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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】光学装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20240327BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240327BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20240327BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
G02F1/1335 510
G02F1/13 505
G02F1/1347
G09F9/00 313
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020089855
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021184061
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100091340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 敬四郎
(72)【発明者】
【氏名】真野 智秀
(72)【発明者】
【氏名】岩本 宜久
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-318374(JP,A)
【文献】国際公開第2017/170400(WO,A1)
【文献】特表平11-508377(JP,A)
【文献】特開2009-288525(JP,A)
【文献】国際公開第2018/008497(WO,A1)
【文献】特開2003-195288(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116895(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0177563(US,A1)
【文献】国際公開第99/04315(WO,A1)
【文献】米国特許第6643224(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335
G02F 1/13
G02F 1/1347
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する状態と光を反射して鏡として機能する状態とを切り替えることができる光学装置であって、
光出射面を有する光出射装置と、
前記光出射装置の前記光出射面に対向して配置される吸収型偏光板と、
前記光出射装置と前記吸収型偏光板との間に配置され、透過する偏光の偏光方向を変換する液晶層を備える液晶光学素子と、
前記光出射装置と前記液晶光学素子との間に配置される反射型偏光板と、
制御装置と、
を備え、
前記吸収型偏光板は、当該吸収型偏光板の面内方向において、一方向に沿う吸収軸と前記一方向に直交する方向に沿うように透過軸が位置するように設けられており、
前記反射型偏光板は、当該反射型偏光板の面内方向において、前記一方向に沿う反射軸と前記一方向に直交する方向に沿うように透過軸が位置するように設けられており、
前記光出射装置は、画像を含む表示光を発光可能な発光装置であり、前記光出射面から前記表示光が出射するときには、前記反射型偏光板の透過軸と同じ偏光成分の偏光を含む光を出射する発光装置であり、
前記反射型偏光板、前記光出射装置を向く表面側にのみ設けられる接着層により前記光出射装置と接着し、前記液晶光学素子とは接着しておらず、
前記制御装置は、
前記光学装置が光を出射する状態のときには、前記光出射装置から出射される前記表示光が、前記接着層、前記反射型偏光板、前記液晶光学素子および前記吸収型偏光板の順に通過して出射し、
前記光学装置が光を反射する状態のときには、当該光学装置に入光する外光が、前記吸収型偏光板および前記液晶光学素子の順に通過して、前記反射型偏光板の反射軸と同じ偏光成分の光が、前記接着層を通ることなく前記反射型偏光板に到達して反射され、当該反射した光が前記液晶光学素子および前記吸収型偏光板の順に通過して出射するように、
前記光出射装置の発光および前記液晶光学素子の偏光方向の変換を制御する、
光学装置。
【請求項2】
前記光出射装置は、有機EL(electro‐luminescence)素子を用いた表示装置である
請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記反射型偏光板は、ワイヤーグリッドタイプまたは多層フィルムタイプの偏光板である
請求項1または2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記液晶光学素子の、前記反射型偏光板を向く表面に貼り付けられる光学フィルムをさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項5】
前記光学装置が、車両用のルームミラーまたはサイドミラーである
請求項1から4のいずれか1項に記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鏡として機能する状態と、表示装置として機能する状態と、を切り替えることができる光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鏡として機能する状態(鏡像を表示する状態あるいは外光を反射する状態ともいう)と、表示装置として機能する状態(所定の画像を表示する状態あるいは表示光を出射する状態ともいう)と、を切り替えることができる装置が開示されている。当該装置は、所定の画像を表示する表示装置と、当該表示装置に対向して配置される吸収型偏光板と、当該表示装置と当該吸収型偏光板との間に配置される液晶光学素子と、当該表示装置と当該液晶光学素子との間に配置される反射型偏光板と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3419766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される装置において、鏡像の表示品質は、反射型偏光板の固定方法によって、大きく低下しうる。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、光を反射する状態と、光を出射する状態と、を切り替えることができる光学装置において、光反射像の表示品質の低下を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための、本開示の一実施態様による光学装置は、光を出射する状態と光を反射して鏡として機能する状態とを切り替えることができる光学装置であって、光出射面を有する光出射装置と、前記光出射装置の前記光出射面に対向して配置される吸収型偏光板と、前記光出射装置と前記吸収型偏光板との間に配置され、透過する偏光の偏光方向を変換する液晶層を備える液晶光学素子と、前記光出射装置と前記液晶光学素子との間に配置される反射型偏光板と、制御装置と、を備え、前記吸収型偏光板は、当該吸収型偏光板の面内方向において、一方向に沿う吸収軸と前記一方向に直交する方向に沿うように透過軸が位置するように設けられており、前記反射型偏光板は、当該反射型偏光板の面内方向において、前記一方向に沿う反射軸と前記一方向に直交する方向に沿うように透過軸が位置するように設けられており、前記光出射装置は、画像を含む表示光を発光可能な発光装置であり、前記光出射面から前記表示光が出射するときには、前記反射型偏光板の透過軸と同じ偏光成分の偏光を含む光を出射する発光装置であり、前記反射型偏光板、前記光出射装置を向く表面側にのみ設けられる接着層により前記光出射装置と接着し、前記液晶光学素子とは接着しておらず、前記制御装置は、前記光学装置が光を出射する状態のときには、前記光出射装置から出射される前記表示光が、前記接着層、前記反射型偏光板、前記液晶光学素子および前記吸収型偏光板の順に通過して出射し、前記光学装置が光を反射する状態のときには、当該光学装置に入光する外光が、前記吸収型偏光板および前記液晶光学素子の順に通過して、前記反射型偏光板の反射軸と同じ偏光成分の光が、前記接着層を通ることなく前記反射型偏光板に到達して反射され、当該反射した光が前記液晶光学素子および前記吸収型偏光板の順に通過して出射するように、前記光出射装置の発光および前記液晶光学素子の偏光方向の変換を制御する
【発明の効果】
【0007】
上記構成の光学装置によれば、光反射像の表示品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】比較形態による光学装置を概略的に示す断面図である。
図2】比較形態において、光反射像に現れうる欠点を示す顕微鏡写真である。
図3】第1実施形態による光学装置を概略的に示す断面図である。
図4】第2実施形態による光学装置を概略的に示す断面図である。
図5】第3実施形態による光学装置を概略的に示す断面図である。
図6】第1実施形態の変形例による光学装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(比較形態)
本開示に係る実施形態を説明する前に、比較形態を参照しつつ、鏡として機能する状態と、表示装置として機能する状態と、を切り替えることができる光学装置の基本的な構造及び機能を説明する。なお、このような光学装置は、例えば、通常は鏡として機能し、必要な時に車内温度,走行速度等を表示する車両用のルームミラー,サイドミラー等に用いることができる。
【0010】
図1に、比較形態による光学装置100を示す。図1を参照しながら、最初に、光学装置100の構造について説明し、次に、その機能及び動作について説明する。
【0011】
ここで、便宜のため、水平面に平行な平面を構成するX軸及びY軸、並びに、X軸及びY軸に直交するZ軸、からなるXYZ直交座標系を設定する。また、X軸に沿って進行する直線偏光(電磁波)において、電場(あるいは磁場)が、Y軸に沿って振動する直線偏光をY偏光と呼び、Z軸に沿って振動する直線偏光をZ偏光と呼ぶことにする。
【0012】
光学装置100は、文字,画像等を表示する表示装置10と、例えばY偏光を反射してZ偏光を透過する反射型偏光板21と、偏光における電場及び磁場の振動方向(偏光方向)を回転させることができる液晶光学素子30と、例えばY偏光を吸収してZ偏光を透過する吸収型偏光板22と、透光性を有するガラス部材からなるカバー部材40と、が順番に配置される構造を有する。
【0013】
表示装置10は、光出射装置に該当し、例えば、有機EL(electro‐luminescence)素子を用いた表示装置である。制御装置200によって、表示装置10の表示面11に、画像を表示するか否か、すなわち、表示面11から表示光Ldを出射させるか否かが制御される。
【0014】
なお、表示装置10を、表示光Ldを出射する光出射装置と呼ぶことがある。また、表示面11を、光出射面と呼ぶことがある。
【0015】
反射型偏光板21には、例えば、ワイヤーグリッドタイプ,多層フィルムタイプ等の偏光板を用いることができる。反射型偏光板21は、例えば、その反射軸がY軸に沿い、その透過軸がZ軸に沿うように配置される。比較形態において、反射型偏光板21は、接着層51を介して、液晶光学素子30(バック基板31b)に接着される。
【0016】
液晶光学素子30は、偏光の偏光方向を回転させることができる光学素子である。具体的には、例えばZ偏光をY偏光に変換することができる光学素子である。制御装置200によって、液晶光学素子30を透過する偏光の偏光方向を回転させるか否かが制御される。
【0017】
液晶光学素子30は、主に、対向配置されるバック基板31b及びフロント基板31fと、バック基板31b及びフロント基板31fの各々の対向面に設けられるバック電極32b及びフロント電極32fと、バック電極32b及びフロント電極32fの各々の対向面に設けられるバック配向膜33b及びフロント配向膜33fと、バック配向膜33bとフロント配向膜33fとに挟まれ、方向によって屈折率(誘電率)が異なる液晶分子を含む液晶層34と、を含む。
【0018】
バック基板31b及びフロント基板31fには、例えば透光性を有するガラス基板が用いられる。バック電極32b及びフロント電極32fには、例えばインジウム錫酸化物を含む、透光性を有する導電部材が用いられる。
【0019】
バック配向膜33b及びフロント配向膜33fには、例えばポリイミドが用いられ、一軸配向処理(例えばラビング処理)が施されている。バック配向膜33bには、例えばY軸に沿った一軸配向処理が施されており、フロント配向膜33fには、例えばZ軸に沿った一軸配向処理が施されている。
【0020】
液晶層34には、例えばツイストネマチックタイプの液晶材料が用いられる。
【0021】
液晶層34に電圧が印加されていないとき(通常状態)、バック配向膜33b近傍に位置する液晶分子はY軸に沿って配向し、フロント配向膜33f近傍に位置する液晶分子はZ軸に沿って配向する。そして、バック配向膜33bとフロント配向膜33fとの間に位置する液晶分子は、バック配向膜33bからフロント配向膜33fに向かって、約90°捻じれるように配向する。
【0022】
バック電極32b及びフロント電極32fを介して液晶層34に電圧が印加されたとき(駆動状態)、YZ平面にほぼ平行に配向している液晶分子は、X軸に沿って配向する。つまり、液晶分子は、バック電極32b及びフロント電極32fに対してほぼ垂直に立ち上がる。
【0023】
通常状態において、液晶光学素子30は、透過する偏光の偏光方向を回転させる。つまり、例えば、Z偏光が入射されたとき、Y偏光を出射する。また、駆動状態において、液晶光学素子30は、透過する偏光の偏光方向を回転させない。つまり、例えば、Z偏光が入射されたとき、Z偏光をそのまま出射する。
【0024】
吸収型偏光板22には、例えば、染料系,ヨウ素系等の偏光板を用いることができる。吸収型偏光板22は、例えば、その吸収軸がY軸に沿い、その透過軸がZ軸に沿うように配置される。比較形態において、吸収型偏光板22は、接着層52を介して、液晶光学素子30(フロント基板31f)に接着される。
【0025】
接着層51,52は、透光性を有する接着剤から構成される。接着層51,52の厚みは、例えば5~10μm程度である。
【0026】
次に、比較形態による光学装置100の機能及び動作について説明する。最初に、光学装置100が、表示機器として機能する場合について説明し、次に、鏡として機能する場合について説明する。
【0027】
光学装置100は、表示装置10の表示面11に画像を表示させ、液晶層34に電圧を印加して液晶光学素子30を駆動状態としたときに、表示機器として機能する。
【0028】
表示装置10から出射される表示光Ldが、反射型偏光板21に入射すると、表示光LdのうちのZ偏光のみが反射型偏光板21を透過する。反射型偏光板21を透過したZ偏光が、駆動状態における液晶光学素子30に入射すると、当該Z偏光は、偏光方向が回転されずに、そのまま液晶光学素子30を透過する。液晶光学素子30を透過したZ偏光は、吸収型偏光板22及びカバー部材40を透過して、観察者に到達する。これにより、観察者は、表示装置10から出射される表示光Ld、すなわち、表示面11に表示される画像を認識することができる。
【0029】
一方、光学装置100は、表示装置10の表示面11に画像を表示させず、液晶層34に電圧を印加せずに液晶光学素子30を通常状態としたときに、鏡として機能する。
【0030】
カバー部材40を透過した外光Loが、吸収型偏光板22に入射すると、外光LoのうちのZ偏光のみが吸収型偏光板22を透過する。吸収型偏光板22を透過したZ偏光が、通常状態における液晶光学素子30、特にその液晶層34に入射すると、当該Z偏光がY偏光に変換されて、液晶層34を透過する。
【0031】
液晶層34により変換されたY偏光が、反射型偏光板21に入射すると、当該Y偏光が反射型偏光板21により反射される。反射型偏光板21により反射されたY偏光が、液晶層34に入射すると、当該Y偏光が再度Z偏光に変換される。液晶層34により再変換されたZ偏光は、吸収型偏光板22及びカバー部材40を透過して、観察者に到達する。これにより、観察者は、反射型偏光板21による光反射像(鏡像)を認識することができる。
【0032】
反射型偏光板21による光反射像には、歪み,欠点等がないことが好ましい。しかし、反射型偏光板21を接着層51を介して液晶光学素子30に貼り付ける際、ゴミ,ホコリ等の異物が反射型偏光板21と液晶光学素子30(つまり、接着層51とバック基板31b)との間に混入し、当該異物が光反射像の欠点として観察される場合がある。
【0033】
図2に、比較形態において、反射型偏光板21と液晶光学素子30との間に異物が混入した際に現れる光反射像の欠点を液晶光学素子30側から観察した状態を示す。反射型偏光板21と液晶光学素子30との間に異物が混入すると、異物の周囲に、接着層51が相対的に厚くなる又は薄くなる部分、反射型偏光板21又は液晶光学素子30が接着層51から剥離する(気泡が混入する)部分、等が生じうる。結果として、光反射像には、異物の10倍以上のサイズの欠点が発現する可能性がある。
【0034】
光学装置100において、このような欠点の発現は抑制されることが望ましく、少なくとも、欠点のサイズを異物のサイズと同じ程度に抑えて、欠点を目立たないようにすることが好ましい。以下に、実施形態として、このような光反射像の欠点が目立ちにくい光学装置について説明する。
【0035】
(第1実施形態)
図3に、第1実施形態による光学装置101の構造を示す。第1実施形態による光学装置101は、反射型偏光板21の固定方法を除いて、比較形態による光学装置100と同じ構造及び構成を有する。
【0036】
光学装置101において、反射型偏光板21は、表示装置10の表示面11に接着される。接着層53が、反射型偏光板21の、表示装置10を向く表面に設けられており、接着層53により、反射型偏光板21と表示装置10とが接着される。
【0037】
第1実施形態において、反射型偏光板21により反射される偏光は、反射型偏光板21と表示装置10との接着界面、あるいはそれらを接着する接着層53を通過しない。このため、反射型偏光板21と表示装置10との間に異物が混入した場合でも、異物,当該異物の混入に起因する接着層53の気泡等に対応する欠点が、光反射像に現れない。
【0038】
このように、接着層53が、反射型偏光板21の、表示装置10を向く表面に設けられることにより、接着層53に混入しうる異物が光反射像に与える影響を小さくすることができる。これにより、異物の混入に伴う光反射像の欠点を目立ちにくくして、光反射像の表示品質の低下を抑制することができる。
【0039】
(第2実施形態)
第1実施形態では、反射型偏光板21が表示装置10に貼り付けられていた。しかし、反射型偏光板21は、別途用意した透光プレートに貼り付けられていてもよい。以下では、第2実施形態として、反射型偏光板21が透光プレートに貼り付けられた光学装置について説明する。
【0040】
図4に、第2実施形態による光学装置102の構造を示す。第2実施形態による光学装置102は、反射型偏光板21の固定方法を除いて、第1実施形態による光学装置101と同じ構造及び構成を有する。
【0041】
光学装置102において、反射型偏光板21は、透光プレート60に接着される。接着層53が、反射型偏光板21の、表示装置10を向く表面に設けられており、接着層53により、反射型偏光板21と透光プレート60とが接着される。
【0042】
透光プレート60は、例えば、透光性を有するガラス部材から構成される。なお、透光プレート60は、透光性を有し、反射型偏光板21を支持できる部材であればどのような部材でもよい。
【0043】
反射型偏光板21は、このように固定されていてもよい。なお、比較的厚みのある透光プレート60を用いることにより、光学装置102全体の剛性(歪みあるいは撓みに対する耐性)を高めることができる。
【0044】
(第3実施形態)
第1実施形態及び第2実施形態では、所望の画像を表示する手段として、有機EL素子を用いた表示装置10を例示した。しかし、所望の画像を表示する手段として、液晶表示素子を含む光出射装置を用いてもよい。以下では、第3実施形態として、液晶表示素子を含む光出射装置を用いた光学装置について説明する。
【0045】
図5に、第3実施形態による光学装置103の構造を示す。第3実施形態による光学装置103は、表示装置10が光出射装置70に代替されている点を除いて、第1実施形態による光学装置101と同じ構造及び構成を有する。
【0046】
光学装置103では、表示装置10に替わって、光出射装置70が用いられる。光出射装置70は、反射型偏光板21と接着する液晶表示素子71と、液晶表示素子71に光を照射する光源72と、液晶表示素子71と光源72との間に配置される偏光フィルム73と、を含む。
【0047】
液晶表示素子71は、7セグメント型,ドットマトリックス型等の電極構造を有し、VA(Virtical Alignment),IPS(In Plane Switching)等の駆動方式により駆動される。偏光フィルム73は、反射型偏光板21に対して例えばクロスニコルに配置されており、光出射装置70は、反射型偏光板21と組み合わせて、画像を表示する手段として機能する。
【0048】
このように、表示装置10に替えて、反射型偏光板21と組み合わせることにより画像を表示する手段として機能する光出射装置70を用いてもよい。
【0049】
(変形例)
図6に、第1実施形態の変形例による光学装置104を示す。なお、本変形例は、第2実施形態及び第3実施形態にも適用可能である。
【0050】
第1実施形態では、反射型偏光板21が表示装置10に貼り付けられている。この場合に、視角補償フィルム,アンチグレアフィルム等の光学フィルム81を液晶光学素子30に貼り付けてもよい。
【0051】
通常、このような光学フィルム81は、反射型偏光板21と重ねて、液晶光学素子30に貼り付けられる。光学フィルム81及び反射型偏光板21は、一般に、可撓性あるいは柔軟性を有しており、それらを重ねて液晶光学素子30に貼り付けると、反射型偏光板21の平坦性が損なわれ、反射型偏光板21による光反射像が歪む可能性がある。
【0052】
光学フィルム81と反射型偏光板21とを、別々の部材に貼り付けることにより、反射型偏光板21の平坦性が保たれ、反射型偏光板21による光反射像の歪みを防ぐことができる。また、光学フィルムの貼付方法として、光学フィルム81及び反射型偏光板21を重ねて同一の部材に貼り付ける方法よりも、光学フィルム81と反射型偏光板21とを別々の部材に貼り付ける方法のほうが、より容易である。
【0053】
なお、第1実施形態では、吸収型偏光板22が液晶光学素子30に貼り付けられている。しかし、吸収型偏光板22は、液晶光学素子30ではなく、カバー部材40に貼り付けられていてもよい。
【0054】
この場合、視角補償フィルム,アンチグレアフィルム等の光学フィルム82を液晶光学素子30に貼り付けてもよい。上述したように、光学フィルムの貼付方法として、光学フィルム82及び吸収型偏光板22を重ねて同一の部材に貼り付ける方法よりも、光学フィルム82と吸収型偏光板22とを別々の部材に貼り付ける方法のほうが、より容易である。なお、吸収型偏光板22を液晶光学素子30に貼り付けて、光学フィルム82をカバー部材40に貼り付けてもよい。
【0055】
以上、実施形態及びその変形例に沿って、本開示を説明したが、本開示はこれらに制限されるものではない。種々変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0056】
10 光出射装置(有機EL表示装置)
11 光出射面(表示面)
21 反射型偏光板
22 吸収型偏光板
30 液晶光学素子
31f フロント基板
31b バック基板
32f フロント電極
32b バック電極
33f フロント配向膜
33b バック配向膜
34 液晶層
40 カバー部材
51~54 接着層
60 透光プレート
70 光出射装置
71 液晶表示素子
72 光源
73 偏光フィルム
81,82 光学フィルム
100 光学装置(比較形態)
101 光学装置(第1実施形態)
102 光学装置(第2実施形態)
103 光学装置(第3実施形態)
200 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6