羽根装置10の例示的な実施の形態において約60度である、第2の角度αinは、支持構造による支持なしで、付加製造法により第2の案内羽根14の後面20の前部分36の製造を可能にする。従って、第2の案内羽根14の後面20の前部分36を、第1の案内羽根12の前面18の出口部分28により覆うことにより接近することが困難である、支持構造を取り外す手順は、省略可能である。
【0054】
それとは反対に、付加製造法において案内羽根装置10を層状に形成すると、少なくとも低角度の中間部分40、及び必要であれば、第2の案内羽根14の後面20の後部分32もまた、取り外し可能な支持構造Sにより支持される。しかしながら、案内羽根装置10の設計は、第2の案内羽根14の後面20の中間部分40及び後部分32への妨げられない接近を可能にするので、支持構造Sは、案内羽根装置10の層状形成の完成後に容易に取り外すことができる。付加製造法により、キャリア構造22及び案内羽根12、14は、一体的に製造可能である。
【0055】
図3に示されるような本発明による案内羽根装置10は、超音速タービンにおける使用に適しており、そして同じ基本原理を用いること(後縁部30及び34により画定される、出口平面Pにおける平均設計流速及び平均設計角度を得るように、後面20に沿って輪郭を調整すること)は、亜音速タービンにも同様に適用可能である。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
特にターボポンプにおける使用のための案内羽根装置(10)であって、この装置(10)が、
第1の案内羽根(12)と、
第2の案内羽根(14)であって、前記第2の案内羽根(14)が前記第1の案内羽根(12)に隣接して配置されるので、流路(16)が、前記第1の案内羽根(12)の前面(18)と前記第2の案内羽根(14)の後面(20)との間に画定される、第2の案内羽根(14)と、を具備する案内羽根装置において、
前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)が、
前記第2の案内羽根(14)の後縁部(34)に隣接して配置されていて且つ前記第1の案内羽根(12)の後縁部(30)と前記第2の案内羽根(14)の前記後縁部(34)とにより画定される、仮想平面(P)に対して第1の角度(α out )において配置される、後部分(32)と、
前記第2の案内羽根(14)の前縁部(38)に隣接して配置されていて且つ前記第1の案内羽根(12)の前記後縁部(30)と前記第2の案内羽根(14)の前記後縁部(34)とにより画定される、前記仮想平面(P)に対して第2の角度(α in )において配置される、前部分(36)であって、前記第2の角度(α in )が前記第1の角度(α out )より大きい、前部分(36)と、
前記後部分(32)と前記前部分(36)との間に配置されていて且つ前記第1の案内羽根(12)の前記後縁部(30)と前記第2の案内羽根(14)の前記後縁部(34)により画定される、前記仮想平面(P)に対して第3の角度(α inter )において配置される、中間部分(40)であって、前記第3の角度(α inter )が前記第1の角度(α out )よりも小さい、中間部分(40)と、を具備することを特徴とする案内羽根装置(10)である。
第2の態様は、
前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)は、
前記第1の案内羽根(12)の前縁部(26)に隣接して配置されていて且つ前記流路(16)の中心軸線(C)に対して、前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の前記前部分(36)に対向して配置される、入口部分(24)であって、前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)の前記入口部分(24)及び前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の前記前部分(36)が、前記流路(16)を介して流れる流体流れ(F)の流れ方向において減少する、流れ断面を有する前記流路(16)の制限部分(42)を画定することが好ましい、入口部分(24)と、
前記第1の案内羽根(12)の後縁部(30)に隣接して配置された出口部分(28)であって、前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の前記前部分(36)の前記仮想平面(P)への投影は、前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)の前記出口部分(28)の前記仮想平面(P)への投影と少なくとも部分的に一致することが好ましい、出口部分(28)との内の少なくとも1つを具備する、ことを特徴とする第1の態様における案内羽根装置である。
第3の態様は、
前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の前記中間部分(40)及び/又は前記後部分(32)の前記仮想平面(P)への投影は、前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)の出口部分(28)の前記仮想平面(P)への投影と一致しない、ことを特徴とする第2の態様における案内羽根装置である。
第4の態様は、
前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)は、第1の移行部分(44)を更に具備しており、
前記第1の移行部分(44)は、前記前部分(36)と前記中間部分(40)との間に配置されており、前記流路(16)の前記中心軸線(C)に対して、前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)の前記出口部分(28)に対向して配置されており、及び/又は、前記流路(16)の前記中心軸線(C)に対して凸状曲率を有しており、
前記流路(16)は、特に、前記流路(16)を出る時に、前記流体流れ(F)が所望の第1の流速(M out )において流れるように設計されており、
前記第1の移行部分(44)及び前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)の前記出口部分(28)は、前記流路(16)を介して流れる前記流体流れの流れ方向において増大する、流れ断面を有する、前記流路(16)の膨張部分(46)を画定することが好ましく、更に、
前記膨張部分(46)は、特に、前記膨張部分(46)を介して流れる時に、前記流体流れ(F)が前記所望の第1の流速(M out )よりも高い第2の流速(Mexp)まで加速されるように設計される、ことを特徴とする第1の態様~第3の態様のいずれか1つにおける案内羽根装置である。
第5の態様は、
前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)は、第2の移行部分(48)を更に具備しており、
前記第2の移行部分(48)は、前記中間部分(40)と前記後部分(32)との間に配置されており、及び/又は、前記流路(16)の前記中心軸線(C)に対して凹状の曲率を有しており、
前記第2の移行部分(48)は、前記流路(16)を介して流れる前記流体流れ(F)の流れ方向において減少する、流れ断面を有する、前記流路(16)の再圧縮部分(50)を画定することが好ましく、
前記再圧縮部分(50)は、特に、前記流体流れ(F)が、前記再圧縮部分(50)を介して流れる際に、前記所望の第1の流速(M out )まで減速されるように設計される、ことを特徴とする第1の態様~第4の態様のいずれか1つにおける案内羽根装置である。
第6の態様は、
前記第2の角度(α in )は、取り外し可能な支持構造により支持されることなく、付加製造法により前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の前記前部分(36)の製造を可能にするように選択されており、
前記第2の角度(α in )は、特に、25度よりも大きく、好適には30度よりも大きく、そして特に好適には35度よりも大きい、ことを特徴とする第1の態様~第5の態様のいずれか1つにおける案内羽根装置である。
第7の態様は、
前記第1の案内羽根(12)と前記第2の案内羽根(14)は、お互いに及びキャリア構造(22)と一体的に形成されており、前記キャリア構造(22)は特に、タービンマニホールド及び/又はタービンハウジングにより画定される、ことを特徴とする第1の態様~第6の態様のいずれか1つにおける案内羽根装置である。
第8の態様は、
案内羽根装置(10)を運転する方法であって、
第1の案内羽根(12)の前面(18)と第2の案内羽根(14)の後面(20)との間に画定された、流路(16)に流体流れ(F)を供給する手順と、
前記第2の案内羽根(14)の後縁部(34)に隣接して配置された、前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の後部分(32)に沿って前記流体流れ(F)を案内する手順であって、それにより前記流体流れ(F)が前記第1の案内羽根(12)の後縁部(30)と前記第2の案内羽根(14)の前記後縁部(34)とにより画定される、仮想平面(P)に対して第1の流れ角度(α Fout )において流路(16)を出るように、前記流体流れ(F)を偏向させる手順と、を具備する方法において、
前記流体流れ(F)は、前記後面(20)の前記後部分(32)に沿って案内される前に、前記第2の案内羽根(14)の前縁部(38)に隣接して配置された、前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の前部分(36)に沿って、前記流体流れ(F)が案内されており、それにより前記流体流れ(F)が前記第1の案内羽根(12)の前記後縁部(30)と前記第2の案内羽根(14)の前記後縁部(34)とにより画定される、前記仮想平面(P)に対して第2の流れ角度(α Fin )において流れるように偏向されており、前記第2の流れ角度(α Fin )は、前記第1の流れ角度(α Fout )より大きく、
そしてその後、前記流体流れ(F)は、前記後部分(32)と前記前部分(36)との間に配置された、第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の中間部分(40)に沿って案内されており、それにより前記第1の案内羽根(12)の前記後縁部(30)と前記第2の案内羽根(14)の前記後縁部(34)とにより画定される、前記仮想平面(P)に対して第3の流れ角度(α Finter )において、前記流体流れ(F)が流れるように偏向されており、前記第3の流れ角度(α Finter )は、前記第1の流れ角度(α Fout )よりも小さい、ことを特徴とする案内羽根装置の運転方法である。
第9の態様は、
前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)は、前記第1の案内羽根(12)の前縁部(26)に隣接して配置されていて且つ前記流路(16)の中心軸線(C)に対して、前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の前記前部分(36)と対向して配置される、入口部分(24)を具備しており、そして
前記流体流れ(F)の流速は、前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)の前記入口部分(24)と前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)の前記前部分(36)とにより画定されていて且つ前記流路(16)を介して流れる前記流体流れ(F)の流れ方向において減少する、流れ断面を有する、前記流路(16)の制限部分(42)を介して案内される時に加速される、ことを特徴とする第8の態様における方法である。
第10の態様は、
前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)は、第1の移行部分(44)を更に具備しており、前記第1の移行部分(44)は、
前記前部分(36)と前記中間部分(40)との間に配置されており、
前記流路(16)の前記中心軸線(C)に対して、前記第1の案内羽根(12)の後縁部(30)に隣接して配置される、前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)の出口部分(28)に対向して配置されており、及び/又は、
前記流路(16)の前記中心軸線(C)に対して、凸状曲率を有しており、
前記流路(16)内の前記流体流れ(F)の流速は、前記流路(16)を出る時に前記流体流れ(F)が所望の第1の流速(M out )において流れるように制御されており、そして、
前記流体流れ(F)の流速は、前記第1の移行部分(44)と前記第1の案内羽根(12)の前記前面(18)の前記出口部分(28)とにより画定されていて且つ前記流路(16)を介して流れる前記流体流れ(F)の前記流れ方向において増大する流れ断面を有する、前記流路(16)の膨張部分(46)を介して案内される時に、前記所望の第1の流速(M out )より高い、第2の流速(Mexp)まで加速される、ことを特徴とする第8の態様又は第9の態様における方法である。
第11の態様は、
前記第2の案内羽根(14)の前記後面(20)は、第2の移行部分(48)を更に具備しており、
前記第2の移行部分(48)は、前記中間部分(40)と前記後部分(32)との間に配置されており、及び/又は、前記流路(16)の前記中心軸線(C)に対して、凹状曲率を有しており、
前記流体流れ(F)の前記流速は、前記第2の移行部分(48)により画定されていて且つ前記流路(16)を介して流れる前記流体流れ(F)の前記流れ方向において減少する流れ断面を有する、前記流路(16)の再圧縮部分(50)を介して案内される時に、前記所望の第1の流速(M out )まで減速される、ことを特徴とする第8の態様~第10の態様のいずれか1つにおける方法である。
第12の態様は、
前記案内羽根装置(10)は、付加製造法により製造される、ことを特徴とする第1の態様~第7の態様のいずれか1つにおける案内羽根装置の製造方法である。
第13の態様は、
前記案内羽根装置(10)の層状形成において、少なくとも前記中間部分(40)及び選択可能に後部分(32)もまた、支持構造(S)により支持される、ことを特徴とする第12の態様における方法である。
第14の態様は、
前記案内羽根装置(10)の層状形成が完了した後に、前記支持構造(S)を取り外す手順を具備する、ことを特徴とする第13の態様における方法である。
第15の態様は、
第1の態様~第8の態様のいずれか1つにおける案内羽根装置(10)を具備する、特にはターボポンプにおける使用のためのタービンである。
図1
図2
図3