(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】対称的に配置された貫通孔のある底壁を有する食品を調理用の調理容器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20240327BHJP
A47J 36/02 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
A47J27/00 101C
A47J36/02 B
(21)【出願番号】P 2021575359
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(86)【国際出願番号】 IB2020054014
(87)【国際公開番号】W WO2020254883
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】102019000009378
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521136105
【氏名又は名称】ツビリング・バッラリーニ・イタリア・エッセ・エッルレ・エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェロン,ヤコポ
(72)【発明者】
【氏名】フェロン,フランチェスコ
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特表平06-510468(JP,A)
【文献】国際公開第2013/115176(WO,A1)
【文献】特開平05-091950(JP,A)
【文献】特開2005-205196(JP,A)
【文献】登録実用新案第3180180(JP,U)
【文献】米国特許第06422233(US,B1)
【文献】特開2003-339549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
A47J 36/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品調理用の調理容器(10)であって、
-底壁(14)と、少なくとも1つの側壁(16)とを順に備える本体(12)であって、前記側壁(16)が前記底壁(14)から延在して、食品が調理されるように配置される調理容器(10)の内部区画(18)を画定し、少なくとも前記底壁(14)がアルミニウム製である、本体と、
-強磁性材料製のディスクからなり、底壁(14)の外面を少なくとも部分的に覆うように、それぞれの前記外面において前記底壁(14)と一体的に結合された少なくとも1つの板状構成要素(20)であって、複数の貫通孔(22、24)が設けられた前記少なくとも1つの板状構成要素(20)と、
を備え、
前記少なくとも1つの板状構成要素(20)は、対称的に互いに交互に配置された複数の第1の穿孔領域(30)および複数の第2の穿孔領域(32)に分割され、各第1の穿孔領域(30)は、空隙対固体比の第1の値(VtS1)を有し、各第2の穿孔領域(32)は、空隙対固体比の第2の値(VtS2)を有し、空隙対固体比の前記第1の値(VtS1)は、空隙対固体比の前記第2の値(VtS2)よりも大きく、調理容器(10)は、より大きい空隙対固体比(VtS1)を特徴とする前記第1の穿孔領域(30)の全表面が、空隙対固体比(VtS2)がより小さいことを特徴とする前記第2の穿孔領域(32)の全表面に対して約1:3の割合であり、
前記第1の穿孔領域(30)には、蜘蛛の巣状に位置合わせされ且つ相互に一定の距離(L)を有する第1の貫通孔(22)が設けられ、その距離の値は0.6mm~1.4mmの範囲であることを特徴とする、調理容器(10)。
【請求項2】
前記第1の穿孔領域(30)の孔密度は、約15個/cm
2であることを特徴とする、請求項1に記載の調理容器(10)。
【請求項3】
前記第2の穿孔領域(32)には、1mm~2mmの範囲の直径を有する第2の貫通孔(24)が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の調理容器(10)。
【請求項4】
前記第1の穿孔領域(30)は、20%~30%の範囲の板状構成要素(20)の表面積を占めることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の調理容器(10)。
【請求項5】
前記第2の穿孔領域(32)は、70%~80%の範囲の板状構成要素(20)の表面積を占めることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の調理容器(10)。
【請求項6】
前記第1の穿孔領域(30)のそれぞれには、多角形断面を特徴とする第1の貫通孔(22)が設けられ
、50%よりも大きい空隙対固体比の第1の値(VtS1)を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の調理容器(10)。
【請求項7】
前記第2の穿孔領域(32)のそれぞれには、円形断面を特徴とする第2の貫通孔(24)が設けられ
、12%よりも小さい空隙対固体比の第2の値(VtS2)を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の調理容器(10)。
【請求項8】
前記第1の穿孔領域(30)および前記第2の穿孔領域(32)は、動作温度が350℃を超えないように、前記調理容器(10)の最大エネルギー吸収および結果として生じる前記動作温度を制限するように較正されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の調理容器(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、食品を調理するための調理容器に関し、特に、少なくとも部分的にアルミニウム製であり、対称的に配置された、すなわち重み付け比率(weighted ratio)で区別された貫通孔を有する底壁が備えられた、食品調理用の金属容器に関する。
【背景技術】
【0002】
公知のように、アルミニウム製の食品調理容器は、アルミニウムが非磁性材料であるという点で、熱を発生させるために電磁誘導原理を利用する誘導レンジ台上面上で使用されるのに適していない。したがって、アルミニウム製の食品調理容器を誘導レンジ台上面上で使用されるのに適したものにするために、そのような容器の底壁の少なくとも外面に、磁性材料の1つ以上の層が取り付けられる必要がある。実際のところ、磁性材料は、レンジ台上面のインダクタの磁束と相互作用することにより、急速に温められ、接着するアルミニウムの容器に熱を伝達する。
【0003】
前記結果を得るためのシステムは、経時的に開発されてきた。めったに使用されない第1のシステムでは、フェライト材料が、いわゆる「コールドスプレー」または「プラズマ溶射」と呼ばれる高価な技術によって容器底部に被覆される。大部分が使用されている別のシステムは、代わりに、アルミニウム製の容器の底壁の外面にフェライト鋼ディスクを取り付けることからなる。
【0004】
フェライト鋼製のディスクをアルミニウム製の容器の底部に取り付ける作業中に、対処されるべき2つの基本的な問題がある。第1の問題は、鋼製のディスクとアルミニウム製の底部との間の良好なステープル留めを確実にすることにある。第2の問題は、鋼材料とアルミニウム材料との間の異なる熱膨張(鋼の熱膨張係数は、アルミニウムの熱膨張係数の約半分である)に起因して、鋼製のディスクがアルミニウムの底部に発生する変形を抑制することにある。したがって、フェライト鋼製のディスクが取り付けられると、それは、容器の底部を曲げ、それをレンジ台上面から中央に持ち上げ、油、脂肪、より一般的には調理ステップ中の液体が存在する場合に半径方向の均一性の欠如を生成する強い張力を発生させ、その結果、調理容器の底部にそのような液体の不規則な分布をもたらす。
【0005】
食品調理用の調理容器のアルミニウム製のベースにフェライト系部品を接合またはステープル留めするためのいくつかの技術が、経時的に開発されてきた。主な技術が以下に示される:
1)ろう付け溶接プロセスによってフェライト鋼製のディスクを取り付けること。銀系ペーストが接触する面の間に塗布される。このペーストは、約500℃まで上昇すると、溶融して2つの部品を接合する。
2)接触材料を互いに擦れ合わせる強力なプレスによる瞬間的な熱プレスからなる「衝撃接合」技術によってフェライト鋼製のディスクを取り付け、したがって表面的な融着によって互いに接合すること。
3)高出力冷間圧縮によって2つの部品の分離を防止するのに適した充填アンダーカットを形成するために、フェライト鋼製のディスクを取り付けることであって、その孔が適切に機械加工されている(一般に、孔の周囲は円錐形である)こと。
4)フェライト材料は、連続的なワイヤアンダーカットの自然な存在に起因して、フェライト鋼メッシュを介して挿入される。
5)アルミニウム製の「軽い」底部がディスクの孔から突出して釘頭のように拡張するように、ステープル留めによって適切に穿孔されたフェライト鋼製のディスクを取り付けること。
6)軸線方向平面自体の穿孔の半径方向の充填を伴う、軸線方向平面プロファイルがプレス操作中に形成されるように、適切に穿孔されたフェライト鋼のディスクをプレス操作によって取り付け、したがって分離の軸線方向移動を妨げること。
【0006】
そのような技術を使用する用途が知られている:米国特許出願公開第2009/321453号明細書は、ポイント2に記載された技術を使用する例であり、欧州特許出願公開第2105071号明細書は、ポイント5に記載された技術を使用する例である。しかしながら、市場に存在する用途のほとんどは、ポイント3に記載されている最もよく知られた技術を使用する。この技術に関して、最近の用途は、加熱ステップ中の底部歪みを低減することを目的とした特定の構成を研究することに向けられている。韓国公開特許第2010-0117410号公報、国際公開第2019/111761号および韓国公開特許第2004-0023418号公報の文献が例として挙げられることができる。
【0007】
上述した技術1、2、4、5および6は、部品の接合および堅固さを保証するために最も適切であるが、工業的に最も困難である。さらに、技術6以外の全ての技術は、上述したように、熱膨張差に起因する底部変形の抑制を保証するものではない。この問題の影響を制限するために、通常、フェライト材料製のディスクは、それらの連続性を排除し且つ変形を分散させるように切断される。あるいは、上述した技術6のように、フェライト材料製のディスクは、変形しにくい構造の形状で彫刻されることができるため、変形を低減する利点は、平坦な底部を有しないという欠点(技術5にも存在し得る欠点)によって部分的に軽減される。
【0008】
底部変形の問題を軽減するために、部品間の接続を「切断」することも可能であり、したがって変形を独立させることができる。後者の解決策の特別な事例は、金属織物とも呼ばれるフェライト鋼製のワイヤを備えるメッシュを使用することである。これらのメッシュの利点は2つある:
-全ての単一ワイヤが自律的であり、したがって、メッシュは、全ての単一ワイヤの独立した延伸によって生じる変形の自然な分布を及ぼす。
-全ての単一ワイヤの小さな断面は、比較的低い張力での延伸を可能にし、その断面は、無視できる程度に減少される。
【0009】
対照的に、メッシュの使用は、本質的にそのフェライトバージョンでメッシュを見つける商業的な困難性、および正確で機能的な工業化に必要な形状平面性のメッシュの欠如に縛られる、使用のいくつかの限定的な問題と衝突する。さらに、フェライト鋼メッシュは、構成されていない周縁部の存在に起因してさらなる問題を呈する。
【0010】
既に述べたように、最新の技術は、ポイント3に記載されたものである。その使用の主な問題は、熱膨張から生じる張力条件下であっても、支持体に接合されたディスクを収容することができるアンダーカットフレアを形成するために、孔またはスロットの周囲をどのように適切にプロファイルするかを必要とし、知ることにある。例えば、上述した特許文献に記載されているような様々な既存の用途は、貫通孔の特別な構成を介して、変形およびそのそれぞれの張力を制限することを目的としているが、それらは、フェライト材料製のディスクとアルミニウム製の支持体との間の正しい結合の重要な態様を完全に解決するものではない。また、孔プロファイリングの有効性が付着孔を得る可能性と衝突することも追加されるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許出願公開第2009/321453号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2105071号明細書
【文献】韓国公開特許第2010-0117410号公報
【文献】国際公開第2019/111761号
【文献】韓国公開特許第20040023418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、技術3および4を特に参照して、非常に簡単で、費用効果が高く、特に機能的な方法で、従来技術の上述した欠点を解決することができる、食品調理用の調理容器を提供することである。
【0013】
詳細には、本発明の目的は、調理容器自体およびフェライト材料製のそのそれぞれの底部ディスクから形成された部品構成要素の正確な結合が保証され、その変形も制限する、食品調理用の調理容器を提供することである。
【0014】
本発明の優先目的は、上述した部品構成要素の結合が保証されるだけでなく、ポイント3に記載された既知のタイプの技術に関して、孔の周囲における特別な座繰りまたはプロファイリングに頼る必要なく、打ち抜きプロセスのみから得られた板を使用することによって、より容易になる、食品を調理するための調理容器を実装することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明にかかるこれらの目的および他の目的は、請求項1に記載のように、食品を調理するための調理容器と、重み付け比率で区別された穿孔パターンを特徴とするそれぞれの底壁とを実装することによって達成される。
【0016】
本発明のさらなる特徴は、本開示の不可欠な部分を形成する従属請求項において強調される。
【0017】
本発明にかかる食品調理用の調理容器の特徴および利点は、添付の概略図を参照する以下の例示的な非限定的な説明から、より明らかになるであろう:
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明にかかる重み付け比率で区別された穿孔パターンを有する底壁を備えることができる食品調理用の調理容器の平面図である。
【
図3】本発明にかかる重み付け比率で区別された穿孔パターンを有する底壁を形成する有孔ディスクの平面図である。
【
図4】本発明にかかる重み付け比率で区別された穿孔パターンを有する底壁の第1の実施形態の概略図である。
【
図5】本発明にかかる重み付け比率で区別された穿孔パターンを有する底壁の第2の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1および
図2を参照すると、全体として参照符号10によって識別される、食品調理用の調理容器が示されている。調理容器10は、底壁14と、そのような底壁14から延在する少なくとも1つの側壁16とを順に具備する本体12を備える。調理容器10の少なくとも底壁14は、アルミニウム製である。
【0020】
図1および
図2に示される実施形態では、調理容器10は、略形の底壁14を備えた従来の平鍋である。平鍋は、底壁14から、より具体的には、底壁14の円形縁部からのみ延在する1つの側壁16を備える。いずれの場合でも、調理容器10はまた、複数の側壁16を備えてもよく、例えば、調理容器10は、四辺形形状を特徴とする底壁14を有してもよい。調理容器10の形状に関係なく、側壁16は、調理されるために食品が配置される調理容器10の内部区画18を画定するために、従来の本質的に既知の方法で底壁14から延在する。
【0021】
したがって、調理容器10は、強磁性材料製の少なくとも1つの板状構成要素20を備え、板状構成要素20は、底壁14のその外面を少なくとも部分的に覆うように、底壁14のそれぞれの外面で底壁と一体的に結合される。好ましくは、板状構成要素20は、底壁14の外面の中央部分Cを覆うように構成され、そのような中央部分Cを囲む底壁14の外面のそれぞれの周辺部分Pを覆わないままになっている。板状構成要素20は、好ましくはフェライト鋼、例えばAISI430鋼製のディスクからなる。さらに好ましくは、板状構成要素20は、既知の規格のように、0.4mm~0.8mmの範囲の平均厚さを有することができる。
【0022】
本発明によれば、板状構成要素20は、対称的に互いに交互に配置された複数の第1の穿孔領域30と、複数の第2の穿孔領域32とに分割される。各第1の穿孔領域30は、空隙対固体比の第1の値VtS1を有し、各第2の穿孔領域32は、空隙対固体比の第2の値VtS2を有する。空隙対固体比の第1の値VtS1は、空隙対固体比の第2の値VtS2よりも大きい。穿孔シートの分野で知られているように、パーセントで表され且つ通過率とも呼ばれる空隙対固体比(VtS)は、穿孔された自由表面と、金属薄板の決定された領域のそれぞれの全表面との間の比である。特に、より大きい空隙対固体比VtS1を特徴とする第1の穿孔領域30の全表面は、第2の穿孔領域32の全表面に対して約1:3の割合であり、空隙対固体比VtS2は、より小さい。
【0023】
換言すれば、板状構成要素20を形成するディスクは、交互の穿孔領域または領域30および32に分割され、穿孔パターンは、互いに異なる二種類の空隙対固体比(VtS)によって異なることを除いて、構造的に異なる。特に、各第2の穿孔領域32は、好ましくは12%未満となるような空隙対固体比の第2の値VtS2を有する低い空隙対固体比を有する。また、各第2の穿孔領域32には、円形断面および小さい直径を有する第2の貫通孔24が設けられており、これら第2の貫通孔24は、板状構成要素20からのフェライト材料の制限された除去を可能にし、接触する部品の貫通を容易にし、したがってエネルギー吸収において高い歩留まりを提供するのに適している。好ましくは、第2の貫通孔24は、1mm~2mmの範囲の直径を有する。
【0024】
各第1の穿孔領域30は、反対に、好ましくは50%を超えるような空隙対固体比の第1の値VtS1を有する高い空隙対固体比を有する。各第1の穿孔領域30にはまた、多角形断面を有する第1の貫通孔22も設けられ、第1の貫通孔22は、板状構成要素20の構造に弾性を提供し、調理容器10を形成するアルミニウムマトリックスへのその貫通をより容易にするために、連続メッシュのように配置された多角形断面を有する。好ましくは、第1の貫通孔22は、六角形の断面を有する。
【0025】
本明細書の残りの部分では、読み取りを容易にするために、高い空隙対固体比を有する第1の穿孔領域30は、「マクロ穿孔領域」または「マクロ穿孔」と呼ばれる。したがって、低い空隙対固体比を有する第2の穿孔領域32は、「ミクロ穿孔領域」または「ミクロ穿孔」と呼ばれる。
【0026】
マクロ穿孔領域30の好ましくは多角形、より好ましくは六角形の形状は、変形の複数方向性を可能にし、その結果、板状構成要素20の構造の高度の弾性およびアルミニウムマトリックスへの容易な浸透をもたらす。マクロ穿孔された蜘蛛の巣30のような形状は、既に述べたように、調理容器10の底部のアルミニウム支持体への容易な浸透を可能にするが、それはワイドリンクの金属布またはメッシュであったため、堅固さを保証する。
【0027】
図3Aの拡大図に示されるように、マクロ穿孔領域30には、好ましくは略一定の相互距離Lを有する第1の貫通孔22が設けられている。さらに好ましくは、この距離Lの値は、0.6mm~1.4mmの範囲である。マクロ穿孔領域30の孔の寸法は、支持体に高い浸透能力および結合を付与するために、高密度の孔、好ましくは約15個/cm
2の孔を有するように選択される。マクロ穿孔領域30およびミクロ穿孔領域32は、半径方向バンド(
図4)または円周方向バンド(
図5)のいずれかに沿って、ならびに交互の半径方向バンドおよび円周方向バンドの双方に沿って、板状構成要素20の形状において対称的に交互にすることができる。
【0028】
誘導源による暖機の有効性は、第1の例では、インダクタと相互作用することができるフェライト鋼の質量に比例することが知られている。したがって、板状構成要素20の構造全体がマクロ穿孔された場合、結合の観点から有効な解決策に到達するが、質量の不足のために熱効率に関して不十分である。したがって、ミクロ穿孔領域32は、質量を回復し、調理容器10の底部をフェライトバランスに戻すタスクを有する。
【0029】
フェライトディスクを調理容器の底部に接合するための従来技術にかかるシステムであって、ディスクの構造は独特であり、同時に結合および効率の機能を実行する従来技術とは異なり、本発明にかかる板状構成要素20は、主にマクロ穿孔領域30に結合および弾性機能を割り当てることによって機能を幾何学的に分離するが、ミクロ穿孔領域32は、電磁源と相互作用する主機能を有し、この目的のために、非常に低い空隙対固体比で適切に使用される。後者は、熱分布を測定することによって、2つの機能を幾何学的に測定すること、および、必要に応じて、調理容器10の加熱速度を調整すること、ならびに、必要に応じて、安全な熱上限(例えば、約350℃の調理容器10の最大動作温度)を形成することができることを可能にする。
【0030】
そのような実施形態によれば、2つの領域(マクロ穿孔30およびミクロ穿孔32)は、それら自体の上述した機能を効果的に発揮するために、それらのそれぞれのタスクを効果的にバランスさせるように、かなりの表面拡張を有しなければならない。結果として、同じ表面間の比率が規定され、それによって、マクロ穿孔面30の表面は、板状構成要素20の全表面の約4分の1を占める。より一般的には、マクロ穿孔領域30の表面は、板状構成要素20の表面の20%~30%を占めるのに対して、ミクロ穿孔領域32の表面は、板状構成要素20の表面の残りの部分、すなわち70%~80%を占めると言われることができる。
【0031】
マクロ穿孔領域30およびミクロ穿孔領域32の双方は、エネルギー吸収を制限するように較正される。明らかに、マクロ穿孔領域30およびミクロ穿孔領域32の双方は、それ自体で異なる形状をとることができるが、板状構成要素20の表面上のそれらの幾何学的分布も参照する。
【0032】
いずれにせよ、マクロ穿孔領域30の主な特徴は、貫通の非常に容易さならびに堅固さを提供するために、およびさらに板状構成要素20に高い弾性を提供するために、厚さの薄い金属蜘蛛の巣を有することである。ミクロ穿孔領域32に関して、それらは、板状構成要素20の高いフェライト質量を維持するために、高い割合の非穿孔部分を有する。板状構成要素20の穿孔パターンはまた、従来技術のように、ミクロ穿孔領域32の少なくとも一部の存在、およびそれらのそれぞれの第2の貫通孔24に加えて、調理容器10の底部の変形を制限することを目的とした特徴を実装するように適切に配置および測定された1つ以上の切り欠き26の存在を提供することができる。これらの切り欠き26は、板状構成要素20上に半径方向に(
図3および
図4に示される実施形態に示されるように)および/または円周方向に配置されてもよい。
【0033】
記載された全ての場合において、全ての孔は、最も知られて使用されている技術において提供されるように、孔の周囲をプロファイリングする特定の手段なしで、単純な板取計画によって作製される。また、孔は、それらが占める領域の均一で対称的な結果を提供するように、その密度が可能な限り一定である分布を有する。
【0034】
換言すれば、公知の技術とは異なり、一般に穿孔パターンを使用することに依存している公知の技術とは異なり、十分な均一性で区別されて分布していても、本明細書で使用される技術は、全フェライト質量のバランスをとるために、それらを交互にすることによって、2つの十分に区別された領域、すなわち、結合目的のために互いに非常に近接して配置され、均一に分布した小さな多角形の孔を有する第1の限定された領域と、やはり小さな孔を有するがより散在した第2のより広い領域とを形成することに依存している。
【0035】
本明細書に照らして、既存の技術的差異は、従来技術の最も適切な文献のものに対して強調される。
【0036】
欧州特許出願公開第2105071号明細書では、フェライト板を底部に結合させるための孔広げ技術は、ミクロ穿孔領域において本明細書で提供される寸法までの孔の距離(0.6mm~1.4mm)を低減することを可能にしない。さらに、丸孔構成では、この距離は、一定の値で実装されることはできない。
【0037】
米国特許出願公開第2009/321453号明細書では、「衝撃接着」技術による実装は、(構成要素部品の擦り動作によって生じる)結合の穿孔を提供せず、熱膨張による張力を部分的に吸収するタスクを有する多方向スロットの実行のみを提供する。この文献は、本発明にかかるものと同様の対称的な方法で穿孔パターンを使用していない。
【0038】
韓国公開特許第2010-0117410号公報では、評価可能な技術革新は、外周のフェライト板を提供することであり、外周のフェライト板は、周囲部分の結合不良により排出されることを防止するために、調理容器の底部を構成する支持体に入るように成形される。正方形孔の半径方向列によって区切られた半径方向セクタ内の孔の幾何学的構成は、ポイント3に記載された技術によって実行される用途の従来のものであり、中心に近い密度を増加させ、それを周辺に向かって減少させるという特殊性を有し、上記のように、縁部の堅固さを当てにすることができる。本発明は、ミクロ穿孔部に関して韓国公開特許第2010-0117410号公報にかかるものと部分的に同化可能であり、以下の3つの特異性のために構造的に異なる:
a)均一な結合の存在を提供するために、第1の近似として、2つの領域の穿孔密度は一定である。
b)貫通および気密の機能を確実にするために、多角形の孔を有するマクロ穿孔ゾーンは、メッシュのような特定の密度で構造化され、かなりの面積を占める。
c)多角形穿孔には、歪み防止要素としてのセクタの容易な分離ではなく、結合の機能が割り当てられる。
【0039】
国際公開第2019/111761号および韓国公開特許第2004-0023418号公報に開示されている双方の用途は、異なるが同様の方法で、熱膨張に起因する張力による変形を最小限に抑えることができるフェライト板の穿孔分布パターンを探索し、理論的には第1のケースでは第2のケースと比較してより効率的である。双方の用途は、長いスロットによって中断された丸孔を有する、大きく、十分に均一な穿孔セクタを提供する。そのようなタイプの実装は、穿孔パターンを締め付けることさえも、支持体の結合を確実にするために支持体に貫通することができる網状構造体をそれ自体で形成することができず、それにより、本発明が回避したい状況である孔の周囲の特定の形状に頼ることが絶対に必要である。また、電磁吸収の効果的な機能を維持するためには、丸みを帯びていない貫通孔が占める面積を制限しなければならない。
【0040】
最後に、国際公開第2013/115176号は、底部の中央および周辺の双方に2つの加熱リング状要素を有する特別な用途について言及している。正しい熱流を得るために、穿孔パターンは、矩形孔と円形孔とが交互になったマクロ穿孔形状を有する。そのような構造では、本発明が回避したい状況である適切に成形された孔のみで結合が保証されることができる。
【0041】
本発明にかかる食品調理用の調理容器は、以前に強調された目的を達成することが示されている。
【0042】
このようにして考えられた本発明にかかる食品調理用の調理容器は、全て同じ発明概念内にある多数の変更および変形がいずれの場合にも可能であり、また、全ての詳細は、技術的に等価な要素によって置き換え可能である。実際には、使用される材料、ならびに形状および寸法は、技術的要件に応じて任意とすることができる。
【0043】
したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されているものである。