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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】超広帯域試験システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/40 20060101AFI20240327BHJP
   G01S 13/08 20060101ALI20240327BHJP
   G01S 13/76 20060101ALI20240327BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
G01S7/40 152
G01S13/08
G01S13/76
G06K7/10 200
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022568855
(86)(22)【出願日】2021-05-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2021061875
(87)【国際公開番号】W WO2021228658
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】63/023,972
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501427157
【氏名又は名称】アッサ アブロイ アーベー
【氏名又は名称原語表記】ASSA ABLOY AB
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ピルヒ、ハンス-ユルゲン
【審査官】安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210518351(CN,U)
【文献】特表2010-512072(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105223558(CN,A)
【文献】国際公開第2019/110833(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106850086(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101394233(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42,
G01S 13/00-13/95,
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験システムであって、
無線周波数(以下、RFとする)遮蔽容器であって、前記RF遮蔽容器は、被試験UWB受信機デバイスを収容する、前記RF遮蔽容器と、
前記RF遮蔽容器内に配置されたRFアンテナと、
前記RFアンテナに動作可能に結合され、アンテナを使用して前記RF遮蔽容器内でUWB信号を送信するように構成されたUWB送信機デバイスであって、送信されたUWB信号は、UWB受信機デバイスの最終使用環境内でUWB測距信号を送信した結果、前記最終使用環境内で生じる結果信号のマルチパス成分(以下、MPCとする)を含む、前記UWB送信機デバイスと、を備え
前記UWB送信機デバイスは、前記最終使用環境内で前記UWB測距信号を送信した結果として生じた測定されたMPCの集合であるUWB信号を送信するように構成される、試験システム。
【請求項2】
前記UWB送信機デバイスは、前記最終使用環境内で、特定のパルスパターンを含むUWB測距信号を送信していることを表すUWB信号を送信するように構成される、請求項1に記載の試験システム。
【請求項3】
前記UWB送信機デバイスは、前記最終使用環境内で、特定のプリアンブルを有する無線パケットを含むUWB測距信号を送信していることを表すUWB信号を送信するように構成される、請求項1に記載の試験システム。
【請求項4】
前記UWB送信機デバイスは、前記最終使用環境内で、スクランブルされたタイムスタンプシーケンスを含む無線パケットを含むUWB測距信号を送信していることを表すUWB信号を送信するように構成される、請求項1に記載の試験システム。
【請求項5】
前記UWB送信機デバイスは、電磁場シミュレーションソフトウェアを使用して生成されたUWB信号を送信するように構成される、請求項1に記載の試験システム。
【請求項6】
前記RF遮蔽容器は、1つまたは複数のRF減衰器を含む、請求項1に記載の試験システム。
【請求項7】
前記試験システムは、前記UWB受信機デバイスを含み、前記UWB受信機デバイスは、前記UWB測距信号に関する測距距離を決定するように前記RF遮蔽容器内で動作可能である、請求項1乃至のいずれか一項に記載の試験システム。
【請求項8】
前記UWB受信機デバイスは、前記RF遮蔽容器内で受信したUWB信号のデコンボリューションを実行して、前記送信されたUWB信号のチャネルインパルス応答(以下、CIRとする)を推定し、推定されたCIRを使用して飛行時間情報を決定するように構成される、請求項に記載の試験システム。
【請求項9】
シームレス物理アクセス制御システムの超広帯域(以下、UWBとする)受信機デバイスを試験する方法であって、
前記UWB受信機デバイスを収容するRF遮蔽容器内でUWB信号を送信するステップであって、容器内で送信される前記UWB信号は、最終使用環境内でUWB測距信号を送信した結果、前記最終使用環境内で前記UWB受信機デバイスに対して生じる結果信号のマルチパス成分(以下、MPCとする)を含む、前記UWB信号を送信するステップと、
前記UWB受信機デバイスが、前記UWB測距信号に関する測距距離を決定するステップと、を含み、
前記RF遮蔽容器内で送信される前記UWB信号は、前記最終使用環境内で前記UWB測距信号を送信した結果として生じた測定されたMPCの集合である、方法。
【請求項10】
前記測距距離を決定するステップは、前記UWB受信機デバイスが、受信したUWB信号のデコンボリューションを実行して、送信された前記UWB信号のチャネルインパルス応答(以下、CIRとする)を推定し、推定されたCIRを使用して飛行時間情報を決定することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記UWB信号を送信するステップは、前記最終使用環境内で、特定のパルスパターンを含むUWB測距信号を送信していることを表すUWB信号を送信することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記UWB信号を送信するステップは、前記最終使用環境内で、特定のプリアンブルを有する無線パケットを含むUWB測距信号を送信していることを表すUWB信号を送信することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記UWB信号を送信するステップは、前記最終使用環境内で、スクランブルされたタイムスタンプシーケンスを含む無線パケットを含むUWB測距信号を送信していることを表すUWB信号を送信することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記UWB信号を送信するステップは、電磁場シミュレーションソフトウェアを使用して生成されたUWB信号を送信することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記UWB信号を送信するステップは、
第1のアンテナを使用してUWB測距信号を送信することと、
前記UWB測距信号を送信した結果として生じた結果信号のMPCを測定することと、
前記結果信号の前記MPCを、前記RF遮蔽容器内に送信される前記UWB信号に集合させることと、を含む、請求項に記載の方法。
【請求項16】
前記UWB受信機デバイスは、UWB対応読取デバイスである、請求項乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、超広帯域(以下、UWBとする)デバイス試験ユニットの処理回路による実行時に、試験ユニットに、
UWBデバイスを収容するRF遮蔽容器内でUWB信号を伝送することであって、容器内で伝送される前記UWB信号は、最終使用環境内でUWB測距信号を送信した結果、前記最終使用環境内で前記UWBデバイスに対して生じる結果信号のマルチパス成分(以下、MPCとする)を含む、前記UWB信号を伝送することと、
前記UWB測距信号に関する前記UWBデバイスからの測距距離を受信することと、を含む動作を実行させ、
前記RF遮蔽容器内で送信される前記UWB信号は、前記最終使用環境内で前記UWB測距信号を送信した結果として生じた測定されたMPCの集合である、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記試験ユニットに、前記最終使用環境内で、特定の同期パターンを含むUWB測距信号を送信していることを表すUWB信号を送信することを含む動作を実行させる命令をさらに含む、請求項17に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
前記試験ユニットに、前記最終使用環境内で、スクランブルされたタイムスタンプシーケンスを含む無線パケットを含むUWB測距信号を送信していることを表すUWB信号を送信することを含む動作を実行させる命令をさらに含む、請求項17または18に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で例示および説明される実施形態は、概して、超広帯域対応デバイスを含むアクセス制御システムアーキテクチャに関し、詳しくは、超広帯域対応デバイスを試験するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超広帯域(UWB:Ultra-Wide Band)は、広い周波数スペクトルにわたって短い低電力のパルスを使用する無線周波数(RF)技術である。パルスは、毎秒数百万個程度の個別のパルスである。周波数スペクトルの幅は、概して、500メガヘルツより大きいか、または計算上の中心周波数の20パーセントより大きい。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】基本的な物理アクセス制御システム(PACS)構成を示す図である。
図2】超広帯域(UWB)対応デバイスおよび到来角機能を含むスマートUWB対応デバイスの一例のブロック図である。
図3】UWBシームレスPACSの一例の一部を示すブロック図である。
図4A-4B】図4Aおよび図4Bは測距動作中に送信され得る無線パケットの例を示す図である。
図5】シームレスPACSによる測距手順のデコンボリューション処理の一例を示す説明図である。
図6】シームレスPACSのデバイスのための試験システムの図である。
図7】UWB試験信号を決定するためのシミュレーション手法をグラフで示す図である。
図8】シミュレーションを使用してUWB試験信号を発生させることに関連する波形を示す図である。
図9】シームレスPACSを動作させる方法のフロー図である。
図10】UWB対応デバイスの一例の一部の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
UWBは、広い信号帯域幅を使用する無線通信方法である。広い帯域幅は、一般的に、信号の中心周波数の20%より大きい-10デシベル(-10dB)帯域幅、または絶対値で500メガヘルツ(500MHz)より大きい帯域幅のいずれかとして定義される。商用UWBシステムは、住居、オフィス、または産業用屋内エリアなどの複雑な環境で使用されることが意図されている。
【0005】
一例として、UWB無線通信は、物理アクセス制御システム(PACS:Physical Access Control System)において使用することができる。PACSは、人が保安ドアなどの物理的アクセスポイントを通過することを認証および承認する。PACSの環境は、用途(例えば、ホテル、住居、オフィス等)、技術(例えば、アクセスインタフェース技術、ドアの種類等)、および製造業者に基づいて大幅に異なる場合がある。
【0006】
図1は、オフィス用途に有用な基本的なPACS構成の図である。アクセスクレデンシャル(Access Credential)は、データオブジェクト、知識(例えば、PIN、パスワードなど)、または人の身元の証明を提供する人物の物理的な側面(例えば、顔、指紋など)である。クレデンシャルデバイス104は、アクセスクレデンシャルがデータオブジェクトである場合、アクセスクレデンシャルを記憶する。クレデンシャルデバイス104は、スマートカード又はスマートフォンであってもよい。クレデンシャルデバイスの他の例は、近接無線周波数識別ベース(RFIDベース)カード、アクセス制御カード、クレジットカード、デビットカード、パスポート、識別カード、キーフォブ、近距離無線通信(NFC:near field communication)対応デバイス、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、タグ、又は仮想クレデンシャルをエミュレートするように構成可能な任意の他のデバイスを含むが、これらに限定されない。
【0007】
クレデンシャルデバイス104は、アクセスクレデンシャルと呼ぶことができる。読取デバイス102は、クレデンシャルデバイスが使用される際にアクセスクレデンシャルを取得して認証し、アクセスクレデンシャルをアクセスコントローラ106に送信する。アクセスコントローラ106は、アクセスクレデンシャルをアクセス制御リストと比較し、比較に基づいて、例えば、ドアの自動ロックを制御するなどによって、アクセスを許可または拒否する。
【0008】
アクセスコントローラ106の機能は、読取デバイス102に含まれてもよい。これらの読取デバイスは、オフライン読取機またはスタンドアロン読取機と呼ぶことができる。ロック解除機構も含まれる場合、デバイスは、住宅用途でより典型的には使用されるスマートドアロックが参照される。スマートドアロック等のデバイスは、多くの場合、バッテリ駆動式であり、電力消費およびバッテリ寿命は、デバイスの主要パラメータであり得る。
【0009】
PACSでは、アクセスシーケンスは、存在証明、意図検出、認証、および承認の4つの部分から構成される。ユーザはドアに近づき、ユーザのアクセスクレデンシャルまたはクレデンシャルデバイスを提示する。これは、シーケンスの存在証明および意図部分を提供する。読取デバイスは、アクセスクレデンシャルの有効性をチェックし(認証部分)、それを(例えば、ローカルエリアネットワークまたはLANを使用して)アクセスコントローラに送信し、アクセスコントローラは、アクセスを許可または拒否する(承認部分)。シームレスアクセス制御は、カード読取機でアクセスカードを入力またはスワイプすること、あるいは個人識別番号(PIN)またはパスワードを入力することなど、ユーザの面倒な操作を必要とせずに、制御されたポータルにより承認されたユーザに対して物理アクセスが許可されることを指す。
【0010】
インパルス無線超広帯域(IR-UWB、または単にUWB)は、安全な方法で存在証明情報を提供することができる。UWBシステムの広い帯域幅は、狭帯域技術の性能を制限し得る効果である周波数選択性フェージングに対する高レベルの耐性を提供する。UWBの安全で正確な測距能力によって、ユーザによる操作の必要なしに存在および意図を判定するために測距を使用することができるため、UWBがシームレスアクセスを可能にする適切な技術となる。
【0011】
図2は、UWB対応デバイス202(例えば、読取デバイスまたは読取機・コントローラデバイス)およびスマートUWB対応デバイス204(例えば、スマートフォンクレデンシャルデバイス)の一例のブロック図である。UWB対応デバイスによる測距を使用して、ユーザの意図を判定することができる。意図は、UWB対応デバイス202とスマートUWB対応デバイス204との間の距離の変化によって、およびUWB対応デバイス202とスマートUWB対応デバイス204との角度の変化によって推定することができる。
【0012】
UWB対応デバイスは、飛行時間(TOF:Time-of-Flight)双方向測距(TWR:Two Way Ranging)を使用して測距を実行することができる。TWRでは、UWB対応デバイス(例えば、読取デバイス)とスマートUWB対応デバイス(例えば、UWB対応スマートフォン)との間で無線パケットが交換される。読取デバイスとスマートフォンとの間のパケットの送信および受信のためのタイミング差を使用して、距離および角度の一方または両方の変化などの測距情報を算出して、意図を判定することができる。
【0013】
図3は、UWBシームレスPACSの一例の一部を示すブロック図である。送信機デバイス304は、ユーザのスマートUWB対応デバイスであり、受信機デバイス302は、UWB読取デバイスであり得る。送信機デバイス304はUWB信号312を送信し、受信機デバイス302はUWB信号314を受信する。送信信号は、測距動作の一部として送信され得る。
【0014】
しかしながら、本明細書で前述したように、UWBシステムの環境は複雑であり得る。これらの環境では、信号反射および回折が重要な役割を果たす。受信UWB信号314は、送信信号の減衰され、遅延され、場合によっては重複したバージョンの合計であり得、受信UWB信号は、(受信機/送信機の移動または環境の変化に起因して)経時的に変化し得る。受信機デバイス302によって感知される送信信号のこれらの異なるバージョンは、マルチパス成分(MPC:multipath components)と呼ぶことができる。
【0015】
シームレスPACSによる測距動作では、第1の経路を識別し、到達時間(TOA:Time-of-Arrival)を決定することが重要である。その理由は、第1の経路が送信機デバイス304と受信機デバイス302との間の距離を最も代表しているからである。しかしながら、第1の経路成分の強度は、環境に依存し得る。受信UWB信号314は、最大振幅を有する第1の経路成分318と、他の成分よりも小さい振幅を有する第1の経路成分320とを示す。より小さい振幅は、送信機デバイス304と受信機デバイス302との間に直接的な経路が存在しない、図3の遮られた直線距離(LOS:Line-of-Sight)シナリオにおいて発生し得る。
【0016】
LOS TOAを正確に検出するために、受信機のダイナミックレンジが、相関を使用して改善される。相関演算において、チャネルインパルス応答(CIR:Channel Impulse Response)が、受信機デバイス302の相関器によって決定または推定される。相関器は、着信UWB信号の無線パケットに関連付けられた既知のパルスパターンに対してデコンボリューション(deconvolution)を実行する。既知のパルスパターンのシンボルは完全な周期的自己相関特性を有するため、直接相関によってCIRを決定することが可能となる。
【0017】
図4Aおよび図4Bは、測距動作中に送信され得る無線パケットの例である。図4Aにおいて、無線パケット420は、同期(SYNC)フィールド、フレーム開始デリミタ(SFD:start-of-frame delimiter)フィールドを含む。SYNCフィールドは、所望の自己相関特性を提供するために反復Ipatovシーケンスを含むことができ、SFDフィールドは、スクランブルされたIpatovシーケンスを含むことができる。また、無線パケット420は、物理層(PHY)ヘッダ(PHR)およびPHYサービスデータユニット(PSDU)を含む。
【0018】
図4Bでは、無線パケット422は、図4Aと同様にSYNCフィールドおよびSFDフィールドを含むが、スクランブルされたタイムスタンプシーケンス(STS)フィールドを含む。STSフィールドを使用することによって、STSフィールドが予測可能ではないため、追加のレベルのセキュリティが提供され、またSTSフィールドを使用することによって、送信信号の周波数スペクトルにおいて周期性に関連するピーキングが発生することもない。
【0019】
図5は、シームレスPACSによる測距手順のデコンボリューション処理の一例を示す説明図である。波形510は、送信信号を表す。波形中のパルスは、送信された無線パケット内のビットを表す。波形530は、受信機デバイスによって受信される理論上のCIRを表す。第1の経路の信号は、最大振幅を有し、第1の経路を使用して、測距手順に関する飛行時間(TOF)が決定される。
【0020】
波形514は、シームレスPACSの環境における反射による実際の受信信号を表す。波形532は、デコンボリューションを使用して構築された推定理論CIRを表し、受信機デバイスが、波形532を使用して、TOF情報を決定する。
【0021】
PACSなどのUWBシステムを実施する際の課題は、受信信号が反射マルチパス成分と直接マルチパス成分の合計であるため、受信信号の合計が環境ごとに固有なものになり得ることである。信号を受信するための回路およびデコンボリューションのためのアルゴリズムは、特定の環境に対して最適化される必要があり得る。しかしながら、UWBシステムを最適化するために時間のかかる設置手順なしに、UWBシステムを直ちに使用できることが望ましい。
【0022】
図6は、UWB対応デバイス(例えば、シームレスPACS)のための試験システム600の図である。試験システム600は、システムによって試験されるUWB受信機デバイス602を収容するためのRF遮蔽容器636(例えば、ボックス)を含む。UWB受信機デバイスは、UWB読取デバイスまたはスマートUWB対応デバイスであり得る。また、試験システム600は、RF遮蔽容器636内に配置されたRFアンテナ638と、UWB送信機デバイス640とを含む。UWB送信機デバイス640は、RFアンテナに動作可能に結合され、かつアンテナを使用してRF遮蔽容器内でUWB信号を送信するように構成される。UWB送信機デバイス640は、UWB信号帯域中で信号を送信するUWB物理層(PHY)を含み得る。他の層は、UWB送信機デバイス640の処理回路内に実装され得る。RF遮蔽容器636は、約2分の1立方メートルのサイズであってもよく、かつ容器内のアンテナによって送信される信号を減衰させるためのRF減衰器を含み得る。
【0023】
本明細書において以前に説明したように、最終使用環境内で送信されるUWB測距信号は、環境内で減衰され、遅延され、時間変動し、場合によっては重複する送信UWB測距信号のバージョンとなり、環境内でUWB受信機デバイスが受信する信号は、反射信号が環境内で取り得る経路が多様であるために、MPCを含むことになる。アンテナを使用して、UWB送信機デバイス640は、UWB受信機デバイスが使用されることになる固有の最終使用環境内でUWB測距信号を送信することによって生じるMPCを表すUWB信号をRF遮蔽容器内で送信する。
【0024】
表示信号(representative signal)を決定するために、電磁界シミュレーションソフトウェアを使用することができる。ソフトウェアを使用して、ユーザは、最終使用環境のモデルを設定し、次いで、モデル環境において1つまたは複数の測距信号を送信することをシミュレートすることができる。送信される1つの測距信号または複数の測距信号は、特定のパルスパターン、特定のプリアンブルを有する無線パケット、または環境内で使用される測距信号に対応するようにスクランブルされたタイムスタンプシーケンスを含む無線パケットのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0025】
図7は、UWB送信機デバイスによって送信されるUWB試験信号が電磁界シミュレーションにより決定されるシミュレーション手法をグラフで示す。モデル環境750は、ソフトウェアを使用して展開され、かつモデル環境内UWB受信機デバイス758の位置を示す。シミュレーション752は、モデル環境内で送信されたUWB測距信号をシミュレートして、環境754に対するCIRを決定する。図7は、シミュレートされたCIR波形756を示す。
【0026】
図8は、シミュレーションの波形を示す。一番上の波形805は、UWB送信信号である。UWB送信信号は、搬送周波数が示されていない無線パケットプリアンブルを含む。真ん中の波形810は、シミュレーションによって決定されたCIRであり、一番下の波形815は、実際の環境内でUWB受信機デバイスが確認することになる信号を表す、試験システムのUWB送信機デバイスによって送信されるべき信号である。
【0027】
被試験UWB受信機デバイスは、UWB受信機デバイスがRF遮蔽容器内にある間に、UWB測距信号に関する測距距離などの測距情報を決定する。いくつかの例では、UWB受信機デバイスは、RF遮蔽容器内で受信したUWB信号のデコンボリューションを実行して、送信UWB信号のチャネルインパルス応答(CIR)を推定し、かつTOF情報を算出する。UWB受信機デバイスがUWB対応PACS読取デバイスである場合、読取デバイスは、通常の動作に従って距離または角度を算出することができ、試験の結果は、読取デバイスの試験ポートにおいて利用可能となり得る。被試験UWB受信機デバイスが、スマートフォン等のスマートUWB対応デバイスである場合、試験アプリケーションまたは試験アプリは、試験を実施するために、スマートUWB対応デバイスにダウンロードされる必要があり得る。
【0028】
試験システムのUWB送信機デバイスによって送信される信号を決定するための別の手法は、測定手法である。この手法では、試験の第1段階は、UWB受信機デバイスが使用される実際の環境で行われる。UWB測距信号などのUWB信号は、第1のアンテナおよびUWB送信機を使用して環境内で送信され得る。第2のアンテナまたは複数のアンテナを使用して、環境内の電磁応答が測定される。送信の結果として測定されたMPCは、試験システムのUWB送信機デバイスによって送信されるべき信号に集合される(aggregated)ことができる。
【0029】
この手法はシミュレーション手法よりも時間がかかるが、測定手法は、シミュレーション手法と同様に、UWB試験信号が生成され、メモリに記憶されるか、または他の方法で記録され得るという結果をもたらす。試験は、生成されたUWB試験信号を使用して、試験システムを使用して複数回実行することができる。生成されたUWB試験は搬送可能であり、異なる試験システムに送信することができる。これは、異なる地理的場所に異なる開発エリアがある場合に有用である。UWB試験信号が生成されると、UWB試験信号は、UWB受信機デバイスに関して異なる開発サイトの他の試験ユニットによって使用することができる。
【0030】
図9は、UWB受信機デバイスを試験する方法900のフロー図である。UWBデバイスは、シームレスPACSに含まれ得る。UWB受信機デバイスは、UWB対応読取デバイスまたは読取デバイス/制御デバイス等のUWB対応デバイスであり得る。いくつかの例では、UWB受信機デバイスは、アクセス制御エリアへの物理的アクセスを得ることを望む人が使用するスマートフォンなどのスマートUWB対応デバイスである。
【0031】
905において、UWB信号が、被試験UWB受信機デバイスを収容したRF遮蔽容器内で送信される。送信信号は、最終使用環境内でUWB測距信号を送信した結果、最終使用環境内でUWB受信機デバイスに対して生じる結果信号のマルチパス成分(MPC)を表す。いくつかの例では、送信信号は、被試験UWB受信機デバイスとは別個のUWBデバイスによって送信されることになるUWB測距信号の反射に起因して最終使用環境内で生じるMPCを表す。RF遮蔽容器内で送信される信号は、シミュレーションまたは事前の測定によって決定され得る。
【0032】
910において、RF遮蔽容器内のUWB受信機デバイスは、RF遮蔽容器内で受信した信号を使用して測距距離を決定する。これにより、UWB測距信号が最終使用環境内で送信されたときに、UWB受信機デバイスが距離を決定する際に何らかの困難を有するかどうかが決定される。
【0033】
本明細書で説明されるデバイス、システム、および方法は、UWB対応デバイスを試験するための再現可能な技法を提供するため、開発が異なる地理的場所の異なるエリアにあり得る場合であっても、UWBデバイスの展開の効率化につながる。UWB対応物理アクセス制御システムに関する例を説明したが、本デバイス、システム、および方法は、他のUWBシステム用途のためのUWBデバイスの展開を効率化するために使用することができる。
【0034】
図10は、本明細書で説明および図示されるデバイスアーキテクチャをサポートするための、UWB対応デバイス1000(例えば、組み込みデバイス)の様々な例示的なコンポーネントの概略ブロック図である。図10のデバイス1000は、例えば、クレデンシャルUWB対応デバイスの所有者の権限、ステータス、権利、および/または特権に対する資格のクレデンシャル情報を認証するUWB対応読取デバイスであり得る。基本レベルでは、読取デバイスは、インタフェース(例えば、1つまたは複数のアンテナおよび集積回路(IC)チップ)を含むことができ、インタフェースは、読取デバイスが、クレデンシャルデバイスまたは読取デバイスなどの別のデバイスとデータを交換することを可能にする。クレデンシャルデバイスの一例は、クレデンシャルデバイスの所有者が読取デバイスによって保護されたセキュアな領域またはアセットにアクセスすることを可能にするデータが格納されたRFIDスマートカードである。
【0035】
特に図10を参照すると、本明細書において説明および図示されるデバイスアーキテクチャをサポートするためのUWB対応デバイス1000の追加の例は、概して、メモリ1002、プロセッサ1004、1つまたは複数のアンテナ1006、通信ポートまたは通信モジュール1008、ネットワークインタフェースデバイス1010、ユーザインタフェース1012、および電源1014または電源供給装置のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0036】
メモリ1002は、処理回路によるアプリケーションプログラミングまたは命令の実行に関連して使用あれ、かつメモリ1002は、プログラム命令または命令セット1016および/またはクレデンシャルデータ、クレデンシャル承認データ、またはアクセス制御データもしくは命令などの承認データ1018、ならびに上述のデバイスアーキテクチャをサポートするために必要とされるかまたは所望とされる任意のデータ、データ構造、および/またはコンピュータ実行可能命令の一時的または長期的な記憶のために使用され得る。例えば、メモリ1002は、デバイス1000の他のコンポーネントを動作させるため、クレデンシャル又は承認データ1018に基づいてアクセス判定を行うため、及び/又は例えば図9の方法などの本明細書に記載された任意の機能又は動作のいずれかを実行するために処理回路のプロセッサ1004によって使用される実行可能命令1016を含むことができる。メモリ1002は、デバイス1000によって、またはデバイス1000に関連して使用するためのデータ、プログラムコード、または命令を含み、記憶し、通信し、または転送することができる任意の媒体であり得るコンピュータ可読媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、または半導体のシステム、装置、またはデバイスとすることができるが、これらに限定されない。適切なコンピュータ可読媒体のより具体的な例は、1つまたは複数のワイヤを有する電気接続、またはポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、ダイナミックRAM(DRAM)、任意のソリッドステートストレージデバイス、一般的なコンパクトディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)、または他の光または磁気ストレージデバイスなどの有形の記憶媒体を含むが、これらに限定されない。コンピュータ可読媒体は、これと混同されるべきではないが、コンピュータ可読媒体の全ての物理的な、非一時的な、または類似の実施形態をカバーすることを意図したコンピュータ可読記憶媒体を含む。
【0037】
プロセッサ1004は、1つまたは複数のコンピュータ処理デバイスまたはリソースに対応することができる。例えば、プロセッサ1004は、シリコンとして、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、任意の他のタイプの集積回路(IC)チップ、ICチップの集合などとして提供され得る。より具体的な例として、プロセッサ1004は、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、または内部メモリ1020および/もしくはメモリ1002に保存された命令セットを実行するように構成された複数のマイクロプロセッサまたはCPUとして提供され得る。
【0038】
アンテナ1006は、1つまたは複数のアンテナに対応することができ、デバイス1000と別のデバイスとの間の無線通信を提供するように構成され得る。1つまたは複数のアンテナ1006は、IEEE802.15.1、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(BLE)、近距離無線通信(NFC:near field communications)、ZigBee(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA、Wi-Fi、RF、UWB等を含むが、これらに限定されない1つまたは複数の無線通信プロトコルおよび動作周波数を使用して動作するために、1つまたは複数の物理(PHY)層1024に結合され得る。一例では、アンテナ1006は、帯域内動作/通信にはUWBを使用し、帯域外(OOB:out-of-band)動作/通信にはBluetooth(例えば、BLE)を使用して動作するために、1つまたは複数の物理層1024に結合された1つまたは複数のアンテナを含み得る。しかしながら、IEEE502.15.1、近距離無線通信(NFC)、ZigBee、GSM、CDMA、Wi-Fiなどの任意のRFIDまたはパーソナルエリアネットワーク(PAN:personal area network)技術が、代替的または追加的に、本明細書において説明されるOOB動作/通信に使用されてもよい。
【0039】
デバイス1000は、通信モジュール1008および/またはネットワークインタフェースデバイス1010をさらに含み得る。通信モジュール1008は、任意の適切な通信プロトコルに従って、デバイス1000に対して遠隔またはローカルの1つまたは複数の異なるシステムまたはデバイスと通信するように構成され得る。ネットワークインタフェースデバイス1010は、いくつかの転送プロトコル(例えば、フレームリレー、インターネットプロトコル(IP)、送信制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)など)のうちのいずれか1つを利用して、通信ネットワークを介して、他のデバイスとの通信を可能にするハードウェアを含む。例示的な通信ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(例えば、インターネット)、携帯電話ネットワーク(例えば、セルラーネットワーク)、一般電話(POTS:Plain Old Telephone)ネットワーク、無線データネットワーク(例えば、Wi-Fi(登録商標)として知られるIEEE802.11規格ファミリー、WiMAX(登録商標)として知られるIEEE802.16規格ファミリー)、IEEE802.15.4規格ファミリー、およびピアツーピア(P2P)ネットワークなどを含むことができる。いくつかの例では、ネットワークインタフェースデバイス1010は、イーサネット(登録商標)ポートまたは他の物理ジャック、Wi-Fiカード、ネットワークインタフェースカード(NIC)、セルラーインタフェース(例えば、アンテナ、フィルタ、および関連する回路)などを含むことができる。いくつかの例では、ネットワークインタフェースデバイス1010は、単一入力複数出力(SIMO:single-input multiple-output)技法、複数入力複数出力(MIMO:multiple-input multiple-output)技法、または複数入力単一出力(MISO:multiple-input single-output)技法のうちの少なくとも1つを使用して無線通信するための複数のアンテナを含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、アンテナ1006、通信モジュール1008、および/またはネットワークインタフェースデバイス1010のうちの1つまたは複数、またはそれらのサブコンポーネントは、単一のモジュールまたはデバイスとして統合されてもよく、それらが単一のモジュールもしくはデバイスであるかのように機能もしくは動作してもよく、またはそれらの間で共有される複数の要素から構成されてもよい。
【0040】
ユーザインタフェース1012は、1つまたは複数の入力デバイスおよび/または表示デバイスを含むことができる。ユーザインタフェース1012に含まれ得る適切なユーザ入力デバイスの例は、1つまたは複数のボタン、キーボード、マウス、タッチセンサ式表面、スタイラス、カメラ、マイクロフォンなどを含むが、これらに限定されない。ユーザインタフェース1012に含まれ得る適切なユーザ出力デバイスの例は、1つまたは複数のLED、LCDパネル、ディスプレイ画面、タッチスクリーン、1つまたは複数のライト、スピーカなどを含むが、これらに限定されない。また、ユーザインタフェース1012は、タッチセンサ式ディスプレイなどのような、組み合わされたユーザ入力およびユーザ出力デバイスを含むことができることを理解されたい。
【0041】
電源1014は、バッテリ、容量性電源、または同様のタイプの電荷蓄積デバイスなどの任意の適切な内部電源とすることができ、かつ/または外部電力をデバイス1000の複数のコンポーネントのための適切な電力に変換(例えば、外部供給AC電力のDC電力への変換)するのに適した1つまたは複数の電力変換回路を含むことができる。
【0042】
また、デバイス1000は、デバイスの様々なハードウェアコンポーネント間で通信を送信するように動作可能な1つまたは複数のインターリンクまたはバス1022を含むことができる。システムバス1022は、いくつかのタイプの市販のバス構造またはバスアーキテクチャのいずれかとすることができる。システムバスは、試験ポート1026に利用可能なTOF情報を提供することが可能であり得る。
【0043】
追加の開示および例
例1は、無線周波数(RF)遮蔽容器であって、被試験UWB受信機デバイスを収容する遮蔽容器と、RF遮蔽容器内に配置されたRFアンテナと、RFアンテナに動作可能に結合され、アンテナを使用してRF遮蔽容器内でUWB信号を送信するように構成されたUWB送信機デバイスとを備える主題(試験システム等)を含み、送信されたUWB信号は、最終使用環境内でUWB測距信号を送信した結果、UWB受信機デバイスの最終使用環境内で生じる結果信号のマルチパス成分(MPC)を表す。
【0044】
例2において、例1の主題は、最終使用環境内で、特定のパルスパターンを含むUWB測距信号を送信していることを表すUWB信号を送信するように構成されたUWB送信機デバイスを任意選択的に含む。
【0045】
例3において、例1および例2の一方または両方の主題は、最終使用環境内で、特定のプリアンブルを有する無線パケットを含むUWB測距信号を送信していることを表すUWB信号を送信するように構成されたUWB送信機デバイスを任意選択的に含む。
【0046】
例4において、例1および例3の一方または両方の主題は、最終使用環境内で、スクランブルされたタイムスタンプシーケンスを含む無線パケットを含むUWB測距信号を送信していることを表すUWB信号を送信するように構成されたUWB送信機デバイスを任意選択的に含む。
【0047】
例5において、例1乃至4の1つまたは任意の組み合わせの主題は、電磁場シミュレーションソフトウェアを使用して生成されたUWB信号を送信するように構成されたUWB送信機デバイスを任意選択的に含む。
【0048】
例6において、例1乃至4のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題は、最終使用環境内でUWB測距信号を送信した結果として生じた測定されたMPCの集合であるUWB信号を送信するように構成されたUWB送信機デバイスを任意選択的に含む。
【0049】
例7において、例1乃至6のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題は、1つまたは複数のRF減衰器を含むRF遮蔽容器を任意選択的に含む。
例8において、例1乃至7のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題は、UWB測距信号に関する測距距離を決定するようにRF遮蔽容器内で動作可能なUWB受信機デバイスを任意選択的に含む。
【0050】
例9において、例8の主題は、RF遮蔽容器内で受信したUWB信号のデコンボリューションを実行して、送信されたUWB信号のチャネルインパルス応答(CIR)を推定し、推定されたCIRを使用して飛行時間情報を決定するように構成されたUWB受信機デバイスを任意選択的に含む。
【0051】
例10は、主題(シームレス物理アクセス制御システムのUWB受信機デバイスを試験する方法等)を含むか、またはそのような主題を含むように例1乃至9のうちの1つまたは任意の組合せと任意選択的に組み合わされ、主題は、UWB受信機デバイスを収容するRF遮蔽容器内でUWB信号を送信するステップであって、容器内で送信されるUWB信号は、最終使用環境内でUWB測距信号を送信した結果、最終使用環境内でUWB受信機デバイスに対して生じる結果信号のマルチパス成分(MPC)を表す、UWB信号を送信するステップと、UWB受信機デバイスが、UWB測距信号に関する測距距離を決定するステップと、を含む。
【0052】
例11において、例10の主題は、UWB受信機デバイスが、受信したUWB信号のデコンボリューションを実行して、送信されたUWB信号のチャネルインパルス応答(CIR)を推定し、推定されたCIRを使用して飛行時間情報を決定することを任意選択的に含む。
【0053】
例12において、例10および11の一方または両方の主題は、最終使用環境内で、特定のパルスパターンを含むUWB測距信号を送信していることを表すUWB信号を送信することを任意選択的に含む。
【0054】
例13において、例10乃至12のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題は、最終使用環境内で、特定のプリアンブルを有する無線パケットを含むUWB測距信号を送信していることを表すUWB信号を送信することを任意選択的に含む。
【0055】
例14において、例10乃至12のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題は、最終使用環境内で、スクランブルされたタイムスタンプシーケンスを含む無線パケットを含むUWB測距信号を送信していることを表すUWB信号を送信することを任意選択的に含む。
【0056】
例15において、例10乃至14のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題は、電磁場シミュレーションソフトウェアを使用して生成されたUWB信号を送信することを任意選択的に含む。
【0057】
例16では、例10乃至14のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題は、第1のアンテナを使用してUWB測距信号を送信するステップと、UWB測距信号を送信した結果として生じた結果信号のMPCを測定するステップと、結果信号のMPCを、RF遮蔽容器内に送信されるUWB信号に集合させるステップとを任意選択的に含む。
【0058】
例17において、例10乃至16のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題は、UWB受信機デバイスがUWB対応読取デバイスであることを任意選択的に含む。
例18は、命令を含むコンピュータ可読記憶媒体等の主題を含み(またはそのような主題を含むように例1乃至17のうちの1つまたは任意の組合せと任意選択的に組み合わされ)、命令は、超広帯域(UWB)デバイス試験ユニットの処理回路による実行時に、試験ユニットに、UWBデバイスを収容するRF遮蔽容器内にUWB信号を送信するステップであって、容器内で送信されるUWB信号は、最終使用環境内でUWB測距信号を送信した結果、最終使用環境内でUWBデバイスに対して生じる結果信号のマルチパス成分(MPC)を表す、UWB信号を送信するステップと、UWB測距信号に関するUWBデバイスからの測距距離を受信するステップとを含む動作を実行させる。
【0059】
例19において、例18の主題は、試験ユニットに、最終使用環境内で、特定の同期パターンを含むUWB測距信号を送信していることを表すUWB信号を送信することを含む動作を実行させる命令を任意選択的に含む。
【0060】
例20において、例18および19の一方または両方の主題は、試験ユニットに、最終使用環境内で、スクランブルされたタイムスタンプシーケンスを含む無線パケットを含むUWB測距信号を送信していることを表すUWB信号を送信することを含む動作を実行させる命令を任意選択的に含む。
【0061】
上記の例は、任意の置換または組み合わせで組み合わせることができる。上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を構成する添付図面への参照を含む。図面は、例示を目的として、本発明を実施することができる特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「実施例」とも呼ばれる。本明細書において参照される全ての刊行物、特許、および特許文献は、参照により個々に組み込まれるかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書と、参照により本明細書に援用されるこれらの文献との間に矛盾する使用法がある場合、援用される1つまたは複数の参照の使用法は、本明細書の使用法を補足するものと見なされるべきであり、調整不可能な不一致については、本明細書の使用法を優先する。
【0062】
本明細書において、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、特許文献において一般的であるように、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」の任意のその他の例または使用法とは独立的に、1つまたは複数を含むものとして使用されている。本明細書においては、「または」という用語は、別段の指示がない限り、非排他的なものを意味するように、或いは、「AまたはB」は、「AではなくB」、「BではなくA」、および「AおよびB」を含むように使用されている。本明細書では、用語「含む(including)」および「この場合に(in which)」は、「備える(comprising)」および「ここで(wherein)」というそれぞれの用語の平易な英語の等価物として使用されている。また、添付の特許請求の範囲において、「含む(including)」および「備える(comprising)」という用語は、オープンエンド型であり、即ち、特許請求の範囲におけるこれらの用語の後に列挙される要素に加えて要素を含むシステム、装置、物品、組成物、製剤、またはプロセスが、依然としてその特許請求の範囲内に含まれるものと見なされる。さらに、添付の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は、単にラベルとして使用されており、それらの対象に対して数値的要件を課すことを意図していない。
【0063】
上記の説明は、例示なものであって、限定的なものではない。例えば、上述した例(又は、その1つまたは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。例えば、上記の説明を検討した当業者によって他の実施形態が使用され得る。要約書は、読者が技術的開示の内容を迅速に確認することを可能にする目的で提供されている。要約書は、特許請求の範囲または意味を解釈または限定する目的で使用されないという理解の下で提供されている。上記の詳細な説明では、様々な特徴が本開示を簡素化するために共にグループ化され得る。これは、特許請求されていない開示された特徴が任意の請求項に必須であることを意図するものとして解釈されるべきではない。むしろ、主題は、特定の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴に存在し得る。従って、添付の特許請求の範囲は、各請求項が別個の実施形態として独立している状態で、本明細書の詳細な説明に組み込まれ、そのような実施形態は、様々な組合せまたは置換において互いに組み合わせることができることが企図される。本範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲とともに決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4A-4B】
図5
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図7
図8
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図10