IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立ビルシステムの特許一覧

特許7461232エレベータの据付基準線調整装置及び据付基準線調整方法
<>
  • 特許-エレベータの据付基準線調整装置及び据付基準線調整方法 図1
  • 特許-エレベータの据付基準線調整装置及び据付基準線調整方法 図2
  • 特許-エレベータの据付基準線調整装置及び据付基準線調整方法 図3
  • 特許-エレベータの据付基準線調整装置及び据付基準線調整方法 図4
  • 特許-エレベータの据付基準線調整装置及び据付基準線調整方法 図5
  • 特許-エレベータの据付基準線調整装置及び据付基準線調整方法 図6
  • 特許-エレベータの据付基準線調整装置及び据付基準線調整方法 図7
  • 特許-エレベータの据付基準線調整装置及び据付基準線調整方法 図8
  • 特許-エレベータの据付基準線調整装置及び据付基準線調整方法 図9
  • 特許-エレベータの据付基準線調整装置及び据付基準線調整方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】エレベータの据付基準線調整装置及び据付基準線調整方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/00 20060101AFI20240327BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
B66B7/00 L
G01C15/00 104Z
G01C15/00 103C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020112495
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011378
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】恩地 剛史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅人
(72)【発明者】
【氏名】田口 博文
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-70268(JP,A)
【文献】特開2005-53637(JP,A)
【文献】特開平6-115851(JP,A)
【文献】特開2012-218864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00
G01C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路の上部に備えられた上部支持パイプと、前記上部支持パイプに備えられた第1据付基準線調整部と、前記昇降路の下部に備えられた下部支持パイプと、前記下部支持パイプに備えられた第2据付基準線調整部とを備え、
前記第1据付基準線調整部は、据付基準線を吊下げる第1据付基準線固定部と、レーザ光を受光する複数のレーザ光位置センサとを備え、
前記第2据付基準線調整部は、前記複数のレーザ光位置センサに向けてレーザ光を照射する複数のレーザ鉛直器と、前記据付基準線の下部を固定する第2据付基準線固定部とを備え、
前記上部支持パイプと前記下部支持パイプとの間には基準階床面が設置され、
前記基準階床面には、建築基準墨と、前記建築基準墨と平行に設定された第1基準墨位置と、前記第1基準墨位置と直交する第2基準墨位置とが設定され、
さらに、前記基準階床面にはレーザ光芯出し治具を備え、
前記レーザ光芯出し治具には、前記第1基準墨位置と一致させるために形成された第1切欠き部と、前記第2基準墨位置と一致させるために形成された第2切欠き部と、前記レーザ光を通過させるための複数のレーザ鉛直器基準孔とを備えたことを特徴とするエレベータの据付基準線調整装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記上部支持パイプは、エレベータホール側から見て、前後方向に延びるように、かつ左右に2本備えられ、
前記第1据付基準線調整部は、前記上部支持パイプに備えられた第1クランプと、前記第1クランプに備えられ下方に向かって開放した第1U字状部材とを備え、
前記第1クランプにより前後方向の位置を調整し、前記第1U字状部材により左右方向の位置を調整することを特徴とするエレベータの据付基準線調整装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記下部支持パイプは、エレベータホール側から見て、前後方向に延びるように、かつ左右に2本備えられ、
前記第2据付基準線調整部は、前記下部支持パイプに備えられた第2クランプと、前記第2クランプに備えられ下方に向かって開放した第2U字状部材とを備え、
前記第2クランプにより前後方向の位置を調整し、前記第2U字状部材により左右方向の位置を調整することを特徴とするエレベータの据付基準線調整装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第2U字状部材には、前記複数のレーザ鉛直器を設置するレーザ鉛直器取付け用プレートを備えたことを特徴とするエレベータの据付基準線調整装置。
線調整装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記レーザ鉛直器取付け用プレートには、前記複数のレーザ鉛直器の取付け位置を特定するために、上方に向かって延びた複数の位置決めリブを備えたことを特徴とするエレベータの据付基準線調整装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記レーザ鉛直器取付け用プレートには複数の押えリブを備え、
前記複数のレーザ鉛直器のそれぞれは、前記位置決めリブと前記押えリブにより挟持されたことを特徴とするエレベータの据付基準線調整装置。
【請求項7】
昇降路の上部に備えられた上部支持パイプと、前記上部支持パイプに備えられた第1据付基準線調整部と、前記昇降路の下部に備えられた下部支持パイプと、前記下部支持パイプに備えられた第2据付基準線調整部とを備え、
前記第1据付基準線調整部は、据付基準線を吊下げる第1据付基準線固定部と、レーザ光を受光する複数のレーザ光位置センサとを備え、
前記第2据付基準線調整部は、前記複数のレーザ光位置センサに向けてレーザ光を照射する複数のレーザ鉛直器と、前記据付基準線の下部を固定する第2据付基準線固定部とを備え、
前記上部支持パイプと前記下部支持パイプとの間には基準階床面が設置され、
前記基準階床面には、建築基準墨と、前記建築基準墨と平行に設定された第1基準墨位置と、前記第1基準墨位置と直交する第2基準墨位置とが設定され、
さらに、前記基準階床面にはレーザ光芯出し治具を備え、
前記レーザ光芯出し治具には、前記第1基準墨位置と一致させるために形成された第1切欠き部と、前記第2基準墨位置と一致させるために形成された第2切欠き部と、前記レーザ光を通過させるための複数のレーザ鉛直器基準孔とを備え、
前記レーザ光芯出し治具の位置を調整して前記基準階床面に設置した後、前記複数のレーザ鉛直器から前記レーザ光を照射し、前記レーザ光が前記複数のレーザ鉛直器基準孔を通過するように前記第2据付基準線調整部の位置を調整した後、前記複数のレーザ光位置センサが前記レーザ光を受光するように前記第1据付基準線調整部の位置を調整することを特徴とするエレベータの据付基準線調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの据付基準線調整装置及び据付基準線調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータを新たに建物の昇降路に据え付けるためには、乗りかごガイドレール、及び釣合錘ガイドレールを昇降路に対して位置決めし、かつ垂直に設置しなければならない。このため、昇降路内の主要な基準位置や寸法を正確に決定することが大事であり、これを決定するための指標をエレベータ据付基準線と呼んでいる。図1はエレベータ基準線据付作業時の昇降路100の断面図である。
【0003】
図1において、エレベータの据付基準線1は、例えばピアノ線が用いられる。
ピアノ線は、一端が上部支持パイプ2に取り付けられた第1据付基準線調整部200に固定され、他端が他端に取り付けられた錘1aによって鉛直に降ろされる。ピアノ線の他端は、下部支持パイプ4に取り付けられた第2据付基準線調整部201に固定されている。
【0004】
図2は基準階のエレベータ据付基準線位置の確認方法を示す上面図である。図2において、ビル等には建築基準墨5が設定されている。エレベータの設置にあたっては、この建築基準墨5を基準として、エレベータホール101前にエレベータ用の基準墨位置50が設定される。
【0005】
エレベータの据付基準線1の確認にあたっては、エレベータ用の基準墨位置50から昇降路100に向けて直尺7を基準階床面101aに設置し、エレベータ用の基準墨位置50から据付基準線1の寸法を測定し、確認する。確認後、上部支持パイプ2と下部支持パイプ4に設置した第1据付基準線調整部200,第2据付基準線調整部201の位置をそれぞれ移動し、再度、直尺7に対する据付基準線1の位置を確認する。エレベータの据付基準線1を設定する場合は、この作業を繰り返し実施し、据付基準線1の位置を規定の据付基準線位置に設置する必要があるため、昇降路100の最上階と基準階の間を複数回移動する必要があった。
【0006】
近年、ピアノ線の代わりにレーザ鉛直器を用いてエレベータ据付基準線を決定する方法が提案されている。このような技術として、例えば特許文献1がある。
【0007】
特許文献1では、昇降路100の上部にレーザ鉛直器を設置し、レーザ鉛直器から水平方向に照射したレーザ光線を反射鏡で偏光させ、昇降路100の下部に設置した照準に当てるようにしている。レーザ光線が照準に当たったか否かの確認は、望遠鏡を使用して行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特公平3-4842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、レーザ鉛直器と照準は数十m離れて設置され、しかも照準の大きさは小さいので、レーザ鉛直器からのレーザ光線を照準に合わせるのが困難であった。
【0010】
本発明の目的は、上記課題を解決し、エレベータの据付基準線における位置調整の作業性を向上させたエレベータの据付基準線調整装置及び据付基準線調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、昇降路の上部に備えられた上部支持パイプと、前記上部支持パイプに備えられた第1据付基準線調整部と、前記昇降路の下部に備えられた下部支持パイプと、前記下部支持パイプに備えられた第2据付基準線調整部とを備え、前記第1据付基準線調整部は、据付基準線を吊下げる第1据付基準線固定部と、レーザ光を受光する複数のレーザ光位置センサとを備え、前記第2据付基準線調整部は、前記複数のレーザ光位置センサに向けてレーザ光を照射する複数のレーザ鉛直器と、前記据付基準線の下部を固定する第2据付基準線固定部とを備え、前記上部支持パイプと前記下部支持パイプとの間には基準階床面が設置され、前記基準階床面には、建築基準墨と、前記建築基準墨と平行に設定された第1基準墨位置と、前記第1基準墨位置と直交する第2基準墨位置とが設定され、さらに、前記基準階床面にはレーザ光芯出し治具を備え、前記レーザ光芯出し治具には、前記第1基準墨位置と一致させるために形成された第1切欠き部と、前記第2基準墨位置と一致させるために形成された第2切欠き部と、前記レーザ光を通過させるための複数のレーザ鉛直器基準孔と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記構成に加え、前記レーザ光芯出し治具の位置を調整して前記基準階床面に設置した後、前記複数のレーザ鉛直器から前記レーザ光を照射し、前記レーザ光が前記複数のレーザ鉛直器基準孔を通過するように前記第2据付基準線調整部の位置を調整した後、前記複数のレーザ光位置センサが前記レーザ光を受光するように前記第1据付基準線調整部の位置を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、エレベータの据付基準線における位置調整の作業性を向上させたエレベータの据付基準線調整装置及び据付基準線調整方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】エレベータ基準線据付作業時の昇降路の断面図である。
図2】基準階のエレベータ据付基準線位置の確認方法を示す上面図である。
図3】本発明の実施例に係るエレベータ基準線据付作業時の昇降路の断面図である。
図4】エレベータホール側から見た第1据付基準線調整部の正面図である。
図5図4における側面図である。
図6】レーザ鉛直器の設置状態を示す上面図である。
図7】レーザ鉛直器の設置状態を示す側面図である。
図8】レーザ光受光部の上面図である。
図9】レーザ光受光部の側面図である。
図10】レーザ光芯出し治具の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照しつつ説明する。本発明の各種の構成要素は必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素が一の部材から成ること、或る構成要素が別の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複すること、などを許容する。
【0016】
図3は本発明の実施例に係るエレベータ基準線据付作業時の昇降路100の断面図、図4はエレベータホール側から見た第1据付基準線調整部200の正面図、図5図4における側面図である。
【0017】
昇降路100の上部及び下部には、それぞれ上部支持パイプ2及び下部支持パイプ4が備えられている。上部支持パイプ2及び下部支持パイプ4は、エレベータホール101側から見て、前後方向に延びるように、かつ左右に2本備えられている。上部支持パイプ2には第1据付基準線調整部200が備えられ、下部支持パイプ4には第2据付基準線調整部201が備えられている。
【0018】
エレベータの据付基準線1は、例えばピアノ線が用いられる。ピアノ線は、一端が上部支持パイプ2に取り付けられた第1U字状部材3aに固定され、他端が他端に取り付けられた錘1a(図1)によって鉛直に降ろされる。そして、ピアノ線の他端は、下部支持パイプ4に取り付けられた第2U字状部材3bによって固定されている。本実施例では、エレベータの据付にあたり、据付基準線1を用いており、この据付基準線1の位置を特定するにあたって後述するレーザ鉛直器を用いている。
【0019】
次に第1据付基準線調整部200の構成について説明する。図4及び図5では、第1据付基準線調整部200を示しているが、第2据付基準線調整部201も同様である。
【0020】
図3乃至図5において、第1据付基準線調整部200は、上部支持パイプ2に備えられた第1クランプ6aと、下方に向かって開放した第1U字状部材3aと、据付基準線1を吊下げるピン9(第1据付基準線固定部)を備えている。また、図3に示すように第2据付基準線調整部201は、下部支持パイプ4に備えられた第2クランプ6bと、下方に向かって開放した第2U字状部材3bと、据付基準線1の下部を固定するピン(第2据付基準線固定部)を備えている。
【0021】
上部支持パイプ2には、第1クランプ6aが備えられ、この第1クランプ6aに第1U字状部材3aが備えられている。第1U字状部材3aの内面にはプレート80が配置され、このプレート80に固定用ボルト8を挿入して第1U字状部材3aが第1クランプ6aに固定される。
【0022】
同様に、下部支持パイプ4には、第2クランプ6bが備えられ、この第2クランプ6bに第2U字状部材3bが備えられている。第2U字状部材3bの内面にはプレート80が配置され、このプレート80に固定用ボルト8を挿入して第2U字状部材3bが第2クランプ6bに固定される。
【0023】
第1クランプ6a,第2クランプ6bは、上下の部材が回動軸60によって回動可能に接続されており、上部支持パイプ2及び下部支持パイプ4を挟むように配置されている。そして、固定用ナット10を締め付けることによって、下の部材が回動軸60を中心に上方向に動き、上部支持パイプ2及び下部支持パイプ4を挟持する。
【0024】
据付基準線1は第1U字状部材3aのそれぞれの左右に実装されているピン9(第1据付基準線固定部)に通し、固定されている。
【0025】
上記の構造から、エレベータホール101側から見て左右方向の据付基準線1の位置調整は、固定用ボルト8を緩め、第1U字状部材3a,第2U字状部材3bを左右に移動させて実施する。位置調整完了後、固定用ボルト8を締め付ける。また、前後方向の据付基準線1の位置調整は、固定用ナット10を緩め、上部支持パイプ2及び下部支持パイプ4に取り付けた第1クランプ6a,第2クランプ6bを前後に移動させて実施する。位置調整完了後、固定用ナット10を締め付ける。
【0026】
次に据付基準線1の位置を特定するための手段について説明する。本実施例では、複数のレーザ鉛直器25a,25bを用いて、据付基準線1の位置を特定している。図6はレーザ鉛直器の設置状態を示す上面図、図7はレーザ鉛直器の設置状態を示す側面図、図8はレーザ光受光部の上面図、図9はレーザ光受光部の側面図、図10はレーザ光芯出し治具の上面図である。
【0027】
図6及び図7に示すように第2U字状部材3bには、固定用ボルト21によってレーザ鉛直器取付け用プレート20が固定されている。レーザ鉛直器取付け用プレート20には、複数のレーザ鉛直器25a,25bの取付け位置を特定するために、上方に向かって延びた2つ(複数)の位置決めリブ22a,22bが備えられている。
【0028】
また、レーザ鉛直器取付け用プレート20には、上方に向かって延びた2つの押えリブ23a,23bが備えられている。押えリブ23a,23bは左右方向に移動可能となっており、それぞれ固定用ボルト24a,24bによって固定される。位置決めリブ22aと押えリブ23aとの間、及び位置決めリブ22bと押えリブ23bとの間には、それぞれレーザ鉛直器25a,25bが備えられている。位置決めリブ22aと位置決めリブ22bの間の距離は、レーザ鉛直器25a,25bの設置位置に応じて予め定められている。すなわち、位置決めリブ22a,22bは、レーザ鉛直器25a,25bがレーザ光33a,33bを照射した際におけるレーザ光33aとレーザ光33bの間の距離が、レーザ鉛直器基準孔43aとレーザ鉛直器基準孔43bの間の距離と等しくなるように設置する。
【0029】
位置決めリブ22a,22bに合わせ、レーザ鉛直器取付け用プレート20上にレーザ鉛直器25a,25bを設置後、それぞれの押えリブ23a,23bを左右方向に移動させてレーザ鉛直器25a,25bを挟持し、押えリブ23a,23bを固定用ボルト24a,24bで固定する。さらにレーザ鉛直器25a,25bは、その下方を固定用ボルト26a,26bによって固定されている。このようにして、レーザ鉛直器25a,25bがレーザ鉛直器取付け用プレート20に位置決めされ、固定される。
【0030】
次に、レーザ光受光部300について説明する。レーザ光受光部300は第1据付基準線調整部200に備えられている。図8及び図9に示すように、レーザ光受光部300はレーザ光位置センサ取付けプレート30と複数のレーザ光位置センサ32a,32bを備えている。第1U字状部材3aには、固定用ボルト31によってレーザ光位置センサ取付けプレート30が固定されている。レーザ光位置センサ取付けプレート30の下方には、下方に向かって開放した筒状のレーザ光位置センサ32a,32bが備えられている。レーザ光位置センサ32a,32bは、レーザ鉛直器25a,25bから照射されたレーザ光33a,33bを受光するものである。
【0031】
次に、レーザ光芯出し治具400について説明する。図10に示すようにビル等には建築基準墨5が設定されている。エレベータの設置にあたっては、この建築基準墨5を基準として、エレベータホール101前にエレベータ用の第1基準墨位置50a,第2基準墨位置50bが設定される。第1基準墨位置50aは建築基準墨5と平行に設定され、第2基準墨位置50bは第1基準墨位置50aに対して直交するように設定される。
【0032】
上部支持パイプ2と下部支持パイプ4との間に位置する基準階床面101aには、エレベータ据付基準芯決定用プレート40(レーザ光芯出し治具400)が載置される。エレベータ据付基準芯決定用プレート40には、エレベータホール101の左右方向に第1切欠き部40aが形成され、エレベータホール101の前後方向に第2切欠き部40bが形成されている。エレベータ据付基準芯決定用プレート40の昇降路100側には、固定用ボルト42によってレーザ鉛直器位置決めプレート41が固定されている。レーザ鉛直器位置決めプレート41は昇降路100側に凸となる形状を成しており、エレベータ据付基準芯決定用プレート40と接続される接続部41aと、昇降路100側に突出した突出部41bを有している。レーザ鉛直器位置決めプレート41の突出部41bには、レーザ光33a,33bを通過させるために開口したレーザ鉛直器基準孔43a,43bが形成されている。レーザ鉛直器位置決めプレート41がエレベータ据付基準芯決定用プレート40に固定されることにより、レーザ光33a,33bが照射される位置が決定する。本実施例では、エレベータ据付基準芯決定用プレート40とレーザ鉛直器位置決めプレート41によって、レーザ光芯出し治具400を構成している。
【0033】
次にエレベータの据付基準線調整方法について説明する。まず、エレベータ据付基準芯決定用プレート40を基準階床面101aに載置し、第1切欠き部40aが第1基準墨位置50aと一致させると共に、第2切欠き部40bが第2基準墨位置50bと一致するようにエレベータ据付基準芯決定用プレート40の位置を調整する。調整完了後、エレベータ据付基準芯決定用プレート40をテープで固定、若しくは錘を載せてエレベータ据付基準芯決定用プレート40が動くことがないように固定する。エレベータ据付基準芯決定用プレート40の固定完了後、レーザ鉛直器位置決めプレート41をエレベータ据付基準芯決定用プレート40に固定する。
【0034】
次にレーザ鉛直器25a,25bから鉛直方向にレーザ光33a,33bを照射すると共に、第2U字状部材3b及び第2クランプ6bを移動させて、レーザ鉛直器25a,25bの左右及び前後位置を調整する。そして、レーザ鉛直器25a,25bから照射されるレーザ光33a,33bがレーザ鉛直器基準孔43a,43bを通過する位置に合わせ、第2U字状部材3b及び第2クランプ6bを固定し、レーザ鉛直器25a,25bの位置を決定する。
【0035】
次に、レーザ光受光部300の位置を調整する。レーザ光受光部300では、レーザ鉛直器25a,25bから照射されるレーザ光33a,33bがレーザ光位置センサ32a,32bの中心で受光するようにレーザ光受光部300の位置を調整する。レーザ光位置センサ32a,32bの位置の調整にあたっては、第1U字状部材3a及び第1クランプ6aを移動させて、レーザ光33a,33bをレーザ光位置センサ32a,32bの左右及び前後位置を調整する。そして、レーザ光位置センサ32a,32bの位置調整が完了後、第1U字状部材3a及び第1クランプ6aを固定し、レーザ光位置センサ32a,32bの位置を決定する。
【0036】
レーザ光位置センサ32a,32bの位置が決定されると、ピン9(第1据付基準線固定部)を介して第1U字状部材3aに実装されている据付基準線1の位置が決定する。昇降路100の上部にある第1U字状部材3aから下方に向かって垂らされた据付基準線1は、レーザ鉛直器位置決めプレート41を構成する接続部41aの角部44a,44b付近を通過し、昇降路100の下部にある第2U字状部材3bに至り、第2U字状部材3bのピン9(第2据付基準線固定部)を介して固定される。このようにして、昇降路100内において据付基準線1の位置が決定し、据付基準線1が設置される。据付基準線1が設置された後は、レーザ光芯出し治具400を取外す。
【0037】
そして、昇降路100内に設置された据付基準線1を基にして、昇降路100内にガイドレール等を設置する。
【0038】
エレベータの据付基準線1の設置にあたっては、一人の作業員で行う場合がある。据付基準線1の設置を一人の作業員で行う場合、据付基準線1を垂らす最上階と基準階とを数回往復し、据付基準線1の位置を調整する必要がある。
【0039】
これに対し、本実施例では、基準階にレーザ光芯出し治具400を設置し、レーザ光芯出し治具400の形成したレーザ鉛直器基準孔43a,43bをレーザ光33a,33bが通過するように調整することでレーザ鉛直器25a,25bの位置が決定され、さらにレーザ鉛直器基準孔43a,43bを通過したレーザ光33a,33bをレーザ光位置センサ32a,32bで受光するように第1据付基準線調整部200の位置を調整するようにしているので、第1据付基準線調整部200に設置され、下方に向かって垂らされた据付基準線1の位置が決定する。本実施例によれば、エレベータの据付基準線1の設置にあたり、作業員は最上階と基準階との往復は1往復程度で済み、据付基準線1の設置作業性を向上することができる。
【0040】
なお、本発明は、上述した実施例に限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。上述した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。
【符号の説明】
【0041】
1…据付基準線、2…上部支持パイプ、3a…第1U字状部材、3b…第2U字状部材、4…下部支持パイプ、5…建築基準墨、6a…第1クランプ、6b…第2クランプ、7…直尺、8…固定用ボルト、9…ピン、10…固定用ナット、20…レーザ鉛直器取付け用プレート、21…固定用ボルト、22a,22b…位置決めリブ、23a,23b…押えリブ、24a,24b…固定用ボルト、25a,25b…レーザ鉛直器、26a,26b…固定用ボルト、30…レーザ光位置センサ取付けプレート、31…固定用ボルト、32a,32b…レーザ光位置センサ、33a,33b…レーザ光、40…エレベータ据付基準芯決定用プレート、40a…第1切欠き部、40b…第2切欠き部、41…レーザ鉛直器位置決めプレート、41a…接続部、41b…突出部、42…固定用ボルト、43a,43b…レーザ鉛直器基準孔、44a,44b…角部、50…エレベータ用の基準墨位置、50a…第1基準墨位置、50b…第2基準墨位置、60…回動軸、80…プレート、100…昇降路、101a…基準階床面、200…第1据付基準線調整部、201…第2据付基準線調整部、300…レーザ光受光部、400…レーザ光芯出し治具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10