(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】メモリデバイス
(51)【国際特許分類】
G11C 16/08 20060101AFI20240327BHJP
G11C 16/24 20060101ALI20240327BHJP
G11C 16/34 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
G11C16/08 130
G11C16/08 123
G11C16/24 100
G11C16/34 103
G11C16/34 140
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023004761
(22)【出願日】2023-01-17
【審査請求日】2023-01-17
(32)【優先日】2022-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599129074
【氏名又は名称】旺宏電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】葉 騰豪
(72)【発明者】
【氏名】呂 函庭
(72)【発明者】
【氏名】徐 子軒
(72)【発明者】
【氏名】陳 振桓
(72)【発明者】
【氏名】陳 耕暉
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-146521(JP,A)
【文献】特開平11-176180(JP,A)
【文献】特開2007-102923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/08
G11C 16/24
G11C 16/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセル・ブロックと、
ワード線ドライバと、
複数のビット線スイッチとを具えたメモリデバイスであって、
前記ワード線ドライバは複数の相補型トランジスタ対を有し、それぞれの前記相補型トランジスタ対は、複数のワード線信号のそれぞれを、前記メモリセル・ブロックの複数のワード線のそれぞれに対して発生し、前記相補型トランジスタ対の各々の第1トランジスタの基板及び第2トランジスタの基板が、それぞれ第1電圧及び第2電圧を受け、
前記複数のビット線スイッチのそれぞれが、前記メモリセル・ブロックの複数のビット線のそれぞれに結合され、前記ビット線スイッチの各々が第3トランジスタを具え、該第3トランジスタの基板が第3電圧を受け、
前記第1電圧、前記第2電圧、及び前記第3電圧は、前記メモリセル・ブロックが実行するソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作中に、一定の静的電圧であるように維持されるメモリデバイス。
【請求項2】
複数のソース線スイッチを具え、該複数のソース線スイッチのそれぞれが、前記メモリセル・ブロックの複数のソース線のそれぞれに結合され、前記ビット線スイッチの各々が第4トランジスタを具え、該第4トランジスタの基板が第4電圧を受け、該第4電圧は、前記メモリセル・ブロックが実行する前記ソフトプログラム動作及び前記ソフトプログラム検証動作中に、一定の静的電圧であるように維持される、請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項3】
前記相補型トランジスタ対の各々において、前記第1トランジスタの第1端子がプログラム電圧を受け、前記第1トランジスタの第2端子が、前記第2トランジスタの第1端子、及び対応する前記ワード線に結合され、前記第2トランジスタの第2端子が基準接地電圧を受け、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタが制御信号によって制御される、請求項1または2に記載のメモリデバイス。
【請求項4】
選択された前記ワード線に対応する前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとが、前記ソフトプログラム動作中に、前記制御信号により交互にオン状態及びオフ状態にされて、前記ワード線信号をパルス信号として前記選択されたワード線に供給する、請求項3に記載のメモリデバイス。
【請求項5】
アドレスデコーダを更に具え、該アドレスデコーダは、前記ワード線ドライバに結合されて前記制御信号を発生する、請求項3に記載のメモリデバイス。
【請求項6】
前記第1トランジスタの基板が第1ウェル領域内に形成され、前記第2トランジスタの基板が第2ウェル領域内に形成され、前記第1ウェル領域と前記第2ウェル領域とが相補的な導電極性を有する、請求項1または2に記載のメモリデバイス。
【請求項7】
前記第1ウェル領域が基板内に形成され、前記第2ウェル領域が前記第1ウェル領域内に形成されている、請求項6に記載のメモリデバイス。
【請求項8】
前記第3トランジスタの基板が第3ウェル領域内に形成され、該第3ウェル領域が前記第2ウェル領域の導電極性と同じ導電極性を有し、前記第3ウェル領域が基板内に形成されている、請求項
6に記載のメモリデバイス。
【請求項9】
前記ビット線スイッチに結合された共通ビット線に結合されたセンシング増幅器と、
前記センシング増幅器の出力端子に結合された入力/出力回路と、
前記入力/出力回路と前記共通ビット線との間に結合されたページバッファと
を更に具えている、請求項1または2に記載のメモリデバイス。
【請求項10】
前記ページバッファが、デジタル値を記憶し、該デジタル値を増幅してバイアス電圧を発生し、該バイアス電圧を前記共通ビット線へ送信するように構成され、前記メモリデバイスが、選択されたメモリセルにおける前記ソフトプログラム動作を実行すべきか否かを、前記バイアス電圧に応じて決定し、前記選択されたメモリセルに対応する前記ソース線スイッチをオフ状態にし、前記選択されたメモリセルに対応する前記ビット線スイッチの各々をオン状態にする、請求項9に記載のメモリデバイス。
【請求項11】
前記選択されたメモリセルに対応する前記ソース線スイッチ、及び前記選択されたメモリセルに対応する前記ビット線スイッチの各々をオン状態にして、前記選択されたメモリセルが、前記ソフトプログラム検証動作中に、前記センシング増幅器にセンシング電流を供給する、請求項10に記載のメモリデバイス。
【請求項12】
前記センシング増幅器が、前記ソフトプログラム検証動作が合格であるものと判定した際に、前記センシング増幅器が、前記入力/出力回路を通して、前記ページバッファ内の前記デジタル値を書き換える、請求項11に記載のメモリデバイス。
【請求項13】
前記ページバッファが、
前記デジタル値を記憶するラッチと、
前記ラッチ及び前記共通ビット線に結合されて、前記デジタル値を増幅して、前記ラッチの出力電圧をシフトすることによって前記バイアス電圧を発生するレベルシフタとを具えている、請求項10に記載のメモリデバイス。
【請求項14】
前記入力/出力回路がパッドに結合され、前記入力/出力回路が、
前記センシング増幅器の出力端子と前記パッドとの間に結合された出力バッファと、
前記パッドと前記ページバッファとの間に結合された入力バッファと
を具えている、請求項10に記載のメモリデバイス。
【請求項15】
前記ソフトプログラム動作中に、前記ワード線ドライバが、選択されたメモリセルに対応する前記ワード線信号の各々の電圧を徐々に増加させる、請求項1または2に記載のメモリデバイス。
【請求項16】
前記メモリセル・ブロックが、三次元的に積層された複数のANDフラッシュメモリセルを具え、あるいは三次元的に積層された複数のNORメモリセルを具えている、請求項1または2に記載のメモリデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメモリデバイスに関するものである。特に、本発明はソフトプログラム動作を加速することができるメモリデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
一般に、三次元メモリデバイス内の第1段階デコーダ回路では、トランジスタの基板どうしが大面積のウェル領域を共用するので、多数の寄生容量がウェル領域とウェハーの基板との間に発生する。これらの寄生回路については、メモリデバイスが実行するソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作中に、個別の動作が必要とする異なる電圧用に、トランジスタの基板上の電圧における切り換え動作を交互に実行する必要がある。これらの電圧切り換え動作に基づいて、メモリデバイスのソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作は、トランジスタの基板上の電圧における追加的な整定時間を必要とする。従って、メモリデバイスのソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作の時間が長引いて、メモリデバイスの動作効率を低下させる。更に、これらの寄生回路の反復的な充電及び放電は、無用な電力消費も生じさせて、メモリデバイスの動作効率を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、三次元AND(アンド:論理積)メモリデバイスのようなメモリデバイスを提供し、このメモリデバイスはソフトプログラム動作を実行する速度を増加させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の好適例のメモリデバイスは、メモリセル・ブロックと、ワード線ドライバ(駆動回路)と、複数のビット線スイッチとを含む。ワード線ドライバは複数の相補型トランジスタ対を有し、それぞれの相補型トランジスタ対は、複数のワード線信号のそれぞれを、メモリセル・ブロックの複数のワード線のそれぞれに対して発生する。相補型トランジスタ対の各々の第1トランジスタの基板及び第2トランジスタの基板は、それぞれ第1電圧及び第2電圧を受ける。複数のビット線スイッチのそれぞれは、メモリセル・ブロックの複数のビット線のそれぞれに結合されている。ビット線スイッチの各々が第3トランジスタを含む。第3トランジスタの基板は第3電圧を受ける。第1電圧、第2電圧、及び第3電圧は、メモリセル・ブロックが実行するソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作中に、一定の静的電圧であるように維持される。
【発明の効果】
【0005】
以上に基づけば、本発明の好適例のメモリデバイスでは、ワード線ドライバ内のトランジスタの基板及びビット線スイッチ内のトランジスタの基板が受ける電圧が、ソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作中に一定の静的電圧であるように維持される。その結果、ソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作中に、ワード線ドライバ内のトランジスタ及びビット線スイッチ内のトランジスタが、その基板電圧を反復的にスイッチングする(切り換える)ために必要な電圧整定時間を省略することができ、このことは、ソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作を実行する速度を効果的に増加させることができる。
【0006】
以上のことをより理解し易くするために、図面を伴ういくつかの実施形態を以下に詳細に説明する。
【0007】
添付した図面は、本発明の更なる理解をもたらすために含め、本明細書に含まれ本明細書の一部を構成する。これらの図面は、本発明の好適な実施形態を例示し、その説明と共に本発明の原理を説明する役目を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態によるメモリデバイスの概略図である。
【
図2】
図2A及び
図2Bは、本発明の一実施形態によるメモリデバイスのソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作の実現の概略図である。
【
図3】
図3A及び
図3Bは、本発明の他の実施形態によるメモリデバイスのソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作の実現の概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるメモリデバイス内のワード線ドライバの概略断面構造図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるメモリデバイス内のビット線スイッチまたはソース線スイッチの概略断面構造図である。
【
図6】
図6A~
図6Eは、本発明の一実施形態によるメモリデバイスのソフトプログラム動作の概略回路動作図である。
【
図7】本発明の一実施形態による、ソフトプログラム動作を実行するメモリデバイス内の複数のメモリセルを例示する概略図である。
【
図8】
図8A~
図8Cは、本発明の一実施形態によるメモリデバイスの消去プロセス中にソフトプログラム動作を実行するメモリセルのクリティカル電圧分布の変化を例示する概略図である。
【
図9】本発明の一実施形態によるメモリデバイスのメモリセルの概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の説明
図1を参照すれば、
図1は本発明の一実施形態によるメモリデバイスの概略図である。メモリデバイス100は、メモリセル・ブロック110と、ワード線ドライバ120と、複数のビット線スイッチBLT1~BLT3と、複数のソース線スイッチSLT1~SLT3とを含む。ワード線ドライバ120は、メモリセル・ブロック110上のワード線WLに結合されている。ワード線ドライバ120は、複数のトランジスタMP11~MP13及びMN11~MN13を含む。トランジスタMP11~MP13はP型トランジスタであり、トランジスタMN11~MN13はN型トランジスタである。トランジスタMP11~MP13とトランジスタMN11~MN13とが、複数の相補型トランジスタ対のそれぞれを形成し、これらのトランジスタ対は、それぞれ制御信号CT1~CT3によって制御される。
【0010】
本実施形態では、トランジスタMP11~MP13の基板をN型ウェル領域NW1によって形成することができ、トランジスタMN11~MN13の基板をP型ウェル領域PWI1によって形成することができる。トランジスタMP11~MP13の基板は同じ第1電圧V1を受け、トランジスタMN11~MN13の基板は同じ第2電圧V2を受ける。
【0011】
それに加えて、トランジスタMP11~MP13の第1端子は電圧Vppを受けることができ、トランジスタMP11~MP13の第2端子は、それぞれトランジスタMN11~MN13の第1端子に結合され、かつ対応するワード線(例えば、ワード線WL)に結合され、トランジスタMN11~MN13の第2端子は、基準接地電圧Vss(例えば、0ボルトに等しい)を受けることができる。
【0012】
それに加えて、ビット線スイッチBLT1~BLT3の複数の第1端子は、それぞれ、メモリセル・ブロック110上の複数のビット線LBL1~LBL3に結合されている。ビット線スイッチBLT1~BLT3の複数の第2端子は、いずれも共通ビット線GBLに結合されている。ソース線スイッチSLT1~SLT3の複数の第1端子は、それぞれ、メモリセル・ブロック110上の複数のソース線LSL1~LSL3に結合されている。ソース線スイッチSLT1~SLT3の複数の第2端子は、いずれも共通ソース線CSLに結合されている。本実施形態では、ビット線スイッチBLT1~BLT3が、それぞれトランジスタMN21~MN23で構成され、トランジスタMN21~MN23はP型ウェル領域PWI2によって形成される。ソース線スイッチSLT1~SLT3は、それぞれトランジスタMN31~MN33で構成され、トランジスタMN31~MN33の基板はP型ウェル領域PWI3によって形成される。
【0013】
トランジスタMN21~MN23の基板は、P型ウェル領域PWI2に印加される電圧V3を受け、トランジスタMN31~MN33の基板は、P型ウェル領域PWI3に印加される電圧V4を受ける。
【0014】
本実施形態では、メモリデバイス100が実行するソフトプログラム動作(SPGM:soft program)及びソフトプログラム検証動作(SPV:soft program verification)中に、トランジスタMP11~MP13の基板、トランジスタMN11~MN13の基板、トランジスタMN21~MN23の基板、及びトランジスタMN31~MN33の基板が受ける、それぞれ電圧V1、V2、V3、及びV4が一定の電圧に維持され、静的電圧の状態にある。
【0015】
トランジスタMP11~MP13、トランジスタMN11~MN13、トランジスタMN21~MN23、及びトランジスタMN31~MN33の構造中に、いくつかの寄生容量が、当該トランジスタの基板と隣接する半導体材料との間に存在することは、注目に値する。従って、メモリデバイス100が実行するソフトプログラム動作及び後続するソフトプログラム検証動作中に、トランジスタMP11~MP13、トランジスタMN11~MN13、トランジスタMN21~MN23、及びトランジスタMN31~MN33が受ける電圧V1~V4を一定の静的電圧にすることによって、基板電圧の電圧値を切り換えるために必要な追加的な電圧整定時間を低減することができる。その結果、本実施形態のメモリデバイス100は、ソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作の動作速度を増加させることができ、動作効率を向上させることができる。
【0016】
ちなみに、本実施形態では、メモリセル・ブロック110が複数のメモリセルMCを含む。メモリセルMCは、ANDフラッシュメモリセルまたはNOR(ノア:否定論理和)フラッシュメモリセルとすることができ、三次元積層化によって構成することができる。
【0017】
ちなみに、本実施形態では、
図1に示すビット線スイッチBLT1~BLT3の数及びソース線スイッチSLT1~SLT3の数は、説明の便宜の役目を果たすに過ぎない。実際の回路では、単一のメモリセル・ブロックに対応するビット線スイッチの数及びソース線スイッチの数は、設計者が決定することができ、具体的に限定されない。
【0018】
次に、
図2A及び
図2Bを参照すれば、
図2A及び
図2Bは、本発明の一実施形態によるメモリデバイスのソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作の実現の概略図である。
図1の実施形態に対応する
図2Aでは、メモリデバイス100が実行する第1の種類のソフトプログラム動作(例えば、選択されたメモリセルSMCに軽微なプログラム動作を実行させる)中に、ワード線ドライバ120が、制御信号CT3により、トランジスタMP13をオン状態にし、トランジスタMN13をオフ状態にすることができ、ワード線ドライバ120は、選択されたメモリセルSMCに対応するワード線WLに(この時点で、例えば5ボルト(V)のプログラム電圧である)電圧Vppを供給することができる。この時点で、トランジスタMP13の基板が受ける電圧V1は例えば6.5Vに等しく、トランジスタMN13の基板が受ける電圧V2は例えば0Vに等しい。
【0019】
それに加えて、選択されたメモリセルSMCに対応するビット線スイッチBLT2を、制御信号BLTGによりオン状態にすることができる。この時点で、制御信号BLTGは例えば6Vに等しく、ビット線スイッチBLT2を形成するトランジスタMN22の基板が受ける電圧V3は例えば-5Vに等しい。更に、共通ビット線GBL上の電圧は例えば-5Vである。
【0020】
同様に
図1の実施形態に対応する
図2Bでは、メモリデバイス100が実行するソフトプログラム検証動作中に、ワード線ドライバ120が、制御信号CT3により、トランジスタMP13をオン状態にし、トランジスタMN13をオフ状態にすることができ、ワード線ドライバ120は、(この時点で、例えば6.5Vの検証電圧である)電圧Vppを、選択されたメモリセルSMCに対応するワード線WLに供給することができる。この時点で、トランジスタMP13の基板が受ける電圧V1は例えば6.5Vに等しく、トランジスタMN13の基板が受ける電圧V2は例えば0Vに等しい。
【0021】
それに加えて、選択されたメモリセルSMCに対応するビット線スイッチBLT2を、制御信号BLTGによりオン状態にすることができる。この時点で、制御信号BLTGは例えば6Vに等しく、ビット線スイッチBLT2を形成するトランジスタMN22の基板が受ける電圧V3は例えば-5Vに等しい。更に、共通ビット線GBL上の電圧は例えば1.8Vである。
【0022】
上記の説明から知ることができるように、
図2A及び
図2Bでは、メモリデバイス100が実行するソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作中に、トランジスタMN13、MP13、及びMN22の基板が受ける電圧V1、V2、及びV3が、不変のままである静的電圧である。その結果、メモリデバイス100が実行するソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作中に、基板電圧の安定化を待つための追加的時間を必要とせず、動作速度を増加させる。
【0023】
次に、
図3A及び
図3Bを参照すれば、
図3A及び
図3Bは、本発明の他の実施形態によるメモリデバイスのソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作の実現の概略図である。
図3Aでは、
図1の実施形態に対応して、メモリデバイス100が実行する第2の種類のソフトプログラム動作(例えば、選択されたメモリセルSMCに比較的重いプログラム動作を実行させる)中に、ワード線ドライバ120が、制御信号CT3により、トランジスタMP13をオン状態にし、トランジスタMN13をオフ状態にすることができ、ワード線ドライバ120は(この時点でプログラム電圧である)電圧Vppを、選択されたメモリセルSMCに対応するワード線WLに供給することができる。本実施形態では、メモリデバイス100が、インクリメンタル(増分、増加型)ステップ・パルス・プログラミング(ISPP:incremental step pulse programming)によるソフトプログラミング動作を実行することができ、プログラム電圧としての電圧Vppを7Vから12Vまでインクリメント(漸増、段階的増加)することができる。
【0024】
この時点で、トランジスタMP13の基板が受ける電圧は例えば12Vに等しく、トランジスタMN13の基板が受ける電圧は例えば0Vに等しい。
【0025】
それに加えて、選択されたメモリセルSMCに対応するビット線スイッチBLT2を、制御信号BLTGによりオン状態にすることができる。この時点で、制御信号BLTGは例えば6Vに等しく、ビット線スイッチBLT2を形成するトランジスタMN22の基板が受ける電圧V3は例えば-7Vに等しい。更に、共通ビット線GBL上の電圧は例えば-7Vである。
【0026】
図3Bでは、同様に
図1の実施形態に対応して、メモリデバイス100が実行するソフトプログラム検証動作中に、ワード線ドライバ120が、制御信号CT3により、トランジスタMP13をオン状態にし、トランジスタMN13をオフ状態にすることができ、ワード線ドライバ120は(この時点で例えば6.5Vの検証電圧である)電圧Vppを、選択されたメモリセルSMCに対応するワード線WLに供給することができる。この時点で、トランジスタMP13の基板が受ける電圧V1は例えば12Vに等しく、トランジスタMN13の基板が受ける電圧V2は例えば0Vに等しい。
【0027】
それに加えて、選択されたメモリセルSMCに対応するビット線スイッチBLT2を、制御信号BLTGによりオン状態にすることができる。この時点で、制御信号BLTGは例えば6Vに等しく、トランジスタMN22の基板が受ける電圧V3は例えば-7Vに等しい。更に、共通ビット線GBL上の電圧は例えば1.8Vである。
【0028】
上記の説明から知ることができるように、
図3A及び
図3Bでは、
図2A及び
図2Bの実施形態と同様に、メモリデバイス100が実行するソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作中に、トランジスタMN13、MP13、及びMN22の基板が受ける電圧V1、V2、及びV3は、不変のままである静的電圧である。その結果、メモリデバイス100が実行するソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作中に、基板電圧の安定化を待つための追加的時間を必要とせず、動作速度を増加させる。
【0029】
本発明の実施形態では、メモリデバイスが実行する通常のデータ読出し動作中に、
図3Bに示すソフトプログラム検証動作とは異なり、トランジスタMP13の基板が例えば6.5Vの電圧を受けることができ、ビット線スイッチBLT2を形成するトランジスタMN22の基板が例えば0Vの電圧を受けることができることは、言及に値する。ワード線ドライバ120は、共通ビット線GBL上の電圧が1.8Vである状況下で、例えば6.5Vのワード線信号を供給することによって、選択されたメモリセルSMCの通常のデータ読出し動作を実行することができる。
【0030】
次に、
図4を参照すれば、
図4は、本発明の一実施形態によるメモリデバイス内のワード線ドライバの概略断面構造図である。
図4は、ワード線ドライバ内の相補型トランジスタ対の断面構造図である。このワード線ドライバは集積回路400上に配置されている。集積回路400は、基板410と、ウェル領域420及び430と、P型高濃度ドープ領域(p+)441~444と、N型高濃度ドープ領域(n+)451~454と、ゲート構造GS1及びGS2とを有する。ウェル領域420は基板410上に形成されている。ウェル領域430はウェル領域420上に形成されている。P型高濃度ドープ領域(p+)441と442、及びN型高濃度ドープ領域(n+)451と452は、ウェル領域420内に形成されている。P型高濃度ドープ領域(p+)443と444、及びN型高濃度ドープ領域(n+)453と454は、ウェル領域430内に形成されている。ゲート構造GS1が、ウェル領域420を覆い、P型高濃度領域(p+)441と442との間の領域上に配置されている。ゲート構造GS1、P型高濃度ドープ領域(p+)441と442、N型高濃度ドープ領域(n+)451と452、及びウェル領域420が、トランジスタMPxを形成する。ゲート構造GS2が、ウェル領域430を覆い、N型高濃度ドープ領域(n+)453と454との間の領域上に配置されている。ゲート構造GS2、N型高濃度ドープ領域(n+)453と454、P型高濃度ドープ領域(p+)443と444、及びウェル領域430が、トランジスタMNxを形成する。
【0031】
本実施形態では、N型高濃度ドープ領域(n+)451と452を互いに結合して電位ピックアップ(取得)点を形成することができ、これによりウェル領域420が電圧V1を受けることができる。ウェル領域420はトランジスタMPxの基板として機能することができる。それに加えて、P型高濃度領域(p+)443と444を互いに結合して電位ピックアップ点を形成することができ、これによりウェル領域430が電圧V2を受けることができる。ウェル領域430はトランジスタMNxの基板として機能することができる。
【0032】
本実施形態におけるトランジスタMPxは、
図1の実施形態におけるトランジスタMP11~MP13のいずれをも実現するように構成することができ、トランジスタMNxは、
図1の実施形態におけるトランジスタMN11~MN13のいずれをも実現するように構成することができる。
【0033】
ちなみに、集積回路400内では、寄生容量C1がウェル領域420と基板410との間に存在し得るし、寄生容量C2がウェル領域420とウェル領域430との間に存在し得る。本実施形態では、メモリデバイスが実行するソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作中に、ウェル領域420及び430が受ける電圧V1及びV2を一定の静的電圧にすることによって、容量C1及びC2における充電及び放電を防止することができ、このことは、無用な電力消費を低減するだけでなく、ソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作を実行する速度も効果的に増加させて、メモリデバイスの動作効率を向上させる。
【0034】
ちなみに、本実施形態では、基板410がP型基板であり、ウェル領域420及び430が、相補的な導電極性を有するそれぞれN型ウェル領域及びP型ウェル領域である。
【0035】
次に、
図5を参照すれば、
図5は、本発明の一実施形態によるメモリデバイス内のビット線スイッチまたはソース線スイッチの概略断面構造図である。
図5に示す構造は、ビット線スイッチまたはソース線スイッチを実現するように構成することができる。このビット線スイッチまたはソース線スイッチは、集積回路500内に配置することができる。集積回路500は、基板510と、ウェル領域520及び530と、N型高濃度ドープ領域(n+)541、542、及び543と、P型高濃度ドープ領域(p+)551及び552と、ゲート構造GS3とを含む。ウェル領域520は基板510上に形成されている。ウェル領域530はウェル領域520上に形成されている。基板510はP型基板とすることができる。ウェル領域530とウェル領域520とは相補的な導電極性を有する。ウェル領域530はP型ウェル領域とすることができる。ウェル領域520はN型ウェル領域とすることができる。
【0036】
N型高濃度ドープ領域(n+)541はウェル領域520内に形成することができる。N型高濃度ドープ領域542及び543はウェル領域530内に形成することができる。P型高濃度ドープ領域(p+)551及び552は、ウェル領域530内に形成することができ、N型高濃度ドープ領域(n+)542及び543の両側に配置することができる。ゲート構造GS3が、ウェル領域530を覆い、N型高濃度ドープ領域(n+)542と543との間に配置されている。
【0037】
ここでは、ゲート構造GS3、N型高濃度領域(n+)542と543、P型高濃度ドープ領域(p+)551と552、及びウェル領域530が、ビット線スイッチまたはソース線スイッチを構成するためのトランジスタを形成することができる。
【0038】
P型高濃度ドープ領域(p+)551と552を互いに結合して電位ピックアップ点を形成することができ、これによりウェル領域530が電圧V3またはV4を受けることができることは、注目に値する。ウェル領域530は、ビット線スイッチまたはソース線スイッチを実現するトランジスタの基板を形成することができる。
【0039】
ちなみに、集積回路500内では、ウェル領域520とウェル領域530との間に寄生容量C3が存在し得る。本実施形態では、メモリデバイスが実行するソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作中に、ウェル領域530が受ける電圧V3またはV4を一定の静的電圧にすることによって、容量C3における充電及び放電を防止することができ、このことは、無用な電力消費を低減するだけでなく、ソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作を実行する速度も効果的に増加させて、メモリデバイスの動作効率を向上させる。
【0040】
図6A~
図6Eを参照すれば、
図6A~
図6Eは、本発明の一実施形態によるメモリデバイスのソフトプログラム動作の概略回路動作図である。メモリデバイス600は、メモリセル・ブロック610と、ビット線ドライバ620と、ビット線スイッチBLT1~BLT3と、ソース線スイッチSLT1~SLT3と、センシング増幅器SAと、ページバッファPBと、入力/出力回路630と、アドレスデコーダCDEC1、CDEC2、及びRDECとを含む。ソース線スイッチSLT1~SLT3は、共通ソース線CSLとメモリセル・ブロック610との間に結合されている。ビット線スイッチBLT1~BLT3は、メモリセル・ブロック610と共通ビット線GBLとの間に結合されている。
【0041】
図6Aでは、メモリデバイス600がまずデジタル値の書込み動作を実行することができる。(論理値1である)このデジタル値は、パッドPDを通して受信して、入力/出力回路630内の入力バッファIBFを通してページバッファPBへ送信することができる。ページバッファPBは、ラッチLAT及びレベルシフタLSを含む。入力バッファIBFから送信されたデジタル値は、ラッチLAT内に記憶することができる。この時点では、入力/出力回路630内の出力バッファOBFとセンシング増幅器SAとの間の結合経路がカットオフ(遮断)されている。
【0042】
この時点で、共通ビット線GBLと、センシング増幅器SA及びページバッファとの間に結合されたスイッチSWA1及びSWA2がオフ状態にされている。それに加えて、アドレスデコーダCDEC1が、信号を供給して、ソース線スイッチSLT1及びSLT3をオン状態にし、ソース線スイッチSLT2をオフ状態にする。アドレスデコーダCDEC2は、信号を供給して、ビット線スイッチBLT2をオン状態にし、ビット線スイッチBLT1及びBLT3をオフ状態にする。ワード線ドライバ620では、アドレスデコーダRDECが制御信号CT3を供給して、トランジスタMP13をオン状態にし、トランジスタMN13をオフ状態にする。ワード線ドライバ620が、(例えば、7Vである)電圧Vppに等しいワード線信号を、ワード線WLに供給することができる。共通ソース線CSLは例えば2Vである。その結果、メモリセルMC1及びMC2を抑止することができる。
【0043】
図6Bでは、メモリデバイス600が、ソフトプログラム動作を実行すべきか否かを決定することができる。この時点で、アドレスデコーダCDEC1が信号を供給して、ソース線スイッチSLT1及びSLT3をオン状態にし、ソース線スイッチSLT2をオフ状態にする。アドレスデコーダCDEC2は、信号を供給して、ビットスイッチBLT2をオン状態にし、ビット線スイッチBLT1及びBLT3をオフ状態にする。ワード線ドライバ620が、(例えば、7Vのプログラム電圧である)電圧Vppに等しいワード線信号を、ワード線WLに供給することができる。これに対応して、メモリセルMC1及びMC2が抑止され、メモリセルMC3が上記選択されたメモリセルとなる。
【0044】
それに加えて、スイッチSWA2がこの時点でオン状態にされ、共通ビット線GBLを、スイッチSWA2を通してページバッファPBに結合することができる。ページバッファPB内では、ラッチLATに記憶されているデジタル値とは逆のデジタル値(例えば、論理値1)の電圧をシフトさせることによって、レベルシフタLSがこのデジタル値を増幅してバイアス電圧を発生し、このバイアス電圧を共通ビット線GBLに供給することができる。本実施形態では、ページバッファPBが、例えば-7Vのバイアス電圧を共通ビット線GBLに供給する。その結果、選択されたメモリセルとしてのメモリセルMC3がソフトプログラム動作を実行することができる。
【0045】
本実施形態では、メモリデバイス600内の選択されたメモリセルがソフトプログラム動作を実行するか否かを、共通ビット線GBL上の電圧に応じて決定することができることは、注目に値する。ページバッファPB内のラッチLATに記憶されているデジタル値が論理値0である場合、レベルシフタLSは、論理値1のデジタル値に応じた例えば2Vに等しいバイアス電圧を発生して、このバイアス電圧を共通ビット線GBLに供給することができる。その結果、メモリセルMC3が抑止され、メモリセルMC3についてのソフトプログラム動作は実行されない。
【0046】
図6Cでは、ソフトプログラム動作が完了した後に、メモリデバイス600はソフトプログラム検証動作を実行することができる。ソフトプログラム検証動作中には、スイッチSWA1がオン状態にされ(スイッチSWA2はオフ状態にされ)、センシング増幅器SAを共通ビット線GBLに結合することができる。その間に、アドレスデコーダCDEC1が信号を供給して、ソース線スイッチSLT2をオン状態にし、ソース線スイッチSLT1及びSLT3をオフ状態にする。アドレスデコーダCDEC2は信号を供給して、ビット線スイッチBLT2をオン状態にし、ビット線スイッチBLT1及びBLT3をオフ状態にする。ワード線ドライバ620が、(例えば6.5Vの読出し電圧である)電圧Vppに等しいワード線信号を、ワード線WLに供給することができる。これに対応して、メモリセルMC3が上記選択されたメモリセルとなる。
【0047】
メモリセルMC3は、センシング電流を、共通ビット線GBLを通してセンシング増幅器SAに供給することができる。センシング増幅器SAは、メモリセルMC3が供給するセンシング電流を、所定の基準電流と比較して、センシング結果を発生することができる。センシング増幅器SAは、センシング結果を一時的にラッチLAT1に記憶することができる。
【0048】
本実施形態では、メモリセルMC3のクリティカル電圧がターゲット値未満である際に、メモリセルMC3が供給するセンシング電流が、センシング増幅器SA上の基準電圧よりも大きくなり得る。これによりセンシング増幅器SAは論理値0に等しいセンシング結果を発生する。これに対応して、メモリセルMC3のクリティカル電圧がターゲット値以上である際には、メモリセルMC3が供給するセンシング電流が基準電流以下になり得る。これにより、センシング増幅器SAは論理値1に等しいセンシング結果を発生する。ここで、論理値0に等しいセンシング結果は、メモリセルMC3におけるソフトプログラム動作が完了していないことを示し、論理値1に等しいセンシング結果は、メモリセルMC3におけるソフトプログラム動作が完了していることを示す。
【0049】
図6B及び
図6Cのソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作中に、ワード線ドライバ620の基板、ビット線スイッチBLT1~BLT3の基板、及びソース線スイッチSLT1~SLT3の基板が受ける電圧が一定の静的電圧であることは、言及に値する。
【0050】
更に、
図6B及び
図6Cのソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作中に、アドレスデコーダCDEC1、CDEC2、及びRDEC、及び対応するドライバ内のトランジスタの基板が受ける電圧も、一定の静的電圧にすることができる。
【0051】
図6Dでは、メモリデバイス600が、センシング増幅器SAのセンシング結果をページバッファPBに書き込む動作を実行する、この時点で、ラッチLAT1とページバッファPBとの間に結合されたスイッチSWA3がオン状態にされる。ラッチLAT1に記憶されているセンシング結果の反転を、ページバッファPB内のラッチLATに書き込むことができる。ラッチLAT1に記憶されているセンシング結果が論理値0に等しい際に、ラッチLAT1は、論理値1に等しい、センシング結果の反転を供給して、ラッチLATに書き込まれる。この動作はラッチLAT内のデータを変化させない。従って、メモリセルMC3におけるソフトプログラム動作を実行し続けることができる。これと対比して、
図6Eを参照すれば、ラッチLAT1に記憶されているセンシング結果が1に等しい際には、ラッチLAT1は、論理値0に等しい、センシング結果の反転を供給して、ラッチLATに書き込まれ、ラッチLATに記憶されているデジタル値を0に書き換える。その結果、メモリMC3が実行するソフトプログラム動作を終了することができる。
【0052】
メモリセルMC3におけるソフトプログラム動作を継続することを決定した際に、動作手順を本開示の
図6Bの実現に戻して、メモリセルMC3における次回のソフトプログラム動作を実行することができることは、言及に値する。ソフトプログラム動作の回数が増加するに連れて、ワード線ドライバ620がワード線WLに供給するプログラム電圧を、あるステップサイズによりインクリメントすることができることは、注目に値する。具体的には、プログラム電圧としての電圧Vppを、初期のプログラム電圧(例えば、7V)に上記ステップサイズのn倍を加えた値に等しくすることができ、ここにnはソフトプログラム動作を実行する回数-1であり、ステップサイズは設計者が予め定めた電圧値である。
【0053】
図6B~
図6Dの回路動作を反復することによって、メモリデバイス600は、メモリセル・ブロック610内のメモリセルのソフトプログラム動作を完了することができる。
【0054】
次に、
図7を参照すれば、
図7は、本発明の一実施形態によるソフトプログラム動作を実行するメモリデバイス内の複数の選択されたメモリセルを示す概略図である。本実施形態では、ワード線WL上の複数の選択されたメモリセルSMC0~SMCxが1つのソフトプログラム動作を共通して実行する。選択されたメモリセルSMC0~SMCxは、複数のページバッファPB0~PBxのそれぞれに結合することができる。
図6A~
図6Eの実現により、複数の選択されたメモリセルSMC0~SMCxが、それぞれ、ページバッファPB0~PBxが記録しているデジタル値に応じたソフトプログラム動作を実行することができる。ソフトプログラム動作中に、ワード線WL上の電力線信号のワード線電圧VWLを、インクリメンタル・ステップ・パルス・プログラミング(ISPP)により徐々にインクリメントすることができる。選択されたメモリセルSMC0~SMCxの各々が、異なるワード線電圧VWLの下でソフトプログラム動作を完了することができる。例えば、選択されたメモリセルSMC0は、ワード線電圧VWL=9Vである際にソフトプログラム動作を完了することができ;選択されたメモリセルSMC1は、ワード線電圧VWL=10Vである際にソフトプログラム動作を完了することができ;選択されたメモリセルSMC2は、ワード線電圧VWL=8.5Vである際にソフトプログラム動作を完了することができ;...;選択されたメモリセルSMCxは、ワード線電圧VWL=11Vである際にソフトプログラム動作を完了することができる。換言すれば、複数の選択されたメモリセルSMC0~SMCxが、ワード線WL上の電力線信号のワード線電圧VWLの1回のインクリメント・プロセスにより、ソフトプログラム動作を完了することができる。
【0055】
次に、
図8A~
図8Cを参照すれば、
図8A~
図8Cは、本発明の一実施形態による、メモリデバイスの消去プロセス中にソフトプログラム動作を実行するメモリセルのクリティカル電圧分布の変化を示す概略図である。
図8Aでは、メモリデバイス内のメモリセル・ブロックがブロック消去を完了した後に、これらのメモリセルのクリティカル電圧のカウント数分布曲線810を得ることができる。分布曲線810によれば、メモリデバイスが、比較的高い閾値電圧を有するいくつかのメモリセル811を特定して、これらのメモリセル811がソフトプログラム動作を実行することを禁止することができる。次に、メモリデバイスは、残りのメモリセルにおける第1段階のソフトプログラム動作を実行して、
図8Bの、これらのメモリセルのクリティカル電圧のカウント数分布曲線820を得ることができる。
【0056】
図8Bでは、メモリデバイスが、ターゲット電圧SPG0に応じた第1段階のソフトプログラム動作を実行することができ、これにより、分布曲線820は、ターゲット電圧SPG0よりも大きい位置に均等に分布して、分布曲線820の分布範囲を狭めることができる。
【0057】
次に、メモリデバイスは、ターゲット電圧SPG0よりも大きい他のターゲット電圧SPG1に応じた、上記メモリセル・ブロックにおける第2段階のソフトプログラム動作を実行することができ、そして更なるソフトプログラム動作を実行することができ、これにより、メモリセルのクリティカル電圧のカウント数分布曲線830を更に狭めることができる。
【0058】
本実施形態では、第2段階のソフトプログラム動作を、インクリメンタル・ステップ・パルス・プログラミング(ISPP)により完了することができる。
【0059】
次に、
図9を参照すれば、
図9は、本発明の一実施形態によるメモリデバイスのメモリセルの概略構造図である。本発明の一実施形態のメモリデバイスでは、メモリセル・ブロック内の複数のメモリセルMCを、積層により構成して、三次元構造を有するメモリセル・ストリングを形成することができる。各メモリセルは、二酸化シリコン-窒化シリコン-二酸化シリコン層ONOを絶縁層として有することができ、チャネル構造CH及びゲート構造GSを有する。ローカル・ビット線BL及びローカル・ソース線SLが、それぞれ導電性ピンPG1及びPG2を通してメモリセル・ストリング内の全部のメモリセルMCに接続されている。
【0060】
本実施形態では、メモリセルMCを、NOR(ノア:否定論理和)フラッシュメモリ、またはAND(アンド:論理積)フラッシュメモリセルとすることができる。
【0061】
以上を要約すれば、本発明の実施形態では、メモリデバイスによるソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作中に、(ビット線スイッチ及びワード線ドライバを含む)第1段階のデコーダ内のトランジスタの基板が受ける電圧を、一定の静的電圧に維持することができる。その結果、メモリデバイスによるソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作中に、トランジスタの基板電圧の反復的スイッチングに起因する電圧安定化に必要な時間なしに、手順を加速し、無用な電力の浪費を低減し、メモリデバイスの動作効率を効果的に向上させることができる。
【0062】
本発明の範囲または精神から逸脱することなしに、開示した実施形態に種々の変更及び変形を加えることができることは、当業者にとって明らかである。変更及び変形が以下の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内に入るものとすれば、本発明はこれらの変更及び変形をカバーすることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のメモリデバイスは、(ビット線スイッチ及びワード線ドライバを含む)第1段階のデコーダ内のトランジスタの基板が受ける電圧を、一定の静的電圧であるように保つことができる。ソフトプログラム動作及びソフトプログラム検証動作を実行する速度を増加させることができ、メモリデバイスの電力消費を節減することができる。
【符号の説明】
【0064】
100:メモリデバイス
110:メモリセル・ブロック
120:ワード線ドライバ
400、500:集積回路
410、510:基板
420、430、520、530:ウェル
441~444、551、552:P型高濃度ドープ領域(p+)
451~454、541、542、543:N型高濃度ドープ領域(n+)
810、820、830:分布曲線
BL:ローカル・ビット線
BLT1~BLT3:ビット線スイッチ
C1、C2、C3:コンデンサ
CH:チャネル構造
CSL:共通ソース線
CT1~CT3、BLTG:制御信号
GBL:グローバル・ビット線
GS、GS1、GS2、GS3:ゲート構造
LBL1~LBL3:ビット線
LSL1~LSL3:ソース線
MC、811、MCS:メモリセル
MP11~MP13、MN11~MN33、MPx、MNx:トランジスタ
PG1、PG2:導電性プラグ
PWI1、PWI2、PWI3、NW1:ウェル
SL:ローカル・ソース線
SLT1~SLT3:ソース線スイッチ
SMC:選択されたメモリセル
V1~V4、Vpp、Vss:電圧
【要約】
【課題】ソフトプログラム動作を実行する速度を増加させることができるメモリデバイスを提供する。
【解決手段】3D ANDフラッシュメモリのようなメモリデバイスが、メモリセル・ブロックと、ワード線ドライバと、複数のビット線スイッチとを含む。ワード線ドライバは複数の相補型トランジスタ対を有し、それぞれの相補型トランジスタ対は、複数のワード線信号のそれぞれを、複数のワード線のそれぞれに対して発生する。各トランジスタ対の第1トランジスタの基板及び第2トランジスタの基板は、それぞれ第1電圧及び第2電圧を受ける。各ビット線スイッチは第3トランジスタを含む。第3トランジスタの基板は第3電圧を受ける。第1電圧、第2電圧、及び第3電圧は、ソフトプログラム動作中及びソフトプログラム検証動作中に、一定の静的電圧である。
【選択図】
図1