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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20240327BHJP
   F24F 3/16 20210101ALI20240327BHJP
   F24F 8/22 20210101ALI20240327BHJP
   F24F 11/48 20180101ALI20240327BHJP
   F24F 11/59 20180101ALI20240327BHJP
【FI】
F24F1/0007 401E
F24F3/16
F24F8/22
F24F11/48
F24F11/59
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022087512
(22)【出願日】2022-05-30
(65)【公開番号】P2022186636
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2022-05-30
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2021093732
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 智己
(72)【発明者】
【氏名】黒井 聖史
(72)【発明者】
【氏名】田中 利夫
(72)【発明者】
【氏名】小山 千佳
(72)【発明者】
【氏名】奥本 衛
【合議体】
【審判長】鈴木 充
【審判官】竹下 和志
【審判官】槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/066550(WO,A1)
【文献】特開2020-134027(JP,A)
【文献】特開2001-324195(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0089002(KR,A)
【文献】中国実用新案第211695153(CN,U)
【文献】国際公開第2017/175345(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00 - 13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を照射するLED(72)を有する照射装置(70)と、
前記照射装置(70)の熱を空気へ放出する放熱部(F)と、
前記放熱部としての複数のフィン(F)を有し、空気と熱媒体とを熱交換させる熱交換器(40)と、
前記照射装置(70)と前記フィン(F)とを接続する熱伝導部(75)とを備え、
前記熱伝導部(75)は、前記照射装置(70)の熱を該熱伝導部(75)を介して前記フィン(F)に伝えるように構成され
前記熱交換器(40)によって空気を加熱する暖房運転時において、前記照射装置(70)をON状態とする制御部(100)を備える
空気調和装置。
【請求項2】
紫外線を照射するLED(72)を有する照射装置(70)と、
前記照射装置(70)の熱を空気へ放出する放熱部(F)と、
前記放熱部としての複数のフィン(F)を有し、空気と熱媒体とを熱交換させる熱交換器(40)と、
前記照射装置(70)と前記フィン(F)とを接続する熱伝導部(75)とを備え、
前記熱伝導部(75)は、前記照射装置(70)の熱を該熱伝導部(75)を介して前記フィン(F)に伝えるように構成され、
前記熱交換器(40)によって空気を冷却する冷房運転時の前記照射装置(70)の出力を、前記熱交換器(40)によって空気を加熱する暖房運転時の前記照射装置(70)の出力よりも大きくする制御部(100)を備える
空気調和装置。
【請求項3】
紫外線を照射するLED(72)を有する照射装置(70)と、
前記照射装置(70)の熱を空気へ放出する放熱部(F)と、
前記放熱部としての複数のフィン(F)を有し、空気と熱媒体とを熱交換させる熱交換器(40)と、
前記照射装置(70)と前記フィン(F)とを接続する熱伝導部(75)とを備え、
前記熱伝導部(75)は、前記照射装置(70)の熱を該熱伝導部(75)を介して前記フィン(F)に伝えるように構成され、
前記熱伝導部(75)は、前記フィン(F)の一部である
空気調和装置。
【請求項4】
紫外線を照射するLED(72)を有する照射装置(70)と、
前記照射装置(70)の熱を空気へ放出する放熱部(F)と、
前記放熱部としての複数のフィン(F)を有し、空気と熱媒体とを熱交換させる熱交換器(40)と、
前記照射装置(70)と前記フィン(F)とを接続する熱伝導部(75)とを備え、
前記熱伝導部(75)は、前記照射装置(70)の熱を該熱伝導部(75)を介して前記フィン(F)に伝えるように構成され、
前記熱伝導部(75)は、前記複数のフィン(F)の配列方向に延びる形状であり、前記複数のフィン(F)の側辺と接触するように構成される
空気調和装置。
【請求項5】
前記フィン(F)は、フィン本体(Fa)と、該フィン本体(Fa)と一体の突起部(Fb)とを有し、
前記熱伝導部(75)は、前記突起部(Fb)で構成され、
前記突起部(Fb)に前記照射装置(70)が設けられる
請求項に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紫外線を照射するLEDを有する照射装置がある。LEDは、発熱量が多く温度の変化に対し急激に特性が変化する。そこで、特許文献1では、LEDをペルチェ素子で冷却し、LEDの温度上昇を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-177774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、LEDを冷却するためにペルチェ素子などの機器が必要となるため、装置の構成が複雑となる。
【0005】
本開示の目的は、簡単な構成でLEDを冷却できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、紫外線を照射するLED(72)を有する照射装置(70)と、前記照射装置(70)の熱を空気へ放出する放熱部(F,91,92)とを備えている空気調和装置である。
【0007】
第1の態様では、LED(72)が発熱すると、放熱部(F,91,92)が照射装置(70)の熱を空気へ放出する。このため、簡単な構成でLED(72)を冷却できる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、前記放熱部としての複数のフィン(F)を有し、空気と熱媒体とを熱交換させる熱交換器(40)と、前記照射装置(70)と前記フィン(F)とを接続する熱伝導部(75)とを備える。
【0009】
第2の態様では、LED(72)が発熱すると、この熱が照射装置(70)から熱伝導部(75)を介して熱交換器(40)のフィン(F)へ伝わる。フィン(F)は、伝熱面積が比較的大きいため、LEDの熱をフィン(F)を介して空気へ放出できる。
【0010】
第3の態様は、第2の態様において、前記熱交換器(40)によって空気を冷却する冷房運転時において、前記照射装置(70)をON状態とする制御部(100)を備える。
【0011】
第3の態様では、冷房運転時に照射装置(70)がON状態になることで、LED(72)の熱を熱伝導部(75)、およびフィン(F)を介して熱媒体に伝えることができる。
【0012】
第4の態様は、第2または第3のいずれか1つの態様において、前記熱交換器(40)によって空気を加熱する暖房運転時において、前記照射装置(70)をON状態とする制御部(100)を備える。
【0013】
第4の態様では、暖房運転時に照射装置(70)がON状態になることで、LED(72)の熱を熱伝導部(75)、およびフィン(F)を介して熱媒体に伝えることができる。LED(72)の温度は、暖房運転時の熱媒体の温度よりも高くなるため、LED(72)の温度上昇を抑制できる。
【0014】
第5の態様は、第2~第4のいずれか1つの態様において、前記熱交換器(40)によって空気を冷却する冷房運転時の前記照射装置(70)の出力を、前記熱交換器(40)によって空気を加熱する暖房運転時の前記照射装置(70)の出力よりも大きくする制御部(100)を備える。
【0015】
冷房運転は、一般に高温高湿条件下で実行されるため、空気調和装置(10)の内部において菌やカビなどが発生しやすい。第5の態様では、冷房運転時に照射装置(70)の出力を比較的大きくするため、これらの菌やカビの発生を抑制できる。冷房運転時のフィン(F)の温度は、暖房運転時のそれよりも低い。このため、冷房運転時には、照射装置(70)の発熱をより効果的に抑制できる。その結果、冷房時において、照射装置(70)のLED(72)の出力を大きくできる。
【0016】
第6の態様は、第2~第5のいずれか1つの態様において、前記空気調和装置(10)の運転の停止時に前記照射装置(70)をON状態とする制御部(100)を備える。
【0017】
空気調和装置(10)の運転停止時には、空気調和装置(10)の内部において菌やカビが発生しやすい。第6の態様は、空気調和装置(10)の運転停止時に照射装置(70)をON状態とするため、これらの菌やカビの発生を抑制できる。
【0018】
第7の態様は、第1~第6のいずれか1つの態様において、ドレンパン(60)を備え、前記照射装置(70)は前記紫外線を前記ドレンパン(60)に向かって照射する。
【0019】
第7の態様では、LED(72)が照射する紫外線によってドレンパン(60)を除菌できる。これにより、ドレンパン(60)における菌やカビの発生を抑制できる。
【0020】
第8の態様は、第2~第7のいずれか1つの態様において、前記照射装置(70)は前記紫外線を前記熱交換器(40)に向かって照射する。
【0021】
第8の態様では、LED(72)が照射する紫外線によって熱交換器(40)を除菌できる。これにより、熱交換器(40)における菌やカビの発生を抑制できる。
【0022】
第9の態様は、第1~第8のいずれか1つの態様において、空気を搬送するファン(50)を備え、前記照射装置(70)は、前記ファン(50)が搬送する空気に向かって前記紫外線を照射する。
【0023】
第9の態様では、LED(72)が照射する紫外線によって空気を除菌できる。これにより、除菌した空気を空調の対象空間へ供給できる。
【0024】
第10の態様は、第2~第9のいずれか1つの態様において、前記熱交換器(40)は、前記熱媒体によって空気を冷却するように構成され、前記照射装置(70)は、前記熱交換器(40)よりも空気流れの上流側に配置される。
【0025】
熱交換器(40)では、空気を冷却することに起因して結露水が発生する。第10の態様では、この結露水が照射装置(70)に付着することを抑制できる。
【0026】
第11の態様は、第1~10のいずれか1つにおいて、前記LED(72)は、空気流れの下流側を向いている。
【0027】
第11の態様では、空気中の埃などがLED(72)の表面に付着することを抑制できる。
【0028】
第12の態様は、第2~第11のいずれか1つの態様において、前記熱伝導部(75)は、前記フィン(F)の一部である。
【0029】
第12の態様では、フィン(F)が熱伝導部(75)を兼用するため、部品点数を削減できる。
【0030】
第13の態様は、第1の態様において、前記照射装置(70)と前記放熱部(F,91,92)とを接続する熱伝導部(75)を備える。
【0031】
第13の態様では、LED(72)が発熱すると、この熱が照射装置(70)から熱伝導部(75)を介して放熱部(F,91,92)へ伝わる。放熱部(F,91,92)は、この熱を空気へ放出する。
【0032】
第14の態様は、第13の態様において、前記放熱部(F,91,92)および前記熱伝導部(75)の少なくとも一方は、金属材料である。
【0033】
第14の態様では、放熱部(F,91,92)および熱伝導部(75)の少なくとも一方が金属材料であり、熱伝導性に優れるため、LED(72)の熱を速やかに空気へ放出できる。
【0034】
第15の態様は、第13または第14の態様において、前記熱伝導部(75)および前記熱伝導部(75)の少なくとも一方の熱伝導率は、80w/m・K以上である。
【0035】
第15の態様では、LED(72)の熱を速やかに空気へ放出できる。
【0036】
第16の態様は、第1~第15のいずれか1つの態様において、空気通路(34)を内部に形成するケーシング(31)を備え、前記放熱部(F,91,92)は、前記ケーシング(31)の内面に固定される第1放熱部材(91)を含む。
【0037】
第16の態様では、LED(72)が発熱すると、照射装置(70)の熱は、ケーシング(31)の内面に固定される第1放熱部材(91)を介して、空気へ放出される。ケーシング(31)の内面では、第1放熱部材(91)の設置面積を確保できるので、放熱部(F,91,92)の放熱面積を拡大でき、放熱部(F,91,92)の放熱性能を向上できる。
【0038】
第17の態様は、第16の態様において、前記第1放熱部材(91)は、金属板または金属製テープを含む。
【0039】
第17の態様では、第1放熱部材(91)を金属板または金属製テープとすることで、ケーシング(31)の内面に放熱部(F,91,92)を容易に形成できる。
【0040】
第18の態様は、第1~第15のいずれか1つの態様において、空気通路(34)を内部に形成するケーシング(31)を備え、前記放熱部(F,91,92)は、前記ケーシング(31)の一部によって構成される第2放熱部材(92)を含む。
【0041】
第18の態様では、ケーシング(31)が放熱部(F,91,92)を兼用するため、部品点数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、実施形態に係る空気調和装置の概略の配管系統図である。
図2図2は、室内機の内部構造を示す縦断面図である。
図3図3は、照射装置の取付構造を前側から見た模式図である。
図4図4は、空気調和装置のブロック図である。
図5図5は、変形例1に係る図1に相当する図である。
図6図6は、変形例3に係る室内機の内部構造を示す縦断面図である。
図7図7は、変形例5の第1の例に係る熱伝導部およびフィンの概略の構成図である。
図8図8は、変形例5の第2の例に係る熱伝導部およびフィンの概略の構成図である。
図9図9は、変形例6の室内機の内部構造を示す縦断面図である。
図10図10は、変形例7の室内機の内部構造を示す縦断面図である。
図11図11は、変形例8の室内機の内部構造を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0044】
(1)空気調和装置の全体構成
図1は、空気調和装置(10)の概略の配管系統図である。空気調和装置(10)は、対象空間の空気の温度を調節する。対象空間は室内空間(I)である。空気調和装置(10)は、冷房運転と暖房運転とを行う。冷房運転では、空気調和装置(10)が室内空間(I)の空気を冷却する。暖房運転では、空気調和装置(10)が室内空間(I)の空気を加熱する。
【0045】
空気調和装置(10)は、冷媒回路(11)を備える。冷媒回路(11)には、冷媒が充填される。冷媒回路(11)は、冷媒を循環させることにより冷凍サイクルを行う。冷媒は、例えばR32(ジフルオロメタン)である。
【0046】
空気調和装置(10)は、室外機(20)、室内機(30)、第1連絡配管(12)、第2連絡配管(13)を備える。本例の空気調和装置(10)は、1つの室外機(20)と1つの室内機(30)とを有するペア式である。室外機(20)は、圧縮機(21)、室外熱交換器(22)、膨張弁(23)、四方切換弁(24)、および室外ファン(25)を備える。室内機(30)は、室内熱交換器(40)および室内ファン(50)を備える。
【0047】
第1連絡配管(12)と第2連絡配管(13)は、室内機(30)および室外機(20)を互いに接続する。第1連絡配管(12)はガス管であり、第2連絡配管(13)は、液管である。第1連絡配管(12)は、室内熱交換器(40)のガス端に接続する。第2連絡配管(13)は、室内熱交換器(40)の液端に接続する。
【0048】
空気調和装置(10)は、照射装置(70)を備える。照射装置(70)は、紫外線を照射し、所定の対象を除菌する。
【0049】
(2)室外機
圧縮機(21)は、冷媒を圧縮する。圧縮機(21)は回転式の圧縮機である。回転式の圧縮機(21)は、揺動式、ローリングピストン式、スクロール式などで構成される。
【0050】
室外熱交換器(22)は、冷媒と室外空気とを熱交換させる。室外熱交換器(22)はフィンアンドチューブ式である。
【0051】
室外ファン(25)は、室外空気を搬送する。室外ファン(25)により搬送される空気は、室外熱交換器(22)を通過する。室外ファン(25)はプロペラファンである。
【0052】
膨張弁(23)は、冷媒を減圧する。膨張弁(23)は、電子式あるいは感温式の膨張弁である。
【0053】
四方切換弁(24)は、冷媒回路(11)の冷媒の流れを正逆反転させる。四方切換弁(24)は、図1の実線で示す第1状態と、図1の破線で示す第2状態とに切り換わる。第1状態の四方切換弁(24)は、圧縮機(21)の吐出側と室外熱交換器(22)のガス側とを連通させると同時に、圧縮機(21)の吸入側と室内熱交換器(40)のガス側とを連通させる。第2状態の四方切換弁(24)は、圧縮機(21)の吐出側と室内熱交換器(40)のガス側とを連通させると同時に、圧縮機(21)の吸入側と室外熱交換器(22)のガス側とを連通させる。
【0054】
(3)室内機
図2は、室内機(30)の縦断面図である。以下の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」に関する語句は、図2の矢印で示す方向を基準とする。
【0055】
室内機(30)は、室内空間(I)に設置される。室内機(30)は、壁面に設けられる。室内機(30)は、壁掛け式の空調室内機である。室内機(30)は、ケーシング(31)、フィルタ(38)、室内熱交換器(40)、室内ファン(50)、およびドレンパン(60)を備える。
【0056】
(3-1)ケーシング
ケーシング(31)は、室内機(30)の外郭を形成している。ケーシング(31)の上部には、吸込口(32)が形成される。ケーシング(31)の下部には、吹出口(33)が形成される。ケーシング(31)の内部には、吸込口(32)から吹出口(33)に亘って空気通路(34)が形成される。吸込口(32)は、室内空間(I)の室内空気を空気通路(34)に取り込む。吹出口(33)は、空気通路(34)の空気を室内空間(I)に吹き出す。吹出口(33)には、吹出空気の風向を調節するフラップ(図示省略)が設けられる。
【0057】
空気通路(34)には、空気流れの上流側から下流側に向かって順に、フィルタ(38)、室内熱交換器(40)、室内ファン(50)が配置される。
【0058】
(3-2)フィルタ
フィルタ(38)は、内部流路(S1)における室内熱交換器(40)の上流側に配置される。フィルタ(38)は、吸込口(32)から室内熱交換器(40)へ送られる空気中の塵埃などを捕集する。室内機は、フィルタ(38)に付着した塵埃を除去する塵埃除去機構を備えていてもよい。
【0059】
(3-3)室内熱交換器
室内熱交換器(40)は、熱媒体である冷媒と空気とを熱交換させる。室内熱交換器(40)は、フィンアンドチューブ式である。室内熱交換器(40)は、第1熱交換器(41)と第2熱交換器(42)とを含む。第1熱交換器(41)は、室内ファン(50)の前側に配置される。第2熱交換器(42)は、室内ファン(50)の後側に配置される。第1熱交換器(41)および第2熱交換器(42)は、互いに別体に構成される。
【0060】
第1熱交換器(41)および第2熱交換器(42)は、複数のフィン(41)と、複数のフィン(F)を厚さ方向(図2の紙面方向)に貫通する伝熱管(42)とをそれぞれ有する。フィン(F)は、縦長の矩形板状に形成される。フィン(F)は、熱伝導性の高いアルミニウムなどの金属材料で構成される。伝熱管(P)は、熱伝導性の高い銅などの金属材料で構成される。
【0061】
フィン(F)は、放熱部の一例である。放熱部は、照射装置(70)の熱を空気へ放出する。本実施形態の放熱部は、照射装置(70)の熱をさらに冷媒に放出する。フィン(F)の熱伝導率は、80W/m・K以上であることが好ましく、100W/m・K以上であることがより好ましい。
【0062】
(3-4)室内ファン
室内ファン(50)は、室内空気を搬送する。室内ファン(50)は、クロスフローファンである。室内ファン(50)により搬送される空気は、室内熱交換器(40)を通過する。室内熱交換器(40)を通過した空気は、吹出口(33)を通じて室内空間(I)へ供給される。
【0063】
(3-5)ドレンパン
ドレンパン(60)は、空気中の結露水を受けるトレーである。ドレンパン(60)は、第1ドレンパン(61)と第2ドレンパン(62)とを含む。
【0064】
第1ドレンパン(61)は、第1熱交換器(41)の下側に配置される。第1ドレンパン(61)は、第1熱交換器(41)の下端部の下方に位置する。第1ドレンパン(61)は、第1熱交換器(41)の周囲で発生した結露水を受ける。
【0065】
第2ドレンパン(62)は、第2熱交換器(42)の下側に配置される。第2ドレンパン(62)は、第2熱交換器(42)の下端部の下方に位置する。第2ドレンパン(62)は、第2熱交換器(42)の周囲で発生した結露水を受ける。
【0066】
(3-6)照射装置および熱伝導部
図2に示すように、照射装置(70)は、室内機(30)に設けられる。照射装置(70)は、ケーシング(31)の内部に配置される。本例の照射装置(70)は、第1ドレンパン(61)および空気を対象とする。
【0067】
照射装置(70)は、回路基板(71)と、LED(72)とを有する。LED(72)は、回路基板(71)上に設けられる。LED(72)は紫外線を照射する発光部である。LED(72)は、所定の指向性をもって紫外線を照射する。LED(72)から照射される紫外線の波長は、190nm以上280nm以下である。紫外線の波長は220mm以上270nm以下であるのが好ましい。図3に示すように、本例の空気調和装置(10)は、3つの照射装置(70)を有する。
【0068】
空気調和装置(10)は、熱伝導部(75)を備える。本例の熱伝導部(75)は、金属材料で構成される。金属材料としては、アルミニウム、ステンレス、または鉄が挙げられる。熱伝導部(75)は、熱伝導性を有する樹脂材料であってもよい。樹脂材料としては、例えばポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミドなどが挙げられる。熱伝導部(75)の熱伝導率は、80W/m・K以上であることが好ましく、100W/m・K以上であることがより好ましい。
【0069】
熱伝導部(75)は、照射装置(70)と室内熱交換器(40)とを接続する。本例の熱伝導部(75)は、第1熱交換器(41)の複数のフィン(F)と接続する。熱伝導部(75)は、第1熱交換器(41)のうち最も端のフィン(端板)、および複数のフィン(F)の側辺に接している。熱伝導部(75)は、第1熱交換器(41)の全てのフィン(F)と接するように、これらのフィン(F)の前縁に沿って複数のフィン(F)の配列方向に延びている。熱伝導部(75)は、全てのフィン(F)の一部のみと接してもよい。
【0070】
本例では、熱伝導部(75)の下部に照射装置(70)が固定される。3つの照射装置(70)は、熱伝導部(75)の長手方向に沿って配列される。熱伝導部(75)には、回路基板(71)が固定される。LED(72)は、回路基板(71)を介して熱伝導部(75)と熱的に接続する。熱伝導部(75)は、LED(72)と直接的に接してもよい。
【0071】
LED(72)は、紫外線を第1ドレンパン(61)に向かって照射する。具体的には、LED(72)は、紫外線を第1ドレンパン(61)の底面(60a)に向かって照射する。これにより、第1ドレンパン(61)や、第1ドレンパン(61)の内部にある水を紫外線により除菌できる。
【0072】
LED(72)は、紫外線を室内ファン(50)が搬送する空気に向かって照射する。言い換えると、LED(72)は、紫外線を空気通路(34)の空気に向かって照射する。これにより、室内空間(I)に供給される空気を除菌できる。
【0073】
LED(72)の近傍では、空気が後側斜め下方に流れる。したがって、LED(72)は、空気流れの下流側に向かって紫外線を照射することになる。このようにすると、空気中の塵埃がLED(72)に付着することを抑制できる。
【0074】
特に、熱伝導部(75)はLED(72)の上流側に位置するとともに、熱伝導部(75)における下流側の面(下面)にLED(72)が固定される。このため、LED(72)の表面に空気中の塵埃が付着することを、熱伝導部(75)により抑制できる。
【0075】
室内熱交換器(40)の周囲で発生した結露水は、室内熱交換器(40)の下流側に飛散することがある。これに対し、本例では、照射装置(70)および熱伝導部(75)が、第1熱交換器(41)における空気流れの上流側に配置される。このため、照射装置(70)のLED(72)や回路基板(71)に結露水が付着することを抑制できる。
【0076】
(4)リモートコントローラおよび制御部
図1および図4に示すように、空気調和装置(10)は、リモートコントローラ(80)を備える。リモートコントローラ(80)は、操作部(81)を有する。操作部(81)は、人が空気調和装置(10)に対する各種の指示を入力するための機能部である。操作部(81)は、スイッチ、ボタン、またはタッチパネルを含む。人が操作部(81)を操作することで空気調和装置(10)の運転が選択される。空気調和装置(10)の運転は、冷房運転と暖房運転とを含む。
【0077】
図1および図4に示すように、空気調和装置(10)は、制御部(100)を有する。制御部(100)は、空気調和装置(10)の動作を制御する。制御部(100)は、照射装置(70)の動作を制御する。制御部(100)は、第1制御装置(101)、第2制御装置(102)、リモートコントローラ(80)、第1通信線(103)、および第2通信線(104)を含む。
【0078】
第1制御装置(101)および第2制御装置(102)のそれぞれは、MCU(Micro Control Unit,マイクロコントローラユニット)、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU(Central Processing Unit,中央演算処理装置)、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。
【0079】
第1制御装置(101)は、室外機(20)に設けられる。第2制御装置(102)は、室内機(30)に設けられる。第1制御装置(101)および第2制御装置(102)は、第1通信線(103)を介して互いに接続される。第2制御装置(102)とリモートコントローラ(80)は、第2通信線(104)を介して互いに接続される。第1通信線(103)および第2通信線(104)は、有線または無線である。
【0080】
第1制御装置(101)は、受信した指令に応じて、圧縮機(21)、膨張弁(23)、四方切換弁(24)、および室外ファン(25)を制御する。第2制御装置(102)は、受信した指令に応じて、室内ファン(50)および照射装置(70)を制御する。
【0081】
制御部(100)は、受信した指令に応じて、冷房運転と暖房運転とを切り換えて実行させる。制御部(100)は、冷房運転時において照射装置(70)をON状態とする。本例の制御部(100)は、暖房運転時において照射装置(70)をON状態とする。制御部(100)は、冷房運転時の照射装置(70)の出力を、暖房運転時の照射装置(70)の出力よりも大きくする。具体的には、制御部(100)は、冷房運転時の照射装置(70)の発光強度を、暖房運転時の照射装置(70)の発光強度よりも大きくする。
【0082】
(5)運転動作
空気調和装置(10)の運転動作について詳細に説明する。空気調和装置(10)は冷房運転と暖房運転とを切り換えて行う。
【0083】
(5-1)冷房運転
冷房運転では、制御部(100)が四方切換弁(24)を第1状態とする。制御部(100)は、圧縮機(21)、室外ファン(25)、および室内ファン(50)を運転する。制御部(100)は、膨張弁(23)の開度を調節する。冷房運転中の冷媒回路(11)は、室外熱交換器(22)が放熱器として機能し、室内熱交換器(40)が蒸発器として機能する冷凍サイクル(冷房サイクル)を行う。
【0084】
具体的には、圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、室外熱交換器(22)を流れる。室外熱交換器(22)は、冷媒と室外空気とを熱交換させる。室外熱交換器(22)で放熱、あるいは凝縮した冷媒は、膨張弁(23)で減圧された後、室内熱交換器(40)を流れる。室内熱交換器(40)は、冷媒と室内空気とを熱交換させる。室内熱交換器(40)で蒸発した冷媒は、圧縮機(21)で再び圧縮される。
【0085】
室内機(30)では、室内空気が吸込口(32)を通じて空気通路(34)に吸い込まれる。空気通路(34)の空気は、室内熱交換器(40)を通過する。室内熱交換器(40)は、冷媒によって空気を冷却する。室内熱交換器(40)で冷却された空気は、吹出口(33)を通じて室内空間(I)へ供給される。
【0086】
(5-2)暖房運転
暖房運転では、制御部(100)が四方切換弁(24)を第2状態とする。制御部(100)は、圧縮機(21)、室外ファン(25)、および室内ファン(50)を運転する。制御部(100)は、膨張弁(23)の開度を調節する。暖房運転中の冷媒回路(11)は、室内熱交換器(40)が放熱器として機能し、室外熱交換器(22)が蒸発器として機能する冷凍サイクル(暖房サイクル)を行う。
【0087】
具体的には、圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、室内熱交換器(40)を流れる。室内熱交換器(40)は、冷媒と室内空気とを熱交換させる。室内熱交換器(40)で放熱、あるいは凝縮した冷媒は、膨張弁(23)で減圧された後、室外熱交換器(22)を流れる。室外熱交換器(22)は、冷媒と室外空気とを熱交換させる。室外熱交換器(22)で蒸発した冷媒は、圧縮機(21)で再び圧縮される。
【0088】
室内機(30)では、室内空気が吸込口(32)を通じて空気通路(34)に吸い込まれる。空気通路(34)の空気は、室内熱交換器(40)を通過する。室内熱交換器(40)は、冷媒によって空気を加熱する。室内熱交換器(40)で加熱された空気は、吹出口(33)を通じて室内空間(I)へ供給される。
【0089】
(5-3)冷房運転時の照射装置の動作
冷房運転時には、制御部(100)が照射装置(70)をON状態とする。照射装置(70)がON状態になると、LED(72)が紫外線を照射する。この紫外線は、第1ドレンパン(61)に照射される。これにより、第1ドレンパン(61)や第1ドレンパン(61)内の水を除菌できる。したがって、第1ドレンパン(61)における菌やカビの繁殖を抑制できる。
【0090】
加えて、紫外線は、空気通路(34)を流れる空気に照射される。このため、空気通路(34)を流れる空気を除菌し、除菌した空気を室内へ供給できる。
【0091】
制御部(100)は、冷房運転時における照射装置(70)の発光強度を、暖房運転時における照射装置(70)の発光強度よりも大きくする。冷房運転は、高温高湿条件下で実行される。このため、冷房運転時には、ケーシング(31)の内部において、菌などが繁殖しやすい。これに対し、冷房運転時の照射装置(70)の発光強度を大きくすることで、このような菌の繁殖を確実に抑制できる。
【0092】
冷房運転時のフィン(F)の温度は、暖房運転時のそれよりも低い。このため、冷房運転時には、照射装置(70)の発熱をより効果的に抑制できる。その結果、冷房時において、照射装置(70)のLED(72)の出力を大きくできる。
【0093】
(5-4)暖房運転時の照射装置の動作
暖房運転時には、制御部(100)が照射装置(70)をON状態とする。照射装置(70)がON状態になると、LED(72)が紫外線を照射する。この紫外線は、空気通路(34)を流れる空気に照射される。このため、空気通路(34)を流れる空気を除菌し、除菌した空気を室内へ供給できる。
【0094】
加えて、暖房運転中には、制御部(100)が逆サイクルデフロスト動作を適宜行う。逆サイクルデフロスト動作では、冷房運転と同様、室内熱交換器(40)が蒸発器となるため、結露水が発生することがある。ドレンパン(60)は、この結露水を受ける。
【0095】
暖房運転時において、LED(72)が照射された水は第1ドレンパン(61)に照射される。このため、第1ドレンパン(61)や第1ドレンパン(61)内の水を除菌できる。したがって、逆サイクルデフロスト動作に起因して、第1ドレンパン(61)において菌やカビが繁殖することを抑制できる。
【0096】
(6)特徴
(6-1)空気調和装置(10)は、照射装置(70)の熱を空気へ放出する放熱部としてのフィン(F)を備える。このため、比較的簡単な構成により、LED(72)の温度上昇を抑制できる。
【0097】
具体的には、空気調和装置(10)は、フィン(F)とを接続する熱伝導部(75)を有する。このため、LED(72)から発する熱を、熱伝導部(75)を介してフィン(F)に伝えることができる。したがって、フィン(F)の放熱効果により、LED(72)の温度上昇を抑制できる。これにより、照射装置(70)で所望の動作を行うことができる。フィン(F)は、室内熱交換器(40)に設けられ、十分な伝熱面積を有するため、LED(72)の発熱を効果的に抑制できる。
【0098】
(6-2)熱伝導部(75)は金属材料であるため、照射装置(70)の熱を、熱伝導部(75)を介して速やかにフィン(F)に伝えることができる。このため、熱伝導部(75)の熱移動が律速となることに起因して、LED(72)の放熱効果が低下することを抑制できる。特に熱伝導部(75)の熱伝導率を80W/m・K以上とすることで、LED(72)の放熱効果を向上できる。特に熱伝導部(75)の熱伝導率を100W/m・K以上とすることで、LED(72)の放熱効果を十分に得ることができる。
【0099】
放熱部としてのフィン(F)の熱伝導率を80W/m・K以上とすることで、LED(72)の放熱効果を向上できる。特にフィン(F)の熱伝導率を100W/m・K以上とすることで、LED(72)の放熱効果を十分に得ることができる。
【0100】
(6-3)制御部(100)は、冷房運転において、照射装置(70)をON状態とする。このため、特に菌やカビなどが発生しやすい条件下において、所定の対象(空気やドレンパン(60))を除菌できる。加えて、冷房運転中の室内熱交換器(40)は、蒸発器として機能する。このため、LED(72)を冷媒によって十分に冷却できる。
【0101】
(6-4)制御部(100)は、暖房運転において、照射装置(70)をON状態とする。このため、暖房運転においても、対象(空気やドレンパン(60))を除菌できる。照射装置(70)をON状態にすると、LED(72)の温度が例えば80℃以上になることもある。これに対し、室内熱交換器(40)で凝縮する冷媒の温度は、LED(72)の温度よりもかなり低くなる。したがって、暖房運転においても、LED(72)を冷媒によって十分に冷却できる。
【0102】
(6-5)制御部(100)は、冷房運転時の照射装置(70)の発光強度を、暖房運転時の照射装置(70)の発光強度よりも大きくする。このため、高温高湿の条件下において、菌やカビが繁殖することを確実に抑制できる。
【0103】
(6-6)照射装置(70)は、紫外線をドレンパン(60)に向かって照射する。このため、ドレンパン(60)やドレンパン(60)内の水を除菌できる。
【0104】
(6-7)照射装置(70)は、ファン(50)が搬送する空気に向かって紫外線を照射する。このため、除菌した空気を室内空間(I)へ供給できる。
【0105】
(6-8)照射装置(70)は、室内熱交換器(40)よりも空気流れの上流側に配置される。このため、室内熱交換器(40)の近傍で発生した結露水などが、回路基板(71)やLED(72)に付着することを抑制でき、照射装置(70)の動作を補償できる。
【0106】
(6-9)LED(72)は、空気流れの下流側を向いている。このため、空気中の塵埃などがLED(72)の表面に付着することを抑制でき、LED(72)の実質的な照射量が小さくなることを抑制できる。
【0107】
(7)変形例
上記各実施形態においては、以下のような変形例の構成を採用してもよい。
【0108】
(7-1)変形例1:照射装置の対象に関する変形例
(7-1-1)
照射装置(70)は、第2ドレンパン(62)に紫外線を照射してもよい。照射装置(70)は、第1ドレンパン(61)および第2ドレンパン(62)の双方に紫外線を照射してもよい。
【0109】
(7-1-2)
図5に示すように、照射装置(70)は、室内熱交換器(40)に紫外線を照射してもよい。これにより、室内熱交換器(40)の表面を除菌できる。本例では、照射装置(70)は、第1熱交換器(41)に紫外線を照射する。熱伝導部(75)は、照射装置(70)と第1熱交換器(41)とを接続する。言い換えると、熱伝導部(75)は、照射装置(70)と、この照射装置(70)の対象とを接続する。照射装置(70)は、第2熱交換器(42)に紫外線を照射してもよい。この場合、熱伝導部(75)は、照射装置(70)と第2熱交換器(42)とを接続する。
【0110】
(7-1-3)
照射装置(70)は、フィルタ(38)に紫外線を照射してもよい。これにより、フィルタ(38)の表面や内部を除菌できる。照射装置(70)は、フィルタ(38)の塵埃除去機構に紫外線を照射してもよい。
【0111】
(7-1-4)
照射装置(70)は、室内ファン(50)によって搬送される空気のうち、ケーシング(31)の外部の空気に紫外線を照射してもよい。具体的には、照射装置(70)は、吸込口(32)に吸い込まれる空気に紫外線を照射してもよい。照射装置(70)は、吹出口(33)から吹き出される空気に紫外線を照射してもよい。
【0112】
(7-1-5)
照射装置(70)は、ファンとしての室内ファン(50)に紫外線を照射してもよい。これにより、室内ファン(50)を除菌できる。
【0113】
(7-1-6)
照射装置(70)は、ケーシング(31)の内壁や、空気通路(34)に面する内壁に紫外線を照射してもよい。これにより、これらの内壁を除菌できる。
【0114】
(7-2)変形例2:照射装置と空気流れとの関係
照射装置(70)は、室内熱交換器(40)における空気流れの下流側に配置されてもよい。LED(72)は、空気流れの上流側に向かって紫外線を照射してもよい。
【0115】
(7-3)変形例3:空気調和装置の方式に関する変形例
(7-3-1)
空気調和装置(10)は、天井設置式の室内機(30)を有してもよい。ここで、天井設置式の室内機(30)は、室内機(30)が天井面に埋め込まれる天井埋め込み式や、室内機(30)が上壁に吊り下げられる天井吊り式を含む。
【0116】
図6は、室内機(30)の縦断面図である。室内機(30)は、天井裏に設置されるケーシング(31)を備えている。ケーシング(31)は、ケーシング本体(35)と、パネル(36)とを備える。ケーシング本体(35)は、下側に開口面が形成される矩形箱状に形成される。パネル(36)は、ケーシング本体(35)の開口面に着脱可能に取り付けられる。パネル(36)は、矩形枠状のパネル本体(36a)と、パネル本体(36a)の中央に設けられる吸込グリル(36b)とを有する。
【0117】
パネル本体(36a)の中央には1つの吸込口(32)が形成される。吸込グリル(36b)は、吸込口(32)に取り付けられる。パネル本体(36a)の4つの側縁部には、それぞれ吹出口(33)が1つずつ形成される。各吹出口(33)は、4つの側縁部に沿うように延びている。各吹出口(33)の内部には、フラップ(39)がそれぞれ設けられる。ケーシング(31)内には、吸込口(32)から吹出口(33)に亘って空気通路(34)が形成される。
【0118】
ケーシング本体(35)の内部には、ベルマウス(43)と、室内ファン(50)と、室内熱交換器(40)と、ドレンパン(60)とが設けられる。ベルマウス(43)および室内ファン(50)は、吸込グリル(36b)の上方に配置される。室内ファン(50)は、遠心式のターボファンである。室内熱交換器(40)は、室内ファン(50)の周囲を囲むように空気通路(34)に配置される。室内熱交換器(40)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器である。ドレンパン(60)は、空気通路(34)における室内熱交換器(40)の下方に配置される。
【0119】
本例では、照射装置(70)が室内熱交換器(40)の上流側に配置される。照射装置(70)は、ドレンパン(60)に向かって紫外線を照射する。
【0120】
本例の熱伝導部(75)は、照射装置(70)と室内熱交換器(40)のフィン(図示省略)とを接続する。これにより、LED(72)の熱を、フィンを介して空気中へ放出できる。
【0121】
(7-3-2)
室内機(30)は、床置き式や、天井裏に設置されるダクト式であってもよい。
【0122】
(7-3-3)空気調和装置(10)は、室内空間(I)を換気する機能を有してもよい。空気調和装置(10)は、加湿や除湿の機能を有してもよい。空気調和装置(10)は、空気を浄化する機能を有してもよい。
【0123】
(7-3-4)
室内機(30)では、室内熱交換器(40)において冷媒と空気を熱交換させる。しかし、室内熱交換器(40)は、水やブラインなどの冷媒以外の熱媒体と空気を熱交換させてもよい。
【0124】
(7-3-5)
空気調和装置(10)は、複数の室内機(30)を有するマルチ式であってもよい。空気調和装置(10)は、複数の室外機(20)を有してもよい。
【0125】
(7-4)変形例4:照射装置の制御に関する変形例
(7-4-1)
制御部(100)は、空気調和装置(10)の運転停止時において、照射装置(70)をON状態としてもよい。具体的には、制御部(100)は、例えば冷房運転の終了直後に照射装置(70)をON状態としてもよい。この場合、照射装置(70)は、ドレンパン(60)に向かって紫外線を照射する。冷房運転の終了直後には、ドレンパン(60)に結露水が溜まり易いため、ドレンパン(60)内の水を確実に除菌できる。
【0126】
(7-4-2)
制御部(100)は、暖房運転において、照射装置(70)をOFF状態としもよい。この場合にも、制御部(100)は、冷房運転時の照射装置(70)の出力を、暖房運転時の出力(ゼロ)よりも大きくするとよい。
【0127】
(7-4-3)制御部(100)は、冷房専用の空気調和装置(10)の冷房運転時に、照射装置(70)をON状態としてもよい。
【0128】
(7-4-4)制御部(100)は、暖房専用の空気調和装置(10)の暖房運転時に、照射装置(70)をON状態としてもよい。
【0129】
(7-5)変形例5:熱伝導部の構成に関する変形例
(7-5-1)
図7に示すように、熱伝導部(75)は、フィン(F)の一部であってもよい。図7は、フィン(F)を厚さ方向に見た模式図である。フィン(F)は、矩形板状のフィン本体(Fa)と、フィン本体(Fa)と一体の突起部(Fb)とを有する。突起部(Fb)は、フィン本体(Fa)の幅方向の端部から外方に突出している。フィン本体(Fa)と突起部(Fb)とは、一体に成形される。具体的には、フィン本体(Fa)と突起部(Fb)とは、プレス加工により一体に成形される。突起部(Fb)は、照射装置(70)とフィン本体(Fa)とを接続する熱伝導部(75)である。図7の例の照射装置(70)は、突起部(Fb)の側面に設けられている。
【0130】
この構成では、熱伝導部(75)がフィン(F)の一部に兼用されるため、部品点数を削減できる。加えて、熱伝導部(75)とフィン(F)とが一つの部材で構成されるため、熱伝導部からフィン本体(Fa)への熱伝達が促進される。この結果、LED(72)の放熱効果が向上する。
【0131】
(7-5-2)
図8に示す例では、突起部(Fb)の先端部分に折り返し面(Fc)が形成される。折り返し面(Fc)は、突起部(Fb)の先端部分を折り曲げることで形成される。折り返し面(Fb)は、下方を向いている。照射装置(70)は、折り返し面(Fb)に設けられる。これにより、LED(72)から下方に向かって紫外線を照射できる。
【0132】
(7-5-3)
熱伝導部(75)に放熱を促進する放熱促進部を設けてもよい。放熱促進部は、ヒートシンクやヒートパイプであってもよい。
【0133】
(7-5-4)
熱伝導部(75)は、熱伝導率が高い材料であればよく、例えば亜鉛、銅、真鍮であってもよい。熱伝導部(75)は、必ずしも金属材料でなくてもよく、グラファイトなどの炭素材料であってもよい。
【0134】
(7-6)変形例6:ケーシングの内面に放熱部を設ける第1の例
図9に示すように、変形例6の空気調和装置(10)は、壁掛け式の室内機(30)を有する。室内機(30)のケーシング(31)の内面には、放熱部としての第1放熱部材(91)が設けられる。ケーシング(31)は、前板(31a)を備える。前板(31a)は、ケーシング(31)の前面を構成する。前板(31a)は、樹脂材料で構成される。
【0135】
第1放熱部材(91)は、前板(31a)の内面に固定される。第1放熱部材(91)は、熱伝導性の高い材料で構成される。本例の第1放熱部材(91)は、金属材料で構成される。第1放熱部材(91)は、金属板また金属テープで構成される。なお、第1放熱部材(91)は、熱伝導性の高い樹脂材料で構成されてもよい。第1放熱部材(91)は、前板(31a)の内面に沿って延びている。第1放熱部材(91)は、空気通路(34)に面している。空気通路(34)を流れる空気は、第1放熱部材(91)に沿って流れる。第1放熱部材(91)は、熱交換器(40)よりも空気流れの上流側に配置される。第1放熱部材(91)は、ケーシング(31)の側板に固定されてもよい。側板は、ケーシング(31)のうち左右方向の側面を構成する。
【0136】
照射装置(70)は、放熱部としての第1放熱部材(91)に固定される。本例の照射装置(70)は、第1放熱部材(91)に直接固定される。照射装置(70)を放熱部に直接固定する方法としては、ビスなどによる締結による固定、接着、嵌合による固定、圧入による固定などが挙げられる。これらの固定方法は、上述した実施形態や他の変形例においても採用できる。照射装置(70)は、上述した熱伝導部(75)を介して第1放熱部材(91)に固定されてもよい。
【0137】
本例の照射装置(70)のLED(72)は、空気流れの下流側を向いている。LED(72)は、空気通路(34)を流れる空気に紫外線を照射する。加えて、照射装置(70)は、室内熱交換器(40)やドレンパン(60)に紫外線を照射する。
【0138】
変形例6では、LED(72)が発熱すると、この熱が第1放熱部材(91)に伝わる。第1放熱部材(91)に伝わった熱は、空気通路(34)の空気に放出される。制御部(100)は、冷房運転および暖房運転において照射装置(70)のON状態とする。冷房運転および暖房運転では、制御部(100)が室内ファン(50)を運転するので、空気通路(34)を流れる空気によって第1放熱部材(91)を冷却できる。第1放熱部材(91)は室内熱交換器(40)の上流側に位置するので、暖房運転であっても第1放熱部材(91)を空気によって十分に冷却できる。
【0139】
制御部(100)は、空気調和装置(10)の停止時において、照射装置(70)をON状態としてもよい。この場合にも、照射装置(70)の熱を、第1放熱部材(91)から空気へ放出できる。
【0140】
ケーシング(31)の内面では、第1放熱部材(91)の設置スペースを確保できるので、第1放熱部材(91)の面積を拡大しやすい。このため、第1放熱部材(91)の放熱性能を向上できる。
【0141】
(7-7)変形例7:ケーシングの一部が放熱部である第1の例
図10に示すように、変形例7の空気調和装置(10)は、壁掛け式の室内機(30)を有する。室内機(30)のケーシング(31)の一部が放熱部を構成する。具体的には、ケーシング(31)の前板(31a)の少なくとも一部は、熱伝導性の高い第2放熱部材(92)で構成される。第2放熱部材(92)は、金属材料で構成されるが、熱伝導性の高い樹脂材料で構成されてもよい。第2放熱部材(92)は、空気通路(34)に面する板状に形成される。第2放熱部材(92)は、ケーシング(31)の側板に構成されてもよい。変形例7の空気調和装置(10)の他の基本的な構成は、変形例6と同じである。
【0142】
変形例7では、放熱部がケーシング(31)の一部によって構成される。このため、部品点数を削減できる。また、この構成では、第2放熱部材(92)に伝わった熱を、空気通路(34)の空気だけでなく、ケーシング(31)の外部の空気にも放出できる。このため、放熱部の放熱性能を向上できる。
【0143】
(7-8)変形例8:ケーシングの一部が放熱部である第2の例
図11に示すように、変形例8の空気調和装置(10)は、変形例3と同様、天井設置式の室内機(30)を有する。室内機(30)のケーシング(31)の一部が放熱部を構成する。具体的には、ケーシング(31)の天板(31b)の少なくとも一部は熱伝導性の高い第2放熱部材(92)で構成される。天板(31b)の第2放熱部材(92)は、空気通路(34)に面する。第2放熱部材(92)は、ケーシングの側板であってもよい。
【0144】
照射装置(70)のLED(72)は、下方を向いている。照射装置(70)は、空気通路(34)に紫外線を照射する。照射装置(70)は、熱交換器(40)やドレンパン(60)に紫外線をさらに照射する。
【0145】
変形例8においても、放熱部がケーシング(31)の一部によって構成される。このため、部品点数を削減できる。天板(31b)は、側板と比べて比較的広い面積を有するので、放熱部の放熱性能を向上できる。
【0146】
(7-9)放熱部の他の構成
放熱部は、伝熱性能の高い材料であれば如何なる部品に設けられてもよい。放熱部は、金属製、あるいは熱伝導性を有する樹脂材料からなるドレンパンであってもよい。放熱部は、熱交換器(40)の管板、熱交換器(40)のヘッダ集合管、分流器、冷媒配管、または水配管であってもよい。このように、放熱部は、空気調和装置(10)の要素部品であることが好ましい。ここで、要素部品は、空気調和装置(10)の本来の機能を達成するために設けられる部品である。要素部品であれば、別途、放熱用の部品を設けることがないので、部品点数やコストを削減できる。
【0147】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0148】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0149】
以上に説明したように、本開示は、空気調和装置について有用である。
【符号の説明】
【0150】
F フィン(放熱部)
10 空気調和装置
31 ケーシング
34 空気通路
40 室内熱交換器(熱交換器)
50 室内ファン(ファン)
60 ドレンパン
70 照射装置
72 LED
75 熱伝導部
91 第1放熱部材(放熱部)
92 第2熱伝導部材(放熱部)
100 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11