(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】ゴルフボールのスピンに影響を及ぼす表面特徴部を有するゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20240327BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20240327BHJP
【FI】
A63B53/04 C
A63B53/04 B
A63B102:32
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022209012
(22)【出願日】2022-12-26
(62)【分割の表示】P 2020138232の分割
【原出願日】2016-09-12
【審査請求日】2023-01-25
(32)【優先日】2015-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ジャーツソン
(72)【発明者】
【氏名】ライアン ストック
(72)【発明者】
【氏名】エヴァン グリール
(72)【発明者】
【氏名】カルバン ワン
(72)【発明者】
【氏名】エリック ヘンリクソン
【審査官】遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-92939(JP,A)
【文献】特開2014-54364(JP,A)
【文献】特開2008-79969(JP,A)
【文献】特開2007-236941(JP,A)
【文献】特開2004-201787(JP,A)
【文献】特開2001-299971(JP,A)
【文献】特開2000-33132(JP,A)
【文献】特開2000-176058(JP,A)
【文献】特開2004-222905(JP,A)
【文献】特許第5485779(JP,B2)
【文献】特許第5363090(JP,B2)
【文献】特許第4612130(JP,B2)
【文献】特許第3045653(JP,B2)
【文献】特許第4206031(JP,B2)
【文献】特公平5-23154(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2004/0038745(US,A1)
【文献】米国特許第5788584(US,A)
【文献】米国特許第6398665(US,B1)
【文献】国際公開第2014/112383(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00 - 53/14
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
ソール、前記ソールの反対側のクラウン、
ヒール、前記ヒールの反対側のトウ、バックエンド、及び、ホーゼルを有する本体部と、
25度を下回るロフトを有するクラブフェース
と、を備え、
前記クラブフェースは、ゴルフボールと前記クラブフェースとの間の摩擦係数を増加させるように構成されている表面特徴部を有しており、
前記クラブフェース
は、第1のエリア、第2のエリア、及び、第3のエリアを備え、
前記第1のエリアは、前記クラブフェースのセンターのクラウン側に位置し、前記トウ及び前記クラウンに向けて延在しており、
前記第3のエリアは、前記クラブフェースの前記センターのソール側に位置し、前記ヒール及び前記ソールに向けて延在しており、
前記第2のエリアは、前記第1のエリアと前記第3のエリアとの間に位置し、
前記表面特徴部は、前記第1のエリア、前記第2のエリア、及び、前記第3のエリアのそれぞれのエリア内に存在する表面粗さと、複数のマイクログルーブと、を備え、
前記表面粗さは、前記クラブフェースに対して垂直のベクトルの方向の偏差を有しており、
前記表面粗さは、前記ゴルフボールと前記クラブフェースとの間の前記摩擦係数が前記トウから前記ヒールに向かう方向において増加するように、前記クラブフェースに亘って変化しており、
前記マイクログルーブの集中度は、前記ゴルフボールと前記クラブフェースとの間の前記摩擦係数が前記クラウンから前記ソールに向かう方向において増加するように、前記クラブフェースに亘って変化しており、
前記第1のエリア、前記第2のエリア、及び、前記第3のエリアにおける前記ゴルフボールと前記クラブフェースとの間の前記摩擦係数のそれぞれは、前記トウから前記ヒールに向かう方向、及び、前記クラウンから前記ソールに向かう方向において増加しており、
前記クラブフェースの中心とは異なる領域における前記表面特徴部は、前記トウから前記ヒールに向かう方向、及び、前記クラウンから前記ソールに向かう方向において、前記ゴルフボールと前記クラブフェースとの間の前記摩擦係数を増加させ
ることによって、前記クラブフェースとの衝突後に前記ゴルフボールに付与されるスピンを減少させるように構成されている、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記第1のエリアにおける前記表面粗さは、0マイクロインチ(0マイクロメートル)から100マイクロインチ(2.54マイクロメートル)の範囲内で変化する、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記第2のエリアにおける前記表面粗さは、50マイクロインチ(1.27マイクロメートル)から120マイクロインチ(3.048マイクロメートル)の範囲内で変化する、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記第3のエリアにおける前記表面粗さは、100マイクロインチ(2.54マイクロメートル)から300マイクロインチ(7.62マイクロメートル)の範囲内で変化する、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記クラブフェースと前記ゴルフボールとの間の前記摩擦係数が前記クラウンから前記ソールに向かう方向に増加するように、前記複数のマイクログルーブのうちの隣接するマイクログルーブ間のスペースが前記クラブフェースに亘って変化するように、前記隣接するマイクログルーブは前記スペースによって分離される、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記第3のエリアにおける前記隣接するマイクログルーブ間の前記スペースは、前記第2のエリアにおける前記隣接するマイクログルーブ間の前記スペースよりも小さく、
前記第2のエリアにおける前記隣接するマイクログルーブ間の前記スペースは、前記第1のエリアにおける前記隣接するマイクログルーブ間の前記スペースよりも小さい、請求項5に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記第1のエリアにおける前記表面粗さ、前記第2のエリアにおける前記表面粗さ、及び、前記第3のエリアにおける前記表面粗さは、重複しない、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記第3のエリアにおける前記マイクログルーブの前記集中度は、前記第2のエリアにおける前記マイクログルーブの前記集中度よりも大きく、
前記第2のエリアにおける前記マイクログルーブの前記集中度は、前記第1のエリアにおける前記マイクログルーブの前記集中度よりも大きい、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記表面特徴部を有する前記クラブフェース
の一部分と前記ゴルフボールとの間の前記摩擦係数は、0.25よりも大きい、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記第1のエリアにおける前記クラブフェースと前記ゴルフボールとの間の前記表面粗さは、前記第2のエリアにおける前記クラブフェースと前記ゴルフボールとの間の前記表面粗さよりも小さく、
前記第2のエリアにおける前記クラブフェースと前記ゴルフボールとの間の前記表面粗さは、前記第3のエリアにおける前記クラブフェースと前記ゴルフボールとの間の前記表面粗さよりも小さい、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
ゴルフクラブヘッドであって、
ソールと、前記ソールの反対側のクラウン、
ヒールと、前記ヒールの反対側のトウ、バックエンド、及び、ホーゼルを有する本体部と、
25度を下回るロフトを有するクラブフェース
と、を備え、
前記クラブフェースは、ゴルフボールと前記クラブフェースとの間の摩擦係数を増加させるように構成されている表面特徴部を有しており、
前記クラブフェース
は、第1のエリア、第2のエリア、及び、第3のエリアを備え、
前記第1のエリアは、前記クラブフェースのセンターのクラウン側に位置し、前記トウ及び前記クラウンに向けて延在してお
り、
前記第3のエリアは、前記クラブフェースの前記センターのソール側に位置し、前記ヒール及び前記ソールに向けて延在してお
り、
前記第2のエリアは、前記第1のエリアと前記第3のエリアとの間に位置
し、
前記表面特徴部は、前記第1のエリア内の第1の表面粗さと、前記第2のエリア内の第2の表面粗さと、前記第3のエリア内の第3の表面粗さと、複数のマイクログルーブと、を備え、
前記第3のエリアにおける前記第3の表面粗さは、前記第2のエリアにおける前記第2の表面粗さよりも大きく、
前記第2のエリアにおける前記第2の表面粗さは、前記第1のエリアにおける前記第1の表面粗さよりも大きく、
前記第1の表面粗さ、前記第2の表面粗さ、及び、前記第3の表面粗さは、前記クラブフェースに対して垂直のベクトルの方向の偏差を有
しており、
前記第1の表面粗さ、前記第2の表面粗さ、及び、前記第3の表面粗さのそれぞれは、前記ゴルフボールと前記クラブフェースとの間の前記摩擦係数が前記トウから前記ヒールに向かう方向において増加するように、前記クラブフェースに亘って変化しており、
前記マイクログルーブの集中度は、前記ゴルフボールと前記クラブフェースとの間の前記摩擦係数が前記クラウンから前記ソールに向かう方向において増加するように、前記クラブフェースに亘って変化しており、
前記第1のエリア、前記第2のエリア、及び、前記第3のエリアにおける前記ゴルフボールと前記クラブフェースとの間の前記摩擦係数のそれぞれは、前記トウから前記ヒールに向かう方向、及び、前記クラウンから前記ソールに向かう方向において増加して
おり、
前記クラブフェースの中心とは異なる領域における前記表面特徴部は、前記トウから前記ヒールに向かう方向、及び、前記クラウンから前記ソールに向かう方向において、前記ゴルフボールと前記クラブフェースとの間の前記摩擦係数を増加させることによって、前記クラブフェースとの衝突後に前記ゴルフボールに付与されるスピンを減少させるように構成されている、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記第1のエリアにおける前記
第1の表面粗さは、0マイクロインチ(0マイクロメートル)から100マイクロインチ(2.54マイクロメートル)の範囲内で変化する、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
前記第2のエリアにおける前記
第2の表面粗さは、50マイクロインチ(1.27マイクロメートル)から120マイクロインチ(3.048マイクロメートル)の範囲内で変化する、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記第
3のエリアにおける前記
第3の表面粗さは、100マイクロインチ(2.54マイクロメートル)から300マイクロインチ(7.62マイクロメートル)の範囲内で変化する、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
前記第1のエリアにおける前記
第1の表面粗さ、前記第2のエリアにおける前記
第2の表面粗さ、及び、前記第3のエリアにおける前記
第3の表面粗さは、重複しない、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記クラブフェースと前記ゴルフボールとの間の前記摩擦係数が前記クラウンから前記ソールに向かう方向に増加するように、前記複数のマイクログルーブのうちの隣接するマイクログルーブ間のスペースが前記クラブフェースに亘って変化するように、前記隣接するマイクログルーブは前記スペースによって分離される、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2015年9月11日に出願された米国仮特許出願第62/217,276号、2016年1月5日に出願された米国仮特許出願第62/274,832号、及び、2016年2月4日に出願された米国仮特許出願第62/291,241号の利益を主張し、それらのすべての内容は、完全に参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、ゴルフクラブに関し、より具体的には、インパクトの後のゴルフボールのスピンに影響を及ぼすゴルフクラブのフェース上の1つ又は複数の表面特徴部に関する。表面特徴部は、特定のゴルフクラブのロフトにおいて、インパクトの後のゴルフボールのスピンを低減させることができる。さらに、表面特徴部は、ゴルフボールがクラブのフェースの上で打たれた場所に関わらず、インパクトの後のゴルフボールのスピンを平準化(normalize)することが可能である。
【背景技術】
【0003】
ゴルフクラブは、例えば、ウッド、ハイブリッド、アイアン、ウェッジ、又は、パター等、様々な形態をとる。これらのクラブは、一般的に、ヘッド形状及び設計(例えば、ウッドとアイアンとの間の差など)、クラブヘッド材料、シャフト材料、クラブ長さ、及び、クラブロフトに関して異なっている。
【0004】
ウッド及びハイブリッドは、一般的に、アイアン及びウェッジよりも長いシャフト及び低いロフトを有している。従って、ウッド又はハイブリッドによって打たれたゴルフボールは、アイアン又はウェッジによって打たれたゴルフボールよりも大きい飛距離を飛ぶ。シャフト長さ及びクラブロフトに加えて、ゴルフボールのスピンレートは、飛距離に影響を与える。ゴルフクラブとゴルフボールとの間のインパクトのときに、スピンが、バックスピン及びサイドスピンの形態で、ゴルフボールに付与される。特定の量のバックスピンが、ボールを空中に保つのに十分な揚力を発生させるために必要とされるが、多過ぎるバックスピンは、全体的な飛距離に悪影響を与える可能性がある。例えば、同じクラブによって打たれたが、異なる量のバックスピンを有する2つのボールの飛行を比較すると、バックスピンの量が多すぎるボールは、より少ない(又は、より最適な)バックスピンを有するボールのボールフライトと比較して、より高い頂点までより急速に上向きにカーブし(アップリフト又はバルーン)、その後に、よい急激に(より急激な降下角度で)落下する。従って、多過ぎるバックスピンを有するボールの飛距離は短い。しかしながら、バックスピンの最適な量は、一般的に、特定のゴルフクラブに依存する。
【0005】
より低いロフトのクラブ(例えば、ウッド、ハイブリッド等)とは対照的に、より高いロフトのクラブ(例えば、ウェッジ、9番アイアン、8番アイアン、7番アイアン等)によって、より大きい量のバックスピンが有益である可能性がある。その理由は、これらのクラブは、距離にあまり焦点を合わせておらず、精度にさらに焦点を合わせているためである。また、過剰なバックスピンによって発生させられる、より急激な降下角度は、グリーンの上にボールを止まらせることを支援することが可能である。また、ボールのスピンは、一般的に、ゴルフクラブのフェースの上のインパクト位置によって影響を受ける。例えば、クラブヘッドのトウ及びクラウンに向かうクラブフェースの上で打たれたゴルフボールは、クラブフェースのセンター又は「スイートスポット」の中で打たれたボールよりも低いバックスピンを有する。クラブヘッドのヒール及びソールに向かうクラブフェースの上で打たれたゴルフボールは、クラブフェースのスイートスポットの上で打たれたボールよりも大きいバックスピンを有している。別の例として、クラブヘッドのトウ又はヒールに向かうクラブフェースの上で打たれたゴルフボールは、一般的に、クラブフェースのスイートスポットの上で打たれたボールよりも多くのサイドスピンを有する。ゴルフボールに付与されるバックスピン及びサイドスピンの可変の量は、クラブフェースのインパクト位置に基づいて、一貫しない距離及び方向を結果として生じさせる。
【0006】
ゴルフクラブは、様々な公知の設計を有しており、より低ロフトのゴルフクラブにおいて、距離を最大化するために、ゴルフボールのスピン又はスピンレートを低減させること、又は、より良好にコンコントロールすることが望まれている。また、クラブフェースを横切る接触エリアのスピンレートの一貫性を改善することによって、オフセンターヒット(例えば、スイートスポット以外のゴルフクラブのフェース上におけるゴルフボールのインパクト)のときのゴルフボールに付与されるスピンの変動性を低減させることも望まれている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】異なる角度で配置されたフェースによってインパクトされた弾性物体のスピンレートに対する摩擦係数μの影響を示すグラフである。
【
図2】クラブフェースを有するゴルフクラブヘッドの実施形態の斜視図である。
【
図5】
図2のゴルフクラブヘッドの実施形態の部分的な側面図であり、マイクログルーブの形態の表面特徴部を有するクラブフェースの一部分を図示する図である。
【
図6】
図2のゴルフクラブヘッドの実施形態の側面図であり、複数のゾーンに分離されているマイクログルーブを備えたクラブフェースを図示しており、それぞれのゾーンは、連続したマイクログルーブの間に異なる間隔を有していることを示す図である。
【
図7】マイクログルーブなしのクラブ、及び、マイクログルーブありのクラブにおいて、異なるクラブフェースのインパクト場所におけるゴルフボールのスピンレートの比較データを提供する表であり、ゴルフクラブは、スクエアインパクト位置を有している。
【
図8】マイクログルーブなしのクラブ、及び、マイクログルーブありのクラブにおいて、異なるクラブフェースのインパクト場所におけるゴルフボールのスピン量の比較データを提供する表であり、ゴルフクラブは、オープンインパクト位置を有している。
【
図9】マイクログルーブなしのクラブ、及び、マイクログルーブありのクラブにおいて、異なるクラブフェースのインパクト場所におけるゴルフボールのスピン量の比較データを提供する表であり、ゴルフクラブは、クローズドインパクト位置を有している。
【
図10A】
図2のゴルフクラブヘッドの実施形態の正面図であり、表面粗さの異なるエリアを備えたクラブフェースを図示する。
【
図10B】
図2のゴルフクラブヘッドの実施形態の正面図であり、表面粗さの異なるエリアを備えたクラブフェースを図示する。
【
図11】異なるレベルの表面粗さを有するゴルフクラブにおいて、異なるクラブフェースのインパクト場所で打たれた後のゴルフボールのスピン量の比較データを提供する表であって、クラブはゴルフスウィングマシンによってスウィングされた。
【
図12】異なるレベルの表面粗さを有するクラブによって打たれた後のゴルフボールのスピン量の比較データを提供する表であって、クラブは人によってスウィングされた。
【
図14】クラブフェースの様々な位置におけるゴルフボールのインパクトの結果として生じるゴルフボールのバックスピン量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1つの実施形態は、ゴルフボールとクラブフェースとの間の摩擦係数が、クラブフェースに亘って調整又はカスタマイズすることができる、クラブヘッドの設計を含む。摩擦係数は、クラブフェースに亘って異なる場所において、インパクトの後のゴルフボールのスピン量を平準化するために調整することができる。インパクトの後のゴルフボールのスピン量(バックスピン、サイドスピン、及び/又は、その両方)を、クラブフェースの上の異なるインパクト場所にわたってより均一にすることによって、距離及び精度を改善することができる。
【0009】
クラブフェースは、クラブフェースに沿った異なるインパクト場所において、インパクト後のゴルフボールのスピン量を平準化するために、少なくとも1つの表面特徴部を含む。表面特徴部は、インパクト後のゴルフボールのスピンを増加又は減少させることができる。より具体的には、表面特徴部は、特定のロフト閾値を下回るロフトを有するゴルフクラブに関して、インパクト後のゴルフボールのスピンを増加又は減少させることが可能である。表面特徴部は、摩擦係数を増加させ(又は、減少させ)、また、ロフト閾値未満(又は、ロフト閾値以下、又は、ロフト閾値よりも大きくはない)ロフトを有するクラブに関して、ゴルフボールのスピンを減少させる(又は、増加させる)。表面特徴部は、ゴルフクラブによって打たれたときに、ゴルフボールへの過剰なバックスピンの導入を制限することによって、又は、ゴルフボールにバックスピンを導入することによって、ゴルフボールの飛距離を増加させる。表面特徴部は、ゴルフクラブによって打たれたときに、ゴルフボールへの過剰なサイドスピンの導入を制限することによって、又は、ゴルフボールにサイドスピンを導入することによって、ゴルフボールの精度を改善する。
【0010】
別の実施形態では、1つ又は複数の表面特徴部は、クラブフェースの異なるエリア又はゾーンの中に位置し、オフセンターヒット(例えば、スイートスポット以外のゴルフクラブのフェース上の場所とのゴルフボールの接触)のときに、ゴルフボールに付与されるスピンの変動性を低減させる。クラブフェースの異なるエリアの上でのゴルフボールのインパクトは、必要に応じて、より多くのスピン又はより少ないスピンを発生させ、表面特徴部に起因して平準化され、様々なインパクト位置に関するスピンを平準化することが可能である。少なくとも第1の表面特徴部は、クラブフェースの上の接触場所に基づいて、ゴルフボールへの過剰なバックスピン及び/又は過剰なサイドスピンの導入を制限することが可能である。少なくとも第2の表面特徴部は、クラブフェースの上の接触場所に基づいて、ゴルフボールへのバックスピン及び/又はサイドスピンの導入を増加させることが可能である。
【0011】
1つの実施形態では、表面特徴部は、クラブフェースに沿って位置するマイクログルーブを備える。マイクログルーブは、クラブフェース全体に沿って、又は、クラブフェースの1個以上の部分に沿って位置してもよい。マイクログルーブは、さらに、クラブフェースの1個以上のゾーンの中に位置してもよい。第1のゾーンにおいて、マイクログルーブは、一緒に近くに間隔を空けて設けられてもよい。第2のゾーンにおいて、マイクログルーブは、第1のゾーンの中の間隔よりもさらに間隔が空いていてもよい。ゾーン及び/又はマイクログルーブの配置は、クラブフェースの上の異なるインパクト場所においてゴルフボールに付与されるスピンを平準化する(又は、スピンの変動性を減少させる)ことに関連することが可能である。ロフト閾値を下回るロフトを有するゴルフクラブでは、第1のゾーンの中でゴルフボールを打つことは、(単位表面積当たりのより多くのマイクログルーブによって引き起こされる摩擦係数の増加に起因して)より少ないスピンをゴルフボールに付与することとなる。一方、第2のゾーンの中でゴルフボールを打つことは、(単位表面積当たりのより少ないグルーブによって引き起こされる摩擦係数の減少に起因して)より多くのスピンをゴルフボールに付与することとなる。マイクログルーブの使用を通してゴルフボールに付与されるスピンの量を管理することによって、ゴルフボールのスピン量は、クラブフェースのインパクト位置に関わらず、より一貫性を有する(即ち、スピン量は、クラブフェースにわたって平準化される)。
【0012】
1つの実施形態では、表面特徴部は、クラブフェースの上に表面粗さを有する表面仕上げを備える。表面仕上げは、クラブフェースにわたって均一な粗さを有してもよい、又は、クラブフェースにわたって、異なる粗さの複数のゾーン又はエリアを有してもよい。当該エリアは、クラブフェースの異なるエリア上に位置し、クラブフェースに沿ってスピン量の一貫性を改善することが可能である。例えば、クラブフェースは、粗さの第1のエリア、及び、粗さの第2のエリアを有することが可能である。第1のエリアは、第2のエリアよりも小さい表面粗さ及び摩擦係数を有している(即ち、より滑らかである)。ロフト閾値を下回るロフトを有するゴルフクラブでは、第1のエリア(又は、より滑らかなエリア)の中でゴルフボールを打つことは、より多くのスピンをゴルフボールに付与することとなる。一方、第2のエリア(又は、より粗いエリア)の中でゴルフボールを打つことは、より少ないスピンをゴルフボールに付与することとなる。表面粗さを通してゴルフボールに付与されるスピンの量を管理することによって、ゴルフボールのスピン量は、クラブフェースのインパクト位置に関わらず、より一貫性を有する(即ち、スピン量は、クラブフェースにわたって平準化される)。
【0013】
「ゴルフボールスピン」又は「スピン」という用語は、本明細書で説明されているように、ゴルフクラブによるインパクトの後のゴルフボールの回転のレートを表している。ゴルフボールスピンは、バックスピン、サイドスピン(例えば、フックスピン、スライススピン等)、又は、それらの任意の組み合わせを含むことが可能である。
【0014】
ゴルフクラブの「ロフト」又は「ロフト角」という用語は、本明細書で説明されているように、任意の適切なロフト・アンド・ライ・マシン(loft and lie machine)によって測定されるような、クラブフェースとシャフトとの間に形成される角度を表している。
【0015】
「摩擦係数(又は、COF)」という用語は、本明細書で説明されているように、2つの表面を一緒に保持する垂直力に対する、2つの表面を互いに通過して移動させるために必要とされる力の比率を表している。本明細書で摩擦係数は、ゴルフスウィングの間のインパクトのときのゴルフボールとゴルフクラブフェースとの間の相互作用に関連している。
【0016】
詳細な説明及び特許請求の範囲の中の「第1の」、「第2の」、「第3の」、及び「第4の」などの用語は、それがある場合には、同様のエレメント同士の間を区別するために使用されており、必ずしも、特定のシーケンシャルな又は時系列の順序を説明するために使用されているわけではない。そのように使用されている用語は、適当な状況下で入れ替え可能であり、本明細書で説明されている実施形態が、例えば、本明細書で図示されているか又はそうでなければ説明されているもの以外のシーケンスの動作が可能であるようになっているということが理解されるべきである。そのうえ、「備える」及び「有する」という用語、ならびに、任意のそれらの変形は、非排他的な包含をカバーすることが意図されており、エレメントのリストを含むプロセス、方法、システム、物品、デバイス、又は、装置が、必ずしもそれらのエレメントに限定されないが、明示的に列挙されていないか、又は、そのようなプロセス、方法、システム、物品、デバイス、もしくは装置に本来備わっている他のエレメントを含むことが可能であるようになっている。
【0017】
詳細な説明及び特許請求の範囲の中の「左」、「右」、「前」、「後」、「上部」、「底部」、「上」、及び「下」などの用語は、それがある場合には、説明目的のために使用されており、必ずしも、恒久的な相対位置を説明するために使用されているわけではない。そのように使用されている用語は、適当な状況下で入れ替え可能であり、本明細書で説明されている装置、方法、及び/又は、製造の物品の実施形態が、例えば、本明細書で図示されているか又はそうでなければ説明されているもの以外の他の配向での動作が可能であるようになっているということが理解されるべきである。
【0018】
「連結する」、「連結されている」、「連結」、及び「連結している」などの用語は、幅広く理解されるべきであり、機械的に又は別の方法で、2つ以上のエレメントを接続することを表している。連結(機械的でも、別の方法でも)は、例えば、恒久的又は半恒久的に、又は、瞬間のみなど、任意の時間の長さに関するものであることが可能である。
【0019】
他の特徴及び態様は、以下の詳細な説明及び添付の図面を考慮することによって、明らかになることとなる。本開示の任意の実施形態が詳細に説明される前に、本開示は、その適用において、以下の説明に述べられているような、又は、図面に図示されているような、コンポーネントの詳細又は構築及び配置に限定されないということが理解されるべきである。本開示は、他の実施形態をサポートすることが可能であり、さまざまな方式で実践又は実施され得る。特定の実施形態の説明は、本開示の要旨及び範囲の中に入るすべての修正例、均等物、及び代替例をカバーすることから、本開示を限定することを意図していないということが理解されるべきである。また、本明細書で使用されている表現法及び専門用語は、説明の目的のためのものであり、限定するものとして見なされるべきではないということが理解されるべきである。
【0020】
議論及び理解を容易にするために、ならびに、説明の目的だけのために、以下の詳細な説明は、ウッドとして、より具体的には、フェアウェイウッドとして、ゴルフクラブヘッド10を図示している。フェアウェイウッドは、本明細書で開示されているように、ロフト閾値を下回るロフトを有するゴルフクラブの中の接触の後に付与されるゴルフボールスピンを低減させるクラブフェースの上の表面特徴部の図示の目的のために提供されているということが認識されるべきである。開示されているクラブフェース表面特徴部は、任意の所望のウッド、ハイブリッド、又は、ロフト閾値以下のロフトを有する他のクラブの上で使用され、インパクトのときのクラブフェースとゴルフボールとの間の摩擦係数を増加させ、ゴルフボールに付与されるスピンを低減させることが可能である。例えば、クラブヘッド10は、ドライバー、フェアウェイウッド、又はハイブリッドを含んでもよいが、それらに限定されない。
【0021】
ここで、図面を参照すると、
図1は、異なる角度で設けられたフェースによってインパクトされた弾性物体のスピン量に対する摩擦係数μの影響を示す理論的なモデルのグラフ表示を図示している。フェースの角度(°)は、X軸に提供されており、スピン量(毎分回転数又はRPM)は、Y軸に提供されている。グラフ表示は、所与の角度でフェースによって打たれた弾性物体の摩擦係数とスピン量との間の理論的な関係を図示するために、全米ゴルフ協会(USGA)によってMawモデルを使用して計算された。
【0022】
グラフ表示は理論であり、絶対的なものではないが(即ち、特定の摩擦係数を有する特定のロフト角における全てのゴルフクラブが、Y軸に示されている正確なスピン量をゴルフボールに付与しないという点において、その基礎的なデータは、ゴルフクラブ性能に直接的に適用可能ではない)、グラフ表示は、有力な理論であるこが確認されている。より具体的には、所定の角度で設けられたフェースは、フェースによって打たれた弾性物体にスピンを付与することとなる。また、その角度において摩擦係数が増加するにつれて、弾性物体に付与されるスピンの量が増加する。この有力な理論は、より高いロフト付きのゴルフクラブ(例えば、ウェッジなど)が、クラブフェースの上に、滑らかなフェースというよりもむしろ1次的な水平方向に整合されたグルーブ(例えば、少なくとも0.007インチの溝深さを有するグルーブなど)を有しており、接触のときのゴルフボールとクラブフェースとの間の摩擦係数を増加させ、ゴルフボールに付与されるスピンの量を増加させ、打たれたゴルフボールのスピン量又はスピンの増加を結果として生じさせるようになっていることの理由である。低いロフト付きのクラブヘッドに関して、フェース角度が低減されるときに、摩擦係数の増加は、必ずしもスピンを増加させるわけではない。
【0023】
例えば、
図1の強調されたボックス1の中における特定のより低いフェースの角度において、理論的なモデルのグラフ表示は、摩擦係数の増加は、弾性物体に付与されるスピンの量を低減させることとなり、摩擦係数の減少は、弾性物体に付与されるスピンの量を増加させることとなるということを予想外に示している。この結論は、より高い摩擦係数が弾性物体のスピン量を増加させるという有力な理論に反している。
【0024】
図1に示されている理論的なデータに基づくと、ロフト閾値が、ゴルフクラブに関して存在する。ここで、閾値以上のロフトにおいて、摩擦係数を増加させることは、ゴルフボールに付与されるスピンを増加させる。また、閾値以下のロフトにおいて、摩擦係数を増加させることは、ゴルフボールに付与されるスピンを減少させる。ロフト閾値は、既定の摩擦係数において、ゴルフボールに付与されるスピンの量が変化する、ロフト、又は、ロフトの移行ゾーンもしくは範囲であることが可能である。例えば、既定の摩擦係数において、クラブロフトがロフト移行ゾーンを通って減少するにつれて、ゴルフクラブは、ゴルフボールに付与されるスピンを増加させるというよりもむしろ、ゴルフボールに付与されるスピンを低減させることとなる。ロフト閾値は、インパクトのときのクラブヘッドのニュートラルアタックアングルに基づくことが可能である。ロフト閾値は、約15度から約25度(15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、及び/又は、25度を含む)の範囲であることが可能であり、又は、それらの間のどこかにあることが可能である。他の実施形態では、ロフト閾値は、約25度であることが可能である。ロフト閾値を上回る(例えば、約25度を上回る)ロフト角を有するゴルフクラブは、摩擦係数が増加するにつれて、接触後に、より多くのスピンをゴルフボールに付与することとなる。ロフト閾値以下(例えば、約25度以下)のロフト角を有するゴルフクラブは、摩擦係数が増加するにつれて、接触後に、より少ないスピンをゴルフボールに付与することとなる。他の実施形態では、ロフト閾値は、約10度から約25度の範囲にあることが可能である。さらなる他の実施形態では、ロフト閾値は、任意の適切な、公知の、又は、将来識別される、ロフト又はロフトの範囲であることが可能である。ここで、そのロフト以下のロフト角を有するゴルフクラブに関して、摩擦係数を増加させることは、接触のとき又は接触の後にゴルフボールに付与されるスピンを減少させる。さらに、他の実施形態では、ロフト閾値は、インパクトのときの非ニュートラルアタックアングルに関して変化させることが可能である。例えば、ロフト閾値は、クラブヘッドのアタックアングルが約-10度から約10度へ変化するときに、約5度から約35度の範囲にあることが可能である。
【0025】
下記の追加的な詳細において例示されているように、ロフト閾値以下のロフトを有するゴルフクラブは、クラブフェースの上に1個以上の表面特徴部を備えてもよい。1個以上の表面特徴部は、インパクトのときのクラブフェースとゴルフボールとの間の摩擦係数を増加させるように作用する。ロフト閾値以下のロフトにおいて、摩擦係数を増加させることによって、インパクトのときにゴルフボールに付与されるスピンが低減される。クラブフェースは、クラブフェースを横切る異なる場所において、1個以上の表面特徴部を備えてもよい。異なる場所は、インパクトのときのクラブフェースとゴルフボールとの間の異なる摩擦係数を有してもよい。クラブフェースを横切る異なる場所において、インパクトのときのクラブフェースとゴルフボールとの間の摩擦係数を変化させることによって、ゴルフボールに付与されるスピン量を、インパクトの場所に関わらず、より一貫させることができる。
【0026】
図2~
図4を参照すると、本明細書で開示されているような、及び、ゴルフクラブとともに使用するための、1個以上の表面特徴部を備えるゴルフクラブヘッド10の実施形態が図示されている。ゴルフクラブヘッド10は、本体部14を備える。本体部14は、ヒール又はヒール端部22の反対側にトウ又はトウ端部18を有している。本体部14は、さらに、ソール又はボトム30の反対側にクラウン又はトップ26と、クラブフェース、フェース、ストライクフェース、又は、ストライクプレート38の反対側にバック、リア、又は、バック端部34を備える。複数のグルーブ又は1次的なグルーブ40(
図3参照)が、クラブフェース38上に位置する。ゴルフクラブヘッド10は、さらに、ホーゼル軸線46(
図3参照)を有するホーゼル42を備える。ホーゼル軸線46は、ホーゼル42のセンターを通って延在している。ホーゼル42は、グリップ(図示省略)を担持するゴルフクラブシャフト(図示せず)を受容するように構成されている。ゴルファーは、ゴルフクラブをスウィングする間、グリップ(図示省略)を握る。
【0027】
図3及び
図4を参照すると、ゴルフクラブヘッド10は、重心又はCG50(
図4参照)を備える。重心又はCG50は、x軸54、y軸58、及び、z軸62を含む座標系の原点を画定する。x軸54(
図4参照)は、クラブヘッド10の重心50を通って、トウ端部18からヒール端部22へ延在している。y軸58(
図3参照)は、クラブヘッド10の重心50を通って、クラウン26からソール30へ延在している。z軸62は、クラブヘッド10の重心50を通って、クラブフェース38からバック34へ延在している。本明細書での新技術を説明する際の追加的なガイダンスにおいて、x軸54及びz軸62は、
図4のアナログ時計の上の数と一致するように配置されている。z軸62は、12時(クラブフェース38を通る「12」)と6時(バック34を通る「6」)との間に延在している。また、x軸54は、3時(トウエンド18を通る「3」)と9時(ヒールエンド22を通る「9」)との間に延在している。
【0028】
インパクト時にゴルフボールに付与されるスピンを低減させるために、クラブフェース38上にクラブフェース38とゴルフボールとの間のクラブフェース摩擦係数を増加させるように作用可能な表面特徴部100を有するゴルフクラブヘッド10の様々な実施形態が図示されている。多くの実施形態では、表面特徴部100は、クラブフェース38とゴルフボールとの間の摩擦係数を、約0.20よりも大きく、約0.25よりも大きく、約0.30よりも大きく、約0.35よりも大きく、約0.40よりも大きく、約0.45よりも大きく、又は、約0.50よりも大きくなるように増加させることができる。
【0029】
多くの実施形態では、様々なインパクト場所に関するボールスピンを平準化するための表面特徴部100を有するクラブフェース38は、バルジ及び/又はロールを低減させることができる。例えば、表面特徴部100を有するクラブフェース38は、14インチよりも大きい、15インチよりも大きい、16インチよりも大きい、17インチよりも大きい、18インチよりも大きい、19インチよりも大きい、又は、20インチよりも大きいバルジを有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、クラブフェース38のバルジは、約14~16インチ、約14~17インチ、約15~17インチ、又は、約15~18インチであることができる。さらなる例において、表面特徴部100を有するクラブフェース38は、14インチよりも大きい、15インチよりも大きい、16インチよりも大きい、17インチよりも大きい、18インチよりも大きい、19インチよりも大きい、又は、20インチよりも大きいロールを備えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、クラブフェース38のロールは、約14~16インチ、約14~17インチ、約15~17インチ、又は、約15~18インチであることができる。
【0030】
I.マイクログルーブ
ここで
図5、
図6を参照すると、図示されている実施形態では、表面特徴部100は、クラブフェース38上に位置する複数のマイクログルーブ104を備える。多くの実施形態では、マイクログルーブ104は、クラブフェース38とゴルフボールとの間の摩擦係数を、約0.20よりも大きく、約0.25よりも大きく、約0.30よりも大きく、約0.35よりも大きく、約0.40よりも大きく、約0.45よりも大きく、又は、約0.50よりも大きくなるように増加させることができる。
【0031】
図5、
図6に図示されている実施形態では、マイクログルーブ104は、約0.003インチの溝深さを有している。しかしながら、他の実施形態では、マイクログルーブ104は、約0.001インチから約0.050インチの溝深さを有することができ、より具体的には、約0.002インチから約0.0065インチの溝深さを有することができる。他の実施形態では、マイクログルーブ104は、約0.0015インチから約0.0050インチの溝深さを有することができる。さらに、他の実施形態では、マイクログルーブ104は、約0.002インチから約0.010インチの溝深さを有している。例えば、マイクログルーブ104は、約0.0015インチ、約0.002インチ、約0.0025インチ、約0.00303インチ、約0.0035インチ、約0.0040インチ、約0.0045インチ、又は、約0.005インチの溝深さを有することができる。マイクログルーブ104の深さは、1次的なグルーブ40の深さよりも小さい。例えば、
図3に示されている1次的なグルーブ40の深さは、約0.007インチである。
【0032】
図5、
図6に図示されている実施形態では、マイクログルーブ104は、約0.005インチの溝幅を有している。しかしながら、他の実施形態では、マイクログルーブ104は、約0.001インチから約0.050インチの溝幅を有していてもよく、より具体的には、約0.002インチから約0.020インチの溝幅を有していてもよい。他の実施形態では、マイクログルーブ104は、約0.001インチから約0.003インチの、約0.015インチから約0.050インチの、約0.020インチから約0.04インチの、約0.025インチから約0.030インチの、約0.030インチから約0.050インチの、又は約0.003インチから約0.006インチの幅を有していてもよい。いくつかの実施形態では、マイクログルーブ104は、約0.025インチ、約0.026インチ、約0.027インチ、約0.028インチ、約0.029インチ、又は、約0.030インチの溝幅を有していてもよい。マイクログルーブ104の幅は、1次的なグルーブ40の幅よりも小さくなっている。例えば、
図3に示されている1次的なグルーブ40の幅は、約0.030インチである。
【0033】
図5、
図6に図示されている実施形態では、マイクログルーブ104は、クラブフェース38に沿って測定される、異なる長さ(トウ18からヒール22へ)を備える。例えば、マイクログルーブ104は、ソール30に向けて、中間(又は、クラウン26により近い)位置のマイクログルーブ104よりも短い長さ(トウ18からヒール22へ)のマイクログルーブ104を有している。他の実施形態では、マイクログルーブ104は、クラブフェース38全体をカバーしてもよく、又は、クラブフェース38の一部分をカバーしてもよい。例えば、マイクログルーブ104は、y軸58に沿う異なる場所に位置してもよく(例えば、クラブフェース38のセンターからソール30に向けて、クラブフェース38センターの周り、クラブフェース38のセンターからクラウン26に向けて、それらの組み合わせ等)、及び/又は、x軸54に沿う異なる場所に位置してもよい(例えば、ヒール22からトウ18に向けて、ヒール22からセンター50に向けて、センター50からトウ18に向けて、それらの組み合わせ等)。マイクログルーブ104は、さらに、クラブフェース38の上の異なる位置において、異なる長さ又は変化する長さを有していてもよい。例えば、1個以上のマイクログルーブ104は、センター50のヒール22側において、クラブフェース38上に位置してもよく、トウ18、ヒール22、クラウン26、及び/又は、ソール30に向けて延在し、センター50のヒール22側において、ほぼセンター50の位置又はセンター50の近くにおいて、及び/又は、センター50のトウ18側において、終端している。
【0034】
図13を参照すると、マイクログルーブ104は、側壁部39を有しており、側壁部は、角度43を備える。側壁部39の角度43は、約30度から約95度の範囲を有していてもよく、より具体的には、40度から90度の範囲を有していてもよい。例えば、マイクログルーブ104は、約40度、約45度、約50度、約55度、約60度、約65度、約70度、約75度、約80度、約85度、又は、約90度の側壁部の角度43を有していてもよい。
【0035】
図13を参照すると、マイクログルーブ104は、グルーブエッジトップ41を有しており、グルーブエッジトップ41は、所定の半径を備える。グルーブエッジトップの半径は、クラブフェース38が側壁部39とともに一体的に形成する場所に位置する。グルーブエッジトップ41の半径は、グルーブエッジトップ41の曲率の半径によって測定される。グルーブエッジトップ41の半径は、約0.0020インチ以下、約0.0016インチ以下、約0.0012インチ以下、又は、約0.0008インチ以下であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、グルーブエッジトップ41の半径は、約0.0004インチ、約0.0006インチ、約0.0008インチ、約0.0010インチ、約0.0012インチ、約0.0014インチ、約0.0016インチ、約0.0018インチ、又は、約0.0020インチであってもよい。
【0036】
別の例として、1個以上のマイクログルーブ104は、センター50のトウ18側において、クラブフェース38上に位置してもよく、トウ18、ヒール22、クラウン26、及び/又はソール30に向けて延在しており、センター50のヒール22側において、ほぼセンター50の位置又はセンター50の近くにおいて、及び/又は、センター50のトウ18側において、終端している。
【0037】
別の例として、1個以上のマイクログルーブ104は、センター50のクラウン26側において、クラブフェース38上に位置してもよい。1個以上のマイクログルーブ104は、センター50のトウ18側から、トウ18、ヒール22、クラウン26、及び/又はソール30に向けて延在してもよい。また、1個以上のマイクログルーブ104は、センター50のヒール22側から、トウ18、ヒール22、クラウン26、及び/又はソール30に向けて延在してもよい。1個以上のマイクログルーブ104は、センター50から、又は、センター50の近くから、トウ18、ヒール22、クラウン26、及び/又はソール30に向けてさらに延在してもよい。これらのマイクログルーブ104のいずれかは、センター50のクラウン26側において終端してもよく、センター50のソール30側において終端してもよく、及び/又は、ほぼセンター50の位置又はセンター50の近くにおいて終端してもよい。
【0038】
追加的な例として、1個以上のマイクログルーブ104は、センター50のソール30側において、クラブフェース38上に位置してもよい。1個以上のマイクログルーブ104は、センター50のトウ18側から、トウ18、ヒール22、クラウン26、及び/又はソール30に向けて延在してもよい。また、1個以上のマイクログルーブ104は、センター50のヒール22側から、トウ18、ヒール22、クラウン26、及び/又はソール30に向けて延在してもよい。また、1個以上のマイクログルーブ104は、センター50から、又は、センター50の近くから、トウ18、ヒール22、クラウン26、及び/又はソール30に向けて延在してもよい。これらのマイクログルーブ104のいずれも、センター50のクラウン26側において終端することができ、センター50のソール30側において終端してもよく、及び/又は、センター50においてもしくはセンター50の近くにおいて終端してもよい。
【0039】
さらに他の実施形態では、1個以上のマイクログルーブ104は、軸線方向に整列していてもよいが、複数の軸線方向に整列したマイクログルーブ104へとセグメント化又は分裂させられてもよい。さらなる他の実施形態では、1個以上のマイクログルーブ104をクラブフェース38の上でシフトしてもよく、マイクログルーブ104の長さのより大きい量が、センター50のヒール20側よりもセンター50のトウ18側にあるようになっており、又は、センター50のトウ18側よりもセンター50のヒール20側にあるようになっている。他の実施形態では、1個以上のマイクログルーブ104を、クラブフェース38の上の中央に位置してもよく、概して同じマイクログルーブ104の長さの同じ量が、センター50のトウ18側及びヒール20側にあるようになっている。
【0040】
クラブフェース38の他の実施形態では、マイクログルーブ104は、互いに交差していてもよく、又は、互いに交差していなくてもよい。換言すると、マイクログルーブ104は、互いに平行であってもよく、又は、互いに非平行であってもよい。さらに、マイクログルーブ104は、x軸54に対して平行であってもよく、又は、x軸54に対して斜めになっていてもよい。また、マイクログルーブ104は、y軸58に対して垂直であってもよく、又は、y軸58に対して斜めになっていてもよい。マイクログルーブ104は、クラブフェース38の上で水平方向に(すなわち、トウ18からヒール22に向けて)配向されてもよい。他の実施形態では、マイクログルーブ104は、クラブフェース38の上で任意の所望の又は適切な配向で配向されてもよい。例えば、他の実施形態では、マイクログルーブ104は、任意の方向に湾曲させられてもよく、又は、x軸54に対して所定の角度に位置してもよい。さらに、マイクログルーブ104は、円形、楕円、三角形、矩形、もしくは他の多角形、又は、少なくとも1つの湾曲した表面を備えた形状を備え、繰り返されたパターンを形成してもよい。
【0041】
また、マイクログルーブ104は、真っ直ぐなライン又はスプラインを形成するように、クラブフェース38上に設けられてもよい。他の実施形態では、マイクログルーブ104は、クラブフェース38の一部分に沿って湾曲しているか又はアーチ状になっていてもよい。さらに他の実施形態では、真っ直ぐなマイクログルーブ104及びアーチ状のマイクログルーブ104の混合が、クラブフェース38の1個以上の部分の上に設けられてもよい。また、さらなる他の実施形態では、複数のマイクログルーブのうちの1個以上は、その長さの一部分に沿って真っ直ぐになっていてもよく、その長さの別の部分に沿って湾曲しているか又はアーチ状になっていてもよい。
【0042】
クラブフェース38のさらなる他の実施形態では、1個以上のマイクログルーブ104は、(クラブフェース38に対して垂直に見たときに)グルーブ104の長さに沿って一定の断面積を有していてもよい。任意的に又は代替的に、1個以上のマイクログルーブ104は、マイクログルーブ104の長さに沿って、可変の又は変化する断面積を有していてもよい(例えば、マイクログルーブ104の第1の部分、第1セクション、又は、第1の場所における断面積は、マイクログルーブ104の第2の部分、第2のセクション、又は、第2の場所における断面積とは異なっている等)。
【0043】
クラブフェース38の他の実施形態では、マイクログルーブ104の断面形状は、ボックス形状、V字形状、U字形状、又は、任意の他の好適な断面形状を備えてもよいが、それらの形状に限定されない。
【0044】
様々な実施形態では、マイクログルーブ104は、本明細書で開示されているような、幅、深さ、長さ、配向、配置、及び/又は、断面形状の任意の適切な組み合わせを有することが可能であるということが認識されるべきである。それに加えて、少なくとも1個のマイクログルーブ104は、クラブフェース38の上の別のマイクログルーブ104とは異なる、幅、深さ、長さ、配向、配置、及び/又は、断面形状の組み合わせを有することが可能である。他の実施形態では、マイクログルーブ104は、クラブフェース38の上の1次的なグルーブ40の有無に関係なく位置してもよい。
【0045】
図5に示すように、マイクログルーブ104は、連続したマイクログルーブ104の間に均一な距離の間隔を空けて設けられている。
図6に示すように、マイクログルーブ104は、連続したマイクログルーブ104の間に変化する距離の間隔を空けて設けられている。多くの実施形態では、マイクログルーブ104間の間隔は、マイクログルーブ104の幅よりも約3倍から3.5倍大きくなっていてもよい。多くの実施形態では、複数のマイクログルーブ104間の間隔は、約0.070インチから約0.090インチであってもよく、より具体的には、約0.075インチから約0.085インチであってもよい。いくつかの実施形態では、複数のマイクログルーブ104間の間隔は、約0.075インチ、約0.077インチ、約0.079インチ、約0.081インチ、約0.083インチ、又は、約0.085インチであってもよい。他の実施形態では、複数のマイクログルーブ104間は、約0.003インチから約0.10インチ、約0.003インチから約0.0035インチ、約0.010インチから約0.080インチ、約0.020インチから約0.070インチ、約0.050インチから約0.010インチ、又は、約0.009インチから約0.018インチであってもよい。
【0046】
複数のマイクログルーブ104間の間隔は、摩擦係数に対する直接的な影響を及ぼす。連続した複数のマイクログルーブ104間の間隔が増加しているエリアにおいて(即ち、単位面積当たり、より少ないマイクログルーブ104を備えたエリア)、摩擦係数はより低くなっている。従って、ロフト閾値以下のゴルフクラブに関して、これらのより低い摩擦係数のエリアの中で、より多くのスピンがゴルフボールに付与される。連続した複数のマイクログルーブ104間の間隔が減少しているエリアにおいて(即ち、単位面積当たり、より多くのマイクログルーブ104を備えたエリア)、摩擦係数はより高くなっている。従って、ロフト閾値以下のゴルフクラブに関して、これらのより高い摩擦係数のエリアの中で、より少ないスピンが、ゴルフボールに付与される。
【0047】
図6の複数のマイクログルーブ104間の可変の間隔は、クラブフェース38上の複数のゾーン108、112によって図示されている。第1のゾーン108は、クラウン26よりもソール30の近くに設けられている。第1のゾーン108において、複数のマイクログルーブ104は、複数のマイクログルーブ104間の間隔が、ソール30よりもクラウン26の近くに設けられている第2のゾーン112の複数のマイクログルーブ104間の間隔よりも、距離が低減されるように設けられている。他の実施形態では、1個以上のゾーン108、112は、クラブフェース38に沿って任意の所望の場所又は適切な場所に位置してもよい。別の実施形態では、マイクログルーブ104は、隣接するマイクログルーブ104間の距離が、インクリメンタルに増加又は漸増してもよい。例えば、ソール30に最も近いマイクログルーブ104は、次の隣接するマイクログルーブ104から、約0.0201インチの距離だけ間隔を空けて設けられてもよい。次いで、それぞれの隣接する複数のマイクログルーブ104間の距離は、ソール30からクラウン26へ向かうにつれて、0.002インチずつ増加する(例えば、0.0201インチの間隔、次いで、0.0221インチの間隔、次いで、0.0241インチの間隔等)。他の実施形態では、連続する複数のマイクログルーブ104間の間隔は、クラブフェース38に亘って可変であってもよく、又は、一定であってもよい。例えば、連続する複数のマイクログルーブ104間の距離は、ソール30に向けてより小さくなり、中間に向けてより大きくなり、次いで、クラウン26に向けて再びより小さくなってもよい。別の例として、連続する複数のマイクログルーブ104間の距離は、クラブフェース38に亘って(例えば、ソール30からクラウン26へ、クラウン26からソール30へ、トウ18からヒール22へ、ヒール22からトウ18へ、等)、一定であってもよく、漸増してもよく、漸減してもよく、又は、それらの組み合わせであってもよい。
【0048】
スウィングの間に、クラブヘッド10は、ホーゼル軸線46を中心に回転し、ゴルフボールとのインパクトのときにクラブフェース38をスクエアにする。スウィングの間にクラブフェース38をスクエアにすることは、所望のボール方向を促進する。インパクトのときに、ヘッド重心50に対するクラブフェース38の上のゴルフボールの接触の位置は、ゴルフボールのスピン、又は、ギヤ効果に影響を及ぼす。フライトの間に、ゴルフボールは、軸線の周りにスピン又は回転する。ゴルフボールの回転の軸線は、地面に対して垂直な垂直方向軸線、及び、地面に対して平行な水平方向軸線を備える成分にブレークダウンされ得る。垂直方向軸線を中心とするゴルフボールのスピンは、ボールの方向に影響を及ぼす。水平方向軸線を中心とするゴルフボールのスピンは、軌跡及び距離に影響を及ぼす。ギヤ効果は、下記の例において、さらに詳細に説明される。
【0049】
例えば、x軸54に沿ってヘッド重心50からオフセットされた、クラブフェース38の上でのゴルフボールのインパクトは、クラブヘッド10がy軸58を中心に第1の方向に回転することを引き起こす。これにより、その垂直方向軸線を中心とした第1の方向の反対側の第2の方向のスピン(例えば、サイドスピン)をゴルフボールに付与する。その垂直方向軸線の中心のゴルフボールのスピンは、ゴルフボールのフェード又はドローに影響を及ぼす。同様に、y軸58に沿ってヘッド重心50からオフセットされた、クラブフェース38の上でのゴルフボールのインパクトは、クラブヘッド10がx軸54の中心の第3の方向に回転することを引き起こす。これにより、水平方向軸線の周りに、第3の方向の反対側の第4の方向のスピン(例えば、バックスピン又はトップスピン)が、ゴルフボールに付与される。水平方向軸線の周りのゴルフボールのスピンは、ゴルフボールの軌跡及び距離に影響を及ぼす。
【0050】
バックスピンに対するギヤ効果の影響に対処するため、従って、軌跡及び距離に対するギヤ効果の影響に対処するために、クラブフェース38上の連続した複数のマイクログルーブ104間の距離は、クラウン26に向けてよりも、ソール30に向けて小さくなっている(すなわち、単位面積当たり、より多くのマイクログルーブ104を備えたエリア、又は、より高い集中度のマイクログルーブ104のエリア)。これは、ソール30に向かうクラブフェース38の上でゴルフボールが打たれることで、一般的に、ギヤ効果に起因して、クラウン26に向かうクラブフェース38の上で打たれたゴルフボールよりも多くのスピン、とりわけバックスピンが、ゴルフボールに付与されるからである。より高い集中度のマイクログルーブ104をソール30に向けて設置することによって、クラブフェース38のそのエリアの中の摩擦係数が増加し、ロフト閾値以下のゴルフクラブにおいて、より少ないスピンが、ゴルフボールに付与される。
【0051】
同様に、より低い集中度のマイクログルーブ104をクラウン26に向けて設けることによって(又は、クラウン26に向けてクラブフェース38上にマイクログルーブを設けないことによって)、クラブフェース38のそのエリアの中の摩擦係数が減少し、ロフト閾値以下のゴルフクラブにおいて、より多くのスピンが、ゴルフボールに付与される。これは、ギヤ効果に起因するゴルフボールに付与されるスピンの欠如に対向する。
【0052】
さらに、センターからクラブフェース38のトウ18及び/又はヒール22に向けてオフセットされたマイクログルーブ104を設けることによって、サイドスピンを低減し得る。これは、トウ18又はヒール22に向かうクラブフェース38上でゴルフボールが打たれることで、一般的に、ギヤ効果に起因して、センター(又は、スイートスポット)に向かうクラブフェース38上で打たれたゴルフボールよりも多くのスピン、とりわけ、サイドスピンが、ゴルフボールに付与されるからである。トウ18及び/又はヒール22に向かうクラブフェース38上により高い集中度のマイクログルーブ104を設置することによって、クラブフェース38のそれらのエリアの中の摩擦係数が増加し、ロフト閾値以下のゴルフクラブにおいて、より少ないスピンが、ゴルフボールに付与される。これは、ゴルフボールのフェード又はドローの量に対処することによって、サイドスピンに対するギヤ効果の影響、従って、精度に対処し得る。
【0053】
図14を参照すると、(スウィング速度、インパクト速度、インパクト角度などのような追加的なパラメーターを一定に維持しながら)例示的なゴルフクラブヘッド10のクラブフェース38の様々な位置でのゴルフボールのインパクトの結果として生じるバックスピンが図示されている。
図14は、より高いバックスピンがクラブフェース38のソール30の近く及びヒール22の近くのインパクト位置において関して観察され、より低いバックスピンが、クラブフェース38のクラウン26の近く及びトウ18の近くのインパクト位置において観察されるということを図示している。例えば、ゴルフボールとのインパクトのときに約3000RPM未満のバックスピンを発生させるクラウン26の近く及びトウ18の近くのフェース38の領域と比較して、ゴルフボールとのインパクトのときに、ソール30の近く及びヒール22の近くのクラブフェース38の領域は、約3200~3400回転毎分(RPM)のバックスピンを発生させる。
【0054】
従って、いくつかの実施形態では、クラブフェース38上の様々インパクト場所におけるバックスピンを平準化するために、第1のゾーン108は、第2のゾーン112よりもソール30の近くに及びヒール22の近くに位置してもよく、第2のゾーン112は、よりクラウン26及びトウ18の近くに位置していもよい。これらの実施形態では、マイクログルーブ104は、第1のゾーン108の中に低減された間隔(すなわち、より高い密度又は集中度)を有してもよく、また、第2のゾーン112の中に増加された間隔(すなわち、より低い密度又は集中度)を有してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1のゾーン108は、第2のゾーン112と比較して、増加した数のマイクログルーブ104を有してもよく、及び/又は、低減されたマイクログルーブのピッチを有してもよい。従って、第1のゾーン108の中のクラブフェースとゴルフボールとの間の摩擦係数は、第2のゾーン112の中のクラブフェースとゴルフボールとの間の摩擦係数よりも大きい。
【0055】
図7~
図9は、マイクログルーブ104を有さないゴルフクラブと比較して、マイクログルーブ104を有するゴルフクラブのスピン量に対する影響を図示するデータを提供する。より具体的には、データは、ロフト閾値以下のゴルフクラブにおいて、ゴルフボールとクラブフェース38との間の摩擦係数を増加させるマイクログルーブ104を有するゴルフクラブが、マイクログルーブ104を有さないロフト閾値以下のゴルフクラブよりも、インパクトのときにゴルフボールに付与されるスピンを減少させる(即ち、インパクト後のスピン量を減少させる)ということを反映している。
【0056】
図7を参照すると、ゴルフクラブがインパクトのときにスクエア位置を有するときの、マイクログルーブを有さないゴルフクラブによって打たれたゴルフボールのスピン量と、マイクログルーブを有するゴルフクラブによって打たれたゴルフボールのスピン量と、が比較されている。比較されているクラブフェース38上のインパクト位置は、(1)クラブフェース38のセンターからトウ18に向けてオフセットされた位置、(2)クラブフェース38のセンター位置、及び、(3)クラブフェース38のセンターからヒール22に向けてオフセットされた位置を備える。3個の全てのインパクト位置において、マイクログルーブを有する(例えば、ゴルフボールとクラブフェース38との間の増加した摩擦係数を有する)ゴルフクラブは、マイクログルーブを有していない(例えば、ゴルフボールとクラブフェース38との間の減少した摩擦係数を有する)ゴルフクラブよりも、スピン量が大きく低減した。より具体的には、マイクログルーブを有さないゴルフクラブは、クラブフェース38のトウ18に向かうインパクト位置において、3039RPMのスピン量を有しており、クラブフェース38のセンターにおけるインパクト位置において、3064RPMのスピン量を有しており、クラブフェース38のヒール22に向かうインパクト位置において、3169RPMのスピン量を有していた。比較すると、マイクログルーブを有するゴルフクラブは、トウ18に向かうインパクト位置において、2962RPMのスピン量を有しており、クラブフェース38のセンターにおけるインパクト位置において、2843RPMのスピン量を有しており、ヒール22に向かうインパクト位置において、2921RPMのスピン量を有していた。
【0057】
図8を参照すると、ゴルフクラブがインパクトのときに1.5度オープンになっているときの、マイクログルーブを有さないゴルフクラブによって打たれたゴルフボールのスピン量と、マイクログルーブを有するゴルフクラブによって打たれたゴルフボールのスピン量と、が比較されている。比較されているクラブフェース38の上のインパクト位置は、(1)クラブフェース38のセンターからトウ18に向けてオフセットされた位置、(2)クラブフェース38のセンター位置、及び、(3)クラブフェース38のセンターからヒール22に向けてオフセットされた位置を備える。3個の全てのインパクト位置において、マイクログルーブを有する(例えば、ゴルフボールとクラブフェース38との間の増加した摩擦係数を有する)ゴルフクラブは、マイクログルーブを有していない(例えば、ゴルフボールとクラブフェース38との間の減少した摩擦係数を有する)ゴルフクラブよりも、スピン量が大きく低減した。より具体的には、マイクログルーブを有さないゴルフクラブは、クラブフェース38のトウ18に向かうインパクト位置において、3320.8RPMのスピン量を有しており、センターにおけるインパクト位置において、3190RPMのスピン量を有しており、クラブフェース38のヒール22に向かうインパクト位置において、3436.4RPMのスピン量を有していた。比較すると、マイクログルーブを有するゴルフクラブは、クラブフェース38のトウ18に向かうインパクト位置において、3178.4RPMのスピン量を有しており、センターにおけるインパクト位置において、3108.6RPMのスピン量を有しており、クラブフェース38のヒール22に向かうインパクト位置において、3164.8RPMのスピン量を有していた。
【0058】
図9を参照すると、ゴルフクラブがインパクトのときに1.5度クローズドになっているときの、マイクログルーブを有さないゴルフクラブによって打たれたゴルフボールのスピン量と、マイクログルーブを有するゴルフクラブによって打たれたゴルフボールのスピン量と、が比較されている。比較されているクラブフェース38の上のインパクト位置は、(1)クラブフェース38のセンターからトウ18に向けてオフセットされた位置、(2)クラブフェース38のセンター位置、及び、(3)クラブフェース38のセンターからヒール22に向けてオフセットされた位置を備える。3個の全てのインパクト位置において、マイクログルーブを有する(例えば、ゴルフボールとクラブフェース38との間の増加した摩擦係数を有する)ゴルフクラブは、マイクログルーブを有していない(例えば、ゴルフボールとクラブフェース38との間の減少した摩擦係数を有する)ゴルフクラブよりも、スピン量が大きく低減した。より具体的には、マイクログルーブを有さないゴルフクラブは、クラブフェース38のトウ18に向かうインパクト位置において、2875.8RPMのスピン量を有しており、センターにおけるインパクト位置において、2789.8RPMのスピン量を有しており、クラブフェース38のヒール22に向かうインパクト位置において、2929.6RPMのスピン量を有していた。比較すると、マイクログルーブを有するゴルフクラブは、クラブフェース38のトウ18に向かうインパクト位置において、2605.8RPMのスピン量を有しており、センターにおけるインパクト位置において、2553RPMのスピン量を有しており、クラブフェース38のヒール22に向かうインパクト位置において、2619.8RPMのスピン量を有していた。
【0059】
II.表面粗さ
ここで
図10A及び
図10Bを参照すると、ゴルフクラブヘッド10の別の実施形態が図示されている。ゴルフクラブヘッド10は、クラブフェース38の上に表面特徴部100を有している。表面特徴部100は、摩擦係数を増加させるように作用可能であり、インパクトの時にゴルフボールに付与されるスピンを低減させる。図示されている実施形態では、表面特徴部100は、クラブフェース38上に位置する表面粗さ又は表面仕上げ116である。より具体的には、表面粗さ116は、表面に対して垂直のベクトルの方向の偏差によって一般的に表現される表面テクスチャーである。偏差は、本明細書で、距離(すなわち、マイクロインチ)によって定量化されており、より大きい距離は、より滑らかでない(又は、より粗い)表面を示している。しかしながら、他の実施形態では、表面粗さ116は、任意の公知の又は適切なメトリックによって定量化されてもよい。
【0060】
多くの実施形態では、表面粗さ116は、クラブフェース38とゴルフボールとの間の摩擦係数を、約0.20よりも大きく、約0.25よりも大きく、約0.30よりも大きく、約0.35よりも大きく、約0.40よりも大きく、約0.45よりも大きく、又は、約0.50よりも大きく、増加させ得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、表面特徴部100は、約0マイクロインチから約300マイクロインチまでの単一の表面粗さ116を含むことが可能である。いくつかの実施形態では、表面特徴部100は、約40マイクロインチから約180マイクロインチの間の単一の表面粗さ116を備えてもよい。例えば、表面粗さ116は、約40マイクロインチ、約60マイクロインチ、約80マイクロインチ、約100マイクロインチ、約120マイクロインチ、約140マイクロインチ、約160マイクロインチ、又は、約180マイクロインチであってもよい。
【0062】
表面粗さ116は、クラブフェース38の上の複数の表面粗さエリア又はゾーン120、124、128に分割され得る。それぞれのエリアは、異なる量又は数量の表面粗さを有している。クラブフェース38の上のエリア120、124、128同士の間で表面粗さを変化させることによって、ゴルフボールとクラブフェース38との間の摩擦係数は、クラブフェース38に亘って調整又はカスタマイズされ、ギヤ効果によって引き起こされる、クラブフェース38におけるゴルフボールスピン変動性に対処することができる。換言すると、インパクトの後のゴルフボールのスピン量は、クラブフェース38に沿って異なるインパクト場所において平準化され得る(例えば、より均一にされる、変動性が低減される、等)。有利には、これは、(例えば、打ち損ないなど)スイートスポット以外の異なるインパクト位置においてゴルフボールに付与されるスピンを低減させる(又は、増加させる)ことが可能であり、ギヤ効果に対抗し、距離及び精度を改善する。
【0063】
ロフト閾値以下のゴルフクラブにおいて、高度に磨き上げられた又は滑らかな表面仕上げを有するエリアにおいて、クラブフェース38とゴルフボールとの間の摩擦係数が低減されるので、より多くのスピンがゴルフボールに付与される。同様に、より粗い又はより滑らかでない表面仕上げを有するエリアにおいて、クラブフェース38とゴルフボールとの間の摩擦係数が増加されるので、より少ないスピンがゴルフボールに付与される。一般的に、表面粗さが増加するにつれて、摩擦係数が増加し、インパクトのときにゴルフボールに付与されるスピンの量が減少する。
【0064】
図10A及び
図10Bは、クラブフェース38の上に3個の表面粗さエリア又はゾーン120、124、128を有するゴルフクラブヘッド10の実施形態を図示しているが、ゴルフクラブヘッド10の他の実施形態では、表面粗さの任意の数のエリア又はゾーンが、クラブフェース38上に位置していもよいということが認識されるべきである(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、又は、それ以上の表面粗さのエリア又はゾーン)。また、下記の開示は、第1、第2、及び、第3の表面粗さエリア又はゾーン120、124、128に言及しているが、第1、第2、及び、第3という用語は、クラブフェース38の上のエリア又はゾーン同士の間を区別するために使用されるということが認識されるべきである。第1、第2、及び、第3という用語は、エリア又はゾーン120、124、128同士の間を区別するために変換可能であり(例えば、第3のエリア128は、第2のエリア又は第1のエリアと称され得、第2のエリア124は、第3のエリア又は第1のエリアと称され得る等)、限定することを意図していない。
【0065】
図10Aに戻って、第1の表面粗さエリア120は、センターのクラウン26側に向けて位置し、トウ18に向けて延在する。第1の表面粗さエリア120では、表面粗さは、第2の粗さエリア124及び第3の粗さエリア128よりも滑らかである。第1のエリア120の表面粗さは、約0マイクロインチから約100マイクロインチであってもよく、より具体的には、約0マイクロインチから約50マイクロインチであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1のエリア120の表面粗さは、約10マイクロインチ、約20マイクロインチ、約30マイクロインチ、約40マイクロインチ、約50マイクロインチ、約60マイクロインチ、約70マイクロインチ、約80マイクロインチ、約90マイクロインチ、又は、約100マイクロインチであってもよい。
【0066】
さらに、
図10Aを参照すると、第2の表面粗さエリア124は、トウ18からヒール22へ延在しており、第1のエリア120と第3のエリア128との間に位置する。第2の表面粗さエリア124では、表面粗さは、第1のエリア120の表面粗さよりも大きいが、第3のエリア128の表面粗さよりも小さい。第2のエリア124の表面粗さは、約50マイクロインチから約120マイクロインチであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第2のエリア124の表面粗さは、約50マイクロインチ、約60マイクロインチ、約70マイクロインチ、約80マイクロインチ、約90マイクロインチ、約100マイクロインチ、又は、約120マイクロインチであってもよい。
【0067】
さらに
図10Aを参照すると、第3の表面粗さエリア128は、センターのソール30側に向けて位置し、ヒール22に向けて延在する。第3の表面粗さエリア128では、表面粗さは、第1のエリア120及び第2のエリア124の表面粗さよりも大きい。第3のエリア128の表面粗さは、約100マイクロインチから約300マイクロインチであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第3のエリア128の中の表面粗さは、約100マイクロインチ、約150マイクロインチ、約200マイクロインチ、約250マイクロインチ、又は、約300マイクロインチであってもよい。他の実施形態では、第3のゾーン128は、ソール30に向けて位置してもよく、クラブフェース38のセンターを実質的に二等分する。
【0068】
図10Bを参照すると、第1の表面粗さエリア120は、センターのクラウン26側に向けて位置し、クラブフェース38のセンターを実質的に二等分している。第1の表面粗さエリア120では、表面粗さは、第2の粗さエリア124及び第3の粗さエリア124、128よりも滑らかである。第1のエリア120の表面粗さは、約0マイクロインチから約100マイクロインチであってもよく、より具体的には、約0マイクロインチから約50マイクロインチであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1のエリア120の中の表面粗さは、約10マイクロインチ、約20マイクロインチ、約30マイクロインチ、約40マイクロインチ、約50マイクロインチ、約60マイクロインチ、約70マイクロインチ、約80マイクロインチ、約90マイクロインチ、又は、約100マイクロインチであってもよい。
【0069】
第2の表面粗さエリア124は、トウ18からヒール22へ延在しており、第1のエリア120と第3のエリア128との間に位置する。第2の表面粗さエリア124では、表面粗さは、第1のエリア120の表面粗さよりも大きいが、第3のエリア128の表面粗さよりも小さい。第2のエリア124の表面粗さは、約50マイクロインチから約120マイクロインチであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第2のエリア124の中の表面粗さは、約50マイクロインチ、約60マイクロインチ、約70マイクロインチ、約80マイクロインチ、約90マイクロインチ、約100マイクロインチ、又は、約120マイクロインチであってもよい。
【0070】
第3の表面粗さエリア128は、センターのソール30側に向けて位置し、クラブフェース38のセンターを実質的に二等分している。第3の表面粗さエリア128では、表面粗さは、第1のエリア120及び第2のエリア124の中の表面粗さよりも大きい。第3のエリア128の表面粗さは、約100マイクロインチから約300マイクロインチであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第3のエリア128の表面粗さは、約100マイクロインチ、約150マイクロインチ、約200マイクロインチ、約250マイクロインチ、又は、約300マイクロインチであってもよい。他の実施形態では、第3のゾーン128は、ソール30に向けて位置してもよく、クラブフェース38のセンターを実質的に二等分する。
【0071】
第1のエリア120、第2のエリア124、及び、第3のエリア128の表面粗さの範囲は、例示の目的のために提供されており、提示されている粗さよりも大きくなっていても又は小さくなっていてもよいということが認識されるべきである。
【0072】
第1のエリア120及び第3のエリア128は、楕円体形状を有するものとして図示されているが、第2のエリア124は、非定型の又は不規則な形状を有している。他の実施形態では、エリア120、124、128は、任意の適切な形状、配向、又は、それらの組み合わせであってもよい(例えば、多角形、円形、不規則な形等)。
【0073】
また、エリア120、124、128は、任意の適切な又は所望の表面積を有してもよい。例えば、第1のエリア120は、約0平方インチから約3.5平方インチであってもよい。第3のエリア128は、約0平方インチから約3.5平方インチであってもよく、より具体的には、約0.5平方インチから約2.5平方インチであってもよい。第2のエリア124は、残っている表面積を有することができる(即ち、第1のエリア120又は第3のエリア128内に存在しない)。
【0074】
エリア120、124、128のそれぞれは、エリアの中に均一な又は同じ粗さを有している。他の実施形態では、それぞれのエリア120、124、128は、それぞれのエリアの中に複数の粗さレベルを有してもよい。
【0075】
図示されている実施形態では、エリアのそれぞれの間の粗さの移行は、急激である(例えば、第1のエリア120から第2のエリア124へ、及び、第2のエリア124から第3のエリア128へ、等)。1個のエリア120、124を出ていき、次のそれぞれの付属するエリア124、128に進入するときに、表面粗さは即座に変化する。他の実施形態では、隣接するエリアの間に移行エリア(例えば、第1のエリア120から第2のエリア124へ、及び、第2のエリア124から第3のエリア128へ、など)が存在してもよく、移行エリアでは、エリア間で表面粗さが徐々に変化している(例えば、1つのエリアから次のエリアへゆっくりと又は徐々に変化しているなど)。表面粗さは、1次式、2次式、放物線、又は任意の他の適切なもしくは所望のプロファイルを含む、任意のプロファイルに従って、エリア間で変化してもよいが、それらに限定されない。
【0076】
図示されている実施形態は、3つの異なる表面粗さエリア120、124、128として、複数の表面粗さエリアを示しているが、他の実施形態では、複数の表面粗さエリアは、1個の表面粗さエリア、2個の表面粗さエリア、又は、4個以上の表面粗さエリアを備えてもよい。これらの実施形態では、複数のエリアのそれぞれは、任意の適切なもしくは所望の形状、配向、表面積、及び/又は粗さを有してもよい。
【0077】
図10に戻って、クラブフェース38は、周囲部又はエッジ132を画定する。表面粗さエリア120、124、128は、一般的に、クラブフェースのエッジ132から内向きに(又は、クラブフェース38のセンターに向けて)、0.50インチを超えて延在している。他の実施形態では、表面粗さエリア120、124、128は、クラブフェースのエッジ132から内向きに(又は、クラブフェース38のセンターに向けて)、0.50インチ以上延在しており、より好ましくは、0.50インチを超えて延在している(0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、及び/又は、1.00インチを超える距離を含み、それらの間の任意の距離を含む)。
【0078】
サイドスピン(ひいては、精度)及びバックスピン(ひいては、軌跡及び距離)に対するギヤ効果の影響に対処するために、表面粗さは、クラブフェース38の上で変化し得る。例えば、トウ18及びクラウン26に向かうエリア内のクラブフェース38の上の表面粗さは、クラブフェース38の残りの表面粗さよりも滑らかであってもよい。より滑らかな粗さは、そのエリアにおけるゴルフボールとクラブフェース38との間の摩擦係数を減少させ、ロフト閾値以下のゴルフクラブにおいて、より多くのスピンがゴルフボールに付与される。これは、ギヤ効果に起因してこのエリア内のゴルフボールに付与されるスピンの欠如に対抗する。
【0079】
同様に、ヒール22及びソール30に向かうエリア内のクラブフェース38の上の表面粗さは、クラブフェース38の残りの表面粗さよりも大きくなっていてもよい(又は、トウ18及びクラウン26に向かうエリアよりも少なくとも大きい表面粗さを有してもよい)。増加した表面粗さは、そのエリアにおけるゴルフボールとクラブフェース38との間の摩擦係数を増加させ、ロフト閾値以下のゴルフクラブにおいて、より少ないスピンがゴルフボールに付与される。これは、さらに、ギヤ効果に起因してこのエリアの中のゴルフボールに付与される追加的なスピンに対抗する。
【0080】
さらに、クラブフェース38のセンターからトウ18及び/又はヒール22に向けてオフセットされた場所に、表面粗さのエリアを設けることによって、サイドスピンが影響を受け得る。これらのエリアは、ゴルフボールのフェード又はドローの量に影響を及ぼすことによって、サイドスピン(ひいては、精度)に対するギヤ効果の影響に対処することが可能である。
【0081】
いくつかの実施形態では、表面粗さは、ブラシを使用して形成され、クラブフェース38上に小さいストライプ又はストライエーションを生成し得る。目視可能なストライエーションの形状は、クラブフェース38上のブラシストロークの方向によって決定される。現在の多くのクラブヘッドは、クラブフェース上に一定の表面粗さを付与するために真っ直ぐなブラシストロークによって形成され、ヒールからトウへの線形のストライエーションを有している。本明細書で説明されている多くの実施形態では、可変の表面粗さは、回転するブラシストロークを使用して形成され得る。それにより、湾曲したストライエーションが形成され、クラブフェース38上に可変の表面粗さが導入される。いくつかの実施形態では、湾曲したストライエーションは、上向きに、又は、クラブヘッドのクラウンに向けて、曲がっていてもよい。いくつかの実施形態では、湾曲したストライエーションは、下向きに、又は、クラブヘッドのソールに向けて、曲がっていてもよい。
【0082】
図11~
図12は、異なる表面粗さ仕上げを備えたゴルフクラブのスピン量に対する影響を図示するデータを提供している。より具体的には、データは、ロフト閾値以下のゴルフクラブにおいてゴルフボールとクラブフェース38との間の摩擦係数を増加させるより大きい表面粗さを備えるゴルフクラブは、より低い表面粗さを備えたロフト閾値以下のゴルフクラブよりも、インパクトのときにゴルフボールに付与されるスピンを減少させる(即ち、インパクトの後のスピン量を減少させる)ということを反映している。
【0083】
図11を参照すると、異なる表面仕上げを有するゴルフクラブによって打たれたゴルフボールのスピン量が比較されている。ゴルフクラブは、ゴルフスウィングマシンを使用して打たれた。それぞれのゴルフクラブは、クラブフェース38のセンター、及び、クラブフェース38のハイセンター(センターのクラウン26側)で打たれた。「標準」と表示されている中間粗さ(滑らかでないが、粗くもない表面粗さ)を有するゴルフクラブにおいて、スピン量は、センターヒットにおいて、3400RPMをわずかに上回っており、ハイセンターヒットにおいて、3200RPMをわずかに下回っている。粗さが減少するにつれて、ゴルフボールのスピン量が増加する。「ポリッシュ/ワックス」と表示されている滑らかな表面粗さを有するゴルフクラブにおいて、スピン量は最も高くなっている。具体的には、センターヒットにおいて、約4000RPMになっており、ハイセンターヒットにおいて、3800RPMをわずかに下回っている。「Guyson Blast」と表示されている最も高い表面粗さを有するゴルフクラブにおいて、スピン量は、センターヒットにおいて中間にあり(3600RPMをわずかに下回っており)、ハイセンターヒットにおいて最も低くなっている(3000RPMを下回っている)。粗さが増加するにつれて(及び、クラブフェース38とゴルフボールとの間の摩擦係数が増加するにつれて)、ゴルフボールのスピン量が、とりわけ、オフセンターインパクト位置において(すなわち、スイートスポット以外のインパクトにおいて)減少する。
【0084】
図12を参照すると、異なる表面仕上げを有するゴルフクラブによって打たれたゴルフボールのスピン量が比較されている。ゴルフクラブは、人間/プレイヤーによって打たれ、クラブフェースの上のインパクト位置はコントロールされていない。「標準」と表示されていない中間粗さ(滑らかでないが、粗くもない表面粗さ)を有するゴルフクラブにおいて、スピン量は、約3650RPMである。「ポリッシュ/ワックス」と表示されている滑らかな表面粗さを有するゴルフクラブにおいて、スピン量は、最も高くなっており、具体的には、約4000RPMである。「Guyson Blast」と表示されている、最も高い表面粗さを有するゴルフクラブにおいて、スピン量は、中間になっており、約3800RPMである。
【0085】
III.他の表面特徴部
クラブヘッド10の他の実施形態では、表面特徴部100は、マイクログルーブ104及び表面粗さ116の組み合わせを備えてもよい。マイクログルーブ104及び表面粗さ116は、クラブフェース38の別々の部分の別々のゾーン(又は、エリア)に分離されてもよく(例えば、クラブフェース38上のマイクログルーブ104のゾーン、及び、クラブフェースの上の表面粗さ116のゾーン等)、又は、クラブフェース38の同じエリア又はゾーンに位置してもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、表面特徴部100は、クラブフェース38の全てのエリアにおいて、インパクト時にゴルフボールに付与されるバックスピンを低減させることが可能である。いくつかの実施形態では、表面特徴部100は、ボトム又はヒール部分などのような、クラブフェース38の特定の部分おけるインパクト時にゴルフボールに付与されるバックスピンを低減させ、クラブフェース38上の全てのエリアにおけるインパクト時のスピンを平準化することが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、表面特徴部100を有するクラブヘッド10は、クラブフェース38上の様々な位置でのゴルフボールとのインパクトに関して、800RPM未満、700RPM未満、600RPM未満、500RPM未満、400RPM未満、300RPM未満、200RPM未満、又は、100RPM未満のバックスピンの最大変化を有することが可能である。
【0087】
図示されている実施形態では、表面特徴部100は、マイクログルーブ104及び表面粗さ116のうちの1個以上を備える。他の実施形態では、表面特徴部は、本明細書で説明されている表面特徴部100の代わりに、又は、それに加えて、テクスチャー加工された表面又は材料コーティングなどのような、他の特徴を備え、クラブフェース38上の1個以上の領域の摩擦係数を増加又は減少させてもよい。例えば、表面特徴部は、変化する厚さプロファイル又は変化する硬度プロファイルを有する材料コーティングを備え、クラブフェース38上のスピンを低減又は平準化してもよい。さらなる例において、表面特徴部は、変化する密度を有するテクスチャー加工されたパターン(例えば、スネークスキン又は他のパターン)を備え、クラブフェース38上のスピンを低減又は平準化してもよい。
【0088】
IV.表面特徴部を備えたクラブヘッドを製造する方法
表面特徴部100を有するクラブヘッド10を製造する方法が提供される。当該方法は、クラウン26、ソール30、ヒールトウ18、ヒール22、及び、ホーゼル42を有する本体部14を提供するステップを備える。次に、クラブフェース38が提供され、クラブは、クラブフェース38をクラブ本体部12に取り付けることによって形成される。表面特徴部100は、クラブ本体部12へのクラブフェース38の取り付けの前又は後に、クラブフェース38に追加され得る。
【0089】
表面特徴部100がマイクログルーブ104である実施形態では、マイクログルーブ104は、コンピューター数値制御式のレーザー、化学的なエッチング、機械加工、3Dプリンティング、又は、任意の他の適切なプロセスによって形成され得る。
【0090】
表面特徴部100が表面粗さ116の1個以上のエリア又はゾーンである実施形態では、表面粗さ116は、コンピューター制御式のレーザーエッチングによって形成され得る。さらに、レーザーエッチングは、精密なマスクの適用を備えてもよく、その後に、化学的なエッチングプロセスが続く。レーザーエッチング又は化学的なエッチングプロセスは、例えば、マイクログルーブを刻み込むことなどによって、比較的にランダムなパターンで、又は、より均一な様式で、表面粗さの変化を生成させ得る。代替例として、又は、それに加えて、表面特徴部100は、マルチステップの仕上げプロセスを使用して適用され得る。マルチステップの仕上げプロセスは、クラブフェース38全体を最も低い表面粗さまで磨き上げること、ならびに、所望の数の異なる粗さエリアが形成されるまで、クラブフェース38の追加的な部分を漸進的にマスキング及び粗面化することを備えてもよい。用いられ得る粗面化プロセスの例は、ブラッシング、ブラスティング、及び/又はエッチングプロセスを備える。代替例として、又は、それに加えて、表面特徴部100は、例えば、蒸着又は吹き付けによって材料を追加することによって、適用されてもよい。
【0091】
表面特徴部100がマイクログルーブ104及び表面粗さ116の組み合わせである実施形態では、上記の形成プロセスのうちの1個以上が、実装又は組み合わせられ、マイクログルーブ104及び表面粗さ116をそれぞれ形成し得る。
【0092】
本明細書で説明されているクラブヘッド10を製造する方法は、単に例示的なものにすぎず、本明細書で提示されている実施形態に限定されない。方法は、本明細書で具体的には示されていない、又は説明されていない、多くの異なる実施形態又は例の中で用いられ得る。いくつかの実施形態では、説明されている方法のプロセスは、任意の適切な順序で実施され得る。他の実施形態では、プロセスのうちの1つ又は複数は、組み合わせられ、分離され、又はスキップされ得る。
【0093】
1個以上の特許請求されているエレメントの交換は、再構成を構成し、修理を構成しない。追加的に、利益、他の利点、及び、課題に対する解決策が、特定の実施形態に関連して説明されてきた。しかしながら、利益、利点、課題に対する解決策、及び、任意の利益、利点、又は解決策が起こること又はより顕著になることを引き起こし得る任意の1つ又は複数のエレメントは、そのような利益、利点、解決策、又はエレメントがそのような請求項の中に明示的に述べられていなければ、請求項のいずれか又はすべての重要な、必要な、又は必須の特徴又はエレメントとして解釈されるべきではない。
【0094】
ゴルフのルールは時々刻々と変化する可能性があるので(例えば、全米ゴルフ協会(USGA)、英国ゴルフ協会(R&A)などのような、ゴルフ標準化機構及び/又は管理機関によって、新しい規則が採用され、又は、古いルールが排除又は修正され得る)、本明細書で説明されている装置、方法、及び、製造の物品に関連するゴルフ機器は、任意の特定の磁気におけるゴルフのルールに準拠しているか又は準拠していない可能性がある。従って、本明細書で説明されている装置、方法、及び、製造の物品に関連するゴルフ機器は、準拠しているか又は準拠していないゴルフ機器として、宣伝され、販売のために提示され、及び/又は、販売され得る。本明細書で説明されている装置、方法、及び、製造の物品は、この点において限定されていない。
【0095】
上記の例は、ウッドタイプゴルフクラブに関連して説明され得るが、本明細書で説明されている装置、方法、及び、製造の物品は、フェアウェイウッドタイプのゴルフクラブ、ハイブリッドタイプのゴルフクラブ、アイアンタイプのゴルフクラブ、ウェッジタイプのゴルフクラブ、又はパタータイプのゴルフクラブなどのような、他のタイプのゴルフクラブに適用可能である。代替的に、本明細書で説明されている装置、方法、及び、製造の物品は、ホッケースティック、テニスラケット、フィッシングポール、スキーポールなどのような、他のタイプのスポーツ機器に適用可能である。
【0096】
さらに、本明細書で開示されている実施形態及び限定は、その実施形態及び/又は限定が、(1)特許請求の範囲において明示的に特許請求されておらず、(2)均等論の下で特許請求の範囲の中のエレメント及び/又は限定の均等物であり、又は潜在的な均等物である場合には、公有の原則(doctrine of dedication)の下で公衆に供されてはいない。
【0097】
本開示の様々な特徴及び利点が、以下の条項において述べられている。
(条項1)
ゴルフクラブヘッドであって、
ソールの反対側のクラウン、ヒールエンドの反対側のトウエンド、バックエンド、及び、ホーゼルを有する本体部と、
ロフト閾値を下回るロフトを有するクラブフェースであって、前記ロフト閾値は、ゴルフボールとクラブフェースとの間の摩擦係数が増加すると、前記ゴルフボールとの衝突後に前記ゴルフボールに付与されるスピンが減少する閾値である、前記クラブフェースと、
前記クラブフェースの一部分に位置し、前記ゴルフボールとクラブフェースとの間の摩擦係数を増加させるように構成されている表面特徴部と、
を備える、ゴルフクラブヘッド。
(条項2)
前記表面特徴部は、複数のマイクログルーブを備える、条項1に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項3)
前記複数のマイクログルーブのうちの各マイクログルーブは、0.001インチから0.050インチの間の溝深さを有する、条項2に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項4)
前記複数のマイクログルーブのうちの各マイクログルーブは、0.001インチから0.050インチの間の溝幅を有する、条項2に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項5)
前記複数のマイクログルーブのうちの各マイクログルーブは、ボックス形状、V字形状、又は、U字形状の断面形状のうちの1個の形状を有する、条項2に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項6)
前記複数のマイクログルーブは、隣接する各マイクログルーブ間に均一な距離を有する、条項2に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項7)
前記複数のマイクログルーブは、隣接する各マイクログルーブ間に増加する距離を有する、条項2に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項8)
隣接する各マイクログルーブ間の距離は、0.002インチずつ増加する、条項7に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項9)
前記マイクログルーブは、第1の複数の前記マイクログルーブを有する第1のゾーン、及び、第2の複数の前記マイクログルーブを有する第2のゾーンを有し、
隣接するマイクログルーブ間の距離は、第2のゾーンよりも第1のゾーンにおいて小さい、条項2に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項10)
第1のゾーンは、第2のゾーンよりもソールの近くに位置する、条項9に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項11)
第2のゾーンは、第1のゾーンよりもクラウンの近くに位置する、条項9に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項12)
表面特徴部は、複数のエリアを備え、
各エリアは、異なる表面粗さを有する、条項1に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項13)
前記複数のエリアは、第1の表面粗さを有する第1のエリア、及び、第1の表面粗さよりも大きい第2の表面粗さを有する第2のエリアを備える、条項12に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項14)
前記第1の表面粗さは、0マイクロインチから100マイクロインチの間の表面粗さであり、
前記第2の表面粗さは、100マイクロインチから300マイクロインチの間の表面粗さである、条項12に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項15)
前記第1の表面粗さは、0マイクロインチから50マイクロインチの間の表面粗さである、条項14に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項16)
前記第1のエリアは、前記クラブフェースのセンターのクラウン側に位置し、前記トウ及び前記クラウンに向けて延在する、条項14に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項17)
前記第2のエリアは、前記クラブフェースのセンターのソール側に位置し、前記ヒール及び前記ソールに向けて延在する、条項16に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項18)
前記第1のエリア及び前記第2のエリアは、前記クラブフェースの外側周囲部から0.50インチよりも長く内向きに延在する、条項17に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項19)
前記第1のエリアは、前記第2のエリアよりも低い前記ゴルフボールと前記クラブフェースとの間の摩擦係数を有する、条項17に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項20)
前記第2のエリアは、前記第1のエリアよりも高い前記ゴルフボールと前記クラブフェースとの間の摩擦係数を有する、条項17に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項21)
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、第3の表面粗さを有する第3のエリアを備え、
前記第3の表面粗さは、50マイクロインチから120マイクロインチの間の表面粗さである、条項14に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項22)
前記第3のエリアは、前記クラブフェースにおいて、前記第1のエリアと前記第2のエリアとの間に位置する、条項21に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項23)
ロフト閾値は、15度から25度の間にある、条項1に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項24)
ロフト閾値は、25度よりも小さい、条項1に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項25)
条項1に記載のゴルフクラブヘッドを有するゴルフクラブ。
(条項26)
条項1に記載のゴルフクラブヘッドを製造する方法であって、
クラウン、ソール、ヒール、トウ、バックエンド、及びホーゼルを有する本体部を提供するステップと、
クラブフェースを提供するステップと、
前記クラブフェース上に表面特徴部を形成するステップと、
前記クラブフェースを前記クラブ本体部に形成又は連結するステップと
を含む、方法。
(条項27)
ゴルフクラブヘッドであって、
ソールの反対側のクラウン、ヒールの反対側のトウ、バックエンド、及び、ホーゼルを有する本体部と、
ロフト閾値を下回るロフトを有するクラブフェースであって、前記ロフト閾値は、ゴルフボールと前記クラブフェースとの間の摩擦係数が増加すると、前記ゴルフボールとの衝突後に前記ゴルフボールに付与されるスピンが減少する閾値であり、前記クラブフェースは、前記クラウンの近く及び前記トウの近くに位置する第2のゾーンよりも、前記ソールの近く及び前記ヒールの近くに位置する第1のゾーンを備える、前記クラブフェースと、
前記クラブフェースの一部分に位置し、前記ゴルフボールと前記クラブフェースとの間の前記摩擦係数を増加させるように構成されている表面特徴部と、
を備え、
前記表面特徴部を有する前記クラブフェースの前記一部分と前記ゴルフボールとの間の前記摩擦係数は、約0.25よりも大きく、
前記第1のゾーンにおける前記クラブフェースと前記ゴルフボールとの間の前記摩擦係数は、前記第2のゾーンおける前記クラブフェースと前記ゴルフボールとの間の前記摩擦係数よりも大きい、ゴルフクラブヘッド。
(条項28)
前記表面特徴部は、複数のマイクログルーブを備える、条項27に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項29)
前記複数のマイクログルーブのうちの各マイクログルーブは、0.001インチから0.050インチの溝深さを有する、条項28に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項30)
前記複数のマイクログルーブのうちの各マイクログルーブは、0.001インチから0.050インチの溝幅を有している、条項28に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項31)
前記複数のマイクログルーブのうちの各マイクログルーブは、ボックス形状、V字形状、又は、U字形状の断面形状のうちの1個の断面形状を有する、条項28に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項32)
前記複数のマイクログルーブは、隣接する各マイクログルーブ間に均一な距離を有する、条項28に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項33)
前記複数のマイクログルーブは、隣接する各マイクログルーブの間に、前記クラウンに向かう方向において、増加する距離を有する、条項28に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項34)
前記各マイクログルーブ間の前記距離は、前記クラウンに向かう方向において0.002インチずつ増加する、条項33に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項35)
前記第1のゾーンは、第1の複数のマイクログルーブを備え、
前記第2のゾーンは、第2の複数のマイクログルーブを備え、
隣接する前記マイクログルーブ間の距離は、前記第2のゾーンよりも前記第1のゾーンにおいて小さい、条項28に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項36)
前記ロフト閾値は、15度から25度の間である、条項27に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項37)
前記ロフト閾値は、25度よりも小さい、条項27に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項38)
ゴルフクラブヘッドであって、
ソールの反対側のクラウン、ヒールの反対側のトウ、バックエンド、及び、ホーゼルを有する本体部と、
ロフト閾値を下回るロフトを有するクラブフェースであって、前記ロフト閾値は、ゴルフボールと前記クラブフェースとの間の摩擦係数が増加すると、前記ゴルフボールとの衝突後に前記ゴルフボールに付与されるスピンが減少する閾値であり、前記クラブフェースは、さらに、第1のエリア、第2のエリア、及び、第3のエリアを有する複数のエリアを備え、
前記第1のエリアは、前記クラブフェースのセンターのクラウン側に位置し、前記トウ及び前記クラウンに向けて延在し、
前記第3のエリアは、前記クラブフェースの前記センターのソール側に位置し、前記ヒール及び前記ソールに向けて延在し、
前記第2のエリアは、前記第1のエリアと前記第3のエリアとの間に位置する、
前記クラブフェースと、
前記クラブフェースの一部分に位置し、前記ゴルフボールと前記クラブフェースとの間の前記摩擦係数を増加させるように構成されている表面特徴部、
を備え、
前記表面特徴部を有する前記クラブフェースの前記一部分と前記ゴルフボールとの間の前記摩擦係数は、約0.25よりも大きく、
前記第1のエリア内の前記クラブフェースと前記ゴルフボールとの間の前記摩擦係数は、前記第2のエリア内の前記クラブフェースと前記ゴルフボールとの間の前記摩擦係数よりも小さく、
前記第2のエリア内の前記クラブフェースと前記ゴルフボールとの間の前記摩擦係数は、前記第3のエリア内の前記クラブフェースと前記ゴルフボールとの間の前記摩擦係数よりも小さい、
ゴルフクラブヘッド。
(条項39)
前記複数のエリアは、それぞれ、異なる表面粗さを有する、条項38に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項40)
前記第1のエリアは、0マイクロインチから100マイクロインチの間の第1の表面粗さを有し、
前記第2のエリアは、50マイクロインチから120マイクロインチの間の第2の表面粗さを有し、
前記第3のエリアは、100マイクロインチから300マイクロインチの間の第3の表面粗さを有する、条項39に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項41)
前記第1の表面粗さは、0マイクロインチから50マイクロインチの間である、条項40に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項42)
前記第1、第2、及び第3のエリアは、前記クラブフェースの外側周囲部から0.50インチを超えて内向きに延在する、条項38に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項43)
前記ロフト閾値は、15度から25度の間にある、条項38に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項44)
前記ロフト閾値は、25度未満である、条項38に記載のゴルフクラブヘッド。
(条項45)
条項27に記載のゴルフクラブヘッドを有するゴルフクラブ。
(条項46)
条項27に記載のゴルフクラブヘッドを製造する方法であって、
前記クラウン、前記ソール、前記ヒール、前記トウ、前記バックエンド、及び、前記ホーゼルを有する前記本体部を提供するステップと、
前記クラブフェースを提供するステップと、
前記クラブフェース上に前記表面特徴部を形成するステップと、
前記クラブフェースを前記クラブ本体部に形成又は連結するステップと、
を備える、方法。