(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】マルチビームアンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 19/28 20060101AFI20240327BHJP
H01Q 25/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
H01Q19/28
H01Q25/00
(21)【出願番号】P 2022547270
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 CN2020130046
(87)【国際公開番号】W WO2021155696
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】202010079798.9
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】孔 ▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】余 ▲敏▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 一
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-129092(JP,A)
【文献】特開2005-229487(JP,A)
【文献】特開2006-066993(JP,A)
【文献】Zhongliang Lu, et al.,"A novel planar beam steering antenna",2013 IEEE International Wireless Symposium (IWS),2013年,DOI: 10.1109/IEEE-IWS.2013.6616838
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 19/28
H01Q 25/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチビームアンテナであって、基板と、アンテナ素子と、第1のガイド装置と、第2のガイド装置と、を備え、前記アンテナ素子、前記第1のガイド装置、及び前記第2のガイド装置が、前記基板上に配置され、前記アンテナ素子が、第1のポールと、第2のポールと、を備え、前記第1のポールが、給電信号を受信するように構成され、前記第2のポールが、接地され、前記第1のガイド装置が、前記アンテナ素子によって生成された第1のビームを第1の方向に放射することを可能にするように構成され、前記第2のガイド装置が、前記アンテナ素子によって生成された第2のビームを第2の方向に放射することを可能にするように構成され、前記アンテナ素子の位相中心が、第1の軸と第2の軸との交点に位置付けられ、前記第1の軸が、前記第1のガイド装置の位相中心を通り、前記第1の方向に平行であり、前記第2の軸が、前記第2のガイド装置の位相中心を通り、前記第2の方向に平行であ
り、前記アンテナ素子が、前記第1の軸と前記第2の軸との間の角度二等分線と重ならず、前記角度二等分線を中心に対称ではない、マルチビームアンテナ。
【請求項2】
前記第1のガイド装置の種類及び前記第2のガイド装置の種類が、それぞれ、導波器
又は反射器を備える、請求項1に記載のマルチビームアンテナ。
【請求項3】
前記マルチビームアンテナが、
同軸ケーブルである給電部を更に備え、前記第1のポールが、前記基板の第1の表面に配置され、前記第2のポールが、前記基板の第2の表面に配置され、前記給電部の内部導体が、前記第1のポールに接続され、前記給電部の外部導体が、前記第2のポールに接続される、請求項1又は2に記載のマルチビームアンテナ。
【請求項4】
前記マルチビームアンテナが、給電部を更に備え、前記第1のポール、前記第2のポール、及び前記給電部が、前記基板の第1の表面、又は前記基板の第2の表面に配置される、請求項1又は2に記載のマルチビームアンテナ。
【請求項5】
前記第1のガイド装置が、前記基板
の第1の表面、又は前記基板
の第2の表面に配置され、前記第2のガイド装置が、前記基板の前記第1の表面、又は前記基板の前記第2の表面に配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載のマルチビームアンテナ。
【請求項6】
前記第1の軸が、前記第2の軸に垂直である、請求項1から
5のいずれか一項に記載のマルチビームアンテナ。
【請求項7】
前記アンテナ素子の
長さが、前記第1のガイド装置の長さ、及び前記第2のガイド装置の長さと異なる、請求項1から
6のいずれか一項に記載のマルチビームアンテナ。
【請求項8】
前記マルチビームアンテナが、第3のガイド装置と、第4のガイド装置と、を更に備え、
前記第1のガイド装置の種類及び前記第2のガイド装置の種類が反射器であり、前記第3のガイド装置の種類及び前記第4のガイド装置の種類
が導波器
であり、前記第3のガイド装置が、前記第1のビームを前記第1の方向に放射することを可能にするように構成され、前記第4のガイド装置が、前記第2のビームを前記第2の方向に放射することを可能にするように構成され、前記アンテナ素子が、前記第1のガイド装置と前記第3のガイド装置との間に位置付けされ、前記アンテナ素子が、前記第2のガイド装置と前記第4のガイド装置との間に位置付けされる、請求項1から
7のいずれか一項に記載のマルチビームアンテナ。
【請求項9】
前記第1のガイド装置
の種類が、導波器であり、前記マルチビームアンテナが、少なくとも1つの第1の導波器を更に備え、前記第1のガイド装置及び前記少なくとも1つの第1の導波器が、前記第1の方向に沿って順次配置され、又は
前記第2のガイド装置
の種類が、導波器であり、前記マルチビームアンテナが、少なくとも1つの第2の導波器を更に備え、前記第2のガイド装置及び前記少なくとも1つの第2の導波器が、前記第2の方向に沿って順次配置される、請求項1から
7のいずれか一項に記載のマルチビームアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年2月4日に中国国家知識財産権局に出願された、発明の名称を「マルチビームアンテナ」とする中国特許出願第202010079798.9号の優先権を主張するものであり、同出願の内容全体が参照により本願明細書に援用される。
【0002】
本出願は、アンテナ分野に関し、特に、マルチビームアンテナに関する。
【背景技術】
【0003】
現代の通信システムの急速な発展に伴い、人々は、通信速度、チャネル容量、データスループット、ユーザカバレッジ、及び通信システムの他の態様に関して、ますます高い要求条件を提起する。通信システムの最もフロントエンドの構成要素として、アンテナも多くの要求条件に直面する。従来のシングルビームアンテナは通常、1つの主放射方向のみを有する。アンテナを配置する位置が決定されるとき、主放射方向も決定される。したがって、複数の方向への放射を同時に考慮することは困難である。
【0004】
シングルビームアンテナと比較して、マルチビームアンテナは、複数の主放射方向を有する。これは、アンテナのカバレッジエリアを増加させ、広いカバレッジに関する既存の通信システムの要求条件を満たすことができる。複数のアンテナを組み合わせること、例えば、アレイアンテナの形態のアンテナを設計して、異なる方向の放射を生成することは、複数のビームを実装する1つの方法である。しかしながら、複雑な給電ネットワークが、アレイアンテナのために配置される必要があり、アンテナの全体サイズを比較的大きくする結果になる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の実施形態は、マルチビームアンテナを提供する。マルチビームアンテナは、一端のみを介して給電することによって、少なくとも2つの方向のビームカバレッジを実現することができる。複雑な給電ネットワークを配置する必要がなく、それによって、マルチビームアンテナの小型化を容易にする。
【0006】
第1の態様によれば、本出願の実施形態で提供されるマルチビームアンテナは、基板と、アンテナ素子と、第1のガイド装置と、第2のガイド装置と、を含む。アンテナ素子、第1のガイド装置、及び第2のガイド装置は、基板上に配置される。アンテナ素子は、第1のポールと、第2のポールと、を含む。第1のポールは、給電信号を受信するように構成される。第2のポールは接地される。第1のガイド装置は、アンテナ素子によって生成された第1のビームを第1の方向に放射することを可能にするように構成される。第2のガイド装置は、アンテナ素子によって生成された第2のビームを第2の方向に放射することを可能にするように構成される。アンテナ素子の位相中心は、第1の軸と第2の軸との交点に位置付けられる。第1の軸は、第1のガイド装置の位相中心を通り、第1の方向に平行である。第2の軸は、第2のガイド装置の位相中心を通り、第2の方向に平行である。
【0007】
この実施態様では、第1のガイド装置は、アンテナ素子によって生成された第1のビームを第1の方向に放射することを可能にするように構成され、第2のガイド装置は、アンテナ素子によって生成された第2のビームを第2の方向に放射することを可能にするように構成される。マルチビームアンテナは、一端のみを介して給電することによって、少なくとも2つの方向のビームカバレッジを実現することができる。複雑な給電ネットワークを配置する必要がなく、それによって、マルチビームアンテナの小型化を容易にする。
【0008】
任意選択で、いくつかの可能な実施態様では、第1のガイド装置及び第2のガイド装置は、それぞれ、特定の方向において、アンテナの放射を高めるように構成される。具体的には、第1のガイド装置の種類及び第2のガイド装置の種類は、それぞれ、導波器及び反射器を含む。反射器の影響下でのビーム放射方向は、反射器からアンテナ素子への方向である。導波器の影響下でのビーム放射方向は、アンテナ素子から導波器への方向である。例えば、第1のガイド装置及び第2のガイド装置は、両方とも反射器又は導波器であってもよく、一方が反射器であり、他方が導波器であってもよい。本実施態様では、第1のガイド装置及び第2のガイド装置の複数の特定の種類が提供され、それによって、本解決策の拡張性を改善する。
【0009】
任意選択で、いくつかの可能な実施態様では、マルチビームアンテナは、給電部を更に含む。第1のポールは、基板の第1の表面に配置され、第2のポールは、基板の第2の表面に配置される。具体的には、給電部は、同軸ケーブルであってもよい。給電部の内部導体は、第1のポールに接続され、給電部の外部導体は、第2のポールに接続され、これにより、第1のポールは、給電信号を受信し、第2のポールは接地される。本実施態様では、アンテナ素子を給電部に接続するための特定の実施態様が提供され、それによって、本解決策の実施可能性を改善する。
【0010】
任意選択で、いくつかの可能な実施態様では、マルチビームアンテナは、給電部を更に含み、第1のポール、第2のポール、及び給電部は、基板の第1の表面、又は基板の第2の表面に配置される。本実施態様では、アンテナ素子を給電部に接続するための別の特定の実施態様が提供され、それによって、本解決策の柔軟性を改善する。
【0011】
任意選択で、いくつかの可能な実施態様では、第1のガイド装置は、基板の第1の表面、又は基板の第2の表面に配置され、第2のガイド装置は、基板の第1の表面、又は基板の第2の表面に配置される。本実施態様では、第1のガイド装置及び第2のガイド装置は、基板の同じ表面に配置されてもよく、又は基板の異なる表面に配置されてもよく、それによって、本出願の実施態様を充実させる。
【0012】
任意選択で、いくつかの可能な実施態様では、アンテナ素子は、第1の軸と第2の軸との間の挟角の角度二等分線に沿って配置される。この場合、2つのビームの利得値は近似している。例えば、アンテナ素子は、角度二等分線と重なるか、又はアンテナ素子は、角度二等分線を中心に対称である。また、代替的に、アンテナ素子は、角度二等分線に沿って配置されてなくてもよい。例えば、アンテナ素子が、それ自体の位相中心の周りを回転する場合、それに対応して、2つのビームの利得値は、大きく異なってもよい。本実施態様では、アンテナ素子は、異なる利得要求条件を満たす実際の必要性に基づいて、回転されてもよい。
【0013】
任意選択で、いくつかの可能な実施態様では、第1の軸は、第2の軸に垂直である。この場合、第1のガイド装置及び第2のガイド装置上の誘導電流成分は、互いに直交し、2つのビームは、非干渉的に重ね合わせられ、2つのビームは、極めて高い独立性を有する。当然ながら、第1の軸と第2の軸との間の挟角は、90度でなくてもよく、それによって、本解決策の拡張性を改善する。
【0014】
任意選択で、いくつかの可能な実施態様では、アンテナ素子の共振長は、第1のガイド装置の長さ、及び第2のガイド装置の長さと異なる。反射器の長さは、アンテナ素子の共振長よりも長い。導波器の長さは、アンテナ素子の共振長よりも短い。
【0015】
任意選択で、いくつかの可能な実施態様では、マルチビームアンテナは、第3のガイド装置と、第4のガイド装置と、を更に含む。第3のガイド装置の種類及び第4のガイド装置の種類は、それぞれ、導波器及び反射器を含む。第3のガイド装置は、第1のビームを第1の方向に放射することを可能にするように構成される。第4のガイド装置は、第2のビームを第2の方向に放射することを可能にするように構成される。アンテナ素子は、第1のガイド装置と第3のガイド装置との間に位置付けられる。アンテナ素子は、第2のガイド装置と第4のガイド装置との間に位置付けられる。本実施態様では、第3のガイド装置及び第4のガイド装置を配置することは、第1の方向における第1のビームの利得効果、及び第2の方向における第2のビームの利得効果を高めることができる。
【0016】
任意選択で、いくつかの可能な実施態様では、第1のガイド装置が導波器である場合、少なくとも1つの追加の導波器は、第1のビームの利得を増加させるように、第1の方向に沿って第1のガイド装置と並んで更に配置されてもよい。同様に、第2のガイド装置が導波器である場合、少なくとも1つの追加の導波器は、第2のビームの利得を増加させるように、第2の方向に沿って第2のガイド装置と並んで更に配置されてもよい。
【0017】
前述の技術解決策から分かるように、本出願の実施形態は、以下の利点を有する。
【0018】
本出願の実施形態では、第1のガイド装置は、アンテナ素子によって生成された第1のビームを第1の方向に放射することを可能にするように構成され、第2のガイド装置は、アンテナ素子によって生成された第2のビームを第2の方向に放射することを可能にするように構成される。マルチビームアンテナは、一端のみを介して給電することによって、少なくとも2つの方向のビームカバレッジを実現することができる。複雑な給電ネットワークを配置する必要がなく、それによって、マルチビームアンテナの小型化を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第1の構造の概略図である。
【
図2】マルチビームアンテナの指向性パターンを示す図である。
【
図3】本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第2の構造の概略図である。
【
図4】本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第3の構造の概略図である。
【
図5】本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第4の構造の概略図である。
【
図6】本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第5の構造の概略図である。
【
図7】本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第6の構造の概略図である。
【
図8】本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第7の構造の概略図である。
【
図9】マルチビームアンテナの別の指向性パターンを示す図である。
【
図10】本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第8の構造の概略図である。
【
図11】本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第9の構造の概略図である。
【
図12】本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第10の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本出願の実施形態は、マルチビームアンテナを提供する。マルチビームアンテナは、一端のみを介して給電することによって、少なくとも2つの方向のビームカバレッジを実現することができる。複雑な給電ネットワークを配置する必要がなく、それによって、マルチビームアンテナの小型化を容易にする。本出願の本明細書、特許請求の範囲、及び添付の図面において、「第1」、「第2」、「第3」、及び「第4」などの用語(もしあれば)は、同様の対象間を区別することを意図されており、必ずしも特定の順序又は順番を示すものではない。このような方法で呼ばれるデータは、適切な状況で交換可能であり、これにより、本明細書で説明されている実施形態が、図示されている順序又は本明細書で説明されている順序とは別の順序で実施され得ることを理解されたい。更に、「含む」、「備える」、及びこれらの任意の他の変種の用語は、非排他的包含に該当することを意味する。例えば、ステップ又はユニットのリストを含むプロセス、方法、システム、製品、又はデバイスは、必ずしもこれらのステップ又はユニットに限定されず、明示的に列挙されていない、又はそのようなプロセス、方法、製品、若しくはデバイスに固有である他のステップ又はユニットを含み得る。
【0021】
図1は、本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第1の構造の概略図である。マルチビームアンテナは、基板101と、アンテナ素子102と、第1のガイド装置103と、第2のガイド装置104と、を含む。アンテナ素子102、第1のガイド装置103及び第2のガイド装置104は、基板101上に、いずれも配置される。アンテナ素子102は、第1のポール102a及び第2のポール102bの2つのポールを含む。第1のポール102aは、給電信号を受信するように構成される。第2のポール102bは、接地される。第1のガイド装置103及び第2のガイド装置104は、アンテナ素子102によって生成されたビームを異なる方向に放射することを可能にするように構成される。具体的には、第1のガイド装置103は、第1のビームを第1の方向に放射することを可能にし、第2のガイド装置104は、第2ビームを第2の方向に放射することを可能にする。アンテナ素子102の位相中心は、第1の軸と第2の軸との交点に位置付けられる。第1の軸は、第1のガイド装置103の位相中心を通り、第1の方向に平行である。第2の軸は、第2のガイド装置104の位相中心を通り、第2の方向に平行である。
【0022】
アンテナ素子102によって放射された電磁波が、アンテナ素子102から特定の距離だけ離れた後、電磁波の等位相面は、略球面となり得、球面の球中心は、アンテナ素子102の位相中心であることに留意されたい。位相中心は、理論的には点のはずである。すなわち、理論的には、アンテナ素子102によって放射された信号は、この点を円の中心として、外側に放射されると考えられ得る。しかしながら、実際の用途では、そのような完全な実施は通常不可能である。したがって、アンテナ素子の位相中心は、面積として理解されてもよい。加えて、第1のガイド装置103及び第2のガイド装置104の位相中心は、それらの位相中心が自己共振によって生成されるので、第1のガイド装置103及び第2のガイド装置104が給電信号を受信しないことを除いて、類似している。アンテナ素子102、第1のガイド装置103、及び第2のガイド装置104がすべて、規則的な幾何学的形状を有する場合、それらの幾何学的中心は、位相中心であると理解され得る。
【0023】
任意選択で、第1のガイド装置103及び第2のガイド装置104はそれぞれ、特定の方向において、アンテナの放射を高めるように構成される。第1のガイド装置103の種類及び第2のガイド装置104の種類のそれぞれは、導波器及び反射器を含む。給電信号を受信した後、アンテナ素子102は、各放射方向に垂直な電流成分を生成する。特定の方向の電流成分は、同じ方向に沿って、反射器又は導波器の誘導電流成分を励起する。反射器は、反射器における誘導電流成分の位相の進みが、アンテナ素子102を励起することを可能にする。導波器は、導波器における誘導電流成分の位相の遅れが、アンテナ素子102を励起することを可能にする。反射器の長さは、アンテナ素子102の共振長よりも長い。導波器の長さは、アンテナ素子102の共振長よりも短い。反射器の影響下でのビーム放射方向は、反射器からアンテナ素子102への方向である。導波器の影響下でのビーム放射方向は、アンテナ素子102から導波器への方向である。例えば、
図1に示した第1のガイド装置103及び第2のガイド装置104はそれぞれ、反射器である。
【0024】
多くのガイド装置が、第1のガイド装置103及び第2のガイド装置104に基づいて、更に配置され得ることが理解され得る。複数のビームは、異なる放射方向を有し、空間的に重なり合って、マルチビーム放射を形成する。
図1に示したマルチビームアンテナの構造を例として使用して、
図2は、マルチビームアンテナの指向性パターンを示している。マルチビームアンテナは、2つの主放射方向を有することが分かる。
【0025】
図3は、本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第2の構造の概略図である。第1のガイド装置103及び第2のガイド装置104はそれぞれ、導波器である。
【0026】
図4は、本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第3の構造の概略図である。第1のガイド装置103は、反射器であり、第2のガイド装置104は、導波器である。
【0027】
任意選択で、第1のガイド装置103及び第2のガイド装置104は両方とも、規則的な幾何学的形状を有してもよく、例えば、
図1に示したストリップ反射器であってもよく、又は他の形状を有してもよい。これは、本明細書では特に限定されない。例えば、
図5は、本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第4の構造の概略図である。第2のガイド装置は、アーク反射器であってもよい。
【0028】
任意選択で、アンテナ素子102の形状は、本出願では限定されない。アンテナ素子102は、
図1に示したように、ハイフン形状であってもよい。第1のポール102a及び第2のポール102bは、2つの枝部である。更に、
図6は、本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第5の構造の概略図である。アンテナ素子102は、十字形状である。同様に、第1のポール102a及び第2のポール102bは、2つの枝部である。
【0029】
任意選択で、
図7は、本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第6の構造の概略図である。本出願は、第1の軸と第2の軸との間の挟角を限定しない。言い換えると、第1のガイド装置103及び第2のガイド装置104を配置する位置は、可変であってもよい。例えば、第1の軸と第2の軸との間の挟角は、
図7に示した鋭角であってもよいし、
図1に示した直角であってもよい。第1の軸と第2の軸との間の挟角が直角である場合、第1のガイド装置103及び第2のガイド装置104の誘導電流成分は、互いに直交することに留意されたい。この場合、2つのビームは、非干渉的に重ね合わせられ、2つのビームは、極めて高い独立性を有する。
【0030】
任意選択で、アンテナ素子102は、第1の軸と第2の軸との間の挟角の角度二等分線に沿って配置されてもよい。この場合、2つのビームの利得値は近似している。例えば、
図1のアンテナ素子102は、角度二等分線と重なる。
図6において、アンテナ素子102は、角度二等分線を中心に対称である。加えて、代替的に、アンテナ素子102は、角度二等分線に沿って配置されていなくてもよい。詳細については、
図8を参照されたい。
図8は、本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第7の構造の概略図である。
図1に示したアンテナ素子102と比較すると、
図8のアンテナ素子102は、それ自体の位相中心の周りを回転する。これに対応して、2つのビームの利得値は大きく異なり得る。
図8に示したマルチビームアンテナの構造が、一例として、使用される。
図9は、マルチビームアンテナの別の指向性パターンを示している。
図2に示した指向性パターンにおける2つのビームの利得値が、概ね同じ場合と比較すると、
図9に示した指向性パターンにおける2つのビームの利得値は、アンテナ素子102の回転に伴って大きく異なる。したがって、実際の用途では、アンテナ素子102は、必要に応じて適切に回転され得る。
【0031】
任意選択で、
図10は、本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第8の構造の概略図である。マルチビームアンテナは、第1のガイド装置103に対応する第3のガイド装置105と、第2のガイド装置104に対応する第4のガイド装置106と、を更に含み得る。第3のガイド装置105の機能は、第1のガイド装置103の機能と同様であり、第1のビームを第1の方向に放射することを可能にし得る。第4のガイド装置106の機能は、第2のガイド装置104の機能と同様であり、第2のビームを第2の方向に放射することを可能にし得る。第3のガイド装置105及び第4のガイド装置106を配置することは、第1の方向における第1のビームの利得効果、及び第2の方向における第2のビームの利得効果を高めることができる。例えば、
図10において、第1のガイド装置103及び第2のガイド装置104がそれぞれ、反射器である場合、第3のガイド装置105及び第4のガイド装置106はそれぞれ、導波器である。別の例として、第1のガイド装置103及び第2のガイド装置104がそれぞれ、導波器である場合、第3のガイド装置105及び第4のガイド装置106はそれぞれ、反射器である。別の例では、第1のガイド装置103が反射器であり、第2のガイド装置104が導波器である場合、第3のガイド装置105は、導波器であり、第4のガイド装置106は、反射器である。
【0032】
任意選択で、
図11は、本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第9の構造の概略図である。第1のガイド装置103が導波器である場合、少なくとも1つの追加の導波器は、第1のビームの利得を増加させるように、第1の方向に沿って第1のガイド装置103と並んで更に配置されてもよい。同様に、第2のガイド装置104が導波器である場合、少なくとも1つの追加の導波器は、第2のビームの利得を増加させるように、第2の方向に沿って第2のガイド装置104と並んで更に配置されてもよい。例えば、
図11では、導波器107が、第1の方向に沿って第1のガイド装置103と並んで配置され、導波器108が、第2の方向に沿って第2のガイド装置104と並んで配置されている。
【0033】
任意選択で、
図12は、本出願の一実施形態による、マルチビームアンテナの第10の構造の概略図である。マルチビームアンテナは、給電部109を更に含んでもよい。アンテナ素子102の第1のポール102aは、基板101の上面に配置される。アンテナ素子102の第2のポール102bは、基板101の下面に配置される。具体的には、給電部109は、同軸ケーブルであってもよい。給電部109の内部導体は、第1のポール102aに接続され、給電部109の外部導体は、第2のポール102bに接続され、これにより、第1のポール102aは、給電信号を受信し、第2のポール102bは接地される。
図12に示した構造に加えて、給電部109は、アンテナ素子102の第1のポール102a及び第2のポール102bと共に、基板101の同一表面上に代替的に配置されてもよいことが理解され得る。これは、本明細書では特に限定されない。
【0034】
任意選択で、第1のガイド装置103及び第2のガイド装置104は、基板101の上面に配置されてもよく、基板101の下面に配置されてもよく、又は基板101の4つの縁部に固定されてもよい。これは、本明細書では特に限定されない。
【0035】
本出願の実施形態では、第1のガイド装置は、アンテナ素子によって生成された第1のビームを第1の方向に放射することを可能にするように構成され、第2のガイド装置は、アンテナ素子によって生成された第2のビームを第2の方向に放射することを可能にするように構成される。マルチビームアンテナは、一端のみを介して給電することによって、少なくとも2つの方向のビームカバレッジを実現することができる。複雑な給電ネットワークを配置する必要がなく、それによって、マルチビームアンテナの小型化を容易にする。
【0036】
前述の実施形態は、本出願を限定するのではなく、本出願の技術解決策を説明することを目的としているにすぎないことに留意されたい。本出願は、上記の実施形態を参照して詳細に説明されているが、当業者は、彼らが、本出願の実施形態の技術解決策の範囲から逸脱することなく、上記の実施形態で説明された技術解決策に更に修正を加え得る、又はその技術的特徴の一部の同等の置き換えを行い得ることを理解するはずである。
【符号の説明】
【0037】
101 基板
102 アンテナ素子
102a 第1のポール
102b 第2のポール
103 第1のガイド装置
104 第2のガイド装置
105 第3のガイド装置
106 第4のガイド装置
107 導波器
108 導波器
109 給電部