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  • 特許-調整可能な流体研磨取付具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】調整可能な流体研磨取付具
(51)【国際特許分類】
   B24B 31/00 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
B24B31/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022201405
(22)【出願日】2022-12-16
(65)【公開番号】P2023098657
(43)【公開日】2023-07-10
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】110149170
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】514173696
【氏名又は名称】國家中山科學研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李貴智
(72)【発明者】
【氏名】施建志
(72)【発明者】
【氏名】馮奕澂
(72)【発明者】
【氏名】黄穎生
(72)【発明者】
【氏名】任國光
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-149167(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0348809(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108436749(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B3/00-3/60
B24B21/00-39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース、少なくとも2つのガイドブロック及び少なくとも2つの制限ユニットを含み、
前記ベースには、研磨対象物を挟持するための挟持固定座が設けられ、
前記少なくとも2つのガイドブロックは、前記ベースの上方に設けられ、それぞれ相互に組合わせることにより、前記研磨対象物を被覆し、前記ガイドブロックの前記研磨対象物への一面側に流路溝が形成され、前記ガイドブロックが組合わされた後、それぞれの流路溝が結合して流体研磨空間となり、
前記2つの制限ユニットは、前記ベースの上方に設置されており、前記制限ユニットは、前記ガイドブロックを固定するために用いられると共に、前記ベース上における前記ガイドブロックの固定位置を調整するためのものであり、
前記ベースの表面には、前記ガイドブロックの固定位置を調節するために照準を合わせるための調節ダイヤルが設けられており、
前記制限ユニットは、スライド槽と固定キーとの組合わせで構成され、
研磨材に合わせて、前記スライド槽における前記固定キーの位置を調整することにより、前記少なくとも2つのガイドブロックの位置を調整し、前記調節ダイヤルに照準を合わせて前記ガイドブロックの固定位置を調整することによって前記流体研磨空間の大きさを調整することを特徴とする調整可能な流体研磨取付具。
【請求項2】
前記ベースには、前記流体研磨空間に連通する流体入口が形成されることを特徴とする請求項1に記載の調整可能な流体研磨取付具。
【請求項3】
前記ガイドブロックと前記研磨対象物とを被覆するために前記ベースに設けられる上蓋を更に含み、
前記上蓋には、前記流体研磨空間に連通する流体出口が形成されることを特徴とする請求項1に記載の調整可能な流体研磨取付具。
【請求項4】
前記流体研磨空間は、前記上蓋と前記ガイドブロックと前記挟持固定座とを組合わせることにより、中間に形成されるものであることを特徴とする請求項に記載の調整可能な流体研磨取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械加工技術に関するものであり、特に3Dプリント製造製品の表面処理に用いられる調整可能な流体研磨取付具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
3Dプリント製造(Additive Manufacturing)とは、コンピュータ支援設計ソフトで三次元モデルデータを処理して、粉末原料層を積層することによって立体物を造形することである。金属3Dプリント製造は、コンピュータのCAD Modelデータを実体ワークピースに実現することによって、金型を用意することなく、製品を直接完成させることができる。
【0003】
また、クライアントの特定ニーズに応じて、複数のワークピースを合わせることにより、多くの伝統的な製造方法にとって困難であったワークピースの構造を素早く製造することができる。
【0004】
加えて、少量生産により生じる金型のコストが極めて高額であるという問題を心配する必要もない。よって、伝統的な製造技術と比較して、「複数部品一体形成」、「軽量化」、「適切な流路設計」及び「カスタマイズ」は、金属3Dプリント製造技術が技術的に有利な点である。
【0005】
上記利点に基づくと、金属3Dプリント製造は、現行の超精密金属部品の製造における鍵となる技術の1つであり、費用のかかる金型、カスタマイズの金属部品及び複雑な構造体と内部流路の加工ニーズという課題を効率的に解決できる。
【0006】
金属3Dプリント製造技術が航空及び航空宇宙の分野に次第に応用されてることで、前記分野のワークピースの表面の品質は改善された。この改善により、金属3Dプリント製造技術は、材料表面の欠陥により応力が集中するという現象を防止できるだけでなく、機械の振動及び摩損を減少させることにより、ワークピース材料の使用寿命を延ばすこともできるようになった。
【0007】
したがって、航空、航空宇宙産業において、金属3Dプリント製造によるワークピースの精度・サイズに対する要求は高く、特に、複雑なねじり曲面を有し、かつ薄板であることを特徴とするブレードのワークピースについて、ワークピースの表面粗さの品質に対する評価は慎重なものである。
【0008】
しかし、金属3Dプリント製造技術で産出された金属ワークピースは、その表面がざらざら(約Ra10~15μm)しているため、その表面処理技術は粗さの差異が大きく、ワークピース表面の加工が容易でない等の課題を克服する必要がある。
【0009】
流体研磨装置には、動作原理によって往復式、回転式等の多種形式があるが、そのうち往復式は、ワークピースを研磨チャンバー中に固定して、研磨粒子を含む研磨剤が両端から前記研磨チャンバーに流入及び流出を繰り返し、内部ワークピースの表面を流動させることで研磨効果を得るものである。
【0010】
流体研磨は、柔らかい研磨材を押圧する方法で研磨粒子と可撓性媒体とを取付具の中に送り込むので、研磨材が取付具の中で繰り返して圧されるとき、部品の表面と摩擦(フレックス接触)が発生することにより、研磨効果を得ることができる。流体研磨の最大の特性は、手作業では研磨できない部位まで研磨できることであるため、気体や液体、その他流体の導通管内部を研磨するのに適している。流体研磨は、研磨痕及び流体の通過する方向と一致するため、流体が通過し易いという利点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
金属3Dプリント製造は、複雑な形態、複雑な流路及び内部構造の金属製品を製造することができるが、その製品の表面はざらざらしているという欠点があるため、目標粗さを達成するには、一般的な流体研磨技術によって研磨を行うとより長い研磨時間を要する。
【0012】
従来技術の流体研磨取付具は、ある特定の流経、材質の研磨剤のニーズに合わせるために、内部空間や研磨材流路のサイズ及び相対的な位置が既に固定された単一全体構造がほとんどである。異なる研磨粒子の研磨材に変更した場合、前記研磨剤の最もよい研磨効果を発揮するには、上記変更した研磨粒子に対応する流路幅を有する取付具に変更する必要がある。そのため、複数の取付具を必要とし、取付具の製造コストが非常に高く、かつ大量生産される部品に使用すると、取付具が研磨過程においても研磨剤による侵蝕の影響を受けるため、定期的に交換する必要がある。
【0013】
中国特許CN 104715110 Bの「精密かつ複雑な曲面部品の金型面に用いられる研磨材の流れで精密に研磨する金型の設計方法」において、治具の流路幅の設計を通じて、複雑な表面も等量で均等に研磨できるので、高い均等性、低い変形量の研磨効果を得られるということを言及している。
【0014】
しかし、先行技術である当該中国特許出願において研磨粗さの幅は、比較的小さいであるから、仕上げ加工の研磨範囲に属している。したがって、ワークピースの粗形品を3Dプリント製造する場合、必然的に荒加工のステップ数を増やしたり、研磨時間を増やす必要がある。ワークピースの粗形品を3Dプリント製造するには、荒加工を通じて、表面粗さをRa2.0~1.6μmに低下させてからでないと研磨を行うことができない。
【0015】
そのため、ワークピースを運送する時間的コストが増加し、かつ曲面荒加工の精度は、制御し難いから、構造精度の高いワークの要求に対応することは困難である。3Dプリント製造のワークピースの粗形品に対して前記中国特許出願の設計における治具を直接利用して研磨を行うと、研磨時間が長く研磨材の高すぎる熱により、研磨の効率が下がったり、研磨材の使用寿命を短縮する等の不利な要素が現れる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記先行技術の欠点を改善するために、本発明は、調整可能な流体研磨取付具を提供する。本発明は、流路の調整が可能な治具を設計することで、等量の研磨ワークピース表面を制御して、同一の治具で異なる粒子粒度の研磨材の使用により、複数の研磨ステップに使用することが可能となるため、ワークピース曲面の正確なサイズの維持、研磨工程時間の短縮、表面研磨効果の確保という利点を奏することができる。
【0017】
本発明は、ベース、少なくとも2つのガイドブロック及び少なくとも2つの制限ユニットを含む調整可能な流体研磨取付具である。前記ベースには、研磨対象物を挟持するための挟持固定座が設けられ、前記少なくとも2つのガイドブロックは、前記ベースの上方に設けられ、それぞれ相互に組合わせることにより、前記研磨対象物を被覆し、前記ガイドブロックの前記研磨対象物への一面側に流路溝を設置しており、前記ガイドブロックを組合わせた後、それぞれの流路溝が結合して流体研磨空間となり、前記2つの制限ユニットは、前記ベースの上方に設置されており、前記制限ユニットは、前記ガイドブロックを固定するために用いられると共に、前記ベース上における前記ガイドブロックの固定位置を調整する。
【0018】
本発明の実施例において、前記制限ユニットは、スライド槽と固定キーとの組合わせである。
【0019】
本発明の実施例において、前記ベースの表面には、前記ガイドブロックの固定位置を調節するために調節ダイヤルが設けられている。
【0020】
本発明の実施例において、前記ベースには、記流体研磨空間に連通する流体入口が形成される。
【0021】
本発明の実施例において、前記ガイドブロックと前記研磨対象物とを被覆するために前記ベースに設けられる上蓋を更に含み、前記上蓋には、前記流体研磨空間に連通する流体出口が形成される。
【0022】
本発明の実施例において、前記流体研磨空間は、前記上蓋と前記ガイドブロックと前記挟持固定座とを組合わせることにより、中間に形成されるものである。
【0023】
以上の概述と以下の詳細な説明及び図面は、いずれも本発明の所要の目的を達するために採る方法、手段、効果を説明するためのものである。本発明の他の目的及び利点については、後続の説明と図面で述べる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る調整可能な流体研磨取付具の実施例の構造を示す図である。
図2】本発明における上蓋の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下は、特定の具体的な実施例により本発明の実施形態を説明するためのものであり、当業者は本明細書の開示する内容に基づき本発明の他の利点及び効果を容易に理解することができる。
【0026】
本発明の調整可能な流体研磨取付具は、3Dプリント製造加工後の製品表面処理工程、例えば平坦磨き、研磨、型の修正等の動作に適用される。3Dプリント製造の加工特性により、ワークピース表面は、比較的ざらざらしており、改めて表面研磨工程を行う必要がある。
【0027】
一般的な機械加工工程で平均粗さが比較的大きいワークピースを処理するとき、手動のブラスト、電気研磨等の方法でワークピースの粗さ(Ra2.0~1.6μmまで下げる)を下げる場合がある。
【0028】
しかし、上記加工方法は、3Dプリント製造にて製造される一体成形の曲面付けのワークピースの正確な外形を保証することが難しい。そこで、ワークピースの初期の表面と目標との平均粗さが大きいという課題を解決し、かつその曲面の正確な外形のサイズを保持するために、現在、業界において流体研磨技術(Abrasive Flow Machining、AFM)を使用することにより、ワークピース表面の研磨を行う傾向にある。
【0029】
前記技術は、研磨粒子と弾力性及び粘着性を有する可撓性媒体とがワークピースの表面との接触を利用して、異なるサイズ規格の研磨取付具と異なる粒子粒径の研磨材に変更することにより、荒いものから仕上げのものまでワークピースの表面粗さを所要の標準まで研磨することができる。
【0030】
先行技術の記載通り、それぞれの研磨ステップは、荒加工、仕上げ加工等異なるサイズ規格の流体研磨取付具を必要としており、1つのワークピースの研磨を行うのに、多くの取付具を取り換えることで、ワークピースの製品の表面粗さのニーズに満足することができ、また取替工程は煩雑であり、作業時間が長い問題がある。更に、取付具の長時間使用後に次第に摩損されるため、新品に取り換える必要があり、複数の取付具の交換コストは比較的高い問題もある。
【0031】
本発明に係る調整可能な流体研磨取付具の実施例の構造を示す図に関して、図1に示すように、前記図面は、調整可能な流体研磨取付具の上面図及び側断面図であり、ベース11、2つのガイドブロック13A、13B、及び2つの制限ユニット14を含む。
【0032】
前記ベース11には、研磨対象物12を挟持するための挟持固定座11Aが設けられ、前記ガイドブロック13A、13Bは、前記ベース11上方に設けられ、かつ前記2つのガイドブロック13A、13Bが相互に組合わせることにより、前記研磨対象物12を被覆し、前記ガイドブロック13A、13Bの前記研磨対象物12への一面側に凹槽(流路溝)15、16が形成され、前記ガイドブロック13A、13Bを組合わせた後、それぞれの流路溝15、16が結合して流体研磨空間17となることで、研磨材が前記流路溝15、16を通過するとき、研磨材中の研磨粒子と研磨対象物12の表面とが接触して摩擦させ、研磨対象物12が前記流体研磨空間17に位置され、前記流体研磨空間17の上方には、研磨材(中に研磨粒子が含まれている)を流入させる開口171が形成されると共に、前記ベース11にも前記流体研磨空間17に連通する一又は二以上の流体入口11Bが形成されるため、研磨材を上又は下の両端から前記流体研磨空間17に入れることにより、前記研磨対象物12を研磨する効果を得ることができる。
【0033】
また、前記2つの制限ユニット14は、前記ベース11の上方に設置されており、前記制限ユニット14は、前記ガイドブロック13A、13Bを固定するために用いられると共に、前記ベース11の上における前記ガイドブロック13A、13Bの固定位置を調整することにより、前記ガイドブロック13A、13Bを組合わせた後の流体研磨空間17の大きさ(即ち、特定研磨材に対応する流路幅)を調整する。
【0034】
本発明に係る調整可能な流体研磨取付具の実施例は、往復式の流体研磨に用いられるものである。伝統的な方法は、研磨対象物を両端にのみ流体入口が設けられた密閉の研磨チャンバー(中に取付具を含むことでワークピースを固定する)の中に設置することで、研磨材を両端から繰り返して出入りさせる。
【0035】
また、研磨効果を増進させるために、研磨チャンバーの大きさ、形状、及びワークピースとの距離は、ワークピースの形状、研磨材の種類及び粒径の大きさ等のパラメーターに合わせる必要がある。
【0036】
研磨対象物の初期の粗さと使用ニーズの粗さとの相違が極めて大きい場合、単一規格の研磨取付具、単一粒径の研磨材のみを使用して、一回の研磨工程を行うのでは、ワークピースの表面の粗さが目標表面粗さに到達することは難しかったことから、様々な研磨チャンバーに対応する取付具を取り換えなくてはならなかった。
【0037】
一方で、本発明の調整可能な流体研磨取付具は、組み立て式のガイドブロック13A、13Bで研磨チャンバー(即ち、前記流体研磨空間17)を構成することから、異なる形式のガイドブロック13A、13Bを設置するだけで、異なる形式の外形的なワークピースの研磨ニーズに対応することができると同時に、制限ユニット14でガイドブロック13A、13Bの位置を調整することにより、流体研磨空間17の大きさを変更して荒研磨ステップ、仕上げ研磨ステップにそれぞれ必要な異なる粒径研磨材に対応する流路幅のニーズに満足することができる。
【0038】
本発明の実施例において、前記調整可能な流体研磨取付具は、前記ベース11に設置される上蓋21を更に含んでもよく、図2に示すように、前記上蓋21は、ベース11上のガイドブロック13A、13Bと研磨対象物12とを完全に覆うことで、固定及び保護の効果を奏することができる。
【0039】
前記上蓋21の上方に、前記ガイドブロック13A、13Bからなる流体研磨空間17に連通する開口21A(流体出口)が形成されている。これにより、研磨材が前記開口21Aを通過して前記流体研磨空間17に入り込まれることで、ワークピースを研磨する工程を行うことが可能となっている。
【0040】
本発明の実施例において、前記流体研磨空間17は、前記上蓋21と前記ガイドブロック13A、13Bと前記挟持固定座11Aとを組合わせた後、中間に形成されるものであり、本発明が実際に応用されているときを考慮すると、前記ガイドブロック13A、13Bの固定位置(流路幅)を調整するとき、ガイドブロック13A、13Bだけで封鎖の流体研磨空間17を形成できない虞がある。
【0041】
したがって、密封部材とする前記上蓋21が前記ガイドブロック13A、13Bを被覆することにより、上蓋21、ガイドブロック13A、13Bと挟持固定座11Aとを組合わせた後、前記流体研磨空間17(上下には、研磨材を入れる開口がある)を中間に形成させることができる。
【0042】
使用者は、ガイドブロック13A、13B以外に、別途の簡易ストッパーを加える等の手段によって上蓋21による研磨対象物12の密封効果を取り換えることができ、調整後のガイドブロック13A、13Bの中間における流体研磨空間17の密封を保持することができる。
【0043】
注意事項としては、前述の実施例に記載のベース11の流体入口11B及び上蓋21の流体出口21Aは、研磨材の流入、流出方向を制限するために用いられるものではなく、往復式の研磨工程は、実際に行うとき両端から繰り返して出入りすることから、本発明の入口、出口は、部材用語の説明に過ぎず、研磨材の方向又は研磨工程を限定するものでもない。
【0044】
本発明の実施例において、前記制限ユニット14は、前記ガイドブロック13A、13Bのベース11における位置を固定するために用いられるものであり、前記制限ユニット14を調整することで、流体研磨流路幅(流体研磨空間17の大きさ)を変更するという目的を達成して、異なる種類、粒径の研磨材のニーズに適応する。
【0045】
本発明の制限ユニット14は、スライドキー(スライド槽141と固定キー142との組合わせ)を使用してもよく、ベース11の表面に予め設定される調節ダイヤル111を搭載することにより、異なる粒径、異なる種類の研磨材に応じて前記ガイドブロック13A、13Bの固定位置を調整することができる。
【0046】
本発明の一組の調整可能な流体研磨取付具を用いるだけで、荒研磨から仕上げ研磨のいくつもの研磨工程を満足することができる。本発明では、他の種類の調整可能な固定装置、例えばねじ貫通孔、摺動レール、ステッピングモータ等を使用してもよく、本発明におけるガイドブロック13A、13Bの位置を調整することで研磨流路幅を変更する要旨さえ満たせば、いずれも本発明の範疇に属する。
【0047】
本発明のガイドブロック13A、13B、制限ユニット14、挟持固定座11A及び上蓋21等の部材は、いずれも組み立て式設計であり、使用者は、ニーズに応じて様々な種類、材質、材質の部材を変更することにより、様々な研磨用途に適用することができる。本発明の調整可能な流体研磨取付具は、たとえ長時間使用や大量のワークピースの研磨により部品が摩損されても、前記部品を取り換えれば、治具全体を取り換える必要がないため、経済的利益において優れている。
【0048】
本発明の実施例において、荒、仕上げの2つ研磨ステップを例として、研磨の実施ステップを荒加工と仕上げ加工との2つのステップに分ける。その詳細な実施ステップは、以下の通りである。
【0049】
1.荒加工ステップは、荒加工用の研磨材(研磨材の種類の選択において、研磨粒子の粒径が比較的粗い研磨材)を研磨機の研磨材タンクに充填して、研磨対象物12を取付具の挟持固定座11Aに取り付けて、荒研磨用の研磨材(研磨材の種類の選択において、研磨粒子の粒径が比較的粗い研磨材)に応じて、左右のガイドブロック13A、13Bを調整してベース11に表示される調節ダイヤル111(流路幅)に照準を合わせ、ガイドブロック13A、13Bと研磨対象物12のとの間の流路幅を確認した後、研磨対象物12と取付具とを研磨位置に移動して固定し、研磨を開始する。
【0050】
2.仕上げ加工ステップは、荒加工が完了した後、荒加工済の研磨対象物12及び取付具を取り出してクリーニングし、荒加工用の研磨材を仕上げ加工用の研磨材に変更した後、荒加工済の研磨対象物12を取付具の挟持固定座11Aに取り付けると共に、仕上げ加工用の研磨材に合わせて流路幅を調整し、荒加工済の研磨対象物12と取付具を研磨位置に移動して固定してから、研磨を開始する。仕上げ加工ステップが完了した後、仕上げ加工済の研磨対象物12及び取付具を取り出してクリーニングすると、ワークピースの製品を得ることができる。
【0051】
これにより、本発明は、調整可能な流体研磨取付具を提供する。本発明は、複数の取付取付具を制作する必要はないことから、ワークピース研磨工程の全体コストを下げることができる。本発明は、調整可能な組み立て式の流体研磨取付具で異なる粒子粒径の研磨材を組合わせることによって、荒加工及び仕上げ加工の流体研磨方法を実現することができる。
【0052】
上記荒加工及び仕上げ加工の流体研磨方法は、荒加工によりワークピースの表面粗さを速く下げることができるので、研磨時間の短縮、研磨材内における研磨粒子の損耗の減少等の効果を有し、仕上げ加工を利用してワークピースの表面を目標粗さに達させることができる。本発明は、調整可能な組み立て式の流体研磨取付具であり、取付具が複数回の研磨過程による損傷した後、損傷した部品だけを交換することで、改めて取付具全体を製作する必要はないため、後続の取付具のメンテナンスコストを下げることができる。
【0053】
上記実施例は、例示的に本発明の特徴及びその効果を説明したものであり、本発明の実質的な技術的内容の範囲を制限するものではない。当業者であれば、本発明の精神及び範疇に反することなく、上記実施例に修正及び変更を加えることができる。よって、本発明の権利保護範囲は、特許請求の範囲の記載に記載された通りである。
【符号の説明】
【0054】
11 ベース
11A 挟持固定座
11B 流体入口
111 調節ダイヤル
12 研磨対象物
13A,13B ガイドブロック
14 制限ユニット
141 スライド槽
142 固定キー
15,16 凹槽(流路溝)
17 流体研磨空間
171 開口
21 上蓋
21A 開口(流体出口)
図1
図2