(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20240327BHJP
G06Q 20/08 20120101ALI20240327BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
G06Q20/08 300
(21)【出願番号】P 2022056718
(22)【出願日】2022-03-30
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】593022629
【氏名又は名称】株式会社ジェーシービー
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【氏名又は名称】大石 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】間下 公照
(72)【発明者】
【氏名】南井 享
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-115278(JP,A)
【文献】特開2021-043758(JP,A)
【文献】特開2021-189993(JP,A)
【文献】特表2005-512163(JP,A)
【文献】特開2008-226089(JP,A)
【文献】特開2001-216394(JP,A)
【文献】特開2018-088076(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0287100(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支払い元である第1ユーザと支払い先である第2ユーザとの間の決済について、前記第1ユーザまたは前記第2ユーザから、前記決済をするための決済要求を受け付ける決済受付部と、
前記決済要求に基づいて、前記決済に充当させる電子バリューを発行させるための処理と、前記第1ユーザから支払われた他の第2バリューを前記電子バリューに変換する第1変換のための処理と、の少なくとも一方を行う発行変換処理部と、
前記発行変換処理部による前記処理の際、前記電子バリューの発行と前記第1変換の手数料から一部または全部を差し引いて、前記手数料の精算処理の一部を行う第1精算処理部と、
前記決済要求に基づいて、前記発行された電子バリューおよび前記変換された電子バリューの少なくとも一方を前記第2ユーザに移動させるための処理を行う移動処理部と、
前記移動された電子バリューから他の第3バリューに変換する第2変換のための変換要求が前記第2ユーザからあった場合、前記変換要求を受け付ける変換受付部と、
前記変換要求に基づいて、前記第2変換のための処理を行う変換処理部と、
前記第2変換のための処理の際、前記手数料の精算処理の一部として、前記手数料から差し引いた差引分の少なくとも一部を前記第2ユーザから徴収するための処理を行う第2精算処理部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記移動処理部は、前記電子バリューを保有する前記第2ユーザの要求に基づいて、直接または1以上のユーザを経由して、前記第2ユーザから第3ユーザに前記電子バリューを移動させるための処理を行い、
前記変換受付部は、前記移動された電子バリューの前記第2変換のための変換要求が前記第3ユーザからあった場合、前記変換要求を受け付け、
前記第2精算処理部は、前記第2変換のための処理の際、前記手数料の精算処理の一部として、前記差引分の少なくとも一部を前記第3ユーザから徴収するための処理を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第3ユーザに前記電子バリューが移動される際、前記第2精算処理部により前記徴収するための処理が行われる前に、前記第2変換を行うことを条件として前記差引分の少なくとも一部を前記第3ユーザから徴収する旨を前記第3ユーザに通知する第1通知部をさらに備える、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記移動処理部は前記電子バリューの移動の履歴を、前記発行変換処理部は、前記電子バリューの発行または前記第1変換の履歴を履歴記憶部に記憶させ、
前記履歴に基づいて、前記電子バリューを保有するユーザにおいて、前記電子バリューの保有期間を計測する計測部と、
前記保有期間に基づいて、前記手数料の精算処理の一部として、前記ユーザから、前記差引分の少なくとも一部を徴収するための処理を行う第3精算処理部と、をさらに備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記移動の履歴に基づいて、設定された過去の期間における前記電子バリュー全体の移動回数の度合を示す流通速度を算出する算出部と、
前記流通速度に基づいて、前記電子バリューの保有期間に対する前記手数料を徴収するための閾値を設定する設定部と、をさらに備え、
前記第3精算処理部は、前記電子バリューの保有期間が前記閾値を超えた場合に、前記手数料の精算処理の一部として、前記電子バリューを保有するユーザから、前記差引分の少なくとも一部を徴収するための処理を行う、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記電子バリューは、外部機関が運営する外部システムにおいて発行されるものであって、
前記発行変換処理部は、前記外部システムに、前記電子バリューの発行の要求、または前記第1ユーザから支払われた前記第2バリューの前記電子バリューへの第1変換の要求を送信して、前記外部システムから前記要求の結果を受信し、
前記要求の結果に基づいて、前記外部システムに、前記外部機関で発生した、前記発行または前記第1変換の手数料の債権の譲渡の要求を送信する譲渡要求部と、
前記外部システムから、前記外部機関が前記要求を受け入れる旨を示す譲受情報を取得する取得部と、をさらに備え、
前記第2精算処理部は、前記譲受情報に基づいて、前記手数料の精算処理の一部として、前記差引分の少なくとも一部を前記第2ユーザから徴収するための処理を行う、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記手数料の債権者から、前記手数料の債権の証券化の要求を受け付ける証券化受付部と、
前記証券化の要求に基づいて、前記債権の証券を発行する処理を行う証券発行部と、
前記電子バリューを保有するユーザに、前記証券が発行された旨を通知する第2通知部と、を備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータに、
支払い元である第1ユーザと支払い先である第2ユーザとの間の決済について、前記第1ユーザまたは前記第2ユーザから、前記決済をするための決済要求を受け付ける決済受付機能と、
前記決済要求に基づいて、前記決済に充当させる電子バリューを発行させるための処理と、前記第1ユーザから支払われた他の第2バリューを前記電子バリューに変換する第1変換のための処理と、の少なくとも一方を行う発行変換処理機能と、
前記発行変換処理機能による前記処理の際、前記電子バリューの発行と前記第1変換の手数料から一部または全部を差し引いて、前記手数料の精算処理の一部を行う第1精算処理機能と、
前記決済要求に基づいて、前記発行された電子バリューおよび前記変換された第2電子バリューの少なくとも一方を前記第2ユーザに移動させるための処理を行う移動処理機能と、
前記移動された電子バリューから他の第3バリューに変換する第2変換のための変換要求が前記第2ユーザからあった場合、前記変換要求を受け付ける変換受付機能と、
前記変換要求に基づいて、前記第2変換のための処理を行う変換処理機能と、
前記第2変換のための処理の際、前記手数料の精算処理の一部として、前記手数料から差し引いた差引分の少なくとも一部を前記第2ユーザから徴収するための処理を行う第2精算処理機能と、を実現させる、
プログラム。
【請求項9】
コンピュータが、
支払い元である第1ユーザと支払い先である第2ユーザとの間の決済について、前記第1ユーザまたは前記第2ユーザから、前記決済をするための決済要求を受け付け、
前記決済要求に基づいて、前記決済に充当させる電子バリューを発行させるための処理を行い、
前記決済要求に基づいて、前記第1ユーザから支払われた他の第2バリューを前記電子バリューに変換する第1変換のための処理を行い、
前記処理の際、前記電子バリューの発行と前記第1変換の手数料から一部または全部を差し引いて、前記手数料の精算処理の一部を行い、
前記決済要求に基づいて、前記発行された電子バリューおよび前記変換された第2電子バリューの少なくとも一方を前記第2ユーザに移動させるための処理を行い、
前記移動された電子バリューから他の第3バリューに変換する第2変換のための変換要求が前記第2ユーザからあった場合、前記変換要求を受け付け、
前記変換要求に基づいて、前記第2変換のための処理を行い、
前記第2変換のための処理の際、前記手数料の精算処理の一部として、前記手数料から差し引いた差引分の少なくとも一部を前記第2ユーザから徴収するための処理を行う、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、プログラムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子マネーや仮想通貨、または各社が発行するポイント(いわゆる企業通貨)等の様々な電子的な価値(以下、「電子バリュー」ともいう)が、ネットワークを介してユーザの間で流通されている。また、電子バリューの流通を促進するための技術が存在する。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、(1)時間経過にしたがって仮想通貨の価値を減少させる、(2)現金から仮想通貨に価値変換した場合、仮想通貨の価値を現金の価値より高くする、(3)仮想通貨から現金に変換する際に手数料を徴収する、といった仮想通貨の流通を促進するための構成を備える仮想通貨システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電子バリューの流通を行うシステム(以下、「流通システム」ともいう)を利用するにあたって、上記従来技術でもあるようにユーザから手数料を徴収することがある。例えば、現金から仮想通貨に変換する際の手数料等の、電子バリューの流通に関する手数料を低く設定すれば電子バリューの流通が促進されることが期待できる。しかしながら、このような手数料は電子バリューの流通を維持するための費用(例えば、流通システムの運用・保守の費用等)に充てられることもあり、手数料の徴収を単に減らすことは難しい。逆に、電子バリューの流通に関する手数料の徴収を単に増やすと、電子バリューの流通が滞ってしまうおそれがある。このため、電子バリューの流通に関する手数料を徴収することと、電子バリューの流通を促進することとの両立が難しいという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、電子バリューの流通に関する手数料を徴収することと、電子バリューの流通を促進することとを両立できる情報提供装置、プログラムおよび情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、支払い元である第1ユーザと支払い先である第2ユーザとの間の決済について、第1ユーザまたは第2ユーザから、決済をするための決済要求を受け付ける決済受付部と、決済要求に基づいて、決済に充当させる電子バリューを発行させるための処理と、第1ユーザから支払われた他の第2バリューを電子バリューに変換する第1変換のための処理と、の少なくとも一方を行う発行変換処理部と、発行変換処理部による処理の際、電子バリューの発行と第1変換の手数料から一部または全部を差し引いて、手数料の精算処理の一部を行う第1精算処理部と、決済要求に基づいて、発行された電子バリューおよび変換された電子バリューの少なくとも一方を第2ユーザに移動させるための処理を行う移動処理部と、移動された電子バリューから他の第3バリューに変換する第2変換のための変換要求が第2ユーザからあった場合、変換要求を受け付ける変換受付部と、変換要求に基づいて、第2変換のための処理を行う変換処理部と、第2変換のための処理の際、手数料の精算処理の一部として、手数料から差し引いた差引分の少なくとも一部を第2ユーザから徴収するための処理を行う第2精算処理部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、支払い元である第1ユーザと支払い先である第2ユーザとの間の決済について、前記第1ユーザまたは前記第2ユーザから、前記決済をするための決済要求を受け付ける決済受付機能と、前記決済要求に基づいて、前記決済に充当させる電子バリューを発行させるための処理と、前記第1ユーザから支払われた他の第2バリューを前記電子バリューに変換する第1変換のための処理と、の少なくとも一方を行う発行変換処理機能と、前記発行変換処理機能による前記処理の際、前記電子バリューの発行と前記第1変換の手数料から一部または全部を差し引いて、前記手数料の精算処理の一部を行う第1精算処理機能と、前記決済要求に基づいて、前記発行された電子バリューおよび前記変換された第2電子バリューの少なくとも一方を前記第2ユーザに移動させるための処理を行う移動処理機能と、前記移動された電子バリューから他の第3バリューに変換する第2変換のための変換要求が前記第2ユーザからあった場合、前記変換要求を受け付ける変換受付機能と、前記変換要求に基づいて、前記第2変換のための処理を行う変換処理機能と、前記第2変換のための処理の際、前記手数料の精算処理の一部として、前記手数料から差し引いた差引分の少なくとも一部を前記第2ユーザから徴収するための処理を行う第2精算処理機能と、を実現させる。
【0009】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、支払い元である第1ユーザと支払い先である第2ユーザとの間の決済について、前記第1ユーザまたは前記第2ユーザから、前記決済をするための決済要求を受け付け、前記決済要求に基づいて、前記決済に充当させる電子バリューを発行させるための処理を行い、前記決済要求に基づいて、前記第1ユーザから支払われた他の第2バリューを前記電子バリューに変換する第1変換のための処理を行い、前記処理の際、前記電子バリューの発行と前記第1変換の手数料から一部または全部を差し引いて、前記手数料の精算処理の一部を行い、前記決済要求に基づいて、前記発行された電子バリューおよび前記変換された第2電子バリューの少なくとも一方を前記第2ユーザに移動させるための処理を行い、前記移動された電子バリューから他の第3バリューに変換する第2変換のための変換要求が前記第2ユーザからあった場合、前記変換要求を受け付け、前記変換要求に基づいて、前記第2変換のための処理を行い、 前記第2変換のための処理の際、前記手数料の精算処理の一部として、前記手数料から差し引いた差引分の少なくとも一部を前記第2ユーザから徴収するための処理を行う、情報処理方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子バリューの流通に関する手数料を徴収することと、電子バリューの流通を促進することとを両立できる情報提供装置、プログラムおよび情報処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係るバリュー循環システムのシステム構成例を説明するための図である。
【
図2】本実施形態に係るバリュー循環システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図3】本実施形態に係るバリュー循環システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図4】本実施形態に係るバリュー循環システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図5】本実施形態に係るバリュー循環システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図6】本実施形態に係るバリュー循環システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図7】本実施形態に係るバリュー循環システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図8】本実施形態に係るバリュー循環システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図9】本実施形態に係るバリュー循環システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図10】本実施形態に係るバリュー循環システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図11】本実施形態に係るサーバ装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図12】本実施形態に係るバリュー循環システムの手数料の徴収処理の一例を示す図である。
【
図13】本実施形態に係るバリュー循環システムの動作例を示す図である。
【
図14】本実施形態に係るサーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0013】
本発明において、「部」や「手段」、「装置」、「システム」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」や「手段」、「装置」、「システム」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や「手段」、「装置」、「システム」が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置、ソフトウェアにより実現されても、2つ以上の「部」や「手段」、「装置」、「システム」の機能が1つの物理的手段や装置、ソフトウェアにより実現されても良い。
【0014】
本実施形態に係るバリュー循環システム1は、電子バリューの循環を支援してその流通を促進するためのシステムである。バリュー循環システム1は、具体的には、電子バリューを発行させたり、この発行させた電子バリューをユーザ間で移動させたりするための仕組みを提供する。また、バリュー循環システム1は、自ら発行する電子バリュー以外にも、外部の組織による電子バリューの発行や変換、または移動の要求をユーザの代わりに行ったり、またこの要求に対する処理結果を外部の組織に代わってユーザに通知したりすることもできる。そして、バリュー循環システム1は、これらの仕組みを利用する際にユーザに課す手数料について、電子バリューを循環させるにあたって適切な配分や金額になるようコントロールする。
【0015】
「電子バリュー」とは、電子データ(デジタル化されたもの)であって、かつ通貨のように資産として物品の購入や役務の提供の代価の支払いに利用可能なものをいう。電子バリューの発行形態は、例えば、口座の残高を移動するような「口座型(言い換えれば、アカウント型)」の形を採るものでもよいし、ウォレットなどにバリューそのものが格納されて転々流通可能な「トークン型」の形を採るものでもよい。電子バリューは、具体的には、電子マネー(法定通貨をデジタル化してもの)、暗号資産(特定国家の保証を持たない、暗号化されたデジタル通貨。いわゆる仮想通貨)、CBDC(Central Bank Digital Currency:中央銀行発行デジタル通貨)などを含む。また、電子バリューは、他の例として、地域が発行した地域通貨などのトークン(企業または個人により発行された独自の暗号資産(仮想通貨))を含んでもよい。本実施形態では、電子バリューをトークン型の発行形態をもつものとする例を説明するが、本発明に係る電子バリューをこれに限る趣旨ではない。
【0016】
電子バリューは、例えば、バリュー循環システム1のサーバ装置100において発行されるものであってもよいし、外部機関が運営する外部システム(例えば、後述するトークンシステム400aなど)において発行されるものであってもよい。
【0017】
電子バリューの移動は、例えば、口座間で残高を移動させること、または記憶媒体に格納された電子バリュー(デジタル化された価値の一つであるトークン(以下、単に「トークン」ともいう)を他の記憶媒体に移動させることを含む。また、電子バリューの移動は、例えば、口座間の送金取引、口座への入金/口座からの出金、ポイント変換、銀行口座を利用する決済取引(例えば、銀行振込)、またはデビットカードやクレジットカードもしくはプリペイドカードなどを利用したカード決済取引などを含んでもよい。
【0018】
バリュー循環システム1では、以下の(ア)・(イ)のような方法により、電子バリューを循環させるにあたって手数料を最適化する。言い換えれば、バリュー循環システム1では、電子バリューの流通量や流通速度を増加させる処理を行うユーザ、すなわち電子バリューを発行や他のバリューからの変換を行うユーザに課される手数料を減らす。そして、その減らした分を、電子バリューの流通量や流通速度を減少させる処理を行うユーザ、すなわち電子バリューから他のバリューへの変換を行ったり電子バリューを退蔵したりするユーザから回収する。この他のバリューは、例えば、第2バリューと第3バリューとを含んでもよい。第2バリューと第3バリューは、同一のバリューであってもよいし、異なるバリューであってもよい。
(ア)電子バリューの発行や他のバリューから電子バリューへの変換の際に課される手数料の少なくとも一部を差し引いて徴収する。以下、この差し引いた分を「(手数料の)差引分」ともいう。また、他のバリューから電子バリューに変換することを「第1変換」ともいう。
(イ)差引分は、以下の二つの方法の少なくともいずれかを用いて回収する。
・電子バリューから他のバリューに変換する際に、変換を要求した者から徴収する。なお、電子バリューから他のバリューに変換することを「第2変換」ともいう。
・設定された保有期間を超過して電子バリューを他者に移動せずに保有していた場合、保有していた者から徴収する。
【0019】
バリュー循環システム1を運営する者(以下、「循環業者」ともいう)は、例えば、取引の決済で利用可能なサービスを提供する事業者であってもよい。また、循環業者は、例えば、取引の決済に利用可能な1以上の決済手段を提供する業者(例えば、決済代行会社(PSP:Payment Service Provider)など)等であってもよい。また、循環業者は、決済指示サービス提供者(PISP(Payment Initiation Service Provider))として銀行等の金融機関に対して決済や資金移動を指示するサービスを提供するものであってもよい。また、他の例として、循環業者は、資金移動を行う金融機関(銀行や電子マネー業者)そのものであってもよい。
【0020】
<1.システム構成>
図1を参照して、本実施形態に係るバリュー循環システム1のシステム構成例を説明する。
【0021】
図1に示すように、バリュー循環システム1は、循環業者が使用するサーバ装置100と、第1ユーザが使用する第1ユーザ装置200aと、第2ユーザが使用する第2ユーザ装置200bと、を含む。第1ユーザ装置200aと第2ユーザ装置200bとは、特に区別の必要が無い場合は、総称して「ユーザ装置200」ともいう。ユーザ装置200が含む装置の数は、2つに限定されず、3つ以上であってよい。サーバ装置100とユーザ装置200とは、ネットワークNを介して通信可能に接続されている。また、バリュー循環システム1は、ネットワークNを介して外部システム400と連携(情報連携および/または機能連携を含む。以下同じ。)してもよい。具体的には、サーバ装置100と、ユーザ装置200と、後述するトークンサーバ410aと、同じく後述する金融サーバ410bと、同じく後述する電子マネーサーバ410cと、は、ネットワークNを介して通信可能に接続されていてもよい。
【0022】
[サーバ装置]
サーバ装置100は、ユーザ装置200や外部システム400との通信が可能な情報処理装置である。サーバ装置100は、所定のプログラムを実行することにより、ユーザ装置200から電子バリューによる決済要求を受け付けて、この決済要求に基づいて電子バリューの発行や他のバリューからの変換、または移動のための処理を行う。また、サーバ装置100は、電子バリューの発行や変換、または移動などの電子バリューの流通に関する手数料の徴収も行う。
【0023】
[ユーザ装置]
ユーザ装置200は、ユーザが使用する情報処理装置であり、例えば、スマートフォンやラップトップなどの端末装置である。ユーザ装置200は、所定のプログラムを実行することにより、サーバ装置100と接続して電子バリューに関する情報を送受信したり、ユーザからのバリュー循環システム1に対する各種要求の入力を受け付けたりする。
【0024】
「所定のプログラム」とは、例えば、ユーザ装置200にインストールされたバリュー循環システム1専用のアプリケーションプログラム(以下、「バリュー運用アプリ」ともいう)を含んでもよいし、汎用の端末装置であるユーザ装置200が標準的に備えるWebブラウザを含んでもよいし、これらの組み合わせであってもよい。本実施形態では、所定のプログラムがバリュー運用アプリとする例を説明する。
【0025】
所定のプログラムは、例えば、バリュー循環システム1用のSDK(Software Development Kit)により開発されたプログラムを含んでもよい。また、所定のプログラムは、サーバ装置100の各機能を利用するためのAPI(Application Programming Interface)を呼び出す機能を備えてもよい。ユーザ装置200は、これらSDKやAPIを利用してサーバ装置100と連携してもよい。
【0026】
[ネットワーク]
ネットワークNは、無線ネットワークや有線ネットワークにより構成される。ネットワークの一例としては、携帯電話網や、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN(Local Area Network、IEEE802.11に準拠する通信(いわゆるWi-Fi(登録商標))を含む)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、WiMax(登録商標)、赤外線通信、可視光通信、Bluetooth(登録商標)、有線LAN、電話線、電力線通信ネットワーク、IEEE1394等に準拠したネットワークがある。
【0027】
[外部システム]
外部システム400は、ネットワークNを介して、サーバ装置100および/またはユーザ装置200と通信可能に接続されている。外部システム400は、例えば、(1)トークンシステム400a、(2)電子マネーシステム400c、(3)金融システム400bなどを含む。
【0028】
トークンシステム400aは、独自のトークンを発行し管理する外部機関が運営するシステムであり、トークンサーバ410aを含む。金融システム400bは、銀行などの外部機関である金融機関が運営するシステムであり、金融サーバ410bを含む。電子マネーシステム400cは、電子マネーを発行し管理する外部機関が運営するシステムであり、電子マネーサーバ410cを含む。
【0029】
<2.概要>
図2~10を参照して、本実施形態に係るバリュー循環システム1の概要の一例を説明する。
【0030】
<2-1.電子バリューの循環>
まず
図2を参照して、バリュー循環システム1の電子バリューの循環の一例を説明する。
図2は、バリュー循環システム1の循環ネットワークのイメージを示すための図である。バリュー循環システム1では、発行や変換、または移動により電子バリューを循環させつつ、電子バリューの流通を促進するにあたってこれらにかかる手数料が最適化するようコントロールする。
【0031】
本例では、まず、支払い元の決済事業者(第1ユーザ)が支払い先のA商店(第2ユーザ)への売上の支払いにバリュー循環システム1を利用する例を説明する。A商店は、決済事業者が提供する決済サービス(以下、単に「決済サービス」ともいう)の加盟店とする。そして、決済サービスを利用した売上(商品代金)について、A商店に対する決済事業者からの支払いの際に、他のバリュー(例えば、法定通貨)から変換した電子バリューを利用するものとする。
【0032】
(1)
図2に示すように、まず、決済事業者のユーザ装置200から、循環業者のサーバ装置100に対して電子バリューによる支払い決済の要求(以下、「決済要求」ともいう)を行う。また、この決済要求にあたって、決済事業者は、循環業者に対して、手数料を差し引いた売上に相当する法定通貨を、電子バリューへの変換の対価として支払う。売上が100万円で手数料が売上の3%(すなわち3万円)である場合、97万円の現金を循環業者に支払う。
【0033】
(2)循環業者は、決済要求と法定通貨による支払いを決済事業者から受け付けると、支払い先のA商店に対して、売上から差し引かれる手数料の少なくとも一部を差し引いた形(循環業者が補填した形)で電子バリューによる支払いを行う。
【0034】
例えば、サーバ装置100は、売上が100万円で手数料が3万円の場合、売上から手数料を差し引くと97万円であるが、手数料3万円の全額を差し引いて、100万円(売上)-3万円(手数料)+3万円(差引分)=100万円に相当する電子バリューをA商店に移動するための処理を行う。サーバ装置100は、A商店のユーザ装置200にインストールされているウォレットアプリに、100万円に相当する電子バリューを移動させる。
【0035】
「ウォレットアプリ」は、ウォレットを管理するアプリケーションプログラム、いわゆるソフトウェアウォレットである。なお、本実施形態に係るウォレットは、例えば、ユーザ装置200のウォレットアプリなどのソフトウェアウォレットなどであってもよいし、トークンの発行主体であるトークンサーバ410aやサーバ装置100で管理されているもの(例えば、ウェブウォレットなど)であってもよい。
【0036】
<A商店が電子バリューを他のユーザに移動する場合>
(3-1)次に、A商店は、店員であるユーザに電子バリューによる給与の支払いを行うため、A商店のユーザ装置200からサーバ装置100に対して、この給与に充当させる電子バリューをA商店から店員に移動させるための処理の要求を行う。サーバ装置100は、A商店から店員に給与に充当させる電子バリューを移動させるための処理を行う。バリュー循環システム1では、この電子バリューの移動にあたっては、差引分は回収されない。
【0037】
(4-1)上記(3-1)で移動された電子バリューを店員が他のユーザにさらに移動させる場合、バリュー循環システム1では、差引分は回収されない。
【0038】
<A商店が電子バリューをB商店に移動し、B商店が現金化する場合>
(3-2)A商店は、取引先であるユーザのB商店に電子バリューによる取引の支払いを行うため、A商店のユーザ装置200からサーバ装置100に対して、この取引金額に充当させる電子バリューをA商店からB商店に移動させるための処理の要求を行う。サーバ装置100は、この要求に基づいて、A商店からB商店に電子バリューを移動させるための処理を行う。この電子バリューの移動にあたっては、バリュー循環システム1では、差引分は回収されない。
【0039】
(4-2)上記(3-2)で移動された電子バリューを他のバリュー(本例では、法定通貨(現金))に変換することをB商店が要求する場合、B商店のユーザ装置(不図示)は、サーバ装置100に対して、電子バリューから現金への第2変換の要求を行う。また、この第2変換の要求にあたって、変換を希望する分の電子バリューを、B商店に、現金への変換の対価として循環業者へ支払ってもらう。
【0040】
(5-2)サーバ装置100は、上記(4-2)の第2変換の要求を受け付けると、電子バリューから現金に変換するための処理を行う。サーバ装置100は、具体的には、この第2変換の要求にあたって指定された金融機関のB商店の口座に現金を振り込むための処理を行う。サーバ装置100は、この振込の際、差引分3万円をB商店から徴収するための処理を行う。例えば、循環業者は、100万円に相当する電子バリューの支払いをB商店から受けて、100万円から3万円を差し引いた97万円をB商店の口座に振り込む。この振り込みにあたって、例えば、サーバ装置100は、金融機関の金融サーバ410bの更新系APIに対して、B商店の口座に97万円を振り込むための指示を行ってもよい。
【0041】
<A商店が電子バリューを退蔵する場合>
(3-3)設定された保有期間を超えて電子バリューをA商店が他のユーザに移動しなかった場合、すなわち電子バリューを退蔵した場合、A商店から差引分の少なくとも一部を徴収する。具体的には、A商店のユーザ装置200のウォレットから差引分の一部を循環業者のウォレットに移動させる。
【0042】
<A商店が電子バリューから他のバリューへの変換を要求する場合>
(3-4)上記(5-2)と同様に、支払われた電子バリューを現金に変換することをA商店が要求する場合、A商店のユーザ装置200は、サーバ装置100に対して、電子バリューから現金への第2変換の要求を行う。
【0043】
(4-4)サーバ装置100は、上記(3-4)の第2変換の要求を受け付けると、電子バリューから現金に変換するための処理を行う。サーバ装置100は、具体的には、この第2変換の要求にあたって指定された金融機関のA商店の口座に現金を振り込むための処理を行う。サーバ装置100は、この振込の際、差引分3万円をA商店から徴収するための処理を行う。
【0044】
上記(5-2)の差引分を徴収するための処理の例とは異なる例として、バリュー循環システム1では、上記の第2変換の要求の際に差引分をA商店から徴収するため、変換を希望する分に差引分を加えた電子バリューを、他のバリューへの変換の対価としてA商店に支払わせてもよい。例えば、変換を希望する100万円に相当する電子バリューと、差引分に相当する電子バリューとの合計103万円に相当する電子バリューをA商店から循環業者に移動させてもよい。なお、差引分の徴収は電子バリューに限定されず、電子バリューの残高が変換を希望する分しかない場合などは、他のバリューにより徴収してもよい。
【0045】
上記構成によれば、バリュー循環システム1は、電子バリューを発行や他のバリューからの変換を行うユーザに課される手数料を減らし、その分を、電子バリューから他のバリューへの変換を行ったり電子バリューを退蔵したりするユーザから回収することができる。このため、バリュー循環システム1は、電子バリューの流通に関する手数料を徴収することと、電子バリューの流通を促進することとを両立できる。
【0046】
<2-2.全体像>
次に
図3を参照して、バリュー循環システム1の機能構成の全体像の一例を説明する。
【0047】
図3に示すように、バリュー循環システム1全体が実現する機能は、以下のA)~E)の機能に分類される。バリュー循環システム1では、分類した機能間において互いに連携を行う。以下、このA)~E)機能単位での情報のやり取りや処理を説明する。なお、例えば、A)の機能に分類されるサブ機能を、A1)、A2)など連番を振って説明する。
・A)トークン型バリュー機能:トークン型のバリュー(以下、単に「トークン」ともいう)を発行したり、発行したトークンをユーザに提供したり、また流通しているトークンを回収したり、トークンによる決済の履歴を管理したりする機能
・B)アカウント型バリュー機能:アカウント型のバリューの残高を管理したり、バリューによる決済の履歴を管理したりする機能
・C)ウォレット機能:ユーザの登録をしたり、登録されたユーザの情報(ユーザ情報)を管理したり、ユーザとのIF、すなわちUI/UXを提供したりする機能
・D)決済精算機能:バリュー循環システム1に関する資金を精算して決済したり、ユーザからの預かり金を管理したり、手数料を精算したり、手数料の債権(以下、「手数料債権」ともいう)の証券化をしたりする機能
・E)取引管理機能:バリュー循環システム1で行われる取引を管理するために、ユーザの本人確認(KYC)をしたり、AML(Anti-Money Laundering)対処をしたり、取引のリスクを判定したり、これらの確認の履歴を管理する機能
・F)外部IF機能:外部システム400との間の連携を担う機能(なお、ユーザ装置200や外部システム400の各種装置からの要求に応じてA)~E)の機能を提供するにあたって、SDKのライブラリやAPIなどによるいわゆるホワイトレーベル機能を実現してもよい。)
【0048】
A)トークン型バリュー機能とB)アカウント型バリュー機能とは、電子バリューがトークン型かアカウント型かの違いで電子バリューに関する情報を管理するという点で同じであるため、A)トークン型バリュー機能に関する以下の諸々の説明は、B)アカウント型バリュー機能の説明に適宜読み替えることが可能である。
【0049】
[ユーザ登録]
次に
図4を参照して、バリュー循環システム1を利用するためのユーザ登録の場面で行われる処理の一例について説明する。
【0050】
(1)<C1)ユーザ登録>
図4に示すように、サーバ装置100の受付部111は、企業または個人(一般消費者)から、ユーザ登録の要求を受け付ける。このユーザ登録の要求には、登録に必要なユーザ情報が含まれていてもよい。(2)受付部111は、E)取引管理機能に対して、ユーザ登録の可否を確認するための要求(以下、「確認要求」ともいう)を行う。
【0051】
「ユーザ情報」とは、ユーザに関する情報である。ユーザ情報は、例えば、各ユーザを一意に識別するためのユーザ識別情報(ユーザ情報の登録の際、生成)、氏名、電話番号、住所、メールアドレス、および/または個人番号(マイナンバー)などを含んでもよい。また、ユーザ情報は、例えば、免許証、パスポート、またはマイナンバーカードなどの画像データであってもよい。ユーザ情報は、例えば、後述する電子バリュー情報および/または電子バリュー履歴情報と関連付けられてユーザ記憶部142に記憶されていてもよい。
【0052】
ユーザ情報は、例えば、ユーザの免許証番号、ユーザが保有するクレジットカードなどのカード情報、ユーザが保有する金融機関の口座の口座情報などを含んでもよい。カード情報は、例えば、カード番号、有効期限、セキュリティコードなどを含んでもよい。口座情報は、例えば、口座種別、口座番号、名義、および/または口座の残高などを含む。
【0053】
ユーザ情報は、例えば、ユーザの生体的特徴に関する生体情報(例えば、ユーザの顔画像データ、指紋情報、眼球の虹彩情報または声紋情報など)を含んでもよい。
【0054】
ユーザ情報は、例えば、ネガティブ情報を含んでもよい。ネガティブ情報は、例えば、ユーザに対するネガティブチェックに用いられる利用停止に関する情報や、過去の取引履歴に基づくユーザへの評価に関する情報を含んでもよい。過去の取引履歴とは、例えば、本人確認ができなかった履歴、または予定されていた口座引き落としが残高不足などのためできなかったなどの引き落とし不能の履歴もしくは支払い遅延の履歴があげられる。
【0055】
(3a)<E1)KYC/AML>サーバ装置100の本人確認部123は、確認要求を受け付けると、ユーザ情報に基づいて、ユーザの本人確認を行う。(3b)サーバ装置100の検出部124は、確認要求を受け付けると、ユーザ情報に基づいて、不正なユーザ登録の要求などの不正を検出する。(3c)<E2)リスク評価>サーバ装置100の評価部125は、本人確認の結果や不正検出の結果、ユーザ情報に基づいて、ユーザ登録に関するリスクを評価する。評価部125は、評価したリスクに基づいて、ユーザ登録の可否を評価する。
【0056】
(4)<E3)確認履歴記録>サーバ装置100の登録部126は、本人確認部123による確認の結果、検出部124による検出の結果、および評価部125による評価の結果それぞれの処理の結果を、ユーザ登録の確認の履歴として、履歴記憶部141に登録する。(5)E)取引管理機能の評価部125は、受付部111に、確認要求に対する確認結果(ユーザ登録の可否)を応答する。
【0057】
(6)<C1)ユーザ登録>受付部111は、E)取引管理機能から確認結果を受け付けると、確認結果が「ユーザ登録可能」の場合、ユーザ登録を受け付ける。受付部111は、ユーザ登録を受け付けると、ユーザ情報をユーザ記憶部142に登録させるために登録部126に連携する。
【0058】
(7)<C2)ユーザ情報管理>登録部126は、連携されたユーザ情報をユーザ記憶部142に登録する。(8)登録部126は、ユーザ情報の登録の際に、ユーザ認証のための認証情報(例えば、ユーザ識別情報、パスワード、二段階認証のための生体情報など)を生成する。
【0059】
(9)<C3)ユーザIF・認証>サーバ装置100の通知部115は、生成した認証情報とユーザ登録が完了した旨をユーザに通知する。具体的には、通知部115は、生成した認証情報とユーザ登録が完了した旨を含むメッセージをユーザ装置200に送信してもよい。
【0060】
[トークン発行・提供]
次に
図5~6を参照して、バリュー循環システム1におけるトークン発行および提供の場面で行われる処理の一例について説明する。
【0061】
(1)<F1)申込者接続>
図5に示すように、支払い元の第1ユーザ(発行申込者)は、支払い先の第2ユーザにトークンで支払うにあたって、バリュー循環システム1に対して、トークンを発行させ、この発行させたトークンで支払い決済するための決済要求を行う。具体的には、第1ユーザの第1ユーザ装置200aは、この決済要求をサーバ装置100に対して送信する。(2)サーバ装置100の決済受付部111aは、第1ユーザ装置200aから、この決済要求を受け付ける。
【0062】
(3)サーバ装置100の発行変換処理部112は、決済受付部111aが上記決済要求を受け付けた場合、E)取引管理機能に対して、この決済要求の決済の実行可否を確認するための確認要求を行う。(4)E)取引管理機能では、この確認要求を受け付けると、決済の可否の確認処理が行われる。具体的には、上記
図4の例で示したように、本人確認部123および検出部124のそれぞれによる本人確認の結果や不正検出の結果に基づいて、評価部125が決済に関するリスクを評価する。評価部125は、評価したリスクに基づいて、決済の可否を評価する。登録部126は、本人確認部123による確認の結果、検出部124による検出の結果、および評価部125による評価の結果それぞれの処理の結果を、ユーザ登録の確認の履歴として、履歴記憶部141に登録する。(5)E)取引管理機能は、発行変換処理部112に、確認要求に対する確認結果(決済の可否)を応答する。
【0063】
(6)<A1)トークン発行・提供>発行変換処理部112は、E)取引管理機能による確認結果が「決済可能」である場合、決済要求に基づいて、決済に充当させるトークンを発行させるための処理を行う。この「決済に充当させるトークンを発行させるための処理(以下、「発行処理」ともいう)」について、循環業者自らトークンを発行する場合と、外部発行者にトークンの発行を要求する場合との2つのケースの例について説明する。また、2つのケースのそれぞれにおいて、発行させたトークンを第2ユーザに提供するために、移動処理部113は、決済要求に基づいて、発行されたトークンを第2ユーザに移動させるための処理(以下、「移動処理」ともいう)を行う。
【0064】
まず、循環業者自らトークンを発行する場合の例を説明する。(6a-1)循環業者自らトークンを発行する場合、発行変換処理部112は、決済要求に基づいて、決済要求に示された決済金額分のトークンを発行する。言い換えれば、発行変換処理部112は、決済金額分のトークンを示すトークン情報を生成する。(6a-2)サーバ装置100の移動処理部113は、決済要求に基づいて、発行されたトークンを第2ユーザに移動させるための処理を行う。具体的には、移動処理部113は、第2ユーザのウォレットに移動させるために、発行されたトークンのトークン情報を、第2ユーザ装置200bのウォレットアプリに送信し、このトークンをウォレットアプリに登録させる(第2ユーザ装置200bのウォレット(記憶装置)に格納させる)。
【0065】
「トークン情報」とは、トークンそのものを示す情報である。トークン情報は、例えば、各トークンを識別するための識別情報(例えば、シリアル番号など)、発行元を示す発行元情報、現在の所有者を示す所有者情報、トークンの種別を示す種別情報などを含んでもよい。この発行元情報は、例えば、発行元の署名データを含んでもよい。また、トークン情報は、例えば、後述する電子バリュー履歴情報の少なくとも一部を含んでもよい。
【0066】
次に、外部発行者にトークンの発行を要求する場合の例を説明する。(6b-1)<F2)トークン発行者接続>外部発行者にトークンの発行を要求する場合、発行変換処理部112は、発行処理として、決済要求に基づいて、トークンサーバ410aに対して、決済に充当させるトークンを発行させるための発行要求を行う。また、移動処理部113は、発行要求と併せて、発行させたトークンを第2ユーザに移動させるための移動要求も行う。具体的には、発行変換処理部112および移動処理部113は、この発行要求および移動要求を、トークンサーバ410aに送信する。
【0067】
(6b-2)トークンサーバ410aは、上記の発行要求に基づいて、この発行要求に示された決済金額分のトークンを発行する。(6b-3)トークンサーバ410aは、移動要求に基づいて、発行されたトークンを第2ユーザに移動させるための処理を行う。具体的には、トークンサーバ410aは、発行されたトークンを第2ユーザのウォレットに登録させる(第2ユーザのウォレットに格納させる)。(6b-4)発行変換処理部112および移動処理部113は、トークンサーバ410aから、発行要求および移動要求の応答として、トークンの発行および移動の結果を受け付ける。なおこのトークンの発行・移動の際、外部発行者に対するこのトークンの発行および移動の対価は、外部発行者が指定する金融機関の口座などに、循環業者が一時的に立て替えて支払ってもよい。
【0068】
ここで、
図6を参照して、トークンの発行の際のD)決済精算機能の処理の一例について説明する。
【0069】
(7-1)<D1)資金精算><F1)申込者接続>
図6に示すように、発行変換処理部112は、発行処理や第1変換処理の一部として、第1ユーザに、トークンの発行および移動の対価を要求するための対価要求を行う。具体的には、発行変換処理部112は、この対価要求を、第1ユーザの第1ユーザ装置200aに送信する。
【0070】
(7-2)<F1)申込者接続>第1ユーザは、受け付けた対価要求に対して、サーバ装置100(循環業者)に対して、この対価を支払うための支払指示を行う。具体的には、第1ユーザの第1ユーザ装置200aは、サーバ装置100に、この支払指示を送信する。(7-3)受付部111は、この支払指示を受け付ける。
【0071】
(8)<D3)手数料精算>サーバ装置100の第1精算処理部117aは、例えば、発行変換処理部112による発行処理の際、発行の手数料(以下、「発行手数料」ともいう)から一部または全部を差し引いて、発行手数料の精算処理の一部を行う。第1精算処理部117aは、例えば、発行の手数料が200円相当の場合、この200円から80円(手数料の40パーセント)を差し引いて、残額の120円の精算を行う。この差引分が差し引かれた手数料について、第1精算処理部117aは、例えば、発行主体である第1ユーザに対して、トークンの発行および移動の対価に上乗せして発行変換処理部112により要求してもよい。
【0072】
(9)<D4)手数料債権証券化>発行手数料の精算処理の一つとして、サーバ装置100の証券化受付部111cは、発行手数料の債権者(本例では、循環業者または外部発行者)から、手数料の債権の証券化の要求を受け付ける。なお、発行手数料の債権者が外部発行者の場合、この証券化の要求がトークンの発行の結果の応答に含まれているものとする。証券処理部122は、この受け付けられた証券化の要求に基づいて、手数料の債権の証券を発行する処理を行う。第2通知部115bは、証券が発行された旨を債権者に通知する。
【0073】
(10)<D1)資金精算>発行変換処理部112は、第1変換処理として、上記受け付けられた支払指示に基づいて、第1ユーザの口座を保有する金融機関の金融サーバ410bに対して、この口座から運用者の金融機関の口座にトークン発行の対価を支払うための指示を行う。(11)発行変換処理部112は、この第1ユーザから支払われた対価の少なくとも一部または第1ユーザのウォレットの残高の少なくとも一部を、将来の手数料徴収のための預かり金として、運用者の口座などで預かって管理してもよい。
【0074】
図5に戻って説明を続ける。(12)<A2)トークン決済履歴記録>登録部126は、このトークンの発行・移動による支払い決済の履歴を、電子バリュー履歴情報として、履歴記憶部141に登録する。(13)<C3)ユーザI/F・認証>通知部115は、このトークンによる支払い決済が完了した旨を、第2ユーザ装置200bを介して第2ユーザに通知する。
【0075】
「電子バリュー履歴情報」は、トークンを含む電子バリューに関する履歴を示す情報である。電子バリュー履歴情報は、例えば、電子バリューの発行の履歴、発行元情報、移動の履歴(各移動における移動元、移動先および移動の日時を含む)、および/または回収(消込)の履歴、電子バリューに関する精算を示す精算情報などを含む。電子バリュー履歴情報は、例えば、電子バリューがアカウント型の場合、電子バリューの残高、および/または電子バリューの単位を含んでもよい。
【0076】
[トークン購入]
次に
図7を参照して、バリュー循環システム1におけるトークン購入の場面で行われる処理の一例について説明する。
【0077】
(1)<C3)ユーザI/F・認証>
図7に示すように、トークンの購入申し込みを行う第1ユーザ(発行申込者)は、トークンを購入するにあたって、バリュー循環システム1に対して、トークンを発行させ、この発行させたトークンを購入するための決済要求を行う。具体的には、第1ユーザの第1ユーザ装置200aは、この決済要求をサーバ装置100に対して送信する。(2)決済受付部111aは、第1ユーザ装置200aから、この決済要求を受け付ける。
【0078】
(3)発行変換処理部112は、決済受付部111aが上記決済要求を受け付けた場合、E)取引管理機能に対して、上記受け付けた決済要求の決済の実行可否を確認するための確認要求を行う。E)取引管理機能における決済可否の確認処理の詳細については、上記
図5の例と同様のため説明を割愛する。(4)E)取引管理機能は、発行変換処理部112に、確認要求に対する確認結果(決済の可否)を応答する。
【0079】
(5)<A1)トークン発行・提供><D1)資金精算>発行変換処理部112は、E)取引管理機能による確認結果が「決済可能」である場合、決済要求に基づいて、第1変換処理として、トークンを購入するための対価(以下、「購入対価」ともいう)の支払いの処理を行う。
【0080】
(5a-1)上記購入対価の支払いにおける支払い元の口座が金融機関の口座である場合、発行変換処理部112は、金融機関の金融サーバ410bに対して、支払い先の循環業者またはトークン発行者の指定された口座に、支払い元の口座から購入対価を支払うための支払い指示を行う。(5a-2)金融サーバ410bは、この支払い指示に基づいて、支払元の第1ユーザの口座から支払先の循環業者の口座に購入対価を振り込む。(5a-3)金融サーバ410bは、この支払指示の結果として、発行変換処理部112に対して、この購入対価の振り込み処理の結果(支払結果)を応答する。
【0081】
(5b-1)上記購入対価の支払いにおける支払い元の口座が電子マネー事業者の口座である場合、発行変換処理部112は、電子マネー事業者の電子マネーサーバ410cに対して、支払い先の循環業者の口座に、支払い元の口座から購入対価を支払うための支払い指示を行う。(5b-2)電子マネーサーバ410cは、この支払い指示に基づいて、支払元の第1ユーザの口座から支払先の循環業者の口座に、購入対価分の電子マネーを移動させる。(5b-3)電子マネーサーバ410cは、この支払指示の結果として、発行変換処理部112に対して、この電子マネーの移動処理の結果(支払結果)を応答する。
【0082】
(6)~(8)のD)決済精算機能の処理は、
図6の(7)~(11)と同様であるため、説明を割愛する。
【0083】
(9)<A1)トークン発行・提供>発行変換処理部112は、E)取引管理機能による確認結果が「決済可能」である場合、決済要求に基づいて、購入するトークンを発行させるための発行処理を行う。また、発行させたトークンを第2ユーザに提供するために、移動処理部113は、決済要求に基づいて、発行されたトークンを第2ユーザに移動させるための移動処理を行う。
【0084】
(9a-1)循環業者自らトークンを発行・移動する場合、発行変換処理部112は、決済要求に基づいて、決済要求に示された決済金額分のトークンを発行する。(9a-2)移動処理部113は、決済要求に基づいて、発行されたトークンを第1ユーザに移動させる。
【0085】
(9b-1)<F2)トークン発行者接続>外部発行者にトークンの発行・移動を要求する場合、発行変換処理部112は、発行処理として、決済要求に基づいて、トークンサーバ410aに対して、購入するトークンを発行させるための発行要求を行う。また、移動処理部113は、発行要求と併せて、発行させたトークンを第2ユーザに移動させるための移動要求も行う。(9b-2)トークンサーバ410aは、上記の発行要求に基づいて、この発行要求に示された決済金額分のトークンを発行する。(9b-3)トークンサーバ410aは、移動要求に基づいて、発行されたトークンを第1ユーザに移動させる。(9b-4)発行変換処理部112および移動処理部113は、トークンサーバ410aから、発行要求および移動要求の応答として、トークンの発行および移動の結果を受け付ける。
【0086】
(10)<A2)トークン決済履歴記録>登録部126は、このトークンの発行・移動によるトークン購入の履歴を、履歴記憶部141に登録する。(11)<C3)ユーザI/F・認証>通知部115は、このトークンの購入が完了した旨を、第1ユーザ装置200aを介して第1ユーザに通知する。
【0087】
[トークン移動]
次に
図8を参照して、バリュー循環システム1におけるトークン移動による支払いの場面で行われる処理の一例について説明する。
【0088】
(1)<C3)ユーザI/F・認証>
図8に示すように、支払い元の第1ユーザは、支払い先の第2ユーザにトークンで支払うにあたって、バリュー循環システム1に対して、トークンを移動させることで支払い決済するための決済要求を行う。具体的には、第1ユーザの第1ユーザ装置200aは、この決済要求をサーバ装置100に対して送信する。(2)決済受付部111aは、第1ユーザ装置200aから、この決済要求を受け付ける。
【0089】
(3)<A1)トークン発行・提供>移動処理部113は、決済受付部111aが上記決済要求を受け付けた場合、E)取引管理機能に対して、この決済要求の決済の実行可否を確認するための確認要求を行う。E)取引管理機能における確認の処理の詳細については、上記
図5の例と同様のため説明を割愛する。(4)E)取引管理機能は、移動処理部113に、確認要求に対する確認結果(決済の可否)を応答する。
【0090】
(5)移動処理部113は、E)取引管理機能による確認結果が「決済可能」である場合、決済要求に基づいて、決済に充当させるトークンを移動させるための処理を行う。移動処理部113は、第1ユーザのウォレットから第2ユーザのウォレットに移動させるために、移動させるトークン(決済に充当させるトークン)のトークン情報を、第1ユーザ装置200aのウォレットアプリから受信し、第2ユーザ装置200bのウォレットアプリに送信する。
【0091】
(6)<A2)トークン決済履歴記録>登録部126は、このトークンの移動による支払い決済の履歴を、履歴記憶部141に登録する。
【0092】
(7)<C3)ユーザI/F・認証>通知部115は、このトークンによる支払い決済が完了した旨を、第2ユーザ装置200bを介して第2ユーザに通知する。
【0093】
[トークン退蔵]
次に
図9を参照して、バリュー循環システム1におけるトークン退蔵の場面で行われる処理の一例について説明する。この「トークン退蔵」とは、具体的には、設定された閾値を超える期間、ユーザがトークンを流通させずに保有し続けることをいう。
【0094】
(1)<A2)トークン決済履歴記録>
図9に示すように、計測部116は、履歴記憶部141に記憶されている電子バリュー履歴情報に基づいて、トークンを保有するユーザにおいて、トークンの保有期間を計測する。この保有期間は、例えば、トークンが移動された日時から計測時点までの期間であってもよい。
【0095】
(2)<A3)トークン回収><F2)トークン発行者接続>第3精算処理部117cは、上記計測されたトークンの保有期間に基づいて、手数料の精算処理の一部として、トークンを保有するユーザから、差引分の少なくとも一部を徴収するための処理を行う。第3精算処理部117cは、例えば、トークンの保有期間が設定された閾値を超える場合、このトークンを保有するユーザから、差引分の少なくとも一部を徴収するための処理を行ってもよい。
【0096】
第3精算処理部117cによる手数料の差引分を徴収するための処理として、例えば、以下の(a)~(c)のパターンが考えられる。
・(a)<A3)トークン回収>バリュー循環システム1の循環業者自らが発行するトークンの場合、第3精算処理部117cは、徴収対象のユーザのウォレットアプリに登録されているトークンから徴収分を回収(消込)する。
・(b)<A3)トークン回収>トークンシステム400aが発行するトークンの場合、第3精算処理部117cは、トークンサーバ410aに、徴収対象のユーザのトークンから徴収分を回収するよう指示する。
・(c)<D2)預かり金管理>徴収対象ユーザからの預かり金が循環業者の口座にある場合、第3精算処理部117cは、この預かり金から徴収分を回収する(減額する)。
【0097】
(3)<D4)手数料債権証券化>証券処理部122は、徴収対象の手数料の債権が証券化されている場合、徴収された分の手数料債権の証券の消し込みを行う。
【0098】
(4)<C3)ユーザI/F・認証>通知部115は、トークン退蔵のため手数料の差引分を徴収した旨をユーザに通知する。
【0099】
上記構成によれば、バリュー循環システム1は、トークンを退蔵しているユーザから電子バリューの発行または第1変換にかかる手数料の少なくとも一部を徴収することができる。このため、ユーザに対してトークンを退蔵させるのではなく流通させるように促進することができる。
【0100】
[トークン現金化]
次に
図10を参照して、バリュー循環システム1におけるトークンを他のバリュー(本例では、法定通貨(現金)に変換する第2変換の処理の一例について説明する。
【0101】
(1)<C3)ユーザI/F・認証>
図10に示すように、トークンの現金化の申し込みを行う第1ユーザは、バリュー循環システム1に対して、トークンを現金に変換する第2変換のための決済要求を行う。具体的には、第1ユーザの第1ユーザ装置200aは、この決済要求をサーバ装置100に対して送信する。(2)決済受付部111aは、第1ユーザから、第1ユーザ装置200aを介してこの決済要求を受け付ける。
【0102】
(3)変換処理部114は、決済受付部111aが上記決済要求を受け付けた場合、E)取引管理機能に対して、上記受け付けた決済要求の決済の実行可否を確認するための確認要求を行う。E)取引管理機能における確認の処理の詳細については、上記
図5の例と同様のため説明を割愛する。(4)E)取引管理機能は、変換処理部114に、確認要求に対する確認結果(決済の可否)を応答する。
【0103】
(5)<A3)トークン回収>変換処理部114は、E)取引管理機能による確認結果が「決済可能」である場合、決済要求に基づいて、第2変換のための処理として、現金化する分のトークンを回収する。このトークンの回収において差引分の手数料も併せて徴収する場合、第2精算処理部117bは、この徴収する分を現金化する分に上乗せさせて回収させてもよい。(5a)循環業者自ら発行したトークンの場合、変換処理部114は、決済要求に基づいて、決済要求に示された決済金額分のトークンを第1ユーザのウォレットアプリから回収する。(5b-1)<F2)トークン発行者接続>外部発行者により発行されたトークンの場合、変換処理部114は、回収処理として、決済要求に基づいて、トークンサーバ410aに対して、第1ユーザが保有するトークンを回収(消込)させるための回収要求を行う。(5b-2)トークンサーバ410aは、上記の回収要求に基づいて、この回収要求に示された決済金額分のトークンを回収する。(9b-3)変換処理部114は、トークンサーバ410aから、回収要求の応答として、トークンの回収の結果を受け付ける。
【0104】
(6)<D1)資金精算>変換処理部114は、E)取引管理機能による確認結果が「決済可能」である場合、決済要求に基づいて、第2変換のための処理として、トークンから変換される現金の支払いの処理を行う。
【0105】
(6a-1)<F3)金融機関接続>この支払いの支払い元の口座が金融機関の口座である場合、変換処理部114は、金融機関の金融サーバ410bに対して、支払い先に指定された第1ユーザの口座に、支払い元の口座から変換分の現金を支払うための支払い指示を行う。(6a-2)金融サーバ410bは、この支払い指示に基づいて、支払元の循環業者の口座から支払先の第1ユーザの口座に変換分の現金を振り込む。(6a-3)変換処理部114は、金融サーバ410bは、この支払指示の結果として、この振り込み処理の結果を応答する。
【0106】
(6b-1)<F4)バリュー事業者接続>この支払いの支払い元の口座が電子マネー事業者の口座である場合、変換処理部114は、電子マネー事業者の電子マネーサーバ410cに対して、支払い元の循環業者の口座から支払先に指定された第1ユーザの口座に現金による支払い指示を行う。(6b-2)電子マネーサーバ410cは、この支払い指示に基づいて、支払元の循環業者の口座から変換分の電子マネーを出金し、支払先の第1ユーザの口座に出金された電子マネーに相当する分の現金を入金させる。(6b-3)変換処理部114は、電子マネーサーバ410cは、この支払指示の結果として、この電子マネーの出金処理の結果を応答する。
【0107】
(7)<D3)手数料精算>第2精算処理部117bは、第2変換のための処理の際、手数料の精算処理の一部として、手数料から差し引いた差引分の少なくとも一部を第2ユーザから徴収するための処理を行う。第2精算処理部117bによる手数料の差引分を徴収するための処理としては、例えば、第3精算処理部117cと同様に、上記の手数料の差引分を徴収するための処理の(a)~(c)のパターンが考えられる。
【0108】
(7-1)<D2)預かり金管理>徴収対象ユーザからの預かり金が循環業者の口座にある場合、第2精算処理部117bは、この預かり金から徴収分の少なくとも一部を回収してもよい。
【0109】
(8)<D4)手数料債権証券化>証券処理部122は、徴収対象の手数料の債権が証券化されている場合、徴収された分の手数料債権の証券の消し込みを行う。
【0110】
(9)<A2)トークン決済履歴記録>登録部126は、この現金化によるトークンの回収の履歴を、履歴記憶部141に登録する。
【0111】
(10)<C3)ユーザI/F・認証>(11)通知部115は、このトークンの現金化が完了した旨を、第1ユーザ装置200aを介して第1ユーザに通知する。
【0112】
上記構成によれば、バリュー循環システム1は、トークンを現金化したユーザから電子バリューの発行または第1変換にかかる手数料の少なくとも一部を徴収することができる。このため、手数料を徴収しつつ、トークンの流通を促進することができる。
【0113】
<3.機能構成>
図11を参照して、本実施形態に係るサーバ装置100の機能構成を説明する。
図11に示すように、サーバ装置100は、制御部110と、通信部130と、記憶部140と、を備える。
【0114】
制御部110は、受付部111と、発行変換処理部112と、移動処理部113と、変換処理部114と、精算処理部117と、を備える。また、制御部210は、例えば、通知部115、計測部116、算出部118、設定部119、譲渡要求部120、取得部121、証券処理部122、本人確認部123、検出部124、評価部125、および/または登録部126を備えてもよい。
【0115】
[受付部]
受付部111は、ユーザ(ユーザ装置200)または外部システム400の装置から、ユーザの各種要求を含む各種情報を受け付ける。受付部111が各種情報を受け付ける態様は、どのような態様でもよい。例えば、受付部111は、例えば、ユーザ登録の要求を示すメッセージをユーザ装置200から通信部130を介して受信してもよい。また受付部111は、ユーザ装置200が表示するバリュー循環システム1などが提供するWebサイトやアプリの画面から各種要求を入力させて受け付けてもよい。また、受付部111は、例えば、自装置100が実装するAPIやSDKのライブラリをユーザ装置200が利用することで、ユーザから各種求を受け付けてもよい。受付部111は、例えば、決済受付部111aと、変換受付部111bと、証券化受付部111cと、を備えてもよい。
【0116】
[決済受付部]
決済受付部111aは、支払い元である第1ユーザと支払い先である第2ユーザとの間の決済について、第1ユーザまたは第2ユーザから、この決済をするための決済要求を受け付ける。
【0117】
[変換受付部]
変換受付部111bは、移動処理部113により移動された電子バリューから他のバリュー(例えば、第3電子バリュー)に変換する第2変換のための変換要求が第2ユーザからあった場合、この変換要求を受け付ける。
【0118】
変換受付部111bは、例えば、移動処理部113により第2ユーザから移動された電子バリューの第2変換のための変換要求が第3ユーザからあった場合、この変換要求を受け付けてもよい。
【0119】
[証券化受付部]
証券化受付部111cは、手数料の債権者から、この手数料の債権の証券化の要求を受け付ける。
【0120】
[発行変換処理部]
発行変換処理部112は、決済受付部111aが受け付けた決済要求に基づいて、決済に充当させる電子バリューを発行させるための発行処理と、第1ユーザから支払われた他のバリュー(例えば、第2電子バリュー)を電子バリューに変換する第1変換のための処理と、の少なくとも一方を行う。
【0121】
発行変換処理部112は、例えば、電子バリューの発行または第1変換の履歴を履歴記憶部141に記憶させてもよい。
【0122】
発行変換処理部112は、例えば、トークンシステム400aなどの外部システム400に、電子バリューの発行の要求、または第1ユーザから支払われた他のバリューの電子バリューへの変換の要求を送信してもよい。そして、発行変換処理部112は、送信先の外部システム400からこれらの要求の結果を受信してもよい。
【0123】
[移動処理部]
移動処理部113は、決済受付部111aが受け付けた決済要求に基づいて、発行変換処理部112の処理により発行された電子バリューおよび変換された電子バリュー(例えば、第2電子バリュー)の少なくとも一方を第2ユーザに移動させるための処理を行う。
【0124】
移動処理部113は、例えば、電子バリューを保有する第2ユーザの要求に基づいて、直接または1以上のユーザを経由して、第2ユーザから第3ユーザに電子バリューを移動させるための処理を行ってもよい。この「第2ユーザの要求」は、例えば、支払い元である第2ユーザと支払い先である第3ユーザとの間の決済をするための決済要求であってもよい。
【0125】
移動処理部113は、例えば、電子バリューの移動の履歴を履歴記憶部141に記録させてもよい。
【0126】
[変換処理部]
変換処理部114は、変換受付部111bが受け付けた変換要求に基づいて、第2変換のための処理を行う。
【0127】
[通知部]
通知部115は、ユーザ(ユーザ装置200)に、各種情報を通知する。通知部115がユーザに各種情報を通知する態様は、どのような態様でもよい。通知部115は、例えば、ユーザ装置200に、各種情報を示すデータファイルやメッセージを送信してもよい。また他の例として、通知部115は、各種情報を通知するプッシュ通知をユーザ装置200に送信し、ユーザ装置200の画面にメッセージとして表示してもよいし、バリュー循環システム1などが提供するWebサイトやアプリの画面に各種情報を出力させてもよい。通知部115は、例えば、第1通知部115aと、第2通知部115bと、を備えてもよい。
【0128】
[第1通知部]
第1通知部115aは、第2精算処理部117bにより徴収するための処理が行われる前に、第2変換を行うことを条件として差引分の少なくとも一部を第3ユーザから徴収する旨を第3ユーザに通知する。この第1通知部115aが第3ユーザに通知するタイミングは、例えば、第3ユーザに第2ユーザから電子バリューが移動される際であってもよい。
【0129】
第2変換を行うことで差引分が徴収されることを第3ユーザが知らないまま電子バリューを移動されることがありうるが、そうなると第3ユーザにとって不意打ちとなってしまう。上記構成によれば、第1通知部115aは、第2変換を行うことを条件として差引分の少なくとも一部を徴収する旨を第3ユーザに通知することができるため、このような不意打ちを防止することができる。
【0130】
[第2通知部]
第2通知部115bは、電子バリューを保有するユーザに、証券処理部122により手数料債権の証券が発行された旨を通知する。
【0131】
手数料債権の証券が発行されたことを移動先の第2ユーザや第3ユーザが知らないままこの証券が取引されて取引先から手数料債権を行使されることは、これらのユーザにとって不意打ちとなってしまう。上記構成によれば、第2通知部115bは、手数料債権の証券が発行された旨を通知することができるため、このような不意打ちを防止することができる。
【0132】
[計測部]
計測部116は、履歴記憶部141に記録された履歴に基づいて、第2ユーザを含む電子バリューを保有するユーザにおいて、電子バリューの保有期間を計測する。計測部116は、例えば、第2ユーザを含む電子バリューの移動先のユーザにおいて、移動された電子バリューの保有期間を計測してもよい。
【0133】
[精算処理部]
精算処理部117は、第1精算処理部117aと、第2精算処理部117bと、第3精算処理部117cと、を備える。精算処理部117が行う手数料の精算処理の態様は、例えば、以下のような態様が考えられる。
・電子バリューの発行または移動、変換の対価に上乗せして、これらの対価の支払い決済で併せて徴収する。
・発行、移動もしくは第1変換された電子バリュー、または第2変換された他のバリューから、手数料を徴収する。
・ユーザが保有するトークンを回収して手数料を徴収する。
・ユーザからの預かり金が循環業者の口座にある場合、この預かり金から手数料を差し引いて徴収する。
【0134】
[第1精算処理部]
第1精算処理部117aは、発行変換処理部112による処理の際、電子バリューの発行または第1変換の手数料から一部または全部を差し引いて、この手数料の精算処理の一部を行う。
【0135】
[第2精算処理部]
第2精算処理部117bは、第2ユーザが保有する電子バリューに対する変換要求に基づいた第2変換のための処理の際、手数料の精算処理の一部として、手数料から差し引いた差引分の少なくとも一部を第2ユーザから徴収するための処理を行う。
【0136】
上記構成によれば、第2精算処理部117bは、電子バリューの第2変換を要求した第2ユーザに対して、電子バリューの発行や第1変換により発生する手数料を負担させることができる。このため、電子バリューの流通を促進する電子バリューの発行や第1変換の要求を行った第1ユーザの他に、または第1ユーザではなく、電子バリューの第2変換の要求を行った第2ユーザに発行や第1変換により発生した手数料を負担させることができる。よって、電子バリューの流通に関する手数料を徴収しつつ、電子バリューの流通を促進することができる。
【0137】
第2精算処理部117bは、例えば、第3ユーザが保有する電子バリューに対する変換要求に基づいた第2変換のための処理の際、手数料の精算処理の一部として、差引分の少なくとも一部を第3ユーザから徴収するための処理を行ってもよい。
【0138】
第2精算処理部117bは、例えば、譲受情報に基づいて、手数料の精算処理の一部として、差引分の少なくとも一部を第2ユーザから徴収するための処理を行ってもよい。
【0139】
上記構成によれば、第2精算処理部117bは、バリュー循環システム1で循環させる電子バリューが外部で発行されるものであってもその発行手数料の債権を授受して、発行手数料を、電子バリューの第2変換を行った第2ユーザから徴収することができる。このため、バリュー循環システム1で循環させる電子バリューにバリエーションをもたせつつ、手数料を徴収し、電子バリューの流通も促進することができる。
【0140】
[第3精算処理部]
第3精算処理部117cは、計測部116により計測された保有期間に基づいて、手数料の精算処理の一部として、移動先のユーザを含む電子バリューを保有するユーザから、差引分の少なくとも一部を徴収するための処理を行う。
【0141】
上記構成によれば、第3精算処理部117cは、電子バリューを長期間保有しているユーザから電子バリューの発行または第1変換にかかる手数料の少なくとも一部を徴収することができる。このため、ユーザに対してトークンを保有させ続けるのではなく流通させるように促進することができる。
【0142】
第3精算処理部117cは、例えば、電子バリューの保有期間が設定部119により設定された閾値を超えた場合に、手数料の精算処理の一部として、電子バリューを保有するユーザから、差引分の少なくとも一部を徴収するための処理を行ってもよい。
【0143】
ここで、
図12を参照して、バリュー循環システム1に係る手数料の徴収の処理の一例について説明する。本例では、トークンの発行の際に発生する手数料(以下、「発行手数料」ともいう)を例に説明する。
【0144】
第1精算処理部117aは、発行変換処理部112による発行処理の際、例えば、電子バリューの発行の発行手数料(本例では、500円とする)から一部(本例では、400円とする)を差し引いて、この差し引かれたあとの発行手数料(100円)の精算処理を行う。差引分は、例えば、循環業者が一時的に補填してもよい(立て替えてもよい)。なお、第1精算処理部117aは、発行または第1変換された電子バリューの中から精算対象の発行手数料(100円)を徴収してもよい。
【0145】
第3精算処理部117cは、トークンの保有期間が設定された閾値を超える場合、トークンを退蔵していると判定して、発行手数料の精算処理の一部として、ユーザから、差引分の少なくとも一部(本例では、250円とする)を徴収するための処理を行う。
【0146】
第2精算処理部117bは、トークンを現金化する第2変換処理の際、発行手数料の精算処理の一部として、差引分の少なくとも一部(400円-250円=150円)を第2ユーザから徴収するための処理を行う。
【0147】
バリュー循環システム1では、例えば、第2変換処理の際、発行手数料とは別に第2変換の手数料が発生させてもよい。この場合、第2精算処理部117bは、第2変換処理の際、第2変換手数料の精算処理を行う。
【0148】
[算出部]
算出部118は、電子バリューの移動の履歴に基づいて、設定された過去の期間における電子バリュー全体の移動回数の度合を示す流通速度を算出する。この「電子バリュー全体」は、例えば、バリュー循環システム1内で流通するすべての電子バリュー(言い換えれば、バリュー循環システム1内で移動した電子バリュー)を対象としてもよいし、流通の範囲や電子バリューの種類等を含む所定の条件でさらに限定し、その限定された電子バリューの中での全ての移動した電子バリューを対象としてもよい。
【0149】
[設定部]
設定部119は、算出部118により算出された流通速度に基づいて、電子バリューの保有期間に対する手数料を徴収するための閾値を設定する。
【0150】
[譲渡要求部]
譲渡要求部120は、外部システム400から発行変換処理部112が受信した発行要求の結果または第1変換要求の結果に基づいて、この外部システム400に、この外部システム400を運営する外部機関で発生した、電子バリューの発行または第1変換の手数料の債権の譲渡の要求を送信する。
【0151】
[取得部]
取得部121は、譲渡要求部120により手数料の債権の譲渡の要求を受信した外部システム400から、外部機関がこの譲渡の要求を受け入れる旨を示す譲受情報を取得する。
【0152】
[証券処理部]
証券処理部122は、証券化受付部111cが受け付けた証券化の要求に基づいて、手数料の債権の証券を発行する処理を行う。また、証券処理部122は、第2精算処理部117bまたは第3精算処理部117cにより差引分が徴収される手数料の債権が証券化されている場合、徴収された分の手数料債権の証券の消し込みを行う。
【0153】
[本人確認部]
本人確認部123は、ユーザ登録の要求や決済要求を受け付けると、ユーザ情報に基づいて、ユーザの本人確認を行う。
【0154】
[検出部]
検出部124は、確認要求を受け付けると、ユーザ情報に基づいて、不正なユーザ登録の要求などの不正を検出する。
【0155】
[評価部]
評価部125は、本人確認の結果や不正検出の結果、ユーザ情報に基づいて、ユーザ登録に関するリスクを評価する。評価部125は、評価したリスクに基づいて、ユーザ登録の可否を評価する。
【0156】
[登録部]
登録部126は、本人確認部123による確認の結果、検出部124による検出の結果、および評価部125による評価の結果それぞれの処理の結果を、ユーザ登録の確認の履歴として、ユーザ情報に関連づけて、履歴記憶部141に登録する。
【0157】
登録部126は、電子バリューの発行、移動、第1変換、もしくは第2変換の履歴、またはこれらによる支払い決済の履歴を、電子バリュー履歴情報として、履歴記憶部141に登録する。
【0158】
[通信部]
通信部130は、ネットワークNを介して、ユーザ装置200や外部システム400の各装置との間で決済要求や変換要求、電子バリューの情報などの各種情報を送受信する。
【0159】
[記憶部]
記憶部140は、トークン情報を含むバリュー循環システム1に係る各種情報を記憶する。記憶部140は、履歴記憶部141と、ユーザ記憶部142とを備える。記憶部140は、データベースマネジメントシステム(DBMS)を利用して各情報を記憶してもよいし、ファイルシステムを利用して各情報を記憶してもよい。DBMSを利用する場合、記憶部140は、情報ごとにテーブルを設けて、テーブル間を関連付けて各情報を管理してもよい。
【0160】
履歴記憶部141は、電子バリュー履歴情報を記憶する。ユーザ記憶部142は、ユーザ情報を記憶する。
【0161】
<4.動作例>
図13を参照して、バリュー循環システム1の動作例を説明する。
図13は、第1ユーザによる電子バリューによる支払いの決済要求の入力から移動先の第2ユーザにおける電子バリューの現金への変換までのやり取りにおける相互作用を表すシーケンス図である。本例では、電子バリューがトークン型である例を説明する。なお、以下に示す処理の順番は一例であって、適宜、変更されてもよい。
【0162】
図13に示すように、第1ユーザ装置200aは、支払い元である第1ユーザと支払い先である第2ユーザとの間の決済について、第1ユーザから、この決済をするための決済要求の入力を受け付ける(S10)。第1ユーザ装置200aは、この決済要求をサーバ装置100に送信する(S11)。
【0163】
サーバ装置100の決済受付部111aは、第1ユーザから、第1ユーザ装置200aを介して、上記決済要求を受け付ける(S12)。発行変換処理部112は、決済要求に基づいて、上記決済に充当させる電子バリューを発行させるための発行処理を行う(S13)。第1精算処理部117aは、この発行処理の際、電子バリューの発行の手数料から一部を差し引いて、この手数料の精算処理の一部を行う(S14)。本例では、手数料200円のうち50円を差し引いて、残りの手数料150円について精算処理を行うものとする。すなわち、手数料の差引分が50円となる。移動処理部113は、上記決済要求に基づいて、発行された電子バリューを第2ユーザに移動させるための処理として、第2ユーザの第2ユーザ装置200bのウォレットアプリに、この電子バリューの情報を送信する。第2ユーザ装置200bのウォレットアプリは、送信された電子バリューを受信してウォレットに格納する。このように、サーバ装置100は、発行した電子バリューを第2ユーザに移動させて決済を行う。
【0164】
第2ユーザから移動された電子バリューから他のバリューに変換する第2変換のための変換要求の入力が第2ユーザからあった場合、バリュー循環システム1の各装置は、複合フラグメントopt1(Option1)が示すエリア内の処理を実行する。具体的には、まず、第2ユーザ装置200bは、この変換要求の入力を受け付ける(S17)。第2ユーザ装置200bは、変換対象(回収対象)の電子バリューの情報を含めたこの変換要求をサーバ装置100に送信する(S18)。
【0165】
サーバ装置100の変換受付部111bは、第2ユーザから、第2ユーザ装置200bを介して、上記変換要求を受け付ける(S19)。変換処理部114は、変換要求に基づいて、第2変換処理として、第2ユーザ装置200bからの変換分の電子バリューの回収と、変換分の他のバリューによる指定された口座への支払い指示を金融サーバ410bなどに行う(S20)。第2精算処理部117bは、第2変換処理の際、手数料の精算処理の一部(残り)として、手数料から差し引いた差引分(50円)を第2ユーザから徴収するための処理を行う(S21)。
【0166】
<5.ハードウェア構成>
図14を参照して、上述してきたサーバ装置100をコンピュータ800により実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0167】
図14に示すように、コンピュータ800は、プロセッサ801と、メモリ803と、記憶装置805と、入力I/F部807と、データI/F部809と、通信I/F部811、及び表示装置813を含む。
【0168】
プロセッサ801は、メモリ803に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ800における様々な処理を制御する。例えば、サーバ装置100の制御部110が備える各機能部などは、メモリ803に一時記憶された上で、主にプロセッサ801上で動作するプログラムとして実現可能である。
【0169】
メモリ803は、例えばRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。メモリ803は、プロセッサ801によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0170】
記憶装置805は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体である。記憶装置805は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。この他、記憶装置805は、電子バリュー履歴情報やユーザ情報を登録するテーブルと、当該テーブルを管理するDBを記憶することも可能である。このようなプログラムやデータは、必要に応じてメモリ803にロードされることにより、プロセッサ801から参照される。
【0171】
入力I/F部807は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部807の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイスなどが挙げられる。入力I/F部807は、例えばUSB(Universal Serial Bus)などのインタフェースを介してコンピュータ800に接続されても良い。
【0172】
データI/F部809は、コンピュータ800の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部809の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置などがある。データI/F部809は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部809は、例えばUSBなどのインタフェースを介してコンピュータ800へと接続される。
【0173】
通信I/F部811は、コンピュータ800の外部の装置と有線または無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部811は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部811は、例えばUSBなどのインタフェースを介してコンピュータ800に接続される。
【0174】
表示装置813は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置813の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイなどが挙げられる。表示装置813は、コンピュータ800の外部に設けられても良い。その場合、表示装置813は、例えばディスプレイケーブルなどを介してコンピュータ800に接続される。また、入力I/F部807としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置813は、入力I/F部807と一体化して構成することが可能である。
【0175】
なお、上記実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、以下に述べる各要素を均などなものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。
【0176】
また、上記実施の形態で記載されたサーバ装置100が備える構成要素は、記憶装置805に格納されたプログラムがプロセッサ801によって実行されることで、定められた処理が他のハードウェアと協働して実現されるものとする。また、言い換えれば、これらの構成要素は、ソフトウェアまたはファームウェアとしても、それと対応するハードウェアとしても想定され、その双方の概念において、「機能」、「手段」、「部」、「処理回路」、「ユニット」、または「モジュール」などとも記載され、またそれぞれに読み替えることができる。
【0177】
[変形例]
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、以下のような場合も本発明に含まれる。
【0178】
[変形例1]
上記実施形態に係るサーバ装置100の制御部110に含まれる機能部の一部または全部は、ユーザ装置200が備えていてもよい。例えば、ユーザ装置200のウォレットアプリにサーバ装置100の発行変換処理部112や移動処理部113、変換処理部114の一部の機能を実装させてもよい。
【0179】
[変形例2]
上記実施形態では電子バリューの登録先・管理場所としてウォレットアプリを用いる例を説明したが、本発明に係る電子バリューを登録・管理するところは、これに限定されない。例えば、サーバ装置100が、オンライン環境で利用可能なウォレット機能(以下、「オンラインウォレット」ともいう)を有してもよい。このオンラインウォレットで各ユーザの電子バリューを登録・管理してもよい。
【0180】
[変形例3]
上記実施形態では、電子バリュー履歴情報を記憶する履歴記憶部は、サーバ装置100が備える例を説明したが、サーバ装置100以外の装置、例えば外部システム400の装置が備えてもよい。またこの場合、外部システム400の装置が備える履歴記憶部を参照する際は、例えば、この装置が当該参照のために実装するAPIを利用してもよいし、この装置にスクレイピングモデルなどのようにリモートアクセスしてもよい。
【0181】
1…バリュー循環システム、100…サーバ装置、110…制御部、111a…決済受付部、111b…変換受付部、112…発行変換処理部、114…移動処理部、114…変換処理部、117a…第1精算処理部、117b…第2精算処理部、130…通信部、140…記憶部、200…ユーザ装置、800…コンピュータ、801…プロセッサ、803…メモリ、805…記憶装置、807…入力I/F部、809…データI/F部、811…通信I/F部、813…表示装置。