(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】前立腺自動解析システム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
A61B8/14
(21)【出願番号】P 2022561188
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(86)【国際出願番号】 US2021025996
(87)【国際公開番号】W WO2021207226
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-12-02
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503129763
【氏名又は名称】ベラソン インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Verathon Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パドウォル、モナリ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、フーシン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジョン ファン
(72)【発明者】
【氏名】セイバー、ナサー
(72)【発明者】
【氏名】イヴァンチェヴィチ、ニコラス
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0330518(US,A1)
【文献】特開2005-253751(JP,A)
【文献】特表2012-526623(JP,A)
【文献】特表2010-527277(JP,A)
【文献】特開平11-221219(JP,A)
【文献】ALBAYRAK et al.,PROSTATE DETECTION FROM ABDOMINAL ULTRASOUND IMAGES: A PART BASED APPROACH,2015 IEEE International Conference on Image Processing (ICIP),2015年,1955-1959
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティングデバイスによって実行される方法であって、前記方法は、
前記コンピューティングデバイスによって、超音波プローブ内の超音波トランスデューサを制御して、患者の膀胱領域の超音波画像を取得するステップと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記超音波画像内の解剖学的ランドマークを識別するステップと、
前記コンピューティングデバイスによって、識別された前記解剖学的ランドマークに基づいて、前記患者の前立腺を画像化するための照準ゾーンを決定するステップと、
前記コンピューティングデバイスによって、
決定された前記照準ゾーンに基づいて、前記患者の
前記前立腺を経腹的に撮像するように超音波プローブを照準するステップと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記照準された超音波プローブを使用して前記患者の前立腺の経腹的画像を取得するステップと、
前記患者の前立腺の前記経腹的画像内の前記前立腺の境界を識別するために、前記コンピューティングデバイスによって、機械学習モデルを使用して前記患者の前立腺の前記取得された経腹的画像に対してセグメント化プロセスを実行するステップと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記患者の前記膀胱のサイズ、容積、または形状をスキャンして評価するための膀胱モードと、前記患者の前立腺のサイズ、容積、または形状をスキャンして評価するための前立腺モードとの間で切り替えを行うステップと、を含み、
前記コンピューティングデバイスは、前記前立腺モードにある間、前記決定された前記照準ゾーンに基づいて、前記患者の前記前立腺を経腹的に撮像するように前記超音波プローブを照準する、方法。
【請求項2】
前記超音波画像内の前記解剖学的ランドマークを識別する前記ステップが、
前記取得された超音波画像内の膀胱の壁を識別するステッ
プを含み、
前記患者の
前記前立腺を経腹的に撮像するように
前記超音波プローブを照準する前記ステップが、前記膀胱
の識別された
前記壁を基準として使用して行われる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
取得された
前記超音波画像内の前記膀胱の前記壁を識別する
前記ステップが、
前記膀胱の前記壁を識別するために、訓練された機械学習モデルを使用して前記取得された超音波画像に対してセグメント化プロセスを実行するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記前立腺
の識別された
前記境界を使用して、前記患者の
前記前立腺のサイズ、体積、または形状を決定するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記患者の前立腺の前記決定されたサイズ、体積、または形状に基づいて推奨を生成するステップ、
前記患者の前立腺の前記決定されたサイズ、体積、または形状に基づいてリスク予測を生成するステップ、および、
前記患者の前立腺の前記決定されたサイズ、体積、または形状に基づいて、前記患者の前立腺の前記決定されたサイズ、体積、または形状の測定を改善するための推奨を生成するステップであって、前記推奨が、
前記超音波プローブの位置または角度を調整するための推奨、
水もしくは液体を飲むように前記患者への推奨、または、
超音波画像内の検出されたアーチファクトもしくは干渉に対処するための推奨、のうちの少なくとも1つを含む、ステップ、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記患者の前立腺の前記決定されたサイズ、体積、または形状に基づいて、膀胱内前立腺突出(IPP)値を計算するステップ、または、
前記患者の前立腺の前記決定されたサイズ、体積、または形状に基づいて、体積に対する前立腺特異抗原(PSA)比を計算ステップをさらに含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記照準された超音波プローブを使用して前記患者の前立腺の前記経腹的画像を取得するステップが、
前記超音波プローブ内の二重焦点超音波トランスデューサを駆動するステップであって、前記二重焦点超音波トランスデューサの外側素子が第1の周波数で駆動され、前記二重焦点超音波トランスデューサの内側素子が第2の周波数で駆動される、ステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記照準された超音波プローブを使用して前記患者の前立腺の前記経腹的画像を取得するステップが、
前記患者の前立腺の一組の3次元(3D)超音波スキャン画像を取得するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記照準された超音波プローブを使用して前記患者の前立腺の前記経腹的画像を取得するステップが、
エラストグラフィ超音波画像、Bモード超音波画像、またはドップラー超音波画像のうちの少なくとも1つを取得するステップを含み、前記方法が、
前記取得されたエラストグラフィ超音波画像、Bモード超音波画像、またはドップラー超音波画像のうちの少なくとも1つに基づいて、特定の組織剛性に関連する領域を識別するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ユーザが前記前立腺の前記識別された境界を手動で調整すること、または前記セグメント化プロセスを実行するための一組の点を定義することを可能にするユーザインターフェースを提供するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
システムであって、
超音波プローブと、
コントローラユニットと、を含み、前記コントローラユニットは、
前記超音波プローブ内の超音波トランスデューサを制御して、患者の膀胱領域の超音波画像を取得し、
前記超音波画像内の解剖学的ランドマークを識別し、
識別された前記解剖学的ランドマークに基づいて、前記患者の前立腺を画像化するための照準ゾーンを決定し、
決定された前記照準ゾーンに基づいて、前記患者の
前記前立腺を経腹的に撮像するように超音波プローブを照準し、
前記照準された超音波プローブを使用して前記患者の前立腺の経腹的画像を取得し、
前記患者の前立腺の前記経腹的画像内の前記前立腺の境界を識別するために、前記患者の前立腺の前記取得された経腹的画像に対してセグメント化プロセスを実行
し、
前記患者の前記膀胱のサイズ、容積、または形状をスキャンして評価するための膀胱モードと、前記患者の前立腺のサイズ、容積、または形状をスキャンして評価するための前立腺モードとの間で切り替えを行い、
前記前立腺モードにある間、前記決定された前記照準ゾーンに基づいて、前記患者の前記前立腺を経腹的に撮像するように前記超音波プローブを照準するように構成される、システム。
【請求項12】
前記超音波画像内の前記解剖学的ランドマークを識別するときに、
前記コントローラユニットが
、
取得された
前記超音波画像内の膀胱の壁を識別し、
前記患者の前立腺を経腹的に撮像するように前記超音波プローブを照準する場合、前記コントローラユニットが、前記識別された前記膀胱の壁を基準として前記照準を実行するようにさらに構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラユニットが、
前記前立腺
の識別された
前記境界を使用して、前記患者の
前記前立腺のサイズ、体積、または形状を決定し、さらに、
前記患者の前立腺の前記決定されたサイズ、体積、または形状に基づいて医療介入の推奨を生成すること、
前記患者の前立腺の前記決定されたサイズ、体積、または形状に基づいてリスク予測を生成すること、または、
前記患者の前立腺の前記決定されたサイズ、体積、または形状に基づいて、前記患者の前立腺の前記決定されたサイズ、体積、または形状の測定を改善するための推奨を生成すること
のうちの少なくとも1つを実行するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記照準された超音波プローブを使用して前記患者の前立腺の前記経腹的画像を取得する場合、前記コントローラユニットが、
前記患者の前立腺の一組の3次元(3D)超音波スキャン画像を取得するか、
前記患者の前立腺のドップラー超音波画像を取得するか、あるいは
前記患者の前立腺のエラストグラフィ超音波画像を取得するか、のうちの少なくとも2つを実行するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
超音波プローブは、電気信号を超音波エネルギーに変換し、受信した超音波エコーを電気信号に変換して戻す、例えば圧電トランスデューサまたは容量性トランスデューサなどのトランスデューサを使用して超音波信号を生成することができる。超音波プローブは、典型的には、体内の目標器官または他の構造を識別し、および/または器官/構造のサイズまたは器官内の体液の量などの目標器官/構造に関連する特徴を決定するために使用される。例えば、超音波プローブを使用して関心領域の超音波画像を生成することができ、超音波画像を処理または解析して関心領域内の特定の構造を識別することができる。超音波画像内の特定の構造を識別することは、様々な課題を提示する可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図1A】本明細書に記載の実施態様による第1の例示的な超音波システムを示す図である。
【
図1B】本明細書に記載の実施態様による、
図1Aの超音波システムの例示的な環境を示す図である。
【
図2A】本明細書に記載の実施態様による例示的な超音波プローブの図である。
【
図2B】本明細書に記載の実施態様による例示的な超音波プローブの図である。
【
図2C】本明細書に記載の実施態様による例示的な超音波プローブの図である。
【
図2D】本明細書に記載の実施態様による例示的な超音波プローブの図である。
【
図3A】
図2A~
図2Dに示すプローブに含まれ得る二重素子トランスデューサの第1の図である。
【
図3B】
図2A~
図2Dに示すプローブに含まれ得る二重素子トランスデューサの第2の図である。
【
図4】
図1Aおよび
図1Bのシステムの1つまたは複数の構成要素に含まれるデバイスの例示的な構成要素を示す図である。
【
図6】本明細書に記載の実施態様による、機械学習を使用して前立腺の超音波画像を解析するためのプロセスのフローチャートである。
【
図7】本明細書に記載の実施態様による、膀胱のセグメント化、照準ゾーンの識別、および前立腺のセグメント化を示す図である。
【
図8】本明細書に記載の実施態様による前立腺のサイズの決定を示す図である。
【
図9】本明細書に記載の実施態様による、3次元(3D)超音波スキャンからの前立腺のサイズの決定を示す図である。
【
図10】本明細書に記載の実施態様による前立腺の特性評価のためのエラストグラフィの使用を示す図である。
【
図11】本明細書に記載の実施態様による第1の例示的なユーザインターフェースを示す図である。
【
図12】本明細書に記載の実施態様による第2の例示的なユーザインターフェースを示す図である。
【
図13】本明細書に記載の実施態様による第3の例示的なユーザインターフェースを示す図である。
【
図14】本明細書に記載の実施態様による第4の例示的なユーザインターフェースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
以下の詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面における同じ符号は、同じまたは類似の要素を特定する。
【0004】
前立腺の体積の測定は、臨床判断に重要である。例えば、良性前立腺肥大症(BPH)に続発する下部尿路症状(LUTS)を有する男性患者の場合、前立腺のサイズは、医学的療法に対する応答、尿閉のリスク、および/または将来の手術の必要性を予測するために重要であり得る。直腸指診(DRE)は、前立腺のサイズ、表面の質感、硬さ、および柔らかさを評価するための40歳以上の男性の標準的な身体検査の中心的な検査であった。しかしながら、前立腺のサイズの推定は定性的かつ主観的であり、異なる検査者は異なる結論に達する可能性がある。さらに、DREは、経時的な前立腺のサイズの変化を評価するための正確な方法を提供しない。例えば、研究は、わずか30ミリリットル(mL)の前立腺体積の増加が、外科的介入を必要とし得る急性尿閉を発症するより高いリスクに関連し、DREでそのような大きさの変化を検出することは非常に困難であり得ることを示している。
【0005】
前立腺評価に使用される撮像モダリティは、経直腸超音波(TRUS)である。TRUSでは、超音波プローブが患者の直腸に挿入され、これは患者にとって不快であり、検査者にとって不便および/または非効率であり得る。さらに、超音波画像から患者の前立腺の体積を計算するために、検査者は、複数の平面で超音波画像を取得し、各画像の前立腺のサイズを測定し、楕円体計算(例えば、高さ×長さ×幅×π/6など)を使用して前立腺の体積を決定する必要があり得る。そのような手計算は、面倒で非効率的であり得、前立腺の体積の不正確な決定をもたらし得る。例えば、楕円体計算は、前立腺形状が完全な楕円体であると仮定するが、これは正確な仮定ではない場合がある。
【0006】
磁気共鳴撮像(MRI)またはコンピュータ断層撮影(CT)などの他のモダリティを用いた撮像は、前立腺のより正確な体積測定値を生成するために体積輪郭形成に使用することができる前立腺の断面スライスを生成することができる。しかしながら、これらのモダリティは、超音波と比較してより高価であり、時間がかかり、患者にとって不便である。さらに、CTスキャンは患者を電離放射線に曝す。
【0007】
本明細書に記載の実施態様は、経腹的超音波を使用して患者の前立腺の画像を取り込み、取り込まれた超音波画像に基づいて患者の前立腺のサイズ、体積、および/または形状を自動的に計算する前立腺自動解析システムに関する。経腹的超音波撮像は、TRUSと比較して、患者にとってより快適であり、検査者にとって実行がより容易であり得る。さらに、取り込まれた経腹的超音波画像からの患者の前立腺のサイズおよび体積の自動計算は、手計算および/または楕円体公式に基づく計算よりも効率的かつ正確であり得る。
【0008】
したがって、本明細書で説明するように、システムは、ユーザインターフェースを含み、超音波画像を取り込むための超音波プローブと通信するコントローラユニットを含む。コントローラユニットは、患者の下腹部領域の超音波画像を取得し、取得された超音波画像内の解剖学的ランドマークを識別し、識別された解剖学的ランドマークを基準点として使用して患者の前立腺を経腹的に撮像するように超音波プローブを照準するように構成され得る。超音波プローブを照準することは、超音波プローブのエネルギーを患者の前立腺の方向に向け直すことを含むことができる。コントローラユニットは、識別された解剖学的ランドマークを使用して超音波プローブの照準ゾーンまたは領域を決定することができ、この解剖学的ランドマークは、膀胱の識別された後壁、膀胱の側壁(および/または膀胱の任意の他の壁)、恥骨、直腸の壁、前立腺自体、および/または取得された超音波画像内の任意の他のタイプの識別された解剖学的ランドマークを含んでもよい。解剖学的ランドマークを識別することは、1つまたは複数の異なるタイプの解剖学的ランドマークを識別するように訓練された機械学習モデルを使用して、取得された超音波画像に対してセグメント化プロセスを実行することを含むことができる。いくつかの実施態様では、超音波プローブを照準することは、超音波プローブ内に配置された位置センサまたは圧力センサの少なくとも一方から情報を取得することを含むことができる。
【0009】
いくつかの実施態様では、患者の膀胱領域を最初に撮像することができ、膀胱領域の取得された画像を使用して超音波プローブを照準することができ、照準された超音波プローブを使用して患者の前立腺領域を撮像することができる。他の実施態様では、患者の膀胱領域および前立腺領域を同時に撮像することができ、組み合わされた膀胱および前立腺領域の取得された画像を使用して超音波プローブを照準することができ、照準された超音波プローブを使用して、より高品質の画像、より詳細な画像、および/または患者の前立腺領域の異なる種類の画像を取得することができる。さらに他の実施態様では、患者の前立腺領域を直接撮像することができ、患者の前立腺領域の取得された画像を使用して超音波プローブを照準することができ、照準された超音波プローブを使用して、より高品質の画像、より詳細な画像、および/または患者の前立腺領域の異なるタイプの画像を取得することができる。さらに他の実施態様では、超音波プローブの照準を支援するために超音波画像を取得することなく、超音波プローブを患者の前立腺領域に照準することができる。
【0010】
コントローラユニットは、照準された超音波プローブを使用して患者の前立腺の1つまたは複数の経腹的画像を取得し、訓練された機械学習モデルを使用して患者の前立腺の取得された経腹的画像に対してセグメント化プロセスを実行して、患者の前立腺の経腹的画像内の前立腺の境界を識別するようにさらに構成され得る。特定された前立腺の境界を使用して、患者の前立腺のサイズ、体積、および/または形状を決定することができる。次いで、患者の前立腺の決定されたサイズ、体積、および/または形状を使用して、患者の前立腺の決定されたサイズ、体積、および/または形状に基づいて解析および/または推奨(例えば、医学的介入の推奨など)を生成することができる。さらに、患者の前立腺の決定されたサイズ、体積、および/または形状を使用して、患者の前立腺の決定されたサイズ、体積、および/または形状に基づいてリスク予測を生成することができる。さらに、患者の前立腺の決定されたサイズ、体積、および/または形状を使用して、将来の患者の前立腺のサイズの変化(例えば、今後の年数などにわたって)を予測し、医療的前立腺縮小治療の転帰を予測し、および/または患者の前立腺に関する他の態様を予測することができる。
【0011】
解析および/または推奨は、決定されたサイズ、体積、および/または形状に基づいてもよく、または臨床的に導出された値と組み合わされた決定されたサイズ、体積、および/または形状に基づいてもよい。一例として、推奨は、血液検査によって患者について決定された前立腺特異的抗原(PSA)値と、患者の前立腺の決定された体積との比に基づいてもよい。別の例として、PSA/体積値は、推奨を生成するために患者の年齢によって重み付けされてもよい。さらに別の例として、推奨は、算出された膀胱内前立腺突出(IPP)値に基づいてもよい。IPP値は、患者の前立腺が患者の膀胱内にどれだけ突出しているかを測定することができる。IPP値が高いと、例えば排尿困難を示すことがある。
【0012】
いくつかの実施態様では、リスク予測および/または臨床推奨は、決定されたサイズ、体積、および/または形状に基づいて、患者の前立腺の定量的臨床グレード評価値を出力するように訓練された機械学習モデルを使用して生成することができる。さらに、患者の前立腺のサイズ、体積、および/または形状を、以前の来院中に得られた以前に決定されたサイズ、体積、および/または形状と比較して、患者の前立腺のサイズ、体積、および/または形状の変化を決定することができる。決定された変化は、リスク予測および/または臨床推奨を生成するために使用され得る。さらに、同じ機械学習モデルまたは異なる機械学習モデルを使用して、患者の前立腺が病変または関心領域を含むかどうかを判定することができる。機械学習モデルは、患者の前立腺が病変または関心領域を含む可能性を生成することができ、および/または識別された病変または関心領域の周りに境界を生成するためにセグメント化を実行することができる。
【0013】
さらに、患者の前立腺の決定されたサイズ、体積、および/または形状を使用して、患者の前立腺の決定されたサイズ、体積、および/または形状の測定を改善するための推奨を生成することができる。推奨は、超音波プローブの位置または角度を調整するための推奨、水または別の流体を飲むための患者への推奨、または前立腺のより良い画像を得るために、超音波画像内の検出されたアーチファクトまたは干渉に対処するための推奨のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0014】
いくつかの実施態様では、超音波システムは、二重焦点超音波トランスデューサを含むことができる。二重焦点超音波トランスデューサは、第1の周波数で駆動される外側素子と、第1の周波数よりも高い第2の周波数で駆動される内側素子と、を含むことができる。例えば、第2の周波数は、第1の周波数の高調波に対応することができる。複数の周波数の使用は、被写界深度の拡張をもたらし、患者の前立腺の経腹的撮像など、患者の体内のより深い構造を撮像するときにより良好な焦点をもたらすことができる。したがって、照準された超音波プローブを使用して患者の前立腺の経腹的画像を取得することは、超音波プローブ内の二重焦点超音波トランスデューサを駆動することを含むことができる。二重焦点超音波トランスデューサを駆動することは、基本周波数および基本周波数の少なくとも1つの高調波を含む超音波信号を生成することを含むことができる。
【0015】
いくつかの実施態様では、照準された超音波プローブを使用して患者の前立腺の経腹的画像を取得することは、患者の前立腺の一組の3次元(3D)超音波スキャン画像を取得することを含むことができる。さらに、前立腺のサイズ、体積、および/または形状を決定することは、訓練された機械学習モデルを使用して、取得された3D超音波スキャン画像内の患者の前立腺の3D境界面を識別することを含むことができる。
【0016】
さらに、患者の前立腺の経腹的画像を取得することは、例えば、Bモード画像(例えば、基本波、高調波および/または複合波など)、確率モード(Pモード)画像、ドップラーモード超音波画像(例えば、パワードップラー、連続波ドップラー、パルス波ドップラーなど)、動きモード(Mモード)超音波画像、エラストグラフィ超音波画像、および/または超音波を使用する任意の他のタイプの撮像モダリティなどの、1つまたは複数の異なるタイプの超音波画像を取得することを含むことができる。Pモード超音波画像は、各特定のピクセルがその特定のピクセルが目標器官/構造体内にあるか、または目標器官/構造体の一部にあるかを示す確率にマッピングされる超音波画像(例えば、Bモード超音波画像など)に対応することができる。
【0017】
本明細書に記載の機械学習モデルは、画像内の特定の特徴を識別し、画像または画像内の識別された特徴を一組のクラスから特定のクラスに分類し、および/または特定のパラメータの数値および/またはカテゴリ値を出力するために、画像の訓練セットおよび/または他のタイプの入力を使用して訓練されたコンピュータプログラムを含むことができる。いくつかの実施態様では、機械学習モデルは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などの深層学習人工ニューラルネットワーク(DNN)を含むことができる。CNNは、超音波画像、および/または例えば強度遷移、形状、テクスチャ情報などを含む光学画像内の特徴を識別して、画像内の特定の組織構造および/または病変を識別するために、カーネルとしても知られる複数の畳み込み行列を開発するように訓練され得る。CNN、および/または別の種類の機械学習モデルは、分類、セグメント化、および/または1つもしくは複数の値(例えば、体積値、サイズ値、臨床的等級スケール上の値を表す数値および/またはカテゴリ値など)を出力するように訓練することができる。
【0018】
CNNは、入力層、1つまたは複数の畳み込み層、1つまたは複数の出力計算層、1つまたは複数のプーリング層、および出力層を含む、ノードの複数の層を含むことができる。畳み込み層は、畳み込み層の受容野によって画定された領域内の画素に関連する入力層内の一組のノードの出力に対して畳み込み演算を実行することができる。プーリング層は、畳み込み層によって生成された特徴マップの次元を削減するために、畳み込み層内の隣接ノードからの一組の出力を削減する。出力計算層は、例えば正規化活性化関数などの出力関数に基づいて、プーリング層内の各ノードの出力を生成することができる。出力層は、関心のある特徴を識別し、入力を一組のクラスから特定のクラスに分類し、および/または関心のあるパラメータの数値および/またはカテゴリ値を出力する出力を生成する完全接続層を含むことができる。
【0019】
CNNは、教師あり学習を使用して訓練することができ、教師あり学習では、関心のある特徴を識別し、一組のクラスから特定のクラスに分類され、および/または関心のあるパラメータの数値および/またはカテゴリ値を出力するようにラベル化された一組の画像が訓練される。例えば、インプラントカプセルを識別するためにセグメント化を実行するようにCNNを訓練するために、インプラントカプセルがラベル付けされた一組の超音波画像を使用してCNNを訓練することができる。
【0020】
他の実施態様では、例えば、線形分類器、単純ベイズ分類器、カーネル密度推定分類器、決定木分類器、サポートベクターマシン分類器、最大エントロピー分類器、および/または別のタイプの分類器などの異なるタイプの機械学習モデルが使用されてもよい。さらに、他の実施態様では、入力画像が所定の分類でラベル付けされていない教師なし学習を使用して機械学習モデルを訓練することができる。さらに、いくつかの実施態様では、超音波システムは、機械学習モデルのセグメント化出力を手動で調整するための「手動キャリパ」オプションを含むことができる。例えば、ユーザは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)、キーパッドまたはキーボード入力などを使用して、機械学習モデルによって識別された前立腺の境界を調整することができる。さらに、手動キャリパオプションは、GUIまたはキーパッド/キーボード入力を使用して器官、組織、または領域の境界を定義することによって、ユーザが機械学習なしで手動セグメント化を実行することを可能にすることができる。一例として、ユーザは、境界を描くか、または境界を計算するために使用することができる一組の点を定義することができる。ユーザは、例えば、境界を決定するために機械学習モデルが不十分に実行しているとユーザによって判定された場合に、手動キャリパオプションを使用して境界を定義することを選択することができる。いくつかの実施態様では、ユーザは一組のシード点を手動で選択することができ、機械学習モデルは、境界を決定するために超音波画像データと共に選択された一組のシード点を使用することができる。
【0021】
本明細書に記載の実施態様は、前立腺をスキャンすることを指すが、他の実施態様では、他の身体領域、器官、関節、および/または血管をスキャンすることができる。例えば、本明細書に記載の実施態様は、例えば、膀胱、腎臓、結腸、小腸、膵臓、卵巣、子宮、および/または別の臓器、組織、もしくは構造などの経腹的超音波を使用して撮像することができる患者の身体の別の部分の臓器、組織、もしくは構造のサイズ、体積、および/または形状を評価するために使用することができる。例えば、超音波システムは、患者の膀胱のサイズ、容積、および/または形状をスキャンして評価するための膀胱モード、および患者の前立腺のサイズ、容積、および/または形状をスキャンして評価するための前立腺モード、および/または他の身体部分をスキャンするための他のモードを含むことができる。
【0022】
図1Aは、本明細書に記載の実施態様による例示的な超音波システム100を示す図である。
図1Aに示すように、超音波システム100は、超音波プローブ110、コントローラユニット120、およびケーブル130を含むことができる。
【0023】
超音波プローブ110は、特定の周波数および/またはパルス繰返し率で超音波エネルギーを生成し、反射された超音波エネルギー(例えば、超音波エコー)を受信し、反射された超音波エネルギーを電気信号に変換するように構成された1つまたは複数の超音波トランスデューサを収容することができる。例えば、いくつかの実施態様では、超音波プローブ110は、約2メガヘルツ(MHz)から約10MHz以上に及ぶ範囲内の中心周波数を有する超音波信号を送信するように構成されてもよい。他の実施態様では、超音波プローブ110は、異なる範囲で超音波信号を送信するように構成されてもよい。さらに、超音波プローブ110は、超音波トランスデューサの動きを制御するための1つまたは複数のモータを収容することができる。
【0024】
超音波プローブ110は、ハンドル112、トリガ114、およびドーム118(「ノーズ」とも呼ばれる)を含むことができる。ユーザ(例えば、開業医など)は、ハンドル112を介して超音波プローブ110を保持し、トリガ114を押して、ドーム118内に配置された1つまたは複数の超音波送受信器およびトランスデューサを作動させて、患者の関心領域(例えば、特定の身体器官、身体関節、血管など)に向かって超音波信号を送信することができる。例えば、プローブ110は、患者の骨盤領域上ならびに患者の膀胱および/または前立腺の上に配置されてもよい。
【0025】
ハンドル112は、ユーザがプローブ110を患者の関心領域に対して移動させることを可能にする。トリガ114の起動は、患者の関心領域がスキャンされるときにドーム118が患者の身体の表面部分と接触している間に、選択された解剖学的部分の超音波スキャンを開始する。ドーム118は、1つまたは複数の超音波トランスデューサを囲むことができ、解剖学的構造部分に適切な音響インピーダンス整合を提供し、および/または超音波エネルギーが解剖学的構造部分に投影されるときに適切に集束されることを可能にする材料から形成することができる。ドーム118はまた、超音波信号を送受信するための送信器および受信器を含む送受信器回路を含むことができる。プローブ110は、ケーブル130などの有線接続を介してコントローラユニット120と通信することができる。他の実施態様では、プローブ110は、無線接続(例えば、Bluetooth、WiFiなど)を介してコントローラユニット120と通信することができる。いくつかの実施態様では、プローブ110はドーム118を含まなくてもよい。
【0026】
コントローラユニット120は、スキャンされた解剖学的領域の画像を生成するためにプローブ110によって受信された反射超音波エネルギーを処理するように構成された1つまたは複数のプロセッサまたは処理ロジックを収容し、含むことができる。さらに、コントローラユニット120は、ユーザが超音波スキャンからの画像を見ることを可能にするため、および/またはプローブ110の動作中にユーザとの動作上の相互作用を可能にするためのディスプレイ122を含むことができる。例えば、ディスプレイ122は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ベースのディスプレイ、タッチスクリーン、および/またはテキストおよび/または画像データをユーザに提供する別の種類のディスプレイなどの出力ディスプレイ/画面を含むことができる。
【0027】
例えば、ディスプレイ122は、患者の選択された解剖学的部分に対してプローブ110を位置決めするための命令をオペレータに提供することができる。あるいは、超音波プローブ110は、超音波プローブ110を位置決めするための命令を提供する小型ディスプレイ(例えば、ハンドル112内)を含んでもよい。ディスプレイ122はまた、選択された解剖学的領域の2次元または3次元画像を表示することができる。いくつかの実施態様では、ディスプレイ122は、ユーザが超音波スキャンに関連する様々な特徴を選択することを可能にするGUIを含むことができる。例えば、ディスプレイ122は、特定の送信周波数を選択するため、取り込まれた超音波画像(例えば、臓器検出、体液検出、組織境界検出、体積測定など)に対して特定のアクションを実行するため、および/またはユーザが利用可能な他のタイプの選択を行うための選択項目(例えば、ボタン、ドロップダウンメニュー項目、チェックボックスなど)を含むことができる。
【0028】
さらに、ディスプレイ122は、Bモード画像(例えば、基本波、高調波および/または複合など)、Pモード画像、ドップラー超音波画像、Mモード画像、エラストグラフィ、および/または他のタイプの超音波画像など、取得される特定のタイプの超音波画像を選択するための選択項目を含むことができる。さらに、ディスプレイ122は、プローブ110の照準モードを選択するため、および/またはプローブ110が患者の関心領域に対してうまく位置決めされた後に3次元(3D)スキャンを開始するための選択項目を含むことができる。
【0029】
図1Bは、本明細書に記載の実施態様による超音波システム100の例示的な環境150を示す図である。環境150は、患者160に対する超音波システム100の動作を示している。
図1Bに示すように、患者160は、患者の関心領域がスキャンされ得るように位置決めされ得る。例えば、関心領域が患者の膀胱165および/または前立腺170に対応すると仮定する。前立腺170をスキャンするために、超音波プローブ110は、スキャンされる解剖学的部分に近接する患者160の表面部分に対して配置されてもよい。ユーザは、ドーム118が皮膚に対して配置されたときに音響インピーダンス整合を提供するために、音響ゲル180(またはゲルパッド)を前立腺170の領域にわたって患者160の皮膚に適用することができる。
【0030】
ユーザは、コントローラユニット120を介して(例えば、ディスプレイ122上の照準モードボタン、メニュー項目などを選択することによって、音声コマンドを発することなどによって)照準モードを選択することができる。あるいは、コントローラユニット120が超音波プローブ110の動きを検出するか、または超音波プローブ110が音響ゲル180または患者160の皮膚に接触したときに、(例えば、超音波プローブ110内の加速度計および/またはジャイロスコープを介して)照準モードが自動的に選択されてもよい。超音波プローブ110は、膀胱165および前立腺170を介して超音波信号190を送信することができ、反射された超音波信号を受信することができる。反射された超音波信号は、ディスプレイ122に表示される画像に処理することができる。
【0031】
図1Aおよび
図1Bは、超音波システム100の例示的な構成要素を示しているが、他の実施態様では、超音波システム100は、
図1Aおよび
図1Bに示すよりも少ない構成要素、異なる構成要素、追加の構成要素、または異なる配置の構成要素を含んでもよい。それに加えてまたはその代わりに、超音波システム100の1つまたは複数の構成要素は、超音波システム100の1つまたは複数の他の構成要素によって実行されるものとして説明される1つまたは複数のタスクを実行することができる。
【0032】
例えば、他の実施形態では、超音波プローブ110は、超音波プローブ110内に収容されたマイクロプロセッサを含む自己完結型デバイスに対応してもよく、これは、1つまたは複数の超音波トランスデューサを動作可能に制御し、反射された超音波エネルギーを処理して超音波画像を生成するように構成される。したがって、超音波プローブ110上のディスプレイを使用して、生成された画像を表示し、および/または超音波プローブ110の動作に関連する他の情報を見ることができる。さらに他の実施態様では、超音波プローブ110は、超音波プローブ110の動作を少なくとも部分的に制御するソフトウェアを含む、および/または超音波プローブ110から受信した情報を処理して超音波画像を生成するソフトウェアを含む、ラップトップ、タブレット、スマートフォン、および/またはデスクトップコンピュータなどの汎用コンピュータに(有線または無線接続を介して)結合することができる。
【0033】
図2Aは、本明細書に記載の実施態様による超音波プローブ110の第1の例示的実施態様を示す図である。
図2Aに示すように、超音波プローブ110は、2つの回転モータに結合された単一のトランスデューサ素子を含むことができる。この実施態様では、超音波プローブ110は、ドーム215に接続された基部210、シータモータ220、スピンドル230、ファイモータ240、およびトランスデューサ260を備えたトランスデューサバケット250を含むことができる。シータモータ220、ファイモータ240、および/またはトランスデューサ260は、シータモータ220、ファイモータ240、および/またはトランスデューサ260をコントローラユニット120に電気的に接続する有線または無線電気接続を含むことができる。
【0034】
ドーム215は、トランスデューサバケット250を囲むことができ、解剖学的構造部分に適切な音響インピーダンス整合を提供し、および/または超音波エネルギーが解剖学的構造部分に投射されるときに適切に集束されることを可能にする材料から形成することができる。基部210は、シータモータ220を収容し、超音波プローブ110に構造的支持を提供することができる。基部210は、ドーム215に接続することができ、ドーム215とシールを形成して、超音波プローブ110の構成要素を外部環境から保護することができる。シータモータ220は、本明細書でシータ(θ)回転面225と呼ばれる垂直軸の周りを回転することによって、トランスデューサ260に対して長手方向に基部210に対してスピンドル230を回転させることができる。スピンドル230はシャフト235で終端してもよく、ファイモータ240はシャフト235に取り付けられてもよい。ファイモータ240は、本明細書でファイ(φ)回転面245と呼ばれる水平軸の周りでシータ回転面225に直交する軸の周りを回転することができる。トランスデューサバケット250は、ファイモータ240に取り付けられてもよく、ファイモータ240と共に移動してもよい。
【0035】
トランスデューサ260は、トランスデューサバケット250に取り付けられてもよい。トランスデューサ260は、圧電トランスデューサ、静電容量トランスデューサ、微小電気機械システム(MEMS)トランスデューサ、および/または別のタイプの超音波トランスデューサを含むことができる。トランスデューサ260は、トランスデューサ260に関連する送受信器回路と共に、特定の超音波周波数または超音波周波数範囲で電気信号を超音波信号に変換することができ、反射超音波信号(例えば、エコーなど)を受信することができ、受信した超音波信号を電気信号に変換することができる。トランスデューサ260は、トランスデューサ260の表面に実質的に垂直な信号方向265に超音波信号を送受信することができる。
【0036】
信号方向265は、ファイモータ240の動きによって制御されてもよく、ファイモータの向きは、シータモータ220によって制御されてもよい。例えば、ファイモータ240は、特定の平面の超音波画像データを生成するために180度未満の角度にわたって前後に回転することができ、シータモータ220は、異なる平面の超音波画像データを取得するために特定の位置に回転することができる。
【0037】
3次元スキャンモードでは、シータモータ220は、関心領域の完全な3次元スキャンを得るために一組の平面を一回または複数回循環することができる。一組の平面の各特定の平面において、ファイモータ240は、特定の平面の超音波画像データを取得するために回転することができる。シータモータ220およびファイモータ240の動きは、3Dスキャンモータにおいてインターレースされてもよい。例えば、第1の方向へのファイモータ240の移動に続いて、第1の平面から第2の平面へのシータモータ220の移動が行われ、続いて、第1の方向とは反対の第2の方向へのファイモータ240の移動が行われ、続いて、第2の平面から第3の平面へのシータモータ220の移動などが行われてもよい。このようなインターレースされた移動は、超音波プローブ110が滑らかな連続体積スキャンを得ることを可能にすると共に、スキャンデータが得られるレートを改善し得る。
【0038】
さらに、
図2Aに示すように、超音波プローブ110は、位置センサ216および圧力センサ218を含むことができる。位置センサ216は、超音波プローブ110の位置の変化を測定するように構成された加速度計、ジャイロスコープ、および/または磁力計を含むことができる。圧力センサ218は、圧電圧力センサ、容量性圧力センサ、誘導圧力センサ、歪みゲージ圧力センサ、熱圧力センサ、MEMSセンサ、および/または超音波プローブ110に加えられた圧力を感知するための別のタイプのセンサを含むことができる。位置センサ216および/または圧力センサ218は、操作者にフィードバックおよび/または命令を提供することによって、操作者が照準および/またはスキャン中に超音波プローブ110を正確に位置決めするのを助けるために使用することができる。位置センサ216および圧力センサ218は、
図2Aの超音波プローブ110上の特定の位置に示されているが、他の実施態様では、位置センサ216および/または圧力センサ218は、超音波プローブ110上のどこにでも配置することができる。
【0039】
図2Bは、本明細書に記載の実施態様による超音波プローブ110の第2の例示的な実施態様を示す図である。
図2Bに示すように、超音波プローブ110は、回転モータに結合されたトランスデューサ素子の1次元(1D)アレイを含むことができる。この実施態様では、超音波プローブ110は、ドーム215に接続された基部210、シータモータ220、スピンドル230、および1Dトランスデューサアレイ275を有するトランスデューサバケット270を含むことができる。シータモータ220および/または1Dトランスデューサアレイ275は、シータモータ220および/または1Dトランスデューサアレイ275をコントローラユニット120に電気的に接続する有線または無線電気接続を含むことができる。
【0040】
基部210は、シータモータ220を収容し、超音波プローブ110に構造的支持を提供することができる。基部210は、ドーム215に接続することができ、ドーム215とシールを形成して、超音波プローブ110の構成要素を外部環境から保護することができる。シータモータ220は、シータ回転面225の周りを回転することによって、スピンドル230を基部210に対して1Dトランスデューサアレイ275に対して長手方向に回転させることができる。スピンドル230は、トランスデューサバケット270で終端してもよい。1Dトランスデューサアレイ275は、トランスデューサバケット270に取り付けられてもよい。1Dトランスデューサアレイ275は、圧電トランスデューサ、容量性トランスデューサ、MEMSトランスデューサ、および/または他のタイプの超音波トランスデューサの湾曲した1Dアレイを含んでもよい。1Dトランスデューサアレイ275は、特定の超音波周波数または超音波周波数の範囲で電気信号を超音波信号に変換することができ、反射超音波信号(例えば、エコーなど)を受信することができ、受信した超音波信号を電気信号に変換することができる。1Dトランスデューサアレイ275の各素子または素子のグループは、
図2Bの項目276として示される一組の方向の特定の方向に超音波信号を送受信することができる。他の実施態様では、1Dトランスデューサアレイ275は、超音波ビームを特定の方向に電子的に傾斜させるように制御されてもよい。したがって、一緒になって、1Dトランスデューサアレイ275の素子は、特定の平面の超音波画像データを生成することができる。3次元スキャンモードでは、シータモータ220は、関心領域の完全な3次元スキャンを得るために一組の平面を一回または複数回循環することができる。一組の平面の各特定の平面において、1Dトランスデューサアレイ275は、特定の平面の超音波画像データを取得することができる。いくつかの実施態様では、超音波プローブ110は、シータモータ220および/またはドーム215を含まなくてもよい。例えば、超音波プローブ110は、ユーザによって手動で異なる位置に移動されるハンドヘルドプローブに対応することができる。さらに、
図2Bに示すように、超音波プローブ110は、位置センサ216および圧力センサ218を含むことができる。
【0041】
図2Cは、本明細書に記載の実施態様による第3の例示的な超音波プローブ110の図である。
図2Bの第2の例示的な超音波プローブ110では、1Dトランスデューサアレイ275は、1Dトランスデューサアレイ275に対して長手方向にスピンドル230の周りを回転するが、
図2Cの第3の例示的な超音波プローブ110では、1Dトランスデューサアレイ275は、1Dトランスデューサアレイ275に対して横方向にスピンドル230の周りを回転し、1Dトランスデューサアレイ275を扇状の動きで前後に動かす。
図2Cに示すように、超音波プローブ110は、基部210、シータモータ220、およびスピンドル230が1Dトランスデューサアレイ275に対して水平方向に取り付けられ、一組の方向276の中心に対して垂直に配置された状態でトランスデューサバケット270に取り付けられた1Dトランスデューサアレイ275を含むことができる。したがって、シータモータ220は、シータ回転面225の周りを回転することによって、スピンドル230を基部210に対して1Dトランスデューサアレイ275に対して横方向に回転させ、1Dトランスデューサアレイ275を扇状の動きで前後に動かすことができる。さらに、
図2Cに示すように、超音波プローブ110は、位置センサ216および圧力センサ218を含むことができる。
【0042】
図2Dは、本明細書に記載の実施態様による第4の例示的な超音波プローブ110の図である。
図2Dに示すように、超音波プローブ110は、トランスデューサ素子の2次元(2D)アレイを含むことができる。この実施態様では、超音波プローブ110は、基部210、スピンドル230、および2Dトランスデューサアレイ285を有するトランスデューサバケット280を含むことができる。2Dトランスデューサアレイ285は、2Dトランスデューサアレイ285をコントローラユニット120に電気的に接続する有線または無線電気接続を含むことができる。
【0043】
基部210は、超音波プローブ110および固定スピンドル230に構造的支持を提供することができる。スピンドル230は、トランスデューサバケット280で終端してもよい。2Dトランスデューサアレイ285は、トランスデューサバケット280に取り付けられてもよい。2Dトランスデューサアレイ285は、圧電トランスデューサ、容量性トランスデューサ、MEMSトランスデューサ、および/または他のタイプの超音波トランスデューサの2次元アレイを含んでもよい。2Dトランスデューサアレイ285は、特定の超音波周波数または超音波周波数の範囲で電気信号を超音波信号に変換することができ、反射超音波信号(例えば、エコーなど)を受信することができ、受信した超音波信号を電気信号に変換することができる。2Dトランスデューサアレイ285の各素子は、
図2Dの項目290として示される一組の方向の特定の方向に超音波信号を送受信することができる。したがって、共に、2Dトランスデューサアレイ285の素子は、3D超音波スキャンを生成するために複数の平面の超音波画像データを生成することができる。言い換えれば、2Dトランスデューサアレイ285は、超音波ビームを特定の方向に電子的に傾斜させるように制御することができる。3Dスキャンモードでは、2Dトランスデューサアレイ285は、関心領域の完全な3Dスキャンを取得するために、トランスデューサ素子の1Dセットの組を1回または複数回循環することができる。あるいは、関心領域の完全な3Dスキャンを得るために、2Dトランスデューサアレイ285のトランスデューサ素子の1Dセットの複数の組、またはトランスデューサ素子のすべてさえも、実質的に同時に作動させることができる。さらに、
図2Dに示すように、超音波プローブ110は、位置センサ216および圧力センサ218を含むことができる。
【0044】
図2A、
図2B、
図2C、および
図2Dは、超音波プローブ110の例示的な構成要素を示しているが、他の実施態様では、超音波プローブ110は、
図2A、
図2B、
図2C、および
図2Dに示すよりも少ない構成要素、異なる構成要素、追加の構成要素、または異なる配置の構成要素を含んでもよい。それに加えてまたはその代わりに、超音波プローブ110の1つまたは複数の構成要素は、超音波プローブ110の1つまたは複数の他の構成要素によって実行されるものとして説明される1つまたは複数のタスクを実行することができる。
【0045】
図3Aおよび
図3Bは、
図2Aに示すプローブのいずれかに含まれ得る二重素子トランスデューサ260の、それぞれ第1の
図301および第2の
図302である。送信および受信される超音波信号(例えば、信号方向265,276または290に垂直)に垂直な平面に対応する、
図3Aの第1の
図301に示すように、トランスデューサ260は、外側トランスデューサ素子310および内側トランスデューサ素子320を含むことができる。外側トランスデューサ素子310は、外側トランスデューサパルサ/受信器315に結合されてもよく、内側トランスデューサ素子320は、内側トランスデューサパルサ/受信器325に結合されてもよい。外側トランスデューサパルサ/受信器315は、外側トランスデューサ素子310を第1の周波数でパルスするように駆動することができ、内側トランスデューサパルサ/受信器325は、内側トランスデューサ素子325を第2の周波数でパルスするように駆動することができる。一例として、第2の周波数は、第1の周波数の高調波(例えば、第1高調波、第2高調波など)であってもよい。別の例として、外側トランスデューサ素子310および内側トランスデューサ素子320の送信周波数は、特定の差だけオフセットされてもよい。例えば、外側トランスデューサ素子310は、3+ΔMHzの周波数で超音波信号を送信することができ、内側トランスデューサ素子310は、3-ΔMHzの周波数で超音波信号を送信することができ、Δは選択された周波数オフセットである。さらに、外側トランスデューサパルサ/受信器315および内側トランスデューサパルサ/受信器325は、それぞれ外側トランスデューサ素子310および内側トランスデューサ素子320によって受信された超音波信号エコーを検出および受信することができる。
【0046】
いくつかの実施態様では、外側トランスデューサ素子310は、より低い周波数およびより低い帯域幅で超音波信号を送信することができ、空間的に長い音響放射力パルスに使用することができる。内側トランスデューサ素子320は、より高い周波数およびより高い帯域幅で超音波信号を送信することができ、誘導せん断波の追跡に使用することができる。一例として、外側トランスデューサ素子310は、f0の周波数で超音波パルスを送信することができ、内側トランスデューサ素子320は、2*f0の周波数で共振を有する第1高調波からエコーを受信することができる。
【0047】
いくつかの実施態様では、トランスデューサ周波数は、差動高調波に対して最適化されてもよい。例えば、外側トランスデューサ素子310はf0の周波数で超音波パルスを送信することができ、内側トランスデューサ素子320はf1の周波数で超音波パルスを送信することができ、外側トランスデューサ素子310は周波数f1-f0で戻りエコー信号を測定することができ、内側トランスデューサ素子320は周波数2*f0で戻りエコー信号を測定することができる。
【0048】
図3Bの第2の
図302は、第1の
図301に対する二重素子トランスデューサ260の側面図を示す。
図3Bに示すように、いくつかの実施態様では、外側トランスデューサ素子310および内側トランスデューサ素子320は、送信および受信信号の方向に垂直な平面内に凹状放物面を形成することができる。凹状放物面は、送信周波数の差と共に、内側トランスデューサの被写界深度330と外側トランスデューサの被写界深度340との組み合わせに基づいて拡張された被写界深度350をもたらすことができる。したがって、二重素子トランスデューサ260の設計は、外側トランスデューサ素子310および内側トランスデューサ素子320の寸法、形状、および相対的な幾何学的焦点オフセットに基づいて、ならびに外側トランスデューサ素子310および内側トランスデューサ素子320の各々によって送信および測定された選択された周波数に基づいて、軸方向および横方向のビーム寸法の均一性を維持しながら、送信される超音波信号の被写界深度を拡張するように最適化することができる。例えば、二重素子トランスデューサ260の焦点深度は、少なくとも18センチメートル(cm)に拡張することができる。
【0049】
図4は、本明細書に記載された実施態様にしたがうデバイス400の典型的な構成要素を示す図である。コントローラユニット120、ディスプレイ122、および/または超音波プローブ110は各々、1つまたは複数のデバイス400を含むことができる。
図4に示すように、デバイス400は、バス410、プロセッサ420、メモリ430、入力デバイス440、出力デバイス450、および通信インターフェース460を含むことができる。
【0050】
バス410は、デバイス400の構成要素間の通信を可能にする経路を含むことができる。プロセッサ420は、命令を解釈して実行する任意のタイプのシングルコアプロセッサ、マルチコアプロセッサ、マイクロプロセッサ、ラッチベースのプロセッサ、および/または処理ロジック(またはプロセッサ、マイクロプロセッサ、および/または処理ロジックのファミリ)を含むことができる。他の実施形態では、プロセッサ420は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または別のタイプの集積回路もしくは処理ロジックを含むことができる。
【0051】
メモリ430は、プロセッサ420による実行のための情報および/または命令を記憶することができる任意のタイプの動的記憶装置、および/またはプロセッサ420による使用のための情報を記憶することができる任意のタイプの不揮発性記憶装置を含むことができる。例えば、メモリ430は、ランダムアクセスメモリ(RAM)もしくは別の種類の動的記憶装置、読み出し専用メモリ(ROM)デバイスもしくは別の種類の静的記憶装置、連想メモリ(CAM)、磁気および/もしくは光記録メモリデバイスおよびその対応するドライブ(例えば、ハードディスクドライブ、光学ドライブなど)、ならびに/またはフラッシュメモリなどの取り外し可能な形態のメモリを含むことができる。
【0052】
入力デバイス440は、オペレータがデバイス400に情報を入力することを可能にすることができる。入力デバイス440は、例えば、キーボード、マウス、ペン、マイクロフォン、リモコン、音声キャプチャデバイス、画像および/または映像キャプチャデバイス、タッチスクリーンディスプレイ、および/または別の種類の入力デバイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、デバイス400は、リモートで管理されてもよく、入力デバイス440を含まなくてもよい。言い換えれば、デバイス400は、「ヘッドレス」であってもよく、例えば、キーボードを含まなくてもよい。
【0053】
出力デバイス450は、デバイス400のオペレータに情報を出力することができる。出力デバイス450は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ、および/または別の種類の出力デバイスを含むことができる。例えば、デバイス400は、顧客にコンテンツを表示するための液晶ディスプレイ(LCD)を含むことができるディスプレイを含むことができる。いくつかの実施形態では、デバイス400は遠隔で管理されてもよく、出力デバイス450を含まなくてもよい。言い換えれば、デバイス400は、「ヘッドレス」であってもよく、例えば、ディスプレイを含まなくてもよい。
【0054】
通信インターフェース460は、デバイス400が無線通信(例えば、無線周波数、赤外線、および/または視覚光学など)、有線通信(例えば、導線、ツイストペアケーブル、同軸ケーブル、伝送線路、光ファイバケーブル、および/または導波管など)、または無線通信と有線通信との組み合わせを介して他のデバイスおよび/またはシステムと通信することを可能にするトランシーバを含むことができる。通信インターフェース460は、ベースバンド信号を無線周波数(RF)信号に変換する送信器および/またはRF信号をベースバンド信号に変換する受信器を含むことができる。通信インターフェース460は、RF信号を送受信するためのアンテナに結合することができる。
【0055】
通信インターフェース460は、入力および/または出力ポート、入力および/または出力システム、ならびに/あるいは他のデバイスへのデータの送信を容易にする他の入力および出力構成要素を含む論理構成要素を含むことができる。例えば、通信インターフェース460は、有線通信のためのネットワークインターフェースカード(例えば、イーサネットカード)および/または無線通信のための無線ネットワークインターフェース(例えば、WiFi)カードを含むことができる。通信インターフェース460はまた、ケーブルを介した通信のためのユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、Bluetooth(商標)無線インターフェース、無線周波数識別(RFID)インターフェース、近距離無線通信(NFC)無線インターフェース、および/またはある形態から別の形態にデータを変換する任意の他の種類のインターフェースを含むことができる。
【0056】
以下で詳細に説明するように、デバイス400は、患者の前立腺の経腹的超音波画像の取り込み、患者の前立腺のサイズ、体積、および/または形状の自動測定、および/または測定に基づく推奨に関する特定の動作を実行することができる。デバイス400は、メモリ430などのコンピュータ可読媒体に含まれるソフトウェア命令を実行するプロセッサ420に応答してこれらの動作を実行することができる。コンピュータ可読媒体は、非一時的メモリデバイスとして定義されてもよい。メモリデバイスは、単一の物理メモリデバイス内に実装されてもよく、または複数の物理メモリデバイスにわたって分散されてもよい。ソフトウェア命令は、別のコンピュータ可読媒体または別のデバイスからメモリ430に読み込まれてもよい。メモリ430に含まれるソフトウェア命令は、プロセッサ420に本明細書に記載のプロセスを実行させることができる。あるいは、ハードワイヤード回路は、本明細書に記載のプロセスを実施するために、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて使用されてもよい。したがって、本明細書に記載の実施態様は、ハードウェア回路とソフトウェアとの任意の特定の組み合わせに限定されない。
【0057】
図4は、デバイス400の例示的な構成要素を示しているが、他の実施態様では、デバイス400は、
図4に示されているよりも少ない構成要素、異なる構成要素、追加の構成要素、または異なる配置の構成要素を含んでもよい。それに加えて、またはその代わりに、デバイス400の1つまたは複数の構成要素は、デバイス400の1つまたは複数の他の構成要素によって実行されると記載された1つまたは複数のタスクを実行することができる。
【0058】
図5は、コントローラユニット120の例示的な機能構成要素を示す図である。コントローラユニット120の機能構成要素は、例えば、メモリ430からの命令を実行するプロセッサ420を介して実装されてもよい。あるいは、コントローラユニット120の機能構成要素の一部またはすべては、ハードワイヤード回路を介して実装されてもよい。
図5に示すように、コントローラユニット120は、超音波プローブコントローラ510、超音波画像データベース(DB)520、膀胱機械学習(ML)モデル530、照準マネージャ540、ユーザインターフェース550、前立腺MLモデル560、サイズ/体積/形状計算器570、形状解析器575、および推奨マネージャ580を含むことができる。
【0059】
超音波プローブコントローラ510は、超音波プローブ110を制御し、超音波プローブ110から超音波画像データを収集するように構成されてもよい。例えば、超音波プローブコントローラ510は、超音波プローブ110の1つまたは複数のモータおよび/または特定のトランスデューサを制御することによって特定の平面内の超音波画像を生成することによって、患者の下腹部領域の3Dスキャンを実行することができる。例えば、超音波プローブコントローラ510は、超音波プローブ110の焦点領域内のすべての半径方向、反半径方向、矢状方向、および横断面を含む3Dスキャンを実行するように超音波プローブ110を制御することができる。超音波プローブコントローラ510は、外側トランスデューサ310および内側トランスデューサ320にそれぞれ特定の周波数または周波数範囲で超音波信号を送信させ、および/または特定の周波数または周波数範囲で超音波信号を受信させるように、外側トランスデューサパルサ/受信器315および内側トランスデューサパルサ/受信器325を制御することができる。超音波プローブコントローラ510は、Bモード画像(例えば、基本波、高調波および/または複合波など)、Pモード画像、ドップラーモード超音波画像、Mモード超音波画像、エラストグラフィ超音波画像、および/または任意の他のタイプの超音波画像を取得することができる。超音波プローブコントローラ510は、取得した超音波画像を超音波画像DB520に記憶してもよい。
【0060】
膀胱MLモデル530は、CNNモデルおよび/または超音波画像内の膀胱の境界を識別するためにセグメント化を実行するように訓練された別のタイプのMLモデルを含むことができる。例えば、膀胱MLモデル530は、一組の1つまたは複数の超音波画像内の膀胱の後壁、側壁、および/または前壁を識別することができる。いくつかの実施態様では、他のタイプの解剖学的ランドマークを識別するように訓練された他のタイプのMLモデルが含まれてもよい。
【0061】
照準マネージャ540は、膀胱MLモデル530によって識別された解剖学的ランドマークに基づいて、超音波プローブ110が患者の前立腺を撮像するための照準ゾーンを決定することができる。例えば、照準マネージャ540は、特定の寸法の領域(例えば、特定の長さおよび幅)を識別し、識別された領域を、膀胱の識別された後壁などの識別された解剖学的ランドマークから特定の距離に配置することができる。
【0062】
次いで、照準マネージャ540は、決定された照準ゾーンに基づいて患者の前立腺を撮像するように超音波プローブ110を照準して、超音波プローブ110からの超音波信号が意図された目標(例えば、患者の前立腺)に到達することを確実にすることができる。例えば、照準マネージャ540は、ユーザインターフェース550を介してオペレータに命令を送信して、超音波プローブ110を特定の方向に移動および/または傾斜させて、超音波プローブ110を位置決めして患者の前立腺を正確に撮像することができる。それに加えて、またはその代わりに、照準マネージャ540は、超音波プローブ110によって送信された信号が前立腺を撮像するために必要な被写界深度に到達することを可能にするために、外側トランスデューサ310に対して第1の周波数または周波数範囲を選択し、内側トランスデューサ320に対して第2の周波数または周波数範囲を選択することによって、トランスデューサ260の拡張された被写界深度350を調整することができる。
【0063】
照準マネージャ540は、前立腺の可能な限り最良のカバレッジを確保することができる。例えば、前立腺がシータ方向に15°(例えば、シータモータ220の動きに関して)およびファイ方向に12°(例えば、ファイモータ240の動きに関して)の偏心に位置する場合、前立腺の体積を決定するための3D超音波スキャンは、シータ方向に15°およびファイ方向に12°のシフトされた原点で実行され得る。さらに、照準マネージャ540は、決定された照準ゾーンを使用して決定された推定前立腺位置に基づいて音響および取得パラメータを調整することができる。調整されたパラメータは、超音波プローブ110の焦点位置、スキャン開口、スキャン深度、線密度、スキャン面密度、および送信周波数を含むことができる。
【0064】
ユーザインターフェース550は、ディスプレイ122を介してユーザに超音波画像を表示し、ユーザに命令および/または推奨を表示し、そして、ディスプレイ122に関連するタッチスクリーンを介して、コントローラユニット120、超音波プローブ110に配置された1つもしくは複数の制御キーを介して、コントローラユニット120に含まれるマイクロフォンを介して、および/または別のタイプの入力方法を介して、ユーザから選択および/またはコマンドを受信するように構成された、ユーザインターフェース(例えば、グラフィカルユーザインターフェース)を生成するかまたは含むことができる。
【0065】
例えば、ユーザは、3D超音波スキャンを実行するために、特定の臓器、組織、または構造(例えば、前立腺)、取得する特定のタイプの超音波画像を撮像することを選択すること、エラストグラフィ超音波スキャンを実行することを選択すること、以前に取得された超音波画像を含む患者記録を検索することを選択すること、ベースラインおよびフォローアップ超音波画像の比較を実行することを選択すること、機械学習モデルを使用して超音波画像のセグメント化および解析を実行することを選択すること、機械学習モデルを使用して超音波画像内の病変を識別することを選択すること、および/またはコントローラユニット120が構成されている別のタイプの機能を実行することを選択することができる。
【0066】
前立腺MLモデル560は、CNNモデルおよび/または超音波画像内の前立腺の境界を識別するためにセグメント化を実行するように訓練された別のタイプのMLモデルを含むことができる。いくつかの実施態様では、前立腺MLモデル560は、2次元(2D)超音波画像内の前立腺の境界を識別するためにセグメント化を実行するように訓練され得る。それに加えて、またはその代わりに、前立腺MLモデル560は、3D超音波スキャン中に取得された一組の超音波画像において前立腺の3D表面を識別するためにセグメント化を実行するように訓練され得る。一例として、前立腺MLモデル560は、一組の3Dスキャン画像からの個々の2D画像に対してセグメンテーションを実行して、各画像内の前立腺の境界を識別し、次いで、個々の超音波画像からの境界を互いに継ぎ合せるか、そうでなければ組み合わせて、前立腺の3D表面を生成することができる。
【0067】
さらに、いくつかの実施態様では、前立腺MLモデル560または別のMLモデルを訓練して、セグメント化された前立腺を特定のサイズカテゴリに分類することができる。さらに、いくつかの実施態様では、前立腺MLモデル560または別のMLモデルは、患者の前立腺のベースライン超音波画像を患者の前立腺のフォローアップ超音波画像と比較して、患者の前立腺のサイズ、形状、および/または体積が経時的にどの程度変化したかを判定するように訓練され得る。さらに、いくつかの実施態様では、前立腺MLモデル560または別のMLモデルを訓練して、病変または関心領域などの患者の前立腺における特定の病変を識別することができる。
【0068】
いくつかの実施態様では、膀胱MLモデル530および/または前立腺MLモデル560は、経腹的撮像によって得られた超音波画像を使用して訓練することができる。それに加えて、またはその代わりに、膀胱MLモデル530および/または前立腺MLモデル560は、異なる種類の画像を含む訓練セットを使用して訓練され得る。一例として、膀胱MLモデル530および/または前立腺MLモデル560は、TRUS超音波画像を使用して訓練することができる。別の例として、膀胱MLモデル530および/または前立腺MLモデル560は、膀胱および/または前立腺のMRI画像を使用して訓練することができる。MRI画像は、例えば、公開されているMRIデータベースから取得することができる。取得されたMRI画像は、形状ラベル、サイズラベル、医療診断ラベル、臨床的に導出された値ラベル、および/または膀胱MLモデル530および/または前立腺MLモデル560を訓練する際の教師あり学習に使用され得る別の種類のラベルなどのラベルを含むことができる。ラベルは、膀胱MLモデル530および/または前立腺MLモデル560によって使用され得る画像独立特徴の抽出を可能にし得る。例えば、ラベルは、膀胱MLモデル530および/または前立腺MLモデル560の訓練を容易にするために、特定の種類の膀胱または前立腺の統計的形状モデル(例えば、MRI膀胱および/または前立腺画像のデータベースからの画像に基づく)を得るために使用され得る。さらに、いくつかの実施態様では、膀胱MLモデル530および/または前立腺MLモデル560は、機械学習とアルゴリズム画像処理技術との任意の組み合わせを実装することができる。さらに、いくつかの実施態様では、膀胱MLモデル530および/または前立腺MLモデル560は、機械学習モデルのセグメント化出力を「手動で」調整するための「手動キャリパ」オプションを含むことができる。例えば、ディスプレイ上のポインタを操作することによって、またはキーパッドコマンドを使用して識別された境界を調整することによって、ユーザが膀胱MLモデル530または前立腺MLモデル560によって識別される膀胱の境界および/または前立腺の境界を調整することを可能にするユーザインターフェースをユーザに提示することができる。別の例として、ユーザインターフェースは、ユーザが画像上の一組のシード点を手動で選択することを可能にすることができ、一組のシード点は、セグメント化を実行するために膀胱MLモデル530または前立腺MLモデル560によって使用され得る。
【0069】
サイズ/体積/形状計算器570は、識別された境界、一組の境界、および/または患者の前立腺の生成された表面に基づいて、患者の前立腺のサイズ、体積、および/または形状を計算することができる。一例として、サイズ/体積/形状計算器570は、超音波画像内の識別された境界内に囲まれた面積を計算して、特定の平面内の前立腺の断面積を決定することができる。それに加えて、またはその代わりに、サイズ/体積/形状計算器570は、特定の方向(例えば、幅、長さ、高さなど)における前立腺のサイズを決定することができる。さらに、サイズ/体積/形状計算器570は、3次元スキャンからの一組の超音波画像を使用して生成された境界に基づいて、患者の前立腺の体積を決定することができる。あるいは、サイズ/体積/形状計算器570は、異なる断面の一組の面積を加算し、異なる断面間の距離を使用して各断面の厚さを決定し、患者の前立腺の体積を計算することができる。
【0070】
形状解析器575は、患者の前立腺の決定された形状および/または患者の膀胱などの別のセグメント化された構造の形状を解析することができる。一例として、形状解析器575は、患者の前立腺の判定された形状が特定の年齢層の正常/健康な形状の範囲内にあるかどうか、および/または判定された形状が病変を示すかどうかを判定することができる。別の例として、形状解析器575は、前立腺の決定された形状に基づいて、および患者の決定された膀胱境界に基づいて、患者の前立腺のIPP体積を計算することができる。
【0071】
推奨マネージャ580は、超音波スキャンの比較に基づく以前の訪問からの患者の前立腺のサイズ、形状、および/または体積の変化に基づいて、検出された病変または関心領域に基づいて、臨床的に導出された値(例えば、PSA値など)と組み合わされた患者の前立腺の決定されたサイズ/体積/形状に基づいて、および/または他の取得または生成された情報に基づいて、前立腺MLモデル560、サイズ/体積/形状計算器570、および/または形状解析器575から受信した情報に基づいて推奨を生成することができる。
【0072】
一例として、推奨マネージャ580は、PSA/体積値に基づいて、および/または別の決定に基づいて、患者の前立腺の決定されたサイズ、体積、または形状に基づいて医療介入の推奨を生成することができる。例えば、推奨マネージャ580は、追加の撮像、生検、切除、および/または別の種類の医療処置を推奨することができる。別の例として、推奨マネージャ580は、決定された患者の前立腺のサイズ、体積、および/または形状に基づいてリスク予測を生成することができる。例えば、推奨マネージャ580は、患者の前立腺がどの程度大きくなるか、尿貯留および/または別の種類の症状を引き起こすか、または特定の病状に発展する可能性があるかを示す定量的臨床的格付け値を生成することができる。
【0073】
さらに、推奨マネージャ580は、患者の前立腺の決定されたサイズ、体積、および/または形状の測定を改善するための推奨を生成することができる。推奨は、超音波プローブの位置または角度を調整するための推奨、水または別の流体を飲むための患者への推奨、または超音波画像内の検出されたアーチファクトまたは干渉に対処するための推奨のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0074】
さらに、推奨マネージャ580は、決定された患者の前立腺のサイズ、体積、および/または形状を使用して、将来の患者の前立腺のサイズの変化(例えば、今後の年数などにわたって)を予測し、医療による前立腺縮小治療の結果を予測し、および/または患者の前立腺に関する他の態様を予測することができる。
【0075】
図5は、コントローラユニット120の例示的な構成要素を示しているが、他の実施態様では、コントローラユニット120は、
図5に示すよりも少ない構成要素、異なる構成要素、追加の構成要素、または異なる配置の構成要素を含んでもよい。それに加えて、またはその代わりに、コントローラユニット120の1つまたは複数の構成要素は、コントローラユニット120の1つまたは複数の他の構成要素によって実行されるものとして説明された1つまたは複数のタスクを実行することができる。一例として、いくつかの実施態様では、単一のMLモデルを訓練して、膀胱と前立腺の両方に対してセグメント化を実行することができる。単一MLモデルは、膀胱のサイズ/体積/形状および前立腺のサイズ/体積/形状を計算し、および/または膀胱および/または前立腺の計算されたサイズ/体積/形状に基づいて1つまたは複数の推奨を出力することができる。別の例として、コントローラユニット120は、他の器官または組織を特徴付けるための追加の機能構成要素を含むことができる。例えば、コントローラユニット120は、患者の膀胱のサイズ、容積、および/または形状をスキャンして評価するための膀胱モードと、患者の前立腺のサイズ、容積、および/または形状をスキャンして評価するための前立腺モードとを含むことができる。ユーザは、ボタンを押すこと、タッチスクリーン上で選択オブジェクトをアクティブにすること、コマンドを話すこと、および/または別のタイプのアクションを実行することによって、膀胱モードと前立腺モードとを切り替えることができる。
【0076】
図6は、本明細書に記載の実施態様による、機械学習を使用して前立腺の超音波画像を解析するためのプロセスのフローチャートである。いくつかの実施態様では、
図6のプロセスは、超音波システム100によって実行されてもよい。他の実施態様では、
図6のプロセスの一部またはすべては、超音波システム100とは別個の別のデバイスまたはデバイスのグループによって実行されてもよい。
【0077】
図6のプロセスは、超音波プローブを使用して患者の下腹部領域の超音波画像を取得すること(ブロック610)、取得された超音波画像内の解剖学的ランドマークを識別すること(ブロック620)、および識別された解剖学的ランドマークを基準点として使用して患者の前立腺を経腹的に撮像するように超音波プローブを照準すること(ブロック630)を含むことができる。例えば、オペレータは、コントローラユニット120を使用して患者の前立腺の超音波スキャンを開始することを選択することができる。ユーザは、患者の膀胱領域の上に超音波プローブ110を配置し、スキャンを開始するように指示され得る。超音波プローブ110は、患者の膀胱の1つまたは複数の超音波画像を取り込むことができる。
【0078】
膀胱MLモデル530は、膀胱の後壁を識別するためにセグメント化を実行することができ、照準マネージャ540は、例えば、膀胱の識別された後壁などの識別された解剖学的ランドマークに基づいて、超音波プローブ110の照準ゾーンを決定することができる。ユーザインターフェース550は、膀胱の識別された後壁および決定された照準ゾーンを含む超音波画像を表示することができる。次いで、オペレータは、決定された照準ゾーンを指すように超音波プローブ110を照準することができる。それに加えて、またはその代わりに、コントローラユニット120は、決定された照準ゾーン内で超音波プローブ110を照準する際にオペレータを支援するための一組の命令を生成することができる。他の実施態様では、膀胱の異なる壁、直腸の壁、恥骨、前立腺自体、および/または患者の身体の前立腺領域内の別の種類の解剖学的ランドマークなど、異なる解剖学的ランドマークを使用することができる。いくつかの実施態様では、コントローラユニット120は、決定された照準ゾーンに基づいて超音波プローブ110の被写界深度をさらに自動的に調整することができる。
【0079】
患者の前立腺の経腹的超音波画像は、照準された超音波プローブを使用して取得することができる(ブロック640)。例えば、コントローラユニット120は、超音波プローブ110が患者の前立腺をスキャンするように適切に位置合わせされ、オペレータが患者の前立腺の超音波スキャンを開始することができるという表示を生成することができる。例えば、オペレータは、患者の前立腺の3次元スキャンを開始することができ、超音波プローブ110は、一組の平面(例えば、超音波プローブ110の中心線の周りの半径方向平面のセットなど)内の超音波画像を取り込むことができる。オペレータは、Bモード超音波画像(例えば、基本波、高調波および/または複合波など)、Pモード画像、ドップラー超音波画像、Mモード画像、エラストグラフィ、および/または他のタイプの超音波画像を取り込むように選択することができる。一例として、カラードップラーを使用して、前立腺内の流体(例えば、血流)の正常および異常な流れを撮像することができる。別の例として、エラストグラフィを使用して組織剛性を決定することができ、これは、異なる剛性の領域が病理と関連付けられ得、前立腺がんの検出および特性評価に使用され得るためである。
【0080】
上記の例は、最初に膀胱を撮像し、膀胱に関連する解剖学的ランドマーク(例えば、膀胱の後壁)を使用して超音波プローブ110を照準し、続いて前立腺を撮像することを説明しているが、膀胱の撮像を最初に行う必要はない場合がある。例えば、患者の前立腺および膀胱領域を同時に撮像してもよいし、患者の前立腺を直接撮像してもよい。例えば、超音波システム100は、取り込まれた超音波画像内で前立腺を識別することによって超音波プローブ110を照準し、より多くの超音波エネルギーを識別された前立腺に直接照準するように超音波プローブ110を照準し、続いて、照準された超音波プローブ110を使用して識別された前立腺のより詳細なスキャン(例えば、3Dスキャン)を行うことができる。さらに、いくつかの実施態様では、超音波プローブ100は、照準を必要としない大きな視野を有することができ、患者の前立腺は、超音波プローブ110を照準することなくスキャンすることができる。
【0081】
訓練された機械学習モデルを使用してセグメント化を実行して、取得された超音波画像内の前立腺の境界を識別することができる(ブロック650)。例えば、前立腺MLモデル560および/または別の訓練されたMLモデルは、一組の2次元超音波画像内の前立腺の境界を識別するためにセグメント化を実行することができる。次いで、前立腺MLモデル560は、前立腺の3D表面を生成するために、個々の超音波画像からの境界を一緒に継ぎ合せるか、そうでなければ組み合わせることができる。いくつかの実施態様では、前立腺MLモデル560は、セグメント化された前立腺を特定のサイズカテゴリ(例えば、小さい、正常、肥大など)に分類することができる。さらに、前立腺MLモデル560は、患者の前立腺の識別された境界を、(例えば、患者の記録に関連する超音波画像を取得することによって)以前の診察時の患者の前立腺の以前に判定された境界と比較することができる。さらに、いくつかの実施態様では、前立腺MLモデル560または別のMLモデルは、例えば、超音波信号を前立腺の他の領域とは少なくともしきい値の量だけ異なって反射した前立腺内の領域の境界を識別することに基づいて、患者の前立腺が病変または関心領域を含むかどうかを判定することができる。さらに、コントローラユニット120は、ユーザが前立腺の識別された境界を手動で調整すること、またはセグメント化プロセスを実行するための一組の点を定義することを可能にするユーザインターフェースを提供することができる。
【0082】
患者の前立腺のサイズ、体積、および/または形状は、識別された境界を使用して決定することができ(ブロック660)、形状解析を実行することができる(ブロック665)。例えば、コントローラユニット120は、超音波画像内の識別された境界内に囲まれた領域を計算して、特定の平面内の前立腺の断面積を決定し、異なる断面の一組の面積を加算し、異なる断面間の距離を使用して各断面の厚さを決定し、患者の前立腺の体積を計算することができる。あるいは、コントローラユニット120は、3次元スキャン中に取得された超音波画像の集合に基づいて生成された3次元前立腺境界内の体積を計算することができる。コントローラユニット120はまた、特定の方向(例えば、幅、長さ、高さなど)における前立腺のサイズおよび/または形状を判定することができ、および/または前立腺の形状が範囲もしくは正常な形状の範囲外にあるか、または特定の病変に関連するかどうかを判定することができる。さらに、コントローラユニット120は、PSA/体積値、IPP値、および/または別の種類の臨床値などの、患者の前立腺の決定されたサイズ、体積、および/または形状に基づいて、1つまたは複数の臨床値を生成することができる。一例として、コントローラユニット120は、決定された患者の前立腺のサイズ、体積、または形状に基づいてIPP値を計算することができる。別の例として、コントローラユニット120は、患者の臨床的に導出されたPSAレベル(例えば、血液検査などを介して決定される)と組み合わされた患者の前立腺の決定されたサイズ、体積、または形状に基づいて、PSA対体積比を計算することができる。
【0083】
医療介入の推奨は、決定された患者の前立腺のサイズ、体積、および/または形状に基づいて生成することができる(ブロック670)。例えば、コントローラユニット120は、患者の前立腺のサイズ、体積、および/または形状が患者の年齢層の特定の範囲内にあるかどうかを判定することができ、ならびに/あるいは臨床的に導出された値(例えば、PSA/体積値など)と組み合わされた前立腺の判定されたサイズ/体積/形状に基づいて値を判定することができる。さらに、コントローラユニット120は、患者の前立腺の決定されたサイズ、体積、および/または形状を、以前の診察時に決定されたサイズ、体積、および/または形状と比較して、経時的なサイズ、体積、および/または形状の変化を計算することができる。さらに、コントローラユニット120は、関心のある病変または領域が検出されたかどうかを判定することができる。例えば、エラストグラフィスキャンは、腫瘍を示す可能性があるより高い剛性の領域を識別することができる。したがって、コントローラユニット120は、追加の撮像、生検、切除、および/または別の種類の医療処置の推奨を生成することができる。
【0084】
リスク予測は、患者の前立腺の決定されたサイズ、体積、および/または形状に基づいて生成され得る(ブロック680)。例えば、コントローラユニット120は、患者の前立腺がどの程度大きくなるか、尿貯留および/または別の種類の症状を引き起こすか、または特定の医学的状態に発展する可能性があるかを示す定量的臨床的格付け値を生成することができる。さらに、コントローラユニット120は、決定された患者の前立腺のサイズ、体積、および/または形状を使用して、将来の患者の前立腺のサイズの変化(例えば、今後の年数などにわたって)を予測し、医療用前立腺縮小治療の結果を予測し、および/または患者の前立腺に関する他の態様を予測することができる。
【0085】
患者の前立腺のサイズ、体積、および/または形状の測定を改善するための推奨を生成することができる(ブロック690)。一例として、コントローラユニット120は、患者の前立腺の計算されたサイズ、体積、および/または形状が予想範囲外であると判定し、超音波プローブ110が正しく配置されなかったと判定することができる。それに応答して、コントローラユニット120は、ディスプレイ122を介して提示される推奨を生成して、超音波プローブの位置または角度を調整することができる。別の例として、コントローラユニット120は、超音波信号が膀胱を通って移動しておらず、膀胱内で過度の反射を経験していると判定することができる。例えば、コントローラユニット120は、決定された膀胱のサイズに基づいて、患者の膀胱が空すぎると判断することができる。それに応答して、コントローラユニット120は、膀胱内の流体を増加させるために患者が水または別の流体を飲むための推奨を生成することができ、その結果、前立腺のより良好な撮像がもたらされ得る。さらに別の例として、コントローラユニット120は、超音波画像のアーチファクトまたは干渉を検出することができる。例えば、前立腺MLモデル560は、結腸ガスを検出するように訓練され得る。あるいは、コントローラユニット120は、結腸が前立腺の一部として誤って解釈されているために、患者の前立腺のサイズが予想範囲外であると判定された場合、結腸ガスが存在すると仮定することができる。それに応答して、コントローラユニット120は、腸ガスを除去するための患者への推奨を生成することができる。
【0086】
図7は、本明細書に記載の実施態様による、膀胱のセグメント化、照準ゾーンの識別、および前立腺のセグメント化を示す図である。ディスプレイ122上に提示され得る超音波画像710は、膀胱MLモデル530によるセグメント化によって決定されるように、患者の膀胱の識別された境界715を含むことができる。続いて提示される超音波画像720は、超音波プローブ110のための識別された照準ゾーン725を含むことができる。照準ゾーン725は、識別された境界715の後壁および/または膀胱の側壁、恥骨影、前立腺自体、および/または別の種類の解剖学的ランドマークなどの別の識別された解剖学的ランドマークに基づいて決定することができる。次いで、コントローラユニット120は、超音波プローブ110の設定を(例えば、被写界深度を調整することによって)最適化して、照準ゾーン725で超音波画像を取り込むことができる。さらに、オペレータは、照準ゾーン725における画像取り込みを最適化するために超音波プローブ110を移動/傾斜させるように指示されてもよい。超音波画像730は、照準ゾーン725を使用して患者の前立腺が撮像され、患者の前立腺の境界735を識別するために前立腺MLモデル560によってセグメント化が実行された後にディスプレイ122上に提示され得る。
【0087】
図8は、本明細書に記載の実施態様による前立腺のサイズの決定を示す
図800である。
図8に示すように、
図800は、前立腺のサイズが前立腺MLモデル560によって実行されたセグメント化に基づいて2次元で決定された患者の前立腺の超音波画像を含む。例えば、前立腺MLモデル560は、超音波画像が取り込まれた特定の平面内の前立腺の幅810および前立腺の高さ820を判定することができる。
【0088】
図9は、本明細書に記載の実施態様による、3D超音波スキャンからの前立腺の体積の決定を示す
図900である。
図9に示すように、
図900は、3Dスキャン中に取得された一組の超音波画像に基づいて生成された患者の前立腺の3D境界面を示す。第1の超音波画像910は冠状面に前立腺の境界915を含み、第2の超音波画像920は矢状面に前立腺の境界925を含み、第3の超音波画像930は横断面に前立腺の境界935を含む。
【0089】
図10は、本明細書に記載の実施態様による前立腺の特性評価のためのエラストグラフィの使用を示す
図1000である。
図10に示すように、
図1000は、異なる組織剛性値を表す異なる色および/またはシェーディング値を有する組織剛性の異なる値を有する領域を識別するためにセグメント化を使用して処理されたエラストグラフィ画像1020と相関された超音波画像1010を示す。したがって、前立腺MLモデル560は、エラストグラフィ画像に対してセグメント化を実行して、特定の組織剛性に関連する領域を識別し、および/または特定の組織剛性に関連する特定の病変を識別するように訓練することができる。さらに、前立腺MLモデル560は、Bモード輝度、エラストグラフィ画像、および/またはドップラー超音波画像に基づいて、前立腺の組織学的、形態学的、および/または超音波特性評価を実行するように訓練され得る。一例として、前立腺MLモデル560は、カルシウム沈着物、腺腫、および/または他の種類の異常を識別するように訓練され得る。別の例として、前立腺MLモデル560は、前立腺の外周領域および/または内側移行領域を識別するように訓練され得る。
【0090】
図11は、本明細書に記載の実施態様による第1の例示的なユーザインターフェース1100を示す図である。
図11に示すように、ユーザインターフェース1100は、超音波プローブ110の照準中にコントローラユニット120のディスプレイ122に提示することができる。ユーザインターフェース110は、より正確な測定のためにオペレータが超音波プローブ110の中心を合わせるのを助けるために、検出された身体器官/構造のリアルタイムグラフィック表現を提示することができる。取得された超音波データのそのようなグラフィック表現は、超音波プローブ110を中心合わせするために使用することができる。そのような表示モードでは、ディスプレイ122は、超音波プローブ110の現在の照準方向を表すレチクル1110と、患者の膀胱の決定された最大断面のサイズおよび位置を表す膀胱突出部1120と、患者の前立腺の決定された最大断面のサイズおよび位置を表す前立腺突出部1130と、を含むことができる。オペレータが超音波プローブ110を移動させると、レチクル1110、膀胱突出部1120、および前立腺突出部1130の位置が更新され得る。オペレータが超音波プローブ110の位置合わせおよび位置に満足したとき、オペレータは、スキャンボタン1140を作動させて超音波スキャンを実行することができる。
【0091】
図12は、本明細書に記載の実施態様による第2の例示的なユーザインターフェース1200を示す図である。
図12に示すように、ユーザインターフェース1200は、コントローラユニット120のディスプレイ122に提示することができ、取り込まれた超音波画像1210を含むことができる。超音波画像1210は、結腸内のガスのために不明瞭になっている前立腺を含むことができる。コントローラユニット120は、前立腺の不十分なセグメンテーション(例えば、前立腺の境界を特定することができないこと)の結果として、結腸境界として分類された境界を検出した結果として、および/または別の技術を使用して、結腸ガスの存在を検出することができる。それに応答して、コントローラユニット120は、患者に腸ガスを除去させるための推奨1220を生成することができる。
【0092】
図13は、本明細書に記載の実施態様による第3の例示的なユーザインターフェース1300を示す図である。
図13に示すように、ユーザインターフェース1300は、コントローラユニット120のディスプレイ122に提示することができ、取り込まれた超音波画像1310を含むことができる。
図13の例では、コントローラユニット120は、無線接続を使用して超音波プローブ110と通信するタブレットコンピュータデバイスに対応することができる。超音波画像1310は、識別された前立腺境界1320を含むことができる。さらに、超音波画像1320は、識別された病変境界1330を含むことができる。それに応答して、コントローラユニット120は、病変に対して生検を実行するための推奨1340を生成することができる。
【0093】
図14は、本明細書に記載の実施態様による第4の例示的なユーザインターフェース1400を示す図である。
図14に示すように、ユーザインターフェース1400は、コントローラユニット120のディスプレイ122に提示することができ、決定された臨床的価値に基づいて生成された推奨を含むことができる。
図14の例では、コントローラユニット120は、無線接続を使用して超音波プローブ110と通信するタブレットコンピュータデバイスに対応することができる。ユーザインターフェース1400は、計算されたIPP値のグラフィック表現1410を含むことができる。グラフィック表現1410は、決定された膀胱境界1420、決定された前立腺境界1430、ならびに決定された膀胱境界1420および前立腺境界1430に基づく計算されたIPP値1440を含むことができる。ユーザインターフェース1400は、計算されたIPP値1440に基づく解析1450をさらに含むことができる。例えば、解析1450は、計算されたIPP値1440に基づいて、膀胱排出障害(BOO)の可能性が高いことを示すことができる。
【0094】
前述の明細書では、添付の図面を参照して様々な好ましい実施形態を説明した。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載される本発明のより広い範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができ、追加の実施形態を実施することができることは明らかであろう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で見なされるべきである。
【0095】
例えば、
図6に関して一連のブロックを説明したが、他の実施態様ではブロックの順序が変更されてもよい。さらに、非依存ブロックを並列に実行してもよい。
【0096】
上述したようなシステムおよび/または方法は、図に示す実施態様においてソフトウェア、ファームウェア、およびハードウェアの多くの異なる形態で実装され得ることは明らかであろう。これらのシステムおよび方法を実施するために使用される実際のソフトウェアコードまたは専用の制御ハードウェアは、実施形態を限定するものではない。したがって、システムおよび方法の動作および挙動は、特定のソフトウェアコードを参照することなく説明されており、ソフトウェアおよび制御ハードウェアは、本明細書の説明に基づいてシステムおよび方法を実装するように設計することができることが理解される。
【0097】
さらに、上述した特定の部分は、1つまたは複数の機能を実行する構成要素として実装されてもよい。本明細書で使用される構成要素は、プロセッサ、ASIC、またはFPGAなどのハードウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせ(例えば、ソフトウェアを実行するプロセッサ)を含むことができる。
【0098】
本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」/「含む(comprising)」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を特定すると解釈されるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことが強調されるべきである。
【0099】
本明細書で使用される「ロジック」という用語は、1つまたは複数のメモリデバイスに格納された命令を実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサの組み合わせを指すことができ、ハードワイヤード回路を指すことができ、および/またはそれらの組み合わせを指すことができる。さらに、ロジックは、単一のデバイスに含まれてもよく、または複数のデバイス、場合によってはリモートのデバイスにわたって分散されてもよい。
【0100】
本発明を説明および定義する目的で、「実質的に」という用語は、本明細書では、任意の定量的比較、値、測定、または他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表すために利用されることにさらに留意されたい。「実質的に」という用語はまた、本明細書において、定量的表現が、問題となっている主題の基本機能の変化をもたらすことなく、記載された基準から変化し得る程度を表すために利用される。
【0101】
本出願で使用される要素、動作、または命令は、明示的に記載されていない限り、実施形態にとって重要または必須であると解釈されるべきではない。また、本明細書で使用される場合、冠詞「a」は、1つまたは複数の項目を含むことが意図されている。さらに、「基づいて、」という語句は、特に明記しない限り、「少なくとも部分的に、基づいて」を意味することを意図している。