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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】廃棄物の確認装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 7/00 20060101AFI20240327BHJP
   B09B 1/00 20060101ALI20240327BHJP
   E02D 13/08 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
E02D7/00 Z
B09B1/00 A
E02D13/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020072270
(22)【出願日】2020-04-14
(65)【公開番号】P2021169707
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000222668
【氏名又は名称】東洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 智弘
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-196428(JP,A)
【文献】特開昭64-041846(JP,A)
【文献】特開2006-233742(JP,A)
【文献】特開2017-069763(JP,A)
【文献】管理型海面処分場の利用高度化技術に関する委員会,港湾における管理型海面最終処分場の高度利用の指針 底面遮水層を貫通する杭の施工にあたって 1.本編,港湾における管理型海面最終処分場の高度利用の指針,日本,国土交通省,2019年03月,3-11頁~3-16頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/00
B09B 1/00
E02D 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理型海面最終処分場の廃棄物層から遮水層に至る範囲に管を打設して該管の内部を掘削した後、前記管の底部への、前記廃棄物層からの廃棄物の流入を確認する確認装置であって、
前記管の底部を撮影するためのカメラ機器と、
該カメラ機器を覆うように設けられ、その内部に透明な水及び/または空気を給排可能な透明袋と、を備え
前記透明袋には、前記管の底部からの浮き上がりを抑制する重量物が接続され、
前記重量物は、前記管を塞ぐことが可能な略円板状に形成されており、前記透明袋の上部を覆う態様で前記透明袋に接続されることを特徴とする廃棄物の確認装置。
【請求項2】
前記重量物の下面に、照明器具が設けられることを特徴とする請求項に記載の廃棄物の確認装置。
【請求項3】
前記カメラ機器は、前記重量物の下面に配置され、全方位撮影可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の廃棄物の確認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理型海面最終処分場において、管(杭)を廃棄物層から遮水層に至る範囲に打設する際に、管先端により廃棄物を廃棄物層から遮水層へ押し込み、流入がないことを確認するために、管の内部を管の底部まで掘削した後に用いる、廃棄物の確認装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、管理型海面最終処分場においては、廃棄物処理法に基づき、処分場底面には遮水工等の機能を維持する必要がある。具体的には、管理型海面最終処分場の底面は、在来の粘性土が分布して遮水層となっている場合が多い。当該遮水層上に廃棄物を埋め立てた後、当該廃棄物層上に覆土して埋め立てが完了する。この埋立が完了した処分場の跡地利用にあたって、工場、倉庫及び橋梁などの建築構造物等を建設する場合には、基礎杭(例えば、鋼管杭)を覆土層、廃棄物層、遮水層(粘性土層)を貫通し、当該遮水層の下層にある支持層まで打設する必要があるが、当該基礎杭が廃棄物層から遮水層に至る範囲に打設されることに伴い、廃棄物が廃棄物層から遮水層へ押し込まれ、遮水層の機能が損傷する虞があり、好ましくない。
【0003】
この問題を対処するべく国土交通省においては、上述した基礎杭を支持層まで打設する施工には、二重管による施工方法が推奨されている。この二重管による施工方法では、外周管であるケーシング30を廃棄物層から遮水層に至るまで打設する際に、ケーシング30の先端部にて、廃棄物層からの廃棄物を遮水層に押し込んで、遮水層に水みちを生じないように管理する必要がある。具体的には、二重管による施工方法は、以下のように行われる。図1を参照して、まず、外周管であるケーシング30をその先端部が覆土層から廃棄物層を経由して遮水層の深さ0.5~2mに至るまで差し込む。続いて、ケーシング30の内部をハンマーグラブ等で掘削して掘削孔31を設ける。続いて、ケーシング30の底部に水中ビデオカメラ3(図2参照)のみを吊り降ろして、ケーシング30(掘削孔31)の底部に廃棄物がなく、ケーシング30の先端部が適切に遮水層まで達しているか、またケーシング30の先端部により廃棄物層の廃棄物を遮水層に押し込んでいないかを水中ビデオカメラ3からの画像により確認する。
【0004】
続いて、この水中ビデオカメラ3からの画像により、ケーシング30の先端部により廃棄物層の廃棄物を押し込み、ケーシング30の底部に廃棄物が確認された場合には、拡大ピットによりその廃棄物を除去する。続いて、再び、水中ビデオカメラ3からの画像により、ケーシング30(掘削孔31)の底部における廃棄物の有無を確認する。続いて、ケーシング30の底部における廃棄物が完全に除去されていることを確認した後、基礎杭32をケーシング30の内部に挿通すると共に、遮水層から支持層に至るまで打設する。続いて、ケーシング30と基礎杭32との間にセメント系等の間詰め材33を投入する。続いて、間詰め材33を投入後、ケーシング30を除去して、基礎杭32の支持層までの打設が完了する(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】インターネットhttp://www.mlit.go.jp/kowan/content/001321270.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、上述した二重管による施工方法における問題点として、ケーシング30の底部に水中ビデオカメラ3を配置して、当該水中ビデオカメラ3からの画像により、ケーシング30の底部における廃棄物の有無を確認する作業が挙げられる。この水中ビデオカメラ3による確認作業をさらに詳しく説明すると、ケーシング30を廃棄物層から遮水層の上部に差し込み、ケーシング30の内部をハンマーグラブ等で掘削して掘削孔31を設けた後、上述した、水中ビデオカメラ3による廃棄物の確認作業に移る。
【0007】
そして、この確認作業では、まず、ケーシング30内(掘削孔31内)の水位は管底部からの土砂の吹き上がりを防止するため、周囲の地下水位よりも1m程度高い状態に調整する(図1参照)。続いて、ケーシング30内の水位を維持しつつ、水中ポンプを用いてケーシング30の底部近傍から沈降、沈殿した濁った水をくみ上げながら、ケーシング30内の上部より透明な水を注入する。この水替え作業を複数回繰り返すことで、可能な限りケーシング30内の水をきれいにして水中カメラで視認できるように、その透明度を高めた状態とする。続いて、水中ビデオカメラ3をケーシング30の底部付近まで吊り降ろして、当該水中ビデオカメラ3を移動させたり、またその撮影方向を変化させることで、ケーシング30(掘削孔31)の底部全体を撮影して、その底部における廃棄物の有無を確認するようにしている。
【0008】
しかしながら、この確認作業では、作業中、ケーシング30(掘削孔31)の内壁にハンマーグラブ等で掘削し残した付着物(土ベラ)が落下して、掘削孔31の底面を覆ってしまい当該底面が乱れ、濁りが再発生し、廃棄物の確認に支障をきたす虞があった。また、ケーシング30内の水の濁りや浮遊物(フロック)を完全に除去しきれず、カメラ撮影時における鮮明な視野を確保することが困難であった。その結果、水中ビデオカメラ3のカメラ撮影による廃棄物の有無の判断に長時間を要すとともに、信頼性が乏しく、また、ケーシング30(掘削孔31)の底部において鮮明な視野の確保のために、複数回の水替え作業、また、凝集剤を使って浮遊物の沈降を促進する作業など余計な作業が発生することで、現場で待機する次工程の基礎杭32の打設作業が遅延することになる。これにより、基礎杭打設機などの待機損料が生じ、工期のみならず工費においても不採算となる。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、管(掘削孔)の底部への(遮水層への)、廃棄物層から廃棄物の流入を容易に確認することができる、廃棄物の確認装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1の発明は、管理型海面最終処分場の廃棄物層から遮水層に至る範囲に管を打設して該管の内部を掘削した後、前記管の底部への、前記廃棄物層からの廃棄物の流入を確認する確認装置であって、前記管の底部を撮影するためのカメラ機器と、該カメラ機器を覆うように設けられ、その内部に透明な水及び/または空気を給排可能な透明袋と、を備え、前記透明袋には、前記管の底部からの浮き上がりを抑制する重量物が接続され、前記重量物は、前記管を塞ぐことが可能な略円板状に形成されており、前記透明袋の上部を覆う態様で前記透明袋に接続されることを特徴とするものである。
請求項1の発明では、透明袋内にカメラ機器を入れ、その状態で、管(掘削孔)の底部に配置しつつ、透明袋内に透明な水及び/または空気を供給する。その結果、濁り水や浮遊物が無い状態でカメラ機器による管の底部の撮影が可能になる。そして、管の底部周辺において鮮明な視野を確保することができ、ひいては、管内における複数回の水替え作業や、凝集剤を使って浮遊物の沈降を促進する作業などの時間の要する作業を省略もしくは最小限に抑えることができ、カメラ機器により、管の底部における廃棄物の有無、すなわち、管の底部への、廃棄物層からの廃棄物の流入を容易に確認することができる。また、カメラ機器による確認作業中、管の内壁に残存した付着物が落下した場合でも、その付着物は透明袋上に堆積するので、付着物の落下により管の底部が乱れることはなく、確実に底部における廃棄物の有無を確認することができる。その結果、カメラ撮影による廃棄物の有無に係る作業性、信頼性が増す。
なお、管内(掘削孔内)の水は、廃棄物由来の塩類の影響で密度が大きくなっている可能性が高い。そこで、透明袋内に注入される水は、水道水や工業用水などの密度が小さな透明な水のために、密度差に起因して透明袋が浮き上がる可能性がある。このような事情に鑑みて、請求項1の発明では、透明袋に重量物を接続することで、カメラ機器を内部に配した透明袋の、管の底部からの浮き上がりを抑制することが可能になる。
また、カメラ機器による確認作業中、管の内壁に残存した付着物(土ベラ)が落下した場合でも、その付着物は円板状の重量物上に堆積するので、付着物の落下による透明袋の損傷等を抑制し、確認対象までの視野を確保することができる。
【0013】
請求項の発明は、請求項の発明において、前記重量物の下面に、照明器具が設けられることを特徴とするものである。
請求項の発明では、照明器具により、管の底部を明るく照らすことができ、より鮮明な視野を確保することができる。これにより、管の底部における廃棄物の有無を確実に確認することができる。
【0014】
請求項の発明は、請求項1または2の発明において、前記カメラ機器は、前記重量物の下面に配置され、全方位撮影可能であることを特徴とするものである。
請求項の発明では、遠隔操作によりカメラ機器を管先端近傍に移動させて、撮影する必要がないので、作業効率が向上すると共に、廃棄物の見落としを抑制することができる。
これは、透明度(視認性)および照度(明るさ)が十分確保できる本発明の確認装置を備えた条件下で、請求項1または2の発明に係る確認装置に付属させることで実現可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る、廃棄物の確認装置によれば、管(掘削孔)の底部への、廃棄物層からの廃棄物の流入を容易に、また確実に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係る廃棄物の確認装置が適用される、二重管工法を説明するための図である。
図2図2は、ケーシング内でその底部に配置される、本発明の実施形態に係る廃棄物の確認装置の斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る廃棄物の確認装置によって、ケーシングの底部における廃棄物の有無を確認する方法を段階的に示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る廃棄物の確認装置に採用された複数の照明器具を示す斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る廃棄物の確認装置においてカメラ機器の他の実施形態に係る、360°全方位撮影可能な水中ビデオカメラを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を図1図5に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る、廃棄物の確認装置1(以下、単に、確認装置1と称する)は、図1を参照して、管理型海面最終処分場の跡地利用にあたって、工場、倉庫及び橋梁などの建築構造物等を建設する場合など、例えば、二重管による施工方法にて、基礎杭32を、覆土層、廃棄物層、遮水層(粘性土層)を貫通させ、当該遮水層の下層にある支持層まで打設する際に使用される。特に、本実施形態に係る確認装置1は、図2を参照して、例えば、二重管による施工方法において、外周管であるケーシング30(管)を覆土層から廃棄物層を経由して遮水層の上部に至るまで打設して、当該ケーシング30内を掘削して掘削孔31を形成した後、ケーシング30(掘削孔31)の底部における廃棄物の有無、すなわち、ケーシング30(掘削孔31)の底部への、廃棄物層からの廃棄物の流入を確認する際に使用される。なお、具体的な、二重管による施工方法は、前述しているために、ここでの説明を省略する。
【0018】
そして、本実施形態に係る確認装置1は、図2に示すように、ケーシング30の底部を撮影するための水中ビデオカメラ3と、該水中ビデオカメラ3を覆うように設けられ、その内部に透明な水道水または工業用水を給排可能な透明袋4と、ケーシング30を塞ぐことが可能な略円板状に形成され、透明袋4の上部を覆う態様で透明袋4に接続される重量物5と、を備えている。水中ビデオカメラ3がカメラ機器に相当する。水中ビデオカメラ3には、画像信号を伝達すると共に水中ビデオカメラ3の移動を制御する制御信号を伝達する信号ケーブル8が接続される。該信号ケーブル8は、地上に設置される画像表示モニタ(図示略)、及び水中ビデオカメラ3の移動を遠隔操作で制御できる遠隔操作盤(図示略)に接続される。該画像表示モニタに、水中ビデオカメラ3にて撮影された画像がリアルタイムで表示される。
【0019】
水中ビデオカメラ3は、優れた防水機能を有している。水中ビデオカメラ3は、透明袋4内に収容される。水中ビデオカメラ3は、作業者が地上で遠隔操作盤を操作することで遠隔操作盤からの制御信号により水中を自在に移動することができる。水中ビデオカメラ3は、そのカメラ本体が枠体10により支持される。該枠体10に保持ロープ11が接続される。保持ロープ11の上端は、後で詳述する重量物5の下面の任意位置に接続される。そして、水中ビデオカメラ3は、透明袋4および重量物5と共に、地上から吊りワイヤー12により吊り下げられてケーシング30の底部に誘導、配置される。なお、水中ビデオカメラ3の前端上部に水中ライトを装着するようにしてもよい。
【0020】
透明袋4は、透明であって柔軟性を有する袋状に形成される。透明袋4内に水中ビデオカメラ3が収容される。透明袋4は、内部に水中ビデオカメラ3を収容した後、その開口端部が水密的にシールされる。透明袋4には、給排水用ホース15が一体的に延びる。透明袋4は、内部に給排水用ホース15を介して水道水または工業用水が注入されて最大限膨れた状態で、ケーシング30の先端部の内周面及び掘削孔31の底面に当接できる程度の大きさを有するものである。透明袋4は、ケーシング30の先端ビット(刃)や、針金等の廃棄物が接触した場合でも破れない程度の厚み(強度)を有するものである。透明袋4には、その上部を覆う態様で重量物5が接続される。
【0021】
重量物5は、ステンレス鋼等の金属製や、樹脂製の場合でも重りを付けるなどして比重を大きくしたもので構成される。重量物5は、ケーシング30を塞ぐことが可能な略円板状に形成される。重量物5は、透明袋4の上部を含む全体を上方かから覆うように透明袋4に接続される。重量物5は、吊りワイヤー12により吊り下げられる。吊りワイヤー12は、ケーシング30内を地上まで延びる。重量物5の径方向略中央には開口部13が形成される。この開口部13に水中ビデオカメラ3から延びる信号ケーブル8が挿通される。またこの開口部13に、透明袋4から延びる給排水用ホース15も挿通される。本実施形態では、重量物5は、透明袋4内に給排水用ホース15を介して水道水または工業用水を充填した場合、水中ビデオカメラ3を含む透明袋4の、ケーシング30の底部からの浮き上がりを抑制できる重量を有している。また、図4に示すように、重量物5の下面には、照明器具18が周方向に沿って間隔置いて複数設けられている。これら複数の照明器具18によって、透明袋4を介してケーシング30の底部を明るく照らすことができる。また、重量物5の下面で、各照明器具18の除く範囲の任意位置に、水中ビデオカメラ3を保持する保持ロープ11の上端が接続される。該保持ロープ11により、水中ビデオカメラ3を透明袋4内に吊り降ろして移動自在に保持することができる。
【0022】
また、透明袋4から延びる給排水用ホース15は、重量物5の開口部13内を挿通して地上まで延びる。水中ビデオカメラ3から透明袋4を介して外部に延びる信号ケーブル8も、重量物5の開口部13内を挿通して地上まで延びる。なお、水中ビデオカメラ3から延びる信号ケーブル8及び保持ロープ11は、それぞれ透明袋4を貫通して外部に延びることになるが、透明袋4と信号ケーブル8との間、及び透明袋4と保持ロープ11との間は、その間からケーシング30内の濁った水が透明袋4内に浸入しないようにそれぞれシールされる。
【0023】
次に、本発明の実施形態に係る確認装置1によって、ケーシング30(掘削孔31)の底部における廃棄物の有無を確認する方法を図3に基づいて説明する。
二重管による施工方法として、ケーシング30を覆土層から廃棄物層を経由して遮水層の上部に至るまで差し込み、ケーシング30の内部をハンマーグラブ(図示略)等で掘削して掘削孔31を設けた後、本確認装置1による廃棄物の確認作業に進む。
【0024】
そして、まず、図3(a)に示すように、内部に水中ビデオカメラ3を含む透明袋4を、重量物5と共に、ケーシング30の底部まで吊り降ろす。続いて、図3(b)に示すように、透明袋4内に給排水用ホース15を介して透明な水道水または工業用水を注入する。すると、透明袋4内への注水により、透明袋4が最大限膨れた状態となり、透明袋4がケーシング30の内周面及び掘削孔31の底面に当接された状態となる。このとき、重量物5の下面に配置した各照明器具18(図4参照)の電源をONにして、各照明器具18により、透明袋4を介してケーシング30(掘削孔31)の底部を明るく照らすようにする。
【0025】
続いて、地上からの遠隔操作にて、水中ビデオカメラ3を、透明袋4内を自由に移動させて、水中ビデオカメラ3の撮影方向(撮影箇所)を変化させながら、ケーシング30(掘削孔31)の底部全体を撮影して、廃棄物の有無を確認する。このように、透明袋4内には透明な水道水または工業用水が注入されているので、ケーシング30の底部周辺において鮮明な視野を確保することができる。また、水中ビデオカメラ3は、透明な水道水または工業用水で満たされた透明袋4内を移動するので、水中ビデオカメラ3のスクリューの回転や、水中ビデオカメラ3が掘削孔31の底面に直に着底した際などに起因する底部の土粒子の巻き上げ現象等は発生せず、ケーシング30の底部周辺において鮮明な視野を確保することができる。また、水中ビデオカメラ3による撮影中、ケーシング30(掘削孔31)の内壁に残存した付着物が落下した場合でも、その付着物は重量物5上に堆積するので、付着物によりケーシング30の底部が乱れることはなく、確実に底部における廃棄物の有無を確認することができる。
【0026】
続いて、ケーシング30の底部に廃棄物が無いことが確認できた後、図3(c)に示すように、透明袋4内の水をポンプ(図示略)により給排水用ホース15を介して地上まで吸い上げて、透明袋4内の水を排出する。続いて、内部に水中ビデオカメラ3を含む透明袋4を重量物5と共に吊り上げて回収する。その後、引き続き、基礎杭32を支持層まで打設するなど、二重管による施工が継続される。
【0027】
以上説明したように、本実施形態に係る確認装置1は、ケーシング30の底部を撮影するための水中ビデオカメラ3と、該水中ビデオカメラ3を覆うように設けられ、その内部に透明な水を給排可能な透明袋4と、を備えている。そして、透明袋4内に水中ビデオカメラ3を収容した状態で、ケーシング30の底部に配置しつつ、透明袋4内に透明な水道水または工業用水を注入することで、濁り水や浮遊物が無い状態で水中ビデオカメラ3によるケーシング30(掘削孔31)の底部の撮影が可能になる。
【0028】
その結果、ケーシング30の底部周辺において鮮明な視野を確保することができるので、ケーシング30内における複数回の水替え作業や、凝集剤を使って浮遊物の沈降を促進する作業などの時間の要する作業を省略あるいは最小限に抑えることができ、確認作業の時間短縮に貢献することができる。このように、本実施形態に係る確認装置1では、水中ビデオカメラ3により、ケーシング30の底部における廃棄物の有無、すなわち、ケーシング30の底部への、廃棄物層からの廃棄物の流入を容易に確認することができる。また、ケーシング30(掘削孔31)の内壁に残存した付着物が落下した場合でも、その付着物は透明袋4上に堆積するので、付着物によりケーシング30の底部(掘削孔31の底面)が乱れることはなく、確実に底部における廃棄物の有無を確認することができる。これらの作用効果により、現場で待機する次工程の基礎杭31の打設作業を遅延なく行うことができ、二重管による施工全体に係る工期を従来よりも短縮でき、しかも、工費においても従来よりも削減することができ、良好な結果をもたらすことができる。
【0029】
また、本実施形態に係る確認装置1では、透明袋4には、重量物5が接続されているので、内部に水中ビデオカメラ3を有し、注水された透明袋4の、ケーシング30の底部からの浮き上がりを抑制することができる。
【0030】
さらに、本実施形態に係る確認装置1では、重量物5は、ケーシング30を塞ぐことが可能な略円板状に形成されており、透明袋4の上部を上方から覆う態様で該透明袋4に接続されている。これにより、水中ビデオカメラ3による確認作業中、ケーシング30(掘削孔31)の内壁に残存した付着物が落下した場合でも、その付着物は重量物5上に堆積するので、付着物の落下による透明袋4の損傷等を抑制することができる。
【0031】
さらにまた、本実施形態に係る確認装置1では、重量物5の下面に、複数の照明器具18を配置しているので、水中ビデオカメラ3による確認作業中、ケーシング30の底部全体を明るく照らすことでき、より鮮明な視野を確保することができる。これにより、ケーシング30(掘削孔31)の底部における廃棄物の有無を確実に確認することができる。
【0032】
なお、本実施形態に係る確認装置1では、カメラ機器として水中ビデオカメラ3が採用されて、透明袋4内には水道水または工業用水を注入して透明袋4を最大限膨らましているが、透明袋4内に空気を注入することで透明袋4を最大限膨らせてもよい。この実施形態では、優れた防水機能を有する水中ビデオカメラ3ではなく、例えば、気中にて移動可能なビデオカメラ付き移動体等を採用することができる。また、この実施形態では、重量物5は、透明袋4内に給排気用ホースを介して空気を充填した場合、ビデオカメラ付き移動体等を含む透明袋4の、ケーシング30の底部からの浮き上がりを抑制できる重量を有することになる。
【0033】
また、本実施形態に係る確認装置1では、地上からの遠隔操作にて、水中ビデオカメラ3を、透明袋4内を自由に移動させて、水中ビデオカメラ3の撮影方向(撮影箇所)を変化させながら、ケーシング30の底部全体を撮影しているが、図5に示すように、重量物5の下面であってその径方向中央部に、360°全方位撮影可能な水中ビデオカメラ3を配置してもよい。この実施形態の場合には、開口端部を有する透明袋4を採用して、透明袋4により重量物5の下面に配置した水中ビデオカメラ3を覆うように、その開口端部を重量物5の外周面に水密的に装着する。また、重量物5に給排水または給排気用ホースを水密的に上下方向に沿って貫通するように設ける。そして、この実施形態によれば、遠隔操作により水中ビデオカメラ3を移動させて、撮影箇所を変化させる必要がないので、作業効率がさらに向上すると共に、廃棄物の見落としを抑制することができる。
【0034】
さらに、本実施形態に係る確認装置1では、最良な実施形態として重量物5を備えているが、内部に水中ビデオカメラ3を有し、透明な水が注入された透明袋4の、ケーシング30の底部からの浮き上がりを抑制できれば、重量物5を必ずしも備える必要はない。この実施形態を採用するには、透明袋4内に注入する水の密度がケーシング30内の水の密度よりも大きくなるように、透明袋4内に注入する水の密度を適宜選定するか、あるいはケーシング3内の水の密度を適宜置換する必要がある。
【0035】
さらにまた、本実施形態に係る確認装置1は、外周管であるケーシング30を採用して、基礎杭32を(例えば、鋼管杭やコンクリート杭)を覆土層、廃棄物層、遮水層を貫通させて、当該遮水層の下層にある支持層まで打設する際に採用される二重管工法において適用されているが、三重管工法や、中堀工法やハンマー打撃工法などの一重管工法にも、杭(管)先端部のカメラ撮影を実施する場合においても適用することができる。
【0036】
上述の実施形態では、カメラ機器として、通常の防水カメラである水中ビデオカメラ3を採用したが、本確認装置1を用いることで濁りによる夾雑物が混在しないために、照明の不要な赤外線カメラや暗視カメラなどを用いてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 廃棄物の確認装置,3 水中ビデオカメラ(カメラ機器),4 透明袋,5 重量物,18 照明器具,30 ケーシング(管)
図1
図2
図3
図4
図5