(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】国際的な取引所のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/04 20120101AFI20240327BHJP
G06F 9/455 20180101ALI20240327BHJP
【FI】
G06Q40/04
G06F9/455 150
(21)【出願番号】P 2020515918
(86)(22)【出願日】2018-09-12
(86)【国際出願番号】 US2018050575
(87)【国際公開番号】W WO2019055459
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-09-10
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520086508
【氏名又は名称】ギンプル、マーク
(74)【代理人】
【識別番号】100067448
【氏名又は名称】下坂 スミ子
(74)【代理人】
【識別番号】100213746
【氏名又は名称】川成 渉
(72)【発明者】
【氏名】ギンプル、マーク
【審査官】中野 修平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0143121(US,A1)
【文献】特表2010-527064(JP,A)
【文献】特表2016-529613(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0073970(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 9/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドユーザーによるアクセスを許可するための注文管理システム/実行管理システムのためにグラフィカルユーザーインターフェイスを提供し、
注文管理システム/実行管理システムを介してエンドユーザーからの遠隔送信を受信するために取引所のサーバーに近接する少なくとも1つのコロケーテッドサーバーを提供し、
取引注文
を実行するための多態性を有すると共に、親クラスの取引アルゴリズムから継承されたコードプロパティおよびメソッドを含む、少なくとも1つ
の子アルゴリズムを決定し、
エンドユーザーの特定の資産クラスに対するエンドユーザーの所望の取引プロトコルに基づい
て、エンドユーザーがグラフィカルユーザーインターフェイスを介して、多態性を有する少なくとも1つの
子アルゴリズムを選択し、
グラフィカルユーザーインターフェイスを介して、取引注文の基本パラメーターと、取引注文を実行するため
の多態性を備えた少なくとも1つの
子アルゴリズムを含む複合注文を作成し、
少なくとも1つのコロケーテッドサーバーで、少なくとも1つのコロケーテッドサーバーが複合注文を実行できるようにする仮想マシンを生成し、
少なくとも1つのコロケーテッドサーバーで、グラフィカルユーザーインターフェイスから仮想マシンに複合注文を送信し、
取引注文を作成するため
のリアルタイム市場データに基づく多態性
を有する少なくとも1つの子アルゴリズムに従って、少なくとも1つのコロケーテッドサーバーで複合注文を
実行し、
リアルタイム市場デー
タを使用して取引所のサーバーで取引注文を実行し、
そして、少なくとも1つのコロケーテッドサーバーが取引所のサーバーに近接しているため、仮想マシンを使用する少なくとも1つのコロケーテッドサーバーで複合注文を実行することにより、トランジットタイムのレイテンシの影響を軽減することを含
む、
遠隔の取引所のサーバーでの国際的な取引注文の実行におけるトランジットタイムのレイテンシの影響を緩和する方法。
【請求項2】
少なくとも一つのコロケーテッドサーバーで、オペレーティングシステムによって複数の複合注文の実行を監視することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の複合注文の実行を監視する工程は、少なくとも一つのコロケーテッドサーバー内で、オペレーティングシステムを介して複数のエンドユーザー間で複数の複合注文のロードバランシングすることをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複合注文の実行の完了前または完了後に仮想マシンで複合注文を削除することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複合注文の実行前または実行中の任意の時点において仮想マシンで複合注文を修正することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
プライベートコンテナを使用して、少なくとも一つのコロケーテッドサーバーに複合注文を送信する前に、複合注文を暗号化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも一つのコロケーテッドサーバーで複合注文の実行中に作成されたリザルトデータを収集し、
リザルトデータが収集されると、少なくとも一つのコロケーテッドサーバーからエンドユーザーにリザルトデータを送信し、
グラフィカルユーザーインターフェイスを介してエンドユーザーにリザルトデータを表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
エンドユーザーがサードパーティリポジトリからの取引注文の実行のための
多態性を有する少なくとも一つの
子アルゴリズムを決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
エンドユーザーが、エンドユーザーによって修正される取引注文の実行のための
多態性を有する少なくとも1つの
子アルゴリズムを決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
エンドユーザーによるアクセスを許可するための注文管理システム/実行管理システムのためにグラフィカルユーザーインターフェイスと、
エンドユーザーからの遠隔送信を受信し、1つ以上の複合注文を実行し、
市場関連情報およびリターンデータを送信するために取引所のサーバーに近接する少なくとも1つのコロケーテッドサーバーと、
取引注文を作成するた
めのリアルタイム市場デー
タに基づく多態性
を有する子アルゴリズムに従って、少なくとも1つのコロケーテッドサーバーで
実行される1つ以上の複合注文と、
エンドユーザーの特定の資産クラスに対するエンドユーザーの所望の取引プロトコルに基づきエンドユーザーによって選択された多態性
を有する子アルゴリズムであって、親クラスの取引アルゴリズムから継承されたコードプロパティおよびメソッドを含む子アルゴリズムと、
取引注文のための基本パラメータと、多態性
を有する子アルゴリズムとの組み合わせ
からなる1つ以上の複合注文と、
少なくとも1つのコロケーテッドサーバーで、少なくとも1つのコロケーテッドサーバーが複合注文を実行できるように生成される仮想マシンと、
を含み、
少なくとも1つのコロケーテッドサーバーは、仮想マシンを介して
、リアルタイム市場データを使用して複合注文を処理
し、トランジットタイムのレイテンシによる悪影響を排除可能である、
遠隔の取引所のサーバーでの国際的な取引注文の実行におけるトランジットタイムのレイテンシの影響を緩和するシステム。
【請求項11】
少なくとも一つのコロケーテッドサーバーで複数の複合注文の実行を監視するためのオペレーティングシステムをさらに含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも1つのコロケーテッドサーバー内のオペレーティングシステムを介して、複数のエンドユーザー間での複数の複合注文のロードバランシングすることをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
エンドユーザーが複合注文の実行の完了前または完了後に少なくとも1つのコロケーテッドサーバーで複合注文を削除するができる、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
エンドユーザーが複合注文の実行前または実行中の任意の時点において少なくとも1つのコロケーテッドサーバーで複合注文を修正することができる、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、国際的な取引注文の実行におけるトランジットタイムのレイテンシの影響を軽減するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
200年以上前、取引は対面ベースで行われていた。コミュニケーションと取引は同じペースで生じていた。人々は取引から自らが望むものについて十分な情報を与えることができた。電子的コミュニ―ケーションで技術が進歩すると、買い手と売り手は、取引プラザ、ストックヤード、またはトウモロコシ畑から離れ、取引に関して同じ情報を実際の取引を実行する同じ場所にいる担当者に伝えることができた。通信速度(数10ミリ秒)は、従来の取引速度よりも3~4桁高速であった。
【0003】
通信が増加しなかった理由は、光速によって制限されたネットワークの物理的な制限による。さらに、取引に関する情報は、サイズ、サイド(購入/販売)、エンティティ、注文タイプ、価格などのいくつかのパラメーター、および場合によっては缶詰プロセスにまで制限されている。これにより、注文を処理するほとんどの人にとって競争の場は大きく偏った。その結果、物理的に取引所に近い方が有利であった。
【0004】
現在、遠隔取引手順が当技術分野に存在する。これらの取引方法では、直接市場へのアクセスが可能だが、特に世界中にある市場に関わる場合、注文リクエストの送信で発生するレイテンシの欠陥によって大幅に妨げられる。特に、これらの先行技術の方法は処理に数秒かかる場合があり、これは人間の心には一見迅速に見えるが、そのような取引方法の結果を劇的に変えるのに十分な時間を市場変動に提供する。これらの方法はさらに、集中管理されたグローバルコントロールと子注文のローカライズされた実行を用いて遠隔的に取引する機能を提供できない。
【0005】
従来技術によって提示された問題の1つの特定な例は、データ送信時間に関して、20ミリ秒(ワンウェイトランジット)離れた所にある取引所で株式を「入札で購入」しようとするエンドユーザーである。先行技術で提示された方法を使用して、エンドユーザーは、自らのグラフィカルユーザーインターフェイス(「GUI」)に示されているように、現在の入札価格で購入する指値注文を送信する。残念ながら、その表示価格はすでに20ミリ秒古いものである。注文は取引所に達するまでにさらによくても20ミリ秒掛かる。動きの速い市場では、40ミリ秒(往復時間)が非常に長くなることがある。注文が取引所に到着するまでに入札が落ちている可能性がある。したがって、場合によっては、注文がより高い価格で実行される。入札単価が上がると、注文は実行されない。したがって、従来技術に存在するように、遠隔取引に起因するレイテンシによって引き起こされる欠点を排除しながら、国際的な取引所での遠隔取引を可能にする必要性が依然としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、従来技術の問題および欠陥を念頭に置きつつ、すべてのプレーヤーの競争条件を平準化し、より優れたユビキタス流動性を提供するグローバル取引のためのシステムおよび方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、コロケーテッドサーバーを使用する取引所のサーバーでの国際的な取引注文の実行におけるトランジットタイムのレイテンシによる影響を軽減するためのシステムおよび方法を提供することである。
【0008】
本発明のさらに別の目的は、各エンドユーザーによる複合注文の変更が、コロケーテッドサーバーによって処理されることを可能にするシステムおよび方法を提供することである。
【0009】
本発明のさらに他の目的および利点は、一部は明白であり、一部は明細書から明らかであろう。
【0010】
当業者には明らかであろう上記および他の目的は、エンドユーザーによるアクセスを許可するように注文管理システム/実行管理システムのためのグラフィカルユーザーインターフェイスを提供し、注文管理システム/実行管理システムを介してエンドユーザーからの遠隔送信を受信するために取引所のサーバーに近接する少なくとも1つのコロケーテッドサーバーを提供し、取引注文の実行に関する少なくとも1つのルールを決定し、エンドユーザーの特定の資産クラスに対するエンドユーザーの所望の取引プロトコルに基づいたグラフィカルユーザーインターフェイスを介してエンドユーザーが少なくとも1つのルールを選択し、グラフィカルユーザーインターフェイスを介して、取引注文の基本パラメーターと、取引注文を実行するための少なくとも1つのルールを含む複合注文を作成し、少なくとも1つのコロケーテッドサーバーで、少なくとも1つのコロケーテッドサーバーが複合注文を実行できるようにする仮想マシンを生成し、少なくとも1つのコロケーテッドサーバーで、グラフィカルユーザーインターフェイスから仮想マシンに複合注文を送信し、仮想マシンを使用する少なくとも1つのコロケーテッドサーバーで複合注文を実行し、そして、少なくとも1つのコロケーテッドサーバーが取引所のサーバーに近接しているため、仮想マシンを使用する少なくとも1つのコロケーテッドサーバーで複合注文を実行することにより、トランジットタイムのレイテンシの影響を軽減することを含む、遠隔の取引所のサーバーでの国際的な取引注文の実行におけるトランジットタイムのレイテンシの影響を緩和する方法を対象とする本発明により達成される。
【0011】
一つの実施形態として、上記方法は少なくとも一つのコロケーテッドサーバーで、スマートオペレーティングシステムによって複数の複合注文の実行を監視することをさらに含んでいてもよい。上記複数の複合注文の実行を監視する工程は、少なくとも一つのコロケーテッドサーバー内で、スマートオペレーティングシステムを介して複数のエンドユーザー間で複数の複合注文のロードバランシングすることをさらに含んでいてもよい。
【0012】
上記方法は、複合注文の実行の完了前または完了後に仮想マシンで複合注文を削除することをさらに含んでいてもよい。
【0013】
複合注文は、複合注文の実行の完了前または完了後に仮想マシンで削除してもよい。
【0014】
複合注文は、複合注文の実行前または実行中の任意の時点において仮想マシンで修正してもよい。
【0015】
上記方法は、少なくとも一つのコロケーテッドサーバーで複合注文の実行中に作成されたリザルトデータを収集し、リザルトデータが収集されると、少なくとも一つのコロケーテッドサーバーからエンドユーザーにリザルトデータを送信し、グラフィカルユーザーインターフェイスを介してエンドユーザーにリザルトデータを表示することをさらに含んでいてもよい。
【0016】
エンドユーザーがサードパーティリポジトリからの取引注文の実行のための少なくとも一つのルールを決定してもよい。
【0017】
エンドユーザーが、エンドユーザーによって修正される取引注文の実行のための少なくとも1つのルールを決定してもよい。
【0018】
その他の側面として、エンドユーザーによるアクセスを許可するための注文管理システム/実行管理システムのためにグラフィカルユーザーインターフェイスと、注文管理システム/実行管理システムを介してエンドユーザーからの遠隔送信を受信するために取引所のサーバーに近接する少なくとも1つのコロケーテッドサーバーと、エンドユーザーの特定の資産クラスに対するエンドユーザーの所望の取引プロトコルに基づきエンドユーザーによって選択された少なくとも1つのルールと、取引注文のための基本パラメーターと、ルールの組み合わせを含む複合注文と、少なくとも1つのコロケーテッドサーバーで、少なくとも1つのコロケーテッドサーバーが複合注文を実行できるように生成される仮想マシンと、少なくとも1つのコロケーテッドサーバーは、仮想マシンを介して1秒未満で複合注文を処理し、トランジットタイムのレイテンシによる悪影響を排除可能である、遠隔の取引所のサーバーでの国際的な取引注文の実行におけるトランジットタイムのレイテンシの影響を緩和するシステムを対象とする本発明により達成される。
【0019】
一実施形態として、上記システムは少なくとも一つのコロケーテッドサーバーで複数の複合注文の実行を監視するためのスマートオペレーティングシステムをさらに含んでもよい。上記システムは少なくとも1つのコロケーテッドサーバー内のスマートオペレーティングシステムを介して、複数のエンドユーザー間での複数の複合注文をロードバランシングすることをさらに含んでもよい。
【0020】
エンドユーザーが複合注文の実行の完了前または完了後に少なくとも1つのコロケーテッドサーバーで複合注文をさらに削除してもよい。
【0021】
エンドユーザーが複合注文の実行前または実行中の任意の時点において少なくとも1つのコロケーテッドサーバーで複合注文をさらに修正してもよい。
【0022】
さらに別の側面として、注文管理システム/実行管理システムのグラフィカルユーザーインターフェイスを介してエンドユーザーが取引注文の基本的なパラメーターを選択し、エンドユーザーがグラフィカルユーザーインターフェイスを介して、取引注文に適用する取引注文を実行するための少なくとも1つのルールを作成し、作成された少なくとも1つのルールを取引注文と組み合わせて複合注文を作成し、複合注文をエンドユーザーから取引注文を実行するための取引所のサーバーに近接するコロケーテッドサーバーに配置される仮想マシンに送信し、仮想マシンを用いてコロケーテッドサーバーで複合注文を実行することを含む、遠隔の取引所のサーバーでのグローバル取引注文の実行におけるトランジットタイムのレイテンシの影響を緩和する方法を対象とすることもできる。
【0023】
一実施形態として、上記方法はコロケーテッドサーバーで、スマートオペレーティングシステムによって複数の複合注文の実行を監視することをさらに含んでいてもよい。複数の複合注文の実行を監視する上記工程は、コロケーテッドサーバー内で、スマートオペレーティングシステムを介して複数のエンドユーザー間で複数の複合注文をロードバランシングすることをさらに含んでいてもよい。
【0024】
上記複合注文はその実行の完了前または完了後に仮想マシンで削除してもよい。
【0025】
上記複合注文はその実行前または実行中の任意の時点において仮想マシンで修正してもよい。
【0026】
上記方法はコロケーテッドサーバーで複合注文の実行中に作成されたリザルトデータを収集し、リザルトデータが発生すると、コロケーテッドサーバーからエンドユーザーにリザルトデータを送信し、グラフィカルユーザーインターフェイスを介してエンドユーザーにリザルトデータを表示することをさらに含んでもよい。
【0027】
新規であると考えられる本発明の特徴および本発明の特徴的要素は後述する特許請求の範囲に明確に記載されている。図は説明のみを目的としていて、縮尺通りには描かれていない。しかし、本発明自体、その構成と操作方法に関して、添付図面と併せて詳細な説明を参照することで最もよく理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明による、グローバル取引のためのシステムおよび方法の例示的な実施形態の概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の例示的な実施形態を実施するエンドユーザーとの対話性を意図した例示的なグラフィカルユーザーインターフェイス(「GUI」)である。
【
図3】
図3は、エンドユーザーとコロケーテッドサーバーとの間の接続を示す図であり、さらに、各コロケーテッドサーバーにおける各エンドユーザーのための仮想マシンの生成を示している。
【
図4】
図4は、本発明の例示的な実施形態のフローチャートであり、複合注文は、所望の市場条件が満たされたときに実行するために、コロケーテッドサーバーに事前展開される。
【
図5】
図5は、本発明の例示的な実施形態のフローチャートであり、送信された市場関連情報のエンドユーザーの観察に基づいて即時実行するために、コロケーテッドサーバーに複合注文が展開される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明における実施形態を説明する際、発明の同様な特徴について同様な符号が付されている
図1~
図5を参照する。
【0030】
主題の説明の目的で、「実施形態」または「例示的」という単語は、例、事例、または例示としての役割を果たすことを意味するために使用される。「例示的な実施形態」として本明細書で説明される任意の態様または設計は、他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されることを必ずしも意図するものではない。むしろ、「例示的な実施形態」という用語の使用は、概念を具体的に提示することのみを意図している。
【0031】
ここで提示される本発明の新しいプロセスにより、エンドユーザーは、グローバルな取引で金融商品の取引注文を実行するための指示を、暗号化されたアルゴリズム形式(子アルゴリズム/ルールとして、以下詳細に説明する)で、取引所のコロケーテッドサーバーに基本注文の要点(エンティティ、サイド、サイズ等)と一緒に遠隔送信が可能である。例として、子アルゴリズムは取引での入札価格で指値注文を作成する。別の例として、実行されずに入札価格が上昇した場合、アルゴリズムは価格の上昇を追いかけてもよい。子アルゴリズムは、現在知られている、または後に開発される、取引注文の実行に関する任意のルールを包含してもよく、本発明は、本明細書に記載されたものに限定されないことを当業者は理解すべきである。このシステムは他の資産クラス(例えば、債券や現金同等物)にも適用してもよい。
【0032】
本発明の例示的な実施形態は、いかなる資産クラス42(例えば株式、債券、現金同等物)にも適用され、国際的な取引の分野で流行しておらず一般的でもない、コロケーテッドサーバーで国際的な取引注文を実行する際のトランジットタイムのレイテンシの影響を軽減する方法およびシステムを対象とする。例示的な一実施形態では、本発明は、物理的コロケーテッドサーバー48のネットワーク(
図1および3に示されるように、それぞれのローカル市場/取引所10の近くに確立される)を任意のエンドユーザー1に提供する。コロケーテッドサーバーにより、エンドユーザー1は、エンドユーザーのパーソナルホームコンピューター、ラップトップ、モバイルデバイスなどからなるが、これらに限定されないグラフィカルユーザーインターフェイス(「GUI」)40を介して取引所10とやり取りに本発明を利用できる。したがって、コロケーテッドサーバー48は、取引所10とは別個であるが近接している場所に確立されるか、または代替として、全く同じ場所で動作してもよい。したがって、本発明のネットワークのこの例示的な実施形態は、世界中に分散された多く(限定されるものではないが、開始時で最大で約8~10個、時間が経過すると約50~100個)の小さな、自動化され、複合注文46を処理可能なコロケーテッドサーバーで構成されてもよい。本明細書で使用する「複合注文」という用語は、グローバル取引所で取引注文を実行するための一連のルールまたはルールのサブセットと併せて、取引注文の基本パラメーターを含む論理ソフトウェアオブジェクトを説明するために使用される。
【0033】
図1に示す本発明のシステムの例示的な実施形態は、以下のアーキテクチャコンポーネントのうちの1つまたは複数を有する。
【0034】
エンドユーザー(Webアプリ)1:グラフィカルなWebベースのアプリケーションを介して(たとえば、GUI40を介して)ローカル実行環境にアクセスするエンドユーザー1を表す。
【0035】
エンドユーザー(サードパーティ)1:自分のコンソール(たとえば、ホームコンピューター、別名GUI40)を介してローカル実行環境にアクセスするエンドユーザー1を表す。統合はFIX、REST、API、その他のプロトコルで実行される。
【0036】
管理者2:メンテナンス目的でのローカル実行環境へのシステム管理者のアクセスを表す。
【0037】
サポート3:エンドユーザーをサポートするためにローカル実行環境にアクセスする取引サポート担当者を表す。
【0038】
OMS/EMS4:内部または外部のすべてのエンドユーザー1へのエントリポイントであるOMS/EMS(注文/実行管理システム4)を表す。その目的は、アクセスセキュリティ、実行ロジックのルーティングおよび管理を実装することである。そのプロセスは、堅牢性のために冗長な方法で展開されてもよい。VPN経由のIPエントリポイントであろうとなかろうと冗長に配置されてもよい。
【0039】
OMS/EMSパーシステンス5:エンドユーザー1、コンテナ6-7、および実行ロジックエンジンを管理し、本発明のシステム全体のリアルタイム状態を維持するために使用されるフォールトトレラントであるOMS/EMSのデータベースパーシステンスを表す。これはシステムの監視と警告に使用される主要なデータリソースである。
【0040】
実行ロジックコンテナ6:略して「コンテナ」と表される。これは、複合注文ロジックがデプロイおよび実行されるメカニズムである。ロジックの展開はプライベートコンテナまたはパブリックコンテナで実行されてもよい。パブリックコンテナ6a:これらのコンテナ6aは、サービスによって提供される検証およびテストされたロジックと、パフォーマンスおよび動作が定量化されて既知になるように検証およびテストされたサードパーティによって提供されるロジックを展開するために使用されてもよい。これにより、コンテナと実行エンジンを共有して、エンドユーザー1のコストを最小限に抑えることができる。プライベートコンテナ6b:これらのコンテナは、エンドユーザー1が他のすべてのロジックから完全に独立していることを要求するロジックを、何らかの理由で展開するために使用されてもよい。コンテナがどの程度「プライベート」であるかは、専用ハードウェアを使用して論理的/仮想的または物理的であるかによる。
【0041】
コンテナのパーシステンス7:取引の最中または後にレポートするために実行ロジック8で使用できるフォールトトレラントデータベースのパーシステンスを表す。
【0042】
実行ロジック8(パブリック8aまたはプライベート8b):これは、エンドユーザー1が複合注文46を実行する方法に関する知識と指示である。エンドユーザー1は、ブローカーによって提示された利用可能なルール45のライブラリ44から選択してもよく、GUI40を介して独自のルールを開発、テスト、および展開してもよい。
【0043】
実行ロジックAPI(図示せず):これは、実行ロジック8と残りの環境との間の規約である。これは、ロジックがシステムの利用可能なサービスと相互作用するための仕様である。
【0044】
リアルタイム市場データ9a:リアルタイムな市場データを実行ロジックエンジンに提供するために必要なデータライセンスおよびメッセージングインフラストラクチャを表す。このインフラストラクチャでは、サブスクリプションストリームに派生データを追加できるため、すべてのロジックでプライベートまたはパブリックに使用可能である。冗長に配置することにより、すべてのコンテナ6~7の障害を最小限に抑えることが可能である。
【0045】
履歴/分析市場データ9b:実行エンジンによる履歴または分析市場データの質問を可能にするデータおよび冗長性インフラストラクチャを表す。
【0046】
取引所10(「ローカル市場」):複合注文46の送信を受信し、確認、キャンセル、および記入をコロケーテッドサーバー48から受信するためのローカル市場のコロケーテッドサーバー48へのフォールトトレラント接続を表す。
FIX4.2かそれ以上(コロケーテッドサーバー48と交換サーバー10との間の相互作用のために特別に調整されたユニバーサルタイプのアプリケーションプログラミングインターフェース(「API」))が優先されるが、使用されるプロトコルは、ローカルで使用されるものによって異なる。
【0047】
図2は、エンドユーザー1が(例えば、それらの電話、コンピュータ、または他の電子デバイスを介して)情報のやりとりをする本発明を実施する例示的なGUI40を示す。エンドユーザー1の個人株式ポートフォリオ41は、選択のためにGUI40上に表示される。エンドユーザー1は、ポートフォリオ41から所望の資産クラスオプション42を選択して、取引注文43(例えば、ロングまたはショートの取引注文など)として提出する。親クラスのアルゴリズム44(「ルールライブラリ」として知られ、サードパーティのリポジトリ/外部ブローカーからアクセス可能である)には、取引注文43とペアにするための選択可能な子アルゴリズム45(「ルール」として知られる)が含まれており、このようなペアをまとめて、複合注文46と呼ばれる。例示的な実施形態として、戦略エンジンは、(
図3を参照し、以下で詳細に示されるように)個々のエンドユーザー1の仮想マシン49をこれらコロケーテッドサーバー48に展開して、例示的な実施形態として
図4-
図5に示される、(ここで説明されているものに限定されず、いくつか異なる方法で生じうる)複合注文実行プロセスを開始する。
【0048】
複数のエンドユーザー1がそれぞれ複数の複合注文46を特定のコロケーテッドサーバー48に送信する例示的な実施形態において、スマートオペレーティングシステム47は、コロケーテッドサーバーのサイト48でこれらの複合注文46のロードバランシングを支援し、上記サーバーの使用可能なリソースの使用を最適化して、従来技術に存在するトランジットタイムのレイテンシの欠陥を軽減する。
【0049】
本発明は、その機能がハードウェアの形態またはソフトウェアの形態のいずれでも達成可能であるという点で用途が広い。ハードウェアの形態では、本発明は、CD、外部HDD/SSD、フラッシュドライブなどのハードウェアストレージデバイスを介してこれらのコロケーテッドサーバー48に複合注文46が提供される場合に達成されてもよい。複合注文は、ハードウェアストレージデバイスを介してコロケーテッドサーバーにアップロードされた後、コロケーテッドサーバーロケーション48で実行される。このアプローチを取ることの利点は、所望の物理的コロケーテッドサーバー48のハードウェアを介して利用可能な全処理能力を利用することにある。
【0050】
上記の本発明の関連するハードウェアを考慮して、本発明のソフトウェアの詳細を以下にさらに説明する。
【0051】
図3に示されるように、ソフトウェア形式では、エンドユーザー(複数可)1は、動的仮想マシン49を介して(他のネットワーク接続方法を使用することもできるが、通常はVPN接続を介して)これらのコロケーテッドサーバー48と情報のやりとりをしてもよい。上記仮想マシン49は、関連取引に従事する商社、ブローカー、または他のビジネスを介して、各コロケーテッドサーバー48に確立されてもよく、本発明を使用し始める新しいエンドユーザー1ごとに新しい仮想マシン49が確立される。確立された仮想マシン49とOMS/EMS4を用いて、
図1-
図3に示されるように、エンドユーザー1は、Webアプリケーションを介してGUI40上の複合注文46にアクセス及び修正することができ、そのようなGUI40を使用して仮想マシン49と情報のやりとりをすることができる。これらの仮想マシン49は、コロケーテッドサーバーサイト48にあるエンドユーザー1のGUI40から送信された複合注文46を実行し、コロケーテッドサーバーがそれぞれの取引所10でトランジットタイムのレイテンシを軽減する方法で複合注文を適切に実行できるようにする。コロケーテッドサーバーサイト48で各エンドユーザー1に対して新しい仮想マシン49を生成することにより、各マシン49が1人のエンドユーザー1のみの複合注文46の処理に集中できるため、トランジットタイムのレイテンシの影響が軽減される。説明されているこのシステムと方法は、グローバル取引の関連分野では普及しておらず、一般的にも使用されていない。
【0052】
一次/コロケーテッドサーバーセンター48は、ニューヨーク、ロンドン、東京、フランクフルト、および香港などであるがこれらに限定されない、世界中の現在の一次取引所(主要流動性センター)に配置してもよい。二次および三次/コロケーテッドサーバーセンター48は、シカゴ、トロント、サンパウロ、シドニー、シンガポール、マドリードなどの取引所に配置されうる。このようにして、流動性の主要なソースとコンシューマは、既存の取引所または任意の場所にある仮想取引所(つまり、仮想マシンサーバー)と同じ場所に配置されてもよい。自らが真に平等な競争環境でプレーしていることを知っていれば、地球上のどこからでもシームレスかつコスト効率よく資産を取引しうる。
【0053】
本発明の例示的な実施形態では、アルゴリズムのリポジトリは、親クラスアルゴリズム44(「ルールライブラリ」としても知られる)を備えていてもよく、そのような親クラスアルゴリズムは、継承可能なコードプロパティおよびメソッドを含む。親クラスアルゴリズム44は、エンドユーザーが使用できるいくつかのアルゴリズム全体を定義し、これがセクションに分割されると、子アルゴリズム45と呼ばれる。例示的な実施形態では、エンドユーザー1が自分のアルゴリズムを修正しないと決める場合(そのような例示的な実施形態は以下でさらに説明される)、外部ブローカーは、これらの親アルゴリズム44自体を生成して、後で取引に使用するためにエンドユーザー1に提供してもよい。子アルゴリズム45(「ルール」として知られる)は、これらの親アルゴリズム44から特定の指定されたコードプロパティとメソッドを継承するが、必ずしも親アルゴリズムにあるすべてのプロパティとメソッドとは限られない。これらの子アルゴリズム45は、実際には本質的に多態性があり、親アルゴリズム44から継承されなかったものの代わりに、独自の機能動作をさらに定義する。(子アルゴリズム45の派生元である)これらの親アルゴリズム44の例示的な実施形態は、
図2に示されているように、以下ボリューム加重平均価格(「VWAP」)アルゴリズム(例えば 1日ごとのVWAP、 1時間ごとのVWAP、 30分ごとのVWAP、10分以上のVWAP)、入札購入、ショート(修正されたアルゴリズムとして、ショートトレードオーダーと混同されてはならない)、ロング(修正されたアルゴリズムとして、ロングトレードオーダーと混同されてはならない)等。本発明と共に使用するために利用可能な親アルゴリズム44は、単に例示目的のためだけに一通り上述されたものと比較して実質的に広いものである。
【0054】
別の例示的な実施形態では、特に独自の取引依頼(例えば、指定のサーバーロケーションで特定の取引市場に従事するためのプロトコル)を有するエンドユーザー1は、実行のため(例えば一次/二次/三次)コロケーテッドサーバーセンター48に後に送信される自分たちの個人的な取引依頼に適合するように子アルゴリズム45を修正することが可能である。この修正機能は、特定の取引の依頼に基づいてエンドユーザー1のニーズを満たし、コロケーテッドサーバー48内でこれらの子アルゴリズムを適切に実行するためにも不可欠である。したがって、外部のブローカーを通じて利用可能にされた親アルゴリズム/ルールライブラリ44が不十分であると見なされる場合、本発明を通じて絶対的なカスタマイズをエンドユーザー1のニーズに合わせて達成しうる。
【0055】
前述のように、これらコロケーテッドサーバーネットワーク48は、複合注文46を処理可能である。
図2を参照すると、複合注文46は、1つまたは複数の子アルゴリズム45と併せて取引注文43の標準基本パラメーターからなる論理ソフトウェアオブジェクトである。さまざまな条件下で取引注文43を実行する方法に関するこれらのルール45は、コロケーテッドサーバー48への展開時に、上記の複合注文46を規制するためのものである。スマートオペレーティングシステム47は、複数の複合注文が送信されるときに、それぞれのサーバー(例えば、取引所)のリソースを管理するジョブプロセッサとして機能する。
【0056】
複合注文46は、コロケーテッド環境用に確立された法的プロトコルをさらに遵守する必要があり、アクセスするには認証キーが必要としてもよい。例えば、米国に所在する取引所の法的規制は、香港の法的規制と異なる場合がある。サーバーサイト48で複数の複合注文46を処理する場合、スマートオペレーティングシステム47はさらに、そのような法的規制が実際に遵守されていることを確認したときにのみ、複合注文の実行を許可することによって、それらの取引注文43および子アルゴリズム45により指定された複合注文46および閾値が、各コロケーテッドサーバー48でこれらの規制に確実に準拠するように機能することができる。法的プロトコル/規制が遵守されていない場合、複合注文は処理されることはない。
【0057】
上述の本発明を使用して、クライアント/エンドユーザー1は、地球上の一つのポイントからグローバルに取引でき、複数の取引所にわたる取引注文43およびアルゴリズム44、45を監視し得る。それらすべてを自分の個人用GUI40から行えるのである。それらは複数周波数アルゴリズムを交換してもよい。エンドユーザー1は、自分のサイト(例えばGUI40)で、親アルゴリズム44のより低い帯域幅(低帯域幅のトランジットタイムが数百ミリ秒以内に発生する)とより独自のコンポーネントを維持してもよく、その一方で、(取引注文43とルール/子アルゴリズム45の組み合わせを介して)生成された複合注文46は、仮想マシン49を介してより高い帯域幅(高帯域幅のトランザクション速度は数百マイクロ秒未満で発生する)で実行されるように、取引所のコロエーテッドサーバー48に送信されてもよい。従来技術で提示された問題とは異なり、高帯域幅トランザクション速度は、トランジットタイムよりもおよそ3から4桁速いが、これに限定されない(従来技術にはリバースが存在していたため、トランジットタイムの方がトランザクション速度よりも速い)。コロケーテッドサーバー48が高い帯域幅で複合注文46を実行することにより、従来技術に存在する深刻なレイテンシが回避される。
【0058】
例示的な実施形態では、これらの複合注文46は、後で所望の市場条件(たとえば所望の入札価格の達成)が発生すると自動的に実行されるように、指定されたサーバー48にかなり前に送信されてもよく、そのプロセスは
図4のステップ20、26として示される。エンドユーザー1は、GUI20を介してステップ20でコロケーテッドサーバー48に送信される複合注文46を作成する。複合注文46は、ステップ21で、コロケーテッドサーバー48において仮想マシン49に送信される。オプションのステップ22として、エンドユーザー1は、この複合注文46をいつでもコロケーテッドサーバーサイトから修正、一時停止、停止、キャンセル、または削除することができる。ステップ23~24は、例示的な実施形態は同時に発生してもよく、市場関連情報(ステップ23)は常にエンドユーザー1に返され、複合注文(ステップ24)は、市場の状況が理想的な時点(該当する子アルゴリズム45に準拠する)において、いつでもコロケーテッドサーバー48サイトで実行される。具体的には、コロケーテッドサーバーサイトでの複合注文の高帯域幅処理を使用しているため、この実施形態では、ステップ24は数分の1秒で実行される。これらのコロケーテッドサーバーサイト48での仮想マシン49の利用は、各エンドユーザー1が個別の仮想マシン49を使用して、独自の複合注文46を処理するため、そのような高帯域幅処理をサーバー48で実行できるようにすることが重要である。複数のエンドユーザーが複数の複合注文を同じ場所にあるサーバーに送信している場合、スマートオペレーティングシステム47は、ステップ25で概要を示し、前述したように、(実行前および実行中に)これらの複合注文の調整およびロードバランスを行う。
【0059】
別の例示的な実施形態では、
図5のステップ30~36に示されるように、これらの複合注文46は、取引トランザクションの所望の結果に重大な影響を与えるレイテンシを恐れずに、即時実行のためにコロケーテッドサーバー48に送信されてもよい。ここで、エンドユーザー1は、ステップ30でコロケーテッドサーバー48に送信される複合注文46を再び作成する。市場関連情報は、ステップ31でエンドユーザー1に返されてもよく、エンドユーザー1は、ステップ32で、コロケーテッドサーバー48にそれらの複合注文46を送信してもよい。この例示的な実施形態では、ステップ31および32は同時に起こり得る(例えば、エンドユーザー1は、彼/彼女のGUI40に返された魅力的な市場関連情報を見て、そのようなデータを観察することに対する即時の反応として実行のための複合注文46を送信する)。オプションのステップ33として、エンドユーザー1は、この複合注文46をいつでもコロケーテッドサーバーサイトから修正または削除できる。スマートオペレーティングシステム47(またはエンドユーザー自身)は、コロケーテッドサーバー48のローカル市場/取引所10に関連するエンドユーザー1に中継される市場状況を常に調査する。市場の状態が理想的であると見なされると、エンドユーザー1は、(スマートオペレーティングシステム47からの可能な支援により)コロケーテッドサーバー48で仮想マシン49に複合注文を送信する(ステップ34)。次いで、仮想マシン49は、高帯域幅を使用してコロケーテッドサーバー48のサイトで複合注文46をすぐに実行し、現在の市場関連情報が提示したものと実質的に同様の注文処理結果を達成する。したがって、ステップ31~32および34は、1秒未満で発生する。コロケーテッドサーバー48に配置された仮想マシン45は、この例示的な実施形態を使用して、複合注文46のそのような即時の送信および実行を可能にする上で重要である。複数のエンドユーザーがコロケーテッドサーバーに複数の複合注文を送信している場合、スマートオペレーティングシステム47は、ステップ35で概説し、前述したように、これらの複合注文を(実行前および実行中に)調整およびロードバランスをする。
【0060】
図4のステップ26および
図5のステップ36として示されるように、複合注文46がそれぞれのコロケーテッドサーバー48の仮想マシン49で正常に実行されると、これらの実行された複合注文から得られたデータは、エンドユーザー1の個人用のGUI40に返される。この送信されたリターンデータは、単に処理中の複合注文の結果(例えば、売りの結果、買いの結果など)を確認するだけのものである。実行の完璧なタイミングが必須である複合注文の処理とは異なり、このリターンデータの即時処理、送信、および受信を優先する必要はない。したがって、このリターンデータは低帯域幅で返されてもよい。
【0061】
コロケーテッドサーバーネットワークの前述のハードウェア形式では、そのような注文43とアルゴリズム44、45(まとめて、複合注文46)は、ポータブルハードウェア(図示せず。例えば、フラッシュドライブ、外部HDD/SSD、CDなど)を介して交換できる。アルゴリズムは、こうしたポータブルハードウェアを介して目的のサーバー48にアップロードされた後、アルゴリズムが自動的に実行されるため、このアプローチでは、予想される取引のかなり前にエンドユーザー情報を送信する必要がある。前述したように、このアプローチを採用する利点は、物理的に同じ場所に配置されたサーバーのハードウェアを介して利用できる処理能力を最大限に活用できることである。
【0062】
前述のソフトウェア形式(コロケーテッドサーバー48の相互作用は、生成された仮想マシン49によって実現される)では、そのような注文46とアルゴリズム44、45は電子的に交換される(他のネットワーク接続方法を使用することもできるが、好ましくはVPN接続を使用する)。このアプローチは、所望のコロケーテッドサーバー48における複合注文46のより迅速な送信およびその後の実行を可能にし、使用される仮想マシン49の動的な性質により、前記送信されたエンドユーザー1の複合注文の処理により多くの柔軟性を提供する。さらに、このソフトウェア形式により、世界中のコロケーテッドサーバーでこれらの複合注文46を簡単に修正および更新が可能であり、これらはすべて、エンドユーザーの個人用GUI40を介して実行できる。前述のようにパブリックおよびプライベートの実行ロジックコンテナ6a、6bを利用するこのソフトウェアフォームを採用した結果、エンドユーザーデータの暗号化機能が大幅に改善された。
【0063】
本発明のシステムは、拡張性のあるローカル実行環境を有していてもよい。
【0064】
システムには、次のアプリケーション機能が1つ以上含まれうる。
リアルタイムの低レイテンシ市場データを購読する(プッシュ型)。
リアルタイムの低レイテンシ市場データを問い合わせる(プル型)。
過去の市場データを問い合わせる(プル型)。
注文をローカル市場(同じ場所に配置されたサーバー)に送信し、それらを管理する(キャンセル、置換のキャンセルなど)。
派生したデータをリアルタイムストリームに取り入れる。
エンドユーザーによってダウンロードされるカスタムコードを実行する。
中央ハブによってエンドユーザーに提供される標準ロジックを実行する。
【0065】
システムには、次の統合機能が1つ以上含まれていてよい。
FIXを介して注文を受信する。
REST APIまたはその他のプロトコル(例えば、SOAP、RPCなど)を介して注文を受信する。
REST APIまたはその他のプロトコル(例えば、SOAP、RPCなど)を介してロジックを受信する。
エンドユーザーがREST APIまたはその他のプロトコルを介して問い合わせ状態にすることができる。
【0066】
システムは、次のシステム特性の1つ以上を有していてもよい。
他のエンドユーザーからの論理的に隔離されている。
他のアプリケーションによる影響から論理的に分離されている。
取引時間中の99%の稼働時間におけるSLA。例えば、本質的に安全なファイルモード(切断時にすべての注文を閉じるなど)。
単一の地理的な場所のインフラストラクチャ障害を克服する。
安全で適切に認証されたユーザーとシステムによるアクセスのみを許可する。
ローカルなコンプライアンス規制を実施し、それを満たす。例えば、安全なWebベースの管理ポータル。
システムドメインとトレーディングドメインの両方のリアルタイム監視およびアラートシステム。
【0067】
本発明の国際的な取引所のためのシステムおよび方法の実施形態は、ソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)を使用するハードウェア実施形態の形をとってもよい。さらに、一つの実施形態として、媒体に組み込まれるコンピュータ使用可能なプログラムコードを備える有形のコンピュータ使用可能記憶媒体上のコンピュータプログラム製品の形をとることができる。システムのメモリデバイスまたはメモリ部分は、媒体を形成してもよい。本開示の実施形態を実行するためのコンピュータプログラムコードまたはファームウェアは、特に、コンピュータプログラムコードまたはファームウェアをシステムにロードする前またはその発生時に伝送または保存されている間、光学または磁気記憶媒体上に常駐することもできる。このコンピュータプログラムコードまたはファームウェアは、例えば、コンピュータシステムをプログラミングインターフェースに接続することによってロードされてもよい。
【0068】
本発明は、システム、方法、装置、コンピュータ可読媒体、非一時的コンピュータ可読媒体、および/またはコンピュータプログラム製品として具現化できることを認識し、理解される。本発明は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、または本発明の方法またはシステムを実施するように構成される「回路」、「モジュール」、「システム」、または「プロセッサ」と総称されるソフトウェアおよびハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形をとってもよい。本発明は、その上に具現化されるコンピュータ可読プログラムコードを有する1つまたは複数のコンピュータ可読媒体に組み込まれるコンピュータプログラム製品の形をとってもよい。
【0069】
1つまたは複数のコンピュータ可読媒体を、単独でまたは組み合わせて利用してもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読記憶媒体またはコンピュータ可読信号媒体であってもよい。適切なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、または半導体のシステム、装置、またはデバイス、あるいは前述の任意の適切な組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。適切なコンピュータ可読記憶媒体の他の例には、以下が含まれるが、これらに限定されない。1本以上のワイヤを備えた電気接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、 光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、またはこれらの適切な組み合わせ。適切なコンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって、またはそれに関連して使用するためのプログラムを備える、または記憶することができる任意の有形の媒体としてもよい。
【0070】
コンピュータ可読信号媒体は、たとえば、ベースバンド内または搬送波の一部として、コンピュータ可読プログラムコードがその中に具体化された伝搬データ信号を含んでもよい。そのような伝播信号は、これに限定されるものではないが、電磁気、光学、またはそれらの任意の適切な組み合わせを含む、様々な形態のいずれかをとってもよい。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、またはデバイスによって、またはそれに関連して使用するためのプログラムを通信、伝播、または転送することができる任意のコンピュータ可読媒体であってもよい。
【0071】
コンピュータ可読媒体上で具現化されたプログラムコードは、無線、有線、光ファイバーケーブル、RFなど、または前述の任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない任意の適切な媒体を使用して送信されてもよい。
【0072】
本発明の態様の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java(登録商標)、Scala、Ruby、Python、Smalltalk、C ++などのオブジェクト指向プログラミング言語や、「C」プログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かかれてもよい。プログラムコードは、完全にユーザーのコンピューティングデバイス(コンピュータなど)上で、部分的にユーザーのコンピューティングデバイス上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザーのコンピューターデバイス上で、リモートコンピューティングデバイス上で、または完全にリモートコンピューティングデバイスまたはサーバー上で実行されてもよい。後者のシナリオでは、リモートコンピューティングデバイスは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、またはワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)を含む、任意のタイプのネットワークを介してユーザーのコンピューティングデバイスに接続されてもよく、または外部のコンピューティングデバイスと接続(例えば、インターネットサービスプロバイダーを使用したインターネット経由)されてもよい。
【0073】
本発明の動作方法は、コンピュータプログラム命令によって実施されてもよい。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピューティングデバイスまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックで指定された機能/動作を実装するための手段を作成するように、汎用コンピューティングデバイス(コンピュータなど)、専用コンピューティングデバイス、または機械を製造するための他のプログラム可能なデータプロセッサまたは処理装置に提供されてもよい。
【0074】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ可読媒体に格納された命令が、フローチャートおよび/またはブロック図ブロックで指定された機能/動作を実装する命令を含む製品を製造するように、コンピューティングデバイス、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイスに特定の方法で機能するように指示することができるコンピュータ可読媒体に格納されてもよい。
【0075】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピューティングデバイスまたは他のプログラム可能な装置上で実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックで指定された機能/動作を実装するためのプロセスを提供するように、コンピューティングデバイス、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイスにロードされて、一連の動作ステップをコンピューティングデバイス、他のプログラム可能な装置または他のデバイス上で実行させて、コンピュータ実装プロセスを生成してもよい。
【0076】
したがって、本発明は、以下の利点のうちの1つまたは複数を提供する。
1)トランジットタイムのレイテンシの影響を軽減する国際的な取引注文を実行する方法、
2)注文を実行するために、顧客がアルゴリズムを取引注文とともに遠隔地からコロケーテッドプロダクションサーバーにダウンロードでき
るようにし、そして、アルゴリズムは完了時にそれ自体を消去可能であること、
3)コロケーテッドサーバーから顧客に送り返される約定と市場活動の提供、
4)実行アルゴリズムをコロケーテッドサーバーライブラリにダウンロードして、セキュリティキーを使用していつでも使用できるようにすること。そして
5)エンドユーザーによる複合注文の修正が可能であること。
本発明のシステムおよび方法の方法論は、任意の資産クラスに適用されてもよい。
【0077】
典型的な実施態様とともに本発明を特に説明したが、先述の説明に照らして、多くの代替、修正および変形が当業者にとって明らかであろうことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲および精神に含まれるものとして、そのような代替、修正、および変形を包含すると考えられる。