(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】ネブライザ監視装置、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
A61M 11/00 20060101AFI20240327BHJP
A61M 15/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
A61M11/00 A
A61M15/00 Z
(21)【出願番号】P 2021562815
(86)(22)【出願日】2019-04-22
(86)【国際出願番号】 US2019028542
(87)【国際公開番号】W WO2020219012
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】508048621
【氏名又は名称】パリ ファーマ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シーガル、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、スペンサー
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジェ ホン
(72)【発明者】
【氏名】トイジャノバ、ジェネット
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】スクインス、ヤニス
(72)【発明者】
【氏名】スキャンロン、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】メッツ、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】アベル、ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】デ アナ アルベロア、フランシスコ ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】グッディン、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】クロスランド、エバレット
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/180980(WO,A1)
【文献】特表2013-501566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/00
A61M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断のためのネブライザシステムであって、
前記ネブライザシステムは少なくとも1つのコントローラと、メモリと、送信機と、1つまたは複数のセンサを備えているネブライザ監視装置と、を備えており、
前記ネブライザ監視装置はネブライザに係合するように構成されているとともに、ネブライズされた薬剤の投与を受けるべく被験者によって使用されるように構成されており、
1つまたは複数の前記センサは、前記ネブライザから前記被験者へのネブライズされた前記薬剤の流れを測定するように構成された流量センサを備えており、
前記少なくとも1つのコントローラは1つまたは複数の前記センサからデータを収集するとともに、前記被験者の呼吸数、前記被験者の吐き出し量、および前記被験者の温度のうちの少なくとも2つを決定しており、
前記少なくとも1つのコントローラは決定された前記被験者の前記呼吸数、前記被験者の前記吐き出し量、および前記被験者の前記温度のうちの少なくとも2つを、以前に決定された前記被験者の呼吸数、前記被験者の吐き出し量、または前記被験者の温度と比較しており、
前記少なくとも1つのコントローラは前記比較に基づき前記被験者および提供者のうちの少なくとも一方に信号を送信しており、
前記ネブライザ監視装置はさらに、前記少なくとも1つのコントローラに接続された発光ダイオード(LED)のアレイを備えている使用状況表示器を備えており、前記少なくとも1つのコントローラは、
1日の最初の投与/治療の前に前記使用状況表示器のすべてのLEDをオフにする工程と、
投与/治療の最小時間に亘って
前記流量センサから複数の測定された流量ベクトルを前記コントローラが受信した後
、前記流量センサによる流量ベクトルが無い測定値を受信することに続いて
、前記使用状況表示器の1つのLEDを点灯させる工程と、
を実行するように構成されている、
ネブライザシステム。
【請求項2】
前記ネブライザは慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬を備えている、
請求項1に記載のネブライザシステム。
【請求項3】
前記呼吸数が以前に決定された前記呼吸数よりも小さい場合、または前記呼吸数が以前に決定された前記呼吸数よりも大きい場合、または
前記呼吸数が以前に決定された前記呼吸数よりも予め設定された量だけ小さい場合、または前記呼吸数が以前に決定された前記呼吸数よりも予め設定された量だけ大きい場合、
前記送信機は前記比較に基づき前記信号を前記被験者および前記提供者のうちの少なくとも一方に送信する、
請求項1に記載のネブライザシステム。
【請求項4】
前記吐き出し量が以前に決定された前記吐き出し量よりも小さい場合、または前記吐き出し量が以前に決定された前記吐き出し量よりも大きい場合、または
前記吐き出し量が以前に決定された前記吐き出し量よりも予め設定された量だけ小さい場合、または吐き出し量が以前に決定された吐き出し量よりも予め設定された量だけ大きい場合、
前記送信機は前記比較に基づき前記信号を前記被験者および前記提供者のうちの少なくとも一方に送信する、
請求項1に記載のネブライザシステム。
【請求項5】
前記温度が以前に決定された前記温度よりも小さい場合、または前記温度が以前に決定された前記温度よりも大きい場合、または
前記温度が決定された前記温度よりも予め設定された量だけ小さい場合、または前記温度が決定された前記温度よりも予め設定された量だけ大きい場合、
前記送信機は前記比較に基づき前記信号を前記被験者および前記提供者のうちの少なくとも一方に送信する、
請求項1に記載のネブライザシステム。
【請求項6】
以前に決定された前記呼吸数は前記被験者の正常呼吸数、ベースライン呼吸数、平均呼吸数、アベレージ呼吸数、または閾値呼吸数のうちの1つであり、または
以前に決定された前記吐き出し量は前記被験者の正常吐き出し量、ベースライン吐き出し量、平均吐き出し量、アベレージ吐き出し量、または閾値吐き出し量のうちの1つであり、または
以前に決定された前記温度は前記被験者の以前に決定された温度または温度閾値である、
請求項1に記載のネブライザシステム。
【請求項7】
前記ネブライザシステムはさらにコンピュータシステムを備えており、
前記ネブライザ監視装置はセンサデータを前記コンピュータシステムに送信するように構成されており、
前記コンピュータシステムは、
前記被験者の前記呼吸数、前記被験者の前記吐き出し量、および前記被験者の前記温度のうちの少なくとも2つを決定する工程と、
前記被験者の決定された前記呼吸数、前記吐き出し量、および前記温度のうちの少なくとも2つを、以前に決定された呼吸数、吐き出し量、または温度と比較する工程と、および
前記比較に基づき前記コンピュータシステムが前記被験者および前記提供者のうちの少なくとも一方に信号を送信する工程と、
を行うように構成されている、
請求項1に記載のネブライザシステム。
【請求項8】
前記ネブライザ監視装置は前記センサデータをスマート装置に送信するように構成されており、
前記スマート装置は前記センサデータを前記コンピュータシステムに送信するように構成されている、
請求項7に記載のネブライザシステム。
【請求項9】
前記ネブライザ監視装置は前記センサデータを基地局に送信するように構成されており、
前記基地局は前記センサデータを前記コンピュータシステムに送信するように構成されている、
請求項7に記載のネブライザシステム。
【請求項10】
前記ネブライザ監視装置はさらにバッテリを備えており、
前記基地局は前記バッテリを充電するべく前記ネブライザ監視装置に電気エネルギーを伝達するように構成されている、
請求項9に記載のネブライザシステム。
【請求項11】
前記ネブライザ監視装置はさらにマウスピースを備えており、
1つまたは複数の前記センサは温度センサを備えており、
前記被験者が前記マウスピースを前記被験者の口に挿入したときに、前記温度センサが前記被験者の唇の少なくとも一部の温度を測定するように配置されるように、前記温度センサは前記マウスピースの第1端に配置されている、
請求項1に記載のネブライザシステム。
【請求項12】
被験者
の診断
を補助する方法であって、前記方法は、
ネブライザシステムを提供する工程であって、前記ネブライザシステムは少なくとも1つのコントローラと、メモリと、送信機と、ネブライザに接続されるように適合されたネブライザ監視装置と、を備えている、提供する工程と、
前記ネブライザ監視装置を前記ネブライザに接続する工程と、
前記ネブライザ監視装置は1つまたは複数のセンサを備えているとともに、前記被験者の呼吸数、前記被験者の吐き出し量、および前記被験者の温度のうちの少なくとも2つを測定する工程
であって、1つまたは複数の前記センサは、前記ネブライザから前記被験者へのネブライズされた薬剤の流れを測定するように構成された流量センサを備えている、少なくとも2つを測定する工程と、
前記少なくとも1つのコントローラは前記被験者の前記呼吸数、前記被験者の前記吐き出し量、および前記被験者の前記温度のうちの少なくとも2つを記憶および処理する工程と、
前記少なくとも1つのコントローラは前記被験者の測定された前記呼吸数、前記吐き出し量、および前記温度のうちの少なくとも2つを、以前に決定された呼吸数、吐き出し量、または温度と比較する工程と、
前記送信機は前記比較に基づき前記被験者および提供者のうちの少なくとも一方に信号を送信する工程と、
エアロゾル含有チャンバから延びるネブライザマウントとマウスピースとの間
に流体接続を形成する内面を有する導管内に配置されるかまたは前記導管に接続される湿度センサを提供する工程と
、
前記湿度センサは、前記導管内の湿度を測定するとともに、前記導管内の湿度の測定値を前記少なくとも1つのコントローラに送信する工程と、および
前記少なくとも1つのコントローラに接続された発光ダイオード(LED)のアレイを備えている使用状況表示器を提供する工程と、
前記少なくとも1つのコントローラは、
1日の最初の投与/治療の前に前記使用状況表示器のすべてのLED
をオフにする工程と、
前記少なくとも1つのコントローラは、
投与/治療の最小時間に亘って前記導管内の流れを示す
前記流量センサによって測定された流量ベクトルを受信するとともに、前記コントローラ
が複数の湿度測定値を受信し
て前記複数の湿度測定値の平均が予め設定された閾値を上回った後に、前記使用状況表示器の1つのLED
をオンにする工程と、
を備えている、
方法。
【請求項13】
診断のためのネブライザシステムであって、
前記ネブライザシステムは少なくとも1つのコントローラと、メモリと、送信機と、1つまたは複数のセンサを備えているネブライザ監視装置と、を備えており、
前記ネブライザ監視装置はネブライザに係合するように構成されているとともに、ネブライズされた薬剤の投与を受けるべく被験者によって使用されるように構成されており、
前記少なくとも1つのコントローラは1つまたは複数の前記センサからデータを収集するとともに、前記被験者の呼吸数、前記被験者の吐き出し量、および前記被験者の温度のうちの少なくとも2つを決定しており、
前記少なくとも1つのコントローラは決定された前記被験者の前記呼吸数、前記被験者の前記吐き出し量、および前記被験者の前記温度のうちの少なくとも2つを、以前に決定された前記被験者の呼吸数、前記被験者の吐き出し量、または前記被験者の温度と比較しており、
前記少なくとも1つのコントローラは前記比較に基づき前記被験者および提供者のうちの少なくとも一方に信号を送信しており、
前記ネブライザ監視装置はさらに、ユーザに薬を投与するべく前記ネブライザ監視装置が使用されているときに前記ユーザの少なくとも1つの唇に接触するように構成された温度センサを備えており、
前記少なくとも1つのコントローラは、前記温度センサに接続されており、
前記ネブライザシステムは、
エアロゾル含有チャンバから延びるネブライザマウントとマウスピースとの間に流体接続を形成する内面を有する導管の外方で前記導管に沿って延在するアームを備えており、前記アームの第1部分は前記温度センサを備えており、前記アームの第2部分は前記導管に接続されており、前記アームの前記第2部分は前記温度センサを前記少なくとも1つのコントローラに接続する、
ネブライザシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ネブライザを使用して投与することができるような、ネブライズされた薬剤の使用を監視するための装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネブライザは、溶液や懸濁液の形をした薬を、患者が吸い込めるようにエアロゾル化して気道に送り込むべく使用されるドラッグ送出装置である。薬剤を肺に到達させるためには、エアロゾル中の粒子の大きさは、コントロールされることが重要なパラメータである。直径が約5μmよりも大きい粒子は、小さい粒子よりも上気道に沈着し、肺に沈着するよりも飲み込まれる可能性が高い。逆に、直径約1μm以下の粒子は、肺への沈着が少なく、単に吸い込んだり吐き出したりするだけの場合もある。したがって、ネブライザは、典型的には約1μmから5μmの間の粒子を送出するように設計されており、これは、一般的に吸い込みされた気管支拡張剤の修復可能な割合を構成する所望の粒子サイズ範囲である。
【0003】
最も一般的には、ネブライザは、「ジェット」ネブライザのように加圧ガス源を使用するか、または「超音波」ネブライザおよび「電子」または「メッシュ」ネブライザのように超音波エネルギーを使用するかのいずれかによって、医療溶液または懸濁液の微粒子化または「霧化」を形成することでエアロゾルを生成する。ジェットネブライザはベンチュリ効果を利用しており、広範囲の粒子サイズを生成するべく、薬液または懸濁液を備えているネブライザリザーバから毛細管を介して溶液を引き上げるべく、加圧ガスの予め設定された流量(例えば、2~10L/分)を必要とするのが一般的である。これらの初期液体粒子は、1つまたは複数のバッフルに吹き付けられ、エアロゾルから大きな粒子を取り出してリザーバに戻す一方で、マウスピースを介して吸い込みを行なうユーザに小さな粒子を届けることができる。超音波式ネブライザは、交流電源を用いてネブライザリザーバ内の圧電素子を振動させ、溶液/懸濁液の表面に定在波を発生させる。小さな液滴は、この波によって溶液から脱離し、ジェットネブライザのようにバッフルによって小さな粒子に淘汰された大粒子と小粒子のエアロゾルとして放出される。そして、このエアロゾルを前述のように肺に送り込むことができる。メッシュネブライザは、エアロゾルを生成するべく微細なメッシュに結合された振動圧電素子を使用し、メッシュのサイジングで粒子サイズを制御する(非特許文献1、非特許文献2)。
【0004】
気管支狭窄、気道炎症、粘性保持分泌物、空域感染およびコロニー形成、呼吸困難および慢性咳嗽など、ネブライザ療法の潜在的な適応症は多数ある。これらの症状/病態の緩和には、気管支拡張剤(サルブタモール、テルブタリン、イプラトロピウムなど)、抗炎症剤(ブデソニド、フルチカゾンなど)、分泌物崩壊剤(生理食塩水およびDNase/dornaseなど)、抗菌剤(ペンタミジンなど)、長時間作用型気管支拡張剤(フォルモテロール、アルフォルモテロール、グリコプリロレート、レベフェナシンなど)、疼痛管理薬(モルヒネ、リドカインなど)などのネブライザ薬剤の投与が含まれる。これらの症状/病態は、慢性閉塞性肺疾患(COPD:ChronicObstructive PulmonaryDisease)、喘息、嚢胞性線維症、気管支拡張症、HIV、肺がん、またはこれらの組み合わせなどの疾患設定によって発生する。慢性閉塞性肺疾患COPDは、肺気腫、慢性気管支炎、一部の喘息患者など、多くの病気の状態に起因する進行性の症状を指す。慢性閉塞性肺疾患COPDは、一般的に40歳以上の男女に発症する疾患であり、QOL(生活の質)の低下、機能障害、多額の直接/間接費用など、高い疾病負担を伴う。現在、慢性閉塞性肺疾患COPDを完治させる方法はなく、病気の進行に伴って肺の酸素化能力が低下するので、症状を抑えることしかできない(非特許文献3~5)。
【0005】
慢性閉塞性肺疾患COPDの管理において、患者が吸い込み薬治療を遵守することは非常に重要であり、その中心になるのが気管支拡張剤の使用である。気管支拡張剤には、β-アゴニスト、抗コリン剤、メチルキサンチン(例えば、テオフィリン)などがあり、ネブライザによって投与される。現在までのところ、コンプライアンス(遵守)は、自己申告、報告された症状の評価、および投与が効果的であるかどうかを評価するためのスパイロメトリーに基づく。処方された慢性閉塞性肺疾患COPD治療薬に対する患者のコンプライアンスや症状の報告には大きなバラツキがあり、多くの医師は、スパイロメトリー評価を行わずに、症状や病歴に基づき慢性閉塞性肺疾患COPD患者を診断/管理している。処方された治療法の遵守率が50%というのは、高いと言えるかもしれない。慢性閉塞性肺疾患COPD患者は、周期的に慢性閉塞性肺疾患COPD症状の急性増悪を起こすことがある。これは、炎症によって気道が狭くなったり、粘液が溜まったりすることが原因である。これらの増悪(exacerbations)の原因は必ずしも明らかではないが、多くの場合、肺のウイルスや細菌の感染が原因になっている。また、大気汚染や花粉などのアレルゲンなど、環境中の刺激的な物質を吸い込むことでも増悪することがある。慢性閉塞性肺疾患COPDの増悪時および増悪後の肺の炎症(刺激や腫れ)は、しばしば回復の長期化、併存疾患の悪化、患者の死亡につながる。増悪の早期発見は、多くの場合、患者の報告に依存している。また、慢性閉塞性肺疾患COPD患者は、増悪や併存疾患などの病気のプロセスや、さまざまな薬や機器の使用について十分な教育を受ける必要がある。
【0006】
慢性閉塞性肺疾患COPDの治療には、大きな経済的な負担や、禁煙プログラムの開始、運動プログラム(肺リハビリテーション)の実施、家庭内外での補助酸素の吸入など、行動やライフスタイルの変化が伴うことも少なくない。また、このような患者の場合、他にも治療やセラピーを受けている可能性があり、治療を続ける上での負担が大きくなってしまう。そのため、慢性閉塞性肺疾患COPD治療のアドヒアランスが悪いことは驚くべきことではないが、悩ましいことでもある。吸入治療のアドヒアランスについて、患者は、(1)上手に使っている常連、(2)上手に使っていない常連、(3)上手に使っている非常連、(4)上手に使っていない非常連、の4つのカテゴリに分類できる。不規則な使用で手技が下手な患者(第4カテゴリ)の死亡率が最も高く、不規則な使用で手技が上手な患者(第3カテゴリ)の死亡率は2番目に高く(ただし第4カテゴリの半分程度)、増悪の発生率も高いことがわかっている。定期的に使用しているが技術が不十分な患者(第2カテゴリ)では、増悪率がわずかに増加するが、より良い結果が得られた。驚くことではないが、定期的な使用と優れた技術を持つ患者は、死亡率と増悪率が最も低い。したがって、アドヒアランス行動は特定の臨床転帰に関連しており、規則的な使用(例:処方、使用量)が最も重要な要素であり、適切な使用(例:使用の質)はそれほどではないが重要な要素であると言える(非特許文献6~10などがある)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】R.Johnsら、Prescriber 2007, 5, 16-28
【文献】D.S.Gardenhireら、A Guide to Aerosol Delivery Devices forRespiratory Therapists, 3rd ed., American Associationfor Respiratorycare, 2013
【文献】J.L.Peacockら.Thorax 2011, 66, 591-596
【文献】A.Agusti Eur.Repir Rev 2011, 121m 183-194
【文献】E.L.Toyら, Respiratory Medicine, 2011, 105, 435-441
【文献】Cushenら, AJRCCM Articlesin Press, 19-Jan-2018
【文献】Arzu Ari Eurasian J.Pulmonol, 2014, 16, 1-7
【文献】S. Lareauら, Am J. Respir. Crit.Care Med.、2014、189、P11-P12
【文献】Tamas Aghら、Chronic Obstructive Pulmonary Disease -Current Concepts and Practice、InTech、2012、Ch.12、275-290
【文献】R. D. Restrepoら、International Journal of COPD、2008、3(3)、371-384
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
慢性閉塞性肺疾患COPDの治療法はあるが、処方された吸い込み治療に対する患者のコンプライアンスを向上させることが求められている。また、増悪を早期に発見することで、患者を適切に治療して安定させる能力が大きく向上する。コンプライアンスの向上と増悪の早期発見は、治療費を大幅に削減するだけでなく、肺機能の低下を弱め、慢性閉塞性肺疾患COPD患者の生活の質を向上させる可能性があり、この治療法のアンメットニーズとして認識されている。
【0009】
また、臨床試験でのデータ収集などの試験において、ネブライザを使用した薬剤の使用状況を監視する必要がある。現在、これらの試験では、ユーザが薬剤の使用に関して毎日のログを記入することが標準的な方法である。投与された薬剤がプラセボである可能性があり、効果が見られない場合には試験に参加していないことになるので、慢性閉塞性肺疾患COPDと同様に、薬物検査で被験者に与えられた指示へのコンプライアンスを確認することは、慢性閉塞性肺疾患COPDの場合よりも難しいか、おそらく困難である。さらに、臨床試験でのユーザによる信頼性の低いコンプライアンス報告は、スポンサーによる評価、規制当局による承認、そして最終的には医療従事者による慢性閉塞性肺疾患COPD患者の治療のための薬剤の特徴づけに利用される生理学的エンドポイントデータ(例:1秒あたりの強制吐き出し量、FEV1)に対する薬剤候補の真の効果を混乱させる可能性がある。したがって、ネブライザの使用や投薬に関するデータ収集とデータの幅を広げることは、もう一つのアンメットニーズである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一般に、本発明は、ネブライザ監視装置と、ネブライザ装置を備えているシステムと、および監視装置およびシステムを用いてユーザのネブライザ使用を監視する方法とに関する。いくつかの実施形態によれば、装置、システム、および方法は、ネブライザ内またはネブライザと共に配置されたセンサによる流量、湿度、温度、および動きの測定値を提供し、これを用いてユーザのネブライザのリアルタイムの使用を監視することができる。さらに、データを収集して、ユーザ、介護者、医療従事者が視覚化できるように、吐き出し量、呼吸数、体温などのデータに処理することができる。例えば、データは、使用コンプライアンスに関連するデータ収集、実験的研究、または吸い込み呼吸薬に対する反応や増悪の開始の追跡または検出のために使用することができる。本装置、システム、および方法は、したがって、予め設定された治療レジームに従ったネブライザ使用のコンプライアンスを促進するとともに、ユーザおよび増悪の開始をリアルタイムで監視することを支援する。
【0011】
一態様では、本発明は、ユーザによるネブライザの使用を検出および追跡するためのサブシステムを備えているネブライザシステムに関する。システムは、ネブライザを通るネブライザ化された薬の流れを検出および測定するように構成された1つまたは複数のセンサと、ユーザによるネブライザの使用状況を記録および報告するように構成されたコントローラとを備えていることができる。また、第1表面および第2表面を有するベース基板と、ベース基板の第2表面に取り付けられた集積回路とを備える。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ネブライザ監視装置が提供される。ネブライザ監視装置は、ネブライザマウントに係合するように適合された第1コネクタと、ネブライザマウスピースに係合するように適合された第2コネクタとを備える。また、この装置は、第1コネクタと第2コネクタとの間に流体接続を形成する内面を有する導管を備える。流量センサは導管内に、そして第1コネクタと第2コネクタとの間に配置されており、流量センサは、導管内の流体の流量ベクトルを測定するように構成されている。少なくとも1つの表示器は流量センサに接続され、少なくとも1つのコントローラは流量センサおよび第1表示器に接続され、よって、少なくとも1つの表示器の少なくとも1つの寸法(dimension)は、測定された流量ベクトルの関数として変化する。本装置のいくつかのオプションでは、流量センサは、差圧センサまたは流量計を備えている。
【0013】
任意で、ネブライザ装置は、例えば、少なくとも1つの光源を備えている。ここで、少なくとも1つの表示器の寸法の変化は、少なくとも1つの光源から放出される光の強度の変化を備えている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの光源は、第1発光ダイオード(LED)を備えており、第1LEDによって放出される光の強度の変化は、測定された流体流量ベクトルの関数として変化する。任意で、少なくとも1つの表示器は、第1LED光の色とは異なる色を有する第2LED光を備えており、測定された流体流量ベクトルが第1方向にあるときには第1光が照射され、測定された流体流量ベクトルが第2方向にあるときには第2光が照射される。任意で、少なくとも1つの光源は、少なくとも2つの発光ダイオード(LED)を備えており、少なくとも1つの表示器の寸法の変化は、2つのLEDのうちの少なくとも1つの状態の変化を備えている。任意で、少なくとも1つの光源は、順番に照らされるLEDのアレイを備えており、LEDのアレイは、表示が長くなる表示器として知覚され、知覚される長さは、測定された流量ベクトルの関数であり、長さの方向は、測定された流量ベクトルのベクトル方向を示す。
【0014】
任意に、ネブライザ監視装置の第1表示器は、少なくとも1つの報音装置を備えている可聴表示器を備えている。いくつかの他の実施形態では、可聴表示器の寸法は、少なくとも1つの放音装置によって放出される音の振幅、周波数、およびパターンのうちの1つまたは複数である。例えば、音は、大きな音から柔らかい(ソフトな)音、柔らかい音から大きな音、低い音から高い音、高い音から低い音へと変化することができ、音は、持続時間および/または周波数が変化するビープ音を発することができ、音は、同時に発せられたと認識される2つ以上の音(例えば、和音)を発することができ、音は、音楽的な音(例えば、歌または歌の断片)であることもできる。また、任意で、第1表示器は、振動装置、輻射熱装置、および外形変化装置のうちの1つまたは複数を備えている触覚表示器で構成される。例としては、表示器が、装置を保持して用量が完了したときの振動の触覚を提供する場合や、視覚障害者が読めるディスプレイ(例えば、点字)を提供する場合などがある。任意で、触覚表示器は振動装置を備えており、可聴表示器の寸法は、振動の強度および周波数のうちの1つまたは複数を備えている。
【0015】
ネブライザ監視装置はさらに、任意で、ネブライザマウントとマウスピースとの間の導管内に配置されたまたは導管に接続された湿度センサを備えていることができ、湿度センサは導管内の湿度を測定するように構成される。よって、少なくとも1つの表示器の少なくとも1つの寸法(dimension)は、測定された流量ベクトルと、湿度センサからの測定された湿度との関数として変化する。
【0016】
ネブライザ監視装置はまたさらに、任意で、少なくとも1つのコントローラに接続された発光ダイオード(LED)のアレイを備えている使用状況表示器を備えていることができる。いくつかの任意の実施形態では、少なくとも1つのコントローラは、予め設定された時間に使用状況表示器のすべてのLEDをオフにする工程と、コントローラが予め設定された最小時間に亘って流量センサから複数の測定された流量ベクトルを受信し、その後、予め設定された時間に亘って流量センサによる流量ベクトルが無いという測定値を受信したことに続いて、予め設定された順序で使用状況表示器の1つのLEDをオンにする工程と、を実行することができるように構成される。任意で、コントローラは、予め設定された時間に使用状況表示器のすべてのLEDをオフにする工程と、コントローラが流れ(例えば、第1方向および任意に第2方向)を示す測定された流量ベクトルを受信し、コントローラが予め設定された期間に亘って湿度の複数の測定値を受信し、予め設定された期間に亘って湿度の複数の測定値の平均が予め設定された閾値を上回った後に、予め設定された順序で使用状況表示器の1つのLEDをオンにする工程と、を実行するように構成されている。任意で、使用状況表示器は、LEDライトのアレイを備えている視覚的表示器を備えていることができ、指定された開始時刻の後に服用された各用量は、アレイ内のLEDの連続的な照明によって示され、アレイは、一日のうちの予め設定された時間帯にすべてのLEDをオフにすることでリセットされる。任意で、予め設定された閾値は、80%の相対湿度である。
【0017】
さらに、任意で、装置はさらに、装置がユーザに薬を投与するべく使用されているときにユーザの少なくとも1つの唇に接触するように構成された温度センサを備えていることができ、少なくとも1つのコントローラは温度センサに接続されている。任意で、ユーザがマウスピースを自分の口に挿入したときに、温度センサがユーザの唇の少なくとも一部の温度を測定するように配置されるように、温度センサは、ユーザの口に挿入するように構成されたマウスピースの第1端に配置される。任意で、第2コネクタは第1軸線に沿って延在し、第2コネクタはさらに、導管の外方で第1軸線に沿って延在するアームを備えており、マウスピースが第2コネクタに接続されたときに、アームはマウスピースに沿って延在する。アームの第1部分は温度センサを備えており、アームの第2部分は導管に接続され、温度センサを少なくとも1つのコントローラに接続するようになっている。また、任意で、ユーザがマウスピースを口に挿入したときにアームの第1部分がユーザの唇の少なくとも一部に接触するように、アームの第1部分はマウスピースに整列するように構成される。アームは、オプションとして、アームを導管に接続するヒンジを備えていることができる。また、アームは、導管へのアームの長さを延長できるように、柔軟な(可撓性のある)テザーを任意に備えることができる。いくつかの実施形態では、温度センサは、サーミスタを備えている。
【0018】
任意で、ネブライザ装置はさらに、少なくとも1つのコントローラに接続された加速度計を備えている。また、任意に、ネブライザ装置は、少なくとも1つのコントローラに接続されたバッテリと、前記バッテリを充電するための充電回路と、をさらに備える。任意で、バッテリ充電回路は、誘導充電のために構成された誘導コイルを備えている。
【0019】
本発明のいくつかの他の実施形態によれば、ネブライザ使用のためのシステムが提供され、ネブライザ使用のためのシステムは、ネブライザ監視装置と、ネブライザ監視装置に無線通信する基地局とを備える。任意に、ネブライザ監視装置は、少なくとも1つのコントローラに接続されたバッテリと、前記バッテリを充電するための充電回路とを備えている。また、任意に、基地局は、ネブライザ監視装置を受け入れるとともにネブライザ監視装置を充電するべく構成されたポートを備えている。任意で、基地局は第1誘導コイルを備えており、ネブライザ監視装置は、ネブライザ監視装置が基地局によって受け入れられると、基地局がネブライザ監視装置を誘導的に充電するような第2誘導コイルを備えている。幾つかの任意の実施形態では、基地局は複数のポゴピンを備えており、ネブライザ監視装置は複数の電気接触パッドを備えており、ネブライザ監視装置が基地局によって受け入れられたときに、基地局の少なくとも2つのポゴピンはネブライザ監視装置の2つの接触パッドに接触し、電気エネルギーをネブライザ監視装置に伝達してバッテリを充電するようになっている。
【0020】
オプションとして、ネブライザ使用システムの基地局は、少なくとも1つの環境監視センサと、少なくとも1つの環境監視センサに接続されて少なくとも1つの環境監視センサから環境センサデータを受信して保存するように構成されたコントローラとを備えている。任意で、少なくとも1つの環境監視センサは、VOC(揮発性有機化合物)センサ、CO2センサ、湿度センサ、温度センサ、カビセンサ、花粉センサ、胞子センサ、細菌センサ、および微粒子センサのうちの少なくとも1つを備えている。オプションとして、基地局はネットワークインタフェースを備えており、基地局はリモートコンピュータシステムにデータを転送できるようになっている。また、任意で、リモートコンピュータシステムは、少なくとも1つのプロセッサおよび関連部材を備えており、基地局からデータを受信して保存するように構成されている。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、ユーザにネブライズされた薬剤を投与する方法が提供される。ユーザにネブライズされた薬剤を投与する方法は、ネブライザ監視装置またはネブライザ使用のためのシステムを備えているネブライザを使用して、前記薬剤の予め設定された用量のネブライザ療法レジメを投与することを備えている。任意で、ユーザは、ネブライザで噴霧される薬剤を必要とする患者であり、ネブライザ療法レジメに対する非遵守のリスクが高い。また、任意で、ユーザは、薬物研究または薬物試験の対象者である。いくつかのオプションでは、1つまたは複数の使用状況指標器は、電子的な形態で保存される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の使用状況指標器は、データ可視化システム上に表示され、ケア提供者またはユーザは可視化システム上の1つまたは複数の指標を閲覧し、1つまたは複数の指標が装置の誤った使用または増悪を示している場合、ユーザまたは医療提供者によって是正措置が取られる。また、任意で、使用状況指標器は、温度、呼吸数、吐き出し量、投与量、装置の向き、およびそれらの組み合わせを備えているグループから選択される。任意で、使用指標の各々は、タイムスタンプされた複数の使用指標を構成する。
【0022】
本発明のこれらの機能および他の機能は、本発明自体と一緒に、以下の図、詳細な説明、および特許請求の範囲を検討した後、より完全に理解されるであろう。
本明細書に組み込まれている添付の図面図は、本発明の1つまたは複数の例示的な実施形態を示しており、詳細な説明と合わせて、これらの発明の原理および応用を説明および解説する役割を果たす。図面および詳細な説明は例示であり、限定的なものではなく、本発明の範囲および精神から逸脱することなく適応および変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1B】いくつかの追加の詳細を備えているネブライザ監視装置の3D斜視図。
【
図2B】制御構成要素、センサ、および表示器を備えているネブライザ監視装置の基板の横断平面図。
【
図2C】
図2Cと
図2Dは、2つの異なる呼吸速度に対する呼吸データをプロットして示す2つのグラフ。
図2Cは1分間に15回の呼吸を示す。
【
図2D】
図2Cと
図2Dは、2つの異なる呼吸速度に対する呼吸データをプロットして示す2つのグラフ。
図2Dは1分間に20回の呼吸を示す。
【
図3A】ネブライザ監視装置のためのマウスピースの近くにサーミスタを位置決めするためのタブおよびヒンジ構成を示す図。
図3Aの第1パネルは、サーミスタがマウスピースに接触していない状態を示し、
図3Aの第2パネルは、サーミスタがマウスピースに接触している状態を示す。
【
図3B】熱電対をネブライザ監視装置のマウスピースの近くに配置するためのクリップオン保持器構成を示す。
図3Bの第1パネルは、マウスピースに接触していないサーミスタを示し、
図3Bの第2パネルは、マウスピースに接触しているサーミスタを示す。
【
図3C】ネブライザ監視装置用のマウスピースの近くに熱電対を配置するための伸縮性保持器の構成を示す。
図3Cの第1パネルは、マウスピースに接触していないサーミスタを示し、
図3Cの第2パネルは、マウスピースに接触しているサーミスタを示す。
【
図4A】ネブライザ監視装置のマウスピースおよびハウジングを示す実施形態の上面ダウン図。
【
図4B】いくつかの実施形態において、光の強度を吸い込みおよび吐き出しの強度の指標として使用することができる様子を絵的に示している。
図4Bの第1パネルは、吸い込み中にLEDが明るくなることを示している。
図4Bの第2パネルは、息を吐いている間にLEDの光が弱くなることを示している。
【
図5A】ネブライザ監視装置のマウスピースおよびハウジングを示す実施形態の上から見た図。
【
図5B】
図5Bの第1パネルおよび5Bの第2パネルは、表示器の範囲内での伸長が、ユーザが吸い込んでいることを示し(
図5Bの第1パネル)、表示器の範囲内での収縮が、ユーザが吐き出していることを示す(
図5Bの第2パネル)実施形態である。
【
図5C】表示器として異なる色のライトを有するネブライザ監視装置のハウジングの上から見た図である。
図5Cの第1パネルは、吸い込みを示す緑色の発光を示しており、
図5Cの第2パネルは、吐き出しを示す紫色の発光を示している。
【
図6】ネブライザの使用を監視するための装置の一実施形態で使用される湿度センサの応答を示す相対湿度パーセント対時間のプロット。
【
図7A】ネブライザ監視装置を受け入れるように構成された基地局を示す3D斜視図。
【
図7B】使用されるであろう可能な環境における基地局の3D斜視図。
【
図8】ネブライザ監視装置を使用するシステムの一実施形態の絵図。
【
図9】ユーザのネブライザの使用を監視するためのシステムが提供する情報を閲覧するためのダッシュボード。
【
図10】ユーザのネブライザの使用を監視するためのシステムのための構成要素の実施形態を概略的に示す。
【
図11】ユーザのネブライザ使用を監視するためのシステムを使用する際に取られる工程についての実施形態を図式的に示す。
【
図12】基地局およびクラウドサーバを使用する際に取られる工程のための実施形態を絵で示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願は、吸い込み療法の管理のための方法およびシステムに向けられている。例えば、吸い込み療法の管理は、吸い込み治療療法レジメンのアドヒアランスを検出および記録することと、服用した用量、ユーザの状態(例えば、体温、呼吸数、吐き出し量)、およびユーザが晒される環境条件(例えば、空気の質)を監視および記録することとを備えていることができる。治療は、慢性閉塞性肺疾患COPDまたはネブライザ療法で治療される他の呼吸器疾患(例えば、喘息、嚢胞性線維症)の治療のためのネブライザ療法およびその監視を備えていることができる。一般に、本発明は、ネブライザ治療を必要とする治療法の管理について、ユーザ、ケアギバー、および医療提供者を支援するための装置、システム、および方法に関する。また、同じシステムは、臨床研究における被験者の監視にも使用できる。
【0025】
文脈が許す限り、本明細書で使用されるように、「ユーザ」という用語は、一般的に、臨床研究の対象者と、患者と、または対象者もしくは患者を支援するケア提供者とを指す。例えば、制限なく、ユーザは、本明細書に記載されているような装置を使用して、本明細書に記載されているようなシステムを使用して、または本明細書に記載されているような装置の使用を監視して、ネブライザ治療を受けている患者であり得る。あるいは、制限なく、ユーザは、臨床試験の一部として本明細書に記載された装置を使用する、臨床試験の一部として本明細書に記載されたシステムを使用する、または臨床試験の一部として装置の使用を監視する、臨床試験の被験者であることができる。また、制限なく、ユーザは、患者または被験者が本明細書に記載された装置を使用するのを助ける、患者または被験者が本明細書に記載されたシステムを使用するのを助ける、または患者または被験者が装置の使用を監視するのを助けるケア提供者(例えば、配偶者、親戚、友人、看護師、および/または雇われた補助者)であり得る。いくつかの実施形態では、ユーザという用語は、2人以上の患者、被験者、および/またはケア提供者を指すことができる。例えば、監視システムの表示器によって警告されるユーザは、ケア提供者と患者の両方が監視システムによって警告され得ることを意味すると理解されるべきである。いくつかの実施形態では、ユーザは患者と被験者の両方であり、例えば、実験的な治療を受けている患者である。
【0026】
慢性閉塞性肺疾患COPDは、典型的には40歳以上の男性および女性の患者に発生する疾患であり、生活の質の低下、機能障害、および多額の直接的および間接的なコストを含む高い疾患負担に関連している。また、慢性閉塞性肺疾患COPD患者は、炎症によって気道が狭くなったり、粘液が溜まったりすることで、慢性閉塞性肺疾患COPDの症状が急性増悪することがある。これらの増悪の正確な原因は必ずしも分かっていないが、場合によっては肺のウイルスや細菌の感染、重度の大気汚染や花粉などのアレルゲンのような環境からの刺激物質の吸い込みが原因になることもある。増悪を治療せずにいると、回復に時間がかかり、併存疾患の悪化や死に至ることが多いので、増悪を早期に発見することが重要である。そのため、慢性閉塞性肺疾患COPDの患者には、増悪や併存疾患などの病気のプロセスや、さまざまな薬や機器の使用方法について十分な教育が必要である。慢性閉塞性肺疾患COPD患者の中には、別の投薬治療を必要とする他の医学的課題を抱えている人も多く、場合によっては自己調整能力が低下している人もいるので、吸い込み法の遵守は困難を極める。装置の正しい使用や増悪の開始は、多くの場合、自己申告または医療従事者や他の人(例えば、介護者の配偶者)による観察によって行われる。
【0027】
ネブライザは、溶液または懸濁液の形態の薬剤を気道に直接送達するべく使用される薬剤送達装置であり、溶液をエアロゾル化することで、炎症および/または刺激を受けた気道の組織に薬剤が直接送達されるようにユーザが吸い込みを行なうことができる。一般的なネブライザには、ジェットネブライザ、超音波ネブライザ、およびメッシュネブライザの3種類がある。これらは、マウスピース、ノーズピース、またはフェイスマスクを介してユーザの気道に吸い込まれて配置される直径約1~5μmの粒子を有する医療用溶液(例えば、懸濁液)から、エアロゾル化された薬剤を生成するように設計されている。または、機械式人工呼吸器システムにネブライザを接続して使用する。他の粒度分布を使用/対象とすることができるが、これは以下の理解で行われる。すなわち理解とは、約10~15μmのサイズの粒子は主に上気道に堆積する傾向があり、約5~10μmのサイズの粒子は大きな気管支に到達する傾向があり、約1~5μmのサイズの粒子は下気道および肺の周辺に浸透する傾向があり、より小さな粒子または蒸気は、いくつかの堆積/凝縮が生じる可能性があるが、ほとんどの場合、堆積することなく吸い込みおよび吐き出されるという理解である。
【0028】
ジェットネブライザでは、薬液は、毛細管(キャピラリチューブ)の第1開放端に接続されたリザーバに加えられる。圧縮されたガス源は、ガスの流れ、例えば、ジェット流を生成し、このジェット流は、ベンチュリ効果によってリザーバからチューブを通して液体を引き出すべく、毛細管の第2開放端を横切る小さな開口部を介して投影される。したがって、気体(例えば、空気)の流れは、チューブの第2端の圧力を低下させ、液体がリザーバからチューブの第1端を通って第2端から引き出されるようにする。液体は、ジェットストリームとの接触によってエアロゾル化される。ジェット気流と、エアロゾル化した粒子とは、バッフルを備え得るチャンバに導かれる。比較的大きな液体粒子はバッフルに接触して捕捉され、これら大きな粒子からの液体がリザーバまたは別の収集チャンバに流れ/滴下するようになる。バッフルは、通常、直径が約5μmより大きい粒子を除去するように設計されている。小さい粒子、例えば5μm未満の粒子は、チャンバ内でエアロゾル化されたままとなり、マウスピース、ノーズピース、フェイスマスク、機械式ベンチレータシステムに取り付けられたポートを介して、またはこれらのいずれかに接続されたチューブに取り付けられたポートを介して、チャンバを出ることができる。マウスピースは、ユーザが吸い込みを行なう際にエアロゾル化した薬剤を摂取するべく、ユーザの口に挿入されるように設計されている。例えば、マウスピースは、ユーザの歯の間に挿入され、ユーザの唇に対して接触/シールするように設計することができる。ノーズピースは、鼻孔に挿入するように構成された2本のチューブを有することができ、フェイスマスクは、薬を摂取するべく口および/または鼻の上に配置することができる。また、チャンバには、吸気ポートと呼ばれる別の開口部があり、ユーザが息を吸ったときなどに周囲の空気がチャンバ内に入るようになっている。また、マウスピースやフェイスマスクに設けられた吐き出しポートなどの他のポートも備えていることができる。一方向弁のシステムも、マウスピース/フェイスマスクを介してエアロゾル化された薬剤をユーザにアクセスさせ、例えばユーザが息を吸ったときに作動し、吐き出しをチャンバの外に向ける/維持するべく備えられていることができる。例えば、マウスピース、空気吸い込み口、および吐き出し口上の一方通行の弁である。いくつかのシステムでは、空気取り入れ口は、収集バッグまたは拡張可能なエラストマーボールなどの拡張可能なチャンバに接続することができ、例えば、ユーザが吸い込むときに収縮し、ユーザが吐き出すときに新しいエアロゾル化された薬で拡張する、エアロゾル化された薬のためのリザーバとして機能することができ、ここでは、ガス源/空気源が一方向弁によって制御される。
【0029】
超音波ネブライザは、トランスデューサ(例えば、圧電材料)からの高周波振動を用いて、リザーバ内の薬液にエネルギーを与えて定在波を発生させ、チャンバ内にエアロゾルを発生させる。チャンバはマウスピースに接続されることができ、ユーザが息を吸うとエアロゾルが肺に吸い込まれる。超音波ネブライザは、超音波ネブライザが約5μm未満の粒子径を有するエアロゾルをユーザに提供するように、粒子径を制御する(例えば、より大きなエアロゾル粒子を捕捉する)1つまたは複数のバッフルを備えていることができる。超音波ネブライザは、一般的にジェットネブライザよりも効率的であり、この点を考慮して薬剤の投与量は適切に調整される。例えば、超音波ネブライザで使用する薬の1mLの投与量は、ジェットネブライザを使用する場合、同じ薬の2mLの投与量を必要とするかもしれない。
【0030】
別の一般的なネブライザは、メッシュネブライザまたは電子ネブライザ(eFlownebulizer)である。メッシュネブライザは、微細メッシュに接続された圧電素子を電気で振動させ、微細メッシュを薬液に接触させてエアロゾルを発生させる。メッシュネブライザは、ジェットネブライザや超音波ネブライザと比較して、バッフルではなく、メッシュの直径によって粒子の大きさが決まることが大きな特徴である。また、投与量をより効率的に計量することができ、2~3分の時間枠の中で少量の設定された量の薬剤を投与することができる点で、ジェットネブライザとは異なる。
【0031】
本明細書の実施形態によって記載された装置は、普遍的であり、ジェットネブライザ、超音波ネブライザ、およびメッシュネブライザなどの任意のネブライザで使用することができる。さらに、ネブライザは、マウスピースまたはフェイスマスクを備えていることができる。いくつかの実施形態では、PARIRespiratory Equipment, Inc(例えば、Pari Trek S、Magnair)、VELOX、Philips Respironics(例えば、Respironics Sidestream)、RoscoeMedical(例えば、Roscoe Medical Portable TravelNebulizerSystem、Roscoe Pediatric Nebulizersなど)、Dynarex Corporation(Dynarex Portable Compressor Nebulizerなど)、Meridian and Clinical Guard(ClinicalGuardUltrasonic Portable Neblizerなど)から入手可能なものなどの市販のネブライザを使用することができる。
【0032】
前述のように、慢性閉塞性肺疾患COPDの管理においては、患者が吸い込み薬治療を遵守し、増悪を早期に検出することが重要である。本明細書では、ネブライザを使用する治療の場合、監視システムが、治療の遵守と増悪の検出を大幅に改善することが認識されている。そのような監視システムおよび装置は、例えば、装置、方法、およびシステムのいくつかの実施形態が図によって示されているところで、本明細書に記載されている。
【0033】
さらに、呼吸数、吐き出し量、温度などの身体的データを経時的に収集するネブライザ監視システムは、ユーザの監視(例えば、病気の進行を監視するため)、または薬物検査中(例えば、臨床試験中)に対象者を監視するべく有用である。
【0034】
本明細書に記載の方法、システム、および装置は、任意のネブライザ(例えば、上述のネブライザ)によってネブライズすることができる任意の薬物(例えば、気管支拡張剤、ステロイド、抗生物質)と共に使用することができる。これらの薬剤は、例えば、分子およびポリマー(例えば、タンパク質)を含むことができ、多くの場合、生理食塩水または他のキャリア媒体を含む。具体例としては、長時間作用型βアゴニスト(LABA)、長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)、吸い込みコルチコステロイド(ICS)、短時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(SAMA)、短時間作用型βアゴニスト(SABA)、ブデソニド、アジスロマイシン、トブラマイシン、ピルフェニドン、レベフェナシンなどが挙げられる。治療薬は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、喘息、慢性気管支炎、肺気腫、肺線維症、嚢胞性線維症、肺がんなど、さまざまな肺疾患の治療に用いられる。吸い込み治療薬はまた、血流への進入を提供するので、本明細書に記載された方法、システム、および装置に関するいくつかの実施形態は、全身への進入および非肺関連疾患の治療のためにネブライザで使用される薬剤を含む。
【0035】
したがって、本発明のいくつかの実施形態によれば、ネブライザ感知装置100は、エアロゾル化された薬剤の供給源(例えば、ネブライザ)と、マウスピース、ノーズピース、またはフェイスマスクとの間に接続される導管として構成することができる。導管内に配置されたセンサは、よって、ユーザが吸ったり吐いたりする際の流れや流量、薬用エアロゾルの有無を検出することができる。
図1Aは、ネブライザ装置10、ネブライザ検知装置100、およびマウスピース12を備えている実施形態の3D斜視図である。同図には、アセンブリに対して割り当てられたx、y、zの並進軸線、およびR
x、R
yの回転軸線も示されている。ネブライザ装置10は、液体の薬を含むための薬用リザーバ、ネブライザ要素(例えば、ジェット、超音波、またはメッシュ、図示せず)、およびエアロゾル化された薬を含むためのチャンバを備えていることができる。リザーバとチャンバは、簡単にするべく、この斜視では示されていないが、当技術分野でよく理解されている構成要素である。チャンバおよびリザーバは、例えば、毛細管、バッフル、圧電素子(およびそれへの電気的接続)、ガス吸い込みポート(例えば、加圧ガス源に接続されている)、および前述の弁を備えていることができる。いくつかの実施形態では、ネブライザ装置10は、ホルダとしても機能することができ、これらの実施形態では、ネブライザ装置10は、そのための適切なハンドル、グリップ、溝、および/または形状で保持されるように構成することができる。また、ネブライザ装置10は、エアロゾル含有チャンバから延びるポートまたはネブライザマウント14を備えている。このポートまたはネブライザマウント14は、第1コネクタを介してネブライザ感知装置100に接続することができる。いくつかの代替実施形態では、チューブなどの導管を、ネブライザ装置10とネブライザ感知装置100との間に挿入することができ、導管は、中にエアロゾル/空気の通路を提供することが理解される。また、ネブライザ感知装置100は、装置を使用するユーザによる吐き出し時に開き、吸い込み時に閉じるフラップ弁13を任意に備えているネブライザマウスピース12に係合/接続することができる第2コネクタを備えていることができる。ネブライザ感知装置100は、ネブライザの使用を検出するための1つまたは複数のセンサと、本明細書に記載されているように、服用した用量、および/またはユーザの状態を示すための表示器とを備えていることができる。
【0036】
ネブライザセンサ装置100は、より詳細には、装置の3D斜視を示す
図1Bによって示される。装置100はハウジング110を備えていることができ、ハウジング110は、第1コネクタ114(例えば、ネブライザマウント14に係合およびシールするように構成されている)と、マウスピース12に係合およびシールするように適合された出口ポート112との間の導管を形成する。ハウジング110は、マウスピース12を介して吸い込みされたガス、またはマウスピースを介して吐き出されたガスが導管を介して逃げないように、ネブライザマウント14からマウスピース12への密封された経路を規定することができる。マウスピース12は、透明な図で示されているが、マウスピースは透明であることができるが、透明である必要はない。したがって、ハウジング110は、いずれかの方向、例えば、ユーザが吸ったり吐いたりしている間に、第1コネクタ114および第2コネクタ112を通るエアロゾル/空気の流れのための導管として構成される。いくつかの実施形態では、
図1Aに示されているが
図1Bには示されていないように、マウスピースは一方向弁13を備えていることができ、一方向弁13は、息を吐くときに外部環境に開き、息を吸うときに閉じる(例えば、装置が使用されていないときには閉じたままにすることができる)。これらの実施形態では、エアロゾル/空気は、この一方向弁13を通して吐き出され、第1コネクタ114を通って戻ってくることはない。ネブライザセンサ装置100のハウジング110は、1つまたは複数の視覚的および/または聴覚的表示器も備えていることができる。いくつかの実施形態では、ハウジング110は、治療または投薬回数表示器140および呼吸表示器120を示す。呼吸表示器120は、図示されているように、ユーザがマウスピース12に係合したときにユーザが見ることができるように配置され得る。治療回数表示器140は、治療の完了前または完了後に容易に見ることができるように、図示のようにハウジング110上に配置することができる。
【0037】
図2Aは、本発明のいくつかの実施形態によるネブライザ監視装置100の断面図である。図に示すように、ネブライザマウント14(例えば、第1コネクタ114に係合するネブライザ装置10の一部)は、第1コネクタ114を介してハウジング110に接続され、ハウジング110は、出口ポート112を介してマウスピース12に接続される。よって、構成要素14、110、および12は、エアロゾル/空気がネブライザチャンバからマウスピース12に流れることを可能にする内部導管を規定する。いくつかの実施形態では、記載および図示されているような内部空間または導管を備えているハウジング110は、圧力センサ222および湿度センサ250などの導管内に配置された1つまたは複数のセンサを備えている。保護膜(例えば、W.L.Gore&Co.から入手可能なGoreMembranes)223および252などの保護要素も、エアロゾル液体(例えば、導管を通って流れるもの)がセンサに蓄積してセンサの感度に影響を与えるのを制限するべく提供することができる。いくつかの実施形態では、ハウジングは、呼吸表示器などの1つまたは複数の表示器を備えていることができる。例えば、呼吸表示器は、1つまたは複数のLED224と、一端がLED224に近接した1つまたは複数の光パイプ226とを備えており、よって光パイプ226は、LED224からの光を、ユーザが見ることができるようにハウジングの外部表面に伝達することができる。他の実施形態では、ハウジング110は、投与量、使用、または他の情報をユーザに伝えるべく、1つまたは複数の他のLED242および1つまたは複数の光パイプ244を、任意にまたは追加で備えていることができる。また、ハウジング110は、
図2Bの詳細図に示すように、監視コントローラ230が搭載されたプリント回路基板PCBボード210などのコントローラボードを備えていることができる。プリント回路基板PCB210は、1つまたは複数の加速度計またはジャイロスコープ280(例えば、動きを感知し、速度および/または加速度信号を監視コントローラ230に送信するためのもの)と、1つまたは複数の無線通信トランシーバ290(例えば、外部装置に対してデータを送受信するためのもの)とを備えていることができる。監視コントローラ230は、例えば、集積回路またはシステムオンチップの一部として、中央処理装置(CPU)231およびメモリ233を備えていることができる。また、CPU231は、タイマーユニットに接続することができ、および/または、タイマーをCPUに含めることができる(例えば、ハードウェア時間として含まれるか、ソフトウェア時間としてプログラムされる)。また、監視コントローラ230は、例えば、通信(例えば、トランシーバ290)および電力管理(図示せず)のための他の統合ユニットを備えていることができる。監視コントローラ230は、マイクロコントローラを備えていることができ、例えば、本明細書で使用される「マイクロコントローラ」は、組み込みシステムにおける特定の動作を実装または制御するように設計された集積回路を説明するものであり、典型的には、シングルチップ上のプロセッサ、メモリ、および入出力周辺部(ペリフェラル)を備えている。監視コントローラ230および/またはマイクロコントローラは、例えば、ARMベースのマイクロコントローラ、PICベースのマイクロコントローラ、または、IntelベースのCPUまたはマイクロコントローラを備えていることができる。LEDおよびセンサは、コントローラに接続され、例えば、電気的または無線でコントローラに通信することができる。いくつかの実施形態では、
図2Aに示すように、LEDおよび圧力センサはプリント回路基板PCBボード上に実装/統合されており、湿度センサはプリント回路基板PCBボード上に実装されていない。他の実施形態では、様々な要素を異なるように配置することができ、例えば、湿度センサがプリント回路基板PCBボードに取り付けられ、圧力センサがプリント回路基板PCBボードに取り付けられていない場合や、複数のLEDの一部/全部がプリント回路基板PCBボードに直接取り付けられていない場合などがあることを理解されたい。いくつかの実施形態では、内部(例えば、電池またはコンデンサ)および/または外部電源(例えば、従来のAC電源アダプタまたは電源)を使用して、監視コントローラ230に電力を供給し、様々な構成要素に電力を供給するべく必要に応じて分配することができる。例えば、電力は、外部電源(図示せず)に接続するハウジング110に取り付けられた接続プラグを介して、および/または、図示のように内部または外部のバッテリ260を介して供給することができる。いくつかの実施形態では、交換可能なバッテリを使用することができる。いくつかの実施形態では、バッテリ260は、例えば、充電回路を用いた直接的な電気的接続による、または、例えば、QiまたはNFC(NearField Communication)などの無線電力転送技術を用いた誘導による、充電式バッテリとすることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、圧力センサ222は、差圧センサまたは流量計を備えていることができる。差圧式流量計は狭窄部をパイプに導入し、流れている流体/気体の方向に、狭窄部116を横切る圧力降下を生じさせ、狭窄部の両側に1つずつある2つの圧力センサ222を使用して測定することができる。流れが増加すると、流体/気体が狭窄部を流れる際に、より多くの圧力降下が生じる。したがって、差圧センサは、空気/エアロゾルなどの特定の材料について較正して、パイプ/導管を通る速度(例えば、流体の流量)および流れの方向を決定することができる。例えば、上流の圧力センサは、下流のセンサよりも高い圧力を有することが予想され、センサは、上流の圧力および下流の圧力の関数として流量を決定するように較正することができる。監視コントローラ230は、圧力測定値と、圧力測定値から決定された流量値とのそれぞれにタイムスタンプを関連付けることで、気体(例えば、空気および/またはエアロゾル)の体積(例えば、吐き出し量)を決定することができる。例えば、吸い込んだ、または吐き出した空気および/またはエアロゾルの体積は、予め設定された期間における流量の関数として決定することができる。流れの方向(例えば、吸い込みまたは吐き出し)は、互いに、マウスピース12またはネブライザ装置10に対する圧力センサの位置によって決定することができる。例えば、吸い込み時には、ネブライザ装置10に最も近い圧力センサでの圧力は、一般に、マウスピース12に最も近い圧力センサでの圧力よりも大きくなる。例えば、吐き出し時には、ネブライザ装置10に最も近い圧力センサでの圧力は、一般に、マウスピース12に最も近い圧力センサでの圧力よりも小さくなる。監視コントローラ230は、各測定の圧力、流量、および時間をメモリに記録して、監視コントローラ230またはリモートシステムが、各ユーザがどのくらいの長さで息を吸って吐いているか、およびユーザが各投与のために何回呼吸しているかなどの呼吸指標として吐き出し量を決定できるようにする。各測定の圧力、流量、および時間は、さらなる分析のためにリモートシステムに送信することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、ネブライザ監視装置100は、導管内の流れに対して垂直に配置された1つまたは複数の穴を有するメッシュまたはプレートによって作られた狭窄部を備えていることができる。いくつかの実施形態では、圧力降下の量を最小化して、ユーザにとって装置を介した呼吸の困難さを軽減するように、狭窄部は最小化されることができる。流量計は、流量を直接決定することができる時間測定要素を備えていることができる。流量計は、例えば、圧力差の開始/停止を検出し、データ処理のために監視コントローラ230およびCPU231に結合されることで、流れの開始および停止を検出することができる。いくつかの他の実施形態では、例えば、圧力センサ222を交換または補完するべく、異なる流量計を使用できることが理解される。例えば、質量流量計を使用することができる。
【0040】
流れが検出される間の時間量と組み合わせて測定された流量は、流れの間の総体積を決定するべく使用することができる。
図2Cおよび
図2Dは、圧力センサ222を使用して測定され得るような代表的なプロットされた呼吸データを示す。
図2Cは、毎分15回の呼吸数を示し、
図2Dは、毎分20回の呼吸数を示す。吐き出し量(tidalvolume)は、例えば、吸い込み曲線の下の面積として計算することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、ネブライザ装置10などのネブライザ装置は、ネブライザ装置10を使用するユーザの温度を測定するように構成された1つまたは複数の温度センサ232を備えていることができる。いくつかの実施形態では、ユーザがマウスピース12に唇を置くときに、温度センサがユーザの唇の少なくとも1つの温度を測定するように、温度センサは、マウスピース12に埋め込まれるか、またはマウスピース12に配置され得る。例えば、温度センサは、例えば、電気ケーブル/接点を介して、監視コントローラ230に接続されたサーミスタまたは熱電対を備えていることができる。いくつかの実施形態では、ネブライザ装置10は、マウスピース12の近位端に配置されるサーミスタ232を備えており、アーム234を使用してサーミスタ232を監視コントローラ230に電気的接続することができる。
図3A、
図3B、および
図3Cは、使用中にユーザの唇に接触するようになることができるように、温度センサ232をマウスピース12の近位端に接続するためのいくつかの実施形態を示す。
図3Aは、アームおよびヒンジ構成を示し、剛性のアーム要素234およびヒンジ要素1310を備えており、サーミスタ232は、ヒンジ要素1310とは反対側の端部でアーム要素234内または上に配置することができる。
図3Aの第1パネルは、装置が使用されていないときに配置されたアームを示しており、一方、
図3Aの第2パネルは、ユーザが使用するための位置に移動されたアーム234を示しており、サーミスタ232はマウスピース12の近位端の近くに配置されている。
図3Bは、曲げ可能および/または柔軟なケーブル1314によって監視コントローラ230に接続されたクリップオン保持要素1312を備えている、別の任意の実施形態を示す。
図3Bの第1パネルは、装置が使用されていないときの位置にあるクリップ1312およびケーブル1314を示し、一方、
図3Bの第2パネルは、マウスピース12に固定されたクリップ1312を示し、よって、サーミスタ232は、使用中にユーザの1つまたは複数の唇に接触するように、マウスピース12の近位端に対して配置される。
図3Cは、フレックスケーブル1314を備えたストレッチオーバー弾性保持器1316を使用する実施形態を示す。
図3Cの第1パネルは、装置が使用されていないときの位置にある弾性保持器1316およびケーブル1314を示し、一方、
図3Cの第2パネルは、マウスピース12の近位端に配置された弾性保持器1316を示し、よって、サーミスタ232の位置は、使用中にユーザの1つまたは複数の唇に接触するようなマウスピースの近位端の1つであることを示す。
図3A~
図3Cでは、サーミスタは示されておらず、むしろサーミスタが存在する領域が矢印で示されていることに留意されたい。
【0042】
湿度センサ250は、当技術分野で知られている任意の湿度センサであり得る。本明細書では、「湿度」は、空気または他の気体中の水蒸気含有量を意味する。湿度の測定値は、様々な用語および単位で述べることができる。一般的に使用される用語は、絶対湿度、露点(dewpoint)、相対湿度(RH)の3つである。本明細書では、「絶対湿度」は、空気または気体の体積に対する水蒸気の質量の比率である。「絶対湿度」は、立方メートルあたりのグラム数や、立方フィートあたりのグレイン数で表すことができる(1グレイン=1/7000ポンド)。ここでいう「露点」とは、気体が凝縮して液体になり始める温度と圧力のことであり、°Cまたは°Fで表される。本明細書で使用される「相対湿度」または「RH」または「%RH」は、同じ温度および圧力での飽和水分量と比較した、空気の水分量の比率(%として記載)を意味する。いくつかの実施形態では、湿度センサ250は、容量性湿度センサである。例えば、2つの導電性電極の間にポリマーまたは金属酸化物の薄膜が蒸着された基板(例えば、ガラス、セラミック、またはシリコン)で構成される容量性RHセンサである。これらのセンサでは、検出面を汚染や結露から保護するべく、検出面が多孔質金属電極でコーティングされているのが一般的である。他のいくつかの実施形態では、湿度センサ250は、導電性ポリマー、塩、または処理された基板などの吸湿性媒体の電気インピーダンスの変化を測定する抵抗性湿度センサである。例えば、導電性ポリマー(ポリイミドなど)と、塩と、または活性化化学物質とでコーティングされた適切な基板上の電極(例えば、貴金属電極)から構成される。相対湿度の変化は、コーティング材料の電気抵抗プロファイルの対応する変化によって示される。当技術分野で知られている他の湿度センサも、ネブライザの使用を監視する装置の実施形態に使用することができる。
【0043】
本発明の実施形態のいくつかによれば、センサ(例えば、圧力センサ222および湿度センサ250)は、センサの敏感な要素を覆う疎水性通気性膜などの保護要素を備えていることができる。本明細書で使用されるように、疎水性通気性膜は、酸素、窒素、および水蒸気などの気体を通過させるが、液体または固体の微粒子などのより大きな物質を通過させない、フィルムまたはシート材料などの構造体である。例えば、疎水性通気性膜は、約10nmよりも大きいものを通過させない(例えば、約100nmよりも大きいもの、約0.5μmよりも大きいもの)。いくつかの実施形態では、疎水性通気性膜は、ゴア膜252および223である。疎水性通気性膜は、エアロゾル中の液体微粒子などの任意の大きな微粒子が、センサの敏感な部分に堆積することを確実にする、または最小限にする。これらのタイプの膜は、汚れや腐食を防止または低減し、異常または不正確な測定値やセンサの損傷を最小限に抑えることができる。
【0044】
ネブライザ監視装置100の他の実施形態は、ハウジング110の内部空間(導管)に、温度センサまたはCO2センサなどの他のセンサを備えていることができることを理解されたい。さらに、センサの配置は、当業者の選択の問題であり、例えば、センサは、導管の内面に1つでまたは隣接して配置することができ、または、導管の内面から浮遊または離れて配置することができることを理解されたい。例えば、任意のセンサの配置は、センサの動作モードおよびセンサが測定を意図している特性に基づき決定することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、加速度計および/またはジャイロスコープ280を備えていることができ、使用中のネブライザ監視装置100の動きおよび位置を測定するように構成されている。例えば、加速度計および/またはジャイロスコープ280は、ネブライザ監視装置100がピックアップされたときに検出して、監視機能を開始し、使用中にネブライザ監視装置100の向きを測定するべく使用することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、加速度計280を使用して、装置が正しい向きで使用されているかどうかを判定することができる。本明細書で使用されるように、正しい向きとは、ネブライザリザーバ内の医療用溶液のすべてまたは大部分(例えば、約99%以上、約95%以上、約90%以上、または約80%以上)がネブライザ化され、使用中にネブライザ装置10を横に倒したときにリザーバからこぼれるなどして失われないように、ネブライザが機能することができる向きである。本発明のいくつかの実施形態によれば、各ネブライザ装置は、最適な向きまたは向きの範囲(例えば、水平の10度以内)で動作するように設計することができる。例えば、
図1Aによって示されるようなネブライザの場合、正しい配向は、マウスピースが地面に対して水平であり、いかなる傾斜角もない状態、例えば、図に示されるxy並進軸線によって設定される平面が地面に対して平行である状態である。この向きでは、R
xおよびR
yの回転軸線はゼロの角度を持つと設定できる。いくつかの実施形態では、正しい向きは、R
xおよびR
yの角度が約-5度から+5度の間(例えば、約-10度から約+10度の間、約-15度から約+15度の間、または約-20度から約+20度の間)である。代替的な説明として、加速度計データは、重力ベクトルデータを検出することができ、装置の水平/垂直に対する角度を検出するべく使用することができる。したがって、加速度計280は、装置100の向きを測定することができ、監視コントローラ(マイクロコントローラ)230を介して、この情報をメモリに格納し、この情報をリモートシステムに送信することができる。
【0047】
加速度計280は、監視装置100がピックアップされたときに、装置を「スリープ」から「ウェイクアップ」させるべく使用することもできる。本明細書で使用されるように、装置は、装置の要素の少なくともいくつか、例えばいくつかのセンサがオフであり、電力を受け取らないか、またはセンシング装置として動作するのに必要な閾値以下のレベルの電力を受けるとき、「スリープ」または「スリープモード」にある。スリープモードでは、センサを維持するべく必要な電力が供給されることがあるが、スリープ中のセンサは、データを収集したり、収集したデータの信号を監視コントローラ230に送信したりしない。いくつかの実施形態では、スリープモードにおいて、加速度計280は、監視コントローラ230に接続され、コントローラから電力を受け取り、コントローラに通信するが、他のセンサは、電力をほとんどまたは全く受け取らない。例えば、監視コントローラ230は、加速度計/ジャイロスコープ280からの信号を継続的に監視し、CPU232によって実行されるソフトウェアアルゴリズムを介して、装置100がピックアップされたかどうかを判定する動作モードで動作することができる(例えば、アルゴリズムは、加速度計またはジャイロスコープ280の動き(例えば、経時的な速度および/または加速度)が短時間以上に亘って、予め設定された閾値よりも大きいことを判定する)。例えば、加速度計/ジャイロスコープ280が、少なくとも約3秒などの一定期間、予め設定された閾値を超える加速度および/または速度を検出した場合、アルゴリズムは、装置がユーザによってピックアップされたと判定することができる。予め設定された時間は、例えば、装置が置かれているナイトスタンドに、ぶつかるなどの偶発的な動きによって装置がウェイクアップしないように選択することができる。いくつかの実装では、ネブライザ監視装置100は、加速度計データおよびCPU232によって実行されるソフトウェアアルゴリズムを使用して、ピックアップされたことに関連しない動きや、偶発的な動き、例えば、飛行機で引き起こされる動きや船での揺れの動きを検出することができる。装置がユーザによってピックアップされたと判定した場合、コントローラが、ネブライザ監視装置100を「ウェイクアップ」する命令を実行し、通常の動作モードにするように、アルゴリズムはプログラムすることができる。本明細書で使用される場合、装置は、ウェイクアップモードまたは動作モードにあるか、または、流量および湿度データを収集できるように、圧力センサ222および湿度センサ250などのセンサの1つまたは複数、および表示器LED224および242(例えば、装置が動作していることをユーザに示すため)、ならびに監視コントローラ230上の関連構成要素への電源をオンにするなど、ネブライザの使用を監視するべく使用できるソフトウェア命令またはプログラムを実行している状態に「ウェイクアップ」される。任意で、ネブライザ監視装置100をウェイクアップするプロセスは、各要素が監視コントローラ230に接続され、適切に機能していることをオンにして確認するべく、監視コントローラ230によって実行される、電源投入ルーチンを備えていることができる。任意で、ウェイクアップのプロセスは、最初に圧力センサまたは湿度センサの1つまたは複数からの信号を監視し、受信した信号を処理して、ネブライザ装置10がユーザによって使用されているかどうかを判定するなど、段階的に発生することができる。例えば、装置100を移動させてから使用するまでの時間は様々であり、例えば、いくつかの実施形態では、以下でより詳細に説明するように、装置をネブライザで使用する前にいくつかの組み立てが必要であり、したがって、装置はすぐにフル覚醒する必要はない。完全に覚醒しているとは、装置のセンサの少なくとも1つ、一部の実施形態では全てがオンになっており、投与量の送出と、投与量の送出の終了とを監視していることを意味する。投与の終了は、本明細書で説明したように、検知された湿度の低下に、および/または流量センサによって検知された吸い込み/吐き出しの停止に、起因することがある。いくつかの実施形態では、「スリープ」モードは、以下で説明するように、データ転送を備えている。本発明のいくつかの実施形態によれば、装置100がウェイクアップされた後、または覚醒モードに入った後、監視コントローラ230は、5分、10分、15分、20分、25分、または30分のタイマーを開始することができ、タイマーの満了時に、監視コントローラ230は、装置100をスリープモードに戻すことができる。
【0048】
ネブライザ監視装置100の使用に先立って、薬用溶液がネブライザ装置10のリザーバに加えられる。薬用溶液は、ネブライザ装置10がカートリッジまたはパッケージの一部を受け入れて貫通または開封するように構成された、カートリッジまたはパッケージなどの投与形態であることができる。薬用溶液は、その後、リザーバに滴下または流入することができる。いくつかの構成では、カートリッジまたはパッケージは、リザーバとして機能することができ、例えば、カートリッジまたはパッケージを穿刺または開封することで、内容物をジェットネブライザ構成で使用される毛細管に接続することができる。いくつかの実施形態では、カートリッジまたはパッケージは、1つの治療セッションのための1回の用量として使用される薬用溶液の量を備えていることができる。投与のための時間および液体の量は、治療およびネブライザ装置の種類に依存する。例えば、ネブライジングのサイクルタイムは異なるが、ジェットネブライザは超音波ネブライザよりもネブライジング治療を行うのに時間がかかり、ネブライジングされた薬の治療有効量を吐出するべく、より多くの薬用液を必要とする場合がある。いくつかの実施形態では、正しく服用するのに2~20分(例えば、2~3分、3~7分、5~12分)かかる。
【0049】
また、使用する前に、ネブライザは、ユーザのいずれかによって組み立てられる。ネブライザ装置10、ネブライザ感知装置100、およびマウスピース12は、組み立てられる前に、例えば、それらが清潔であることを確認するべく検査されることができる。また、必要に応じて、ネブライザ装置の他の構成要素を組み立てたり、接続したりすることができ、例えば、任意の電源やチューブを必要に応じて接続/スイッチオンすることができる。上述したように、いくつかの実施形態では、装置100は、加速度計280によって感知され得る動きと、監視コントローラ230によって受信される加速度計信号とによって、自動的に覚醒させられる。組み立てに加えて、実施形態では、温度センサ232は、マウスピース12の近くの位置にあるような動作位置に移動させられることができる。いくつかの実施形態では、例えば、ハウジング110に取り付けられた表示器要素は、照明、振動、または放音によって、装置が電源を入れられていることを示し、任意に、使用可能であること(すなわち、適切に組み立てられていること)を示す。例えば、そのような表示器は、監視コントローラ230にすべて接続された部材10、100、12の間の電気的または誘導的な接点およびスイッチによって作動させることができる。また、先に説明したように、ハウジング110内または上の加速度計280を使用するいくつかの実施形態では、組み立て中などに装置100を取り扱うことで、予め設定されたソフトウェアアルゴリズムまたはプログラムに基づきセンサがオンになるように装置がウェイクアップする。加速度計280によって検出された動き信号は、監視コントローラ230によって実行されるソフトウェアプログラムによって使用され、装置が正しく組み立てられているかどうかを判定することができる。このソフトウェアアルゴリズムは、機械学習を使用して、正しい装置100の組み立てに関連する動きを検出し、学習することができる。例えば、機械学習アルゴリズムは、動き信号のシーケンスを入力として受け取り、動き信号のシーケンスが、1つまたは複数の学習された許容可能な組立シーケンスにどれだけ密接に一致するかを判定して、装置アセンブリの正しさの尺度を生成し、任意に、視覚的に示す表示器をトリガすることができる(例えば、正しさの尺度が予め設定された閾値以上または以下の場合には正しさのための緑色の光や、正しさの尺度が予め設定された閾値以下または以上の場合には不正解のための赤色の光など)。
【0050】
適切に組み立てられた後、ユーザは、マウスピースを自分の口の中に挿入し、例えば歯の間に挿入する。フェイスマスクが使用される実施形態では、フェイスマスクは適切に配置される。フェイスマスクを使用するこれらの実施形態では、フェイスマスクは、ユーザの口に挿入または接触するように配置された温度センサ、またはユーザの顔に接触してユーザの温度を測定するようにフェイスマスクに配置された温度センサを備えていることができる。232のような温度センサを備えている実施形態では、この温度センサは、唇の少なくとも一部に接触し、例えば、232が口の中にセットされ得る下唇に接触するが、ユーザの歯/歯茎を過ぎないようにする。サーミスタ信号またはデータは、メモリへの格納、処理(例えば、信号を温度に変換する)、および任意に、リモートシステムへの送信のために、監視コントローラ230に送られる。いくつかの実施形態では、サーミスタ信号は、コントローラによって実行されるソフトウェアプログラムによって唇の温度に変換することができる抵抗として測定され、さらにコア温度に変換される(例えば、ユーザの唇とコア温度との既知のまたは測定/計算された相関関係によって)。したがって、温度センサ232の使用によって、治療を行う際に、ユーザの温度データを測定し、追跡することができる。このような情報は、体温の上昇につながる悪化した状態の早期発見など、ユーザの一般的な健康状態を判定するのに有用である。また、センサを口の中に適切かつ一貫して配置すると、ユーザの体温と一致した温度検知が得られる一方、不適切な使い方をすると、温度検知が得られなかったり、不規則になったりするので、温度監視は、コンプライアンスの1つの指標としても機能する。前述したように、いくつかの実施形態では、温度センサは、内部空間の導管またはハウジング110の導管に含まれる。導管内の温度センサは、吐き出し温度を記録することができ、この吐き出し温度は、当業者の相関関係を通じて、呼吸するユーザのコア温度に関連する。導管の温度センサは、センサ232に対する冗長な温度センサとすることができ、また、センサ232の代わりに代替の温度センサを提供することができる。
【0051】
ユーザによるネブライザ監視システム100の使用に関して上から続けると、マウスピース12を口に適切に挿入した後、ユーザは、例えば、ゆっくりとした深呼吸、または繰り返し呼吸(tidalbreathing)を使用して、呼吸(例えば、吸い込んで、吐き出す)するように導かれるかまたは指示される。いくつかの実施形態では、薬用溶液のネブライジング/エアロゾル化を可能にする前に、流量センサ(例えば、圧力センサ222)が係合される。これらの実施形態では、流量センサは、ユーザが周囲の空気を吸ったり吐いたりする信号またはデータを監視コントローラ230に送信し、これらの信号またはデータから監視コントローラ230は、治療セッションのために吸ったり吐いたりする量および吐き出し量を決定するソフトウェアプログラムを実行することができる。例えば、データをリモートシステム(例えば、外部コンピュータまたはクラウドベースのコンピュータシステム)に送信し、リモートシステム上で実行されるソフトウェアプログラムを使用してデータを分析し、各治療セッション中のユーザの吐き出し量の測定値を決定することができる。いくつかの実施形態では、適切な呼吸が確立されると、ネブライジング要素(例えば、ジェットネブライザ、ピエゾネブライザ、メッシュネブライザ)が有効になり、ユーザは薬の用量の吸い込みを行なうことで治療を開始することができる。温度に加えて、吐き出し量と呼吸数もユーザの監視に使用でき、吐き出し量および/または呼吸数がユーザの正常範囲外である場合には、これを使用してユーザまたは介護者に、増悪状態の開始を示すことができる。例えば、ユーザの正常またはベースラインの吐き出し量(例えば、以前に決定された平均、アベレージ、または閾値の吐き出し量値)と比較して、より小さい吐き出し量が測定される場合、監視コントローラ230またはリモートシステムは、増悪状態の可能性が検出されたことを示す信号を通信することができる。また、例えば、ユーザの通常の呼吸またはベースラインの呼吸(例えば、以前に決定された平均、アベレージ、または閾値呼吸数値)と比較して、より速いまたは遅い呼吸数の場合、監視コントローラ230またはリモートシステムは、増悪状態の可能性が検出されたことを示す信号を通信することができる。いくつかの実施形態では、ユーザの測定吐き出し量または呼吸数は、監視コントローラ230によってメモリに記憶されることに加えて、LEDライト224などの表示器によってユーザにリアルタイムで通信されたり、またはスマートフォン、リモートコンピュータ、または基地局に無線で通信されたりすることもできる。
【0052】
図4A~
図4Bおよび
図5A~
図5Bは、LEDライト224を監視コントローラ230の制御下でどのように配置および動作させて、使用中および使用後の両方でリアルタイムにユーザに通信およびフィードバックを提供して、使用および用量を追跡することができるかを示した。
【0053】
図4Aは、マウスピース12およびハウジング110を示すいくつかの実施形態の上面図である。この構成では、表示器1410は、マウスピース内の薬液の流れの軸線に対して垂直な方向に長尺状の形状を有しており、LEDライト224および光パイプ226が表示器の光強度の増減を提供する。
図4Bは、光の強度を、吸い込みおよび吐き出しの強度の指標として使用できる方法を示している。例えば、圧力センサ222に接続された監視コントローラ230は、流れ方向および流量を確立し、CPU232によって実行されるソフトウェアプログラムの一部としてのアルゴリズムを使用して、流れ方向および流量を適切な電流/電圧に変換して、LED224によって放出される光の強度を調整(変調)することができる。
図4Bの第1パネルは、ユーザが吸い込んだときに表示器1410からの光の強度が増加する実施形態を示す。
図4Bの第2パネルは、ユーザが息を吐くと表示器からの光の強度が減少する実施形態を示す。光の強度は、流れの量だけでなく、流れの方向を示すことができ、よって、ネブライザの使用に関するリアルタイムの情報をユーザに提供することができる。例えば、ユーザは、効果的な治療のために周期的(tidally)に呼吸しているか、または十分に深い呼吸をしているかどうかに関して、リアルタイムの表示を得ることができる。
【0054】
図5Aは、マウスピース12およびハウジング110を示すいくつかの他の実施形態の上面図である。この構成では、表示器1412は、マウスピース12内の薬液の流れの軸線に平行な方向に長尺状の形状を有する。この実施形態では、LEDライト224および光パイプ226は、表示器1412の範囲内で、伸長または成長の効果または印象を提供することができる。
図5Bの第1パネルは、ユーザが吸い込んだときの表示器1412の範囲内での伸長を示す。
図5Bの第2パネルは、ユーザが息を吐くときの表示器1412の範囲内での収縮を示す。伸長および収縮は、例えば、圧力センサ222から受信した信号に応答して監視コントローラ230によって実行されるソフトウェアプログラムに従って連続的に点灯する一連のLEDライトによって生成することができる。伸長/収縮は、ユーザが自分の用量の薬を受け取るべくネブライザを通して呼吸していることについて、ユーザにリアルタイムの指示を提供することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、異なる周波数(色)の光を使用して、例えば、吸い込みおよび吐き出しを示すことができる。例えば、
図5Cは、表示器から放出される異なる色の光1413および1415を有するハウジング110の上面図を示す。
図5Cの第1パネルは、吸い込みを示す表示器からの青色の光の発光1413を示し、
図5Cの第2パネルは、吐き出しの際に表示器が発する紫色の光の発光1415を示す。(各色の)光の強度(または明るさ)は、監視コントローラ230によって制御され、吸い込みまたは吐き出しの空気流量をリアルタイムで示すべく使用され得る。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態によれば、呼吸の吸い込み部分のみが監視される。例えば、弁13(
図1A)を備えている実施形態であり、この実施形態では、吐く息は圧力センサ222(
図2A)を通過する流れを引き起こさないので、本明細書に記載されているような流量センサは、吸う息のみを感知する。いくつかの実施形態では、吐く息が検出されるように、弁13のような弁は、装置との構成に含まれ得る。例えば、弁13は、ネブライザ監視装置100の一部として、またはネブライザ装置10の一部として、圧力センサ222とネブライザ装置10との間に配置され得る。
【0057】
いくつかの他の実施形態は、吸い込みおよび吐き出しの強度を伝えるべく他の表示器を使用できることが理解される。例えば、いくつかの実施形態は、代替的または追加的に、ネブライザ監視装置100内の空気/エアロゾルの流れを示すべく、大きな音または柔らかい(ソフトな)音、ビープ音、和音または音楽片を発する可聴表示器を備えていることができる。また、可聴表示器は、呼吸の強さおよび/または方向(例えば、吸うvs吐く)に応じて、周波数および/または振幅(例えば、ラウドネス)が変化する音を発することができる。いくつかの他の任意の実施形態は、例えば、ネブライザ監視装置100内の空気/エアロゾルの流れ方向または速度に基づき振動強度を変化させることができる振動部材を備えていることができる。
【0058】
治療セッション中、ネブライザの使用は、例えばメモリ素子234を使用して、治療セッションに関する情報を記録するべく、ネブライザ監視装置によって監視することができる。上述のような吸い込みおよび吐き出しデータに加えて、用量データ(例えば、吸い込みされた空気の湿度が、予め設定された閾値よりも大きいことを湿度センサが示す吸い込み)を記録することができる。監視コントローラ230は、日時を記録し、各治療セッションの開始日時(例えば、最初の吸い込みが記録されたとき)および停止日時(データおよび時間)(例えば、最後の吸い込みまたは吐き出しが記録されたとき)を記憶するタイマーおよびリアルタイムクロック(例えば、ハードウェアまたはソフトウェアのいずれか)を備えていることができる。各吸い込みおよび吐き出しは、空気流量(または圧力センサからの圧力)および任意に空気の流れの方向を示す一連のデータポイントとして、記録の日付および時刻、または予め設定された日付および時刻からの時間オフセットとともに記録することができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、ネブライザ監視装置100は、流れデータを使用して、服用が行われて完了したかどうかを判定し、その後、ネブライザ監視装置100をシャットダウンすることができる。例えば、CPU231は、予め設定された時間、例えば、5~20分(例えば、2~3分、3~7分、または5~12分)などの薬の服用のための予め設定された時間、および/または、予め設定された期間(例えば、5分、10分、15分、20分、30分)、装置を動かさない(例えば、加速度計信号に変化が無い)後に、装置をシャットダウンするか、または、装置がスリープモードに入るようにプログラムすることができる。ネブライザ監視装置100は、代替的または追加的に、ネブライザ監視装置100が覚醒した後で、および/または、予め設定された期間(例えば、5分、10分、15分、20分、または30分)の間、動かない(例えば、加速度計信号の変化が無い)後で、監視コントローラ230(圧力センサ222を介して)が10秒以上(20秒以上、30秒以上、60秒以上、または5分以上)の間、流れを検出しない(例えば、圧力信号または流量信号が無い、または圧力信号または流量信号の変化が無い)場合、シャットダウンまたはスリープモードに入るようにプログラムすることができる。いくつかの実施形態では、ネブライザ監視装置100は、監視コントローラ230が(圧力センサ222を介して)10秒以上(例えば、20秒以上、30秒以上、60秒以上、または5分以上)に亘ってゼロを横切る流量の変化(例えば、
図2Cまたは
図2Dを参照)を検出しない場合、装置を介した吸い込みおよび吐き出しが停止したことを示すように、シャットダウンまたはスリープモードに入るようにプログラムすることができる。いくつかの実施形態では、監視コントローラ230は、吸い込み/吐き出しの流れが検出されている間の時間量を処理し、その時間量を、用量を投与するための予め設定された閾値と比較することで、用量が投与されたかどうかを判定することができる。例えば、ネブライザ監視装置100によって測定された吸い込みおよび吐き出しの時間が、予め設定された時間の少なくとも80%である場合、投与が完了したと考えることができる。例えば、予め設定された時間が2~3分であれば、ネブライザ監視装置100が少なくとも1.6分の吸い込みおよび/または吐き出しを記録した場合に服用が行われたとみなされ、一方、予め設定された時間が5~12分であれば、ネブライザ監視装置100が少なくとも4分の吸い込み/吐き出しを記録した場合に服用が行われたとみなされる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態によれば、湿度センサ250のデータを使用して、適切な投与または治療が発生したかどうかを判定することができる。動作において、エアロゾル化された薬が導管を流れ、湿度センサ250に接触すると、導管内の湿度が上昇する。例えば、ユーザがネブライザを使用する前に液体の薬の用量で薬のリザーバを満たすことを忘れた場合、低湿度が湿度センサによって測定され、その治療セッション中に監視コントローラ230に送信される。
図6は、使用中に記録された湿度データのプロットの一例を示す。この例では、約45秒の前には湿度センサ250が周囲の空気の流れ(エアロゾル化された薬なし)の空気に晒され、約45秒から210秒の間には湿度センサ250が、ネブライザ装置10によって生成されたエアロゾル化された薬を備えている空気の流れに晒され、210秒後には湿度センサ250が周囲の空気の流れ(エアロゾル化された薬なし)に晒される。湿度センサ250がネブライザからのエアロゾル化された薬剤に晒され、湿度が80%以上に上昇したときに、急激な開始(オンセット)または遷移が見られる。同様の急激な低下は、ネブライザからのエアロゾル化された薬剤が停止され、湿度センサ250が比較的乾燥した周囲の空気に晒され、湿度が80%を大幅に下回るときに見られる。いくつかの実施形態では、ネブライザが適切に使用されている間(例えば、薬用溶液を使用している間)、平均周囲湿度は高くなるが、瞬間湿度は少なくともわずかに上下に振動する可能性があるが(例えば、ユーザが吸ったり吐いたりすると)、ネブライザ監視装置100は、測定された湿度の変化が使用を示していると判定することができる(例えば、治療前にベースライン湿度を測定することで)。いくつかの実施形態では、約20%、30%、40%、50%、60%、70%、または80%以上の相対湿度は、ネブライザ装置10が動作しており、ネブライズされる薬の処方に応じて、薬が充填されていることを示す。
【0061】
いくつかの実施形態では、ユーザの投与コンプライアンスの監視は、監視コントローラ230によって処理および保存されることに加えて、ネブライザ監視装置上の表示器によってユーザにリアルタイムで伝達することもできる。例えば、LEDライトまたはディスプレイを使用して、予め設定された時間帯に服用された用量の数を識別することができる。これらのLEDまたはディスプレイは、ユーザにリアルタイムの投与/治療情報を提供することができる。
【0062】
図4Aは、用量表示器1414のアレイを示す。用量表示器1414は、プリント回路基板PCB210に実装された1つまたは複数の表示器LED242が活性化されたときに照らされる光パイプ244の一端に接続されたハウジング内の窓を備えていることができる。監視コントローラ230は、湿度センサ250および/または圧力センサ222から受信した信号および/またはデータの関数として、(本明細書に記載されているように)治療が完了したときに決定することができ、1つまたは複数の表示器要素1414を適切に照らすことができ、例えば、検出された治療または投与量ごとに1つの要素を照らすことができる。いくつかの実施形態では、表示器要素1414は、一度点灯すると、予め設定された時間(例えば、8時間または12時間-治療が6時間ごとである場合、用量表示器1414は、用量が最後の6時間以内に摂取されたことを示す6時間に亘って、点灯したままであり得る)に亘って、または予め設定された時間に達するまで(例えば、午前12時、午前2時、または最後の投与/治療の予想時刻とその日の最初の投与/治療の予想時刻との間の任意の時刻(例えば午前6時))まで、表示器1414が1日の間に何回の投与が完了したかを示し、その日の最初の投与/治療の前にリセット(例えば、消灯)されるようにする。そして、24時間後には、リセット(例えば、消灯)され、別の日の投与量のカウントを再び開始することができる。したがって、表示器要素1414は、ユーザまたは医療提供者に投与量のカウントを確認する方法を提供することができ、ネブライザ療法へのコンプライアンスをサポートおよび追跡するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、他の表示器を使用することができ、例えば、投与セッションが完了したときに音を発する可聴表示器、または投与セッションが完了したときに振動する振動要素を使用することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、投与コンプライアンス決定のために複数のセンサを使用することができ、例えば、使用の量と質の両方を決定することができる。これは、ユーザが、(1)上手な技術を持つ常連ユーザ、(2)下手な技術を持つ常連ユーザ、(3)上手な技術を持つ不定期ユーザ、(4)下手な技術を持つ不定期ユーザ、であるかどうかを判定するのに役立つ。例えば、ユーザがリクライニングしているか、うつむいているか(例えば、加速度計280によって測定される角度方向が水平ではなく、R
x≠0の場合など、
図1A参照)、または頭を傾けている場合(例えば、加速度計280によって測定される角度方向が水平ではなく、R
y≠0の場合など、
図1A参照)など、正しくないまたは最適ではない向きで使用されているネブライザは、監視コントローラ230が加速度計280から受信した信号を用いて検出することができる。この状況では、ユーザが装置を介して正しく呼吸している場合、流量が検出されることになるが、最も可能性が高いのは、医療溶液のすべてまたは一部がリザーバからこぼれる可能性があるので、湿度が、ネブライズされた材料に期待される時間に亘って、典型的な値(例えば、予め設定された治療期間の間、約80%RH以上)に到達しないことである。別のシナリオでは、ネブライザの電源を入れて、治療の典型的な時間持続の一部または全部の間、表面上に(例えば、加速度計280に従って正しい向きで)配置するかもしれない。ここで、温度センサは、治療の継続時間に亘って、マウスピースがユーザに接触していないことを示すかもしれないのであり、圧力センサも、湿度センサが湿度を検出するかもしれないが、時間の一部の間、ユーザがネブライズされた材料を呼吸していないことを示すだろう。さらに別のシナリオでは、ユーザがネブライザのリザーバに薬を追加するのを忘れたかもしれないが、その他の点ではネブライザを正しく使用しているかもしれない(例えば、正しい方向、マウスピースが予め設定された位置にある、正しい呼吸をしている)。このシナリオでは、湿度センサは、ネブライザの薬が供給されていないことを示すであろう。したがって、2つ以上のセンサからのデータの組み合わせは、服用の量および質の決定に使用するソフトウェアベースのプログラムまたはアルゴリズムによって使用するための、より堅牢なデータを提供するのに有用である。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ネブライザ監視装置100は、監視コントローラ230に接続された1つまたは複数の圧力センサ222、湿度センサ250、温度センサ230、加速度計またはジャイロスコープ280を備えていることができる。動作において、監視コントローラ230は、各センサから信号を受信し、信号を生のセンサデータに変換し(例えば、アナログ/デジタル変換器を使用して)、生のセンサデータをメモリ233に格納する。ネブライザ監視装置100は、監視コントローラ230がデータをリモートシステム(例えば、基地局300、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、クラウドベースシステム)に送信することを可能にする1つまたは複数のトランシーバ290を備えていることができる。本発明のいくつかの実施形態によれば、監視コントローラ230は、生のセンサデータ(例えば、圧力データ、湿度データ、温度データ、加速度計データ、ジャイロスコープデータ)の一部または全部をリモートシステムに送信することができる。生のセンサデータは、監視コントローラ230および/またはリモートシステムによって処理され、処理済みのセンサデータを作成することができる。例えば、圧力センサは、電圧または電流レベルの形で信号を送信し、電圧または電流レベルは処理されて、圧力の測定値に変換される。処理されたセンサデータは、生のセンサデータと一緒に、または生のセンサデータの代わりに、リモートシステムに送信することができる。ネブライザ監視システムは、一日の日付と時刻を追跡するリアルタイムクロックを備えていることができ、または監視コントローラ230に日付と時刻の情報を提供する日付と時刻のサーバに無線で(例えば、WiFi、Bluetooth(登録商標)またはZigBee(登録商標)を使用して)接続することができる。監視コントローラ230は、センサ生データが受信されたその日時を記録することができるように、センサ生データを日付および/またはタイムスタンプに関連付けることができる。いくつかの実施形態に従って、日付およびタイムスタンプは、ローカルまたはGMTの時間および日付のデジタル表現とすることができる。いくつかの実施形態に従って、日付およびタイムスタンプは、予め設定された日付および/または時間からのオフセット値(例えば、1980年1月1日の午前0時からの数秒、または現在の日の午前0時からの数秒)とすることができる。いくつかの実施形態に従って、監視コントローラ230は、メモリに格納された生のセンサデータの各要素(例えば、単一のデータポイントに対応するデータ値またはデータ値グループ)または要素グループに関連付けられた日付および/またはタイムスタンプ値を、格納することができる。いくつかの実施形態に従って、監視コントローラ230は、メモリに格納された処理済みセンサデータの各要素(例えば、1つのデータポイントに対応するデータ値またはデータ値グループ)または要素グループに関連付けられた日付および/またはタイムスタンプ値を、格納することができる。本発明のいくつかの実施形態に従って、監視コントローラ230は、対応する日付および/またはタイムスタンプを、リモートシステムに送信された生のセンサデータおよび/または処理されたセンサデータのいずれかと共に備えていることができる。
【0065】
図7Aは、本発明のいくつかの実施形態による、ネブライザ監視装置100を受け入れるように構成された基地局(ベースステーション)300の実施形態を示す。
図7Bは、それが使用されるような可能な環境、例えば、ナイトスタンドにおける基地局を示す。これらの図に描かれているように、基地局300は、ネブライザ監視装置100の一端(例えば、入口ポートまたはネブライザコネクタ114または出口ポートまたはマウスピースコネクタ112)を受け入れるためのポート710を有することができる。いくつかの実施形態では、基地局300は、壁のコンセントなどの電源への電気接続、例えば712を備えている。いくつかの実施形態では、ネブライザ監視装置100は、監視コントローラ230に接続された1つまたは複数のバッテリ260と、バッテリを充電するための充電回路とを備えていることができ、
図7Aに示すようにネブライザ監視装置100が基地局300上に配置されると、ネブライザ監視装置100を充電することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の電池260は、無線および/または誘導的に充電することができる。基地局300およびネブライザ監視装置100はそれぞれ、ネブライザ装置10が
図7Aに示すように基地局に置かれたときに、基地局300の誘導コイル724によって生成される電界が、ネブライザ装置10の誘導コイル722に流れる電流を誘導するような、バッテリ260の誘導充電のための誘導コイル722、724を備えていることができる。ネブライザ装置10の誘導コイル722は、電池260の1つまたは複数を充電するべく電流の流れを制御する充電回路に接続することができる。いくつかの代替実施形態では、充電は、直接的な電気的接触を介して行われる。例えば、基地局が複数のポゴピン734を備えており、ネブライザマウントが複数の接触パッド732を備えている場合である。ポゴピン734および接触パッド732は、
図7Aに示すように組み合わせると、ネブライザマウントとネブライザ監視装置との間に電気的接続を行い、例えば、バッテリ260を充電するべく、電気エネルギーを転送することができる。充電のためにネブライザ監視装置と基地局との間で、例えば、USB接続、標準的な2つまたは3つのプロングプラグ、または補助電源コードなど、他の形態の接触を行うことができることを理解されたい。
【0066】
いくつかの実施形態では、基地局300は、1つまたは複数のコントローラ(例えば、中央処理装置および関連するメモリおよび/またはチップ上のシステム)と、1つまたは複数の無線トランシーバ(例えば、Bluetooth(登録商標)、WiFi、ZigBee(登録商標)、および/またはセルラーデータ通信が可能)とを備えていることができ、ネブライザ監視装置100は、無線トランシーバ290(例えば、Bluetooth(登録商標)、WiFi、ZigBee(登録商標)、および/またはセルラーデータ通信が同様に可能)を備えていることができる。ネブライザ監視装置100のトランシーバ290は、生データおよび処理済みデータを基地局300の無線トランシーバに送信することができる。いくつかの実施形態では、基地局300は、スマートフォンやタブレット、パーソナルコンピュータ、ローカルハブ、またはクラウドなどのリモートシステムとの無線通信のための無線トランシーバを備えていることができる。
【0067】
ネブライザ監視装置100は、ネブライザ装置10がユーザによって使用されたときに使用量データを収集し、センサから収集されて監視コントローラ230によってメモリに格納されたデータは、例えば、Bluetooth(登録商標)またはWiFi通信を使用して、基地局300にワイヤレスで送信することができる。いくつかの実施形態では、データは、ネブライザ装置10が使用されている間、リアルタイムで送信することができる(例えば、送信に先立って監視コントローラ230がデータを処理することによる遅延を含む)。いくつかの実施形態に従って、データは、例えば、ネブライザ監視装置100が基地局にドッキングまたは配置され、ネブライザ監視装置100が充電されている間に、後の時間に送信することができる。いくつかの実施形態では、基地局は、例えば、ネブライザ監視装置100(例えば、1つまたは複数のセンサ)を較正するべく、ネブライザ監視装置100の設定または動作を再構成するべく、またはネブライザ監視装置100のファームウェアまたはソフトウェアを更新するべく、ネブライザ監視装置にデータを送信するように使用することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、ユーザは、例えば、監視装置が異なるネブライザ治療、または異なる患者もしくは対象に使用される場合に、複数のネブライザ監視装置および複数の基地局を有することができる。これらの実施形態のいくつかでは、ネブライザ監視装置は、充電のために任意の数の基地局にユニバーサルに接続するように構成されるが、一意の識別子(例えば、ソフトウェアおよび/またはハードウェアで、MACアドレスまたは装置シリアル番号など)を割り当てることができる。一意の識別子は、ネブライザ監視装置内のソフトウェアによって、データのソースを識別するため(例えば、クラウドベースのシステムに送信されるデータストリームのデータプレフィックスまたはソース識別子)、基地局に置かれた装置の識別を決定するため(例えば、基地局内のソフトウェアによって、データをどこに送信するか、または装置をどのように充電するかを決定する)、および意図された使用のために装置を構成するため(例えば、特定の治療のためにネブライザを構成する)に使用することができる。例えば、ネブライザ監視装置は、基地局に接続しようとするときに、一意の識別子またはキー(例えば、文字列)のデータを基地局に送信することができ、基地局は、基地局のCPU上で実行されるアルゴリズム(例えば、ソフトウェアモジュールまたはプログラム)を介して、受信した一意の識別子に関連するその特定の装置から受信した任意のデータをどのように処理し、どこに送信するかを決定することができる。例えば、装置の一意の識別子と一緒にデータをメモリ要素に追加し、処理のためにクラウドベースのコンピュータシステムに送信することができ、またはデータを無視する、例えば特定の基地局によって追加されないかもしくは送信されないようにすることができる。いくつかの実施形態では、基地局とネブライザ監視装置は、正しい装置が一致する基地局にドッキングされるか、またはドッキング中である場合、表示器(例えば、視覚的、聴覚的)がユーザに警告するようにペアリングすることができる。この実施形態では、ドッキングステーションのソフトウェアは、装置の一意の識別子に基づき、特定のネブライザ監視装置にのみ接続するように構成することができる(例えば、ドッキングステーションのソフトウェアは、装置の一意の識別子をメモリに格納されたものと比較し、装置の一意の識別子がメモリに格納されたものと一致する場合にのみ、装置に接続し、データ転送を許可し、および/または充電を許可することができる)。
【0069】
いくつかの実施形態では、ネブライザ監視装置は、不揮発性フラッシュデータなどのメモリ(例えば、
図2Bの233)を備えており、センサから収集したデータを数日間(例えば、少なくとも7日間、少なくとも約3日間)保存することができる。例えば、メモリは、約24メガビットの不揮発性データを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、CPU231は、圧力データを処理して、流量および用量の指示を提供する(例えば、LEDライトを点灯させる)だけであり、湿度および温度などの他のデータをメモリに格納する。保存されたデータは、リモートシステムに送られ、外部で処理することができる(例えば、基地局またはクラウドベースのコンピューティングシステムに送られる)。他の実施形態では、CPU231は、生のセンサデータを処理して、湿度、吐き出し量、および温度データの計算を決定することができる(日付およびタイムスタンプ情報の有無を問わない)。
【0070】
いくつかの実施形態では、基地局は、環境センサデータ(感知データ)を受信および保存するべく、1つまたは複数の環境監視センサを備えていることができる。例えば、VOCセンサ、COセンサ、オゾンセンサ、NOxセンサ、CO2センサ、煙センサ、湿度センサ、温度センサ、および微粒子センサのうちの1つまたは複数のセンサである。また、カビ、胞子、バクテリア(細菌)、その他の毒素センサなどの他のセンサも考えられる。また、基地局は、センサに接続され、基地局のセンサから受信したデータを受信、処理、および保存することができるCPUおよびメモリを備えたコントローラを備えていることができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、基地局は、ユーザに伝達するためのLEDライトや可聴表示器などの表示器を備えている。例えば、室温、CO2レベル、微粒子レベルなどの収集された環境データを伝えるためである。いくつかの実施形態では、基地局の表示器は、ネブライザ監視装置が充電のために適切に配置されていること、ネブライザ監視装置が充電中であること、またはネブライザ監視装置が充電されて使用できる状態であることを伝えることができる。いくつかの実施形態では、表示器は、基地局が無線データを受信/送信するのはいつかを示すことができる。
【0072】
図8は、ネブライザ監視装置100を備えているシステム800の斜視図である。システム800は、ユーザシステム810および医師システム820を備えていることができる。いくつかの実施形態では、ユーザシステム810は、ユーザ、ネブライザ監視装置100、基地局300、およびスマートフォンやタブレットなどのスマートパーソナル装置400を備えていることができる。いくつかの実施形態では、医師システム820は、データ処理および/または視覚化のためのコンピュータ監視および関連するコンピュータなどのデータ視覚化システム600と、画面上のデータを見ることができる医療従事者および/または介護者とを備えていることができる。ユーザシステムおよび医師システムは、インターネットまたはプライベートデータネットワークなどのネットワーク410を介して、1つまたは複数のクラウドベースの分析システム500に接続することができる。いくつかの実施形態では、ネットワーク410は、スマート装置400に無線通信することができる。いくつかの実施形態では、ネットワーク410は、クラウドシステム500に有線または無線で通信することができ、データ可視化システム600に通信することができる。クラウドベースの分析システム500は、1つまたは複数のネブライザ監視装置100から生データおよび処理済みデータを受信し、受信したデータを処理および分析することができる。処理および分析されたデータは、ネットワーク410を介して医師システム600に送信することができる。
【0073】
図8に描かれたシステムは、1人または複数のユーザによるネブライザ療法の使用およびコンプライアンスを監視するべく使用することができる。例えば、ユーザがネブライザを使用するたびに、ネブライザ監視システムは、例えば、圧力(例えば、流量)、ユーザ温度、湿度、装置の向きなどのセンサデータを記録することができる。このデータは、ネットワーク410を使用してクラウドベース分析システム500に送信することができ、クラウドベース分析システム500で処理または分析することができる。任意で、分析されたデータをユーザに送り返すことができ、例えばユーザのスマート装置400に送信して、例えばアプリを介して、投与が行われたことをユーザに知らせることができる。さらに、分析されたデータは、ユーザにフィードバックを提供するメッセージを生成するべく使用することができ、例えば、ユーザがネブライザ装置10を正しく使用していないこと(例えば、治療中に、ネブライザ装置10が水平でなかったこと、ユーザが深呼吸をしなかったこと、ユーザが十分な呼吸をしなかったこと、またはユーザが使用前にリザーバを薬で満たしていなかったこと)を示すべく使用することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、システムは、
図9に示すように、ユーザダッシュボード900を備えていることができる。ダッシュボード900は、例えば、スマートフォン400または可視化システム600を含む、任意のコンピュータシステムに表示することができる。ダッシュボードは、治療期間および/または最後の治療の平均吐き出し量、呼吸パターン(例えば、1分あたりの呼吸数)、1日および/または1ヶ月あたりの治療回数、ユーザの体温(例えば、直近の、および/または1日平均、1週間平均、1ヶ月平均、または治療期間平均)、ネブライザ機能、治療期間(例えば、過去1週間または1ヶ月間、または治療間隔に亘る、平均期間)、室温(例えば、現在の日、過去1週間または1ヶ月間、または治療期間の、最高および最低)、室内湿度(例えば、現在の日、過去1週間または1ヶ月間、または治療期間、の最高および最低)、マウスピースの配置(例えば、最後の使用時の装置の角度方向)、およびVOCを表示することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、医療提供者は、システム600上のデータを閲覧し、短期、中期、および長期の期間における投薬の量および質、ならびにユーザの健康に関して評価を行うことができる。ユーザは、この情報を閲覧して、ユーザの経過を評価し、潜在的な増悪の指標を特定することができる。医療提供者は、苦痛を訴えるユーザに対応してデータを閲覧し(例えば、遠隔で、または患者と一緒に)、データを調べて、増悪の始まりが起こっているかどうかを確認し、考えられる原因(例えば、過去2週間、ネブライザが正しく使用されていなかった)を評価することができる。その後、医療従事者は、回復剤の投与や抗生物質の投与などの適切な処置を処方し、必要に応じてユーザにネブライザの正しい使用方法や調停についての追加トレーニングを行う。中長期的には、例えば、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、またはそれ以上の期間でデータを収集した後、増悪とは無関係に予定された訪問でユーザは医療従事者と会い、医療従事者はデータを引き出して、ユーザのコンプライアンスや全体的な健康状態についてアドバイスをすることができる。また、長期的な監視を行うことで、例えば、吐き出し量(呼気量)や呼吸数が時間の経過とともに変化する(例えば、増加して改善する、または減少して低下する)など、患者の一般的な健康状態に関する情報を得ることができる。また、長期的な監視は、クラウドシステム500上で実行されるソフトウェアがアラートをトリガするべく使用できる、時間とともに典型的に変化する吐き出し量および呼吸数に対するユーザの閾値を確立するのにも役立つ。例えば、各治療セッションの後、治療データをクラウドシステム500にアップロードすることができ、特定の測定値または計算値(例えば、生データまたは処理済み)を閾値と比較することができる。測定値または計算値が閾値よりも大きいか小さい場合か、または差が予め設定された量よりも大きいか小さい場合、クラウドシステム500は、ユーザのケアに問題がある可能性を示すメッセージまたはアラートを、ユーザ、医療提供者、または介護者に送信することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、分析システム500は、温度、吐き出し量、呼吸数、または湿度などの1つまたは複数のパラメータが閾値以上または以下である場合に、ユーザおよび/または医療提供者にアラートを送信することができる。閾値は、大規模なサンプル集団から決定された予想される平均または平均値(例えば、体重、年齢、およびユーザの他の特性に基づき調整された値)に基づき、またはネブライザ監視装置100を使用して(例えば、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、またはそれ以上の月数に亘って)収集されたユーザの履歴ベースラインデータに基づき、設定することができる。例えば、パラメータの値が閾値から約5%以上(例えば、約10%以上、約15%以上、または約20%以上)逸脱した場合、アラートをトリガすることができる。アラートは、設定された閾値からの逸脱量に応じて、異なる相手に送信することができる。例えば、2~3日の間にユーザの体温が1°C以上上昇した場合には、主介護者にアラートを送信し、2~3日の間にユーザの体温が2°C以上上昇した場合には、医療機関にアラートを送信することができる。別の例では、2~3日の間にユーザの吐き出し量が約5%以上減少した場合には、主介護者にアラートを送信し、2~3日の間にユーザの吐き出し量が約10%以上減少した場合には、医療提供者にアラートを送信することができ、医療提供者はユーザのデータを引き出し、および/またはユーザに連絡して是正措置を開始することができる。アラート(警告)は、医療提供者に送られる電話メッセージ、テキストメッセージ、電子メールメッセージ、または他の視覚的メッセージの形で行うことができる。
【0077】
図10は、本発明のいくつかの実施形態によるネブライザ監視システムの概要図である。システムと相互作用する際に、ユーザ1は、ユーザ監視テザー130に取り付けられることができる接触温度計232に接触しながら、ネブライザマウスピース12を介して吸い込みおよび吐き出し(二重頭矢印)を行う。ユーザ監視テザー130は、例えば、ユーザから監視コントローラ230にユーザ温度データを送信するべく、ユーザ監視システム100および監視コントローラ230に機械的および電気的に接続することができる。いくつかの代替的な実施形態では、ユーザ監視テザーは、例えば、ユーザからの温度データを、マウスピースを介してシステム100の監視コントローラ230に送信するべく、マウスピース12に機械的および電気的に接続することができる。
図10において、二重頭矢印は、ネブライズされた薬の流れだけでなく、ユーザの吸い込みおよび吐き出しに起因するような空気の任意の流れを示すことができる。例えば、電気的接続による通信は、物理的接続(例えば、ワイヤ、ケーブル、USB、Auxコード)の使用、または無線伝送(例えば、WiFi、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、およびNFC)による通信を含んでいることができる。
【0078】
ネブライザマウスピース12は、ネブライザ監視システム100に機械的に(例えば、プレスフィットまたはスナップフィット、またはテーパ状の継手を使用して)かつ流体的に接続することができる。いくつかの実施形態では、マウスピースは、ネブライザ監視システム100に取り外し可能に、機械的におよび流体的に接続される。いくつかの実施形態では、マウスピース12は、例えば、ユーザからのユーザ温度データをネブライザ監視システム100の監視コントローラ230に送信するべく、ネブライザ監視システム100に電気的接続される(例えば、取り外し可能に接続される)ことができる。ネブライザ監視システム100は、ユーザからの吸い込みおよび吐き出しの流路に、差圧センサ222などの1つまたは複数の流量センサを備えていることができる。いくつかの実施形態では、流量センサは、SensirionSDP31差圧センサ(SKU1649-1080-1-ND、Digi-Key、MN)を備えていることができる。吐き出しは、例えば一方向弁を介して、ネブライザ監視システム100の外に排出することができる。いくつかの実施形態では、吐き出しは、流量センサ222を通過/経緯するように流れた後に排気されることで、湿度センサ250に接触しないことができる。他の実施形態は、ネブライザのマウスピース上に配置される排気値(例えば、吐き出しが流量センサ222および湿度センサ250によって検出されない)や、または湿度センサ250が吐き出しの経路にある排気弁を備えていることができる。差圧センサ素子222は、監視コントローラ230に電気的接続することができ、流量および流れ方向のデータ(例えば、流量ベクトル)を監視コントローラ230に送信することができる。湿度センサ250は、監視コントローラ230に電気的接続することができ、湿度データを監視コントローラ230に送ることができる。また、ネブライザ監視システム100は、監視コントローラ230に通信可能に接続されて加速度データを監視コントローラ230に送信する加速度計280を備えていることができる。いくつかの実施形態では、加速度計280は、NXPフリースケールACCELEROMETER_2-8G_12C_16QFN(部品番号MMA8452QR1CT-ND、Digi-Key、MN)を備えている。ネブライザ監視システム100は、LED120および140、ならびに関連する表示要素(例えば、光パイプ、窓)を備えていることができ、吸い込み流量、吐き出し流量、および用量カウントを表示するように結合することができる。いくつかの実施形態では、LEDは、BroadcomAvago Surface Mount Tricolor ChipLED0606(部品番号516-1795-6-ND、Digi-Key、MN)およびKingbrightLED(部品番号754-2121-1-ND、Digi-Key、MN)のうちの1つまたは複数を備えている。LEDは、流量データおよび/または湿度センサデータの関数として決定される信号を照明するべく、監視コントローラ230に電気的接続することができる。また、ネブライザ監視システム100は、例えばDC電力で電源供給するべく監視コントローラ230に電気的接続されるバッテリ260を備えていることができる。いくつかの実施形態では、バッテリ260は、LED120および140、加速度計280、湿度センサ250、および圧力センサ222のうちの1つまたは複数に直接接続することができる。いくつかの他の実施形態では、監視コントローラ230は、バッテリ260から受け取った電力から、1つまたは複数のLED120および140、加速度計280、湿度センサ250、および圧力センサ222に電力を供給することができる。いくつかの実施形態では、DCまたはAC電力を構成要素に提供するべく、1つまたは複数の変圧器を備えていることができる。変圧器は、監視コントローラ230の一部であってもよいし、別個の構成要素であってもよい。監視コントローラ230は、1つまたは複数のメモリ要素、1つまたは複数のタイマー(例えば、ハードウェアベースのタイマーまたはソフトウェアベースのタイマー)、および1つまたは複数のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、および/またはフィールドプログラマブルゲートアレイを備えていることができる。いくつかの実施形態では、監視コントローラ230は、以下の構成要素、Microchipの充電管理コントローラ(部品番号MCP73832T-2ACI/OTCT-ND、Digi-Key、MN)、Nordic半導体のCPU/Bluetooth(登録商標)低エネルギーコントローラ(部品番号1490-156-1-ND、Digi-Key、MN)、OnSemiconductorのLEDコントローラ(部品番号NCP5623BMUTBGOSDKR-ND、Digi-Key、MN)、テキサスインスツルメンツの電圧レギュレータ(品番296-11013-1-ND、Digi-Key、MN)、京セラAVX32MHzクリスタル(品番1253-1586-1-ND、Digi-Key、MN)、テキサスインスツルメンツのMOSFET_N-CH12V(品番296-41412-1-ND、Digi-Key、MN)、Johansonアンテナチップ2.4GHZ(部品番号712-1005-1-ND、Digi-Key、MN)のうちの1つまたは複数を備えていることができる。監視コントローラ230、LED120および140、加速度計280、湿度センサ250、圧力センサ222、およびバッテリは、フレキシブルまたはリジッドのプリント回路基板、例えばPCBに電気的接続および/または実装することができる。
【0079】
ネブライザ監視システム100は、ネブライザ装置10に機械的に(例えば、圧入またはスナップフィット、またはテーパ状の継手を使用して)、および任意に取り外し可能に取り付けられることができる。ネブライザ装置によって生成されたネブライズされたエアロゾル薬がネブライザ監視システム100を通って流れ、センサ(例えば、圧力センサ222、湿度センサ250および/または図示しない温度センサ)の1つまたは複数と相互作用および/または接触するように、ネブライザ装置10はネブライザ監視システム100に流体連通することができる。いくつかの実施形態に従って、薬は、ネブライザ装置10によってエアロゾルにネブライザ化され、湿度センサ250および圧力センサ222を通過して、次にマウスピース12を通って、薬の吸い込みを行なうユーザ1に流れるようにされる。いくつかの実施形態では、ネブライザ装置10は、超音波ネブライザまたはメッシュネブライザを備えていることができ、ネブライザ装置10は、従来の家庭用電源(標準的な120Vで60Hzまたは240Vで50HzのコンセントからのAC電流)によって電力を供給され、従来の電力変圧器によって変換されて、適切なレベルのDC電力(例えば、1アンペアで3.0ボルト)を提供することができる。いくつかの実施形態では、ネブライザ装置10は、ジェットネブライザと、ジェットネブライザ要素に空気の流れを供給するべく家庭用コンセントから電力供給されることができるネブライザ用コンプレッサとを備えていることができる。
【0080】
図10によって示されるシステムはまた、家庭用電源、例えば、標準的なACコンセントによって電力を供給されることができる基地局300を備えていることができる。電力は、必要に応じて基地局300の要素に分配され、変換され得る。基地局300は、例えば、1つまたは複数の温度センサ、1つまたは複数の湿度センサ、および1つまたは複数の空気質センサを有するセンサアレイ301を備えていることができる。いくつかの実施形態では、空気質センサは、VOCセンサ、COセンサ、オゾンセンサ、NOxセンサ、CO
2センサ、湿度センサ、温度センサ、微粒子センサ、カビ、胞子、バクテリア、煙検知器、および他の毒素センサのうちの1つまたは複数を備えている。基地局は、例えば、LCDディスプレイと、LEDライトと、スピーカと、および振動要素となどの表示器を備えているユーザインタフェース302を備えていることもできる。インタフェース302は、例えば、電話または口頭での監視および送信装置(例えば、1方向または2方向のラジオ)などの口頭での通信要素も備えていることができる。基地局は、時刻表示やアラーム提供などの時計を備えていることができる。また、基地局は、1つまたは複数のCPU、メモリ、タイマー、マイクロコントローラ、およびトランシーバを備えている基地局コントローラ303を備えていることができる。環境センサアレイ301は、環境データ信号を基地局コントローラ303に送信するべく、基地局コントローラ303に電気的接続することができる。基地局300は、ネブライザ監視システム100のバッテリ260を有線および/または無線で充電するように構成することができる。本発明のいくつかの実施形態によれば、基地局300は、バッテリ260の誘導充電のための誘導コイルを備えていることができ、および/または、ネブライザ監視システム100に直接電力を供給するための直接電気接続(例えば、ポゴピン、有線電源コネクタ、USBポート、または標準的な2/3プロングプラグ)を備えていることができる。ネブライザ監視システム100の監視コントローラ230は、基地局300の基地局コントローラ303にデータを送信し、基地局300の基地局コントローラ303からデータを受信するように、基地局300の基地局コントローラ303に電気的接続することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、ユーザデータは収集され、基地局コントローラ303のメモリ要素に格納され、治療が完了した後、定期的に、例えば、毎時、毎日、またはネブライザが充電されているときに、クラウドシステム500に送信されることができる。代替的に、または追加的に、いくつかの実施形態では、治療データは、監視コントローラ230から基地局コントローラ303におよびクラウドシステム500に、転送の遅延を考慮して、リアルタイムでクラウドシステムに送信することができる。基地局コントローラ303は、インターネットなどのネットワーク410に接続して、クラウドシステム500に接続することもできる。いくつかの実施形態によれば、ネブライザ監視システム100は、治療データを基地局300に送信することができ、基地局300は、ネットワーク410を介して治療データを、クラウドベースの分析システム500などのリモートシステムに送信することができる。さらに、基地局300は、コマンドおよび構成データをネブライザ監視システム100に送信し、コマンドに応答してデータを送信することができる。構成は、ネブライザ監視システム100の動作を制御および変更するべく使用することができ、新しいソフトウェアプログラムモジュールだけでなく、ネブライザ監視システム100の監視コントローラ230によって実行されている既存のソフトウェアプログラムモジュールの更新を備えていることができる。
【0082】
図11は、本発明のいくつかの実施形態によるネブライザを監視するシステムを使用する方法の要素を示す概要図である。薬を服用する準備をしているユーザ(1101)は、装置を有するマウスピースをピックアップする(拾う)(1102)。センサシステム1105の加速度計1103は、動きを検出する(例えば、ユーザによるマウスピースおよび装置の取り扱いに一致する200ms以上の期間)。よって、検出された動きは、装置を覚醒(起動)させ(1108)、装置はオンされ(1110)、空気流れの検出を開始する(1112)。その後、患者は、マウスピース1106を介して吸ったり吐いたりする。吸い込みおよび吐き出しによって引き起こされる空気の流れは、次に差圧センサを使用して検出され(1114)、差圧センサ222、湿度センサ250、空気温度センサ1118、および接触サーミスタ250などのセンサのアレイについて、サンプリング(例えば、10Hzのレートで)が開始される(1115)。装置ボード1110は、センサのアレイから受信したデータを保存し、タイムスタンプを押す(1120)。差圧データは、流量に基づくLED強度調整(変調)を用いて表示される(1122)。或る時点で、例えば、投与が完了すると、ユーザはマウスピースへの呼吸を止め(1124)、差圧センサは1秒以上(例えば、2秒以上、3秒以上、4秒以上、または5秒以上)に亘って流れが無いことを検出する(1126)。その後、装置は、データの収集を停止し(1128)、スリープモードに戻ることができ、そこで、ユーザがマウスピースおよび装置を再びピックアップすることによる別の用量の開始のために加速度計を監視する(1102)。ユーザは、投与が完了したかどうかを任意の手段で判定することができる。例えば、一部のネブライザは、自動電源オフを伴う可聴表示器などの表示器を有する。ジェットネブライザのような他のいくつかのネブライザは、薬のリザーバが空になったとき、またはほとんど空になったときにスパッタリング音を発し、投与が完了したことを示す。
【0083】
図12は、本発明のいくつかの実施形態による、圧力、温度、および加速度計データのユーザによるネブライザ使用パラメータを監視するシステムを備えた、基地局およびクラウドサーバの方法の要素を示す概要図である。他の実施形態では、他のデータ(例えば、湿度)を監視することができる。基地局300は、監視装置を充電するように構成される(1202)。例えば、装置がユーザによって使用されていないときに、毎日充電する。充電中、ネブライザ監視装置100は、基地局に(例えば、Bluetooth(登録商標)を使用して)無線接続することができる(1204)。よって、データを基地局に送信することができ(1206)、ネブライザ監視装置100のデータログをリセットすることができる(例えば、データが基地局300にオフロードされたことを示すフラグを設定することができる)(1208)。基地局は、予め設定された時間(例えば、毎日午前0時)にインターネットなどのネットワーク(例えば、有線イーサネット(登録商標)またはWiFi)に接続することができ(1210)、基地局は、治療データをクラウドサーバに送信することができる(1212)。クラウドサーバは、1つまたは複数の予め設定されたソフトウェアプログラムに従って、データを処理することができる(1214)。クラウドサーバ上で実行されるソフトウェアは、1つまたは複数のアルゴリズムを使用して温度分析を実行して(1216)、経時的な温度変化および傾向を検出し(1218)、その後ユーザに提供(1222)することができるレポートを生成することができる(1220)。クラウドサーバ上で実行されるソフトウェアは、圧力データを処理し、圧力データを流量に変換することができ(1224)、1分あたりの呼吸数(BPM)、吐き出し量(TV)、および1回あたりの治療量を決定することができる(1226)。クラウドサーバ上で実行されるソフトウェアは、加速度計データを処理して重力ベクトルデータを決定し、水平/垂直に対するユーザの使用角度を計算することができる(1228)。この加速度計由来の情報は、ユーザが使用中にネブライザ装置を正しく保持し、向きを変えているかどうかを判定するべく、ケア提供者またはアルゴリズムによって使用することができる。
【0084】
本明細書に記載の装置、方法、およびシステムを使用して収集されたデータは、人工知能システム、機械学習システム、または深層学習システムに入力して、ユーザの状態のさらなる分析を提供することができる。治療データは、他のユーザの健康データと組み合わせて、ネブライズドメディエーションによって治療されている呼吸器疾患に関連する条件だけでなく、呼吸器疾患に関連しない他の条件も含めて、ユーザの状態を評価することができる。例えば、機械学習アルゴリズムは、ユーザ温度データ、吐き出し量データ、環境温度、環境湿度、環境空気質(例えば、微粒子量)、ネブライザ加速度計データ、ネブライザ湿度データ、およびユーザ用量データのうちの1つまたは複数を入力として受け取り、ユーザの健康状態、悪化の可能性、および/または治療の有効性を含む1つまたは複数の条件を決定することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、ネブライザ監視装置からのデータは、単に収集され、処理され、前述のように医療提供者に提供され(例えば、
図9に示すダッシュボードを参照)、提供者は、その後、適切な治療または治療もしくはケアの変更を確認するべく、データを検討することができる。例えば、医師は、ユーザに連絡し、行動方針を議論して実施することができる(例えば、ネブライザの使用方法を検討し、回復量を服用し、抗生物質を処方する)。
【0086】
いくつかの実施形態では、低レベルまたはルールベースの人工知能システムを使用して、治療データを処理し、ユーザまたは医療提供者にメッセージまたはアラートを送信することができる。例えば、クラウドベースの分析システムによって使用されるアルゴリズムを備えており、用量が不適切に摂取されたこと、または高温度が検出されたことをユーザにアラート(警告)として送信することができる。このシステムは、ユーザの1つまたは複数のベースライン生理学的健康指標(例えば、体温、呼吸数、吐き出し量)を記録して決定することができ、測定値が閾値を超えたときにメッセージまたはアラートを送信するように、ルールに閾値を設定することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、中間レベルの人工知能を使用することができる。例えば、これには、クラウドベースの分析システムが使用するアルゴリズムが、増悪を検出/認識し、ユーザと医師にアラートを送信することが含まれる。例えば、アルゴリズムは、ユーザの体温が24時間以上上昇していること、呼吸数が基準値よりも高くなっていること、吐き出し量が減少していることを検出するかもしれない。したがって、本実施形態では、ベースラインデータと、ユーザが反応できる2つ以上の指標(例えば、温度、流量、湿度)とを用いて、システムによって診断が行われる。
【0088】
いくつかの実施形態では、高レベルの人工知能を実装することができる。これは、増悪を検出し、適切な治療法を決定し、治療法を処方し(例えば、薬局に警告し、ユーザに指示を送る)、ケア提供者、保険会社、およびユーザを変更(alter)する、クラウドベースの分析システムによって使用されるアルゴリズムを備えていることができる。また、人工知能は、例えば、ユーザが必要な用量を終えたことを判定し、新たな処方が必要であることを薬局および/またはケア提供者に警告することができる。
【0089】
本明細書に記載された方法、装置、およびシステムの実施によって、ネブライザの様々な使用に関する豊富で多様なデータセットが提供され、ネブライザを使用するユーザのケアを監視および支援する人工知能の開発が可能になる。もちろん、このようなデータはプライバシーの観点から非常にデリケートである可能性があるので、適切な実装には、個々のデータのセキュリティを確保しつつ、必要に応じてデータを共有する機能が含まれる。例えば、ブロックチェーンインフラに基づいたクラウドネットワークデータセットで、収集されたデータの透明性、安全性、およびすべての関連当事者へのアクセスを確保することができる。
【0090】
本明細書に記載されている様々な側面の実施形態は、以下の番号が付けられた項(段落)によって説明することができる。
項1.ネブライザ監視装置であって、前記ネブライザ監視装置は、
ネブライザマウントに係合するように適合された第1コネクタと、
ネブライザマウスピースに係合するように適合された第2コネクタと、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとの間に流体接続を形成する内面を有する導管と
前記導管内で、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの間に配置されるとともに、前記導管内の流体の流量ベクトルを測定するように構成された流量センサと、
前記流量センサに接続された少なくとも1つの表示器と、
前記流量センサと前記第1表示器とに接続された少なくとも1つのコントローラであって、前記少なくとも1つの表示器の少なくとも1つの寸法(dimension)は、測定された流量ベクトルの関数として変化する、前記コントローラと、を備える、ネブライザ監視装置。
【0091】
項2.項1に記載のネブライザ監視装置であって、前記少なくとも1つの表示器は、少なくとも1つの光源を備えている、ネブライザ監視装置。
項3.項2に記載のネブライザ監視装置であって、前記少なくとも1つの表示器の寸法の変化は、前記少なくとも1つの光源から発せられる光の強度の変化を備えている、ネブライザ監視装置。
【0092】
項4.項3に記載のネブライザ監視装置であって、前記少なくとも1つの光源は第1発光ダイオード(LED)を備えており、前記第1LEDが発する光の強度の変化は、測定された流体流量ベクトルの関数として変化する、ネブライザ監視装置。
【0093】
項5.項4に記載のネブライザ監視装置であって、前記少なくとも1つの表示器は、第1LED光の色とは異なる色を有する第2LED光を備えており、前記第1LED光は、前記測定された流体流量ベクトルが第1方向にあるときに点灯し、前記第2LED光は、前記測定された流体流量ベクトルが第2方向にあるときに点灯する、ネブライザ監視装置。
【0094】
項6.項2に記載のネブライザ監視装置であって、少なくとも1つの光源は少なくとも2つの発光ダイオード(LED)を備えており、前記少なくとも1つの表示器の前記寸法の変化は、2つのLEDのうちの少なくとも1つの状態の変化を備えている、ネブライザ監視装置。例えば、「状態」とは、オンまたはオフ、光の知覚される長さまたは移動(例えば、線上または円内を移動する光の速度)、アレイ内の特定のセットの光がパターンでオンまたはオフになること、あるいは光の点滅を意味することができる。また、状態とは、強度の変化を指すこともある。
【0095】
項7.項6に記載のネブライザ監視装置であって、前記少なくとも1つの光源はLEDのアレイを備えており、前記表示器は長くなる表示器として知覚され、知覚される長さは前記測定された流量ベクトルの関数であり、前記長さの方向は前記測定された流量ベクトルのベクトル方向を示すように、前記LEDのアレイは順番に照らされる、ネブライザ監視装置。
【0096】
項8.項1~7のいずれか1項に記載のネブライザ監視装置であって、前記第1表示器は、少なくとも1つの放音装置を備えている可聴表示器を備えている、ネブライザ監視装置。
【0097】
項9.項8に記載のネブライザ監視装置であって、前記可聴表示器の寸法は、前記少なくとも1つの放音装置によって放出される音の振幅と、周波数と、およびパターンとのうちの1つまたは複数である、ネブライザ監視装置。例えば、音は、大きな音から柔らかい(ソフトな)音、柔らかい音から大きな音、低い音から高い音、高い音から低い音へと変化することができる。音は、持続時間および/または周波数が変化するビープ音を発することができる。音は、同時に発せられたと知覚される2つ以上の音(例えば、和音)を発することができる。音は、音楽的なもの(例えば、歌または歌の断片)であることもできる。
【0098】
項10.項1~9のいずれか1項に記載のネブライザ監視装置であって、前記第1表示器は触覚表示器を備えており、前記触覚表示器は振動装置と、輻射熱装置と、および外形(topography)変化装置とのうちの1つまたは複数を備えている、ネブライザ監視装置。例えば、ネブライザ監視装置が保持されたり、例えば、用量が完了したりしたときの振動の触覚を提供する。例えば、視覚障害者が読むことのできるディスプレイ(例えば、点字)を備えている。
【0099】
項11.項10に記載のネブライザ監視装置であって、前記触覚表示器は振動装置を備えており、前記可聴表示器の寸法は、振動の強度および周波数のうちの1つまたは複数を備えている、ネブライザ監視装置。
【0100】
項12.項1~11のいずれか1項に記載のネブライザ監視装置であって、前記流量センサは差圧センサまたは流量計を備えている、ネブライザ監視装置。
項13.項1~12のいずれか1項に記載のネブライザ監視装置はさらに、前記ネブライザマウントと前記マウスピースとの間で前記導管内に配置または前記導管に接続される湿度センサを備えており、前記湿度センサは前記導管内の湿度を測定するように構成されており、
前記少なくとも1つの表示器の少なくとも1つの寸法は、前記測定された流量ベクトルと、前記湿度センサからの測定された湿度との関数として変化する、ネブライザ監視装置。
【0101】
項14.項1~13のいずれか1項に記載のネブライザ監視装置はさらに、前記少なくとも1つのコントローラに接続された発光ダイオード(LED)のアレイを備えている使用状況表示器を備えており、前記少なくとも1つのコントローラは、予め設定された時間に前記使用状況表示器のすべてのLEDをオフにする工程と、予め設定された最小時間に亘って前記流量センサから複数の測定された流量ベクトルを前記コントローラが受信した後、予め設定された期間に亘って前記流量センサによる流量ベクトルが無い測定値を受信することに続いて、予め設定された順序で前記使用状況表示器の1つのLEDをオンにする工程と、を備えている、ネブライザ監視装置。
【0102】
項15.項14に記載のネブライザ監視装置であって、前記使用状況表示器は、LEDライトのアレイを備えている視覚的表示器であり、指定された開始時間後に服用された各用量は、前記アレイ内のLEDの連続的な照明によって示され、前記アレイは、一日のうちの予め設定された時間にすべての前記LEDをオフにすることでリセットされる、ネブライザ監視装置。
【0103】
項16.項1~15のいずれか1項に記載のネブライザ監視装置はさらに、前記ネブライザマウントと前記マウスピースとの間で前記導管内に配置されるかまたは前記導管に接続される湿度センサであって、前記湿度センサは、前記導管内の湿度を測定するとともに、前記導管内の湿度の測定値を前記少なくとも1つのコントローラに送信するように構成された湿度センサと、前記少なくとも1つのコントローラに接続された発光ダイオード(LED)のアレイを備えている使用状況表示器と、を備えており、前記少なくとも1つのコントローラは、予め設定された時間に前記使用状況表示器のすべてのLEDをオフにする工程と、前記コントローラが前記導管内の流量を示す測定された流量ベクトルを受信するとともに、前記コントローラが予め設定された時間に亘って複数の湿度測定値を受信し、予め設定された時間に亘って前記複数の湿度測定値の平均が予め設定された閾値を上回った後に、予め設定された順序で前記使用状況表示器の1つのLEDをオンにする工程と、を実行するように構成されている、ネブライザ監視装置。
【0104】
項17.項16に記載のネブライザ監視装置であって、前記使用状況表示器は、LEDライトのアレイを備えている視覚的表示器であり、指定された開始時間後に服用された各用量は、アレイ内のLEDの逐次的な照明によって示され、アレイは、一日のうちの予め設定された時間にすべてのLEDをオフにすることでリセットされる、ネブライザ監視装置。
【0105】
項18.項16に記載のネブライザ監視装置であって、前記閾値は80%の相対湿度である、ネブライザ監視装置。
項19.項1~18のいずれか1項に記載のネブライザ監視装置はさらに、ユーザに薬を投与するべくネブライザ監視装置が使用されているときにユーザの少なくとも1つの唇に接触するように構成された温度センサを備えており、前記少なくとも1つのコントローラは前記温度センサに接続されている、ネブライザ監視装置。
【0106】
項20.項19に記載のネブライザ監視装置であって、温度センサは、ユーザの口内に挿入するように構成された前記マウスピースの第1端に配置され、ユーザが前記マウスピースを口内に挿入したときに、前記温度センサはユーザの唇の少なくとも一部の温度を測定するように配置される、ネブライザ監視装置。
【0107】
項21.項19に記載のネブライザ監視装置であって、前記第2コネクタは第1軸線に沿って延在し、前記第2コネクタはさらに前記導管の外方で前記第1軸線に沿って延在するアームを備えており、前記マウスピースが前記第2コネクタに接続されたときに前記アームは前記マウスピースに沿って延在し、
前記アームの第1部分は前記温度センサを備えており、前記アームの第2部分は前記導管に接続されており、前記アームの第2部分は前記温度センサを前記少なくとも1つのコントローラに接続する、ネブライザ監視装置。
【0108】
項22.項21に記載のネブライザ監視装置であって、ユーザが前記マウスピースを口に挿入したときに、前記アームの第1部分が前記ユーザの唇の少なくとも一部に接触するように、前記アームの第1部分は前記マウスピースに整列するように構成されている、ネブライザ監視装置。
【0109】
項23.項21に記載のネブライザ監視装置であって、前記アームは、前記アームを前記導管に接続するヒンジを備えているか、または前記アームは可撓性を有しており(柔軟(フレキシブル)であり)、前記第1部分は、前記ネブライザ監視装置の使用時に前記マウスピースに取り付けられるように構成されている、ネブライザ監視装置。
【0110】
項24.項19に記載のネブライザ監視装置であって、前記温度センサはサーミスタを備えている、ネブライザ監視装置。
項25.項1~24のいずれか1項に記載のネブライザ監視装置はさらに、前記少なくとも1つのコントローラに接続された加速度計を備えている、ネブライザ監視装置。
【0111】
項26.項1~25のいずれか1項に記載のネブライザ監視装置はさらに、前記少なくとも1つのコントローラに接続されたバッテリと、前記バッテリを充電するためのバッテリ充電回路とを備えている、ネブライザ監視装置。
【0112】
項27.項26に記載のネブライザ監視装置であって、前記バッテリ充電回路は、誘導充電のために構成された誘導コイルを備えている、ネブライザ監視装置。
項28.ネブライザ使用のためのシステムであって、前記システムは、
項1~27のいずれか1項に記載のネブライザ監視装置と、
前記ネブライザ監視装置との無線通信を行う基地局と、
を備えている、システム。
【0113】
項29.項28に記載のシステムであって、前記ネブライザ監視装置は、前記少なくとも1つのコントローラに接続されたバッテリと、前記バッテリを充電するための充電回路とを備えており、
前記基地局は、前記ネブライザ監視装置の充電のために前記ネブライザ監視装置を受け入れるように構成されたポートを備えている、システム。
【0114】
項30.項28または29に記載のシステムであって、前記基地局は第1誘導コイルを備えており、前記ネブライザ監視装置は、前記ネブライザ監視装置が前記基地局によって受け入れられているときに、前記基地局が前記ネブライザ監視装置を誘導的に充電するような第2誘導コイルを備えている、システム。
【0115】
項31.項28~30のいずれか1項に記載のシステムであって、前記基地局は複数のポゴピン(pogo-pin)を備えており、前記ネブライザ監視装置は複数の電気接触パッドを備えており、前記ネブライザ監視装置が前記基地局によって受け入れられているときに、前記基地局の少なくとも2つのポゴピンは前記ネブライザ監視装置の2つの電気接触パッドに接触し、電気エネルギーを前記ネブライザ監視装置に伝達して前記バッテリを充電するようになっている、システム。
【0116】
項32.項28~31のいずれか1項に記載のシステムであって、前記基地局は、少なくとも1つの環境監視センサと、前記少なくとも1つの環境監視センサに接続されて前記少なくとも1つの環境監視センサから環境センサデータを受信して保存するように構成されたコントローラとを備えている。
【0117】
項33.項32に記載のシステムであって、前記少なくとも1つの環境監視センサはVOCセンサ、CO2センサ、湿度センサ、温度センサ、カビセンサ、花粉センサ、胞子センサ、細菌センサ、および微粒子センサのうちの少なくとも1つを備えている、システム。項32に記載のシステムであって、前記環境監視センサはVOCセンサである、システム。項32に記載のシステムであって、前記環境監視センサはCO2センサである、システム。項32に記載のシステムであって、前記環境監視センサは湿度センサである、システム。項32に記載のシステムであって、前記環境監視センサは温度センサである、システム。項32に記載のシステムであって、前記環境監視センサは微粒子センサである、システム。
【0118】
項34.項28~33のいずれか1項に記載のシステムであって、前記基地局は、前記基地局がリモートコンピュータシステムにデータを転送できるようなネットワークインタフェースを備えている、システム。
【0119】
項35.項34に記載のシステムであって、前記リモートコンピュータシステムは、少なくとも1つのプロセッサと関連部材とを備えており、前記リモートコンピュータシステムは前記基地局からデータを受信して保存するように構成されている、システム。
【0120】
項36.ネブライズされた薬をユーザに投与する方法であって、前記方法は、項1~27のいずれか1つに記載のネブライザ監視装置または項28~35のいずれか1つに記載のシステムを備えているネブライザを用いて、前記薬の予め設定された用量のネブライザ療法レジメを投与する工程を備えている、方法。
【0121】
項37.項36に記載の方法であって、前記ユーザはネブライザによる投薬を必要としている患者であり、かつ、前記ユーザはネブライザ療法レジメに対する非遵守(ノンコンプライアンス)のリスクが高い、方法。
【0122】
項38.項36または37に記載の方法であって、ユーザは薬物研究または治験の対象者である、方法。
項39.項36~38のいずれか1つに記載の方法であって、1つまたは複数の使用状況指標器は電子的な形態で保存されている、方法。
【0123】
項40.項39に記載の方法であって、1つまたは複数の使用状況指標器はデータ可視化システム上に表示され、ケアが提供されるか、またはユーザは可視化システム上で1つまたは複数の使用状況指標器を閲覧し、1つまたは複数の使用状況指標器がネブライザ監視装置の誤った使用を示している場合、是正措置(correctiveaction)が取られる、方法。
【0124】
項41.項39に記載の方法であって、1つまたは複数の使用状況指標器はデータ可視化システム上に表示され、ケア提供者は1つまたは複数の使用状況指標器を閲覧し、1つまたは複数の使用状況指標器が増悪(exacerbation)を示している場合、前記ケア提供者は是正措置を開始する、方法。
【0125】
項42.項39に記載の方法であって、前記使用状況指標器は、温度と、呼吸数と、吐き出し量と、ネブライザ監視装置の投与量および向きと、およびそれらの組み合わせとを備えているグループから選択される、方法。
【0126】
項43.項42に記載の方法であって、前記使用状況指標器の各々は、タイムスタンプされた複数の使用状況指標器を含んでいる、方法。
動作例以外の場合、または他に示されている場合、本明細書で使用される成分または反応条件の量を表すすべての数字は、すべての場合において「約」という用語によって修正されたものとして理解されるべきである。パーセンテージに関連して使用される「約」という用語は、参照される値の±1%を意味することがある。例えば、約100とは、99から101までを意味する。
【0127】
単数形の用語「a」、「an」、および「the」(前記)は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数の参照語を含んでいる。同様に、「or」(または)という語は、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り、「and」(および)を含んでいることを意図している。
【0128】
本明細書に記載されたものと同様または同等の方法および材料を本開示の実施または試験に使用することができるが、好適な方法および材料を以下に記載する。用語「構成」は、「備えている」を意味する。「e.g.」(例えば)という略語は、ラテン語のexempligratiaに由来し、本明細書では非限定的な例を示すために使用される。したがって、「e.g.」という略語は、「forexample」(例えば)という用語と同義である。
【0129】
本明細書では、好ましい実施形態を詳細に描いて説明してきたが、本発明の精神から逸脱することなく、様々な修正、追加、置換などを行うことができることは、関連する技術分野の当業者には明らかであり、したがって、これらは、以下の特許請求の範囲で設定される本発明の範囲内にあると考えられる。さらに、まだ示されていない範囲で、本明細書に記載および図示された様々な実施形態のいずれか1つをさらに変更して、本明細書に開示された他の実施形態のいずれかに示された特徴を組み込むことができることが、当業者には理解されるであろう。
【0130】
本願を通して引用されたすべての特許およびその他の刊行物(文献参照、発行済み特許、公開された特許出願、および共同係属中の特許出願を備えている)は、例えば、本明細書に記載された技術に関連して使用される可能性のある、そのような刊行物に記載された方法論を説明および開示する目的で、参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。これらの刊行物は、本願の出願日以前の開示のためにのみ提供されている。この点に関するいかなる記述も、本発明者が先行発明またはその他の理由によってこのような開示を前倒しで行う権利を有していないことを認めるものではない。これらの文書の日付に関するすべての記述または内容に関する表現は、出願人が入手可能な情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正しさに関するいかなる認容も行うものではない。
【0131】
本開示の実施形態の説明は、網羅的であることや、開示された正確な形態に限定することを意図したものではない。本開示の特定の実施形態およびそのための例は、説明のために本明細書に記載されているが、関連する技術分野の当業者が認識するように、本開示の範囲内で様々な同等の変更が可能である。例えば、方法の工程または機能が予め設定された順序で提示されているが、代替の実施形態では、異なる順序で機能を実行してもよく、または機能を実質的に同時に実行してもよい。本明細書で提供される開示の教示は、適切に他の手順または方法に適用することができる。本明細書で説明した様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。本開示の側面は、必要に応じて変更して、上記の文献および出願の組成、機能、および概念を採用して、本開示のさらなる実施形態を提供することができる。
【0132】
上述の実施形態のいずれかの特定の要素は、他の実施形態の要素と組み合わせたり、代用したりすることができる。さらに、本開示の特定の実施形態に関連する利点をこれらの実施形態の文脈で説明してきたが、他の実施形態もそのような利点を示す可能性があり、すべての実施形態は本開示の範囲に入るべく必ずしもそのような利点を示す必要はない。