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特許7461348インターアルファインヒビタータンパク質及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】インターアルファインヒビタータンパク質及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A23C 9/152 20060101AFI20240327BHJP
   A23L 33/17 20160101ALI20240327BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20240327BHJP
   A21D 2/26 20060101ALN20240327BHJP
   A23C 9/13 20060101ALN20240327BHJP
   A23C 11/00 20060101ALN20240327BHJP
   A23C 13/12 20060101ALN20240327BHJP
   A23C 15/12 20060101ALN20240327BHJP
   A23C 19/093 20060101ALN20240327BHJP
   A23C 21/08 20060101ALN20240327BHJP
   A23D 9/007 20060101ALN20240327BHJP
   A23G 9/38 20060101ALN20240327BHJP
   A23L 2/52 20060101ALN20240327BHJP
   A23L 2/66 20060101ALN20240327BHJP
   A23L 9/00 20160101ALN20240327BHJP
   A23L 9/20 20160101ALN20240327BHJP
   A23L 11/45 20210101ALN20240327BHJP
   A23L 21/10 20160101ALN20240327BHJP
   A23L 23/00 20160101ALN20240327BHJP
   A23L 27/00 20160101ALN20240327BHJP
   A23L 29/20 20160101ALN20240327BHJP
   A23L 35/00 20160101ALN20240327BHJP
   A61K 38/55 20060101ALN20240327BHJP
【FI】
A23C9/152
A23L33/17
A61K45/00
A61P1/04
A61P1/16
A61P1/18
A61P3/00
A61P9/10
A61P11/02
A61P15/00
A61P17/02
A61P19/02
A61P25/00
A61P29/00
A61P31/00
A61P31/18
A61P35/00
A61P35/04
A61P37/02
A61P37/06
A61P39/02
A21D2/26
A23C9/13
A23C11/00
A23C13/12
A23C15/12
A23C19/093
A23C21/08
A23D9/007
A23G9/38
A23L2/00 F
A23L2/66
A23L9/00
A23L9/20
A23L11/45 Z
A23L21/10
A23L23/00
A23L27/00 Z
A23L29/20
A23L35/00
A61K38/55
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021523071
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 US2019057911
(87)【国際公開番号】W WO2020086879
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】62/750,019
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510314220
【氏名又は名称】プロセラ バイオロジクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】リム ヨウ-ピン
(72)【発明者】
【氏名】スペロ デニス
(72)【発明者】
【氏名】サントソ アンドレ リチャード
【審査官】川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-515397(JP,A)
【文献】特開2003-081778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C 1/00-23/00
A23L 33/00-33/29
A61K 38/00-51/12
A61P 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターアルファインヒビタータンパク質(IαIp)を含む、乳児用調製粉乳である食品であって、前記IαIpが、IαIおよびPαIを含み、前記IαIpが、総体積(L)の少なくとも1%~80%の量で、または1リットル(L)当り10mg~1000mgの量で乳児用調製粉乳と混合され、乳児用調製粉乳と混合される前記IαIpが85%~100%の純度を有する、前記食品。
【請求項2】
前記IαIpが、H1、H2、H3、およびビクニンを含む、請求項1に記載の食品。
【請求項3】
前記IαIpが血液または乳から単離される、請求項1または2に記載の食品。
【請求項4】
前記血液または乳が哺乳動物由来である、請求項に記載の食品。
【請求項5】
前記哺乳動物がウシである、請求項4に記載の食品。
【請求項6】
前記IαIpがウシ由来の乳に由来する、請求項1~5のいずれか1項に記載の食品。
【請求項7】
前記IαIpが60kDa~280kDaの見かけの分子量を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の食品。
【請求項8】
前記IαIpが1時間を超えるインビボ半減期を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の食品。
【請求項9】
0℃~120℃の乾熱で殺菌される、請求項1~8のいずれか1項に記載の食品。
【請求項10】
少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、担体、及び/または安定剤を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の食品。
【請求項11】
前記乳児用調製粉乳が、タンパク質加水分解物調製粉乳、代謝調製粉乳、アミノ酸系調製粉乳、適用除外乳児用調製粉乳、特殊調製粉乳、フォローアップ・ミルク、及び幼児用調製粉乳からなる群より選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載の食品。
【請求項12】
少なくとも1種のさらなる治療薬をさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の食品。
【請求項13】
その必要がある対象における疾患または疾病の治療のための、請求項1~12のいずれか1項に記載の食品。
【請求項14】
前記疾患または疾病が、急性炎症性疾患、急性及び慢性の神経学的障害及び神経変性障害、敗血症、重度のショック、敗血症性ショック、臓器移植、臓器不全、手術、自己免疫疾患、関節リウマチ、多発性硬化症、ループス、がん、がん転移、代謝障害、悪液質、外傷及び/または傷害、組織損傷、毒素への曝露、肝疾患、感染症、肺及び呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、虚血、胃腸疾患、壊死性腸炎、全身性炎症反応症候群(SIRS)、鼻炎、髄膜炎、急性膵炎、子癇前症、早期分娩、原発性免疫不全症候群、及び後天性免疫不全症候群(AIDS)からなる群より選択される、請求項13に記載の食品。
【請求項15】
前記疾患または疾病が壊死性腸炎である、請求項13に記載の食品。
【請求項16】
前記疾患または疾病が全身性炎症反応症候群(SIRS)である、請求項13に記載の食品。
【請求項17】
前記疾患または疾病が胃腸疾患である、請求項13に記載の食品。
【請求項18】
前記胃腸疾患が、炎症性腸疾患またはクローン病である、請求項17に記載の食品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
インターアルファインヒビタータンパク質(IαIp)は、炎症調節及び創傷治癒に関与する、血漿中に存在する構造的に同族のタンパク質のファミリーである。IαIpの主要な形態は、2つの重鎖(H1及びH2)及び単一の軽鎖(例えばビクニン)から構成されるインターアルファインヒビター(IαI)、ならびに1つの重鎖(H3)及び1つの軽鎖(例えばビクニン)から構成されるプレアルファインヒビター(PαI)である。敗血症や脳卒中などの炎症過程にあってはIαIpが減少する。既報において、重篤な炎症性疾病ではIαIpレベルが罹患率及び死亡率と逆相関すること、ならびにIαIpレベルが経時的に回復した患者の転帰が良好であったことが示されている。また、重篤な炎症の実験モデルで外因性のIαIpを補充することによって、種及び適応症領域を跨いだ複数の動物による検討において回復が見られた。
【0002】
炎症及び/または血中の低IαIpレベルを特徴とする疾患及び疾病を治療するための改善された組成物及び方法が必要とされている。特に、炎症性疾患の治療のための乳児(例えば未熟児)への投与に適した組成物の開発が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
インターアルファインヒビタータンパク質(IαIp)(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)を含む食品を特徴とする。IαIpを含む上記食品を使用して、その必要がある対象に上記食品を投与することにより、上記対象における疾患もしくは疾病を治療する及び/または上記疾患もしくは疾病の発症の可能性を低減することができる。本発明はまた、IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)を乳(ヒトまたは家畜の有蹄動物などの哺乳動物由来の乳)から精製する方法も特徴とする。さらに、疾患または疾病に罹患している対象が、IαIpを含む食品による治療に対して応答する可能性が高いかどうかを判定する方法、IαIpを含む食品を備えるキット、及び食品などのIαIpを含む組成物を投与することによる、対象(例えば、乳児または新生児)における壊死性腸炎の治療方法、または壊死性腸炎の発症の可能性の低減方法も特徴とする。
【0004】
第1の態様において、本発明は、インターアルファインヒビタータンパク質(IαIp)を含む食品であって、上記IαIpが、上記食品の1ミリグラム当り少なくとも約0.01mgの量で上記食品中に存在する上記食品を特徴とする。
【0005】
いくつかの実施形態において、上記IαIpは、IαI、PαI、H1、H2、H3、H4、H5、ビクニン、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、上記IαIpは、IαI、PαI、及び/またはビクニンを含む。いくつかの実施形態において、上記IαIpは、H1、H2、H3、H4、及び/またはH5を含む。いくつかの実施形態において、上記IαIpはビクニンを含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、上記食品と混合される上記IαIpの純度は約85%~約100%純粋の範囲である。
【0007】
いくつかの実施形態において、上記IαIpは、上記食品の1ミリグラム(mg)当り約0.1mg~約10mgの量で上記食品中に存在する。
【0008】
いくつかの実施形態において、上記IαIpは、上記食品の1リットル(L)当り約10mg~約1000mgの量で上記食品中に存在する。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記IαIpは血液または乳から単離される。いくつかの実施形態において、上記血液または乳は哺乳動物由来である。いくつかの実施形態において、上記哺乳動物はヒトである。いくつかの実施形態において、上記哺乳動物は家畜の有蹄動物である。いくつかの実施形態において、上記家畜の有蹄動物は、ウシ、ヤギ、ヒツジ、スイギュウ、ラクダ、ロバ、ウマ、トナカイ、及びヤクからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記IαIpは上記哺乳動物において組換えにより発現される(例えば、上記哺乳動物は、IαIpを発現するように操作されたトランスジェニック哺乳動物である)。いくつかの実施形態において、上記IαIpはヒトIαIpである。
【0010】
いくつかの実施形態において、上記IαIpは生物学的活性を有する。いくつかの実施形態において、上記生物学的活性は、サイトカイン阻害剤活性、サイトカイン活性の増加、ケモカイン阻害剤活性、プロテアーゼ阻害剤活性、コンドロイチン硫酸結合、グリコサミノグリガン結合活性、ヒアルロン酸結合活性、補体結合活性、ヒストン結合活性、Arg-Gly-Asp(RGD)ドメイン結合活性、凝固因子結合活性、細胞修復活性、及び細胞外マトリクスタンパク質結合活性を含む群から選択される。
【0011】
いくつかの実施形態において、上記IαIpは高いトリプシン阻害比活性を有する。いくつかの実施形態において、上記トリプシン阻害比活性は約1000IU/mg~約2000IU/mgである。
【0012】
いくつかの実施形態において、上記食品は約50℃~約120℃の乾熱で殺菌される。
【0013】
いくつかの実施形態において、上記食品は、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、担体、及び/または安定剤を含む。いくつかの実施形態において、上記安定剤は、アルブミン、ポリエチレングリコール、アルファ-トレハロース、アミノ酸、塩、グリセロール、オメガ-アミノ酸、糖、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0014】
いくつかの実施形態において、上記食品は、飲料、乳系食品、オーブン調理食品、果実及び/または野菜系食品、穀物及び/または加工穀物系食品、乳成分不使用食品、乳児用調製粉乳、電解質食品、スポーツ飲料、タンパク質系食品、栄養補助食品、食品添加物、香味料、甘味料、防腐剤、食品着色料、ならびに繊維を含む群から選択される。いくつかの実施形態において、上記乳系食品は、乳、クリーム、バター、ヨーグルト、ケフィア、アイスクリーム、ジェラート、シャーベット、カスタード、プリン、ヌガー、チーズ、ホエイ食品、及びカゼイン食品を含む群から選択される。いくつかの実施形態において、上記オーブン調理食品は、ビスケット、パン、ブラウニー、ケーキ、キャセロール、クッキー、クラッカー、ペストリー、パイ、ピッツァ、及びタルトを含む群から選択される。いくつかの実施形態において、上記果実及び/または野菜系食品は、油、ゼリー、ジャム、マーマレード、保存食品、バター、ピューレ、乳幼児向け食品、ソース、スープ、及びブイヨンを含む群から選択される。いくつかの実施形態において、上記乳成分不使用食品は、チーズ代替品、非乳製品ヨーグルト、非乳製品クリーム、非乳製品バター、非乳製品アイスクリーム、非乳製品乳、豆腐、大豆系食品、ナッツ系食品、ココナッツ系食品、及びゼラチンを含む群から選択される。いくつかの実施形態において、上記加工穀物系食品は、パン、パスタ、オートミール、朝食用シリアル、トルティーヤ、及びひき割りトウモロコシ(grits)を含む群から選択される。いくつかの実施形態において、上記乳児用調製粉乳は、タンパク質加水分解物調製粉乳、代謝調製粉乳、アミノ酸系調製粉乳、適用除外乳児用調製粉乳、特殊調製粉乳、フォローアップ・ミルク、及び幼児用調製粉乳を含む群から選択される。いくつかの実施形態において、上記電解質食品は、混合済み溶液、溶解性錠剤、食用ゲル、濃縮溶液、及び粉末を含む群から選択される。いくつかの実施形態において、上記電解質食品及び/またはスポーツ飲料は、等張性溶液、高張性溶液、及び低張性溶液からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記栄養補助食品及び/またはタンパク質系食品は、完全食製品、タンパク質シェイクまたは栄養シェイク、プロテインバー、ビタミン、エナジードリンク、及び規定食製品からなる群より選択される。
【0015】
いくつかの実施形態において、上記食品は固体である。
【0016】
いくつかの実施形態において、上記食品は液体である。
【0017】
いくつかの実施形態において、上記食品は少なくとも1種のさらなる治療薬をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記さらなる治療薬は、抗がん剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗生剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、気管支拡張剤、昇圧剤、鎮静剤、補体阻害剤、抗凝固剤、免疫調節剤、組織修復を誘発する薬剤、抗コリン作用剤、止瀉薬、抗うつ剤、消化管運動改善薬、緩下剤、神経伝達物質、鎮痙剤、及び鎮痛剤を含む群から選択される。
【0018】
いくつかの実施形態において、上記の態様または上記の実施形態のいずれかの食品は、その必要がある対象における疾患または疾病の治療のためのものである。
【0019】
いくつかの実施形態において、上記疾患または疾病は、IαIpの基準レベルと比較して低い、対象におけるIαIpのレベルに関連する。いくつかの実施形態において、上記疾患または疾病は、対象における少なくとも1種のサイトカイン及び/またはケモカインのレベルであって、上記少なくとも1種のサイトカイン及び/またはケモカインの基準レベルと比較して変化した上記レベルに関連する。いくつかの実施形態において、上記サイトカイン及び/またはケモカインはTNF-αである。
【0020】
別の態様において、本発明は、対象における疾患もしくは疾病の治療方法、上記疾患もしくは疾病の症状の軽減方法、上記疾患もしくは疾病の進行の抑制方法、または上記疾患もしくは疾病の発症の可能性の低減方法であって、治療有効量のIαIpを含む食品を上記対象に投与することを含む上記方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、上記食品は、上記の態様または上記の実施形態のいずれかの食品である。
【0021】
いくつかの実施形態において、上記方法は、上記対象におけるIαIpのレベルを測定するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記対象における上記IαIpのレベルが投与の前に測定される。いくつかの実施形態において、上記対象における上記IαIpのレベルが投与の後に測定される。
【0022】
いくつかの実施形態において、上記疾患または疾病は、IαIpの基準レベルと比較して低い、上記対象におけるIαIpのレベルに関連する。
【0023】
別の態様において、本発明は、疾患または疾病に罹患している対象が、IαIpを含む食品による治療に対して応答する可能性が高いかどうかを判定する方法であって、以下:
(a)任意選択で、上記対象における治療前の1種以上のIαIpのレベルを測定するステップと、
(b)治療有効量の上記の態様または実施形態のいずれかの食品を上記対象に投与するステップと、
(c)上記対象における初期治療期間後の1種以上の上記IαIpのレベルを測定するステップであって、上記対象における少なくとも1種の上記IαIpのレベルの増加が、上記対象が、上記食品による上記治療に対して良好に応答する可能性が高いことを示す、上記測定するステップと
を含む上記方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、上記方法は、上記IαIpを含む上記食品の投与の前及び/または後に、上記対象における1種以上のIαIp関連バイオマーカーのレベルを監視するステップをさらに含む。
【0024】
別の態様において、本発明は、疾患または疾病に罹患している対象が、IαIpを含む食品による治療に対して応答する可能性が高いかどうかを判定する方法であって、以下:
(a)任意選択で、上記対象における治療前の1種以上のIαIp関連バイオマーカーのレベルを測定するステップと、
(b)治療有効量の上記の態様または実施形態のいずれかの食品を上記対象に投与するステップと、
(c)上記対象における初期治療期間後の1種以上の上記IαIp関連バイオマーカーのレベルを測定するステップであって、上記対象における少なくとも1種の上記IαIp関連バイオマーカーのレベルの変化が、上記対象が、上記食品による上記治療に対して良好に応答する可能性が高いことを示す、上記測定するステップと
を含む上記方法を特徴とする。
【0025】
別の態様において、本発明は、疾患または疾病に罹患している対象の、IαIpを含む食品による治療の治療効果を最適化する方法であって、以下:
(a)任意選択で、上記対象における治療前の1種以上のIαIpのレベルを測定するステップと、
(b)治療有効量の上記の態様または実施形態のいずれかの食品を上記対象に投与するステップと、
(c)上記対象における初期治療期間後の1種以上の上記IαIpのレベルを測定するステップであって、
(i)上記対象における少なくとも1種の上記IαIpのレベルの増加が、上記食品を、同様のもしくは削減した投与量または頻度で上記対象に投与することができることを示し、
(ii)上記対象における少なくとも1種の上記IαIpのレベルの低下またはプラトー状態が、上記食品を、増加させた頻度または投与量で上記対象に投与することができることを示す、
上記測定するステップと、
(d)任意選択で、上記食品が上記対象に投与される頻度及び/または投与量を調整するステップと
を含む上記方法を特徴とする。
【0026】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記疾患または疾病は、上記対象における少なくとも1種のサイトカイン及び/またはケモカインのレベルであって、上記少なくとも1種のサイトカイン及び/またはケモカインの基準レベルと比較して上昇した上記レベルに関連する。いくつかの実施形態において、上記サイトカイン及び/またはケモカインは、IL-1β、TNF-α、INF-α、IL-6、IL-10、INF-γ、及びIL-8を含む群から選択される。いくつかの実施形態において、上記食品の投与によって、1種以上の上記サイトカイン及び/またはケモカインの減少または下方制御が生じる。
【0027】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記疾患または疾病は、急性炎症性疾患、急性及び慢性の神経学的障害及び神経変性障害、敗血症、重度のショック、敗血症性ショック、臓器移植、臓器不全、手術、自己免疫疾患、関節リウマチ、多発性硬化症、ループス、がん、がん転移、代謝障害、悪液質、外傷及び/または傷害、組織損傷、毒素への曝露、肝疾患、感染症、肺及び呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、虚血、胃腸疾患、壊死性腸炎、全身性炎症反応症候群(SIRS)、鼻炎、毒素への曝露、髄膜炎、急性膵炎、子癇前症、早期分娩、原発性免疫不全症候群、及び後天性免疫不全症候群(AIDS)を含む群から選択される。いくつかの実施形態において、上記炎症性疾患は炎症性腸疾患である。いくつかの実施形態において、上記炎症性腸疾患はクローン病である。いくつかの実施形態において、上記肺疾患は急性肺傷害である。いくつかの実施形態において、上記急性肺傷害は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)である。いくつかの実施形態において、上記急性肺傷害は肺炎である。いくつかの実施形態において、上記外傷及び/または傷害は創傷である。いくつかの実施形態において、上記虚血は虚血再灌流傷害である。いくつかの実施形態において、上記虚血は低酸素性虚血である。いくつかの実施形態において、上記虚血は低酸素性虚血性脳症である。いくつかの実施形態において、上記疾患または疾病は壊死性腸炎である。いくつかの実施形態において、上記組織損傷は、内部瘢痕、臓器移植または手術に起因する組織損傷、炎症、疾患、または傷害に起因する組織損傷、肺組織損傷(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、嚢胞性線維症、肺炎、気腫、ARDS、肺炎球菌症、肺癌、間質性肺疾患、肺線維症、またはサルコイドーシスによって生じる肺組織損傷)、脳組織損傷(例えば、虚血、低酸素症、てんかん、TBI、低酸素性虚血性脳症、または脳卒中によって生じる脳組織損傷)、胃腸組織損傷(例えば、自己免疫性もしくは炎症性疾患または疾病(例えば、クローン病もしくは潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患)、または腸虚血によって生じる胃腸組織損傷)、あるいは血管組織損傷(例えば、炎症または傷害によって生じる血管組織損傷)である。
【0028】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記食品の投与によって、上記対象における上記疾患もしくは疾病の少なくとも1つの症状の頻度及び/または発生が、治療を受けていない対象と比較して低下する。いくつかの実施形態において、上記症状は、臓器不全;低酸素血症;両側性の肺のX線像の陰影;呼吸不全;めまい、立ちくらみ、及び/または失神;倦怠感;息切れ及び/または呼吸困難;咳;発熱;心拍数の増加などの異常なバイタルサイン;低血圧;呼吸促拍、胸痛及び/または胸部圧迫感;動悸;浮腫;腹部の膨張、疼痛、及び/または膨満;腹部の変色;下肢関節及び/または直腸の疼痛;血便;腸閉塞症;吐き気;鼓腸;食欲減退;体重減少及び/または体重増加不良;低成長;下痢;食欲不振;嘔吐;出血;創傷の近位の組織の発赤、腫大、疼痛、圧痛、及び/または熱;爪及び/または口唇の青みがかった変色;ならびに人工呼吸器の必要性を含む群から選択される。
【0029】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記食品は、上記対象の体重1kg当り約1mg~約5gの投与量で投与される。いくつかの実施形態において、上記IαIpは、上記食品の1ミリグラム(mg)当り約0.1mg~約10mgの量で上記食品中に存在する。いくつかの実施形態において、上記IαIpは、上記食品の1リットル(L)当り約10mg~約1000mgの量で上記食品中に存在する。
【0030】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記食品は少なくとも1日の治療期間にわたって投与される。
【0031】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記方法はさらなる治療薬を投与することを更に含む。
【0032】
別の態様において、本発明は、IαIpの精製方法であって、
(a)上記IαIpを含む乳の画分を分離するステップと、
(b)上記乳の画分から上記IαIpを精製するステップと
を含み、上記IαIpが約85%~約100%の範囲の純度を有する、上記方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、上記分離すること及び/または精製することは、清澄化ステップ、クロマトグラフィーステップ、沈殿ステップ、及び/または固相抽出ステップを含む。いくつかの実施形態において、上記クロマトグラフィーステップは陰イオン交換及び/またはアフィニティークロマトグラフィーを含む。いくつかの実施形態において、上記沈殿ステップは、上記乳の画分を、上記IαIpを含まない沈殿を生成させる薬剤と接触させることを含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、上記方法は、上記IαIpを約5.5以下のpH(例えば、約5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、5.0、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5.2.4、2.3、2.2、2.1、または約2.0のpH)、任意選択で約4.2~約5.2のpHに曝露することをさらに含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、脂肪及び/または乳タンパク質はクロマトグラフィー分離の前に試料から除去される。
【0035】
いくつかの実施形態において、上記乳は哺乳動物由来である。いくつかの実施形態において、上記哺乳動物は家畜の有蹄動物である。いくつかの実施形態において、上記家畜の有蹄動物は、ウシ、ヤギ、ヒツジ、スイギュウ、ラクダ、ロバ、ウマ、トナカイ、及びヤクを含む群から選択される。いくつかの実施形態において、上記IαIpは上記哺乳動物において組換えにより発現され、上記哺乳動物の上記乳中に分泌される(例えば、上記哺乳動物は、IαIpを発現及び分泌するように操作されたトランスジェニック哺乳動物である)。いくつかの実施形態において、上記IαIpはヒトIαIpである。
【0036】
別の態様において、本発明は、IαIpの精製方法であって、以下:
(a)導入遺伝子をトランスフェクトされた乳産生細胞を含む哺乳動物を提供することであって、上記導入遺伝子が、以下:
(i)上記IαIpをコードする核酸配列、
(ii)上記IαIpをコードする上記核酸配列に作動可能に連結されている乳特異的プロモータ、及び
(iii)上記乳産生細胞による上記IαIpの分泌を可能にするタンパク質分泌シグナルをコードするリーダー配列
を含む、上記哺乳動物を提供することと、
(b)上記哺乳動物から収集した乳から上記IαIpを精製することと
を含む上記方法を特長とする。いくつかの実施形態において、上記IαIpは上記哺乳動物にとって外因性である。いくつかの実施形態において、上記哺乳動物は家畜の有蹄動物である。いくつかの実施形態において、上記家畜の有蹄動物は、ウシ、ヤギ、ヒツジ、スイギュウ、ラクダ、ロバ、ウマ、トナカイ、及びヤクからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記IαIpはヒトIαIpである。
【0037】
別の態様において、本発明は、IαIpを食品と混合することによる、経口摂取用組成物の製造方法を特徴とする。
【0038】
いくつかの実施形態において、上記食品と混合されるIαIpの量は、上記食品の1ミリグラム(mg)当り約0.1mg~約10mgの範囲である。
【0039】
いくつかの実施形態において、上記食品と混合されるIαIpの量は、上記食品の1リットル(L)当り約10mg~約1000mgの範囲である。
【0040】
いくつかの実施形態において、上記IαIpは血液または乳から単離される。いくつかの実施形態において、上記血液または乳は哺乳動物由来である。いくつかの実施形態において、上記哺乳類はヒトである。いくつかの実施形態において、上記哺乳動物は家畜の有蹄動物である。いくつかの実施形態において、上記家畜の有蹄動物は、ウシ、ヤギ、ヒツジ、スイギュウ、ラクダ、ロバ、ウマ、トナカイ、及びヤクを含む群から選択される。いくつかの実施形態において、上記IαIpは上記哺乳動物において組換えにより発現される(例えば、上記哺乳動物は、IαIpを発現するように操作されたトランスジェニック哺乳動物である)。いくつかの実施形態において、上記IαIpはヒトIαIpである。
【0041】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記IαIpは約60kDa~約280kDaの見かけの分子量を有する。いくつかの実施形態において、上記分子量はドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって測定される。
【0042】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記IαIpは1時間を超えるインビボ半減期を有する。いくつかの実施形態において、上記インビボ半減期は5時間を超える。
【0043】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記IαIpは生物学的活性を有する。いくつかの実施形態において、上記生物学的活性は、サイトカイン阻害剤活性、サイトカイン活性の増加、ケモカイン阻害剤活性、プロテアーゼ阻害剤活性、コンドロイチン硫酸結合、グリコサミノグリガン結合活性、ヒアルロン酸結合活性、補体結合活性、ヒストン結合活性、Arg-Gly-Asp(RGD)ドメイン結合活性、凝固因子結合活性、細胞修復活性、及び細胞外マトリクスタンパク質結合活性を含む群から選択される。
【0044】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記IαIpは高いトリプシン阻害比活性を有する。いくつかの実施形態において、上記トリプシン阻害比活性は約1000IU/mg~約2000IU/mgである。
【0045】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記食品は、飲料、乳系食品、オーブン調理食品、果実及び/または野菜系食品、穀物及び/または加工穀物系食品、乳成分不使用食品、乳児用調製粉乳、電解質食品、スポーツ飲料、タンパク質系食品、栄養補助食品、食品添加物、香味料、甘味料、防腐剤、食品着色料、ならびに繊維を含む群から選択される。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記乳系食品は、乳、クリーム、バター、ヨーグルト、ケフィア、アイスクリーム、ジェラート、シャーベット、カスタード、プリン、ヌガー、チーズ、ホエイ食品、及びカゼイン食品を含む群から選択される。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記オーブン調理食品は、ビスケット、パン、ブラウニー、ケーキ、キャセロール、クッキー、クラッカー、ペストリー、パイ、ピッツァ、及びタルトを含む群から選択される。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記果実及び/または野菜系食品は、油、ゼリー、ジャム、マーマレード、保存食品、バター、ピューレ、乳幼児向け食品、ソース、スープ、及びブイヨンを含む群から選択される。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記乳成分不使用食品は、チーズ代替品、非乳製品ヨーグルト、非乳製品クリーム、非乳製品バター、非乳製品アイスクリーム、非乳製品乳、豆腐、大豆系食品、ナッツ系食品、ココナッツ系食品、及びゼラチンを含む群から選択される。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記加工穀物系食品は、パン、パスタ、オートミール、朝食用シリアル、トルティーヤ、及びひき割りトウモロコシ(grits)を含む群から選択される。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記乳児用調製粉乳は、タンパク質加水分解物調製粉乳、代謝調製粉乳、アミノ酸系調製粉乳、適用除外乳児用調製粉乳、特殊調製粉乳、フォローアップ・ミルク、及び幼児用調製粉乳を含む群から選択される。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記電解質食品は、混合済み溶液、溶解性錠剤、食用ゲル、濃縮溶液、及び粉末を含む群から選択される。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記電解質食品及び/またはスポーツ飲料は、等張性溶液、高張性溶液、及び低張性溶液を含む群から選択される。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記栄養補助食品及び/またはタンパク質系食品は、完全食製品、タンパク質シェイクまたは栄養シェイク、プロテインバー、ビタミン、エナジードリンク、及び規定食製品を含む群から選択される。
【0046】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記食品は固体である。
【0047】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記食品は液体である。
【0048】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記IαIpは、上記食品の1mg当り約0.1mg~約10mgの量で上記食品中に存在する。
【0049】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記IαIpは、上記食品の1L当り約10mg~約1000mgの量で上記食品中に存在する。
【0050】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記IαIpは、上記食品の体積の約1%~約60%を構成する。
【0051】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記方法は、少なくとも1種のさらなる治療薬を上記食品と混合することをさらに含む。
【0052】
別の態様において、本発明は、上記の態様または実施形態のいずれかの食品及び治療目的の使用のための説明書を備えるキットを特徴とする。
【0053】
別の態様において、本発明は、IαIpを含む組成物、食品、上記組成物を上記食品と混合するための説明書、及び任意選択で治療目的の使用のための説明書を備えるキットを特徴とする。
【0054】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記組成物はさらなる治療薬をさらに含む。
【0055】
別の態様において、本発明は、その必要がある対象における壊死性腸炎の治療方法、壊死性腸炎の症状の軽減方法、壊死性腸炎の進行の抑制方法、または壊死性腸炎の発症の可能性の低減方法であって、治療有効量のIαIpを混合物中に含む組成物を上記対象に投与することによる上記方法を特徴とする。
【0056】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記IαIpは、IαI、PαI、H1、H2、H3、H4、H5、ビクニン、またはそれらの組み合わせである。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記IαIpは、IαI、PαI、及び/またはビクニンを含む。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記IαIpは、H1、H2、H3、H4、及び/またはH5を含む。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記IαIpはビクニンを含む。
【0057】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記IαIpの純度は約85%~約100%純粋の範囲である。
【0058】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記IαIpは血液または乳から単離される。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記血液または乳は哺乳動物由来である。いくつかの実施形態において、上記哺乳動物はヒトである。
【0059】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記方法は、上記の態様または実施形態のいずれか1つの食品を投与するステップを含む。
【0060】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記IαIpは約4時間~約120時間毎に投与される。
【0061】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記IαIpは少なくとも1日1回投与される。いくつかの実施形態において、上記IαIpは少なくとも1日2回投与される。
【0062】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記IαIpは治療期間にわたって投与される。
【0063】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記治療期間は約1日~約14日間である。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記治療期間は約1週間~約3週間である。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記治療期間は約1週間~約4週間である。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記治療期間は約1ヶ月間~約12ヶ月間である。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記治療期間は少なくとも1年間である。
【0064】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記方法は、上記対象におけるIαIpのレベル及び/またはIαIp関連バイオマーカーのレベルを測定することをさらに含む。
【0065】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記IαIp関連バイオマーカーは、ヒストン、細胞外ヒストン、ヒストン/PαI複合体、ヒストン/IαI複合体、ヒストンIαI/PαI複合体、TNF-α、IL-6、IL-10、IL-1、IL-1ra、IL1B、IL-8、MCP-1、MIP-2、C反応性タンパク質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)、サイトカイン誘導性好中球化学誘引物質/KC、UTI、補体成分C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、膜侵襲複合体、因子B、因子D、MASP-1、及びMASP-2、またはそれらの断片を含む群から選択される。いくつかの実施形態において、上記対象における上記IαIpのレベル及び/またはIαIp関連バイオマーカーのレベルは、上記組成物の投与の前に測定される。いくつかの実施形態において、上記対象における上記IαIpのレベル及び/またはIαIp関連バイオマーカーのレベルは、上記組成物の投与の後に測定される。
【0066】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記IαIpは、約1mg/kg体重~約5g/kg体重の投与量で投与される。
【0067】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記組成物は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体を含む。いくつかの実施形態において、上記組成物は固体である。いくつかの実施形態において、上記固体は、錠剤、カプセル剤、または坐剤である。いくつかの実施形態において、上記組成物は液体である。いくつかの実施形態において、上記組成物が、注射、注入、吸入、吹送、もしくは噴霧用に、または経口投与、直腸投与、もしくは局所投与用に製剤化される。いくつかの実施形態において、上記注射は、静脈内、腹腔内、または脳内への注射である。いくつかの実施形態において、上記注入は胎児への注入である。
【0068】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記方法は、さらなる治療薬を投与することをさらに含む。
【0069】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記さらなる治療薬は、抗がん剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗生剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、気管支拡張剤、昇圧剤、鎮静剤、補体阻害剤、抗凝固剤、免疫調節剤、組織修復を誘発する薬剤、抗コリン作用剤、止瀉薬、抗うつ剤、消化管運動改善薬、緩下剤、神経伝達物質、鎮痙剤、及び鎮痛剤を含む群から選択される。
【0070】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態において、上記対象はヒトである。いくつかの実施形態において、上記対象は、胎児、新生児、乳児、子供、青年、または成人である。いくつかの実施形態において、上記乳児は未熟児である。
【0071】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記方法は、治療有効量の上記の実施形態の態様のいずれかの食品を上記対象に投与することを含む。
【0072】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、上記IαIpはヒトIαIpである。
【0073】
定義
本明細書では、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、別段の指示がない限り、複数への言及を包含する。
【0074】
本明細書では、用語「約」とは、記載された値の±10%を意味する。
【0075】
本明細書では、用語「急性呼吸窮迫症候群」または「ARDS」とは、例えば、びまん性肺胞傷害、サーファクタント機能障害、自然免疫応答、及び/または異常な凝固を含む場合がある、肺の広範な炎症を特徴とする急性形態の肺傷害をいう。ARDSはまた、一般的に、心原性肺水腫の形跡のない両側性肺浸潤及び重度の低酸素血症を特徴とする。ARDSの診断に必要な低酸素血症の重症度は、患者の動脈血中の酸素分圧(PaO)と吸気中の酸素分率(FiO)の比(PaO/FiO)によって定義することができる。ARDSの定義は、臨床症状の発症のタイミングと、肺傷害、X線写真の変化、水腫の原因、及び5cmHOの持続陽圧呼吸療法(CPAP)時のPaO/FiO比の測定に基づく症状の重症度との関係に依存する。2012年のARDSに対するベルリン定義では、PaO/FiOによって判定される低酸素血症の程度に基づいてARDSを3つのカテゴリ、すなわち、軽度のARDS(PaO/FiO 200~300mmHg)、中程度のARDS(PaO/FiO 100~200mmHg)、及び重度のARDS(PaO/FiO≦100mmHg)に分類した(例えば、The ARDS Definition Task Force, JAMA 307(23):2526-2533, 2012を参照のこと)。The American-European Consensus Conference on ARDS (AECC)では、ARDSをPaO/FiO比が200mmHg未満と分類した一方、ARDSよりも重症度の低い急性肺傷害(ALI)をPaO/FiOが300mmHg未満と特徴付けた(Bernard et al., Am. J. Respir. Crit. Care Med. 143(3 Pt 1):818-824, 1994)。用語「ARDS」は、2012年のベルリン定義または1994年のAECC定義を含む、当技術分野で公知のARDSに対する任意且つ適宜の臨床上の定義を包含することを理解されたい。
【0076】
本明細書では、用語「急性呼吸不全」とは、肺の気嚢内に流体が蓄積し、それによって血流への酸素の放出が低下し(低酸素血症)、且つCOの除去が低下し(高炭酸ガス血症)、対象に低酸素状態が生じる状態をいう。上記低酸素状態によって臓器への酸素供給が低下する場合があり、これが臓器不全に繋がる可能性がある。血液からCOが除去されない結果、血液のpHの低下を特徴とする呼吸性アシドーシスに繋がる可能性がある。
【0077】
本明細書では、「投与する」とは、ある投与量の物質(例えばIαIp)または組成物(例えば、IαIpを含有する本発明の食品などの、IαIpを含有する組成物)を対象に与える方法を意味する。本明細書に記載の方法において利用されるIαIpは、例えば、経口投与、筋肉内投与、静脈内投与、皮内投与、経皮投与、動脈内投与、腹腔内投与、病変内投与、頭蓋内投与、関節内投与、前立腺内投与、胸膜内投与、気管内投与、鼻腔内投与、硝子体内投与、膣内投与、直腸内投与、局所投与(topically)、腫瘍内投与、腹膜投与、皮下投与、結膜下投与、膀胱内投与、粘膜投与、心膜内投与、臍内投与、眼内投与、局所投与(topically)、局所投与(locally)することができ、吸入により、注射により、注入により、連続注入により、標的細胞に直接液体を流す局所灌流により、カテーテルにより、洗浄により、クリームで、または脂質組成物で投与することができる。上記投与方法は、様々な要因(例えば、投与される物質または組成物、ならびに治療を受ける疾病、疾患、または障害の重症度)に応じて変えることができる。いくつかの実施形態において、IαIpを含有する本発明の食品などのIαIpを含有する組成物は対象に経口投与される。
【0078】
本明細書では、用語「バイオマーカー」及び「IαIp関連バイオマーカー」とは、試料、例えば、血液などの体液中で検出される場合がある、例えば、タンパク質、核酸、または化学薬品などの物質であって、例えば、対象におけるIαIpのレベルによって発生する、上記レベルと関係する、もしくは上記レベルと関連する疾患または障害を示す上記物質をいう。いくつかの実施形態において、上記IαIp関連バイオマーカーは、例えば、IαIpへの直接の及び/または間接的な結合によって、当該IαIpと複合体を形成するタンパク質である。IαIp関連バイオマーカーの非限定的な例としては、ヒストン、細胞外ヒストン、ヒストン/PαI複合体、ヒストン/IαI複合体、ヒストンIαI/PαI複合体、TNF-α、IL-6、IL-10、IL-1、IL-1ra、IL1B、IL-8、MCP-1、MIP-2、C反応性タンパク質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)、サイトカイン誘導性好中球化学誘引物質/KC、UTI、補体成分C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、膜侵襲複合体、因子B、因子D、MASP-1、及びMASP-2、ならびに/またはそれらの断片が挙げられる。IαIp関連バイオマーカーのレベルは、例えば、特定の、分子の、病理学的な、組織学的な、及び/もしくは臨床上の特徴によって特徴付けられる疾患または障害(例えば、低いIαIpレベル及び/または炎症に関連する疾患または障害)の特定のサブタイプあるいは症状の指標としての役割を果たす場合がある。IαIp関連バイオマーカーとしては、ポリヌクレオチド(例えば、DNA及び/またはRNA)、ポリヌクレオチドコピー数変化(例えばDNAコピー数)、ポリペプチド、ポリペプチド修飾及びポリヌクレオチド修飾(例えば翻訳後修飾)、炭水化物、及び/または糖脂質系分子マーカーが挙げられるが、これらに限定はされない。IαIp関連バイオマーカーのレベルは、当技術分野で公知の方法によって、例えば、ELISAに基づくアッセイ、免疫ブロットアッセイ(例えば、ウェスタンブロットアッセイ)、質量分析(例えば、マトリックス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間型(MALDI-TOF)質量分析及びエレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析など)を含む、但しこれらに限定されない、従来のタンパク質検出アッセイ、ならびに、とりわけ、核磁気共鳴(NMR)、赤外線(IR)分光法、紫外線-可視光分光法などの分光法によって測定することができる。例えば、試料中のRNA転写物の存在量を測定するためのさらなる方法を、とりわけ定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)アッセイ、及びRNAシーケンシングアッセイ(RNA-Seq)を含む、当技術分野で公知の確立された技法を用いて実施することができる。
【0079】
本明細書では、用語「変化」とは、当技術分野で公知の標準的な方法によって検出される、IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)ならびに/あるいはIαIp関連バイオマーカー(例えば、ヒストン、細胞外ヒストン、ヒストン/PαI複合体、ヒストン/IαI複合体、ヒストンIαI/PαI複合体、TNF-α、IL-6、IL-10、IL-1、IL-1ra、IL1B、IL-8、MCP-1、MIP-2、C反応性タンパク質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)、サイトカイン誘導性好中球化学誘引物質/KC、UTI、補体成分C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、膜侵襲複合体、因子B、因子D、MASP-1、及びMASP-2、及び/もしくはそれらの断片)などの物質のレベルの変化(例えば、増加または減少)をいう。本明細書では、変化は、対象(例えばヒト)から得られた試料においてアッセイされた当該物質(例えば、IαIpタンパク質及び/もしくはIαIp関連バイオマーカー)のレベルの、例えば、健康な対象における上記物質のレベルと比較して、少なくとも約1%(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%)あるいはそれ以上の変化(例えば、増加または減少)を含む。
【0080】
本明細書では、用語「補体活性化」とは、互いに反応して、感染症との戦いを助ける一連の炎症反応を誘発する補体成分の活性化をいう。補体系は、トリガーされた酵素カスケードを介して活性化される。
【0081】
本明細書では、用語「補体成分」とは、古典的経路、レクチン経路、ならびにC1、C2、C3(例えば、C3a及びC3b)、C4(例えばC4b)、C5(例えば、C5a及びC5b)、C6、C7、C8、C9、膜侵襲複合体、因子B、因子D、マンナン結合レクチン関連セリンプロテアーゼ1(MASP-1)、及びMASP-2、及びそれらの断片を含む、但しこれらに限定されない、副補体経路における補体系タンパク質をいう。
【0082】
本開示において、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(containing)」、及び「有する(having)」などは、米国特許法においてそれらに帰される意味を有することができ、「含む(includes)」、「含む(including)」などを意味することができる。「本質的に~からなる(consisting essentially of)」または「本質的になる(consists essentially」は、同様に米国特許法において帰される意味を有し、該用語は開放型(open-ended)であり、記載されているもの以外のものの存在によって、記載されているものの基本的なまたは新規な特徴が変化しない限り、記載されているもの以外のものが存在することを許容する。但し、該用語は先行技術の実施形態を除外する。
【0083】
「障害」とは、当該の対象を問題の障害に罹患しやすくする病的状態を含む、慢性及び急性の障害または疾患を含む、但しこれらに限定されない、治療による恩恵を受けることとなる状態である。
【0084】
本明細書では、障害または疾患の「進行を抑制する」とは、本明細書に記載の疾患または障害の発症を、遅延させる、引き延ばす、妨げる、遅くする、遅らせる、安定化させる、及び/または先送りにすることを意味する。この遅延は、病歴及び/または治療を受けている個体に応じて、さまざまな期間の遅延となる場合がある。当業者には明らかであるように、十分なまたは有意な遅延は、事実上、個体が疾患を発症しないという点で予防を包含することができる。例えば、転移の発症などの後期がんが遅延される場合がある。
【0085】
本明細書では、用語「インターアルファインヒビタータンパク質」または「IαIp」とは、構造的に同族のセリンプロテアーゼヒビターのファミリー中の大きな多成分糖タンパク質をいう。IαIpは、好中球エラスターゼ、プラスミン、トリプシン、キモトリプシン、グランザイムK、プレプロテインコンバターゼ、フューリン、カテプシンG、及びアクロシンを含む一連のプロテアーゼの阻害において重要であることが明らかになっている。IαIpはヒト血漿中に比較的高濃度(400~800mg/L)で存在する。他のインヒビター分子とは異なり、この阻害剤のファミリーは一般的に、コンドロイチン硫酸鎖によって共有結合したポリペプチド鎖(軽鎖及び重鎖)の組み合わせを含む。IαIpの重鎖(H1、H2、及びH3)はヒアルロン酸(HA)結合タンパク質とも呼ばれる。ヒト血漿中に存在するIαIpの主たる形態は、2つの重鎖(H1及びH2)と単一の軽鎖(L)を含むインターアルファインヒビター(IαI)と、1つの重鎖(H3)と1つの軽鎖(L)を含むプレアルファインヒビター(PαI)である。別のIαIpは、血漿セリンプロテアーゼを広く阻害することが知られている軽鎖(2つのKunitzドメインを有するビクニン(bi-kunitzインヒビター)とも呼ばれる)である。別のIαIpは重鎖関連分子H4であり、このH4はビクニンと結合することなく血中を循環する。さらに別のIαIpは重鎖関連分子H5である。血漿画分中に存在するIαI及びPαIは約60kDa~約280kDaの見かけの分子量を有する。
【0086】
本明細書では、用語「肺炎」とは、細菌、ウイルス、真菌、または寄生虫(例えば寄生原虫)などの他の微生物によって発生する感染症の結果である肺の炎症状態をいう。肺炎は一般的に、胸部X線、臨床評価、喀痰培養、及び/または血液培養によって診断される。肺炎の患者においては、気嚢が液体(例えば膿)で満たされ、固くなる場合がある。この感染症及び関連する炎症は、両方の肺、片方の肺、または特定の肺葉のみを冒す場合がある。用語「肺炎」は、当技術分野で公知の肺炎の任意且つ適宜の臨床上の定義または分類、例えば、CRB-65判定基準、CURB-65判定基準(例えば、Lim et al., Thorax 58(5):377-382, 2003を参照のこと)または肺炎重症度指数(PSI)(例えば、Fine et al., N. Engl. J. Med. 336(4):243-250, 1997を参照のこと)を包含する。これらの判定基準は、Wente et al. Respiratory Medicine 109:157-169, 2015にも記載されており、該文献はその全体が本明細書に援用される。用語「肺炎」は、院内肺炎(HAP)、医療ケア関連肺炎(HCAP)、介護施設関連肺炎(NHAP)、人工呼吸器関連肺炎(VAP)、及び市中感染性肺炎(CAP)(重度のCAP(sCAP)を含む)を含む、但しこれらに限定されない、任意且つ適宜の型の肺炎を包含する。
【0087】
本明細書では、用語「予防する(prevent)」、「予防する(preventing)」、「予防(prevention)」、「予防的治療」などとは、疾患、障害、もしくは疾病に罹患してはいないが、それらを発症する危険性があるまたは発症しやすい対象において、疾患、障害、または疾病を発症する確率を低減することをいう。
【0088】
本明細書では、語句「発症の可能性を低減する」とは、特定の疾患、症候群、もしくは疾病に罹患しやすいか、または他の形態でのそれらの危険性がある、あるいは現在罹患している疾患、症候群、もしくは疾病の重症度が高まる危険性がある患者の予防的治療をいう。
【0089】
本明細書では、用語「基準」とは、標準または対照条件を意味する。例えば、基準として用いられる試料、細胞、または組織は、例えば、健康な対象から、または治療前の対象から得てもよく、それぞれ、未知の試料、細胞、もしくは組織との比較に使用してもよい試料、細胞、または組織である。基準レベルは、IαIpのレベル及び/またはIαIp関連バイオマーカーのレベルであってよい。
【0090】
本明細書では、用語「呼吸不全」とは、肺から血液中への酸素の通過が不十分であり、COの排出が不十分な呼吸器系によるガス交換の不足に起因する状態をいう。
【0091】
本明細書では、用語「敗血症」とは、感染に対する全身性応答(本明細書では「感染性敗血症」と称する)または急性組織傷害及び自然免疫活性化に関連する非感染性過程に対する全身性応答(本明細書では同義で「無菌性炎症」または「無菌性敗血症」と称する)をいい、これらは組織損傷、臓器不全、及び死に至る可能性がある。感染性敗血症は、細菌、ウイルス、真菌、または寄生虫(例えば寄生原虫)などの他の微生物によって発生する感染症に起因する場合がある。無菌性敗血症は、出血性ショック、多発外傷、膵炎、移植片拒絶、自己免疫疾患、または虚血/再灌流の後に発生する可能性があり、既知の感染症の存在とは関連性がない。
【0092】
本明細書では、用語「対象」とは、ヒトまたは霊長動物、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ネコ、もしくはイヌなどの非ヒト哺乳動物を含む、但しこれらに限定されない哺乳動物をいう。上記対象は患者であってよい。
【0093】
本明細書では、用語「治療する」とは、障害及び/または該障害に関連する症状を軽減または改善することをいう。障害または疾病を治療することは、上記障害または該障害に関連する症状が完全に除去されることを必要とはしない、但し完全に除去されることを排除するものではない、ことが理解されよう。
[本発明1001]
インターアルファインヒビタータンパク質(IαIp)を含む食品であって、前記IαIpが、前記食品の1ミリグラム当り少なくとも約0.01mgの量で前記食品中に存在する、前記食品。
[本発明1002]
前記IαIpが、IαI、PαI、H1、H2、H3、H4、H5、ビクニン、またはそれらの組み合わせである、本発明1001の食品。
[本発明1003]
前記IαIpが、IαI、PαI、及び/またはビクニンを含む、本発明1002の食品。
[本発明1004]
前記IαIpが、H1、H2、H3、H4、及び/またはH5を含む、本発明1002または1003の食品。
[本発明1005]
前記IαIpがビクニンを含む、本発明1002~1004のいずれかの食品。
[本発明1006]
前記食品と混合される前記IαIpの純度が約85%~約100%純粋の範囲である、本発明1001~1005のいずれかの食品。
[本発明1007]
前記IαIpが、前記食品の1ミリグラム(mg)当り約0.1mg~約10mgの量で前記食品中に存在する、本発明1001~1006のいずれかの食品。
[本発明1008]
前記IαIpが、前記食品の1リットル(L)当り約10mg~約1000mgの量で前記食品中に存在する、本発明1001~1006のいずれかの食品。
[本発明1009]
前記IαIpが血液または乳から単離される、本発明1001~1008のいずれかの食品。
[本発明1010]
前記血液または乳が哺乳動物由来である、本発明1009の食品。
[本発明1011]
前記哺乳動物が家畜の有蹄動物である、本発明1010の食品。
[本発明1012]
前記家畜の有蹄動物が、ウシ、ヤギ、ヒツジ、スイギュウ、ラクダ、ロバ、ウマ、トナカイ、及びヤクからなる群より選択される、本発明1011の食品。
[本発明1013]
前記IαIpが前記哺乳動物において組換えにより発現される、本発明1010~1012のいずれかの食品。
[本発明1014]
前記IαIpがヒトIαIpである、本発明1013の食品。
[本発明1015]
前記IαIpが約60kDa~約280kDaの見かけの分子量を有する、本発明1001~1014のいずれかの食品。
[本発明1016]
前記分子量がドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって測定される、本発明1015の食品。
[本発明1017]
前記IαIpが1時間を超えるインビボ半減期を有する、本発明1001~1016のいずれかの食品。
[本発明1018]
前記インビボ半減期が5時間を超える、本発明1017の食品。
[本発明1019]
前記IαIpが生物学的活性を有する、本発明1001~1018のいずれかの食品。
[本発明1020]
前記生物学的活性が、サイトカイン阻害剤活性、サイトカイン活性の増加、ケモカイン阻害剤活性、プロテアーゼ阻害剤活性、コンドロイチン硫酸結合、グリコサミノグリガン結合活性、ヒアルロン酸結合活性、補体結合活性、ヒストン結合活性、Arg-Gly-Asp(RGD)ドメイン結合活性、凝固因子結合活性、細胞修復活性、及び細胞外マトリクスタンパク質結合活性からなる群より選択される、本発明1019の食品。
[本発明1021]
前記IαIpが、高いトリプシン阻害比活性を有する、本発明1001~1020のいずれかの食品。
[本発明1022]
前記トリプシン阻害比活性が約1000IU/mg~約2000IU/mgである、本発明1021の食品。
[本発明1023]
約50℃~約120℃の乾熱で殺菌される、本発明1001~1022のいずれかの食品。
[本発明1024]
少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、担体、及び/または安定剤を含む、本発明1001~1023のいずれかの食品。
[本発明1025]
前記安定剤が、アルブミン、ポリエチレングリコール、アルファ-トレハロース、アミノ酸、塩、グリセロール、オメガ-アミノ酸、糖、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、本発明1024の食品。
[本発明1026]
飲料、乳系食品、オーブン調理食品、果実及び/または野菜系食品、穀物及び/または加工穀物系食品、乳成分不使用食品、乳児用調製粉乳、電解質食品、スポーツ飲料、タンパク質系食品、栄養補助食品、食品添加物、香味料、甘味料、防腐剤、食品着色料、ならびに繊維からなる群より選択される、本発明1001~1025のいずれかの食品。
[本発明1027]
前記乳系食品が、乳、クリーム、バター、ヨーグルト、ケフィア、アイスクリーム、ジェラート、シャーベット、カスタード、プリン、ヌガー、チーズ、ホエイ食品、及びカゼイン食品からなる群より選択される、本発明1026の食品。
[本発明1028]
前記オーブン調理食品が、ビスケット、パン、ブラウニー、ケーキ、キャセロール、クッキー、クラッカー、ペストリー、パイ、ピッツァ、及びタルトからなる群より選択される、本発明1026の食品。
[本発明1029]
前記果実及び/または野菜系食品が、油、ゼリー、ジャム、マーマレード、保存食品、バター、ピューレ、乳幼児向け食品、ソース、スープ、及びブイヨンからなる群より選択される、本発明1026の食品。
[本発明1030]
前記乳成分不使用食品が、チーズ代替品、非乳製品ヨーグルト、非乳製品クリーム、非乳製品バター、非乳製品アイスクリーム、非乳製品乳、豆腐、大豆系食品、ナッツ系食品、ココナッツ系食品、及びゼラチンからなる群より選択される、本発明1026の食品。
[本発明1031]
前記加工穀物系食品が、パン、パスタ、オートミール、朝食用シリアル、トルティーヤ、及びひき割りトウモロコシ(grits)からなる群より選択される、本発明1026の食品。
[本発明1032]
前記乳児用調製粉乳が、タンパク質加水分解物調製粉乳、代謝調製粉乳、アミノ酸系調製粉乳、適用除外乳児用調製粉乳、特殊調製粉乳、フォローアップ・ミルク、及び幼児用調製粉乳からなる群より選択される、本発明1026の食品。
[本発明1033]
前記電解質食品が、混合済み溶液、溶解性錠剤、食用ゲル、濃縮溶液、及び粉末からなる群より選択される、本発明1026の食品。
[本発明1034]
前記電解質食品及び/またはスポーツ飲料が、等張性溶液、高張性溶液、及び低張性溶液からなる群より選択される、本発明1026の食品。
[本発明1035]
前記栄養補助食品及び/またはタンパク質系食品が、完全食製品、タンパク質シェイクまたは栄養シェイク、プロテインバー、ビタミン、エナジードリンク、及び規定食製品からなる群より選択される、本発明1026の食品。
[本発明1036]
固体である、本発明1001~1026のいずれかの食品。
[本発明1037]
液体である、本発明1001~1026のいずれかの食品。
[本発明1038]
少なくとも1種のさらなる治療薬をさらに含む、本発明1001~1037のいずれかの食品。
[本発明1039]
前記さらなる治療薬が、抗がん剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗生剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、気管支拡張剤、昇圧剤、鎮静剤、補体阻害剤、抗凝固剤、免疫調節剤、組織修復を誘発する薬剤、抗コリン作用剤、止瀉薬、抗うつ剤、消化管運動改善薬、緩下剤、神経伝達物質、鎮痙剤、及び鎮痛剤からなる群より選択される、本発明1038の食品。
[本発明1040]
その必要がある対象における疾患または疾病の治療のための、本発明1001~1039のいずれかの食品。
[本発明1041]
前記疾患または疾病が、IαIpの基準レベルと比較して低い、対象におけるIαIpのレベルに関連する、本発明1040の食品。
[本発明1042]
前記疾患または疾病が、
対象における少なくとも1種のサイトカイン及び/またはケモカインのレベルであって、前記少なくとも1種のサイトカイン及び/またはケモカインの基準レベルと比較して変化した、前記レベル
に関連する、本発明1040または1041の食品。
[本発明1043]
前記サイトカイン及び/またはケモカインがTNF-αである、本発明1042の食品。
[本発明1044]
前記疾患または疾病が、急性炎症性疾患、急性及び慢性の神経学的障害及び神経変性障害、敗血症、重度のショック、敗血症性ショック、臓器移植、臓器不全、手術、自己免疫疾患、関節リウマチ、多発性硬化症、ループス、がん、がん転移、代謝障害、悪液質、外傷及び/または傷害、組織損傷、毒素への曝露、肝疾患、感染症、肺及び呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、虚血、胃腸疾患、壊死性腸炎、全身性炎症反応症候群(SIRS)、鼻炎、毒素への曝露、髄膜炎、急性膵炎、子癇前症、早期分娩、原発性免疫不全症候群、及び後天性免疫不全症候群(AIDS)からなる群より選択される、本発明1040~1043のいずれかの食品。
[本発明1045]
前記炎症性疾患が炎症性腸疾患である、本発明1044の食品。
[本発明1046]
前記炎症性腸疾患がクローン病である、本発明1045の食品。
[本発明1047]
前記肺疾患が急性肺傷害である、本発明1044の食品。
[本発明1048]
前記急性肺傷害が急性呼吸窮迫症候群(ARDS)である、本発明1047の食品。
[本発明1049]
前記急性肺傷害が肺炎である、本発明1047の食品。
[本発明1050]
前記外傷及び/または傷害が創傷である、本発明1044の食品。
[本発明1051]
前記虚血が虚血再灌流傷害である、本発明1044の食品。
[本発明1052]
前記虚血が低酸素性虚血である、本発明1044の食品。
[本発明1053]
前記虚血が低酸素性虚血性脳症である、本発明1044の食品。
[本発明1054]
前記疾患または疾病が壊死性腸炎である、本発明1044の食品。
[本発明1055]
前記組織損傷が、内部瘢痕;臓器移植もしくは手術に起因する組織損傷;炎症、疾患、もしくは傷害に起因する組織損傷;肺組織損傷;脳組織損傷;胃腸組織損傷;または血管組織損傷である、本発明1044の食品。
[本発明1056]
対象における疾患もしくは疾病の治療方法、前記疾患もしくは疾病の症状の軽減方法、前記疾患もしくは疾病の進行の抑制方法、または前記疾患もしくは疾病の発症の可能性の低減方法であって、治療有効量のIαIpを含む食品を前記対象に投与することを含む、前記方法。
[本発明1057]
本発明1001~1039のいずれかの食品を、その必要がある前記対象に投与することを含む、本発明1056の方法。
[本発明1058]
前記食品が約4時間~約120時間毎に投与される、本発明1056または1057の方法。
[本発明1059]
前記食品が少なくとも1日1回投与される、本発明1056~1058のいずれかの方法。
[本発明1060]
前記食品が少なくとも1日2回投与される、本発明1059の方法。
の方法。
[本発明1061]
前記食品が治療期間にわたって投与される、本発明1056~1060のいずれかの方法。
[本発明1062]
前記治療期間が約1日~約14日間である、本発明1061の方法。
[本発明1063]
前記治療期間が約1週間~約3週間である、本発明1061の方法。
[本発明1064]
前記治療期間が約1ヶ月間~約12ヶ月間である、本発明1061の方法。
[本発明1065]
前記治療期間が少なくとも1年間である、本発明1061の方法。
[本発明1066]
前記対象におけるIαIpのレベルを測定することをさらに含む、本発明1056~1065のいずれかの方法。
[本発明1067]
前記対象における前記IαIpのレベルが投与の前に測定される、本発明1066の方法。
[本発明1068]
前記対象における前記IαIpのレベルが投与の後に測定される、本発明1066または1067の方法。
[本発明1069]
前記疾患または疾病が、IαIpの基準レベルと比較して低い、前記対象におけるIαIpのレベルに関連する、本発明1066~1068のいずれかの方法。
[本発明1070]
疾患または疾病に罹患している対象が、IαIpを含む食品による治療に対して応答する可能性が高いかどうかを判定する方法であって、以下:
(a)任意選択で、前記対象における治療前の1種以上のIαIpのレベルを測定することと、
(b)治療有効量の本発明1001~1039のいずれかの食品を前記対象に投与することと、
(c)前記対象における初期治療期間後の1種以上の前記IαIpのレベルを測定することであって、前記対象における少なくとも1種の前記IαIpのレベルの増加が、前記対象が、前記食品による前記治療に対して良好に応答する可能性が高いことを示す、前記測定することと
を含む、前記方法。
[本発明1071]
前記IαIpを含む前記食品の投与の前及び/または後に、前記対象における1種以上のIαIp関連バイオマーカーのレベルを監視することをさらに含む、本発明1070の方法。
[本発明1072]
疾患または疾病に罹患している対象が、IαIpを含む食品による治療に対して応答する可能性が高いかどうかを判定する方法であって、以下:
(a)任意選択で、前記対象における治療前の1種以上のIαIp関連バイオマーカーのレベルを測定することと、
(b)治療有効量の本発明1001~1039のいずれかの食品を前記対象に投与することと、
(c)前記対象における初期治療期間後の1種以上の前記IαIp関連バイオマーカーのレベルを測定することであって、前記対象における少なくとも1種の前記IαIp関連バイオマーカーのレベルの変化が、前記対象が、前記食品による前記治療に対して良好に応答する可能性が高いことを示す、前記測定することと
を含む、前記方法。
[本発明1073]
前記IαIp関連バイオマーカーが、ヒストン、細胞外ヒストン、ヒストン/PαI複合体、ヒストン/IαI複合体、ヒストンIαI/PαI複合体、TNF-α、IL-6、IL-10、IL-1、IL-1ra、IL1B、IL-8、MCP-1、MIP-2、C反応性タンパク質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)、サイトカイン誘導性好中球化学誘引物質/KC、UTI、補体成分C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、膜侵襲複合体、因子B、因子D、MASP-1、及びMASP-2、またはそれらの断片からなる群より選択される、本発明1071または1072の方法。
[本発明1074]
疾患または疾病に罹患している対象の、IαIpを含む食品による治療の治療効果を最適化する方法であって、以下:
(a)任意選択で、前記対象における治療前の1種以上のIαIpのレベルを測定することと、
(b)治療有効量の本発明1001~1039のいずれかの食品を前記対象に投与することと、
(c)前記対象における初期治療期間後の1種以上の前記IαIpのレベルを測定することであって、
(i)前記対象における少なくとも1種の前記IαIpのレベルの増加が、前記食品を、同様のもしくは削減した投与量または頻度で前記対象に投与することができることを示し、かつ
(ii)前記対象における少なくとも1種の前記IαIpのレベルの低下またはプラトー状態が、前記食品を、増加させた頻度または投与量で前記対象に投与することができることを示す、
前記測定することと、
(d)任意選択で、前記食品が前記対象に投与される頻度及び/または投与量を調整することと
を含む、前記方法。
[本発明1075]
前記疾患または疾病が、
前記対象における少なくとも1種のサイトカイン及び/またはケモカインのレベルであって、前記少なくとも1種のサイトカイン及び/またはケモカインの基準レベルと比較して上昇した、前記レベル
に関連する、本発明1056~1074のいずれかの方法。
[本発明1076]
前記サイトカイン及び/またはケモカインが、IL-1β、TNF-α、INF-α、IL-6、IL-10、INF-γ、及びIL-8からなる群より選択される、本発明1075の方法。
[本発明1077]
前記食品の投与によって、1種以上の前記サイトカイン及び/またはケモカインの減少または下方制御が生じる、本発明1075または1076の方法。
[本発明1078]
前記疾患または疾病が、急性炎症性疾患、急性及び慢性の神経学的障害及び神経変性障害、敗血症、重度のショック、敗血症性ショック、臓器移植、臓器不全、手術、自己免疫疾患、関節リウマチ、多発性硬化症、ループス、がん、がん転移、代謝障害、悪液質、外傷及び/または傷害、組織損傷、毒素への曝露、肝疾患、感染症、肺及び呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、虚血、胃腸疾患、壊死性腸炎、全身性炎症反応症候群(SIRS)、鼻炎、毒素への曝露、髄膜炎、急性膵炎、子癇前症、早期分娩、原発性免疫不全症候群、及び後天性免疫不全症候群(AIDS)からなる群より選択される、本発明1056~1077のいずれかの方法。
[本発明1079]
前記炎症性疾患が炎症性腸疾患である、本発明1078の方法。
[本発明1080]
前記炎症性腸疾患がクローン病である、本発明1079の方法。
[本発明1081]
前記肺疾患が急性肺傷害である、本発明1078の方法。
[本発明1082]
前記急性肺傷害が急性呼吸窮迫症候群(ARDS)である、本発明1081の方法。
[本発明1083]
前記急性肺傷害が肺炎である、本発明1081の方法。
[本発明1084]
前記外傷及び/または傷害が創傷である、本発明1078の方法。
[本発明1085]
前記虚血が虚血再灌流傷害である、本発明1078の方法。
[本発明1086]
前記虚血が低酸素性虚血である、本発明1078の方法。
[本発明1087]
前記虚血が低酸素性虚血性脳症である、本発明1078の方法。
[本発明1088]
前記疾患または疾病が壊死性腸炎である、本発明1078の方法。
[本発明1089]
前記組織損傷が、内部瘢痕;臓器移植もしくは手術に起因する組織損傷;炎症、疾患、もしくは傷害に起因する組織損傷;肺組織損傷;脳組織損傷;胃腸組織損傷;または血管組織損傷である、本発明1078の方法。
[本発明1090]
前記食品の投与によって、前記対象における前記疾患もしくは疾病の少なくとも1つの症状の頻度及び/または発生が、治療を受けていない対象と比較して低下する、本発明1056~1089のいずれかの方法。
[本発明1091]
前記症状が、臓器不全;低酸素血症;両側性の肺のX線像の陰影;呼吸不全;めまい、立ちくらみ、及び/または失神;倦怠感;息切れ及び/または呼吸困難;咳;発熱;心拍数の増加などの異常なバイタルサイン;低血圧;呼吸促拍、胸痛及び/または胸部圧迫感;動悸;浮腫;腹部の膨張、疼痛、及び/または膨満;腹部の変色;下肢関節及び/または直腸の疼痛;血便;腸閉塞症;吐き気;鼓腸;食欲減退;体重減少及び/または体重増加不良;低成長;下痢;食欲不振;嘔吐;出血;創傷の近位の組織の発赤、腫大、疼痛、圧痛、及び/または熱;爪及び/または口唇の青みがかった変色;ならびに人工呼吸器の必要性からなる群より選択される、本発明1090の方法。
[本発明1092]
前記食品が、前記対象の体重1kg当り約1mg~約5gの投与量で投与される、本発明1056~1091のいずれかの方法。
[本発明1093]
IαIpが、前記食品の1ミリグラム(mg)当り約0.1mg~約10mgの量で前記食品中に存在する、本発明1092の方法。
[本発明1094]
前記IαIpが、前記食品の1リットル(L)当り約10mg~約1000mgの量で前記食品中に存在する、本発明1092の方法。
[本発明1095]
前記食品が約4時間~約120時間毎に投与される、本発明1056~1094のいずれかの方法。
[本発明1096]
前記食品が少なくとも1日1回投与される、本発明1092または1095の方法。
[本発明1097]
前記食品が少なくとも1日2回投与される、本発明1096の方法。
[本発明1098]
前記食品が少なくとも1日の治療期間にわたって投与される、本発明1056~1097のいずれかの方法。
[本発明1099]
前記治療期間が約1日~約14日間である、本発明1098の方法。
[本発明1100]
前記治療期間が約1週間~約4週間である、本発明1098の方法。
[本発明1101]
前記治療期間が約1ヶ月間~約12ヶ月間である、本発明1098の方法。
[本発明1102]
前記治療期間が少なくとも1年間である、本発明1098の方法。
[本発明1103]
さらなる治療薬を投与することをさらに含む、本発明1056~1102のいずれかの方法。
[本発明1104]
前記さらなる治療薬が、抗がん剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗生剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、気管支拡張剤、昇圧剤、鎮静剤、補体阻害剤、抗凝固剤、免疫調節剤、組織修復を誘発する薬剤、抗コリン作用剤、止瀉薬、抗うつ剤、消化管運動改善薬、緩下剤、神経伝達物質、鎮痙剤、及び鎮痛剤からなる群より選択される、本発明1103の方法。
[本発明1105]
前記対象が哺乳動物である、本発明1056~1104のいずれかの方法。
[本発明1106]
前記対象がヒトである、本発明1105の方法。
[本発明1107]
前記対象が、胎児、新生児、乳児、子供、青年、または成人である、本発明1105または1106の方法。
[本発明1108]
IαIpの精製方法であって、
(a)前記IαIpを含む乳の画分を分離することと、
(b)前記乳の画分からIαIpを精製することと
を含み、前記IαIpが約85%~約100%の範囲の純度を有する、前記方法。
[本発明1109]
前記分離すること及び/または精製することが、清澄化ステップ、クロマトグラフィーステップ、沈殿ステップ、及び/または固相抽出ステップを含む、本発明1108の方法。
[本発明1110]
前記クロマトグラフィーステップが陰イオン交換及び/またはアフィニティークロマトグラフィーを含む、本発明1109の方法。
[本発明1111]
前記沈殿ステップが、前記乳の画分を、前記IαIpを含まない沈殿を生成させる薬剤と接触させることを含む、本発明1109の方法。
[本発明1112]
前記IαIpを約5.5以下のpH、任意選択で約4.2~約5.2のpHに曝露することをさらに含む、本発明1108~1111のいずれかの方法。
[本発明1113]
脂肪及び/または乳タンパク質がクロマトグラフィー分離の前に試料から除去される、本発明1108~1112のいずれかの方法。
[本発明1114]
前記乳が哺乳動物由来である、本発明1108~1113のいずれかの方法。
[本発明1115]
前記哺乳動物が家畜の有蹄動物である、本発明1114の方法。
[本発明1116]
前記家畜の有蹄動物が、ウシ、ヤギ、ヒツジ、スイギュウ、ラクダ、ロバ、ウマ、トナカイ、及びヤクからなる群より選択される、本発明1115の方法。
[本発明1117]
前記IαIpが前記哺乳動物において組換えにより発現され、かつ前記哺乳動物の前記乳中に分泌される、本発明1114~1116のいずれかの方法。
[本発明1118]
前記IαIpがヒトIαIpである、本発明1117の方法。
[本発明1119]
前記IαIpが約60kDa~約280kDaの見かけの分子量を有する、本発明1108~1118のいずれかの方法。
[本発明1120]
前記分子量がドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって測定される、本発明1119の方法。
[本発明1121]
前記IαIpが1時間を超えるインビボ半減期を有する、本発明1108~1120のいずれかの方法。
[本発明1122]
前記インビボ半減期が5時間を超える、本発明1121の方法。
[本発明1123]
前記IαIpが生物学的活性を有する、本発明1108~1122のいずれかの方法。
[本発明1124]
前記生物学的活性が、サイトカイン阻害剤活性、サイトカイン活性の増加、ケモカイン阻害剤活性、プロテアーゼ阻害剤活性、コンドロイチン硫酸結合、グリコサミノグリガン結合活性、ヒアルロン酸結合活性、補体結合活性、ヒストン結合活性、Arg-Gly-Asp(RGD)ドメイン結合活性、凝固因子結合活性、細胞修復活性、及び細胞外マトリクスタンパク質結合活性からなる群より選択される、本発明1123の方法。
[本発明1125]
前記IαIpが、高いトリプシン阻害比活性を有する、本発明1108~1124のいずれかの方法。
[本発明1126]
前記トリプシン阻害比活性が約1000IU/mg~約2000IU/mgである、本発明1125の方法。
[本発明1127]
IαIpの精製方法であって、以下:
(a)導入遺伝子をトランスフェクトされた乳産生細胞を含む哺乳動物を提供することであって、前記導入遺伝子が、以下:
(i)前記IαIpをコードする核酸配列、
(ii)前記IαIpをコードする前記核酸配列に作動可能に連結されている乳特異的プロモータ、及び
(iii)前記乳産生細胞による前記IαIpの分泌を可能にするタンパク質分泌シグナルをコードするリーダー配列
を含む、前記哺乳動物を提供することと、
(b)前記哺乳動物から収集した乳から前記IαIpを精製することと
を含む、前記方法。
[本発明1128]
前記IαIpが前記哺乳動物にとって外因性である、本発明1127の方法。
[本発明1129]
前記哺乳動物が家畜の有蹄動物である、本発明1127または1128の方法。
[本発明1130]
前記家畜の有蹄動物が、ウシ、ヤギ、ヒツジ、スイギュウ、ラクダ、ロバ、ウマ、トナカイ、及びヤクからなる群より選択される、本発明1129の方法。
[本発明1131]
前記IαIpがヒトIαIpである、本発明1128~1130のいずれかの方法。
[本発明1132]
前記IαIpが、IαI、PαI、H1、H2、H3、H4、H5、ビクニン、またはそれらの組み合わせである、本発明1127~1131のいずれかの方法。
[本発明1133]
前記IαIpが、IαI、PαI、及び/またはビクニンを含む、本発明1132の方法。
[本発明1134]
前記IαIpが、H1、H2、H3、H4、及び/またはH5を含む、本発明1132または1133の方法。
[本発明1135]
前記IαIpがビクニンを含む、本発明1132~1134のいずれかの方法。
[本発明1136]
IαIpを食品と混合することを含む、経口摂取用組成物の製造方法。
[本発明1137]
前記IαIpが、IαI、PαI、H1、H2、H3、H4、H5、ビクニン、またはそれらの組み合わせである、本発明1136の方法。
[本発明1138]
前記IαIpが、IαI、PαI、及び/またはビクニンを含む、本発明1137の方法。
[本発明1139]
前記IαIpが、H1、H2、H3、H4、及び/またはH5を含む、本発明1137または1138の方法。
[本発明1140]
前記IαIpがビクニンを含む、本発明1136~1139のいずれかの方法。
[本発明1141]
前記食品と混合される前記IαIpの純度が約85%~約100%純粋の範囲である、本発明1136~1140のいずれかの方法。
[本発明1142]
前記食品と混合されるIαIpの量が、前記食品の1ミリグラム(mg)当り約0.1mg~約10mgの範囲である、本発明1136~1141のいずれかの方法。
[本発明1143]
前記食品と混合されるIαIpの量が、前記食品の1リットル(L)当り約10mg~約1000mgの範囲である、本発明1136~1141のいずれかの方法。
[本発明1144]
前記IαIpが血液または乳から単離される、本発明1136~1143のいずれかの方法。
[本発明1145]
前記血液または乳が哺乳動物由来である、本発明1144の方法。
[本発明1146]
前記哺乳動物が家畜の有蹄動物である、本発明1145の方法。
[本発明1147]
前記家畜の有蹄動物が、ウシ、ヤギ、ヒツジ、スイギュウ、ラクダ、ロバ、ウマ、トナカイ、及びヤクからなる群より選択される、本発明1146の方法。
[本発明1148]
前記IαIpが前記哺乳動物において組換えにより発現される、本発明1145~1147のいずれかの方法。
[本発明1149]
前記IαIpがヒトIαIpである、本発明1148の方法。
[本発明1150]
前記IαIpがヒトIαIpである、本発明1145の方法。
[本発明1151]
前記IαIpが約60kDa~約280kDaの見かけの分子量を有する、本発明1136~1150のいずれかの方法。
[本発明1152]
前記分子量がドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって測定される、本発明1151の方法。
[本発明1153]
前記IαIpが1時間を超えるインビボ半減期を有する、本発明1136~1152のいずれかの方法。
[本発明1154]
前記インビボ半減期が5時間を超える、本発明1153の方法。
[本発明1155]
前記IαIpが生物学的活性を有する、本発明1136~1154のいずれかの方法。
[本発明1156]
前記生物学的活性が、サイトカイン阻害剤活性、サイトカイン活性の増加、ケモカイン阻害剤活性、プロテアーゼ阻害剤活性、コンドロイチン硫酸結合、グリコサミノグリガン結合活性、ヒアルロン酸結合活性、補体結合活性、ヒストン結合活性、Arg-Gly-Asp(RGD)ドメイン結合活性、凝固因子結合活性、細胞修復活性、及び細胞外マトリクスタンパク質結合活性からなる群より選択される、本発明1155の方法。
[本発明1157]
前記IαIpが、高いトリプシン阻害比活性を有する、本発明1136~1156のいずれかの方法。
[本発明1158]
前記トリプシン阻害比活性が約1000IU/mg~約2000IU/mgである、本発明1157の方法。
[本発明1159]
前記食品が、飲料、乳系食品、オーブン調理食品、果実及び/または野菜系食品、穀物及び/または加工穀物系食品、乳成分不使用食品、乳児用調製粉乳、電解質食品、スポーツ飲料、タンパク質系食品、栄養補助食品、食品添加物、香味料、甘味料、防腐剤、食品着色料、ならびに繊維からなる群より選択される、本発明1136~1158のいずれかの方法。
[本発明1160]
前記乳系食品が、乳、クリーム、バター、ヨーグルト、ケフィア、アイスクリーム、ジェラート、シャーベット、カスタード、プリン、ヌガー、チーズ、ホエイ食品、及びカゼイン食品からなる群より選択される、本発明1159の方法。
[本発明1161]
前記オーブン調理食品が、ビスケット、パン、ブラウニー、ケーキ、キャセロール、クッキー、クラッカー、ペストリー、パイ、ピッツァ、及びタルトからなる群より選択される、本発明1159の方法。
[本発明1162]
前記果実及び/または野菜系食品が、油、ゼリー、ジャム、マーマレード、保存食品、バター、ピューレ、乳幼児向け食品、ソース、スープ、及びブイヨンからなる群より選択される、本発明1159の方法。
[本発明1163]
前記乳成分不使用食品が、チーズ代替品、非乳製品ヨーグルト、非乳製品クリーム、非乳製品バター、非乳製品アイスクリーム、非乳製品乳、豆腐、大豆系食品、ナッツ系食品、ココナッツ系食品、及びゼラチンからなる群より選択される、本発明1159の方法。
[本発明1164]
前記加工穀物系食品が、パン、パスタ、オートミール、朝食用シリアル、トルティーヤ、及びひき割りトウモロコシ(grits)からなる群より選択される、本発明1159の方法。
[本発明1165]
前記乳児用調製粉乳が、タンパク質加水分解物調製粉乳、代謝調製粉乳、アミノ酸系調製粉乳、適用除外乳児用調製粉乳、特殊調製粉乳、フォローアップ・ミルク、及び幼児用調製粉乳からなる群より選択される、本発明1159の方法。
[本発明1166]
前記電解質食品が、混合済み溶液、溶解性錠剤、食用ゲル、濃縮溶液、及び粉末からなる群より選択される、本発明1159の方法。
[本発明1167]
前記電解質食品及び/またはスポーツ飲料が、等張性溶液、高張性溶液、及び低張性溶液からなる群より選択される、本発明1159の方法。
[本発明1168]
前記栄養補助食品及び/またはタンパク質系食品が、完全食製品、タンパク質シェイクまたは栄養シェイク、プロテインバー、ビタミン、エナジードリンク、及び規定食製品からなる群より選択される、本発明1159の方法。
[本発明1169]
前記食品が固体である、本発明1136~1159のいずれかの方法。
[本発明1170]
前記食品が液体である、本発明1136~1159のいずれかの方法。
[本発明1171]
前記IαIpが、前記食品の1mg当り約0.1mg~約10mgの量で前記食品中に存在する、本発明1136~1170のいずれかの方法。
[本発明1172]
前記IαIpが、前記食品の1L当り約10mg~約1000mgの量で前記食品中に存在する、本発明1136~1170のいずれかの方法。
[本発明1173]
前記IαIpが、前記食品の体積の約1%~約60%を構成する、本発明1136~1172のいずれかの方法。
[本発明1174]
少なくとも1種のさらなる治療薬を前記食品と混合することをさらに含む、本発明1136~1173のいずれかの方法。
[本発明1175]
前記さらなる治療薬が、抗がん剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗生剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、気管支拡張剤、昇圧剤、鎮静剤、補体阻害剤、抗凝固剤、免疫調節剤、組織修復を誘発する薬剤、抗コリン作用剤、止瀉薬、抗うつ剤、消化管運動改善薬、緩下剤、神経伝達物質、鎮痙剤、及び鎮痛剤からなる群より選択される、本発明1174の方法。
[本発明1176]
本発明1001~1039のいずれかの食品及び治療目的の使用のための説明書を備える、キット。
[本発明1177]
IαIpを含む組成物、食品、前記組成物を前記食品と混合するための説明書、及び任意選択で、治療目的の使用のための説明書を備える、キット。
[本発明1178]
前記組成物がさらなる治療薬をさらに含む、本発明1176または1177のキット。
[本発明1179]
前記さらなる治療薬が、抗がん剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗生剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、気管支拡張剤、昇圧剤、鎮静剤、補体阻害剤、抗凝固剤、免疫調節剤、組織修復を誘発する薬剤、抗コリン作用剤、止瀉薬、抗うつ剤、消化管運動改善薬、緩下剤、神経伝達物質、鎮痙剤、及び鎮痛剤からなる群より選択される、本発明1178のキット。
[本発明1180]
その必要がある対象における壊死性腸炎の治療方法、壊死性腸炎の症状の軽減方法、壊死性腸炎の進行の抑制方法、または壊死性腸炎の発症の可能性の低減方法であって、治療有効量のIαIpを混合物中に含む組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
[本発明1181]
前記IαIpが、IαI、PαI、H1、H2、H3、H4、H5、ビクニン、またはそれらの組み合わせである、本発明1180の方法。
[本発明1182]
前記IαIpが、IαI、PαI、及び/またはビクニンを含む、本発明1181の方法。
[本発明1183]
前記IαIpが、H1、H2、H3、H4、及び/またはH5を含む、本発明1180または1181の方法。
[本発明1184]
前記IαIpがビクニンを含む、本発明1180~1183のいずれかの方法。
[本発明1185]
前記IαIpの純度が約85%~約100%純粋の範囲である、本発明1180~1184のいずれかの方法。
[本発明1186]
前記IαIpが血液または乳から単離される、本発明1180~1185のいずれかの方法。
[本発明1187]
前記血液または乳が哺乳動物由来である、本発明1186の方法。
[本発明1188]
本発明1001~1039のいずれかの食品を投与することを含む、本発明1180~1187のいずれかの方法。
[本発明1189]
前記IαIpが約4時間~約120時間毎に投与される、本発明1180~1188のいずれかの方法。
[本発明1190]
前記IαIpが少なくとも1日1回投与される、本発明1180~1189のいずれかの方法。
[本発明1191]
前記IαIpが少なくとも1日2回投与される、本発明1190の方法。
[本発明1192]
前記IαIpが治療期間にわたって投与される、本発明1180~1191のいずれかの方法。
[本発明1193]
前記治療期間が約1日~約14日間である、本発明1192の方法。
[本発明1194]
前記治療期間が約1週間~約4週間である、本発明1192の方法。
[本発明1195]
前記治療期間が約1ヶ月間~約12ヶ月間である、本発明1192の方法。
[本発明1196]
前記治療期間が少なくとも1年間である、本発明1192の方法。
[本発明1197]
前記対象におけるIαIpのレベル及び/またはIαIp関連バイオマーカーのレベルを測定することをさらに含む、本発明1180~1196のいずれかの方法。
[本発明1198]
前記IαIp関連バイオマーカーが、ヒストン、細胞外ヒストン、ヒストン/PαI複合体、ヒストン/IαI複合体、ヒストンIαI/PαI複合体、TNF-α、IL-6、IL-10、IL-1、IL-1ra、IL1B、IL-8、MCP-1、MIP-2、C反応性タンパク質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)、サイトカイン誘導性好中球化学誘引物質/KC、UTI、補体成分C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、膜侵襲複合体、因子B、因子D、MASP-1、及びMASP-2、またはそれらの断片からなる群より選択される、本発明1197の方法。
[本発明1199]
前記対象における前記IαIpのレベル及び/またはIαIp関連バイオマーカーのレベルが、前記組成物の投与の前に測定される、本発明1197または1198の方法。
[本発明1200]
前記対象における前記IαIpのレベル及び/またはIαIp関連バイオマーカーのレベルが、前記組成物の投与の後に測定される、本発明1197~1199のいずれかの方法。
[本発明1201]
前記IαIpが、約1mg/kg体重~約5g/kg体重の投与量で投与される、本発明1180~1200のいずれかの方法。
[本発明1202]
前記組成物が、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体を含む、本発明1180~1201のいずれかの方法。
[本発明1203]
前記組成物が固体である、本発明1202の方法。
[本発明1204]
前記固体が、錠剤、カプセル剤、または坐剤である、本発明1203の組成物。
[本発明1205]
前記組成物が液体である、本発明1202の方法。
[本発明1206]
前記組成物が、注射、注入、吸入、吹送、もしくは噴霧用に、または経口投与、直腸投与、もしくは局所投与用に製剤化される、本発明1202の方法。
[本発明1207]
前記注射が、静脈内、腹腔内、または脳内への注射である、本発明1206の方法。
[本発明1208]
前記注入が胎児への注入である、本発明1207の方法。
[本発明1209]
さらなる治療薬を投与することをさらに含む、本発明1180~1208のいずれかの方法。
[本発明1210]
前記さらなる治療薬が、抗がん剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗生剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、気管支拡張剤、昇圧剤、鎮静剤、補体阻害剤、抗凝固剤、免疫調節剤、組織修復を誘発する薬剤、抗コリン作用剤、止瀉薬、抗うつ剤、消化管運動改善薬、緩下剤、神経伝達物質、鎮痙剤、及び鎮痛剤からなる群より選択される、本発明1209の方法。
[本発明1211]
前記対象が哺乳動物である、本発明1180~1210のいずれかの方法。
[本発明1212]
前記対象がヒトである、本発明1211の方法。
[本発明1213]
前記対象が、胎児、新生児、乳児、子供、青年、または成人である、本発明1211または1212の方法。
[本発明1214]
治療有効量の本発明1001~1039のいずれかの食品を前記対象に投与することを含む、本発明1180~1213のいずれかの方法。
[本発明1215]
前記IαIpがヒトIαIpである、本発明1180~1214のいずれかの方法。
[本発明1216]
前記IαIpが、H1、H2、H3、H4、及び/またはH5を含む、本発明1002の食品。
[本発明1217]
前記IαIpがビクニンを含む、本発明1002の食品。
[本発明1218]
前記食品と混合される前記IαIpの純度が約85%~約100%純粋の範囲である、本発明1001の食品。
[本発明1219]
前記IαIpが、前記食品の1ミリグラム(mg)当り約0.1mg~約10mgの量で前記食品中に存在する、本発明1001の食品。
[本発明1220]
前記IαIpが、前記食品の1リットル(L)当り約10mg~約1000mgの量で前記食品中に存在する、本発明1001の食品。
[本発明1221]
前記IαIpが血液または乳から単離される、本発明1001の食品。
[本発明1222]
前記血液または乳が哺乳動物由来である、本発明1221の食品。
[本発明1223]
前記哺乳動物が家畜の有蹄動物である、本発明1222の食品。
[本発明1224]
前記IαIpが前記哺乳動物において組換えにより発現される、本発明1222の食品。
[本発明1225]
前記IαIpがヒトIαIpである、本発明1224の食品。
[本発明1226]
前記食品が約50℃~約120℃の乾熱で殺菌される、本発明1001の食品。
[本発明1227]
少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、担体、及び/または安定剤を含む、本発明1001の食品。
[本発明1228]
前記安定剤が、アルブミン、ポリエチレングリコール、アルファ-トレハロース、アミノ酸、塩、グリセロール、オメガ-アミノ酸、糖、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、本発明1227の食品。
[本発明1229]
飲料、乳系食品、オーブン調理食品、果実及び/または野菜系食品、穀物及び/または加工穀物系食品、乳成分不使用食品、乳児用調製粉乳、電解質食品、スポーツ飲料、タンパク質系食品、栄養補助食品、食品添加物、香味料、甘味料、防腐剤、食品着色料、ならびに繊維からなる群より選択される、本発明1001の食品。
[本発明1230]
前記乳系食品が、乳、クリーム、バター、ヨーグルト、ケフィア、アイスクリーム、ジェラート、シャーベット、カスタード、プリン、ヌガー、チーズ、ホエイ食品、及びカゼイン食品からなる群より選択される、本発明1229の食品。
[本発明1231]
前記オーブン調理食品が、ビスケット、パン、ブラウニー、ケーキ、キャセロール、クッキー、クラッカー、ペストリー、パイ、ピッツァ、及びタルトからなる群より選択される、本発明1229の食品。
[本発明1232]
前記果実及び/または野菜系食品が、油、ゼリー、ジャム、マーマレード、保存食品、バター、ピューレ、乳幼児向け食品、ソース、スープ、及びブイヨンからなる群より選択される、本発明1229の食品。
[本発明1233]
前記乳成分不使用食品が、チーズ代替品、非乳製品ヨーグルト、非乳製品クリーム、非乳製品バター、非乳製品アイスクリーム、非乳製品乳、豆腐、大豆系食品、ナッツ系食品、ココナッツ系食品、及びゼラチンからなる群より選択される、本発明1229の食品。
[本発明1234]
前記加工穀物系食品が、パン、パスタ、オートミール、朝食用シリアル、トルティーヤ、及びひき割りトウモロコシ(grits)からなる群より選択される、本発明1229の食品。
[本発明1235]
前記乳児用調製粉乳が、タンパク質加水分解物調製粉乳、代謝調製粉乳、アミノ酸系調製粉乳、適用除外乳児用調製粉乳、特殊調製粉乳、フォローアップ・ミルク、及び幼児用調製粉乳からなる群より選択される、本発明1229の食品。
[本発明1236]
前記電解質食品が、混合済み溶液、溶解性錠剤、食用ゲル、濃縮溶液、及び粉末からなる群より選択される、本発明1229の食品。
[本発明1237]
前記電解質食品及び/またはスポーツ飲料が、等張性溶液、高張性溶液、及び低張性溶液からなる群より選択される、本発明1229の食品。
[本発明1238]
前記栄養補助食品及び/またはタンパク質系食品が、完全食製品、タンパク質シェイクまたは栄養シェイク、プロテインバー、ビタミン、エナジードリンク、及び規定食製品からなる群より選択される、本発明1229の食品。
[本発明1239]
固体である、本発明1001の食品。
[本発明1240]
液体である、本発明1001の食品。
[本発明1241]
少なくとも1種のさらなる治療薬をさらに含む、本発明1001の食品。
[本発明1242]
前記さらなる治療薬が、抗がん剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗生剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、気管支拡張剤、昇圧剤、鎮静剤、補体阻害剤、抗凝固剤、免疫調節剤、組織修復を誘発する薬剤、抗コリン作用剤、止瀉薬、抗うつ剤、消化管運動改善薬、緩下剤、神経伝達物質、鎮痙剤、及び鎮痛剤からなる群より選択される、本発明1241の食品。
[本発明1243]
その必要がある対象における疾患または疾病の治療のための、本発明1001の食品。
[本発明1244]
前記疾患または疾病が、IαIpの基準レベルと比較して低い、対象におけるIαIpのレベルに関連する、本発明1243の食品。
[本発明1245]
前記疾患または疾病が、
対象における少なくとも1種のサイトカイン及び/またはケモカインのレベルであって、前記少なくとも1種のサイトカイン及び/またはケモカインの基準レベルと比較して変化した、前記レベル
に関連する、本発明1243の食品。
[本発明1246]
前記サイトカイン及び/またはケモカインがTNF-αである、本発明1245の食品。
[本発明1247]
前記疾患または疾病が、急性炎症性疾患、急性及び慢性の神経学的障害及び神経変性障害、敗血症、重度のショック、敗血症性ショック、臓器移植、臓器不全、手術、自己免疫疾患、関節リウマチ、多発性硬化症、ループス、がん、がん転移、代謝障害、悪液質、外傷及び/または傷害、組織損傷、毒素への曝露、肝疾患、感染症、肺及び呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、虚血、胃腸疾患、壊死性腸炎、全身性炎症反応症候群(SIRS)、鼻炎、毒素への曝露、髄膜炎、急性膵炎、子癇前症、早期分娩、原発性免疫不全症候群、及び後天性免疫不全症候群(AIDS)からなる群より選択される、本発明1243の食品。
[本発明1248]
前記炎症性疾患が炎症性腸疾患である、本発明1044の食品。
[本発明1249]
前記炎症性腸疾患がクローン病である、本発明1045の食品。
[本発明1250]
前記疾患または疾病が組織損傷である、本発明1044の食品。
[本発明1251]
その必要がある対象に、本発明1001の食品を投与することを含む、本発明1056の方法。
[本発明1252]
前記食品が約4時間~約120時間毎に投与される、本発明1056の方法。
[本発明1253]
前記食品が少なくとも1日1回投与される、本発明1056の方法。
[本発明1254]
前記食品が少なくとも1日2回投与される、本発明1253の方法。
[本発明1255]
前記食品が治療期間にわたって投与される、本発明1056の方法。
[本発明1256]
前記治療期間が約1日~約14日間である、本発明1255の方法。
[本発明1257]
前記治療期間が約1週間~約3週間である、本発明1255の方法。
[本発明1258]
前記治療期間が約1ヶ月間~約12ヶ月間である、本発明1255の方法。
[本発明1259]
前記治療期間が少なくとも1年間である、本発明1255の方法。
[本発明1260]
前記対象におけるIαIpのレベルを測定することをさらに含む、本発明1056の方法。
[本発明1261]
前記対象における前記IαIpのレベルが投与の前に測定される、本発明1260の方法。
[本発明1262]
前記対象における前記IαIpのレベルが投与の後に測定される、本発明1260の方法。
[本発明1263]
前記疾患または疾病が、IαIpの基準レベルと比較して低い、前記対象におけるIαIpのレベルに関連する、本発明1260の方法。
[本発明1264]
前記疾患または疾病が、
対象における少なくとも1種のサイトカイン及び/またはケモカインのレベルであって、前記少なくとも1種のサイトカイン及び/またはケモカインの基準レベルと比較して上昇した、前記レベル
に関連する、本発明1056の方法。
[本発明1265]
前記サイトカイン及び/またはケモカインが、IL-1β、TNF-α、INF-α、IL-6、IL-10、INF-γ、及びIL-8からなる群より選択される、本発明1264の方法。
[本発明1266]
前記食品の投与によって、1種以上の前記サイトカイン及び/またはケモカインの減少または下方制御が生じる、本発明1264の方法。
[本発明1267]
前記疾患または疾病が、急性炎症性疾患、急性及び慢性の神経学的障害及び神経変性障害、敗血症、重度のショック、敗血症性ショック、臓器移植、臓器不全、手術、自己免疫疾患、関節リウマチ、多発性硬化症、ループス、がん、がん転移、代謝障害、悪液質、外傷及び/または傷害、組織損傷、毒素への曝露、肝疾患、感染症、肺及び呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、虚血、胃腸疾患、壊死性腸炎、全身性炎症反応症候群(SIRS)、鼻炎、毒素への曝露、髄膜炎、急性膵炎、子癇前症、早期分娩、原発性免疫不全症候群、及び後天性免疫不全症候群(AIDS)からなる群より選択される、本発明1056の方法。
[本発明1268]
前記炎症性疾患が炎症性腸疾患である、本発明1267の方法。
[本発明1269]
前記炎症性腸疾患がクローン病である、本発明1268の方法。
[本発明1270]
前記疾患または疾病が組織損傷である、本発明1267の方法。
[本発明1271]
前記食品の投与によって、前記対象における前記疾患もしくは疾病の少なくとも1つの症状の頻度及び/または発生が、治療を受けていない対象と比較して低下する、本発明1056の方法。
[本発明1272]
前記症状が、臓器不全;低酸素血症;両側性の肺のX線像の陰影;呼吸不全;めまい、立ちくらみ、及び/または失神;倦怠感;息切れ及び/または呼吸困難;咳;発熱;心拍数の増加などの異常なバイタルサイン;低血圧;呼吸促拍、胸痛及び/または胸部圧迫感;動悸;浮腫;腹部の膨張、疼痛、及び/または膨満;腹部の変色;下肢関節及び/または直腸の疼痛;血便;腸閉塞症;吐き気;鼓腸;食欲減退;体重減少及び/または体重増加不良;低成長;下痢;食欲不振;嘔吐;出血;創傷の近位の組織の発赤、腫大、疼痛、圧痛、及び/または熱;爪及び/または口唇の青みがかった変色;ならびに人工呼吸器の必要性からなる群より選択される、本発明1271の方法。
[本発明1273]
前記食品が、前記対象の体重1kg当り約1mg~約5gの投与量で投与される、本発明1056の方法。
[本発明1274]
IαIpが、前記食品の1ミリグラム(mg)当り約0.1mg~約10mgの量で前記食品中に存在する、本発明1273の方法。
[本発明1275]
前記IαIpが、前記食品の1リットル(L)当り約10mg~約1000mgの量で前記食品中に存在する、本発明1273の方法。
[本発明1276]
前記食品が約4時間~約120時間毎に投与される、本発明1056の方法。
[本発明1277]
前記食品が少なくとも1日1回投与される、本発明1273の方法。
[本発明1278]
前記食品が少なくとも1日2回投与される、本発明1277の方法。
[本発明1279]
前記食品が、少なくとも1日の治療期間にわたって投与される、本発明1056の方法。
[本発明1280]
前記治療期間が約1日~約14日間である、本発明1279の方法。
[本発明1281]
前記治療期間が約1週間~約4週間である、本発明1279の方法。
[本発明1282]
前記治療期間が約1ヶ月間~約12ヶ月間である、本発明1279の方法。
[本発明1283]
前記治療期間が少なくとも1年間である、本発明1279の方法。
[本発明1284]
さらなる治療薬を投与することをさらに含む、本発明1056の方法。
[本発明1285]
前記さらなる治療薬が、抗がん剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗生剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、気管支拡張剤、昇圧剤、鎮静剤、補体阻害剤、抗凝固剤、免疫調節剤、組織修復を誘発する薬剤、抗コリン作用剤、止瀉薬、抗うつ剤、消化管運動改善薬、緩下剤、神経伝達物質、鎮痙剤、及び鎮痛剤からなる群より選択される、本発明1284の方法。
[本発明1286]
前記IαIpを約5.5以下のpH、任意選択で約4.2~約5.2のpHに曝露することをさらに含む、本発明1108の方法。
[本発明1287]
脂肪及び/または乳タンパク質がクロマトグラフィー分離の前に試料から除去される、本発明1108の方法。
[本発明1288]
前記乳が哺乳動物由来である、本発明1108の方法。
[本発明1289]
前記哺乳動物が家畜の有蹄動物である、本発明1288の方法。
[本発明1290]
前記IαIpが前記哺乳動物において組換えにより発現され、かつ前記哺乳動物の前記乳中に分泌される、本発明1288の方法。
[本発明1291]
前記IαIpがヒトIαIpである、本発明1290の方法。
[本発明1292]
前記哺乳動物が家畜の有蹄動物である、本発明1127の方法。
[本発明1293]
前記IαIpがヒトIαIpである、本発明1128の方法。
[本発明1294]
前記IαIpが、IαI、PαI、H1、H2、H3、H4、H5、ビクニン、またはそれらの組み合わせである、本発明1127の方法。
[本発明1295]
前記IαIpが、IαI、PαI、及び/またはビクニンを含む、本発明1294の方法。
[本発明1296]
前記IαIpが、H1、H2、H3、H4、及び/またはH5を含む、本発明1294の方法。
[本発明1297]
前記IαIpがビクニンを含む、本発明1294の方法。
[本発明1298]
前記IαIpが、H1、H2、H3、H4、及び/またはH5を含む、本発明1137の方法。
[本発明1299]
前記IαIpがビクニンを含む、本発明1136の方法。
[本発明1300]
前記食品と混合される前記IαIpの純度が約85%~約100%純粋の範囲である、本発明1136の方法。
[本発明1301]
前記食品と混合されるIαIpの量が、前記食品の1ミリグラム(mg)当り約0.1mg~約10mgの範囲である、本発明1136の方法。
[本発明1302]
前記食品と混合されるIαIpの量が、前記食品の1リットル(L)当り約10mg~約1000mgの範囲である、本発明1136の方法。
[本発明1303]
前記IαIpが血液または乳から単離される、本発明1136の方法。
[本発明1304]
前記血液または乳が哺乳動物由来である、本発明1303の方法。
[本発明1305]
前記哺乳動物が家畜の有蹄動物である、本発明1304の方法。
[本発明1306]
前記IαIpが前記哺乳動物において組換えにより発現される、本発明1304の方法。
[本発明1307]
前記IαIpがヒトIαIpである、本発明1306の方法。
[本発明1308]
前記IαIpがヒトIαIpである、本発明1304の方法。
[本発明1309]
前記食品が、飲料、乳系食品、オーブン調理食品、果実及び/または野菜系食品、穀物及び/または加工穀物系食品、乳成分不使用食品、乳児用調製粉乳、電解質食品、スポーツ飲料、タンパク質系食品、栄養補助食品、食品添加物、香味料、甘味料、防腐剤、食品着色料、ならびに繊維からなる群より選択される、本発明1136の方法。
[本発明1310]
前記乳系食品が、乳、クリーム、バター、ヨーグルト、ケフィア、アイスクリーム、ジェラート、シャーベット、カスタード、プリン、ヌガー、チーズ、ホエイ食品、及びカゼイン食品からなる群より選択される、本発明1309の方法。
[本発明1311]
前記オーブン調理食品が、ビスケット、パン、ブラウニー、ケーキ、キャセロール、クッキー、クラッカー、ペストリー、パイ、ピッツァ、及びタルトからなる群より選択される、本発明1309の方法。
[本発明1312]
前記果実及び/または野菜系食品が、油、ゼリー、ジャム、マーマレード、保存食品、バター、ピューレ、乳幼児向け食品、ソース、スープ、及びブイヨンからなる群より選択される、本発明1309の方法。
[本発明1313]
前記乳成分不使用食品が、チーズ代替品、非乳製品ヨーグルト、非乳製品クリーム、非乳製品バター、非乳製品アイスクリーム、非乳製品乳、豆腐、大豆系食品、ナッツ系食品、ココナッツ系食品、及びゼラチンからなる群より選択される、本発明1309の方法。
[本発明1314]
前記加工穀物系食品が、パン、パスタ、オートミール、朝食用シリアル、トルティーヤ、及びひき割りトウモロコシ(grits)からなる群より選択される、本発明1309の方法。
[本発明1315]
前記乳児用調製粉乳が、タンパク質加水分解物調製粉乳、代謝調製粉乳、アミノ酸系調製粉乳、適用除外乳児用調製粉乳、特殊調製粉乳、フォローアップ・ミルク、及び幼児用調製粉乳からなる群より選択される、本発明1309の方法。
[本発明1316]
前記電解質食品が、混合済み溶液、溶解性錠剤、食用ゲル、濃縮溶液、及び粉末からなる群より選択される、本発明1309の方法。
[本発明1317]
前記電解質食品及び/またはスポーツ飲料が、等張性溶液、高張性溶液、及び低張性溶液からなる群より選択される、本発明1309の方法。
[本発明1318]
前記栄養補助食品及び/またはタンパク質系食品が、完全食製品、タンパク質シェイクまたは栄養シェイク、プロテインバー、ビタミン、エナジードリンク、及び規定食製品からなる群より選択される、本発明1309の方法。
[本発明1319]
前記食品が固体である、本発明1136の方法。
[本発明1320]
前記食品が液体である、本発明1136の方法。
[本発明1321]
前記IαIpが、前記食品の1mg当り約0.1mg~約10mgの量で前記食品中に存在する、本発明1136の方法。
[本発明1322]
前記IαIpが、前記食品の1L当り約10mg~約1000mgの量で前記食品中に存在する、本発明1136の方法。
[本発明1323]
前記IαIpが、前記食品の体積の約1%~約60%を構成する、本発明1136の方法。
[本発明1324]
少なくとも1種のさらなる治療薬を前記食品と混合することをさらに含む、本発明1136の方法。
[本発明1325]
前記さらなる治療薬が、抗がん剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗生剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、気管支拡張剤、昇圧剤、鎮静剤、補体阻害剤、抗凝固剤、免疫調節剤、組織修復を誘発する薬剤、抗コリン作用剤、止瀉薬、抗うつ剤、消化管運動改善薬、緩下剤、神経伝達物質、鎮痙剤、及び鎮痛剤からなる群より選択される、本発明1324の方法。
[本発明1326]
前記IαIpが、H1、H2、H3、H4、及び/またはH5を含む、本発明1180の方法。
[本発明1327]
前記IαIpがビクニンを含む、本発明1180の方法。
[本発明1328]
前記IαIpの純度が約85%~約100%純粋の範囲である、本発明1180の方法。
[本発明1329]
前記IαIpが血液または乳から単離される、本発明1180の方法。
[本発明1330]
前記血液または乳が哺乳動物由来である、本発明1329の方法。
[本発明1331]
本発明1001の食品を投与することを含む、本発明1180の方法。
[本発明1332]
前記IαIpが約4時間~約120時間毎に投与される、本発明1180の方法。
[本発明1333]
前記IαIpが少なくとも1日1回投与される、本発明1180の方法。
[本発明1334]
前記IαIpが少なくとも1日2回投与される、本発明1333の方法。
[本発明1335]
前記IαIpが治療期間にわたって投与される、本発明1180の方法。
[本発明1336]
前記治療期間が約1日~約14日間である、本発明1335の方法。
[本発明1337]
前記治療期間が約1週間~約4週間である、本発明1335の方法。
[本発明1338]
前記治療期間が約1ヶ月間~約12ヶ月間である、本発明1335の方法。
[本発明1339]
前記治療期間が少なくとも1年間である、本発明1335の方法。
[本発明1340]
前記対象におけるIαIpのレベル及び/またはIαIp関連バイオマーカーのレベルを測定することをさらに含む、本発明1180の方法。
[本発明1341]
前記IαIp関連バイオマーカーが、ヒストン、細胞外ヒストン、ヒストン/PαI複合体、ヒストン/IαI複合体、ヒストンIαI/PαI複合体、TNF-α、IL-6、IL-10、IL-1、IL-1ra、IL1B、IL-8、MCP-1、MIP-2、C反応性タンパク質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)、サイトカイン誘導性好中球化学誘引物質/KC、UTI、補体成分C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、膜侵襲複合体、因子B、因子D、MASP-1、及びMASP-2、またはそれらの断片からなる群より選択される、本発明1340の方法。
[本発明1342]
前記対象における前記IαIpのレベル及び/またはIαIp関連バイオマーカーのレベルが、前記組成物の投与の前に測定される、本発明1340の方法。
[本発明1343]
前記対象における前記IαIpのレベル及び/またはIαIp関連バイオマーカーのレベルが、前記組成物の投与の後に測定される、本発明1340の方法。
[本発明1344]
前記IαIpが、約1mg/kg体重~約5g/kg体重の投与量で投与される、本発明1180の方法。
[本発明1345]
前記組成物が、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体を含む、本発明1180の方法。
[本発明1346]
前記組成物が固体である、本発明1345の方法。
に記載の方法。
[本発明1347]
前記固体が、錠剤、カプセル剤、または坐剤である、本発明1346の方法。
[本発明1348]
前記組成物が液体である、本発明1345の方法。
[本発明1349]
前記組成物が、注射、注入、吸入、吹送、もしくは噴霧用に、または経口投与、直腸投与、もしくは局所投与用に製剤化される、本発明1345の方法。
[本発明1350]
前記注射が、静脈内、腹腔内、または脳内への注射である、本発明1349の方法。
[本発明1351]
前記注入が胎児への注入である、本発明1350の方法。
[本発明1352]
さらなる治療薬を投与することをさらに含む、本発明1180の方法。
[本発明1353]
前記さらなる治療薬が、抗がん剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗生剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、気管支拡張剤、昇圧剤、鎮静剤、補体阻害剤、抗凝固剤、免疫調節剤、組織修復を誘発する薬剤、抗コリン作用剤、止瀉薬、抗うつ剤、消化管運動改善薬、緩下剤、神経伝達物質、鎮痙剤、及び鎮痛剤からなる群より選択される、本発明1352の方法。
[本発明1354]
前記対象が哺乳動物である、本発明1180の方法。
[本発明1355]
前記対象がヒトである、本発明1354の方法。
[本発明1356]
前記対象が、胎児、新生児、乳児、子供、青年、または成人である、本発明1354の方法。
[本発明1357]
前記IαIpがヒトIαIpである、本発明1180の方法。
【図面の簡単な説明】
【0094】
図1】ヒト及びウシの乳由来のIαIpの、クロマトグラフィー分離中に得られた出発物質、フロースルー、洗浄画分、及び溶出画分を示す一連の画像である。上記出発物質、フロースルー、洗浄画分、及び溶出物を7.5% SDS-PAGEゲル上で分離し(図1の上図)、ニトロセルロース膜上にトランスファーし、ウエスタンブロット分析を行った(図1の下図)。ヒトIαIp及びウシIαIpと交差反応する、ラットIαIpに対するビオチン化ウサギポリクローナル抗体(R22C)を使用してIαIpを検出した。それぞれPαI及びIαIに対応する125kDa及び250kDaのIαIpのバンドの両方が、ヒト及びウシの乳の溶出画分中に検出された(図1の下図のレーン5及び10の矢印)。SDS-PAGEゲル及びウエスタンブロットのレーンは以下のとおりである。レーン1:出発物質-牛乳;レーン2:フロースルー-牛乳;レーン3:洗浄画分1(300mM NaCl)-牛乳;レーン4:洗浄画分2(pH4.5)-牛乳;レーン5:溶出-牛乳;レーン6:出発物質-ヒト乳;レーン7:フロースルー-ヒト乳;レーン8:洗浄画分1(300mM NaCl)-ヒト乳;レーン9:洗浄画分2(pH4.5)-ヒト乳;レーン10:溶出-ヒト乳。
【発明を実施するための形態】
【0095】
発明の詳細な説明
本発明は、インターアルファインヒビタータンパク質(IαIp)(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えば、ビクニン)、またはそれらの組み合わせ)を(例えば混合物中に)含む食品、ならびにその必要がある対象における疾患もしくは疾病の治療方法、及び/または上記疾患もしくは疾病の発症の可能性の低減方法であって、上記対象に上記食品を投与することによる上記方法を特徴とする。本発明はまた、IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)を乳から精製する方法も特徴とする。さらに、本発明は、IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5))を含む食品などの組成物を投与することによる、対象(例えば、乳児または新生児)における壊死性腸炎の治療方法、または壊死性腸炎の発症の可能性の低減方法も特徴とする。
【0096】
組成物及びIαIpを含む食品の製造方法
経口摂取用の食品は、インターアルファインヒビタータンパク質(IαIp)(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)を食品または飲料(例えば、工業的に調製された、既製の、包装済みの、便利な、すぐに食べられる、カロリーなどが管理された、一回分の、及び/もしくは自家製の食品または飲料)と混合することによって調製することができる。上記食品は、治療に有効であることが当技術分野で知られている量(例えば、米国特許第7,932,365号、国際特許出願公開第WO2901954695号、及び米国特許出願公開第2009/0190194号を参照されたく、これらのそれぞれはその全体が本明細書に援用される)、ならびに本明細書に記載される量のIαIpを含んでいてもよい。上記IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)は、食品と混合する前に、固体(例えば、凍結乾燥によって製造されたものなどの凍結乾燥タンパク質粉末)または液体(例えば、食品に用いても安全な賦形剤、希釈剤、担体、及び/または安定剤)中のIαIpの組成物)の形態であってもよい。
【0097】
上記食品は、例えば、食料品店もしくは薬局から容易に入手できるもの、または(例えば、レシピに従うことによって)容易に調製されるものであってよい。IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)を、食品を調製する過程の間に、例えば、ある量のIαIp(例えば、上記食品の1ミリグラム(mg)当り少なくとも約0.01mg以上の範囲(例えば、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、またはそれ以上のmg)、例えば、上記食品の1mg当り約0.1mg~約10mg、または上記食品の1リットル(L)当り約10mg~約3000mgの範囲の量のIαIpを、上記食品の原料成分(複数可)と混合するステップを含むレシピに従うことによって、上記食品と混合してもよい。IαIpを、食品が他の方法で調製され(例えば、レシピに従うことによって)、ヒトが摂食できる状態になった後に、その食品に混合してもよい。例えば、ある量のIαIp(例えば、当該の食品の1リットル(L)当り約10mg~約3000mgの範囲の量のIαIp)を、飲料(例えば、水、乳、コーヒー、茶、またはヒトが摂食するのに安全な任意の他の液体)に、例えば摂食の直前に、混合してもよい。
【0098】
IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)と混合するのに好適な食品(例えば、固体食品ならびに/または液体食品)の非限定的な例としては、水、乳系食品、オーブン調理食品、果実及び/または野菜系食品、穀物及び/または加工穀物系食品、乳成分不使用食品、乳児用調製粉乳、電解質食品、スポーツ飲料、タンパク質系食品、及び栄養補助食品が挙げられる。
【0099】
IαIpを含むように調製することができる乳系食品は、乳(例えば、任意の乳脂肪分の乳、強化乳、生乳、低温殺菌乳、ヒト母乳(例えば初乳を含む)、例えば家畜の有蹄動物を含む任意の動物由来の乳)、乾燥乳または粉乳、クリーム、バター、ヨーグルト、ケフィア、アイスクリーム、ジェラート、シャーベット、カスタード、プリン、ヌガー、チーズ、ホエイ及びカゼイン食品(例えば、プロテインシェイク、プロテインパウダー、またはプロテインバー)を含む群から選択することができる。乳の組成は種の間で異なる。ヒト乳は約1%のタンパク質、約4%の脂肪、約7%の糖(例えば乳糖)を含み、100グラム当りのエネルギーは約72kcalである一方、牛乳は約3%のタンパク質、3%の脂肪、及び5%の糖(例えば乳糖)、約1%のミネラル(例えば、カルシウム、マグネシウム、カリウム、及びナトリウム)を含み、100グラム当りのエネルギーは約66kcalである。本発明は、乳(例えば、ヒトまたは家畜の有蹄動物、例えば、ウシ、ヤギ、ヒツジ、スイギュウ、ラクダ、ロバ、ウマ、トナカイ、及びヤクなどの哺乳動物由来の乳)のタンパク質、脂肪、糖、及びミネラルの組成に匹敵する組成を有する、IαIpを混合物中に含む食品の調製を企図する。
【0100】
IαIpを含むように調製することができるオーブン調理食品は、ビスケット、パン、ブラウニー、ケーキ、キャセロール、クッキー、クラッカー、ペストリー、パイ、ピッツァ、及びタルトを含む群から選択することができる。
【0101】
IαIpを含むように調製することができる果実及び/または野菜系食品は、油、ゼリー、ジャム、マーマレード、保存食品、バター、果実及び/または野菜のピューレ、乳幼児向け食品、ソース、スープ、及びブイヨンを含む群から選択することができる。
【0102】
IαIpを含むように調製することができる穀物及び/または加工穀物系食品は、小麦、米、オート麦、ひき割りトウモロコシ(cornmeal)、大麦、または別の加工穀物から製造される任意の食品であってよく、パン、パスタ、オートミール、朝食用シリアル、トルティーヤ、及びひき割りトウモロコシ(grits)を含む群から選択することができる。
【0103】
IαIpを含むように調製することができる乳成分不使用食品は、チーズ代替品、非乳製品ヨーグルト、非乳製品クリーム、非乳製品バター、非乳製品アイスクリーム、非乳製品乳、豆腐、大豆系食品、ナッツ系食品、ココナッツ系食品、及びゼラチンを含む群から選択することができる。
【0104】
混合物中にIαIpを含むように調製することができる乳児用調製粉乳は、乳(例えば、ヒトまたは家畜の有蹄動物、例えば、ウシ、ヤギ、ヒツジ、スイギュウ、ラクダ、ロバ、ウマ、トナカイ、及びヤクなどの哺乳動物由来の乳;大豆などの食用豆由来の乳;アーモンド、クルミ、ヘーゼルナッツ、またはカシューなどのナッツ由来の乳、またはココナッツ由来の乳)に基づく任意の調製粉乳、タンパク質加水分解物調製粉乳、代謝調製粉乳、アミノ酸系調製粉乳、適用除外乳児用調製粉乳、未熟児用特殊調製粉乳、フォローアップ・ミルク、または幼児用調製粉乳であってよい。適用除外乳児用調製粉乳は、先天性代謝異常があるもしくは低出生体重であった乳児、または他の形態での異常な医学的もしくは食餌上の問題がある乳児用であることが表示及びラベル表示された、商業的なまたは慈善上の流通を目的とした乳児用調製粉乳である。IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)と混合して、本発明の食品を製造することができる適用除外乳児用調製粉乳の非限定的な例としては、例えば、以下によって製造される代謝調製粉乳:ABBOTT NUTRITION(登録商標)(例えば、Cyclinex-1、Glutarex-1、Hominex-1、I-Valex-1、Ketonex-1、Phenex-1、Propimex-1、及びTyrex-1)、MEAD JOHNSON NUTRITIONALS(登録商標)(例えば、Phenyl Free 1、BCAD 1、GA、HCY 1、LMD、OA 1、TYROS 1、及びWND 1)、及びSHS International Limited(例えば、MSUD Anamix Early Years、IVA Anamix Early Years GA1 Anamix Early Years、HCU Anamix Early Years、MMA/PA Anamix Early Years、Periflex Early Years、Tyr Anamix Early Years、及びSOD Anamix Early Years);以下によって製造される未熟児用調製粉乳:ABBOTT NUTRITION(登録商標)(例えば、SIMILAC(登録商標)Special Care 20 Cal w/Iron、SIMILAC(登録商標)Special Care 24 Cal w/Iron、SIMILAC(登録商標) Special Care 24 Cal High Protein、SIMILAC(登録商標)Special Care 30 Cal w/Iron、及びSIMILAC EXPERT CARE(登録商標)NeoSure)、MEAD JOHNSON NUTRITIONALS(登録商標)(例えば、ENFAMIL(登録商標)Premature Low Iron 20 Calorie、ENFAMIL(登録商標)Premature w/Iron 20 Calorie、ENFAMIL(登録商標)Premature Low Iron 24 Calorie、ENFAMIL(登録商標)Premature w/Iron 24 Calorie、ENFAMIL(登録商標)EnfaCare、ENFAMIL(登録商標)Premature High Protein 24 Calorie、及びENFAMIL(登録商標)Premature 30 Calorie)、Nestle Infant Nutrition(例えば、Gerber Good Start Nourish、Gerber Good Start Premature 20、Gerber Good Start Premature 24 High Protein、Gerber Good Start Premature 24、及びGerber Good Start Premature 30)、及びPBM Nutritionals(例えば、DHAを含む22cal/オンスの乳に基づく乳児用調製粉乳、及び未熟児などの状態用のARA);Nestle Infant Nutritionによって製造されるGerber Extensive HAなどの高度加水分解ホエイタンパク質分離物調製粉乳;以下によって製造されるタンパク質加水分解物調製粉乳:ABBOTT NUTRITION(登録商標)(例えば、SIMILAC EXPERT CARE(登録商標)Alimentum)、MEAD JOHNSON NUTRITIONALS(登録商標)(例えば、NUTRAMIGEN(登録商標)、PREGESTIMIL(登録商標)20 Calorie、PREGESTIMIL(登録商標)24 Calorie、及びEnflora LGGを含むNUTRAMIGEN(登録商標));以下によって製造されるアミノ酸系調製粉乳:ABBOTT NUTRITION(登録商標)(例えば、DHA及びARAを含むELECARE(登録商標))、MEAD JOHNSON NUTRITIONALS(登録商標)(例えば、PURAMINO(登録商標))、Nestle Infant Nutrition(例えば、ALFAMINO(登録商標))、及びSHS International Limited(例えば、Neocate Infant w/DHA and ARA);ならびに以下によって製造される多岐にわたる適用除外乳児用調製粉乳:ABBOTT NUTRITION(登録商標)(例えば、Calcilo XD、Liquid Protein Fortifier、PRO-PHREE(登録商標)、PROVIMIN(登録商標)、RCF No Added Carbohydrate Soy Infant Formula Base、SIMILAC EXPERT CARE(登録商標)下痢用、SIMILAC(登録商標)Human Milk Fortifier、SIMILAC(登録商標)Extensively Hydrolyzed Protein Human Milk Fortifier Concentrated Liquid、SIMILAC(登録商標)Human Milk Fortifier Concentrated Liquid、及びSIMILAC(登録商標)PM 60/40)、MEAD JOHNSON NUTRITIONALS(登録商標)(例えば、Product 3232A、ENFAMIL(登録商標)Human Milk Fortifier Acidified Liquid、ENFAMIL(登録商標)Human Milk Fortifier Powder、及びENFAPORT(登録商標))、及びPROLACTA BIOSCIENCES(登録商標) Inc.(例えば、Prolact Plus Human Milk Fortifiers(+4、+6、+8、及び+10)、Prolact CR Human Milk Caloric Fortifier、Prolact RTF 24 Human Milk-Based Premature Infant Formula、Prolact RTF 26 Human Milk-Based Premature Infant Formula、及びProlact RTF 28 Human Milk-Based Premature Infant Formula)が挙げられる。
【0105】
IαIpを含むように調製することができるスポーツ飲料及び電解質食品としては、混合済み溶液、溶解性錠剤、食用ゲル、濃縮溶液、及び粉末が挙げられるが、これらに限定はされない。本発明の方法及び組成物における使用に好適なスポーツ飲料は、等張性スポーツ飲料、高張性スポーツ飲料、及び低張性スポーツ飲料からなる群より選択することができる。人気のあるスポーツ飲料の例としては、100PLUS(登録商標)、10-K THIRST QUENCHER(登録商標)、ACCELERADE(登録商標)、ALL SPORT(登録商標)、AQUARIUS(登録商標)、ココナッツ水、GATORADE(登録商標)、HERBALIFE H3O PRO(登録商標)、ISOSTAR(登録商標)、LUCOZADE SPORT(登録商標)、MONSTER(登録商標)、MUSCLE MILK(登録商標)、POCARI SWEAT(登録商標)、POWERADE(登録商標)、REVIVE(登録商標)、SQWINCHER(登録商標)、STAMINADE(登録商標)、及びVEMMA THIRST(登録商標)が挙げられる。
【0106】
IαIpを含むように調製することができる電解質食品としては、等張性溶液、高張性溶液、及び低張性溶液(例えばPEDIALYTE(登録商標))が挙げられるが、これらに限定はされない。一般に、電解質食品の糖分は、ほとんどのスポーツ飲料と比較して少ない(例えば、GATORADE(登録商標)では約200カロリー/リットルであるのと比較して、PEDIALYTE(登録商標)では約100カロリー/リットルである)。さらに、電解質食品の経口補水塩(ORS)濃度、例えば、ナトリウム(例えば、GATORADE(登録商標)の約465mg/Lと比較してPEDIALYTE(登録商標)では約1,035mg/L)及びカリウム(例えば、GATORADE(登録商標)の約127mg/Lと比較してPEDIALYTE(登録商標)では約780mg/L)は、一般にほとんどのスポーツ飲料と比較してより高い。また、ショ糖は一般的に、電解質食品(例えばPEDIALYTE(登録商標))には使用されない。というのは、ショ糖は、水を腸に引き寄せることにより下痢の症状を悪化させ、且つ脱水の危険性を高める危険性と関連があるためである。香味付けした電解質食品は合成甘味料(例えば、スクラロース及びアセスルファムカリウム)を含んでいてもよい。例えば、PEDIALYTE(登録商標)は次の成分、すなわち、水、デキストロース、2%未満のクエン酸、天然及び人工香味料、クエン酸カリウム、食塩、クエン酸ナトリウム、スクラロース、アセスルファムカリウム、グルコン酸亜鉛、及びYellow 6を含む。
【0107】
IαIpを含むように調製することができるORS溶液は、既製の液体、または水などの液体とその場で混合することができるORSのパケットとして利用可能である。ORS溶液は、患者の腎臓が適切に機能している限り、年齢、原因、または電解質の不均衡のタイプ(例えば、低ナトリウム血症、高ナトリウム血症、等ナトリウム血症など)に関わらず、脱水症の患者に有効である。ORS溶液は一般に、約2%のグルコース及び約50~約90ミリ当量/Lのナトリウム(Na)を含むように調製される。スポーツ飲料、ソーダ、ジュース、及び類似の飲料は、一般にNaの量が不十分であり、且つ炭水化物(例えばグルコース)が過多であり、Na:グルコース比が約1:1の場合に最適化される腸内でのNa/グルコース共輸送を利用することができないことから、水分補給には使用すべきではない。但し、過剰な炭水化物の浸透圧効果は、追加の体液喪失の原因となる可能性がある。例示的なORS溶液は、液体の1リットル当り、食塩(例えば、約0.1~4グラムのNaCl、約2.6グラムのNaClなど)、クエン酸三ナトリウム二水和物(例えば、約1~4グラムのCNa・2HO、約2.9グラムのCNa・2HO)、塩化カリウム(例えば、約0.1~3グラムのKCl、約1.5グラムのKClなど)、及びグルコース(例えば、約10~20グラムのC12、約13.5グラムのC12など)を含む。約75mmol/L~約90mmol/Lのナトリウムを含むORS溶液は、例えば重度の栄養失調の子供に対しては過多の量のナトリウムを含む可能性がある。したがって、例えば下痢によって生じた脱水症に起因する栄養失調の子供に使用するための、IαIpを用いて調製されるORS溶液は、約45mmol/L未満のナトリウム及び約40mmol/Lを用いて調製することができる。
【0108】
経口用錠剤の場合、一般的に使用される担体としてはラクトース及びコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も添加してよい。カプセル剤形態での経口投与の場合、有用な希釈剤としてはラクトース及び乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液及び/または乳化液が経口投与される場合、上記IαIpは、乳化剤及び/または懸濁剤と混合して、油相に懸濁または溶解させてもよい。必要に応じて、特定の甘味料及び/または香味料及び/または着色料を添加してもよい。
【0109】
IαIpを含むように調製することができる栄養補助食品またはタンパク質系食品は、完全食製品、タンパク質シェイクまたは栄養シェイク(例えばENSURE(登録商標))、プロテインバー、ビタミン、エナジードリンク、規定食製品を含む群から選択される。栄養補助食品(例えばENSURE(登録商標))は、例えば、以下の成分、すなわち、水、コーンマルトデキストリン、糖、乳タンパク質濃縮物、大豆油、大豆タンパク質単離物スクロマルト、カノーラ油;コーン油0.5%未満、リン酸マグネシウム、クエン酸カリウム、セルロース、ゲル、天然及び人工香味料、食塩、リン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、塩化カリウム、塩化コリン、アスコルビン酸、セルロース、ガム、モノグリセリド、大豆レシチン、カラギーナン、水酸化カリウム、液体スクラロース、硫酸第一鉄、酢酸dl-α-トコフェリル、アセスルファムカリウム 硫酸亜鉛、ナイアシンアミド 硫酸マンガン、パントテン酸カルシウム、硫酸第二銅、ビタミンAパルミチン酸エステル、チアミン塩化塩酸塩 ピリドキシン塩酸塩、リボフラビン、葉酸 塩化クロム ビオチン モリブデン酸ナトリウム、ヨウ化カリウム、セレン酸ナトリウム、フィロキノン、ビタミンD3、及びシアノコバラミンを含んでいてもよい。
【0110】
さらに、IαIpは、食品添加物、香味料、甘味料(例えば、糖、糖代替品、蜂蜜、アガベネクター)、防腐剤(例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、乳酸、亜硝酸塩、硝酸塩、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、二酸化硫黄、亜硫酸塩、ソルビン酸、及びソルビン酸ナトリウムなどの抗菌添加物;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、没食子酸、没食子酸ナトリウム、二酸化硫黄、亜硫酸塩、トコフェロールなどの抗酸化剤;ならびにローズマリー抽出物、ホップ、塩、糖、酢、アルコール、珪藻土、及びヒマシ油などの天然防腐剤)、栄養補給剤(例えばビタミン)、食品着色料、または繊維(例えば繊維粉末))と混合されてもよい。炭酸飲料(例えば、ソーダ及びセルツァー)、茶、コーヒー、ハーブティー及びチンキ、トニックウォーター、ならびに水などの飲料を用いて、IαIpを含む食品を調製することもできる。
【0111】
上記IαIpは、食品の1ミリグラム(mg)当り、少なくとも約0.01mg以上の範囲の量(例えば、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、またはそれ以上のmg)、例えば、上記食品の1mg当り約0.1mg~約10mg(例えば、食品の1mg当り0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは100mg)、または上記食品の1リットル(L)当り約10mg~約3000mgの範囲(例えば、食品の1リットル(L)当り10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、22300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、もしく3000mg)の量で、上記食品に添加されてもよい。上記IαIpは、食品の総重量(mg)または総体積(L)の約1%~約80%(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、または80%)の比率で当該食品に添加されてもよい。上記IαIpは、さまざまな組み合わせで上記食品と混合されてもよい。例えば、いずれか1種以上のIαIp(例えば、IαI、PαI、H1、H2、H3、H4、H5、及びビクニン)が、個別に、または、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5と、IαI及びPαI;IαI及び/もしくはビクニン;PαI及び/もしくはビクニン;またはIαI、PαI、及び/もしくはビクニンなどの組み合わせで食品に混合されてもよい。上記IαIp(例えば、IαI及び/またはPαI)は、生理学的比率で食品中に存在していてもよい。生理学的比率は、例えば、健康な人もしくは動物に見られる比率、及び/またはヒト血漿中に自然に見られるIαIとPαIの比であってよい。生理学的比率は、一般的には、約60%~約80%のIαI(例えば、約60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、または約80%のIαI)及び約20%~約40%のPαI(例えば、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または約40%のPαI)である。但し、生理学的比率は、例えば、対象の遺伝的構成の正常な変動に起因して、これらの範囲から変動する場合があることを理解されたい。
【0112】
食品と混合されるIαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)は、その天然の供給源(例えば、血液及び乳)中で当該IαIpと共に存在する他のタンパク質及び生物学的成分を実質的に含まなくてもよい。例えば、血液から精製されるIαIpは、検出可能な量の、例えば、アルブミン、IVIg、グロブリン(例えば、α2-マクログロブリン、γグロブリン、β-2ミクログロブリン、及びハプトグロビン)、フィブリノーゲン、プロトロンビン、凝固因子、α-1-アンチトリプシン、α-1-酸性糖タンパク質、α-1-フェトタンパク質、セルロプラスミン、補体成分3、補体成分4、c反応性タンパク質(CRP)、リポタンパク質(例えば、カイロミクロン、超低密度リポタンパク質(VLDL)、低密度リポタンパク質(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL))、トランスフェリン、プロトロンビン、及びマンノース結合タンパク質(MBP)を実質的に含んでいなくてもよい。例えば、乳から精製されるIαIpは、検出可能な量の、例えば、カゼイン、ラクトアルブミン(ホエイ)、及びラクトースを実質的に含んでいなくてもよい。任意且つ適宜の材料及び方法、例えば、本明細書に記載の方法、ならびにWO2005046587、及び仮出願第62/490,003号及び第62/614,333号(それらの全体が本明細書に援用される)に記載の方法を用いて、血液及び/または乳から、上記IαIpを約85%~約100%純粋の純度(例えば、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%純粋)で単離及び精製することができる。上記乳及び/または血液は、ヒトまたは家畜の有蹄動物(例えば、ウシ、ヤギ、ヒツジ、スイギュウ、ラクダ、ロバ、ウマ、トナカイ、及びヤク)などの任意の哺乳動物から得ることができる。特定の例において、上記IαIpは上記哺乳動物において組換えにより発現されるヒトIαIpであってもよい(例えば、上記哺乳動物は、IαIpを発現するように操作されたトランスジェニック哺乳動物である)。上記IαIpは約60kDa~約280kDaの見かけの分子量を有し、この分子量は、当技術分野で公知の任意且つ適宜の方法、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって測定することができる。
【0113】
IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)の生化学的ならびに/あるいは生物物理学的特性を、食品と混合する前または後に、当技術分野で公知の任意且つ適宜の方法によって評価してもよい。本発明の食品と混合するのに有用な、乳及び/または血液から得られるIαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)は、約1時間以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20時間)のインビボ半減期を有する。上記IαIpはまた、サイトカイン阻害剤活性、サイトカイン活性の増加、ケモカイン阻害剤活性、プロテアーゼ阻害剤活性(例えばセリンプロテアーゼ阻害剤活性)、コンドロイチン硫酸結合、グリコサミノグリガン結合活性、ヒアルロン酸結合活性、補体結合活性、ヒストン結合活性、Arg-Gly-Asp(RGD)ドメイン結合活性、凝固因子結合活性、細胞修復活性、及び細胞外マトリクスタンパク質結合活性からなる群より選択される活性などの生物学的活性も有する。上記IαIpはまた、例えば、約1000IU/mg~約2000IU/mg(例えば、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、または2000IU/mg)の高いトリプシン阻害比活性も有する。
【0114】
IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)を含む食品はまた、少なくとも1種(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10種またはそれ以上)のさらなる治療薬を上記食品と混合することによって調製されてもよい。治療薬の例としては、抗がん剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗生剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、気管支拡張剤、昇圧剤、鎮静剤、補体阻害剤、抗凝固剤、免疫調節剤、組織修復を誘発する薬剤、抗コリン作用剤、止瀉薬、抗うつ剤、消化管運動改善薬、緩下剤、神経伝達物質、鎮痙剤、及び鎮痛剤が挙げられる。
【0115】
治療方法
治療を受ける対象
本発明は、例えば、炎症及び/またはIαIpの低レベルを特徴とする、疾患、疾病、またはそれらの症状を有する対象の治療方法を特徴とする。IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)を含む組成物(例えば食品)による治療に適した対象の識別方法は、当技術分野で公知である。本発明の方法を使用する治療に適した例示的な対象としては、例えば、国際特許出願公開第WO2014039987号、第WO2005046587号、及び第WO2009154695号(これらのそれぞれはその全体が本明細書に援用される)に記載の患者集団が挙げられる。本明細書に記載のIαIp含有組成物(例えば食品)は、胎児、新生児(例えば、生後4週間未満の新生児)、乳児(例えば未熟児)、子供、青年、または成人を治療するのに使用することができる。IαIp含有組成物(例えば、混合されたIαIpを含む食品)による治療に適した疾患及び疾病の非限定的な例としては、肺疾患(例えば、急性呼吸困難症候群(ARDS)、肺炎、市中感染性肺炎(CAP)、慢性閉塞性肺疾患(COPD))、急性及び慢性の神経学的障害及び神経変性障害(例えば、中枢神経系(CNS)疾患(例えば、脳の虚血、低酸素性虚血性脳傷害(例えば新生児の)、低酸素性虚血性脳症、脳卒中(例えば虚血性出血性脳卒中)、アルツハイマー病、パーキンソン病、外傷性脳傷害(TBI)、神経障害性疼痛、及びてんかん))、敗血症、重度のショック、敗血症性ショック、がん(例えばがん転移)、代謝障害(例えば、I型/II型糖尿病、悪液質)、心疾患(例えば、心筋梗塞、及びうっ血性心不全)、虚血(例えば虚血/再灌流障害)、腎疾患(例えば、急性腎傷害及び多嚢胞性腎疾患、透析)、外傷/失血を伴う大外傷(例えば創傷治癒);組織損傷(例えば、組織もしくは臓器の移植または手術後の組織修復、炎症、疾患、もしくは傷害に起因する組織または臓器損傷の修復、内部瘢痕を低減するための組織修復、肺組織修復(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、嚢胞性線維症、肺炎、気腫、ARDS、肺炎球菌症、肺癌、間質性肺疾患、肺線維症、またはサルコイドーシスによって生じた肺組織損傷を有する対象における組織修復)、脳組織修復(例えば、虚血、低酸素症、てんかん、TBI、低酸素性虚血性脳症、または脳卒中によって生じた脳組織損傷を有する対象における組織修復)、胃腸組織修復(例えば、自己免疫もしくは炎症性疾患または疾病(例えば、クローン病もしくは潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患)、または腸虚血によって生じた胃腸組織損傷を有する対象における組織修復)、血管組織修復(例えば、炎症もしくは傷害によって生じた血管組織損傷を有する対象における組織修復)、筋肉組織修復、肝組織修復、または心組織修復);感染症(例えば、(例えば、炭疽菌及びその他の生物テロ/新たに出現する病原体に対する)生物テロ防御のための治療を含む、細菌、ウイルス(例えば、H1N1、H5N1(鳥インフルエンザ)、デング熱、ジカ熱、及びその他のウイルス感染症)、寄生虫、または真菌感染症)に対する;肝疾患(例えば、慢性肝傷害、脂肪性肝疾患(非アルコール性脂肪性肝炎(NASH))、急性炎症性疾患(例えば、炎症性腸疾患、例えばクローン病)、壊死性腸炎(NEC)、急性膵炎、子癇前症、早産、臓器移植及び臓器不全、手術(例えば、術前及び術後)、自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、全身性紅斑性狼瘡、アリータ脱毛症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、皮膚筋炎、糖尿病(1型)、若年性特発性関節炎、糸球体腎炎、グレイブス病、ギラン・バレー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、心筋炎、ペンフィグス/ペンフィゴイド、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性筋炎、原発性胆道肝硬変、乾癬、強皮症/全身性硬化症、シェーグレン症候群、甲状腺炎、ブドウ膜炎、白斑、多発血管炎性肉芽腫症(GPA/ウェゲナー肉芽腫症))、鼻炎、毒素(例えば、炭疽病関連毒素(例えば、外毒素、致死性毒素(LT)、及び浮腫性毒素(ET))への曝露、髄膜炎、原発性免疫不全症候群、ならびに後天性免疫不全症候群(AIDS)が挙げられる。
【0116】
IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)を含む組成物(例えば食品)による治療は、本明細書に記載の疾患もしくは疾病の症状の一部またはすべてを、完全にまたは部分的に改善する及び/または消失させ、上記症状の重症度を低下させ、症状の発症を遅延させ、あるいは進行及び/またはその後に発症する症状の重症度を軽減することができる。特に、その必要がある対象へIαIp(例えば、食品と混合されたIαIpを含む組成物)を投与することによって、炎症誘発性メディエーター(例えば、サイトカイン及びケモカイン)、血管細胞接着タンパク質1(VCAM-1)、細胞内接着分子1(ICAM-1)、及びIαIp関連バイオマーカー(例えば、ヒストン、細胞外ヒストン、ヒストン/PαI複合体、ヒストン/IαI複合体、ヒストンIαI/PαI複合体、TNF-α、IL-6、IL-10、IL-1、IL-1ra、IL1B、IL-8、MCP-1、MIP-2、C反応性タンパク質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)、サイトカイン誘導性好中球化学誘引物質/KC、UTI、補体成分C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、膜侵襲複合体、因子B、因子D、MASP-1、及びMASP-2、及び/もしくはそれらの断片)の循環レベルを低下させることができる、あるいはプロテアーゼ(例えば、トリプシン、エラスターゼ(例えば、ヒト白血球エラスターゼ(HLE)、プラスミン、カテプシンG、及びグランザイムKなどのセリンプロテアーゼ)を除去(それらのレベルを低下させる)及び/または不活性化(例えば、それらの活性を低下させる)し、その結果、生存率を改善し、罹患率を低下させ、症状の重症度及び/または発生を低下させ、且つ基礎疾患もしくは疾病を治療している時間を増加させることができる(例えば、併用療法によって)。その必要がある対象へIαIp(例えば、食品と混合されたIαIpを含む組成物)を投与することによって、炎症の重症度を低減することもでき、これは沈降速度(赤血球沈降速度)を測定することによって評価することができる。炎症誘発性メディエーターの循環レベル、VCAM-1のレベル、ICAM-1のレベル、IαIp関連バイオマーカーのレベル、沈降速度、またはプロテアーゼの活性レベルの低下を、例えば、ベースラインレベル(例えば、それぞれ、例えば健康な対象に関連する、炎症誘発性メディエーターの既知のレベル、VCAM-1の既知のレベル、ICAM-1の既知のレベル、IαIp関連バイオマーカーの既知のレベル、既知の沈降速度、またはプロテアーゼの既知の活性レベル)と比較して測定してもよい。例えば、少なくとも1種の炎症誘発性メディエーターのレベル、少なくとも1種のIαIp関連バイオマーカーのレベル、VCAM-1のレベル、ICAM-1のレベル、沈降速度、または少なくとも1種のプロテアーゼの活性レベルが、それぞれのベースラインレベルと比較して約5%(例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%)、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上)低下すると、生存率が向上する、罹患率が低下する、症状の重症度及び/または発生が低下する、ならびに基礎疾患または疾病を治療している時間が増加する可能性がある(例えば、併用療法による)。場合によっては、炎症誘発性メディエーターのベースラインレベル、IαIp関連バイオマーカーのベースラインレベル、VCAM-1のベースラインレベル、ICAM-1のベースラインレベル、ベースラインの沈降速度、及び/またはプロテアーゼの活性のベースラインレベルを、健康な治療を受けていない対象(例えば、IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)による治療を受けていない対象)から得てもよい。他の場合において、炎症誘発性メディエーターのベースラインレベル、IαIp関連バイオマーカーのベースラインレベル、VCAM-1のベースラインレベル、ICAM-1のベースラインレベル、ベースラインの沈降速度、及び/またはプロテアーゼの活性のベースラインレベルを、本明細書に記載の疾患もしくは疾病に罹患している対象から、治療(例えば、IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)による治療)の前に、例えば、治療後の当該対象からの試料との比較のために得てもよい。
【0117】
投与
上記IαIp含有食品は、上記対象に、1、2、3、4、5、6、8、12、24、48、72、96、または120時間毎に1(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20)回以上;1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14日、またはそれ以上毎に1回以上、あるいは、1週間毎に1回以上(例えば、2、3、もしくは4週間毎に1回以上)投与されてもよい。上記IαIp含有食品は、約1日~約14日間、1週間~約4週間、1ヶ月間~約12ヶ月間、または約1年間以上の治療期間にわたって投与されてもよい。他の場合において、上記IαIp含有食品は、不確定な期間または限られた期間、例えば、定期的または継続的に対象に(例えば予防として)投与される。例えば、上記食品は、疾患、疾病、もしくはそれらの症状の発症または発生の少なくとも10、15、20、30、60、あるいは120分前に対象に投与されもよい。さらに、IαIpを含む組成物は、疾患、疾病、もしくはそれらの症状の診断時、または疾患、疾病、もしくはそれらの症状の発症後に、その必要がある対象に投与されてもよい。対象はまた、天然にIαIpを含むか、または外因性のIαIpの添加によって強化された乳(例えば初乳を含む例えばヒト母乳)の投与によっても治療することができる。例えば、成人の対象に、本明細書に記載の疾患または疾病のいずれかの治療のための治療薬として牛乳またはヒト乳を投与してもよい。
【0118】
治療レジメン
IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)を含む食品を、1種以上の本明細書に記載の疾患及び/または疾病を治療するために、約1mg/kg~50mg/kgの範囲(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50mg/kg)の投与量、例えば約10mg/kg~約30mg/kgの投与量のIαIpを与えるように投与してもよい。上記食品を、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、24、48、72、96、または24時間毎に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14日、またはそれ以上毎に、または1、2、3、もしくは4週間、またはそれ以上毎に、あるいは必要に応じて、1回以上投与してもよい。上記した用量よりも低用量または高用量のIαIpを用いてもよい。任意の特定の対象に対する特定の投与量及び治療レジメンは、使用される特定の組成物(例えば食品)の活性、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食餌、投与時間、排泄率、薬物の併用、当該疾患の重症度及び経過(例えば、患者の状態及び/または症状)、当該の疾患に対する対象の素因、ならびに治療する医療専門家(例えば医師)の判断を含む、種々の因子に依存する場合がある。
【0119】
上記患者の状態が改善された際には、維持用量のIαIp組成物(例えば食品)または併用治療薬を投与してもよい。続いて、投与量もしくは投与頻度、またはそれらの両方を、症状の軽減の関数として、改善された状態が維持されるレベルまで低減してもよい。症状が所望のレベルまで緩和された時点で、治療を中止してもよい。但し、対象は、疾患の症状が如何なる形であれ再発した場合には、長期的に断続的な治療を要する場合がある。状態の改善はまた、当該の患者に由来する生物学的試料(例えば、血液(例えば、全血、血漿、もしくは血清)、気管支肺胞洗浄液(BALF)、喀痰、尿、脳脊髄液(CSF)、または組織生検(例えば、肝生検または腸生検)中のIαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)のレベルに基づいて判断してもよい。疾患または疾病の改善は、沈降速度(赤血球沈降速度)の測定などの、炎症の重症度を検知するためのアッセイを用いて判断してもよい。疾患及び/または疾病の改善はまた、炎症誘発性メディエーター(例えば、サイトカイン及びケモカイン)、VCAM-1、ICAM-1、及び、例えば、免疫学的方法によって測定されるIαIp関連バイオマーカー(例えば、ヒストン、細胞外ヒストン、ヒストン/PαI複合体、ヒストン/IαI複合体、ヒストンIαI/PαI複合体、TNF-α、IL-6、IL-10、IL-1、IL-1ra、IL1B、IL-8、MCP-1、MIP-2、C反応性タンパク質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)、サイトカイン誘導性好中球化学誘引物質/KC、UTI、補体成分C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、膜侵襲複合体、因子B、因子D、MASP-1、及びMASP-2、またはそれらの断片)のレベルに基づいて判断してもよい。炎症誘発性メディエーターの循環レベル、VCAM-1のレベル、ICAM-1のレベル、沈降速度、またはIαIp関連バイオマーカーのレベルの低下を、例えば、ベースラインレベル(例えば、それぞれ、例えば健康な対象に関連する、炎症誘発性メディエーターの既知のレベル、VCAM-1の既知のレベル、ICAM-1の既知のレベル、既知の沈降速度、またはIαIp関連バイオマーカーの既知のレベル、プロテアーゼの既知の活性レベル)と比較して測定してもよい。例えば、少なくとも1種の炎症誘発性メディエーターのレベル、VCAM-1のレベル、ICAM-1のレベル、沈降速度、及び/または少なくとも1種のIαIp関連バイオマーカーのレベルが、それぞれのベースラインレベルと比較して約5%(例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%)、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上)低下すると、生存率が向上する、罹患率が低下する、症状の重症度及び/もしくは発生が低下する、または基礎疾患もしくは疾病を治療している時間が増加することを示している、あるいはそれらのことに繋がる可能性がある(例えば、併用療法による)。場合によっては、炎症誘発性メディエーターのベースラインレベル、VCAM-1のベースラインレベル、ICAM-1のベースラインレベル、ベースラインの沈降速度、及び/またはIαIp関連バイオマーカーのベースラインレベルは、健康な治療を受けていない対象(例えば、IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)による治療を受けていない対象)から得てもよい。他の場合において、炎症誘発性メディエーターのベースラインレベル、VCAM-1のベースラインレベル、ICAM-1のベースラインレベル、ベースラインの沈降速度、及び/またはIαIp関連バイオマーカーのベースラインレベルは、本明細書に記載の疾患もしくは疾病に罹患している対象から、治療(例えば、IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)による治療)の前に、例えば、治療後の当該対象からの試料との比較のために得てもよい。例えば、IαI及び/もしくはPαI複合体ならびに/または他のIαIp関連バイオマーカーは、例えば、気相イオン分光法、光学的方法、電気化学的方法、原子間力顕微鏡法、高周波分析法、表面プラズモン共鳴法、エリプソメトリー法、及び免疫学的方法を含む様々な検出方法によって検出ならびに/または測定することができる。
【0120】
製剤
本発明は、IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)、IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)及び薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤を含む組成物(例えば食品)、または本明細書に記載の第2の治療と併用されるかかる組成物の投与を含む、疾患または疾病の治療方法あるいはそれらの発症の可能性の低減方法を特徴とする。上記組成物(例えば食品)を、固体または液体として経口摂取用に製剤化してもよい。上記食品は、食品または飲料の形態で調製することができる。
【0121】
液体形態の上記組成物は、適宜に香味付けされたシロップ、水性もしくは油性懸濁液、及び綿実油、ゴマ油、ココナッツ油、または落花生油などの食用油、ならびにエリキシル及び類似の医薬用ビヒクルを含む風味付けされた乳化液を含んでいてもよい。
【0122】
上記食品は、従来の滅菌技術によって滅菌してもよく、または滅菌ろ過してもよい。水溶液は、そのまま使用するために容器に充填してもよく、または凍結乾燥してもよい。凍結乾燥された調製物は、投与の前に水性または固形の食品と混合してもよい。
【0123】
本発明の食品を調製するために使用できる薬学的に許容される賦形剤、担体、及び希釈剤としては、イオン交換体;アルミナ;ステアリン酸アルミニウム:レシチン;d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000コハク酸エステルなどの自己乳化性薬物送達システム(SEDDS);TWEEN(登録商標)界面活性剤または他の類似の高分子送達マトリクスなどの医薬剤形で使用される界面活性剤;ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質;リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムなどの緩衝物質;飽和植物性脂肪酸部分グリセリド混合物;水;硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩などの塩または電解質;コロイド状シリカ;三ケイ酸マグネシウム;ポリビニルピロリドン;セルロース系物質;ポリエチレングリコール;カルボキシメチルセルロースナトリウム;ポリアクリル酸エステル;ワックス;ポリエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー;ポリエチレングリコール;及び羊毛脂を挙げることができるが、これらに限定はされない。
【0124】
他の送達システムとしては、本発明の食品中に導入された時限放出性製剤、遅延放出性製剤、または徐放性製剤を挙げることができる。かかるシステムによって本発明の組成物の投与を繰り返すことを回避することができ、対象及び医師にとっての利便性が高まる。多くのタイプの放出送達システムが利用可能であり、当業者に公知である。それらの放出システムとしては、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号;欧州特許第58,481号)、ポリ(ラクチド-グリコリド)、コポリオキサラート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸などのポリヒドロキシ酪酸(欧州特許第133,988号)、L-グルタミン酸及びγ-エチル-L-グルタマートのコポリマー(Sidman, K.R. et al., Biopolymers 22: 547-556)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリラート)、またはエチレン-酢酸ビニル(Langer, R. et al., J. Biomed. Mater. Res. 15:267-277;Langer, R. Chem. Tech. 12:98-105)、ならびにポリ無水物などの高分子系システムが挙げられる。
【0125】
本発明の食品の徐放性製剤の他の例としては、成形物品、例えばフィルムの形態の半透過性ポリマーマトリクス(例えば、国際特許出願公開第WO201020418号を参照されたく、該特許文献は本明細書に援用される)、またはマイクロカプセルが挙げられる。送達システムとしては、コレステロール、コレステロールエステルなどのステロール、ならびに脂肪酸またはモノ、ジ、及びトリグリセリドなどの中性脂肪を含む脂質;生物学的に誘導された生体吸収性ヒドロゲル(すなわち、キチンヒドロゲルまたはキトサンヒドロゲル)などのヒドロゲル放出システム;sylastic systems;ペプチド系システム;ワックスコーティング;従来の結合剤及び賦形剤を使用した圧縮成型錠剤;部分的に融合したインプラントなどの非高分子システムも挙げられる。具体的な例としては、(a)米国特許第4,452,775号、第4,667,014号、第4,748,034号、及び第5,239,660号に記載される、マトリクス内にある形態で薬剤が含まれている侵食システム及び(b)米国特許第3,832,253号及び第3,854,480号に記載される、ポリマーから制御された速度で活性成分が浸透する拡散システムが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0126】
上記組成物中のIαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)の比率または濃度は、当該組成物の投与量、化学的特性(例えば疎水性)、及び該組成物の形態(例えば、固体または液体)を含む多くの因子に応じて変化する場合がある。上記IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)は、生理学的比率で上記組成物中に存在していてもよい。生理学的比率は、例えば、健康な人もしくは動物に見られる比率、及び/またはヒト血漿中に自然に見られるIαIとPαIの比であってよい。生理学的比率は、一般的には、約60%~約80%のIαIと約20%~約40%のPαIである。但し、生理学的比率は、例えば、対象の遺伝的構成の正常な変動に起因して、これらの範囲から変動する場合があることを理解されたい。
【0127】
IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)あるいはその組成物は、例えば、約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、7.5、または10時間を超える半減期を有していてもよい。IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)あるいはその組成物は、約5時間を超える、または、好ましくは、約10時間を超える半減期を有していてもよい。より長い半減期が好ましく、それは、例えば、経時的に対象に投与することを要する用量が少なくなるためである。
【0128】
上記組成物のpHは、一般的には、約3~約11、例えば、約5~9、約6~7、または約7~8となる。上述の賦形剤、担体、または安定剤のいくつかを使用することにより、薬学的な塩が形成される場合がある。
【0129】
IαIpによる壊死性腸炎の治療方法
壊死性腸炎(NEC)は、消化管(GIT)の後天的な炎症性疾患であり、主として未熟児及び新生児が罹患し、その未熟児及び新生児において腸の一部が壊死する(すなわち組織死)。医療専門家によるなどの診断は、X線撮影を含む当技術分野で公知の方法によって確定することができる。また、NECは、その重症度に応じ、修正Bell分類に準拠して分類することができる。NECの初期の兆候としては、例えば、食物不耐性、胃の残留物の増加、腹部膨満(すなわち鼓張)、胆汁の嘔吐、下痢、嗜眠、ショック、及び血便が挙げられる。症状は、呼吸障害(例えば、呼吸数の低下及び無呼吸)、心拍数低下、腸穿孔を伴う腹部変色、腹膜炎、敗血症、臓器不全、全身性低血圧、及び死亡まで急速に進行する可能性がある。敗血症及び臓器不全が生じる症例の約65%で死亡に至る(Cho et al. Expert Rev. Mol. Med. 18(e12)1-17, 2016)。
【0130】
NECの危険因子としては、未熟児であることに加えて、羊膜炎を伴う膜の長時間の破裂、出生時仮死、胎内発育遅延児、先天性心疾患、先行する虚血性傷害(例えば低酸素性虚血)、細菌感染、経腸栄養、及び交換輸血が挙げられる。NECの治療は、その重症度に応じて、保存的治療手法(例えば、広域抗生剤による)から腸の患部の切除を伴う外科的処置まで多岐にわたる。NECの予防には、母乳哺育または母乳バンクからの低温殺菌されたヒトドナー乳による代替的栄養補給、プロバイオティクスの投与、ヒスタミンII型受容体アンタゴニストの回避、抗生剤による治療の制限などの方策が採用されている。
【0131】
当技術分野において、NECの病因は未だ明確には解明されていないが、その発症及び進行は免疫系の調節不全と関連性がある。特に、NECは、Toll様受容体4(TLR4)、核因子κB(NF-κB)、腫瘍壊死因子(TNF)、血小板活性化因子(PAF)、インターロイキン(IL)-18、インターフェロン-ガンマ(INF-γ)、IL-6、IL-8、IL-1β、及びIL-17Aなどの炎症誘発性メディエーターの局所的な(例えば腸組織中での)増加と関連性がある。IL-1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)、TLR9、PAF-アセチルヒドロラーゼ、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)1及び2、IL-10、ならびに制御性T細胞などの対抗制御機序が低レベルであることが、NECに罹患した腸内の炎症誘発性環境を促進するように思われる(Cho et al. Expert Rev. Mol. Med. 18(e12)1-17, 2016)。
【0132】
NECを治療するために、血液及び/または乳から得られたIαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)、あるいはかかるタンパク質及び薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体を含む組成物を、例えば、非経口投与、吸入噴霧による投与、局所投与、経鼻投与、頬側投与、経口投与、吸入、坐剤、また注射による投与を含む、任意且つ適宜の経路によって投与することができる。注射による投与としては、例えば、静脈内、腹腔内、皮下、皮内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内、及び頭蓋内注射が挙げられる。特に、本発明は、IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)、あるいは、かかるタンパク質を含む、食品としての組成物を投与することを企図する。特に、IαIpが、IαIpが食品と混合された食品の形態で、NECを治療または予防するために対象に投与されてもよい。
【0133】
インターアルファインヒビタータンパク質の純度及び製造方法
本発明の組成物に使用するためのIαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)は、例えば本明細書に記載の方法によって乳から、ならびに、例えば国際公開第WO2005046587号及び仮出願第62/490,003号及び第62/614,333号(それらの全体が本明細書に援用される)に記載の方法によって血液から得ることができる。上記乳は、ヒトまたは家畜の有蹄動物(例えば、ウシ、ヤギ、ヒツジ、スイギュウ、ラクダ、ロバ、ウマ、トナカイ、及び/またはヤク)などの哺乳動物から得ることができる。上記哺乳動物は、トランスジェニック哺乳動物であって、該動物の乳中に分泌される組換えIαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)を発現する上記トランスジェニック哺乳動物であってもよい。あるいは、IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ、例えば、ヒトIαIp)は、当技術分野で公知の方法(例えば、米国特許第9,139,641号を参照されたく、該特許文献はその全体が本明細書に援用される)によって、組換えにより非ヒト哺乳動物において血漿及び血液中に発現され、且つそれらから得られてもよい。
【0134】
一部において、上記IαIpは、天然の供給源(例えば、血液及び乳)から、80%~100%(例えば、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%)の純度で得ることができ、本発明の食品を調製するために使用することができる(例えば、米国特許第7,932,365号を参照されたく、該特許文献はその全体が本明細書に援用される)。
【0135】
上記組成物は、任意且つ適宜のIαIp、例えば、IαI、PαI、重鎖、軽鎖、またはそれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。例えば、上記組成物は、IαI、PαI、及び/またはビクニンを含んでいてもよい。場合によっては、上記組成物はIαI及びPαIを含んでいてもよい。上記重鎖は、H1、H2、H3、H4、またはH5であってよい。上記軽鎖はビクニンであってよい。上記IαIpはヒトIαIpであってよい。
【0136】
併用療法
本発明の方法はまた、本明細書に記載の疾患もしくは疾病の治療のために、IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えば、ビクニン)、またはそれらの組み合わせ)、またはIαIpの組成物(例えば食品)に加えて、第2の治療を施すあるいは同時に施すことを含む。例えば、第2の治療は、対象に、抗がん剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗生剤、抗真菌剤、気管支拡張剤、昇圧剤、鎮静剤、補体阻害剤、抗凝固剤、免疫調節剤、または組織の修復、再生を誘発する、もしくは細胞死を防ぐ薬剤を投与することを含んでいてもよい。
【0137】
上記方法が、IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)、あるいはIαIp及び薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、もしくは担体を含む組成物(例えば食品)と、1種以上の第2の治療薬との組み合わせを投与することを含む場合、各薬剤は、単剤療法レジメンにおいて通常投与される投与量の約1%~約100%、より好ましくは約5%~約95%の投与量レベルで存在する。第2の治療の薬剤(複数可)は、IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)、あるいはIαIpの組成物(例えば食品)とは別個に、複数回投与レジメンの一部として投与されてもよい。IαIp及び第2の治療の薬剤(複数可)は、同時にまたは任意の順序で逐次的に投与されてもよい。あるいは、第2の治療の薬剤(複数可)は、例えば、単一の組成物(例えば食品)中に上記IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)と共に混合された単一の剤形の一部であってもよい。
【0138】
IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)、あるいはIαIpの組成物との併用で投与してもよい例示的な薬剤を以下に記載する。これらの薬剤は、第2の治療として、例えば、別個の治療(例えば、別個の製剤で、例えば、IαIpを含む食品の前、後、または実質的に同時に患者に投与される)として、または組み合わせて(例えば、IαIpを含む食品中で組み合わせて)投与されてもよい。後述の第2の治療薬(複数可)による、または第2の治療薬(複数可)とIαIp含有組成物(例えば、混合されたIαIpを含む食品)との組み合わせによる治療に適した疾患及び疾病の非限定的な例としては、肺疾患(例えば、急性呼吸困難症候群(ARDS)、肺炎、市中感染性肺炎(CAP)、慢性閉塞性肺疾患(COPD))、急性及び慢性の神経学的障害及び神経変性障害(例えば、中枢神経系(CNS)疾患(例えば、脳の虚血、低酸素性虚血性脳傷害(例えば新生児の)、低酸素性虚血性脳症、脳卒中(例えば虚血性出血性脳卒中)、アルツハイマー病、パーキンソン病、外傷性脳傷害(TBI)、神経障害性疼痛、及びてんかん))、敗血症、重度のショック、敗血症性ショック、がん(例えばがん転移)、代謝障害(例えば、I型/II型糖尿病、悪液質)、心疾患(例えば、心筋梗塞、及びうっ血性心不全)、虚血(例えば虚血/再灌流障害)、腎疾患(例えば、急性腎傷害及び多嚢胞性腎疾患、透析)、外傷/失血を伴う大外傷(例えば創傷治癒);組織損傷(例えば、組織もしくは臓器の移植または手術後の組織修復、炎症、疾患、もしくは傷害に起因する組織または臓器損傷の修復、内部瘢痕を低減するための組織修復、肺組織修復(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、嚢胞性線維症、肺炎、気腫、ARDS、肺炎球菌症、肺癌、間質性肺疾患、肺線維症、またはサルコイドーシスによって生じた肺組織損傷を有する対象における組織修復)、脳組織修復(例えば、虚血、低酸素症、てんかん、TBI、低酸素性虚血性脳症、または脳卒中によって生じた脳組織損傷を有する対象における組織修復)、胃腸組織修復(例えば、自己免疫もしくは炎症性疾患または疾病(例えば、クローン病もしくは潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患)、または腸虚血によって生じた胃腸組織損傷を有する対象における組織修復)、血管組織修復(例えば、炎症もしくは傷害によって生じた血管組織損傷を有する対象における組織修復)、筋肉組織修復、肝組織修復、または心組織修復);感染症(例えば、(例えば、炭疽菌及びその他の生物テロ/新たに出現する病原体に対する)生物テロ防御のための治療を含む、細菌、ウイルス(例えば、H1N1、H5N1(鳥インフルエンザ)、デング熱、ジカ熱、及びその他のウイルス感染症)、寄生虫、または真菌感染症)に対する;肝疾患(例えば、慢性肝傷害、脂肪性肝疾患(非アルコール性脂肪性肝炎(NASH))、急性炎症性疾患(例えば、炎症性腸疾患、例えばクローン病)、壊死性腸炎(NEC)、急性膵炎、子癇前症、早産、臓器移植及び臓器不全、手術(例えば、術前及び術後)、自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、全身性紅斑性狼瘡、アリータ脱毛症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、皮膚筋炎、糖尿病(1型)、若年性特発性関節炎、糸球体腎炎、グレイブス病、ギラン・バレー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、心筋炎、ペンフィグス/ペンフィゴイド、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性筋炎、原発性胆道肝硬変、乾癬、強皮症/全身性硬化症、シェーグレン症候群、甲状腺炎、ブドウ膜炎、白斑、多発血管炎性肉芽腫症(GPA/ウェゲナー肉芽腫症))、鼻炎、毒素(例えば、炭疽病関連毒素(例えば、外毒素、致死性毒素(LT)、及び浮腫性毒素(ET))への曝露、髄膜炎、原発性免疫不全症候群、ならびに後天性免疫不全症候群(AIDS)が挙げられる。
【0139】
抗がん剤
第2の治療としては、がんの症状を治療または軽減するために使用される抗がん剤を挙げることができる。抗がん剤の非限定的な例としては、細胞毒性剤、化学療法剤、増殖阻害剤、放射線療法に使用される薬剤、抗血管新生剤、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、免疫療法剤(例えば、チェックポイント阻害剤、例えば、ニボルマブ及びペンブロリズマブなどのPD-1標的化抗体、TIM-3、LAG-3、2B4、CD160、A2aR、BTLA、CGEN-15049、KIR、OX40、GITR、もしくは4-1BBを標的とする抗体、イピリムマブなどのCTLA-4標的化抗体、VISTAを標的とする抗体、PD-L2、Gr1、もしくはLy6Gを標的とする抗体、リツキシマブ、PD-L1を標的とする抗体、及びB7-H3、B7-H4、Gal-9、MUC1を標的とする抗体;またはダクリズマブ、バシリキシマブ、パリビズマブ、インフリキシマブ、トラスツズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、アレムツズマブ、イブリツモマブチウキセタン、アダリムマブ、オマリズマブ、トシツモマブ-I-131、エファリズマブ、セツキシマブ、ベバシズマブ、ナタリズマブ、トシリズマブ、ペニツズマブ、ラニビズマブ、エクリズマブ、セルトリズマブペゴル、ゴリムマブ、カナキヌマブ、ウステキヌマブ、オフェツヌマブ、デノスマブ、モタビズマブ、ラキシバクマブ、ベリムマブ、ブレンツキシマブベドチン、ペルツズマブ、アド-トラスツムマブエンタンシン、及びオビヌツズマブなどの抗がん抗体)、ならびにがんを治療するための当技術分野で公知の他の薬剤が挙げられる。
【0140】
抗炎症剤
第2の治療としては、1種以上の上記の疾患もしくは疾病によって生じる、またはそれらに関連する炎症を治療あるいは軽減するために使用される抗炎症剤を挙げることができる。抗炎症剤の非限定的な例としては、コルチコステロイド、スタチン、ステロイド、非ステロイド性抗炎症剤、グルココルチコイド、及び当技術分野で公知の他の抗炎症剤が挙げられる。
【0141】
抗ウイルス剤
第2の治療としては、上記のウイルス感染症などの、及び1種以上の上記の疾患もしくは疾病によって生じる、またはそれらに関連するウイルス感染症を含むウイルス感染症を治療するために使用される抗ウイルス剤を挙げることができる。抗ウイルス剤の非限定的な例としては、ノイラミニダーゼ阻害剤(例えば、ザナミビル及びオセルタミビル)、マトリクス-2(M2)タンパク質阻害剤(例えば、アダマンチン及びリマンタジン)、ペルミビル、リバビリン、アシクロビル、ガンシクロビル、ホスカルネット、シドフォビル、ならびに本技術分野で公知の他の抗ウイルス剤が挙げられる。
【0142】
抗生剤
第2の治療としては、上記の細菌感染症などの、及び1種以上の上記の疾患もしくは疾病によって生じる、またはそれらに関連する細菌感染症を含む細菌感染症を治療するために使用される抗生剤を挙げることができる。抗生剤の非限定的な例としては、アモキシシリン、ペニシリン、ドキシサイクリン、クラリスロマイシン、ベンジルペニシリン、アジスロマイシン、ダプトマイシン、リネゾリド、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、ガチフロキシシン、ゲンタマイシン、マクロリド、セファロスポリン、アジスロマイシン、シプロフロキサシン、セフロキシム、アモキシリン-クラブラン酸カリウム、エリスロマイシン、スルファメトキサゾール-トリメトプリム、ドキシサイクリン一水和物、セフェピム、アンピシリン、セフポドキシム、セフトリアキソン、セファゾリン、エリスロマイシンエチルコハク酸エステル、メロペネム、ピペラシリン-タゾバクタム、アミカシン、エリスロマイシンステアリン酸塩、デキストロース中のセフェピム、ドキシサイクリンハイクアレート、アンピシリン-スルバクタム、セフタジジム、ゲミフロキサシン、ゲンタマイシン硫酸塩、エリスロマイシンラクトビオン酸塩、イミペネム-シラスタチン、セフォキシチン、セフジトレンピボキシル、エルタペネム、ドキシサイクリン-ベンゾイルペルオキシド、アンピシリン-スルバクタム、メロペネム、セフロキシム、セフォテタン、ピペラシリン-タゾバクタム、広域スペクトラムフルオロキノロン(例えば、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)またはクラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)などの非定型の病原体によって生じる肺炎を治療するために使用される場合がある)、及び当技術分野で公知の他の抗生剤が挙げられる。
【0143】
抗真菌剤
第2の治療としては、真菌感染症、例えば、上記の1種以上の疾患もしくは疾病によって生じる、またはそれらに関連する真菌感染症を治療するために使用される抗真菌剤を挙げることができる。抗真菌剤の非限定的な例としては、アンホテリシン、カスポファンギン、ボリコナゾール、イトラコナゾール、ポサコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、及び当技術分野で公知の他の抗真菌剤が挙げられる。
【0144】
抗寄生虫剤
第2の治療としては、上記の1種以上の疾患もしくは疾病によって生じる、またはそれらに関連する寄生虫感染症などの、寄生虫感染症(例えば寄生原虫感染症)を治療するために使用される抗寄生虫剤を挙げることができる。抗寄生虫剤の非限定的な例としては、ニタゾキサニド、メラロソプロール、エフロルニチン、メトロニダゾール、チニダゾール、ミルテフォシン、メベンダゾール、ピランテルパモ酸塩、チアベンダゾール、ジエチルカルバマジン、イベルメクチン、アルベンダゾール、プラジカンテル、リファンピン、及び当技術分野で公知の他の抗寄生虫剤が挙げられる。
【0145】
気管支拡張剤
第2の治療薬としては、気管支の筋肉を弛緩させて気道をより大きくし、空気が肺を通過できるようするために使用される気管支拡張剤を挙げることができる。気管支拡張薬をIαIpとの併用で投与して、本明細書に記載の、または1種以上の本明細書に記載の疾患もしくは疾病によって生じる、もしくはそれらに関連する1種以上の呼吸器の疾病もしくは疾患などの、呼吸器の疾患または疾病を治療することができる。気管支拡張剤の非限定的な例としては、ベータ2アゴニスト、キサンチン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、ムスカリン受容体アンタゴニスト、イプラトロピウム、オキシトロピウム、テオフィリン、テオブロミン、カフェイン、サルブタモール、イソプロテレノール、アルブテロール、レバルブレロール、ピルブテロール、メタプロテレノール、テルブタリン、サルメテロール、ホルモテロール、及び当技術分野で公知の他の気管支拡張剤が挙げられる。
【0146】
昇圧剤
第2の治療としては、血管収縮及び/または血圧の上昇を起こす昇圧剤を挙げることができる。昇圧剤をIαIpとの併用で投与して、本明細書に記載の、または1種以上の本明細書に記載の疾患もしくは疾病によって生じる、もしくはそれらに関連する1種以上の血圧の疾病もしくは疾患などの、血圧の疾患または疾病を治療することができる。昇圧剤の非限定的な例としては、エピネフリン、イソプロテレノール、フェニレフリン、ノルエピネフリン、ドブタミン、エフェドリン、ドロキシドパ、及び当技術分野で公知の他の昇圧剤が挙げられる。
【0147】
鎮静剤
第2の治療としては鎮静剤を挙げることができる。鎮静剤をIαIpとの併用で投与して、例えば、本明細書に記載の疾患もしくは疾病に関連する、痛みを伴うまたは不安を誘発する医療処置に関連する不安などの不安を治療することができる。鎮静剤はまた、例えば子供が従順に且つ指示に従いやすくなるように投与される場合もある。鎮静剤の非限定的な例としては、プロポフォール、ディプリバン、モルヒネ、フェンタニル、ミダゾラム、ロラゼパム、precede、INFUMORPH、デクスメデトミジン、アルフェンタニル、及び当技術分野で公知の他の鎮静剤が挙げられる。
【0148】
補体阻害剤
第2の治療としては補体活性化の阻害剤を挙げることができる。補体阻害剤をIαIpとの併用で投与して、本明細書に記載の、または1種以上の本明細書に記載の疾患もしくは疾病によって生じる、もしくはそれらに関連する1種以上の炎症性及び/もしくは変性性の疾患または疾病などの、炎症性及び/もしくは変性性の疾患または疾病を治療することができる。上記組成物は、C1、C2、C3(例えば、C3a及びC3b)、C4(例えばC4b)、C5(例えば、C5a及びC5b)、C6、C7、C8、C9などの1種以上の補体成分、膜侵襲複合体、因子B、因子D、MASP-1、及びMASP-2、またはそれらの断片の活性化を阻害することができる。上記補体阻害剤としては、C1-INH及びRhucin/rhC11NHなどのプロテアーゼ阻害剤、sCR1/TP10、CAB-2/MLN-2222などの可溶性補体調節剤、エクリズマブ/SOLIRIS(登録商標)、ペクセリズマブ、オファツムマブなどの治療用抗体、コンプスタチンなどの補体成分阻害剤、PMX-53及びrhMBLなどの受容体アンタゴニストを挙げることができる。
【0149】
抗凝固剤
第2の治療薬としては、血液凝固(blood coagulation)(すなわち凝固(clotting))を防ぐように作用する抗凝固剤を挙げることができる。抗凝固剤をIαIpとの併用で投与して、本明細書に記載の、または1種以上の本明細書に記載の疾患もしくは疾病によって生じる、もしくはそれらに関連する1種以上の心臓もしくは循環器系の疾患または疾病などの、心臓もしくは循環器系の疾患または疾病を治療することができる。抗凝固剤の非限定的な例としては、クマリン(すなわち、ビタミンKアンタゴニスト、例えばワルファリン(COUMADIN(登録商標)))、ヘパリン、トロンビン阻害剤、抗トロンビンIII、因子IIaの阻害剤(DABIGATRAN(登録商標))、因子Xaの阻害剤(RIVAROXABAN(登録商標)、APIXABAN(登録商標)、及びEDOXABAN(登録商標))、活性化タンパク質C、及びフリン阻害剤などのプロテアーゼ阻害剤、ならびに当技術分野で公知の他の抗凝固剤が挙げられる。
【0150】
免疫調節剤
第2の治療としては、例えば、ナチュラルキラー細胞を刺激し、T細胞を活性化することによって機能する免疫調節剤(IMiD)を挙げることができる。IMiDをIαIpとの併用で投与して、本明細書に記載の、または1種以上の本明細書に記載の疾患もしくは疾病によって生じる、もしくはそれらに関連する1種以上のがんまたは自己免疫疾患もしくは疾病などの、がんまたは自己免疫疾患もしくは疾病を治療することができる。免疫調節剤の非限定的な例としては、インターロイキン(例えば、IL-2、IL-7、IL-12)、サイトカイン(例えば、インターフェロン、G-CSF、及びイミキモド)、ケモカイン(例えば、CCL3、CCL26、CXCL7)、IMiD(例えば、サリドマイド(THALOMID(登録商標))、レナリドマイド(REVLIMID(登録商標))、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標))、及びポマリドマイド(POMALYST(登録商標)))、シトシンリン酸-グアノシン、オリゴデオキシヌクレオチド、グルカン、ならびに当技術分野で公知の他の免疫調節剤が挙げられる。
【0151】
組織修復を誘発する薬剤
第2の治療としては、組織の修復、再生を誘発する、または細胞死を防ぐ薬剤を挙げることができる。組織修復を誘発することができる薬剤をIαIpとの併用で投与して、1種以上の本明細書に記載の疾患もしくは疾病に関連する、またはそれらよって生じる組織損傷などの組織損傷を治療することができる。かかる薬剤の非限定的な例としては、幹細胞、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、インテグリン、血管新生因子、抗炎症因子、グリコサミノグリカン、ビトロゲン、抗体及びそれらの断片、これらの薬剤の機能的等価物、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0152】
抗コリン作用剤
第2の治療としては、例えば、中枢神経系及び末梢神経系の組織(例えば神経細胞)内での、神経伝達物質アセチルコリンのその受容体への結合を遮断することによって作用し、それにより、平滑筋、例えば、胃腸(GI)管、尿路、肺、及びその他の身体部分の筋肉の不随意運動(例えば収縮)を担う副交感神経インパルスを阻害する抗コリン作用剤(例えば、抗ムスカリン剤、神経節遮断剤、及び神経筋遮断剤)を挙げることができる。抗コリン作動薬をIαIpとの併用で投与して、本明細書に記載の、または1種以上の本明細書に記載の疾患もしくは疾病によって生じる、もしくはそれらに関連する1種以上の胃腸もしくは呼吸器の疾患または疾病などの、胃腸もしくは呼吸器の疾患または疾病を治療することができる。
【0153】
止瀉剤
第2の治療としては、下痢及びその症状の症状緩和をする止瀉薬を挙げることができる。止瀉薬は、失われた水分及び塩の代わりとするために使用される電解質溶液;メチルセルロース、グアーガム、または植物繊維(例えば、ふすま、ステルクリア、イザブゴールなど)などの増量剤;感染性下痢を引き起こす有毒物質を吸収する吸収剤(例えばメチルセルロース);次サリチル酸ビスマスなどの抗炎症化合物;腸の運動、下痢、及びそれらに伴うけいれんを軽減する抗コリン作用剤;ならびにオピオイド(例えば、モルヒネ、コデイン、及びロペラミド)を含んでいてもよい。止瀉薬をIαIpとの併用で投与して、本明細書に記載の、または1種以上の本明細書に記載の疾患もしくは疾病によって生じる、もしくはそれらに関連する1種以上の胃腸の疾患または疾病などの、胃腸の疾患または疾病を治療することができる。
【0154】
抗うつ剤
第2の治療としては、抗うつ剤(例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、三環系抗うつ剤(TCA)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、可逆的モノアミンオキシダーゼA阻害剤(rMAO-A阻害剤)、四環系抗うつ剤(TeCA)、及びノルアドレナリン作動性及び特定のセロトニン作動性抗うつ剤(NaSSA))を挙げることができる。抗うつ薬をIαIpとの併用で投与して、1種以上の本明細書に記載の疾患もしくは疾病によって生じる、またはそれらに関連する疼痛を治療することができる。TCAの非限定的な例としては、アミトリプチリン、ブトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドスレピン、ドキセピン、イミプラミン、イプリンドール、ロフェプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、及びトリミプラミンが挙げられる。
【0155】
消化管運動改善薬
第2の治療としては、小腸の筋収縮の頻度を増加させることによって、及び/または(例えば、収縮の通常のリズムを乱すことなく)小腸の筋収縮を強くすることによって、胃腸(GI)の運動性(例えば、消化器系を通り、体外排出する食物の移動)を高める消化管運動改善薬(例えば、胃運動改善薬)を挙げることができる。消化管運動改善薬をIαIpとの併用で投与して、本明細書に記載の、または1種以上の本明細書に記載の疾患もしくは疾病によって生じる、もしくはそれらに関連する1種以上の胃腸の疾患または疾病などの、胃腸の疾患または疾病を治療することができる。消化管運動改善薬の非限定的な例としては、ベンズアミド、シサプリド、ドンペリドン、エリスロマイシン、イトプリド、モサプリド、メトクロプラミド、プルカロプリド、レンザプリド、テガセロド、ミテムシナール、レボスルピリド、及びシニタプリドが挙げられる。
【0156】
緩下剤
第2の治療としては、便を緩め、便通を増加させ、便秘を低減する緩下剤(例えば、バルク形成緩下剤、エモリエント剤、潤滑剤、高浸透圧剤、生理食塩水緩下剤、刺激剤、油性剤、セロトニンアゴニスト、及び塩化物チャネル活性化剤)を挙げることができる。緩下剤をIαIpとの併用で投与して、本明細書に記載の、または1種以上の本明細書に記載の疾患もしくは疾病によって生じる、もしくはそれらに関連する1種以上の胃腸の疾患または疾病などの、胃腸の疾患または疾病を治療することができる。バルク形成緩下剤の非限定的な例としては、オオバコ(METAMUCIL(登録商標))、ポリカルボフィル(FIBERCON(登録商標))、及びメチルセルロース(CITRUCEL(登録商標))が挙げられる。
【0157】
神経伝達物質
第2の治療としては、セロトニン、グルタマート、GABA、アセチルコリン、ドーパミン、ノルエピネフリン、エピネフリン、ヒスタミンなどの神経伝達物質を挙げることができる。さらに、神経伝達物質の活性を変化させる薬物(例えば、前駆体などの神経伝達物質の合成速度を増加及び/または減少させる薬物)、シナプス小胞における神経伝達物質の貯蔵を変化させる薬物、標的受容体への神経伝達物質の結合を変化させる薬物(例えば、受容体アゴニスト及び/またはアンタゴニスト)、神経伝達物質の不活性化を妨害する薬物、ならびに神経活動を遮断する薬物もまた、本発明の方法において使用する有用な第2の治療として企図され、例えば、神経伝達物質をIαIpとの併用で投与して、1種以上の本明細書に記載の疾患もしくは疾病によって生じる、もしくはそれらに関連する神経障害性疼痛を治療することができる。
【0158】
鎮痙剤
第2の治療としては、例えば、胃、腸、尿路、及び膀胱の筋肉のけいれん(例えば収縮)を抑制する鎮痙剤を挙げることができる。鎮痙剤の非限定的な例としては、受容体アンタゴニスト、塩化物チャネル活性化因子、及びグアニル酸シクラーゼC(GC-C)アゴニスト、及び鎮痛剤が挙げられる。鎮痙剤をIαIpとの併用で投与して、本明細書に記載の、または1種以上の本明細書に記載の疾患もしくは疾病によって生じる、もしくはそれらに関連する1種以上の胃腸の疾患または疾病などの、胃腸の疾患または疾病を治療することができる。
【0159】
鎮痛剤
第2の治療としては、市販薬(OTC)の鎮痛剤及び処方された鎮痛剤などの鎮痛剤(analgesic)または鎮痛剤(pain reliever)を挙げることができる。鎮痛剤をIαIpとの併用で投与して、1種以上の本明細書に記載の疾患もしくは疾病によって生じる、またはそれらに関連する疼痛を治療することができる。鎮痛剤の非限定的な例としては、アセトアミノフェン(例えば、TYLENOL(登録商標))及び非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(例えば、アスピリン、ナプロキセン(ALEVE(登録商標))、イブプロフェン(例えば、ADVIL(登録商標)、MOTRIN(登録商標))、及びその他)、COX-2阻害剤(例えば、ロフェコキシブ、セレコキシブ、及びエトリコキシブ)、オピオイド(例えば、モルヒネ、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ジヒドロモルヒネ、及びペチジン)、向精神薬(例えば、ケタミン、クロニジン、α2-アドレナリン受容体アゴニスト、メキシレチン、及び他の局所麻酔類似体)、及び医療用大麻、ならびに他の鎮痛剤が挙げられる。
【0160】
精製方法
本発明は、乳からのIαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)の精製方法であって、上記IαIpを含む乳の画分を分離することと、上記IαIpの画分からIαIpを精製することとによってIαIpを精製し、上記IαIpが約85%~約100%の範囲の純度(例えば、85、86、87、88、89、90、91、92、93、93、94、95、96、97、98、または100%純粋)を有する、上記方法を特徴とする。乳の画分は、例えば、デカントするステップ、清澄化ステップ、クロマトグラフィーステップ、遠心分離及び/もしくは沈降ステップ、凍結ステップ、脱水、留去ステップ、抽出ステップ、ろ過ステップ、沈殿ステップによって、または当技術分野で公知の他の方法によって調製することができる。上記方法は、乳タンパク質からIαIpを分離して、精製IαIp調製物を製造することを含む。例えば、IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)は、1つ以上のクロマトグラフィーステップを用いて、乳の画分中に存在する乳タンパク質から分離することができる。上記クロマトグラフィーステップは、陰イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、及び/またはサイズ排除クロマトグラフィーを含んでいてもよい。精製IαIp調製物を得るために用いられるさらなる精製ステップは、固相抽出、及び/または沈殿(例えば、メタノール-クロロホルムによる沈殿)を含んでいてもよい。上記沈殿ステップは、上記IαIp調製物からカゼインを除去するための低pH(例えば、約4.2~約5.2のpH、例えば、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、または5.2のpH)への曝露を含んでいてもよい。上記精製方法はまた、上記IαIp調製物を約5.5以下のpH(例えば、約5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、5.0、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、または約2.0のpH)に曝露するステップ、例えば、IαIpが結合しているクロマトグラフィー保持体をpH5.5以下の洗浄緩衝液で洗浄することを含んでいてもよい。
【0161】
乳(例えば、ヒト乳または家畜の有蹄動物由来の乳)からのIαIpの精製方法は遠心分離ステップを含んでいてもよく、該ステップの後に、脂肪層を除去し、上清を収集してもよい。次いで、上記上清をろ過し、任意選択で希釈し、その後クロマトグラフィー分離用の保持体に印加してもよい。上記上清を保持体に印加した後に、この保持体を1種以上の洗浄緩衝液(例えば、塩含有緩衝液、及び任意選択で、約5.5以下のpH(例えば、約5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、5.0、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、または約2.0のpH)を有する緩衝液などの低pH緩衝液)を用いて洗浄してもよい。次いで、溶出緩衝液を用いてIαIpをカラムから溶出させてもよい。上記乳または上清のpHを、遠心分離ステップ及び/またはクロマトグラフィーステップの前に調整してもよい。
【0162】
上記乳は、ヒトまたは家畜の有蹄動物(例えば、ウシ、ヤギ、ヒツジ、スイギュウ、ラクダ、ロバ、ウマ、トナカイ、及びヤク)などの任意の哺乳動物から得ることができる。上記IαIpは、上記哺乳動物において組換えにより発現されるヒトIαIpであってもよい(例えば、上記哺乳動物は、ヒトIαIpを発現するように操作されたトランスジェニック哺乳動物であってもよい)。
【0163】
上記方法はまた、上記精製IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)の生化学的及び/もしくは生物物理学的特性を、当技術分野で公知の任意且つ適宜の方法によって、評価ならびに/または測定するさらなるステップを含んでいてもよい。
【0164】
上記精製IαIpは、約60kDa~約280kDaの見かけの分子量を有し、該分子量は、当技術分野で公知の任意且つ適宜の方法によって、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって測定することができる。
【0165】
また、上記精製IαIpは、1時間以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20時間)の半減期を示す。
【0166】
上記IαIpはまた、サイトカイン阻害剤活性、サイトカイン活性の増加、ケモカイン阻害剤活性、プロテアーゼ阻害剤活性(例えばセリンプロテアーゼ阻害剤活性)、コンドロイチン硫酸結合、グリコサミノグリガン結合活性、ヒアルロン酸結合活性、補体結合活性、ヒストン結合活性、Arg-Gly-Asp(RGD)ドメイン結合活性、凝固因子結合活性、細胞修復活性、及び細胞外マトリクスタンパク質結合活性からなる群より選択される活性などの、生物学的活性を有する必要がある。上記IαIpはまた、例えば、約1000IU/mg~約2000IU/mg(例えば、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、または2000IU/mg)の高いトリプシン阻害比活性も有する。
【0167】
IαIp(例えばヒトIαIp)はまた、上記の方法に従って該IαIpを発現するように遺伝子改変されている哺乳動物(例えば、家畜の有蹄動物(例えば、ウシ、ヤギ、ヒツジ、スイギュウ、ラクダ、ロバ、ウマ、トナカイ、及びヤク))から得られ、かつ精製されてもよい。上記哺乳動物は、IαIpをコードする核酸配列、乳特異的プロモータであって、上記IαIpをコードする上記核酸配列に作動可能に連結されている上記プロモータ、及び乳産生細胞による上記IαIpの分泌を可能にするタンパク質分泌シグナルをコードするリーダー配列を含む導入遺伝子をトランスフェクトされた乳産生細胞を含んでいてもよい。
【0168】
キット
本発明はまた、IαIpを含む食品(例えば、液体食品または固体食品)及び/または食品と混合するのに適したIαIpの組成物を備えるキットも特徴とする。例えば、上記キットは、食品(例えば、液体食品または固体食品)ならびに別個の容器に入ったIαIp(例えば、経口摂取に適したIαIpの組成物)を備えていてもよい。上記キットはまた、本発明の食品(例えば液体)を調製するのに使用することができる、別個の容器に入った薬学的に許容される賦形剤、担体、及び/または希釈剤を備えていてもよい。例えば、上記キットは、容器に入った飲料を、摂取の前に上記飲料に添加することができる凍結乾燥したまたは粉末の形態のIαIpと共に備えていてもよい。
【0169】
上記キットはまた、好適な食品(例えば、液体食品または固体食品)を製造するためのレシピ、及びIαIp(例えば、経口摂取に適したIαIpの組成物)を食品と混合するための説明書、ならびに任意選択で、治療目的の使用のための説明書を備えていてもよい。
【0170】
本発明のキットはまた、さらなる治療薬、例えば、抗がん剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗生剤、抗真菌剤、気管支拡張剤、昇圧剤、鎮静剤、補体阻害剤、抗凝固剤、及び免疫調節剤を備えていてもよい。上記さらなる治療薬は、別個の製剤として別個の容器中で提供されてもよく、または上記IαIpを含む食品と混合されていてもよい。
【0171】
アッセイ
本発明の食品の治療効果を、例えば、疾患の進行及び/または解消に関連する、IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)、炎症誘発性メディエーター、VCAM-1、ICAM-1、及びIαIp関連バイオマーカー(例えば、ヒストン、細胞外ヒストン、ヒストン/PαI複合体、ヒストン/IαI複合体、ヒストンIαI/PαI複合体、TNF-α、IL-6、IL-10、IL-1、IL-1ra、IL1B、IL-8、MCP-1、MIP-2、C反応性タンパク質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)、サイトカイン誘導性好中球化学誘引物質/KC、UTI、補体成分C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、膜侵襲複合体、因子B、因子D、MASP-1、及びMASP-2、またはそれらの断片)の治療前後のレベルを監視するための当技術分野で公知の方法によって監視してもよい。本発明の食品の治療効果を、沈降速度(血球沈降速度)の測定など、炎症の重症度を評価するアッセイを使用して監視してもよい。IαIp、炎症誘発性メディエーター、VCAM-1、ICAM-1、及びIαIp関連バイオマーカーのレベルは、例えば、気相イオン分光法、光学的方法、電気化学的方法、原子間力顕微鏡法、高周波分析法、表面プラズモン共鳴法、エリプソメトリー法、及び免疫学的方法によって検出ならびに/または測定することができる。沈降速度は、標準的な臨床試験(例えば、血液検査)を使用して測定することができる。
【0172】
イムノアッセイを用いて、IαIp(例えば、IαI、PαI、重鎖(例えば、H1、H2、H3、H4、及び/もしくはH5)、軽鎖(例えばビクニン)、またはそれらの組み合わせ)及び/または試料中の他のバイオマーカータンパク質レベルを検出ならびに分析することができる。上記イムノアッセイは、(a)IαI及び/またはPαIに特異的に結合する抗体を用意することと、(b)試料を上記抗体と接触させることと、(c)上記試料中のタンパク質に結合した抗体の複合体の存在を検出することとを含むことができる。IαIpを検出するためのイムノアッセイで使用するのに適した抗体としては、MAb 69.31、MAb 69.26、抗IαIpポリクローナル抗体、及び抗ビクニンモノクローナルまたはポリクローナル抗体が挙げられる。
【0173】
以下の実施例は、本発明を限定するのではなく、例証することを意図している。
【実施例
【0174】
実施例1 壊死性腸炎に罹患しているヒト対象へのIαIpを含む食品の投与
壊死性腸炎に罹患している、または壊死性腸炎に罹患する危険性のある未熟児などのヒト対象に、IαIpを含む食品を投与してもよい。
【0175】
例えば、壊死性腸炎に罹患している、または壊死性腸炎に罹患する危険性があると識別された未熟児に、例えば約10mg/kg~約30mg/kgの、治療有効用量のIαIp(例えば、IαI、PαI、及び/もしくはビクニン、またはそれらの組み合わせなどのヒトIαIp)を含むPEDIALYTE(登録商標)または牛乳を投与してもよい。上記乳児に、症状が改善するまで、1回以上の上記食品を投与してもよい。
【0176】
上記乳児を、症状の現出または解消に関して監視してもよい。必要に応じて、さらなる投与量の上記食品を投与してもよい。上記乳児の状態が改善するにつれて、治療の頻度を毎日1回以上に減少させてもよい。
【0177】
実施例2 クローン病に罹患しているヒト対象へのIαIpを含む食品の投与
炎症性腸疾患、例えばクローン病と診断され、上記疾患に対する治療を受けているヒト患者に、IαIpを含む食品を投与してもよい。
【0178】
例えば、上記患者は、例えば、抗炎症薬(例えば、経口5-アミノサリチル酸及び/もしくはコルチコステロイド)、免疫調節薬(例えば、アザチオプリン、メトトレキサート、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、及び/もしくはナタリズマブ)、ならびに/または抗生剤(例えば、メトロニダゾール及び/もしくはシプロフロキサシン)による治療を既に受けていてもよい。上記患者に、例えば約10mg/kg~約30mg/kgの、治療有効用量のIαIp(例えば、IαI、PαI、及び/もしくはビクニン、またはそれらの組み合わせ)を含む電解質溶液を投与してもよい。上記患者に、症状が改善するまで、1回以上の上記電解質溶液を投与してもよい。
【0179】
上記患者を、症状の現出または解消に関して監視してもよい。必要に応じて、さらなる投与量の上記電解質溶液を投与してもよい。上記患者の状態が改善するにつれて、治療の頻度を毎日、隔日で、毎週、または必要に応じて1回以上に減少させてもよい(例えば、定期的な食事を摂取する前に)。
【0180】
実施例3 炎症性疾患に罹患しているヒト対象へのIαIpを含む食品の投与
ヒト患者に、例えば創傷に起因する炎症に対して、該患者の血中のIαIpのレベルが低いと判定された後に、IαIpを含む食品を投与してもよい。
【0181】
例えば、上記患者に、例えば約10mg/kg~約30mg/kgの、治療有効用量のIαIp(例えば、IαI、PαI、及び/もしくはビクニン、またはそれらの組み合わせ)を含むプロテインバーを投与してもよい。上記患者に、該患者の血中の上記IαIpのレベルが十分に上昇するまで、1回以上の上記食品を投与してもよい。
【0182】
上記患者を、症状の現出または解消に関して監視してもよい。必要に応じて、さらなる投与量の上記食品を投与してもよい。上記患者の状態が改善するにつれて、治療の頻度を毎日、隔日で、毎週、または必要に応じて1回以上に減少させてもよい(例えば、定期的な食事を摂取する前に)。
【0183】
実施例4 呼吸器疾患に罹患しているヒト対象へのIαIpを含む食品の投与
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)と診断され、上記疾患に対する治療を受けているヒト患者に、IαIpを含む食品を投与してもよい。
【0184】
例えば、上記患者には、例えば、敗血症、内皮機能不全、毛細血管からの体液漏出、及び/または肺からの体液の排出障害によって生じる炎症が起こる場合があり、例えば約10mg/kg~約30mg/kgの、治療有効用量のIαIp(例えば、IαI、PαI、及び/もしくはビクニン、またはそれらの組み合わせ)を含む電解質溶液を投与してもよい。上記患者に、症状が改善するまで、1回以上の上記食品を投与してもよい。
【0185】
上記患者を、症状の現出または解消に関して監視してもよい。必要に応じて、さらなる投与量の上記食品を投与してもよい。上記患者の状態が改善するにつれて、治療の頻度を例えば毎日1回以上に減少させてもよい。
【0186】
実施例5 虚血に罹患しているヒト対象へのIαIpを含む食品の投与
虚血、例えば、出生時仮死に起因する低酸素性虚血性脳症に罹患している乳児などのヒト対象に、IαIpを含む食品を投与してもよい。
【0187】
例えば、低酸素性虚血性脳症に罹患していると識別された乳児に、例えば約10mg/kg~約30mg/kgの、治療有効用量のIαIp(例えば、IαI、PαI、及び/もしくはビクニン、またはそれらの組み合わせ)を含む乳児用調製粉乳を投与してもよい。上記乳児に、症状が改善するまで、1回以上の上記食品を投与してもよい。
【0188】
上記乳児を、症状の現出または解消に関して監視してもよい。必要に応じて、さらなる投与量の上記食品を投与してもよい。上記乳児の状態が改善するにつれて、治療の頻度を例えば毎日1回以上に減少させてもよい。
【0189】
実施例6 敗血症に罹患しているヒト対象へのIαIpを含む食品の投与
敗血症、例えば、臓器機能の低下を引き起こす重症敗血症と診断され、上記疾患に対する治療を受けているヒト患者に、IαIpを含む食品を投与してもよい。
【0190】
例えば、上記患者は、例えば、広域抗生剤(例えば2種以上のβ-ラクタム抗生剤)による治療を既に受けていてもよく、上記患者に、例えば約10mg/kg~約30mg/kgの、治療有効用量のIαIp(例えば、IαI、PαI、及び/もしくはビクニン、またはそれらの組み合わせ)を含む経口補水溶液を投与してもよい。上記患者に、症状が改善するまで、1回以上の上記食品を投与してもよい。
【0191】
上記患者を、症状の現出または解消に関して監視してもよい。必要に応じて、さらなる投与量の上記食品を投与してもよい。上記患者の状態が改善するにつれて、治療の頻度を例えば毎日1回以上に減少させてもよい。
【0192】
実施例7 ウイルス感染症に罹患しているヒト対象へのIαIpを含む食品の投与
ウイルス感染症、例えばインフルエンザウイルス感染症、例えば鳥インフルエンザ感染症、例えば鳥への曝露及び/または接触に起因するH5N1感染症と診断され、上記疾患に対する治療を受けているヒト患者に、IαIpを含む食品を投与してもよい。
【0193】
例えば、上記患者は、例えば、抗ウイルス剤(例えば、オセルタミビルまたはザナミビルなどのノイラミニダーゼ阻害剤)による治療を既に受けていてもよく、上記患者に、例えば約10mg/kg~約30mg/kgの、治療有効用量のIαIp(例えば、IαI、PαI、及び/もしくはビクニン、またはそれらの組み合わせ)を含む経口補水溶液を投与してもよい。上記患者に、症状が改善するまで、1回以上の上記食品を投与してもよい。
【0194】
上記患者を、症状の現出または解消に関して監視してもよい。必要に応じて、さらなる投与量の上記食品を投与してもよい。上記患者の状態が改善するにつれて、治療の頻度を例えば毎日1回以上に減少させてもよい。
【0195】
実施例8 乳からのIαIpの抽出
牛乳またはヒト乳を、酢酸を用いてpH4.5に調整し、7500rpmで15分間遠心分離した。脂肪層を除去した後、上清を収集した。次いで、3M Tris緩衝液を添加することにより乳上清のpHをpH6.8に調整した。ろ過後に、さらにクロマトグラフィーで分離するために、上記乳の上清を20mM Tris、pH7.5及び150mM NaClを含む緩衝液で1:3に希釈した。次いで、上記希釈した乳をTosoh GigaCap Q-650カラムに印加した。未結合画分の収集(フロースルー)に続いて、カラムをまず食塩を含む緩衝液(20mM Tris、pH7.5+300mM NaCl)で洗浄し、続いて低pH緩衝液(50mM酢酸、pH4.5)で洗浄した。洗浄画分を収集し、次いで20mM Tris、pH7.5及び750mM NaClを含む溶出緩衝液を用いてカラムから溶出させた。
【0196】
未結合、洗浄画分、及び溶出画分のアリコートを7.5% SDS-PAGEゲル(BioRad TGXゲル)上で分離し、続いてウエスタンブロット分析のためにニトロセルロース膜上に転写した。5%脱脂粉乳でブロッキングした後に、上記ニトロセルロース膜をラットIAIP(R22C)に対するビオチン化ウサギポリクローナル抗体と共にインキュベートした。このポリクローナル抗体は、ヒトIαIp及びウシIαIpと交差反応する。PBS+0.05% Tweenで数回洗浄した後、上記膜をストレプトアビジン-HRPと共にインキュベートし、金属により発色を強化したDAB基質(Pierce)を使用して反応性を可視化した。図1に示すように、牛乳及びヒト乳由来のIαIpをカラムに結合させ、750mM NaClを用いてカラムから溶出させた。牛乳及びヒト乳由来のIαIpのそれぞれIαI及びPαIに対応する250kDa及び125kDaの特異的バンドが、ウサギポリクローナル抗体R22Cによって検出された(レーン5及び10、矢印)。
【0197】
実施例9 肺組織損傷のあるヒト対象へのIαIpを含む食品の投与
例えば喘息、COPD、気管支炎、嚢胞性線維症、肺炎、肺気腫、ARDS、肺炎球菌症、肺癌、間質性肺疾患、肺線維症、またはサルコイドーシスに起因する肺組織損傷のあるヒト患者に、該患者の血中のIαIpのレベルが低いと判定された後に、例えば肺組織の修復を促進または増加させるために、IαIpを含む食品を投与してもよい。
【0198】
例えば、上記患者に、例えば約10mg/kg~約30mg/kgの、治療有効用量のIαIp(例えば、IαI、PαI、及び/もしくはビクニン、またはそれらの組み合わせ)を含むプロテインバーを投与してもよい。上記患者に、該患者の血中の上記IαIpのレベルが十分に上昇するまで、1回以上の上記食品を投与してもよい。
【0199】
上記患者を、症状の現出または解消に関して監視してもよい。必要に応じて、さらなる投与量の上記食品を投与してもよい。上記患者の状態が改善するにつれて、治療の頻度を毎日、隔日で、毎週、または必要に応じて1回以上に減少させてもよい(例えば、定期的な食事を摂取する前に)。
【0200】
その他の実施形態
上記の明細書に記載されるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、本記述をもって、それぞれの個別の刊行物、特許、または特許出願がその全体において援用されることを具体的に且つ個別に示している場合と同程度に援用される。本発明の範囲及び趣旨から逸脱することのない、本発明の記載された方法、医薬組成物、及びキットの様々な改変及び変更は当業者には明らかであろう。本発明を特定の実施形態に関連して説明してきたが、該実施形態をさらに改変することが可能であり、特許請求の範囲に記載される本発明は、かかる特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことが理解されよう。実際、記載された形態の、本発明を実施するにあたっての当業者に明らかである様々な改変は、本発明の範囲内にあることが意図される。本出願は、概して本発明の原理に従い、本発明が関係する技術分野内における公知の慣行に該当する、及び本明細書で上述の本質的な特徴に適用される可能性があるような本開示からの逸脱を含む、本発明の任意の変更、使用、または適合化を包含することを意図する。
図1