(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】集塵容器、フィルタ清掃装置、および空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0073 20190101AFI20240327BHJP
B01D 46/42 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
F24F1/0073
B01D46/42 Z
(21)【出願番号】P 2020150386
(22)【出願日】2020-09-08
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】柳生 隆之
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-043781(JP,A)
【文献】特開2014-074504(JP,A)
【文献】特開2009-229049(JP,A)
【文献】特開2004-347246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0073
B01D 46/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタから塵埃を除去するフィルタ清掃装置に着脱可能に設けられた集塵容器であって、
前記フィルタから除去された前記塵埃を
内部に導く収容口と、前記収容口と対向し、前記収容口を通じて内部に導かれた前記塵埃が堆積
する堆積領域を
含む底部と、を有する収容部と、
前記収容部の内部に設けられ、一方の主面に前記塵埃と当接する当接面を、他方の主面に力受面をそれぞれ有し、前記力受面に力を受けることで前記堆積領域に堆積された前記塵埃を覆うように押圧する
押圧姿勢をとることが可能な板状部材である押圧板と、
を備
え、
前記収容部には、前記力受面の少なくとも一部が露出するように開口し、前記収容部の外部から前記力受面に対して力を作用させ、前記押圧板に前記押圧姿勢をとらせることを可能にする開口部が形成される、
集塵容器。
【請求項2】
前記押圧姿勢において、前記押圧板は、前記底部との間で前記塵埃を押圧する、請求項1に記載の集塵容器。
【請求項3】
前記収容部は、前記開口部が設けられ、前記底部の外周を囲うように前記底部から立設する側部を有し、
前記力受面に対して力を受けない場合に、前記押圧板に、前記側部に沿って立設するとともに前記開口部を閉塞する閉塞姿勢を維持させる姿勢維持部材をさらに備える、請求項2に記載の集塵容器。
【請求項4】
前記側部は、前記集塵容器を前記フィルタ清掃装置内に取り付けた取着状態におい
て前記フィルタ清掃装置内に収容される
側面部を含み、
前記開口部は、前記
側面部に形成される請求項
3に記載の集塵容器。
【請求項5】
前記押圧板は、前記姿勢維持部材によって維持された姿勢において前記底部の側の端部に回転軸を有し、
前記押圧板によって前記堆積領域に堆積された前記塵埃を押圧する場合、前記
側面部から前記底部に向かって前記押圧板が前記回転軸の軸周りに回転する請求項4に記載の集塵容器。
【請求項6】
請求項5に記載の集塵容器と、
前記回転軸と係合する係合部と、
前記係合部を駆動させて前記回転軸を回転させる駆動部と、
前記収容口に設けられ、前記フィルタに付着した前記塵埃を除去し、除去した前記塵埃を前記収容部内に収容させる除去部と、を備えるフィルタ清掃装置。
【請求項7】
前記係合部は、中心軸が前記回転軸の延伸方向と平行となる歯車であり、
前記回転軸の軸心よりも前記歯車の前記中心軸の軸心の方が鉛直方向において上方となるように前記回転軸および前記歯車が配置される請求項6に記載のフィルタ清掃装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載のフィルタ清掃装置と、
空気の吸込口と、
空気の排出口と、
前記フィルタが配置されており、前記吸込口と前記排出口との間に設けられた空気の通り道である空気通路と、を備える、
空気調和機。
【請求項9】
前記駆動部を制御する駆動制御部と、
前記除去部によって前記フィルタから前記塵埃を除去した除去回数を計測する回数計測部と、を備え、
前記駆動制御部は、
前記回数計測部によって計測された前記除去回数が所定回数に達したと判定した場合、前記駆動部を制御して、前記
側面部から前記底部に向かって前記押圧板が前記回転軸の軸周りに回転するように、前記回転軸を回転させる請求項8に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記駆動部を制御する駆動制御部と、
前記空気調和機の稼働時間を測定する稼働時間測定部と、を備え、
前記駆動制御部は、
前記稼働時間測定部によって測定された前記空気調和機の稼働時間が所定時間に達したと判定した場合、前記駆動部を制御して、前記
側面部から前記底部に向かって前記押圧板が前記回転軸の軸周りに回転するように、前記回転軸を回転させる請求項8に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵容器、フィルタ清掃装置、および空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、清掃ブラシによってフィルタから除去された塵埃を掻き込む掻込部と、掻き込んだ塵埃を押し込む押込部とを有する集塵ボックスを備えた空気調和機が開示されている。
【0003】
この空気調和機は、集塵ボックス内において、掻込部によって清掃ブラシから掻き込まれたごみを、押込部が収容ボックス内の奥に押し込むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、押込部の回転運動により塵埃を、集塵容器内の奥に移動させることで圧縮する構成となっている。しかしながら、この押込部は、集塵容器内において塵埃が堆積された領域を直接、押圧する構成とはなっていない。このため、特許文献1は、集塵容器内に堆積された塵埃の量が少ない場合は、塵埃を適切に圧縮させることができない。
【0006】
本開示の目的は、塵埃を適切に圧縮することができる集塵容器、フィルタ清掃装置、および空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る集塵容器は、フィルタから塵埃を除去するフィルタ清掃装置に着脱可能に設けられた集塵容器であって、前記フィルタから除去された前記塵埃を堆積させる堆積領域を有する収容部と、前記堆積領域に堆積された前記塵埃を覆うように押圧する板状部材である押圧板と、を備える。
【0008】
また、本開示の一態様に係るフィルタ清掃装置は、フィルタから塵埃を除去するフィルタ清掃装置に着脱可能に設けられた集塵容器であって、前記フィルタから除去された前記塵埃を堆積させる堆積領域を有する収容部と、前記堆積領域に堆積された前記塵埃を覆うように押圧する板状部材である押圧板と、を有する集塵容器と、前記回転軸と係合する係合部と、前記係合部を駆動させて前記回転軸を回転させる駆動部と、前記フィルタに付着した前記塵埃を除去し、除去した前記塵埃を前記収容部内に収容させる除去部と、を備える。
【0009】
また、本開示の一態様に係る空気調和機は、フィルタから塵埃を除去するフィルタ清掃装置に着脱可能に設けられた集塵容器であって、前記フィルタから除去された前記塵埃を堆積させる堆積領域を有する収容部と、前記堆積領域に堆積された前記塵埃を覆うように押圧する板状部材である押圧板と、を有する集塵容器と、前記回転軸と係合する係合部と、前記係合部を駆動させて前記回転軸を回転させる駆動部と、前記フィルタに付着した前記塵埃を除去し、除去した前記塵埃を前記収容部内に収容させる除去部と、を含むフィルタ清掃装置と、空気の吸込口と、空気の排出口と、前記フィルタが配置されており、前記吸込口と前記排出口との間に設けられた空気の通り道である空気通路と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係る空気調和機の要部構成を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す空気調和機のIII-III断面図である。
【
図4】
図1に示す空気調和機が備える集塵フィルタユニットの要部構成を示す斜視図である。
【
図5】
図4に示す集塵フィルタユニットのA領域における部分拡大図である。
【
図6】
図1に示す空気調和機が備える集塵容器の要部構成を示す斜視図である。
【
図7】
図1に示す空気調和機が備える集塵容器の要部構成を示す斜視図である。
【
図8】
図6に示す集塵容器のVIII-VIII断面図である。
【
図9】
図8に示す集塵容器において塵埃を押圧した状態を示す断面図である。
【
図10】
図6に示す集塵容器の係合ギアと支持本体の押圧板駆動ギアとの係合状態を示す図である。
【
図11】
図1に示す空気調和機が備える電装ユニットの要部構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【
図12】
図1に示す空気調和機の変形例に係る電装ユニットの要部構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【
図13】実施形態の変形例に係る集塵容器の断面図である。
【
図14】実施形態の変形例に係る集塵容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態及び変形例を、図面を参照しながら説明する。なお、以下ではすべての図を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。この実施形態及び変形例以外であっても、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0012】
[空気調和機]
図1~
図3を参照して、本開示の実施形態に係る空気調和機1の全体構成について説明する。
図1は本開示の実施形態に係る空気調和機1の要部構成を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す空気調和機1の分解斜視図である。
図3は
図1に示す空気調和機1のIII-III断面図である。
【0013】
なお、
図1において、紙面の上方を上、下方を下、前面パネル11が配置される側を前、前面パネル11の反対側、すなわち背面パネル13が配置される側を後とする。また、前側から後側に向かってみて左側を左、右側を右とする。
【0014】
本実施の形態に係る空気調和機1は、例えば、室内の空気の温度および湿度を調整する空調設備である。本開示の実施形態では、圧縮機(図示せず)および凝縮器(図示せず)が一体となった室外機(図示せず)と、蒸発器(後述の室内機用熱交換器31)が内蔵された室内機とからなるユニット形態の空調設備を例に挙げて説明する。特に、空気調和機1は、このようなユニット形態における室内機として説明する、しかしながら、空気調和機1は、このような室内機に限定されるものではない。空気調和機1は、圧縮機、凝縮器、および蒸発器が一体となった一体型のユニット形態となる空調設備であってもよい。
【0015】
図1に示すように、空気調和機1は、略直方体形状を有している。この空気調和機1は、液化した冷媒が流通する液側配管(図示せず)および気化した冷媒が流通するガス側配管(図示せず)を介して室外機と接続されている。そして、空気調和機1は室外機との間で冷媒回路(図示せず)を構成する。空気調和機1は、
図1、2に示すように、筐体10、集塵フィルタユニット20(フィルタ清掃装置)、空気調和ユニット30、および電装ユニット40を備えてなる構成である。
【0016】
[筐体]
筐体10は、
図1に示すように、略直方体形状の樹脂成形品であって、前面パネル11、本体パネル12、および背面パネル13を備える。筐体10は、その内部に集塵フィルタユニット20、空気調和ユニット30、および電装ユニット40を収容する。
【0017】
図2に示すように、本体パネル12は、上方に複数の開口(吸込口16)が形成された上面パネル14が配置されている。上面パネル14は、集塵フィルタユニット20の上面側を覆うように構成されている。この吸込口16を介して室内の空気が筐体10内に流入する。
【0018】
図1、2に示すように、本体パネル12の下部には、筐体10の左右方向に延伸した薄板形状のフラップ15が設けられている。フラップ15は、フラップ15の背面側の端部に設けられたフラップ用回転軸(図示せず)を介して本体パネル12に取り付けられている。そして、このフラップ用回転軸を中心にして揺動可能となっている。
【0019】
フラップ15は、空気調和機1の稼働停止時は、排出口17を閉じる位置に配置されている。一方、空気調和機1の稼働時は、
図3に示すように、フラップ15の前面側の端部が下方に移動し、筐体10内から空気を排出するための排出口17を形成する。
【0020】
フラップ用回転軸は、電装ユニット40に接続されたフラップ駆動モータ33(後述の
図11参照)と連結されており、フラップ駆動モータ33の回転力(トルク)によって回転自在となっている。そして、空気調和機1の稼働時に、電装ユニット40から出力された制御信号に応じてフラップ駆動モータ33が動作してフラップ用回転軸を回転させる。このフラップ用回転軸の回転によってフラップ15は、所定の位置まで回転する。このようにフラップ用回転軸が回転することで、フラップ15をフラップ用回転軸の軸周りに回転させて排出口17から室内に排出される空気の排出角度を規定することができる。
【0021】
[空気調和ユニット]
図2、3に示すように、空気調和ユニット30は、室内機用熱交換器31、および送風機32を備えてなる構成である。
【0022】
室内機用熱交換器31は、複数の熱交換器から構成されている。室内機用熱交換器31は
図3に示すように、送風機32の上方を覆うように配置される。なお、室内機用熱交換器31を構成する各熱交換器は、左端で折り返された伝熱管(図示せず)に多数の放熱フィン(図示せず)が取り付けられた構成を有する。室内機用熱交換器31には上記した液側配管およびガス側配管が接続されている。この室内機用熱交換器31は、例えば、空気調和機1の冷房運転時において蒸発器として機能する。
【0023】
送風機32は、空気調和機1の稼働時に、室内の空気を、吸込口16を介して筐体10内に流入させ室内機用熱交換器31に供給するとともに、室内機用熱交換器31で熱交換された空気を、排出口17を介して室内に排出する。吸込口16と排出口17との間には空気の通り道である空気通路18が設けられている。この空気通路18中に集塵フィルタユニット20が備える集塵フィルタ21L,21Rが配置される。
【0024】
[集塵フィルタユニット]
上記した
図3に加えて、
図4、5を参照して集塵フィルタユニット20の構成について説明する。
図4は、
図1に示す空気調和機1が備える集塵フィルタユニット20の要部構成を示す斜視図である。
図5は、
図4に示す集塵フィルタユニット20のA領域における部分拡大図である。
図5では、説明の便宜上、集塵容器23を取り外した状態で示している。
【0025】
集塵フィルタユニット20は、
図4および
図5に示すように、2つの集塵フィルタ21L,21R、支持本体22、2つの集塵容器23L,23R、2つのフィルタ駆動ローラ24L,24R、2つのフィルタ駆動モータ25L,25R、ローラ駆動モータ26、動力中継部27、および2つの押圧板駆動モータ28R、28Lを備える。2つの集塵フィルタ21L,21Rを特に区別して説明する必要がない場合は、単に集塵フィルタ21(フィルタ)と称する。また、2つの集塵容器23L,23Rを特に区別して説明する必要がない場合は、単に集塵容器23と称する。また、2つのフィルタ駆動ローラ24L,24Rを特に区別して説明する必要がない場合は、単にフィルタ駆動ローラ24と称する。また、2つのフィルタ駆動モータ25L,25Rを区別して説明する必要がない場合は、単にフィルタ駆動モータ25と称する。また、2つの押圧板駆動モータ28L、28Rを特に区別して説明する必要がない場合は、単に押圧板駆動モータ28(駆動部)と称する。
【0026】
図4に示すように、集塵フィルタユニット20では、2つの集塵フィルタ21L,21R、2つの集塵容器23L,23R、および2つのフィルタ駆動ローラ24L,24Rは、支持本体22において、左右方向に隣接して配置されている。また、2つのフィルタ駆動モータ25L,25R、および2つの押圧板駆動モータ28L、28Rは、支持本体22の左側壁部223および右側壁部225それぞれに1つずつ設けられている。ローラ駆動モータ26は、支持本体22の右側壁部225にだけ設けられている。さらに、動力中継部27は、
図4に示すように、支持本体22の前方側でかつ左右方向における中央部分に設けられている。
【0027】
(集塵フィルタ)
集塵フィルタ21(フィルタ)は、吸込口16から流入した空気に含まれる塵埃を除去するフィルタである。集塵フィルタ21は、
図4に示すように、枠体211およびエアフィルタを備え、支持本体22に着脱可能となっている。なお、エアフィルタは、枠体211の格子枠部211bの開口部分に対応して配置されるが、
図4では説明の便宜上、図示していない。
【0028】
枠体211は、エアフィルタを支持する支持部材であり、
図4に示すように、略長方形状の外枠部211aおよび外枠部211aによって囲まれた領域を格子状に区画する格子枠部211bを備える。
図3に示すように、この外枠部211aの左右の下面には、棒状歯車であるラック部211cが形成されている。そして、この集塵フィルタ21が支持本体22に取り付けられるとき、枠体211のラック部211cとフィルタ駆動ローラ24のピニオン部242とが嵌合される(
図3参照)。
【0029】
このように枠体211のラック部211cとフィルタ駆動ローラ24のピニオン部242とが嵌合されるため、フィルタ駆動ローラ24が
図3において左回りに回転すると、集塵フィルタ21が支持本体22の前方に移動し、フィルタ駆動ローラ24に巻き取られる。フィルタ駆動ローラ24に巻き取られた集塵フィルタ21は、フィルタ駆動ローラ24の周面に沿って折り返され、ガイドGDに案内される。
【0030】
逆に、
図3においてフィルタ駆動ローラ24が右回りに回転すると、集塵フィルタ21が支持本体22の後方に向かって移動する。つまり、ガイドGDに案内されて集塵フィルタユニット20内に収容されている集塵フィルタ21は、フィルタ駆動ローラ24に巻き取られる。フィルタ駆動ローラ24に巻き取られた集塵フィルタ21は、フィルタ駆動ローラ24の周面に沿って折り返され、支持本体の後方に向かって移動し、初期位置に戻る。なお、初期位置とは、集塵フィルタ21が支持本体22に取り付けられたときの最初の配置位置である。
【0031】
(支持本体)
支持本体22は、
図4に示すように、2つの集塵フィルタ21L,21R、2つの集塵容器23L,23R、2つのフィルタ駆動モータ25L,25R、ローラ駆動モータ26、動力中継部27、および2つの押圧板駆動モータ28L、28Rを支持する支持部材である。
【0032】
支持本体22は、後方側から前方側に向かうに従って下方に湾曲した樹脂製板状部材である。支持本体22は、格子リブ222、左側壁部223、中央壁部224、右側壁部225、および底支持部226を備える。
【0033】
格子リブ222は、支持本体22の強度を向上させるための格子状の補強リブであって、支持本体22の上面に形成される。
【0034】
左側壁部223は、
図4に示すように、支持本体22の左側縁部分に形成された側壁であり、この左側壁部223の内側面には、
図3に示すように、ガイドGDが形成されている。このガイドGDは、集塵フィルタ21を規定の方向に導くためのガイド部材である。実施形態では、
図4、5に示すように、ガイドGDは、左側壁部223においてフィルタ駆動ローラ24の周面から支持本体22の後方側に向かって上方に伸びるように設けられている。また、この左側壁部223の外側面には、フィルタ駆動モータ25Lおよび押圧板駆動モータ28Lが設けられる。さらにまた、
図5に示すように、左側壁部223の内側面であって、底支持部226との接合位置の近傍に、押圧板駆動モータ28Lと連結した押圧板駆動ギア227(係合部)が設けられている。押圧板駆動ギア227は、集塵容器23に設けられた後述の係合ギア237aと係合し、押圧板駆動モータ28Lの回転力を係合ギア237aに伝達する。
【0035】
右側壁部225は、
図4に示すように、支持本体22の右側縁部分に形成された側壁である。
図4では図示していないが、この右側壁部225の内側面には、左側壁部223と同形状のガイドGDが形成されている。また、この右側壁部225の外側面には、ローラ駆動モータ26,フィルタ駆動モータ25R,および押圧板駆動モータ28Rが固定されている。特に図示していないが、右側壁部225の内側であって、底支持部226との接合位置の近傍に、左側壁部223と同様に押圧板駆動ギア227が設けられている。
【0036】
中央壁部224は、
図4に示すように、支持本体22の幅方向(左右方向)における略中央部分において、前後方向に延びる壁部分である。この中央壁部224の左右の両側面には、
図4に示すように、左側壁部223のガイドGDおよび右側壁部225のガイドGDと同形状のガイドGDが設けられている。中央壁部224の左側面に設けられたガイドGDと左側壁部223に設けられたガイドGDとは対向する位置に設けられており、集塵フィルタ21Lの左右の側部を案内することができる。また、中央壁部224の右側面に設けられたガイドGDと右側壁部225に設けられたガイドGDとは対向する位置に設けられており、集塵フィルタ21Rの左右の側部を案内することができる。したがって、左右それぞれに設けられた2つの集塵フィルタ21Lおよび集塵フィルタ21Rそれぞれを規定の方向に導くことができる。
【0037】
底支持部226は、
図4、5に示すように、支持本体22の最下端部分に形成された下面部材であり、集塵容器23の底を支持する支持部材である。底支持部226は、棚板部226aおよび爪部226bを備える。棚板部226aは、
図5に示すように、集塵容器23の底部と当接し、集塵容器23を支持する板部材である。爪部226bは、
図5に示すように、棚板部226aに形成された板ばね部材であり、一方の端部で棚板部226aに片持ち支持されており、他方の端部に上方に突出した突出部が形成されている。集塵容器23を支持本体22に取り付けると、集塵容器23の底部に、この爪部226bの突出部が当接し、集塵容器23は、下方から上方に向かって付勢される。それゆえ、集塵容器23が支持本体22に取り付けられたとき、位置ずれを防止することができる。なお、爪部226bは、棚板部226aにおいて、1つの集塵容器23に対して複数設けられる。
【0038】
(集塵容器)
図6~9を参照して集塵容器23の構成について説明する。
図6は、
図1に示す空気調和機1が備える集塵容器23の要部構成を示す斜視図である。
図7は、
図1に示す空気調和機1が備える集塵容器23の要部構成を示す斜視図である。
図8は、
図6に示す集塵容器23のVIII-VIII断面図である。
図9は、
図8に示す集塵容器において塵埃を押圧した状態を示す断面図である。なお、
図6は、集塵容器23を前面側から見たときの斜視図であり、
図7は集塵容器23を背面側から見たときの斜視図である。
【0039】
集塵容器23は、集塵フィルタ21から取り除かれた塵埃を回収する容器である。集塵容器23は、支持本体22に対して前後方向に着脱可能となっている。
図6~
図9に示すように、集塵容器23は、収容部231、機構収容部232、着脱機構233、ブラシ付ローラ234(除去部)、およびサイドギア部235を備える。
【0040】
収容部231は、
図6から
図8に示すように、底部231aと、底部231aの外周を囲うように、底部231aから上方に立設した4つの側部231bと、底部231aの上方において対向する位置に設けられた上部231cとを備えた略直方体形状の箱部材である。なお、底部231aおよび上部231cは、左右方向が長手方向となる長方形状となっている。また、4つの側部231bは、収容部231の前面に配置される前面側部231b1、背面に配置される背面側部231b2、左側面に配置される左側部231b3、および右側面に配置される右側部231b4を含む。
【0041】
底部231aは、ブラシ付ローラ234によって集塵フィルタ21から掻き落とされた塵埃が堆積する堆積領域231a1を含む。また、上部231cには開口(収容口231c1)形成されている。収容口231c1は、上部231cの上面側に設けられたブラシ付ローラ234によって集塵フィルタ21から掻き込まれた塵埃を、収容部231内に導くための開口である。また、収容口231c1は、集塵容器23を支持本体22から取り外し、集塵容器23内に堆積した塵埃を排出させるとき、塵埃の排出口としても機能する。
【0042】
収容部231は、堆積した塵埃を使用者が外から認識することができるように透明または半透明な樹脂によって形成されていてもよい。また、収容部231は、内部に板状部材である押圧板236を備えており、この押圧板236によって、堆積した塵埃を押圧し、圧縮することができる構成となっている。この押圧板236による塵埃の押圧機構についての詳細は後述する。
【0043】
機構収容部232は、
図8に示すように、集塵容器2において、収容部231の上方でかつ、前方に配置された角筒形状の箱部材である。機構収容部232は、着脱機構233を収容する。着脱機構233は、支持本体22から集塵容器23を着脱可能とするための機構である。
【0044】
機構収容部232は、左右の側面に開口(図示せず)が形成されており、この開口を通じて着脱機構233の左右の端部に設けられた係合ピン(図示せず)が突出したり機構収容部232内に引っ込んだりすることができるように構成されている。一方、支持本体22の左側壁部223および右側壁部225それぞれには、係合ピンを受け入れるための孔部(図示せず)が形成されている。そして、この係合ピンを孔部に挿入することによって集塵容器23を支持本体22に係止させたり、係合ピンを孔部から抜き取ることにより集塵容器23を支持本体22から取り外したりすることができる。
【0045】
ブラシ付ローラ234は、集塵フィルタ21の清掃作業(フィルタ清掃工程)を実施する際、集塵フィルタ21から塵埃を掻き取るための部材である。ブラシ付ローラ234は、周面にブラシが取り付けられたローラであって、集塵容器23の左右の両壁部で回転自在に軸支されている。フィルタ清掃工程では、ブラシ付ローラ234は、周面に取り付けられたブラシが回転しながら集塵フィルタ21に当接することで、集塵フィルタ21から塵埃を掻き取る。そして、掻き取られた塵埃は、収容部231内に回収される。
【0046】
より具体的には、上記したように集塵フィルタ21は、フィルタ駆動ローラ24の回転によって前後方向に移動可能となっている。また
図3に示すように、集塵容器23を支持本体22へ取り付けた取着状態では、ブラシ付ローラ234は、フィルタ駆動ローラ24との間に集塵フィルタ21を挟み込むことができるように配置されている。このため、集塵フィルタ21は、フィルタ駆動ローラ24の回転によって前後方向に移動するたびに、ブラシ付ローラ234のブラシに当接し、集塵フィルタ21に付着した塵埃がブラシによって掻き取られる。
【0047】
なお、一度のフィルタ清掃工程で、集塵フィルタ21が空気調和機1の前後方向に往復する回数は任意である。集塵フィルタ21に付着する塵埃の量と、集塵フィルタ21が前後方向に往復することでブラシ付ローラ234によって集塵フィルタ21から取り除くことができる塵埃の量との関係から往復回数は適宜設定される。
【0048】
サイドギア部235は、
図6および
図7に示すように、ブラシ付ローラ234を軸支する集塵容器23の両壁部から突出した、ブラシ付ローラ234の軸部の両端部それぞれに取り付けられた歯車である。サイドギア部235は、ローラ駆動モータ26のシャフト先端に設けられたギア(図示せず)と係合する。
【0049】
より具体的には、左右方向に隣接して配置される2つの集塵容器23L,23Rのうち、右側に配置される集塵容器23Rでは、取着状態において、ブラシ付ローラ234の両端部に設けられた2つのサイドギア部235が以下のように他部材と係合する。
【0050】
すなわち、集塵容器23Rに設けられたブラシ付ローラ234が備える2つのサイドギア部235のうち、軸部の右端部に設けられたサイドギア部235は、ローラ駆動モータ26のシャフト先端に設けられたギアと係合する。一方、軸部の左端部に設けられたサイドギア部235は、動力中継部27が備える中継ギア(図示せず)と係合する。
【0051】
また、左側に配置される集塵容器23Lでは、取着状態において、ブラシ付ローラ234の両端部に設けられた2つのサイドギア部235が以下のように他部材と係合する。
【0052】
すなわち、集塵容器23Lに設けられたブラシ付ローラ234が備える2つのサイドギア部235のうち、軸部の右端部に設けられたサイドギア部235は、動力中継部27の中継ギアと噛み合う。一方、軸部の左端部に設けられたサイドギア部235は、フリーとなっている。
【0053】
以上のように、集塵容器23Rに設けられたブラシ付ローラ234の軸部は、動力中継部27の中継ギアを介して集塵容器23Lに設けられたブラシ付ローラ234の軸部と係合することができる。そして、動力中継部27は、ローラ駆動モータ26から集塵容器23Rのブラシ付ローラ234に伝達された回転力を、中継ギアを介して集塵容器23Lのブラシ付ローラ234に伝達させることができる。このため、ローラ駆動モータ26によって、集塵容器23Rのブラシ付ローラ234および集塵容器23Lのブラシ付ローラ234それぞれを、同時に回転させることができる。
【0054】
(押圧板の閉塞姿勢・押圧姿勢)
実施形態に係る集塵容器23では、押圧板236は、堆積領域231a1に堆積された塵埃を上方から覆うように押圧する押圧姿勢と、収容部231の背面側部231b2に沿って底部231aから立設した姿勢で、背面側部231b2に形成された開口部238を塞ぐ閉塞姿勢との2つの姿勢を取り得るように構成されている。
【0055】
まず、閉塞姿勢を実現する構成について説明する。収容部231は、押圧板236を、背面側部231b2に向かって付勢する、不図示の姿勢維持部材を備える。姿勢維持部材としては、例えば、ねじりコイルばねなどの弾性部材を用いることができる。姿勢維持部材としてねじりコイルばねを用いる場合、ねじりコイルばねのコイル内周に回転軸237を挿通させる。また、コイルの一方の端部から伸びる第1腕部が底部231aに接合され、他方の端部から伸びる第2腕部が押圧板236の力受面236bに接合される。なお、ここでは姿勢維持部材としてねじりコイルばねを用いた構成について説明したが、これに限定されるものではない。収容部231において押圧板236が閉塞姿勢をとることができるように押圧板236を付勢できる部材であればよい。
【0056】
また、押圧板236の主面の面積は、開口部238の開口寸法よりも大きくなっている。そのため、閉塞姿勢では、押圧板236は、開口部238を塞ぎ、背面側部231b2の一部として機能することができる。
【0057】
次に押圧姿勢を実現する構成について説明する。押圧姿勢では、押圧板236は、塵埃が上方に移動しないように堆積領域231a1に向かって押圧する。これにより、実施形態に係る集塵容器23では、堆積領域231a1と押圧板236との間で塵埃を圧縮させることができる。また、塵埃は押圧板236によって上から覆われた状態となるため、押圧姿勢にあるときは塵埃が上方に移動することを防ぐことができる。
【0058】
具体的には、押圧板236は、一方の主面に、塵埃と当接する当接面236aを、他方の主面に、当接面236aによって塵埃を押圧した姿勢を維持するために及ぼされる力を受ける力受面236bをそれぞれ有する。
【0059】
また、押圧板236は、閉塞姿勢時に底部231a側となる端部に、左右方向に延伸した回転軸237を有する。そして、この回転軸237の回転に伴って、背面側部231b2から底部231aに向かって押圧板236が回転軸237の軸周りに回転する。このように押圧板236が回転軸237の軸周りに回転することで、
図9に示すように、底部231aの堆積領域231a1に堆積された塵埃は、押圧板236の当接面236aによって押圧される。なお、実施形態に係る集塵容器23では、堆積領域231a1と底部231aの内側面とが一致している。このため、押圧板236の主面の形状は、底部231aの内側面の形状とほぼ同様となる。
【0060】
また、実施形態に係る集塵容器23は、上記した回転軸237を回転させる回転機構として以下の構成を有する。すなわち、回転軸237は、収容部231の左側部231b3および右側部231b4で回転可能に軸支されている。そして、
図10に示すように、左側部231b3から突出した回転軸237の左端部と、右側部231b4から突出した回転軸237の右端部とに係合ギア237aがそれぞれ設けられている。
図10は、
図6に示す集塵容器23の係合ギア237aと支持本体22の押圧板駆動ギア227との係合状態を示す図である。
【0061】
集塵容器23を支持本体22に取り付ける際、集塵容器23が備える回転軸237の係合ギア237aを、支持本体22が備える押圧板駆動ギア227に嵌合させる。このように係合ギア237aと押圧板駆動ギア227とを嵌合させることで、押圧板駆動モータ28Lの回転力を、押圧板駆動ギア227を介して係合ギア237aを備えた回転軸237に伝達させることができる。
【0062】
ところで、上記した回転軸237の回転機構では、回転軸237に対して、回転運動を生み出す力以外に、一方向に押圧する力も作用する。このため集塵容器23の上方または集塵容器23の取り外し方向(空気調和機1の前方側)など、取着状態において集塵容器23と空気調和機1との間でギャップが生じる方向に、回転軸237に対して力が及ぼされると集塵容器23ががたつく。
【0063】
そこで、空気調和機1では、押圧板駆動ギア227と係合ギア237aとの配置関係が
図10に示すようになるように工夫している。なお、係合ギア237aの中心軸は回転軸237の軸心と一致している。
【0064】
具体的には、押圧板駆動ギア227の中心軸は、回転軸237の延伸方向と平行となっている。また、押圧板駆動ギア227の中心軸が、回転軸237の軸心(係合ギア237aの中心軸)よりも鉛直方向において上方となるように、係合ギア237aと押圧板駆動ギア227とが配置される。特に係合ギア237aの中心軸が押圧板駆動ギア227の中心軸の真下に配置されることが好ましい。ただし、支持本体22への集塵容器23の取り付けやすさを考慮すると、押圧板駆動ギア227の中心軸の方が係合ギア237aの中心軸よりも背面側に位置してもよい。
【0065】
このように押圧板駆動ギア227と係合ギア237aとを配置させることで、押圧板駆動ギア227を介して係合ギア237a(回転軸237)に力を伝達させたとき、回転軸237に対して上方向または集塵容器23の取り外し方向(空気調和機1の前方)に力がかかることを抑制することができる。このため、空気調和機1内において集塵容器23ががたつくことを抑制することができる。
【0066】
なお、実施形態に係る集塵容器23では、上記したように、押圧板236が、堆積領域231a1に堆積された塵埃を上方から覆うように押圧する構成となっている。これに対して特許文献1に開示された空気調和機は、押込部の回転運動により塵埃を集塵容器内の奥に移動させる構成となっている。
【0067】
このように特許文献1に開示された構成は、この押込部によって堆積領域231a1に堆積された塵埃全体を上から覆う構成ではない。このため、特許文献1では、例えば、集塵容器を支持本体から取り外した後、集塵容器内に堆積した塵埃が意図せず外部に舞い散る可能性がある。また、特許文献1では押込部が塵埃を集塵容器内の奥に移動させることで塵埃を圧縮させる構成である。このため、塵埃がある程度、集塵容器内に堆積していない段階では、塵埃を適切に圧縮させることができない。
【0068】
これに対して、本開示の実施形態に係る集塵容器23では、収容部231内の堆積領域231a1に堆積する塵埃をその堆積量の大小にかかわらず上方から覆うように押圧することができる。このため、本開示の実施形態に係る集塵容器23では、押圧板236によって塵埃を適切に圧縮させることができる。
【0069】
(電装ユニット)
次に
図11を参照して、電装ユニット40の構成について説明する。
図11は、
図1に示す空気調和機1が備える電装ユニット40の要部構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【0070】
図11に示すように、電装ユニット40は、通信制御部41、中央処理演算部42(駆動制御部)、回数計測部43、および稼働時間測定部44を備え、これらの各部は、相互にバス接続されている。また、電装ユニット40は、通信線Lcを通じて、フィルタ駆動モータ25、ローラ駆動モータ26、押圧板駆動モータ28、フラップ駆動モータ33、および送風機32と通信可能に接続されている。
【0071】
中央処理演算部42は、空気調和機1の各部の各種制御を行う演算処理部である。中央処理演算部42は、例えば、リモートコントローラまたは操作パネルなどの入力インターフェース(図示せず)を介して入力された入力信号に基づき、フィルタ駆動モータ25、ローラ駆動モータ26、押圧板駆動モータ28、フラップ駆動モータ33、および送風機32などを制御する制御信号を生成する。
【0072】
通信制御部41は、例えば、フィルタ駆動モータ25、ローラ駆動モータ26、押圧板駆動モータ28、フラップ駆動モータ33、および送風機32それぞれと接続を確立させて、中央処理演算部42で生成された制御信号を送信したり、入力インターフェースを介して入力された入力信号を受け付けたりする。
【0073】
回数計測部43は、上記したフィルタ清掃工程の実施回数を計測する。回数計測部43は、計測したフィルタ清掃工程の実施回数を中央処理演算部42に送信する。
【0074】
稼働時間測定部44は、空気調和機1の稼働時間を計測する。稼働時間測定部44は、計測した稼働時間を中央処理演算部42に送信する。
【0075】
中央処理演算部42は、回数計測部43から受信した清掃工程の実施回数または稼働時間測定部44から受信した稼働時間に基づき、押圧板236による押圧動作を実行するように制御することができる。
【0076】
ところで、実施形態に係る空気調和機1では、集塵容器23における押圧板236による押圧動作を、使用者によって手動で行う場合と、中央処理演算部42からの制御信号に基づき、上記した回転機構によって行う場合とがある。以下において、手動による押圧動作と回転機構による押圧動作とについてそれぞれ説明する。
【0077】
(手動による押圧動作)
手動による押圧動作は、集塵容器23を空気調和機1から取り外したときに使用者によって実施することができる。
【0078】
図8に示すように、収容部231では、背面側部231b2に開口部238が形成されている。この開口部238は、少なくとも押圧板236の力受面236bの一部が収容部231の外部に露出する位置に形成される。
【0079】
このため、使用者は、収容部231の外側からこの開口部238を介して力受面236bにアクセスすることができる。したがって、例えば、空気調和機1から取り外した集塵容器23において、使用者が収容部231の外部から力受面236bに指などで力を及ぼすことで、押圧板236により塵埃を押圧させることができる。よって、集塵容器23は、堆積領域231a1に堆積した塵埃を適切に圧縮することができる。
【0080】
また、姿勢維持部材を備えるため、使用者が力受面236bに及ぼしている力を解放させると、押圧板236は、底部231aから背面側部231b2に向かって回転軸237の軸周りに回転する。そして、押圧板236の姿勢は、閉塞姿勢に維持される。
【0081】
なお、集塵容器23を支持本体22に取り付けた取着状態において、前面側部231b1(第1側部)は、空気調和機1の外部に露出している。一方、背面側部231b2(第2側部)は、空気調和機1内に収容されている。このように開口部238が形成される背面側部231b2は、取着状態において、空気調和機1内に収容されるため、開口部238を通じて収容部231内の塵埃が外部に排出されることを防ぐことができる。
【0082】
(回転機構による押圧動作)
次に回転機構によって押圧板236の押圧動作を実行する構成について説明する。押圧板236の押圧動作は、集塵容器23の収容部231内に堆積された塵埃の量に応じて適切なタイミングで実施されることが好適である。
【0083】
ここで、収容部231における塵埃の堆積量は、フィルタ清掃工程の実施回数に相関する。そこで、実施形態に係る空気調和機1では、フィルタ清掃工程の実施回数に応じて、電装ユニット40から送信された制御信号に基づき、押圧板236による押圧動作を実施させる。
【0084】
具体的には、回数計測部43が、中央処理演算部42からフィルタ駆動モータ25またはローラ駆動モータ26へ送信された、動作開始を指示する制御信号の送信回数を、フィルタ清掃工程の実施回数とみなしてカウントする。そして、回数計測部43は、カウントしたフィルタ清掃工程の実施回数を中央処理演算部42に送信する。
【0085】
中央処理演算部42は、回数計測部43によってカウントされたフィルタ清掃工程の実施回数が所定数に達したか否か判定する。中央処理演算部42は、フィルタ清掃工程の実施回数が所定数に達したと判定したとき、通信制御部41を介して、動作開始を指示する制御信号を押圧板駆動モータ28に送信する。
【0086】
押圧板駆動モータ28は、中央処理演算部42から受信した制御信号に基づき、背面側部231b2から底部231aに向かって押圧板236が回転軸237の軸周りに回転するように回転力を伝達させる。
【0087】
以上のようにして、空気調和機1では、収容部231に堆積された塵埃の量を推測して、押圧板236によって塵埃を押圧させることができる。
【0088】
なお、収容部231における塵埃の堆積量は、空気調和機1の稼働時間にも相関する。そこで、実施形態に係る空気調和機1では、空気調和機1の稼働時間に応じて、電装ユニット40から送信された制御信号に基づき、押圧板236により押圧動作を実施させる構成としてもよい。
【0089】
具体的には、稼働時間測定部44は、送風機32の稼働時間を空気調和機1の稼働時間とみなして測定する。すなわち、稼働時間測定部44は、中央処理演算部42から送風機32に、動作開始を指示する制御信号を送信したタイミングと、動作停止を指示する制御信号を送信したタイミングとを記録し、送風機32の稼働時間を測定する。稼働時間測定部44は、測定した送風機32の稼働時間を中央処理演算部42に送信する。
【0090】
中央処理演算部42は、稼働時間測定部44によって測定した稼働時間が所定時間に達したか否か判定する。中央処理演算部42は、稼働時間が所定時間に達したと判定したとき、通信制御部41を介して、動作開始を指示する制御信号を押圧板駆動モータ28に送信する。
【0091】
押圧板駆動モータ28は、中央処理演算部42から受信した制御信号に基づき、背面側部231b2から底部231aに向かって押圧板236が回転軸237の軸周りに回転するように回転力を伝達させる。
【0092】
以上のようにして、空気調和機1では、中央処理演算部42から送信された制御信号に基づき、押圧板236によって塵埃を押圧させることができる。
【0093】
(変形例)
図12~14を参照して、実施形態の変形例に係る空気調和機1について説明する。
図12は、
図1に示す空気調和機1の変形例に係る電装ユニット40の要部構成の一例を模式的に示すブロック図である。
図13、14は、実施形態の変形例に係る集塵容器23の断面図である。
図13、14では、
図8、9に示す断面図と同様の位置で集塵容器23を切り出したときの断面構造の一例を示す。
【0094】
実施形態に係る空気調和機1では、押圧板駆動モータ28の回転力を、押圧板駆動ギア227を介して係合ギア237aを備えた回転軸237に伝達させることができる構成であった。実施形態の変形例に係る空気調和機1は、押圧板駆動ギア227および係合ギア237aを備える代わりに、
図12~14に示すように押圧板236の力受面236bに力を及ぼす押動板290、押動板290の端部に設けられた押動回転軸291、および押動板290を動作させる押動板駆動モータ293を備える点で相違する。それ以外の構成については、実施形態の変形例に係る空気調和機1は、実施形態に係る空気調和機1と同様になる。このため、同様な部材には同じ番号を付しその説明は省略する。
【0095】
押動板290は、開口部238を介して押圧板236の力受面236bに対して力を及ぼす板状部材である。押動板290は、押圧板236に力を及ぼさない場合、すなわち、押圧板236による押圧動作を実施しない場合、収容部231の底部231aから上部231cに向かって立設した状態に保持されている。また、押動板290は、立設した状態において底部側の端部に押動回転軸291が設けられている。なお、押動板290において底部側の端部を押動板290の基端部と称し、この基端部の反対側の端部を押動板290の先端部と称する。
【0096】
押圧動作を実施する場合は、電装ユニット40の中央処理演算部42から出力された制御信号に応じて押動板駆動モータ293が動作して押動回転軸291を回転させる。この押動回転軸291の回転によって押動板290の先端部が押圧板236と当接し、力受面236bに力を作用させる。このように、押圧板236に対して押動板290から力が及ぼされると、この力によって押圧板236は回転し、堆積領域231a1に堆積された塵埃を押圧する。
【0097】
なお、中央処理演算部42は、上記したように、フィルタ清掃工程の実施回数が所定の回数に達したと判定した場合に押動板駆動モータ293に制御信号を出力する構成であってもよい。あるいは、中央処理演算部42は、上記したように、空気調和機1の稼働時間が所定時間に達したと判定した場合に押動板駆動モータ293に制御信号を出力する構成としてもよい。
【0098】
また、押動板290は、開口部238を介して押圧板236と当接するために、押動回転軸291は開口部238の下端よりも上方において回転軸237と平行に配置されている。また、押動板290の先端部の軌道が開口部238を通過するように、押動板290の主面の面積は、開口部238の開口面積よりも小さくなっている。
【0099】
以上のように、実施形態の変形例に係る空気調和機1では、集塵容器23の収容部231において、押動板290により押圧板241の力受面236bに力を作用させることができる。そして、この押動板290から及ぼした力によって押圧板236を底部に向けて回転移動させ、堆積領域231a1に堆積された塵埃を押圧板236によって覆うように押圧させることができる。
【0100】
なお、上記した実施形態では、集塵容器23を備えた空気調和機1を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではない。例えば、エアフィルタを備え、エアフィルタに付着した塵埃を取り除く機能を有する装置全般に利用可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 空気調和機
10 筐体
16 吸込口
17 排出口
18 空気通路
20 集塵フィルタユニット(フィルタ清掃装置)
21 集塵フィルタ(フィルタ)
22 支持本体
23 集塵容器
28 押圧板駆動モータ(駆動部)
30 空気調和ユニット
40 電装ユニット
41 通信制御部
42 中央処理演算部(駆動制御部)
43 回数計測部
44 稼働時間測定部
227 押圧板駆動ギア(係合部)
231 収容部
231a 底部
231a1 堆積領域
231b 側部
231b1 前面側部(第1側部)
231b2 背面側部(第2側部)
234 ブラシ付ローラ(除去部)
236 押圧板
236a 当接面
236b 力受面
237 回転軸
237a 係合ギア
238 開口部
241 押圧板