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  • 特許-ワイヤレス給電路盤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】ワイヤレス給電路盤
(51)【国際特許分類】
   E01C 9/00 20060101AFI20240327BHJP
   E01C 7/10 20060101ALI20240327BHJP
   E01C 7/26 20060101ALI20240327BHJP
   E01C 7/18 20060101ALI20240327BHJP
   E01C 13/02 20060101ALI20240327BHJP
   H02J 50/05 20160101ALI20240327BHJP
【FI】
E01C9/00
E01C7/10
E01C7/26
E01C7/18
E01C13/02
H02J50/05
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020099273
(22)【出願日】2020-06-08
(65)【公開番号】P2021193239
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】390002185
【氏名又は名称】大成ロテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】崎原 孫周
(72)【発明者】
【氏名】笹谷 卓也
(72)【発明者】
【氏名】平野 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】岩本 藤行
(72)【発明者】
【氏名】城本 政一
(72)【発明者】
【氏名】唐木 健次
(72)【発明者】
【氏名】大平 孝
(72)【発明者】
【氏名】水谷 豊
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-163798(JP,A)
【文献】特開2016-063684(JP,A)
【文献】特表2020-506318(JP,A)
【文献】特開2000-160666(JP,A)
【文献】特開昭53-051628(JP,A)
【文献】特開2019-210682(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0038902(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 9/00
E01C 7/10
E01C 7/26
E01C 7/18
E01C 13/02
H02J 50/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面よりも下方に設けられ、前記路面の幅方向に間隔を開けて配置された複数の送電電極と、
前記送電電極の下側に配置される上層路盤と、
前記上層路盤を下方から支持する路盤支持部と、
前記路盤支持部の下側に配置され、上下に水を通す開口を有するとともに、導電性材料から形成されたグランド材と、を備え、
前記路盤支持部は、
前記グランド材に対して上方に間隔を開けて配置され、前記上層路盤を下方から支持する路盤支持体と、
前記路盤支持体の上方から下方に水を通す第一通水部と、
前記路盤支持体と前記グランド材との間に第一空間を形成する第一支持脚と、を備える、
ワイヤレス給電路盤。
【請求項2】
前記路盤支持部は、前記路盤支持体と前記第一支持脚とを有する路盤支持ユニットが、前記グランド材上に複数並べて配置されることで構成され、
前記第一通水部は、前記路盤支持体に形成された開口と、互いに隣り合う前記路盤支持ユニット同士によって形成された隙間の、いずれか一方または双方である、
請求項1に記載のワイヤレス給電路盤。
【請求項3】
前記グランド材と前記グランド材の下方の基体との間に配置されたグランド支持部をさらに備え、
前記グランド支持部は、
前記グランド材を下方から支持するグランド支持体と、
前記グランド支持体の上方から下方に水を通す第二通水部と、
前記グランド支持体と前記基体との間に第二空間を形成する第二支持脚と、を備える、
請求項1または2に記載のワイヤレス給電路盤。
【請求項4】
前記グランド支持部は、前記グランド支持体と前記第二支持脚とを有するグランド支持ユニットが、前記基体上に複数並べて配置されることで構成され、
前記第二通水部は、前記グランド支持体に形成された開口と、互いに隣り合う前記グランド支持ユニット同士によって形成された隙間の、いずれか一方または双方である、
請求項3に記載のワイヤレス給電路盤。
【請求項5】
前記第二空間内の水を排水する排水部をさらに備える、
請求項3または4に記載のワイヤレス給電路盤。
【請求項6】
前記排水部は、
前記第二空間の下側の前記基体に水勾配を有して形成された傾斜面と、
前記傾斜面の傾斜方向下方に配置された排水管と、を備える、
請求項5に記載のワイヤレス給電路盤。
【請求項7】
前記送電電極は、
電極本体と、
前記電極本体を覆うように形成された防水被覆と、を備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載のワイヤレス給電路盤。
【請求項8】
前記上路盤は、セラミック、ガラス、樹脂材料、砕石のうちの少なくとも一種を含む礫材のみからなる、
請求項1から7のいずれか一項に記載のワイヤレス給電路盤。
【請求項9】
前記送電電極の上側に設けられ、前記路面を形成する表面部材をさらに備え、
当該表面部材は、アスファルト材料またはセメント系材料に、骨材としてセラミックス系材料、シリコン系材料、樹脂材料のうちの少なくとも一種を混入させて形成されている、
請求項1から8のいずれか一項に記載のワイヤレス給電路盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス給電路盤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車、電動カート、AGV(Automated Guided Veh
icle)等、電気エネルギーを動力に用いる車両に対し、ワイヤレスで電力を給電するワイヤレス給電システムが採用されつつある。
例えば、特許文献1には、建物のスラブや路盤(基体)上に、金属部材と、基体側部材と、給電用の第一導体及び第二導体と、第一導体及び第二導体を覆うように配置された表面部材とが、順次積層された構成が開示されている。金属部材は、基体の給電への影響を抑制するグランド材として使用され、金属板、金属シート、金属メッシュ等で構成されている。基体側部材は、アスファルト材料またはセメント系材料にセラミックスを混入させた、一般骨材よりも誘電率が低い材料から形成されている。
車両には、第一導体及び第二導体の各々に対応して電極が設けられている。各導体と電極の間に高周波の電界を生じさせ、この電界を媒体として、電力が各導体から車両へと伝送される。
【0003】
特許文献1に開示されたようなワイヤレス給電システムを、屋外に設置した場合、基体側部材の含水量が夜露や雨等によって増えると、給電時に、各導体と電極の間に位置する、あるいは各導体やグランド材の表面に付着した水分が抵抗となり、電界が熱に変換される。したがって、各導体から車両側への給電性能が低下してしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-163798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、屋外に設置した場合であっても、含水量の増加に起因する給電性能の低下を抑えてワイヤレス給電を行うことが可能な、ワイヤレス給電路盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のワイヤレス給電路盤は、路面よりも下方に設けられ、前記路面の幅方向に間隔を開けて配置された複数の送電電極と、前記送電電極の下側に配置される上層路盤と、前記上層路盤を下方から支持する路盤支持部と、前記路盤支持部の下側に配置され、上下に水を通す開口を有するとともに、導電性材料から形成されたグランド材と、を備え、前記路盤支持部は、前記グランド材に対して上方に間隔を開けて配置され、前記上層路盤を下方から支持する路盤支持体と、前記路盤支持体の上方から下方に水を通す第一通水部と、前記路盤支持体と前記グランド材との間に第一空間を形成する第一支持脚と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、上層路盤を支持する路盤支持部は、第一通水部を有している。このため、露や雨等によって上層路盤を通して染みてきた水は、路盤支持部の第一通水部を通して、路盤支持体の下方の第一空間に流れ落ちやすい。第一空間に流れ落ちた水は、グランド材に形成された開口から下方へと排出される。このようにして、グランド材の上に水が滞るのを有効に抑えることができる。すると、送電電極とグランド材との間で、高周波電界が熱に変換されにくくなり、電力伝送効率が大幅に向上する。その結果、屋外に設置した場合であっても、グランド材の上方の含水量の増加に起因する給電性能の低下を抑えてワイヤレス給電を行うことが可能な、ワイヤレス給電路盤を提供することが可能となる。
【0007】
本発明の一態様においては、本発明のワイヤレス給電路盤は、前記路盤支持部が、前記路盤支持体と前記第一支持脚とを有する路盤支持ユニットが、前記グランド材上に複数並べて配置されることで構成され、前記第一通水部は、前記路盤支持体に形成された開口と、互いに隣り合う前記路盤支持ユニット同士によって形成された隙間の、いずれか一方または双方である。
このような構成によれば、複数の路盤支持ユニットをグランド材上に並べることで、第一通水部を容易に形成することができる。
【0008】
本発明の一態様においては、本発明のワイヤレス給電路盤は、前記グランド材と前記グランド材の下方の基体との間に配置されたグランド支持部をさらに備え、前記グランド支持部は、前記グランド材を下方から支持するグランド支持体と、前記グランド支持体の上方から下方に水を通す第二通水部と、前記グランド支持体と前記基体との間に第二空間を形成する第二支持脚と、を備える。
このような構成によれば、グランド材の開口から下方に排出される水が、第二通水部を通して、グランド支持体の下方の第二空間に流れ落ちる。これにより、グランド材近傍に水が滞るのを抑えて、排水性を高めることができる。したがって、送電電極とグランド材との間における含水量が増加するのを、より有効に抑えることができる。
【0009】
本発明の一態様においては、本発明のワイヤレス給電路盤は、前記グランド支持部が、前記グランド支持体と前記第二支持脚とを有するグランド支持ユニットが、前記基体上に複数並べて配置されることで構成され、前記第二通水部は、前記グランド支持体に形成された開口と、互いに隣り合う前記グランド支持ユニット同士によって形成された隙間の、いずれか一方または双方である。
このような構成によれば、複数のグランド支持ユニットを基体上に並べることで、第二通水部を容易に形成することができる。
【0010】
本発明の一態様においては、本発明のワイヤレス給電路盤は、前記第二空間内の水を排水する排水部をさらに備えることを特徴とする。
このような構成によれば、排水部によって第二空間内の水を排水することによって、グランド支持部の第二空間内に水が溜まるのを抑えることができる。
【0011】
本発明の一態様においては、本発明のワイヤレス給電路盤は、前記排水部が、前記第二空間の下側の前記基体に水勾配を有して形成された傾斜面と、前記傾斜面の傾斜方向下方に配置された排水管と、を備える。
このような構成によれば、グランド支持体の下方の第二空間に流れ落ちた水は、傾斜面に沿って水勾配の下方に流れ、排水管に流れ込む。排水管に流れ込んだ水は、排水管を通して排水される。このようにして、第二空間内の水を、速やかに排出することができる。また、グランド支持部の下方に水勾配を有した傾斜面を形成して、排水管を設置すればよいので、その施工を容易に行うことができる。
【0012】
本発明の一態様においては、本発明のワイヤレス給電路盤は、前記送電電極が、電極本体と、前記電極本体を覆うように形成された防水被覆と、を備える。
このような構成によれば、高周波電界が特に高くなる送電電極の表面を防水して送電電極への水の付着を抑制し、かつ、周囲の排水性能を向上させることができる。これによって送電電極の周囲で高周波電界が熱に変換されにくくなり、電力伝送効率が向上する。
【0013】
本発明の一態様においては、本発明のワイヤレス給電路盤は、前記上層路盤が、セラミック、ガラス、樹脂材料、砕石のうちの少なくとも一種を含む礫材のみからなる。
このような構成によれば、上層路盤を、アスファルトやコンクリートを含まずに、セラミック、ガラス、樹脂材料、砕石のうちの少なくとも一種を含む礫材のみから構成することで、高い通水性を確保することができる。これにより、水が、上層路盤に留まりにくく、その含水量が増えるのを、有効に抑えることができる。
【0014】
本発明の一態様においては、本発明のワイヤレス給電路盤は、前記送電電極の上側に設けられ、前記路面を形成する表面部材をさらに備え、当該表面部材は、アスファルト材料またはセメント系材料に、骨材としてセラミックス系材料、シリコン系材料、樹脂材料のうちの少なくとも一種を混入させて形成されている。
このような構成によれば、水が、表面部材に留まりにくく、その含水量が増えるのを、有効に抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、屋外に設置した場合であっても、含水量の増加に起因する給電性能の低下を抑えてワイヤレス給電を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るワイヤレス給電路盤の構成を示す断面図である。
図2】本発明の実施形態の変形例に係るワイヤレス給電路盤の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明によるワイヤレス給電路盤を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
本発明の実施形態に係るワイヤレス給電路盤の構成を示す断面図を図1に示す。
図1に示すように、ワイヤレス給電路盤1は、電気自動車や電動カート、電動フォークリフト、電動自動運搬装置等の車両100に対して給電を行う。ワイヤレス給電路盤1は、例えば、屋外に設置される。ワイヤレス給電路盤1は、屋外に限らず、屋内に設置することも可能である。ワイヤレス給電路盤1は、基体8上に設けられている。基体8は、例えば、地盤、または地盤上に敷設された砕石等である。基体8は、掘削された地盤の上に形成されたコンクリート製の路盤であってもよい。ワイヤレス給電路盤1は、表面部材2と、送電電極3と、上層路盤4と、路盤支持部5と、グランド材6と、グランド支持部7と、を備えている。これら表面部材2、送電電極3、上層路盤4、路盤支持部5、グランド材6、およびグランド支持部7は、基体8上で、上方から下方に向けてこの順に、積層されている。
【0018】
表面部材2は、車両100が走行する路面Fを形成する。表面部材2は、送電電極3を上方から覆うように設けられている。表面部材2は、車両100の重量や走行時の振動に耐え得る強度を持つのが好ましい。また、表面部材2は、後に説明する送電電極3と車両100との間で電力を伝送する経路であるため、給電効率に対して大きく影響する。したがって、表面部材2は、給電効率に優れた材料で構成するのが好ましい。また、表面部材2は、給電効率の点から比較的薄い素材であることが好ましい。表面部材2は、吸水性が少ない材料から形成するのが好ましい。
このような表面部材2としては、例えば、アスファルト材料又はセメント系材料に、骨材としてセラミックス系材料、シリコン系材料(例えばガラス)、樹脂材料(ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、天然ゴム等)のうちの少なくとも一種を混入させた素材を用いるのが最も好適である。ここで、アスファルト材料又はセメント系材料に混入させる骨材としては、セラミックス系材料、シリコン系材料、樹脂材料に限らず、比誘電率及び誘電正接の少なくとも一方が、一般的な骨材よりも小さい物質を採用することもできる。
表面部材2としては、これ以外にも、上記の構成よりも吸水性は増加する可能性はあるが、アスファルト材料、コンクリート材料、プラスチック、発泡スチロール等を適用することができる。これら材料から表面部材2が構成される場合には、表面部材2は、単一の素材で構成されているだけでなく、複数の素材を複層したもの、あるいは複合したものであってもよい。
また、表面部材2は、金属繊維など導電性が高い物質をコンクリート等に混入し、電気抵抗を低くした部材からなるものであってもよい。この場合には、後に変形例として説明するように、目地材やスリット等の電気絶縁体を、送電電極3間を絶縁するように設けるのが望ましい。
【0019】
表面部材2の上面によって形成される路面Fは、路面Fの幅方向Dw(図1において、紙面左右方向)の中央部2cから、幅方向両端部2eに向かって漸次下方に傾斜した水勾配が付与されている。路面Fの水勾配は、例えば2%程度とすることができる。
【0020】
送電電極3は、路面Fよりも下方に設けられている。送電電極3は、表面部材2の下側に配置されている。送電電極3は、路面Fの幅方向Dwに間隔を開けて複数が配置されている。本実施形態においては、複数の送電電極3として、幅方向Dwに間隔を開けた第一導体31A及び第二導体31Bが設けられている。第一導体31A、第二導体31Bは、板形状、シート形状に形成されている。第一導体31A及び第二導体31Bは、ワイヤレス給電を行うための電力の送電路であり、例えば、車両100の進行方向に沿って帯板状に延びている。第一導体31A及び第二導体31Bは、電力給電用の電源装置(図示無し)に接続されている。
【0021】
送電電極3を構成する第一導体31A及び第二導体31Bは、それぞれ、電極本体32と、電極本体32を覆うように形成された防水被覆33と、を備えている。電極本体32は、高周波電流のスキンデプスを十分満足する厚みを有する、鉄、アルミニウム、ステンレス等の金属材料からなる。
送電電極3に水が付着すると、水が抵抗となり、給電時に電界が熱へと変換されて、給電効率が低下する可能性がある。防水被覆33は、電極本体32への水の付着を防止するために設けられている。防水被覆33は、例えばアスファルトや防水ゴムによって形成されている。防水被覆33は、所要の防水性能を発揮できるのであれば、その具体的な材料について限定するものではなく、適宜公知の防水材料を採用可能である。なお、防水被覆33を形成する防水ゴムに、強度を高めるためのカーボン材料が含まれている場合、給電効率が低下することがある。このため、防水被覆33を形成する防水ゴムは、カーボンを含まない材料で形成するのが好ましい。
【0022】
図1の例では、第一導体31A及び第二導体31Bは、例えば、上層路盤4と表面部材2との双方に跨がって埋設されている。第一導体31A及び第二導体31Bは、表面部材2に埋設されていてもよい。また、第一導体31A及び第二導体31Bは、上層路盤4に埋設されていてもよい。幅方向Dwに間隔を開けて設けられた第一導体31Aと第二導体31Bとの間には、表面部材2や次に説明する上層路盤4が存在し、第一導体31Aと第二導体31Bとの短絡を抑えている。
【0023】
上層路盤4は、送電電極3の下側に配置されている。上層路盤4は、上下方向に所定の厚さを有している。上層路盤4は、平面視で、第一導体31A及び第二導体31Bと重なる領域を含み、表面部材2全体の下側に形成されている。上層路盤4は、絶縁性の素材からなると共に、誘電損失が少ない素材からなる。上層路盤4は、第一導体31Aと第二導体31Bとの間の絶縁を図る。上層路盤4は、送電電極3(第一導体31A、第二導体31B)とグランド材6との間に発生する誘電損失を抑える。
上層路盤4は、上方から下方へ水を通す通水性を有している。上層路盤4は、具体的には、セラミックス材料(例えばセラミックス)、シリコン系材料(例えばガラス)、樹脂材料(例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、天然ゴム等)の少なくとも一種を含む礫材によって形成されている。上層路盤4は、セラミックス材料の礫材のみ、シリコン系材料の礫材のみ、樹脂材料のみ、あるいはセラミックス材料の礫材とシリコン系材料の礫材、及び樹脂材料の礫材のいずれか2つ以上を、任意に組み合わせて混合させたものであってもよい。上層路盤4は、上記の材料に加えて、さらに他の材料を含んでいてもよい。上層路盤4は、他の材料として砕石を含むことも可能であるが、砕石は上記の材料よりも吸水性があるため、砕石を防水加工して使用するか、砕石以外の上記の材料を使用するのがより好ましい。
【0024】
このように、上層路盤4は、アスファルト材料やセメント系材料を用いることなく、上記したような材料の礫材のみによって形成されている。つまり、上層路盤4は、セラミック、ガラス、樹脂材料、砕石のうちの少なくとも一種を含む礫材のみによって形成されている。上層路盤4を形成する礫材の粒径(平均粒径)は、例えば、10mm~40mm程度とするのが好ましい。
【0025】
路盤支持部5は、上層路盤4の下側に配置されている。路盤支持部5は、上層路盤4を下方から支持する。路盤支持部5は、上層路盤4と後述するグランド材6との間に配置されている。路盤支持部5は、路盤支持体51と、第一支持脚52と、第一通水部55と、を備えている。
【0026】
本実施形態において、路盤支持部5は、複数の路盤支持ユニット53を用いて構成されている。各路盤支持ユニット53は、路盤支持体51と、第一支持脚52と、を一体に有している。各路盤支持ユニット53は、樹脂材料によって一体成形されている。路盤支持体51は、上方から見て例えば平面視矩形状をなした板材からなる。路盤支持体51は、上層路盤4を下方から支持する。路盤支持体51は、グランド材6に対して上方に間隔を開けて配置されている。第一支持脚52は、路盤支持体51の下面に設けられている。第一支持脚52は、一枚の路盤支持体51に対し、複数本が設けられている。複数本の第一支持脚52は、路盤支持体51の下面に、水平方向に間隔をあけて設けられている。各第一支持脚52は、上方から下方に向かって漸次細くなるように形成されている。各第一支持脚52の下端は、後述するグランド材6上に支持されている。
これら複数の第一支持脚52によって、路盤支持体51が、グランド材6に対して上方に間隔を開けて支持されている。これにより、路盤支持部5の路盤支持体51と、その下方のグランド材6との間には、第一空間56が形成されている。各第一支持脚52は、下方に向かって漸次細くなっているので、第一空間56の容積を、より有効に確保することができている。なお、各第一支持脚52は、上下方向で同一の太さを有していてもよい。
【0027】
複数の路盤支持ユニット53は、グランド材6上に並べて配置されている。互いに隣り合う路盤支持ユニット53同士の間には隙間58が形成されている。この隙間58が、第一通水部55を形成する。第一通水部55(隙間58)は、路盤支持体51の上方から下方に水を通す流路を形成する。第一通水部55(隙間58)は、上層路盤4を構成する礫材の粒径よりも、小さな寸法に設定されている。
【0028】
グランド材6は、路盤支持部5の下側に配置されている。グランド材6は、平面視で、第一導体31Aと第二導体31Bと重なる領域を含むように配置されている。グランド材6は、平面視で、第一導体31Aと第二導体31Bと重なる領域よりもさらに広い領域に配置されている。グランド材6は、平面視で、上層路盤4の全面と重なる領域に配置されている。
【0029】
グランド材6は、導電性を有した金属材料によって形成される。グランド材6は、例えば、板状、シート状で、その上下を貫通して水を通す開口61を複数有している。このようなグランド材6は、いわゆる金属メッシュ、パンチングメタル等で構成される。グランド材6は、高周波電流のスキンデプスを十分満足する厚みを有する金属からなり、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス等からなる。開口61は、送電電極3で発する電力の波長に比べて十分に狭く形成されている。
グランド材6は、送電電極3に通電することで発生する電磁界をシールドする。グランド材6は、送電電極3で発生する電磁界が、給電方向(車両100側、すなわち上方)以外の方向に拡散することを抑える。
ここで、グランド材6に、送電電極3と同様に防水被覆を施すと、防水被覆によって水が弾かれるため、グランド材6の開口61を通って水が流れにくくなることがある。したがって、グランド材6には、防水被覆を施さず、グランド材6を構成する金属が露出するように構成するのが望ましい。
【0030】
グランド支持部7は、グランド材6の下側に配置されている。グランド支持部7は、グランド材6と、下方の基体8との間に配置されている。グランド支持部7は、グランド材6を下方から支持する。グランド支持部7は、グランド支持体71と、第二支持脚72と、第二通水部75と、を備えている。
【0031】
本実施形態において、グランド支持部7は、複数のグランド支持ユニット73を用いて構成されている。各グランド支持ユニット73は、上記路盤支持部5の路盤支持ユニット53と、実質的に同種のユニットを用いることができる。各グランド支持ユニット73は、グランド支持体71と、第二支持脚72と、を一体に有している。各グランド支持ユニット73は、樹脂材料によって一体成形されている。グランド支持体71は、上方から見て例えば平面視矩形状をなした板材からなる。グランド支持体71は、グランド材6を下方から支持する。グランド支持体71は、基体8に対して上方に間隔を開けて配置されている。第二支持脚72は、グランド支持体71の下面に設けられている。第二支持脚72は、一枚のグランド支持体71に対し、複数本が設けられている。複数本の第二支持脚72は、グランド支持体71の下面に、水平方向に間隔をあけて設けられている。各第二支持脚72は、上方から下方に向かって漸次細くなるように形成されている。各第二支持脚72の下端は、後述する基体8上に支持されている。
これら複数の第二支持脚72によって、グランド支持体71が、基体8に対して上方に間隔を開けて支持されている。これにより、グランド支持部7のグランド支持体71と、その下方の基体8との間には、第二空間76が形成されている。各第二支持脚72は、下方に向かって漸次細くなっているので、第二空間76の容積を、より有効に確保することができている。
【0032】
複数のグランド支持ユニット73は、基体8上に並べて配置されている。互いに隣り合うグランド支持ユニット73同士の間には隙間78が形成されている。この隙間78が、第二通水部75を形成する。第二通水部75(隙間78)は、グランド支持体71の上方から下方に水を通す流路を形成する。
【0033】
グランド支持部7の下側には、排水部9が設けられている。排水部9は、第二空間76内の水を排水する。排水部9は、傾斜面81と、排水管91と、を備える。傾斜面81は、第二空間76の下側の基体8の上面に形成されている。傾斜面81は、基体8の幅方向Dwの中央部から幅方向Dwの外側に向かって漸次低くなるよう、水勾配を有して形成されている。排水管91は、傾斜面81の幅方向Dwの両端に配置されている。各排水管91は、傾斜面81の傾斜方向下方に配置されている。
【0034】
このようなワイヤレス給電路盤1の路面F上を走行する車両100は、受電用の受電電極101A、101Bと、受電電極101A、101B間に接続される整流回路、及び負荷104と、を備える。負荷104としては、バッテリ及びモーターを設置するか、又はモーターのみを設置する。給電には、電気自動車等の車両100が有する車輪のうち2つの車輪102A、102Bが選択される。受電電極101A、101Bは、例えば車両100のフェンダー等に、車輪102A、102Bと対向して配置されている。車輪102A、102Bに設けられたタイヤの内部には、タイヤ内導体としてのスチールベルトが設けられている。上記第一導体31A、第二導体31Bと車輪側に設けられたスチールベルトとの間、および、車輪側に設けられたスチールベルトと車体側に配設された受電電極101A、受電電極101Bとの間に、それぞれ静電容量が形成される。これにより、結果的に車体側に配設された受電電極101A、101Bと路面側に敷設された第一導体31A、第二導体31Bとの間に静電容量が形成される。この静電容量を介して、路面側に敷設された第一導体31A、第二導体31Bから、車体側に配設された受電電極101A、受電電極101Bに電力が伝送される。
【0035】
上記のようなワイヤレス給電路盤1において、例えば降雨により表面部材2上に水が溜まると、この水は、表面部材2を浸透し、あるいは表面部材2を側方から迂回して、上層路盤4に到達する。上層路盤4は、上方から下方へ水を通す通水性を有しているため、水は上層路盤4内に留まらず、路盤支持部5の、路盤支持体51の上面へと流れる。
路盤支持体51の上面へと到達した水は、路盤支持体51の上面上を流れて、隣り合う路盤支持ユニット53の路盤支持体51間に設けられた第一通水部55すなわち隙間58を通って、路盤支持体51の下へと流れる。路盤支持体51の下へと流れた水は、路盤支持体51とグランド材6の間に形成された第一空間56を通って、グランド材6の上面へと到達する。
【0036】
グランド材6の上面へと到達した水は、グランド材6の開口61を通って、グランド材6の下へと流れる。
このとき、グランド材6の上面と、路盤支持部5との接触面積が大きいと、この互いに接触したグランド材6の上面と路盤支持部5の表面との間に、グランド材6の上面へと到達した水が浸透して、降雨の後も滞留し続ける。この、グランド材6の上面と路盤支持部5の表面との間に滞留した水は、給電の際に抵抗となり、電界が熱に変換されて、給電効率が低下する。
ここで、路盤支持体51とグランド材6の間には、下方に向かって漸次細くするように形成された第一支持脚52が設けられている。すなわち、グランド材6の上面と路盤支持部5との接触面積が小さくなるように、第一支持脚52は形成されている。これにより、グランド材6の上面と路盤支持部5の表面との間に滞留し得る水の量が小さくなるような構造が実現されている。
また、路盤支持体51とグランド材6の間には、上記のような第一支持脚52により、第一空間56が形成されている。これにより、グランド材6上の水が、路盤支持部5に接触し停滞することが抑制され、スムーズに、開口61へと向かうことができる。
【0037】
グランド材6の下へと流れた水は、グランド材6と、グランド支持部7のグランド支持体71との間に浸透し、滞留する可能性はある。しかし、給電性能に主に影響するのは、電界が発生するグランド材6の上側の部分であり、グランド材6の下側の部分の給電への影響は小さい。このため、本実施形態においては、グランド支持部7とグランド材6との接触面積を、グランド材6と路盤支持部5との接触面積よりも大きくし、グランド材6より上の構造を安定して支持可能な構造としている。
【0038】
グランド材6の下へと流れた水は、隣り合うグランド支持ユニット73のグランド支持体71間に設けられた第二通水部75すなわち隙間78を通って、グランド支持体71の下へと流れる。
グランド支持体71の下へと流れた水は、グランド支持体71と基体8の間に形成された第二空間76を通って、基体8の上面へと到達する。
【0039】
基体8の上面へと到達した水は、基体8に設けられた傾斜面81に沿って水勾配の下方に流れ、排水管91に流れ込む。
ここで、グランド支持体71と基体8の間には、第二支持脚72により、第二空間76が形成されている。これにより、基体8上の水が、グランド支持部7に接触し停滞することが抑制され、スムーズに、排水管91へと向かうことができる。したがって、過剰な量の水が基体8上に滞留し続けて、グランド材6より高い位置まで水が浸水することを抑制できる。
排水管91に流れ込んだ水は、図1の紙面奥行き方向または手前方向に流されて、排水される。
【0040】
上述したようなワイヤレス給電路盤1は、路面Fよりも下方に設けられ、路面Fの幅方向に間隔を開けて配置された複数の送電電極3と、送電電極3の下側に配置される上層路盤4と、上層路盤4を下方から支持する路盤支持部5と、路盤支持部5の下側に配置され、上下に水を通す開口61を有するとともに、導電性材料から形成されたグランド材6と、を備える。路盤支持部5は、グランド材6に対して上方に間隔を開けて配置され、上層路盤4を下方から支持する路盤支持体51と、路盤支持体51の上方から下方に水を通す第一通水部55と、路盤支持体51とグランド材6との間に第一空間56を形成する第一支持脚52と、を備える。
このような構成によれば、上層路盤4を支持する路盤支持部5は、第一通水部55を有している。このため、露や雨等によって上層路盤4を通して染みてきた水は、路盤支持部5の第一通水部55を通して、路盤支持体51の下方の第一空間56に流れ落ちやすい。第一空間56に流れ落ちた水は、グランド材6に形成された開口61から下方へと排出される。このようにして、グランド材6の上に水が滞るのを有効に抑えることができる。すると、送電電極3とグランド材6との間で、高周波電界が熱に変換されにくくなり、電力伝送効率が大幅に向上する。その結果、屋外に設置した場合であっても、グランド材6の上方の含水量の増加に起因する給電性能の低下を抑えてワイヤレス給電を行うことが可能な、ワイヤレス給電路盤1を提供することが可能となる。
【0041】
また、路盤支持部5は、路盤支持体51と第一支持脚52とを有する路盤支持ユニット53が、グランド材6上に複数並べて配置されることで構成されている。第一通水部55は、互いに隣り合う路盤支持ユニット53同士によって形成された隙間58である。
このような構成によれば、複数の路盤支持ユニット53をグランド材6上に並べて隣り合う路盤支持ユニット53同士の間に隙間58を設ければ、第一通水部55を容易に形成することができる。
【0042】
また、ワイヤレス給電路盤1は、グランド材6とグランド材6の下方の基体8との間に配置されたグランド支持部7をさらに備えている。グランド支持部7は、グランド材6を下方から支持するグランド支持体71と、グランド支持体71の上方から下方に水を通す第二通水部75と、グランド支持体71と基体8との間に第二空間76を形成する第二支持脚72と、を備える。
このような構成によれば、グランド材6の開口61から下方に排出される水が、第二通水部75を通して、グランド支持体71の下方の第二空間76に流れ落ちる。これにより、グランド材6近傍に水が滞るのを抑えることができ、排水性を高めることができる。これにより、送電電極3とグランド材6との間における含水量が増加するのを、より有効に抑えることができる。
【0043】
また、グランド支持部7は、グランド支持体71と第二支持脚72とを有するグランド支持ユニット73が、基体8上に複数並べて配置されることで構成され、第二通水部75は、互いに隣り合うグランド支持ユニット73同士によって形成された隙間78である。
このような構成によれば、複数のグランド支持ユニット73を基体8上に並べて隣り合うグランド支持ユニット73同士の間に隙間78を設ければ、第二通水部75を容易に形成することができる。
【0044】
また、ワイヤレス給電路盤1は、第二空間76内の水を排水する排水部9をさらに備える。
このような構成によれば、排水部9によって第二空間76内の水を排水することによって、グランド支持部7の第二空間76内に水が溜まるのを抑えることができる。
【0045】
また、排水部9は、第二空間76の下側の基体8に水勾配を有して形成された傾斜面81と、傾斜面81の傾斜方向下方に配置された排水管91と、を備える。
このような構成によれば、グランド支持体71の下方の第二空間76に流れ落ちた水は、傾斜面81に沿って水勾配の下方に流れ、排水管91に流れ込む。排水管91に流れ込んだ水は、排水管91を通して排水される。このようにして、第二空間76内の水を、速やかに排出することができる。また、グランド支持部7の下方に水勾配を有した傾斜面81を形成すればよいので、その施工を容易に行うことができる。
【0046】
また、送電電極3は、電極本体32と、電極本体32を覆うように形成された防水被覆33と、を備える。
このような構成によれば、高周波電界が特に高くなる送電電極3の表面を防水して送電電極3への水の付着を抑制し、かつ、周囲の排水性能を向上させることができる。これによって送電電極3の周囲で高周波電界が熱に変換されにくくなり、電力伝送効率が向上する。
【0047】
また、上層路盤4は、セラミック、ガラス、樹脂材料、砕石のうちの少なくとも一種を含む礫材のみからなる。
このような構成によれば、上層路盤4を、アスファルトやコンクリートを含まずに、セラミック、ガラス、樹脂材料、砕石のうちの少なくとも一種を含む礫材のみから構成することで、高い通水性を確保することができる。これにより、水が、上層路盤4に留まりにくく、その含水量が増えるのを、有効に抑えることができる。
【0048】
また、ワイヤレス給電路盤1は、送電電極3の上側に設けられ、路面Fを形成する表面部材2をさらに備え、表面部材2は、アスファルト材料またはセメント系材料に、骨材としてセラミックス系材料、シリコン系材料、樹脂材料のうちの少なくとも一種を混入させて形成されている。
このような構成によれば、水が、表面部材2に留まりにくく、その含水量が増えるのを、有効に抑えることができる。
【0049】
(実施形態の変形例)
なお、本発明のワイヤレス給電路盤は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、図2に示すように、表面部材2が電気抵抗を低くした部材からなる場合には、上記実施形態で示した構成に加えて、平面視で第一導体31A及び第二導体31B間の領域に、目地材25を備えるようにしてもよい。目地材25は、複素比誘電率の実部が「1」、虚部が「0」に近い素材であることが好ましい。また、目地材25は、加熱アスファルト系瀝青材料注入材や、樹脂系(2液混合)注入材が適している。より詳細には、例えば、目地材25としては、ポリマー改質アスファルトやブローンアスファルト、アスファルト乳剤系材料等が用いられ得る。このような目地材25により、第一導体31Aと第二導体31Bとを絶縁する。
【0050】
(その他の変形例)
また、上記実施形態では、例えば、第一導体31A、第二導体31Bに、水はけ性がより一層求められる場合、第一導体31A、第二導体31Bをメッシュ状としてもよい。
【0051】
また、上記実施形態で、路盤支持部5の路盤支持体51を、板材からなるようにしたが、これに限られない。路盤支持体51は、例えば、平面視で格子状の板材であってもよい。路盤支持体51を格子状とする場合、路盤支持体51によって、上層路盤4を下方から支持するとともに、格子の間の開口を通して路盤支持体51の上方から下方に水を通す。つまり、路盤支持体51を構成する格子状の開口を、第一通水部55とする。
路盤支持体51に第一通水部55としての開口を設ける場合、開口は、上層路盤4を構成する礫材が侵入、落下しない程度に細かい寸法であれば、格子状に限らず、どのような形態、形状で設けられても構わない。開口は、孔状に設けられてもよいし、スリット状に設けられてもよい。
第一通水部55は、上記のように路盤支持体51に形成された開口と、上記実施形態のように互いに隣り合う路盤支持ユニット53同士によって形成された隙間58の、いずれか一方のみであってもよいし、これら双方を含むように構成されていてもよい。すなわち、路盤支持体51に開口が設けられた場合には、互いに隣り合う路盤支持ユニット53の間に隙間58が設けられてもよいし、設けられなくともよい。隙間58を設けない場合には、上層路盤4以上の構造を、より強固に支持可能である。
【0052】
第二通水部75についても同様である。すなわち、上記実施形態で、グランド支持部7のグランド支持体71を、板材からなるようにしたが、これに限られない。グランド支持体71は、例えば、平面視で格子状の板材であってもよい。グランド支持体71を格子状とする場合、グランド支持体71によって、グランド材6を下方から支持するとともに、格子の間の開口を通してグランド支持体71の上方から下方に水を通す。つまり、グランド支持体71を構成する格子状の開口を、第二通水部75とする。
グランド支持体71に第二通水部75としての開口を設ける場合、開口は格子状に限らず、どのような形態、形状で設けられても構わない。開口は、孔状に設けられてもよいし、スリット状に設けられてもよい。
第二通水部75は、上記のようにグランド支持体71に形成された開口と、上記実施形態のように互いに隣り合うグランド支持ユニット73同士によって形成された隙間78の、いずれか一方のみであってもよいし、これら双方を含むように構成されていてもよい。すなわち、グランド支持体71に開口が設けられた場合には、互いに隣り合うグランド支持ユニット73の間に隙間78が設けられてもよいし、設けられなくともよい。隙間78を設けない場合には、グランド材6以上の構造を、より強固に支持可能である。
【0053】
また、上記実施形態においては、表面部材2と上層路盤4は異なる材質により構成されていたが、例えば表面部材2を上層路盤4と同一の材質により構成して、表面部材2と上層路盤4が実質的に同一の性質を有する層として構成されていてもよい。
また、表面部材2は、全体を防水加工するか、表面部材2に混入される骨材を防水加工することにより、表面部材2内への滞水を抑制し、給電効率をより向上させることができる。
【0054】
また、上記実施形態では、車両100の受電電極101A、101Bは、例えばフェンダー等に、内部にスチールベルトが設けられた車輪102A、102Bと対向して配置されていたが、これに限られず、車両100のどの部分に設けられてもよい。例えば、車両100の各車輪102A、102Bの軸で受電するようにしてもよい。
タイヤ内導体としてのスチールベルトを車輪102A、102Bに設け、第一導体31A、第二導体31Bとスチールベルトとの間に静電容量を形成する場合においては、第一導体31A、第二導体31Bに対向するスチールベルトの表面は曲面形状となっている。これに対し、平行平板方式として知られるように、車両100の、車輪102A、102B以外の下面に、第一導体31A、第二導体31Bと平行に、かつこれらに対向させるように、平板状の受電電極を、路面Fに接近して設けるようにしてもよい。この場合においては、スチールベルトを用いた場合よりも、限られた電極面積における電界結合無線電力伝送の結合係数が大きくなるため、給電効率を向上させることができる。
【0055】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 ワイヤレス給電路盤 55 第一通水部
2 表面部材 58 隙間
3 送電電極 56 第一空間
4 上層路盤 61 グランド材の開口
5 路盤支持部 71 グランド支持体
6 グランド材 72 第二支持脚
7 グランド支持部 73 グランド支持ユニット
8 基体 75 第二通水部
9 排水部 76 第二空間
32 電極本体 78 隙間
33 防水被覆 81 傾斜面
51 路盤支持体 91 排水管
52 第一支持脚 Dw 幅方向
53 路盤支持ユニット F 路面
図1
図2