(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】ベルト管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240327BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240327BHJP
B65G 43/02 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q50/04
B65G43/02 Z
(21)【出願番号】P 2021122554
(22)【出願日】2021-07-27
【審査請求日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2020126120
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006068
【氏名又は名称】三ツ星ベルト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】巖本 政博
(72)【発明者】
【氏名】菅井 基文
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特許第6602946(JP,B1)
【文献】特開2019-028874(JP,A)
【文献】特開2011-053795(JP,A)
【文献】国際公開第2013/179903(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B65G 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と、当該端末装置にネットワークを介して接続される、管理サーバと、を備えた、ベルト管理システムであって、
前記端末装置は、
ベルトに埋設されたRFID(Radio Frequency Identification)用タグに記憶された、識別情報を読み取る読取部と、
前記ベルトの管理情報を表示する表示部と、
前記読取部で読み取った前記識別情報及び要求された前記ベルトの管理情報の種類を、前記管理サーバに送信する、端末側制御部と、を備え、
前記管理サーバは、
複数のベルトに対応する前記識別情報と、多種類の、前記ベルトの管理情報とが対応付けられて記憶されている記憶部と、
前記端末装置から送信された、前記識別情報及び前記ベルトの管理情報の種類に対応する、前記記憶部に記憶された前記ベルトの管理情報を、前記端末装置に送信する、サーバ側制御部と、を備えている、ベルト管理システム。
【請求項2】
前記
サーバ側制御部は、前記端末装置
の前記端末側制御部から送信された、前記識別情報及び前記ベルトの管理情報の更新指令に基づき、前記記憶部の、前記識別情報に対応する、前記ベルトの管理情報を更新する、請求項1に記載のベルト管理システム。
【請求項3】
前記ベルトの管理情報は、前記ベルトのメンテナンス情報を含む、請求項2に記載のベルト管理システム。
【請求項4】
前記ベルトの管理情報は、前記ベルトの仕様書、検査成績書、SDS、及び、前記ベルトの取扱説明書の少なくとも1つを含む、請求項1~3の何れかに記載のベルト管理システム。
【請求項5】
前記ベルトの管理情報は、交換時期に関する情報を含み、
前記
サーバ側制御部は、前記端末装置
の前記端末側制御部から送信された、前記識別情報と、前記ベルトの販売日又は使用開始日に基づき、前記記憶部の、前記識別情報に対応する、前記ベルトの交換時期を書き込む、請求項1~4の何れかに記載のベルト管理システム。
【請求項6】
前記ベルトの管理情報は、前記ベルトの修理・購入に必要な情報を含み、
前記端末装置
の前記端末側制御部は、前記ベルトの修理・購入に必要な情報に基づき、発注指令を送信可能であり、
前記管理サーバの前記
サーバ側制御部は、前記端末装置
の前記端末側制御部から送信された、前記識別情報及び前記発注指令に基づき、前記記憶部に、前記識別情報に対応する受注履歴として記憶する、請求項1に記載のベルト管理システム。
【請求項7】
前記ベルトは、有端状のベルト帯を接合して無端状にした輪形状をしており、
前記RFID用タグは、前記ベルトの接合部付近に埋設されている、請求項1~6の何れかに記載のベルト管理システム。
【請求項8】
前記読取部は、前記ベルトの周回動作により搬送物を搬送するために使用された状態で、周回動作する前記ベルトから所定距離離れた場所に設置されている、請求項1~7の何れかに記載のベルト管理システム。
【請求項9】
端末装置と、当該端末装置に接続される管理サーバと、を備えた、ベルト管理システムであって、
前記端末装置は、
ベルトに埋設されたRFID(Radio Frequency Identification)用タグに記憶された、識別情報を読み取る読取部と、
前記ベルトの管理情報を表示する表示部と、
前記読取部で読み取った前記識別情報及び要求された前記ベルトの管理情報の種類を、前記管理サーバに送信する、端末側制御部と、を備え、
前記管理サーバは、
複数のベルトに対応する前記識別情報と、多種類の、前記ベルトの管理情報とが対応付けられて記憶されている記憶部と、
前記端末装置から送信された、前記識別情報及び前記ベルトの管理情報の種類に対応する、前記記憶部に記憶された前記ベルトの管理情報を、前記端末装置に送信する、サーバ側制御部と、を備えている、ベルト管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトに関する管理情報を、ベルトのメーカー、販売元、ユーザー等が共有することができるベルト管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送物(物品)を搬送する搬送ベルトの製造、販売、使用、メンテナンス、廃棄を効率良く管理するためには、メーカー、販売元、ユーザー等によるトレーサビリティが重視される。
【0003】
この点、特許文献1には、RF-ID集積回路(RFID:Radio Frequency IDentification)が、ベルトに埋め込まれており、このRF-ID集積回路に記憶された、ベルトの識別情報やベルトの管理情報(ベルトの製造日、ベルトに使用されている構成材料等)を読み取り、管理する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
もっとも、特許文献1には、RF-ID集積回路は、ベルトに埋め込まれた状態であることから、ベルトの識別情報やベルトの管理情報(ベルトの製造日、ベルトに使用されている構成材料等)は、実際の使用現場でリーダー等によって読み込まれて、その場で共有されるに留まる。
【0006】
そこで、本発明は、ベルトのトレーサビリティの向上のために、多種のベルトの管理情報を、搬送ベルトのメーカー、販売元、ユーザー等が簡単に共有することができる、ベルト管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ベルトに埋設されたRFID(Radio Frequency Identification)用タグに記憶された識別情報を読み取り可能で、且つ、前記ベルトの管理情報を表示可能な端末装置がネットワークを介して接続される、管理サーバを備えた、ベルト管理システムであって、
前記管理サーバは、
複数のベルトに対応する前記識別情報と、多種類の、前記ベルトの管理情報とが対応付けられて記憶されている記憶部と、
前記端末装置から送信された、前記識別情報及び前記端末装置で入力された前記ベルトの管理情報の種類に対応する、前記記憶部に記憶された前記ベルトの管理情報を、前記端末装置に送信する、制御部と、を備えている。
【0008】
上記構成によれば、端末装置によりベルトに埋設されたRFID用タグに記憶された識別情報を読み取り、読み取った識別情報と、端末装置により入力(要求)した、管理情報の種類とを管理サーバに送信することにより、管理サーバ(制御部)は、送信された、識別情報及び管理情報の種類に対応するベルトの管理情報を、端末装置に送信する。そして、ベルトの管理情報を受信した端末装置では、読み取ったベルトの識別情報に対応するベルトの管理情報を表示することができる。これにより、ベルトの管理情報を、ベルトのメーカー、販売元、ユーザー等が簡単に共有することができる。
【0009】
また、本発明は、上記ベルト管理システムにおいて、前記制御部が、前記端末装置から送信された、前記識別情報及び前記ベルトの管理情報の更新指令に基づき、前記記憶部の、前記識別情報に対応する、前記ベルトの管理情報を更新してもよい。
【0010】
上記構成によれば、端末装置によって、管理サーバの記憶部に記憶された、識別情報に対応するベルトの管理情報を変更して更新することができる。これにより、更新されたベルトの管理情報を、ベルトのメーカー、販売元、ユーザー等が簡単に共有することができる。
【0011】
また、本発明は、上記ベルト管理システムにおいて、前記ベルトの管理情報は、ベルトのメンテナンス情報を含んでいてもよい。
【0012】
上記構成によれば、ベルトに対して、洗浄、点検等のメンテナンスを行った際に、洗浄・点検の日付、内容、不具合などのメンテナンス情報を更新して、管理サーバにおいて、一括管理することができる。
【0013】
また、本発明は、上記ベルト管理システムにおいて、前記ベルトの管理情報は、ベルトの仕様書、検査成績書、SDS、及び、ベルトの取扱説明書の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0014】
上記構成によれば、従来、ベルト製品に付随していた、ベルトの仕様書、検査成績書、SDS、及び、ベルトの取扱説明書などの紙書類を、管理サーバにおいて管理することができ、ペーパーレス化を図ることができる。
【0015】
また、本発明は、上記ベルト管理システムにおいて、前記ベルトの管理情報は、交換時期に関する情報を含み、
前記制御部は、前記端末装置から送信された、前記識別情報と、ベルトの販売日又は使用開始日とに基づき、前記記憶部の、前記識別情報に対応する、前記ベルトの交換時期を書き込んでもよい。
【0016】
上記構成によれば、ベルトの販売日やベルトの使用開始日を、端末装置によって入力すると、管理サーバにおいて、ベルトの交換時期(交換予定日)を管理することができる。
【0017】
また、本発明は、上記ベルト管理システムにおいて、
前記ベルトの管理情報は、ベルトの修理・購入に必要な情報を含み、
前記端末装置は、前記ベルトの修理・購入に必要な情報に基づき、発注指令を送信可能であり、
前記管理サーバの前記制御部は、前記端末装置から送信された、前記識別情報及び前記発注指令に基づき、前記記憶部に、前記識別情報に対応する受注履歴として記憶してもよい。
【0018】
上記構成によれば、管理サーバにおいて、ベルトの発注・受注を管理することができる。
【0019】
また、本発明は、上記ベルト管理システムにおいて、
前記ベルトが、有端状のベルト帯を接合して無端状にした輪形状をしており、
前記RFID用タグは、前記ベルトの接合部付近に埋設されていてもよい。
【0020】
上記構成によれば、RFID用タグを読み取ることにより、剥離や破損が比較的生じやすい、ベルトの接合部を容易に発見・認識することができる。特に、ベルトが、野外で砂利や土などを搬送する際に使用される場合であれば、全長が数100mにも及ぶことから、接合部の発見に手間がかかることがあるが、ベルトの接合部付近にRFID用タグが埋設されていれば、端末装置により識別情報を読み取ることができたところがベルトの接合部であるため、接合部を容易に発見でき、接合部のメンテナンスをし易くすることができる。
【0021】
また、本発明は、上記ベルト管理システムにおいて、
前記端末装置が、前記RFID用タグに記憶された前記識別番号を読み取る、無線又は有線接続可能な読取部を有し、
前記読取部は、前記ベルトの周回動作により搬送物を搬送するために使用された状態で、周回動作する前記ベルトから所定距離離れた場所に設置されていてもよい。
【0022】
上記構成によれば、ベルトを走行させて、周回させながら経時的に識別情報を読み取り可能とすることができる。これにより、人が直接近づかなくても遠隔で、いつでもベルトの識別情報を読み込むことができる。
【0023】
また、本発明は、端末装置と、当該端末装置にネットワークを介して接続される、管理サーバと、を備えた、ベルト管理システムであって、
前記端末装置は、
ベルトに埋設されたRFID(Radio Frequency Identification)用タグに記憶された、識別情報を読み取る読取部と、
ベルトの管理情報を表示する表示部と、
前記読取部で読み取った前記識別情報及び要求された前記ベルトの管理情報の種類を、前記管理サーバに送信する、端末側制御部と、を備え、
前記管理サーバは、
複数のベルトに対応する前記識別情報と、多種類の、前記ベルトの管理情報とが対応付けられて記憶されている記憶部と、
前記端末装置から送信された、前記識別情報及び前記ベルトの管理情報の種類に対応する、前記記憶部に記憶された前記ベルトの管理情報を、前記端末装置に送信する、サーバ側制御部と、を備えていてもよい。
【0024】
また、本発明は、ベルトに埋設されたRFID(Radio Frequency Identification)用タグに記憶された、識別情報を読み取り可能で、且つ、前記ベルトの管理情報を表示可能な端末装置が接続可能な管理サーバを備えた、ベルト管理システムであって、
前記管理サーバは、
複数のベルトに対応する前記識別情報と、多種類の、前記ベルトの管理情報とが対応付けられて記憶されている記憶部と、
前記端末装置で読み取られた前記識別情報及び前記端末装置で入力された前記ベルトの管理情報の種類に対応する、前記記憶部に記憶された前記ベルトの管理情報を、前記端末装置に送信する、制御部と、を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0025】
ベルトのトレーサビリティの向上のために、多種のベルトの管理情報を、搬送ベルトのメーカー、販売元、ユーザー等が簡単に共有することができる、ベルト管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態1に係るベルト管理システムの説明図である。
【
図2】実施形態1に係る、RFID用タグが埋設された搬送ベルトの説明図である。
【
図3】実施形態1に係るモバイル端末に表示される搬送ベルトの管理情報の一例である。
【
図4】実施形態1に係る管理サーバの記憶部に格納された管理情報テーブルの説明図である。
【
図5】実施形態1に係るメンテナンス履歴の説明図である。
【
図6】実施形態1に係る管理情報処理のフローチャートである。
【
図7】実施形態1に係る更新処理のフローチャートである。
【
図8】実施形態1に係る発注処理のフローチャートである。
【
図9】実施形態1に係る交換時期入力処理のフローチャートである。
【
図10】実施形態2に係るベルト管理システムの説明図である。
【
図11】実施形態3に係るベルト管理システムの説明図である。
【
図12】実施形態4に係るベルト管理システムの説明図である。
【
図13】実施形態4に係るコンベヤ装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施形態1)
本実施形態に係るベルト管理システム1は、
図1に示すように、食品などの搬送物(物品)を乗せて搬送する搬送ベルト2に関する管理情報(後述)を、搬送ベルト2のメーカー、販売元、ユーザー等で共有することを目的としている。
【0028】
(ベルト管理システム1)
搬送ベルト2のベルト管理システム1は、
図1に示すように、管理サーバ10を主体として、各種の端末装置(ユーザー使用のRFID用リーダー30、メーカー使用のPC40、販売元使用のPC50、ユーザー使用のPC60)とインターネット(ネットワーク)を介して接続可能に構成されている。これにより、搬送ベルト2のユーザー、メーカー、販売元は、ベルト管理システム1を利用して管理サーバ10にアクセスすることができる。なお、ベルト管理システム1の利用に関しては、事前登録、パスワード認証等によりアクセス制限をかけて使用することが好ましい。
【0029】
(搬送ベルト2)
本実施形態の搬送ベルト2は、有端状の幅広のベルト帯の両端を接合して(
図2の接合部25参照)無端状の輪形状にした平ベルトであり、
図2に示すように、駆動プーリと従動プーリとの間に巻き掛けられて使用される。これにより、搬送ベルト2の表面上にパンや菓子生地のような食品などの搬送物(物品)を乗せて、従動プーリ側から駆動プーリ側に搬送可能となる。
【0030】
搬送ベルト2は、
図2に示すように、搬送面側から視認可能な透明性を有する、透明熱可塑性樹脂または透明熱可塑性エラストマーで形成された、第1樹脂層20(表面層)と、経糸と緯糸を交差させて織られた織布(接着剤含浸)で形成された、第1芯体帆布層21と、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーで形成された、中間層となる第2樹脂層22と、第1芯体帆布層21と同じ織布(接着剤含浸)で形成された、第2芯体帆布層23とが積層された構造をしている。そして、第1樹脂層20と第1芯体帆布層21との間には、RFID(Radio Frequency Identification)用タグ24が埋設されている。また、第1芯体帆布層21において、RFID用タグ24の横(近辺)の位置には、RFID用タグ24が埋設されている場所を知らせる印(文字)が印字(印刷)されている。即ち、搬送面側から、印(文字)が透過して目視可能とされている。
【0031】
ここで、このRFID用タグ24は、搬送ベルト2の接合部25の近くに埋設されている。このRFID用タグ24をRFID用リーダー30(後述)で読み取ることにより、剥離や破損が比較的生じやすい、搬送ベルト2の接合部25を発見・認識し易くすることができる。また、搬送ベルト2の製造過程で、接合前の有端状のベルト帯の端にRFID用タグ24を埋設する方が、他の場所にRFID用タグ24を埋設する場合よりも容易で管理しやすいという理由もある。
【0032】
RFID用タグ24には、搬送ベルト2のメーカーが設定した識別情報が記憶されており、RFID用リーダー30によって電磁界や電波などを使用した無線通信により読み取り可能とされている。識別情報とは、製造された搬送ベルト2を特定し、識別するための情報である。本実施形態では、識別情報は、メーカーが、製造した搬送ベルト2毎に個別に割り当てた製造ナンバー(202000001、202000002など)である。なお、RFID用タグ24には、ベルト管理システム1にアクセスできるURLの情報が記憶されていてもよい。
【0033】
本実施形態のベルト管理システム1では、搬送ベルト2として無端状の平ベルトを例示して説明しているが、その他の摩擦伝動ベルト(Vベルトなど)や噛み合い伝動ベルト(歯付ベルト)など様々なベルトを管理することができる。また、接合部25のない無端状のベルトにも採用できる。
【0034】
(管理サーバ10)
管理サーバ10は、
図1に示すように、メーカーなどの管理者が、ベルト管理システム1を運営・管理する際に利用するコンピュータであり、ユーザーが操作する、RFID用リーダー30やPC60や、メーカーが使用するPC40や、販売元が使用するPC50などから、各種のデータやリクエストを受信すると、データを記憶保存したり、リクエストされたデータ等を、RFID用リーダー30や、PC40や、PC50や、PC60などに送信したりすることができる。本実施形態の管理サーバ10は、制御部11と、記憶部12と、入力部13と、表示部14と、通信部15とを有している。
【0035】
制御部11は、管理サーバ10でのコンピュータ制御を行うものである(CPU等)。
記憶部12は、システムプログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、書き換え可能な記憶領域であるRAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリ等によって構成されている。
入力部13は、管理者等が、様々な情報やコマンドを入力するための操作機器であり、例えば、キーボードやマウス等によって実現される。
表示部14は、制御部11からの指令に基づいて管理者用の操作画面を表示する。
通信部15は、各種の端末装置(RFID用リーダー30、PC40、PC50、PC60など)と通信を行うための機器である。
【0036】
ここで、記憶部12には、メーカーが製造した多数の搬送ベルト2に対応する製造ナンバー(識別情報)と、搬送ベルト2の管理情報(多種類)とが対応付けられた、管理情報テーブルがデータとして格納されている(
図4参照)。
【0037】
具体的には、管理情報テーブルは、製造した搬送ベルト2毎に個別に割り当てられた製造ナンバーに対して、ベルト種類、仕様、取扱説明書、ベルトの仕様書(不図示)、検査成績書(不図示)、SDS(Safety Data Sheet)(不図示)、交換時期に関する情報、メンテナンス履歴、受注履歴、リコール情報(不図示)、「ベルトの種類に応じた、メンテナンス対象又は交換対象になる状態のベルトの外観を示す比較画像又は比較動画(ベルトの摩耗、ほつれ、汚れ、傷、凹凸などの外観を例示する参照画像・映像)」などの管理情報が対応付けられており、制御部11からのリクエストにより参照可能とされている。
【0038】
ベルトの種類は、メーカーが製造したベルトの種類に関する情報で、平ベルト、Vベルト、Vリブドベルトなどが例示できる。
【0039】
仕様は、各ベルトの使用用途、材質、形状、大きさなどを規定する記号、メーカー・販売元等への連絡先、製造履歴などがまとめられた情報である。
【0040】
取扱説明書(ベルトの取扱説明情報に相当)は、ベルトの種類及び仕様に応じた使用方法や、メンテナンスの仕方、メーカー等への連絡先などがまとめられた情報であり、リクエストにより参照される(ウェブ上での閲覧やファイルデータでのダウンロードが可能)。なお、取扱説明書としては、文字情報だけでなく、搬送ベルト2の使用方法やメンテナンスの仕方等(蛇行調整およびテンション調整)を映像化した動画が含まれていてもよい(ユーザーにとって、作業ポイントを確認しやすくなる)。
【0041】
ベルトの仕様書は、上述したベルトの種類や仕様をまとめた情報であり、リクエストにより参照される(ウェブ上での閲覧やファイルデータでのダウンロードが可能)。また、ベルトの検査結果をまとめた検査成績書や、ベルトに含まれる化学物質等の性状や取り扱いに関する情報をまとめたSDS(Safety Data Sheet)についても、リクエストにより参照される(ウェブ上での閲覧やファイルデータでのダウンロードが可能)。
【0042】
交換時期に関する情報は、ベルトの製造日や販売日や使用開始日やメーカーが推奨する交換の目安となる使用期間や交換時期などがまとめられた情報、更には、「ベルトの種類に応じた、メンテナンス対象又は交換対象になる状態のベルトの外観を示す比較画像又は比較動画(ベルトの摩耗、ほつれ、汚れ、傷、凹凸などの外観を例示する参照画像・映像)」であり、リクエストにより参照される。なお、メンテナンス対象又は交換対象になる状態のベルトの外観を示す比較画像又は比較動画は、ユーザーがリクエストにより、参照閲覧することにより、目視で確認することができ、ベルトのメンテナンスのタイミングや交換のタイミングを主観的に判断することもできる。
【0043】
メンテナンス履歴には、搬送ベルト2に対して行ったメンテナンス情報が記載されている。メンテナンス情報としては、
図5に示すように、メンテナンスを実施した日時、メンテナンスを行った担当者、メンテナンスの内容(ふき取り洗浄、水での洗浄、お湯での洗浄、次亜塩素酸ナトリウム洗浄、目視での点検等)、搬送ベルト2に不具合があった場合の内容(耳部ほつれ、カバー摩耗、エンドレスめくれ、蛇行防止桟剥離、よごれなど)、特記事項(不具合に対する対応:再エンドレス化、中入れ、短縮、パッチ当てなどの修理事項など)、後述するカメラ35で撮影された搬送ベルト2の外観の静止画又は動画などが例示できる。
【0044】
受注履歴は、ベルトの受注の有無、発注者(住所等の納品先の情報)、受注者(連絡先等)、ベルトの種類、仕様、個数、販売価格、発注日、納期(納品予定日)などの情報である。受注履歴は、ユーザーから、アプリケーションソフトを介して、ベルトの発注があり、メーカーや販売元で受注した場合に更新される。
【0045】
(RFID用リーダー30)
RFID用リーダー30は、ディスプレイ31(表示部)、RFID用送受信アンテナ32、タッチパネル33、端末側制御部34、カメラ35を備え、インターネットに接続可能である。このRFID用リーダー30には、管理サーバ10に、インターネットを介してアクセスする専用のアプリケーションソフトがインストールされている。
【0046】
ディスプレイ31には、アプリケーションソフトを使用して、タッチパネル33によるタッチ操作を行う操作アイコンや搬送ベルト2の管理情報が表示される。
【0047】
RFID用送受信アンテナ32は、搬送ベルト2に埋設されたRFID用タグ24から識別情報を読み取ることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、インターネット接続可能なRFID用リーダー30を端末装置として説明しているが、RFID用タグ24の識別情報を読み取る専用のリーダーを使用してもよい。この場合、専用のリーダーをPCなどに接続して、インターネットに接続可能とすればよい(この場合は、専用のリーダーとPCの組み合わせが端末装置に相当する)。また、RFID用タグ24の識別情報を読み取る端末装置としては、RFID用タグ24を読み取り可能な送受信機能を備えたスマートフォンを採用してもよい。
【0049】
(PC40、PC50、PC60)
PC40は、市販のパーソナルコンピュータであり、メーカーの担当者がベルト管理システム1の管理サーバ10にアクセスする場合に使用される。PC40には、RFID用リーダー30同様に、管理サーバ10に、インターネットを介してアクセスする専用のアプリケーションソフトがインストールされている。
【0050】
PC50は、市販のパーソナルコンピュータであり、販売元の担当者がベルト管理システム1の管理サーバ10にアクセスする場合に使用される。PC50にも、RFID用リーダー30同様に、管理サーバ10にアクセスする専用のアプリケーションソフトがインストールされている。また、PC50には、搬送ベルト2のRFID用タグ24の識別情報を読み取る専用のリーダーが接続可能である。
【0051】
PC60は、市販のパーソナルコンピュータであり、ユーザーがベルト管理システム1の管理サーバ10にアクセスする場合に使用される。PC60にも、RFID用リーダー30同様に、管理サーバ10にアクセスする専用のアプリケーションソフトがインストールされている。また、PC60にも、搬送ベルト2のRFID用タグ24の識別情報を読み取る専用のリーダーが接続可能である。なお、ユーザーとしては、PC60とRFID用リーダー30を個別に使用してもよいし、併用して使用してもよい。例えば、ユーザーの搬送会社の本社にPC60を載置し、工場の担当者はRFID用リーダー30を使用することなどが例示できる。
【0052】
上記実施形態では、管理サーバ10にアクセス可能な端末装置として、RFID用リーダー30やパーソナルコンピュータを例示して説明したが、RFID用タグ24を読み取り可能な送受信機能や、各種情報を表示可能なディスプレイなどが搭載されていればよく、タブレットやウェアラブルタイプのデバイスなども採用することができる。
【0053】
(ベルト管理システム1の使用態様)
次に、ユーザーが、ベルト管理システム1を使用して、搬送ベルト2の管理情報を取得する際の態様について説明する。
【0054】
まず、ユーザーは、RFID用リーダー30にインストールされたアプリケーションソフトを起動して、RFID用送受信アンテナ32によってRFID用タグ24を読み取り可能にする。
【0055】
次に、ユーザーは、
図1に示すように、RFID用リーダー30で搬送ベルト2のRFID用タグ24を読み取る。この際、本実施形態では、RFID用タグ24を採用していることから、RFID用リーダー30によって、ある程度遠隔からRFID用タグ24の識別情報(搬送ベルト2に割り当てられた製造ナンバー)を取得することができる。例えば、本実施形態では、搬送ベルト2の製造ナンバーとして「202000001」を取得する。
【0056】
ここで、このRFID用タグ24は、搬送ベルト2の接合部25の近くに埋設されている。このRFID用タグ24をRFID用リーダー30(後述)で読み取ることにより、剥離や破損が比較的生じやすい、搬送ベルト2の接合部25を発見・認識することができる。即ち、RFID用リーダー30が、接合部25を探知する機能を果たすことになる。
【0057】
そして、RFID用リーダー30が搬送ベルト2に割り当てられた製造ナンバーを取得すると、端末側制御部34がアプリケーションソフトを介して、取得した製造ナンバーに対応するベルトの種類・仕様に関する管理情報を取得するために、製造ナンバー及びベルトの種類・仕様に関する管理情報のリクエストを、管理サーバ10に送信する。
【0058】
管理サーバ10が、RFID用リーダー30から送信された、製造ナンバー及びベルトの種類・仕様に関する管理情報のリクエストを受信したら、制御部11は、記憶部12に格納された、管理情報テーブルを参照して、受信した、製造ナンバーに対応するベルトの種類・仕様に関する管理情報を特定する。本実施形態では、管理情報テーブル(
図4)を参照して、製造ナンバーの「202000001」に対応するベルトの種類及び仕様が参照され、ベルトの種類として「平ベルト」、仕様として「NS32U」が特定される。
【0059】
そして、管理サーバ10の制御部11は、特定したベルトの種類・仕様に関する管理情報をRFID用リーダー30に送信する。
【0060】
そして、特定されたベルトの種類・仕様に関する管理情報を受信したRFID用リーダー30(端末側制御部34)は、
図3(A)に示すように、ディスプレイ31に、製造ナンバーの「202000001」に対応するベルトの種類(平ベルト)及び仕様(NS32U)を表示する。
【0061】
これにより、上記ベルト管理システム1を使用して、搬送ベルト2の種類・仕様に関する管理情報を、搬送ベルト2のメーカー、販売元、ユーザー等が簡単に共有することができる。
【0062】
この際、
図3(A)に示すように、ディスプレイ31には、アプリケーションソフトによる操作(指令)を行う、操作アイコンも表示される。具体的には、搬送ベルト2の、メンテナンス情報を記入する「メンテナンス」と表示された操作アイコンや、搬送ベルト2の種類・仕様の詳細が記載された仕様書を参照する「仕様書」と表示された操作アイコンや、搬送ベルト2の取扱説明書を参照する「取扱説明書」と表示された操作アイコンや、搬送ベルト2の交換時期に関する情報を参照する「交換時期」と表示された操作アイコンや、メンテナンス履歴を参照する「メンテナンス履歴」と表示された操作アイコンや、搬送ベルト2の修理依頼先である販売元やメーカーに依頼手続きができる「修理依頼」と表示された操作アイコンや、搬送ベルト2の購入手続きができる「発注」と表示された操作アイコンなどが表示される。
【0063】
(取扱説明書の取得:
図6の管理情報処理)
図3(A)に示すように、ユーザーが、「取扱説明書」と表示された操作アイコンをタッチした場合、端末側制御部34がアプリケーションソフトを介して、搬送ベルト2の製造ナンバーに対応する取扱説明書に関する管理情報を取得するために、RFID用タグ24から取得した製造ナンバー及び取扱説明書に関する管理情報のリクエストを、管理サーバ10に送信する。
【0064】
管理サーバ10は、RFID用リーダー30から送信された、製造ナンバー及び取扱説明書に関する管理情報のリクエストを受信したら(
図6のS1参照)、制御部11は、記憶部12に格納された、管理情報テーブルを参照して、受信した、製造ナンバーに対応する取扱説明書に関する管理情報を特定する(S2)。本実施形態では、管理情報テーブル(
図4)を参照して、製造ナンバーの「202000001」に対応する取扱説明書が参照され、「平ベルト説明書」が特定される。
【0065】
そして、管理サーバ10の制御部11は、特定した「平ベルト説明書」に関する管理情報をRFID用リーダー30に送信する(S3)。
【0066】
そして、特定された「平ベルト説明書」に関する管理情報を受信したRFID用リーダー30は、
図3(B)に示すように、ディスプレイ31に、製造ナンバーの「202000001」に対応する「平ベルト説明書」を表示する。これにより、ユーザーは、平ベルトの使用方法や、メンテナンスの仕方などの情報を得ることができる。
【0067】
なお、上記管理情報処理と同様の手順により、ベルトの仕様書、検査成績書、SDSなどを取得することができる。
【0068】
上記構成によれば、従来、ベルト製品に付随していた、ベルトの仕様書、検査成績書、SDS、及び、ベルトの取扱説明書などの紙書類を、管理サーバ10において管理することができ、ペーパーレス化を図ることができる。
【0069】
(メンテナンス情報の更新:
図7の更新処理)
また、ユーザーが、搬送ベルト2の洗浄(メンテナンス)を終えた際に、
図3(A)に示された「メンテナンス」と表示された操作アイコンをタッチした場合、
図3(C)に示すように、メンテナンス情報を記入することができる。具体的には、搬送ベルト2の洗浄を行った日時(実施日時)、搬送ベルト2の洗浄を行った担当者、洗浄の内容(ふき取り洗浄、水での洗浄、お湯での洗浄、次亜塩素酸ナトリウム洗浄、目視での点検等を選択できる)、搬送ベルト2に不具合があった場合の内容(耳部ほつれ、カバー摩耗、エンドレスめくれ、蛇行防止桟剥離、よごれなど)、特記事項(不具合に対する対応:再エンドレス化、中入れ、短縮、パッチ当てなどの修理事項など)を選択・記入することができる。
【0070】
ここで、このRFID用タグ24は、搬送ベルト2の接合部25の近くに埋設されている。このRFID用タグ24をRFID用リーダー30で読み取ることにより、剥離や破損が比較的生じやすい、搬送ベルト2の接合部25を発見・認識することができる。即ち、RFID用リーダー30が、接合部25を探知する機能を果たすことになる。このため、ユーザーは、RFID用リーダー30でRFID用タグ24を読み取り発見した、搬送ベルト2の接合部を、容易にカメラ35で撮影することができる。そして、ユーザーが、カメラ35で撮影した、搬送ベルト2の外観の静止画又は動画を、メンテナンス情報として、製造した搬送ベルト2毎に時系列に沿って記入(記憶)することができる。
【0071】
上記メンテナンス情報を選択・記入したら、ディスプレイ31に「OK」ボタンが表示される。そして、ユーザーが、この「OK」ボタンをタッチしたら、アプリケーションソフトが、搬送ベルト2の製造ナンバーに対応するメンテナンス情報を更新するために、RFID用タグ24から取得した製造ナンバー及びメンテナンス情報の更新指令を、管理サーバ10に送信する。
【0072】
管理サーバ10は、RFID用リーダー30から送信された、製造ナンバー及びメンテナンス情報の更新指令を受信したら(
図7のS11参照)、制御部11は、記憶部12に格納された、管理情報テーブルのメンテナンス履歴(
図5)を参照して、受信した、製造ナンバーに対応するメンテナンス情報を更新する(S12)。本実施形態では、管理情報テーブルのメンテナンス履歴(
図5)を参照して、製造ナンバーの「202000001」のメンテナンス情報が更新される。具体的には、
図5に示すように、搬送ベルト2(製造ナンバー:「202000001」)の洗浄を行った、実施日時(2019.10.10-10:23)の項目が新たに新設され、この実施日時の項目下に、RFID用リーダー30で記入された、搬送ベルト2の洗浄を行った担当者、洗浄の内容、不具合の内容、特記事項、搬送ベルト2の外観の静止画又は動画が記入・記憶され、メンテナンス履歴が更新される。
【0073】
ここで、管理サーバ10は、カメラ35で撮影された搬送ベルト2の外観の静止画又は動画と、、記憶部12に記憶された、受信した製造ナンバーに対応するベルトの種類に応じた、比較画像又は比較動画(ベルトの摩耗、ほつれ、汚れ、傷、凹凸などの外観を例示する参照画像・映像)とを画像解析により比較する。そして、カメラ35で撮影した静止画又は動画と比較画像又は比較映像とが所定の一致率を示した場合には、メンテナンス対象又は交換対象と判断する。なお、メンテナンス対象又は交換対象と判断された、搬送ベルト2の外観の静止画又は動画は、比較画像又は比較動画として累積記憶してもよい(次回の搬送ベルト2のメンテナンスのタイミング、又は、交換のタイミングの精度をより高めることができる)。
【0074】
そして、管理サーバ10の制御部11は、メンテナンス情報を更新した旨の通知をするために、更新完了通知をRFID用リーダー30に送信する(S13)。なお、カメラ35で撮影した静止画又は動画と比較画像又は比較映像とが所定の一致率を示し、メンテナンス対象又は交換対象と判断された場合には、RFID用リーダー30に、搬送ベルト2がメンテナンス対象又は交換対象であることを通知する。
【0075】
そして、更新完了通知を受信したRFID用リーダー30では、
図3(A)に示す、「メンテナンス履歴」と表示された操作アイコンをユーザーがタッチすると、更新されたメンテナンス履歴が表示される。また、搬送ベルト2がメンテナンス対象又は交換対象であると通知を受けた、RFID用リーダー30のディスプレイ31に、搬送ベルト2がメンテナンス対象又は交換対象である旨のメッセージを表示する。この際、赤や黄色といった色で、搬送ベルト2がメンテナンス対象又は交換対象である旨を報知してもよい。
【0076】
なお、上記のように、搬送ベルト2を洗浄した実施日時を入力した場合、管理サーバ10において、ユーザーやメーカーが予め設定する、あるいは、過去の洗浄日の間隔から推測される、次回の洗浄日を予約して、予約日前日にRFID用リーダー30に洗浄予約がある旨を通知するようにしてもよい。即ち、搬送ベルト2の過去の洗浄等のメンテナンス記録の記入間隔、又は、搬送ベルト2の交換間隔に基づき、搬送ベルト2のメンテナンスのタイミング、又は、交換のタイミングを通知してもよい。
【0077】
また、メーカーや販売元が、搬送ベルト2の点検やメンテナンスを行った場合は、メーカーのPC40や販売元のPC50によってメンテナンス情報を更新してもよい。
【0078】
上記構成によれば、搬送ベルト2に対して、洗浄、点検等のメンテナンスを行った際に、洗浄・点検の日付、内容、不具合などのメンテナンス情報を更新して、管理サーバ10において、一括管理することができる。これにより、ユーザーにとっては、洗浄、点検等のメンテナンスの記録を自分で管理する必要がなく、また、メーカーや販売元にとっては、搬送ベルト2の使用状況(洗浄や不具合の態様)を共有して、ユーザーに対するきめ細やかなフォローを実施することができる。
【0079】
また、管理サーバ10では、食品搬送用の搬送ベルト2の衛生管理手続きに沿った項目、書式で管理されることが好ましい。例えば、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)に対応可能な書式に入力データが整理され、いつでもアウトプットできるようにしてもよい。
【0080】
(搬送ベルトの発注:
図8の発注処理)
また、搬送ベルト2の交換時期が近づいたため、ユーザーが、ディスプレイ31に表示された「発注」と表示された操作アイコン(
図3(A)参照)をタッチした場合、RFID用リーダー30が取得した、ベルトの種類(平ベルト)及び仕様(NS32U)などの管理情報から、ベルトのサイズ、詳細な仕様、販売元、連絡先などがディスプレイ31に表示される(ベルトの修理・購入に必要な情報が表示される)。ここで、ユーザーは、発注するベルトの種類やサイズや個数などを選択することができる。
【0081】
次に、ディスプレイ31には、「見積もり」ボタンと「購入」ボタンとが表示される(不図示)。
【0082】
そして、ユーザーが、選択したベルトの購入に関する見積もりが欲しい場合は、「見積もり」ボタンにタッチする。この場合、アプリケーションソフトが、選択したベルトの購入に関する情報を見積リクエストとして、管理サーバ10に送信する。
【0083】
管理サーバ10は、RFID用リーダー30から送信された、見積リクエストを受信したら(
図8のS21参照)、制御部11は、ベルトの購入に関する情報と記憶部12に記憶されている見積もりの計算表と(ベルトの種類や仕様によって異なる単価等が記載されている)を参照して、見積書(納期を含む)を計算・作成する(S22)。
【0084】
なお、発注されたベルトの納期に関しては、制御部11が、ベルトの購入に関する情報(発注するベルトの種類やサイズや個数や配送先の住所等)と、メーカー又は販売元が管理する、ベルトの在庫情報に基づき算出される。例えば、メーカーや販売元に在庫があれば、納期としては比較的短い日数が算出されるが、メーカーや販売元に在庫がなければ、ベルトの製造にかかる日数を考慮した納期が算出される。
【0085】
そして、管理サーバ10の制御部11は、見積書(納期を含む)をRFID用リーダー30に送信する(S23)。
【0086】
そして、見積書(納期を含む)を受信したRFID用リーダー30では、見積書(納期を含む)を閲覧することができる。例えば、発注するベルトの見積額、発注後何日で配送されるか(納期)などの情報を閲覧することができる。
【0087】
その後、見積書(納期を含む)の内容でよければ、ユーザーは、ディスプレイ31に表示された、「購入」ボタンをタッチする。この場合、アプリケーションソフトが、RFID用タグ24から取得した製造ナンバーと、選択したベルトの購入に関する情報としての発注指令とを、管理サーバ10に送信する。
【0088】
なお、ユーザーは、見積もりなしでベルトを購入したい場合は、ディスプレイ31に表示された「発注」と表示された操作アイコン(
図3(A)参照)をタッチした後、「見積もり」ボタンにタッチせずに、「購入」ボタンにタッチすることにより、ベルトの発注を行うことができる。
【0089】
管理サーバ10は、RFID用リーダー30から送信された、製造ナンバー及び発注指令を受信したら(S24)、制御部11は、購入手続処理を実行する(S25)。具体的には、制御部11は、製造ナンバー及びベルトの購入に関する情報に基づき、記憶部12の管理情報テーブルの受注履歴を、「受注済」に更新する。そして、「受注済」に更新されたことを受けて、制御部11が、購入希望のベルトを、ユーザーに納品するための手配を行う(メーカーや販売元等にメール連絡するなど)。
【0090】
その後、管理サーバ10の制御部11は、ベルトの購入手続きが完了した旨の通知をするために、購入手続完了通知をRFID用リーダー30に送信する(S26)。
【0091】
そして、購入手続完了通知を受信したRFID用リーダー30では、「購入手続完了」とのメッセージがディスプレイ31に表示され、ユーザーは、購入手続が完了したことを確認することができる(納期も確認することができる)。
【0092】
これにより、上記ベルト管理システム1を使用して、搬送ベルト2の発注・受注に関する管理情報を、搬送ベルト2のメーカー、販売元、ユーザー等が簡単に共有することができる。
【0093】
上記説明では、搬送ベルト2の購入について説明したが、同様の処理手順により、メーカーや販売元に搬送ベルト2の修理依頼をすることもできる(
図3(A)の「修理依頼」と表示された操作アイコンへのタッチ)。
【0094】
(交換時期の入力:
図9の交換時期入力処理)
次に、搬送ベルト2の販売元が、ベルト管理システム1を使用して、搬送ベルト2の販売日を入力することにより、搬送ベルト2の交換時期が入力される態様について説明する。
【0095】
販売元が、ユーザーに、搬送ベルト2を販売する際に、PC50に接続されたリーダーを使用して、販売した搬送ベルト2のRFID用タグ24を読み取る。すると、PC50の専用のアプリケーションソフトによって、搬送ベルト2(製造ナンバーの「202000001」)の販売日を入力する画面が、PC50のディスプレイに表示される。
【0096】
そして、販売元が、搬送ベルト2の販売日を入力すると、PC50のアプリケーションソフトが、搬送ベルト2の製造ナンバーに対応する、販売日を入力するために、RFID用タグ24から取得した製造ナンバー及び販売日の入力指令を、管理サーバ10に送信する。
【0097】
管理サーバ10は、PC50から送信された、製造ナンバー及び販売日の入力指令を受信したら(
図9のS31参照)、制御部11は、記憶部12に格納された、管理情報テーブル(
図4)を参照して、受信した、製造ナンバーに対応する交換時期に関する情報に販売日を入力する(S32)。例えば、本実施形態では、管理情報テーブルを参照して、製造ナンバーの「202000001」に対応する交換時期に関する情報に販売日(2018.08.10)が入力される(
図4参照)。
【0098】
ここで、交換時期に関する情報に関して、搬送ベルト2の交換の目安となる使用期間は予めメーカーによって設定されている。具体的には、管理サーバ10では、メーカーによって、ベルトの種類毎に交換の目安となる使用期間(例えば、販売日(使用開始日)から3年や、製造日から10年など)が使用期間として設定されている。従って、販売日が入力された場合、販売日(使用開始日)に使用期間を加えた年月日が交換時期になることから、交換時期の年月日も、交換時期に関する情報として入力される。例えば、搬送ベルト2の交換の目安となる使用期間が販売日から3年に設定されている場合、販売日(2018.08.10)が入力された場合、交換時期(2021.08.10)も、交換時期に関する情報として入力される。
【0099】
そして、管理サーバ10の制御部11は、販売日や交換時期を入力した旨の通知をするために、入力完了通知をPC50に送信する(S33)。
【0100】
その後、入力完了通知を受信したPC50や、メーカー使用のPC40や、搬送ベルト2を購入したユーザーのRFID用リーダー30やPC60では、販売日やメーカー推奨する使用期間や交換時期などの交換時期に関する情報を閲覧することができる。
【0101】
上記のように、搬送ベルト2の販売日を入力すれば、管理サーバ10において、ベルトの交換時期も管理することができる。そうすると、搬送ベルト2の交換時期が近づいた際に、ユーザーのRFID用リーダー30に、交換時期が近づいている旨の通知をしてもよい。これにより、ユーザーに搬送ベルト2の点検、修理、購入を促すことができる。
【0102】
更に、上記のように交換時期が定まると、交換時期前の、搬送ベルト2のメンテナンスにおいて、不具合(エンドレスめくれ)が見つかり、メンテナンス情報として入力された場合、販売元・メーカーに自動的に不具合があったことが連絡するようにしてもよい(無償修理等の対象となる場合あり)。一方、交換時期後の、メンテナンスにおいて、不具合が見つかり、メンテナンス情報として入力された場合、同じベルトを再度購入できるように発注案内をしてもよい(RFID用リーダー30からメーカーや販売元に同じベルトの注文をすることができる)。
【0103】
上記交換時期入力処理では、販売元がPC50によって購入日を入力する態様について説明したが、ユーザーがRFID用リーダー30やPC60により、搬送ベルト2の実際の使用開始日を入力することにより、管理サーバ10において交換時期が入力されるようにしてもよい。具体的には、RFID用リーダー30などから使用開始日が入力された場合、管理サーバ10において、使用開始日に使用期間を加えた年月日が交換時期として入力される。
【0104】
(実施形態2)
上記実施形態1では、搬送ベルト2のユーザーだけでなく、外部(搬送ベルト2のメーカーや、販売元)とも搬送ベルト2に関する管理情報を共有する場合について説明した。即ち、搬送ベルト2のメーカーが設置した管理サーバ10に、インターネット回線を使用して、搬送ベルト2のユーザーや、搬送ベルト2のメーカーの担当者や、販売元の担当者が、搬送ベルト2に関する管理情報にアクセスする態様について説明した。
【0105】
しかし、搬送ベルト2のユーザーとしては、セキュリティの観点から、ユーザーが使用する搬送ベルト2に関する管理情報に、外部(社外)の者がアクセスすることが好ましくない場合がある。
【0106】
そこで、実施形態2では、搬送ベルト2のユーザーである会社内でのみ使用されるベルト管理システム101について説明する。
【0107】
実施形態2のベルト管理システム101は、
図10に示すように、ユーザーである会社の本社に設置された、管理サーバ110を主体としており、管理サーバ110は、支社に設置されたPC130や、工場の管理部に設置されたPC140や、工場現場の担当者が保有するRFID用リーダー150(各種の端末装置)などとLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)を介して接続されている。これにより、搬送ベルト2のユーザーである会社の関係者のみが、ベルト管理システム101を利用して管理サーバ110の記憶部112に格納された、搬送ベルト2に関する管理情報にアクセスすることができる。なお、管理サーバ110や各種端末装置の詳細な構成や、ベルト管理システム101の使用態様は、実施形態1と同様である。
【0108】
ただし、搬送ベルト2の発注処理では、見積依頼や購入や修理に関する情報は、本社に設置された管理サーバ110に送信され、本社の担当者等が確認した後、搬送ベルト2の見積依頼や購入手続きや修理手続きを行うことになる。即ち、ベルト管理システム101は、外部(搬送ベルト2のメーカーや販売元)とは直接接続されていないことから、外部での処理(見積もり、購入、修理)が必要な場合は、社内の担当者を介して間接的に、外部とのやりとりがなされる。
また、搬送ベルト2の交換時期入力処理においても、ユーザーによって購入日(搬送ベルト2の販売日、使用開始日)等の入力がなされる。
【0109】
(実施形態3)
上記実施形態2では、搬送ベルト2のユーザーである会社内のネットワーク(LAN、WAN)のみを使用したベルト管理システム101について説明した。
【0110】
しかし、搬送ベルト2のユーザーとしては、セキュリティの観点から、工場の現場の担当者のみが、搬送ベルト2に関する管理情報にアクセスできればよい場合がある。
【0111】
そこで、実施形態3では、搬送ベルト2のユーザーである会社の工場内でのみ使用されるベルト管理システム201について説明する。
【0112】
実施形態3のベルト管理システム201は、
図11に示すように、ユーザーである会社の工場に設置された、管理用PC210(管理サーバに相当)を主体としており、管理用PC210は、工場現場の担当者が保有するRFID用リーダー230(端末装置)が、有線又は無線により接続されている。これにより、搬送ベルト2のユーザーである会社の工場内の担当者のみが、ベルト管理システム201を利用して管理用PC210の記憶部212に格納された、搬送ベルト2に関する管理情報にアクセスすることができる。なお、管理用PC210やRFID用リーダー230の詳細な構成や、ベルト管理システム201の使用態様は、実施形態1や実施形態2と同様である。
【0113】
ただし、搬送ベルト2の発注処理では、見積依頼や購入や修理に関する情報は、管理用PC210によって担当者等が確認した後、搬送ベルト2の見積依頼や購入手続きや修理手続きを行うことになる。即ち、ベルト管理システム201は、外部(搬送ベルト2のメーカーや販売元)とは直接接続されていないことから、外部での処理(見積もり、購入、修理)が必要な場合は、工場内の担当者を介して間接的に、外部とのやりとりがなされる。
また、搬送ベルト2の交換時期入力処理においても、工場内の担当者によって購入日(搬送ベルト2の販売日、使用開始日)等の入力がなされる。
【0114】
(実施形態4)
上記実施形態1~3では、食品などの搬送物(物品)を乗せて搬送する搬送ベルト2を例示して説明したが、砂利や土を運搬するコンベヤ装置に使われるゴム製のコンベヤベルト302にRFID用タグ324を埋設して、コンベヤベルト302に関する管理情報を、搬送ベルト2のメーカー、販売元、ユーザー等で共有してもよい。
【0115】
コンベヤベルト302は、有端状の幅広のベルト帯の両端を接合(
図13の接合部325参照)無端状の輪形状にした平ベルトであり、
図13に示すように、駆動プーリと従動プーリとの間に巻き掛けられて使用される。なお、コンベヤベルト302は有端状のベルト帯を複数接合することにより、無端状の輪形状にしてもよい(この場合、接合部325は複数形成される)。
【0116】
コンベヤ装置で使用されるコンベヤベルト302は、長さが数100mの長尺ベルトであり、屋外で土砂や土を運搬するため、メンテナンス作業を確保するための足場の確保が困難な場合がある。また、長さが数100メートルにもなるコンベヤベルト302では、メンテナンス作業のために、接合部325を探す際には、コンベヤベルト302の横を歩いて目視で探す必要があったり、コンベヤベルト302がゴム製であれば接合部325が目視し難い場合があったり、接合部325がコンベヤベルト302の裏側からしか目視できないタイプもあったりして手間がかかる場合がある。
【0117】
そこで、本実施形態では、
図12及び
図13に示すように、コンベヤベルト302に埋設されたRFID用タグ324を読み取る、RFID用送受信アンテナ332(読取部に相当)を、コンベヤ装置のコンベヤベルト302を跨ぐゲート329に、コンベヤベルト302から数メートル上方に位置するように取り付けている。そして、コンベヤベルト302が搬送方向に移動してゲート329を通った際に、RFID用送受信アンテナ332がRFID用タグ324の識別情報を読み取り可能としている。即ち、コンベヤベルト302が周回動作により土砂や土を搬送するために使用された状態で、周回動作するコンベヤベルト302から数メートル離れた場所に、RFID用送受信アンテナ332を設置している。また、RFID用送受信アンテナ332は、タブレット端末331(端末装置)と無線接続され、タブレット端末331は、インターネット(ネットワーク)を介して管理サーバ10と接続可能とされている。なお、RFID用送受信アンテナ332とタブレット端末331とは有線接続されていてもよい。
【0118】
上記構成によれば、コンベヤ装置でコンベヤベルト302を走行させて、周回させながら経時的にRFID用送受信アンテナ332によって、RFID用タグ324の識別情報を読み取り可能とすることができる。即ち、コンベヤベルト302を走行させながら経時的にRFID用タグ324を追跡することができる。これにより、人が直接コンベヤ装置に近づかなくても遠隔で、いつでもコンベヤベルト302トの識別情報を読み込むことができる。また、RFID用タグ324は、コンベヤベルト302の接合部325の近くに埋設されている。このため、RFID用タグ324をRFID用送受信アンテナ332で読み取ることにより、剥離や破損が比較的生じやすい、コンベヤベルト302の接合部325を発見・認識し易くすることができる。例えば、ゲート329付近に安全な作業場を設置しておき、コンベヤベルト302を周回(搬送)させ、RFID用送受信アンテナ332でRFID用タグ324を読み取ったタイミングでコンベヤベルト302の周回を止めれば、ゲート329付近に、コンベヤベルト302の接合部325を停止させることができる。これにより、ゲート329付近の作業場で、コンベヤベルト302の接合部325を発見して、安全且つ容易にメンテンナンスなどを実施することができる。
【0119】
(その他の実施形態)
上記の実施形態1では、ベルト管理システム1を使用して、管理情報にアクセスする権限について特に言及していないが、管理情報へのアクセス制限や入力制限を設定してもよい。例えば、RFID用リーダー30やPC40やPC50やPC60から管理サーバ10にアクセスするには、予め登録(氏名、住所などの登録)してからログイン可能なようにしてもよい。また、販売日などは、メーカーや販売元しか入力することができないように制限してもよい(ユーザーは入力できない)。
【0120】
また、上記実施形態1では、ベルト管理システム1を使用したペーパーレス化のために、ベルトの管理情報として、ベルトの取扱説明書を例示したが、ベルトの管理情報としては、納入仕様書や搬送ベルトに関するあらゆる情報(データシート、SDS、RoHS、検査成績書など)を採用してもよい。
【0121】
また、上記実施形態1では、管理サーバ10のみを構成要素とするベルト管理システム1を例示したが、ベルト管理システム1は、管理サーバ10と端末装置(RFID用リーダー30、PC40、PC50、PC60)を含む構成としてもよい。
【0122】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及び実施例に限定されるものでないと考えられるべきである。また、本発明の範囲は、上記した実施形態及び実施例の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0123】
1 ベルト管理システム
10 管理サーバ
11 制御部
12 記憶部
13 入力部
14 表示部
15 通信部
2 搬送ベルト
24 RFID用タグ
30 RFID用リーダー
31 ディスプレイ
32 RFID用送受信アンテナ
33 タッチパネル
34 端末側制御部
40 PC
50 PC
60 PC