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特許7461369イソチアゾリジン1,1-ジオキシド及び1,4-ブタンスルトン含有ラパマイシン誘導体並びにその使用
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  • 特許-イソチアゾリジン1,1-ジオキシド及び1,4-ブタンスルトン含有ラパマイシン誘導体並びにその使用 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】イソチアゾリジン1,1-ジオキシド及び1,4-ブタンスルトン含有ラパマイシン誘導体並びにその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 498/18 20060101AFI20240327BHJP
   A61K 31/436 20060101ALI20240327BHJP
   A61K 31/541 20060101ALI20240327BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 15/10 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 27/12 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240327BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
C07D498/18 CSP
A61K31/436
A61K31/541
A61K45/00
A61P1/16
A61P3/00
A61P3/04
A61P3/10
A61P9/00
A61P9/12
A61P11/00
A61P11/06
A61P13/12
A61P15/00
A61P15/10
A61P17/00
A61P19/02
A61P25/00
A61P25/16
A61P25/28
A61P27/02
A61P27/06
A61P27/12
A61P29/00
A61P31/00
A61P31/10
A61P35/00
A61P43/00 105
【請求項の数】 39
(21)【出願番号】P 2021557231
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 IB2020052825
(87)【国際公開番号】W WO2020194209
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】62/824,190
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 満
(72)【発明者】
【氏名】ボナッツィ,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】コノリー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】グラス,デービッド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】パターソン,アンドリュ ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】シャフラカージェ,ティー
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/044720(WO,A1)
【文献】国際公開第01/014387(WO,A1)
【文献】特表2002-514165(JP,A)
【文献】特表2009-527520(JP,A)
【文献】特表平07-509246(JP,A)
【文献】Luengo, Juan I. et al.,Manipulation of the Rapamycin Effector Domain. Selective Nucleophilic Substitution of the C7 Methoxy Group,Journal of Organic Chemistry,1994年,(1994), 59(22), 6512-13
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(ここで、Rは、水素、C1~6アルキル、ヒドロキシルC1~6アルキル、及びヘテロC1~6アルキルからなる群から選択され;
は、
【化2】
であり、nは、1、2、若しくは3である)
の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
は、ヒドロキシル及び
【化3】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
は、
【化4】
である、請求項1若しくは2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
は、
【化5】
である、請求項1若しくは2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
構造式:
【化6】
の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
構造式:
【化7】
の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
構造式:
【化8】
の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
治療有効量の、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容されるキャリヤとを含む医薬組成物。
【請求項9】
治療有効量の、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ以上の治療上活性な作用物質とを含む組み合わせ医薬。
【請求項10】
mTORC1経路によって媒介される障害又は疾患の治療のための医薬組成物又は組み合わせ医薬であって、前記医薬組成物は治療有効量の、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物若しくは請求項8に記載の医薬組成物であり前記組み合わせ医薬は請求項9に記載の組み合わせ医薬である、医薬組成物又は組み合わせ医薬
【請求項11】
対象における疾患又は障害を治療するための方法に用いるため医薬組成物又は組み合わせ医薬であって、前記医薬組成物は治療有効量の、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、若しくは請求項8に記載の医薬組成物であり、前記組み合わせ医薬は請求項9に記載の組み合わせ医薬であり、前記疾患又は障害の病態に関連する標的組織、器官、又は細胞は、mTORC1を阻害するのに十分なFKBP12レベルを有し、前記方法は、治療有効量の、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項8に記載の医薬組成物、又は請求項9に記載の組み合わせ薬を、それを必要とする前記対象に投与することを含む、医薬組成物又は組み合わせ医薬
【請求項12】
mTORC1を阻害するのに十分なFKBP12レベルを有する対象又はそれを有すると決定された対象における疾患又は障害を治療するための方法に用いるため医薬組成物又は組み合わせ医薬であって、前記医薬組成物は治療有効量の、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、若しくは請求項8に記載の医薬組成物であり、前記組み合わせ医薬は請求項9に記載の組み合わせ医薬であり、前記方法は、治療有効量の、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項8に記載の医薬組成物、又は請求項9に記載の医薬の組み合わせを、それを必要とする前記対象に投与することを含む、医薬組成物又は組み合わせ医薬
【請求項13】
前記疾患又は障害は、サルコペニア、皮膚萎縮症、サクランボ色血管腫、脂漏性角化症、脳萎縮、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、変形性関節症、高血圧、白内障、黄斑変性症、緑内障、脳卒中、脳血管疾患(脳卒中)、慢性腎疾患、糖尿病関連腎疾患、肝機能障害、肝線維症、自己免疫性肝炎、子宮内膜増殖症、代謝機能不全、腎脈管疾患、難聴、移動機能障害、認知低下、腱硬直、心肥大、並びに/又は収縮及び/若しくは拡張機能障害、並びに/又は高血圧症、並びに/又は拡張型心筋症などの心機能障害、駆出率の減退をもたらす心機能障害、免疫老化、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌、免疫監視の減少によって癌を引き起こす免疫老化、免疫機能の減退による感染症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肥満、味覚消失、嗅覚消失、関節炎、並びにII型糖尿病(腎不全、失明及びニューロパシーなどの糖尿病から生じる合併症を含む)から選択される、請求項10~12のいずれか一項に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬
【請求項14】
前記障害は、肝線維症である、請求項13に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬
【請求項15】
疾患又は障害の治療のための医薬組成物又は組み合わせ医薬であって、前記医薬組成物が治療有効量の、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物若しくは請求項8に記載の医薬組成物であり前記組み合わせ医薬は請求項9に記載の組み合わせ医薬であり、前記障害又は疾患は、
- 急性又は慢性器官又は組織移植拒絶、
- 移植血管症、
- 血管内膜肥厚、血管閉塞、閉塞性冠動脈硬化、再狭窄を引き起こす平滑筋細胞の増殖及び遊走、
- 自己免疫疾患及び炎症性状態、
- 喘息、
- 多剤耐性(MDR)、
- 真菌感染症、
- 炎症、
- 感染症、
- 加齢随伴病、
- 神経変性疾患、
- 増殖障害、例えば癌、
- 発作及び発作性障害、及び
- ミトコンドリアミオパシー及びミトコンドリアストレス
から選択される、医薬組成物又は組み合わせ医薬
【請求項16】
前記疾患又は障害は加齢随伴病である、請求項15に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬。
【請求項17】
前記疾患又は障害は増殖障害である、請求項15に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬。
【請求項18】
前記疾患又は障害は自己免疫疾患又は炎症性状態である、請求項15に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬。
【請求項19】
前記障害は、線維症及び/又は炎症のプロセスを含む障害である、請求項15に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬
【請求項20】
前記障害は、肝障害及び腎障害から選択される、請求項15に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬
【請求項21】
前記肝障害は、最終段階の肝臓疾患で生じる肝線維症、肝硬変、毒性による肝不全、アルコールに関連しない肝臓脂肪症又はNASH及びアルコールに関連する脂肪症から選択される、請求項20に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬
【請求項22】
前記腎障害は、腎線維症である、請求項20に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬
【請求項23】
前記腎線維症は、急性腎障害の結果として生じる、請求項22に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬
【請求項24】
前記腎障害は、慢性腎障害である、請求項20に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬
【請求項25】
前記腎障害は、糖尿病性腎症である、請求項20に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬
【請求項26】
加齢性障害又は加齢随伴病の治療のための医薬組成物又は組み合わせ医薬であって、前記医薬組成物が治療有効量の、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物若しくは請求項8に記載の医薬組成物であり前記組み合わせ医薬は請求項9に記載の組み合わせ医薬であり、前記障害又は疾患は、サルコペニア、皮膚萎縮症、サクランボ色血管腫、脂漏性角化症、脳萎縮、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、変形性関節症、高血圧、白内障、黄斑変性症、緑内障、脳卒中、脳血管疾患(脳卒中)、慢性腎疾患、糖尿病関連腎疾患、肝機能障害、肝線維症、自己免疫性肝炎、子宮内膜増殖症、代謝機能不全、腎脈管疾患、難聴、移動機能障害、認知低下、腱硬直、心肥大、並びに/又は収縮及び/若しくは拡張機能障害、並びに/又は高血圧症、並びに/又は拡張型心筋症などの心機能障害、駆出率の減退をもたらす心機能障害、免疫老化、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌、免疫監視の減少によって癌を引き起こす免疫老化、免疫機能の減退による感染症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肥満、味覚消失、嗅覚消失、関節炎、並びにII型糖尿病から選択される、医薬組成物又は組み合わせ医薬
【請求項27】
前記障害又は疾患は関節リウマチである、請求項10~13、15及び26のいずれか一項に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬。
【請求項28】
前記障害又は疾患は心不全である、請求項10~13、15及び26のいずれか一項に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬。
【請求項29】
前記障害又は疾患は心機能障害である、請求項10~13、15及び26のいずれか一項に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬。
【請求項30】
前記障害又は疾患は駆出率の減退をもたらす心機能障害である、請求項10~13、15及び26のいずれか一項に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬。
【請求項31】
前記障害又は疾患は駆出率が保たれている心不全である、請求項10~13、15及び26のいずれか一項に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬。
【請求項32】
前記障害又は疾患は免疫機能の減退による感染症である、請求項10~13、15及び26のいずれか一項に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬。
【請求項33】
前記障害又は疾患は免疫老化である、請求項10~13、15及び26のいずれか一項に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬。
【請求項34】
それを必要とする対象における癌を治療する方法のための医薬組成物又は組み合わせ医薬であって、前記医薬組成物は、治療有効量の、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、若しくは請求項8に記載の医薬組成物であり、前記組み合わせ医薬は請求項9に記載の組み合わせ医薬であり、前記方法は、治療有効量の、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項8に記載の医薬組成物、又は請求項9に記載の医薬の組み合わせを前記対象に投与することを含む、医薬組成物又は組み合わせ医薬
【請求項35】
前記方法がPD-1/PDL-1阻害剤を投与することをさらに含む、請求項34に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬
【請求項36】
前記癌は、腎臓癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、子宮肉腫、子宮体癌、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、胃癌、線維肉腫、膵癌、肝臓癌、黒色腫、白血病、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、前立腺癌、肺癌、膠芽腫、膀胱癌、中皮腫、頭部癌、横紋筋肉腫、肉腫、リンパ腫及び頚部癌から選択される、請求項34又は35に記載の医薬組成物又は組み合わせ医薬
【請求項37】
mTOR経路によって媒介される障害又は疾患の治療において使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、又は請求項8に記載の医薬組成物、又は請求項9に記載の組み合わせ薬。
【請求項38】
医薬の製造のための、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項8に記載の医薬組成物、又は請求項9に記載の組み合わせ薬の使用。
【請求項39】
mTOR経路によって媒介される障害又は疾患の治療のための医薬の製造のための、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項8に記載の医薬組成物、又は請求項9に記載の組み合わせ薬の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2019年3月26日に提出された米国特許出願第62/824,190号明細書からの優先権を主張し、その内容は、その全体が参照によって本明細書において援用される。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出され、その全体が参照によってこれによって援用される配列表を含有する。2021年8月11日に作成された前記ASCIIのコピーは、名称がPAT058487_SL.txtで、サイズが785バイトである。
【0003】
本開示は、mTORC1の阻害剤であるC16-ラパマイシン誘導体に関する。
【背景技術】
【0004】
哺乳動物細胞において、ラパマイシン標的(mTOR)キナーゼは、mTORC1複合体及びmTORC2複合体と呼ばれる2つの別個の多タンパク質複合体で存在し、両方とも栄養素及びエネルギーの利用可能性を検知し、成長因子及びストレスシグナル伝達からの入力を統合する。mTORC1は、成長因子及び栄養素からのシグナルを統合し、細胞成長及び代謝をコントロールする(Laplante M.et al.Cell.(2012)149(2):274-93)。mTORC1は、タンパク質翻訳及び自食作用の主要制御因子である。mTORC1は、ラパマイシン及びラパマイシンアナログ(いわゆる「ラパログ」)などのアロステリックmTOR阻害剤に対して感受性である。ラパマイシン及び以前に産生されたラパログの作用様式は、FK506結合タンパク質、例えばFKBP12、FKBP12.6、FKBP13、FKBP25、FKBP51又はFKBP52との細胞内複合体の形成(これらのFKBPは、本明細書で「FKBP」又は「FKBPs」として参照されるであろう)、その後に続く、mTORのFRB(FK506-ラパマイシン結合)ドメインへのFKBP-ラパログ複合体の結合を含む。Maerz A.M.et al.Mol Cell Biol.(2013)33(7):1357-1367。TORC1とのFKBP-ラパログ複合体のそのような相互作用は、mTORC1によるアロステリック阻害をもたらす。ラパマイシン及びRAD001(エベロリムス;Afinitor(登録商標))などのラパログは、mTORC1の活性を阻害することにより、臨床的な重要性が増しており、これは、良性及び悪性増殖疾患の両方に関連する。Royce M.E.et al.Breast Cancer(Auckl).(2015)9:73-79;Pleniceanu O.et al.Kidney Int Rep.(2018)3(1):155-159、及び様々な他の適応。
【0005】
ラパマイシンは、ストレプトミセス・ヒゴスコピウス(Streptomyces hygoscopius)によって産生される既知のマクロライド抗生物質であり、例えばMcAlpine,J.B.,et al.,J.Antibiotics(1991)44:688;Schreiber,S.L.;et al.,J.Am.Chem.Soc.(1991)113:7433;米国特許第3,929,992号明細書を参照されたい。本明細書において使用されるラパマイシン及びその誘導体についての以下の番号付けの規則を下記に示す。
【化1】
【0006】
ラパマイシンは、強力な免疫抑制薬であり、抗腫瘍活性及び抗真菌活性を有することも示された。ラパマイシンは、全身性エリテマトーデス、肺炎症、インスリン依存性糖尿病、乾癬などの皮膚障害、血管傷害後の平滑筋細胞増殖及び内膜肥厚、成人T細胞白血病/リンパ腫、悪性癌腫、心臓の炎症性疾患、貧血症並びに神経突起伸長の増加を予防又は治療するのに有用であることが示された。しかしながら、医薬としてのその実用性は、その非常に低い変化しやすいバイオアベイラビリティによって制限される。そのうえ、ラパマイシンは、製剤が難しく、安定したガレン組成物を得ることを困難にする。
【0007】
動物モデルにおいて、ラパマイシン及びラパログは、寿命を延ばし、及び/又は加齢随伴病の発症を遅延させる。老化は、他の生物学的プロセスと同様に、TOR経路(この場合、酵母及び線虫(C elegans)系を含むように「TOR」と称される)及び哺乳動物ではmTORC1経路などのシグナル伝達経路によって調節される。TOR及びmTORC1シグナル伝達の調整は、寿命を延長し、ハエから哺乳動物までの幅広い生物において加齢随伴病の発症を遅延させる。例えば、遺伝子突然変異によるTOR経路の阻害は、酵母、線虫(C elegans)及びショウジョウバエにおいて寿命を延ばし、mTORC1経路の阻害は、マウスにおいて寿命を延ばした(Kaeberlein et al.,Science(2005)310:1193-1196;Kapahi et al.,Curr Biol(2004)14:885-890;Selman et al.,Science(2009)326:140-144;Vellai et al.,Nature(2003)426:620);R.A.Miller et al.Aging Cell.(2014)13(3):468-477)。加えて、mTORC1阻害剤ラパマイシンは、晩年に与えられた場合でも、マウスの寿命を延ばした(Harrison et al.,Nature(2009)460(7253):392-395)。これらのデータは、哺乳動物TOR(mTOR)経路を標的にする薬剤がヒトにおける老化及び加齢随伴病において治療効果を有する可能性を高める。高齢者においてラパマイシンを使用する臨床試験の報告は、M.Leslie in Science,2013,342によって記載された。J.Mannickらは、Sci Transl Med.(2014)6(268):268ra179において、mTORC1阻害が老齢者における免疫機能を改善することを記載している。しかしながら、治験責任医師は、それらの副作用(免疫抑制、血球減少、口内炎、胃腸障害及び間質性肺炎を含む)により、ヒトの老化についての治験において現在利用可能なmTORC1阻害剤を使用することに慎重であった。
【0008】
神経傷害前の又はその直後のmTORC1経路の薬理学的阻害は、後天性てんかんモデルにおいて、動物の脳における病理学的な変化及び特発性の反復性発作の発生を予防することができる(Zeng et al.,The mammalian target of rapamycin signaling pathway mediates epileptogenesis in a model of temporal lobe epilepsy;J.Neurosci.,(2009)pp.6964-6972)。そのため、ラパマイシン及びラパログもそのような徴候において潜在的価値があると考えられる。
【0009】
ラパログは、肝及び腎線維症という状況にあるヒトにおいて、低用量で有効であることが示された。
【0010】
ミトコンドリアミオパシー(MM)は、成人発症ミトコンドリア病の最もよくある症状発現であり、多面的な組織特異的ストレス応答を示す:(1)代謝性サイトカインFGF21及びGDF15を含む転写応答、(2)一炭素代謝のリモデリング、及び(3)ミトコンドリアストレス応答。Cell Metabolism 26,419-428,August 1,2017では、これらのプロセスは、1つの統合的ミトコンドリアストレス応答(ISRmt)の一部であり、これは、骨格筋におけるmTORC1によってコントロールされるとKhanらによって記載されている。mtDNA複製欠損は、mTORC1を活性化し、これは、ATF4活性化を通して統合的ミトコンドリアストレス応答を促進し、新規のヌクレオチド及びセリンの合成、1Cサイクル並びにFGF21及びGDF15の産生を誘発する。ラパマイシンによるmTORC1阻害は、ISRmt(統合的ミトコンドリアストレス応答)の構成要素をすべてダウンレギュレートし、MMの特質をすべて改善し、末期のMMの進行さえも逆転させ、ミトコンドリア新生の誘発を伴わなかった。そのため、ラパマイシン及びラパログもそのような徴候において潜在的価値があると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、適切な効力、安定性及びバイオアベイラビリティの均衡を見せ、改善された薬剤候補である、新たなmTORC1阻害剤を提供する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
式(I)の化合物は、mTORC1阻害剤であり、障害、特に加齢性障害又はラパマイシン若しくはラパログのいずれかを使用する治療について現在承認されている疾患及び障害の治療に有用である。本明細書において記載されるC16メトキシ基の置き換えは、適切な効力、安定性、及びバイオアビアビリティの均衡を見せる化合物を提供する。式(I)の化合物は、FKBP12レベルがmTORC1を阻害するのに十分である状況において、FKBP12に選択的に結合することによってmTORC1を阻害するのに有効である。
【0013】
一態様では、本開示は、式(I):
【化2】

(ここで、Rは、水素、C1~6アルキル、ヒドロキシルC1~6アルキル、及びヘテロC1~6アルキルからなる群から選択され;
は、
【化3】

であり、nは、1、2、若しくは3である)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0014】
一実施形態では、本開示は、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容されるキャリヤとを含む医薬組成物を提供する。
【0015】
一実施形態では、本開示は、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ以上の治療上活性な作用物質とを含む医薬の組み合わせを提供する。
【0016】
別の態様では、本開示は、mTOR経路によって媒介される障害又は疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、治療有効量の式(I)の化合物又はその医薬組成物若しくは医薬の組み合わせを対象に投与することを含む方法を提供する。
【0017】
別の態様では、本開示は、対象における疾患又は障害を治療する方法であって、疾患又は障害の病態に関連する標的組織、器官又は細胞は、mTORC1を阻害するのに十分なFKBP12レベルを有し、方法は、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0018】
別の態様において、本開示は、mTORC1を阻害するのに十分なFKBP12レベルを有する又は有することが決定されている対象における疾患又は障害を治療するための方法であって、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0019】
別の態様では、本開示は、加齢随伴病又は加齢性障害の治療を、それを必要とする対象において行うための方法であって、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0020】
一実施形態では、加齢随伴疾患又は障害は、サルコペニア、皮膚萎縮症、サクランボ色血管腫、脂漏性角化症、脳萎縮(認知症とも呼ばれる)、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、変形性関節症、高血圧、白内障、黄斑変性症、緑内障、脳卒中、脳血管疾患(脳卒中)、慢性腎疾患、糖尿病関連腎疾患、肝機能障害、肝線維症、自己免疫性肝炎、子宮内膜増殖症、代謝機能不全、腎脈管疾患、難聴、移動機能障害(例えば、虚弱)、認知低下、腱硬直、心肥大、並びに/又は収縮及び/若しくは拡張機能障害、並びに/又は高血圧症、並びに/又は拡張型心筋症などの心機能障害、駆出率の減退をもたらす心機能障害、免疫老化、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌、免疫監視の減少によって癌を引き起こす免疫老化、免疫機能の減退による感染症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肥満、味覚消失、嗅覚消失、関節炎並びにII型糖尿病(腎不全、失明及びニューロパシーなどの糖尿病から生じる合併症を含む)から選択される。
【0021】
別の態様では、本開示は、疾患又は障害の治療を、それを必要とする対象において行うための方法であって、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含み、疾患又は障害は、
- 移植血管症、
- 血管内膜肥厚、血管閉塞、閉塞性冠動脈硬化、再狭窄を引き起こす平滑筋細胞の増殖及び遊走、
- 自己免疫疾患及び炎症性状態、
- 喘息、
- 多剤耐性(MDR)、
- 真菌感染症、
- 炎症、
- 感染症、
- 加齢随伴病、
- 神経変性疾患、
- 増殖障害、たとえば癌、
- 発作及び発作性障害、並びに
- ミトコンドリアミオパシー及びミトコンドリアストレス
から選択される、方法を提供する。
【0022】
別の態様では、本開示は、癌の治療を、それを必要とする対象において行うための方法であって、治療有効量の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩又は本明細書に記載の医薬組成物若しくは本明細書に記載の医薬の組み合わせを対象に投与することを含む方法を提供する。
【0023】
一実施形態では、方法は、PD-1/PDL-1阻害剤をさらに含む。
【0024】
一実施形態では、癌は、腎臓癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、子宮肉腫、子宮体癌、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、胃癌、線維肉腫、膵癌、肝臓癌、黒色腫、白血病、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、前立腺癌、肺癌、膠芽腫、星状細胞腫、腺癌、膀胱癌、中皮腫、頭部癌、横紋筋肉腫、肉腫、リンパ腫及び頚部癌から選択される。
【0025】
一実施形態では、障害は、線維症及び/又は炎症のプロセスを含む肝障害、例えば最終段階の肝臓疾患で生じる肝線維症、肝硬変、毒性による肝不全、アルコールに関連しない肝臓脂肪症又はNASH及びアルコールに関連する脂肪症である。
【0026】
一実施形態では、障害は、腎臓における線維症又は炎症のプロセスを含む腎障害、たとえば慢性腎疾患を引き起こす急性腎障害の結果として生じる腎線維症又は糸球体硬化症である。一実施形態では、腎障害は、糖尿病性腎症の状況において起こる慢性腎疾患である。一実施形態では、慢性腎疾患は、腎不全を引き起こす。
【0027】
一実施形態では、障害は、心機能障害、たとえば心筋梗塞又は心肥大である。一実施形態では、心機能障害は、収縮及び/又は拡張機能障害である。一実施形態では、心機能障害は、高血圧症である。一実施形態では、心機能障害は、駆出率の減退をもたらす。一実施形態では、心不全は、駆出率が保たれていてもよい。一実施形態では、心機能障害は、拡張型心筋症をもたらす。
【0028】
一実施形態では、障害は、免疫監視の減少によって癌を引き起こす免疫老化である。
【0029】
一実施形態では、障害は、免疫療法によって治療される腫瘍を含む癌である。一実施形態では、対象は、ラパマイシン、RAD001、又は別のラパログによって以前に治療されたことがある。一実施形態では、癌は、Tsc1遺伝子において突然変異がある又は腫瘍微小環境がラパログによって適切に治療される状況を含む、mTOR経路が活性化されていることが示される腫瘍を含む。
【0030】
本開示の1つ以上の実施形態の詳細が、本明細書において記載される。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、図、詳細な説明、実施例、及び請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A図1A及び1Bは、化合物1(実線)及びRAD001(点線)による治療後の、野生型(図1A)及びFKBP12ノックアウト(図1B)293T細胞におけるS6K1(Thr389)の阻害を示す線グラフを示す図である。細胞は、3回同じ方法で治療した。Y軸は、ラパログなしの培地(培地プラスDMSO)により治療した細胞におけるレベルと比べたpS6K1(Thr389)の阻害パーセントを表す。X軸は、化合物1及びRAD001についての濃度を表す。
図1B図1A及び1Bは、化合物1(実線)及びRAD001(点線)による治療後の、野生型(図1A)及びFKBP12ノックアウト(図1B)293T細胞におけるS6K1(Thr389)の阻害を示す線グラフを示す図である。細胞は、3回同じ方法で治療した。Y軸は、ラパログなしの培地(培地プラスDMSO)により治療した細胞におけるレベルと比べたpS6K1(Thr389)の阻害パーセントを表す。X軸は、化合物1及びRAD001についての濃度を表す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
定義
他に指定のない限り、用語「本開示の化合物」、又は「式(I)の化合物」は、式(I)の化合物、及び例示される化合物及びその塩、並びにすべての立体異性体(ジアステレオ異性体及び鏡像異性体を含む)、回転異性体、互変異性体及び同位体標識化合物(重水素置換を含む)並びに固有に形成される部分を指す。
【0033】
本開示の化合物の「治療有効量」という用語は、対象の生物学的若しくは医学的応答、例えば酵素若しくはタンパク質の活性の低下若しくは阻害を誘起するか又は症状を寛解させるか、状態を軽減するか、疾患進行を遅らせるか若しくは遅延させるか、又は疾患を予防するであろうなどの本開示の化合物の量を指す。一実施形態では、用語「治療有効量」は、対象に投与された場合、(1)(i)mTOR経路によって媒介されるか、又は(ii)mTOR活性に関連するか、又は(iii)mTORの活性(正常な若しくは異常な)によって特徴付けられる状態又は障害若しくは疾患を少なくとも部分的に軽減するか、又は寛解させるか、又は(2)mTORの活性を低下させるか若しくは阻害するか、又は(3)mTORの発現を低下させるか若しくは阻害するのに有効である本開示の化合物の量を指す。一実施形態では、用語「治療有効量」は、細胞又は組織又は非細胞性生体物質又は培地に投与された場合、mTORの活性を少なくとも部分的に低下させるか若しくは阻害するか、又はmTORの発現を少なくとも部分的に低下させるか若しくは阻害するのに有効である本開示の化合物の量を指す。
【0034】
本明細書において使用されるように、用語「対象」は、霊長動物(例えば、ヒト、男性又は女性)、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ブタ、ラット及びマウスを指す。ある実施形態では、対象は、霊長動物である。他の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0035】
本明細書において使用される用語「投与する」、「投与すること」又は「投与」は、本発明の化合物又はその医薬組成物を移植するか、吸収するか、摂取するか、注射するか、吸入するか又はそうでなければ導入することを指す。
【0036】
本明細書において使用されるように、用語「阻害する」、「阻害」又は「阻害すること」は、所定の状態、症状若しくは障害又は疾患の低下又は抑制又は生物学的活性若しくはプロセスについてのベースラインの活性の有意な減少を指す。
【0037】
本明細書において使用されるように、任意の疾患又は障害についての用語「治療する」、「治療すること」又は「治療」は、疾患若しくは障害を軽減すること、その発症を遅延させること、寛解させること(すなわち疾患若しくはその臨床症状の少なくとも1つの発生を遅らせること若しくは抑えること)、又は患者に識別可能でないことがあり得るものを含めて、疾患若しくは障害に関連する少なくとも1つの身体的パラメーター若しくはバイオマーカーを軽減すること若しくは寛解させることを指す。一実施形態では、「治療」、「治療する」及び「治療すること」は、疾患、障害又は状態の兆候又は症状が発生したか又は観察されたことを必要とする。他の実施形態では、治療は、疾患又は状態の兆候又は症状がない状態で投与され得る。例えば、治療は、症状の発症前に、かかりやすい個人に投与され得る(例えば、症状の病歴に照らして及び/又は遺伝的若しくは他の罹病性の要因に照らして)。治療は、例えば、再発を遅延させるか又は予防するために、症状が回復した後にさらに継続され得る。
【0038】
本明細書において使用されるように、任意の疾患又は障害についての用語「予防する」、「予防すること」又は「予防」は、疾患若しくは障害の予防的治療又は疾患若しくは障害の発症若しくは進行を遅延させることを指す。
【0039】
本明細書において使用されるように、「加齢随伴病又は加齢性障害」は、集団における発生率又は個人における重症度が年齢の進行と相関する任意の疾患又は障害を指す。より詳細には、加齢随伴病又は加齢性障害は、発生率が、25~35歳のヒト個人と比べて、65歳を超えるヒト個人間で少なくとも1.5倍高い疾患又は障害である。加齢性障害の例は、サルコペニア、皮膚萎縮症、サクランボ色血管腫、脂漏性角化症、脳萎縮(認知症とも呼ばれる)、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、変形性関節症、高血圧、白内障、黄斑変性症、緑内障、脳卒中、脳血管疾患(脳卒中)、慢性腎疾患、糖尿病関連腎疾患、肝機能障害、肝線維症、自己免疫性肝炎、子宮内膜増殖症、代謝機能不全、腎脈管疾患、難聴、移動機能障害(例えば、虚弱)、認知低下、腱硬直、心肥大、収縮又は拡張機能障害、高血圧症、拡張型心筋症などの心機能障害、駆出率の減退をもたらす心機能障害、免疫老化、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌、免疫監視の減少によって癌を引き起こす免疫老化、免疫機能の減退による感染症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肥満、味覚消失、嗅覚消失、関節炎並びにII型糖尿病(腎不全、失明及びニューロパシーなどの糖尿病から生じる合併症を含む)を含むが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書において使用されるように、対象は、そのような対象がそのような治療から生物学的に、医学的に又は生活の質において利益を得る場合、治療を「必要としている」。
【0041】
本明細書において使用されるように、本開示に関して(とりわけ請求項に関して)使用される用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、及び類似する用語は、本明細書において別段の指示がない限り又は文脈によって明らかに否定されない限り、単数及び複数の両方をカバーするように解釈されたい。
【0042】
「アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和炭化水素基(「C1~6アルキル」)のラジカルを指す。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~5個の炭素原子を有する(「C1~5アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~4個の炭素原子を有する(「C1~4アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~3個の炭素原子を有する(「C1~3アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~2個の炭素原子を有する(「C1~2アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1個の炭素原子を有する(「Cアルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、2~6個の炭素原子を有する(「C2~6アルキル」)。C1~6アルキル基の例は、メチル(C)、エチル(C)、プロピル(C)(例えばn-プロピル、イソプロピル)、ブチル(C)(例えばn-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチル)、ペンチル(C)(例えばn-ペンチル、3-ペンタニル、アミル、ネオペンチル、3-メチル-2-ブタニル、第三級アミル)、及びヘキシル(C)(例えばn-ヘキシル)を含む。
【0043】
「ヘテロアルキル」は、親鎖内に(すなわち、親鎖の隣接する炭素原子の間に挿入される)及び/又は親鎖の1つ若しくは複数の末端の位置に配置される、酸素、窒素、又は硫黄から選択される、少なくとも1個のヘテロ原子(例えば1、2、3、又は4個のヘテロ原子)をさらに含むアルキル基を指す。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1~6個の炭素原子及び1個以上のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1~6アルキル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1~5個の炭素原子及び1個又は2個のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1~5アルキル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1~4個の炭素原子及び1個又は2個のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1~4アルキル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1~3個の炭素原子及び1個のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1~3アルキル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキル基は、親鎖内に1~2個の炭素原子及び1個のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1~2アルキル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキル基は、1個の炭素原子及び1個のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロCアルキル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキル基は、親鎖内に2~6個の炭素原子及び1個又は2個のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC2~6アルキル」)。
【0044】
「ヒドロキシC1~6アルキル」は、1つ又は複数の-OH基により置換されるアルキル基を指す。ヒドロキシC1~6アルキル基の例は、HO-CH-、HO-CHCH-、及び-CH-CH(OH)CHを含む。
【0045】
「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」は、-OHを指す。
【0046】
「ハロ」又は「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ、-F)、塩素(クロロ、-Cl)、臭素(ブロモ、-Br)、又はヨウ素(ヨード、-I)を指す。一実施形態では、ハロゲンは、フルオロ、クロロ、又はブロモを指す。
【0047】
本明細書において使用されるように、それぞれの語句、例えばアルキル、m、n等の定義は、それが任意の構造において1回超生じる場合、同じ構造中の他の箇所のその定義から独立していることが意図される。
【0048】
特定の官能基及び化学用語の定義を下記に、より詳細に記載する。化学元素は、Periodic Table of the Elements,CAS version,Handbook of Chemistry and Physics,75th Ed.、表紙裏に従って確認でき、特定の官能基は、そこに記載されるようにおおまかに定義される。そのうえ、有機化学の一般的な原理並びに特定の官能部分及び反応性は、Thomas Sorrell,Organic Chemistry,University Science Books,Sausalito,1999;Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry,5th Edition,John Wiley&Sons,Inc.,New York,2001;Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers,Inc.,New York,1989;及びCarruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,3rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987において記載されている。
【0049】
本開示の特定の化合物は、特定の幾何学的な又は立体異性体の形態で存在してもよい。例えば、本開示の化合物の特定の鏡像異性体が望まれる場合、鏡像異性体は、不斉合成によって又はキラル補助剤による誘導によって調製されてもよく、結果として生じるジアステレオマー混合物は、分離され、補助基は、切断され、純粋な所望の鏡像異性体がもたらされる。その代わりに、分子が、アミノなどのような塩基性の官能基又はカルボキシルなどのような酸性の官能基を含有する場合、ジアステレオマー塩が、適切な光学活性の酸又は塩基により形成され、続いて、当技術分野においてよく知られている分別晶出又はクロマトグラフ法によって、このように形成されたジアステレオマーが分割され、純粋な鏡像異性体が続いて回収される。
【0050】
特に指定のない限り、本明細書において表される構造はまた、構造の幾何学的な(又は立体配置的な)形態を含むことも意図される;例えば、それぞれの不斉中心についてR及びS配置、Z及びE二重結合異性体、並びにZ及びE配座異性体。そのため、開示される化合物の単一の立体化学的異性体並びにエナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何学的(又は立体配座)混合物は、本開示の範囲内にある。特に指定のない限り、本開示の化合物のすべての互変異性型は、本開示の範囲内にある。そのうえ、特に指定のない限り、本明細書において表される構造はまた、1個又は複数の、同位体を多く含む原子の存在でのみ異なる化合物を含むことも意図される。例えば、重水素若しくは三重水素による水素の置き換え又は13C若しくは14Cを多く含む炭素による炭素の置き換えを含む、開示される構造を有する化合物は、本開示の範囲内にある。このような化合物は、例えば、本開示に従って、分析ツールとして、バイオアッセイにおけるプローブとして、又は治療剤として有用である。
【0051】
組成物の「鏡像異性体過剰率」又は「鏡像異性体過剰率%」は、下記に示される式を使用して計算することができる。下記に示される例では、組成物は、90%の一方の鏡像異性体、例えばS鏡像異性体及び10%の他方の鏡像異性体、すなわちR鏡像異性体を含有する。
ee=(90-10)/100*100%=80%。
【0052】
したがって、90%の一方の鏡像異性体及び10%の他方の鏡像異性体を含有する組成物は、80%の鏡像異性体過剰率を有すると言われる。本明細書において記載される化合物又は組成物は、化合物の一方の形態、例えばS鏡像異性体について、少なくとも50%、75%、90%、95%、又は99%の鏡像異性体過剰率を含有してもよい。言い換えれば、このような化合物又は組成物は、R鏡像異性体に対し、S鏡像異性体について、ある鏡像異性体過剰率を含有する。
【0053】
特定の鏡像異性体が好ましい場合、いくつかの実施形態において、対応する鏡像異性体が実質的にない鏡像異性体が、提供されてもよく、「光学的に多く含む」と称されてもよい。「光学的に多く含む」は、本明細書において使用されるように、割合がかなり大きな一方の鏡像異性体から化合物が構成されることを意味する。ある実施形態において、化合物は、少なくとも約90重量%の好ましい鏡像異性体から構成される。他の実施形態において、化合物は、少なくとも約95%、98%、又は99重量%の好ましい鏡像異性体から構成される。好ましい鏡像異性体は、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)並びにキラル塩の形成及び結晶化を含む当業者らに知られている任意の方法によってラセミ混合物から単離されてもよい又は不斉合成によって調製されてもよい。例えばJacques et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981);Wilen,et al.,Tetrahedron 33:2725(1977);Eliel,E.L.Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill,NY,1962);Wilen,S.H.Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)を参照されたい。
【0054】
本明細書において記載されるすべての方法は、本明細書において別段の指示がない限り又は文脈と明らかに矛盾するものでない限り、任意の適した順序で実行することができる。本明細書において提供される任意の及びすべての例又は例示的な表現(例えば、「など」)の使用は、単に本開示をより明らかにすることを意図しており、別段の主張がない限り、本開示の範囲に対する限定を生じさせるものではない。
【0055】
立体異性体の任意の結果として生じる異性体は、構成要素の物理化学的な差に基づいて、純粋な又は実質的に純粋な幾何学的又は光学異性体、ジアステレオマー、ラセミ体に、例えばクロマトグラフィー及び/又は分別晶出によって分離することができる。
【0056】
最終産物の又は中間体の任意の結果として生じるラセミ体は、既知の方法により、例えば光学活性な酸又は塩基により得られるそのジアステレオマー塩の分離及び光学活性酸性又は塩基性化合物の遊離により、光学的対掌体に分割することができる。特に、塩基性部分は、したがって、例えば光学活性な酸、例えば酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジ-O,O’-p-トルオイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸又はショウノウ-10-スルホン酸により形成される塩の分別晶出により、本開示の化合物をそれらの光学的対掌体に分割するために用いられ得る。ラセミ産物はまた、キラル吸着剤を使用するキラルクロマトグラフィー、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分割することもできる。
【0057】
本明細書において開示される化合物はまた、このような化合物を構成する1個又は複数の原子に、不自然な割合の同位体原子を含有してもよい。例えば、化合物は、例えば重水素(H)、三重水素(H)、炭素13(13C)、又は炭素14(14C)などのような放射性同位体によって放射標識されてもよい。本明細書において開示される化合物のすべての同位体異形は、放射性であるかどうかにかかわらず、本開示の範囲内に包含されることが意図される。加えて、本明細書において記載される化合物のすべての互変異性型は、本開示の範囲内にあることが意図される。
【0058】
用語「互変異性体」は、特定の化合物構造の交換可能な形態であり、水素原子及び電子の移動で変化する化合物を指す。したがって、2つの構造は、π電子及び原子(一般にH)の移動を通して平衡状態であってもよい。例えば、エノール及びケトンは、酸又は塩基のいずれかによる処理によって速やかに相互変換されるため、互変異性体である。互変異性の別の例は、同様に酸又は塩基による処理によって形成されるフェニルニトロメタンのaci-及びニトロ-形態である。互変異性型は、関心のある化合物の最適な化学反応性及び生物学的活性の実現に関係してもよい。
【0059】
化合物
一態様では、本開示は、式(I):
【化4】

(ここで、Rは、水素、C1~6アルキル、ヒドロキシルC1~6アルキル、及びヘテロC1~6アルキルからなる群から選択され;
は、
【化5】

であり、nは、1、2、若しくは3である)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0060】
一実施形態では、Rは、ヒドロキシル及び
【化6】

からなる群から選択される。
【0061】
一実施形態では、Rは、
【化7】

である。
【0062】
一実施形態では、Rは、
【化8】

である。
【0063】
一実施形態では、Rは、
【化9】

である。
【0064】
一実施形態では、Rは、ヒドロキシル及び
【化10】

からなる群から選択され、Rは、
【化11】

である。
【0065】
一実施形態では、化合物又はその薬学的に許容される塩は、以下から選択される。
【0066】
【表1】
【0067】
薬学的に許容される塩
これらの化合物の薬学的に許容される塩もまた、本明細書において記載される使用が考えられる。本明細書において使用されるように、用語「塩」は、本開示の化合物の酸付加塩又は塩基付加塩を指す。「塩」は、特に「医薬として許容される塩」を含む。用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書において開示される化合物の生物学的な有効性及び特性を保持し、通常、生物学的に又は他の点で望ましくないものではない塩を指す。多くの場合、本明細書において開示される化合物は、アミノ基及び/若しくはカルボキシル基又はそれに類似する基の存在により、酸及び/又は塩基の塩を形成することができる。
【0068】
薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸及び有機酸により形成することができる。
【0069】
塩を誘導することができる無機酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、及び同種のものを含む。
【0070】
塩を誘導することができる有機酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、及び同種のものを含む。
【0071】
薬学的に許容される塩基付加塩は、無機及び有機塩基により形成することができる。
【0072】
塩を誘導することができる無機塩基は、例えば、アンモニウム塩及び周期表のI~XII列の金属を含む。ある実施形態において、塩は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛、及び銅から誘導され、特に適した塩は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、及びマグネシウム塩を含む。
【0073】
塩を誘導することができる有機塩基は、例えば、第1級、第2級、及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂、並びに同種のものを含む。特定の有機アミンには、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リシン、メグルミン、ピペラジン、及びトロメタミンが含まれる。
【0074】
別の態様において、本開示は、酢酸塩、アスコビル酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化物塩/臭化水素酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、カンファースルホン酸塩、カプリン酸塩、塩化物塩/塩酸塩、クロルテオフィロネート(chlortheophyllonate)、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グルタル酸塩、グリコール酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/水素リン酸塩/二水素リン酸塩、ポリガラクツロ酸塩、プロピオン酸塩、セバシン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルホサリチル酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフェニル酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、又はキシナホ酸塩の形態の式(I)の化合物を提供する。
【0075】
医薬組成物
別の態様において、本開示は、式(I)の1つ又は複数の化合物又はその薬学的に許容され得る塩並びに1つ又は複数の薬学的に許容されるキャリヤを含む医薬組成物を提供する。「薬学的に許容されるキャリヤ」という用語は、任意の対象の組成物又はその構成要素を運搬する又は輸送するのに関与する、液体又は固体増量剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、又は封入剤などのような薬学的に許容される物質、組成物、又はビヒクルを指す。それぞれのキャリヤは、対象の組成物及びその構成要素と適合性である並びに患者にとって有害ではないという意味において「許容され」なければならない。薬学的に許容されるキャリヤとして果たしてもよい物質のいくつかの例は、(1)ラクトース、グルコース、及びスクロースなどのような糖;(2)コーンスターチ及びジャガイモデンプンなどのようなデンプン;(3)セルロース並びにカルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなどのようなその誘導体;(4)トラガント末;(5)バクガ;(6)ゼラチン;(7)滑石;(8)ココアバター及び坐剤のろうなどのような賦形剤;(9)ラッカセイ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及びダイズ油などのような油;(10)プロピレングリコールなどのようなグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのようなポリオール;(12)オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのようなエステル;(13)アガー;(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどのような緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱物質不含水;(17)等張生理食塩水;(18)リンガー溶液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸バッファー溶液、並びに(21)医薬製剤中に利用される他の無毒性で適合性の物質を含む。
【0076】
本開示の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入噴霧剤によって、局所的に、直腸に、経鼻的に、頬側に、腟に、又は植込み貯蔵器を介して投与されてもよい。本明細書において使用される「非経口」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病巣内、及び頭蓋内注射又は注入技術を含む。いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、経口的に、腹腔内に、又は静脈内に投与される。本開示の組成物の滅菌注射可能形態は、水性又は油性の懸濁剤であってもよい。これらの懸濁剤は、適した分散助剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して、当技術分野において知られている技術に従って製剤されてもよい。滅菌注射可能調製物はまた、例えば1,3-ブタンジオール中の液剤のように、無毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射可能液剤又は懸濁剤であってもよい。用いられてもよい許容されるビヒクル及び溶媒の中には、水、リンガー溶液、及び生理食塩液がある。加えて、滅菌不揮発性油は、溶媒又は懸濁化媒体として従来から用いられている。
【0077】
この目的のために、合成モノ又はジグリセリドを含む、任意の、刺激がない不揮発性油が用いられてもよい。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体などのような脂肪酸は、とりわけポリオキシエチル化バージョンのオリーブ油又はヒマシ油などのような天然の薬学的に許容される油のように、注射液の調製において有用である。これらの油剤又は懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースなどのような長鎖アルコール希釈剤若しくは分散剤又はエマルション及び懸濁剤を含む薬学的に許容される投薬形態の製剤において一般に使用される類似の分散助剤を含有してもよい。Tween(登録商標)、Span、及び他の乳化剤などのような他の一般に使用される界面活性剤又は薬学的に許容される固体、液体、若しくは他の投薬形態の製造において一般に使用される生物学的利用率エンハンサーもまた、製剤の目的のために使用されてもよい。
【0078】
本開示の薬学的に許容される組成物は、カプセル、錠剤、水性懸濁剤、又は液剤を含むがこれらに限定されない任意の経口的に許容される投薬形態で経口的に投与されてもよい。経口使用用の錠剤の場合、一般に使用されるキャリヤは、ラクトース及びコーンスターチを含む。ステアリン酸マグネシウムなどのような平滑剤もまた、通常、追加される。カプセル形態での経口投与について、有用な希釈剤は、ラクトース及び乾燥コーンスターチを含む。水性懸濁剤が経口使用に必要とされる場合、活性成分は、乳化剤及び懸濁化剤と組み合わせられる。必要に応じて、甘味料、調味料、又は着色料もまた、追加されてもよい。
【0079】
その代わりに、本開示の薬学的に許容される組成物は、直腸内投与のために坐剤の形態で投与されてもよい。これらは、作用物質を、室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、そのため、直腸で溶け、薬剤を放出する適した非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができる。このような物質は、カカオ脂、みつろう、及びポリエチレングリコールを含む。
【0080】
本開示の薬学的に許容される組成物はまた、とりわけ、治療の標的が、目、皮膚、又は下部消化管の疾患を含め、局所適用によって容易に到達できる領域又は器官を含む場合、局所的に投与されてもよい。適した局所製剤は、これらの領域又は器官のそれぞれについて容易に調製される。下部消化管についての局所適用は、肛門坐剤製剤(上記参照)で又は適した浣腸製剤で達成することができる。局所的経皮パッチもまた、使用されてもよい。
【0081】
局所適用について、薬学的に許容される組成物は、1つ又は複数のキャリヤ中に懸濁される又は溶解される活性構成要素を含有する適した軟膏で製剤化されてもよい。本開示の化合物の局所投与用のキャリヤは、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ろう、及び水を含むが、これらに限定されない。その代わりに、薬学的に許容される組成物は、1つ又は複数の薬学的に許容されるキャリヤ中に懸濁される又は溶解される有効成分を含有する適したローション剤又はクリームで製剤化することができる。適したキャリヤは、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、及び水を含むが、これらに限定されない。
【0082】
本開示の薬学的に許容される組成物はまた、鼻エアロゾル又は吸入によって投与されてもよい。このような組成物は、医薬品製剤の技術分野においてよく知られている技術に従って調製され、ベンジルアルコール若しくは他の適した防腐剤、生物学的利用率を増強するための吸収促進剤、フルオロカーボン、及び/又は他の従来の可溶化剤若しくは分散助剤を用いて、食塩水中の液剤として調製されてもよい。単一の投薬形態をした組成物を産生するためにキャリヤ物質と組み合わせられてもよい本開示の化合物の量は、治療される宿主、特定の投与様式によって変動するであろう。好ましくは、組成物は、阻害剤の0.01~100mg/kg体重/日の投薬量をこれらの組成物を受けている患者に投与することができるように、製剤化されるべきである。
【0083】
同位体標識化合物
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩はまた、化合物の非標識形態及び同位体標識形態を表すようにも意図される。同位体標識化合物は、1個又は複数の原子が、選択された原子質量又は質量数を有する原子と交換されるという点を除いて、本明細書において示される式によって表される構造を有する。本開示の化合物中に組み込むことができる同位体の例は、それぞれH、H、11C、13C、14C、15N、1831P、32P、35S、36Cl、123I、124I、125Iなどのような水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、及び塩素の同位体を含む。本開示は、本明細書において定義される様々な同位体標識化合物、例えば、H及び14Cなどのような放射性同位体が存在する化合物又はH及び13Cなどのような非放射性同位体が存在する化合物を含む。そのような同位体標識化合物は、代謝の研究(14Cにより)、反応速度の研究(例えば、H若しくはHにより)、薬剤若しくは基質組織分布アッセイを含む、ポジトロン断層撮影(PET)若しくは単光子射出コンピューター断層撮影(SPECT)などの検出技術若しくは画像処理技術、又は患者の放射線治療において有用である。特に、18F又は標識化合物は、PET又はSPECT研究に特に望ましくてもよい。式(I)、(Ia)、若しくは(Ib)の同位体標識化合物又はその薬学的に許容される塩は、全般的に、当業者らに知られている従来の技術によって又は以前に用いられた標識されていない試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用する、本明細書に示される実施例及び調製において記載されるものと類似したプロセスによって調製することができる。
【0084】
さらに、より重い同位体、特に重水素(すなわちH又はD)による置換は、より優れた代謝的安定性、例えばインビボにおける半減期の増加又は必要投薬量の低下又は治療指数における改善に起因する、ある治療上の利点をもたらしてもよい。この文脈における重水素は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の置換基と見なされることが理解される。このような、より重い同位体、特に重水素の濃度は、同位体濃縮係数によって定められてもよい。本明細書において使用される用語「同位体濃縮係数」は、特定の同位体についての同位体存在度と天然存在度との間の比を意味する。本開示の化合物における置換基が重水素と示される場合、このような化合物は、少なくとも3500(各指定された重水素で52.5%の重水素の組み込み)、少なくとも4000(60%の重水素の組み込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素の組み込み)、少なくとも5000(75%の重水素の組み込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素の組み込み)、少なくとも6000(90%の重水素の組み込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素の組み込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素の組み込み)、少なくとも6600(99%の重水素の組み込み)、又は少なくとも6633.3(99.5%の重水素の組み込み)のそれぞれの指定された重水素についての同位体濃縮係数を有する。
【0085】
投薬量
薬学的に許容される塩及び重水素化された変種を含む本開示の化合物の毒性及び治療効率は、細胞培養物又は実験動物において、標準的な製薬の手順によって決定することができる。LD50は、集団の50%に対して致死的な用量である。ED50は、集団の50%において治療的に有効な用量である。毒性作用と治療効果と間の用量比(LD50/ED50)は、治療指数となる。大きな治療指数を見せる化合物は、好ましい。毒性の副作用を見せる化合物が、使用されてもよいが、非感染細胞に対する可能性のある損傷を最小限にし、それによって副作用を低下させるために、患部組織の部位にこのような化合物を向ける送達系を設計するよう注意しなければならない。
【0086】
細胞培養アッセイ及び動物試験から得られるデータは、ヒトにおいて使用するための投薬量の範囲を公式化するために使用することができる。このような化合物の投薬量は、ほとんど又は全く毒性のないED50を含む循環濃度の範囲内にあってもよい。投薬量は、用いられる投薬形態及び利用される投与ルートによって、この範囲内で変動してもよい。任意の化合物について、治療有効用量は、細胞培養アッセイから最初に推定することができる。用量は、細胞培養において決定されるように、IC50(すなわち、症状の最大半量の阻害を獲得する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度の範囲を獲得するために、動物モデルで公式化されてもよい。このような情報は、ヒトにおいて有用な用量を、より正確に決定するために使用することができる。血漿のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定されてもよい。
【0087】
任意の特定の患者のための特定の投薬量及び治療法は、用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与の時間、排泄率、薬剤の組み合わせ、並びに治療担当医の判断及び治療中の特定の疾患の重症度を含む種々の要因に依存するであろうということもまた、理解されるべきである。組成物中の本開示の化合物の量もまた、組成物中の特定の化合物に依存するであろう。
【0088】
本明細書において記載されるすべての方法は、本明細書において別段の指示がない限り又は文脈と明らかに矛盾するものでない限り、任意の適した順序で実行することができる。本明細書において提供される任意の及びすべての例又は例示的な表現(例えば、「など」)の使用は、単に本開示をより明らかにすることを意図しており、別段の主張がない限り、本開示の範囲に対する限定を生じさせるものではない。
【0089】
本開示の化合物の任意の不斉原子(たとえば炭素又は同種のもの)は、ラセミ体の又は鏡像異性的に豊富な、例えば(R)-、(S)-、又は(R,S)-配置で存在することができる。ある実施形態では、各不斉原子は、(R)-又は(S)-配置において、少なくとも50%の鏡像異性体過剰率、少なくとも60%の鏡像異性体過剰率、少なくとも70%の鏡像異性体過剰率、少なくとも80%の鏡像異性体過剰率、少なくとも90%の鏡像異性体過剰率、少なくとも95%の鏡像異性体過剰率、又は少なくとも99%の鏡像異性体過剰率を有する。不飽和二重結合を有する原子の置換基は、可能な場合、cis-(Z)-又はtrans-(E)-形態で存在してもよい。
【0090】
したがって、本明細書において使用されるように、本開示の化合物は、考え得る立体異性体、回転異性体、アトロプ異性体、互変異性体、又はその混合物の1つの形態をとることができる、例えば実質的に純粋な幾何学的(cis若しくはtrans)立体異性体、ジアステレオマー、光学異性体(対掌体)、ラセミ体、又はその混合物として存在することができる。
【0091】
立体異性体の任意の結果として生じる混合物は、構成要素の物理化学的な差に基づいて、純粋な又は実質的に純粋な幾何学的又は光学異性体、ジアステレオマー、ラセミ体に、例えばクロマトグラフィー及び/又は分別晶出によって分離することができる。
【0092】
本開示の化合物の又は中間体の任意の結果として生じるラセミ体は、既知の方法によって、例えば光学活性な酸又は塩基により得られるそのジアステレオマー塩の分離及び光学活性酸性又は塩基性化合物の遊離によって、光学的対掌体に分割することができる。特に、塩基性部分は、したがって、例えば光学活性な酸、例えば酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジ-O,O’-p-トルオイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、又はショウノウ-10-スルホン酸により形成される塩の分別晶出により、本開示の化合物をそれらの光学的対掌体に分割するために用いられてもよい。本開示のラセミ化合物又はラセミ中間体はまた、キラル吸着剤を使用するキラルクロマトグラフィー、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分割することもできる。
【0093】
疾患及び障害
本開示の式(I)の化合物は、
- 移植血管症、
- 血管内膜肥厚、血管閉塞、閉塞性冠動脈硬化、再狭窄を引き起こす平滑筋細胞の増殖及び遊走、
- 自己免疫疾患及び炎症性状態、
- 喘息、
- 多剤耐性(MDR)、
- 真菌感染症、
- 炎症、
- 感染症、
- 加齢随伴病、
- 神経変性疾患、
- 増殖障害、例えば癌、
- 発作及び発作性障害、及び
- ミトコンドリアミオパシー及びミトコンドリアストレス
から選択される疾患又は障害の治療に有用である。
【0094】
別の態様において、本開示の化合物は、老化誘発性サイトカイン(例えば、IL6)の増加がある状況など、加齢随伴病の可能性を高くすることが示されている治療可能な状態を治療するために使用することができる。
【0095】
別の態様において、本開示の化合物は、線維症及び/又は炎症のプロセスを含む障害、例えば肝障害及び腎障害を治療するために使用することができる。例として、最終段階の肝臓疾患で生じる肝線維症、肝硬変、毒性による肝不全、アルコールに関連しない肝臓脂肪症又はNASH及びアルコールに関連する脂肪症が含まれる。別の例は、腎線維症であり、これは、急性腎障害の結果として生じ、慢性腎疾患を引き起こす。糖尿病性腎症は、腎線維症及び炎症を誘発することがある。多くの場合、腎疾患は、血圧の増加の結果として心不全を引き起こし、これはまた、心線維症を伴うことがある。
【0096】
別の態様において、本開示の化合物は、心不全を治療するために使用することができる(Buss,S.J.et al.Beneficial effects of Mammalian target of rapamycin inhibition on left ventricular remodeling after myocardial infarction.J Am Coll Cardiol.(2009)54(25):2435-46;Buss,S.J.et al.Augmentation of autophagy by mTOR-inhibition in myocardial infarction:When size matters.Autophagy.(2010)6(2):304-6)。
【0097】
別の態様において、本開示の化合物は、肝臓移植を受けた患者における肝線維症を治療するために使用することができる(Villamil,F.G.et al.Fibrosis progression in maintenance liver transplant patients with hepatitis C recurrence:a randomized study of RAD001 vs.calcineurin inhibitors.Liver Int.(2014)34(10):1513-21)。
【0098】
移植血管症は、アテローム性動脈硬化症を含む。
【0099】
自己免疫疾患及び炎症性状態は、特に、関節炎(例えば、関節リウマチ、進行性慢性関節炎及び変形性関節炎)並びにリウマチ性疾患など、自己免疫性の要素を含む病因による炎症性状態を含む。式(I)の化合物が用いられ得る特定の自己免疫疾患は、自己免疫性血液疾患(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、赤芽球ろう及び特発性血小板減少性紫斑病を含む)、全身性エリテマトーデス、多発性軟骨炎、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、乾癬、スティーブンス-ジョンソン症候群、原因不明のスプルー、自己免疫性炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎及びクローン病を含む)、内分泌性眼障害、グレーブス病、サルコイドーシス、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、若年性糖尿病(I型真性糖尿病)、ブドウ膜炎(前部及び後部)、乾性角結膜炎及び春季角結膜炎、間質性肺線維症、乾癬性関節炎、糸球体腎炎(例えば、特発性ネフローゼ症候群又は微小変化型ネフローゼを含むネフローゼ症候群を伴う及び伴わない)並びに若年性皮膚筋炎を含む。
【0100】
本開示の化合物は、多剤耐性(MDR)の治療にも使用することができ、これには多剤耐性癌又は多剤耐性AIDSなどの多剤耐性状態の治療及びコントロールにおいて他の化学療法剤の効能を増強することを含む。MDRは、医薬品がPgpによって細胞から排出されるために、従来の化学療法に対して応答しないであろう癌患者及びAIDS患者において特に問題である。
【0101】
本開示の化合物は、感染症の治療にも使用することができ、これにはMip又はMip様因子を有する病原体による感染症を含む。
【0102】
加齢随伴病はまた、サルコペニア、皮膚萎縮症、サクランボ色血管腫、脂漏性角化症、脳萎縮(認知症とも呼ばれる)、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、変形性関節症、高血圧、白内障、黄斑変性症、緑内障、脳卒中、脳血管疾患(脳卒中)、慢性腎疾患、糖尿病関連腎疾患、肝機能障害、肝線維症、自己免疫性肝炎、子宮内膜増殖症、代謝機能不全、腎脈管疾患、難聴、移動機能障害(例えば、虚弱)、認知低下、腱硬直、心肥大、並びに/又は収縮及び/若しくは拡張機能障害、並びに/又は高血圧症、並びに/又は拡張型心筋症などの心機能障害、駆出率の減退をもたらす心機能障害、免疫老化、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌、免疫監視の減少によって癌を引き起こす免疫老化、免疫機能の減退による感染症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肥満、味覚消失、嗅覚消失、関節炎並びにII型糖尿病(腎不全、失明及びニューロパシーなどの糖尿病から生じる合併症を含む)を含む。
【0103】
神経変性疾患は、ハンチントン病、パーキンソン病、脊髄小脳失調3型、アルツハイマー病、運動ニューロン疾患及び末梢性ニューロパシーを含む。
【0104】
増殖障害は、癌を含む。そのような状態は、米国特許第9,669,032号明細書において掲載されるもの、例えば腎臓癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、子宮肉腫、子宮体癌、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、胃癌、線維肉腫、膵癌、肝臓癌、黒色腫、白血病、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、前立腺癌、肺癌、膠芽腫、星状細胞腫、腺癌、膀胱癌、中皮腫、頭部癌、横紋筋肉腫、肉腫、リンパ腫、及び頚部癌を含む。
【0105】
発作及び発作性障害は、ウエスト症候群、限局性皮質形成異常(FCD)、結節性硬化症(TSC)、小児欠神てんかん、小児期の良性焦点てんかん、若年性ミオクローヌスてんかん(JME)、側頭葉てんかん、前頭葉てんかん、難治性てんかん、レンノックス-ガストー症候群、後頭葉てんかん、プロテウス症候群、片側巨脳症(HMEG)、巨脳症(MEG)、毛細血管奇形症候群(MCAP)及び巨脳症-多小脳回症-多指症-水頭症症候群(MPPH)を含む。
【0106】
ミトコンドリアミオパシー及びミトコンドリアストレスは、Chinnery,P.F.(2015);EMBO Mol.Med.7,1503-1512;Koopman,W.J.et al.,(2016);EMBO Mol.Med.8,311-327及びYoung,M.J.,and Yound and Copeland,W.C.(2016);Curr.Opin.Genet.Dev.38,52-62において記載されるミトコンドリア病である。
【0107】
加齢随伴病をより将来性のあるものにすることが示された治療可能な状態は、老化、例えば免疫老化を含む。これは、(i)IL-6などの循環サイトカインの増加によって診断されるが、さらに(ii)筋肉、腎臓、肝臓、脳、神経細胞、肝臓、膵臓又は心臓において見つけられる老化細胞により、又はさらに(iii)トランスポゾンコード遺伝子を含む反復要素の転写の増加によって示すことができるDNA修復の効率の減退により診断される。
【0108】
使用方法
本開示は、本明細書において記載される疾患及び障害、例えば加齢性障害又は疾患並びにRAD001などのようなラパログを使用する治療について現在承認されている障害の治療のための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0109】
一態様では、本開示は、mTOR経路によって媒介される障害又は疾患の治療を、それを必要とする対象において行うための方法であって、治療有効量の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬の組み合わせを対象に投与することを含む方法を提供する。
【0110】
別の態様では、本開示は、対象における疾患又は障害を治療するための方法であって、疾患又は障害の病態に関連する標的組織、器官、又は細胞は、mTORC1を阻害するのに十分なFKBP12レベルを有し、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0111】
別の態様では、本開示は、mTORC1を阻害するのに十分なFKBP12レベルを有する対象又は有することが決定された対象における疾患又は障害を治療するための方法であって、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0112】
一実施形態では、疾患又は障害は、サルコペニア、皮膚萎縮症、サクランボ色血管腫、脂漏性角化症、脳萎縮、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、変形性関節症、高血圧、白内障、黄斑変性症、緑内障、脳卒中、脳血管疾患(脳卒中)、慢性腎疾患、糖尿病関連腎疾患、肝機能障害、肝線維症、自己免疫性肝炎、子宮内膜増殖症、代謝機能不全、腎脈管疾患、難聴、移動機能障害、認知低下、腱硬直、心肥大、収縮及び/若しくは拡張機能障害、高血圧症、拡張型心筋症などの心機能障害、駆出率の減退をもたらす心機能障害、免疫老化、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌、免疫監視の減少によって癌を引き起こす免疫老化、免疫機能の減退による感染症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肥満、味覚消失、嗅覚消失、関節炎、並びに腎不全、失明及びニューロパシーなどの糖尿病から生じる合併症を含むII型糖尿病から選択される。
【0113】
一実施形態では、障害は、肝線維症である。
【0114】
別の一態様では、本開示は、疾患又は障害の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、治療有効量の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、又は式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬の組み合わせを対象に投与することを含み、障害又は疾患は、
- 移植血管症、
- 血管内膜肥厚、血管閉塞、閉塞性冠動脈硬化、再狭窄を引き起こす平滑筋細胞の増殖及び遊走、
- 自己免疫疾患及び炎症性状態、
- 喘息、
- 多剤耐性(MDR)、
- 真菌感染症、
- 炎症、
- 感染症、
- 加齢随伴病、
- 神経変性疾患、
- 増殖障害、特に癌、
- 発作及び発作性障害、及び
- ミトコンドリアミオパシー及びミトコンドリアストレス
から選択される、方法を提供する。
【0115】
一実施形態では、障害は、線維症及び/又は炎症のプロセスを含む障害である。
【0116】
一実施形態では、障害は、肝障害及び腎障害から選択される。
【0117】
一実施形態では、肝障害は、最終段階の肝臓疾患で生じる肝線維症、肝硬変、毒性による肝不全、アルコールに関連しない肝臓脂肪症又はNASH及びアルコールに関連する脂肪症から選択される。
【0118】
一実施形態では、腎障害は、腎線維症である。
【0119】
一実施形態では、腎線維症は、急性腎障害の結果として生じる。
【0120】
一実施形態では、腎障害は、慢性腎障害である。
【0121】
一実施形態では、腎障害は、糖尿病性腎症である。
【0122】
別の一態様では、本開示は、加齢性障害又は加齢随伴病の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、治療有効量の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、又は式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬の組み合わせを対象に投与することを含み、障害又は疾患は、サルコペニア、皮膚萎縮症、サクランボ色血管腫、脂漏性角化症、脳萎縮、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、変形性関節症、高血圧、白内障、黄斑変性症、緑内障、脳卒中、脳血管疾患(脳卒中)、慢性腎疾患、糖尿病関連腎疾患、肝機能障害、肝線維症、自己免疫性肝炎、子宮内膜増殖症、代謝機能不全、腎脈管疾患、難聴、移動機能障害、認知低下、腱硬直、心肥大、並びに/又は収縮及び/若しくは拡張機能障害、並びに/又は高血圧症などの心機能障害、駆出率の減退をもたらす心機能障害、免疫老化、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌、免疫監視の減少によって癌を引き起こす免疫老化、免疫機能の減退による感染症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肥満、味覚消失、嗅覚消失、関節炎、並びに腎不全、失明及びニューロパシーなどの糖尿病から生じる合併症を含むII型糖尿病から選択される、方法を提供する。
【0123】
別の態様において、本開示は、対象における癌を治療するための方法であって、治療有効量の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、又は式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬の組み合わせを、対象に投与することを含む方法を提供する。
【0124】
一実施形態において、方法は、PD-1/PDL-1阻害剤をさらに含む。
【0125】
一実施形態において、癌は、腎臓癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、子宮肉腫、子宮体癌、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、胃癌、線維肉腫、膵癌、肝臓癌、黒色腫、白血病、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、前立腺癌、肺癌、膠芽腫、膀胱癌、中皮腫、頭部癌、横紋筋肉腫、肉腫、リンパ腫、及び頚部癌から選択される。
【0126】
別の態様において、本開示は、医薬として使用するための式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、又は式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬の組み合わせを提供する。
【0127】
別の態様において、本開示は、mTOR経路によって媒介される障害又は疾患の予防又は治療において使用するための式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、又は式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬の組み合わせを提供する。
【0128】
別の態様において、本開示は、以下から選択される障害又は疾患の予防又は治療のための式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、又は式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬の組み合わせを提供する:
- 移植血管症、
- 血管内膜肥厚、血管閉塞、閉塞性冠動脈硬化、再狭窄を引き起こす平滑筋細胞の増殖及び遊走、
- 自己免疫疾患及び炎症性状態、
- 喘息、
- 多剤耐性(MDR)、
- 真菌感染症、
- 炎症、
- 感染症、
- 加齢随伴病、
- 神経変性疾患、
- 増殖障害、特に癌、
- 発作及び発作性障害、並びに
- ミトコンドリアミオパシー及びミトコンドリアストレス。
【0129】
別の態様では、本開示は、線維症及び/又は炎症のプロセスを含む障害又は疾患の予防又は治療において使用するための、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物又は式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬の組み合わせを提供する。
【0130】
一実施形態では、障害は、肝障害及び腎障害から選択される。
【0131】
一実施形態では、肝障害は、最終段階の肝臓疾患で生じる肝線維症、肝硬変、毒性による肝不全、アルコールに関連しない肝臓脂肪症又はNASH及びアルコールに関連する脂肪症から選択される。
【0132】
一実施形態では、腎障害は、急性腎障害の結果として生じる腎線維症である。
【0133】
一実施形態では、腎障害は、慢性腎障害である。
【0134】
一実施形態では、腎障害は、糖尿病性腎症である。
【0135】
別の態様では、本開示は、サルコペニア、皮膚萎縮症、サクランボ色血管腫、脂漏性角化症、脳萎縮(認知症とも呼ばれる)、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、変形性関節症、高血圧、白内障、黄斑変性症、緑内障、脳卒中、脳血管疾患(脳卒中)、慢性腎疾患、糖尿病関連腎疾患、肝機能障害、肝線維症、自己免疫性肝炎、子宮内膜増殖症、代謝機能不全、腎脈管疾患、難聴、移動機能障害、認知低下、腱硬直、心肥大、並びに/又は収縮及び/若しくは拡張機能障害、並びに/又は高血圧症、並びに/又は拡張型心筋症などの心機能障害、駆出率の減退をもたらす心機能障害、免疫老化、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌、免疫監視の減少によって癌を引き起こす免疫老化、免疫機能の減退による感染症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肥満、味覚消失、嗅覚消失、関節炎並びにII型糖尿病(腎不全、失明及びニューロパシーなどの糖尿病から生じる合併症を含む)から選択される加齢性障害又は加齢随伴病の治療のための、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、又は式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬の組み合わせを提供する。
【0136】
別の態様では、本開示は、癌の治療のための、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、又は式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬の組み合わせを提供する。
【0137】
別の態様では、本開示は、腎臓癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、子宮肉腫、子宮体癌、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、胃癌、線維肉腫、膵癌、肝臓癌、黒色腫、白血病、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、前立腺癌、肺癌、膠芽腫、膀胱癌、中皮腫、頭部癌、横紋筋肉腫、肉腫、リンパ腫又は頚部癌の治療のための、式(I)の化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、又は式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬の組み合わせを提供する。
【0138】
別の態様では、本開示は、医薬の製造のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0139】
別の態様では、本開示は、mTOR経路によって媒介される障害又は疾患の治療のための医薬の製造のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0140】
別の態様では、本開示は、
- 移植血管症、
- 血管内膜肥厚、血管閉塞、閉塞性冠動脈硬化、再狭窄を引き起こす平滑筋細胞の増殖及び遊走、
- 自己免疫疾患及び炎症性状態、
- 喘息、
- 多剤耐性(MDR)、
- 真菌感染症、
- 炎症、
- 感染症、
- 加齢随伴病、
- 神経変性疾患、
- 増殖障害、例えば癌、
- 発作及び発作性障害、及び
- ミトコンドリアミオパシー及びミトコンドリアストレス
から選択される障害又は疾患の治療のための医薬の製造のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0141】
別の態様では、本開示は、線維症又は炎症のプロセスを含む障害又は疾患の治療のための医薬の製造のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0142】
一実施形態では、障害は、肝障害及び腎障害から選択される。
【0143】
一実施形態では、肝障害は、最終段階の肝臓疾患で生じる肝線維症、肝硬変、毒性による肝不全、アルコールに関連しない肝臓脂肪症又はNASH及びアルコールに関連する脂肪症から選択される。
【0144】
一実施形態では、腎障害は、急性腎障害の結果として生じる腎線維症である。
【0145】
一実施形態では、腎障害は、慢性腎障害である。
【0146】
一実施形態では、腎障害は、糖尿病性腎症である。
【0147】
別の態様では、本開示は、サルコペニア、皮膚萎縮症、サクランボ色血管腫、脂漏性角化症、脳萎縮(認知症とも呼ばれる)、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、変形性関節症、高血圧、白内障、黄斑変性症、緑内障、脳卒中、脳血管疾患(脳卒中)、慢性腎疾患、糖尿病関連腎疾患、肝機能障害、肝線維症、自己免疫性肝炎、子宮内膜増殖症、代謝機能不全、腎脈管疾患、難聴、移動機能障害、認知低下、腱硬直、心肥大、並びに/又は収縮及び/若しくは拡張機能障害、並びに/又は高血圧症、並びに/又は拡張型心筋症などの心機能障害、駆出率の減退をもたらす心機能障害、免疫老化、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌、免疫監視の減少によって癌を引き起こす免疫老化、免疫機能の減退による感染症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肥満、味覚消失、嗅覚消失、関節炎並びにII型糖尿病(腎不全、失明及びニューロパシーなどの糖尿病から生じる合併症を含む)から選択される加齢性障害又は加齢随伴病の予防又は治療のための医薬の製造のための医薬の製造のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0148】
別の態様では、本開示は、癌の予防又は治療のための医薬の製造のための医薬の製造のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0149】
別の態様では、本開示は、腎臓癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、子宮肉腫、子宮体癌、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、胃癌、線維肉腫、膵癌、肝臓癌、黒色腫、白血病、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、前立腺癌、肺癌、膠芽腫、膀胱癌、中皮腫、頭部癌、横紋筋肉腫、肉腫、リンパ腫又は頚部癌の治療のための医薬の製造のための医薬の製造のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0150】
式(I)の化合物を作製するための方法
別の態様において、本開示は、スキーム1及び2に従って本開示の化合物を作製するための方法を提供する。
【0151】
【化12】

が水素であり、Rが式(I)の下で定義される通りである式(I)の化合物は、ラパマイシンを、Rが式(I)の下で定義される通りであるR-Hと、置換反応に適した試薬、たとえばp-トルエンスルホン酸の存在下において、適した溶媒、たとえばジクロロメタンの存在下において、反応させることによって得られてもよい。たとえば、適した条件は、以下の通りである:
1)R-H、p-トルエンスルホン酸-HO、ジクロロメタン、室温
2)R-H、トリフルオロ酢酸、-40℃、ジクロロメタン(欧州特許第1212331B1号明細書を参照されたい)
3)R-H、5M LiClO、EtO(0.1M)、室温(TL,1995,43,7823を参照されたい)
4)R-H、CpHfCl-AgClO(鈴木の触媒)、4A MS、ジクロロメタン、室温(TL,1995,43,7823を参照されたい)
5)R-H、BF-OEt又はZn(OTf)、THF、0℃(TL,1994,37,6835を参照されたい)
6)R-H、ZnCl、ジクロロメタン、0℃(JOC,1994,59,6512を参照されたい)。
【0152】
【化13】

がC1~6アルキル、ヒドロキシルC1~6アルキル、及びヘテロC1~6アルキルからなる群から選択され;Rが式(I)の下で定義される通りである式(I)の化合物は、中間体1を提供するために、ラパマイシンを、R-H又はR-Xと反応させ、その後、R-Hと反応させることによって得られてもよい。一実施形態では、ラパマイシンは、中間体1を提供するために、アルキル化条件下で、R-H又はR-Xと反応させる。一実施形態では、中間体1は、式(I)の化合物を得るために、たとえば本明細書において提供されるように、置換反応条件下で、R-Hと反応させる。
【実施例
【0153】
本開示は、以下の実施例を提供する。本出願において記載される合成の及び生物学的な例は、本明細書において提供される化合物、医薬組成物及び方法を例証するために提示され、それらの範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
【0154】
本明細書において提供される化合物は、当業者によく知られているであろう下記に記載される特定の合成プロトコールの改良法を使用して、容易に入手可能な出発物質から調製することができる。典型的な又は好ましいプロセス条件(すなわち反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられる場合、他のプロセス条件も、特に指定のない限り使用することができることが理解されるであろう。最適な反応条件は、使用される特定の反応物又は溶媒に応じて変動し得るが、そのような条件は、当業者により、ごく通常の最適化手順によって決定することができる。
【0155】
そのうえ、当業者に明らかなように、従来の保護基は、ある官能基が望まれない反応を受けるのを予防するのに必要であり得る。特定の官能基に適した保護基の選択並びに保護及び脱保護に適した条件は、当技術分野においてよく知られている。例えば、多数の保護基並びにそれらの導入及び除去は、Greene et al.,Protecting Groups in Organic Synthesis,Second Edition,Wiley,New York,1991及びその中で引用される参考文献において記載されている。
【0156】
ラパマイシン並びにその誘導体、例えば式(I)の化合物は、A、B及びCとして下記に示される6員及び7員ヘミケタール形態の溶媒及びpH依存性の平衡状態で存在する(スキーム3)。The Journal of Antibiotics(Tokyo)(1991)44(6):688-90及びTetrahedron Letters(1992)33(33):4139-4142を参照されたい。ラパマイシン及びその誘導体は、A及びCとして下記に示されるcis-及びtrans-アミドの混合物でも存在する(スキーム4及び5)。[Mierke,D.F.,Schmieder,P.,Karuso,P.and Kessler,H.(1991),Conformational Analysis of the cis- and trans-Isomers of FK506 by NMR and Molecular Dynamics.Helvetica Chimica Acta,74:1027-1047を参照されたい]。実施例において示されるNMRキャラクタリゼーションデータは、報告する重水素溶媒条件下で観察される主な平衡状態の形態にのみ対応する。
【0157】
【化14】

ここで、
は、水素、C1~6アルキル、ヒドロキシルC1~6アルキル、及びヘテロC1~6アルキルからなる群から選択され;
は、
【化15】

であり、nは、1、2、又は3である。
【0158】
化合物の調製
本開示の化合物は、以下の実施例において記載されるように調製することができる。
【0159】
略語のリスト
下記の本明細書において使用される以下の略語は、対応する意味を有する:
A オングストローム
Cat. 触媒
ACN アセトニトリル
d 二重線
dd 二重の二重線
DCM ジクロロメタン
DMSO ジメチルスルホキシド
ESIMS エレクトロスプレーイオン化質量分析
EtOAc 酢酸エチル
eq 当量
FA ギ酸
HSQC NMR Heteronuclear Single Quantum Coherence核磁気共鳴 HPLC 高速液体クロマトグラフィー
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
HRMS 高分解能質量分析
h 時間
Hz ヘルツ
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
M モル
m 多重線
mg ミリグラム
MHz メガヘルツ
mL ミリリットル
min. 分
mmol ミリモル
NMR 核磁気共鳴
PEI ポリエチレンイミン
PPU プロピル-ピリジル-尿素
q 四重線
rt 室温
μL マイクロリットル
μM マイクロモル
s 一重線
SFC 超臨界流体クロマトグラフィー
TLC 薄層クロマトグラフィー
t 三重線
TsOH パラ-トルエンスルホン酸一水和物
【0160】
実施例の精製において用いられる方法
中間体及び最終産物の精製は、順相又は逆相クロマトグラフィーのいずれかを介して実行した。
【0161】
フラッシュクロマトグラフィー
順相クロマトグラフィーは、プレパックSiOカートリッジ(例えば、Teledyne Isco,Inc.のRediSep(登録商標)Rfカラム)を使用し、適切な溶媒系(例えば、ヘキサン及び酢酸エチル;DCM及びMeOH;すなわち別段の指示がない限り)の勾配で溶離し、実行した。
【0162】
実施例1.化合物1の合成
【化16】

ラパマイシン(0.549g、0.601mmol)を、反応バイアルにおいて、無水アセトニトリル(3.0mL)中のイソチアゾリジン1,1-ジオキシド(0.728g、6.01mmol)と組み合わせた。TsOH(0.011g、0.060mmol)を追加し、反応混合物を50分間室温で撹拌した。反応混合物をかん水で希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機抽出物を組み合わせ、NaSO上で乾燥させ、デカントし、濃縮し、黄色油粗生成物(約1g)を得た。粗生成物は、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した(0~50%アセトン-ヘプタン、ISCO combiflash勾配溶離、40g Silicycleシリカゲル15-40um FLH-R10017B-ISO40、TLC 40%アセトン-ヘプタン、UV下で視覚化)。生成物含有画分をLCMSによってチェックし、最高純度を有する画分を組み合わせ、濃縮し、白色固体として化合物1(0.315g、0.298mmol、49.7%の収率)を得た。
化合物1:ESIMS[M+NH1020.7,[M-H]1001.8
HRMS:[M+Na]1025.5367.
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 6.39(dd,J=14.7,10.7Hz,1H),6.22(dd,J=14.7,10.6Hz,1H),6.07(dd,J=14.9,10.6Hz,1H),6.00(d,J=10.9Hz,1H),5.40(d,J=10.0Hz,1H),5.33(dd,J=14.8,9.8Hz,1H),5.24-5.17(m,1H),5.00(td,J=5.9,3.5Hz,1H),4.57(dd,J=10.8,2.4Hz,2H),4.27(d,J=3.8Hz,1H),4.05-3.94(m,2H),3.63-3.48(m,2H),3.39(s,3H),3.33(s,4H),3.30-3.16(m,2H),3.11-2.98(m,2H),2.98-2.85(m,2H),2.68(dd,J=17.5,6.5Hz,1H),2.52(dd,J=17.3,5.4Hz,1H),2.47-2.38(m,2H),2.38-2.31(m,1H),2.31-2.25(m,2H),2.23-2.15(m,1H),1.99(m,2H),1.92-1.85(m,1H),1.82(m,5H),1.76-1.70(m,6H),1.64(m,4H),1.58-1.43(m,3H),1.40(m,1H),1.34(m,1H),1.25(m,2H),1.18-1.11(m,1H),1.11-1.00(m,10H),1.00-0.84(m,7H),0.57(q,J=11.9Hz,1H).
【0163】
実施例2.化合物2及び3の合成
【化17】

RAD001(エベロリムス、1.0g、1.044mmol)を、反応バイアルにおいて、無水ジクロロメタン(5.2mL)中のイソチアゾリジン1,1-ジオキシド(1.264g、10.44mmol)と組み合わせた。TsOH(0.020g、0.104mmol)を一度に追加した。反応物を22分間室温で撹拌した。
【0164】
反応混合物を飽和NaHCO3水で希釈し、次いで、EtOAcで4回抽出した。有機抽出物を組み合わせ、Na2SO4上で乾燥させ、デカントし、濃縮し、オレンジ色のタール粗生成物(2.181g)を得た。
【0165】
粗生成物の一部(1.436g)を、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した(15~50%アセトン-ヘプタン、ISCO combiflash勾配溶離、40g Silicycleシリカゲル15-40um FLH-R10017B-ISO40、TLC 40%アセトン-ヘプタン、UV下で視覚化)。TLCを介して溶離する2つのスポットが観察された。
【0166】
生成物含有画分をLCMSによってチェックし、最高純度を有する第1の溶離ピークからの画分を組み合わせ、濃縮し、白色固体として化合物2(0.080g、0.073mmol、6.9の収率)を得た。
化合物2:ESIMS[M+NH1064.8,[M-H]1046.3.
HRMS:C55H86N2O15SNaからの実験値:1069.5248.
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 6.45-6.24(m,2H),6.13(dd,J=15.1,9.7Hz,1H),5.96(d,J=9.8Hz,1H),5.62(dd,J=15.1,8.6Hz,1H),5.48-5.37(m,1H),5.30(d,J=5.9Hz,1H),5.20(s,1H),5.14(q,J=5.9Hz,1H),4.14(d,J=6.5Hz,1H),3.88-3.72(m,3H),3.72-3.65(m,2H),3.62-3.56(m,2H),3.50-3.47(m,1H),3.45-3.38(m,5H),3.33(s,3H),3.28-3.04(m,6H),3.04-2.89(m,2H),2.89-2.71(m,1H),2.71(d,J=5.6Hz,1H),2.34-2.21(m,4H),2.14-2.08(m,1H),2.07-1.98(m,2H),1.97-1.83(m,3H),1.82(m,1H),1.77-1.69(m,7H),1.63-1.48(m,4H),1.44-1.37(m,3H),1.34-1.18(m,5H),1.14-1.09(dd,J=6.8,2.9Hz,4H),1.08-0.83(m,14H),0.75-0.64(m,1H).
【0167】
生成物含有画分をLCMSによってチェックし、最高純度を有する第2の溶離ピークからの画分を組み合わせ、濃縮し、白色固体として化合物3(0.085g、0.077mmol、7.39%)を得た。
化合物3:ESIMS[M+NH1064.7,[M-H]1046.1.
HRMS:C55H86N2O15SNaからの実験値:1069.5630.
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 6.39(dd,J=14.7,10.8Hz,1H),6.22(dd,J=14.7,10.6Hz,1H),6.07(dd,J=14.9,10.6Hz,1H),6.00(d,J=10.8Hz,1H),5.41(dt,J=10.0,1.5Hz,1H),5.33(dd,J=14.9,9.8Hz,1H),5.23-5.17(m,1H),5.00(m,1H),4.59-4.51(m,2H),4.27(m,1H),4.04-3.94(m,2H),3.81-3.72(m,1H),3.69(m,2H),3.63-3.49(m,3H),3.43(s,3H),3.32(s,3H),3.28-2.89(m,6H),2.68(dd,J=17.4,6.4Hz,1H),2.55-2.23(m,8H),2.19(d,J=16.0Hz,1H),2.05-1.97(m,2H),1.92-1.77(m,5H),1.76-1.68(m,6H),1.68-1.58(m,4H),1.57-1.47(m,2H),1.47-1.34(m,2H),1.33-1.20(m,3H),1.16-1.10(m,1H),1.04(t,J=6.5Hz,7H),0.99-0.84(m,11H),0.64(q,J=12.0Hz,1H).
【0168】
実施例3.化合物4の合成
【化18】

ラパマイシン(0.464g、0.508mmol)を、反応バイアルにおいて、1,4-ブタンスルタム(0.892g、6.60mmol)と組み合わせた。固体を無水ジクロロメタン(2.5mL)中に溶解した。TsOH(9.65mg、0.051mmol)を一度に追加した。反応物を3時間室温で撹拌した。
【0169】
反応物を飽和NaHCO3水で希釈し、EtOAcで4回抽出した。有機抽出物を組み合わせ、Na2SO4上で乾燥させ、セライトを通して真空濾過し、濃縮し、橙黄色の固体粗生成物(約1.2g)を得た。
【0170】
粗生成物は、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し(0~70%アセトン-ヘプタン、ISCO CombiFlash勾配溶離、40g RediSep GOLDシリカカラム、50%アセトン-ヘプタンでのTLC、UV下で視覚化)、黄色固体として化合物4(0.060g、0.056mmol、11.0%の収率)を得た。
化合物4:ESIMS[M+NH1037.7,[M-H]1015.7.
HRMS:C54H84N2O14SNaからの実験値:1039.5544.
H NMR(600MHz,クロロホルム-d)δ 6.38(dd,J=14.8,10.8Hz,1H),6.22(dd,J=14.8,10.6Hz,1H),6.07(dd,J=15.0,10.6Hz,1H),5.96(d,J=10.8Hz,1H),5.37(d,J=10.1Hz,1H),5.33(dd,J=15.0,9.9Hz,1H),5.19(d,J=5.6Hz,1H),5.06(dt,J=9.7,4.4Hz,1H),4.84-4.78(m,1H),4.30(t,J=2.4Hz,1H),4.18(s,1H),4.07(m,1H),4.03(m,1H),3.66(d,J=13.9Hz,1H),3.39(s,3H),3.37-3.29(m,5H),3.22(dq,J=10.1,6.6Hz,1H),3.16-3.12(m,1H),3.09-3.04(m,1H),3.02-2.97(m,2H),2.96-2.89(m,1H),2.69(dd,J=17.7,5.5Hz,1H),2.45-2.38(m,2H),2.33-2.16(m,5H),2.04-1.94(m,2H),1.82(s,3H),1.81-1.68(m,8H),1.65-1.59(m,7H),1.56-1.42(m,4H),1.41-1.20(m,5H),1.13-0.96(m,9H),0.93(dd,J=8.9,6.6Hz,6H),0.88(m,3H),0.57(q,J=11.9Hz,1H).
【0171】
実施例4:バイオアッセイ及びデータ
本開示による化合物の活性を以下のインビトロにおける方法によって評価した。
【0172】
薬理学的特徴
材料及び方法
ラパログ効力決定のための細胞ベースのアッセイ。ラパログの効力を、MEF TSC1-/-細胞ベースのアッセイを使用して決定した。MEF TSC1-/-細胞は、mTORC1シグナル伝達を負に調節する結節性硬化症-TSC1が欠損しているマウス胚線維芽細胞であり、したがって恒常的なmTORC1活性化を呈し、下流の分子のリン酸化(活性化)をもたらす。この細胞ベースのアッセイは、ラパログ又は他のmTOR阻害剤によるS6及び4EBP1の阻害(脱リン酸化)を測定するために使用する。
【0173】
MEF TSC1-/-細胞をポリ-D-リシンコーティング384ウェルGrienerクリアボトムプレート上で平板培養し、37℃、5%COで一晩インキュベートした。翌日、細胞を「Hard starve」溶液(1L DPBS+1g D-(+)グルコース+10mlの7.5%重炭酸ナトリウム+20mlの1M HEPES)で8回洗浄し、同じ溶液でさらに2時間インキュベートする。細胞は、次に、化合物により、濃度を減少させながら(3.16倍希釈で8段階)処理し、37℃、5%COで2時間インキュベートする。細胞を、30分間、4%パラホルムアルデヒドで固定し、TBS-EDTAで5回洗浄し、その後、pS6(Ser240/244)(Cell Signaling#9468)及びp4EBP1(Thr37/46)(Cell Signaling#5123)について蛍光タグ標識抗体により免疫染色した。核は、ヘキスト(ThermoFisher Scientific #H3570)染色により視覚化した。細胞は、それぞれの蛍光チャネルを使用して画像化し(InCell 600)、mTOR阻害剤の効力をpS6 IC50(nM)によって定義した。
【0174】
FKPB12ノックアウト293T細胞の生成。CRISPR/Cas9系は、Amaxa(登録商標)4D-Nucleofector(商標)X Kit(Lonza、V4XC-2032)を使用し、FKBP12(GCCACTACTCACCGTCTCCT(配列番号1))を標的にするガイドRNA(gRNA)配列を含有するリボヌクレオタンパク質複合体を293T細胞の中に送達するために使用した。細胞クローンは、抗FKBP12抗体(Novus、NB300-508)により免疫ブロットすることによってスクリーニングし、完全なFKBP12ノックアウト(測定することができるFKBP12がない)を示す単一のクローンを選択した。
【0175】
RAD001及び化合物1による野生型(WT)及びFKBP12ノックアウト293T細胞の治療。WT及びFKBP12ノックアウト293T細胞は、10%ウシ胎児血清(ThermoFisher、#16140-071)を補足したダルベッコ修飾イーグル培地(ThermoFisher、#11995-065)中、ポリ-D-リシンコーティング96ウェルプレート(Corning、#354461)において1ウェル当たり30,000細胞の密度で平板培養した。細胞は、約80%のコンフルエンスに達するまで37℃、5%COで48時間インキュベートした。細胞は、2通り、37℃で2時間、1000nM~0.0033nMまでの12段階の用量範囲を使用して、RAD001及び化合物1により治療した。ブランクのジメチルスルホキシド(DMSO)を補足した培地は、両方の化合物のコントロールとして使用した。S6K1(Thr389)のリン酸化量は、メーカーのプロトコールに従い、サンドイッチELISAキット(Cell signaling、#7063C)によって検出した。
【0176】
FK506結合タンパク質(FKBP)に対する結合親和性を決定するためのSPRアッセイ。
FKBP12、FKBP51、及びFKBP52へのN末端avi-his6タグ付きFKBP融合物(配列番号2として開示された「his6」)を、大腸菌(E.coli)において発現させ、標準的なクロマトグラフィーを使用して精製した。それぞれのタンパク質を、Biacore 8K SPR機器(GE Healthcare)のストレプトアビジンチップ上に続いて固定した。シングルサイクルカイネティクスを使用し、滴定化合物を、50mM Tris pH 7.5/150mM NaCl/0.01% Tween20/1mM DTT/2% DMSOを含有するバッファーにおいて、2分間の会合フェーズ及び30分間の解離フェーズを使用し、それぞれの表面に45uL/分で流した。データは、低分子量(LMW)シングルサイクルカイネティクスを使用してフィットさせた。平衡解離定数(K)を報告する。
【0177】
ラパログの特異な薬理は、1)これらの細胞/組織におけるFKBP相同体の相対的存在量、及び2)これらの様々なFKBP相同体に対する結合に対するラパログの特異性に依存して、様々な細胞型又は組織型において実現され得る(Mol.Cell Biol.(2013)33:1357-1367)。
【0178】
結果
mTOR阻害剤のインビトロにおける効力は、本開示の化合物について、MEF TSC1-/-細胞においてpS6 IC50(nM)によって定義した(表1)。
【0179】
【表2】
【0180】
FKBP12、FKBP51、及びFKBP52に対する平衡解離定数(K)を、本開示の化合物について表2に示す。
【0181】
【表3】
【0182】
化合物1によるmTORC1阻害は、特にFKBP12に依存しているが、FKBP12に加えて他のFKBPは、RAD001の効果を強化し得る。
S6K1(Thr389)のリン酸化量は、化合物1又はRAD001により治療した野生型及びFKBP12ノックアウト293T細胞において測定した。S6K1は、mTORC1の下流の標的であり、そのラパログ感受性Thr389部位のリン酸化は、mTORC1活性の測定値の関数として使用される(Lee,C.H.,Inoki,K.and Guan,K.L.(2007).mTOR pathway as a target in tissue hypertrophy.Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.47,443-467)。野生型293T細胞において、化合物1もRAD001も、S6K1(Thr389)リン酸化の約70~80%の阻害を獲得するのに有効であった(図1A)。FKBP12の非存在下において、化合物1は、もはや、いかなる試験濃度でもS6K1(Thr389)のリン酸化を阻害しなかったが、約50%までのS6K1(Thr389)の阻害が、RAD001で獲得され、RAD001は、FKBP1に加えて他のFKBPを通して作用することができるが、化合物1は、その活性にFKBP12を必要とすることを実証した(図1B)。
【0183】
理論によって束縛されることを望むものではないが、これらの結果は、化合物1のmTORC1阻害効果がFKBP12のみを介して媒介されることを示す;すなわち、化合物1は、FKBP12に対して非常に選択的であり、そのため、mTORC1阻害にFKBP12を必要とする。これに反して、RAD001の場合、FKBP12のみならず他のFKBPも、mTORC1を阻害するその能力を強化する。FKBP12に対する化合物1の高い特異性に基づくと、化合物1の薬理学的効果は、FKBP12が主な相同体であり且つFKBP12が十分なレベルで発現される細胞に対して選択的であると同時に、FKBP12発現が低い(不十分な)細胞におけるmTORC1阻害を回避し得る。
【0184】
このようにいくつかの実施形態のいくつかの側面を記載したが、様々な改変、修飾、及び改良は、当業者らに容易に見出されることがわかる。このような改変、修飾、及び改良は、本開示の一部であることが意図され、本開示の趣旨の範囲内にあることが意図される。したがって、前述の説明及び図面は、例にすぎない。

本発明は、以下の態様を含み得る。
[1]
式(I):
【化19】
(ここで、R は、水素、C 1~6 アルキル、ヒドロキシルC 1~6 アルキル、及びヘテロC 1~6 アルキルからなる群から選択され;
は、
【化20】
であり、nは、1、2、若しくは3である)
の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[2]
は、ヒドロキシル及び
【化21】
からなる群から選択される、[1]に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[3]
は、
【化22】
である、[1]若しくは[2]に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[4]
は、
【化23】
である、[1]若しくは[2]に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[5]
構造式:
【化24】
の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[6]
構造式:
【化25】
の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[7]
構造式:
【化26】
の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[8]
治療有効量の、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容されるキャリヤとを含む医薬組成物。
[9]
治療有効量の、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ以上の治療上活性な作用物質とを含む医薬の組み合わせ。
[10]
mTORC1経路によって媒介される障害又は疾患の治療を、それを必要とする対象において行うための方法であって、治療有効量の、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせを前記対象に投与することを含む方法。
[11]
対象における疾患又は障害を治療するための方法であって、前記疾患又は障害の病態に関連する標的組織、器官、又は細胞は、mTORC1を阻害するのに十分なFKBP12レベルを有し、前記方法は、治療有効量の、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせを、それを必要とする前記対象に投与することを含む、方法。
[12]
mTORC1を阻害するのに十分なFKBP12レベルを有する対象又はそれを有すると決定された対象における疾患又は障害を治療するための方法であって、治療有効量の、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせを、それを必要とする前記対象に投与することを含む、方法。
[13]
前記疾患又は障害は、サルコペニア、皮膚萎縮症、サクランボ色血管腫、脂漏性角化症、脳萎縮、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、変形性関節症、高血圧、白内障、黄斑変性症、緑内障、脳卒中、脳血管疾患(脳卒中)、慢性腎疾患、糖尿病関連腎疾患、肝機能障害、肝線維症、自己免疫性肝炎、子宮内膜増殖症、代謝機能不全、腎脈管疾患、難聴、移動機能障害、認知低下、腱硬直、心肥大、並びに/又は収縮及び/若しくは拡張機能障害、並びに/又は高血圧症、並びに/又は拡張型心筋症などの心機能障害、駆出率の減退をもたらす心機能障害、免疫老化、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌、免疫監視の減少によって癌を引き起こす免疫老化、免疫機能の減退による感染症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肥満、味覚消失、嗅覚消失、関節炎、並びにII型糖尿病(腎不全、失明及びニューロパシーなどの糖尿病から生じる合併症を含む)から選択される、[10]~[12]のいずれかに記載の方法。
[14]
前記障害は、肝線維症である、[13]に記載の方法。
[15]
疾患又は障害の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、治療有効量の、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせを前記対象に投与することを含み、前記障害又は疾患は、
- 移植血管症、
- 血管内膜肥厚、血管閉塞、閉塞性冠動脈硬化、再狭窄を引き起こす平滑筋細胞の増殖及び遊走、
- 自己免疫疾患及び炎症性状態、
- 喘息、
- 多剤耐性(MDR)、
- 真菌感染症、
- 炎症、
- 感染症、
- 加齢随伴病、
- 神経変性疾患、
- 増殖障害、例えば癌、
- 発作及び発作性障害、及び
- ミトコンドリアミオパシー及びミトコンドリアストレス
から選択される、方法。
[16]
前記障害は、線維症及び/又は炎症のプロセスを含む障害である、[15]に記載の方法。
[17]
前記障害は、肝障害及び腎障害から選択される、[15]に記載の方法。
[18]
前記肝障害は、最終段階の肝臓疾患で生じる肝線維症、肝硬変、毒性による肝不全、アルコールに関連しない肝臓脂肪症又はNASH及びアルコールに関連する脂肪症から選択される、[17]に記載の方法。
[19]
前記腎障害は、腎線維症である、[17]に記載の方法。
[20]
前記腎線維症は、急性腎障害の結果として生じる、[19]に記載の方法。
[21]
前記腎障害は、慢性腎障害である、[17]に記載の方法。
[22]
前記腎障害は、糖尿病性腎症である、[17]に記載の方法。
[23]
加齢性障害又は加齢随伴病の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、治療有効量の、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせを前記対象に投与することを含み、前記障害又は疾患は、サルコペニア、皮膚萎縮症、サクランボ色血管腫、脂漏性角化症、脳萎縮、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、変形性関節症、高血圧、白内障、黄斑変性症、緑内障、脳卒中、脳血管疾患(脳卒中)、慢性腎疾患、糖尿病関連腎疾患、肝機能障害、肝線維症、自己免疫性肝炎、子宮内膜増殖症、代謝機能不全、腎脈管疾患、難聴、移動機能障害、認知低下、腱硬直、心肥大、並びに/又は収縮及び/若しくは拡張機能障害、並びに/又は高血圧症、並びに/又は拡張型心筋症などの心機能障害、駆出率の減退をもたらす心機能障害、免疫老化、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌、免疫監視の減少によって癌を引き起こす免疫老化、免疫機能の減退による感染症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肥満、味覚消失、嗅覚消失、関節炎、並びにII型糖尿病から選択される、方法。
[24]
それを必要とする対象における癌を治療する方法であって、治療有効量の、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせを前記対象に投与することを含む方法。
[25]
PD-1/PDL-1阻害剤をさらに含む、[24]に記載の方法。
[26]
前記癌は、腎臓癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、子宮肉腫、子宮体癌、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、胃癌、線維肉腫、膵癌、肝臓癌、黒色腫、白血病、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、前立腺癌、肺癌、膠芽腫、膀胱癌、中皮腫、頭部癌、横紋筋肉腫、肉腫、リンパ腫及び頚部癌から選択される、[24又は25]に記載の方法。
[27]
医薬として使用するための、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせ。
[28]
mTOR経路によって媒介される障害又は疾患の治療において使用するための、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせ。
[29]
- 移植血管症、
- 血管内膜肥厚、血管閉塞、閉塞性冠動脈硬化、再狭窄を引き起こす平滑筋細胞の増殖及び遊走、
- 自己免疫疾患及び炎症性状態、
- 喘息、
- 多剤耐性(MDR)、
- 真菌感染症、
- 炎症、
- 感染症、
- 加齢随伴病、
- 神経変性疾患、
- 増殖障害、例えば癌、
- 発作及び発作性障害、及び
- ミトコンドリアミオパシー及びミトコンドリアストレス
から選択される障害又は疾患の治療において使用するための、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせ。
[30]
線維症又は炎症のプロセスを含む障害又は疾患の治療において使用するための、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせ。
[31]
前記障害は、肝障害及び腎障害から選択される、[30]に記載の使用のための化合物。
[32]
前記肝障害は、最終段階の肝臓疾患で生じる肝線維症、肝硬変、毒性による肝不全、アルコールに関連しない肝臓脂肪症又はNASH及びアルコールに関連する脂肪症から選択される、[31]に記載の使用のための化合物。
[33]
前記腎障害は、急性腎障害の結果として生じる腎線維症である、[32]に記載の使用のための化合物。
[34]
前記腎障害は、慢性腎障害である、[31]に記載の使用のための化合物。
[35]
前記腎障害は、糖尿病性腎症である、[32]に記載の使用のための化合物。
[36]
サルコペニア、皮膚萎縮症、サクランボ色血管腫、脂漏性角化症、脳萎縮、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、変形性関節症、高血圧、白内障、黄斑変性症、緑内障、脳卒中、脳血管疾患(脳卒中)、慢性腎疾患、糖尿病関連腎疾患、肝機能障害、肝線維症、自己免疫性肝炎、子宮内膜増殖症、代謝機能不全、腎脈管疾患、難聴、移動機能障害、認知低下、腱硬直、心肥大、並びに/又は収縮及び/若しくは拡張機能障害、並びに/又は高血圧症、並びに/又は拡張型心筋症などの心機能障害、駆出率の減退をもたらす心機能障害、免疫老化、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌、免疫監視の減少によって癌を引き起こす免疫老化、免疫機能の減退による感染症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肥満、味覚消失、嗅覚消失、関節炎並びにII型糖尿病から選択される加齢性障害又は加齢随伴病の治療において使用するための、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせ。
[37]
癌の治療において使用するための、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせ。
[38]
腎臓癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、子宮肉腫、子宮体癌、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、胃癌、線維肉腫、膵癌、肝臓癌、黒色腫、白血病、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、前立腺癌、肺癌、膠芽腫、膀胱癌、中皮腫、頭部癌、横紋筋肉腫、肉腫、リンパ腫又は頚部癌の治療において使用するための、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせ。
[39]
医薬の製造のための、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせの使用。
[40]
mTOR経路によって媒介される障害又は疾患の治療のための医薬の製造のための、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせの使用。
[41]
- 急性又は慢性器官又は組織移植拒絶、
- 移植血管症、
- 血管内膜肥厚、血管閉塞、閉塞性冠動脈硬化、再狭窄を引き起こす平滑筋細胞の増殖及び遊走、
- 自己免疫疾患及び炎症性状態、
- 喘息、
- 多剤耐性(MDR)、
- 真菌感染症、
- 炎症、
- 感染症、
- 加齢随伴病、
- 神経変性疾患、
- 増殖障害、例えば癌、
- 発作及び発作性障害、及び
- ミトコンドリアミオパシー及びミトコンドリアストレス
から選択される障害又は疾患の治療のための医薬の製造のための、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせの使用。
[42]
線維症又は炎症のプロセスを含む障害又は疾患の治療のための医薬の製造のための、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせの使用。
[43]
前記障害は、肝障害及び腎障害から選択される、[42]に記載の使用。
[44]
前記肝障害は、最終段階の肝臓疾患で生じる肝線維症、肝硬変、毒性による肝不全、アルコールに関連しない肝臓脂肪症又はNASH及びアルコールに関連する脂肪症から選択される、[43]に記載の使用。
[45]
前記腎障害は、急性腎障害の結果として生じる腎線維症である、[43]に記載の使用。
[46]
前記腎障害は、慢性腎障害である、[43]に記載の使用。
[47]
前記腎障害は、糖尿病性腎症である、[43]に記載の使用。
[48]
サルコペニア、皮膚萎縮症、サクランボ色血管腫、脂漏性角化症、脳萎縮、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、変形性関節症、高血圧、白内障、黄斑変性症、緑内障、脳卒中、脳血管疾患(脳卒中)、慢性腎疾患、糖尿病関連腎疾患、肝機能障害、肝線維症、自己免疫性肝炎、子宮内膜増殖症、代謝機能不全、腎脈管疾患、難聴、移動機能障害、認知低下、腱硬直、心肥大、並びに/又は収縮及び/若しくは拡張機能障害、並びに/又は高血圧症、並びに/又は拡張型心筋症などの心機能障害、駆出率の減退をもたらす心機能障害、免疫老化、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌、免疫監視の減少によって癌を引き起こす免疫老化、免疫機能の減退による感染症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肥満、味覚消失、嗅覚消失、関節炎、並びにII型糖尿病から選択される加齢性障害又は加齢随伴病の治療のための医薬の製造のための、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせの使用。
[49]
癌の治療のための医薬の製造のための、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせの使用。
[50]
腎臓癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、子宮肉腫、子宮体癌、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、胃癌、線維肉腫、膵癌、肝臓癌、黒色腫、白血病、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、前立腺癌、肺癌、膠芽腫、膀胱癌、中皮腫、頭部癌、横紋筋肉腫、肉腫、リンパ腫又は頚部癌の治療のための医薬の製造のための、[1]~[7]のいずれかに記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は[8]に記載の医薬組成物、又は[9]に記載の医薬の組み合わせの使用。
図1A
図1B
【配列表】
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