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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】締結紐回収装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
B65B69/00 102
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019225092
(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公開番号】P2021095138
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006884
【氏名又は名称】株式会社ヤクルト本社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(72)【発明者】
【氏名】三方 康弘
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-059636(JP,A)
【文献】特開平02-085110(JP,A)
【文献】特開平08-282642(JP,A)
【文献】米国特許第04995784(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第00965526(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被締結物を締結する締結紐を切断すると共に切断された該締結紐を回収する締結紐回収装置であって、
被締結物を締結した締結紐を切断する切断機構と、該切断機構により切断された締結紐を吸引して回収する吸引回収機構とを備え、
該吸引回収機構は、該被締結物の側面において締結紐が巻き掛けられた位置に接近させられた際に切断された締結紐を吸引する吸引口を有する吸引口部材を備え、
該吸引口部材は、該被締結物の側面に対向して配設された該吸引口が該被締結物の側面に最も接近した際に、該切断機構によって切断された該締結紐が垂れ下がる下方向を含む上下方向に空気流導入用隙間を形成すると共に、該上下方向と直交する水平方向において該被締結物の側面と吸引口部材とにより形成される隙間が、該空気流導入用隙間よりも狭くなるように構成されており、
該締結紐は、該被締結物に対して少なくとも2つ巻き掛けられており、該締結紐が該切断機構によって切断される切断位置は、該吸引口が接近させられる側面とは反対側の側面であって、該吸引口は、該締結紐毎に配置され、
各吸引口のそれぞれに接続管を介して吸引源が接続され、該接続管には、吸引された締結紐が通過したか否かを検出する締結紐通過センサが備えられ、該締結紐通過センサによって締結紐の通過が検出された場合は、該締結紐が通過した接続管が接続された側の吸引源を停止する締結紐回収装置。
【請求項2】
被締結物を締結する締結紐を切断すると共に切断された該締結紐を回収する締結紐回収装置であって、
被締結物を締結した締結紐を切断する切断機構と、該切断機構により切断された締結紐を吸引して回収する吸引回収機構とを備え、
該吸引回収機構は、該被締結物の側面において締結紐が巻き掛けられた位置に接近させられた際に切断された締結紐を吸引する吸引口を有する吸引口部材を備え、
該吸引口部材は、該被締結物の側面に対向して配設された該吸引口が該被締結物の側面に最も接近した際に、該切断機構によって切断された該締結紐が垂れ下がる下方向を含む上下方向に空気流導入用隙間を形成すると共に、該上下方向と直交する水平方向において該被締結物の側面と吸引口部材とにより形成される隙間が、該空気流導入用隙間よりも狭くなるように構成されており、
該締結紐は、該被締結物に対して少なくとも2つ巻き掛けられており、該締結紐が該切断機構によって切断される切断位置は、該吸引口が接近させられる側面とは反対側の側面であって、該吸引口は、該締結紐毎に配置され、
該締結紐には結び目が形成されており、該結び目は、該被締結物において締結紐が切断される側面側であって且つ該切断位置よりも下側に位置付けられている締結紐回収装置。
【請求項3】
該被締結物は、上下方向に複数の物品が積層された積層物であり、該締結紐は、該積層物を結束する結束紐である請求項1、又は2に記載の締結紐回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被締結物を締結する締結紐を切断すると共に、切断された該締結紐を回収する締結紐回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の物品に結束紐を巻き掛けて結束し、該複数の物品を目的位置に搬送した後、自動的に該結束紐を切断して回収する結束紐回収装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平08-230849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載された技術においては、複数の物品を水平方向で纏め、結束紐を水平方向で巻き掛けて結束し、水平方向に巻き掛けられた結束紐を切断して回収している。これに対し、上下方向に複数の物品を積層し、縦方向に巻き掛けて結束した結束紐を切断すると共に該結束紐を吸引して回収する場合がある。この場合、結束紐が切断されると、該複数の物品をきつく結束していた結束紐が該複数の物品の周囲において跳ねるような状態となる。このような形態で切断された結束紐を吸引する場合、吸引口を単に結束紐の周辺に接近させて吸引しようとしても、吸引口によって形成される空気流を切断された結束紐に良好に作用させることができず、結束紐が吸引口からずれて度々吸引不良が発生し、切断された結束紐を確実に回収できないという問題がある。
【0005】
また、上記したような吸引不良が生じた場合、切断された結束紐が他の作動機構に絡まったり、結束が解かれた物品に付着したまま次工程に搬送されたりする問題があることから、作業員が常に吸引不良がないか確認を行い、結束紐の吸引不良が生じた場合は、結束紐回収装置をその都度停止させて、吸引されなかった結束紐を手作業で回収する必要が生じ、生産性を悪化させる。そして、このような問題は、複数の物品の積層物を結束する結束紐を切断する場合に限定されず、例えば、1つの箱の上方の開口部に、該開口部を閉鎖する蓋部材を備え、該蓋部材が閉じた状態を保持するために巻き掛けた締結紐を切断して回収する場合等にも生じ得る。
【0006】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、被締結物を締結する締結紐を切断すると共に、該締結紐を吸引して回収する締結紐回収装置において、切断された締結紐の吸引不良が発生するという問題を防止することができる締結紐回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、被締結物を締結する締結紐を切断すると共に切断された該締結紐を回収する締結紐回収装置であって、被締結物を締結した締結紐を切断する切断機構と、該切断機構により切断された締結紐を吸引して回収する吸引回収機構とを備え、該吸引回収機構は、該被締結物の側面において締結紐が巻き掛けられた位置に接近させられる吸引口を有する吸引口部材を備え、該吸引口部材は、該被締結物の側面に対向して配設された該吸引口が該被締結物の側面に最も接近した際に、該切断機構によって切断された該締結紐が垂れ下がる下方向を含む上下方向に空気流導入用隙間を形成すると共に、該上下方向と直交する水平方向において該被締結物の側面と吸引口部材とにより形成される隙間が、該空気流導入用隙間よりも狭くなるように構成されており、該締結紐は、該被締結物に対して少なくとも2つ巻き掛けられており、該締結紐が該切断機構によって切断される切断位置は、該吸引口が接近させられる側面とは反対側の側面であって、該吸引口は、該締結紐毎に配置され、各吸引口のそれぞれに接続管を介して吸引源が接続され、該接続管には、吸引された締結紐が通過したか否かを検出する締結紐通過センサが備えられ、該締結紐通過センサによって締結紐の通過が検出された場合は、該締結紐が通過した接続管が接続された側の吸引源を停止する締結紐回収装置が提供される。また、本発明によれば、被締結物を締結する締結紐を切断すると共に切断された該締結紐を回収する締結紐回収装置であって、被締結物を締結した締結紐を切断する切断機構と、該切断機構により切断された締結紐を吸引して回収する吸引回収機構とを備え、該吸引回収機構は、該被締結物の側面において締結紐が巻き掛けられた位置に接近させられた際に切断された締結紐を吸引する吸引口を有する吸引口部材を備え、該吸引口部材は、該被締結物の側面に対向して配設された該吸引口が該被締結物の側面に最も接近した際に、該切断機構によって切断された該締結紐が垂れ下がる下方向を含む上下方向に空気流導入用隙間を形成すると共に、該上下方向と直交する水平方向において該被締結物の側面と吸引口部材とにより形成される隙間が、該空気流導入用隙間よりも狭くなるように構成されており、該締結紐は、該被締結物に対して少なくとも2つ巻き掛けられており、該締結紐が該切断機構によって切断される切断位置は、該吸引口が接近させられる側面とは反対側の側面であって、該吸引口は、該締結紐毎に配置され、該締結紐には結び目が形成されており、該結び目は、該被締結物において締結紐が切断される側面側であって且つ該切断位置よりも下側に位置付けられている締結紐回収装置が提供される。
【0008】
該被締結物は、上下方向に複数の物品が積層された積層物であり、該締結紐は、該積層物を結束する結束紐であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の締結紐回収装置は、被締結物を締結する締結紐を切断すると共に切断された該締結紐を回収する締結紐回収装置であって、被締結物を締結した締結紐を切断する切断機構と、該切断機構により切断された締結紐を吸引して回収する吸引回収機構とを備え、該吸引回収機構は、該被締結物の側面において締結紐が巻き掛けられた位置に接近させられる吸引口を有する吸引口部材を備え、該吸引口部材は、該被締結物の側面に対向して配設された該吸引口が該被締結物の側面に最も接近した際に、該切断機構によって切断された該締結紐が垂れ下がる下方向を含む上下方向に空気流導入用隙間を形成すると共に、該上下方向と直交する水平方向において該被締結物の側面と吸引口部材とにより形成される隙間が、該空気流導入用隙間よりも狭くなるように構成されており、該締結紐は、該被締結物に対して少なくとも2つ巻き掛けられており、該締結紐が該切断機構によって切断される切断位置は、該吸引口が接近させられる側面とは反対側の側面であって、該吸引口は、該締結紐毎に配置され、各吸引口のそれぞれに接続管を介して吸引源が接続され、該接続管には、吸引された締結紐が通過したか否かを検出する締結紐通過センサが備えられ、該締結紐通過センサによって締結紐の通過が検出された場合は、該締結紐が通過した接続管が接続された側の吸引源を停止することから、吸引口によって切断された締結紐を確実に回収できないという問題を防止し、締結紐の吸引不良によって生産性が悪化するという問題が解消される。また、本発明の締結紐回収装置は、被締結物を締結する締結紐を切断すると共に切断された該締結紐を回収する締結紐回収装置であって、被締結物を締結した締結紐を切断する切断機構と、該切断機構により切断された締結紐を吸引して回収する吸引回収機構とを備え、該吸引回収機構は、該被締結物の側面において締結紐が巻き掛けられた位置に接近させられた際に切断された締結紐を吸引する吸引口を有する吸引口部材を備え、該吸引口部材は、該被締結物の側面に対向して配設された該吸引口が該被締結物の側面に最も接近した際に、該切断機構によって切断された該締結紐が垂れ下がる下方向を含む上下方向に空気流導入用隙間を形成すると共に、該上下方向と直交する水平方向において該被締結物の側面と吸引口部材とにより形成される隙間が、該空気流導入用隙間よりも狭くなるように構成されており、該締結紐は、該被締結物に対して少なくとも2つ巻き掛けられており、該締結紐が該切断機構によって切断される切断位置は、該吸引口が接近させられる側面とは反対側の側面であって、該吸引口は、該締結紐毎に配置され、該締結紐には結び目が形成されており、該結び目は、該被締結物において締結紐が切断される側面側であって且つ該切断位置よりも下側に位置付けられていることから、吸引口によって切断された締結紐を確実に回収できないという問題を防止し、締結紐の吸引不良によって生産性が悪化するという問題が解消される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の締結紐回収装置、ベルトコンベア、ローラコンベア、及び押出機構を含む装置の全体斜視図である。
図2図1に示す締結紐回収装置に備えられた吸引回収機構を拡大して示す斜視図である。
図3図1に示す全体斜視図の平面図である。
図4】押出機構を作動して締結紐回収装置に対して積層物を搬送する態様を示す平面図である。
図5】(a)図4の一部を拡大して切断機構を作動して結束紐を切断する態様を示す平面図、(b)(a)の実施態様を側面から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に基づいて構成される締結紐回収装置の実施形態について、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0013】
図1には、本実施形態の締結紐回収装置10、ベルトコンベア40、ローラコンベア50、及び押出機構60を含む装置全体の斜視図が示されている。
【0014】
ベルトコンベア40は、電動モータ及び歯車機構等を内蔵した駆動機構42と、駆動機構42によって回転させられる一対の搬送ベルト44、44と、を備える。図1には、ベルトコンベア40によって矢印R1で示される方向に搬送される本実施形態の被締結物として例示される積層物100が示されている。なお、前記した矢印R1で示す方向は、図中矢印Xで示すX軸方向であり、X軸方向と直交してX軸方向と共に実質的に水平面を規定する矢印Yで示す方向をY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向と直交する矢印Zで示す方向(上下方向)をZ軸方向とする。
【0015】
積層物100は、例えば、商品を梱包するための物品である段ボールシート102が上下方向に複数積層されたものであり、本実施形態の締結紐として例示される結束紐110が縦方向に巻き掛けられて束ねられている。図に示す実施形態の積層物100は、2本の結束紐110が所定の間隔で平行に巻き掛けられて結束されている。また、積層物100の側面の所定の位置には、結束紐110の結び目112が形成されている。
【0016】
ローラコンベア50は、複数のローラ52と、ローラコンベア50の終端部に配置された停止板54と、を備えている。前記したベルトコンベア40によって搬入された積層物100は、ローラコンベア50に載せられて、矢印R2で示す方向に流れ、停止板54に当接することにより停止させられる。
【0017】
押出機構60は、前記したローラコンベア50を挟んで、締結紐回収装置10と対向する位置に配置されている。押出機構60は、支持基台62と、押出プレート64と、押出プレート64をY軸方向において支持する一対の略L字形状の支持プレート66と、支持プレート66と支持基台62とを連結し、押出プレート64を矢印R3で示すY軸方向において移動させるプレート駆動源68とを備えている。
【0018】
締結紐回収装置10は、上記した押出機構60によって搬入された積層物100を、X軸方向における両端部で支持する断面L字形状の一対のガイドプレート12、12と、ガイドプレート12、12に支持される積層物100を結束している結束紐110を切断する切断機構20と、切断機構20によって切断された結束紐110を吸引して回収する吸引回収機構30とを備えている。なお、図1では、本実施形態の構成を説明する都合上、発明の要部を構成しない配線、配管、結束が解かれた積層物を次工程に搬送する搬送機構、各部を支持するための支持機構、及び各作動部を駆動する駆動源等を適宜省略している。前記したガイドプレート12、12、切断機構20、及び吸引回収機構30は、締結紐回収装置10の枠組みを構成するフレーム14に直接、又は間接的に支持されるものであり、切断機構20は、フレーム14においてX軸方向に掛け渡された支持バー22に支持されている。
【0019】
切断機構20は、支持バー22に固定されてローラコンベア50側に延び途中下方向に屈曲した一対の保持アーム24、24と、保持アーム24、24の先端部に備えられた溶断部26、26とを備えている。各溶断部26の先端部には、電気ヒータを内蔵し、先端が鋭角でX軸方向に幅広で形成された金鏝28が配置されている。図示を省略する駆動機構により支持バー22を回転(正転、逆転)させることで、支持バー22を軸中心として保持アーム24を矢印R4で示す方向で回転移動させることができる。
【0020】
図2には、図1に示すフレーム14の内部に位置付けられる吸引回収機構30の要部を拡大した斜視図が示されている。図1に加え図2を参照しながら、吸引回収機構30について説明する。吸引回収機構30は、一対の吸引口部材31、31と、各吸引口部材31を支持する支持基板36と、を備えている。吸引口部材31は、吸引口本体312と、吸引口本体312の両側面312bに固定されるガイド部材314とを備える。吸引口本体312において、積層物100と対向する前面312aは略正方形(例えば、100mm×100mm)に形成されており、その中心には、前面312aから径が徐々に小さくなる環状に形成された傾斜面31bを備えた吸引口31aが形成されている。吸引口本体312の背面側には連結部32が形成され、連結部32は、フランジ33を介して支持基板36の表面36aに固定される。吸引口本体312の吸引口31aを始端とする吸引経路は、連結部32、フランジ33、支持基板36を経由して支持基板36の裏面側36bに接続される接続管38に至り、図1に示すように、接続管38を介して締結紐収容箱39に接続される。
【0021】
吸引口本体312の両側面312bに固定されるガイド部材314は、例えば、厚みが2mmのステンレス板やアルミ板をプレス加工によって形成されるものであり、図2から理解されるように、断面略L字形状で形成される。ガイド部材314は、取り付け状態において締結紐回収装置10に搬送された積層物100と対向する側であって上下方向に延びる平板状の対向部314aと、対向部314aと直角をなす支持部314bとを備える。
【0022】
ガイド部材314の支持部314bには、Z軸方向(上下方向)で離れた位置2箇所に、Y軸方向(水平方向)に延び、一方に開口部を有する長穴314c、314cが形成されている。この長穴314c、314cを介して六角ネジ321等を使用して、ガイド部材314を吸引口本体312の側面312bに固定する。この長穴314c、314cにおける固定位置を調整することで、吸引口本体312の前面312aに対する対向部314aの突出量を調整することが可能である。本実施形態においては、吸引口本体312の前面312aとガイド部材314の対向部314aの裏面とにより形成される内側の空間を埋めるべく、Y軸方向における厚みが4mmであって細い縦長の角柱状の隙間部材34を介在させる。これにより、ガイド部材314を吸引口本体312に取り付ける際に、吸引口本体312の前面312aに対する対向部314aの突出量を上端から下端にかけて均一になるようにし、且つ該突出量が設定突出量(本実施形態では6mm)に正確に一致させられる。この突出量を変更する場合は、隙間部材34の厚み量を変更することで、ガイド部材314の厚み(2mm)と、隙間部材34の厚みとにより所望の突出量に設定することができる。なお、図2に示す一対の吸引口部材31、31は同一の部材であり、また、吸引口部材31、31に取り付けられる合計4つのガイド部材314の取り付け形態は、上記説明の形態と同一であるため、他のガイド部材314の取り付け形態については、その説明を省略する。
【0023】
図1に戻り、吸引回収機構30についての説明を続ける。吸引回収機構30の吸引口部材31と締結紐収容箱39とを接続する接続管38の途中には、締結紐通過センサ70が配設されている。図1においては、一方のみ示されているが、図2に基づいて説明したように、本実施形態では、対象とする積層物100を結束する結束紐110が2つであることに対応して、吸引口部材31が2つ設定されており、2つの吸引口部材31に接続される接続管38のそれぞれに締結紐通過センサ70及び締結紐収容箱39が配置される。締結紐通過センサ70は、例えば、周知のファイバセンサを採用することができる。ファイバセンサは、例えば、接続管38の内部を通過する結束紐110を検知すべく、接続管38内の対向する位置に配設される投光素子及び受光素子(図示は省略する)からなり、結束紐110の通過を検知した場合は、締結紐回収装置10の作動を制御するコンピュータ80に信号を送信する。
【0024】
締結紐収容箱39は、切断された結束紐110を吸引口31aから吸引する吸引源となるポンプ本体39aと、吸引された結束紐110を収容する収容バケツ39bとを備えている。ポンプ本体39aは、収容バケツ39bの蓋も兼ねている。ポンプ本体39aは、コンピュータ80によって作動が制御され、締結紐回収装置10の切断機構20が作動される際に作動が開始され、切断機構20によって切断された結束紐110が接続管38に吸引されて締結紐通過センサ70によって結束紐110の通過を検知した場合に停止させられる。
【0025】
コンピュータ80は、上記したポンプ本体39aの他、図1に示す締結紐回収装置10の作動全体を制御する他、ベルトコンベア40、押出機構60等の作動の制御も実施する。
【0026】
本実施形態の締結紐回収装置10は、概ね上記したとおりの構成を備えており、図1に加え図3乃至5を参照しながら、以下に、その作用について説明する。なお、図3図4は、図1に示すベルトコンベア40、ローラコンベア50、押出機構60、及び締結紐回収装置10を上方からみた平面図であり、図5(a)は、結束紐110が切断され吸引される態様を上方からみた平面図の要部拡大図であり、図5(b)は、図5(a)に示す要部拡大図を側方からみた側面図である。なお、図3図4においては、説明の都合上、フレーム14の一部も適宜省略している。
【0027】
図1に示すように、上下方向に複数の段ボールシート102が積層され2つの結束紐110によって結束された積層物100は、ベルトコンベア40に搬入される。ベルトコンベア40に搬入された積層物100は、ベルトコンベア40によってローラコンベア50に搬送され(矢印R1の方向)、ローラコンベア50上をX軸方向で移動(矢印R2の方向)し、図3に示すようにローラコンベア50の終端部に配置された停止板54に当接して停止する。この停止板54によって積層物100が停止させられる停止位置は、積層物100が押出機構60によってY軸方向に押し出される位置である。
【0028】
図3に示すように、積層物100が、停止板54によって停止させられたならば、押出機構60を作動する。より具体的には、図1に基づいて説明した押出機構60のプレート駆動源68を作動して、図4に示すように押出プレート64を矢印R3で示す方向(Y軸方向)に移動させて、積層物100を、締結紐回収装置10を構成する一対のガイドプレート12、12側に押し出す。上記したように、ガイドプレート12は、断面L字形状をなしており、積層物100を結束する結束紐110の巻き掛け位置よりもX軸方向の外側で積層物100を支持する。
【0029】
図4に示すように、ガイドプレート12、12上に搬送され支持された積層物100は、吸引回収機構30に接近し、積層物100の側面が、図2を併せて参照することにより理解される吸引口部材31を構成するガイド部材314の対向部314aに当たって停止する。なお、この際、吸引回収機構30の位置を、図示を省略した駆動機構によりY軸方向で調整し、積層物100側に近付けることによって、積層物100の側面にガイド部材314の対向部314aを当接させるようにしてもよい。
【0030】
図4の要部を拡大して示す図5(a)の平面図、及び図2から理解されるように、結束紐110は、吸引口31aに対向する位置であって、吸引口31aの中心を上下方向に横切る位置に位置付けられる。また、ガイド部材314の対向部314aが吸引口本体312の前面312aよりも積層物100側に所定量(6mm)突出していることにより、積層物100の側面100aと吸引口本体312の前面312aとにより形成される空間の上下方向において、空気流導入用隙間S1(6mm)が形成される。すなわち、吸引口部材31に上記したガイド部材314が備えられていることにより、切断機構20によって切断される結束紐110が垂れ下がる下方向を含む上下方向に空気流導入用隙間S1が形成されると共に、該上下方向と直交する水平方向(X軸方向)において積層物100の側面100aと吸引口部材31とにより、より具体的にいえば、積層物100の側面100aとガイド部材314の対向部314aとによって形成される隙間S2が、空気流導入用隙間S1よりも狭くなるように構成される(本実施形態ではS2=0)。
【0031】
図4、及び図5(a)に示すように、吸引口31aを積層物100の側面100aに最も接近した状態としたならば、締結紐収容箱39のポンプ本体39aを作動させて、接続管38を含む吸引経路に負圧Vを発生させると共に、切断機構20を作動させる。切断機構20を作動させて支持バー22を回転させると共に、一対の溶断部26を同時に下降させて電気ヒータの作動により加熱された各金鏝28を、積層物100の側面100aとは反対側の側面100bに位置する結束紐110に短時間接触させる。本実施形態において金鏝28が接触し結束紐110が切断される位置は、図5(b)から理解されるように、結束紐110の結び目112よりも上方の位置である。このように金鏝28が結束紐110に接触することで、ビニール等の樹脂によって形成された2本の結束紐110は瞬時に溶融されて切断される。
【0032】
積層物100を結束していた結束紐110が切断されると、図5(b)に示すように、切断された結束紐110’の一方の端部が、切断位置から勢いよく離れるようにして上方側に跳ねると共に、結び目112’が残された他方の端部が下方側に垂れ下がる。ここで、吸引口31aには、図1に基づいて説明した締結紐収容箱39のポンプ本体39aが作動していることによって吸引負圧Vが作用しており、図2に基づいて説明した吸引口部材31の吸引口本体312の前面312aと積層物100の側面100aとにより形成された上下方向の空気流導入用隙間S1から吸引口31aに向けて空気の流れが形成されている。上記したように、切断された結束紐110’の一方側は、積層物100の上方に位置しており、また、他方側は、積層物100の下方側に垂れ下がるため、空気流導入用隙間S1によって形成された上方、及び下方からの空気の流れに乗って、切断された結束紐110’が速やかに吸引口31aに吸引され、締結紐収容箱39の収容バケツ39bに収容される。本実施形態においては、上下方向に形成される空気流導入用隙間S1に対して、該上下方向と直交する水平方向に形成される隙間S2が小さく(=ゼロ)なるようにしているため、吸引口31aに導入される空気の流れが専ら上下方向において形成され、吸引不良の発生が防止される。
【0033】
上記した実施形態では、空気流導入用隙間S1を6mmに設定したが、好ましくは2mm~10mm、より好ましくは4mm~8mmの間で設定すればよい。この空気流導入用隙間S1が狭すぎたり、広すぎたりすると、切断された結束紐110’を吸引するための空気流が良好に形成されない。また、空気流導入用隙間S1を上記したように4mm~8mmに設定することで、切断された結束紐110’を良好に吸引できると共に、結び目112が空気流導入用隙間S1で引っかからずに通過させることができる。また、上記したように、本実施形態においては、切断機構20によって結束紐110を切断する際には、結び目112の上方の位置で切断している。これにより、切断された結束紐110’の結び目112が残された側を下方側に向けて速やかに垂れ下がらせることができ、吸引不良の発生をより抑制することができる。
【0034】
なお、本実施形態においては、積層物100の側面100aにガイド部材314の対向部314aを当接させたことにより、空気流導入用隙間S1が形成された上下方向と直交する水平方向(X軸方向)においては、積層物100の側面100aと吸引口部材31とにより形成される隙間S2をゼロ(=0)とした。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、押出機構60を作動して積層物100を吸引回収機構30に近付ける際に、積層物100の側面100aにガイド部材314の対向部314aを当接させず、積層物100の側面100aと、ガイド部材314の対向部314aとの間に空気流導入用隙間S1よりも狭い小さな隙間S2を形成するように構成してもよい。その場合であっても、上下方向から空気流導入用隙間S1を介して大きな空気流を形成することができ、切断された結束紐110’が上下方向から良好に吸引されるという作用効果を奏することが可能である。
【0035】
ところで、上記した実施形態において積層物100を結束する2本の結束紐110は、切断機構20によって略同時に切断され、それぞれが、水平方向に配列された2つの吸引口31a、31aのいずれかによって吸引される。この際、結束紐110がきつく結束されている場合等においては、切断機構20によって切断された際に、切断された結束紐110’が過剰に跳ね回る場合がある。その場合、極めて稀ではあるが、切断された一方の結束紐110’の端部が隣接する吸引口31aに至って吸引されてしまうおそれがある。上記したように、各吸引口31a、31aには、それぞれにポンプ本体39aが備えられた締結紐収容箱39が接続されていることから、その結束紐110’は、2つの吸引口31a、31aから吸引されることとなって、切断された結束紐110’の吸引がいつまでも完了しないという問題が生じ得る。
【0036】
そこで、本実施形態では、吸引口31aによって吸引された結束紐110’が通過する接続管38には、締結紐通過センサ70が備えられ、締結紐通過センサ70によって結束紐110’の通過が検出された場合は、結束紐110’が通過した接続管38が接続された側のポンプ本体39aを停止する。このようにすることで、吸引が完了していない一方の結束紐110’が、その結束紐110’に対応する吸引口31a及び既に結束紐110’を正常に吸引した他方の吸引口31aの両方により吸引され続けるという問題が回避される。なお、締結紐回収装置10において結束紐110が切断されて結束が解かれた積層物100が次工程に搬送されるまでの間に、締結紐通過センサ70によって結束紐110’の通過が検出されない場合は、作動が継続されたポンプ本体39aを停止させると共に、作業者に対して吸引不良を知らせるべく、警告(ブザー、ランプ等を作動させる)を実施することが好ましい。締結紐回収装置10によって結束紐110が切断され、正常に回収されたならば、結束が解かれた積層物100を、次工程(段ボールシート組み立て工程等)に搬送する。
【0037】
本発明によれば、上記した実施形態に限定されず、種々の変形例が提供される。上記した実施形態の締結紐回収装置10では、積層物100を所定の間隔で平行に巻き掛けた2本の結束紐110を切断し、切断した結束紐110’をそれぞれに対応する2つの吸引口部材31によって吸引するようにしたが、本発明はこれに限定されず、例えば、1つの箱の上方の開口部に、該開口部を閉鎖する蓋部材を備え、該蓋部材が閉じた状態を保持するために巻き掛けた締結紐を切断して回収する場合にも適用することができる。さらに、締結紐の数が2本以外である場合に、締結紐を切断して回収する場合にも適用することができる。また、本発明は、上記した実施形態のように、積層物100を2本の結束紐110によって平行に結束した場合に限定されず、2本の結束紐が直交するようにして結束した積層物に対しても適用することが可能である。その場合であっても、各結束紐に対応する位置に本発明に基づいて構成された吸引口部材31を位置付けることによって切断された結束紐を吸引することができる。
【0038】
また、上記した実施形態では、吸引口部材31を、吸引口本体312と、吸引口本体312とは別に成形されたガイド部材314と、吸引口本体312及びガイド部材314により形成される隙間に保持される隙間部材34とにより構成したが、本発明は、吸引口部材31を必ずしも複数の部材で構成することに限定されない。例えば、吸引口本体312をアクリル樹脂等によって成形する際に、上記した実施形態においてガイド部材314及び隙間部材34によって実現された形状を一体成型によって得るようにしてもよい。
【0039】
さらに、上記した実施形態では、結束紐110を切断する切断機構20に、溶断部26を備え、電気ヒータで加熱した金鏝28を結束紐110に接触させるによって切断するようにしたが、本発明はこれに限定されず、切断機構20を構成する切断手段に、他の周知の手段、例えば、熱風を吹き付けて溶断する手段、金属製のカッター等を採用することができる。なお、金属製のカッターを使用する場合は、被締結物がカッターによってキズが付かないようにする配慮すべきである。
【符号の説明】
【0040】
10:締結紐回収装置
12:ガイドプレート
14:フレーム
20:切断機構
22:支持バー
24:保持アーム
26:溶断部
28:金鏝
30:吸引回収機構
31:吸引口部材
31a:吸引口
31b:傾斜面
312:吸引口本体
312a:前面
312b:側面
314:ガイド部材
314a:対向部
314b:支持部
32:連結部
33:フランジ
34:隙間部材
36:支持基板
38:接続管
39:締結紐収容箱
39a:ポンプ本体
39b:収容バケツ
40:ベルトコンベア
42:駆動機構
44:搬送ベルト
50:ローラコンベア
52:ローラ
54:停止板
60:押出機構
62:支持基台
64:押出プレート
66:支持プレート
68:プレート駆動源
70:締結紐通過センサ
80:コンピュータ
100:積層物(被締結物)
102:段ボールシート
110、110’:結束紐(締結紐)
112、112’:結び目
図1
図2
図3
図4
図5