(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】ブラウンミラライト系多結晶溶融生成物
(51)【国際特許分類】
C01G 49/00 20060101AFI20240327BHJP
C04B 35/01 20060101ALI20240327BHJP
B01J 23/89 20060101ALI20240327BHJP
H01B 1/06 20060101ALI20240327BHJP
H01B 1/08 20060101ALI20240327BHJP
H01M 8/1246 20160101ALI20240327BHJP
H01M 4/86 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
C01G49/00 C
C04B35/01
B01J23/89 M
H01B1/06 A
H01B1/08
H01M8/1246
H01M4/86 T
(21)【出願番号】P 2021512865
(86)(22)【出願日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 FR2019052191
(87)【国際公開番号】W WO2020058638
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-07-27
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】310009890
【氏名又は名称】サン-ゴバン サントル ドゥ ルシェルシェ エ デトゥードゥ ユーロペン
(73)【特許権者】
【識別番号】501089863
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ サイアンティフィク
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100193404
【氏名又は名称】倉田 佳貴
(72)【発明者】
【氏名】ヘレナ カパー
(72)【発明者】
【氏名】ピエール-アレクシ レペコー
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-108598(JP,A)
【文献】特表2002-520248(JP,A)
【文献】特開2018-118193(JP,A)
【文献】特開2018-070394(JP,A)
【文献】特表2009-518173(JP,A)
【文献】Ac conductivity, dielectric losses, permittivity behavior of Ba x Sr1-x Fe0.8Co0.2O3-[delta] (x=0, 0.5, 1) ceramics,Journal of Materials Science,Kluwer Academic Publishers,2007年02月13日,Vol.42, No.6,2105-2111
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G
B01J
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラウンミラライトをベースとする多結晶溶融生成物であって、前記多結晶溶融生成物の重量の95%超の元素Ca、Sr、Fe、
及びOで構成されており、前記元素の含有量が、式X
y
Fe
t
O
2.5により定義され、式中、原子指数が、0.
96≦y≦1.
02、及び0.
97≦t≦1.
02であるようにされており、XがCa若しくはSr又はCa及びSrの混合
物である、溶融生成物。
【請求項2】
ブラウンミラライト相の含有率が50%超である、請求項
1に記載の溶融生成物。
【請求項3】
式X
y
Fe
t
O
2.5の溶融生成物であって、式(Ca
(1-x)Sr
x)
y
Fe
t
O
2.5において、xがSrの割合を表し、かつ(1-x)がCaの相対的な割合を表す場合、式中、0<x≦0.1、0.9
6≦y≦1.0
2、
及び0.97≦t≦1.02であり、かつCa、Sr、F
e及びO以外の元素の総重量含有率が、前記溶融生成物の重量に対する割合として、3%未満である、請求項1
又は2に記載の溶融生成物。
【請求項4】
式X
y
Fe
t
O
2.5の溶融生成物であって、式(Ca
(1-x)Sr
x)
y
Fe
t
O
2.5において、xがSrの割合を表し、かつ(1-x)がCaの相対的な割合を表す場合、式中、x=0、0.9
6≦y≦1.0
2、
及び0.97≦t≦1.02であり、かつCa、Sr、F
e及びO以外の元素の総重量含有率が、前記溶融生成物の重量に対する割合として、3%未満である、請求項1
又は2に記載の溶融生成物。
【請求項5】
式(Ca
(1-x)Sr
x)
y
Fe
t
O
2.5において、xがSrの割合を表し、かつ(1-x)がCaの相対的な割合を表す場合、式中、1>x≧0.9、0.9
6≦y≦1.0
2、
及び0.97≦t≦1.02であり、かつCa、Sr、F
e及びO以外の元素の総重量含有率が、前記溶融生成物の重量に対する割合として、3%未満である、請求項1
又は2に記載の溶融生成物。
【請求項6】
式(Ca
(1-x)Sr
x)
yM
zFe
tM’
uO
2.5において、xがSrの割合を表し、かつ(1-x)がCaの相対的な割合を表す場合、式中、x=1、0.9
6≦y≦1.0
2、
及び0.97≦t≦1.02であり、かつCa、Sr、Fe
及びO以外の元素の総重量含有率が、前記溶融生成物の重量に対する割合として、3%未満である、請求項1
又は2に記載の溶融生成物。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか一項に記載の溶融生成物である粒子を、90重量%超で含む、粉末。
【請求項8】
0.1μm超4mm未満のメジアン径D
50を有する、請求項
7に記載の粉末。
【請求項9】
以下の工程を含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の溶融生成物の製造方法:
(a)出発材料を混合して、工程(c)の終わりに、本発明の生成物を得るのに適した出発原料を作製するようにすること、
(b)液体塊が得られるまで前記出発原料を溶融すること、
(c)前記液体塊が完全に固化するまで冷却して、本発明の溶融生成物を得るようにすること。
【請求項10】
請求項1~
6のいずれか一項に記載の溶融生成物を含むか若しくはそれからなるか、請求項
7若しくは
8に記載の粉末を含むか若しくはそれからな
る、触媒担体又は触媒。
【請求項11】
請求項1~
6のいずれか一項に記載の溶融生成物を含むか若しくはそれからなるか、請求項
7若しくは
8に記載の粉末を含むか若しくはそれからな
る、酸素分離膜。
【請求項12】
請求項1~
6のいずれか一項に記載の溶融生成物を含むか若しくはそれからなるか、請求項
7若しくは
8に記載の粉末を含むか若しくはそれからな
る、固体酸化物型燃料電池SOFC用電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学式XyMzFetM’uO2.5(式中、Xは、Ca若しくはSr又はCa及びSrの混合物である)のブラウンミラライトをベースとする多結晶材料、特に、酸素の移動が必要とされる用途、特に酸素分離膜として、固体酸化物型燃料電池(SOFC)用電極として、触媒担体として、又は、触媒としての用途が意図されている、上記の多結晶材料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般式CaFeO2.5及びSrFeO2.5の生成物はそれぞれ、慣用的に「カルシウム鉄ブラウンミラライト」及び「ストロンチウム鉄ブラウンミラライト」と呼ばれ、CaFeO2.5又はSrFeO2.5のブラウンミラライト相は、イオン伝導性及び/又は焼結能及び/又は熱的安定性及び/又は化学的安定性を改善する目的で、任意にドーパントM及び/又はM’でドープされる。ドーパントMは、特にBa、La、又はこれらの元素の混合物であってもよく、ドーパントM’はTi、Cu、Gd、Mn、Al、Sc、Ga、Mg、Ni、Zn、Pr、In、Co、又はこれらの元素の混合物であってもよい。
【0003】
これらのブラウンミラライトは一般に、以下の方法によって製造される:
ゾル-ゲル、特にPechini法によるゾル-ゲル、
固形焼結合成、
自己燃焼。
【0004】
「Influence of Phase Transformations on Crystal Growth of Stoichiometric Brownmillerite Oxides:Sr2ScGaO5 and Ca2Fe2O5」、Cerettiら、Crystals、Vol.6,2016,pp.146に記載されているように、フローティングゾーン法によって製造されたCaFeO2.5ブラウンミラライトの単結晶も知られている。
【0005】
最後に、これらの材料を触媒担体として使用することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
可能な限り低い反応温度で、非常に高い転化率を達成する必要がある。
【0007】
本発明の目的は、この必要性を少なくとも部分的に満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、ブラウンミラライトをベースとする多結晶溶融生成物であって、前記多結晶溶融生成物の重量の95%超の元素Ca、Sr、Fe、O、M及びM’で構成されており、前記溶融生成物中の前記元素の含有量が、式XyMzFetM’uO2.5によって定義され、式中、原子指数が、0.76≦y≦1.10、z≦0.21、0.48≦t≦1.10、u≦0.52、0.95≦y+z≦1.10、及び0.95≦t+u≦1.10であるようにされており、XがCa若しくはSr又はCa及びSrの混合物であり、MがLa、Ba及びこれらの混合物からなる群から選択される元素であり、M’が、Ti、Cu、Gd、Mn、Al、Sc、Ga、Mg、Ni、Zn、Pr、In、Coからなる群から選択される元素であり、TiとCuの原子指数の合計が、0.1以下である、溶融生成物によって達成される。
【0009】
換言すれば、上記式における指数uに対するTi及びCuの合計寄与は、0.1以下である。
【0010】
当然、0≦zかつ0≦uである。
【0011】
一実施形態では、Ca、Sr、Fe、M及びM’以外の前記元素は、酸化物の形態で95重量%超、99重量%超、又は実質的に100重量%でさえある。
【0012】
驚くべきことに、このような生成物は、低温で高い転化率を得ることを可能にする触媒担体を構成するのに非常に適していることが証明されている。本発明による生成物を含むか又はそれからなる触媒担体は特に、COのCO2への酸化のための反応において50%に等しい転化率に達するのに必要な温度が、溶融以外の処理によって得られる同じ組成物の担体でこの同程度を達成するのに必要な温度より、系全体として低いという点で注目に値する。この特性は、本発明による製品の特徴を構成するようにさえ思われる。
【0013】
溶融、次いで冷却の影響下で、元素Ca、Sr、Fe、M、M’及びOは、少なくとも1種のブラウンミラライト相、又はカルシウム及び/若しくは鉄及び/若しくはストロンチウムを含有している他の少量の相、特にFeO、CaO、CaCO3、Fe、Fe2O3及びSrCO3の形態で一緒に結合する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好ましくは、本発明による生成物はまた、以下の任意の特徴のうちの1つ、好ましくはいくつかを含む:
-0.85≦y≦1.05、及び/又はz≦0.15、及び/又は0.75≦t≦1.05、及び/又はu≦0.25、
-ブラウンミラライト相の含有量(すなわち、溶融生成物中に存在する結晶相の全てに対するブラウンミラライト相の重量の割合)が、50%超であり、より好ましくは55%超である、
-z=0、
-u=0、
-z=0かつu=0、
-元素M’は、Ti、Cu、Ni、Co、Mn及びそれらの混合物から選択され、
-式XyMzFetM’uO2.5において、(Ca(1-x)Srx)yMzFetM’uO2.5において、xがSrの割合を表し、かつ(1-x)がCaの相対的な割合を表す場合、式中、0<x≦0.1、0.9≦y≦1.05、0.1≧z≧0.01、y+z≦1.10、t≧0.8、0.01≦u≦0.2、t+u≦1.10、かつCa、Sr、Fe、M、M’及びO以外の元素の総重量含有量が、生成物の重量に対する割合として、3%未満である、
-式XyMzFetM’uO2.5において、(Ca(1-x)Srx)yMzFetM’uO2.5において、xがSrの割合を表し、かつ(1-x)がCaの相対的な割合を表す場合、式中、x=0、0.9≦y≦1.05、0.1≧z≧0.01、y+z≦1.10、t≧0.8、0.01≦u≦0.2、t+u≦1.10、かつCa、Sr、Fe、M、M’及びO以外の元素の総重量含有量が、生成物の重量に対する割合として、3%未満である、
-式XyMzFetM’uO2.5において、(Ca(1-x)Srx)yMzFetM’uO2.5において、xがSrの割合を表し、かつ(1-x)がCaの相対的な割合を表す場合、1>x≧0.9、0.9≦y≦1.05、0.1≧z≧0.01、y+z≦1.10、t≧0.8、0.01≦u≦0.2、t+u≦1.10、及びCa、Sr、Fe、M、M’及びO以外の元素の総重量含有量が、生成物の重量に対する割合として、3%未満である、
-式XyMzFetM’uO2.5において、式(Ca(1-x)Srx)yMzFetM’uO2.5において、xがSrの割合を表し、かつ(1-x)がCaの相対的な割合を表す場合、x=1、0.9≦y≦1.05、0.1≧z≧0.01、y+z≦1.10、t≧0.8、0.01≦u≦0.2、t+u≦1.10、及びCa、Sr、Fe、M、M’及びO以外の元素の総重量含有量が、生成物の重量に対する割合として、3%未満である。
【0015】
本発明はまた、上記のような溶融生成物の状態であるの粒子を、90重量%超、又は更には100重量%で含む粉末に関する。このようなパウダーは、メジアンの大きさのD50が0.1mmより大きく、4mmより小さい。
【0016】
有利には、これらの任意の特性が触媒特性を改善し、本発明による生成物を、任意の粉砕後に、触媒担体又は触媒として特に適したものにする。
【0017】
本発明はまた、本発明による生成物である粒子を、90重量%超、又は95%超、又は実質的に100%で含む粉末に関する。
【0018】
本発明はまた、以下の工程を含む製造方法に関する:
(a)出発材料を混合して、工程(c)の終わりに、本発明による生成物を得るのに適した出発原料を作製するようにすること、
(b)液体塊が得られるまで出発原料を溶融すること、
(c)前記液体塊を完全に固化するまで冷却して、本発明による溶融生成物を得るようにすること。
【0019】
本発明はまた、本発明による方法によって得ることができる製品に関する。
【0020】
最後に、本発明は、本発明による生成物を含むか若しくはそれからなるか、又は本発明による粉末を含むか若しくはそれからなるか、又は本発明によって製造した生成物を含むか若しくはそれからなるか、又は本発明による方法により製造することができる生成物を含むか若しくはそれからなる、酸素分離膜、触媒膜、固体酸化物型燃料電池用電極、触媒担体、触媒から選択される装置に関する。
【0021】
第1の態様によれば、本発明は、上記のような溶融生成物を含むか若しくはそれからなるか、又は上記のような粉末を含むか若しくはそれからなるか、又は上記のような方法によって製造された生成物を含むか若しくはそれからなる、触媒担体又は触媒に関する。
【0022】
別の態様によれば、上記のような溶融生成物を含むか若しくはそれからなる、又は上記のような粉末を含むか若しくはそれからなる、又は上記のような方法によって製造された生成物を含むか若しくはそれからなる、酸素分離膜に関する。
【0023】
別の態様によれば、上記のような溶融生成物を含むか若しくはそれからなる、又は上記のような粉末を含むか若しくはそれからなる、又は上記のような方法によって製造された生成物を含むか若しくはそれからなる、固形酸化物型燃料電池SOFC用電極に関する。
【0024】
化学組成が式XyMzFetM’uO2.5によって与えられる生成物と、式XyMzFetM’uO2.5の相とは、区別がなされるべきであり、ここで、この式は前記相の粒状構造を示す。
【0025】
本発明による生成物では、様々な相が可能であり、特に式XyMzFetM’uO2.5の1つ又は複数の相、特にCaFeO2.5及びSrFeO2.5が可能である。
【0026】
ICDD(“International Center for Diffraction Data”)ファイル00-018-286及び01-070-5778により、CaFeO2.5ブラウンミラライト相及びSrFeO2.5ブラウンミラライト相にそれぞれ対応する回折ピークの角度範囲を識別することが可能となる。
【0027】
ブラウンミラライト相及びあり得る二次相の含有量は、本発明による製品の粉末に生成したX線パターンから、当該製品に属する製品に存在する全ての検出可能結晶相に基づく重量の割合として、例えば、以下の刊行物に記載されている通常のRIR(参照強度比:Reference Intensity Ratio)法に従って測定する:「X線回折によるRIR値決定の標準試験法」、Walter N.Schreiner,Powder Diffraction,Vol.10,No.1,March 1995、又は「X線定量分析における参照強度比の使用」、Robert LSnyder、powder Diffraction、Vol.7、Vol.4、December 1992。
【0028】
得られたパターンの処理及び製品中に存在する相の判定は、DIFRAC EVAソフトウェアを用いて、上記のRIR法により行われる。使用した手順にしたがって、種々の相の強度を、実験回折パターンに可能な限り対応するように最適化した。RIR法は、全ての検出可能な相(例えば、基準が上記で与えられた相)に利用可能な最良の質のICDDファイルを使用して、特に比I/Icorundumの値、すなわち、生成物中に存在する結晶相のICDDファイルの信号の強さの、標準として使用されるコランダム試料の信号の強さに対する比を得て実行する。
【0029】
生成物中のブラウンミラライト相の全含有率を決定するために、対応する相のICDDファイルに基づいて、RIR法によって決定される、存在するブラウンミラライト相の含有率の合計が、本発明に従って考慮される。特に、存在するブラウンミラライト相が、x≠0及びx≠1の包括的な配合[Ca(1-x)Srx]yMzFetM’uO2.5に対応する場合、11°~12°の回折角2θに従ったピークを有する全ての相の累積的な寄与が、前記ブラウンミラライト相の平面[020]での反射の特性として考慮されることとなる。したがって、この測定に従い、ブラウンミラライト相の含有量は、ブラウンミラライト結晶形態のCa(1-x)SrxFeO2.5相であり、式中、0≦x≦1、元素M及び/又はM’が存在することができる相のうちの全てを考慮に入れている。同様に、ブラウンミラライト以外の相(二次相と呼ばれる)の寄与及び含有率は、上記と同じ手順にしたがって、及びRIR法によって決定する。二次相は、CaFeO2.5及びSrFeO2.5ブラウンミラライト相以外のX線回折により検出可能な相である。特に、生成物XyMzFetM’uO2.5が元素M及びM’を含まないか、又は実質的に含まない場合、X線回折パターン上で識別される二次相は、中でもFeO、Fe2O3、SrCO3、CaCO3、Fe、SrFeO2.75、SrFeO2.875又はCaOであってもよい。
【0030】
これらの相の検出及び同定は、当該製品のX線回折パターン、例えば、銅XRD管を備えたPanalytical社からのX’Pert PRO回折装置によって得られる。この装置を用いて、5°~80°の角度範囲2θにわたり、0.017°のステップ、60秒/ステップの計数時間で回折パターンを取得する。前面レンズは、固定して用いられる1/4°のプログラム制御可能な発散スリット、0.04ラジアンのSoller(ソーラー)スリット、10mmのマスク及び1/2°の固定されている散乱防止スリットを含む。サンプルは、優先配向を制限するために、それ自体の軸の周りを回転する。後部レンズは、固定して用いられる、1/4°のプログラム制御可能な散乱防止スリット、0.04ラジアンのSollerスリット及びNiフィルタを含む。
【0031】
用語「溶融生成物」は、出発原料を液体塊の形態で溶融し、次いで前記液体塊を凝固させることによって得られる生成物を指す。
【0032】
用語「粒子」は特に、10mmの開口部を有する正方形メッシュを有する篩を通過する固体を意味することを意図する。
【0033】
「ブロック」という用語は、粒子ではない固体を意味することを意図している。
【0034】
D50で示される、粉末の「メジアン径」という用語は、粉末の粒子のサイズの累積粒度分布の曲線において50質量%に相当する粒子のサイズを指し、粒子サイズは、増加する順序で分類される。メジアン径は、レーザー粒度分析器を用いて測定される粒度分布によって決定することができる。
【0035】
「不純物」という用語は、意図せずに、必然的に出発材料と共に導入されるか、又はこれらの成分との反応から生じる、不可避の成分を指す。不純物は、必要な成分ではなく、単に許容される。
【0036】
「元素の最も安定な酸化物」という用語は、20℃で熱力学的に最も安定である前記元素の酸化物を意味することが意図される。
【0037】
化合物又は元素の「前駆体」という用語は、本発明による製造方法の実施中に、それぞれ前記化合物又は前記元素を提供することができる成分を意味することを意図している。
【0038】
特に明記されていない限り、特に式XyMzFetM’uO2.5及び[Ca(1-x)Srx]yMzFetM’uO2.5において、式中、指数x、y、z、t、u及び2.5は、原子指数であり、本発明による構成要素の全ての含有率は、その生成物に対して表される重量の割合である。
【0039】
用語「含む(containing a)」又は「含む(comprising a)」は、特に指示がない限り、「少なくとも1つを含む」ことを意味することが意図される。
【0040】
本発明による溶融生成物は、好ましくは出発原料を溶融し、液体塊を、好ましくは鋳型において、又は薄い流れの形態で鋳造し、次いで凝固させることによって得られる。
【0041】
次に、本発明による方法の例を詳細に説明する。
【0042】
本発明による生成物のブラウンミラライト相の化学的性質及び量、特にブラウンミラライト相の含有量は、特に工程(a)で作製される出発原料の組成に依存する。
【0043】
本発明による溶融生成物を製造することを可能にする出発原料は、カルシウム及び/又はストロンチウム、鉄、並びに任意に元素M及び/又はM’の化合物、特に酸化物及び/又は炭酸塩及び/又は水酸化物の形態の化合物、並びに/又はカルシウム及び/又はストロンチウム、鉄及び/又はM’元素の前駆体の形態の化合物から作られている。出発原料の組成は、酸化物、又は酸化物及び/若しくは前駆体の混合物を加えることにより調整することができ、特にCaO、CaCO3、SrO、SrCO3、Fe2O3、元素Mの酸化物、元素M’の酸化物、元素Mの炭酸塩、元素M’の炭酸塩、元素Mの水酸化物、元素M’の水酸化物を加えることによって調整することができる。酸化物及び/又は炭酸塩及び/又は水酸化物の使用は、ブラウンミラライト相の生成及びその電気的中性に必要とされる酸素利用性を改善し、したがって好ましい。
【0044】
好ましくは、元素鉄、元素M及び元素M’のうちの少なくとも1種、又は全部が、酸化物の形態で、出発原料に導入される。特定の一実施形態では、酸化物粉末を使用して鉄、M及びM’元素を提供し、炭酸塩粉末を使用してカルシウム元素及び/又はストロンチウム元素を提供する。
【0045】
好ましくは、カルシウム及び/又はストロンチウム、鉄、M及びMの元素を提供する化合物は、CaO、CaCO3、SrO、SrCO3、Fe2O3、元素Mの酸化物、元素M’の酸化物、元素Mの炭酸塩、元素M’の炭酸塩から選択される。
【0046】
好ましくは、カルシウム及び/又はストロンチウム、鉄、M及び/又はM’元素を提供する化合物は、合計で、出発原料の成分の90重量%超、好ましくは99重量%超を示す。好ましくは、これらの化合物は、不純物と合わせて、出発原料の成分の100%を表す。
【0047】
好ましくは、カルシウム及び/又はストロンチウム、鉄、M及び/又はM’元素を提供する化合物以外の化合物、又はCaO、CaCO3、SrO、SrCO3、Fe2O3、元素Mの酸化物、元素M’の酸化物、元素Mの炭酸塩、元素M’の炭酸塩以外の化合物は、出発原料に意図的に導入されない。一実施形態では、CaO、CaCO3、SrO、SrCO3、Fe2O3、元素Mの酸化物、元素M’の酸化物、元素Mの炭酸塩、元素M’の炭酸塩、及びこれらの前駆体の合計は、出発原料の99重量%超を示している。
【0048】
出発原料のカルシウム及び/又はストロンチウム、鉄、元素M及び元素M’の量は、製造される溶融生成物中にほとんど含有される。成分の一部が溶融工程の間に揮発し得る場合、溶融条件に応じて、それらの一般的な知識によって、又は単純な日常的な試験によって、当業者は、溶融生成物中に見出すことを望む含有量及び使用される溶融条件の関数として、出発原料中のこれらの成分の量を調節する方法を知っている。
【0049】
ブラウンミラライト含有量を増加させるためには、出発原料中のカルシウム、ストロンチウム、鉄、M及びM’元素のモル比が、製造することを望むブラウンミラライト溶融生成物のモル比に近いことが好ましい。
【0050】
本発明による溶融生成物を製造するために、出発原料において、カルシウム、ストロンチウム、鉄、M及びM’元素のモル含有量c、s、f、m及びnが、それぞれ、含有量c、s、f、m及びnの合計に基づくモル%として、以下の条件を観察することが好ましい:
k1.[(1-x)*y]/(x*y)≦c/s≦k2.[(1-x)*y]/(x*y)、及び/又は
k’1.u/t≦n/f≦k’2.u/t、及び/又は
k”1.z/t≦m/f≦k”2.z/t、及び/又は
k”’1.[(1-x)*y]/t≦c/f≦k”’2.[(1-x)*y]/t、及び/又は
k””1.(x*y)/t≦s/f≦k””2.(x*y)/t、
式中、
x、y、z、t及びuは、本明細書で定義される値をとることができ、特に、0≦x≦1、0.76≦y≦1.10、z≦0.21、0.48≦t≦1.10、u≦0.52、0.95≦y+z≦1.10、及び0.95≦t+u≦1.10であり、
k1≧0.9、好ましくは≧0.95、及び/又は
k’1≧0.9、好ましくは≧0.95、及び/又は
k”1≧0.9、好ましくは≧0.95、及び/又は
k”’1≧0.9、好ましくは≧0.95、及び/又は
k””1≧0.9、好ましくは≧0.95、及び/又は
k2≦1.1、好ましくは≦1.05、及び/又は
k’2≦1.1、好ましくは≦1.05、及び/又は
k”2≦1.1、好ましくは≦1.05、及び/又は
k”’2≦1.1、好ましくは≦1.05、及び/又は
k””2≦1.1、好ましくは≦1.05である。
【0051】
当然、k1、k’1、k”1、k’”1、k””1、k2、k’2、k”2、k”’2、及びk””2のこれらの値は、確立された作業条件下で採用されるものであり、すなわち、異なった組成物間の遷移の工程外であり、スタートアップ工程外である。これは、所望の生成物が以前の生成物を製造するために使用されたものと比較して、出発原料の組成の変化を伴う場合、炉内の以前の生成物の残留物を考慮に入れる必要があるからである。しかしながら、当業者は、それに応じて出発原料を調整する方法を知っている。
【0052】
出発原料に使用する粉末の粒径は、溶融プロセスで一般に遭遇するものであってもよい。
【0053】
出発材料の密接な混合は、ミキサー中で行うことができる。次いで、この混合物を溶融炉に注ぐ。
【0054】
工程(b)では、出発原料を溶融する。
【0055】
例えば、2つの電極を含み、そのタンクの直径が約0.8mであり、約180kgの溶融液体を含有させることができるHeroultアーク炉を用いることができる。好ましくは、エネルギーが、1500~2800kWh/T、好ましくは1600~2300kWh/Tである。
【0056】
しかしながら、誘導炉、プラズマ炉又は他の種類のHeroult炉などの全ての既知の炉は、それらが液体塊を得ることを可能にするならば、想定することができる。
【0057】
また、熱処理炉、好ましくは電気炉において、るつぼ内で溶融を行うこともできる。
【0058】
好ましくは、アーク炉又は誘導炉、好ましくは電気アーク炉を使用する。実際に、電気溶融は、有利な収率で、大量の溶融生成物の製造を可能にする。
【0059】
好ましくは、プラズマトーチもヒートガンも使用されない。特に、プラズマトーチ又はヒートガンを使用した方法では、溶融粒子の生成が必ずしも可能になるわけではない。溶融の場合でさえ、これらの方法は、一般に、200ミクロンよりも大きく、少なくとも500ミクロンよりも非常に大きいサイズを有する溶融粒子を生成することを可能にしない。
【0060】
溶融は、還元性、中性又は酸素含有環境中で、好ましくは酸素含有環境中で、より好ましくは空気中で行うことができる。
【0061】
工程(b)の終わりに、出発原料は、液体塊の形態であり、これは、場合により少数の固体粒子を含有することができるが、固体粒子が前記塊を構築することができるには不十分な量である。定義によれば、その形状を維持するために、液体塊は、容器内に収容されなければならない。
【0062】
第1の実施形態では、工程(c)は、以下の工程を含む:
(c1)液体塊を液滴の形態で分散させること、
(c2)これらの液滴を流体、好ましくは酸素含有流体との接触によって凝固させて、溶融粒子を得るようにすること。
【0063】
出発原料の組成を簡単に調整することによれば、従来の分散処理により、特に吹き込み又は噴霧乾燥による従来の分散処理により、液体塊から出発して、50%超の、好ましくは60%超の、好ましくは70%超の、好ましくは80%超の、好ましくは90%超の、又は95%超のブラウンミラライト相の含有率を示す粒子を製造することが可能になる。本発明による溶融生成物、特にこの第1の実施形態に従って製造された溶融生成物は、工程(c)の終わりに、5mm未満、又は更に1mm未満、又は更に500μm未満、又は更に200μm未満、又は更に100μm未満のサイズを有する粒子の形態であり得る。
【0064】
工程(c1)では、溶融液体の薄い流れを、好ましくは本発明による生成物の融点よりも高い温度、好ましくは1400℃よりも高い温度で、液滴中に分散させる。
【0065】
分散は、液体塊の薄い流れを通した吹き込みによりもたらされる。しかしながら、当業者に知られている、液体塊を噴霧乾燥するための任意の他のプロセスを想定することができる。
【0066】
工程(c1)において、前記液体塊は、流体、好ましくは酸素含有流体、好ましくはガス、好ましくは空気と接する。酸素含有流体は、好ましくは20体積%を超える酸素体積含有率を有する。
【0067】
工程(c2)において、液滴は、酸素含有流体、好ましくはガス、好ましくは空気との接触によって固体粒子に変換される。酸素含有流体は、好ましくは20体積%を超える酸素体積含有率を有する。
【0068】
好ましくは、液滴が形成されるとすぐに、溶融液滴が酸素含有流体と接触するようにして、方法が適合される。また、好ましくは、分散(工程(c1))及び凝固(工程(c2))は、実質的に同時に行われ、液体塊は、この液体を冷やして凝固させることができる酸素含有流体、好ましくはガス、好ましくは空気によって分散される。
【0069】
好ましくは、酸素含有流体との接触は、少なくとも液滴が完全に凝固するまで維持される。
【0070】
周囲温度での空気吹き込みが可能である。
【0071】
工程(c2)の終わりでは、分散条件に応じて、一般に0.01mm~5mmのサイズの固体粒子が得られる。
【0072】
第2の実施形態では、工程(c)は、以下の工程を含む:
(c1’)鋳型で液体塊を鋳造すること;
(c2’)少なくとも部分的に凝固したブロックが得られるまで、鋳型で鋳造した液体塊を冷やすことによって凝固させること;
(c3’)鋳型からブロックを取り外すこと。
【0073】
工程(c1’)において、溶融液体のバスに耐えることができる鋳型内で、液体塊を鋳造する。好ましくは、黒鉛製の鋳型、鋳鉄製の鋳型、又は米国特許第3993119号明細書に定義されているような鋳型が使用される。誘導炉の場合、曲がり角が鋳型を構成すると考えられる。鋳造は、好ましくは空気下で行われる。
【0074】
工程(c2’)において、鋳型で鋳造した液体塊を、少なくとも部分的に凝固したブロックが得られるまで冷却する。
【0075】
好ましくは、凝固の間、液体塊は、流体、好ましくは酸素含有流体、好ましくは気体流体、好ましくは空気と接触させられる。この接触は、鋳造を実施してすぐに実施することができる。しかしながら、鋳造が行われた後にのみ、この接触を開始することが好ましい。実用上の理由から、酸素含有流体との接触は、好ましくは型から取り出した後にのみ、好ましくは型から取り出した後に可能な限り早く開始する。
【0076】
酸素含有流体は、好ましくは少なくとも20体積%の酸素を含む。
【0077】
好ましくは、ブロックが完全に凝固するまで、酸素含有流体との接触を維持する。
【0078】
工程(c3’)で、鋳型からブロックを取り除く。液体塊の酸素含有流体との接触を促進するために、可能な限り迅速に、可能であれば完全な凝固の前に、型からブロックを除去することが好ましい。これによれば、次いで、工程(c3’)において凝固が続く。
【0079】
好ましくは、ブロックがその形状を実質的に維持するのに十分な剛性を有したらすぐに、ブロックを型から取り外し、次いで、酸素含有流体との接触を直ちに開始させる。
【0080】
完全に凝固させた後、工程d)の後に、本発明による粒子の粉末を与えることができるブロックが得られる。
【0081】
任意の工程d)において、得られた溶融生成物を圧壊及び/又は粉砕し、それにより、好ましくは4mm未満、3mm未満、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満、0.25mm未満、0.1mm未満、及び好ましくは0.1μm超のメジアン径D50を有する溶融粒子の粉末が得られるまで、破片のサイズを小さくするようにする。
【0082】
全てのタイプの粉砕機及びミルを使用して、破片のサイズを小さくすることができる。特に、1μm未満のメジアン径D50を有する溶融粒子の粉末が求められる場合、エアジェットミル又はボールミルで第1の粉砕作業を行った後に、アトリッションミルを使用することができる。好ましくは、粉砕が湿潤媒体中で行われる場合、水は使用されない。好ましくは、アルコール、好ましくはエタノール及び/又はプロパノールが使用される。
【0083】
メジアン径D50が1μmを超える溶融粒子の粉末を求める場合には、エアジェットミル又はボールミルを用いることが好ましい。
【0084】
必要であれば、次に、意図される用途に応じて、例えば、特に得られる粒子粉末が特に0.1μmより大きく4mm未満のメジアン径を有するように篩分けすることによって、粒子サイズの選択が行われる。
【0085】
また、溶融粒子の粉末には、特に工程(d)の後に、噴霧乾燥された粒子、集合体又は凝集体を形成することを意図される追加の工程を施してもよい。
【0086】
当業者に公知の全ての技術、特にスリップ又は顆粒の噴霧乾燥を使用することができる。
【0087】
本発明による生成物、特に本発明による方法によって製造される生成物は、以下の特徴の1つ又は複数を有する組成を有することができる:
好ましくは、ブラウンミラライト相の含有率、すなわち、溶融生成物中に存在する全ての結晶相に対するブラウンミラライト相の重量含有率は、50%を超え、好ましくは55%を超え、好ましくは60%を超え、好ましくは70%を超え、好ましくは80%を超え、好ましくは85%を超え、更には90%を超え、又は更には95%を超え、又は更には98%を超える;
-y≧0.8、好ましくはy≧0.85、好ましくはy≧0.9及び/又はy≦1.05、好ましくはy≦1である;
-好ましくはz≦0.2、好ましくはz≦0.15、好ましくはz≦0.1及び/又はz≧0.01である;
-一実施形態では、z=0である;
-y+z≦1.1、好ましくはy+z≦1.05である;
-t≧0.5、好ましくはt≧0.55、好ましくはt≧0.6、好ましくはt≧0.65、好ましくはt≧0.7、好ましくはt≧0.75、好ましくはt≧0.8、好ましくはt≧0.85、好ましくはt≧0.90、及び/又はt≦1.05、好ましくはt≦1である;
-好ましくはu≦0.5、好ましくはu≦0.45、好ましくはu≦0.4、好ましくはu≦0.35、好ましくはu≦0.3、好ましくはu≦0.25、好ましくはu≦0.2、好ましくはu≦0.15、好ましくはu≦0.1、好ましくはu≦0.08、好ましくはu≦0.05及び/又はu≧0.01である;
-一実施形態では、u=0である;
-一実施形態では、z=0かつu=0である;
-t+u≦1.1、好ましくはt+u≦1.05である;
-X=Ca(1-x)Srx、0≦x≦1が好ましい。好ましくは、x≦0.1、好ましくはx≦0.05であり、このとき、ブラウンミラライト相の安定性は、特に触媒での使用中において有利に改善され、又は好ましくはx≧0.9、好ましくはx≧0.95であり、その触媒性能品質が有利に改善される。一実施形態では、0<x<1である。代替実施形態では、x=0である。別の実施形態では、x=1である;
-特定の一実施形態において、元素Mの全原子割合zの80%超、好ましくは85%超、好ましくは90%超、好ましくは95%超が、単一の原子種からなる;
-好ましくは、元素M’は、Ti、Cu、Ni、Co、Mn及びそれらの混合物から選択される;
-好ましくは、TiとCuの原子指数の合計が0.08以下、好ましくは0.07以下、好ましくは0.05以下である;
-特定の一実施形態では、元素M’の全原子割合uの80%超、好ましくは85%超、好ましくは90%超が、1種又は2種の原子種、好ましくはただ1種の原子種からなる;
-好ましくは、Ca、Sr、Fe、M、M’及びO以外の元素の総重量含有率は、生成物の重量に対する割合として、4%未満、好ましくは3%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1%未満、好ましくは0.7%未満、好ましくは0.4%未満である;
-一実施形態では、x=0、y=1、z=0、t=1及びu=0である;
-一実施形態では、x=1、y=1、z=0、t=1及びu=0である;
-一実施形態では、0<x<1、y=1、z=0、t=1及びu=0である。
【0088】
M及び/又はM’は、出発材料中における微量物として、溶融される出発原料中に導入されていてよい。原子指数z及びuは、これらの添加を考慮に入れる。
【0089】
特定の一実施形態では:
-x≦0.1、好ましくは、x≦0.05であり、x>0である
-y≧0.9、y≦1.05、好ましくはy≦1
-z≦0.1、z≧0.01
-y+z≦1.1、好ましくはy+z≦1.05
-t≧0.8、好ましくはt≧0.85、好ましくはt≧0.90かつt≦1.05、好ましくはt≦1
-u≦0.2、好ましくはu≦0.15、好ましくはu≦0.1、好ましくはu≦0.08、好ましくはu≦0.07、好ましくはu≦0.05、かつu≧0.01
-t+u≦1.1、好ましくはy+z≦1.05
-Ca、Sr、Fe、M、M’及びO以外の元素の総重量含有率は、生成物の重量に対する割合として、3%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1%未満、好ましくは0.7%未満、好ましくは0.4%未満である。
【0090】
特定の一実施形態では:
-x=0、及び
-y≧0.9、y≦1.05、好ましくはy≦1
-z≦0.1、z≧0.01
-y+z≦1.1、好ましくはy+z≦1.05
-t≧0.8、好ましくはt≧0.85、好ましくはt≧0.90、かつt≦1.05、好ましくはt≦1
-u≦0.2、好ましくはu≦0.15、好ましくはu≦0.1、好ましくはu≦0.08、好ましくはu≦0.07、好ましくはu≦0.05、かつu≧0.01
-t+u≦1.1、好ましくはy+z≦1.05
-Ca、Sr、Fe、M、M’及びO以外の元素の全重量含有量は、生成物の重量に対する割合として、3%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1%未満、好ましくは0.7%未満、好ましくは0.4%未満である。
【0091】
特定の一実施形態では:
-x≧0.9、好ましくは、x≧0.95である
-y≧0.9、y≦1.05、好ましくはy≦1であり、かつ
-z≦0.1、z≧0.01であり、かつ
-y+z≦1.1、好ましくはy+z≦1.05であり、かつ
-t≧0.8、好ましくはt≧0.85、好ましくはt≧0.90及びt≦1.05、好ましくはt≦1であり、かつ
-u≦0.2、好ましくはu≦0.15、好ましくはu≦0.1、好ましくはu≦0.08、好ましくはu≦0.07、好ましくはu≦0.05及びu≧0.01であり、かつ
-t+u≦1.1、好ましくはy+z≦1.05であり、かつ
-Ca、Sr、Fe、M、M’及びO以外の元素の総重量含有率は、生成物の重量に対する割合として、3%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1%未満、好ましくは0.7%未満、好ましくは0.4%未満である。
【0092】
特定の一実施形態では:
-x=1であり、かつ
-y≧0.9、y≦1.05、好ましくはy≦1であり、かつ
-z≦0.1、z≧0.01であり、かつ
-y+z≦1.1、好ましくはy+z≦1.05であり、かつ
-t≧0.8、好ましくはt≧0.85、好ましくはt≧0.90、かつt≦1.05、好ましくはt≦1であり、かつ
-u≦0.2、好ましくはu≦0.15、好ましくはu≦0.1、好ましくはu≦0.08、好ましくはu≦0.07、好ましくはu≦0.05、かつu≧0.01であり、かつ
-t+u≦1.1、好ましくはy+z≦1.05であり、かつ
-Ca、Sr、Fe、M、M’及びO以外の元素の総重量含有率は、生成物の重量に対する割合として、3%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1%未満、好ましくは0.7%未満、好ましくは0.4%未満である。
【0093】
本発明による溶融生成物の原子指数の決定は、以下の方法で行われる:
【0094】
酸素を除く各元素の重量含有率を、化学分析により測定する。酸素の重量含有率Qoは、100%を補填する余りを構成すると考えられる。Ca、Sr、Fe、M及びM’以外の元素は、それらの最も安定なそれぞれの酸化物が存在する場合には、そのような酸化物の形態で、又はそうではない場合には、元素の形態で表される。例えば、ナトリウムの量は、Na2Oの形態で表され、塩素又はフッ素の量は、それぞれCl又はFの重量含有率に等しい。Ca、Sr、Fe、M及びM’以外の元素の重量含有率を最も安定な酸化物の形態で表すのに必要な酸素の量Q’oを、酸素の重量含有率Qoから差し引く。Qo-Q’o及びCa、Sr、Fe、M、M’の重量含有率を、モル数に変換した。Qo-Q’oのモル数は、2.5に標準化されている。Ca、Sr、Fe、M及びM’のモル数を、2.5への前記標準化を可能にした係数で乗算し、式[Ca(1-x)Srx]yMzFetM’uO2.5の指数x、y、z、t及びuを決定することができる。
【0095】
本発明による溶融生成物は、有利には、様々な寸法を有することができる。したがって、それは工業的製造に完全に適している。
【0096】
本発明による生成物は、特に粒子の形態であり得る。
【0097】
本発明はまた、本発明による生成物として90重量%を超える、又は95%を超える、又は実質的に100%である粒子を含む粉末に関する。粉末のメジアン径は、好ましくは0.1μmより大きく、及び/又は4mm未満、3mm未満、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満、0.25mm未満、0.1mm未満である。
【0098】
特定の一実施形態では、粉末のメジアン径は、0.5μm~50μmである。
【0099】
一実施形態では、本発明による粉末は、従来は顆粒の形態であった噴霧乾燥材料、及び/又は本発明による粒子の凝集体及び/又は集合体を含む。
【0100】
本発明による生成物、特に粉末の形態の生成物、又は本発明による方法によって製造された又は製造することができる生成物は、有利には、酸素分離膜、触媒膜、固体酸化物形燃料電池用電極、触媒担体、触媒を製造するために使用することができる。
【実施例】
【0101】
以下の実施例は、例示の目的で示しており、本発明を限定するものではない。
【0102】
比較例である実施例1及び2の生成物を、以下の方法で化学的に製造する。
【0103】
実施例1及び2のそれぞれについて、以下の表1に規定する塩の混合物を蒸留水に導入し、無水クエン酸の添加によってpHを1未満に保つ。
【0104】
【0105】
マグネチックスターラーを用いて3時間攪拌した後、アンモニア水を加えてpHを3の値にした後、この混合物を110℃にして、水を蒸発させるようにする。ゲルが形成し始めたら、1mlのエチレングリコールを添加する。マグネチックスターラーを用いて30分間攪拌した後、形成されたゲルを370℃の温度にし、ホットプレートにより、この温度で2時間の間保持する。次いで、このようにして得られた粉末を、電気炉中において、空気下で、100℃/hの温度上昇速度で600℃にして、この温度で6時間焼成する。
【0106】
実施例3及び4の溶融生成物を以下の方法で製造した。
【0107】
まず、以下の最初の出発物質を、ミキサー中で密接に混合した:
実施例3及び4について、99%超のFe2O3を含み、Fe2O3のメジアン径が0.34μmである、酸化鉄粉末;
実施例3について3、99質量%超の炭酸カルシウムCaCO3を含み、CaCO3のメジアン径が1.85μmである、粉末;
実施例4について、99質量%超の炭酸ストロンチウムSrCO3を含み、SrCO3のメジアン径が4.3μmである、粉末。
【0108】
実施例3及び4の各々について、出発原料は、以下の表2において重量パーセンテージとして規定する:
【0109】
【0110】
各実施例について、5kgの重量を有する出発原料を、Heroultアーク溶融炉に注いだ。次に、120ボルトの電圧及び2000kWh/Tに実質的に等しい印加エネルギーで溶融に従って、この原料を溶融して、全混合物を完全かつ均一に溶融させた。
【0111】
次いで、溶融が完了した時点で、溶融液体を鋳造して、薄い流れを形成するようした。
【0112】
周囲温度、3barの過圧で圧縮乾燥空気を吹き付けると、薄い流れが破れ、溶融液体が液滴へと分散した。
【0113】
吹き付けで、これらの液滴を冷却し、これらの液滴を溶融粒子の形態にした。
【0114】
実施例3及び4の溶融粒子を容器に入れた。
【0115】
1000℃で2時間焼成した試料について、化学分析を行った。
【0116】
分析すべき生成物をホウ酸リチウムと溶融させることによって作製した、生成物のビーズ上でのX線蛍光によって、化学分析を行った。
【0117】
ブラウンミラライト相の含有率の決定は、乾式粉砕後に40μm未満のメジアン径を有する試料について行った。
【0118】
比表面積は、Journal of American Chemical Society 60(1938)の、309~316ページに記載されているBET(Brunauer Emmet Teller)法によって測定する。
【0119】
メジアン径は、ホリバ社からのレーザー粒度計Partica LA-950を使用して測定する。
【0120】
以下の表3及び4は、得られた結果を要約する。
【0121】
【0122】
【0123】
実施例3及び4の生成物のX線回折パターンは、低角度では、アモルファス相の存在に特徴的なハローを示していない。
【0124】
次いで、実施例の製品を、60rpmの回転速度で、ジャーミル中において72時間粉砕した。ここで、ジャーの体積は、0.9リットルであり、このジャーには、12.7mmの寸法を有する3重量%のMgOでドープされたジルコニアで作られている1.4kgのシルペブス、及び実施例の製品650グラムを導入した。シルペブスを分離した後、回収した粉末40gを、次いで1000rpmで75分間アトリションミル中で粉砕し、ここで、タンクは、0.89リットルの体積を有し、0.8mmのメジアン径を有する3モル%でイットリア化されたジルコニアビーズ680g、及びイソプロパノール200mlも含有している。得られた粉末の特性を以下の表5にまとめる。
【0125】
【0126】
本発明以外の実施例1及び2、並びに本発明による3及び4の粉末を、触媒担体として触媒システムの製造に使用した。ここでは、白金を触媒として使用し、白金の重量は触媒担体及び白金の重量に対して実質的に0.99%に等しい。
【0127】
触媒系の作製は、それぞれの粉末に硝酸プラチナPt(NO3)2を含浸させることによって行った。この方法は、実施するのが簡単であり、当業者には周知である。粉末を硝酸白金溶液中に懸濁させた後、この硝酸白金溶液を超音波浴中において周囲温度で30分間放置する。含浸させた種々の粉末を、ロータリーエバポレーター中で、47℃で、130mbarの圧力で3時間乾燥させる。次に、空気中で、500℃で、この温度で2時間の保持時間、10℃/分の温度上昇速度、及び制御されない速度での低減で、含浸させた種々の粉末を焼成する。
【0128】
焼成後、粉末をハンドプレスで圧縮してペレットを作製する。次いで、ペレットを、乳棒及び乳鉢を用いて破壊し、得られた粉末を篩い分けして、125μmの開口部を有する角メッシュを有する篩いを通過せず、250μmの開口部を有する角メッシュを有する篩いを通過した粉末の画分に対応する触媒システムを回収する。
【0129】
次いで、それぞれの触媒系を用いて、一酸化炭素の二酸化炭素への酸化反応(CO+1/2O2→CO2)について、石英固定床フロースルー開放反応器中で、大気圧で、以下の手順に従って、触媒試験を行った:200mgの触媒系(実施例1*、2*、3及び4の粉末の時点では、白金を含浸させた)を反応器中に配置する。粉末を還元する第1の工程は、10℃/分での300℃の温度までの増加速度を有するサイクルにおいて、40体積%の水素及び60体積%のアルゴンの混合物を、10リットル/時間での流れを注入し、この温度で1時間保持することにある。温度低下は、ヘリウム下において、炉の慣性速度で周囲温度まで下げて行う。
【0130】
2℃/分の速度で350℃の温度まで増大させ、350℃で10分間保持し、次いで反応器の慣性速度で周囲温度まで低下させることからなる、第1の触媒サイクルを実施する。350℃での増加及び静止期の間に、ヘリウム中に希釈された6,000ppmのCO及び10,000ppmの酸素の反応混合物を、10リットル/時間の全流量で反応器中に注入する。低下は、ヘリウム下で行う。ここで、ヘリウム流量は、1リットル/時間である。
【0131】
%としての一酸化炭素の二酸化炭素への転化率は、反応器に導入した一酸化炭素の量に対する反応した一酸化炭素の量の割合として定義され、反応した一酸化炭素の量は、反応器に導入された一酸化炭素から、反応器から出た未反応の一酸化炭素の量を引いた量に等しい。反応器を出た未反応の一酸化炭素の量及び反応器を出た二酸化炭素の量は、触媒周期全体を通して、2つの並列カラムを備えた熱伝導率検出器を有するマイクロガスクロマトグラフィーにより、235秒毎の試料採取速度で測定する。
【0132】
第2の触媒サイクル、次いで第3の触媒サイクルを、同じ条件下で実施する。
【0133】
以下の表6は、得られた結果をまとめたものである:
【0134】
【0135】
実施例1(本発明の範囲外)及び実施例3(本発明による)を比較すると、X=Caである場合、第1の触媒サイクルにおいて、実施例3の187℃及び実施例1の221℃の温度で達成される50%の転化率、並びに第3の触媒サイクルにおいて、実施例3の201℃及び実施例1の240℃の温度で達成される50%の転化率を示す。
【0136】
実施例2(本発明の範囲外)及び実施例4(本発明による)を比較すると、X=Srである場合、第1の触媒サイクルにおいて、実施例4の197℃及び実施例2の202℃の温度で達成される50%の転化率並びに、第3の触媒サイクルにおいて、実施例4の196℃及び実施例2の247℃の温度で達成される50%の転化率を示す。
【0137】
これらの結果は、一酸化炭素の二酸化炭素への高度の転化は、本発明による多結晶溶融生成物に由来する粉末から得られる触媒系によれば、より低い温度で達成され、これによれば、本発明外の実施例の粉末を用いた場合よりも低い温度で非常に良好な転化効率を得ることを可能にすることを示している。
【0138】
現時点で明らかなように、本発明による粉末は、触媒性能品質を改善することを可能にする。
【0139】
当然、本発明は、例示的かつ非限定的な例として提供される記載された実施形態に限定されない。
【0140】
特に、上述のように、本発明による別のカチオン性元素M及び/又はM’を、上述の構造に導入すると、得られた溶融生成物がこの同じブラウンミラライト構造を保持する限り、上述のものと同じ触媒性能品質が得られることは、当業者には明らかである。
本発明の実施態様の一部を以下の項目1~17に記載する。
〈項目1〉ブラウンミラライトをベースとする多結晶溶融生成物であって、前記多結晶溶融生成物の重量の95%超の元素Ca、Sr、Fe、O、M及びM’で構成されており、前記元素の含有量が、式X
y
M
z
Fe
t
M’
u
O
2.5
により定義され、式中、原子指数が、0.76≦y≦1.10、z≦0.21、0.48≦t≦1.10、u≦0.52、0.95≦y+z≦1.10、及び0.95≦t+u≦1.10であるようにされており、XがCa若しくはSr又はCa及びSrの混合物であり、MがLa、Ba及びこれらの混合物からなる群から選択される元素であり、M’がTi、Cu、Gd、Mn、Al、Sc、Ga、Mg、Ni、Zn、Pr、In、Co及びこれらの混合物からなる群から選択される元素であり、TiとCuの原子指数の合計が、0.1以下である、溶融生成物。
〈項目2〉式中、0.85≦y≦1.05及び/又はz≦0.15及び/又は0.75≦t≦1.05及び/又はu≦0.25である、項目1に記載の溶融生成物。
〈項目3〉ブラウンミラライト相の含有率が50%超である、項目1又は2に記載の溶融生成物。
〈項目4〉式中、z=0である、項目1~3のいずれか一項に記載の溶融生成物。
〈項目5〉式中、u=0である、先行する項目1~4のいずれか一項に記載の溶融生成物。
〈項目6〉式中、z=0かつu=0である、項目1~5のいずれか一項に記載の溶融生成物。
〈項目7〉元素M’が、Ti、Cu、Ni、Co、Mn及びそれらの混合物から選択される、項目1~4のいずれか一項に記載の溶融生成物。
〈項目8〉式X
y
M
z
Fe
t
M’
u
O
2.5
の溶融生成物であって、式(Ca
(1-x)
Sr
x
)
y
M
z
Fe
t
M’
u
O
2.5
において、xがSrの割合を表し、かつ(1-x)がCaの相対的な割合を表す場合、式中、0<x≦0.1、0.9≦y≦1.05、0.1≧z≧0.01、y+z≦1.1、t≧0.8、0.01≦u≦0.2、t+u≦1.1であり、かつCa、Sr、Fe、M、M’及びO以外の元素の総重量含有率が、前記溶融生成物の重量に対する割合として、3%未満である、項目1~3及び7のいずれか一項に記載の溶融生成物。
〈項目9〉式X
y
M
z
Fe
t
M’
u
O
2.5
の溶融生成物であって、式(Ca
(1-x)
Sr
x
)
y
M
z
Fe
t
M’
u
O
2.5
において、xがSrの割合を表し、かつ(1-x)がCaの相対的な割合を表す場合、式中、x=0、0.9≦y≦1.05、0.1≧z≧0.01、y+z≦1.1、t≧0.8、0.01≦u≦0.2、t+u≦1.1であり、かつCa、Sr、Fe、M、M’、及びO以外の元素の総重量含有率が、前記溶融生成物の重量に対する割合として、3%未満である、項目1から3及び7のいずれか一項に記載の溶融生成物。
〈項目10〉式(Ca
(1-x)
Sr
x
)
y
M
z
Fe
t
M’
u
O
2.5
において、xがSrの割合を表し、かつ(1-x)がCaの相対的な割合を表す場合、式中、1>x≧0.9、0.9≦y≦1.05、0.1≧z≧0.01、y+z≦1.1、t≧0.8、0.01≦u≦0.2、t+u≦1.1であり、かつCa、Sr、Fe、M、M’及びO以外の元素の総重量含有率が、前記溶融生成物の重量に対する割合として、3%未満である、項目1~3及び7のいずれか一項に記載の溶融生成物。
〈項目11〉式(Ca
(1-x)
Sr
x
)
y
M
z
Fe
t
M’
u
O
2.5
において、xがSrの割合を表し、かつ(1-x)がCaの相対的な割合を表す場合、式中、x=1、0.9≦y≦1.05、0.1≧z≧0.01、y+z≦1.1、t≧0.8、0.01≦u≦0.2、t+u≦1.1であり、かつCa、Sr、Fe、M、M’、O以外の元素の総重量含有率が、前記溶融生成物の重量に対する割合として、3%未満である、項目1~3、及び7のいずれか一項に記載の溶融生成物。
〈項目12〉項目1~11のいずれか一項に記載の溶融生成物である粒子を、90重量%超で含む、粉末。
〈項目13〉0.1μm超4mm未満のメジアン径D
50
を有する、項目12に記載の粉末。
〈項目14〉以下の工程を含む、項目1~11のいずれか一項に記載の溶融生成物の製造方法:
(a)出発材料を混合して、工程(c)の終わりに、本発明の生成物を得るのに適した出発原料を作製するようにすること、
(b)液体塊が得られるまで前記出発原料を溶融すること、
(c)前記液体塊が完全に固化するまで冷却して、本発明の溶融生成物を得るようにすること。
〈項目15〉項目1~11のいずれか一項に記載の溶融生成物を含むか若しくはそれからなるか、項目12若しくは13に記載の粉末を含むか若しくはそれからなるか、又は項目14に記載の方法によって製造された生成物を含むか若しくはそれからなる、触媒担体又は触媒。
〈項目16〉項目1~11のいずれか一項に記載の溶融生成物を含むか若しくはそれからなるか、項目12若しくは13に記載の粉末を含むか若しくはそれからなるか、又は項目14に記載の方法によって製造された生成物を含むか若しくはそれからなる、酸素分離膜。
〈項目17〉項目1~11のいずれか一項に記載の溶融生成物を含むか若しくはそれからなるか、項目12若しくは13に記載の粉末を含むか若しくはそれからなるか、又は項目14に記載の方法によって製造された生成物を含むか若しくはそれからなる、固体酸化物型燃料電池SOFC用電極。