(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】かみそり刃及びかみそり刃のための組成物
(51)【国際特許分類】
B26B 21/58 20060101AFI20240327BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20240327BHJP
C22C 38/22 20060101ALI20240327BHJP
C21D 9/18 20060101ALI20240327BHJP
B26B 21/56 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
B26B21/58
C22C38/00 302E
C22C38/22
C21D9/18
B26B21/56
(21)【出願番号】P 2021549820
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(86)【国際出願番号】 US2020012701
(87)【国際公開番号】W WO2020176163
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-10-19
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】315017030
【氏名又は名称】エッジウェル パーソナル ケア ブランズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Edgewell Personal Care Brands, LLC
【住所又は居所原語表記】1350 Timberlake Manor Parkway, Chesterfield, MO 63017 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】サルバトーレ ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】シュ イミン
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-524068(JP,A)
【文献】特開昭62-116755(JP,A)
【文献】特表2014-531284(JP,A)
【文献】特表2018-533420(JP,A)
【文献】特表2007-530784(JP,A)
【文献】国際公開第2019/146743(WO,A1)
【文献】特開2010-138425(JP,A)
【文献】特表2003-515672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 21/54 - 21/60
B26B 19/00
B26B 1/00 - 11/00
C22C 38/00 - 38/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部分(66)及び第2の部分(68)であって、該第1の部分(66)が、その外端に刃先(20)を有し、かつ曲げ処理によって該第2の部分(68)に対して角度が付けられる前記第1の部分(66)及び第2の部分(68)と、
前記第1の部分(66)及び前記第2の部分(68)の中間の曲げ
部分(52)と、
を含み、
かみそり刃(50)が、主として鉄を含んで(重量で):
0.40から0.60%の炭素、
0.30から0.55%のシリコン、
0.70から0.90%のマンガン、
13.0から14.0%のクロム、
0.50から1.0%のモリブデン、及び
0.03から0.2%、好ましくは0.03-0.1%、より好ましくは0.08%の窒素、
を有するマルテンサイトステンレス鋼を含む、
ことを特徴とするかみそり刃(50)。
【請求項2】
前記第1の部分(66)は、105から130度の範囲にある角度(60)によって前記第2の部分(68)に対して角度が付けられることを特徴とする請求項1に記載のかみそり刃(50)。
【請求項3】
前記曲げ
部分(52)は、0.2から1.5mm、好ましくは0.3から0.8mm、より好ましくは0.3から0.5mmの範囲にある外側半径(54)を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のかみそり刃(50)。
【請求項4】
前記第2の部分(68)は、0.05から0.125mm、好ましくは0.076mmの範囲にある厚み(14)を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のかみそり刃(50)。
【請求項5】
前記曲げ処理は、曲げ領域(70)
での前記かみそり刃の構造を修正するために再加熱処理
なしで実行されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のかみそり刃(50)。
【請求項6】
前記マルテンサイトステンレス鋼は、(重量で):
0.02%までの範囲にある硫黄、及び
0.0025%までの範囲にあるリン、
を更に含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のかみそり刃(50)。
【請求項7】
前記刃先(20)の領域で550から640HVの範囲にある硬度を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のかみそり刃(50)。
【請求項8】
前記刃先(20)は、かみそり刃(50)の長さ(40)に沿って延びることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のかみそり刃(50)。
【請求項9】
かみそり刃(50)を作る方法であって、
a)幅(12)及び厚み(14)を有し、かつ前面エッジ部分(16)及び背面エッジ部分(18)を含むマルテンサイトステンレス鋼ストリップ(10)を与える段階であって、該ストリップ(10)が、主として鉄を含み、かつ(重量で):
0.40から0.60%の炭素、
0.30から0.55%のシリコン、
0.70から0.90%のマンガン、
13.0から14.0%のクロム、
0.50から1.0%のモリブデン、及び
0.03から0.2%、好ましくは0.03から0.1%、より好ましくは0.08%の窒素、
を有する前記与える段階、
b)前記ストリップ(10)を硬化する段階、
c)前記前面エッジ部分(16)及び後面エッジ部分(18)のうちの少なくとも一方に沿って刃先(20)を形成する段階、
d)少なくともフルオロポリマー材料を含むコーティング(30)を前記刃先(20)に付加し、かつ該フルオロポリマー材料を硬化し、それによって該刃先(20)を含有する少なくとも一部分を少なくとも550HV、好ましくは620-640HVの硬度まで焼き鈍しする段階、
e)個別の長さ(40)をもたらすように前記ストリップ(10)を分離する段階、及び
f)前記個別の長さ(40)を曲げ処理で形成し、前記刃先(20)をその外端に有して第2の部分(68)に対して角度が付けられた第1の部分(66)の中間に曲げ
部分(52)を与える段階、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
段階d)は、段階e)の後で行われることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記曲げ
部分(52)は、0.2から1.5mm、好ましくは0.3から0.8mm、より好ましくは0.3から0.5mmの範囲にある外側半径(54)を含むことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ストリップ(10)は、0.05から0.125mm、好ましくは0.076mmの範囲にある厚み(14)を有することを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の部分(66)は、105から130度の範囲にある角度(60)によって前記第2の部分(68)に対して角度が付けられることを特徴とする請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ストリップ(10)は、(重量で):
0.02%までの範囲にある硫黄、及び
0.0025%までの範囲にあるリン、
を更に含む、
ことを特徴とする請求項9から請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
段階f)は、旋回曲げ処理であることを特徴とする請求項9から請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、一般的にかみそり刃に関し、より具体的には、曲がった部分を有するかみそり刃のための組成物及びかみそり刃を作る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの現代の安全かみそりは、再利用可能なハンドルにそれとの間に構造体を接続することによって選択的に接続されるようになった使い捨てかみそりカートリッジを含む。カートリッジは、鋭い刃先が配置された少なくとも1つのかみそり刃を有するフレームを含む。他の現代の安全かみそりは、単一ユニットとして廃棄することができるハンドルに恒久的に接続されたかみそりカートリッジを含む。
【0003】
かみそりカートリッジの性能及び商業的成功は、その刃先の耐久性と、濯ぎ性、すなわち、かみそりカートリッジから及び特に隣接するかみそり刃の間又はかみそり刃構造体の間から切断した毛、皮膚粒子、及び他の髭剃りデブリを容易に濯ぐことができるなるユーザの能力とを含む多くの要因及び特性の均衡である。一部のかみそり刃構造体の例は、曲がった金属支持体に取り付けられた(例えば、溶接された)平面かみそり刃を示す共にJacobsonに付与された米国特許第4,378,634号明細書及び米国特許第4,586,255号明細書に見ることができる。
【0004】
米国特許出願公開第2007/0234576号明細書は、上述の例えば’634特許の構造体の利益を認めており、曲がった支持体上の平面刃を曲がった部分を含むかみそり刃によって交換することを提案している。曲がった部分を有する(曲がった)かみそり刃を含むかみそりカートリッジは、製造利益を有することが開示されている。’576出願及び同じく米国特許出願公開第2010/0107425号明細書及び米国特許出願公開第2014/0230252号明細書は、それらのそれぞれのかみそり刃のための組成物及びそれらのそれぞれの曲がった部分を形成する方法を開示している。
【0005】
曲がった刃を有する商業的に満足できるかみそりカートリッジの製造に対する課題は、曲げ部の近くの硬化した(例えば、ステンレス鋼)本体に及びより具体的には曲げ部の外面上に起こる亀裂のような製造上の問題を克服することを含む。曲げ部の外面に位置付けられた微小スケールの亀裂は、許容可能とすることができるが、巨視的スケールの亀裂は、以下の欠点を有する可能性がある:すなわち、亀裂自体は、刃本体内の破砕であるが、そのカートリッジハウジングに装着された時の通常使用中にかみそり刃の更なる破砕又は更には破損を促進する初期部位も与える。亀裂はまた、同じくかみそり刃の破損をもたらす可能性がある加速する腐食に対する初期部位を与える可能性がある。かみそり刃の破損又は破砕は、ユーザに対して切り傷及び傷口をもたらす可能性がある。
【0006】
亀裂は、曲げ部分の領域で刃材料の延性を高めることによって実質的に回避することができる。米国特許出願公開第2007/0124939号明細書及び米国特許出願公開第2007/0234577号明細書は、延性を高めるために硬化したかみそり刃本体の一部分を局所的に熱処理する方法を開示しているが、これらの処理は、追加の製造段階を必要とし、これは望ましくない可能性がある。延性の強化は、刃を不完全に硬化することによって又は延性等級の高いステンレス鋼を使用することによって与えることもできる。これらの2つの例では、延性の強化は、その刃先を含むかみそり刃全体を通して見出される。延性を強化した刃先は、不適切に耐久性が低く、すなわち、複数の髭剃り作動にあまり耐えることができない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第4,378,634号明細書
【文献】米国特許第4,586,255号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0234576号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0107425号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0230252号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0124939号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0234577号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0186424号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0124944号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
亀裂は、更に、より小さい範囲を通してかみそり刃を曲げることによって及び/又はより大きい曲げ半径でかみそり刃を曲げることによって実質的に回避することができる。これらの物理形状の考慮は、かみそりカートリッジの全体設計に望ましくない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の開示は、その目的に関して、従来技術のかみそり刃の限界を排除する又は実質的に緩和することを有する。本発明の開示は、特にかみそり刃及びかみそり刃を作る方法に関する。かみそり刃は、第1及び第2の部分を有し、第1の部分は、その外端に刃先を有し、それは、かみそり刃の長さに沿って延びることができ、かつ曲げ処理によって第2の部分に対して角度が付けられる。かみそり刃は、第1の部分及び第2の部分の中間に曲げ領域を有する。かみそり刃は、ストリップとして与えられたマルテンサイトステンレス鋼を含み、主として鉄を含み、かつ(重量で):0.40から0.60%の炭素、0.30から0.55%のシリコン、0.70から0.90%のマンガン、13.0から14.0%のクロム、0.50から1.0%のモリブデン、及び0.03から0.2%、より好ましくは0.03から0.1%、最も好ましくは0.08%の窒素を有する。マルテンサイトステンレス鋼は、更に、(重量で)0.02%までの範囲の硫黄及び0.0025%までの範囲のリンを含むことができる。
【0010】
上記態様の他の態様では、第1の部分は、105から130度の範囲の角度によって第2の部分に対して角度が付けられる。曲げ領域は、弓形とすることができ、かつ0.2から1.5mm、好ましくは0.3から0.8mm、より好ましくは0.3から0.5mmの範囲の外側半径を有することができる。第2の部分は、0.05から0.125mm、好ましくは0.076mmの範囲の厚みを有する。
【0011】
上記態様のうちのいずれかの更に別の態様では、曲げ処理は、曲げ領域で構造体を修正するために再加熱処理によって先行されない。
【0012】
上記態様のうちのいずれかの更に別の態様では、刃先の領域でのかみそり刃は、550から640HVの範囲の硬度を有する。
【0013】
理論によって制限されることなく、窒素合金マルテンサイト構造体は、焼き戻しに対して非常に精細な沈殿分布及び優れた特性から判断して、炭素合金材料よりも微細かつより均一であると考えられる。かみそり刃は、耐久性刃先を有しながら亀裂のない望ましい形状に曲げることができる。上記特徴及び利点は、添付図面と共に以下の詳細説明を参照するとより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本発明の開示のかみそり刃の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
炭素含有量の0.6から0.7%又はそれよりも多く、約13%(例えば、12.5%から13.5%)のクロムを有し、かつ実質的にモリブデンを含まないマルテンサイトステンレス鋼は、かみそり刃を作るのに使用されてきた。これらの材料は、広く入手可能であり、それらの意図する使用に対して適度な耐食性を有し、かつ高品質刃先をもたらすように先鋭化することができる。例示的市販材料は、HITACHI METALS製造のGIN5及びSANDVIK製造の13C26のような材料である。これらの材料は、以下の表1に合金1として現れている。かみそり刃を製造するのに適する別の市販マルテンサイトステンレス鋼は、表1に合金2として現れるHITACHI METALS製造のGIN7指定等級である。合金3及び合金4は、本発明の開示による実験的組成物である。
【0016】
(表1)
(全ての合金は、≦0.02硫黄及び≦0.0025リンを含有することができ、合金4は、0.03-0.2%Nを含有することができる。)
【0017】
ここで図面及び特に
図1参照すると、評価中の合金の曲げ部分を有するいわゆる単一エッジかみそり刃の製造のための例示的処理段階が概略的に描かれている。与えられるような細長ステンレス鋼ストリップ10は、段階(a)に描かれている。ストリップは、幅12及び厚み14を有し、かつ前面エッジ部分16及び背面エッジ部分18を含む。ストリップの幅は、好ましくは約3mm幅であるが、約2mm又はそれ未満から約22mm又はそれよりも長い手元の用途に適するようなあらゆる幅とすることができる。与えられるようなストリップの厚み14は、0.1mm又はそれ未満とすることができるが、好ましくは約0.076mmである。他の場合に、約0.025-0.05mmm、又は0.1mmよりも長い例えば0.125mmの厚み14を有するストリップを使用することができる。段階(b)では、ストリップ10は、公知の処理によって約660-850HVの硬度まで硬化されて焼き戻される。段階(c)では、前面エッジは、細長刃先20をもたらすために研削及びホーニング仕上げのようないずれかの公知の先鋭化処理によって先鋭化される。上述の代替として、二重エッジかみそり刃を使用することができる。適切な幅(例えば、約22mm)を有するストリップ材料は、エッジ形成及びエッジコーティングのようなその後の処理中に刃ストリップを支持する又は位置付けるのに使用することができる細長中心スロットと、ある一定の処理中にストリップを指標付けする又は個別のかみそり刃を位置付けるのに使用することができる位置付け孔とを含むことができる開口をもたらすために連続ストリップ形態に穿孔される。処理段階(b)及び(c)は、前面エッジ及び背面エッジ部分16、18の両方が先鋭化されて刃先をもたらすことを除いて、上述のように行われる。細長ストリップは、次に、個別の二重エッジかみそり刃に分離される。処理段階(d)(以下)が、上述のように両方の刃先に対して行われる。二重エッジかみそり刃は、次に、好ましくは中心スロットの端部に隣接して分割され、2つの単一エッジかみそり刃を提供する。その後の処理段階(f)(以下)が行われる。単一エッジかみそり刃に戻ると、段階(d)では、適切なコーティング30が、公知の処理によって刃先に適用される。1又は2以上の下塗りは、以下に限定されないが、クロム、白金、ニオビウム、チタン、上述の材料の合金、及び例えば炭素又は窒素と組み合わされた上述の材料の化合物のうちの1又は2以上を含むことができる。適切なチタンコーティングは、本出願人に譲渡された米国特許出願公開第2007/0186424号明細書に開示されており、その開示は、これにより引用によってその全体が組み込まれる。同じく非晶質ダイヤモンド、ダイヤモンド様炭素(DLC)、及び上記との組合せのような様々なタイプの硬質炭素コーティングを付加することができる。フルオロポリマー材料、好ましくはPTFEの外側コーティングが付加される。適切なPTFEコーティングは、本出願人に譲渡された米国特許出願公開第2007/0124944号明細書に開示されており、その開示は、引用によってその全体が組み込まれるが、本出願は、それに関して限定されず、あらゆる適切なPTFEコーティングを使用することができる。PTFEコーティングは硬化することができ、硬化処理は、少なくとも刃先を含有するストリップの部分を少なくとも550HV及び好ましくは約620-640HVの硬度まで焼き鈍しする2次効果を有する。段階(e)では、長手に延びる部分40は、ストリップから切断されて個別のかみそり刃50を提供する。個別のかみそり刃は、それがそこから切断されたストリップの特性を有する。段階(f)では、かみそり刃50は、刃先20を含有する第1の部分66と背面エッジ部分を含有する第2の部分68との中間に曲げ部分52をもたらすように曲げられる。
【0018】
曲げ部分52を有するかみそり刃50の代表的な断面図が
図2に示されている。曲げ処理は、パンチ-アンド-ダイ処理とすることができる。曲げ処理はまた、例えば、本出願人に譲渡された米国特許出願公開第2010/0107425号明細書に説明されるような「旋回曲げ」処理とすることができ、その開示は、これにより曲げ処理のその開示に関して引用によって組み込まれる。曲げ処理はまた、かみそり刃に曲げ部分を付与するようなあらゆる適切な処理とすることもができる。曲げ処理は、曲げられているかみそり刃の領域、すなわち、曲げ処理後に曲げ部分52にその後になる領域70(
図1を参照)でのかみそり刃の構造又は延性を修正するために、好ましくは、いずれの以前の再加熱処理もなしに行われる。
【0019】
4つの合金(合金1-合金4)の曲げ部分を有するかみそり刃は、以下の表2に示して
図2に描くように様々な厚み(t、14)、硬度(Hv)、曲げ角度(α、60)、及び外側曲げ半径(Ro、54)に従って生成された。かみそり刃は、端部亀裂の存在に関して検査され、かつ刃先の相対的耐久性に関して評価された。刃先耐久性は、ある一定の媒体の中に刃先を複数回物理的に切り込み、かつその刃先先端の損傷又は恒久的歪みに関してかみそり刃を顕微鏡的に検査する公知の方法によって評価することができる。
【0020】
(表2)
ここで:t=ストリップ厚み(mm)、Hv=断面上の200g負荷でのストリップ硬度(ビッカース)、全ての硬度値±20単位、α=曲げ角度(度)、Ro=曲げ領域の外側半径(mm)、亀裂=言及した寸法(ミクロン)での端部亀裂の存在、ED=1-4でランク付けした刃先耐久性、ここで、評価とした時に1=最も耐久性がある、4=最も耐久性がない。
【0021】
合金4への窒素の追加は、望ましい延性のかみそり刃を有利に提供し、曲げ部分は、低い曲げ角度を有するより小さい外側曲げ半径を有益に有することができ、一方でかみそり刃は、比較的望ましい刃先耐久性を示す。理論によって制限されることなく、窒素合金マルテンサイト構造体は、焼き戻しに対する非常に精細な沈殿分布及び優れた特性から判断して、炭素合金材料よりも微細かつより均一であると考えられる。
【0022】
様々な実施形態を上述したが、それらは例として提示したに過ぎず、制限ではないことを理解しなければならない。例えば、いずれか1つの実施形態に関連して開示した添付の特許請求の範囲及び特徴の範囲内で行うことができるような修正又は変更は、単独で又はそれぞれの他の実施形態の各特徴と組み合わせて使用することができる。すなわち、いずれの実施形態の広さ及び範囲も、上述の例示的実施形態のうちのいずれかによって制限されるべきではなく、むしろ以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物によってのみ定められなければならない。
【符号の説明】
【0023】
18 背面エッジ部分
20 刃先
50 かみそり刃
52 曲げ部分
54 外側曲げ半径