IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クラベの特許一覧

<>
  • 特許-スクリーンヒーターシステム 図1
  • 特許-スクリーンヒーターシステム 図2
  • 特許-スクリーンヒーターシステム 図3
  • 特許-スクリーンヒーターシステム 図4
  • 特許-スクリーンヒーターシステム 図5
  • 特許-スクリーンヒーターシステム 図6
  • 特許-スクリーンヒーターシステム 図7
  • 特許-スクリーンヒーターシステム 図8
  • 特許-スクリーンヒーターシステム 図9
  • 特許-スクリーンヒーターシステム 図10
  • 特許-スクリーンヒーターシステム 図11
  • 特許-スクリーンヒーターシステム 図12
  • 特許-スクリーンヒーターシステム 図13
  • 特許-スクリーンヒーターシステム 図14
  • 特許-スクリーンヒーターシステム 図15
  • 特許-スクリーンヒーターシステム 図16
  • 特許-スクリーンヒーターシステム 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】スクリーンヒーターシステム
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/10 20060101AFI20240327BHJP
   H05B 3/84 20060101ALI20240327BHJP
   B60S 1/02 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
H05B3/10 A
H05B3/84
B60S1/02 400Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019163688
(22)【出願日】2019-09-09
(65)【公開番号】P2021044097
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000129529
【氏名又は名称】株式会社クラベ
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】永井 利和
(72)【発明者】
【氏名】大高 弘人
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-198145(JP,A)
【文献】特表2004-534686(JP,A)
【文献】特開平06-043441(JP,A)
【文献】特開平04-004590(JP,A)
【文献】特開2005-050834(JP,A)
【文献】特開2002-151237(JP,A)
【文献】特開2009-059539(JP,A)
【文献】特表2017-537837(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017008099(DE,A1)
【文献】特開2019-119321(JP,A)
【文献】特開2017-061317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/02- 3/86
B60R 11/02-11/04
B60S 1/02- 1/60
B60J 1/02- 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンを介して外部の環境を検出するセンサを取り付けるセンサブラケットに取り付けられるヒーター素子と、
前記ヒーター素子の加熱状態を制御する加熱制御回路と、を有し、
前記センサブラケットは、前記センサが外部の環境を検出するために要するセンサ検出範囲に空間を設けるためのセンサ検出範囲溝を有し、
前記ヒーター素子は、
前記センサ検出範囲溝を構成する面のうち前記スクリーンに対向するセンサ検出範囲溝底板と、前記センサ検出範囲溝の周囲において前記スクリーンと対向する面を備えるセンサブラケット面と、の少なくとも一部において、
前記スクリーンのうち前記センサ検出範囲に属する検出範囲スクリーンの周囲の少なくとも一部、又は、前記検出範囲スクリーンを構成する領域の一部に放出する熱量が、前記検出範囲スクリーンの他の領域よりも局所的に大きくなるように前記センサブラケットに取り付けられ、
前記センサ検出範囲溝底板のうち、前記スクリーンとの距離が近い側の前記スクリーンに対する熱量が多くなるように電熱線が配置され
前記スクリーンに対する熱量が多い部分の電熱線の線幅及びピッチが、前記スクリーンに対する熱量が少ない部分の電熱線の線幅及びピッチよりも小さく設定されるスクリーンヒーターシステム。
【請求項2】
スクリーンを介して外部の環境を検出するセンサを取り付けるセンサブラケットに取り付けられるヒーター素子と、
前記ヒーター素子の加熱状態を制御する加熱制御回路と、を有し、
前記センサブラケットは、前記センサが外部の環境を検出するために要するセンサ検出範囲に空間を設けるためのセンサ検出範囲溝を有し、
前記ヒーター素子は、
前記センサ検出範囲溝を構成する面のうち前記スクリーンに対向するセンサ検出範囲溝底板と、前記センサ検出範囲溝の周囲において前記スクリーンと対向する面を備えるセンサブラケット面と、の少なくとも一部において、
前記スクリーンのうち前記センサ検出範囲に属する検出範囲スクリーンの周囲の少なくとも一部、又は、前記検出範囲スクリーンを構成する領域の一部に放出する熱量が、前記検出範囲スクリーンの他の領域よりも局所的に大きくなるように前記センサブラケットに取り付けられ、
前記センサ検出範囲溝底板のうち、前記スクリーンとの距離が近い側の前記スクリーンに対する熱量が多くなるように電熱線が配置され、
前記スクリーンに対する熱量が多い部分の電熱線のピッチ及び電熱線間のギャップが、前記スクリーンに対する熱量が少ない部分の電熱線のピッチ及び電熱線間のギャップよりも小さく設定されるスクリーンヒーターシステム。
【請求項3】
スクリーンを介して外部の環境を検出するセンサを取り付けるセンサブラケットに取り付けられるヒーター素子と、
前記ヒーター素子の加熱状態を制御する加熱制御回路と、を有し、
前記センサブラケットは、前記センサが外部の環境を検出するために要するセンサ検出範囲に空間を設けるためのセンサ検出範囲溝を有し、
前記ヒーター素子は、
前記センサ検出範囲溝を構成する面のうち前記スクリーンに対向するセンサ検出範囲溝底板と、前記センサ検出範囲溝の周囲において前記スクリーンと対向する面を備えるセンサブラケット面と、の少なくとも一部において、
前記スクリーンのうち前記センサ検出範囲に属する検出範囲スクリーンの周囲の少なくとも一部、又は、前記検出範囲スクリーンを構成する領域の一部に放出する熱量が、前記検出範囲スクリーンの他の領域よりも局所的に大きくなるように前記センサブラケットに取り付けられ、
前記センサ検出範囲溝底板のうち、前記スクリーンとの距離が近い側の前記スクリーンに対する熱量が多くなるように電熱線が配置され、
第1のヒーター素子と第2のヒーター素子とを含み、前記スクリーンに対する熱量が多い部分は前記第1のヒーター素子と前記第2のヒーター素子とが重ね合わされ、前記スクリーンに対する熱量が少ない部分は前記第1のヒーター素子と前記第2のヒーター素子のいずれか一方のみが配置されるスクリーンヒーターシステム。
【請求項4】
前記ヒーター素子は、前記センサ検出範囲溝底板のうち前記スクリーンに面しない側の裏面に取り付けられる請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスクリーンヒーターシステム。
【請求項5】
前記センサは、センサ検出範囲の先にある環境の画像を取得する光学カメラである請求項1乃至のいずれか1項に記載のスクリーンヒーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクリーンヒーターシステムに関し、例えば、センサを覆うスクリーンに対して放出する熱量によりスクリーンを加熱するスクリーンヒーターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な分野でヒーターを用いたシステムが提案されている。ヒーターの適用例の1つとして、自動車のフロントウィンドに設けられる前照カメラの前面に設けられるスクリーン(例えば、フロントウィンド)の曇りを除去するものがある。このようなヒーターシステムの例が特許文献1、2に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の加熱可能な光透過センサアレイを備える窓ガラスは、加熱可能な、光透過センサアレイを備える窓ガラスであって、a)窓ガラスと、b)窓ガラスの表面上の少なくとも1つの光透過センサアレイと、c)光透過センサアレイ上に自己接着膜としてまたは光透過性の接着剤により取り付けられた少なくとも1つの加熱可能膜であって、少なくともc1.ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリビニルブチラール、および/またはポリエチル酢酸ビニル、それらの混合物、ブロック重合体、および/または共重合体を含有する支持膜と、c2.支持膜上の加熱可能被覆、印刷導体、メッシュ、および/または電熱線と、を含む少なくとも1つの加熱可能膜と、d)加熱可能被覆および/または電熱線上に取り付けられた少なくとも1つの電気的接触手段と、e)光透過センサアレイ上または加熱可能膜上に取り付けられたカプセル封止、およびカプセル封止内に取り付けられたセンサと、を少なくとも含む。
【0004】
特許文献2に記載の車両用防曇解氷装置は、車両のウインドシールドと、前記ウインドシールドに設けられ、通電により発熱する第1発熱部と、前記ウインドシールドに設けられ、前記ウインドシールドの厚さ方向において前記第1発熱部よりも前記車両の室内側となる部位に配置され、通電により発熱する第2発熱部と、前記ウインドシールドに設けられ、前記ウインドシールドの厚さ方向において前記第1発熱部と前記第2発熱部との間に配置された断熱部と、前記第1発熱部への通電状態と非通電状態との切り替え、および、前記第2発熱部への通電状態と非通電状態との切り替えを、前記第1発熱部と前記第2発熱部とに対して個別に行なうことが可能な切替手段と、前記車両に設けられ、前記ウインドシールドを介する視界不良の解消が必要な際に操作されて視界不良の解消要求状態であるオン状態に設定される解消要求スイッチ手段と、前記ウインドシールドの前記室内側の表面である内表面の曇りの有無を検出する曇り検出手段と、を備え、前記切替手段は、前記解消要求スイッチ手段が前記オン状態であるときに、前記曇り検出手段の検出結果に応じて、前記第1発熱部および前記第2発熱部の通電状態と非通電状態との切り替え制御を行なう制御手段であり、前記制御手段は、前記解消要求スイッチ手段が前記オン状態であるときに、前記曇り検出手段が前記内表面の曇りを検出した場合には、前記第2発熱部を通電状態に設定し、前記曇り検出手段が前記内表面の曇りを検出しない場合には、前記第1発熱部を通電状態に設定するとともに、前記第2発熱部を非通電状態に設定することを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5753164号明細書
【文献】特許第6439471号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載のヒーターはセンサ前面を覆うスクリーンに張付けられており、センサの種類によっては、センサ検出方向の視界を阻害するおそれがある問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスクリーンヒーターシステムの一態様は、スクリーンを介して外部の環境を検出するセンサを取り付けるセンサブラケットに取り付けられるヒーター素子と、前記ヒーター素子の加熱状態を制御する加熱制御回路と、を有し、前記センサブラケットは、前記センサが外部の環境を検出するために要するセンサ検出範囲に空間を設けるためのセンサ検出範囲溝を有し、前記ヒーター素子は、前記センサ検出範囲溝を構成する面のうち前記スクリーンに対向するセンサ検出範囲溝底板と、前記センサ検出範囲溝の周囲において前記スクリーンと対向する面を備えるセンサブラケット面と、の少なくとも一部において、前記スクリーンのうち前記センサ検出範囲に属する検出範囲スクリーンの周囲の少なくとも一部、又は、前記検出範囲スクリーンを構成する領域の一部に放出する熱量が、前記検出範囲スクリーンの他の領域よりも局所的に大きくなるように前記センサブラケットに取り付けられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかるスクリーンヒーターシステムによれば、センサ検出方向の視界を阻害することなくスクリーンの解氷及び防曇を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1にかかるスクリーンヒーターシステムが適用されるセンサブラケットの概略図である。
図2】実施の形態1にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子の配置を説明するための、センサブラケットをスクリーンに取り付けた状態での断面図である。
図3】実施の形態1にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子の形状を説明する図である。
図4】実施の形態1にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子を制御するヒーター制御装置のブロック図である。
図5】実施の形態2にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子の第1の形状例を説明する図である。
図6】実施の形態2にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子の第2の形状例を説明する図である。
図7】ヒーター素子の熱量を調整するための電熱線パターンを説明する図である。
図8】実施の形態3にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子の第1の形状例を説明する図である。
図9】実施の形態3にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子の第2の形状例を説明する図である。
図10】実施の形態4にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子の形状例を説明する図である。
図11】実施の形態5にかかるスクリーンヒーターシステムが適用されるセンサブラケットの概略図である。
図12】実施の形態5にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子の第1の配置例を説明するための、センサブラケットをスクリーンに取り付けた状態での断面図である。
図13】実施の形態5にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子の第2の配置例を説明するための、センサブラケットをスクリーンに取り付けた状態での断面図である。
図14】実施の形態5にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子の第3の配置例を説明するための、センサブラケットをスクリーンに取り付けた状態での断面図である。
図15】実施の形態6にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子の配置を説明するための、センサブラケット概略図である。
図16】実施の形態7にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子の形状例を説明する図である。
図17】実施の形態8にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子の形状例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又は、それらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0011】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0012】
以下で説明する実施の形態では、利用するセンサとして、センサ検出範囲の先にある環境の画像を取得する光学カメラを利用するものとする。しかし、センサとしては、光学カメラに限らず、レーダー、赤外線センサ等様々なセンサを用いる事ができる。また、センサ及びスクリーンヒーターシステムは、自動車のフロントに位置するウィンドスクリーンに取り付けられるものとする。
【0013】
まず、図1に実施の形態1にかかるスクリーンヒーターシステムが適用されるセンサブラケット1の概略図を示す。図1に示したセンサブラケット1は、他の様々な部分を有するブラケットのうちセンサ及び実施の形態1にかかるスクリーンヒーターシステムが取り付けられる部分のみを示したものである。
【0014】
図1に示すように、センサブラケット1は、ブラケット上に設けられたセンサ検出範囲溝10の奥(取り付けた状態で上側に位置する面)にカメラのレンズが露出されるセンサ穴12が設けられる。また、センサ検出範囲溝10の面のうちウィンドスクリーンに対抗する位置にある面をセンサ検出範囲溝底板11とする。また、センサブラケット1のうちセンサ検出範囲溝10を囲むように形成される部分を有する。図1に示す例では、センサ検出範囲溝10を囲むように形成される部分をセンサ下部外周ブラケット面13、センサ上部外周ブラケット面14、センサ右側外周ブラケット面15、センサ左側外周ブラケット面16とした。
【0015】
実施の形態1にかかるスクリーンヒーターシステムでは、図1で示したセンサブラケット1にヒーター素子を取り付ける。そこで、実施の形態1にかかるスクリーンヒーターシステムにおけるヒーター素子の取り付け位置について説明する。図2に実施の形態1にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子の配置を説明するための、センサブラケットをスクリーンに取り付けた状態での断面図を示す。
【0016】
図2に示すように、実施の形態1にかかるスクリーンヒーターシステムでは、センサブラケット1のセンサ検出範囲溝底板11の面のうちウィンドスクリーン18に面しない側となる裏面にヒーター素子21を取り付ける。また、図2に示すように、実施の形態1にかかるスクリーンヒーターシステムでは、センサ検出範囲溝底板11のうちウィンドスクリーン18との距離が近くなる側の熱量が多くなるようにヒーター素子21を配置する。また、図2に示すように、カメラ17の撮影範囲となるセンサ検出範囲を除くように、ヒーター素子21は配置される。
【0017】
実施の形態1にかかるスクリーンヒーターシステムでは、ヒーター素子21がセンサ検出範囲溝10を構成する面のうちスクリーン(例えば、ウィンドスクリーン)に対向するセンサ検出範囲溝底板11と、センサ検出範囲溝10の周囲においてウィンドスクリーンと対向する面を備えるセンサブラケット面と、の少なくとも一部に設けられる。図2に示す例は、ヒーター素子21がセンサ検出範囲溝10を構成する面のうちスクリーン(例えば、ウィンドスクリーン)に対向するセンサ検出範囲溝底板11の一部に設けられる例である。
【0018】
そして、ヒーター素子21は、ウィンドスクリーンのうちセンサ検出範囲に属する検出範囲スクリーン20の周囲の少なくとも一部、又は、検出範囲スクリーン20を構成する領域の一部に放出する熱量が、検出範囲スクリーン20の他の領域よりも局所的に大きくなるようにセンサブラケットに取り付けられる。図2に示す例では、ヒーター素子21は、検出範囲スクリーン20を構成する領域の一部に放出する熱量が、検出範囲スクリーン20の他の領域よりも局所的に大きくなるように配置される例である。
【0019】
続いて、実施の形態1にかかるセンサブラケット1において採用されるヒーター素子21の形状について説明する。そこで、図3に実施の形態1にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子の形状を説明する図を示す。図3では、センサ検出範囲溝底板11となる領域を破線で示した。
【0020】
図3に示すように、実施の形態1では、センサ検出範囲溝底板11のうちウィンドスクリーン18との距離が近くなる側の領域にヒーター素子21を配置し、ウィンドスクリーン18との距離が遠くなる側の領域にはヒーター素子21を配置しない。また、ヒーター素子21は、例えば、ポリイミド等の樹脂フィルムによりSUS(ステンレス鋼)や銅等の箔や線からなる電熱線22が挟まれた形状を有する。また、ヒーター素子21としては、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒーターを用いることができる。図3に示すように、ヒーター素子21では、電熱線22が発熱を必要とする領域に一筆書きとなるように形成される。
【0021】
続いて、実施の形態1にかかるスクリーンヒーターシステムにおいて、ヒーター素子21を制御するヒーター制御装置2について説明する。そこで、図4に実施の形態1にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子21を制御するヒーター制御装置2のブロック図を示す。図4に示すように、ヒーター制御装置2は、バッテリ30、レギュレータ回路31、降圧回路32、温度制御回路33、サーモスタット34を有する。
【0022】
ヒーター制御装置2は、バッテリ30から出力されるバッテリ電圧Vbatを降圧してヒーター素子21に電力を供給する。降圧回路32は、バッテリ電圧Vbatを降圧して内部電源iPWRを出力する。内部電源iPWRの電圧は、温度制御回路33を動作させるための電源電圧である。温度制御回路33は、ヒーター制御装置2の動作をハードウェア的に実現したもの、或いは、ヒーター制御装置2の動作を実現するプログラムを演算部で実行するものである。また、サーモスタット34は、ヒーター素子21の温度を検出する。そして、温度制御回路33は、サーモスタット34から得られた温度情報と、図示しない上位システムから与えられる目標温度と、の差分値がゼロとなるように、レギュレータ回路31を制御してヒーター素子21に供給する電力を変化させる。
【0023】
上記説明より、実施の形態1にかかるスクリーンヒーターシステムでは、検出範囲スクリーン20の一部に対する熱量が他の領域よりも高くなる。これにより、実施の形態1にかかるスクリーンヒーターシステムでは、例えば、ウィンドスクリーンの外側であって、検出範囲スクリーン20の領域に付着した雪或いは氷の下側部分を溶かす。このように、雪又は氷の下側部分を溶かすことで、検出範囲スクリーン20の領域に付着した雪又は氷を滑り落とすことができる。
【0024】
また、実施の形態1にかかるスクリーンヒーターシステムでは、雪又は氷を除去したい範囲の一部に対して高い熱量を与えて、雪又は氷を溶かすため、目的の範囲全体に熱を加えるよりも少ない電力で雪又は氷を除去することができる。
【0025】
また、実施の形態1にかかるスクリーンヒーターシステムでは、ヒーター素子21によりウィンドスクリーン18を加熱するため検出範囲スクリーン20の曇りも除去することが出来る。
【0026】
実施の形態2
実施の形態2では、実施の形態1にかかるヒーター素子21の別の形態について説明する。そこで、図5に、実施の形態2にかかるスクリーンヒーターシステムの第1の形状例となるヒーター素子21aを説明する図を示す。また、図6に実施の形態2にかかるスクリーンヒーターシステムの第2の形状例となるヒーター素子21bを説明する図を示す。
【0027】
図5及び図6に示すように、実施の形態2にかかるヒーター素子21a、21bは、いずれも、センサ検出範囲溝底板11のほぼ全面にヒーター素子が配置される。そして、実施の形態2にかかるヒーター素子21a、21bは、いずれも、ウィンドスクリーン18との距離が近い側に高放射熱領域が形成され、ウィンドスクリーン18との距離が遠くなる側に低放射熱領域が形成される。
【0028】
高放射熱領域と低放射熱領域とは、電熱線22の配線パターンが異なっている。そして、高放射熱領域は、低放射熱領域よりもヒーター素子上の単位面積当たりの熱量が高くなっている。そこで、配線パターンの違いと熱量の差との関係を以下で説明する。
【0029】
図7にヒーター素子の熱量を調整するための電熱線パターンを説明する図を示す。図7に示す例では、高放射熱領域の電熱線の線幅をW1、電熱線間のピッチをP1、伝熱線間のギャップをG1とした。そして、図7に示した低放射熱領域の第1の例では、電熱線の線幅W2が高放射熱領域の電熱線の線幅W1よりも広く、かつ、電熱線のピッチP2が高放射熱領域の電熱線のピッチP1よりも広く設定される。一方、低放射熱領域の第1の例では、電熱線のギャップは高放射熱領域と同じである。このように、電熱線の線幅を大きくすることで電熱線の抵抗値が低下するため電熱線による熱量が抑制される。また、電熱線間のギャップを同じにすることでヒーター素子上の単位面積当たりの熱量を低下させることができる。
【0030】
また、図7に示した低放射熱領域の第2の例では、電熱線のギャップG2が高放射熱領域の電熱線のギャップG1よりも広く、かつ、電熱線のピッチP2が高放射熱領域の電熱線のピッチP1よりも広く設定される。一方、低放射熱領域の第2の例では、電熱線の線幅は高放射熱領域と同じである。このように、電熱線のギャップを大きくし、かつ、電熱線間の線幅を同じにすることで、ヒーター素子上の単位面積当たりの熱量を低下させることができる。
【0031】
実施の形態2では、実施の形態1ではヒーター素子が配置されない領域にまでヒーター素子を配置する。このとき、ウィンドスクリーン18との距離が大きくなる側の領域のヒーター素子の熱量を低下させることで、防曇能力を実施の形態1よりも高めながら、解氷能力を実施の形態1と同じにすることができる。
【0032】
実施の形態3
実施の形態3では、実施の形態1にかかるヒーター素子21の別の形態について説明する。そこで、図8に、実施の形態3にかかるスクリーンヒーターシステムの第1の形状例となるヒーター素子21cを説明する図を示す。また、図9に実施の形態3にかかるスクリーンヒーターシステムの第2の形状例となるヒーター素子21dを説明する図を示す。
【0033】
図8及び図9に示すように、実施の形態3にかかるヒーター素子21c、21dは、いずれも、センサ検出範囲溝底板11のほぼ全面にヒーター素子が配置される。そして、実施の形態3にかかるヒーター素子21c、21dは、いずれも、ウィンドスクリーン18との距離が近い側と遠い側の両方に高放射熱領域が形成され、上下2つの高放射熱領域に挟まれる領域に低放射熱領域が形成される。
【0034】
高放射熱領域と低放射熱領域との電熱線22の配線パターンの違いは、実施の形態2で説明した高放射熱領域と低放射熱領域との違いと同じである。
【0035】
実施の形態3では、実施の形態1ではヒーター素子が配置されない領域にまでヒーター素子を配置する。このとき、実施の形態3では、ウィンドスクリーン18との距離が最も大きくなる側の領域のヒーター素子の熱量を、ヒーター素子の中程の領域よりも高くする。これにより、実施の形態3では、検出領域スクリーンに対する熱量が低下する検出範囲スクリーン20の上側への熱量を増加させる。実施の形態3では、実施の形態2にかかるスクリーンヒーターシステムよりも防曇能力を高めながら、解氷能力を実施の形態1と同じにすることができる。
【0036】
実施の形態4
実施の形態4では、実施の形態1にかかるヒーター素子21の別の形態について説明する。そこで、図10に、実施の形態4にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子21eを説明する図を示す。
【0037】
図10に示すように、実施の形態4にかかるヒーター素子21eは、センサ検出範囲溝底板11のほぼ全面にヒーター素子が配置される。そして、実施の形態4にかかるヒーター素子21eでは、ウィンドスクリーン18との距離が近くなる下部領域に多くの電熱線22は配線し、かつ、センサ検出範囲溝底板11の周囲に沿った領域にも電熱線22を配線する。
【0038】
実施の形態4では、このような電熱線22の配線パターンとすることで、検出範囲スクリーン20の外周に対しても高い熱量を与えることができる。これにより、実施の形態4にかかるスクリーンヒーターシステムでは、ウィンドスクリーン18に着氷した氷等を検出範囲スクリーン20の外周部から溶かして、検出範囲スクリーン20から除去する能力を高めることができる。
【0039】
実施の形態5
実施の形態5では、実施の形態1にかかるヒーター素子の配置の別の形態について説明する。そこで、図11に、実施の形態5にかかるスクリーンヒーターシステムが適用されるセンサブラケット3の概略図を示す。
【0040】
図11に示すように、実施の形態5にかかるスクリーンヒーターシステムでは、センサブラケット3のセンサ検出範囲溝10の外周のブラケット面にセンサ検出範囲溝10を囲むようにヒーター素子が配置される。具体的には、センサブラケット3では、センサ下部外周ブラケット面13にヒーター素子23が配置され、センサ上部外周ブラケット面14にヒーター素子24が配置され、センサ右側外周ブラケット面15にヒーター素子25が配置され、センサ左側外周ブラケット面16にヒーター素子26が配置される。
【0041】
なお、センサブラケット3では、ヒーター素子23~25の全てを配置する必要はなく、例えば、ヒーター素子23のみ、ヒーター素子24のみ、ヒーター素子23、24のみであってもよい。そこで。図12図14に、実施の形態5にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子の第1の配置例から第3の配置例を説明するための、センサブラケットをスクリーンに取り付けた状態での断面図を示す。
【0042】
図12に示す第1の配置例では、ヒーター素子23のみが配置され、図13に示す第2の配置例では、ヒーター素子24のみが配置され、図14に示す第3の配置例では、ヒーター素子23、24の両方が配置される。そして、図12図14に示すように、センサブラケット3では、ヒーター素子23~26は、ブラケット面とウィンドスクリーン18に挟まれるように配置される。
【0043】
上記説明より、実施の形態4にかかるスクリーンヒーターシステムでは、センサ検出範囲溝10を囲むようにヒーター素子を配置するとで、検出範囲スクリーン20を避けながらウィンドスクリーン18に直接的に放出熱を与えることができる。これにより、実施の形態4にかかるスクリーンヒーターシステムでは、検出範囲スクリーン20に対する解氷能力を他の実施の形態よりも高めることができる。
【0044】
実施の形態6
実施の形態6では、複数のセンサが取り付けられるセンサブラケットに対するヒーター素子の配置例について説明する。そこで、図15に実施の形態6にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子の配置を説明するための、センサブラケット概略図を示す。
【0045】
図15に示すように、実施の形態6では、センサブラケットにおいて離れた位置にカメラ17a、17bが設けられる。そして、実施の形態6では、センサ検出範囲溝底板11においてカメラ17a、17bの前方であってウィンドスクリーン18との距離がより近くなる側に位置する場所にヒーター素子21f、21gが設けられる。より具体的には、カメラ17aに対応してヒーター素子21fが設けられ、カメラ17bに対応してヒーター素子21gが設けられる。
【0046】
上記説明より、実施の形態6にかかるスクリーンヒーターシステムでは、複数のセンサのセンサ検出範囲ごとにヒーター素子を設けることで、消費電力を低減しながら、効率的にウィンドスクリーン18の解氷及び防曇を行うことができる。
【0047】
実施の形態7
実施の形態7では、実施の形態1にかかるヒーター素子の別の形態について説明する。そこで、図16に実施の形態7にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子21hの形状例を説明する図を示す。
【0048】
実施の形態7にかかるヒーター素子21hは、高放射領域に該当する部分が2枚のヒーター素子が重ね合わされた形状を有する。図16では、ヒーター素子が2枚重ね合わされることを表現するために、2枚のヒーター素子をずらした状態を示した。具体的には、ヒーター素子21hは、センサ検出範囲溝底板11の全体を覆おうヒーター素子21iに高放射領域に相当する部分に位置するようにヒーター素子21jを重ね合わせたものである。
【0049】
上記説明より、実施の形態7にかかるヒーター素子21hは、高放射領域と低放射領域として、実施の形態2にかかるヒーター素子21c、21dに相当する領域を形成することができる。また、実施の形態7にかかるヒーター素子21hは、2枚のヒーター素子で構成することで、2枚のヒーター素子を個別に制御して、解氷機能が不要なときは、例えば、ヒーター素子21jを非通電状態として消費電力を抑制することができる。
【0050】
実施の形態8
実施の形態8では、実施の形態1にかかるヒーター素子の別の形態について説明する。そこで、図17に実施の形態8にかかるスクリーンヒーターシステムのヒーター素子21kの形状例を説明する図を示す。
【0051】
実施の形態8にかかるヒーター素子21kは、1つのシートに異なる経路で電熱線22c、22dが形成される。そして、電熱線22cと電熱線22dは、個別に発熱が制御される。これにより、実施の形態8にかかるヒーター素子21kでは、例えば電熱線22cにより構成されるヒーターの目標温度を電熱線22dにより構成されるヒーターの目標温度よりも高くすることができる。
【0052】
上記説明より、実施の形態8にかかるヒーター素子21kは、実施の形態4にかかるヒーター素子21eに相当する領域を形成するとともに、ヒーター素子21eの空白領域に防曇機能を発揮するヒーターを組み合わせたヒーター素子を構成することが出来る。また、実施の形態8にかかるヒーター素子21kは、2つの電熱線の経路を構成することで、2つのヒーター素子を個別に制御して、解氷機能が不要なときは、例えば、電熱線22cにより形成されるヒーター素子を非通電状態として消費電力を抑制することができる。
【0053】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1,3 センサブラケット
2 ヒーター制御装置
10 センサ検出範囲溝
11 センサ検出範囲溝底板
12 センサ穴
13 センサ下部外周ブラケット面
14 センサ上部外周ブラケット面
15 センサ右側外周ブラケット面
16 センサ左側外周ブラケット面
17 カメラ
18 ウィンドスクリーン
20 検出範囲スクリーン
21 ヒーター素子
22 電熱線
23~26 ヒーター素子
30 バッテリ
31 レギュレータ回路
32 降圧回路
33 温度制御回路
34 サーモスタット



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17