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特許7461353画像符号化/復号化方法、エンコーダ、デコーダ及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】画像符号化/復号化方法、エンコーダ、デコーダ及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/593 20140101AFI20240327BHJP
【FI】
H04N19/593
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021532342
(86)(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 CN2019107612
(87)【国際公開番号】W WO2021056223
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-06-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516227559
【氏名又は名称】オッポ広東移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG OPPO MOBILE TELECOMMUNICATIONS CORP., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 18 Haibin Road,Wusha, Chang’an,Dongguan, Guangdong 523860 China
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】フオ、チュンイェン
(72)【発明者】
【氏名】マー、イェンチュオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シューアイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、フーチョン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ハイシン
(72)【発明者】
【氏名】スン、イー
【審査官】間宮 嘉誉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/040941(WO,A1)
【文献】特開2021-48485(JP,A)
【文献】特開2018-98589(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0084308(US,A1)
【文献】HUO, Junyan et al.,Non-CE3:Fixed Downshifting for 8-Bit MIP,JVET-O1127 (version 3),ITU,2019年07月11日,pp.1-5,JVET-O1127-v2.docx
【文献】PFAFF, Jonathan et al.,8-Bit Implementation and Simplification of MIP,JVET-O0084 (version 2),ITU,2019年07月01日,pp.1-7,JVET-O0084-v2.docx
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/12
H04N 19/00-19/98
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンコーダに適用される画像符号化方法であって、
現在ブロックのサイズを決定することと、
マトリックスベースのイントラ予測(MIP)モードを利用して前記現在ブロックを符号化するとき、前記現在ブロックのサイズと、第1オフセット量と、前記現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とに基づいて、第2オフセット量を計算し、前記第1オフセット量は前記第2オフセット量の計算における引く数値であり、前記第1オフセット量は定数であり、そして前記現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号のみに基づいて決定されることと、
前記第2オフセット量を利用して、前記現在ブロックにおけるプリセット位置の画素の第2予測値を計算し、前記プリセット位置が前記現在ブロックにおける特定位置であることと、
前記第2予測値をフィルタリング処理して、前記現在ブロックにおけるすべての画素の第1予測値を取得することと、
前記現在ブロックのオリジナル値と前記第1予測値との予測差を計算することと、
前記予測差を符号化することと、を含む画像符号化方法。
【請求項2】
前記第2オフセット量は前記第2予測値の計算過程において、ビットシフト操作結果のオフセット量を制御することに用いられる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
デコーダに適用される画像復号化方法であって、
ビットストリームを復号化して、現在ブロックのサイズ、符号化モード及び予測差を取得することと、
前記現在ブロックの符号化モードがマトリックスベースのイントラ予測(MIP)モードである場合、前記現在ブロックのサイズと、第1オフセット量と、前記現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とに基づいて、第2オフセット量を計算し、前記第1オフセット量は前記第2オフセット量の計算における引く数値であり、前記第1オフセット量は定数であり、そして前記現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号のみに基づいて決定されることと、
前記第2オフセット量を利用して、前記現在ブロックにおけるプリセット位置の画素の第2予測値を計算し、前記プリセット位置が前記現在ブロックにおける特定位置であることと、
前記第2予測値をフィルタリング処理して、前記現在ブロックにおけるすべての画素の第1予測値を取得することと、
前記第1予測値と前記予測差との和値を計算し、前記和値を前記現在ブロックの再構成値として設定することと、を含む画像復号化方法。
【請求項4】
前記第2オフセット量は前記第2予測値の計算過程において、ビットシフト操作結果のオフセット量を制御することに用いられる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
エンコーダであって、第1決定部、第1計算部及び符号化部を備え、
前記第1決定部は、現在ブロックのサイズを決定するように構成され、
前記第1計算部は、マトリックスベースのイントラ予測(MIP)モードを利用して前記現在ブロックを符号化するとき、前記現在ブロックのサイズと、第1オフセット量と、前記現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とに基づいて、第2オフセット量を計算し、前記第1オフセット量は前記第2オフセット量の計算における引く数値であり、前記第1オフセット量は定数であり、そして前記現在ブロックに対応するMIPブロックサイ
ズインデックス番号のみに基づいて決定されるように構成され、
前記第1決定部は更に、前記第2オフセット量を利用して、前記現在ブロックにおけるプリセット位置の画素の第2予測値を計算し、前記プリセット位置が前記現在ブロックにおける特定位置であり、前記第2予測値をフィルタリング処理して、前記現在ブロックにおけるすべての画素の第1予測値を取得するように構成され、
前記符号化部は、前記現在ブロックのオリジナル値と前記第1予測値との予測差を計算し、前記予測差を符号化するように構成されるエンコーダ。
【請求項6】
前記第2オフセット量は前記第2予測値の計算過程において、ビットシフト操作結果のオフセット量を制御することに用いられる請求項5に記載のエンコーダ。
【請求項7】
デコーダであって、解析部、第2決定部及び第2計算部を備え、
前記解析部は、ビットストリームを復号化して、現在ブロックのサイズ、符号化モード及び予測差を取得するように構成され、
前記第2計算部は、現在ブロックの符号化モードがマトリックスベースのイントラ予測(MIP)モードである場合、前記現在ブロックのサイズと、第1オフセット量と、前記現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とに基づいて、第2オフセット量を計算し、前記第1オフセット量は前記第2オフセット量の計算における引く数値であり、前記第1オフセット量は定数であり、そして前記現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号のみに基づいて決定されるように構成され、
前記第2決定部は、前記第2オフセット量を利用して、前記現在ブロックにおけるプリセット位置の画素の第2予測値を計算し、前記プリセット位置が前記現在ブロックにおける特定位置であり、前記第2予測値をフィルタリング処理して、前記現在ブロックにおけるすべての画素の第1予測値を取得し、前記第1予測値と前記予測差との和値を計算し、前記和値を前記現在ブロックの再構成値として設定するように構成されるデコーダ。
【請求項8】
前記第2オフセット量は前記第2予測値の計算過程において、ビットシフト操作結果のオフセット量を制御することに用いられる請求項7に記載のデコーダ。
【請求項9】
コンピュータ可読記憶媒体であって、プログラムが記憶され、エンコーダに適用され、前記プログラムがプロセッサにより実行されるとき、請求項1又は2に記載の方法を実現するコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
コンピュータ可読記憶媒体であって、プログラムが記憶され、デコーダに適用され、前記プログラムがプロセッサにより実行されるとき、請求項3又は4に記載の方法を実現するコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例はビデオ符号化/復号化技術分野に関し、特に画像符号化/復号化方法、エンコーダ、デコーダ及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
多機能ビデオ符号化(VVC、Versatile Video Coding)の参照ソフトウェアテストプラットフォームにおいて、新しいイントラ符号化技術、即ちマトリックスベースのイントラ予測(MIP、Matrix-based Intra Prediction)が提案されている。MIPはニューラルネットワークに基づくイントラ予測技術であって、多層ニューラルネットワークを利用して隣接する再構成された輝度ブロックに基づいて現在ブロックの輝度値を予測するものである。具体的に、従来のイントラモードと同様に、MIPモードを利用してイントラ予測を行うとき、MIPにより予測された入力も現在ブロックの上一行及び左一列の隣接する輝度ブロックのデータであり、出力は現在ブロックの輝度成分の第1予測値である。予測過程は具体的に3つのステップ、即ちダウンサンプリング、行列ベクトル積及び補間に分けられる。
【0003】
ところが、MIPモードを利用して輝度予測を行うとき、異なるサイズの輝度ブロックが用いるパラメータは異なる可能性があるため、比較的大きな記憶空間を占有して大量のパラメータを記憶する必要がある。且つ、予測過程においてパラメータの検索及び呼び出しは全体時間の増加を引き起こすため、符号化/復号化効率を低下させてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の実施例は画像符号化/復号化方法、エンコーダ、デコーダ及び記憶媒体を提供し、符号化/復号化性能を確保する上で、符号化/復号化過程に必要な記憶空間及び全体時間を減少させ、符号化/復号化効率を効果的に向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施例の技術案は以下のように実現される。
【0006】
本願の実施例はエンコーダに適用される画像符号化方法を提供し、前記方法は、
現在ブロックのサイズを決定することと、
MIPモードを利用して前記現在ブロックを符号化するとき、前記現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定することと、
前記第1オフセット量と前記現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算することと、
前記第2オフセット量に基づいて前記現在ブロックの第1予測値を決定することと、
前記第1予測値に基づいて前記現在ブロックを符号化することと、を含む。
【0007】
本願の実施例はデコーダに適用される画像復号化方法を提供し、前記方法は、
ビットストリームを復号化して、現在ブロックのサイズ及び符号化モードを取得することと、
前記現在ブロックの符号化モードがMIPモードである場合、前記現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定することと、
前記第1オフセット量と前記現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算することと、
前記第2オフセット量に基づいて前記現在ブロックの第1予測値を決定することと、
前記第1予測値に基づいて前記現在ブロックの再構成値を決定することと、を含む。
【0008】
本願の実施例はエンコーダを提供し、前記エンコーダは第1決定部、第1計算部及び符号化部を備え、
前記第1決定部は、現在ブロックのサイズを決定し、MIPモードを利用して前記現在ブロックを符号化するとき、前記現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定するように構成され、
前記第1計算部は、前記第1オフセット量と前記現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算するように構成され、
前記第1決定部は更に、前記第2オフセット量に基づいて前記現在ブロックの第1予測値を決定するように構成され、
前記符号化部は、前記第1予測値に基づいて前記現在ブロックを符号化するように構成される。
【0009】
本願の実施例はデコーダを提供し、前記デコーダは解析部、第2決定部及び第2計算部を備え、
前記解析部は、ビットストリームを復号化して、現在ブロックのサイズ及び符号化モードを取得するように構成され、
前記第2決定部は、前記現在ブロックの符号化モードがMIPモードである場合、前記現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定するように構成され、
前記第2計算部は、前記第1オフセット量と前記現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算するように構成され、
前記第2決定部は更に、前記第2オフセット量に基づいて前記現在ブロックの第1予測値を決定し、前記第1予測値に基づいて前記現在ブロックの再構成値を決定するように構成される。
【0010】
本願の実施例はエンコーダを提供し、前記エンコーダは、第1プロセッサと、前記第1プロセッサの実行可能命令が記憶される第1メモリと、第1通信インターフェースと、前記第1プロセッサ、前記第1メモリ及び前記第1通信インターフェースを接続するための第1バスとを備え、前記命令が前記第1プロセッサにより実行されるとき、以上に記載された画像符号化方法を実現する。
【0011】
本願の実施例はデコーダを提供し、前記デコーダは、第2プロセッサと、前記第2プロセッサの実行可能命令が記憶される第2メモリと、第2通信インターフェースと、前記第2プロセッサ、前記第2メモリ及び前記第2通信インターフェースを接続するための第2バスとを備え、前記命令が前記第2プロセッサにより実行されるとき、以上に記載された画像復号化方法を実現する。
【0012】
本願の実施例はコンピュータ可読記憶媒体を提供し、プログラムが記憶され、エンコーダ及びデコーダに適用され、前記プログラムがプロセッサにより実行されるとき、以上に記載された画像符号化/復号化方法を実現する。
【0013】
本願の実施例は画像符号化/復号化方法、エンコーダ、デコーダ及び記憶媒体を提供する。エンコーダは、現在ブロックのサイズを決定し、MIPモードを利用して現在ブロックを符号化するとき、現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定し、第1オフセット量と現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算し、第2オフセット量に基づいて現在ブロックの第1予測値を決定し、第1予測値に基づいて現在ブロックを符号化する。デコーダは、ビットストリームを復号化して、現在ブロックのサイズ及び符号化モードを取得し、現在ブロックの符号化モードがMIPモードである場合、現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定し、第1オフセット量と現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算し、第2オフセット量に基づいて現在ブロックの第1予測値を決定し、第1予測値に基づいて現在ブロックの再構成値を決定する。以上から分かるように、本願に係る画像符号化/復号化方法は、MIPモードを利用して符号化/復号化するとき、現在ブロックのサイズに基づいて現在ブロックに対応する第1オフセット量を直接決定することができ、次に、第1オフセット量を利用して現在ブロックを符号化/復号化処理することができる。即ち、本願では、予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係に基づいて、現在ブロックのサイズに対応するMIPブロックサイズインデックス番号を決定した後、MIPブロックサイズインデックス番号に対応する第1オフセット量を直接取得することができる。これにより、符号化/復号化処理を行うとき、MIPアルゴリズムの複雑性を低減し、符号化/復号化性能を確保する上で、符号化/復号化過程に必要な記憶空間及び全体時間を減少させ、符号化/復号化効率を効果的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1はイントラ予測の67種類の予測モードの分布模式図である。
図2図2はMIPモードを利用して符号化するフローチャートである。
図3図3は現在ブロックの上側隣接輝度ブロック及び左側隣接輝度ブロックの分布模式図である。
図4図4はDMモードを決定する分布模式図である。
図5図5はビデオ符号化システムの構造模式図である。
図6図6はビデオ復号化システムの構造模式図である。
図7図7は画像符号化方法の実現フローチャートである。
図8図8は画像復号化方法の実現フローチャートである。
図9図9はエンコーダの構成模式図1である。
図10図10はエンコーダの構成模式図2である。
図11図11はデコーダの構成模式図1である。
図12図12はデコーダの構成模式図2である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願の実施例の図面を参照しながら、本願の実施例の技術案を明確且つ完全に説明する。理解されるように、ここで説明される具体的な実施例は関連出願を解釈するためのものであって、該出願を制限するものではない。また、更に説明されるように、説明の都合上、図面には関連出願に関わる部分のみを示す。
【0016】
ビデオ画像において、VVCは共同ビデオ専門家チーム(JVET、Joint Video Experts Team)-N0217において提案されたアフィン線形重み付けイントラ予測技術(Affine Linear Weighted Intra Prediction)を採用して、それをマトリックスベースのイントラ予測、即ちMIP技術に改称する。該技術はイントラ輝度符号化ブロックのサイズの相違に応じて、イントラ輝度予測過程に異なる数のマトリックスベースのイントラ予測モードを追加する。
【0017】
自然ビデオのより精密なエッジ方向を捉えるために、VVCはビデオ圧縮標準(HEVC、High Efficiency Video Coding)において定義された33種類のイントラ輝度予測角度モードを65種類に拡張する。図1はイントラ予測の67種類の予測モードの分布模式図である。図1に示すように、矢印番号2~66は65種類のイントラ角度予測モードを示し、また、更に2種類の非角度モード、即ち番号0の漸進的に変化するプラナー(Planar)モード及び番号1の直流DCモードがある。従って、VVCのイントラ予測過程に2種類の非角度モード及び65種類の角度モードが含まれる。ここで、この67種類の予測モードはイントラ予測の従来モードと称される。
【0018】
MIPはニューラルネットワークに基づくイントラ予測技術であって、多層ニューラルネットワークを利用して隣接する再構成された画素に基づいて現在ブロックの輝度値を予測するものである。具体的に、MIP技術はイントラ輝度符号化ブロックのサイズに基づいて輝度符号化ブロックを3種類に分ける。輝度符号化ブロックのサイズをW×Hとし、ここで、Wが幅パラメータであり、Hが高さパラメータである。輝度符号化ブロックのサイズに基づいて輝度符号化ブロックを3種類に分けてもよく、即ち、
サイズ4×4の輝度符号化ブロックを第1種類の輝度ブロックとし、サイズ8×4、4×8及び8×8の輝度符号化ブロックを第2種類の輝度ブロックとし、他のサイズの輝度符号化ブロックを第3種類の輝度ブロックとする。
【0019】
この3種類のタイプのイントラ輝度符号化ブロックに対して、MIP技術は67種類の従来のイントラ予測モードにM種類のMIPモードを追加し、第1種類の輝度ブロックの場合、M=35であり、第2種類の輝度ブロックの場合、M=19であり、第3種類の輝度ブロックの場合、M=11である。
【0020】
具体的に、MIP技術はイントラ輝度予測のみに適用される。従来モードと同様に、MIPにより予測された入力も現在ブロックの上一行及び左一列データであり、出力は現在ブロックの予測値である。予測過程は具体的に3つのステップ、即ち平均、行列ベクトル積及び補間に分けられる。即ち、入力された上一行及び左一列の隣接画素点の再構成輝度値に対して上記3つのステップを行えば、現在ブロックの輝度成分の予測値を取得することができる。
【0021】
図2はMIPモードを利用して符号化するフローチャートである。図2に示すように、MIPモードを利用して輝度予測を行うことは、具体的に、下記の第1ステップ~第3ステップによって、実現される。
第1ステップにおいて、現在ブロックの上側隣接参照点に対して平均操作を行って、ベクトルbdrytopを取得し、合計してN個の値があり、現在ブロックの左側隣接参照点に対して平均操作を行って、ベクトルbdryleftを取得し、合計してN個の値があり、現在ブロックが第1種類の輝度符号化ブロックである場合、N=2であり、現在ブロックが第2種類又は第3種類の輝度符号化ブロックである場合、N=4である。ベクトルbdrytopとベクトルbdryleftは新しいベクトルbdryredを構成し、後続操作を行う。
第2ステップにおいて、MIPモードのモード番号kによって対応のマトリックスA及びオフセット量bを取得し、公式(1)によって図2における交差線で示される現在ブロックの予測値の一部を計算して取得する。
【数1】
第3ステップにおいて、線形補間によって、現在ブロックの残りの予測値Pred red 取得する。
【0022】
なお、現在ブロックを符号化する実現過程において、イントラ予測が具体的に使用する符号化モードを圧縮ビットストリームに書き込む必要がある。それにより復号化側は該モード情報を解析することにより、具体的にどの種類のモードを使用するか、即ち従来モードを使用するかそれともMIPモードを使用するかを決定することができる。従来モードを使用する場合、具体的にどの種類の従来モードを使用するかを決定し、MIPモードを使用する場合、具体的にどの種類のMIPモードを使用するかを決定する。
【0023】
VVCのイントラ予測において、各輝度符号化ブロックに対していずれも67個の従来モード及びM個のMIPモードのレート歪みコスト(RDcost)比較を行い、67個の従来モード及びM個のMIPモードから最適モードを選択して符号化する。ビットオーバーヘッドを節約するために、VVCは最確モードリスト(MPM、Most Probable Modes List)に基づくイントラモード符号化技術を使用する。
【0024】
尚、複数参照ライン技術(extend reference line)及びイントラ細分割技術(ISP、Intra Sub-Patitionar)はMPMリストにおけるモードのみに使用される。従って、extendrefflagとispflagがいずれも0であり、即ちサブブロックを区別せずに0参照行を使用する場合、mpmflagを符号化する必要がなく、最適モードのMPMリストにおける位置を直接符号化する。
【0025】
更に、MPMリスト及びMIPMPMリストの構造については、VVCの輝度イントラ予測において、現在ブロックが選択した最適モードは従来モードである場合、6つの最も可能な従来モードを含むMPMリストを構築する必要があり、現在ブロックが選択した最適モードはMIPモードである場合、3つの最も可能なMIPモードを含むMIPMPMリストを構築する必要がある。
【0026】
図3は現在ブロックの上側隣接輝度ブロック及び左側隣接輝度ブロックの分布模式図である。図3に示すように、上記2つのリストはいずれも図3に示される現在ブロックの上側隣接輝度ブロック(A)及び左側隣接輝度ブロック(L)の最適モードに基づいて導出されるものである。
【0027】
更に、MIPMPMリストの構造については、VVCのイントラ予測において、現在ブロックの最適モードがMIPモードである場合、MIPMPMリストを構築する必要がある。MIPMPMリストの構築過程において、まず、上側隣接輝度ブロックの最適モードに対応するMIPモードABOVE_MIP及び左側隣接輝度ブロックの最適モードに対応するMIPモードLEFT_MIPモードを取得する必要がある。
【0028】
更に、LEFT_MIP及びABOVE_MIPを取得した後、下記方法に基づいて3つの最も可能なMIPMPMモードを含むMIPMPMリストの構築を行う。このうち、MIPMPMにおける番号がMIPモードである番号については、番号範囲は0~(M-1)であり、第1種類の輝度ブロックの番号が0~34であり、第2種類の輝度ブロックの番号が0~18であり、第3種類の輝度ブロックの番号が0~10である。該方法は、
LEFT_MIPが利用可能である(-1ではない)場合、LEFT_MIPをMIPMPMlistに入れることと、
ABOVE_MIPが利用可能である(-1ではない)場合、ABOVE_MIPを冗長検査後にMIPMPMlistに入れることと、
LEFT_MIPが利用不可能であり(-1である)、且つABOVE_MIPが利用不可能である(-1である)場合、現在ブロックのタイプに基づいて、MIPMPMlistが満たされるまで、デフォルトリストを冗長検査した後にMIPMPMlistに入れ、
第1種類の輝度ブロックのデフォルトリストが{17,34,5}であり、
第2種類の輝度ブロックのデフォルトリストが{0,7,16}であり、
第3種類の輝度ブロックのデフォルトリストが{1,4,6}であることと、を含む。
【0029】
更に、VVCの色度イントラ予測過程において、成分同士の関連性を利用するダイレクトモード(DM、Direct Mode)は、現在ブロックに対応する同一位置の輝度符号化ブロックの中心位置のイントラ予測モードを使用して現在の色度ブロックのイントラ予測を行う。図4はDMモードを決定する分布模式図である。図4に示すように、MIP技術は輝度符号化ブロックのみに適用され、従って、図4におけるCR位置のイントラ予測モードがMIPモードである場合、該MIPモードを「MIP-従来のマッピングテーブル」によって従来モードにマッピングして、現在の色度ブロックのイントラ予測を行う必要がある。表1はMIP-従来のマッピングテーブルである。
【0030】
【表1】
【0031】
即ち、MIP技術が導入されるため、イントラ予測過程において、MIPMPMリストを構築するとき、従来モードをMIPモードにマッピングする必要があり、MPMリストの構築及びDMモードの決定において、MIPモードを従来モードにマッピングする必要がある。
【0032】
また、MPMリストの構築過程及びDMモードの取得過程において、MIPモードから従来モードへのマッピングを行う必要がある。具体的に、「MIP-従来のマッピングテーブル」によって35/19/11種類のMIPモードを67種類の従来モードにマッピングする。3種類のタイプの輝度ブロックに対する3種類の「MIP-従来のマッピングテーブル」は表2、表3及び表4に示される。
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
図5はビデオ符号化システムの構造模式図である。図5に示すように、該ビデオ符号化システム100は変換及び量子化モジュール101、イントラ推定モジュール102、イントラ予測モジュール103、動き補償モジュール104、動き推定モジュール105、逆変換及び逆量子化モジュール106、フィルタ制御分析モジュール107、デブロッキングフィルタリング及びサンプルアダプティブオフセット(SAO、Sample Adaptive 0ffset)フィルタリングモジュール108、ヘッダ情報符号化及びコンテキスト適応型二値算術符号化(CABAC、Context-based Adaptive Binary Arithmatic Coding)符号化モジュール109、並びに復号化画像バッファモジュール110等の部材を備える。図6はビデオ復号化システムの構造模式図である。図6に示すように、該ビデオ復号化システム200はヘッダ情報復号化及びCABAC復号化モジュール201、逆変換及び逆量子化モジュール202、イントラ予測モジュール203、動き補償モジュール204、デブロッキングフィルタリング及びSAOフィルタリングモジュール205、並びに復号化画像バッファモジュール206等の部材を備える。ビデオ画像はビデオ符号化システム100における変換及び量子化モジュール101、イントラ推定モジュール102、イントラ予測モジュール103、動き補償モジュール104、動き推定モジュール105、デブロッキングフィルタリング及びSAOフィルタリングモジュール108、並びにヘッダ情報符号化及びCABAC符号化モジュール109等の部分により処理された後、該ビデオ画像のビットストリームを出力する。該ビットストリームはビデオ復号化システム200に入力され、ビデオ復号化システム200におけるヘッダ情報復号化及びCABAC復号化モジュール201、逆変換及び逆量子化モジュール202、イントラ予測モジュール203、並びに動き補償モジュール204等の部分により処理され、最終的に元のビデオ画像を回復する。
【0037】
高さパラメータ及び幅パラメータに基づいて、現在ブロックは25種類のサイズを有してもよい。具体的に、標準には輝度ブロックの最大サイズが128×128であることが規定されているが、変換ユニットの最大サイズが64×64であり、即ち輝度ブロックが128×128のサイズの場合にまず四分木分割を行わなければならないため、輝度ブロックの最大サイズは64×64である。表5は輝度ブロックのサイズを示す表であり、表5に示すように、
【0038】
【表5】
【0039】
従来技術において、現在ブロックの高さパラメータ及び幅パラメータに基づいて、MIPモードを制限する。具体的に、現在ブロックの幅/高さが4より大きく、又は高さ/幅が4より大きい場合、MIPモードによって現在ブロックを符号化しない。表6は従来技術におけるMIPモードにおいて輝度ブロックのサイズを限定する表であり、表6に示すように、
【0040】
【表6】
【0041】
従来技術において、MIPモードの第1種類の輝度ブロックにおいて(4×4の輝度ブロックに対応する)、上隣接及び左隣接輝度ブロックはそれぞれ2つあり、マトリックス演算によって4×4の予測ブロックを生成し、MIPモードの第2種類の輝度ブロックにおいて(4×8、8×4、8×8の輝度ブロックに対応する)、上隣接及び左隣接輝度ブロックはそれぞれ4つあり、マトリックス演算によって4×4の予測ブロックを生成し、MIPモードの第3種類の輝度ブロックにおいて(他のサイズの輝度ブロックに対応する)、上隣接及び左隣接輝度ブロックはそれぞれ4つあり、マトリックス演算によって4×8の予測ブロック(4×16の輝度ブロック)、8×4の予測ブロック(16×4の輝度ブロック)又は8×8の予測ブロック(他のサイズの輝度ブロック)を生成する。第3種類の輝度ブロックは非正方形の予測ブロックを生成するため、計算時にマトリックスに対して奇数行の抽出を行う必要がある。
【0042】
更に、文法において、MipSizeIdでMIPのアプリケーションカテゴリを示してもよく、即ちMipSizeIdはMIPブロックサイズインデックス番号であり、numModesはMIPモードの数を示し、boundarySizeはダウンサンプリングにより取得された上参照行又は左参照列の輝度ブロックの個数を示し、predWは予測ブロックの幅パラメータを示し、predHは予測ブロックの高さパラメータを示し、predCはMIPのマトリックスの辺長を示す。表7は従来技術におけるMIPモードに対応する文法関係である。表7に示すように、文法におけるMipSizeId、numModes、boundarySize、predW、predH、predCは下記関係を有する。
【0043】
【表7】
【0044】
更に、文法において、MIPブロックサイズインデックス番号の値が0である場合は4×4の輝度ブロックを示し、値が1である場合は4×8、8×4、8×8の輝度ブロックを示し、値が2である場合は他のサイズの輝度ブロックを示す。numModesは合計していくつの種類のMIP予測モードがあるかを示し、即ち、4×4の輝度ブロックが合計して35種類あり、4×8、8×4、8×8の輝度ブロックが合計して19種類あり、他のサイズの輝度ブロックが合計して11種類あることを示す。boundarySizeは現在ブロックの上行又は左列の隣接輝度ブロックが最終的に2つ又は4つの隣接輝度ブロックにダウンサンプリングされることを示す。
【0045】
従来技術において、エンコーダはMIPモードにより輝度予測を行うとき、下記公式(2)により行ってもよい。
【数2】
ここで、mWeightとvBiasは各MIPモードが深層学習により訓練した重みマトリックス及びオフセットマトリックスである。具体的に、mWeightは各種類のMIPモードの重みマトリックスであり、vBiasは各種類のMIPモードのオフセットマトリックスである。sBはオフセットマトリックスの左シフト量であり、oWは四捨五入後の保持値であり、sWは全体予測値の右シフト量であり、テーブルルックアップによって異なるMIPモードにおけるsW値を取得する必要がある。
【0046】
JVET-N1001-v7に基づいてMIPの予測マトリックスを生成するとき、エンコーダは変数incW及びincHによって奇数行の予測値を抽出する必要があるかどうかを判断し、fO変数はmWeightから引く必要がある数値を代表し、具体的に、
【数3】
ここで、incW=2又はincH=2は幅パラメータ又は高さパラメータにおいて抽出する必要があることを示す。
【0047】
表8は従来技術におけるsWの文法についての説明である。表8に示すように、MIPモードにおいてsWの値がマッピング関係であり、従って、表8によってすべてのモードにおけるsWの値を取得することができる。
【0048】
【表8】
【0049】
表9は従来技術におけるfOの文法についての説明である。表9に示すように、MIPモードにおける予測値の計算過程において、fO変数はmWeightから引く必要がある数値を代表し、且つ、テーブルルックアップによって異なる輝度ブロックの異なるMIPモードにおけるfO値を取得する必要がある。mWeightは各MIPモードが深層学習により訓練した重みマトリックスである。
【0050】
表9におけるfOの文法についての説明から分かるように、fOの値は輝度ブロックのサイズ及びモード番号のいずれも関連する。
【0051】
【表9】
【0052】
表9におけるfOの値は輝度ブロックのサイズ及びモード番号のいずれも関連し、即ち異なるMIPモードにおけるfOの文法についての説明は異なるため、エンコーダがMIPモードによって輝度予測を行うとき、異なるMipSizeId又は異なるMIPモード番号(modeId)の現在符号化ブロックに対するfOの値が異なる可能性がある。このため、アルゴリズムが統一化されておらず、且つ上記表9のルックアッププロセスがアルゴリズムの時間複雑性を増加させ、表9の記憶が記憶空間を占有する必要もある。
【0053】
以上から分かるように、従来技術において、MIPモードによって輝度予測を行うとき、異なるサイズの輝度ブロックが用いるパラメータは異なる可能性もある。このため、比較的大きな記憶空間を占有して大量のパラメータを記憶する必要がある。且つ、予測過程においてパラメータの検索及び呼び出しは全体時間の増加を引き起こすため、符号化/復号化効率を低下させてしまう。
【0054】
上記問題を解決するために、本願は画像符号化方法を提供する。一方では、エンコーダは予め記憶されるインデックス番号及びオフセット量を設定し、即ちMipSizeIdとfOとの対応関係を設定することにより、符号化時に現在ブロックfOの値を現在ブロックのサイズのみに関連付けさせることができ、それによりMIPの実現をより簡潔で統一化することができる。もう一方では、MipSizeIdとfOとの対応関係は1次元配列又は類似機能を持つデータ構造で記憶されてもよく、それにより次元を低減し、fO自体が占有する記憶空間を節約する。更に一方では、エンコーダはfOを統一して修正更新するとき、更に更新後のfOを利用して対応のmWeightを更新することができ、それにより符号化性能の低下を回避することができる。
【0055】
更に、本願に係る画像符号化方法は、ビデオ符号化混合フレームワークにおけるイントラ予測部に影響することができ、即ち、主にビデオ符号化におけるイントラ予測モジュール103及びビデオ復号化におけるイントラ予測モジュール203に適用され、符号化側及び復号化側に同時に作用する。
【0056】
以下、本願の実施例の図面を参照しながら、本願の実施例の技術案を明確且つ完全に説明する。
【0057】
本願の一実施例では、図7は画像符号化方法の実現フローチャートである。図7に示すように、本願の実施例では、エンコーダが画像符号化を行う方法は、以下のステップを含んでもよい。
【0058】
ステップ701、現在ブロックのサイズを決定する。
【0059】
本願の実施例では、エンコーダはまず現在ブロックのサイズを決定してもよく、現在ブロックが符号化待ちの現在符号化ブロックであってもよい。即ち、エンコーダは現在ブロックを符号化する前に、まず現在ブロックの具体的なサイズを決定してもよい。
【0060】
更に、本願の実施例では、現在ブロックは符号化待ちの輝度ブロックであってもよい。
【0061】
なお、本願の実施例では、現在ブロックの高さパラメータH及び幅パラメータWに基づいて、現在ブロックのサイズは25種類のサイズを含んでもよい。具体的に、標準には現在ブロックの最大サイズが128×128であることが規定されているが、変換ユニットの最大サイズが64×64であり、即ち現在ブロックが128×128のサイズの場合にまず四分木分割を行わなければならないため、現在ブロックの最大サイズは64×64である。
【0062】
具体的に、上記表5に示すように、現在ブロックのサイズ(H×W)は(4×4)、(4×8)、(4×16)、(4×32)、(4×64)、(8×4)、(8×8)、(8×16)、(8×32)、(8×64)、(16×4)、(16×8)、(16×16)、(16×32)、(16×64)、(32×4)、(32×8)、(32×16)、(32×32)、(32×64)、(64×4)、(64×8)、(64×16)、(64×32)、(64×64)の25種類のサイズを含んでもよい。
【0063】
ステップ702、MIPモードを利用して現在ブロックを符号化するとき、現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定する。
【0064】
本願の実施例では、エンコーダはMIPモードを利用して現在ブロックを符号化するとき、まず現在ブロックのサイズに基づいて、現在ブロックに対応する第1オフセット量を決定してもよい。上記公式(2)に基づいて、現在ブロックに対応する第1オフセット量は重みマトリックスmWeightから引く必要がある数値を示すfOであってもよい。
【0065】
なお、本願の実施例では、異なるサイズの現在ブロックに対して、エンコーダは異なる第1オフセット量を設定して符号化処理してもよい。具体的に、エンコーダはまず現在ブロックのサイズに基づいて現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号を決定してもよく、次に、MIPブロックサイズインデックス番号に基づいて現在ブロックに対応する第1オフセット量を更に決定してもよい。
【0066】
更に、本願の実施例では、現在ブロックのMIPブロックサイズインデックス番号は現在ブロックのサイズに基づいて決定したMipSizeIdであり、現在ブロックの第1オフセット量は現在ブロックのmWeightから引く必要があるパラメータを示すfOである。
【0067】
理解されるように、本願の実施例では、エンコーダは現在ブロックのサイズに基づいて現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号を決定するとき、具体的に、
現在ブロックのサイズが4×4である場合、MipSizeIdの値を0とするステップ(1)、
現在ブロックのサイズが4×8、8×4又は8×8である場合、MipSizeIdの値を1とするステップ(2)、
現在ブロックのサイズが他の値である場合、MipSizeIdの値を2とするステップ(3)に基づいて行うことができる。
【0068】
更に、本願の実施例では、エンコーダはMipSizeIdとfOとの対応関係を予め設定することができ、即ち、エンコーダは予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係を設定する。従って、エンコーダは現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号を決定した後、予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係に基づいて、マッピングによって現在ブロックに対応する第1オフセット量を取得することができる。
【0069】
なお、本願の実施例では、予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係に基づいて、同じMIPブロックサイズインデックス番号に対応する第1オフセット量は同じである。即ち、本願の実施例では、エンコーダがMIPモードを利用して現在ブロックを符号化するとき、エンコーダは現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号を直接に利用して、現在ブロックに対応する第1オフセット量を決定することができ、それにより第1オフセット量を更に利用して符号化処理することができる。
【0070】
本願の実施例では、更に、MIPモードに基づいて現在ブロックを符号化する前に、エンコーダはまず予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係を設定してもよい。即ち、エンコーダはまず異なるMipSizeIdに対して異なるfOを設定する必要がある。
【0071】
更に、本願の実施例では、エンコーダが予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係を設定するとき、同じMipSizeIdの輝度ブロックに対して、エンコーダはこれらの輝度ブロックに対応するfOを同じ数値として設定してもよい。即ち、本願では、エンコーダは同じMipSizeIdを有する輝度ブロックに対応するfOを統一して設定してもよい。例えば、表10は予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係1である。表10に示すように、エンコーダは直接に同じMipSizeIdに対して同じfOを設定してもよく、これにより、エンコーダは現在ブロックを符号化するとき、直接に現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号に基づいて対応の第1オフセット量の値を決定することができる。例えば、現在ブロックのサイズが4×4である場合、エンコーダは現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号の値が0であることを決定することができ、それによりエンコーダは表10に示されるMipSizeIdとfOとの対応関係によって、現在ブロックに対応する第1オフセット量が66であることを決定することができる。
【0072】
【表10】
【0073】
表11は予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係2である。表11に示すように、エンコーダは直接に同じMipSizeIdに対して同じfOを設定してもよく、これにより、エンコーダは現在ブロックを符号化するとき、直接に現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号に基づいて対応の第1オフセット量の値を決定することができる。例えば、現在ブロックのサイズが4×4である場合、エンコーダは現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号の値が0であることを決定することができ、これにより、エンコーダは表11に示されるMipSizeIdとfOとの対応関係によって、現在ブロックに対応する第1オフセット量が34であることを決定することができる。
【0074】
【表11】
【0075】
以上から分かるように、上記表9と比べて、本願の上記表10、表11において、エンコーダは現在ブロックに対応する第1オフセット量を決定するとき、MipSizeId及びMIPモード番号(modeId)の2つの変数の値に基づいて現在ブロックに対応する第1オフセット量を決定する必要がなく、MipSizeIdの1つのパラメータのみに基づいて現在ブロックに対応する第1オフセット量を取得することができる。これにより、演算の複雑性を低下させることができるとともに、上記表9を例とするfOを記憶するための2次元テーブルの記憶オーバーヘッドを節約する。
【0076】
更に、本願の実施例では、エンコーダは予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係を設定するとき、まず元のfOの文法についての説明に基づいて、同一MipSizeIdの異なるMIPモード番号(modeId)に対応するfOのうちの数値が最も大きいfOを決定し、次に、該数値が最も大きいfOを該1つのMipSizeIdに対応する第1オフセット量として決定してもよい。例えば、表9に示される元のfOの文法についての説明に基づいて、MipSizeIdが0である場合、数値が最も大きいfOはモード番号(modeId)が15である場合の66であることを決定することができる。従って、エンコーダはMipSizeIdが0であるすべてのモード番号(modeId)に対応するfOをいずれも66として設定してもよく、即ち、MipSizeIdが0であることとfOが66であることとの対応関係を確立する。対応的に、表9に示される元のfOの文法についての説明に基づいて、MipSizeIdが1である場合、数値が最も大きいfOはモード番号(modeId)が3である場合の45であることを決定することができる。従って、エンコーダはMipSizeIdが1であるすべてのモード番号(modeId)に対応するfOをいずれも45として設定してもよく、即ち、MipSizeIdが1であることとfOが45であることとの対応関係を確立する。対応的に、表9に示される元のfOの文法についての説明に基づいて、MipSizeIdが2である場合、数値が最も大きいfOはモード番号(modeId)が1である場合の46であることを決定することができる。従って、エンコーダはMipSizeIdが2である場合のすべてのモード番号(modeId)に対応するfOをいずれも46として設定してもよく、即ち、MipSizeIdが2であることとfOが46であることとの対応関係を確立する。そうすると、上記表10が取得される。
【0077】
具体的に、エンコーダは上記表10、表11を利用してfOを取得する前に、現在ブロックに対応するMipSizeId及びmodeIdを同時に決定する必要がなく、現在ブロックのサイズを利用してMipSizeIdを決定するだけで、現在ブロックに対応するfOを取得することができる。
【0078】
理解されるように、本願の実施例では、上記表10に示されるMipSizeIdとfOとの対応関係は1次元配列であり、従って、エンコーダは1次元配列又は類似機能を持つデータ構造を利用してMipSizeIdとfOとの対応関係を記憶することができる。上記表9と比べて、配列の次元を低減し、配列自体が占有する記憶空間を節約する。
【0079】
ステップ703、第1オフセット量と現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算する。
【0080】
本願の実施例では、エンコーダは現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定した後、第1オフセット量と現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算して取得することができる。第2オフセット量は上記公式(2)におけるoWであってもよく、具体的に、第2オフセット量はビットシフト操作のオフセット量を制御するものであってもよい。例えば、上記公式(2)におけるoWは四捨五入後の保持値であり、上記公式(3)により計算して取得されてもよい。
【0081】
なお、本願の実施例では、エンコーダは、現在ブロックのサイズに基づいて現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号を決定して、且つ予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係に基づいて現在ブロックに対応する第1オフセット量を決定した後、上記公式(3)に基づいて、第1オフセット量を利用して現在ブロックに対応する第2オフセット量を計算して取得することができる。具体的に、エンコーダは第2オフセット量を決定するとき、更に現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値を利用して計算する必要がある。
【0082】
ステップ704、第2オフセット量に基づいて現在ブロックの第1予測値を決定する。
【0083】
本願の実施例では、エンコーダは第1オフセット量と現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とに基づいて第2オフセット量を計算した後、第2オフセット量に基づいて現在ブロックに対応する第1予測値を決定することができる。
【0084】
なお、本願の実施例では、エンコーダは第2オフセット量に基づいて現在ブロックの第1予測値を決定するとき、まず第2オフセット量によって現在ブロックにおけるプリセット位置の画素の第2予測値を計算してもよく、次に、第2予測値をフィルタリング処理してもよく、それにより現在ブロックにおけるすべての画素の第1予測値を取得することができる。
【0085】
更に、本願の実施例では、プリセット位置は現在ブロックにおける特定位置であってもよく、具体的に、プリセット位置は現在ブロックにおける一部の画素の特定位置であってもよい。即ち、本願では、エンコーダは第2オフセット量によって第2予測値を計算し、該第2予測値は現在ブロックにおけるすべての画素の予測値ではなく、現在ブロックにおける一部の特定位置の画素の予測値である。
【0086】
なお、本願の実施例では、エンコーダは第2オフセット量によって現在ブロックにおける一部の特定位置の画素の第2予測値を計算して取得した後、第2予測値をフィルタリング処理してもよく、それにより現在ブロックにおけるすべての画素の予測値を取得し、即ち現在ブロックに対応する第1予測値を取得することができる。
【0087】
理解されるように、本願の実施例では、第2オフセット量は第2予測値の計算過程において、ビットシフト操作のオフセット量を制御することに用いられてもよい。
【0088】
ステップ705、第1予測値に基づいて現在ブロックを符号化する。
【0089】
本願の実施例では、エンコーダは第2オフセット量に基づいて現在ブロックの第1予測値を決定した後、第1予測値に基づいて現在符号化ブロックを符号化処理することができ、それにより現在ブロックに対応するビットストリームを取得することができる。
【0090】
更に、本願の実施例では、エンコーダは第1予測値に基づいて現在ブロックを符号化するとき、まず現在ブロックのオリジナル値と第1予測値との予測差を計算してもよく、次に予測差の値を符号化してもよい。
【0091】
なお、本願の実施例では、エンコーダは現在ブロックを符号化するとき、直接に現在ブロックの第1予測値を符号化することなく、第1予測値と現在ブロックに対応するオリジナル値とに基づいて、それらの差値、即ち予測差を決定し、次に予測差を符号化処理する。これにより、符号化/復号化効率を効果的に向上させることができる。
【0092】
本願の実施例は画像符号化方法を提供し、エンコーダは、現在ブロックのサイズを決定し、MIPモードを利用して現在ブロックを符号化するとき、現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定し、第1オフセット量と現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算し、第2オフセット量に基づいて現在ブロックの第1予測値を決定し、第1予測値に基づいて現在ブロックを符号化する。以上から分かるように、本願に係る画像符号化方法は、MIPモードを利用して符号化するとき、現在ブロックのサイズに基づいて現在ブロックに対応する第1オフセット量を直接決定することができ、次に、第1オフセット量を利用して現在ブロックを符号化処理することができる。即ち、本願では、予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係に基づいて、現在ブロックのサイズに対応するMIPブロックサイズインデックス番号を決定した後、MIPブロックサイズインデックス番号に対応する第1オフセット量を直接取得することができる。これにより、符号化処理を行うとき、MIPアルゴリズムの複雑性を低下させ、符号化性能を確保する上で、符号化過程に必要な記憶空間及び全体時間を減少させ、符号化効率を効果的に向上させることができる。
【0093】
上記実施例に基づいて、本願の他の実施例では、エンコーダは予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係を予め設定し、従って、エンコーダは現在ブロックを符号化するとき、現在ブロックのサイズに基づいて現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号を決定するだけで、予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係を利用して対応の第1オフセット量を決定することができる。即ち、本願では、予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係に基づいて、エンコーダはMipSizeId及びmodeIdの2つの変数の値に基づいてfOの値を決定する必要がなく、直接にMipSizeIdに基づいてfOの値を決定することができる。これにより、演算の複雑性を大幅に低下させ、MipSizeId、modeId及びfOの対応関係を記憶するための2次元テーブルの記憶オーバーヘッドを節約することができる。
【0094】
即ち、従来技術において、上記公式(2)におけるfOはmWeightから引く必要がある数値を代表し、且つ、上記表9に示されるMipSizeId、modeId及びfOの対応関係を検索することにより現在ブロックのfO値を取得する必要がある。以上から分かるように、fOの値は現在ブロックのサイズ及びモード番号のいずれも関連するため、アルゴリズムが統一化されないとともに、上記表9におけるMipSizeId、modeId及びfOの対応関係の記憶が比較的大きな記憶空間を占有する必要がある。上記と比べて、本願では、MipSizeIdとfOとの対応関係のみを記憶する必要があり、且つ、同じMipSizeIdに対して、modeIdが異なっても、対応のfOの値も同じであり、それにより記憶空間を節約するだけでなく、演算の複雑性も低下させる。
【0095】
具体的に、本願の実施例では、文法において、本願はMIPの予測計算過程の文法を簡素化し、同じMipSizeIdのfOを統一して修正し、即ち、現在ブロックのサイズのみに基づいて対応のfOを決定することができる。
【0096】
本願の実施例では、更に、エンコーダはMIPの予測計算過程の文法を簡素化するとき、直接に異なるMipSizeId、異なるmodeIdのいかなる輝度ブロックに対応するfOをいずれも同じ数値として設定してもよく、即ち、fOを固定数値とし、輝度ブロックのサイズとfOとの関連性をキャンセルし、すべての状況におけるfOをいずれも統一数値として定義し、fOに関連するテーブルを記憶しない。これにより、MIPアルゴリズムの複雑性を更に低下させ、アルゴリズムの記憶空間を減少させ、MIP技術の実現及び文法をより簡潔で統一化することができる。
【0097】
本願の実施例では、更に、符号化性能の損失を回避するために、エンコーダはfOを統一して修正すると同時に、更にmWeightの値を対応して修正する必要がある。具体的に、エンコーダは予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係を設定した後、現在ブロックに対応する重みマトリックスmWeightにおける各重み値に対応モードにおけるfOの増大部分を加えてもよく、即ち、現在ブロックのmWeightに対応するオリジナルmWeightにおける各オリジナル重み値に更新後のfOを加えてもよい。これにより、符号化性能が完全に変化しないように維持することができ、即ち、エンコーダはfOを同時に利用してmWeightを対応して更新することができ、それにより記憶空間を減少させ、演算複雑性を低下させることができるとともに、更に、符号化性能が基本的に変化しないように維持すると同時に、予測計算結果が変化しないように維持することもできる。
【0098】
なお、本願の実施例では、エンコーダはfOを利用してmWeightを対応して更新するとき、更新後のmWeightには所定の重み閾値より大きい重み値がある場合、該重み値を所定の重み閾値以下に設定してもよい。例えば、エンコーダは所定の重み閾値を7桁2進数の上限値127として設定し、更新後のmWeightには127より大きい重み値がある場合、クランプ方式で127より大きい重み値を所定の重み閾値以下に修正してもよく、例えば、127として設定する。
【0099】
更に、本願の実施例では、更新後のmWeightには所定の重み閾値より大きい重み値がある場合、更にsWを減少することにより更新後のmWeightにおけるすべての重み値を所定の重み閾値範囲内に維持することができる。
【0100】
更に、本願の実施例では、符号化性能をより良く維持するために、更に公式(9)に示される疑似コードを使用してp[0]パラメータの値を計算し、即ち公式(9)で公式(6)を代替してもよい。理解されるように、公式(9)を用いる計算方法はMIPマトリックスにおけるデータの動的範囲を縮小することができる。
【数4】
【0101】
例示的に、MipSizeIdの値が0である輝度ブロックについては、fOを統一して修正する前に、初期のfOの文法についての説明は表12に示されるように、異なるMIPモード番号(modeId)に対するfOの値が異なる。
【0102】
【表12】
【0103】
modeIdの値が1であるfOは21であり、対応のmWeightは表13に示される。
【0104】
【表13】
【0105】
上記表12に基づいて、modeIdが1である場合の値が21であるfOを利用して、modeIdの値が1である場合の対応のオリジナルmWeightを取得することができる。具体的に、上記表13における各重み値と21を減算演算することができ、それにより対応のオリジナルmWeightを取得することができ、該対応のオリジナルmWeightは表14に示される。
【0106】
【表14】
【0107】
本願の実施例では、mWeightに対応するオリジナルmWeightを更新するとき、MIPマトリックスにおけるデータの動的範囲を縮小するために、エンコーダは公式(9)で公式(6)を代替する。
【0108】
【表15】
【0109】
具体的に、MipSizeIdの値が0と1である輝度ブロックのすべてのMIPモード番号(modeId)に対応するすべてのオリジナルmWeightの第1列を反転する必要がある。例えば、上記表14に基づいて第1列の重み値を反転して取得した初期の更新後のmWeightは表15に示される。
【0110】
上記表12におけるfO数値が最も大きいのはMIPモード番号(modeId)が0である場合の34であり、従って、エンコーダはfOを統一して修正するとき、直接にMipSizeIdが0であるすべての輝度ブロックに対応するfOをいずれも34として設定してもよい。即ち、取得された更新後のfOの文法についての説明は表16に示される。
【0111】
【表16】
【0112】
同時に、エンコーダは値が34であるfOを利用してMIPモード番号(modeId)が1である輝度ブロックの初期の更新後のmWeightを更新し続け、即ち上記表15に基づいて表15における各重み値に34を加えてもよく、それにより更新後のmWeightを取得することができる。該更新後のmWeightは表17に示される。
【0113】
【表17】
【0114】
理解されるように、この過程において、更新後のmWeightには所定の重み閾値より大きい重み値があり、従って、該重み値を所定の重み閾値範囲内にクランプすることができるだけでなく、sWを減少することにより更新後のmWeightにおけるすべての重み値を所定の重み閾値範囲内に維持することもできる。
【0115】
上記説明から理解されるように、本願では、一方では、エンコーダは予め記憶されるインデックス番号及びオフセット量を設定し、即ちMipSizeIdとfOとの対応関係を設定することにより、符号化時に現在ブロックfOの値を現在ブロックのサイズのみに関連付けさせることができ、それによりMIPの実現をより簡潔で統一化することができる。もう一方では、MipSizeIdとfOとの対応関係は1次元配列又は類似機能を持つデータ構造で記憶されてもよく、それにより次元を低減し、fO自体が占有する記憶空間を節約する。更に一方では、エンコーダはfOを統一して修正更新するとき、更に更新後のfOを利用して対応のmWeightを更新することができ、それにより符号化性能の低下を回避することができる。
【0116】
本願の実施例は画像符号化方法を提供し、エンコーダは、現在ブロックのサイズを決定し、MIPモードを利用して現在ブロックを符号化するとき、現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定し、第1オフセット量と現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算し、第2オフセット量に基づいて現在ブロックの第1予測値を決定し、第1予測値に基づいて現在ブロックを符号化する。以上から分かるように、本願に係る画像符号化方法は、MIPモードを利用して符号化するとき、現在ブロックのサイズに基づいて現在ブロックに対応する第1オフセット量を直接決定することができ、次に、第1オフセット量を利用して現在ブロックを符号化処理することができる。即ち、本願では、予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係に基づいて、現在ブロックのサイズに対応するMIPブロックサイズインデックス番号を決定した後、MIPブロックサイズインデックス番号に対応する第1オフセット量を直接取得することができる。これにより、符号化処理を行うとき、MIPアルゴリズムの複雑性を低下させ、符号化性能を確保する上で、符号化過程に必要な記憶空間及び全体時間を減少させ、符号化効率を効果的に向上させることができる。
【0117】
本願の他の実施例では、図8は画像復号化方法の実現フローチャートである。図8に示すように、本願の実施例では、デコーダが画像復号化を行う方法は、以下のステップを含んでもよい。
【0118】
ステップ801、ビットストリームを復号化して、現在ブロックのサイズ及び符号化モードを取得する。
【0119】
本願の実施例では、デコーダはまず現在ブロックのサイズ及び符号化モードを決定してもよく、現在ブロックが復号化待ちの現在符号化ブロックであってもよい。即ち、デコーダは現在ブロックを復号化する前に、まず現在ブロックの具体的なサイズ及び符号化モードを決定してもよい。
【0120】
なお、本願の実施例では、現在ブロックの符号化モードは67種類の従来のイントラ予測モード又はMIPモードであってもよい。
【0121】
更に、本願の実施例では、現在ブロックは復号化待ちの輝度ブロックであってもよい。
【0122】
なお、本願の実施例では、現在ブロックの高さパラメータH及び幅パラメータWに基づいて、現在ブロックのサイズは25種類のサイズを含んでもよい。具体的に、標準には現在ブロックの最大サイズが128×128であることが規定されているが、変換ユニットの最大サイズが64×64であり、即ち現在ブロックが128×128のサイズの場合にまず四分木分割を行わなければならないため、現在ブロックの最大サイズは64×64である。
【0123】
ステップ802、現在ブロックの符号化モードがMIPモードである場合、現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定する。
【0124】
本願の実施例では、デコーダは現在ブロックの符号化モードがMIPモードであることを決定した後、まず現在ブロックのサイズに基づいて、現在ブロックに対応する第1オフセット量を決定してもよい。上記公式(2)に基づいて、現在ブロックに対応する第1オフセット量はmWeightから引く必要がある数値を示すfOであってもよい。
【0125】
なお、本願の実施例では、異なるサイズの現在ブロックに対して、デコーダは異なる第1オフセット量を設定して復号化処理してもよい。具体的に、デコーダはまず現在ブロックのサイズに基づいて現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号を決定してもよく、次に、MIPブロックサイズインデックス番号に基づいて現在ブロックに対応する第1オフセット量を更に決定してもよい。
【0126】
更に、本願の実施例では、現在ブロックのMIPブロックサイズインデックス番号は現在ブロックのサイズに基づいて決定したMipSizeIdであり、現在ブロックの第1オフセット量は現在ブロックのmWeightから引く必要があるパラメータを示すfOである。
【0127】
理解されるように、本願の実施例では、デコーダは現在ブロックのサイズに基づいて現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号を決定するとき、具体的に、
現在ブロックのサイズが4×4である場合、MipSizeIdの値を0とするステップ(1)、
現在ブロックのサイズが4×8、8×4又は8×8である場合、MipSizeIdの値を1とするステップ(2)、
現在ブロックのサイズが他の値である場合、MipSizeIdの値を2とするステップ(3)に基づいて行うことができる。
【0128】
更に、本願の実施例では、デコーダはMipSizeIdとfOとの対応関係を予め設定することができ、即ち、デコーダは予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係を設定する。従って、デコーダは現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号を決定した後、予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係に基づいて、マッピングによって現在ブロックに対応する第1オフセット量を取得することができる。
【0129】
なお、本願の実施例では、予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係に基づいて、同じMIPブロックサイズインデックス番号に対応する第1オフセット量は同じである。即ち、本願の実施例では、デコーダがMIPモードを利用して現在ブロックを復号化するとき、デコーダは現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号を直接に利用して、現在ブロックに対応する第1オフセット量を決定することができ、それにより第1オフセット量を更に利用して復号化処理することができる。
【0130】
本願の実施例では、更に、MIPモードに基づいて現在ブロックを復号化する前に、デコーダはまず予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係を設定してもよい。即ち、デコーダはまず異なるMipSizeIdに対して異なるfOを設定する必要がある。
【0131】
更に、本願の実施例では、デコーダが予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係を設定するとき、同じMipSizeIdの輝度ブロックに対して、デコーダはこれらの輝度ブロックに対応するfOを同じ数値として設定してもよい。即ち、本願では、デコーダは同じMipSizeIdを有する輝度ブロックに対応するfOを統一して設定してもよい。例えば、上記表10において、現在ブロックのサイズが4×4である場合、デコーダは現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号が0であることを決定することができ、これにより、デコーダは表10に示されるMipSizeIdとfOとの対応関係によって、現在ブロックに対応する第1オフセット量が66であることを決定することができる。上記表11において、現在ブロックのサイズが4×4である場合、デコーダは現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号の値が0であることを決定することができ、これにより、デコーダは表11に示されるMipSizeIdとfOとの対応関係によって、現在ブロックに対応する第1オフセット量が34であることを決定することができる。
【0132】
以上から分かるように、上記表9と比べて、本願の上記表10、表11において、デコーダは現在ブロックに対応する第1オフセット量を決定するとき、MipSizeId及びMIPモード番号(modeId)の2つの変数の値に基づいて現在ブロックに対応する第1オフセット量を決定する必要がなく、MipSizeIdの1つのパラメータのみに基づいて現在ブロックに対応する第1オフセット量を取得することができる。これにより、演算の複雑性を低下させることができるとともに、上記表9を例とするfOを記憶するための2次元テーブルの記憶オーバーヘッドを節約する。
【0133】
更に、本願の実施例では、デコーダは予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係を設定するとき、まず元のfOの文法についての説明に基づいて、同一MipSizeIdの異なるMIPモード番号(modeId)に対応するfOのうちの数値が最も大きいfOを決定し、次に、該数値が最も大きいfOを該1つのMipSizeIdに対応する第1オフセット量として決定してもよい。例えば、表9に示される元のfOの文法についての説明に基づいて、MipSizeIdが0である場合、数値が最も大きいfOはモード番号(modeId)が15である場合の66であることを決定することができる。従って、デコーダはMipSizeIdが0であるすべてのモード番号(modeId)に対応するfOをいずれも66として設定してもよく、即ち、MipSizeIdが0であることとfOが66であることとの対応関係を確立する。対応的に、表9に示される元のfOの文法についての説明に基づいて、MipSizeIdが1である場合、数値が最も大きいfOはモード番号(modeId)が3である場合の45であることを決定することができる。従って、デコーダはMipSizeIdが1であるすべてのモード番号(modeId)に対応するfOをいずれも45として設定してもよく、即ち、MipSizeIdが1であることとfOが45であることとの対応関係を確立する。対応的に、表9に示される元のfOの文法についての説明に基づいて、MipSizeIdが2である場合、数値が最も大きいfOはモード番号(modeId)が1である場合の46であることを決定することができる。従って、デコーダはMipSizeIdが2である場合のすべてのモード番号(modeId)に対応するfOをいずれも46として設定してもよく、即ち、MipSizeIdが2であることとfOが46であることとの対応関係を確立する。そうすると、上記表10が取得される。
【0134】
具体的に、デコーダは上記表10、表11を利用してfOを取得する前に、現在ブロックに対応するMipSizeId及びmodeIdを同時に決定する必要がなく、現在ブロックのサイズを利用してMipSizeIdを決定するだけで、現在ブロックに対応するfOを取得することができる。
【0135】
理解されるように、本願の実施例では、上記表10に示されるMipSizeIdとfOとの対応関係は1次元配列であり、従って、デコーダは1次元配列又は類似機能を持つデータ構造を利用してMipSizeIdとfOとの対応関係を記憶することができる。上記表9と比べて、配列の次元を低減し、配列自体が占有する記憶空間を節約する。
【0136】
ステップ803、第1オフセット量と現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算する。
【0137】
本願の実施例では、デコーダは現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定した後、第1オフセット量と現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算して取得することができる。第2オフセット量は上記公式(2)におけるoWであってもよく、具体的に、第2オフセット量はビットシフト操作のオフセット量を制御するものであってもよい。例えば、上記公式(2)におけるoWは四捨五入後の保持値であり、上記公式(3)により計算して取得されてもよい。
【0138】
なお、本願の実施例では、デコーダは、現在ブロックのサイズに基づいて現在ブロックに対応するMIPブロックサイズインデックス番号を決定して、且つ予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係に基づいて現在ブロックに対応する第1オフセット量を決定した後、上記公式(3)に基づいて、第1オフセット量を利用して現在ブロックに対応する第2オフセット量を計算して取得することができる。具体的に、デコーダは第2オフセット量を決定するとき、更に現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値を利用して計算する必要がある。
【0139】
ステップ804、第2オフセット量に基づいて現在ブロックの第1予測値を決定する。
【0140】
本願の実施例では、デコーダは第1オフセット量と現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とに基づいて第2オフセット量を計算した後、第2オフセット量に基づいて現在ブロックに対応する第1予測値を決定することができる。
【0141】
なお、本願の実施例では、デコーダは第2オフセット量に基づいて現在ブロックの第1予測値を決定するとき、まず第2オフセット量によって現在ブロックにおけるプリセット位置の画素の第2予測値を計算してもよく、次に、第2予測値をフィルタリング処理してもよく、それにより現在ブロックにおけるすべての画素の第1予測値を取得することができる。
【0142】
更に、本願の実施例では、プリセット位置は現在ブロックにおける特定位置であってもよく、具体的に、プリセット位置は現在ブロックにおける一部の画素の特定位置であってもよい。即ち、本願では、デコーダは第2オフセット量によって第2予測値を計算し、該第2予測値は現在ブロックにおけるすべての画素の予測値ではなく、現在ブロックにおける一部の特定位置の画素の予測値である。
【0143】
なお、本願の実施例では、デコーダは第2オフセット量によって現在ブロックにおける一部の特定位置の画素の第2予測値を計算して取得した後、第2予測値をフィルタリング処理してもよく、それにより現在ブロックにおけるすべての画素の予測値を取得し、即ち現在ブロックに対応する第1予測値を取得することができる。
【0144】
理解されるように、本願の実施例では、第2オフセット量は第2予測値の計算過程において、ビットシフト操作のオフセット量を制御することに用いられてもよい。
【0145】
ステップ805、第1予測値に基づいて現在ブロックを復号化する。
【0146】
本願の実施例では、デコーダは第2オフセット量に基づいて現在ブロックの第1予測値を決定した後、第1予測値に基づいて現在復号化ブロックを復号化処理することができ、それにより現在ブロックに対応するビットストリームを取得することができる。
【0147】
更に、本願の実施例では、デコーダは第1予測値に基づいて現在ブロックを復号化するとき、まず現在ブロックのオリジナル値と第1予測値との予測差を計算してもよく、次に予測差の値を復号化してもよい。
【0148】
なお、本願の実施例では、デコーダは現在ブロックを復号化するとき、直接に現在ブロックの第1予測値を復号化することなく、第1予測値と現在ブロックに対応するオリジナル値とに基づいて、それらの差値、即ち予測差を決定し、次に予測差を復号化処理する。これにより、符号化/復号化効率を効果的に向上させることができる。
【0149】
更に、本願の実施例では、デコーダは第1予測値に基づいて現在ブロックの再構成値を決定する前に、まず、ビットストリームを復号化することにより現在ブロックの予測差を取得してもよい。
【0150】
それに対応して、本願の実施例では、デコーダは、現在ブロックの予測差を決定して、且つ現在ブロックの第1予測値を決定した後、第1予測値と予測差との和値を直接計算し、和値を現在ブロックの再構成値として設定してもよい。即ち、デコーダは第1予測値に基づいて現在ブロックの再構成値を決定するとき、第1予測値と予測差を加算演算してもよい。これにより、現在ブロックの再構成値を取得して現在ブロックの復号化処理を完了する。
【0151】
本願の実施例は画像復号化方法を提供し、デコーダは、ビットストリームを復号化して、現在ブロックのサイズ及び符号化モードを取得し、現在ブロックの符号化モードがMIPモードである場合、現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定し、第1オフセット量と現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算し、第2オフセット量に基づいて現在ブロックの第1予測値を決定し、第1予測値に基づいて現在ブロックの再構成値を決定する。以上から分かるように、本願に係る画像復号化方法は、MIPモードを利用して復号化するとき、現在ブロックのサイズに基づいて現在ブロックに対応する第1オフセット量を直接決定することができ、次に、第1オフセット量を利用して現在ブロックを復号化処理することができる。即ち、本願では、予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係に基づいて、現在ブロックのサイズに対応するMIPブロックサイズインデックス番号を決定した後、MIPブロックサイズインデックス番号に対応する第1オフセット量を直接取得することができる。これにより、復号化処理を行うとき、MIPアルゴリズムの複雑性を低下させ、復号化性能を確保する上で、復号化過程に必要な記憶空間及び全体時間を減少させ、復号化効率を効果的に向上させることができる。
【0152】
上記実施例に基づいて、本願の別の実施例では、図9はエンコーダの構成模式図1である。図9に示すように、本願の実施例に係るエンコーダ300は第1決定部301、第1計算部302及び符号化部303を備えてもよい。
【0153】
前記第1決定部301は、現在ブロックのサイズを決定し、MIPモードを利用して前記現在ブロックを符号化するとき、前記現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定するように構成され、
前記第1計算部302は、前記第1オフセット量と前記現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算するように構成され、
前記第1決定部301は更に、前記第2オフセット量に基づいて前記現在ブロックの第1予測値を決定するように構成され、
前記符号化部303は、前記第1予測値に基づいて前記現在ブロックを符号化するように構成される。
【0154】
図10はエンコーダの構成模式図2である。図10に示すように、本願の実施例に係るエンコーダ300は第1プロセッサ304と、第1プロセッサ304の実行可能命令が記憶される第1メモリ305と、第1通信インターフェース306と、第1プロセッサ304、第1メモリ305及び第1通信インターフェース306を接続するための第1バス307とを更に備えてもよい。
【0155】
更に、本願の実施例では、上記第1プロセッサ304は、現在ブロックのサイズを決定することと、MIPモードを利用して前記現在ブロックを符号化するとき、前記現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定することと、前記第1オフセット量と前記現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算することと、前記第2オフセット量に基づいて前記現在ブロックの第1予測値を決定することと、前記第1予測値に基づいて前記現在ブロックを符号化することと、に用いられる。
【0156】
また、本実施例の各機能モジュールは1つの処理ユニットに統合されてもよく、各ユニットは独立して物理的に存在してもよく、2つ以上のユニットは1つのユニットに統合されてもよい。上記統合されたユニットはハードウェアの形式で実現されてもよく、ソフトウェア機能モジュールの形式で実現されてもよい。
【0157】
統合されたユニットはソフトウェア機能モジュールの形式で実現され、独立した製品として販売又は使用されるときは、1つのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解に基づいて、本実施例の技術案の本質的又は従来技術に貢献する部分、又は該技術案の全部又は一部はソフトウェア製品の形式で具現されてもよい。該コンピュータソフトウェア製品は、1台のコンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ又はネットワーク装置等であってもよい)又はprocessor(プロセッサ)に本実施例の方法における全部又は一部のステップを実行させるための若干の命令を含む1つの記憶媒体に記憶される。そして、上記記憶媒体はUSBメモリ、ポータブルハードディスク、読み出し専用メモリ(ROM、Read Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスク等のプログラムコードを記憶できる様々な媒体を含む。
【0158】
本願の実施例はエンコーダを提供し、該エンコーダは、現在ブロックのサイズを決定し、MIPモードを利用して現在ブロックを符号化するとき、現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定し、第1オフセット量と現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算し、第2オフセット量に基づいて現在ブロックの第1予測値を決定し、第1予測値に基づいて現在ブロックを符号化する。以上から分かるように、本願に係る画像符号化方法は、MIPモードを利用して符号化するとき、現在ブロックのサイズに基づいて現在ブロックに対応する第1オフセット量を直接決定することができ、次に、第1オフセット量を利用して現在ブロックを符号化処理することができる。即ち、本願では、予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係に基づいて、現在ブロックのサイズに対応するMIPブロックサイズインデックス番号を決定した後、MIPブロックサイズインデックス番号に対応する第1オフセット量を直接取得することができる。これにより、符号化処理を行うとき、MIPアルゴリズムの複雑性を低下させ、符号化性能を確保する上で、符号化過程に必要な記憶空間及び全体時間を減少させ、符号化効率を効果的に向上させることができる。
【0159】
上記実施例に基づいて、本願の更なる実施例では、図11はデコーダの構成模式図1である。図11に示すように、本願の実施例に係るデコーダ400は解析部401、第2決定部402及び第2計算部403を備えてもよい。
【0160】
前記解析部401は、ビットストリームを復号化して、現在ブロックのサイズ及び符号化モードを取得するように構成され、
前記第2決定部402は、前記現在ブロックの符号化モードがMIPモードである場合、前記現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定するように構成され、
前記第2計算部403は、前記第1オフセット量と前記現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算するように構成され、
前記第2決定部402は更に、前記第2オフセット量に基づいて前記現在ブロックの第1予測値を決定し、前記第1予測値に基づいて前記現在ブロックの再構成値を決定するように構成される。
【0161】
図12はデコーダの構成模式図2である。図12に示すように、本願の実施例に係るデコーダ400は第2プロセッサ404と、第2プロセッサ404の実行可能命令が記憶される第2メモリ405と、第2通信インターフェース406と、第2プロセッサ404、第2メモリ405及び第2通信インターフェース406を接続するための第2バス407とを更に備えてもよい。
【0162】
更に、本願の実施例では、上記第2プロセッサ404は、ビットストリームを復号化して、現在ブロックのサイズ及び符号化モードを取得することと、前記現在ブロックの符号化モードがMIPモードである場合、前記現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定することと、前記第1オフセット量と前記現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算することと、前記第2オフセット量に基づいて前記現在ブロックの第1予測値を決定することと、前記第1予測値に基づいて前記現在ブロックの再構成値を決定することと、に用いられる。
【0163】
また、本実施例の各機能モジュールは1つの処理ユニットに統合されてもよく、各ユニットは独立して物理的に存在してもよく、2つ以上のユニットは1つのユニットに統合されてもよい。上記統合されたユニットはハードウェアの形式で実現されてもよく、ソフトウェア機能モジュールの形式で実現されてもよい。
【0164】
統合されたユニットはソフトウェア機能モジュールの形式で実現され、独立した製品として販売又は使用されるときは、1つのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解に基づいて、本実施例の技術案の本質的又は従来技術に貢献する部分、又は該技術案の全部又は一部はソフトウェア製品の形式で具現されてもよい。該コンピュータソフトウェア製品は、1台のコンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ又はネットワーク装置等であってもよい)又はprocessor(プロセッサ)に本実施例の方法における全部又は一部のステップを実行させるための若干の命令を含む1つの記憶媒体に記憶される。そして、上記記憶媒体はUSBメモリ、ポータブルハードディスク、読み出し専用メモリ(ROM、Read Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスク等のプログラムコードを記憶できる様々な媒体を含む。
【0165】
本願の実施例はデコーダを提供し、該デコーダは、ビットストリームを復号化して、現在ブロックのサイズ及び符号化モードを取得し、現在ブロックの符号化モードがMIPモードである場合、現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定し、第1オフセット量と現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算し、第2オフセット量に基づいて現在ブロックの第1予測値を決定し、第1予測値に基づいて現在ブロックの再構成値を決定する。以上から分かるように、本願に係る画像復号化方法は、MIPモードを利用して復号化するとき、現在ブロックのサイズに基づいて現在ブロックに対応する第1オフセット量を直接決定することができ、次に、第1オフセット量を利用して現在ブロックを復号化処理することができる。即ち、本願では、予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係に基づいて、現在ブロックのサイズに対応するMIPブロックサイズインデックス番号を決定した後、MIPブロックサイズインデックス番号に対応する第1オフセット量を直接取得することができる。これにより、復号化処理を行うとき、MIPアルゴリズムの複雑性を低下させ、復号化性能を確保する上で、復号化過程に必要な記憶空間及び全体時間を減少させ、復号化効率を効果的に向上させることができる。
【0166】
本願の実施例はコンピュータ可読記憶媒体を提供し、プログラムが記憶され、該プログラムがプロセッサにより実行されるとき、上記実施例に記載の方法を実現する。
【0167】
具体的に、本実施例に係る画像符号化方法に対応するプログラム命令は光ディスク、ハードディスク、USBメモリ等の記憶媒体に記憶されてもよい。記憶媒体における画像符号化方法に対応するプログラム命令が電子装置により読取又は実行されるとき、
現在ブロックのサイズを決定するステップと、
MIPモードを利用して前記現在ブロックを符号化するとき、前記現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定するステップと、
前記第1オフセット量と前記現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算するステップと、
前記第2オフセット量に基づいて前記現在ブロックの第1予測値を決定するステップと、
前記第1予測値に基づいて前記現在ブロックを符号化するステップと、を実現する
【0168】
具体的に、本実施例に係る画像復号化方法に対応するプログラム命令は光ディスク、ハードディスク、USBメモリ等の記憶媒体に記憶されてもよい。記憶媒体における画像復号化方法に対応するプログラム命令が電子装置により読取又は実行されるとき、
ビットストリームを復号化して、現在ブロックのサイズ及び符号化モードを取得するステップと、
前記現在ブロックの符号化モードがMIPモードである場合、前記現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定するステップと、
前記第1オフセット量と前記現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算するステップと、
前記第2オフセット量に基づいて前記現在ブロックの第1予測値を決定するステップと、
前記第1予測値に基づいて前記現在ブロックの再構成値を決定するステップと、を実現する
【0169】
当業者であれば理解されるように、本願の実施例は方法、システム、又はコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。従って、本願はハードウェア実施例、ソフトウェア実施例、又はソフトウェアとハードウェア態様を組み合わせる実施例の形式を用いてもよい。且つ、本願はコンピュータ利用可能プログラムコードを含む1つ又は複数のコンピュータ利用可能記憶媒体(磁気ディスクメモリ及び光学メモリ等を含むが、それらに限らない)において実施されるコンピュータプログラム製品の形式を用いてもい。
【0170】
本願は本願の実施例に係る方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品の実現フローチャート及び/又はブロック図を参照して説明したものである。理解されるように、コンピュータプログラム命令によってフローチャート及び/又はブロック図における各プロセス及び/又はブロック、並びにフローチャート及び/又はブロック図におけるプロセス及び/又はブロックの組み合わせを実現することができる。1つのマシンを生成するよう、これらのコンピュータプログラム命令を汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供することができ、それによりコンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサの実行した命令によって、フローチャートにおける1つのプロセス又は複数のプロセス及び/又はブロック図における1つのブロック又は複数のブロックにおいて指定された機能を実現するための装置を生成する。
【0171】
これらのコンピュータプログラム命令はコンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置が特定の方式で動作するように案内できるコンピュータ可読メモリに記憶されてもよい。それにより該コンピュータ可読メモリに記憶される命令に命令装置を備える製造品を生成させる。該命令装置はフローチャートにおける1つのプロセス又は複数のプロセス及び/又はブロック図における1つのブロック又は複数のブロックにおいて指定された機能を実現する。
【0172】
これらのコンピュータプログラム命令は更にコンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置にインストールされてもよい。それによりコンピュータ又は他のプログラマブルデバイスにおいて一連の操作ステップを実行することでコンピュータの実現する処理を生成する。これにより、コンピュータ又は他のプログラマブルデバイスにおいて実行される命令はフローチャートにおける1つのプロセス又は複数のプロセス及び/又はブロック図における1つのブロック又は複数のブロックにおいて指定された機能を実現するためのステップを提供する。
【0173】
以上の説明は本願の好適な実施例に過ぎず、本願の保護範囲を制限するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0174】
本願の実施例は画像符号化/復号化方法、エンコーダ、デコーダ及び記憶媒体を提供する。エンコーダは、現在ブロックのサイズを決定し、MIPモードを利用して現在ブロックを符号化するとき、現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定し、第1オフセット量と現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算し、第2オフセット量に基づいて現在ブロックの第1予測値を決定し、第1予測値に基づいて現在ブロックを符号化する。デコーダは、ビットストリームを復号化して、現在ブロックのサイズ及び符号化モードを取得し、現在ブロックの符号化モードがMIPモードである場合、現在ブロックのサイズに基づいて第1オフセット量を決定し、第1オフセット量と現在ブロックに対応する隣接画素の再構成値とを利用して、第2オフセット量を計算し、第2オフセット量に基づいて現在ブロックの第1予測値を決定し、第1予測値に基づいて現在ブロックの再構成値を決定する。以上から分かるように、本願に係る画像符号化/復号化方法は、MIPモードを利用して符号化/復号化するとき、現在ブロックのサイズに基づいて現在ブロックに対応する第1オフセット量を直接決定することができ、次に、第1オフセット量を利用して現在ブロックを符号化/復号化処理することができる。即ち、本願では、予め記憶されるインデックス番号とオフセット量との対応関係に基づいて、現在ブロックのサイズに対応するMIPブロックサイズインデックス番号を決定した後、MIPブロックサイズインデックス番号に対応する第1オフセット量を直接取得することができる。これにより、符号化/復号化処理を行うとき、MIPアルゴリズムの複雑性を低下させ、符号化/復号化性能を確保する上で、符号化/復号化過程に必要な記憶空間及び全体時間を減少させ、符号化/復号化効率を効果的に向上させることができる。
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