(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】充電制御方法及び装置、電池管理システム、読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H02J 7/04 20060101AFI20240327BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20240327BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240327BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
H02J7/04 F
H02J7/10 L
H02J7/04 L
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
H01M10/48 301
(21)【出願番号】P 2021573559
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 CN2021100724
(87)【国際公開番号】W WO2022261910
(87)【国際公開日】2022-12-22
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】李 占良
(72)【発明者】
【氏名】▲顔▼ ▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】但 志▲敏▼
(72)【発明者】
【氏名】熊 淑云
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ ▲衛▼平
(72)【発明者】
【氏名】左 希▲陽▼
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111162332(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106253405(CN,A)
【文献】特開2021-048016(JP,A)
【文献】特開2019-117685(JP,A)
【文献】特開2002-125326(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109755682(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42-10/48
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電制御方法であって、
電池温度及び電池荷電状態を取得することと、
前記電池温度、前記電池荷電状態、及び予め校正された電池温度、電池荷電状態及びパルス充電周波数の対応関係に基づいて、パルス充電周波数を決定することと、
予め設定されたパルス充電波形の、各パルス周期における正のパルス波形の面積と負のパルス波形の面積との比の範囲を含む波形特性を取得すること
であって、前記比の範囲の上限は10であり、前記比の範囲の下限は1であることと、
前記パルス充電周波数及び前記波形特性に基づいて、充電要求を生成して充電装置に送信することと、
を含むことを特徴とする充電制御方法。
【請求項2】
前記波形特性は、予め設定された、前記電池温度及び前記電池荷電状態に対応する前記正のパルス波形の電流ピーク値、及び予め設定された、前記電池温度及び前記電池荷電状態に対応する前記負のパルス波形の電流ピーク値をさらに含み、前記負のパルス波形の電流ピーク値が前記正のパルス波形の電流ピーク値より大きいことを特徴とする請求項1に記載の充電制御方法。
【請求項3】
前記波形特性は、正のパルス波形の特性をさらに含み、前記正のパルス波形の特性は以下の式として示されることを特徴とする請求項2に記載の充電制御方法。
【数1】
【請求項4】
前記正のパルス波形の電流ピーク値に対応する電池電圧は予め校正された充電終止電圧より小さく、前記充電終止電圧は電池電解液の分解電圧又は電池セパレータの破壊電圧値であることを特徴とする請求項2又は3に記載の充電制御方法。
【請求項5】
前記予め校正された対応関係のパルス充電周波数の周波数範囲は200Hz-1500Hzであることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の充電制御方法。
【請求項6】
前記電池温度、前記電池荷電状態及び予め校正された対応関係に基づいてパルス充電周波数を決定する前、
前記電池温度が予め設定された温度範囲内であるかどうかを決定することをさらに含み、
前記電池温度、前記電池荷電状態及び予め校正された対応関係に基づいてパルス充電周波数を決定することは、
前記電池温度が前記予め設定された温度範囲内であることを決定する場合、前記電池温度、前記電池荷電状態及び予め校正された対応関係に基づいてパルス充電周波数を決定することを含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の充電制御方法。
【請求項7】
充電制御装置であって、
電池温度及び電池荷電状態を取得することに用いられる取得モジュールと、
前記電池温度、前記電池荷電状態及び予め校正された対応関係に基づいて、パルス充電周波数を決定することに用いられる処理モジュールであって、前記予め校正された対応関係は電池温度、電池荷電状態及びパルス充電周波数の対応関係である処理モジュールと、
を含み、
前記取得モジュールはさらに、予め設定されたパルス充電波形の波形特性を取得することに用いられ、前記波形特性はパルス充電波形の各パルス周期における正のパルス波形の面積と負のパルス波形の面積との比の範囲を含み、
前記比の範囲の上限は10であり、前記比の範囲の下限は1であり、
前記処理モジュールはさらに、前記パルス充電周波数及び前記波形特性に基づいて、充電要求を生成して充電装置に送信することに用いられることを特徴とする充電制御装置。
【請求項8】
前記波形特性は、予め設定された、前記電池温度及び前記電池荷電状態に対応する前記正のパルス波形の電流ピーク値、及び予め設定された、前記電池温度及び前記電池荷電状態に対応する前記負のパルス波形の電流ピーク値をさらに含み、前記負のパルス波形の電流ピーク値が前記正のパルス波形の電流ピーク値より大きいことを特徴とする請求項
7に記載の充電制御装置。
【請求項9】
前記波形特性は、正のパルス波形の特性をさらに含み、
前記正のパルス波形の特性は以下の式としてとして示されることを特徴とする請求項
8に記載の充電制御装置。
【数2】
【請求項10】
前記正のパルス波形の電流ピーク値に対応する電池電圧は予め校正された充電終止電圧より小さいことを特徴とする請求項
8又は
9に記載の充電制御装置。
【請求項11】
前記予め校正された対応関係のパルス充電周波数の周波数範囲は200Hz-1500Hzであることを特徴とする請求項
7~
10のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【請求項12】
前記処理モジュールはさらに、前記電池温度が予め設定された温度範囲内であるかどうかを決定することに用いられ、
具体的には、前記電池温度が前記予め設定された温度範囲内であることを決定する場合、前記電池温度、前記電池荷電状態及び予め校正された対応関係に基づいてパルス充電周波数を決定することに用いられることを特徴とする請求項
7~
10のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【請求項13】
電池管理システムであって、プロセッサ及び前記プロセッサと通信可能に接続されるメモリを含み、
前記メモリに前記プロセッサが実行できる命令が記憶され、前記命令は前記プロセッサによって実行され、それにより前記プロセッサは請求項1~
6のいずれか一項に記載の充電制御方法を実行することができることを特徴とする電池管理システム。
【請求項14】
読み取り可能な記憶媒体であって、コンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムがコンピュータによって実行されると、請求項1~
6のいずれか一項に記載の充電制御方法を実行することを特徴とする読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池の技術分野に関し、特に充電制御方法及び装置、電池管理システム、読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
パルス充電は電池の充電技術であり、パルス電流を使用して電池を充電する。従来技術において、パルス充電を行う場合、一般的には双方向のパルス電流を採用して電池を充電し、且つパルス充電周波数を電池の特性周波数として設定し、充電プロセスにおいて、電池の特性周波数は電池温度の変化に伴って変化し、パルス充電周波数は、充電が終わるまで、電池の特性周波数に基づいて調整される。
【0003】
従来技術の解決手段を採用する場合、パルス充電周波数を効果的に決定することができず、且つ安全上の問題があり、従って、電池充電の安定性及び安全性が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、電池充電の安定性及び安全性を向上させる充電制御方法及び装置、電池管理システム、読み取り可能な記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様によれば、本願は充電制御方法を提供し、電池温度及び電池荷電状態を取得することと、前記電池温度、前記電池荷電状態、及び予め校正された電池温度、電池荷電状態及びパルス充電周波数の対応関係に基づいてパルス充電周波数を決定することと、予め設定されたパルス充電波形の、各パルス周期における正のパルス波形の面積と負のパルス波形の面積との比の範囲を含む波形特性を取得することと、前記パルス充電周波数及び前記波形特性に基づいて、充電要求を生成して充電装置に送信することと、を含む。
【0006】
本願では、従来技術と比べて、一方では、電池温度、電池荷電状態及びパルス充電周波数の対応関係を予め校正し、電池管理システムは充電制御を行う場合、先ずリアルタイムな電池温度及び電池荷電状態を取得し、次に取得した電池温度、電池荷電状態及び対応関係に基づいてパルス充電周波数を決定し、パルス充電周波数を効果的に決定することを実現する。他方では、パルス充電波形の波形特性を予め設定し、該波形特性はパルス充電波形の各パルス周期における正のパルス波形の面積と負のパルス波形の面積との比の範囲を含み、該比の範囲の下限を設定することで、正常なパルス充電を確保することができ、該比の範囲の上限を設定することで、正のパルスが大きすぎて、電池のリチウム析出が発生することに起因する安全上の問題を回避することができる。さらに、充電装置による電池のパルス充電の安全性及び安定性を向上させ、電池の充電が電池の性能に与える影響を回避する。
【0007】
可能な実現形態として、前記波形特性はさらに、予め設定された、前記電池温度と前記電池荷電状態に対応する前記正のパルス波形の電流ピーク値、及び予め設定された、前記電池温度と前記電池荷電状態に対応する前記負のパルス波形の電流ピーク値を含み、前記負のパルス波形の電流ピーク値が前記正のパルス波形の電流ピーク値より大きい。
【0008】
本願では、充電パルス波形を検討したところ、1つのパルス周期において、負のパルス波形の電流ピーク値が正のパルス波形の電流ピーク値より大きいと、正のパルス充電から負のパルス充電に切り替わった後、電流ピーク値が増加し、電池はリチウム析出及びセルの極性化が発生しにくいということを見出した。従って、波形特性には、負のパルス波形の電流ピーク値が正のパルス波形の電流ピーク値より大きくなるように制限することにより、パルス充電の安全性を向上させることができ、電池の性能への影響を回避することができる。
【0009】
可能な実現形態として、前記波形特性はさらに正のパルス波形の特性を含み、前記正のパルス波形の特性は以下の式として示される。
【0010】
【0011】
本願では、正のパルス波形の特性は、正のパルス波形の面積が正のパルス波形に対応する矩形領域の面積の半分より大きいこととして理解でき、該正のパルス波形の特性によって、パルス充電が最大放電電流を実現することを確保できる。
【0012】
可能な実現形態として、前記正のパルス波形の電流ピーク値に対応する電池電圧は予め校正された充電終止電圧より小さく、前記充電終止電圧は電池電解液の分解電圧又は電池セパレータの破壊電圧値である。
【0013】
本願では、電流の増加に伴って、電圧が対応して増加し、正のパルス波形の電流ピーク値に対応する電池電圧は電圧の上限であり、充電終止電圧によって該電圧の上限を制限することができる。充電終止電圧は電池電解液の分解電圧又は電池セパレータの破壊電圧値であり、この2種の電圧は通常の充電終止電圧より大きく、対応する充電電流のピーク値も大きい。従って、この2種の電圧が電圧の上限であることを決定することによって、充電電流のピーク値を向上させることができ、それにより電池の充電を早めに完了し、さらに電池の充電効率を向上させる。
【0014】
可能な実現形態として、前記予め校正された対応関係のパルス充電周波数の周波数範囲は200Hz-1500Hzである。
【0015】
本願では、周波数が200Hzより小さいと、電池はリチウム析出が発生しやすく、さらに容量減衰をもたらし、1500Hzは充電装置が実現できる最大周波数であるとして理解でき、従って、該周波数範囲を限定することによって、電池充電の安全性を確保し、電池の性能への影響を回避するとともに、充電装置をスムーズに充電できることを確保する。
【0016】
可能な実現形態として、前記した前記電池温度、前記電池荷電状態及び予め校正された対応関係に基づいてパルス充電周波数を決定する前、前記充電制御方法はさらに、前記電池温度が予め設定された温度の範囲内であるかどうかを決定することを含み、前記した前記電池温度、前記電池荷電状態及び予め校正された対応関係に基づいてパルス充電周波数を決定することは、前記電池温度が前記予め設定された温度の範囲内であることを決定する場合、前記電池温度、前記電池荷電状態及び予め校正された対応関係に基づいてパルス充電周波数を決定することを含む。
【0017】
本願では、電池温度が予め設定された温度の範囲内であることを決定する場合、電池管理システムは電池に対してパルス充電を行うように制御し、電池の充電制御戦略は温度の状況に基づいて柔軟に調整できることに相当し、電池充電の柔軟性を向上させる。
【0018】
可能な実現形態として、前記比の範囲の上限は10であり、下限は1である。
【0019】
本願では、比の範囲の下限は1であることで、正常なパルス充電を確保することができ、比の範囲の上限は10であることで、正のパルスが大きすぎて電池のリチウム析出が発生することに起因する安全上の問題を回避することができる。
【0020】
第2態様によれば、本願は充電制御装置を提供し、第1態様及び第1態様における任意の可能な実現形態に記載されている充電制御方法を実現することに用いられる各機能モジュールを含む。
【0021】
第3態様によれば、本願は電池管理システムを提供し、プロセッサ及び前記プロセッサと通信可能に接続されるメモリを含み、前記メモリに前記プロセッサが実行できる命令が記憶され、前記命令は前記プロセッサによって実行され、それにより前記プロセッサは第1態様及び第1態様における任意の可能な実現形態に記載されている充電制御方法を実行することができる。
【0022】
第4態様によれば、本願は読み取り可能な記憶媒体を提供し、読み取り可能な記憶媒体にコンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムがコンピュータによって実行されると、第1態様及び第1態様における任意の可能な実現形態に記載されている充電制御方法を実行する。
【0023】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では本願の実施例に必要な図面を簡単に説明し、明らかなように、以下で説明される図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働を必要とせずに、さらに図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本願の一実施例に開示される充電システムの模式図である。
【
図2】本願の一実施例に開示される充電制御方法のフローチャートである。
【
図3】本願の一実施例に開示されるパルス充電波形の例を示す図である。
【
図4】本願の他の実施例に開示されるパルス充電波形の例を示す図である。
【
図5】本願の一実施例に開示される充電制御装置の構造模式図である。
【
図6】本願の一実施例に開示される電池管理システムの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面において、図面は実際の縮尺で描かれていない。
【0026】
符号の簡単な説明
10-充電システム、11-充電装置、12-電池管理システム、120-プロセッサ、121-メモリ、122-通信モジュール、500-充電制御装置、510-取得モジュール、520-処理モジュール。
【0027】
以下では、図面及び実施例を参照しながら本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は、本願の原理を例示的に説明することに用いられるが、本願の範囲を限定するものではなく、即ち本願は説明される実施例に限定されない。
【0028】
なお、本願の説明では、特に説明されていない限り、「複数」は2つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等の用語が指示する方位又は位置関係は単に本願を説明しやすく且つ説明を簡略化するためのものであり、示される装置又は素子が必ずしも特定の方位を持ち、特定の方位で構成及び操作されるということを指示又は示唆するものではなく、従って本願を限定するものではないと理解すべきである。また、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は目的を説明することに用いられるだけで、相対的重要性を指示又は示唆するものではないと理解すべきである。「垂直」は厳密な意味での垂直ではなく、誤差許容範囲内にあるものを指す。「平行」は厳密な意味での平行ではなく、誤差許容範囲内にあるものを指す。
【0029】
以下の説明に現れる方位の名詞はいずれも図に示される方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。さらになお、本願の説明では、特に明確に規定及び限定されていない限り、用語「取り付け」、「繋がる」、「接続」は広義に理解されるべきであり、例えば、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続されてもよく、又は一体的に接続されてもよく、直接接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0030】
図1に参照されるように、本願の実施例による充電システム10の模式図であり、充電システム10は充電装置11、電池管理システム12及び電池を含む。充電装置11によって電池を充電する場合、充電装置11が電池管理システム12と通信可能に接続され、充電装置11が電池と電気的に接続され、電池管理システム12が電池と電気的に接続される。
【0031】
充電装置11は充電スタンド、充電ボックス、充電キャビネット等の形であってもよい。該充電装置11には直流充電モジュール及びパルス充電モジュールを含んでもよく、即ち、該充電装置11は直流充電を実現でき、さらにパルス充電を実現できる。
【0032】
電池管理システム12は、電池を管理することに用いられ、例えば電池のSOC(State Of Charge、荷電状態)、電池の容量、電池の温度等の各種のパラメータを管理し、さらに、例えば電池に対して充電制御を行う。従って、本願の実施例による充電制御方法を適用するハードウェア環境は電池に対応する電池管理システム12であってもよい。
【0033】
電池管理システム12及び電池で構成される電池システムが位置するハードウェア環境は、電動車両などパワー電池を電源とする電動機器であってもよく、電動車両は例えば電気自動車、電気バイク等であってもよい。従って、本願の実施例による充電制御方法は各種の電動機器に適用できる。
【0034】
電池は各種のタイプのリチウム電池、例えば、リン酸鉄リチウム電池、硫化鉄リチウム電池等であってもよい。
【0035】
充電装置11が電池管理システム12と通信可能に接続される条件において、充電装置11と電池管理システム12とは充電メッセージの交換を行うことができる。例えば、電池管理システム12は対応する充電情報を充電メッセージの形で充電装置11に伝送し、充電装置11は取得された充電メッセージの充電情報に基づいて電池を充電する。
【0036】
充電を開始する前、電池管理システム12と充電装置11とは充電メッセージの交換を行うことができる。充電プロセスにおいて、電池管理システム12と充電装置11とは充電メッセージの交換を行い続けることができ、それにより充電情報を調整でき、電池の充電戦略も調整できる。例えば、パルス充電の周波数を調整でき、パルス充電の波形を調整できる等である。
【0037】
上記適用シーンの説明に基づいて、
図2に参照されるように、本願の実施例による充電制御方法のフローチャートであり、該方法は電池管理システム12に適用でき、以下のステップを含む。
【0038】
ステップ210:電池温度及び電池SOCを取得する。
【0039】
ステップ220:電池温度、電池SOC及び予め校正された対応関係に基づいて、パルス充電周波数を決定する。予め校正された対応関係は電池温度、電池SOC及びパルス充電周波数の対応関係である。
【0040】
ステップ230:予め設定されたパルス充電波形の波形特性を取得する。波形特性はパルス充電波形の各パルス周期における正のパルス波形の面積と負のパルス波形の面積との比の範囲を含む。
【0041】
ステップ240:パルス充電周波数及び波形特性に基づいて、充電要求を生成して充電装置11に送信する。
【0042】
本願の実施例による充電制御方法を採用すると、一方では、電池温度、電池SOC及びパルス充電周波数の対応関係を予め校正し、電池管理システム12が充電制御を行う場合、先ずリアルタイムな電池温度及び電池SOCを取得し、次に取得された電池温度、電池SOC及び対応関係に基づいてパルス充電周波数を決定し、パルス充電周波数を効果的に決定することを実現する。他方では、パルス充電波形の波形特性を予め設定し、該波形特性はパルス充電波形の各パルス周期における正のパルス波形の面積と負のパルス波形の面積との比の範囲を含み、該比の範囲の下限を設定することで、正常なパルス充電を確保することができ、該比の範囲の上限を設定することで、正のパルスが大きすぎて電池のリチウム析出が発生することに起因する安全上の問題を回避することができる。さらに、充電装置11による電池のパルス充電の安全性及び安定性を向上させ、電池の充電が電池の性能に与える影響を回避する。
【0043】
以下では該充電制御方法の詳細な実施形態を説明する。
【0044】
ステップ210では、電池管理システム12は電池情報の収集モジュールにおける温度収集モジュールによって電池温度を収集して、電池温度の取得を実現することができ、温度収集モジュールはサーミスター、温度センサ等であってもよい。電池管理システム12はさらに収集モジュールの電圧、電流、電力等の収集モジュールによって電池の電圧、電流、電力等の情報を収集することができ、収集した関連情報に基づいて、電池のSOC推定を行い、電池のSOCの取得を実現する。
【0045】
理解できるように、電池の場合、電池状態情報は電池温度、電池SOC、電圧、電流等を含み、それに対応して、電池管理システム12の場合、電池温度及び電池SOCを取得する以外、必要に応じて、さらに例えば電池の電圧、電流等の他の電池状態情報を取得することができる。
【0046】
ステップ220では、電池温度、電池SOC及びパルス充電周波数の対応関係はオフライン校正を採用してもよく、以下では該オフライン校正の実施形態を説明する。
【0047】
オフライン校正のプロセスにおいて、セルインピーダンスと周波数との対応関係を使用する必要がある。セルインピーダンスと周波数との間の関係はセルインピーダンス-周波数の曲線(スペクトル)によって示され、該曲線の横軸は交流信号の周波数であり、縦軸はセルアノードの交流インピーダンスであり、インピーダンスの実数部及びインピーダンスの虚数部に分けられる。交流信号周波数の増加に伴って、セルアノードの交流インピーダンスが徐々に減少する。
【0048】
セルインピーダンス-周波数の曲線に基づいて、周波数と温度との対応関係を決定するプロセスは、同一のセルに対して、異なる温度条件及び異なるセル容量下で、複数の実数部と虚数部の曲線を作成し、それぞれ実数部と虚数部の曲線関数を得ることを含む。次に、曲線関数に対して一次導関数を求め、導関数が負数であり、且つ導関数が最初に予め設定された閾値より小さい場合、該導関数に対応する周波数(横軸の数値)はパルス電流周波数の最小値である。
【0049】
上記プロセスでは、同一の温度条件において、さらに異なるSOC区間に対して、それぞれ対応するパルス電流周波数を得て、さらに同一の温度条件における異なるSOC区間のパルス電流周波数を取得する。
【0050】
例を挙げて説明し、4つの虚数部の曲線があると仮定し、同一の温度、異なるSOC区間において、対応する4つの周波数値を取得することができる。
【0051】
本願の実施例では、対応関係を校正する場合、さらにパルス充電周波数を固定周波数範囲内に限定することができる。
【0052】
セルインピーダンス-周波数の曲線からわかるように、パルス充電周波数が特定の値より大きくなった後、インピーダンスの実数部と虚数部の実効値が大幅に減少し、従って所定の範囲内で、パルス充電電流の周波数が大きいほど、セルのリチウム析出が発生しにくくなる。
【0053】
従って、該固定周波数範囲の周波数の下限は、インピーダンスの実数部と虚数部の実効値が大幅に減少し始める時の周波数値に基づいて設定することができる。173Ahのリン酸鉄リチウムセルを例とし、パルス充電周波数が195Hzより大きくなった後、インピーダンスの実数部と虚数部の実効値が大幅に減少する。さらに、該セルに対応する周波数範囲の周波数の下限は195Hzよりもやや大きい周波数値、例えば200Hzであってもよい。
【0054】
電池はリチウム析出が発生する場合、それに対応して電池容量が少なくなる。従って、上記実施形態以外、常温で通常の電池の充放電容量テストを行うことができ、電池容量は通常の電池の容量より少なくなる場合、対応する周波数値を周波数範囲の周波数の下限として決定することができる。
【0055】
充電装置11は、パルス電流の発生器として、提供できるパルス充電周波数に制限があり、パルス充電周波数が大きすぎると、充電装置11は対応するパルス充電電流を提供できない恐れがある。従って、該固定周波数範囲の周波数の上限は充電装置11に基づいて設定することができる。
【0056】
選択可能な実施形態として、電池管理システム12において、大部分の充電装置11に適用できる周波数の上限値を直接予め設定することができる。
【0057】
他の選択可能な実施形態として、電池管理システム12と充電装置11とはメッセージの交換を行うことができ、それにより電池管理システム12は充電装置11が許容できる最大のパルス充電周波数を決定する。
【0058】
例えば、電池管理システム12はいくつかの選択可能な最大のパルス充電周波数を充電装置11に提供し、充電装置11はそのうち自体に適する1つの最大のパルス充電周波数を決定し、次に電池管理システム12に送信する。又は、充電装置11は自体が許容できる最大のパルス充電周波数を電池管理システム12に能動的に伝送する。
【0059】
本願の実施例では、選択可能なパルス充電周波数の範囲200Hz-1500Hzを提供する。該パルス充電周波数の範囲はリン酸鉄リチウム電池、及び大部分の充電装置11に適用できる。
【0060】
周波数の範囲を限定することにより、電池充電の安全性を確保し、電池の性能への影響を回避するとともに、充電装置11をスムーズに充電することを確保することができる。
【0061】
表1に参照されるように、本願の実施例による電池温度、電池SOC及びパルス充電周波数の対応関係の例であり、理解できるように、表1に示される対応関係は、例示的なものに過ぎず、本願の実施例を限定するものではない。
【0062】
表1には、各温度条件において、4つのSOC区間を含み、各SOC区間が1つのパルス充電周波数に対応する。該対応関係、及びリアルタイムに取得された電池温度及び電池SOCに基づいて、パルス充電周波数を決定することができる。例えば、電池温度が-16℃であり、電池SOCが40%であることを仮定すると、パルス充電周波数が1400Hzである。電池温度が2℃であることを仮定すると、電池SOCに関わらず、パルス充電周波数がいずれも300Hzである。
【0063】
【0064】
ステップ230では、電池管理システム12は予め設定されたパルス充電波形の波形特性を取得する。該波形特性は、パルス充電波形の各パルス周期における正のパルス波形の面積と負のパルス波形の面積との比の範囲を含む。
【0065】
理解しやすいために、
図3及び
図4に参照されるように、本願による1つのパルス周期のパルス充電波形の2種の例である。
図3及び
図4には、波形関数はF(t)であり、t1-t2の期間内のパルス充電波形は正のパルス波形であり、t2-t3の期間内のパルス充電波形は負のパルス波形であり、t1-t3は1つのパルス周期である。それに対応して、S1領域の面積は正のパルス波形の面積であり、S2領域の面積は負のパルス波形の面積である。
【0066】
図3及び
図4の例と併せて参照されるように、上記波形特性はA≦S1/S2≦Bとして示される。該比の範囲の上限(B)を設定することで、正のパルスが大きすぎて、電池のリチウム析出が発生するという安全上の問題を回避することができる。該比の範囲の下限(A)を設定することで、正常なパルス充電を確保することができる。
【0067】
比の範囲の上限と下限の作用を組み合わせて、比の範囲を予め設定する場合、比の範囲の下限はパルス充電を確保する最小面積比に基づいて決定される。比の範囲の上限はオフラインで異なる面積比に対応する電池のリチウム析出の状況をテストすることによって、電池のリチウム析出が発生しない面積比の上限を決定することができる。
【0068】
選択可能な実施形態として、該比の範囲は1-10であってもよく、この場合、上記波形特性は1≦S1/S2≦10として示される。
【0069】
正のパルスが大きすぎて電池のリチウム析出をもたらす可能性がある以外、他の原因も電池のリチウム析出をもたらす可能性がある。従って、波形特性において、さらにより多くの限定条件を含んでもよい。
【0070】
充電パルス波形を検討したところ、1つのパルス周期において、負のパルス波形の電流ピーク値が正のパルス波形の電流ピーク値より大きいと、正のパルス充電から負のパルス充電に切り替わった後、電流ピーク値が増加し、電池はリチウム析出及びセルの極性化が発生しにくいということを見出した。従って、選択可能な実施形態として、波形特性は、予め設定された、電池温度と電池荷電状態に対応する正のパルス波形の電流ピーク値、及び予め設定された、電池温度と電池荷電状態に対応する負のパルス波形の電流ピーク値をさらに含み、且つ、負のパルス波形の電流ピーク値が正のパルス波形の電流ピーク値より大きい。
【0071】
この実施形態では、正のパルス波形の電流ピーク値のデフォルト値がMであり、負のパルス波形の電流ピーク値のデフォルト値がNであることを仮定すると、異なる温度下で、Mは異なる可能性があり、Nも異なる可能性があるが、Nは常にMより大きく、同一の温度下で、電池SOCは異なる可能性があり、Mは異なる可能性があり、Nも異なる可能性があるが、Nは常にMより大きい。
【0072】
選択可能な実施形態として、予め校正された対応関係は、電池温度、電池荷電状態及びパルス充電周波数の関係であってもよく、さらに電池温度、電池荷電状態、パルス充電周波数、正のパルス波形の電流ピーク値及び負のパルス波形の電流ピーク値の関係であってもよい。
【0073】
該実施形態を採用すると、ステップ220では、該対応関係に基づいてパルス充電周波数を決定した後、該対応関係と組み合わせて対応する正のパルス波形の電流ピーク値及び負のパルス波形の電流ピーク値を決定する。
【0074】
他の選択可能な実施形態として、さらに、電池温度、電池荷電状態と正のパルス波形の電流ピーク値及び負のパルス波形の電流ピーク値との間の関係を予め校正してもよく、ステップ230では、該対応関係及びリアルタイムな電池温度とリアルタイムな電池荷電状態と組み合わせて、正のパルス波形の電流ピーク値及び負のパルス波形の電流ピーク値を決定する。
【0075】
理解できるように、パルス充電のプロセスにおいて、パルス電流の増加に伴って、電池電圧も対応して増加し、正のパルス波形の電流ピーク値に対応する電池電圧は電圧の上限であり、電池電圧の上限は充電終止電圧によって校正されてもよく、この場合、正のパルス波形の電流ピーク値に対応する電池電圧が予め校正された充電終止電圧より小さい。
【0076】
充電終止電圧は、電池電解液の分解電圧又は電池セパレータの破壊電圧である。分解電圧も破壊電圧もオフラインのテストで決定することができる。
【0077】
予め校正された充電終止電圧に基づいて、電圧の上限を決定でき、次に電圧と電流との間の正関連関係に基づいて、正のパルス波形の電流ピーク値を決定することができる。
【0078】
通常の直流充電において、電流が大きすぎると、電子が迅速に移動し、その結果、極性化電圧がピーク値に迅速に達し、電池が満充電状態に迅速に達し、電池を継続的に充電することができない。しかしながら、本願の実施例に採用されるのはパルス充電であり、パルス充電にはパルス充電周期が設定され、1つのパルス充電周期内に、正のパルスと負のパルスに基づいて、電子の移動が往復であり、電流が大きすぎるとしても極性化電圧がピーク値に達することがなく、従って、パルス充電において、電流ピーク値ができるだけ大きくてもよい。
【0079】
本願の実施例では、電池電解液の分解電圧又は電池セパレータの破壊電圧値を充電終止電圧として選択し、この2種の電圧は通常の充電終止電圧(例えば直流充電の充電終止電圧)より大きく、対応する充電電流のピーク値もより大きい。従って、この2種の電圧を電圧の上限として決定することにより、充電電流のピーク値を向上させて、電池の充電を早めに完了することができ、さらに電池の充電効率を向上させることができる。
【0080】
負のパルス波形の電流ピーク値については、それに対応する電池電圧が予め校正された放電終止電圧より大きく、ここでの放電終止電圧が通常の放電終止電圧であり、特定の電池の特性と組み合わせてオフラインテストを行う必要がなく、本願の実施例では詳細に説明しない。
【0081】
表1をもとに、表2に参照されるように、本願の実施例による電池温度、電池SOC、パルス充電周波数、正のパルス波形の電流ピーク値、及び負のパルス波形の電流ピーク値の対応関係の例であり、理解できるように、表2に示される対応関係は例示的なものに過ぎず、本願の実施例を限定するものではない。
【0082】
表2には、各温度条件において、4つのSOC区間を含み、各SOC区間が1つの正の電流ピーク値(即ち正のパルス波形の電流ピーク値)及び1つの負の電流ピーク値(即ち負のパルス波形の電流ピーク値)に対応する。該対応関係、及びリアルタイムに取得された電池温度と電池荷電状態に基づいて、正の電流ピーク値及び負の電流ピーク値を決定することができる。例えば、電池温度が-16℃であり、電池SOCが40%であることを仮定すると、正の電流ピーク値が0.05C(Cはクーロンを示し、単位である)であり、負の電流ピーク値が0.1Cである。電池温度が2℃であり、電池SOCが80%であることを仮定すると、正の電流ピーク値が0.3Cであり、負の電流ピーク値が1.2Cである。
【0083】
【0084】
パルス充電が最大放電電流を実現できることを確保するために、正のパルス波形の面積ができるだけ大きくなるべきである。該特性に基づいて、波形特性はさらに、正のパルス波形の特性を含む。
図3及び
図4の例と併せて参照されるように、正のパルス波形の特性は以下の式として示される。
【0085】
【0086】
該正のパルス波形の特性は、正のパルス波形の面積が正のパルス波形に対応する矩形領域の面積の半分より大きいこととして理解できる。
図3には、正のパルス波形の面積が正のパルス波形に対応する矩形領域の面積と同じであり、該条件を満たす。
図4には、正のパルス波形の面積が正のパルス波形に対応する行列領域の面積の半分より大きく、同様に該条件を満たす。
【0087】
上記いくつかの波形特性及びパルス充電周波数は決定された後、パルス充電波形のデューティサイクル(パルス充電周波数によって決定される)、正のパルス電流振幅、負のパルス電流振幅、正のパルスと負のパルス(面積)の実効値の比、電池の正のパルスと負のパルスの終止電圧等の情報もそれに対応して限定される。
【0088】
実際に適用される場合、波形特性は上記いくつかの波形特性のうちの少なくとも1種の波形特性を含んでもよく、即ち、正のパルスと負のパルスの面積比、正のパルス電流振幅、負のパルス電流振幅、及び正のパルス波形の特性のうちの少なくとも1種を含む。
【0089】
波形特性が限定されているが、パルス充電波形の波形形状が限定されておらず、正のパルスであっても、負のパルスであっても、波形特性を満たす限り、方形波、台形波、正弦波等であってもよく、さらにこれらの波形の歪み、及びその重ね合わせたものであってもよく、特定の波形に制限されない。
【0090】
さらに、ステップ240では、パルス充電周波数及び波形特性に基づいて、充電要求を生成する場合、充電要求にはパルス充電周波数及び波形特性を含んでもよく、さらにいくつかの選択可能な波形形状を含んでもよく、さらに電池温度を含んでもよい。
【0091】
上記各波形特性は電池のリチウム析出状況に対して、いずれも対応する改善作用があるため、実際の電池のリチウム析出のリスクと組み合わせれば、波形特性を柔軟に限定することができる。電池のリチウム析出のリスクは、電池温度と組み合わせて大まかな判断を行うことができる。
【0092】
充電要求の波形特性は、電池管理システム12が現在の電池温度と組み合わせて決定された指定の波形特性であってもよい。例えば、現在の電池温度が低い場合、波形特性は正のパルスと負のパルスの面積比、正のパルス電流振幅、負のパルス電流振幅、及び正のパルス波形の特性を含んでもよい。現在の電池温度が常温である場合、波形特性は1-3個の波形特性を含んでもよく、例えば正のパルスと負のパルスの面積比、正のパルス電流振幅、及び負のパルス電流振幅を含む。
【0093】
充電要求には、上記各波形特性の正のパルスと負のパルスの面積比、正のパルス電流振幅、負のパルス電流振幅、及び正のパルス波形の特性を含んでもよく、充電要求はさらに電池温度を含む。この実施形態において、電池管理システム12は決定された各波形特性を充電装置11にフィードバックし、充電装置11は電池温度と組み合わせてそのうちから電池温度にマッチングする波形特性を決定することができ、決定方法は、上記電池管理システム12が電池温度と組み合わせて指定の波形特性を決定する実施形態を参照してもよい。
【0094】
さらに、充電装置11は、充電要求を受信した後、充電要求の各充電情報に基づいて対応するパルス充電電流を生成し、電池に対してパルス充電を行う。
【0095】
選択可能な実施形態として、充電要求のパルス充電周波数に基づいて、充電装置11が最終的に出力するパルス充電波形の周波数は該パルス充電周波数に等しくてもよく、該パルス充電周波数の特定周波数より高くてもよい。
【0096】
パルス充電技術は、電池温度が低い状況に適用される場合、効果がより高い。従って、実際に適用される場合、充電装置11は直流充電モジュールとパルス充電モジュールを同時に備えると、パルス充電及び直流充電を柔軟に調整することができる。
【0097】
選択可能な実施形態として、ステップ240の前に、該方法はさらに、電池温度が予め設定された温度範囲内であるかどうかを決定することと、電池温度が予め設定された温度範囲内であることを決定する場合、ステップ240を実行することと、を含む。
【0098】
この実施形態では、予め設定された温度範囲はパルス充電方式の条件に相当し、温度が該予め設定された温度範囲内である場合、パルス充電を採用し、温度が該予め設定された温度範囲内ではない場合、通常の直流充電を採用してもよい。
【0099】
予め設定された温度範囲は例えば、(-∞,5℃]であってもよく、即ち電池温度が5℃以下である場合、パルス充電を採用し、電池温度が5℃より大きい場合、直流充電を採用する。
【0100】
この実施形態によって、電池の充電制御戦略は温度の状況に基づいて柔軟に調整することができ、電池充電の柔軟性を向上させる。
【0101】
理解できるように、電池は満充電状態になるまでプロセス全体を通してパルス充電を採用してもよいがが、パルス充電の周波数は電池管理システム12の充電制御によって、電池温度の変化に伴ってその分変化する。
【0102】
本願の実施例では、予め校正された対応関係も、予め設定されたパルス充電波形の波形特性も、予め校正されたものであり、これらの校正された情報によって、電池の低温での充電を実現することができ、さらにパルス充電による電池の性能への影響を回避することができる。しかしながら、予め校正された情報は、電池の使用過程における他の要素による電池への影響、例えば、電池の不正確なSOC推定、電池自体の電圧不足等を考慮しなかった可能性があるため、電池の使用時間が短い場合において、電池の充電効果は高く、電池の使用時間が長いと、電池の充電効果は低い恐れがある。
【0103】
従って、電池の使用過程における他の要素による電池への影響を考慮すると、本願の実施例は予め校正された対応関係及び予め設定された波形特性を更新する2種の実施形態を提供する。
【0104】
第1種の選択可能な実施形態については、対応関係のパルス充電周波数は、充電装置11との対話によって更新される。具体的には、毎回の充電前、電池管理システム12は充電装置11が出力できる最大パルス充電周波数(実際の最大パルス充電周波数として理解できる)を充電装置11に要求し、該実際の最大パルス充電周波数と対応関係の最大パルス充電周波数(理論の最大パルス充電周波数として理解できる)とを比較し、実際の最大パルス充電周波数が理論の最大パルス充電周波数以上であると、対応関係の各パルス充電周波数を更新する必要がない。実際の最大パルス充電周波数が理論の最大パルス充電周波数より小さいと、対応関係の各パルス充電周波数を、いずれも予め設定された量低減させる。該予め設定された量は実際の最大パルス充電周波数と理論の最大パルス周波数との差であってもよい。
【0105】
正のパルス振幅と負のパルス振幅に対して、電池の充電回数と振幅損失との対応関係を予め設定する。電池管理システム12は電池の充電回数を記録し、例えば毎回電池が満充電状態になった後、電池の充電回数に1をプラスし、電池の充電回数の初期値が0である。電池の充電回数が対応関係における対応する充電回数に達した後、元の正のパルス振幅と負のパルス振幅から、対応する振幅損失を差し引く。
【0106】
波形特性における正のパルス波形の特性及び正のパルスと負のパルスの面積比の範囲は、一般的には電池の性能の変化に伴って変化することなく、従って更新する必要がない。
【0107】
第2種の選択可能な実施形態については、毎回満充電状態になった後、電池管理システム12は電池の到達可能な最大SOCを記録する。電池の到達可能な最大SOCが予め設定されたSOCより小さい場合、対応する通知情報を出力し、該通知情報は予め校正された対応関係及び波形特性を更新することを指示することに用いられる。
【0108】
この実施形態では、電池管理システム12はSOCの変化の状況によって、電池の損失状況を評価し、さらに電池の損失状況に基づいて更新を通知する。対応するユーザーが通知情報を受信した後、電池に対してオフライン校正を再び行って、予め校正された対応関係及び波形特性の更新を実現する。
【0109】
実際に適用される場合、他の実現可能な実施形態を採用して予め校正された対応関係及び波形特性を更新することができ、本願の実施例では限定しない。
【0110】
同一の発明の構想に基づいて、
図5に参照されるように、本願の実施例はさらに、取得モジュール510及び処理モジュール520を含む充電制御装置500を提供する。
【0111】
取得モジュール510は電池温度及び電池荷電状態を取得することに用いられる。処理モジュール520は前記電池温度、前記電池荷電状態及び予め校正された対応関係に基づいてパルス充電周波数を決定することに用いられ、前記予め校正された対応関係は電池温度、電池荷電状態及びパルス充電周波数の対応関係である。取得モジュール510はさらに予め設定されたパルス充電波形の波形特性を取得することに用いられ、前記波形特性は、パルス充電波形の各パルス周期における正のパルス波形の面積と負のパルス波形の面積との比の範囲を含み、処理モジュール520はさらに、前記パルス充電周波数及び前記波形特性に基づいて、充電要求を生成して充電装置11に送信することに用いられる。
【0112】
本願の実施例では、処理モジュール520はさらに、前記電池温度が予め設定された温度範囲内であるかどうかを決定することに用いられ、具体的には、前記電池温度が前記予め設定された温度範囲内であることを決定する場合、前記電池温度、前記電池荷電状態及び予め校正された対応関係に基づいてパルス充電周波数を決定することに用いられる。
【0113】
充電制御装置500は上記実施例で説明された充電制御方法に対応し、各機能モジュールは充電制御方法の各ステップに1対1で対応し、従って、各機能モジュールの実施形態は充電制御方法の実施形態を参照すればよく、ここで繰り返して説明しない。
【0114】
同一の発明の構想に基づいて、
図6に参照されるように、本願の実施例はさらに、プロセッサ120、メモリ121、及び通信モジュール122を含む電池管理システム12を提供する。
【0115】
プロセッサ120、メモリ121、及び通信モジュール122は直接又は間接的に電気的に接続されて、データの伝送又は交換を実現する。例えば、これらの素子は1つ又は複数の通信バス又は信号バスによって、電気的な接続を実現することができる。充電制御方法はそれぞれ、ソフトウェア又はファームウェア(firmware)の形でメモリ121に記憶できる少なくとも1つのソフトウェア機能モジュールを含む。
【0116】
プロセッサ120は集積回路チップであってもよく、信号処理能力を有する。プロセッサ120は、汎用プロセッサであってもよく、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、NP(Network Processor、ネットワークプロセッサ)等を含み、さらにデジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ又は他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタロジックデバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネントであってもよい。本願の実施例に開示されている各方法、ステップ及びロジックブロック図を実現又は実行できる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってもよく又は該プロセッサはいずれかの通常のプロセッサ等であってもよい。
【0117】
メモリ121は各種のソフトウェアプログラム及びモジュール、例えば、本願の実施例による充電制御方法及び装置に対応するプログラム命令/モジュールを記憶することができる。プロセッサ120はメモリ121に記憶されたソフトウェアプログラム及びモジュールを実行することによって、各種の機能アプリケーション及びデータ処理を実行し、即ち本願の実施例の技術的解決手段を実現する。
【0118】
メモリ121はRAM(Random Access Memory、ランダムアクセスメモリ)、ROM(Read Only Memory、リードオンリーメモリ)、PROM(Programmable Read-Only Memory、プログラマブル読み出し専用メモリ)、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ)、及びEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ)等を含んでもよいがそれに限定されない。
【0119】
通信モジュール122は電池管理システム12と充電装置11との間の通信接続を実現することに用いられ、無線通信モジュール、ブルートゥース(登録商標)通信モジュール、4G/5G通信モジュール等であってもよい。
【0120】
理解できるように、
図6に示されるコンポーネントは例示的なものに過ぎず、電池管理システム12はさらに、より多くのコンポーネントを含んでもよく、例えば、さらに温度収集モジュール等を含む。
【0121】
本願の実施例では、さらに電気自動車を提供し、パワー電池及び
図6に示される電池管理システム12を含み、さらに車両コントローラ、及び他の電気自動車が有する基本的な構造又はコンポーネントを含む。
【0122】
本願の実施例では、さらに読み取り可能な記憶媒体を提供し、該読み取り可能な記憶媒体にコンピュータプログラムが記憶され、該コンピュータプログラムがコンピュータによって実行されると、本願の実施例による充電制御方法を実行する。
【0123】
好ましい実施例を参照しながら本願を説明したが、本願の範囲から逸脱せずに、各種の改良を行うことができ且つ同等物でその中の部材を置き換えることができる。特に、構造上の衝突が存在しない限り、各実施例に言及された各技術的特徴を任意に組み合わせることができる。本願は、明細書に開示されている特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲に属するすべての技術的解決手段を含む。
【符号の説明】
【0124】
10 充電システム
11 充電装置
12 電池管理システム
120 プロセッサ
121 メモリ
122 通信モジュール
210 ステップ
220 ステップ
230 ステップ
240 ステップ
500 充電制御装置
510 取得モジュール
520 処理モジュール