(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】改善された安定性および免疫原性を有するワクチン組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 39/12 20060101AFI20240327BHJP
A61K 47/69 20170101ALI20240327BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20240327BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240327BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240327BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240327BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240327BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240327BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20240327BHJP
C07K 14/08 20060101ALN20240327BHJP
【FI】
A61K39/12
A61K47/69
A61K9/107
A61K47/26
A61P31/12
A61P37/04 ZNA
A61K47/02
A61K47/18
A61K39/39
C07K14/08 ZNA
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021112811
(22)【出願日】2021-07-07
(62)【分割の表示】P 2018087483の分割
【原出願日】2016-09-06
【審査請求日】2021-07-08
(32)【優先日】2015-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507301246
【氏名又は名称】ノババックス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ゲイル スミス
(72)【発明者】
【氏名】イェ リウ
(72)【発明者】
【氏名】ジン-フイ ティアン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル マサレ
(72)【発明者】
【氏名】サラティ ボッダパティ
(72)【発明者】
【氏名】エリカ シェーン
(72)【発明者】
【氏名】シンシア オリバー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー グレン
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】PLoS One, (2012), 7, [11], Article.e50852<DOI:10.1371/journal.pone.0050852>
【文献】J. Pharm. Sci., (2005), 64, [7], p.1538-1551
【文献】Biochem. Eng. J., (2015), 100, p.50-58
【文献】AIDS Res. Hum. Retrovir., (2007), 23, [6], p.817-828
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00-39/44
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫原性組成物であって、
(i)非イオン性界面活性剤コアおよびエボラウイルスウイルス糖タンパク質(GP)を含むナノ粒子であって、前記糖タンパク質(GP)が、GP1ドメインとGP2ドメインとを含み、GP1ドメインが、前記非イオン性界面活性剤コアから外側に突出しており、GP2ドメインが、前記非イオン性界面活性剤コアと会合しており、前記糖タンパク質(GP)が三量体を形成している、ナノ粒子と、
(ii)薬学的に許容される緩衝液と、
を含
み、
前記非イオン性界面活性剤がPS80である、免疫原性組成物。
【請求項2】
前記組成物が、分析用超遠心分離法によって決定される場合に、いかなる他の界面活性剤も実質的に含まない、請求項1
に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
前記薬学的に許容される緩衝液が、
(i)15mMから25mMのリン酸ナトリウム;
(ii)約150mMのNaCl;
(iii)0.25%から2%w/vのヒスチジン
を含み、前記組成物のpHは、5.8から6.4の間である、請求項1
又は2に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
前記薬学的に許容される緩衝液が、
(i)約22mMのリン酸ナトリウム;
(ii)約150mMのNaCl;
(iii)約1%のヒスチジン
を含み、前記組成物のpHは、約6.2である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
前記免疫原性組成物がアジュバントを含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
前記アジュバントが少なくとも2つのISCOM粒子を含み、第1のISCOM粒子が、Quillaja saponaria Molinaの画分Aを含み、Quillaja saponaria Molinaの画分Cを含まず、第2のISCOM粒子が、Quillaja saponaria Molinaの画分Cを含み、Quillaja saponaria Molinaの画分Aを含まない、請求項
5に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
2つのISCOMマトリクス粒子が、第1のISCOM粒子の約70%(w/w)および第2のISCOM粒子の約30%(w/w)の組成で存在する、請求項
6に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
2つのISCOMマトリクス粒子が、第1のISCOM粒子の約85(w/w)および第2のISCOM粒子の約15%(w/w)の組成で存在する、請求項
6に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
前記アジュバントが、Quillaja saponaria Molinaの画分Aと、Quillaja saponaria Molinaの画分Cとの混合物を含むISCOMマトリクス粒子を含む、請求項
5に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
前記混合物が、約70%(w/w)のQuillaja saponaria Molinaの画分Aと、約30%(w/w)のQuillaja saponaria Molinaの画分Cとを含む、請求項
9に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
前記混合物が、約85%(w/w)のQuillaja saponaria Molinaの画分Aと、約15%(w/w)のQuillaja saponaria Molinaの画分Cとを含む、請求項
9に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
前記アジュバントがミョウバンアジュバントである、請求項
5に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
前記糖タンパク質(GP)が、Makona、Sudan、Zaire又はRestonのエボラウイルス株から単離されている、請求項1~
12のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
前記糖タンパク質(GP)が、配列番号29と少なくとも90%同一である、請求項1~
13のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
前記糖タンパク質(GP)が、配列番号29と少なくとも95%同一である、請求項1~
13のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項16】
前記糖タンパク質(GP)が、配列番号29のポリペプチド配列を含む、請求項1~
13のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項17】
被験体の免疫応答を刺激するための薬剤の製造における、請求項1~
16のいずれか一項に記載の免疫原性組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2015年9月3日に出願された米国仮出願第62/213,947号;2015年11月16日に出願された同第62/255,786号、2016年3月16日に出願された同第62/309,216号および2016年6月16日に出願された同第62/350,973号の開示内容を、全ての目的のためにそれらの全体について取り込む。
【0002】
電子的に提出されたテキストファイルの説明
本明細書とともに電子的に提出されたテキストファイルの内容は、その全体が参考として本明細書に援用される:配列表のコンピュータで読み込み可能な形式のコピー(ファイル名:NOVV_060_03US_SeqList_ST25.txt、記録日:2016年9月6日;ファイルサイズ:91キロバイト)。
技術分野
本開示は、免疫応答を刺激するために有用なナノ粒子に全般に関する。ナノ粒子は、界面活性剤コアと会合している抗原、例えば糖タンパク質抗原を提供し、典型的には組換えアプローチを使用して産生される。ナノ粒子は、安定性が改善され、エピトープ提示が増強されている。本開示は、ナノ粒子を含有する組成物、それらを産生するための方法および免疫応答を刺激する方法も提供する。
【背景技術】
【0003】
感染性疾患は、未だ全世界で課題となっている。一部の病原体に対するワクチン開発に進歩がある一方で、多くはヒトの健康にとって脅威のままである。最も悪名高いHIVは、それに対するワクチンが未だに得られていない。ある種の病原体に対するワクチンを産生する試みが行われたが、さらなる病態を生じる失敗に終わった。伝染病として、特にアフリカで孤発性に生じ、人命の喪失および世界的な経済的影響を生じるエボラを含む他の病原体も課題のままである。インフルエンザウイルスは、既存のワクチンがいくらかの防御を提供しているものの、ウイルス産生において技術的障害があることが、季節性インフルエンザワクチンが不十分な防御を提供する場合があることを意味している、さらに別のウイルスである。
【0004】
有効なワクチンを展開することは、成果の組み合わせにかかっている。ワクチンは、有益となるのに十分な量によって、感染または疾患を低減する有効な免疫応答を刺激しなければならない。ワクチンは、冷蔵が利用可能でない場合がある困難な環境で使用するために十分安定でもなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、世界中に公衆衛生の課題を示すウイルスに対するワクチンを産生することに継続的な関心があり、良好な安定性を有する有効なワクチンを産生することに継続的必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、病原体に対する免疫応答を誘導するために好適なナノ粒子を提供する。ナノ粒子は、安定性の改善、および有効な免疫原性を提供する。特定の態様では、病原体はウイルスであり、典型的には、ウイルス性ナノ粒子を産生するために使用される抗原は、ウイルス糖タンパク質である。
【0007】
一態様では、本開示は、安定性が増強されたウイルスタンパク質を含有するナノ粒子を提供する。一部の実施形態では、本開示は、非イオン性界面活性剤、ウイルス糖タンパク質および薬学的緩衝液を含むナノ粒子を含むワクチン組成物を含む。典型的な実施形態では、非イオン性界面活性剤は、PS20、PS40、PS60、PS65およびPS80からなる群より選択されてよい。一部の実施形態では、組成物は、いかなる遊離の非イオン性界面活性剤も含まない。1つまたは複数の糖タンパク質抗原分子は非イオン性界面活性剤を含有する界面活性剤コアを囲み、これは免疫原性を促進し、抗原の分解を阻害するナノ粒子構造を提供する。
【0008】
一部の実施形態では、抗原は、RSV Fタンパク質、インフルエンザHAタンパク質、インフルエンザNAタンパク質およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。エボラを含む他の抗原も使用されてよい。典型的には抗原は、糖タンパク質である。
【0009】
任意選択でRSV Fタンパク質は、三量体RSV Fタンパク質である。RSV Fタンパク質は、中和抗体の産生を誘導する。さらなる実施形態では、中和抗体は、融合後状態および/または融合前状態にあるRSV Fタンパク質を認識する。さらなる態様では、各PS80粒子は、4個から7個の間のRSV Fタンパク質を含む場合がある。
【0010】
一部の実施形態では、RSV F組成物は、リン酸ナトリウムを15mMから25mMの間の濃度で;NaClを125mMから175mMの間の濃度で;ヒスチジンを0.25%から2%w/vの間で含んでよく;組成物のpHは5.8から7.2の間である。
【0011】
一部の実施形態では、HAまたはNAインフルエンザ組成物は、リン酸ナトリウムを15mMから25mMの間の濃度で;NaClを125mMから300mMの間の濃度で;ヒスチジンを0.25%から2%w/vの間で含んでよく;組成物のpHはpH6.8を超えており、典型的には約pH8.0未満である。
【0012】
一部の実施形態では、組成物は、アジュバントを含む。さらなる実施形態では、アジュバントは、ミョウバンまたはMartrix M(商標)である。一部の実施形態では、組成物は、アジュバントを含まない。
【0013】
一部の実施形態では、感染を予防する方法は、ワクチン組成物の1または複数用量を投与するステップを含む。方法の一部の実施形態では、単一用量の組成物は、投与され、防御免疫応答を誘導する。方法の一部の実施形態では、各用量は、約100μgから約150μgの間のタンパク質抗原からなる。方法のさらなる実施形態では、1または複数用量は、皮下投与される。方法の一部の実施形態では、組成物は、アジュバントを含む。方法のさらなる実施形態では、アジュバントは、ミョウバンである。方法の一部の実施形態では、組成物は、アジュバントを含まない。
【0014】
方法の一部の実施形態では、1または複数用量の組成物は、成人に投与される。方法のさらなる実施形態では、成人は女性であり、女性は妊娠している場合がある。方法のさらなる実施形態では、成人は、65歳を超えている、または60歳を超えている。方法の一部の実施形態では、1または複数用量の組成物は、小児に投与される。方法のさらなる実施形態では、小児は、新生児または乳児である。
【0015】
RSVワクチンについて、一部の実施形態では、組成物は、少なくとも3つのRSV Fナノ粒子タイプの異種集団を含み、各ナノ粒子はPS80を含む界面活性剤含有コアを囲む少なくとも1つのRSV Fタンパク質三量体を含み、ならびに第1のRSV Fナノ粒子タイプは異方性ロッドを含み、第2のRSV Fナノ粒子タイプは球状オリゴマーを含み、および第3のRSV Fナノ粒子タイプは異方性ロッドと球状オリゴマーとの中間体を含む。
【0016】
一部の実施形態では、RSV Fタンパク質ナノ粒子を製造する方法は、第1の界面活性剤を使用して宿主細胞からRSV Fタンパク質抽出物を調製するステップ、および第1の界面活性剤を第2の界面活性剤に交換するステップを含み、第2の界面活性剤はPS80であり、ナノ粒子は安定性の増強を示す。方法のさらなる実施形態では、第1の界面活性剤は、NP-9である。方法の一部の実施形態では、安定性の増強は、プロテアーゼ耐性、酸化ストレス耐性、熱ストレス耐性、および撹拌への耐性から選択される。方法の一部の実施形態では、PS80:RSV Fタンパク質のモル比は約35から約65である。
【0017】
一部の実施形態では、RSV Fナノ粒子は、PS80界面活性剤コアと会合している1つまたは複数のRSV Fタンパク質三量体を含む。RSV Fナノ粒子、ナノ粒子は、動的光散乱によって測定される約20nmから約60nmの平均直径を有する。RSV
Fナノ粒子の一部の実施形態では、各RSV Fタンパク質三量体は、配列番号2の残基137~146に対応する1から10アミノ酸の欠失を有するRSV Fタンパク質からなる群より選択されるRSV Fタンパク質を含有する。RSV Fナノ粒子の一部の実施形態では、各RSV Fタンパク質三量体は、配列番号2の残基137~146に対応する1から10アミノ酸の欠失および不活性化主要融合切断部位を有するRSV Fタンパク質からなる群より選択されるRSV Fタンパク質を含有する。
【0018】
RSV Fナノ粒子の一部の実施形態では、RSV Fタンパク質は、残基137~146または配列番号2に対応する10アミノ酸の欠失、ならびに133、135および136位のアルギニン残基のグルタミンへの変異による主要フューリン切断部位の不活性化を含む。RSV Fナノ粒子のさらなる実施形態では、RSV Fタンパク質は、成熟ペプチドである配列番号19を含むまたはそれからなる。RSV Fナノ粒子のある特定の実施形態では、RSV Fタンパク質は、配列番号8を含むまたはそれからなる。RSV
Fナノ粒子を含有するワクチン製剤は、何らかの全長ペプチドを有する成熟ペプチド(配列番号8)から実質的になる。経時的に少量のトランケート型RSV Fペプチドがタンパク質分解のために生じる場合がある。しかし有利には、本明細書に開示のRSV Fナノ粒子は、そのような分解を最小化し、長期の安定性を提供する。
【0019】
本出願は、熱安定性が増強されたインフルエンザナノ粒子も開示する。先行するインフルエンザナノ粒子とは異なり、本明細書で提供する方法および組成物は、トリプシンに対する耐性ならびに、熱安定性およびそれにより免疫原性の増強を示す。
【0020】
エボラについて、エボラウイルスナノ粒子は、非イオン性界面活性剤コアに付着したエボラウイルス糖タンパク質(GP)三量体およびナノ粒子を含有するワクチン組成物を、任意選択でマトリクスMサポニンアジュバントとの組み合わせで含む。加えて、本開示は、エボラウイルスナノ粒子およびサポニンアジュバントを含有する組成物を投与することによる、ヒトにおけるエボラウイルスに対する免疫応答を誘導する方法を提供する。エボラ感染に対して防御する方法も提供される。
【0021】
同様に、インフルエンザタンパク質、HA、NAのいずれかまたは両方を含有するナノ粒子が提供される。適切なフォールディングの指標、トリプシン耐性を示すHAナノ粒子が提供される。ワクチン製剤中にインフルエンザナノ粒子を使用するインフルエンザ感染に対して防御する方法も提供される。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
(i)非イオン性界面活性剤コアおよびウイルス糖タンパク質を含むナノ粒子であって、前記ウイルス糖タンパク質は、前記コアと会合しており、界面活性剤は、約0.03%から約0.05%で存在する、ナノ粒子;ならびに
(ii)薬学的に許容される緩衝液
を含むワクチン組成物であって、前記非イオン性界面活性剤は、PS20、PS40、PS60、PS65およびPS80からなる群より選択される、ワクチン組成物。
(項目2)
前記ウイルス糖タンパク質が、RSV Fタンパク質、エボラ糖タンパク質、狂犬病ウイルスGタンパク質、インフルエンザHAタンパク質、インフルエンザNAタンパク質およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、項目1に記載のワクチン組成物。
(項目3)
前記ウイルス糖タンパク質がRSV Fタンパク質であり、非イオン性界面活性剤のウイルス糖タンパク質に対するモル比が約30:1から約60:1である、項目2に記載のワクチン組成物。
(項目4)
前記RSV Fタンパク質が、配列番号2のアミノ酸137~146に対応する10アミノ酸の欠失および配列番号2のアミノ酸131から136に対応する不活性化主要フューリン切断部位を含み、前記主要フューリン切断部位が変異によって不活性化されている、項目3に記載のワクチン組成物。
(項目5)
いかなる他の界面活性剤も実質的に含まない、項目4に記載のワクチン組成物。
(項目6)
前記RSV-Fタンパク質が、配列番号1~13、およびN末端シグナルペプチドの一部または全体を欠いている配列番号1~13の改変体からなる群より選択される、項目4に記載のワクチン組成物。
(項目7)
前記RSV Fタンパク質が、配列番号19を含む、項目6に記載のワクチン組成物。(項目8)
前記RSV Fタンパク質が配列番号19からなる、項目6に記載のワクチン組成物。(項目9)
前記非イオン性界面活性剤がPS80である、項目8に記載のワクチン組成物。
(項目10)
前記モル比が約50である、項目9に記載のワクチン組成物。
(項目11)
前記薬学的に許容される緩衝液が、
(i)15mMから25mMのリン酸ナトリウム;
(ii)約150mMのNaCl;
(iii)0.25%から2%w/vのヒスチジン
を含み、前記組成物のpHは、5.8から6.4の間である、項目1に記載のワクチン組成物。
(項目12)
前記薬学的に許容される緩衝液が、
(i)約22mMのリン酸ナトリウム;
(ii)約150mMのNaCl;
(iii)約1%のヒスチジン
を含み、前記組成物のpHは、約6.2である、項目11に記載のワクチン組成物。
(項目13)
前記RSV Fタンパク質が前記タンパク質に連結された脂肪酸をさらに含む、項目1から12のいずれかに記載のワクチン組成物。
(項目14)
前記ナノ粒子が約20nmから約60nmのZ平均直径を有する、項目1に記載のワクチン組成物。
(項目15)
RSV Fタンパク質を約60μg/mLから約290μg/mLの間の濃度で含む、項目2に記載のワクチン組成物。
(項目16)
前記ナノ粒子の形状が球状オリゴマーまたは異方性ロッドである、項目1に記載のワクチン組成物。
(項目17)
分析用超遠心分離法によって決定して、いかなる他の界面活性剤も実質的に含まない、項目1から16のいずれかに記載のワクチン組成物。
(項目18)
各ナノ粒子が4個から7個の間のRSV Fタンパク質三量体を含む、項目10に記載のワクチン組成物。
(項目19)
項目1から18のいずれかに記載のワクチン組成物を被験体に投与するステップを含む、ウイルス感染を予防する方法。
(項目20)
組成物が筋肉内投与される、項目19に記載の方法。
(項目21)
各用量が約30μgから約150μgの間のRSV Fタンパク質からなる、項目19に記載の方法。
(項目22)
単一用量の前記組成物が投与される、項目19に記載の方法。
(項目23)
前記被験体が、成人、年長の成人、妊娠中の女性、小児、新生児、および乳児からなる群より選択される、項目19に記載の方法。
(項目24)
前記組成物がアジュバントを含む、項目19に記載の方法。
(項目25)
前記アジュバントがミョウバンアジュバントであり、前記アジュバントの少なくとも80%が前記ナノ粒子に結合している、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記組成物が追加的アジュバントを含有しない、項目19に記載の方法。
(項目27)
前記用量が約0.5mLの体積である、項目22に記載の方法。
(項目28)
少なくとも3つのRSV Fナノ粒子タイプの異種集団を含む組成物であって、各ナノ粒子が、PS80を含む界面活性剤含有コアを囲む少なくとも1つのRSV Fタンパク質三量体を含み;そして
第1のRSV Fナノ粒子タイプが異方性ロッドを含み、
第2のRSV Fナノ粒子タイプが球状オリゴマーを含み、そして
第3のRSV Fナノ粒子タイプが異方性ロッドと球状オリゴマーとの中間体を含む、組成物。
(項目29)
各RSV F三量体が、配列番号2の残基137~146に対応する1から10アミノ酸の欠失を有するRSV Fタンパク質およびその混合物からなる群より選択される、項目28に記載の組成物。
(項目30)
各RSV F三量体が、(i)配列番号2の残基137~146に対応する1から10
アミノ酸の欠失および(ii)不活性化主要融合切断部位を有するRSV Fタンパク質ならびにその混合物を含む、項目28に記載の組成物。
(項目31)
前記RSV Fタンパク質が、配列番号1~13、およびN末端シグナルペプチドの一部または全体を欠いている配列番号1~13の改変体から選択される、項目29に記載の組成物。
(項目32)
前記RSV Fタンパク質が配列番号19を含む、項目31に記載の組成物。
(項目33)
前記RSV Fタンパク質が配列番号19からなる、項目31に記載の組成物。
(項目34)
第1の界面活性剤を使用して宿主細胞からRSV Fタンパク質抽出物を調製するステップ、および前記第1の界面活性剤を第2の界面活性剤に交換するステップを含む、RSV Fタンパク質ナノ粒子を製造する方法であって、前記第2の界面活性剤はPS80であり、約0.03%から約0.05%の量のPS80中で維持される場合に前記ナノ粒子は安定性の増強を示す、方法。
(項目35)
前記第1の界面活性剤がNP-9である、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記安定性の増強が、プロテアーゼ耐性、酸化ストレス耐性、熱ストレス耐性、および撹拌への耐性の1つまたは複数から選択される、項目34に記載の方法。
(項目37)
前記PS80が、前記RSV Fタンパク質に対するモル比約30から約60で存在する、項目34に記載の方法。
(項目38)
PS80界面活性剤コアと会合したウイルスタンパク質三量体を含むナノ粒子であって、前記PS80:前記ウイルスタンパク質三量体のモル比は、約30から約60、好ましくは約50である、ナノ粒子。
(項目39)
前記ウイルスタンパク質三量体がRSV Fタンパク質三量体である、項目38に記載のナノ粒子。
(項目40)
動的光散乱によって測定される約20nmから約60nmの平均直径(Z平均)を有する、項目38に記載のナノ粒子。
(項目41)
各RSV Fタンパク質三量体が、配列番号2の残基137~146に対応する1から10アミノ酸の欠失を有するRSV Fタンパク質からなる群より選択されるRSV Fタンパク質を含有する、項目38に記載のナノ粒子。
(項目42)
不活性化主要融合切断部位をさらに含む、項目41に記載のナノ粒子。
(項目43)
前記RSV Fタンパク質が、配列番号1~13のいずれか、またはN末端シグナルペプチドの一部もしくは全体を欠いている配列番号1~13の配列を有する、項目39に記載のナノ粒子。
(項目44)
前記RSV Fタンパク質が、配列番号2の残基137~146に対応する10アミノ酸の欠失ならびに133、135、および136位のアルギニン残基のグルタミンへの変異による主要フューリン切断部位の不活性化を含む、項目39に記載のナノ粒子。
(項目45)
前記RSV Fタンパク質が配列番号19を含む、項目44に記載のナノ粒子。
(項目46)
前記RSV Fタンパク質が配列番号19からなる、項目44に記載のナノ粒子。
(項目47)
非イオン性界面活性剤コアを囲むタンパク質抗原を含むナノ粒子を産生する方法であって、
(i)第1の界面活性剤を含むタンパク質抽出物をタンパク質精製カラムに結合させるステップ;
(ii)前記第1の界面活性剤を第2の界面活性剤で実質的に置き換えることによって界面活性剤交換を実施するステップ;および
(iii)前記第2の界面活性剤の存在下で前記カラムから前記タンパク質抽出物を溶出し、前記ナノ粒子を提供するステップ
を含み、
前記第2の界面活性剤:タンパク質のモル比が約30から約60であり;ならびに前記第2の界面活性剤が、PS20、PS40、PS60、PS65およびPS80からなる群より選択される、
方法。
(項目48)
前記タンパク質抗原がウイルス糖タンパク質である、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記非イオン性界面活性剤がPS80である、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記第1の界面活性剤がNP-9である、項目47に記載の方法。
(項目51)
前記タンパク質抗原がRSV-F糖タンパク質である、項目47に記載の方法。
(項目52)
前記モル比が約45から約60である、項目47に記載の方法。
(項目53)
前記モル比が約45である、項目52に記載の方法。
(項目54)
(iv)前記ナノ粒子をミョウバンアジュバントと組み合わせ、組成物中の前記ナノ粒子の少なくとも80%が前記ミョウバンに結合している、ナノ粒子を含む組成物を提供するステップをさらに含む、項目47に記載の方法。
(項目55)
前記ナノ粒子の少なくとも90%が前記ミョウバンに結合している、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記タンパク質抽出物が、Sf9宿主細胞中に前記タンパク質を組換え発現させること、および前記宿主細胞を前記第1の界面活性剤で処理し、タンパク質抽出物を提供することを含むステップによって調製され、前記Sf9細胞がカテプシンLもしくはキチナーゼについてシングルノックアウトである、またはカテプシンLおよびキチナーゼの両方についてダブルノックアウトである、項目47に記載の方法。
(項目57)
前記タンパク質精製カラムがレンズマメレクチンカラムである、項目47に記載の方法。
(項目58)
非イオン性界面活性剤コアおよび少なくとも2つのウイルスタンパク質を含む組み合わせナノ粒子であって、各ウイルスタンパク質が前記コアと会合しており、非イオン性界面活性剤:少なくとも1つのウイルスタンパク質のモル比が約30から約60である、組み合わせナノ粒子。
(項目59)
インフルエンザHAタンパク質およびRSV Fタンパク質を含む、項目58に記載の組み合わせナノ粒子。
(項目60)
インフルエンザHAタンパク質およびインフルエンザNAタンパク質を含む、項目58に記載の組み合わせナノ粒子。
(項目61)
前記HAタンパク質および前記NAタンパク質が、同じインフルエンザサブタイプ由来である、項目60に記載の組み合わせナノ粒子。
(項目62)
前記HAタンパク質および前記NAタンパク質が、異なるインフルエンザサブタイプ由来である、項目60に記載の組み合わせナノ粒子。
(項目63)
前記HAタンパク質および前記NAタンパク質の少なくとも1つが群1または群2インフルエンザ由来である、項目60に記載の組み合わせナノ粒子。
(項目64)
前記HAタンパク質および前記NAタンパク質の少なくとも1つがB型インフルエンザ由来である、項目60に記載の組み合わせナノ粒子。
(項目65)
項目1に記載の組成物を被験体に投与するステップを含む、免疫応答を誘導する方法。(項目66)
前記被験体がヒト女性である、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記ヒト女性が妊娠中である、項目66に記載の方法。
(項目68)
抗RSV F抗体を保有する乳児に項目1に記載の組成物を投与するステップを含む、乳児において免疫応答をブーストする方法。
(項目69)
組換えトリプシン耐性インフルエンザHAナノ粒子を調製する方法であって、
(i)第1の界面活性剤を含むタンパク質抽出物をタンパク質精製カラムに結合させるステップ;
(ii)前記第1の界面活性剤を第2の界面活性剤で実質的に置き換えることによって界面活性剤交換を実施するステップ;および
(iii)前記第2の界面活性剤の存在下で前記カラムから前記タンパク質抽出物を溶出し、前記ナノ粒子を提供するステップ
を含み、
示差走査熱量測定によって測定される前記ナノ粒子の遷移中点(Tm)が少なくとも約60であり、7.0未満のpHを有する緩衝液は調製中に使用されない、
方法。
(項目70)
項目69の方法により調製された組換えトリプシン耐性HAナノ粒子。
(項目71)
項目70に記載のナノ粒子および薬学的に許容される担体を含むワクチン組成物。
(項目72)
アジュバントを含む、項目71に記載のナノ粒子を含むワクチン組成物。
(項目73)
前記第1の界面活性剤の前記交換が、HPLCによって検出されるNP-9の量が約0.1%未満、約0.01%未満、約0.001%未満であるまたは検出不能であるように実質的に完了される、項目35に記載の方法。
(項目74)
非イオン性界面活性剤コアと会合したエボラウイルスGP三量体を含むエボラウイルス
糖タンパク質(GP)ナノ粒子。
(項目75)
前記コア中の非イオン性界面活性剤が、ポリソルベート-80(PS80)を含む、項目74に記載のナノ粒子。
(項目76)
平均直径約20nmから約40nmを有する、項目74に記載のナノ粒子。
(項目77)
前記エボラウイルスGP三量体の複数のコピーを含有する、項目74に記載のナノ粒子。
(項目78)
15個までの三量体を含有する、項目77に記載のナノ粒子。
(項目79)
Sf9細胞で産生される、項目74に記載のナノ粒子。
(項目80)
前記エボラウイルスGPのアミノ酸配列が、配列番号29と約85%同一、約90%同一、約95%同一、約97%同一または約98%同一である、項目74に記載のナノ粒子。
(項目81)
前記エボラウイルスGPのアミノ酸配列が配列番号29を含む、項目74に記載のナノ粒子。
(項目82)
前記エボラウイルスGPのアミノ酸配列が配列番号29からなる、項目74に記載のナノ粒子。
(項目83)
項目74から82のいずれかに記載のナノ粒子およびサポニンアジュバントを含むワクチン組成物であって、前記サポニンアジュバントがマトリクスAおよびマトリクスCからなる、ワクチン組成物。
(項目84)
前記マトリクスAおよび前記マトリクスCが85:15の比で存在する、項目83に記載のワクチン組成物。
(項目85)
ヒトにおけるエボラウイルスに対する免疫応答を誘導する方法であって、
エボラウイルス糖タンパク質(GP)ナノ粒子およびサポニンアジュバントを含む組成物を前記ヒトに投与するステップを含み、
前記サポニンアジュバントは、マトリクスAおよびマトリクスCからなり、
前記ナノ粒子は、非イオン性界面活性剤コアに付着したエボラウイルスGP三量体を含む、
方法。
(項目86)
前記マトリクスAサポニンアジュバントおよび前記マトリクスCサポニンアジュバントが85:15の比で存在する、項目85に記載の方法。
(項目87)
前記エボラウイルスGPのアミノ酸配列が配列番号29と約85%同一、約90%同一、約95%同一、約97%同一または約98%同一である、項目85に記載の方法。
(項目88)
前記組成物が筋肉内投与される、項目85に記載の方法。
(項目89)
前記免疫応答が:IgG1抗体の誘導、IgG2a抗体の誘導、長命形質B細胞の形成、濾胞性ヘルパーT細胞(TFH)応答、CD4+T細胞応答およびCD8+T細胞応答の1つまたは複数を含む、項目85に記載の方法。
(項目90)
前記組成物が、ナノ粒子1個当たり2個から6個の三量体を有するGPナノ粒子の不均一な集団を含む、項目85に記載の方法。
(項目91)
項目83に記載のワクチン組成物をヒトに筋肉内投与するステップを含む、前記ヒトにおけるエボラウイルス感染または疾患を予防する方法。
(項目92)
配列番号29を含むまたはそれからなるエボラタンパク質をコードする核酸。
(項目93)
項目92に記載の核酸を含むSf9宿主細胞。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】
図1Aおよび1Bは、RSV Fタンパク質のタンパク質一次構造をポリペプチド配列と共に示す。
図1Aは、改変RSV Fタンパク質のタンパク質一次構造に対する野生型RSV A2株のそれを示す。フューリン切断部位を、三角形で表示する。
図1Bは、明るい影付きの文字列のF1ドメイン(残基1~84)、暗い影付きの文字列のF2ドメイン(残基85~539)、ジスルフィド結合を形成するシステインを接続する黒線を含む改変RSV Fタンパク質(配列番号19)のアミノ酸配列を示し;下線を引いたアスパラギンが、N連結グリコシル化部位を示し、明るい影付きの垂直な点線が、フューリン切断部位を示し、暗い影付きの垂直な点線が、主要切断部位を示す。
【
図1B】
図1Aおよび1Bは、RSV Fタンパク質のタンパク質一次構造をポリペプチド配列と共に示す。
図1Aは、改変RSV Fタンパク質のタンパク質一次構造に対する野生型RSV A2株のそれを示す。フューリン切断部位を、三角形で表示する。
図1Bは、明るい影付きの文字列のF1ドメイン(残基1~84)、暗い影付きの文字列のF2ドメイン(残基85~539)、ジスルフィド結合を形成するシステインを接続する黒線を含む改変RSV Fタンパク質(配列番号19)のアミノ酸配列を示し;下線を引いたアスパラギンが、N連結グリコシル化部位を示し、明るい影付きの垂直な点線が、フューリン切断部位を示し、暗い影付きの垂直な点線が、主要切断部位を示す。
【0023】
【
図2】
図2は、逆相HPLCによるRSV Fタンパク質の分離ピークを示し、4つの主要な種が同定され、4つの主要なピークに対応する。最も低い分子量の種(およそ51.2kDa~およそ51.3kDa)を含むピークは、可溶性三量体であり;次のピークは脂肪酸を欠いている完全長三量体(およそ64.5kDa)を含み、最後の2つの主要なピークは完全長三量体であり、その三量体はパルミトレイン酸(およそ64.7kDa)およびパルミチン酸(64.788kDa)をそれぞれ含む。
【0024】
【
図3】
図3は、還元SDS-PAGEにおけるRSV Fタンパク質の分離を示す。最大の分子量のタンパク質には、高分子量種、続いてF1およびF2ドメインを含む改変体、次いでF1ドメイン単独およびその改変体、続いてF2ドメイン単独が含まれる。
【0025】
【
図4】
図4は、RSV Fタンパク質のタンパク質一次構造を含むアミノ酸の90%を網羅するLC-UVペプチドマッピングのクロマトグラム出力を示す。早く溶出するペプチドを含めて、組み合わせた配列のカバレッジ(coverage)は98%であることが判明し、それによりRSV Fタンパク質のアミノ酸配列が確認された。
【0026】
【
図5】
図5は、蛍光検出(FLD)と組み合わせたHPLCを使用する精製RSV Fタンパク質の糖鎖解析を示す。検出された主要なグリカン構造は、フコシル化Man3グリカンである。
【0027】
【
図6】
図6は、PS80のコアと会合したRSV Fタンパク質三量体とRSV Fナノ粒子の電子顕微鏡写真を特徴付ける。図は、F1およびF2ドメインの配向(orientation)、パリビズマブ抗体により認識される抗原性部位II、ならびにパルミチン酸およびパルミトレイン酸などの脂肪酸をさらに含むF1ドメインのCおよびN末端を特徴とする単一のRSV Fタンパク質三量体の特徴付けをさらに図示する。
【0028】
【
図7】
図7は、RSV Fナノ粒子の粒子サイズの動的光散乱(DLS)測定を示す。DLS測定は、ナノ粒子のサイズが、利用可能なPS80とRSV F濃度の両方によりモジュレートされることを示す。一定濃度のRSV F濃度におけるPS80の増加は、平均ナノ粒子サイズ(Z平均)の低下をもたらす。
【0029】
【
図8】
図8は、ナノ粒子の分子量に対する試料濃度の個々の分子量分布を示し、RSV Fの濃度およびPS80の百分率が変動されている。ナノ粒子の最大シグナル強度は、0.2% PS80および1mg/mL RSV Fで達成され、これはナノ粒子のより高い均一性を示唆しており、PS80およびRSVの濃度の組み合わせとして粒子サイズのモジュレーションが確認される。
【0030】
【
図9A】
図9Aおよび9Bは、様々なPS80百分率およびRSV F濃度によって産生されるRSV Fナノ粒子タイプの形状を示す。
図9Aから、0.2% PS80および0.22mg/mL RSV Fを使用する組成物が、3つの一次型、単量体/二量体異方性ロッド、球状オリゴマー、およびその中間体を産生することが明らかになる。
図9Bから、0.05% PS80および0.22mg/mL RSVを使用する組成物は、単量体/二量体異方性ロッドが支配的な集団をもたらし、0.05% PS80および1.0mg/mLを使用する組成物は、球状オリゴマーが支配的な集団をもたらすことが明らかになる。
【
図9B】
図9Aおよび9Bは、様々なPS80百分率およびRSV F濃度によって産生されるRSV Fナノ粒子タイプの形状を示す。
図9Aから、0.2% PS80および0.22mg/mL RSV Fを使用する組成物が、3つの一次型、単量体/二量体異方性ロッド、球状オリゴマー、およびその中間体を産生することが明らかになる。
図9Bから、0.05% PS80および0.22mg/mL RSVを使用する組成物は、単量体/二量体異方性ロッドが支配的な集団をもたらし、0.05% PS80および1.0mg/mLを使用する組成物は、球状オリゴマーが支配的な集団をもたらすことが明らかになる。
【0031】
【
図10】
図10は、還元Lys-Cペプチドマップにおいて対照と比較した相対的存在量で示される、ナノ粒子中のRSV Fタンパク質の特定の細区分に対するストレッサーの効果を示す。ストレッサーは、50℃で2週間、25℃でpH3.7に1週間、25℃でpH10に1週間、25℃で過酸化水素によるタンパク質の酸化に1週間、および25℃で撹拌1週間である。
【0032】
【
図11】
図11は、様々なストレス条件に曝露された抗原性部位2(パリビズマブ部位)の安定性を例示する。百分率は、対照と比較した相対的存在量として示される。100%により近いまたはそれを超える程、ストレス条件の観点で復元力がより大きい。データは、ナノ粒子が、優れた抗原性部位堅牢性を維持し、したがって、安定な免疫応答を生じることを示す。NSELLSLINDMPITNDQK/K;配列番号20およびLMSNN(配列番号21)は、抗原性部位IIの部分である。
【0033】
【
図12A】
図12A、12B、12Cおよび12Dは、ナノ粒子組成物を環境ストレスに曝露した後のマウス免疫原性を示すことによるRSV Fナノ粒子組成物の安定性を示す。21日目に、マウスを抗RSV F IgG、35日目にPCA力価および35日目にRSV/A中和力価のためにサンプリングした。
図12Aは、-70℃対照の結果を示す。
図12Bは、組成物を、50℃に2週間曝露した結果を示す。
図12Cは、組成物を、25℃でpH10に2週間曝露した結果を示す。
図12Dは、組成物を25℃で0.5%過酸化水素に1週間曝露した結果を示す。
【
図12B】
図12A、12B、12Cおよび12Dは、ナノ粒子組成物を環境ストレスに曝露した後のマウス免疫原性を示すことによるRSV Fナノ粒子組成物の安定性を示す。21日目に、マウスを抗RSV F IgG、35日目にPCA力価および35日目にRSV/A中和力価のためにサンプリングした。
図12Aは、-70℃対照の結果を示す。
図12Bは、組成物を、50℃に2週間曝露した結果を示す。
図12Cは、組成物を、25℃でpH10に2週間曝露した結果を示す。
図12Dは、組成物を25℃で0.5%過酸化水素に1週間曝露した結果を示す。
【
図12C】
図12A、12B、12Cおよび12Dは、ナノ粒子組成物を環境ストレスに曝露した後のマウス免疫原性を示すことによるRSV Fナノ粒子組成物の安定性を示す。21日目に、マウスを抗RSV F IgG、35日目にPCA力価および35日目にRSV/A中和力価のためにサンプリングした。
図12Aは、-70℃対照の結果を示す。
図12Bは、組成物を、50℃に2週間曝露した結果を示す。
図12Cは、組成物を、25℃でpH10に2週間曝露した結果を示す。
図12Dは、組成物を25℃で0.5%過酸化水素に1週間曝露した結果を示す。
【
図12D】
図12A、12B、12Cおよび12Dは、ナノ粒子組成物を環境ストレスに曝露した後のマウス免疫原性を示すことによるRSV Fナノ粒子組成物の安定性を示す。21日目に、マウスを抗RSV F IgG、35日目にPCA力価および35日目にRSV/A中和力価のためにサンプリングした。
図12Aは、-70℃対照の結果を示す。
図12Bは、組成物を、50℃に2週間曝露した結果を示す。
図12Cは、組成物を、25℃でpH10に2週間曝露した結果を示す。
図12Dは、組成物を25℃で0.5%過酸化水素に1週間曝露した結果を示す。
【0034】
【
図13】
図13は、より高いPS80を有するナノ粒子のプロテアーゼ耐性の増強を示す。18カ月間を超えて、SDS-PAGEで評価して、より高いPS80百分率(0.03%)の存在下で製剤化したRSV Fナノ粒子は、より低いPS80百分率(0.015%)の存在下で製剤化したRSV Fナノ粒子に対して一層低いプロテアーゼ分解を呈した。加えて、より少ない高分子量(HMW)構造が、より高いPS80量で観察された。
【0035】
【
図14】
図14は、RSV Fナノ粒子に結合するmAbのRSV F A株ウイルスタンパク質に対する比較を示し、部位I、IIおよびIV抗体に対する平衡解離定数から、部位のそれぞれにおけるmAb抗体の結合が同程度であることが明らかになる。
【0036】
【
図15】
図15は、競合結合アッセイの結果を示し、そのアッセイにおいてプラセボ条件、RSV/A感染、ホルムアルデヒド不活性化RSV、RSV Fナノ粒子、およびミョウバンを含むRSV Fナノ粒子に曝露したコットンラットの血清中に存在する抗体を、部位I、IIおよびIVへの結合について互いに対して比較した。
【0037】
【
図16】
図16は、本明細書において開示するナノ粒子を製作する方法の工程フローチャートを例示する。
【0038】
【
図17】
図17は、本明細書において開示するHAナノ粒子を製作する方法のフローチャートを例示する。バキュロウイルス発現されるHAを含有するSf9細胞を増殖させ、次いで、HAを、非イオン性界面活性剤NP9を使用して抽出する。抽出物は、逐次的な精製およびレクチンアフィニティーカラムによる界面活性剤交換ステップを受け、次いで濾過され、バルク原薬へと製剤化される。
【0039】
【
図18A】
図18A~18Fは、一例としてHA糖タンパク質を使用するインフルエンザナノ粒子を産生するステップおよびその方法を使用して得られた結果を例示する。
図18Aは、細胞溶解および精製ナノ粒子を得るために使用した3つのカラム(TMAE(トリメチルアミノエチル)、続いてレンズマメレクチン、続いて硫酸(SO3-)カラム)による、細胞感染からの逐次的な精製ステップを示す。
図18Bは、TMAEカラムを使用して得られたクロマトグラムを例示する。
図18Cは、レンズマメレクチンカラム精製ステップを使用して得られたクロマトグラムを例示する。
図18Dは、硫酸カラム精製ステップを使用して得られたクロマトグラムを例示する。
図18Eは、TMAEおよびLLカラム段階のゲル(右上パネル)を示す。下パネルは、ゲルのウエスタンブロットを示す。レーンは、左上パネルに示した通りである。
図18Fは、S03-カラムからの溶出液を含むゲルを示す。
【
図18B】
図18A~18Fは、一例としてHA糖タンパク質を使用するインフルエンザナノ粒子を産生するステップおよびその方法を使用して得られた結果を例示する。
図18Aは、細胞溶解および精製ナノ粒子を得るために使用した3つのカラム(TMAE(トリメチルアミノエチル)、続いてレンズマメレクチン、続いて硫酸(SO3-)カラム)による、細胞感染からの逐次的な精製ステップを示す。
図18Bは、TMAEカラムを使用して得られたクロマトグラムを例示する。
図18Cは、レンズマメレクチンカラム精製ステップを使用して得られたクロマトグラムを例示する。
図18Dは、硫酸カラム精製ステップを使用して得られたクロマトグラムを例示する。
図18Eは、TMAEおよびLLカラム段階のゲル(右上パネル)を示す。下パネルは、ゲルのウエスタンブロットを示す。レーンは、左上パネルに示した通りである。
図18Fは、S03-カラムからの溶出液を含むゲルを示す。
【
図18C】
図18A~18Fは、一例としてHA糖タンパク質を使用するインフルエンザナノ粒子を産生するステップおよびその方法を使用して得られた結果を例示する。
図18Aは、細胞溶解および精製ナノ粒子を得るために使用した3つのカラム(TMAE(トリメチルアミノエチル)、続いてレンズマメレクチン、続いて硫酸(SO3-)カラム)による、細胞感染からの逐次的な精製ステップを示す。
図18Bは、TMAEカラムを使用して得られたクロマトグラムを例示する。
図18Cは、レンズマメレクチンカラム精製ステップを使用して得られたクロマトグラムを例示する。
図18Dは、硫酸カラム精製ステップを使用して得られたクロマトグラムを例示する。
図18Eは、TMAEおよびLLカラム段階のゲル(右上パネル)を示す。下パネルは、ゲルのウエスタンブロットを示す。レーンは、左上パネルに示した通りである。
図18Fは、S03-カラムからの溶出液を含むゲルを示す。
【
図18D】
図18A~18Fは、一例としてHA糖タンパク質を使用するインフルエンザナノ粒子を産生するステップおよびその方法を使用して得られた結果を例示する。
図18Aは、細胞溶解および精製ナノ粒子を得るために使用した3つのカラム(TMAE(トリメチルアミノエチル)、続いてレンズマメレクチン、続いて硫酸(SO3-)カラム)による、細胞感染からの逐次的な精製ステップを示す。
図18Bは、TMAEカラムを使用して得られたクロマトグラムを例示する。
図18Cは、レンズマメレクチンカラム精製ステップを使用して得られたクロマトグラムを例示する。
図18Dは、硫酸カラム精製ステップを使用して得られたクロマトグラムを例示する。
図18Eは、TMAEおよびLLカラム段階のゲル(右上パネル)を示す。下パネルは、ゲルのウエスタンブロットを示す。レーンは、左上パネルに示した通りである。
図18Fは、S03-カラムからの溶出液を含むゲルを示す。
【
図18E】
図18A~18Fは、一例としてHA糖タンパク質を使用するインフルエンザナノ粒子を産生するステップおよびその方法を使用して得られた結果を例示する。
図18Aは、細胞溶解および精製ナノ粒子を得るために使用した3つのカラム(TMAE(トリメチルアミノエチル)、続いてレンズマメレクチン、続いて硫酸(SO3-)カラム)による、細胞感染からの逐次的な精製ステップを示す。
図18Bは、TMAEカラムを使用して得られたクロマトグラムを例示する。
図18Cは、レンズマメレクチンカラム精製ステップを使用して得られたクロマトグラムを例示する。
図18Dは、硫酸カラム精製ステップを使用して得られたクロマトグラムを例示する。
図18Eは、TMAEおよびLLカラム段階のゲル(右上パネル)を示す。下パネルは、ゲルのウエスタンブロットを示す。レーンは、左上パネルに示した通りである。
図18Fは、S03-カラムからの溶出液を含むゲルを示す。
【
図18F】
図18A~18Fは、一例としてHA糖タンパク質を使用するインフルエンザナノ粒子を産生するステップおよびその方法を使用して得られた結果を例示する。
図18Aは、細胞溶解および精製ナノ粒子を得るために使用した3つのカラム(TMAE(トリメチルアミノエチル)、続いてレンズマメレクチン、続いて硫酸(SO3-)カラム)による、細胞感染からの逐次的な精製ステップを示す。
図18Bは、TMAEカラムを使用して得られたクロマトグラムを例示する。
図18Cは、レンズマメレクチンカラム精製ステップを使用して得られたクロマトグラムを例示する。
図18Dは、硫酸カラム精製ステップを使用して得られたクロマトグラムを例示する。
図18Eは、TMAEおよびLLカラム段階のゲル(右上パネル)を示す。下パネルは、ゲルのウエスタンブロットを示す。レーンは、左上パネルに示した通りである。
図18Fは、S03-カラムからの溶出液を含むゲルを示す。
【0040】
【
図19A】
図19A~19Jは、異なるサブタイプおよび異なる昆虫細胞株を使用して産生されたHAナノ粒子の純度分析を例示する。
図19Aは、A/ニューハンプシャー/1/2015 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Bは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより99.1%純粋であることを示す。
図19Cは、A/スイス/9715293/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Dは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより94.5%純粋であることを示す。
図19Eは、A/香港/4801/2014 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Fは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより93.3%純粋であることを示す。
図19Gは、Sf9およびSf22a細胞におけるB/プーケット/3073/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより95.4%純粋であることを示す。
図19Hは、Sf9細胞におけるB/ブリスベーン/60/2008 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより96.7%純粋であることを示す。
図19Iは、RP-HPLCを使用してHA純度を測定する。
図19Jは、3つのインフルエンザAサブタイプおよび2つのインフルエンザBサブタイプを使用したHAナノ粒子のデータを要約する。
【
図19B】
図19A~19Jは、異なるサブタイプおよび異なる昆虫細胞株を使用して産生されたHAナノ粒子の純度分析を例示する。
図19Aは、A/ニューハンプシャー/1/2015 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Bは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより99.1%純粋であることを示す。
図19Cは、A/スイス/9715293/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Dは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより94.5%純粋であることを示す。
図19Eは、A/香港/4801/2014 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Fは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより93.3%純粋であることを示す。
図19Gは、Sf9およびSf22a細胞におけるB/プーケット/3073/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより95.4%純粋であることを示す。
図19Hは、Sf9細胞におけるB/ブリスベーン/60/2008 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより96.7%純粋であることを示す。
図19Iは、RP-HPLCを使用してHA純度を測定する。
図19Jは、3つのインフルエンザAサブタイプおよび2つのインフルエンザBサブタイプを使用したHAナノ粒子のデータを要約する。
【
図19C】
図19A~19Jは、異なるサブタイプおよび異なる昆虫細胞株を使用して産生されたHAナノ粒子の純度分析を例示する。
図19Aは、A/ニューハンプシャー/1/2015 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Bは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより99.1%純粋であることを示す。
図19Cは、A/スイス/9715293/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Dは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより94.5%純粋であることを示す。
図19Eは、A/香港/4801/2014 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Fは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより93.3%純粋であることを示す。
図19Gは、Sf9およびSf22a細胞におけるB/プーケット/3073/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより95.4%純粋であることを示す。
図19Hは、Sf9細胞におけるB/ブリスベーン/60/2008 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより96.7%純粋であることを示す。
図19Iは、RP-HPLCを使用してHA純度を測定する。
図19Jは、3つのインフルエンザAサブタイプおよび2つのインフルエンザBサブタイプを使用したHAナノ粒子のデータを要約する。
【
図19D】
図19A~19Jは、異なるサブタイプおよび異なる昆虫細胞株を使用して産生されたHAナノ粒子の純度分析を例示する。
図19Aは、A/ニューハンプシャー/1/2015 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Bは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより99.1%純粋であることを示す。
図19Cは、A/スイス/9715293/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Dは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより94.5%純粋であることを示す。
図19Eは、A/香港/4801/2014 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Fは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより93.3%純粋であることを示す。
図19Gは、Sf9およびSf22a細胞におけるB/プーケット/3073/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより95.4%純粋であることを示す。
図19Hは、Sf9細胞におけるB/ブリスベーン/60/2008 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより96.7%純粋であることを示す。
図19Iは、RP-HPLCを使用してHA純度を測定する。
図19Jは、3つのインフルエンザAサブタイプおよび2つのインフルエンザBサブタイプを使用したHAナノ粒子のデータを要約する。
【
図19E】
図19A~19Jは、異なるサブタイプおよび異なる昆虫細胞株を使用して産生されたHAナノ粒子の純度分析を例示する。
図19Aは、A/ニューハンプシャー/1/2015 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Bは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより99.1%純粋であることを示す。
図19Cは、A/スイス/9715293/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Dは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより94.5%純粋であることを示す。
図19Eは、A/香港/4801/2014 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Fは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより93.3%純粋であることを示す。
図19Gは、Sf9およびSf22a細胞におけるB/プーケット/3073/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより95.4%純粋であることを示す。
図19Hは、Sf9細胞におけるB/ブリスベーン/60/2008 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより96.7%純粋であることを示す。
図19Iは、RP-HPLCを使用してHA純度を測定する。
図19Jは、3つのインフルエンザAサブタイプおよび2つのインフルエンザBサブタイプを使用したHAナノ粒子のデータを要約する。
【
図19F】
図19A~19Jは、異なるサブタイプおよび異なる昆虫細胞株を使用して産生されたHAナノ粒子の純度分析を例示する。
図19Aは、A/ニューハンプシャー/1/2015 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Bは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより99.1%純粋であることを示す。
図19Cは、A/スイス/9715293/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Dは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより94.5%純粋であることを示す。
図19Eは、A/香港/4801/2014 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Fは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより93.3%純粋であることを示す。
図19Gは、Sf9およびSf22a細胞におけるB/プーケット/3073/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより95.4%純粋であることを示す。
図19Hは、Sf9細胞におけるB/ブリスベーン/60/2008 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより96.7%純粋であることを示す。
図19Iは、RP-HPLCを使用してHA純度を測定する。
図19Jは、3つのインフルエンザAサブタイプおよび2つのインフルエンザBサブタイプを使用したHAナノ粒子のデータを要約する。
【
図19G】
図19A~19Jは、異なるサブタイプおよび異なる昆虫細胞株を使用して産生されたHAナノ粒子の純度分析を例示する。
図19Aは、A/ニューハンプシャー/1/2015 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Bは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより99.1%純粋であることを示す。
図19Cは、A/スイス/9715293/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Dは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより94.5%純粋であることを示す。
図19Eは、A/香港/4801/2014 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Fは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより93.3%純粋であることを示す。
図19Gは、Sf9およびSf22a細胞におけるB/プーケット/3073/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより95.4%純粋であることを示す。
図19Hは、Sf9細胞におけるB/ブリスベーン/60/2008 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより96.7%純粋であることを示す。
図19Iは、RP-HPLCを使用してHA純度を測定する。
図19Jは、3つのインフルエンザAサブタイプおよび2つのインフルエンザBサブタイプを使用したHAナノ粒子のデータを要約する。
【
図19H】
図19A~19Jは、異なるサブタイプおよび異なる昆虫細胞株を使用して産生されたHAナノ粒子の純度分析を例示する。
図19Aは、A/ニューハンプシャー/1/2015 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Bは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより99.1%純粋であることを示す。
図19Cは、A/スイス/9715293/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Dは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより94.5%純粋であることを示す。
図19Eは、A/香港/4801/2014 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Fは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより93.3%純粋であることを示す。
図19Gは、Sf9およびSf22a細胞におけるB/プーケット/3073/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより95.4%純粋であることを示す。
図19Hは、Sf9細胞におけるB/ブリスベーン/60/2008 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより96.7%純粋であることを示す。
図19Iは、RP-HPLCを使用してHA純度を測定する。
図19Jは、3つのインフルエンザAサブタイプおよび2つのインフルエンザBサブタイプを使用したHAナノ粒子のデータを要約する。
【
図19I】
図19A~19Jは、異なるサブタイプおよび異なる昆虫細胞株を使用して産生されたHAナノ粒子の純度分析を例示する。
図19Aは、A/ニューハンプシャー/1/2015 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Bは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより99.1%純粋であることを示す。
図19Cは、A/スイス/9715293/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Dは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより94.5%純粋であることを示す。
図19Eは、A/香港/4801/2014 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Fは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより93.3%純粋であることを示す。
図19Gは、Sf9およびSf22a細胞におけるB/プーケット/3073/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより95.4%純粋であることを示す。
図19Hは、Sf9細胞におけるB/ブリスベーン/60/2008 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより96.7%純粋であることを示す。
図19Iは、RP-HPLCを使用してHA純度を測定する。
図19Jは、3つのインフルエンザAサブタイプおよび2つのインフルエンザBサブタイプを使用したHAナノ粒子のデータを要約する。
【
図19J】
図19A~19Jは、異なるサブタイプおよび異なる昆虫細胞株を使用して産生されたHAナノ粒子の純度分析を例示する。
図19Aは、A/ニューハンプシャー/1/2015 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Bは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより99.1%純粋であることを示す。
図19Cは、A/スイス/9715293/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Dは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより94.5%純粋であることを示す。
図19Eは、A/香港/4801/2014 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。
図19Fは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより93.3%純粋であることを示す。
図19Gは、Sf9およびSf22a細胞におけるB/プーケット/3073/2013 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより95.4%純粋であることを示す。
図19Hは、Sf9細胞におけるB/ブリスベーン/60/2008 HAを含有するHAナノ粒子に対するHAおよびgp64のゲル、ウエスタンブロットを示す。右パネルは、HAバンドの定量化を示し、HAが、デンシトメトリにより96.7%純粋であることを示す。
図19Iは、RP-HPLCを使用してHA純度を測定する。
図19Jは、3つのインフルエンザAサブタイプおよび2つのインフルエンザBサブタイプを使用したHAナノ粒子のデータを要約する。
【0041】
【
図20】
図20は、電子顕微鏡写真におけるHAナノ粒子を示す。
【0042】
【
図21A】
図21Aおよび21Bは、cryoEM構造によるHAナノ粒子に対するHA三量体(
図21A)およびHAとNAタンパク質両方を含有するインフルエンザVLPに対するそのHA三量体(
図21B)のドッキングの比較を示す。
【
図21B】
図21Aおよび21Bは、cryoEM構造によるHAナノ粒子に対するHA三量体(
図21A)およびHAとNAタンパク質両方を含有するインフルエンザVLPに対するそのHA三量体(
図21B)のドッキングの比較を示す。
【0043】
【
図22】
図22は、RSV Fナノ粒子を含有する組み合わせナノ粒子組成物による研究およびHAナノ粒子の代表を例示する。
【0044】
【
図23A】
図23A~23Fは、
図22の研究によって得られた結果を例示する。
図23Aは、同種株に対するHAI力価を示す。
図23Bは、異種株に対する異種HAI力価を示す。
図23Cは、パリビズマブ競合抗体を示す。
図23Dは、RSV A株に対する中和抗体を示す。
図23Eは、RSV Fタンパク質に対するT細胞応答を示す。マトリクスアジュバント化ナノ粒子で得られる応答が、顕著である。
図23Fは、インフルエンザタンパク質に対するT細胞応答を示す。
【
図23B】
図23A~23Fは、
図22の研究によって得られた結果を例示する。
図23Aは、同種株に対するHAI力価を示す。
図23Bは、異種株に対する異種HAI力価を示す。
図23Cは、パリビズマブ競合抗体を示す。
図23Dは、RSV A株に対する中和抗体を示す。
図23Eは、RSV Fタンパク質に対するT細胞応答を示す。マトリクスアジュバント化ナノ粒子で得られる応答が、顕著である。
図23Fは、インフルエンザタンパク質に対するT細胞応答を示す。
【
図23C】
図23A~23Fは、
図22の研究によって得られた結果を例示する。
図23Aは、同種株に対するHAI力価を示す。
図23Bは、異種株に対する異種HAI力価を示す。
図23Cは、パリビズマブ競合抗体を示す。
図23Dは、RSV A株に対する中和抗体を示す。
図23Eは、RSV Fタンパク質に対するT細胞応答を示す。マトリクスアジュバント化ナノ粒子で得られる応答が、顕著である。
図23Fは、インフルエンザタンパク質に対するT細胞応答を示す。
【
図23D】
図23A~23Fは、
図22の研究によって得られた結果を例示する。
図23Aは、同種株に対するHAI力価を示す。
図23Bは、異種株に対する異種HAI力価を示す。
図23Cは、パリビズマブ競合抗体を示す。
図23Dは、RSV A株に対する中和抗体を示す。
図23Eは、RSV Fタンパク質に対するT細胞応答を示す。マトリクスアジュバント化ナノ粒子で得られる応答が、顕著である。
図23Fは、インフルエンザタンパク質に対するT細胞応答を示す。
【
図23E】
図23A~23Fは、
図22の研究によって得られた結果を例示する。
図23Aは、同種株に対するHAI力価を示す。
図23Bは、異種株に対する異種HAI力価を示す。
図23Cは、パリビズマブ競合抗体を示す。
図23Dは、RSV A株に対する中和抗体を示す。
図23Eは、RSV Fタンパク質に対するT細胞応答を示す。マトリクスアジュバント化ナノ粒子で得られる応答が、顕著である。
図23Fは、インフルエンザタンパク質に対するT細胞応答を示す。
【
図23F】
図23A~23Fは、
図22の研究によって得られた結果を例示する。
図23Aは、同種株に対するHAI力価を示す。
図23Bは、異種株に対する異種HAI力価を示す。
図23Cは、パリビズマブ競合抗体を示す。
図23Dは、RSV A株に対する中和抗体を示す。
図23Eは、RSV Fタンパク質に対するT細胞応答を示す。マトリクスアジュバント化ナノ粒子で得られる応答が、顕著である。
図23Fは、インフルエンザタンパク質に対するT細胞応答を示す。
【0045】
【
図24A】
図24A~24Cは、安定性を増強させたHAナノ粒子を得るための工程および結果を例示する。特に、この精製の間のpH範囲は、pH7.0~pH7.4の中性範囲である。
図24Aは、HAタンパク質を発現している解凍された細胞の使用からバルク原薬(BDS)産物までの精製ステップを示す。
図24Bは、A/ニューハンプシャー/1/2015株を使用する代表的なナノ粒子のクロマトグラムトレースを示す。カラムからのフロースルーを採集し、望ましくない産物を残す。
図24Cは、レンズマメレクチンカラムに対する界面活性剤交換ステップのクロマトグラムトレースを示す。このカラムからのフロースルーを、洗浄液と同様に捨てる。溶出は、0.01% PS80で実施する。緩衝液は以下の通りである:A1:25mMリン酸ナトリウム、pH7.2、150mM NaCl、0.01% PS80、A2:25mM リン酸ナトリウム、pH7.2、500mM NaCl、0.5% NP9、A3:25mMリン酸ナトリウム、pH7.2、150mM NaCl、0.1% PS80、B1:25mMリン酸ナトリウム、pH7.2、150mM。次いでHAナノ粒子を、
図24Aに示すように濃縮し、0.05% PS80緩衝液中に保存する。
【
図24B】
図24A~24Cは、安定性を増強させたHAナノ粒子を得るための工程および結果を例示する。特に、この精製の間のpH範囲は、pH7.0~pH7.4の中性範囲である。
図24Aは、HAタンパク質を発現している解凍された細胞の使用からバルク原薬(BDS)産物までの精製ステップを示す。
図24Bは、A/ニューハンプシャー/1/2015株を使用する代表的なナノ粒子のクロマトグラムトレースを示す。カラムからのフロースルーを採集し、望ましくない産物を残す。
図24Cは、レンズマメレクチンカラムに対する界面活性剤交換ステップのクロマトグラムトレースを示す。このカラムからのフロースルーを、洗浄液と同様に捨てる。溶出は、0.01% PS80で実施する。緩衝液は以下の通りである:A1:25mMリン酸ナトリウム、pH7.2、150mM NaCl、0.01% PS80、A2:25mM リン酸ナトリウム、pH7.2、500mM NaCl、0.5% NP9、A3:25mMリン酸ナトリウム、pH7.2、150mM NaCl、0.1% PS80、B1:25mMリン酸ナトリウム、pH7.2、150mM。次いでHAナノ粒子を、
図24Aに示すように濃縮し、0.05% PS80緩衝液中に保存する。
【
図24C】
図24A~24Cは、安定性を増強させたHAナノ粒子を得るための工程および結果を例示する。特に、この精製の間のpH範囲は、pH7.0~pH7.4の中性範囲である。
図24Aは、HAタンパク質を発現している解凍された細胞の使用からバルク原薬(BDS)産物までの精製ステップを示す。
図24Bは、A/ニューハンプシャー/1/2015株を使用する代表的なナノ粒子のクロマトグラムトレースを示す。カラムからのフロースルーを採集し、望ましくない産物を残す。
図24Cは、レンズマメレクチンカラムに対する界面活性剤交換ステップのクロマトグラムトレースを示す。このカラムからのフロースルーを、洗浄液と同様に捨てる。溶出は、0.01% PS80で実施する。緩衝液は以下の通りである:A1:25mMリン酸ナトリウム、pH7.2、150mM NaCl、0.01% PS80、A2:25mM リン酸ナトリウム、pH7.2、500mM NaCl、0.5% NP9、A3:25mMリン酸ナトリウム、pH7.2、150mM NaCl、0.1% PS80、B1:25mMリン酸ナトリウム、pH7.2、150mM。次いでHAナノ粒子を、
図24Aに示すように濃縮し、0.05% PS80緩衝液中に保存する。
【0046】
【
図25A】
図25A~25Dは、いくつかの株からのトリプシン耐性ナノ粒子の精製の結果を示す。
図25Aは、H1N1サブタイプの代表株、A/ニューハンプシャー/1/2015を示す。
図25Bは、B型インフルエンザの代表株、B/ブリスベーン/60/08 HAを示す。
図25Cは、H1N1サブタイプの代表株、A/ニューハンプシャー/1/2015を示す。各場合において、データは、高レベルの産生および優れた純度を示す。
図25Dは、低pH、約pH6.0に曝露する工程を使用して産生したナノ粒子に対するトリプシン耐性ナノ粒子の示差走査熱量測定(DSC)比較を提供する。DSCデータは、中性pH工程で一層大きな熱安定性を示し、ナノ粒子中のHAタンパク質が適切にフォールドされたことが確立される。
【
図25B】
図25A~25Dは、いくつかの株からのトリプシン耐性ナノ粒子の精製の結果を示す。
図25Aは、H1N1サブタイプの代表株、A/ニューハンプシャー/1/2015を示す。
図25Bは、B型インフルエンザの代表株、B/ブリスベーン/60/08 HAを示す。
図25Cは、H1N1サブタイプの代表株、A/ニューハンプシャー/1/2015を示す。各場合において、データは、高レベルの産生および優れた純度を示す。
図25Dは、低pH、約pH6.0に曝露する工程を使用して産生したナノ粒子に対するトリプシン耐性ナノ粒子の示差走査熱量測定(DSC)比較を提供する。DSCデータは、中性pH工程で一層大きな熱安定性を示し、ナノ粒子中のHAタンパク質が適切にフォールドされたことが確立される。
【
図25C】
図25A~25Dは、いくつかの株からのトリプシン耐性ナノ粒子の精製の結果を示す。
図25Aは、H1N1サブタイプの代表株、A/ニューハンプシャー/1/2015を示す。
図25Bは、B型インフルエンザの代表株、B/ブリスベーン/60/08 HAを示す。
図25Cは、H1N1サブタイプの代表株、A/ニューハンプシャー/1/2015を示す。各場合において、データは、高レベルの産生および優れた純度を示す。
図25Dは、低pH、約pH6.0に曝露する工程を使用して産生したナノ粒子に対するトリプシン耐性ナノ粒子の示差走査熱量測定(DSC)比較を提供する。DSCデータは、中性pH工程で一層大きな熱安定性を示し、ナノ粒子中のHAタンパク質が適切にフォールドされたことが確立される。
【
図25D】
図25A~25Dは、いくつかの株からのトリプシン耐性ナノ粒子の精製の結果を示す。
図25Aは、H1N1サブタイプの代表株、A/ニューハンプシャー/1/2015を示す。
図25Bは、B型インフルエンザの代表株、B/ブリスベーン/60/08 HAを示す。
図25Cは、H1N1サブタイプの代表株、A/ニューハンプシャー/1/2015を示す。各場合において、データは、高レベルの産生および優れた純度を示す。
図25Dは、低pH、約pH6.0に曝露する工程を使用して産生したナノ粒子に対するトリプシン耐性ナノ粒子の示差走査熱量測定(DSC)比較を提供する。DSCデータは、中性pH工程で一層大きな熱安定性を示し、ナノ粒子中のHAタンパク質が適切にフォールドされたことが確立される。
【0047】
【
図26A】
図26A~26Cは、Sf9細胞において発現されるいくつかの株からのトリプシン耐性ナノ粒子のトリプシン耐性の増強の結果を示す。Sf9昆虫細胞中で製作された精製HAナノ粒子は、HA0である。トリプシンに曝露した場合、HA0は、H1中のArg AA344でHA1とHA2に切断される。濃度を増加させたトリプシンとインキュベートした場合、正確にフォールドされたHA三量体はさらなる切断に耐えることになる。
図26Aは、中性pHで精製したB/ブリスベーン/60/08がトリプシンに耐性であり、したがって正確にフォールドされており(左パネル)、一方で、酸性pHで精製したB/ブリスベーン/60/08 HA1はトリプシン感受性であり、したがってミスフォールドされた(右パネル)ことを示す。
図26Bは、A/香港/4801/2014から酸性で精製したが、中性で精製していないHAナノ粒子がミスフォールドされたことを示す。
図26Cは、中性pH A/ニューハンプシャー/1/2015(H1N)HAナノ粒子のトリプシン耐性を示す。対応する酸性pHで精製したナノ粒子は、トリプシン感受性であった(図示せず)。
【
図26B】
図26A~26Cは、Sf9細胞において発現されるいくつかの株からのトリプシン耐性ナノ粒子のトリプシン耐性の増強の結果を示す。Sf9昆虫細胞中で製作された精製HAナノ粒子は、HA0である。トリプシンに曝露した場合、HA0は、H1中のArg AA344でHA1とHA2に切断される。濃度を増加させたトリプシンとインキュベートした場合、正確にフォールドされたHA三量体はさらなる切断に耐えることになる。
図26Aは、中性pHで精製したB/ブリスベーン/60/08がトリプシンに耐性であり、したがって正確にフォールドされており(左パネル)、一方で、酸性pHで精製したB/ブリスベーン/60/08 HA1はトリプシン感受性であり、したがってミスフォールドされた(右パネル)ことを示す。
図26Bは、A/香港/4801/2014から酸性で精製したが、中性で精製していないHAナノ粒子がミスフォールドされたことを示す。
図26Cは、中性pH A/ニューハンプシャー/1/2015(H1N)HAナノ粒子のトリプシン耐性を示す。対応する酸性pHで精製したナノ粒子は、トリプシン感受性であった(図示せず)。
【
図26C】
図26A~26Cは、Sf9細胞において発現されるいくつかの株からのトリプシン耐性ナノ粒子のトリプシン耐性の増強の結果を示す。Sf9昆虫細胞中で製作された精製HAナノ粒子は、HA0である。トリプシンに曝露した場合、HA0は、H1中のArg AA344でHA1とHA2に切断される。濃度を増加させたトリプシンとインキュベートした場合、正確にフォールドされたHA三量体はさらなる切断に耐えることになる。
図26Aは、中性pHで精製したB/ブリスベーン/60/08がトリプシンに耐性であり、したがって正確にフォールドされており(左パネル)、一方で、酸性pHで精製したB/ブリスベーン/60/08 HA1はトリプシン感受性であり、したがってミスフォールドされた(右パネル)ことを示す。
図26Bは、A/香港/4801/2014から酸性で精製したが、中性で精製していないHAナノ粒子がミスフォールドされたことを示す。
図26Cは、中性pH A/ニューハンプシャー/1/2015(H1N)HAナノ粒子のトリプシン耐性を示す。対応する酸性pHで精製したナノ粒子は、トリプシン感受性であった(図示せず)。
【0048】
【
図27】
図27は、市販の卵精製したインフルエンザワクチン(左パネル)および市販の組換えインフルエンザ(右パネル)のトリプシン感受性を示す。HA0は、左パネルにおいてHA1とHA2に切断される。しかしながら、適切にフォールドされたHA1は、さらなるトリプシンに耐性である。対照的に、市販の組換えワクチンは、HA1がトリプシンにより分解されることを示し、このことはミスフォールドされたタンパク質が、ワクチン中に存在することを示す。
【0049】
【
図28】
図28A~28Cは、抗体の誘導、および感染からの防御を示す。マウスを、EBOV/Mak GP 5μg、AlPO4 50μgでアジュバント化したEBOV GP 5μg、またはマトリクスM 5μgでアジュバント化したEBOV/Mak GP 5μgで0、14および28日目にSCで免疫化した。28日目に血清を得て、抗EBOV/Mak GP IgG(
図28A)または抗エボラウイルス中和抗体(
図28B)についてELISAにより評価した。黒いバーは群GMTを表し、エラーバーはGMTの95%信頼区間を示す。42日目に、マウスにマウス適応Zaireエボラウイルス株1976 Mayinga 1,000pfuを感染させた。チャレンジ後、マウスを病的状態および死亡について21日間毎日観察した。
図28Cは、感染したマウスのカプランマイアー生存曲線を示す。
【0050】
【
図29】
図29A~29Cは、マトリクスMが、EBOV/Mak GP特異的IgGおよびIgGサブクラスの応答を増強させたことを示す。0および21日目に、マウスをEBOV/Mak GP 5μg単独であるいはマトリクスM 2.5もしくは5μgまたはAlPO4 50μgのいずれかと組み合わせてIMで免疫化した。プラセボ対照としてマウスはPBSを受けた。第1の注射後21、28および60日目に、血清試料を採集し、EBOV/Mak GP-IgG(
図29A)、IgG1(
図29B)およびIgG2a(
図29C)について試験した。結果は、2つの別々の実験の代表である。黒いバーは群GMTを表し、エラーバーはGMTの95%信頼区間を示す。
【0051】
【
図30-1】
図30A~30Dは、マトリクスMを含むエボラナノ粒子が強いCD4+T細胞およびCD8+T細胞応答ならびに多機能性T細胞を誘導したことを示す。脾臓細胞を、完全なGP配列を網羅しているエボラ/Mak GPペプチドプールで刺激した。培養培地またはイオノマイシン(200ng/ml)を加えたPMA(50ng/ml)を、陰性および陽性対照として使用した。28(
図30A)および60日目(
図30B)のIFNγ陽性スポットを計数し、ELISPOTリーダーおよび付随するソフトウェアで分析した。培地対照のバックグラウンド数を、ペプチド刺激したウェルの数から減算し、平均を3つ組から得た。28日目に同じ群内のマウス5匹全ての細胞をプールし、BD Golgi-stop/Golgi-plugの存在下で培地単独または、GPペプチドプールもしくはPMA+イオノマイシンのいずれかと37℃で6時間インキュベートした。次いで細胞を採取し、細胞表面マーカーおよび細胞内サイトカインに対して染色した。サイトカインの頻度を、CD3+CD44+CD62-CD4+生エフェクターメモリーT細胞またはCD3+CD44+CD62-CD8+生エフェクターメモリーT細胞に対するゲート制御によりFlowjoソフトウェアおよびFlowjoブーリアン機能を使用して分析した。(
図30Cおよび30D)単一サイトカイン、二重サイトカインまたは三重サイトカインに対する値は、3つのサイトカイン(IFNγ、TNFαおよびIL-2)のうちいずれか1つ、3つのサイトカインのうちいずれか2つ、または3つ全てのサイトカインを発現している細胞の頻度の合計を表す。結果は、2つの別々の実験の代表である。黒いバーは群平均を示し、エラーバーは標準偏差を表す。
【
図30-2】
図30A~30Dは、マトリクスMを含むエボラナノ粒子が強いCD4+T細胞およびCD8+T細胞応答ならびに多機能性T細胞を誘導したことを示す。脾臓細胞を、完全なGP配列を網羅しているエボラ/Mak GPペプチドプールで刺激した。培養培地またはイオノマイシン(200ng/ml)を加えたPMA(50ng/ml)を、陰性および陽性対照として使用した。28(
図30A)および60日目(
図30B)のIFNγ陽性スポットを計数し、ELISPOTリーダーおよび付随するソフトウェアで分析した。培地対照のバックグラウンド数を、ペプチド刺激したウェルの数から減算し、平均を3つ組から得た。28日目に同じ群内のマウス5匹全ての細胞をプールし、BD Golgi-stop/Golgi-plugの存在下で培地単独または、GPペプチドプールもしくはPMA+イオノマイシンのいずれかと37℃で6時間インキュベートした。次いで細胞を採取し、細胞表面マーカーおよび細胞内サイトカインに対して染色した。サイトカインの頻度を、CD3+CD44+CD62-CD4+生エフェクターメモリーT細胞またはCD3+CD44+CD62-CD8+生エフェクターメモリーT細胞に対するゲート制御によりFlowjoソフトウェアおよびFlowjoブーリアン機能を使用して分析した。(
図30Cおよび30D)単一サイトカイン、二重サイトカインまたは三重サイトカインに対する値は、3つのサイトカイン(IFNγ、TNFαおよびIL-2)のうちいずれか1つ、3つのサイトカインのうちいずれか2つ、または3つ全てのサイトカインを発現している細胞の頻度の合計を表す。結果は、2つの別々の実験の代表である。黒いバーは群平均を示し、エラーバーは標準偏差を表す。
【0052】
【
図31-1】
図31A~31Eは、マトリクスMが胚中心(GC)細胞応答を増強させたことを示す。新鮮な脾細胞をGC B細胞に対して染色し、データを材料および方法に記載の通り取得した。データを、Flowjoソフトウェアで分析した。死細胞を、Invitrogen LIVE/DEAD(商標)fixable yellow dyeにより分析から除外した。(
図31A)、GC細胞を、B220+B細胞ゲートにおけるCD95+GL-7+と定義し、代表的なマウスのドット-プロット中の数字は、28日目における同じ群内のマウス5匹全てのGC頻度の平均および標準偏差を示す。個々のマウスのGC細胞頻度を、28日目(
図31B)および60日目について示す(
図31C)。28(
図31D)および60日目(
図31E)の脾臓当たりのGC細胞の絶対数を、脾臓中の脾細胞の総数にGC細胞の頻度を乗算することにより算出した。黒いバーは群平均を示し、エラーバーは標準偏差を表す。
【
図31-2】
図31A~31Eは、マトリクスMが胚中心(GC)細胞応答を増強させたことを示す。新鮮な脾細胞をGC B細胞に対して染色し、データを材料および方法に記載の通り取得した。データを、Flowjoソフトウェアで分析した。死細胞を、Invitrogen LIVE/DEAD(商標)fixable yellow dyeにより分析から除外した。(
図31A)、GC細胞を、B220+B細胞ゲートにおけるCD95+GL-7+と定義し、代表的なマウスのドット-プロット中の数字は、28日目における同じ群内のマウス5匹全てのGC頻度の平均および標準偏差を示す。個々のマウスのGC細胞頻度を、28日目(
図31B)および60日目について示す(
図31C)。28(
図31D)および60日目(
図31E)の脾臓当たりのGC細胞の絶対数を、脾臓中の脾細胞の総数にGC細胞の頻度を乗算することにより算出した。黒いバーは群平均を示し、エラーバーは標準偏差を表す。
【0053】
【
図32-1】
図32A~32Eは、マトリクスMが、脾臓中のTFH細胞の頻度および絶対数を増強したことを示す。B220-CD49b-CD3+CD4+T細胞ゲート内のCXCR5+PD-1+T細胞と定義されるTFH細胞を、28日目および60日目に脾臓内に同定した。各群のTFH細胞分析の代表的なドット-プロットを示す(
図32A)。ドット-プロット中の数字は、28日目の平均頻度および標準偏差である。28(
図32B)および60日目(
図32D)のCD4+T細胞集団内のTFH細胞の頻度を示す。28(
図32C)および60日目(
図32E)の脾臓当たりのTFH細胞絶対数を、脾臓中の脾細胞の総数にTFH細胞の頻度を乗算することにより算出した。黒いバーは群平均を示し、エラーバーは標準偏差を表す。
【
図32-2】
図32A~32Eは、マトリクスMが、脾臓中のTFH細胞の頻度および絶対数を増強したことを示す。B220-CD49b-CD3+CD4+T細胞ゲート内のCXCR5+PD-1+T細胞と定義されるTFH細胞を、28日目および60日目に脾臓内に同定した。各群のTFH細胞分析の代表的なドット-プロットを示す(
図32A)。ドット-プロット中の数字は、28日目の平均頻度および標準偏差である。28(
図32B)および60日目(
図32D)のCD4+T細胞集団内のTFH細胞の頻度を示す。28(
図32C)および60日目(
図32E)の脾臓当たりのTFH細胞絶対数を、脾臓中の脾細胞の総数にTFH細胞の頻度を乗算することにより算出した。黒いバーは群平均を示し、エラーバーは標準偏差を表す。
【0054】
【
図33】
図33A~33Bは、マトリクスMが、骨髄において長命形質細胞を誘導したことを示す。脾臓および骨髄細胞を、EBOV/Mak GPコートしたELISPOTプレート中で終夜インキュベートした。EBOV/Mak GP特異的IgGスポットを、ヤギ抗マウスIgG-HRPとインキュベートし、続いてスポットを発色させることにより検出した。スポット数を計数し、ELISPOTリーダーを使用して分析した。100万個細胞当たりの抗体分泌細胞(ASC)の数を示す。(
図33A)脾臓における60日目のEBOV/Mak GP-IgG ASC数;(
図33B)骨髄における60日目のEBOV/Mak GP-IgG ASC数。黒いバーは群平均を示し、エラーバーは標準偏差を表す。
【0055】
【
図34A】
図34A~34Bは、エボラ糖タンパク質の特徴を示す。
図34Aは、ドメイン構造を示す。
図34Bは、切断されるシグナルペプチドならびに成熟タンパク質のNおよびC末端、ならびにフューリン切断配列を含むGPのアミノ酸配列を示す(配列番号22)。
【
図34B】
図34A~34Bは、エボラ糖タンパク質の特徴を示す。
図34Aは、ドメイン構造を示す。
図34Bは、切断されるシグナルペプチドならびに成熟タンパク質のNおよびC末端、ならびにフューリン切断配列を含むGPのアミノ酸配列を示す(配列番号22)。
【0056】
【
図35A】
図35A~35Cは、本開示のナノ粒子の電子顕微鏡写真を示す。
図35Bが、コアに付着した最大5コピーの三量体を含む非イオン性界面活性剤コアを例示することに注意すべきである。いくつかの場合において、追加の三量体は、表示する平面外にある。
図35Cは、顕微鏡写真のナノ粒子の上に重ねたGP三量体によるドッキング研究を示す。
【
図35B】
図35A~35Cは、本開示のナノ粒子の電子顕微鏡写真を示す。
図35Bが、コアに付着した最大5コピーの三量体を含む非イオン性界面活性剤コアを例示することに注意すべきである。いくつかの場合において、追加の三量体は、表示する平面外にある。
図35Cは、顕微鏡写真のナノ粒子の上に重ねたGP三量体によるドッキング研究を示す。
【
図35C】
図35A~35Cは、本開示のナノ粒子の電子顕微鏡写真を示す。
図35Bが、コアに付着した最大5コピーの三量体を含む非イオン性界面活性剤コアを例示することに注意すべきである。いくつかの場合において、追加の三量体は、表示する平面外にある。
図35Cは、顕微鏡写真のナノ粒子の上に重ねたGP三量体によるドッキング研究を示す。
【0057】
【
図36】
図36は、エボラナノ粒子を検出するための3つのモノクローナル抗エボラ抗体の能力を例示する。
【0058】
【
図37】
図37は、エボラGPナノ粒子(配列番号23~25)のエピトープに対する抗体の結合に関する表面プラズモン共鳴(SPR)データを示す。
【0059】
【
図38】
図38は、本開示のナノ粒子に対する13C6抗体の結合の高い有効性を例示する。
【0060】
【
図39】
図39は、ヒヒ免疫原性研究設計を例示する。群1は、アジュバントを含まないGPナノ粒子60μgであった。群2は、AlPO4アジュバント800μgを含むGPナノ粒子60μgであった。群3は、マトリクスMアジュバント50μgを含むGPナノ粒子60μgであった。群4は、マトリクスMアジュバント50μgを含むGPナノ粒子5μgであった。
【0061】
【
図40A】
図40A~40Bは、
図39におけるヒヒ免疫原性研究の結果を例示する。21日目に、EC90力価は群2および3で増加した。
図40A。力価は、両方の群において、ならびにMakonaエボラウイルスおよびMayinga株(エボラZaire株の原型改変体である)の糖タンパク質を含有するナノ粒子に対してもおよそ同じであった。31日目までに、免疫応答は、全ての場合において、特にGPおよびマトリクスMアジュバントを含有する組成物で顕著であった。特に、低用量のGP(5μg)は、高用量(60μg)と同様に機能し、マトリクスMによる用量節約効果を強調した。
【
図40B】
図40A~40Bは、
図39におけるヒヒ免疫原性研究の結果を例示する。21日目に、EC90力価は群2および3で増加した。
図40A。力価は、両方の群において、ならびにMakonaエボラウイルスおよびMayinga株(エボラZaire株の原型改変体である)の糖タンパク質を含有するナノ粒子に対してもおよそ同じであった。31日目までに、免疫応答は、全ての場合において、特にGPおよびマトリクスMアジュバントを含有する組成物で顕著であった。特に、低用量のGP(5μg)は、高用量(60μg)と同様に機能し、マトリクスMによる用量節約効果を強調した。
【0062】
【
図41】
図41は、ナノ粒子組成物により達成される永続的な免疫応答を例示する。データは、0日目および21日目に投与した後のIgGに対するEC50 GMT応答を示す。GPおよびマトリクスMを含むナノ粒子は、ミョウバンアジュバントより優れた応答を示し、応答は、時間をわたり高いままである。
【0063】
【
図42】
図42は、IFNγ放出細胞に関連する免疫応答の刺激を例示する。GPナノ粒子5μgと組み合わせたマトリクスMは最大の応答を与え、次に高用量GPナノ粒子(60μg)が続いた。ミョウバンの使用により、IFNγを分泌する末梢血単核細胞(PBMC)において、低いが、検出可能な増加が得られた。
【0064】
【
図43】
図43は、本明細書に開示するGPナノ粒子を含有するワクチン組成物を投与されたヒヒから単離したCD4+およびCD8+T細胞のIFNγおよびTNFα放出プロファイルを例示する。
【0065】
【
図44】
図44は、本明細書に開示するGPナノ粒子を含有するワクチン組成物を投与されたヒヒから単離したT細胞のサイトカイン放出プロファイルを例示する。データは、マトリクスMアジュバント化GPナノ粒子組成物が、より広いサイトカイン放出プロファイルを有する免疫応答を刺激することを示す。
【0066】
【
図45】
図45は、Cynomolgus macaquesにおいて実施したワクチン試験の設計を示す。0および21日目に、動物にGP 5μg+マトリクスM 50μgのワクチン組成物を投与し、次いで42日目にチャレンジした。動物33360、33362および33355を、ワクチン組成物で処置した。動物33356にプラセボを投与した。
【0067】
【
図46】
図46は、Cynomolgus macaque試験において得られたIgG力価を示す。28日目までに、EC50力価は105を超えた。
【0068】
【
図47-1】
図47は、処置したマカクから単離したIFNγ分泌PBMC細胞の誘導を示す。エボラZaireGPから得られるペプチドをプールし、アッセイに使用した。ZaireおよびSudan株から得られるコンセンサスペプチドも試験した。示したデータは、0週目(上段パネル)、3週目(中段パネル)および5週目(下段パネル)におけるそれらペプチドに応答した細胞を例示する。プラセボで注射した対照動物は、基本的に応答を示さなかった。対照的に、ワクチン処置動物は、試験した様々なペプチドに応答して細胞放出IFNγの強い増加を示した。
【
図47-2】
図47は、処置したマカクから単離したIFNγ分泌PBMC細胞の誘導を示す。エボラZaireGPから得られるペプチドをプールし、アッセイに使用した。ZaireおよびSudan株から得られるコンセンサスペプチドも試験した。示したデータは、0週目(上段パネル)、3週目(中段パネル)および5週目(下段パネル)におけるそれらペプチドに応答した細胞を例示する。プラセボで注射した対照動物は、基本的に応答を示さなかった。対照的に、ワクチン処置動物は、試験した様々なペプチドに応答して細胞放出IFNγの強い増加を示した。
【
図47-3】
図47は、処置したマカクから単離したIFNγ分泌PBMC細胞の誘導を示す。エボラZaireGPから得られるペプチドをプールし、アッセイに使用した。ZaireおよびSudan株から得られるコンセンサスペプチドも試験した。示したデータは、0週目(上段パネル)、3週目(中段パネル)および5週目(下段パネル)におけるそれらペプチドに応答した細胞を例示する。プラセボで注射した対照動物は、基本的に応答を示さなかった。対照的に、ワクチン処置動物は、試験した様々なペプチドに応答して細胞放出IFNγの強い増加を示した。
【0069】
【
図48】
図48は、マカクにおけるウイルス量および生存を示す。チャレンジ後7日目までにプラセボ動物はウイルス核酸の実質的な増加を呈し、これはエボラ感染を示した。9日目までにその動物を安楽死させた。ワクチン接種した動物全てが生存した。動物33360だけはウイルス核酸の検出可能な増加を呈し、それはほぼ検出限界であった。10日目までに、その唯一の動物においても、ウイルスRNAレベルがRT-PCRの検出能力以下に下落した。
【0070】
【
図49】
図49は、追加のマカク研究のためのワクチン試験の設計を示す。動物に、生理食塩水またはGP 5μg+マトリクスM 50μgを投与した。群Fは、0および6週目にワクチンを受けた。群Gは、0および3週目にワクチンを受けた。両方の群を、ブーストワクチンの投与6週間後にチャレンジした。
【0071】
【
図50】
図50は、第2の研究の結果を示す。両方の群において、抗エボラGPの実質的な増加が得られた。生ウイルスによるチャレンジ後18日目に、生理食塩水対照動物の生存率は、0%であった。対照的に群FおよびGそれぞれにおいて両方の動物が生存し、ワクチン組成物が防御的であると確立された。
【発明を実施するための形態】
【0072】
免疫応答を誘導するためのナノ粒子、それらを産生するおよび投与するための方法ならびにそれらを含有するワクチン組成物が本明細書で開示される。ナノ粒子は、多数の手段によって安定性の増強を提供している構造を生じる界面活性剤コアを囲み、会合している抗原を提供する。界面活性剤コアと抗原とは、抗原および界面活性剤の特性によって媒介される物理化学的相互作用を介して会合する。加えて、ナノ粒子は、理論に束縛されることなく、界面活性剤コアの周りの抗原の配向から生じると考えられている特に良好な抗原提示を免疫系に与える。
【0073】
一態様では、本開示は、組換えウイルス糖タンパク質ナノ粒子を含有する組成物を提供する。具体的な態様では、糖タンパク質は、好適な宿主細胞で組換え発現される。一実施形態では、宿主細胞は、昆虫細胞である。例示的実施形態では、昆虫細胞は、Sf9細胞である。
【0074】
特定の態様では、本開示は、ナノ粒子構造中に1つまたは複数のウイルス糖タンパク質分子種を含む免疫原性組成物を提供し、ここで糖タンパク質は三量体の形態にあり、各ナノ粒子は非イオン性界面活性剤コアと会合している少なくとも1個の三量体を含有する。特定の態様では、ナノ粒子は、1つだけの病原体由来の、ウイルス糖タンパク質などの抗原からなる。
【0075】
ナノ粒子は、ウイルス感染の予防および/または処置のために使用できる。したがって別の態様では、本開示は、ウイルスに対する免疫応答を誘発するための方法を提供する。方法は、ナノ粒子を含有する組成物の免疫学的有効量を被験体に投与するステップを含む。
【0076】
本開示は、ナノ粒子を含むワクチン組成物を提供する。組成物は、複数の病原体由来の抗原を有するナノ粒子を含有できる。一部の態様では、ワクチン組成物は、同じウイルス種由来の1つより多いウイルス株由来の抗原を含むナノ粒子を含有できる。態様では、ワクチン組成物は、異なるウイルス種由来の抗原を含むナノ粒子を含有できる。別の実施形態では、本開示は、ワクチン組成物の構成成分の1つまたは複数で満たされた1つまたは複数の容器を含む薬学的パックまたはキットを提供する。
【0077】
別の実施形態では、本開示は、有効用量のナノ粒子を組成物に加えるステップを含む、
感染またはその少なくとも1つの疾患症状に対して哺乳動物に免疫を誘導するワクチン組成物を製剤化する方法を提供する。開示のナノ粒子は、感染性因子について免疫または実質的な免疫を付与する免疫応答を刺激する組成物を調製するために有用である。したがって一実施形態では、本開示は、少なくとも一有効用量のナノ粒子を投与するステップを含む、被験体において感染またはその少なくとも1つの疾患症状に対して免疫を誘導する方法を提供する。
【0078】
一部の実施形態では、ナノ粒子は、アジュバントとともに投与される。他の態様では、ナノ粒子は、アジュバントを伴わずに投与される。一部の態様では、アジュバントは、非共有結合相互作用によってなどでナノ粒子に結合してよい。他の態様では、アジュバントは、ナノ粒子と同時投与されるが、アジュバントとナノ粒子とは実質的に相互作用しない。
【0079】
同様に、ナノ粒子およびワクチン組成物を製造する方法が本明細書で提供される。有利には方法は、バキュロウイルス/Sf9系におけるタンパク質の組換え発現に関連するタンパク質などの他のタンパク質の混入を実質的に含まないナノ粒子を提供する。
【0080】
定義
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明らかに他を示す場合を除いて複数の参照物を含む。それにより例えば「タンパク質(a protein)」を参照することは、1つのタンパク質またはそのようなタンパク質の混合物を指す場合があり、「方法(the method)」を参照することは、当業者に公知の等価のステップおよび/または方法を参照することを含み、他も同様である。
【0081】
本明細書において使用される用語「アジュバント」は、免疫原との組み合わせで使用される場合、免疫原に対して誘導される免疫応答を増大させる、または他に変更するもしくは改変する化合物を指す。免疫応答の改変は、抗体および細胞性免疫応答のいずれかまたは両方の特異性を強化することまたは広げることを含んでよい。
【0082】
本明細書において使用される用語「約」または「およそ」は、数値に先行する場合、値のプラスマイナス10%の範囲を示す。例えば「約100」は、90および110を包含する。
【0083】
本明細書において使用される用語「免疫原」、「抗原」および「エピトープ」は、免疫応答を誘発できる糖タンパク質を含むタンパク質およびペプチドなどの物質を指す。
【0084】
本明細書において使用される「免疫原性組成物」は、抗原を含む組成物であり、被験体への組成物の投与は抗原への液性および/または細胞性免疫応答の被験体における発達をもたらす。
【0085】
本明細書において使用される「サブユニット」組成物、例えばワクチンは、1つまたは複数の選択された抗原を含むが、全ての抗原が病原体由来ではない。そのような組成物は、インタクトなウイルスまたはそのような細胞もしくは粒子の溶解物を実質的に含まず、病原体から少なくとも部分的に精製された、しばしば実質的に精製された免疫原性ポリペプチドから典型的には調製される。本明細書に開示のサブユニット組成物中の抗原は、組換えで、しばしばバキュロウイルス系を使用して典型的には調製される。
【0086】
本明細書において使用される「実質的に」は物質が、それが含有される試料で大部分のパーセントを形成するような物質(例えば化合物、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド
)の単離を指す。例えば試料中で、実質的に精製された構成成分は、試料の85%、好ましくは85%~90%、より好ましくは少なくとも95%~99.5%および最も好ましくは少なくとも99%を構成する。構成成分が実質的に置き換えられている場合、試料中の残存量は約0.5%から約10%未満または等しい、好ましくは約0.5%から約1.0%未満である。
【0087】
本明細書において使用される用語「処置する(treat)」、「処置(treatment)」および「処置すること(treating)」は、有益なまたは望ましい結果、例えば臨床結果を得るためのアプローチを指す。本開示の目的のために、有益なまたは望ましい結果は、感染もしくは疾患の惹起もしくは進行を阻害することもしくは抑制すること;感染もしくは疾患の症状を好転させる(ameliorate)もしくはその発生を低減すること;またはこれらの組み合わせを含んでよい。
【0088】
本明細書において使用される「予防(prevention)」は「予防(prophylaxis)」と互換的に使用され、感染もしくは疾患の完全な予防、またはその感染もしくは疾患の症状の発生の予防;感染もしくは疾患またはその症状の発症の遅延;あるいはその後に発生する感染もしくは疾患またはその症状の重症度の減少を意味できる。
【0089】
本明細書において使用される「有効用量」または「有効量」は、病原体感染の少なくとも1つの症状を低減する免疫応答を誘導するために十分な免疫原の量を指す。有効用量または有効量は、例えばプラーク中和、補体結合、酵素結合免疫吸着(ELISA)またはマイクロ中和アッセイによって例えば分泌および/または血清抗体を中和する量を測定することによって決定できる。
【0090】
本明細書において使用される用語「ワクチン」は、防御免疫(例えば、病原体の感染に対して被験体を防御するおよび/または病原体の感染によって生じる疾患もしくは状態の重症度を低減する免疫)を提供する、病原体に対する免疫応答を誘導するために使用される病原体由来の免疫原などの免疫原性組成物を指す。防御免疫応答は、抗体の形成および/または細胞媒介応答を含んでよい。内容に応じて、用語「ワクチン」は、防御免疫を産生するために脊椎動物に投与される免疫原の懸濁物または溶液を指す場合もある。
【0091】
本明細書において使用される用語「被験体」は、ヒトおよび他の動物を含む。典型的には被験体はヒトである。例えば被験体は、成人、ティーンエイジャー、小児(2歳から14歳)、乳児(1カ月から24カ月)または新生児(1カ月まで)であってよい。一部の態様では、成人は、約65歳もしくはそれより年長のまたは約60歳もしくはそれより年長の年長者である。一部の態様では、被験体は、妊娠中の女性または妊娠を意図している女性である。他の態様では、被験体は、ヒトではなく;例えば非ヒト霊長類;例えば、ヒヒ、チンパンジー、ゴリラまたはマカクである。ある特定の態様では、被験体は、イヌまたはネコなどのペットであってよい。
【0092】
本明細書において使用される用語「薬学的に許容される」は、米国連邦政府もしくは州政府の規制機関によって認可されているまたは米国薬局方、欧州薬局方もしくは哺乳動物、より詳細にはヒトでの使用について他に一般的に認められている薬局方に列挙されていることを意味する。これらの組成物は、脊椎動物において防御免疫応答を誘導するためのワクチンおよび/または抗原性組成物として有用であり得る。
【0093】
本明細書において使用される用語「約」は、示される数値のプラスマイナス10%を意味する。
【0094】
概要
病原体由来抗原は、安定性が改善され、優れた免疫原性を有する、界面活性剤コアを囲むナノ粒子を提供するために非イオン性界面活性剤と組み合わされる。本開示は、病原体に対して被験体にワクチン接種するための方法および組成物も提供する。特定の態様では、病原体は、ウイルスである。抗原は、典型的にはタンパク質、しばしば糖タンパク質である。同様に、ワクチン組成物としての使用が見出されたナノ粒子を含有する組成物が開示される。ナノ粒子を産生するおよびワクチン組成物を産生する方法も開示される。
【0095】
ナノ粒子構造および形態
本開示のナノ粒子は、非イオン性界面活性剤コアと会合している抗原を含む。
図6上パネルは、界面活性剤コアと会合している複数のRSV F抗原の例を例示している。
図35は、エボラナノ粒子を示している。有利にはナノ粒子は、それらが安定性の増強を提供するように環境ストレスへの耐性が改善されている。
【0096】
特定の実施形態では、ナノ粒子は、非イオン性界面活性剤コアを囲む複数のタンパク質三量体から構成される。例えば各ナノ粒子は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個または15個の三量体を含有する場合がある。典型的には各ナノ粒子は、2個から9個の三量体を含有する。特定の実施形態では、各ナノ粒子は、2個から6個の三量体を含有する。本明細書に開示の組成物は、異なる数の三量体を有するナノ粒子を含有してよい。例えば組成物は、三量体の数が2~9の範囲にあるナノ粒子を含有してよく;他の実施形態では、組成物中のナノ粒子は、2~6個の三量体を含有してよい。特定の実施形態では、組成物は、ナノ粒子1個当たり2個から6個の三量体、またはナノ粒子1個当たり2個から9個の三量体を有するナノ粒子の不均一な集団を含有する。他の実施形態では、組成物は、ナノ粒子の実質的に均一な集団を含有してよい。例えば集団は、約95%が5個の三量体を有するナノ粒子を含有してよい。
【0097】
抗原は、ナノ粒子の非イオン性界面活性剤含有コアと会合する。典型的には界面活性剤は、ポリソルベート-20(PS20)、ポリソルベート-40(PS40)、ポリソルベート-60(PS60)、ポリソルベート-65(PS65)およびポリソルベート-80(PS80)から選択される。界面活性剤の存在は、抗原を組織化し提示するコアを形成することによってナノ粒子の形成を促進する。それによりある特定の実施形態では、ナノ粒子は、外側に突出したヘッド領域および疎水性領域を含み、PS80界面活性剤が抗原によって囲まれた中央コアを形成している、マルチオリゴマー糖タンパク質-PS80タンパク質-界面活性剤ナノ粒子にアセンブルした抗原を含有してよい。
【0098】
本明細書に開示のナノ粒子は、約20nmから約60nm、約20nmから約50nm、約20nmから約45nmまたは約25nmから約45nmのZ平均サイズの範囲である。粒子サイズ(Z平均)は、他に指定のない限りMalvern Zetasizerを使用して動的光散乱(DLS)によって測定される。
【0099】
いくつかのナノ粒子タイプが、本明細書に開示のワクチン組成物に含まれていてもよい。一部の態様では、ナノ粒子タイプは、二量体または単量体であってよい異方性ロッドの形態にある。他の態様では、ナノ粒子タイプは、球状オリゴマーである。さらに他の態様では、ナノ粒子は、最初の2つのタイプの中間の沈降特性を有する中間体ナノ粒子として記載されてよい。ナノ粒子タイプの形成は、産生工程の際の界面活性剤およびタンパク質の濃度を管理することによって制御できる。ナノ粒子タイプは、沈降係数を測定することによって決定できる。例えばRSV Fナノ粒子を示す
図9Aおよび9Bを参照されたい。同様に、界面活性剤およびタンパク質の濃度を調節することによってナノ粒子サイズを管理することを例示する
図8も参照されたい。
【0100】
ナノ粒子産生
本開示のナノ粒子は、天然に存在しない産生物であり、その構成成分は天然では一緒には存在しない。一般に本明細書に開示の方法は、第1の界面活性剤がタンパク質を単離するために使用され、次いでその第1の界面活性剤がナノ粒子を形成するために第2の界面活性剤に交換される界面活性剤交換アプローチを使用する。
【0101】
ナノ粒子中に含有される抗原は、宿主細胞において組換え発現によって典型的には産生される。標準的な組換え技術が使用されてよい。典型的にはタンパク質は、バキュロウイルス系を使用して昆虫宿主細胞で発現される。好ましい実施形態では、バキュロウイルスは、カテプシン-Lノックアウトバキュロウイルスである。他の好ましい実施形態では、バキュロウイルス(bacuolovirus)は、キチナーゼノックアウトバキュロウイルスである。さらに他の好ましい実施形態では、バキュロウイルスは、カテプシン-Lおよびキチナーゼの両方についてダブルノックアウトである。高レベル発現は、昆虫細胞発現系において得ることができる。昆虫細胞の非限定的例は、Spodoptera frugiperda(Sf)細胞、例えばSf9、Sf21、Trichoplusia
ni細胞、例えばハイファイブ細胞およびDrosophila S2細胞である。
【0102】
典型的トランスフェクションおよび細胞増殖方法は、細胞を培養するために使用できる。ベクター、例えば融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターは、当技術分野において周知の方法により宿主細胞にトランスフェクトできる。例えば真核細胞に核酸を導入することは、リン酸カルシウム共沈殿、電気穿孔法、微量注入、リポフェクションおよびポリアミントランスフェクション試薬を用いるトランスフェクションによって達成できる。一実施形態では、ベクターは、組換えバキュロウイルスである。
【0103】
宿主細胞を増殖させる方法は、これだけに限らないが、バッチ、バッチ流加、連続および灌流細胞培養技術を含む。細胞培養は、細胞が繁殖し、精製および単離のためのタンパク質(例えば組換えタンパク質)を発現するバイオリアクター(発酵チャンバー)での細胞の増殖および繁殖を意味する。典型的には細胞培養は、バイオリアクター中で滅菌、管理された温度および大気条件下で実施される。バイオリアクターは、温度、大気、撹拌および/またはpHなどの環境条件がモニターできる、細胞を培養するために使用されるチャンバーである。一実施形態では、バイオリアクターは、ステンレス鋼チャンバーである。別の実施形態では、バイオリアクターは、予め滅菌されたプラスチックバッグ(例えばCellbag(登録商標)、Wave Biotech、Bridgewater、N.J.)である。他の実施形態では、予め滅菌されたプラスチックバッグは、約50Lから3500Lのバッグである。
【0104】
ナノ粒子の界面活性剤抽出および精製
宿主細胞の増殖後、タンパク質は界面活性剤および精製プロトコールを使用して宿主細胞から収集されてよい。宿主細胞が48から96時間増殖された後、細胞は培地から単離され、界面活性剤含有溶液が細胞膜を可溶化し、タンパク質を界面活性剤抽出物中に放出するために加えられる。Triton X-100および、NP-9としても公知のtergitolは、それぞれ抽出のための好ましい界面活性剤である。界面活性剤は、約0.1%から約1.0%の最終濃度で加えられてよい。例えば濃度は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.5%、約0.7%、約0.8%または約1.0%であってよい。ある特定の実施形態では、範囲は、約0.1%から約0.3%であってよい。好ましくは濃度は約0.5%である。
【0105】
他の態様では、異なる第1の界面活性剤が宿主細胞からタンパク質を単離するために使用されてよい。例えば第1の界面活性剤は、ビス(ポリエチレングリコールビス[イミダゾイルカルボニル])、ノノキシノール-9、ビス(ポリエチレングリコールビス[イミダゾイルカルボニル])、Brij(登録商標)35、Brij(登録商標)56、Br
ij(登録商標)72、Brij(登録商標)76、Brij(登録商標)92V、Brij(登録商標)97、Brij(登録商標)58P、Cremophor(登録商標)EL、デカエチレングリコールモノドデシルエーテル、N-デカノイル-N-メチルグルカミン、n-デシルアルファ-Dグルコピラノシド、デシルベータ-D-マルトピラノシド、n-ドデカノイル-N-メチルグルカミド、nドデシルアルファ-D-マルトシド、n-ドデシルベータ-D-マルトシド、n-ドデシルベータ-D-マルトシド、ヘプタエチレングリコールモノデシルエーテル、ヘプタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ヘプタエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、n-ヘキサデシルベータ-D-マルトシド、ヘキサエチレングリコールモノドデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノオクタデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、イゲパルCA-630、イゲパルCA-630、メチル-6-0-(N-ヘプチルカルバモイル)-アルファ-D-グルコピラノシド、ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-ノナノイルN-メチルグルカミン、オクタエチレングリコールモノデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノオクタデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、オクチル-ベータ-Dグルコピラノシド、ペンタエチレングリコールモノデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノオクタデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノオクチルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールエーテルW-1、ポリオキシエチレン10トリデシルエーテル、ポリオキシエチレン100ステアレート、ポリオキシエチレン20イソヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレン20オレイルエーテル、ポリオキシエチレン40ステアレート、ポリオキシエチレン50ステアレート、ポリオキシエチレン8ステアレート、ポリオキシエチレンビス(イミダゾリルカルボニル)、ポリオキシエチレン25プロピレングリコールステアレート、Quillaja属樹皮由来サポニン、Span(登録商標)20、Span(登録商標)40、Span(登録商標)60、Span(登録商標)65、Span(登録商標)80、Span(登録商標)85、Tergitol15-S-12型、Tergitol15-S-30型、Tergitol15-S-5型、Tergitol15-S-7型、Tergitol15-S-9型、TergitolNP-10型、TergitolNP-4型、TergitolNP-40型、TergitolNP-7型、TergitolNP-9型、TergitolTMN-10型、TergitolTMN-6型、Triton X-100またはこれらの組み合わせであってよい。
【0106】
次いでナノ粒子は、遠心分離を使用して細胞残渣から単離されてよい。一部の実施形態では、塩化セシウム、スクロースおよびイオジキサノールなどを使用する勾配遠心分離が使用される場合がある。例えば、イオン交換、アフィニティーおよびゲル濾過クロマトグラフィーを含む標準的精製技術などの他の技術が、代替としてまたは追加で使用されてよい。
【0107】
例えば第1のカラムは、Fractogel(登録商標)EMD TMAE(EMD Millipore)などのイオン交換クロマトグラフィー樹脂であってよく、第2のカラムは、レンズマメ(Lens culinaris)レクチンアフィニティー樹脂であってよく、第3のカラムは、Fractogel(登録商標)EMD SO3(EMD Millipore)樹脂などの陽イオン交換カラムであってよい。他の態様では、陽イオン交換カラムは、MMCカラムまたはNuvia C Primeカラム(Bio-Rad Laboratories,Inc)であってよい。好ましくは本明細書に開示の方法は、界面活性剤抽出カラム;例えば疎水性相互作用カラムを使用しない。そのような
カラムは、精製の際に界面活性剤を除去するためにしばしば使用されるが、本明細書で開示の方法に悪影響を及ぼす場合がある。
【0108】
界面活性剤交換
ナノ粒子を形成するために、宿主細胞からタンパク質を抽出するために使用される第1の界面活性剤は、ナノ粒子構造に達する第2の界面活性剤で実質的に置き換えられる。NP-9は、好ましい抽出界面活性剤である。典型的にはナノ粒子は、HPLCによって測定された場合検出可能なNP-9を含有しない。第2の界面活性剤は、PS20、PS40、PS60、PS65およびPS80からなる群より典型的には選択される。好ましくは第2の界面活性剤はPS80である。ナノ粒子製剤の安定性を維持するために、第2の界面活性剤とタンパク質との比は、ある特定の範囲内に維持される。
【0109】
特定の態様では、界面活性剤交換は、それらの炭水化物成分を介して糖タンパク質を結合させるアフィニティークロマトグラフィーを使用して実施される。例えばアフィニティークロマトグラフィーは、マメ科レクチンカラムを使用する場合がある。マメ科レクチンは、もともと植物で同定されたタンパク質であり、炭水化物残基と特異的、可逆的に相互作用することが見出されている。例えば、SharonおよびLis、「Legume lectins--a large family of homologous proteins」、FASEB J.1990年11月;4号(14巻):3198~208頁;Liener、「The Lectins: Properties, Functions, and Applications in Biology and Medicine」、Elsevier、2012年を参照されたい。好適なレクチンは、コンカナバリンA(con A)、マメレクチン、イガマメレクチン(lect)およびレンズマメレクチンを含む。レンズマメレクチンは、その結合特性から界面活性剤交換のために好ましいカラムである。例えば実施例10を参照されたい、レクチンカラムは、商業的に入手でき;例えば、カプトレンズマメレクチンは、GE Healthcareから入手可能である。ある特定の態様では、レンズマメレクチンカラムは、組換えレクチンを使用する場合がある。分子レベルでは、炭水化物成分がレンズマメレクチンに結合し、タンパク質のアミノ酸を遊離させ、界面活性剤の周囲に合体できるようにして界面活性剤コアの形成をもたらし、複数コピーの抗原、例えば界面活性剤に係留された二量体、三量体または四量体であってよい糖タンパク質オリゴマーを有するナノ粒子を提供すると考えられる。
【0110】
界面活性剤交換の際にナノ粒子を形成するようにタンパク質とインキュベートされる場合、界面活性剤は、初期精製ステップの際に約0.1%(w/v)までで存在してよく、この量は、最適な安定性を有する最終ナノ粒子を得るために下げられる。例えば非イオン性界面活性剤(例えば、PS80)は、約0.03%から約0.1%であってよい。好ましくは安定性の改善のためにナノ粒子は、約0.03%から約0.05%のPS80を含有する。製剤中約0.03%未満の量のPS80は、良好な安定性を示さない。さらにPS80が約0.05%を超えて存在する場合、凝集物が形成される。したがって約0.03%から約0.05%のPS80が、分解が低減されたナノ粒子の長期安定性を可能にする構造的および安定性の利益を提供する。
【0111】
界面活性剤交換は、上に考察したとおり精製され、精製され、保存のために凍結され、次いで界面活性剤交換のために解凍されたタンパク質で実施されてよい。
【0112】
ナノ粒子の安定性の増強および免疫原性の増強
理論に束縛されることなく、抗原を非イオン性界面活性剤コアと会合させることは、優れた安定性および抗原提示を提供すると考えられる。本明細書で開示のナノ粒子は、驚くほど良好な安定性および免疫原性を提供する。有利な安定性は、適切な保存ができない国
々で使用されるワクチンについて特に有用であり;例えばアフリカのある特定の場所では冷蔵できない場合があり、それによりエボラウイルスおよびRSVなどの、保存条件の困難さに直面している地域で流行している疾患に対するワクチンは、安定性の改善が特に役立つ可能性がある。さらに中性pHアプローチを使用して産生されたHAインフルエンザナノ粒子は、公知の組換えインフルエンザワクチンよりも優れたフォールディングを示す。
【0113】
注目すべきことに、ColauらへのUS2004/0028698に記載のものなどのスプリットワクチンを含むRSVワクチンを産生するために界面活性剤を使用する先のアプローチは、有効な構造を産生できなかった。本明細書に開示の界面活性剤コアを囲むタンパク質を有するナノ粒子ではなく、Colauらの組成物は確認可能なウイルス構造を欠いているアモルファス材料を含有しており、免疫系にエピトープを効果的に提示できなかったと推定される。加えて、界面活性剤コアの周りの抗原、しばしば糖タンパク質の配向がタンパク質分解を生じる酵素および他の化学物質の接触を立体的に障害することから、開示のナノ粒子は安定性が特に増強されている。
【0114】
ナノ粒子は、様々なストレスへの曝露後に免疫原性を維持するそれらの能力によって決定されるとおり安定性が増強されている。安定性は、種々の方法で測定できる。1つのアプローチではペプチドマップが、厳しい保存条件を模倣することによってナノ粒子にストレスを与えるように設計された種々の処理後の抗原タンパク質の完全性を決定するために作成されてよい。それにより安定性の尺度は、ストレスを与えられた試料での抗原ペプチドの対照試料と比べた相対存在量である。
図12は、RSV Fナノ粒子組成物への様々な異なるストレス後でさえ、強い免疫応答が達成されることを示している。
図13は、0.015%を超えるレベルでPS80を使用するナノ粒子によって提供されるプロテアーゼ耐性の改善を例示している。注目すべきことに18カ月では、0.03%のPS80は、0.015%PS80と比べてトランケート型分子種の形成に50%低減を示している。本明細書に開示のナノ粒子は、2~8℃で安定である。しかし有利にはそれらは、25℃で少なくとも2カ月安定である。一部の実施形態では、組成物は、25℃で少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも12カ月、少なくとも18カ月または少なくとも24カ月安定である。RSV-Fナノ粒子について安定性は、
図13に示すとおりトランケート型F1タンパク質の形成を測定することによって決定できる。有利には本明細書に開示のRSV-Fナノ粒子は、
図12に示すとおり、pH(pH3.7)、高pH(pH10)、温度上昇(50℃、2週間)およびさらに過酸化物による酸化を含む種々のストレスへの応答において対照RSV-Fタンパク質と比べてペプチドマッピングによって90から100%と測定される存在量でインタクトな抗原性部位IIを有利に保持している。
【0115】
界面活性剤コアに係留された糖タンパク質の位置は、望ましくない相互作用を低減することによって安定性の増強を提供すると考えられる。例えばプロテアーゼベース分解に対する保護の改善は、本明細書に開示のモル比で糖タンパク質をコアに係留することがプロテアーゼのアクセスを遮断する立体的障害を生じる遮蔽効果を通じて達成され得る。
【0116】
したがって特定の態様では、2週間、50℃でのインキュベーション、1週間、25℃、pH3.7でのインキュベーション、1週間、pH10でのインキュベーション、1週間、25℃での撹拌、および過酸化水素などの酸化剤との1週間、25℃でのインキュベーションからなる群より選択される1つまたは複数の処理への応答において未処理対照と比べて、インタクトな部位IIペプチドの90%から100%を保持している、RSV-Fナノ粒子、およびそれを含有する組成物が本明細書に開示される。追加的にそのような処理後、組成物の機能性は保持されている。
図12A~12Dを参照されたい。例えば中和抗体、抗RSV IgGおよびPCA力価は、対照と比べて保存されている。
【0117】
免疫原性の増強は、インフルエンザナノ粒子によって達成される交差中和によって例示される。コアから突出しているインフルエンザ抗原の配向が免疫系へのエピトープのさらに有効な提示を提供していると考えられる。
【0118】
ナノ粒子抗原
典型的な実施形態では、ナノ粒子を産生するために使用される抗原は、ウイルスタンパク質である。一部の態様では、タンパク質は、改変されてよいが、天然ペプチドに対する免疫応答を刺激する能力を保持している。一部の態様では、タンパク質は、界面活性剤コアへのタンパク質の会合を促進する膜貫通ドメインを本質的に含有する、または含有するように適合されている。しばしばタンパク質は、天然の糖タンパク質である。
【0119】
RSV抗原
一態様では、ウイルスは、呼吸器多核体ウイルス(RSV)であり、ウイルス抗原は融合(F)糖タンパク質である。RSV Fタンパク質の構造および機能は、十分に特徴付けられている。野生型構造の例として
図1を参照されたい。本明細書に記載の組成物における使用のために好適なRSV-Fタンパク質は、A2、Long、ATCC VR-26、19、6265、E49、E65、B65、RSB89-6256、RSB89-5857、RSB89-6190およびRSB89-6614などのRSV株由来であってよい。ある特定の実施形態では、RSV Fタンパク質は、それらの天然改変体と比べて変異されている。これらの変異は、タンパク質発現の改善、免疫原性の増強などの望ましい特徴を付与する。RSV-Fタンパク質構造を記載する追加的情報は、Swansonら、A Monomeric Uncleaved Respiratory Syncytial Virus F Antigen Retains Prefusion-Specific Neutralizing Epitopes. Journal of Virology、2014年、88巻、11802~11810頁、Jason
S. McLellanら、Structure of RSV Fusion Glycoprotein Trimer Bound to a Prefusion-Specific Neutralizing Antibody. Science、2013年、340巻、1113~1117頁に見出すことができる。
【0120】
主要融合切断は、配列番号2に対応する残基131から136に位置している。主要融合切断部位の不活性化は、部位中の残基を変異させることによって達成でき、結果としてフューリンは、もはやコンセンサス部位を認識できない。例えば主要フューリン切断部位の不活性化は、野生型RSV Fタンパク質(配列番号2)のアルギニン133、アルギニン135およびアルギニン136に対応する位置に少なくとも1つのアミノ酸置換を導入することによって達成できる。特定の態様では、1個、2個または3個全てのアルギニンがグルタミンに変異される。他の態様では、不活性化は、次の配列:KKQKQQ(配列番号14)、QKQKQQ(配列番号15)、KKQKRQ(配列番号16)およびGRRQQR(配列番号17)の1つに野生型部位を変異させることによって達成される。
【0121】
特定の態様では、配列番号2の酸137から145に対応する1から10アミノ酸は、下に示す好適なRSV Fタンパク質の具体例を含んで、欠失されてよい。各配列番号3~13は、活性主要融合切断部位KKRKRR(配列番号18)を含んで任意選択で調製されてよい。配列番号2中の野生型株は、配列番号3~13では修正されている配列決定エラー(AからP、VからIおよびVからM)を有する。宿主細胞でのRSV-Fタンパク質の発現に続いて、N末端シグナルペプチドは、最終配列を提供するために切断される。典型的にはシグナルペプチドは、宿主細胞プロテアーゼによって切断される。しかし他の態様では、全長タンパク質は、宿主細胞から単離されてよく、続いてシグナルペプチドは切断される。N末端RSV Fシグナルペプチドは、配列番号26(MELLILKA
NAITTILTAVTFCFASG)のアミノ酸からなる。したがって例えば、発現および精製の際の配列番号8からのシグナルペプチドの切断に続いて、配列番号19の配列を有する成熟タンパク質が得られ、RSV Fナノ粒子ワクチンを産生するために使用される。
図1Bを参照されたい。任意選択で、1つまたは全てまでの複数のRSV Fシグナルペプチドアミノ酸は、欠失、変異されてよく、シグナルペプチド全体は欠失されてよく、発現を増強するために異なるシグナルペプチドで置き換えられてよい。開始メチオニン残基は、発現を開始するために維持される。
【表1】
【0122】
一部の態様では、本明細書に開示のRSV Fタンパク質は、任意選択で主要切断部位の不活性化を伴う融合ドメイン中の欠失によってだけで野生型株から変更される。他の態様では、RSV Fタンパク質への追加的変更が作られる場合がある。典型的にはシステイン残基が変異される。典型的にはN連結グリコシル化部位は変異されない。
図1Bを参照されたい。加えて、パリビズマブ抗体のこの部位に結合する能力のために本明細書においてパリビズマブ部位とも称される、抗原性部位IIは、保存される。モタビズマブ抗体も部位IIに結合する。参照により組み込まれる追加的に好適なRSV-Fタンパク質は、米国公開US2011/0305727に見出され、その
図1Cに開示される残基100から150にわたる配列を含有するRSV-Fタンパク質を具体的には含む。
【0123】
ある特定の他の態様では、RSV F1またはF2ドメインは、配列番号2に示す野生型株と比較して改変を有してよい。例えばF1ドメインは、変異または欠失であってよい1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の変更を有してよい。同様にF2ドメインは、変異または欠失であってよい1個、2個、3個、4個、5個
、6個、7個、8個、9個または10個の変更を有してよい。F1およびF2ドメインは、野生型配列に少なくとも90%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一性をそれぞれ独立に保持してよい。
【0124】
特定の例では、RSVナノ粒子薬物製品は、約0.025%から約0.03%のPS80を約270μg/mLから約300μg/mL、または約60μg/mLから約300μg/mLの範囲のRSV Fと共に含有してよい。他の態様では、ナノ粒子薬物製品は、組成物中に約0.035%から約0.04%のPS80を300μg/mLから約500μg/mLのRSV Fと共に含有してよい。さらに他の態様では、ナノ粒子薬物製品は、組成物中に約0.035%から約0.04%のPS80を350~500μg/mLのRSV Fと共に含有してよい。
【0125】
抗原および界面活性剤の濃度は変化する場合があることから、それぞれの量は非イオン性界面活性剤:タンパク質のモル比として参照されてよい。例えば、PS80のタンパク質に対するモル比は、PS80濃度およびELISA/A280によって測定された抗原のタンパク質濃度ならびにそれらそれぞれの分子量を使用して算出される。算出のために使用されるPS80の分子量は1310であり、RSV Fを例として使用して、RSV
Fの分子量は65kDである。モル比は、次のとおり算出される:(PS80濃度×10×65000)÷(1310×RSV F濃度(mg/mL))。それにより例えば
図13に示すとおり、タンパク質によって測定されるナノ粒子濃度は、270μg/mLであり、PS80濃度は0.015%および0.03%である。これらは、PS80のRSV Fタンパク質に対するモル比、27:1(すなわち、0.015×10×65000/(1310×0.27))および55:1をそれぞれ有する。
【0126】
特定の態様では、モル比は、約30:1から約80:1、約30:1から約70:1、約30:1から約60:1、約40:1から約70:1または約40:1から約50:1の範囲である。しばしば置換非イオン性界面活性剤はPS80であり、モル比はPS80:タンパク質、約30:1から約50:1である。RSV-F糖タンパク質について、35:1から約65:1の範囲のモル比、具体的には約45:1の比を有するナノ粒子は特に安定である。
【0127】
インフルエンザ抗原
ナノ粒子プラットホームは、インフルエンザ抗原を被験体の免疫系に提示するために特に有用である。インフルエンザナノ粒子ワクチンを産生するための以前のアプローチは、界面活性剤を除去するために疎水性相互作用カラムを使用した、または産生物精製の際に生じる非特異的相互作用を低減するために最小量のみの界面活性剤を含有した。しかし、界面活性剤交換ステップを実施することによって、優れた特性を有する非イオン性界面活性剤コアを有するナノ粒子を産生できることがここに発見された。ナノ粒子は、環境ストレスによる分解への耐性によって証明される優れた安定性を示し、ワクチンのための特に有用な特性として長期の保存期間を可能にする。加えて、ナノ粒子構造は、抗原を特に有利な様式で提示するものである。
【0128】
インフルエンザナノ粒子は、それらが誘導する抗体が幅広い中和抗体を含有することから、ワクチンとして特に有用である。したがってある年に投与されたナノ粒子によって誘導される抗体は、その後数年間「ドリフト」工程から生じるインフルエンザウイルス株を中和できる。これらの幅広い中和抗体を誘導するこれらのエピトープは、先行するインフルエンザワクチンでは全く曝露されなかった、もしくは有効に曝露されなかった、またはエピトープは先行する製剤では十分に安定でなかったと考えられる。本明細書に開示のナノ粒子は、安定性が増強された非イオン性界面活性剤コアの周りに係留された交差防御的
エピトープを提示することによってこれらの課題を解決する。
【0129】
最後に本明細書に開示の方法は、良好な純度を有するインフルエンザナノ粒子を特に高い収量で提供し、これは一般に経済的に有利であり、パンデミックインフルエンザウイルスなど、多量の迅速な産生を必要とするウイルスのために特に重要である。
【0130】
ある特定の実施形態では、ナノ粒子は、HAまたはNAタンパク質を含有する場合がある。例えばナノ粒子は、サブタイプH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15およびH16から選択されるHAタンパク質を含有する場合がある。ナノ粒子は、サブタイプN1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8およびN9から選択されるNAタンパク質を含有する場合がある。系統学的にHAおよびNAタンパク質は、群に分けられる。HAについて群1はH1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13およびH16を含有し、群2はH3、H4、H7、H10、H14およびH15を含有する。NAも2つの群を形成し:群1はN1、N4、N5およびN8を含有し、群2はN2、N3、N6、N7およびN9を含有する。ある特定の態様では、抗原は、天然インフルエンザHAタンパク質またはNAタンパク質に少なくとも90%同一性、少なくとも95%同一性、少なくとも97%同一性または少なくとも99%を有してよい。
【0131】
ナノ粒子のために使用されるHAおよびNAタンパク質は、典型的には全長配列である。ある特定の態様では、C末端の一部が除去されてよい。
【0132】
有利には、インフルエンザを有する組成物は、本明細書に開示の追加的病原体ナノ粒子が同時投与される場合でも、インフルエンザの異種株に対する応答を誘導できる。異種インフルエンザ株に対する応答を誘導することによって、幅広い防御が達成される。それにより特定の態様では、マトリクスM-アジュバント化組成物で誘導された同種HAI力価は、約800から約2000である。具体的な態様では、異種HAI力価は約1300である。特定の態様では、マトリクスM-アジュバント化組成物で誘導される異種HAI力価は、約200から約400であり;例えば異種HAI力価は約300であってよい。
【0133】
ある特定の態様では、インフルエンザナノ粒子は、中性pH精製を使用して産生されたトリプシン耐性ナノ粒子である。トリプシン耐性は、HAナノ粒子の精製および製剤化の際の6.8を超えて8.5までの中性pH範囲によって達成される。特定の態様では、HAナノ粒子の精製および製剤化の際のpH範囲は、7.0から8.5、7.0から7.5または7.2から7.5である。HAナノ粒子安定性は、示差走査熱量測定(DSC)によって測定できる。DSCは、具体的には制御された様式で温度を変動させることによって試料溶液と適切な参照(緩衝液/溶媒)との間の熱エネルギー取り込みにおける差異を測定することによって、溶液中の高分子の熱力学的プロファイルを測定する。DSCは、タンパク質の半分が変性/アンフォールド、半分が非変性/フォールド状態にある温度として定義される遷移中点(transition midpoint)(Tm)としてデータを提供する。ある特定の態様では、本明細書のトリプシン耐性HAナノ粒子は、約60℃から75℃の範囲内にTmピークを有し;例えばTmは、60℃、65℃、70℃または75℃であってよい。
【0134】
トリプシン耐性は、HAタンパク質が適切にフォールドされ、それによりさらに良好な安定性および免疫原性を有するワクチン産生物を提供することを示す。HAタンパク質の感受性は、株ごとに変化し、それにより本明細書に開示の中性pH産生は全ての株、特にpH感受性株に関して免疫原性を最大化するための工程を提供する。理論に束縛されることなく、界面活性剤交換と中性pHレベルとの組み合わせがプロテアーゼ、特にトリプシンに耐性にする構造にHAタンパク質を保つと考えられる。それにより、中性pH精製と
組み合わせて、HAタンパク質を非イオン性界面活性剤コアの周りに会合させることによって、HAタンパク質の特に良好な安定性および免疫原性が達成される。加えて、ナノ粒子を産生する方法は、ワクチンにおける使用のためのタンパク質の優れたレベルを提供する。特定の態様では、A280によって、細胞培養物1L当たり約10mgから約30mg、またはより高く、約20mgから約30mgと測定されるHAナノ粒子が産生される。
【0135】
トリプシン耐性HAナノ粒子は、
図24に記載のとおり調製されてよい。簡潔には、界面活性剤交換を含む種々のステップは、pH7.0を超え;しばしば約pH7.2から約pH7.4の範囲の緩衝液で実施される。
図25Dは、トリプシン耐性ナノ粒子で達成されたより良好な熱安定性の例を提供する。TFFおよびMMC産生ロットは、中性pHを使用して得られ、一方ミスフォールドした低pHロットは、実質的に分解される、および/またはミスフォールドされる。
【0136】
エボラ抗原
本開示は、エボラウイルス感染および/または疾患を処置する、好転させる、または予防するための方法および組成物も提供する。具体的には組成物は、ワクチン組成物である。有利には本明細書に開示のワクチン組成物は、動物モデルにおける致死性チャレンジに100%生存を提供する。組成物は、ウイルス核酸を検出するためにRT-PCRを使用する場合、ほぼ検出限界またはそれ未満のウイルス量も維持する。
【0137】
一態様では、本開示は、組換えエボラウイルス糖タンパク質(GP)ナノ粒子をサポニンベースアジュバントと組み合わせて含有する組成物を提供する。
【0138】
特定の態様では、本開示は、GPタンパク質が三量体の形態にあり、各ナノ粒子が非イオン性界面活性剤コアに付着した少なくとも1個の三量体を含有するナノ粒子構造中に1つまたは複数のエボラウイルスGPタンパク質を含む免疫原性組成物を提供する。
【0139】
エボラGPナノ粒子は、エボラ感染の予防および/または処置のために使用されてよい。別の態様では、本開示は、エボラGPナノ粒子を含む薬学的に許容されるワクチン組成物を提供する。一部の態様では、1個より多い株由来のナノ粒子がワクチン中にある。別の実施形態では、本開示は、1つまたは複数のワクチン製剤成分で満たされた1つまたは複数の容器を含む薬学的パックまたはキットを提供する。
【0140】
エボラ糖タンパク質
ナノ粒子を調製するために使用されるエボラ抗原は、典型的にはエボラ糖タンパク質(GP)抗原である。抗原は、様々な株由来であってよい。本明細書で開示の組成物は、1個、2個、3個、4個、5個または6個の別々のエボラ株由来のナノ粒子を含有してよい。例えば株は、Makona、Sudan、Zaire、Restonであってよい。他の態様では、エボラGPは、1つまたは複数のこれらの株とアミノ酸または核酸同一性を共有してよい。例えばGPは、Makona、Sudan、ZaireまたはRestonウイルス由来の1つまたは複数のGPと約80%同一、約85%同一、約90%同一、約95%同一、約97%同一、約98%同一または約99%同一であってよく、ここで同一性はタンパク質または核酸の全長にわたって測定される。一部の態様では、エボラGPは、配列番号27もしくは28またはこれらに同一性を有するタンパク質を含んでよいまたはこれらからなっていてもよい。
【0141】
代表的なZaire株配列は、GenBank受託番号AAB81004(配列番号27)に提供されている。最初の下線部分は、GP1タンパク質についてのN末端を示している。先行するシグナルペプチドは、精製およびワクチンへの製剤化に先立つ細胞での発
現に続くプロセシングの際に切断除去される。太字で示されているのはフューリン切断部位である。太字文字列に続いて、GP2タンパク質についてのN末端が示されている。
図7Aは、タンパク質構造の模式図を示している。
【化1】
【0142】
Makona分離菌配列は、GenBank受託番号AJG44192(配列番号28)に提供されている。上記と同様に最初の下線部分は、GP1タンパク質についてのN末端を示している。先行するシグナルペプチドは、プロセシングの際に切断除去される。太字で示されているのはフューリン切断部位である。太字文字列に続いて、GP2タンパク質についてのN末端が示されている。
図7Bも参照されたい。
【化2】
【0143】
免疫応答を刺激するワクチン組成物の能力は、3種の動物モデルで確認された。最初にマウスモデルが使用された。マトリクスM、AlPO4または生理食塩水と共に製剤化された組換えEBOV/Mak全長GPナノ粒子ワクチンが評価された。非アジュバント化またはAlPO4アジュバント化EBOV/Mak GPでのマウスの免疫化は、中程度の抗体および細胞性応答を誘導し;しかしマトリクスMでアジュバント化された場合、精製EBOV/Mak GPナノ粒子は、マウスチャレンジモデルにおいて高度に免疫原性および防御的であった。マトリクスMアジュバント化EBOV/Mak GPでのマウスの免疫化は、抗EBOV/Mak GP IgGおよびエボラウイルス中和抗体の顕著な増加を生じた。マトリクスMアジュバント化EBOV/Mak GPでの免疫化は、致死性エボラウイルスチャレンジからの100%防御を付与した一方で、非アジュバント化E
BOV/Mak GPは10%防御だけであり、AlPO4を含むEBOV/Mak GPで免疫化したマウスでは防御は観察されなかった。したがって特定の態様では、本明細書で開示の組成物は、エボラ感染を予防する。
【0144】
EBOV/Mak GPとマトリクスMとの同時投与は、均衡のとれたIgG1およびIgG2aサブクラス応答の産生を誘導した。アジュバントの非存在またはAlPO4を伴う場合は、最小のIgG2a抗体が検出された。Blaneyら、Antibody quality and protection from lethal Ebola
virus challenge in nonhuman primates immunized with rabies virus based bivalent
vaccine. PLoS Pathog.2013年;9巻(5号):は、非ヒト霊長類(NHP)の狂犬病/EBOVキメラワクチンモデルにおいて、抗体アイソタイプがウイルス中和およびエボラウイルスチャレンジに対する防御において役割を演じることを示した。マウスIgG2a抗体は、IgG-Fc受容体(FcγR)および補体(C1q)に効率的に結合するヒトIgG1抗体の等価物であり(Bruhns, P. Properties of mouse and human IgG receptors and their contribution to disease models Blood.2012年;119巻:5640~5649頁;Vidarsson G、Dekkers G、Rispens T. IgG subclasses and allotypes: from structure to effector functions. Front. Immunol.2014年;5巻:520頁)、例えば抗体依存性細胞媒介細胞傷害性を通じてウイルス感染の消散を助けることができる。in vivoで完全に防御的であった全ての抗体は、IgG2aサブクラスであり;すなわちヒトIgG1と同じであった。したがって本明細書で開示の組成物は、防御免疫応答の一部としてIgG1抗体の産生を刺激する。
【0145】
マトリクスMアジュバントの使用は、CD4+およびCD8+サイトカイン分泌T細胞の頻度ならびに1種より多いサイトカインを産生する多機能性T細胞の数の用量依存的増加を提供した。致死性エボラウイルスチャレンジからの防御がマトリクスMアジュバント化EBOV/Mak GP群においてだけ観察されたという観察は、多機能性T細胞の産生の増強と関連した。
【0146】
マトリクスMの使用は、脾臓中のGC B細胞および骨髄中の長命形質細胞の頻度を増加させた。GCは、B細胞分化、体細胞高頻度変異、抗体クラススイッチおよびメモリーB細胞の形成のための微小解剖学的位置である。EBOV/Mak GPのサポニンアジュバントマトリクスMとの同時投与は、GC B細胞分化および発生を促進するTFH細胞の数の増加も生じた。マトリクスMアジュバント化によって誘導されるGCおよびTFH細胞の頻度の増加は、抗体応答の規模の増強およびより多数の長命形質細胞の誘導と関連し、マトリクスMアジュバント化EBOV/Mak GPワクチンが特に永続的な抗体応答を誘導できることを示唆している。
【0147】
エボラGPの各用量は、アジュバントと組み合わされてよい。マトリクスMアジュバントと共に精製EBOV/Mak GPナノ粒子を投与することは、マウスモデルにおいて100%防御効力を生じる抗EBOV/Mak GP免疫応答の強い刺激を提供する。本明細書で開示の組成物および方法は、抗EBOV/Mak GP IgGおよびエボラウイルス中和抗体のさらに急速な発生、IgG2aの濃度の増加ならびに多機能性CD4+およびCD8+T細胞、TFH細胞、胚中心B細胞の頻度の増加ならびに骨髄でのEBOV/Mak GP特異的形質B細胞の持続を提供する。
【0148】
したがってマウス研究の分析は、本明細書で開示の組成物が完全防御を提供したことを
確認している。防御効果をさらに確立するために、研究は、2つの別々の非ヒト霊長類モデル:ヒヒおよびマカクで実施された。Perryら、「The Baboon (Papio spp.) as a model of human Ebola virus infection」、Viruses.2012年10月23日;4巻(10号):2400~16頁;Geisbertら、「Pathogenesis of Ebola hemorrhagic fever in cynomolgus macaques: evidence that dendritic cells are early and sustained targets of infection」、Am J Pathol.2003年12月;163巻(6号):2347~70頁を参照されたい。したがって本開示の一部の態様では、防御効果は、ウイルス曝露後約7日、約10日、約14日または約21日後に検出するRT-PCRの能力より低いウイルス量の低減を含む。
【0149】
非ヒト霊長類研究は、本明細書で開示の組成物が防御的であることをさらに確認した。エボラGPナノ粒子は、アジュバントを含まずに、およびミョウバンまたはマトリクスMアジュバントのいずれかと共に評価された。実施例23を参照されたい。ヒヒにおける免疫応答は、非常に強く、継続された。注目すべきことにマトリクスMの含有は、ミョウバンより強い免疫応答をもたらした。マカクモデルでの結果は、特に予想外であった。実施例24および24を参照されたい。組成物は、生エボラワクチンでのチャレンジに対して防御的であっただけでなく、エボラRNAの量は生ウイルスでのチャレンジ後10日目で検出不能であった。
図48を参照されたい。注目すべきことに1体のマカク被験体では、小さなシグナルがおよそ7日目にあり;しかし10日目までに、レベルは検出限界未満に戻った。対照的に未処置動物の生エボラウイルスへの曝露は、被験体が9日目に安楽死された感染および疾患を生じた。
【0150】
改変抗原
本明細書で開示の抗原は、これらの抗原の変種および変異体を包含する。ある特定の態様では、抗原は、開示の抗原に同一性を共有してよい。一般に、具体的に同定された抗原の内容において具体的に定義されない限り、同一性百分率は、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも98%であってよい。同一性百分率は、www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalw2/で入手可能なアラインメントプログラムClustalW2を使用して算出できる。次の初期設定パラメーターがペアワイズアラインメントのために使用されてよい:タンパク質重量マトリクス=Gonnet;ギャップオープン=10;ギャップ伸長=0.1。
【0151】
特定の態様では、ナノ粒子中に含有されるタンパク質は、そのタンパク質からなる。他の態様では、ナノ粒子中に含有されるタンパク質は、そのタンパク質を含む。タンパク質それ自体への添加は、種々の目的のためであってよい。一部の態様では、抗原は、N末端、C末端または両方で伸長されてよい。一部の態様では、伸長は、精製または検出などの機能のために有用なタグである。一部の態様では、タグは、エピトープを含有する。例えばタグは、ポリグルタミン酸タグ、FLAG-タグ、HA-タグ、ポリHis-タグ(約5~10個のヒスチジンを有する)、Myc-タグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ-タグ、緑色蛍光タンパク質-タグ、マルトース結合タンパク質-タグ、チオレドキシン-タグまたはFc-タグであってよい。他の態様では、伸長は、発現を増強するためにタンパク質に融合されたN末端シグナルペプチドであってよい。そのようなシグナルペプチドは、細胞において発現の際にしばしば切断される一方で、一部のナノ粒子はインタクトなシグナルペプチドを有する抗原を含有する場合がある。それによりナノ粒子が抗原を含む場合、抗原は伸長を含有する可能性があり、それにより、ナノ粒子に組み込まれる際に融合タンパク質である可能性がある。配列との同一性を算出する目的のためには、伸
長は含まれない。
【0152】
一部の態様では、抗原は、トランケートされてよい。例えばN末端は、約10アミノ酸、約30アミノ酸、約50アミノ酸、約75アミノ酸、約100アミノ酸または約200アミノ酸だけトランケートされてよい。C末端は、N末端の代わりにまたは追加でトランケートされてよい。例えばC末端は、約10アミノ酸、約30アミノ酸、約50アミノ酸、約75アミノ酸、約100アミノ酸または約200アミノ酸だけトランケートされてよい。トランケーションを有するタンパク質との同一性を算出する目的のために、同一性はタンパク質の残余部分にわたって測定される。
【0153】
組み合わせナノ粒子
本明細書において使用される組み合わせナノ粒子は、2つまたはそれより多くの異なる病原体に対して免疫応答を誘導するナノ粒子を指す。特定の組み合わせに応じて病原体は、同じ種の異なる株もしくはサブタイプであってよく、または病原体は異なる種であってよい。組み合わせナノ粒子を調製するために複数の病原体由来の糖タンパク質は、界面活性剤交換段階でそれらを結合させることによって単一のナノ粒子に組み合わされてよい。カラムへの糖タンパク質の結合に続く界面活性剤交換は、複数の糖タンパク質タイプが界面活性剤コアの周りに形成し、組み合わせナノ粒子を提供することを可能にする。
【0154】
本開示は、それぞれが異なる病原体に対する応答を誘導する2つまたはそれより多くのナノ粒子を組み合わせることによって2つまたはそれより多くの異なる病原体に対する免疫応答を誘導するワクチン組成物も提供する。任意選択でワクチン組成物は、複数の病原体に対する免疫応答を最大化する一方で、被験体に投与されるワクチン組成物の数を減らす目的で1つまたは複数の組み合わせナノ粒子を単独でまたは追加的ナノ粒子と組み合わせて含有してよい。
【0155】
そのような組成物は、病原体が何らかの面で関係している場合に特に望ましい。一例では組成物は、特定の年の季節性インフルエンザを形成するとして当局から年ごとに同定された株に対するナノ粒子を含有してよい。典型的には季節性インフルエンザワクチンのためにワクチン組成物は、3個、4個または5個のインフルエンザサブタイプの株に対して免疫応答を誘導するHAおよび/またはNAナノ粒子を含有する。それにより、インフルエンザの異なる株がワクチン組成物中に組み合わされてよい。一部の態様では、組み合わせナノ粒子は、第1の株由来のHAタンパク質および第2の株由来のNAタンパク質を含有してよい。他の態様では、ナノ粒子は、同じまたは異なるサブタイプ由来の1つまたは複数のHAおよび1つまたは複数のNAタンパク質を含有してよい。例えばナノ粒子は、サブタイプH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15およびH16から選択される1つもしくは複数のHAナノ粒子ならびに/またはサブタイプN1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8およびN9から選択される1つもしくは複数のNAナノ粒子を含有してよい。系統学的にHAおよびNAタンパク質は、群に分割される。HAについて群1は、H1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13およびH16を含有し、群2はH3、H4、H7、H10、H14およびH15を含有する。NAタンパク質も2個の群を形成する:群1はN1、N4、N5およびN8を含有し、群2はN2、N3、N6、N7およびN9を含有する。ある特定の態様では、抗原は、天然インフルエンザHAタンパク質におよび/またはNAタンパク質に少なくとも90%同一性、少なくとも95%同一性、少なくとも97%同一性または少なくとも99%を有する場合がある。
【0156】
別の例では、インフルエンザおよびRSVの両方は呼吸器疾患を生じ、HA、NAおよび/もしくはRSV Fは、したがって組み合わせナノ粒子に混合されてよく、または複数のナノ粒子は、RSVおよび1つもしくは複数のインフルエンザ株に対する応答を誘導
するためにワクチン組成物中に組み合わされてよい。
【0157】
ワクチン組成物
本明細書で開示の組成物は、予防的または治療的のいずれで使用されてもよいが、典型的には予防的である。したがって本開示は、感染を処置するまたは予防するための方法を含む。方法は、本開示の免疫原性組成物の治療的または予防的量を被験体に投与するステップを含む。好ましくは薬学的組成物は、防御効果を提供するワクチン組成物である。他の態様では、防御効果は、曝露集団の百分率での感染に関連する症状の好転を含んでよい。例えば病原体に応じて、組成物は、未処置被験体と比べて:発熱疲労、筋肉痛、頭痛、咽頭炎、嘔吐、下痢、皮疹、腎臓および肝臓の機能障害の症状、内出血ならびに外出血から選択される1つまたは複数のウイルス疾患症状を予防または低減できる。
【0158】
ナノ粒子は、種々の賦形剤、緩衝液などの存在下でワクチンとしての投与のために製剤化されてよい。例えばワクチン組成物は、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよび/またはヒスチジンを含有してよい。リン酸ナトリウムは、約10mMから約50mM、約15mMから約25mMまたは約25mMで存在してよく;特定の場合では約22mMリン酸ナトリウムが存在する。ヒスチジンは、約0.1%(w/v)、約0.5%(w/v)、約0.7%(w/v)、約1%(w/v)、約1.5%(w/v)、約2%(w/v)または約2.5%(w/v)で存在してよい。存在する場合、塩化ナトリウムは、約150mMであってよい。ある種の組成物、例えばインフルエンザワクチンでは、塩化ナトリウムは、約200mM、約300mMまたは約350mMを含むさらに多い量で存在してよい。
【0159】
ある特定のナノ粒子、具体的にはRSV Fナノ粒子は、わずかに酸性pHレベルで安定性の改善を有する。例えば、ナノ粒子を含有する組成物についてのpH範囲は、約pH5.8から約pH7.0、約pH5.9から約pH6.8、約pH6.0から約pH6.5、約pH6.1から約pH6.4、約pH6.1から約pH6.3または約pH6.2であってよい。典型的にはRSV Fタンパク質ナノ粒子に関する組成物は、約pH6.2である。他のナノ粒子では組成物は、中性の傾向がある場合があり;例えばインフルエンザナノ粒子は約pH7.0からpH7.4;しばしば約pH7.2であってよい。
【0160】
アジュバント
ある特定の実施形態では、本明細書に開示の組成物は、免疫応答を増強するために1つまたは複数のアジュバントと組み合わされてよい。他の実施形態では、組成物は、アジュバントを含まずに調製され、それによりアジュバント不含有組成物として投与されるように利用可能である。有利には本明細書に開示のアジュバント不含有組成物は、単一用量として投与された場合に防御免疫応答を提供できる。強い免疫応答を誘導するミョウバン不含有組成物は、約60歳およびそれより年長の成人で特に有用である。
【0161】
アルミニウムベースアジュバント
一部の実施形態では、アジュバントは、ミョウバン(例えばAlPO4またはAl(OH)3)であってよい。典型的にはナノ粒子は、ミョウバンに実質的に結合している。例えばナノ粒子は、ミョウバンに少なくとも80%結合、少なくとも85%結合、少なくとも90%結合または少なくとも95%結合してよい。しばしばナノ粒子は組成物中でミョウバンに92%から97%結合している。用量当たりに存在するミョウバンの量は、典型的には約400μgから約1250μgの間の範囲にある。例えばミョウバンは、用量当たり約300μgから約900μg、約400μgから約800μg、約500μgから約700μg、約400μgから約600μgまたは約400μgから約500μgの量で存在してよい。典型的にはミョウバンは、120μgのタンパク質ナノ粒子の用量当たり約400μgで存在する。
【0162】
サポニンアジュバント
サポニンを含有するアジュバントは、本明細書で開示の免疫原と組み合わされてもよい。サポニンは、樹木Quillaja saponaria Molinaの樹皮由来グリコシドである。典型的にはサポニンは、複数の画分をもたらす多ステップ精製工程を使用して調製される。本明細書において使用される用語「Quillaja saponaria Molina由来サポニン画分」は、Quillaja saponariaの半精製もしくは規定のサポニン画分またはその実質的に純粋な画分を記載するために総称的に使用される。
【0163】
サポニン画分
サポニン画分を産生するためのいくつかのアプローチは好適である。画分A、BおよびCは、米国特許第6,352,697号に記載されており、次のとおり調製できる。Quil A由来の親油性画分、粗水性Quillaja saponaria Molina抽出物は、クロマトグラフィーによって分離され、親油性画分を回収するために水中70%アセトニトリルで溶出される。次いでこの親油性画分は、酸性水中25%から60%アセトニトリルへの勾配を使用する溶出で半分取HPLCによって分離される。本明細書で「画分A」または「QH-A」と称される画分は、およそ39%アセトニトリルで溶出される画分である、またはこれに対応する。本明細書で「画分B」または「QH-B」と称される画分は、およそ47%アセトニトリルで溶出される画分である、またはこれに対応する。本明細書で「画分C」または「QH-C」と称される画分は、およそ49%アセトニトリルで溶出される画分である、またはこれに対応する。画分の精製に関する追加的情報は、米国特許第5,057,540号に見出される。本明細書に記載のとおり調製される場合、Quillaja saponaria Molinaの画分A、BおよびCは、定義できる特性を有して化学的に密接に関連する分子の群またはファミリーをそれぞれ表す。それらが得られたクロマトグラフィー条件は、溶出プロファイルおよび生物学的活性に関してバッチごとの再現性が高度に一致しているものである。
【0164】
他のサポニン画分は記載されている。画分B3、B4およびB4bはEP0436620に記載されている。画分QA1~QA22は、EP03632279B2、Q-VAC(Nor-Feed,AS Denmark)、Quillaja saponaria
Molina Spikoside(lsconova AB、Ultunaallen 2B、756 51 Uppsala、Sweden)に記載されている。EP03632279B2の画分QA-1、QA-2、QA-3、QA-4、QA-5、QA-6、QA-7、QA-8、QA-9、QA-10、QA-11、QA-12、QA-13、QA-14、QA-15、QA-16、QA-17、QA-18、QA-19、QA-20、QA-21およびQA-22、特にQA-7、QA-17、QA-18およびQA-21は使用できる。それらは、EP03632279B2に、特に6頁ならびに8および9頁の実施例1に記載のとおり得られる。
【0165】
本明細書に記載され、アジュバントを形成するために使用されるサポニン画分は、しばしば実質的に純粋な画分であり;すなわち画分は、他の材料由来の混入物が実質的に存在しない。特定の態様では、実質的に純粋なサポニン画分は、重量で40%まで、重量で30%まで、重量で25%まで、重量で20%まで、重量で15%まで、重量で10%まで、重量で7%まで、重量で5%まで、重量で2%まで、重量で1%まで、重量で0.5%まで、または重量で0.1%までの、他のサポニンまたは他のアジュバント材料などの他の化合物を含有する場合がある。
【0166】
ISCOM構造
サポニン画分は、ISCOM(免疫刺激複合体(Immune Stimulatin
g COMplex))と称されるケージ様粒子の形態で投与されてよい。ISCOMは、EP0109942B1、EP0242380B1およびEP0180546B1に記載のとおり調製できる。特定の実施形態では、EP9600647-3(PCT/SE97/00289)に記載のとおり輸送および/またはパッセンジャー抗原は使用されてよい。
【0167】
マトリクスアジュバント
一部の態様では、ISCOMは、ISCOMマトリクス複合体である。ISCOMマトリクス複合体は、少なくとも1つのサポニン画分および脂質を含む。脂質は、コレステロールなどの少なくとも1つのステロールである。特定の態様では、ISCOMマトリクス複合体は、リン脂質も含有する。ISCOMマトリクス複合体は、必ずしもグリコシドではない1つまたは複数の他の免疫調節性(アジュバント活性)物質も含有する場合があり、EP0436620B1に記載のとおり産生できる。
【0168】
他の態様では、ISCOMは、ISCOM複合体である。ISCOM複合体は、少なくとも1つのサポニン、少なくとも1つの脂質および少なくとも1種類の抗原またはエピトープを含有する。ISCOM複合体は、抗原の一部が粒子に組み込まれる、界面活性剤処理によって会合した抗原を含有する。対照的にISCOMマトリクスは、抗原との混合物として製剤化されており、ISCOMマトリクス粒子と抗原との間の会合は、静電気的および/または疎水性相互作用によって媒介される。
【0169】
一実施形態により、ISCOMマトリクス複合体もしくはISCOM複合体に組み込まれたサポニン画分、または同様にISCOMもしくはISCOMマトリクス複合体に組み込まれたもしくはそれと混合されている少なくとも1つの追加的アジュバントは、Quillaja saponariaの画分A、画分Bもしくは画分C、Quillaja saponariaの半精製調製物、Quillaja saponariaの精製調製物または任意の精製サブ画分、例えばQA1~21から選択される。
【0170】
特定の態様では、各ISCOM粒子は、少なくとも2つのサポニン画分を含有する場合がある。異なるサポニン画分の重量%の任意の組み合わせが使用されてよい。任意の2つの画分の重量%の任意の組み合わせが使用されてよい。例えば粒子は、それぞれ、任意の重量%の画分Aおよび任意の重量%の粗サポニン画分または画分Cなどの別のサポニン画分を含有してよい。したがって特定の態様では、各ISCOMマトリクス粒子または各ISCOM複合体粒子は、1つのサポニン画分、例えば画分Aを重量で0.1から99.9、重量で5から95%、重量で10から90%、重量で15から85%、重量で20から80%、重量で25から75%、重量で30から70%、重量で35から65%、重量で40から60%、重量で45から55%、重量で40から60%、または重量で50%およびそれぞれの場合の別のサポニン、例えば任意の粗画分または任意の他の画分、例えば画分Cを残余100%まで含有する場合がある。重量は、サポニン画分の総重量として算出される。ISCOMマトリクス複合体およびISCOM複合体アジュバントの例は、米国特許出願公開第2013/0129770号に開示されている。
【0171】
特定の実施形態では、ISCOMマトリクスまたはISCOM複合体は、1つの画分、例えば画分Aを重量で5~99%および別の画分、例えば粗サポニン画分または画分Cを残余100%までの重量含む。重量は、サポニン画分の総重量として算出される。
【0172】
別の実施形態では、ISCOMマトリクスまたはISCOM複合体は、1つの画分、例えば画分Aを重量で40%から99%、および別の画分、例えば粗サポニン画分または画分Cを重量で1%から60%含む。重量は、サポニン画分の総重量として算出される。
【0173】
さらに別の実施形態では、ISCOMマトリクスまたはISCOM複合体は、1つの画分、例えば画分Aを重量で70%から95%、および別の画分、例えば粗サポニン画分または画分Cを重量で30%から5%含む。重量は、サポニン画分の総重量として算出される。他の実施形態では、Quillaja saponaria Molina由来サポニン画分は、QA1~21のいずれか1つから選択される。
【0174】
サポニン画分の混合物を含有する粒子に加えて、ISCOMマトリクス粒子およびISCOM複合体粒子は、1つだけのサポニン画分を使用してそれぞれ形成されてよい。本明細書で開示の組成物は、複数の粒子を含有してよく、ここで各粒子は1つだけのサポニン画分を含有する。すなわちある特定の組成物は、1つもしくは複数の異なるタイプのISCOM-マトリクス複合体粒子および/または1つもしくは複数の異なるタイプのISCOM複合体粒子を含有してよく、ここでそれぞれ個々の粒子は、Quillaja saponaria Molina由来の1つのサポニン画分を含有し、1個の複合体中のサポニン画分は他の複合体粒子中のサポニン画分とは異なっている。
【0175】
特定の態様では、1つのタイプのサポニン画分または粗サポニン画分は、1個のISCOMマトリクス複合体または粒子に組み込まれてよく、別のタイプの実質的に純粋なサポニン画分または粗サポニン画分は、別のISCOMマトリクス複合体または粒子に組み込まれてよい。組成物またはワクチンは、少なくとも2つのタイプの複合体または粒子を含んでよく、それぞれのタイプが物理的に異なる粒子に組み込まれた1つのタイプのサポニンを有する。
【0176】
組成物中で、ISCOMマトリクス複合体粒子および/またはISCOM複合体粒子の混合物が使用され得、ここで、1つのサポニン画分Quillaja saponaria Molinaおよび別のサポニン画分Quillaja saponaria Molinaが異なるISCOMマトリクス複合体粒子および/またはISCOM複合体粒子に別々に組み入れられる。
【0177】
それぞれ1つのサポニン画分を有するISCOMマトリクスまたはISCOM複合体粒子は、任意の組み合わせの重量%で組成物中に存在してよい。特定の態様では、組成物は、第1のサポニン画分を含有するISCOMマトリクスまたは複合体を重量で0.1%から99.9%、重量で5%から95%、重量で10%から90%、重量で15%から85%、重量で20%から80%、重量で25%から75%、重量で30%から70%、重量で35%から65%、重量で40%から60%、重量で45%から55%、重量で40から60%または重量で50%含有し、残余部分は異なるサポニン画分を含有するISCOMマトリクスまたは複合体からなってよい。一部の態様では、残余部分は、1つまたは複数のISCOMマトリクスまたは複合体であり、各マトリクスまたは複合体粒子は1つだけのサポニン画分を含有する。他の態様では、ISCOMマトリクスまたは複合体粒子は、1つより多いサポニン画分を含有してよい。
【0178】
特定の組成物では、第1のISCOMマトリクスまたはISCOM複合体粒子中のサポニン画分は画分Aであり、第2のISCOMマトリクスまたはISCOM複合体粒子中のサポニン画分は、画分Cである。
【0179】
好ましい組成物は、画分Aを含有する第1のISCOMマトリクスおよび画分Cを含有する第2のISCOMマトリクスを含み、ここで画分A ISCOMマトリクスは総サポニンアジュバントの重量で約70%を構成し、画分C ISCOMマトリクスは総サポニンアジュバントの重量で約30%を構成する。別の好ましい組成物では、画分A ISCOMマトリクスは総サポニンアジュバントの重量で約85%を構成し、画分C ISCOMマトリクスは総サポニンアジュバントの重量で約15%を構成する。それによりある特
定の組成物では、画分A ISCOMマトリクスは組成物中のサポニンアジュバントの総重量の約70%から約85%の範囲で存在し、画分C ISCOMマトリクスは約15%から約30%の範囲で存在する。例示的QS-7およびQS-21画分、それらの産生ならびにそれらの使用は、その開示について参照により組み込まれる米国特許第5,057,540号;第6,231,859号;第6,352,697号;第6,524,584号;第6,846,489号;第7,776,343号および第8,173,141号に記載されている。
【0180】
他のアジュバント
一部の組成物では、追加でまたは代替として他のアジュバントが使用されてよい。全ての目的のためにその全体が本明細書に参照により組み込まれるVogelら、「A Compendium of Vaccine Adjuvants and Excipients(第2版)」に記載の任意のアジュバントの含有は、本開示の範囲内であると想定される。他のアジュバントは、完全フロイントアジュバント(死菌Mycobacterium tuberculosisを含有する免疫応答の非特異的刺激因子)、不完全フロイントアジュバントおよび水酸化アルミニウムアジュバントを含む。他のアジュバントは、GMCSP、BCG、thur-MDPおよびnor-MDPなどのMDP化合物、CGP(MTP-PE)、脂質A、およびモノホスホリル脂質A(MPL)、MF-59、細菌から抽出された3種の構成成分を含有するRIBI、MPL、トレハロースジミコレート(TDM)ならびに2%スクアレン/Tween(登録商標)80乳剤中の細胞壁骨格(CWS)を含む。一部の実施形態では、アジュバントは、少層(paucilamellar)脂質小胞;例えばNovasome(登録商標)であってよい。Novasome(登録商標)は、約100nmから約500nmの範囲の少層非リン脂質小胞である。それらは、Brij72、コレステロール、オレイン酸およびスクアレンを含む。Novasomeは、有効なアジュバントであることが示されている(米国特許第5,629,021号、第6,387,373号および第4,911,928号を参照されたい。
【0181】
投与および投与量
本明細書で開示の組成物は、全身性経路もしくは粘膜経路もしくは経皮的経路を介して、または特定の組織に直接投与されてよい。本明細書において使用される用語「全身性投与」は、非経口投与経路を含む。具体的には、非経口投与は、皮下、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内または胸骨内注射、静脈内または腎臓透析注入技術を含む。典型的には全身性、非経口投与は筋肉内注射である。本明細書において使用される用語「粘膜投与」は経口、鼻腔内、膣内、直腸内、気管内、腸管および眼への投与を含む。好ましくは投与は、筋肉内である。
【0182】
組成物は、単一用量スケジュールまたは複数用量スケジュールで投与されてよい。複数用量は、初回免疫化スケジュールで、またはブースター免疫化スケジュールで使用されてよい。複数用量スケジュールでは、種々の用量が、同じまたは異なる経路、例えば非経口プライムと粘膜ブースト、粘膜プライムと非経口ブーストなどによって与えられてよい。一部の態様では、続くブースト用量は、先行する用量の約2週間後、約3週間後、約4週間後、約5週間後または約6週間後に投与される。典型的には、しかし、本明細書で開示の組成物は、1回だけ投与され、それにもかかわらず防御免疫応答を提供する。
【0183】
一部の実施形態では、μgで測定される用量は、溶質を含む用量の総重量、またはRSV Fナノ粒子の重量、またはRSV Fタンパク質の重量であってよい。用量は、A280またはELISAのいずれかのタンパク質濃度アッセイを使用して測定される。
【0184】
小児への投与のために含まれる抗原の用量は、約30μgから約300μg、約90μ
gから約270μg、約100μgから約160μg、約110μgから約150μg、約120μgから約140μgまたは約140μgから約160μgの範囲であってよい。特定の実施形態では、用量は、約120μgであり、ミョウバンとともに投与される。一部の態様では、小児用用量は、約30μgから約90μgの範囲であってよい。ある特定の集団は、アジュバントを含んでまたは含まずに投与されてよい。例えば年長者に投与する場合、好ましくはミョウバンは含まれない。ある特定の態様では、組成物は、追加のアジュバントを含まなくてよい。そのような環境では用量は、約10%増加されてよい。
【0185】
一部の実施形態では、用量は、約0.1mLから約1.5mL、約0.3mLから約1.0mL、約0.4mLから約0.6mLまたは典型的な量である約0.5mLの体積で投与されてよい。
【0186】
特定の実施形態では、RSVワクチンについて、用量は、約175μg/mLから約325μg/mL、約200μg/mLから約300μg/mL、約220μg/mLから約280μg/mLまたは約240μg/mLから約260μg/mLの濃度のRSV Fタンパク質を含んでよい。
【0187】
本開示に引用する全ての特許、特許出願、参考文献および学術論文は、全ての目的についてそれらの全体が参照により明確に本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0188】
(実施例1)
RSV Fタンパク質の発現および精製
配列番号8を有するRSV Fタンパク質をバキュロウイルス発現系において発現させ、RSV Fタンパク質を発現している組換えプラークを選び、確認した。次いで、組換えウイルスを、Sf9昆虫細胞の感染により増幅させた。昆虫細胞の培養物は、バキュロウイルスでおよそ3MOI(感染多重度=ウイルスffuまたはpfu/細胞)で感染させた。培養物および上清を、感染48~72時間後に採取した。粗細胞採取物、およそ30mLを、およそ800×gで15分間の遠心分離により清澄化した。RSV Fタンパク質を含有する、得られた粗細胞採取物を下記の通り精製した。
【0189】
非イオン性界面活性物質Tergitol(登録商標)NP-9(ノニルフェノールエトキシレート)を、膜タンパク質抽出プロトコールに使用した。粗抽出物を、陰イオン交換クロマトグラフィー、レンズマメレクチンアフィニティー/HICおよび陽イオン交換クロマトグラフィーを通すことによりさらに精製した。洗浄した細胞を、界面活性剤処理により溶解し、次いでBVならびにSf9宿主細胞のDNAおよびタンパク質を沈殿させる低pH処理に供した。中和した低pH処理溶解物を清澄化し、第2の低pH処理を実施する前に陰イオン交換およびアフィニティークロマトグラフィーによりさらに精製した。
【0190】
アフィニティークロマトグラフィーを使用して、Sf9/BVタンパク質、DNAおよびNP-9を除去し、RSV Fタンパク質を濃縮した。簡潔には、レンズマメレクチンは、カルシウムおよびマンガンを含有する金属タンパク質であり、レンズマメレクチンは、多糖およびグルコースまたはマンノースを含有するグリコシル化タンパク質を可逆的に結合する。RSV F含有陰イオン交換フロースルー画分を、レンズマメレクチンアフィニティークロマトグラフィー樹脂(Capto Lentil Lectin、GE Healthcare)にロードした。非グリコシル化タンパク質およびDNAはカラムフロースルー中に除去されるが、グリコシル化RSV Fタンパク質は、樹脂に選択的に結合する。弱く結合している糖タンパク質を、高塩および低モル濃度のメチルアルファ-D-マンノピラノシド(MMP)を含有する緩衝液により除去した。
【0191】
加えて、カラム洗浄も使用して、NP-9界面活性剤を界面活性物質ポリソルベート80(PS80)で界面活性剤交換した。界面活性剤交換を実施するために、レンズマメレクチンカラムに対するRSV F糖タンパク質の結合後に、カラムを0.1% PS80とインキュベートした。RSV Fタンパク質を、高濃度のMMPによってレンズマメレクチンカラムから溶出した。溶出後に、RSV Fタンパク質三量体を、RSV Fタンパク質三量体および界面活性剤コア中に含有されるPS80で構成されるミセルナノ粒子にアセンブルさせる。界面活性剤交換後に、低pH不活性化ステップがあり、続いて0.1% PS80を含む緩衝液の存在下に硫酸カラム上でインキュベーションした。
【0192】
溶出材料を、PS80:RSV Fタンパク質モル比約50のバルク保存用原薬(DS)を得るのに適切なPS80を含有する溶液に希釈した。DSの適切な組成物は、22mMリン酸ナトリウム、0.03% PS80のリン酸緩衝液pH6.2を含む溶液にRSV Fナノ粒子を組み合わせることにより得られた。界面活性剤交換の間および後の各ステップにおいて、組成物中のPS80に対する抗原比を、モル比35から60に維持した。モル比を、ELISA/A280およびそれぞれの分子量により測定されるPS80濃度およびRSV F濃度を使用して算出した。PS80の分子量は、1310、RSVは65kDである。
【0193】
(実施例2)
ワクチン組成物の調製
投与するワクチン産物のためのナノ粒子を得るために、原薬を、PS80:RSVタンパク質モル比約50を持つ薬物製品に希釈した。原薬を解凍し、希釈し、投与前に2~8℃で保存するためにガラスバイアルまたは予備充填した注射器に充填した。ナノ粒子は、ミョウバンアジュバントに結合した。ミョウバンアジュバントを添加し、混合して、ナノ粒子の約95%がミョウバンに結合していることを確実にし、このことは、0.5mL体積中でRSV Fナノ粒子の120μg用量当たり約0.4mgであることを意味する。
【0194】
(実施例3)
ナノ粒子におけるRSV F糖タンパク質の特徴付け
様々な分析技術によりナノ粒子におけるタンパク質構造を分析した。
図3は、産生されたRSV Fタンパク質の最も高いピークが、パルミトレイン酸を含有することを示す(ピーク2A)。2番目に大きいピークは、パルミチン酸を含有する(ピーク2B)。残りのピークは、いずれの脂肪酸も欠き(ピーク5)および可溶型(ピーク1)で得られた。SDS-PAGEゲルでの分析により、F1+2タンパク質、F1、F1A、F1BおよびF1C部分ならびにF2を含めた追加の改変体が分離された。
図4を参照のこと。ペプチド構造の分析を、ペプチドマッピングを使用して実施した。
図5を参照のこと。RSV
F糖タンパク質上のグリカン構造を評価するために、HPLC-FLDを実施した。結果は、主要なグリカン構造がフコシル化されていることを実証した。
【0195】
(実施例4)
電子顕微鏡検査によるRSV Fナノ粒子の検査
実施例1において調製したナノ粒子を、電子顕微鏡により可視化した。結果から、界面活性剤コアを囲むRSV F糖タンパク質を含有するナノ粒子の形成を確認した。界面活性剤コアの正確な組成は、不明なままである。
図6は、得られたナノ粒子のタイプを例示する。RSV Fタンパク質は、界面活性剤交換後でも三量体構造を維持した。三量体/ナノ粒子の数および形態が変動するいくつかのタイプのナノ粒子が得られた。
図6は、複数の三量体を界面活性剤コアの周りに見ることができることを示す。強調された部分では、7つの三量体が、界面活性剤を囲んで示される。
図6の主パネルは、産生された界面活性剤コアの周りの三量体の範囲を例示する。下段左パネルにおけるRSV Fタンパク質三量体の模式図構造は、界面活性剤コアと会合する底部を持つ三量体の配向を例示し、こ
れは、各RSV F糖タンパク質に付着している脂肪酸により促進される。
【0196】
(実施例5)
RSV Fナノ粒子の粒子特徴付け
動的光散乱(DLS)を活用して、ブラウン運動における粒子の光散乱パターンの変化を測定することによりナノ粒子のサイズ分布プロファイルを決定した。ナノ粒子サイズは、RSV Fナノ粒子の濃度に対するイオン性界面活性剤の濃度の線形関数として決定することができた(
図7および8を参照のこと)。
【0197】
分析用超遠心(AUC)を使用して、適用した遠心場の結果として回転プロファイルの軸に対する試料濃度の経過を測定した。
図8から、存在するナノ粒子の濃度に基づいてナノ粒子の主に2つの形状が現れることが明らかになる。得られたナノ粒子タイプには、単量体および二量体異方性ロッド、ならびに球状オリゴマーがある。これら2つのナノ粒子タイプの間の構造中間体は、異方性ロッドおよび球状オリゴマーをもたらす濃度間で形成される。
図9は、ナノ粒子タイプが、RSV Fタンパク質の濃度をモジュレートすることにより制御できることを示し、より高濃度(1mg/mL)は、球状オリゴマーが主たる集団をもたらし、一方でより低濃度(0.22mg/mL)は、単量体/二量体異方性ロッドが主たる集団をもたらす。これらのデータは、界面活性剤の量およびRSV F濃度を制御して、ナノ粒子が20nmから60nmの特定の直径(z平均)を有するに至り得ることを例示する。
【0198】
(実施例6)
ナノ粒子の安定性の増強:分子特徴付け
活用した5つのストレッサーは、50℃で48時間、1週間および2週間時点での熱ストレス;低pH(25℃で3.7)48時間、4日間および1週間時点;高pH(25℃で10)、24時間、48時間および1週間時点;25℃で過酸化水素酸化、12時間、48時間および1週間時点;ならびに25℃で物理的撹拌、4時間、24時間および1週間時点であった。
【0199】
様々なストレス処理後に、一次構造の差異を評価した。
図10は、特定の領域が、対照と比較してどのようにストレスに耐えたかという比較を示す。データは、ナノ粒子が、タンパク質全体にわたって優れた安定性を有しており、過酸化水素を使用する特に厳しい酸化試験のみ、タンパク質を任意の特定の程度に分解できたことを示す。しかしながら、その処理でさえ、パリビズマブの標的である抗原性部位IIの構造的完全性を減少させなかった。実際に、厳しい酸化でも、RSV-Fタンパク質は、63~82位、237~258位および360~364位でしか構造的に悪化しなかった。したがって、厳しいストレスに供した後でも、ナノ粒子は実質的にインタクトなままであった。
【0200】
図11は、抗原性部位IIに関してナノ粒子安定性をさらに定量化する。データは、熱ストレス、低pH、高pHおよび撹拌のそれぞれに応答して、抗原性部位IIが、試料のそれぞれにおいて90%程度にインタクトなままであったことを示す。
【0201】
(実施例7)
ナノ粒子の安定性の増強:維持された免疫原特性
実施例6に記載されるストレスを受けたワクチン組成物を、マウスモデルにおいて免疫原性について評価した。ワクチンを、RSV Fタンパク質0.15、0.45、1.3、4および12μg/mLからなるRSV F用量の範囲にわたって2回の筋肉内注射によってマウスに投与した。以下の条件:50℃で2週間、25℃でpH10を1週間、25℃で0.5%過酸化水素を1週間、でストレスを加えたRSV F組成物を、対照(-70℃での保存から解凍した)を伴って投与した。
【0202】
免疫応答を、抗RSV F IgGの存在、PCA力価およびRSV A中和抗体の存在に関して評価した。物理および化学的ストレッサーは、in vivoでRSV Fタンパク質免疫原性に有意な影響を及ぼさなかった。ストレスを受けた試料は、ストレスを受けていないRSV Fナノ粒子ワクチン組成物対照のそれと類似の抗RSV F IgG抗体力価ならびに同程度の機能性PCAおよびRSV A中和力価を誘導した。(
図12A~12Dを参照のこと)。まとめると、これらの強制的な分解研究は、激しい環境ストレスに曝露してもナノ粒子が強力な免疫応答を誘導することを示す。
【0203】
(実施例8)
ナノ粒子のプロテアーゼ耐性
安定性が改善されたナノ粒子の形成は、ナノ粒子を産生するために使用するPS80の量に依存している。
図13は、ナノ粒子を、0.03% PS80(すなわちモル比55)で形成した場合の、0.015%(すなわちモル比27)と比較した18カ月までの安定性の劇的な改善を例示する。左パネルは、時間0に2つの濃度で産生したナノ粒子のSDS-PAGEを示す。データは、参照調製物と類似の結果が、両方のナノ粒子調製物で得られたことを示す。特に、両方が、基本的に分解がないことを例示するF1およびF1+2の強いシグナルを示す。次いで、各調製物のアリコートを、4℃で18カ月間インキュベートし、次いでSDS-PAGEを再び行った。右パネルおよび表のデータは、粒子中に0.015%だけ含有するナノ粒子が、トランケート型F1を生じたことを例示する。対照的に、粒子中に0.03%で調製したナノ粒子は、プロテアーゼに対して優れた耐性を例示した。本発明者らは、界面活性剤およびタンパク質の正しい比を維持することにより、おそらくいくつかの立体障害メカニズムによって保護されるプロテアーゼ感受性部分を持つ糖タンパク質の配向を有するナノ粒子を得られると考える。本発明者らは、0.06%またはそれを超えるPS80の濃度が、凝集物形成を増加させることをさらに観察した。総合すれば、データは、ナノ粒子安定性に対する最適PS80レベルが、約0.03%~約0.05%であることを示す。
【0204】
(実施例9)
HAナノ粒子の精製
TMAEカラムを、流量:91.7cm 30mL/分で緩衝液A1(25mM Tris pH7.5、70mM NaCl、0.02% NP9)0.5CVで前平衡化した。試料を、20mL/分(滞在時間25分間)でロードし、次いでEQ緩衝液A1(25mM Tris pH7.5、70mM NaCl、0.02% NP-9)で洗浄した。次いで精製試料を、15%緩衝液B(25mM Tris pH8、1M NaCl、0.02% NP9)1.25CV、続いて100% B 1.1cvを使用して溶出した。代表的なクロマトグラムを、
図18Bに示す。TMAEカラムからの産物を、緩衝液A11:25mM リン酸ナトリウムpH6.0、10mM NaCl、0.05% PS80 3CV(流量:147cm/時間 13mL/分)で前平衡化したレンズマメレクチンアフィニティークロマトグラフィーカラムに加えた。試料を、滞在時間9.4分間、6.5mL/分、73.5cm/時間でロードした。ロード後、高塩洗浄を、緩衝液A12(25mM リン酸ナトリウムpH6.0、500mM NaCl、0.5% NP-9)3CVで実施した。第1の洗浄後に、界面活性剤交換を、緩衝液A11(25mM リン酸ナトリウムpH6.0、10mM NaCl、0.05% PS80)6CVでカラムを洗浄することにより実施した。次いでPS80を含有するナノ粒子を、100% B 3CV、B1:緩衝液B:25mM リン酸ナトリウムpH6.0、10mM NaCl、0.05% PS80、500mM メチル-アルファ-D-マンノピラノシドで溶出した。代表的なクロマトグラムトレースを、
図18Cに示す。レンズマメレクチンカラムからの産物を、緩衝液A1(25mM リン酸ナトリウムpH6.0、10mM
NaCl、0.05% PS80)3CVで硫酸カラムに加え、緩衝液A1 2CVで
洗浄し、次いで100%緩衝液B1(25mM リン酸ナトリウムpH7.5、500mM NaCl、0.05% PS80)で溶出した。次いで溶出産物を、50mMリン酸ナトリウムpH9と1:1で組み合わせ、濾過滅菌した。最終産物はpH7.2であった。クロマトグラムを
図18Dに示す。
図18Eは、TMAEおよびLLカラムからの精製工程の間に得られた様々な産物のゲルおよびウエスタンブロットを提供する。
図18FはS03-カラムからの溶出液を示す。
【0205】
(実施例10)
HAナノ粒子純度の分析
HAナノ粒子を、
図17および18に概説するように調製した。様々な株から得られるHA配列を使用して複数のHAナノ粒子調製物の純度を測定した(A/ニューハンプシャー/1/2015、A/スイス/9715293/2013、A/香港/4801/2014、B/プーケット/3073/2013、およびB/ブリスベーン60/2008)。データは、全ての場合で高純度の調製物が得られたことを示した。ゲルデンシトメトリによる分析は、93%を超え、93%から97%の範囲の純度を示した。
図19A~19Hを参照のこと。RP-HPLCにより3つのAサブタイプ株の純度も分析し、純度が83%から85%であることが判明した。
図19Iを参照のこと。加えて、ナノ粒子サイズを測定した。ナノ粒子は、22.0nmから29.9nmの直径を示した。
図19を参照のこと。
【0206】
(実施例11)
HA超微細構造の分析
電子顕微鏡検査を実施して、HAナノ粒子の構造を評価した。他の糖タンパク質のように、HA糖タンパク質が、PS80界面活性剤コアと会合した三量体を形成することが判明した。各界面活性剤コアは、複数の三量体を含有した。
図20を参照のこと。cryo-EM2次元クラス平均を使用して、ナノ粒子上へHA三量体をドッキングさせた。
図21Aは、これらのin silicoドッキング実験の結果を示す。上パネルは、第1のナノ粒子上へのHA三量体のはめ込みを示す。下パネルは、ナノ粒子の別の軸(stalk)へのはめ込みを示す。
【0207】
比較のために、VLPにおけるドッキングを実施した。VLPは、HAタンパク質が係留された脂質二重層を含有する。
図21Bを参照のこと。中央パネルは、二重層から放射状に伸びている軸の上に重ねたHAタンパク質構造を示す。右上および下パネルは、HA三量体上へまっすぐ下を向いている遊離HAのEM顕微鏡写真を、単独で(上パネル)および対応するHA構造をEM画像上に重ねて(下パネル)示す。
【0208】
(実施例12)
RSV Fナノ粒子と同時投与したHAナノ粒子の免疫原性分析
マウスモデルにおいてワクチン中のナノ粒子の免疫原性を評価した。2つの抗原(A/スイスH3サブタイプ由来インフルエンザHAタンパク質およびRSV Fタンパク質)を含有するナノ粒子の組み合わせを投与した。また各ナノ粒子を別々に投与した。ワクチンを単独でまたはアジュバントAlPO
4もしくはマトリクスMサポニンアジュバントと共に投与した。
図22は、群1~10に投与した処置を示す。群10、対照は、処置しなかった。0および21日目に処置を投与した。異種および同種チャレンジに対するHAIを測定した。
図23Aおよび23Bを参照のこと。
図23Aは、マトリクスアジュバント化HAナノ粒子が、同種チャレンジに対して特に強い応答を刺激したことを示す。
図23Bは、マトリクスMと投与した場合に強いHAI応答が、異種インフルエンザ株A/テキサス/50/2012に対しても得られたことを示し、この応答は、RSV Fナノ粒子との同時投与による影響を受けなかった。
【0209】
パリビズマブと競合する抗体の形成を誘導するRSV Fナノ粒子成分の能力も測定した。
図23C。データは、単独で投与したRSV Fナノ粒子およびAlPO4またはマトリクスMのいずれかと共に投与したRSV Fナノ粒子が、80μg/mLからおよそ700μg/mLの実質的な抗体力価を誘導したことを示す。RSV Fとインフルエンザナノ粒子の両方によって誘導した場合、アジュバントの非存在下またはAlPO
4の存在下でおよそ20μg/mLから40μg/mLの低い応答が得られた。しかしながら、RSV F単独またはHAナノ粒子と組み合わせて投与した場合、マトリクスMの存在下でRSV F応答は強かった。RSV中和抗体の測定は、PCA抗体と類似のパターンを示した。
図23Dを参照のこと。
【0210】
抗体応答に加えて、RSVに対するおよびインフルエンザA/スイス/9715293/2013に対するワクチンにより誘導されたT細胞応答を測定した。
図23Eおよび23F。マトリクスMをアジュバントとして使用した場合、データは両方の標的に対してIFNγの強い誘導を示す。
【0211】
(実施例13)
トリプシン耐性ナノ粒子産生
インフルエンザを産生するための特定のアプローチにより、HAタンパク質のトリプシン感受性を得ることができ、その感受性は、免疫原性の減少およびワクチン製剤の安定性をもたらすフォールディングを改変する。トリプシン耐性HAナノ粒子を産生するために、中性pH緩衝液を利用する界面活性剤交換アプローチを使用した。
図24A~Cを参照のこと。
【0212】
Sf9細胞を、HAナノ粒子BVベクターによりMOI=0.1;3E6細胞/mlで感染させた。3日目に細胞を採取し、緩衝した0.5% NP9;pH7.5で溶解した。陰イオン交換クロマトグラフィー(Fractogel TMAE;EMD)を次に実施した。
図24Bは、例示的なクロマトグラムを示す。フロースルーは、HAを含有する。陰イオン交換カラム後、界面活性剤交換を、0.01% PS80;pH7.2を含有する高塩/界面活性剤洗浄液を使用し、Captoレンズマメレクチンカラム(GE)を使用して実施し、また0.01% PS80に溶出した。
図24Cは、界面活性剤交換工程の例示的なクロマトグラムを示す。最後に、タンジェンシャルフローフィルトレーション(TFF):50kD MWCOフィルター;pH7.2を使用して、産物を保存するために使用するバルク原薬(BDS)を産生した。TFF段階およびその後においては、PS80をpH7.2の緩衝液中で0.05%に維持した。
【0213】
(実施例14)
トリプシン耐性ナノ粒子分析
実施例13に記載される工程および産生を使用する様々な株からのHAナノ粒子を評価した。
図25Aは、株A/ニューハンプシャー/1/2015(H1N1)の収量が約20mg/Lであったことを示す。B株インフルエンザナノ粒子も、優れた生産性および純度を有した。
図25Bは、バルク原薬として評価したB株、B/ブリスベーン/60/08 HAの収量および純度を示す。収量は、約30mg/Lであった。
図25Cは、H3N2株の収量を示し、工程が純度約96%および収量約20mg/Lを与えたことを示す。
【0214】
熱力学的安定性分析
図25Dは、実施例13におけるトリプシン耐性中性pHアプローチを使用して産生したHAナノ粒子と
図18に示すような低pH精製ステップを使用するアプローチとの熱力学的プロファイル比較を提供する。示差走査熱量測定(DSC)方法を使用して、特に、制御された様式で温度を変動させることによって試料溶液と適切な参照(緩衝液/溶媒)
との間の熱エネルギー取り込みの差異を測定することにより、溶液中の高分子の熱力学的プロファイルを決定した。Flu HA試料に関して、DSCにより、タンパク質の半分が変性/アンフォールド、半分が非変性/フォールド状態にある温度として定義される遷移中点(Tm)を可視化できた。
【0215】
加えて、DSCは、タンパク質コンフォメーションに関する情報を与え、推定される安定性プロファイルを、異なる工程条件を受けた各HA株に対しておおよそ外挿することができる。精製の間pH6.0にHAを曝露する工程ステップにより精製したHAと別のステップ(例えばMMC樹脂またはTFF膜)によって精製したHAとの差異を、一例としてB/ブリスベーンHAを使用して示す。データは、Tm値が強度においてより高いことを示し、主なピークおよびより鋭いピークに対するより高いTmの出現へのシフトを示し、別のステップにより精製した場合のHAの適切なフォールディングを示唆している。pH6.0に曝露したHAに関するデータは、しかしながら、強度においても大きく下落し、主なピークのTmについてより早い出現を示し、遅い非対称のアンフォールディングを示す著しく広がったピークを有し、ならびに/またはミスフォールドタンパク質およびより高い温度における凝集ピークを含有するTm値を示す。類似のプロファイルが、他の株(A/Cal、A/香港、A/ニューハンプシャー)に観察された。DSCデータにおけるこれら3つの観察に基づいて、低pHは、前述の通りナノ粒子を生じ、そのナノ粒子は特定の適用を有し得るが、中性pHを使用する別の工程ステップ/条件が、有意により優れた熱力学的および潜在的に改善された安定性プロファイルを持つHAタンパク質を産すると結論付ける。
【0216】
トリプシン耐性
図26は、ナノ粒子が、実施例13に記載の通り産生された場合に得られるトリプシン耐性の改善を例示する。トリプシン感受性を試験するために、HA試料を、0.24mg/mLまで希釈し、37℃で60分間トリプシンを低下させてインキュベートした。トリプシン阻害剤を添加して消化を停止させ、次いでSDS-PAGE分析を実施した。
図26の左パネルと右パネルの比較は、トリプシン耐性の増強を例示する。Sf9昆虫細胞において製作した精製HAナノ粒子は、HA0である。トリプシンに曝露した場合、HA0は、H1中のArg AA344でHA1とHA2に切断される。正確にフォールドされたHA三量体は、トリプシンの濃度を増加させてインキュベートした場合にさらなる切断に耐えることになる。中性pHで精製したB/ブリスベーン/60/08はトリプシンに耐性であり、正確にフォールドされている(左パネル)。酸性pHで精製したB/ブリスベーン/60/08 HA1は、トリプシン感受性であり、ミスフォールドしている(右パネル)。
図26Bおよび26Cは、トリプシン耐性が様々な株に対して達成されることを例示する。
図26Bは、株A/香港/4801/2014を示す。中性pHで精製したA/香港/4801/2014(H3N2)はトリプシンに耐性であり、したがって正確にフォールドされている(左パネル)。酸性pHで精製したA/香港/4801/2014の(H3N2)HA1は、トリプシン感受性であり、正確にフォールドされていない(右パネル)。
【0217】
類似のデータが、A/ニューハンプシャー/1/2015およびH1N1サブタイプで得られた。他の株のように、酸精製したH1N1は、ミスフォールドしていた(データ不掲載)が、中性pHで精製したタンパク質はトリプシン耐性であり正確にフォールドされていた。
【0218】
市販インフルエンザワクチンとの比較
組換えインフルエンザワクチンを産生するためのこれまでのアプローチは、幅広い成功を満たさなかった。卵産生または組換え産生インフルエンザワクチンが、トリプシン耐性を呈したかどうか調査するために、上記と同じプロトコールを使用して卵産生および組換
えワクチン(それぞれ、Fluzone(登録商標)およびFlublok(登録商標))においてトリプシン感受性を比較した。特に、希釈していないワクチンを、様々な量のトリプシンと37℃で60分間インキュベートし、次いで、トリプシン阻害剤を添加し、2×試料緩衝液を添加し、SDSページの前に70℃で10分間加熱した。
【0219】
卵産生された改変体が、トリプシン耐性を示すことが判明した。特に、HA1およびHA2およびHA1に切断される市販の三価卵由来高用量Fluzoneワクチンは、トリプシン消化に耐性である。対照的に、市販の三価組換えHA Flublokワクチンは、トリプシンに曝露した場合、HA1およびHA2およびHA1ポリペプチドに変換され、トリプシンに感受性である。
図27(右パネル)。これらの結果は、株のうち少なくとも1つが、おそらくpH5.89での精製により変性することを実証している(例えばWangら、Vaccine 24巻(2006年);2176頁を参照のこと)。
【0220】
したがって、市販の組換えインフルエンザワクチンは、低pH条件下での産生に起因し得るミスフォールディングに悩まされ、これがおそらく、少なくとも部分的には、免疫原性が不十分であり、現在まで広く採用されていないことの理由である。
【0221】
対照的に、本明細書に開示される方法により、少なくともpH7.0の緩衝液を使用してHAナノ粒子を精製することによって、精製の間にHAタンパク質を酸性条件に曝露する場合に起こるHAタンパク質のミスフォールディングが減少または排除されることが確認される。
【0222】
(実施例15)
エボラウイルス糖タンパク質ナノ粒子の構築
2014Makonaエボラウイルスの野生型、全長、無改変EBOV糖タンパク質(GP)遺伝子を、組換えバキュロウイルスにクローニングし、Spodoptera frugiperda Sf9昆虫細胞において発現させた。発現後、N末端シグナルペプチドを切断し、成熟タンパク質を精製し、ナノ粒子を形成させる。精製エボラウイルスGP(EBOV/Mak GP)ナノ粒子は、球状粒子36±4nm(動的光散乱により測定して)にアセンブルした複数のGP三量体で構成される。組換えGPナノ粒子は、2~9または最高15個の外側に広がる「杯様の」糖タンパク質1(GP1)三量体「付着サブユニット」と共に糖タンパク質2(GP2)「融合サブユニット」を含有するコア領域を有する。
【0223】
マトリクスMを同時投与する場合、個別に形成したサイズ40nmのマトリクス粒子の2つの集団からなるサポニンベースアジュバントを使用した。使用したマトリクスMは、85%マトリクスAおよび15%マトリクスCであった。マトリクス粒子を、コレステロールおよびリン脂質とQuillaja saponaria Molina由来の精製サポニンとを製剤化することにより形成した。
【0224】
(実施例16)
免疫化およびプロトコール
Balb/cマウス(6~8週齢;Harlan Laboratories Inc.Frederick、MD)を、10匹の群で飼育し、皮下(SC)または筋肉内(IM)投与により免疫化した。リン酸緩衝食塩水(PBS)をプラセボとして使用した。血清のための血液試料を、後眼窩経路によって採集した。採血の前に、動物をイソフルランで麻酔した。
【0225】
0および21日目に、マウス(群当たりn=10)を、EBOV/Mak GP単独またはAlPO4(50μg)もしくはマトリクスMアジュバント(2.5μgまたは5μ
g)と混合してIM投与(50μl注射体積)により免疫化した。血液試料を、0、14、21、28および60日目に採集した。脾臓および骨髄試料を、28および60日目に採集した。脾臓および骨髄試料を、さらなる調製用として2%ウシ胎仔血清(FBS)を含有するPBSに懸濁した。
【0226】
28日目の血清試料を、U.S. Army Medical Research Institute of Infectious Diseases、Fredrick、MDで偽ビリオン中和レポータアッセイを使用して抗EBOV/Mak中和抗体応答について評価した。バネで動くジェット式注射器を使用して送達されるハンタウイルス肺症候群(HPS)DNAワクチンは、ウサギおよび非ヒト霊長類において強力な中和抗体応答を引き起こす。Curr Gene Ther.、2014年;14巻:200~210頁。このアッセイのために、水疱性口炎ウイルスGタンパク質を除去し、ルシフェラーゼレポータと置き換えた。このVSVルシフェラーゼ発現コアを、Zaireエボラウイルス1976(Mayinga)GPを発現するプラスミドpWRG/EBOV-Z76(opt)を使用して偽型化した。偽型化エボラGPを得るために使用したプラスミドは、Zaireエボラウイルス1976(Mayinga)GPを発現するpWRG/EBOV/Mak-Z76(opt)であった。PsVsを293T細胞において調製した。マウス血清を、56℃で30分間熱不活性化し、次いで最初の1:20希釈物を調製し、続いて10%(体積/体積)熱不活性化FBS、100IU/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン(cEMEM)で補充したイーグル最小必須培地(EMEM)(Life Technologies)中に5倍段階希釈した。エボラGP PsVsを、cEMEM中に希釈した。等体積の4×103フォーカス形成単位を含有するPsVs溶液および10%モルモット補体(Cedarlane)を、最終的な開始希釈1:40で血清希釈物に添加し、次いで4℃で終夜インキュベートした。透明底の黒色96ウェルプレート(Corning)に播種した単層のベロ細胞に、各PsVs-血清混合物50μlを感染させ、次いで37℃でさらに18~24時間インキュベートした。培地を捨て、細胞を溶解し、Renilla Luciferase Assay System(Promega#E2820)のプロトコールに従ってルシフェラーゼ基質を添加した。フラッシュルシフェラーゼシグナルを、Tecan M200マイクロプレートリーダを使用して測定した。生の値を、GraphPad Prismバージョン6.04に転送し、データを無処置のPsVsシグナルに対してベースライン修正した。データを、GraphPad Prismを使用して4パラメーターロジスティック非線形回帰モデルに当てはめ、次いでPsVNA 50%(PsVNA50)中和力価を各試料について曲線から補間した。各試料を、3つ組で分析した。アッセイ陽性対照は、pWRG/EBOV-Z76(opt)、Zaireエボラウイルス1976 Mayinga GP DNAワクチンで3回ワクチン接種したウサギ由来の血清であった。
【0227】
EBOV/Mak GP特異的血清抗体を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により定量化した。簡潔には、NUNC MaxiSorpマイクロタイタープレートを、EBOV/Mak GP(Novavax)2μg/mLで、2~8℃で終夜コーティングした。反応していない表面を、StartingBlock Blocking Buffer(Pierce)を用いて室温(RT)で1時間ブロッキングした。プレートを、1:100から開始する5倍段階希釈の血清試料(2時間)、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)にコンジュゲートしたヤギ抗マウスIgG(またはIgG1およびIgG2a)(Southern Biotech)(1時間)、ペルオキシダーゼ基質3,3,5,5-テトラメチルベンジジン(TMB)(Sigma)(10分間)、およびTMB Stop Buffer(Scy Tek Laboratories)とRTで順次反応させた。HRPコンジュゲートおよびTMB試薬を添加する前に、プレートを、PBS/Tween(Quality Biologicals)で3回洗浄した。
【0228】
プレートを、SpectraMax plus プレートリーダー(Molecular Devices)で、450nmで読み取った。SoftMaxプロソフトウェア(Molecular Devices)を使用して、濃度応答を4パラメーター適合曲線に当てはめた。抗体力価を、50%の最大抗体結合(EC50)応答がある最も高い希釈の逆数と定義した。血清IgG力価が、低い検出範囲外にある場合、力価(開始希釈)<100を記録し、値50を試料に割り当てて、群幾何平均力価(GMT)を算出した。IBT Bioservices(Gaithersburg、MD)からのマウス抗EBOV/Mak GPモノクローナル抗体(mAb)(4F3)を、陽性対照として使用した。
【0229】
IFNγおよびEBOV/Mak GP特異的IgG分泌細胞を評価するELISPOTアッセイ
単一細胞懸濁物を、注射器のプランジャを使用して組織を穏やかに粉砕することにより個々の脾臓から調製した。単一骨髄細胞懸濁物を、21ゲージ針の注射器を使用して2%
FBSを含有するPBSを骨に流すことにより調製した。細胞を、2% FBSを含有するPBSで2回洗浄し、計数した。IFNγ ELISPOTアッセイを、製造業者の手順に従ってマウスIFNγ ELISPOTキット(eBioscience、San
Diego、CA)を使用して実施した。簡潔には、抗IFNγ抗体(PBS中に15μg/ml)を使用して、ELISPOTプレート(Millipore、Darmstadt、Germany)を100μl/ウェルで、4℃で終夜コーティングした。プレートを、PBSで4回洗浄し、RPMI1640培地+5% FBSを用いて室温で1~2時間ブロッキングした。体積200μl中の合計3×105個の脾細胞を、完全なEBOV GP配列を網羅する11個の重なり合ったアミノ酸を含む15マーのEBOV GPペプチドプール(2.5μg/ml)で刺激した。イオノマイシン(200ng/ml)を加えたホルボールミリステートアセテート(PMA)(50ng/ml)を陽性対照としておよび培地を陰性対照として使用した。各刺激条件を、3つ組で実施した。アッセイプレートを、5% CO2インキュベータ中で、37℃で終夜インキュベートし、シグナルを、製造業者の指示に基づいて発色させた。スポットを、ELISPOTリーダーおよびImmunospotソフトウェア(Cellular Technology,Ltd.、Shaker Heights、OH)を使用して計数し、分析した。エボラGP特異的スポット数を、GPペプチド刺激したウェルから培地対照のバックグラウンド数を減算することにより得た。グラフに示すデータは、3つ組のウェルの平均である。GP特異的IgG分泌細胞を測定するために、ELISPOTプレートを、EBOV/Mak
GP(PBS中に2.5μg/ml)でコーティングし、4℃で終夜インキュベートした。プレートを洗浄し、上記の通りブロッキングした。ウェル当たり3~5×105個の脾細胞または骨髄細胞の3つ組を平板培養し、プレートを37℃で終夜インキュベートした。2日目にプレートを洗浄し、ヤギ抗マウスIgG-HRPを添加し、1.5時間インキュベートした。スポットを発色させ、上記の通り計数した。3つ組ウェルから平均スポット数を算出し、示した。
【0230】
細胞表現型に対する表面染色およびサイトカインに対する細胞内染色
表面染色の場合、細胞を、抗CD16/32抗体(クローン2.4G2)と最初にインキュベートして、Fc受容体をブロッキングした。胚中心細胞を特徴付けるために、新鮮な脾細胞1×106個を、以下の抗体:B220-PerCP、CD19-APC、GL7-BV421、CD95-PE-Cy7(BD Biosciences、CA)の混合物および黄色LIVE/DEAD(登録商標)色素(Life Technologies、NY)と4℃で30分間インキュベートした。細胞を2回洗浄し、分析のために2% FBSを含有するPBSに懸濁した。濾胞性ヘルパーT細胞を染色するために、1×106個の新鮮な脾細胞を、CXCR5-ビオチンとインキュベートし、2回洗浄し、次
いでCD3-BV650、B220-PerCP、CD4-PE-Cy7、ストレプトアビジン-BV421、PD-1-APC、CD69-FITCおよびCD49b-PE(BD Biosciences、CA)を含む抗体の混合物ならびに黄色LIVE/DEAD(登録商標)色素(Life Technologies)とインキュベートした。細胞を2回洗浄し、分析のために2% FBSを含有するPBSに懸濁した。
【0231】
サイトカインに対する細胞内染色のために、脾細胞をウェル当たり1×106個細胞で、96ウェルU底プレート中で培養した。ELISPOT培養について記載した通りにペプチド刺激を実施した。プレートを、BD GolgiPlug(商標)およびBD GolgiStop(商標)(BD Biosciences)の存在下で、37℃で6時間インキュベートした。細胞を2回洗浄し、CD3-BV 650、CD4-PerCP、CD8-FITC、CD44-APC-Cy7およびCD62L-PE-Cy7(BD
Pharmingen、CA)を含む細胞表面マーカーに対する抗体の混合物ならびに黄色LIVE/DEAD(登録商標)色素(Life Technologies、NY)と4℃で20分間インキュベートした。2回の洗浄後、細胞をCytofix/Cytoperm(BD Biosciences)により4℃で30分間固定し、続いてBD
Perm/Wash(商標)(BD Biosciences)で2回洗浄した。細胞を、IFNγ-APC、IL-2-BV 421およびTNFα-PE(BD Biosciences)に対する抗体と4℃で終夜インキュベートした。細胞を洗浄し、データ取得のために1×BD Perm/Wash緩衝液に再懸濁した。全ての染色試料を、LSR-Fortessaフローサイトメーター(Becton Dickinson、San Jose、CA)を使用して取得し、データをFlowjoソフトウェアバージョンXv10(Tree Star Inc.Ashland、OR)で分析した。
【0232】
統計的分析を、SASソフトウェアバージョン9.4を使用して実施した。ANOVAからのテューキー調整によるペアワイズ比較は、独立変数として群および従属変数として対数変換した力価結果を使用して、群間の有意性を決定した。
【0233】
(実施例17)
EBOV/Mak GP誘導抗体応答および防御効力
EBOV/Mak GPナノ粒子ワクチンの免疫原性を、マウスモデルにおいて、アジュバントありおよびなしで評価した。0、14および28日目に、マウスを、EBOV/Mak GP単独またはマトリクスMもしくはAlPO
4アジュバント中に製剤化したEBOV/Mak GP 5μgでSC注射によりワクチン接種した。28日目(第2の免疫化の14日後)に得られた血清の分析は、マトリクスMアジュバント化EBOV/Mak GPが、幾何平均力価(GMT)26,991でMayinga GPに対する高レベルの抗原特異的IgG抗体を誘導したことを示した。マトリクスMを含むEBOV/Mak GPによる免疫化後に得られた応答は、EBOV/Mak GP単独(GMT=266、p=0.001)またはAlPO
4でアジュバント化したEBOV/Mak GP(GMT=436、p=0.0001)により誘導されるそれより有意に高かった(
図28A)。AlPO
4アジュバントは、EBOV/Mak GP単独との比較において抗EBOV/Mak GP IgGのわずかな増加しか提示しなかった。
【0234】
28日目の血清の中和活性を、エボラGP偽ビリオン(PsVs)を使用して分析した(
図28B)。アジュバントがない場合、EBOV/Mak GP単独で免疫化したマウス由来の血清における中和GMT力価は197であり、EBOV/Mak GPをAlPO
4でアジュバント化した場合、より低い力価が観察された(GMT=49、p=0.1)。マトリクスMを含むEBOV/Mak GPで免疫化したマウス由来の血清において観察された中和力価は、EBOV/Mak GP単独で得たそれより32倍高い6,463のGMTを有した。このアッセイにおいて、EBOV/Mak 2014株GPを発現
しているPsVsは利用できなかったので、EBOV 1976 Mayinga株GPを発現しているPsVsを使用した。したがって、アッセイは、Mayinga GPに対する抗EBOV/Mak GPの交差中和活性を測定している。
【0235】
28日目に行った3回目のワクチン接種の2週間後の42日目に、マウスを、マウス適応Zaireエボラウイルス株1976 Mayinga 1,000pfuの腹腔内接種によりチャレンジした。対照マウスは3日後に感染のため死亡し始めたが、EBOV/Mak GP単独またはAlPO
4でアジュバント化したEBOB/Mak GPでワクチン接種したマウスは、それぞれ5または6日目に死亡した。チャレンジ感染の21日後に、マトリクスMアジュバント化EBOV/Mak GPでワクチン接種したマウスの全ておよびEBOV/Mak GP単独でワクチン接種したマウス1匹が、生存し、健康であった。対照的に、エボラウイルス感染により他の全てのマウスは死亡したまたは8日目までに安楽死された(
図28C)。
【0236】
(実施例18)
エボラGP IgG、IgG1およびIgG2a応答の動態
マトリクスMアジュバント化EBOV/Mak GPに対する免疫応答をさらにより詳細に特徴付けるために、Balb/cマウス(10匹/群)の2つの群を、マトリクスM
2.5または5μgいずれかでアジュバント化したEBOV/Mak GP 5μgで注射した。PBS、EBOV/Mak GP単独またはAlPO4を含むEBOV/Mak GPで注射したマウスの群を対照として使用した。14、21、28および60日目に、EBOV/Mak GP特異的IgGおよびIgGサブクラス(IgG1およびIgG2a)を、ELISAにより測定した。
【0237】
第1の注射の14日後に、マトリクスM(2.5または5μg)を含むEBOV/Mak GPで注射した全てのマウスが、EBOV/Mak GP特異的IgGで応答した(それぞれGMT=755および1,499、データ不掲載)。EBOV/Mak GP群およびAlPO
4を含むEBOV/Mak GP群中の10匹のマウスのいずれも、EBOV/Mak GP特異的IgGを生成しなかった(データ不掲載)。21日目までに、EBOV/Mak GPに対するIgG応答は、マトリクスM-アジュバント化群においてさらに増加した(
図29A)。EBOV/Mak GP単独またはAlPO
4を含むEBOV/Mak GPを与えた群において、応答はまだなかった。21日目に全てのマウスが、第2の注射を受けた。28日目に、マトリクスM(2.5または5μg)を受けたマウスにおいてそれぞれ3.0×10
5および4.9×10
5のELISA GMT力価でIgG応答に強い増加があった(
図29A)。28および60日目に、EBOV/Mak GP単独およびAlPO
4を含む群において特異的IgG応答が、数匹のマウスに検出されたが、マトリクスMを含むEBOV/Mak GPで免疫化したマウスより著しく低かった(
図29A)。60日目までに、マトリクスM 2.5または5μgを含むEBOV/Mak GPにより誘導された抗GP IgG力価は、28日目と比較して著しく減少せず、AlPO
4を含むEBOV/Mak GP群よりそれぞれ67倍および139倍高かった(
図29A)。
【0238】
EBOV/Mak GP特異的IgG1およびIgG2a応答も決定した。全IgGと類似して、マトリクスMアジュバント化EBOV/Mak GPワクチンは、28および60日目に高い抗GP IgG1およびIgG2aレベルを誘導した(
図29Bおよび29C)。対照的に、EBOV/Mak GP単独を与えられたマウス10匹のうち1匹だけおよびAlPO
4を含むEBOV/Mak GPを与えられたマウス10匹のうちの4匹が、28日目に低レベルのIgG1を産生した(
図29B)。60日目に、抗原特異的IgG1が、AlPO
4を含むEBOV/Mak GPを与えられた群内で残っているマウス5匹全てからの血清中に検出されたが、平均力価は、マトリクスM 2.5または5
.0μgを含むEBOV/Mak GPを与えられた群のそれぞれ51分の1および41分の1であった(
図29B)。さらに、28および60日目に、EBOV/Mak GP単独は、検出可能なIgG2a抗体を誘導しなかった。
【0239】
(実施例19)
CD4+、CD8+および多機能性T細胞応答
ELISPOTアッセイにおいてEBOV/Mak GPペプチドによる脾臓細胞のex vivo刺激後のIFNγ分泌T細胞の数を測定することにより、異なるEBOV/Mak GP製剤に対するT細胞応答を次に評価した。28日目に、IFNγ分泌細胞は、マトリクスMを含むEBOV/Mak GPで免疫化したマウス由来の脾臓においてマトリクスM用量依存的な様式で増加した(
図30A、30B)。マトリクスM 5.0および2.5μgを含むEBOV/Mak GPを受けた群におけるIFNγ分泌細胞の平均数は、EBOV/Mak GP単独を受けた群よりそれぞれ17倍および10倍高く、AlPO
4を含むEBOV/Mak GPを受けた群よりそれぞれ8倍および5倍高かった(
図30A)。
【0240】
60日目までに、マトリクスM 5μgを含むEBOV/Mak GPで免疫化したマウス由来の脾臓におけるIFNγ分泌細胞の数は、EBOV/Mak GP単独で免疫化したマウス由来の脾臓よりなお12倍高く、AlPO
4を含むEBOV/Mak GPで免疫化したマウス由来の脾臓より3倍高かった(
図30B)。マトリクスM 2.5μgを含むEBOV/Mak GPで免疫化したマウス由来の脾臓におけるIFNγ分泌細胞の増加数も60日目に維持されたが、マトリクスM 5μgを含むそれより低レベルであった。
【0241】
細胞表面マーカーと組み合わせたサイトカインの細胞内染色により、マトリクスM誘導CD4+およびCD8+T細胞応答をさらに評価した。28日目に、フローサイトメトリーによる染色による脾細胞の分析は、マトリクスMを含むEBOV/Mak GP群からのCD4+およびCD8+T細胞両方が、IFNγ、TNFαおよびIL-2を分泌することを示した(
図30Cおよび30D)。サイトカイン分泌CD4+およびCD8+T細胞の頻度は、対照マウス、EBOV/Mak GP単独またはAlPO
4を含むEBOV/Mak GPを受けたマウスにおいて観察されたベースラインまたは最小の応答よりマトリクスMを含むEBOV/Mak GP群由来の脾臓において非常に高かった(
図30Cおよび30D)。2つまたはそれよりも多いサイトカイン(IFNγ、TNFαおよびIL-2)を同時に産生するT細胞の頻度も、28日目に評価した。2つまたは3ついずれかのサイトカインを産生するCD4+およびCD8+T細胞の両方が、マトリクスMを含むEBOV/Mak GPで免疫化したマウス由来の脾臓においてだけ著しいレベルで検出された。
【0242】
(実施例20)
胚中心および濾胞性ヘルパーT細胞応答
脾臓におけるGC B細胞の頻度および絶対数を、フローサイトメトリーによる染色により分析した(
図31A)。分析は、28日目(第2のワクチン注射の7日後)に、マトリクスM 2.5および5μgでアジュバント化したEBOV/Mak GPが、プラセボ、EBOV/Mak GP単独またはAlPO
4を含むEBOV/Mak GP(それぞれ、0.38、0.41および0.44%)と比較してそれぞれ1.22および2.12%のGC頻度で応答を誘導したことを示した(
図31B)。したがって、脾臓におけるGC細胞絶対数も、マトリクスMを受けた群で増加した(
図31C)。60日目までに、頻度および絶対数は、バックグラウンドレベルに戻った(
図31Dおよび31E)。
【0243】
28日目におけるT
FH細胞頻度の分析は、マトリクスM 2.5または5μgを含む
EBOV/Mak GPが、EBOV/Mak GP単独またはAlPO
4を含むそれより高いT
FH細胞の頻度を誘導することを示した(
図32Aおよび32B)。したがって、T
FH細胞の絶対数もまた、EBOV/Mak GP単独またはAlPO
4を含むそれと比較してマトリクスMを含むEBOV/Mak GPによって増強された(
図32C)。60日目までに、T
FH細胞の頻度および絶対数は、バックグラウンドに近いレベルに後退した(
図32Dおよび32E)。
【0244】
(実施例21)
EBOV/Mak GP特異的形質細胞
EBOV/Mak GP特異的形質細胞に対するマトリクスMの影響を評価するために、脾臓および骨髄中のIgG産生細胞の数を、免疫化後60日目に分析した。60日目における分析は、マトリクスMアジュバント化EBOV/Mak GPワクチンで免疫化したマウス由来の脾臓中のごく少数のEBOV/Mak GP特異的IgG分泌細胞(<6/10
6個脾細胞)を実証した(
図33A)。IgG分泌細胞は、EBOV/Mak GP単独およびAlPO
4を含むEBOV/Mak GPで免疫化したマウス由来の脾臓中には検出されなかった(
図33A)。対照的に、多数のEBOV/Mak GP特異的IgG分泌細胞が、マトリクスMアジュバント化EBOV/Mak GPを受けたマウス由来の骨髄に見られ(
図33B)、長命形質B細胞の形成が実証された。
【0245】
(実施例22)
ナノ粒子に対する抗体結合の特徴付け
ナノ粒子に結合するいくつかの抗エボラ抗体の能力を試験した。抗体は、13C6、13F6、6D8およびKZ52である。EC50曲線および値を
図36に示し、追加の結合動態データを
図37に示す。
図38は、参照として13C6を使用した有効性データを示す。4つの抗体のうちの3つは、GPに対して優れた結合を呈した。
【0246】
(実施例23)
非ヒト霊長類研究:ヒヒ
非ヒト霊長類モデルにおいてマウスで得られた結果を確認するために、ヒヒ研究を実施した。研究を、
図39に示すように設計した。4つの群を形成した。群1は、対照であった。群2は、AlPO
4を含む抗原を受けた。群2および3は、50μgのマトリクスMとともに抗原をそれぞれ60μgおよび5μg受けた。ヒヒを、0および21日目に免疫化した。強い応答が、Makona GPおよびMayinga GP両方に対して得られた。
図40を参照のこと。追加の分析により、応答が長く続くことを確認した。
図41は、後の時点でのMakonaに対するIgGのEC50値を示す。データは、応答が持続的であることを確立する。
【0247】
追加の研究により、IFNγレベルが、免疫化後に実質的に増加することが確認される。
図42は、GPと組み合わせたマトリクスMが、ミョウバンアジュバントと組み合わせるよりも一層増加させたことを示す。興味深いことに、低用量のGP 5μgが、IFNγレベルの一層顕著な増加をもたらした。T細胞におけるTNFαおよびIFNγ応答を
図43に示し、サイトカイン応答を
図44に示した。また応答は、各場合においてミョウバンよりGPおよびマトリクスMで一層顕著である。これらのデータは、ヒヒモデルにおける開示した製剤の強い免疫応答を強調する。
【0248】
(実施例24)
非ヒト霊長類研究:マカク研究1
ナノ粒子による防御効果をさらに確認するために、
図45に表示するようにマカク研究を実施した。示した通り0および21日目にマカクをワクチンで筋肉内に免疫化し、42日目にチャレンジした。抗GP応答を、0および28日目に測定した。
図46が示すよう
に、免疫化したマカクは抗IgG抗体の劇的な誘導を示した。免疫応答を、
図47に示すように特徴付けた。様々なペプチドプールに応答するIFNγ分泌細胞を、0、3および5週目に測定した。結果は、免疫化されたマカクが、免疫化されたマカクにおいてIFNγ分泌細胞を誘導したことを実証する。
【0249】
動物の生存は注目に値する。
図48。7日目までに、プラセボ処置マカクにおけるエボラウイルス量は、10
7であった。9日目までに、プラセボ動物を安楽死させた。対照的に、処置した動物の100%が生存した。注目すべきことに、免疫応答は、ほとんど全ての時点でほとんど全ての動物においてウイルス量をRT-PCRによって検出不可能にすることができた。動物33362は、7日目に検出可能限界を約10%上回るウイルス量を示した。しかしながら、10日目までに、レベルはそれを検出するアッセイの能力が及ばないレベルまで下落した。
【0250】
(実施例25)
非ヒト霊長類研究:マカク研究2
第2の研究を、マカクにおいて実施した。0週目に、動物にGP 5μg+マトリクスM 50μgを投薬し、3週目または6週目のいずれかに追加のブーストを行った。次いで、免疫化した動物を、それぞれ9週目および12週目に野生型エボラウイルスでチャレンジした。
図49。
【0251】
IgGに対するELISAデータを、
図50に示す。左パネルは、第1の注射の3週間後に、高い力価が現れ、持続的であったことを示す。右パネルは、投与と投与の間に6週間の空きがある動物における結果を例示する。それらの動物は、第2のブースター投与の2週間後に実質的な増加を示し、プライムブーストアプローチの有益な効果を例示した。
【0252】
ワクチン組成物は、マカクにおいて完全に防御的であった。生ウイルスによるチャレンジの18日後に、生理食塩水対照処置マウスは全て死亡した。対照的に、ワクチン組成物で免疫化したマカクの100%が、チャレンジに耐えた。まとめると、これらのデータにより、ブースト投与が3週間以内または6週間以内にあるかどうかに関わらず、組成物により刺激された免疫応答は防御的であることが確認される。
【配列表】