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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】軸受装置及び立軸ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/046 20060101AFI20240327BHJP
   F04D 11/00 20060101ALI20240327BHJP
   F04D 13/00 20060101ALI20240327BHJP
   F16C 35/06 20060101ALI20240327BHJP
   F16C 23/08 20060101ALI20240327BHJP
   F16C 19/26 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
F04D29/046 D
F04D11/00 101
F04D13/00 D
F16C35/06 Z
F16C23/08
F16C19/26
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020189614
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2022078733
(43)【公開日】2022-05-25
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】山川 史洋
(72)【発明者】
【氏名】森 和彦
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-057993(JP,U)
【文献】特開2000-314423(JP,A)
【文献】特開2015-083775(JP,A)
【文献】特開平02-008513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/046
F04D 11/00
F04D 13/00
F16C 35/06
F16C 23/08
F16C 19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の軸受装置であって、
前記回転軸が挿通されるスリーブと、
前記スリーブを摺動自在に軸支する軸受部材と、
前記軸受部材を外周から保持する軸受保持部材と、
前記軸受保持部材を収容する軸受ケーシングと、
前記スリーブの、前記回転軸の軸心に沿った方向の両端部において当該両端部を覆うように前記回転軸に設けられる一対のスリーブ支持部材とが備えられ、
前記スリーブの外周面と前記スリーブ支持部材の内周面との間に第一弾性部材が配設され
前記軸受保持部材の外周面と前記軸受ケーシングの内周面との間に第四弾性部材が配設されていることを特徴とする軸受装置。
【請求項2】
前記回転軸と前記スリーブとの間に第二弾性部材が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の軸受装置。
【請求項3】
前記スリーブの端面と前記スリーブ支持部材のうち当該端面に対向する対向面との間に第三弾性部材が配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受装置。
【請求項4】
羽根車と、羽根車を回転させる回転軸と、当該回転軸の軸受装置とを有する立軸ポンプであって、
前記軸受装置が、請求項1からのいずれか一項に記載の軸受装置から構成されている立軸ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸の軸受装置に関し、特に、雨水排水等の用途に用いられる立軸ポンプが有する羽根車の回転軸の軸受装置及び立軸ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
雨水排水等の用途に用いられる立軸ポンプは、羽根車が収容されたポンプケーシングと、当該ポンプケーシングの下流側に接続された揚水管と、前記羽根車に接続された回転軸と、回転軸を回転させる図示しない原動機等を備えている。前記揚水管の下流側には吐出管が接続されている
【0003】
前記回転軸は、前記ポンプケーシング及び前記揚水管の内部において軸受装置により軸支されている。前記回転軸の上端は、揚水管のベンド部を貫通して上方に延びカップリングを介して前記原動機等に接続されている。
【0004】
このような軸受装置は、特許文献1に示されるように、前記回転軸が挿通されるスリーブと、前記スリーブを摺動自在に軸支する軸受部材とが備えられ、スリーブの外周面と軸受部材の内周面との摺動面が、立軸ポンプによって揚水される水により潤滑がされるようになっている。
【0005】
このような立軸ポンプの運転時には、回転軸に荷重が作用することによって回転軸が傾き、これによりスリーブと軸受部材とが相対的に傾いて局所的に摺動する、いわゆる片当たりを生じたり、回転軸から強い衝撃がスリーブを介して軸受部材にかかったりすることがある。
【0006】
軸受部材に片当たりが生じると、軸受部材やスリーブが偏摩耗したり破損したりする虞がある。軸受部材やスリーブに偏摩耗や破損が生じると、回転軸を正常に摺動自在に軸支することができなくなり、立軸ポンプの運転に支障を来す。
【0007】
これを回避するために、軸受部材の外周側にゴムから構成された弾性部材が設けられ、スリーブから軸受部材に伝達される回転軸の傾きや回転軸からの衝撃を緩衝している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2007-270931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、軸受部材の外周側のみに弾性部材を配置する構成は、回転軸の傾きや回転軸からの衝撃に対する軸受部材の追従性の観点から改良の余地があった。
【0010】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、回転軸の傾きや回転軸からの衝撃を緩衝し回転軸を安定的に摺動自在に軸支することができる軸受装置及び立軸ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するための本発明に係る軸受装置の特徴構成は、回転軸の軸受装置であって、前記回転軸が挿通されるスリーブと、前記スリーブを摺動自在に軸支する軸受部材と、前記軸受部材を外周側から保持する軸受保持部材と、前記軸受保持部材を収容する軸受ケーシングと、前記スリーブの、前記回転軸の軸心に沿った方向の両端部において当該両端部を覆うように前記回転軸に設けられる一対のスリーブ支持部材とが備えられ、前記スリーブの外周面と前記スリーブ支持部材の内周面との間に第一弾性部材が配設され、前記軸受保持部材の外周面と前記軸受ケーシングの内周面との間に第四弾性部材が配設されている点にある。
【0012】
上述の構成によると、回転軸が傾いたり回転軸からの衝撃がかかったりしても、スリーブの外周面とスリーブ支持部材の内周面との間に配設された第一弾性部材によって、回転軸の傾きや回転軸からの衝撃が緩衝されるため、回転軸を安定的に摺動自在に軸支することができる。
【0013】
軸受部材はスリーブの当該端部を除いた位置においてスリーブの外周面を摺動自在に支持し、第一弾性部材はスリーブの、軸受部材によって摺動支持されている部分の外側に位置する、端部においてスリーブの外周面とスリーブ支持部材の内周面との間を接触しない状態で支持することとなる。当該構成により、回転軸の傾きや回転軸からの衝撃は、回転軸からスリーブにより緩衝された状態で伝達され、軸受部材によって受けられることとなる。
【0014】
また、第一弾性部材はスリーブの外周面とスリーブ支持部材の内周面との間に配設されているため第一弾性部材の配設が容易であり、第一弾性部材の配設のために回転軸を加工する必要もない。さらに、第一弾性部材がスリーブの外周面に配設されていることから防塵効果が期待できる。また、分解、組立ても容易である。
【0015】
なお、スリーブ支持部材や第一弾性部材は、回転軸の全周に亘って囲むように構成されていてもよいし、断続的に囲むように構成されていてもよい。また、スリーブ支持部材や第一弾性部材は、回転軸に対して回動不可能に固定されていてもよいし、固定されることなく回動可能であってもよい。
【0016】
上述の構成によると、スリーブから軸受部材に伝達される回転軸の傾きや回転軸からの衝撃を当該軸受部材においても緩衝することができる。
【0017】
本発明においては、前記回転軸と前記スリーブとの間に第二弾性部材が配設されていると好適である。
【0018】
上述の構成によると、回転軸が傾いたり回転軸からの衝撃がかかったりしても回転軸とスリーブとの間に配設された第二弾性部材によって回転軸の傾きや回転軸からの衝撃が緩衝されるため、回転軸を安定的に摺動自在に軸支することができる。
【0019】
第二弾性部材は回転軸とスリーブとの間に配設されているため回転軸の傾きや回転軸からの衝撃がスリーブに伝達されることを直接的に緩衝することができる。
【0020】
なお、第二弾性部材は、回転軸の全周に亘って囲むように構成されていてもよいし、断続的に囲むように構成されていてもよい。また、第二弾性部材は、回転軸に対して回動不可能に固定されていてもよいし、固定されることなく回動可能であってもよい。
【0021】
本発明においては、前記スリーブの端面と前記スリーブ支持部材のうち当該端面に対向する対向面との間に第三弾性部材が配設されていると好適である。
【0022】
上述の構成によると、回転軸が傾いたり回転軸からの衝撃がかかったりしてもスリーブの端面とスリーブ支持部材のうち当該端面に対向する対向面との間に配設された第三弾性部材によって回転軸の傾きや回転軸からの衝撃が緩衝されるため、回転軸を安定的に摺動自在に軸支することができる。
【0023】
第三弾性部材は、スリーブの端面とスリーブ支持部材のうちスリーブの端面に対向する対向面との間に配設されているため、回転軸の傾きや回転軸からの衝撃がスリーブ支持部材のスリーブの端面との対向面を介してスリーブに伝達されることを緩衝することができる。
【0024】
なお、第三弾性部材は回転軸の全周に亘って囲むように構成されていてもよいし、断続的に囲むように構成されていてもよい。また、第三弾性部材は回転軸に対して回動不可能に固定されていてもよいし、固定されることなく回動可能であってもよい。
【0025】
上述の目的を達成するための本発明に係る立軸ポンプの特徴構成は、羽根車と、羽根車を回転させる回転軸と、当該回転軸の軸受装置とを有する立軸ポンプであって、前記軸受装置が、上述のいずれかの特徴構成を備えた軸受装置から構成されている点にある。
【0026】
上述の構成によると、立軸ポンプにおいて、回転軸の傾きや回転軸からの衝撃を緩衝し回転軸を安定的に摺動自在に軸支することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る立軸ポンプの説明図である。
図2】本発明に係る軸受装置の説明図である。
図3】別実施形態に係る軸受装置の説明図である。
図4図3に示す軸受装置の変形例の説明図である。
図5】別実施形態に係る軸受装置の説明図である。
図6】別実施形態に係る軸受装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1には本発明に係る軸受装置10及び当該軸受装置10が備えられた立軸ポンプ1が示されている。
【0029】
立軸ポンプ1は立軸斜流ポンプから構成され、羽根車2が収容されたポンプケーシング3と、ポンプケーシング3の下流側に接続された揚水管4と、羽根車2に接続された回転軸5と、回転軸5を回転させる図示しない原動機等を備えている。揚水管4の下流側には吐出管6が接続されている。
【0030】
立軸ポンプ1は、揚水管4がポンプ据付床に設けられた開口部を貫通するようにして当該ポンプ据付床に据え付けられている。
【0031】
回転軸5は、ポンプケーシング3及び揚水管4の内部において軸受装置10により軸支されている。回転軸5の上端は揚水管4のベンド部を貫通して上方に延び、図示しないカップリングを介して前記原動機等に接続されている。
【0032】
当該原動機等の駆動により回転軸5及び羽根車2が回転し、水がポンプケーシング3の吸込口から吸い込まれ揚水管4を介して吐出管6へと吐き出される。
【0033】
以下に軸受装置10について説明する。なお、軸受装置10はポンプケーシング3及び揚水管4に設けられているが、ここではポンプケーシング3に設けられる軸受装置10について説明する。なお、揚水管4には別の構成の軸受装置が設けられていてもよい。
【0034】
ポンプケーシング3の内部には、インナーケーシング7が設けられている。インナーケーシング7は、当該インナーケーシング7の外周面とポンプケーシング3の内周面との間に設けられた案内羽根8によって支持されている。
【0035】
インナーケーシング7は、中空に構成され、その内部に軸受装置10を支持する軸受支持部9を有する。
【0036】
図2に示すように、軸受装置10は、スリーブ11と、軸受部材12と、一対のスリーブ支持部材13と、軸受保持部材14と、軸受保持部材14が収容される軸受ケーシング15等を備えている。
【0037】
スリーブ11は、回転軸5の外径よりも大きな内径を有する筒状の部材から構成され、回転軸5が挿通される。
【0038】
スリーブ支持部材13は、回転軸5が貫通される環状の部材から構成され、外周部において立ち上がった形状を有し、スリーブ11の、回転軸5の軸心に沿った方向の両端部において当該両端部を覆うように回転軸5に嵌設される。
【0039】
スリーブ11やスリーブ支持部材13はステンレス鋼等の金属材料を切削加工することにより作成されている。
【0040】
一対のスリーブ支持部材13の各内周面13iには、スリーブ11の外周面11oに向けて環状溝13gが形成されている。
【0041】
当該環状溝13gのそれぞれに弾性部材21が配設されている。弾性部材21は、本発明に係る第一弾性部材であり、本実施形態においては甲山ゴムから構成されている。ただし、当該甲山ゴムは例示であって、甲丸ゴムや継丸ゴム等の緩衝ゴムであってもよい。
【0042】
スリーブ11は弾性部材21によってスリーブ11の外周面11oとスリーブ支持部材13の内周面13iとが接触しない状態でスリーブ支持部材13に支持される。
【0043】
また、スリーブ支持部材13のうちスリーブ11の端面11eとの対向面13eには当該スリーブ11の端面11eに向けて環状溝13rが形成されている。
【0044】
当該環状溝13rのそれぞれに弾性部材23が配設されている。弾性部材23は、本発明に係る第三弾性部材であり、本実施形態においては、継丸ゴムから構成されている。ただし、当該継丸ゴムは例示であって、甲山ゴムや甲丸ゴム等の緩衝ゴムであってもよい。
【0045】
また、スリーブ11は、弾性部材23によって、スリーブ11の端面11eと、対向面13eとが接触しない状態でスリーブ支持部材13に支持される。
【0046】
回転軸5の外周面5oには、回転軸5の軸心に沿った方向において軸受部材12に対応する位置よりも上側と下側のそれぞれに、回転軸5を周回する周回溝5gが形成されている。
【0047】
当該周回溝5gのそれぞれに弾性部材22が配設されている。弾性部材22は、本発明に係る第二弾性部材であり、本実施形態においては甲山ゴムから構成されている。ただし、当該甲山ゴムは例示であって、甲丸ゴムや継丸ゴム等の緩衝ゴムであってもよい。
【0048】
弾性部材22によって、回転軸5の外周面5oと当該スリーブ11の内周面11iとが接触しないようになっている。
【0049】
軸受部材12は、スリーブ11を摺動自在に軸支する円筒状の部材から構成された、すべり軸受である。
【0050】
軸受部材12は、窒化ケイ素や炭化ケイ素等のセラミックスを研削加工することにより形成されている。
【0051】
軸受保持部材14は、内周面に軸受部材12が嵌設される円筒状の部材から構成され、軸受部材12を保持する。
【0052】
軸受ケーシング15は、外周にフランジ部を有する円筒状の外囲部材15a、外周にフランジ部を有し当該外囲部材15aに内設される円筒状の収容部材15b、当該収容部材15bの両端の開口に取り付けられる円板状の上蓋部材15c及び下蓋部材15dを備えている。
【0053】
外囲部材15aは、そのフランジ部が軸受支持部9にネジ等の手段によって取り付けられる。上蓋部材15c及び下蓋部材15dは収容部材15bにネジ等の手段によって取り付けられる。収容部材15bは外囲部材15aにネジ等の手段により組付けられる。その際、上蓋部材15cを収容部材15bに取り付けるネジと、収容部材15bを外囲部材15aに取り付けるネジとが兼用されていてもよい。
【0054】
軸受保持部材14の外周面14oと軸受ケーシング15の内周面15iとの間には弾性部材16が配設されている。弾性部材16は、本発明に係る第四弾性部材であり、本実施形態においては複数の緩衝ゴムの組み合わせにから構成されている。軸受保持部材14は弾性部材16によって外周面14oと内周面15iとが接触しないような状態で軸受ケーシング15に支持される。ただし、弾性部材16は備えられていなくてもよい。
【0055】
上述した説明においては、スリーブ支持部材13や弾性部材21、22、23は回転軸5の全周に亘って囲むように構成されていたが、この限りではない。スリーブ支持部材13や弾性部材21、22、23は回転軸5を断続的に囲むように構成されていてもよい。
【0056】
上述した実施形態においては、スリーブ支持部材13や弾性部材21、22、23は回転軸5に対して回動不可能に固定されていが、この限りではない。スリーブ支持部材13や弾性部材21、22、23は回転軸5に対して固定されることなく回動可能であってもよい。
【0057】
また、軸受装置10は弾性部材21、22、23のうち少なくとも弾性部材21を備えていればよく、弾性部材22、23の少なくともいずれかが備えられていなくてもよい。
【0058】
以下に、本発明に係る別実施形態について説明する。別実施形態の説明においては、上述の実施形態と同様の構成や、多少の相違があっても上述の説明が援用できる構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0059】
図3には、別実施形態に係る軸受装置30が示されている。当該軸受装置30が有する回転軸5は当該軸受装置30によって軸支される部分において図2に示す回転軸5よりも直径が小さく構成されている。
【0060】
当該軸受装置30が有するスリーブ11は、両端面11eにおいて段差部11cが形成されるように、当該両段差部11cに挟まれる領域において内径が小さくなる態様で肉厚に構成されている。
【0061】
当該軸受装置30は、図2に示す実施形態に係る軸受装置10とは回転軸5に軸囲部材17が設けられる点において異なっている。
【0062】
軸囲部材17は回転軸5が貫通される環状の部材から構成され、スリーブ11の段差部11cに対応する位置において回転軸5に配設される。軸囲部材17はステンレス鋼等の金属材料を切削加工することにより作成されている。
【0063】
軸受装置30においては、軸囲部材17の外周面17oが回転軸5の外周面を構成し、スリーブ支持部材13は軸囲部材17に設けられる。
【0064】
軸受装置30においては、軸囲部材17の外周面17oに回転軸5の軸心に沿った方向において軸受保持部材14に対応する位置よりも上側と下側のそれぞれに軸囲部材17を周回する周回溝17gが形成され、当該周回溝17gのそれぞれに弾性部材22が配設されている。本実施形態においては、弾性部材22は継丸ゴムから構成されている。したがって、軸受装置30においては回転軸5の外周面5oには図2に示す回転軸5のように弾性部材22を配設するための周回溝5gは形成されていない。
【0065】
当該軸受装置30の変形として、図4に示す軸受装置40のように、軸囲部材17のうち回転軸5の軸心に沿った方向の端面17eに回転軸5の軸心に沿った方向において軸受保持部材14に対応する位置よりも上側と下側のそれぞれに軸囲部材17を周回する周回溝17gが形成され、当該周回溝17gのそれぞれに弾性部材22が配設されている。
【0066】
ただし、軸受装置30も、弾性部材21、22、23のうち少なくとも弾性部材21を備えていればよく弾性部材22、23の少なくともいずれかが備えられていなくてもよい。
【0067】
例えば、図5に示すように、軸受装置50は、図3に示す軸受装置30とは、弾性部材22が備えられていない点において異なっている。また、軸受装置50においては、図3に示す軸受装置30においては別体であったスリーブ支持部材13と軸囲部材17とが、一体的に構成されたスリーブ支持部材53である点において異なっている。また、スリーブ51は、図3に示す軸受装置30のスリーブ11のような段差部11cが形成されていな点において異なっている。
【0068】
軸受装置50が備えるスリーブ支持部材53は内周部及び外周部において立ち上がった形状を有し、スリーブ51の、回転軸5の軸心に沿った方向の両端部において当該両端部を覆うように回転軸5に設けられる。
【0069】
当該軸受装置50においては、スリーブ51は厚みが一定であり、スリーブ支持部材53において支持される部分において面取り51cがされている。当該面取り51cの部分には弾性部材52としてのOリングが配設されている。
【0070】
図6には、さらなる別実施形態に係る軸受装置60が示されている。当該軸受装置60においては、スリーブ61は肉厚に構成され、端面61eに形成された溝部61gにゴムブッシュ62が埋設されている。
【0071】
スリーブ支持部材63にはネジ穴63sが形成されており、当該ネジ穴63sに螺合されたビス63bがゴムブッシュ62に嵌合され、スリーブ61とスリーブ支持部材63とがゴムブッシュ62を介して固定される。この場合、ゴムブッシュ62が本発明に係る第三弾性部材となる。なお、ゴムブッシュ62はスリーブ61にではなく、スリーブ支持部材63に設けられる構成であってもよい。
【0072】
いずれにせよ本発明に係る軸受装置10、30、40、50、60によると、回転軸5の傾きや回転軸5からの衝撃に対しても、回転軸5が挿通されるスリーブ11、51、61を安定的に摺動自在に軸支することができる。
【0073】
上述した実施形態は、いずれも本発明の一例であり、当該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲において適宜変更設計可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 :立軸ポンプ
2 :羽根車
3 :ポンプケーシング
4 :揚水管
5 :回転軸
5g :周回溝
5o :外周面
6 :吐出管
7 :インナーケーシング
8 :案内羽根
9 :軸受支持部
10 :軸受装置
11 :スリーブ
11c :段差部
11e :端面
11i :内周面
11o :外周面
12 :軸受部材
13 :スリーブ支持部材
13e :対向面
13g :環状溝
13i :内周面
13r :環状溝
14 :軸受保持部材
14o :外周面
15 :軸受ケーシング
15a :外囲部材
15b :収容部材
15c :上蓋部材
15d :下蓋部材
15i :内周面
16 :弾性部材(第四弾性部材)
17 :軸囲部材
17e :端面
17g :周回溝
17o :外周面
21 :弾性部材(第一弾性部材)
22 :弾性部材(第二弾性部材)
23 :弾性部材(第三弾性部材)
30 :軸受装置
40 :軸受装置
50 :軸受装置
51 :スリーブ
51c :面取り
52 :弾性部材
53 :スリーブ支持部材
60 :軸受装置
61 :スリーブ
61e :端面
61g :溝部
62 :ゴムブッシュ
63 :スリーブ支持部材
63b :ビス
63s :ネジ穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6