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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】進入角指示灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240327BHJP
   B64F 1/18 20060101ALI20240327BHJP
   F21V 9/08 20180101ALI20240327BHJP
   F21V 13/02 20060101ALI20240327BHJP
   F21V 14/06 20060101ALI20240327BHJP
   F21W 111/06 20060101ALN20240327BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240327BHJP
【FI】
F21S2/00 340
B64F1/18
F21S2/00 664
F21V9/08
F21V13/02 200
F21V14/06
F21W111:06
F21Y115:10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020091850
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021190205
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】595034189
【氏名又は名称】日本船燈株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 理太
(72)【発明者】
【氏名】田口 実
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-012009(JP,A)
【文献】特開昭55-036188(JP,A)
【文献】実開昭49-040199(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第110949686(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
B64F 1/18
F21V 9/08
F21V 13/02
F21V 14/06
F21Y 115/10
F21W 111/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源の前方に配置されたレンズと、前記光源と前記レンズとの間に配置されたフィルタとを備え、前記光源より照射された光が前記フィルタ及び前記レンズを通して遠方上空に投影されるようにした進入角指示灯において、
前記フィルタは、中央に配置され、照射された中央部の光が透過するオンコース指示部と、該オンコース指示部を挟んで異なる色を発色又は透過する複数の進入角度警告部とが上下多段に配置され
前記オンコース指示部の上側又は下側の進入角度警告部は、それぞれ色の異なる複数の着色部によって多段に形成されていることを特徴とする進入角指示灯。
【請求項2】
前記フィルタと前記レンズとの間の距離が調節可能な請求項1に記載の進入角指示灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空港や船舶に航空機が着陸する際、操縦士が視認により進入角度を確認するための進入角指示灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空港等の航空機が着陸する施設には、操縦士が視認により進入角度を確認できるように進入角指示灯が設置されている。
【0003】
この進入角指示灯は、ケース内にLED機器等の光源と、光源の前方に配置されたレンズと、光源とレンズとの間に配置されたフィルタとを備え、光源より照射された光がフィルタ及びレンズを通して遠方上空に投影されるようになっている。
【0004】
フィルタ30は、図6に示すように、無色のフィルタ本体の半分が着色又は干渉膜蒸着等によって着色部31が形成されており、転移層と呼ばれる境界部を挟んで上下で白色光と着色光(赤色光)とに分離した像が投影させるようになっている。
【0005】
よって、操縦士には、高度が高く、進入角度が大きい場合には着色部による像が見えずに白色部を透過した像が見え、逆に高度が低く、進入角度が小さい場合は着色部を透過した像が見える。
【0006】
そして、図7に示すように、仰角の異なる複数の進入角指示灯32,32…を滑走路33と直交する方向に所定の間隔をおいて配置しておくことによって、図8に示すように、滑走路33に対する進入角度に応じて各進入角指示灯32,32…によって投影された像の見え方が異なり、詳細な進入角度、即ち、航空機の適正な進入角度を把握することができるようになっている。
【0007】
具体的には、高度が低過ぎて進入角度が小さい場合には、図8(a)に示すように、全ての進入角指示灯32で着色光が視認され、高度がやや低い場合には、図8(b)に示すように、最も左側に位置する進入角指示灯のみで白色光が視認され、オンコース(適正な進入角度)の場合には、図8(c)に示すように、左側2灯で白色光、右側2灯で着色光が視認され、高度がやや高い場合には、図8(d)に示すように、最も右側に位置する進入角指示灯のみで着色光が視認され、高度が高過ぎて進入角度が大きい場合には、図8(e)に示すように、全ての進入角指示灯32で白色光が視認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平02-15503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の如き従来の技術では、複数の進入角指示灯を所定の間隔をおいて配置しなければならず、滑走路の隣に進入角指示灯を設置する場所を確保しなければならないという問題があった。
【0010】
特に、船舶上に航空機が着艦するような場合には、複数の進入角指示灯を設置するスペースを確保することが難しく、使用することができなかった。
【0011】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、1台でも適正な進入角度を把握することができる進入角指示灯の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、光源の前方に配置されたレンズと、前記光源と前記レンズとの間に配置されたフィルタとを備え、前記光源より照射された光が前記フィルタ及び前記レンズを通して遠方上空に投影されるようにした進入角指示灯において、前記フィルタは、中央に配置され、照射された中央部の光が透過するオンコース指示部と、該オンコース指示部を挟んで異なる色を発色又は透過する複数の進入角度警告部とが上下多段に配置され、前記オンコース指示部の上側又は下側の進入角度警告部は、それぞれ色の異なる複数の着色部によって多段に形成されていることにある。
【0013】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記フィルタと前記レンズとの間の距離が調節可能なことにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る進入角指示灯は、請求項1の構成を具備することによって、オンコースが視認できることで、1台で的確な進入角度を把握することができ、船舶等に着艦する場合にも適用することができる。また、視認により把握できる進入角度を段階的に細分化し、詳細な進入角度を把握することができる。
【0015】
さらに、本発明において、請求項2に記載の構成を具備することによって、オンコース指示部を通して投影される像の幅等を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る進入角指示灯の概略を示す断面図である。
図2図1中のフィルタを示す正面図である。
図3】同上の進入角指示灯による各進入角度における像の見え方を説明するための概略図であって、(a)は進入角度が低過ぎる場合、(b)は同やや低い場合、(c)は同オンコースの場合、(d)は同進入角度がやや高い場合、(e)は高過ぎる場合である。
図4】(a)は本発明に係る進入角指示灯の使用態様の一例を示す側面図、(b)は同平面図である。
図5】同上のフィルタの他の実施態様を示す正面図である。
図6】従来の進入角指示灯に使用されているフィルタの一例を示す正面図である。
図7】一般的な進入角指示灯の使用態様を示す概略俯瞰図である。
図8】同上の複数の進入角指示灯による進入角度確認方法を説明するための概略俯瞰図であって、(a)は進入角度が低すぎる場合、(b)は同やや低い場合、(c)はオンコースの場合、(d)はやや高い場合、(e)は同高すぎる場合である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る進入角指示灯の実施態様を図1図3に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1は進入角指示灯である。
【0018】
この進入角指示灯1は、図1に示すように、カバー2内に設置された支持台3と、支持台3上に設置されたLED機器等の光源ユニット4と、光源ユニット4の前方に配置されたレンズユニット5と、光源ユニット4とレンズユニット5との間に配置されたフィルタ6とを備え、光源ユニット4、フィルタ6及びレンズユニット5が同一光軸上に配置され、光源ユニット4より照射された光がフィルタ6及びレンズユニット5を通して遠方上空に投影されるようになっている。
【0019】
カバー2は、前方に開口部又は射光部を有する中空箱状に形成され、支持台3に支持された光源ユニット4、フィルタ6及びレンズユニット5が収容されている。
【0020】
このカバー2は、複数の脚7,7に支持され、地上に安定して設置されるようになっている。尚、カバー2の設置は、脚7,7に依らずともよく、例えば、地面に載置された台上に設置するものであってもよい。
【0021】
支持台3は、光源ユニット4、フィルタ6及びレンズユニット5を同一光軸上に設置された台本体3aを備え、台本体3aの後端側が回動軸3bによって回動可能に支持され、前方が支持脚3cに支持されており、回動軸3bによって角度(光軸の仰角)が調節できるようになっている。
【0022】
光源ユニット4は、LED機器等の光源4aから発せられる光が反射鏡4bによって前方に光束として照射されるようになっている。
【0023】
レンズユニット5は、レンズ5aと、レンズ5aを保持する枠体5bとを備え、枠体5bを介してレンズ5aが支持台3に固定されている。
【0024】
レンズ5aは、所定の屈折率を有する球体レンズによって構成され、光束を所定の焦点距離で集光するようになっている。
【0025】
フィルタ6は、保持部材8を介して支持台3に支持され、保持部材8は、支持台3に対し光軸と平行な方向に移動可能に固定されており、保持部材8を移動させることによって、フィルタ6とレンズユニット5との距離を調節できるようになっている。
【0026】
フィルタ6は、図2に示すように、ガラス板や透明な樹脂板材等の透明な板材によって構成され、中央に所望の色からなるオンコース指示部9を備えるとともに、オンコース指示部9を挟んで異なる色を発色又は透過する複数の進入角度警告部10,11が上下多段に配置されている。
【0027】
オンコース指示部9は、着色又は干渉膜蒸着等によってフィルタ6の中央部表面を被覆することにより横方向に長い細長帯状に形成され、このオンコース指示部9を光(白色光)が透過することによってオンコース指示部9の色の光(以下、オンコース指示用着色光12という)の像を成す。
【0028】
このオンコース指示部9の色は、特に限定されないが、進入角度警告部10,11の色との違いが明確であって、視認によって進入角度が適正であることが認識し易い色(例えば、青や緑)に設定することができる。
【0029】
オンコース指示部9を挟んで上側の進入角度警告部10(以下、投光時の位置を基準にして下側進入角度警告部10という)は、着色又は干渉膜蒸着等によってフィルタ6のオンコース指示部9より上側全体を被覆することにより矩形状に形成され、この下側進入角度警告部10を光(白色光)が透過することによって下側進入角度警告部10の色の光(以下、警告部用着色光13という)の像を成す。
【0030】
この下側進入角度警告部10の色は、特に限定されないが、オンコース指示部9の色との違いが明確となる色(例えば、オンコース指示部9の色が寒色系の場合には赤や橙色等の暖色系のもの)が望ましい。
【0031】
一方、オンコース指示部9を挟んで下側の進入角度警告部11(以下、投光時の位置を基準にして上側進入角度警告部11という)は、フィルタ6の表面を露出したままの状態とし、光源ユニット4から照射された光(白色光)をそのまま透過するようになっている。
【0032】
この進入角指示灯1は、図1に示すように、光源ユニット4からの光が反射鏡4bにより前方に一定の光束として反射(照射)され、当該光束の中央部の光は、オンコース指示部9を透過してオンコース指示用着色光12となり、フィルタ6を透過した光束の略上半部の光は、下側進入角度警告部10を透過して警告用着色光13となり、フィルタ6を透過した光束の略下半部の白色光14は、フィルタ6をそのまま透過する。
【0033】
そして、フィルタ6を透過した光束は、レンズユニット5によって屈折されて焦点Fにおいて像が倒立し、中央がオンコース指示用着色光12、オンコース指示用着色光12の下側が警告用着色光13、オンコース指示用着色光12の上側が白色光14に分離した像でと遠方上空に投影される。
【0034】
よって、航空機の操縦士は、適正な進入角度、即ちオンコースで進入している場合には、図3(c)に示すように、オンコース指示用着色光12を視認でき、進入角度が小さい場合には、図3(a)又は(b)に示すように、警告用着色光13を視認でき、進入角度が大きい場合には、図3(d)又は(e)に示すように、白色光14を視認できるので、着陸区域(滑走路)15に対する進入角度を的確に把握することができる。
【0035】
このように構成された進入角指示灯1は、1台でオンコース、進入角度が大きい場合及び進入角度が小さい場合を投影される複数色の光12~14によって判別することができ、着陸領域(滑走路)15脇に最小限の設置スペースがあれば設置することができる。
【0036】
この進入角指示灯1は、図4に示すように、船舶20の航空機進入角度指示システムにも適応し、船舶20に設置された着艦領域21の側部に進入角指示灯1を配置することによって、航空機から船舶20に着艦する際の進入角度を的確に把握することができる。
【0037】
尚、上述の実施例では、オンコース指示部9を挟んで上下にそれぞれ1色の進入角度警告部10,11を配置した場合について説明したが、図5に示すように、オンコース指示部9の上側又は下側の進入角度警告部10,11がそれぞれ色の異なる複数の着色部10a,10b、11a,11bによって多段に形成されたものであってもよい。
【0038】
尚、上述の着陸領域及び着艦領域には、滑走路に限定されず、ヘリポート等の航空機が着陸又は着艦可能な全ての領域に適用することができる。
【0039】
さらに、上述の実施例では、本発明に係る進入角指示灯を1台で運用する場合について説明したが、複数の進入角指示灯を併用することもできる。
【符号の説明】
【0040】
1 進入角指示灯
2 カバー
3 支持台
4 光源
5 レンズ
6 フィルタ
7 脚
8 保持部材
9 オンコース指示部
10 下側進入角度警告部
11 上側進入角度警告部
12 オンコース指示用着色光
13 警告用着色光
14 白色光
15 着陸領域
20 船舶
21 着艦領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8