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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】情報提示装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20240327BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240327BHJP
   G06T 3/00 20240101ALI20240327BHJP
【FI】
H04N7/18 J
G06T7/00 650B
G06T3/00 780
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023508644
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 JP2022000208
(87)【国際公開番号】W WO2022201735
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】P 2021052234
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 裕保
(72)【発明者】
【氏名】千葉 孝昭
(72)【発明者】
【氏名】山本 慎二郎
(72)【発明者】
【氏名】井村 進也
【審査官】▲高▼橋 真之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-151968(JP,A)
【文献】特開2020-57981(JP,A)
【文献】国際公開第2017/187764(WO,A1)
【文献】特開2016-181119(JP,A)
【文献】特開2008-248613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G06T 7/00
G06T 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工現場に関する地形画像を生成して出力する情報提示装置であって、
前記地形画像に所定の画像処理を実行するためのプログラムを格納する記憶デバイスと、
前記記憶デバイスから前記プログラムを読み込み、前記地形画像を生成するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記施工現場に設置された少なくとも1つの撮影装置によって取得された前記施工現場の画像を用いて、前記施工現場の現況地形を俯瞰的に表す第1俯瞰画像を取得する処理と、
前記施工現場に設置された前記撮影装置による撮影以外の方法によって取得された前記施工現場の元々の地形を俯瞰的に表す第2俯瞰画像を取得する処理と、
前記第1俯瞰画像と前記第2俯瞰画像とを重ね合わせて第1合成俯瞰画像を生成する画像合成処理と、
を実行する、情報提示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記プロセッサは、さらに、前記第1俯瞰画像に基づいて、前記施工現場における死角を特定するための情報を演算する処理を実行し、
前記画像合成処理において、前記プロセッサは、さらに、前記死角を特定するための情報から前記死角の画像を生成し、前記第1合成俯瞰画像に前記死角の画像を反映した第2合成俯瞰画像を生成する、情報提示装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記プロセッサは、前記第1俯瞰画像を用いて、前記死角を特定するための情報として、前記死角の有無、前記死角の位置、および前記死角の面積を演算する、情報提示装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記プロセッサは、さらに、前記死角を特定するための情報に基づいて、前記施工現場で作業機械を動作させるために必要な情報が取得できているかを判定する処理を実行する、情報提示装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記プロセッサは、前記作業機械から前記死角までの距離が第1閾値より大きく、かつ前記死角の面積が第2閾値未満であるとき、前記施工現場で前記作業機械を動作させるために必要な情報が取得できていると判定する、情報提示装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記プロセッサは、前記作業機械を動作させるために必要な情報が取得できていないと判定したとき、警告を出力する処理を実行する、情報提示装置。
【請求項7】
請求項2において、
前記プロセッサは、さらに、前記施工現場で動作する作業機械に設置された車載撮影装置が撮影した画像を前記第2合成俯瞰画像に反映させた第3合成俯瞰画像を生成する処理を実行する、情報提示装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記プロセッサは、さらに、表示切換え指示に応答して、前記第3合成俯瞰画像と前記車載撮影装置が撮影した画像とを切り換えて出力する、情報提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、作業機械や運搬車両等の複数の機械が存在する施工現場において、作業機械のオペレータに、近傍に存在する他の作業機械や運搬車両の位置を認識させることができる情報提示装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の情報提示装置は、施工現場に設置された複数の撮影装置が撮影した画像に基づいて、複数の車両それぞれの位置を特定し、特定された車両のうち、任意に指定した車両との距離が閾値未満である他の車両の位置を施工現場の俯瞰画像に重ねて表示する信号を出力するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-151968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、例えば、設置コストの観点から施工現場で使用可能な撮影装置の個数が限られている場合、俯瞰画像の合成が困難な場合がある。施工現場の全域をカバーする画像を合成することができないからである。これでは、施工現場における複数の車両を効率よく管理することはできない。
【0005】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、施工現場で撮影装置の個数が不足している場合においても、作業機械のオペレータに作業現場の俯瞰画像を提示する技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するに、本開示は、施工現場に関する地形画像を生成して出力する情報提示装置であって、地形画像に所定の画像処理を実行するためのプログラムを格納する記憶デバイスと、記憶デバイスからプログラムを読み込み、地形画像を生成するプロセッサと、を備え、プロセッサは、施工現場に設置された少なくとも1つの撮影装置によって取得された施工現場の画像を用いて、施工現場の現況地形を俯瞰的に表す第1俯瞰画像を取得する処理と、施工現場に設置された撮影装置による撮影以外の方法によって取得された施工現場の元々の地形を俯瞰的に表す第2俯瞰画像を取得する処理と、第1俯瞰画像と第2俯瞰画像とを重ね合わせて第1合成俯瞰画像を生成する画像合成処理と、を実行する、情報提示装置について提案する。
【0007】
本開示に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本開示の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される請求の範囲の様態により達成され実現される。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、施工現場で撮影装置の個数が不足している場合においても、作業機械のオペレータに作業現場の俯瞰画像を生成および提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】作業機械の概略構成例を示す図である。
図2A】油圧ショベル1の可動範囲24を示す図である。
図2B】ホイールローダ36の可動範囲19を示す図である。
図3】本実施形態による情報提示装置の機能構成例を示すブロック図である。
図4】元地形情報取得部26にて取得した俯瞰画像2の一例を示す図である。
図5】現況地形情報取得部25にて取得した俯瞰画像1の一例を示す図である。
図6】俯瞰画像合成部28が現況地形情報(俯瞰画像1)を元地形情報(俯瞰画像2)に重ねることにより生成する俯瞰画像3の一例を示す図である。
図7】本実施形態による俯瞰画像3を生成する俯瞰画像生成処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
図8】第2の実施形態による情報提示装置の機能構成例を示すブロック図である。
図9A】死角40(死角の有無、死角の位置、死角の広さ(大きさ))の演算方法を説明するための図(1)である。
図9B】死角40(死角の有無、死角の位置、死角の広さ(大きさ))の演算方法を説明するための図(2)である。
図9C】死角40(死角の有無、死角の位置、死角の広さ(大きさ))の演算方法を説明するための図(3)である。
図10】第2の実施形態による俯瞰画像4(俯瞰画像3に死角を加味して生成した俯瞰画像)の例を示す図である。
図11】第2の実施形態による俯瞰画像4を生成する処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
図12】第3の実施形態に係る情報提示装置の機能構成例を示すブロック図である。
図13】車載俯瞰画像48の例を示す図である。
図14】第3の実施形態による、合成した俯瞰画像5の例を示す図である。
図15】第3の実施形態による俯瞰画像5を生成する処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
図16】本実施形態(第1から第3の実施形態)による俯瞰画像提供システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の第1から第3の実施形態は、施工現場の俯瞰地形画像を生成し、出力する情報提示技術について説明する。以下、添付図面を参照して本開示の実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った具体的な実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。
【0011】
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
【0012】
更に、本開示の実施形態は、後述されるように、汎用コンピュータ上で稼動するソフトウェアで実装しても良いし専用ハードウェア又はソフトウェアとハードウェアの組み合わせで実装しても良い。
【0013】
(1)第1の実施形態
<俯瞰画像提供システムの構成例>
図16は、本実施形態(後述の第2および第3の実施形態を含む)による俯瞰画像提供システム(情報提供システムとも言う)の構成例を示す図である。
俯瞰画像提供システムは、通信装置を有する作業機械1と、施工現場31に設置された少なくとも1つの撮影装置(カメラ)33Aから33Bと、施工現場31の各種俯瞰画像を生成し、出力するコンピュータ(情報提示装置)と、施工現場31の元々の地形(建設資材や作業機械1を配置する前の地形)の俯瞰画像を撮影するためのドローン(元地形情報取得部26に相当)と、生成された俯瞰画像を表示する表示部(表示装置)29と、通信装置49と、を備えている。
【0014】
当該システムでは、ドローン(元地形情報取得部26に相当)によって撮影した俯瞰画像(後述の俯瞰画像2)を用いているが、衛星などより撮影して得られる衛星写真を俯瞰画像2として用いてもよい。
【0015】
なお、図16において、表示部(表示装置)29は、コンピュータ(情報提示装置)とは遠隔的に配置されているが、コンピュータ(情報提示装置)の一部を構成してもよい。当該コンピュータ(情報提示装置)は、施工現場31の外(遠隔地を含む)に設置して施工現場31とは離れた場所にいる管理者が俯瞰画像を確認できるようにしてもよいし、作業機械1の操縦席に配置してオペレータが俯瞰画像を確認できるようにしてもよい(両方であってもよい)。また、情報提示装置を施工現場31の外に配置し、作業機械1には表示部29のみを設置するようにしてもよい。情報提示装置と表示部29とを分離して配置する場合には、図16に示すように、互いにネットワークを介して通信可能なように構成するようにしてもよい。
【0016】
<作業機械の構成例>
図1は、作業機械の概略構成例を示す図である。本実施形態では、作業機械の一例として油圧ショベル1を挙げて説明する。
油圧ショベル1は、下部走行体14に旋回機構16を介して上部走行体15が搭載されて構成される。旋回機構16は、油圧モータを含み、上部走行体15を時計回りまたは反時計回りに旋回動作を行う。上部走行体15にはブーム8が取り付けられている。ブーム8は、油圧駆動されるブームシリンダ5により、上部走行体15に対して上下方向に揺動する。ブーム8の先端にはアーム9が取り付けられている。アーム9は、油圧駆動されるアームシリンダ6により、ブーム8に対して前後方向に揺動する。アーム9の先端にはバケット10が取り付けられている。バケット10は、油圧駆動されるバケットシリンダ7により、アーム9に対して揺動する。上部走行体15には、さらにオペレータを収容するキャブ2が搭載されている。なお、本明細書において、ブーム8、アーム9、及びバケット10をまとめてフロント作業部23と称する場合がある。フロント作業部23は、上部旋回体15と共に、旋回中心17を中心として旋回する。また、旋回中心17からフロント作業部23の先端までの距離は、ブーム8、アーム9、バケット10を揺動させることにより変動する。ここで、上部走行体15は、旋回中心17を中心として旋回し、上部走行体15にアタッチメント18が取り付けられている。
【0017】
ブーム8は、y軸に平行な揺動中心を中心として、上下に揺動する。ブーム8の先端にはアーム9が取り付けられており、アーム9の先端にバケット10が取り付けられている。
【0018】
車体位置検出部44には自己位置を取得できるGNSSのような機器が用いられ、車体方位角度演算部43にて車体の方位角を演算する。
【0019】
<作業機械の可動範囲>
図2Aおよび図2Bは、作業機械の可動範囲の例を示す図である。図2Aは、油圧ショベル1の可動範囲24を示す。図2Bは、ホイールローダ36の可動範囲19を示す。
【0020】
図2Aにおいて、油圧ショベル1のフロント作業部23に係る可動範囲24Aは、フロント作業部長が最も長い姿勢を取る場合において、上部旋回体が360度旋回するときにフロント作業部23が到達可能な範囲となる。また、下部走行体14に係る可動範囲24Bは、油圧ショベル1の走行時に例えばT秒間で車体が到達可能な範囲となる。また、可動範囲24Aおよび24Bを統合した可動範囲を油圧ショベル1に係る可動範囲24とする。また、図2Bにおいて、ホイールローダ36の可動範囲19は、ハンドルを左右に限界まで切った状態でT秒間に前後方向に移動可能な範囲を範囲となる。
【0021】
<情報提示装置の機能構成例>
図3は、本実施形態による情報提示装置の機能構成例を示すブロック図である。
情報提示装置は、現況地形情報取得部25と、元地形情報取得部26と、俯瞰画像処理部27と、表示部(表示装置)29を有している。俯瞰画像処理部27は、俯瞰画像合成部28と、を有している。当該情報提示装置は、例えば、コンピュータで構成され、コンピュータに含まれるプロセッサが、メモリ(記憶デバイス;以下同様)から各処理部(現況地形情報取得部、元地形情報取得部、俯瞰画像処理部など)を実現するプログラムを読み込み、内部メモリ上に展開することにより、上記各処理部を実現する。また、情報提示装置は、作業機械1の操縦席に配置するようにしてもよいし、作業機械1や撮影装置33とは別の遠隔地(例えば、管理事務所)に配置するようにしてもよい。
【0022】
施工現場31に設置されたカメラなどの撮影装置33などで現況地形が撮影され、現況地形の画像を受信すると、現況地形情報取得部25は、それらを統合して俯瞰画像(俯瞰画像1)に変換し、俯瞰画像合成部28へ送信する。
【0023】
元地形情報取得部26は、ドローンや衛星などより撮影した俯瞰画像(当該施工現場31の元々の地形の俯瞰画像)、もしくは設計図を基に描写した画像(元地形の俯瞰画像:俯瞰画像2)を取得する。
【0024】
俯瞰画像合成部28は、元地形情報取得部26にて取得した施工現場31の俯瞰画像2に対して、現況地形情報を基に作成した俯瞰画像1を重ね、画像を合成する。俯瞰画像合成部28は、合成した俯瞰画像(俯瞰画像3)を表示部29へ送信する。
【0025】
表示部29は、俯瞰画像合成部28にて合成した俯瞰画像3を油圧ショベル(作業機械)1のオペレータ、または、現場作業員、施工管理者、および現場監督が所持するモニタ等の表示装置および/またはスマートフォンなどの表示端末である。
【0026】
<俯瞰画像2の例>
図4は、元地形情報取得部26にて取得した俯瞰画像2の一例を示す図である。現場作業員がドローン等の俯瞰画像を撮影することが可能な機器を用いて、施工前の画像を撮影する。なお、元地形の画像は設計図を基に描写することも可能である。元地形の画像においては、施工現場31が施工現場31内と施工現場外32そして固定障害物30に区分けされている。なお、区分けは、施工開始前に実施することとし、必ずしも更新頻度を高くする必要はない。区分け方法は、現場作業員もしくは施工管理者が主導で設定する必要があるが、ディープラーニング等の学習機能を用いて、固定障害物30や施工現場31の境界を自動で認識するアルゴリズムを用いてもよい。また、俯瞰画像の撮影/描写時は、施工現場31の基準点の座標を決定しておく。
【0027】
<俯瞰画像1の例>
図5は、現況地形情報取得部25にて取得した俯瞰画像1の一例を示す図である。施工現場31付近あるいは施工現場31内に、施工現場31内を撮影できる位置および高さにカメラなどの撮影装置33を少なくとも1つ配置する。そして、撮影装置33によって、施工現場31を撮影する。作業員はあらかじめ、撮影装置33を配置した位置(座標)、高さ、撮影装置33の画角および視線方向を手動で登録、もしくは、GNSS等の自己位置推定が可能な機器と撮影装置33とを紐づけたデータを自動で現況地形情報取得部25に登録する。
【0028】
また、現況地形情報取得部25(上記コンピュータ)は、撮影装置33ごとに、当該撮影装置33が撮影した画像の変形パラメータを(上記メモリに)あらかじめ記憶しておく。画像の変形パラメータは、撮影装置33の設置位置および視線方向に基づいて特定(決定)することができるデータである。なお、俯瞰画像1の生成方法はこれに限らない。例えば、現況地形情報取得部25が取得した複数の画像について三角測量を行うことで施工現場31の三次元画像を作成し、得られた三次元画像に基づいて全体俯瞰画像(俯瞰画像1)を作成するようにしてもよい。
【0029】
<俯瞰画像3の例>
図6は、俯瞰画像合成部28が現況地形情報(俯瞰画像1)を元地形情報(俯瞰画像2)に重ねることにより生成する俯瞰画像3の一例を示す図である。
現況地形情報取得部25にて作成した現況地形の俯瞰画像1をそれぞれの撮影装置33の位置情報を基に元地形情報(俯瞰画像2)の基準点と照らし合わせ、合成する位置を調整することにより、俯瞰画像3を生成する。
【0030】
<俯瞰画像生成処理の詳細>
図7は、本実施形態による俯瞰画像3を生成する俯瞰画像生成処理の詳細を説明するためのフローチャートである。以下説明する各ステップでは、各処理部(現況地形情報取得部25、元地形情報取得部26、俯瞰画像合成部28)を動作主体とするが、上述のように、これらに相当するプログラムがメモリからコンピュータ(情報提示装置)のプロセッサによって読み込まれて実現されるため、プロセッサを動作主体としてもよい。
【0031】
(i)ステップ101
元地形情報取得部26は、ドローンや衛星などより撮影した俯瞰画像、もしくは設計図を基に描写した画像(俯瞰画像2)を取得し、当該俯瞰画像2を俯瞰画像合成部28に送信する。なお、この俯瞰画像2は、例えば、あらかじめデータベースや記憶装置に格納されている画像であってもよいし、オペレータや施工管理者などが改めて撮像あるいは入手し、情報提示装置に入力した画像であってもよい。
【0032】
(ii)ステップ102
現況地形情報取得部25は、少なくとも1つの撮影装置33が撮像し、そこから送信されてきた現況地形の画像を受信する。
【0033】
(iii)ステップ103
現況地形情報取得部25は、ステップ102で受信した画像(複数の撮影装置33からの画像)を、予め決められた所定の基準点(例えば、いずれか1つの画像の任意の画素あるいは領域)に合わせて統合して俯瞰画像(俯瞰画像1)に変換する。そして、現況地形情報取得部25は、生成した俯瞰画像1を俯瞰画像合成部28に送信する。
【0034】
(iv)ステップ104
俯瞰画像合成部28は、元地形情報取得部26から受信した俯瞰画像2と現況地形情報取得部25から受信した俯瞰画像1とを合成または変換し、合成俯瞰画像(俯瞰画像3)を生成し、これを表示部29に送信する。
【0035】
(v)ステップ105
表示部29は、俯瞰画像3を表示画面上に表示する。これにより、オペレータや施工管理者、油圧ショベル(作業機械)1の作業者、周囲作業員、および/または現場監督は、施工現場の状況を俯瞰的に把握することができる。
このように、元地形の俯瞰画像に現況地形の俯瞰画像を重ねることで、現況地形の俯瞰画像の情報が不足している場合、俯瞰画像を補完することが可能となる。
【0036】
(2)第2の実施形態
施工現場31で使用可能な撮影装置33の個数が限られている場合、作業現場内において死角40ができる可能性が高い。この場合、油圧ショベル(作業機械)1のオペレータに死角40の存在を提示しないと、障害物(別の作業機械等)が固定障害物30の死角40から出てくる可能性を考慮した動作(作業)を行うことが困難な場合がある。
【0037】
第2の実施形態は、このような点に鑑み、施工現場31において死角(後述の死角40)が存在する場合、油圧ショベル(作業機械)1のオペレータに死角40を提示することができる情報提示装置および情報提示方法を提供することである。
【0038】
図8から図11を用いて本開示の第2の実施形態による情報提示装置について説明する。なお、図8から図11において図1から図7と同一の符号は同一の部品あるいは処理部を示すため、再度の説明は省略する。
【0039】
第1の実施形態では、元地形の俯瞰画像に現況地形の俯瞰画像を重ねていたが、第2の実施形態では、情報提示装置が、現況地形情報取得部25で生成した俯瞰画像の死角40を演算する死角演算部39と、演算した死角40までの距離や死角40の面積に応じて、現況地形の俯瞰画像の情報が不足していると判定する判定部38をさらに備えている。
【0040】
<情報提示装置の機能構成例>
図8は、第2の実施形態による情報提示装置の機能構成例を示すブロック図である。当該情報提示装置において、死角演算部39は、現況地形情報取得部25が作成した現況地形の俯瞰画像(俯瞰画像1)を基に、例えば、当該俯瞰画像1を格子状に区切り、撮影装置33の撮影範囲外のマスの面積を演算する。もしくは、撮影装置33の位置、高さ、視線方向および画角から死角40の範囲を詳細に推定することも可能である。
【0041】
判定部38は、死角演算部39が演算した結果に応じて、俯瞰画像1の情報が不足しているか否かを判定する。具体的には、施工現場31における死角40の面積が施工現場31全体の面積のある一定の閾値を超えた場合、判定部38は、情報(作業機械1(車体)を安全に動作させるために必要な情報)が不足していると判定する。こうすることにより、例えば作業機械(油圧ショベル)1が死角付近で作業する場合は、固定障害物30の死角40から突然出現する障害物がフロント作業部23やカウンタウェイト11と接触する可能性があるため、あらかじめ主に旋回や走行動作を実施する際に警告を促すことが可能となる。なお、死角40の面積の閾値は施工管理者が任意に設定することが可能である。また、作業機械1の位置(座標)がGNSS等や撮影装置33などを用いて位置推定が可能な場合においては、作業機械1と死角40までの距離が閾値以下、例えば作業機械1の可動範囲24以内になり、かつ該当の死角40の面積が一定以上である場合において、必要な情報(作業機械1(車体)を安全に動作させるために必要な情報)が不足していると判定してもよい。
【0042】
表示部29は、俯瞰画像1と俯瞰画像2とを合成した俯瞰画像(俯瞰画像3)において、さらに死角40部分を塗りつぶす等の表示処理を実行することにより生成された俯瞰画像4(死角を加味した俯瞰画像)を表示する。これにより、オペレータ、施工管理者、周囲作業員、および/または現場監督に、施工現場31の死角40を可視化することが可能となる。また、判定部38にて必要な情報が不足していると判定された場合は、表示部29に「情報不足」等の警告を表示する。なお、表示部29はモニタ等の表示装置およびスマートフォンなどの表示端末に加えて、音声による警告を実施してもよい。
【0043】
<死角40の演算について>
図9Aから図9Cを用いて死角40(死角の有無、死角の位置、死角の広さ(大きさ))の演算方法について詳しく説明する。まず、カメラ等の撮影装置33にて固定障害物30を撮影した場合、固定障害物30の端部30Aおよび30Bと撮影装置33の中心点を結んだ線が死角線41となり、死角線41の内側が死角40となる。続いて、図9Bに示すように死角40を均等に格子状またはピクセル単位ごとに区切る(これにより死角を構成する座標が特定することができる)ことで死角40の面積を四角形の個数分の面積で表すことができる。そのため、より厳密に死角40の面積を判定したい場合は、より細かに格子状に区切る必要がある。なお、四角形(格子)ごとに死角線41の内側(死角として隠れた部分)の面積が閾値以上となった場合に、その格子が死角40をなす四角形であると判定する。なお、当該閾値は任意に設定することが可能である。
【0044】
また、固定障害物30の高さよりも高い位置にカメラ等の撮影装置33を設置している場合、固定障害物の上部30Cと撮影装置33の中心点を結んだ線が死角線41となり、奥行き部分の死角を低減することが可能である。
以上のように、3次元的に死角40を特定することにより、作業機械1が安全に動作させることができるか否かを正確に判定することができるようになる。
【0045】
<俯瞰画像4の例>
図10は、第2の実施形態による俯瞰画像4(俯瞰画像3に死角を加味して生成した俯瞰画像)の例を示す図である。
図10に示すように、表示部29は、俯瞰画像3に現況地形情報取得部25の死角40を重ね合わせて生成された俯瞰画像4を情報提示装置の表示画面に表示する。さらに、表示部29は、死角40の面積が大きい場合、表示画面に「警告」と表示し、死角40から別の障害物(図示せず)が出てくる可能性を警告する。
【0046】
<俯瞰画像生成処理の詳細>
図11は、第2の実施形態による俯瞰画像4を生成する処理の詳細を説明するためのフローチャートである。以下説明する各ステップでは、各処理部(現況地形情報取得部25、元地形情報取得部26、死角演算部39、俯瞰画像合成部28、判定部38)を動作主体とするが、上述のように、これらに相当するプログラムがメモリからコンピュータ(情報提示装置)のプロセッサによって読み込まれて実現されるため、プロセッサを動作主体としてもよい。
【0047】
(i)ステップ201
元地形情報取得部26は、ドローンや衛星などより撮影した俯瞰画像、もしくは設計図を基に描写した画像(俯瞰画像2)を取得し、当該俯瞰画像2を俯瞰画像合成部28に送信する。なお、この俯瞰画像2は、例えば、あらかじめデータベースや記憶装置に格納されている画像であってもよいし、オペレータや施工管理者が改めて撮像あるいは入手し、情報提示装置に入力した画像であってもよい。
【0048】
(ii)ステップ202
現況地形情報取得部25は、少なくとも1つの撮影装置33が撮像し、そこから送信されてきた現況地形の画像を受信する。
【0049】
(iii)ステップ203
現況地形情報取得部25は、ステップ202で受信した画像(複数の撮影装置33からの画像)を、予め決められた所定の基準点(例えば、いずれか1つの画像の任意の画素あるいは領域)に合わせて統合して俯瞰画像(俯瞰画像1)に変換する。そして、現況地形情報取得部25は、生成した俯瞰画像1を死角演算部39に送信する。
【0050】
(iv)ステップ204
死角演算部39は、死角40の有無(図9Aから図9Cを参照)、死角40の面積(図9AからCを参照)、および死角40までの距離(距離:例えば、作業機械1Aおよび1Bの可動範囲24Aあるいは可動範囲24から死角40までの最短距離)を演算する。そして、死角演算部39は、俯瞰画像1とともに死角40の情報(有無、面積、および距離)を俯瞰画像合成部28に送信する。
【0051】
(v)ステップ205
俯瞰画像合成部28は、元地形情報取得部26から受信した俯瞰画像2と死角演算部39から受信した俯瞰画像1(現況地形情報取得部25から直接受信してもよい)とを合成または変換して合成俯瞰画像(俯瞰画像3)を生成し、さらに俯瞰画像3に死角演算部39から受信した死角40を合成して俯瞰画像4(死角を加味した俯瞰画像)を生成する。そして、俯瞰画像合成部28は、俯瞰画像4および死角40の情報(例えば、死角の有無、面積、および距離のうち、少なくとも死角の面積)を判定部38に送信する。
【0052】
(vi)ステップ206
判定部38は、俯瞰画像合成部28から受信した情報に基づいて、必要な情報(作業機械1(車体)を安全に動作させるために必要な情報)が取得できているか否か判断する。例えば、作業機械1から死角40までの距離(作業機械1Aおよび1Bの可動範囲24Aあるいは可動範囲24から死角40までの最短距離)が所定の閾値(距離閾値)より大きい、かつ死角40の面積が所定閾値以下である場合に、必要な情報が取得できていると判定される。必要な情報が取得できていると判定された場合(ステップ206でYesの場合)、処理はステップ207に移行する。必要な情報が取得できていないと判定された場合(ステップ206でNoの場合)、処理はステップ208に移行する。
【0053】
(vii)ステップ207
表示部29は、俯瞰画像4を表示画面上に表示する。これにより、施工管理者、油圧ショベル(作業機械)1のオペレータ、周囲作業員、および/または現場監督は、施工現場の状況を俯瞰的に把握することができ、施工現場31において作業機械1を安全に操縦することが可能となる。
【0054】
(viii)ステップ208
表示部29は、俯瞰画像4に「警告」(警告という文字や危険を知らせるためのマークなど)を重畳して表示画面上に表示する。これにより、施工管理者、油圧ショベル(作業機械)1のオペレータ、周囲作業員、および/または現場監督は、施工現場の状況を俯瞰的に把握することができ、施工現場31における作業機械1の操縦の危険性を把握することが可能となる。
【0055】
以上のように、施工現場31の死角40の面積を演算し、必要な情報の不足をオペレータ、周囲作業員および現場監督に警告することで、障害物が固定障害物30の死角40から出てくる可能性を考慮した動作を実施することが可能となる。さらに、表示部29において死角40を表示することで、現況地形情報取得部25の配置変更を促すことが可能となる。
【0056】
(3)第3の実施形態
図12から図15を用いて、本開示の第3の実施形態による情報提示装置について説明する。なお、図12から図15において、図1から図11と同一の符号は同一の部品あるいは処理部を示すため、再度の説明は省略する。
【0057】
第2の実施形態では、施工現場31の周囲に撮影装置33を配置し、取得した現況地形内の死角40の面積から必要な情報が不足しているか否かを判定し、オペレータ、周囲作業員および現場監督に警告している。一方、第3の実施形態は、車載の撮影装置33が撮像した画像に基づいて作成した車載俯瞰画像48のデータを現況地形情報(俯瞰画像1)と合成する(重ね合わせる)ことで死角40の面積を低減する機能を備えている。
【0058】
<情報提示装置の機能構成例>
図12は、第3の実施形態に係る情報提示装置の機能構成例を示すブロック図である。図12に示すように、当該情報提示装置は、図8の構成要素に加えて、車体方位角度演算部43と、車体位置検出部44と、車載俯瞰画像作成部45と、表示切換え部47と、を備えている。
【0059】
車体方位角度演算部43は、車体位置検出部44からの位置情報に基づき、施工現場基準における作業機械1の方位を取得し、車載俯瞰画像補正部46に当該方位の情報を送信する。また車体位置検出部44は、施工現場基準、もしくはグローバル座標基準で作業機械1の位置を特定し、当該位置の情報を車載俯瞰画像補正部46に送信する。車載俯瞰画像作成部45は、車載の撮影装置33を基に作成した俯瞰画像(以後、車載俯瞰画像48と称する)を車載俯瞰画像補正部46に送信する。
【0060】
<車載俯瞰画像の例>
図13は、車載俯瞰画像48の例を示す図である。ここで、車載俯瞰画像48は作業機械20の位置と方位に応じて現況地形の俯瞰画像と合成する位置と方向が異なる。そこで、まず作業機械1Aおよび1Bの位置情報と施工現場31の基準点の位置関係から車載俯瞰画像48を合成する位置を特定する。
【0061】
次に、施工現場基準もしくはグローバル座標基準での作業機械1Aおよび1Bの方位情報を基に車載俯瞰画像補正部46にて画像データを作業機の方位角度分回転させる。さらに、回転させた画像データを取得した作業機械1Aおよび1Bの位置に応じて俯瞰画像に投影し、合成することで車載俯瞰画像48を施工現場の俯瞰画像上に表示することが可能となる。
【0062】
<合成した俯瞰画像の例>
図14は、第3の実施形態による、合成した俯瞰画像5の例を示す図である。なお、図14に示す俯瞰画像5は、俯瞰画像1に車載俯瞰画像48を反映させ、それに俯瞰画像2を合成した画像:図10に示す俯瞰画像4の死角40から車載俯瞰画像48がカバーする領域を取り除いた画像となっている。
【0063】
現況地形情報取得部25にて取得した現況地形の俯瞰画像1に死角40と車載俯瞰画像48を重ね合わせることにより、現況地形情報取得部25で取得した俯瞰画像1の死角40を補うことが可能となる。そして、俯瞰画像合成部28は、死角演算部39からの俯瞰画像(俯瞰画像1に死角40および車載俯瞰画像48を重ね合わせた画像)に元地形情報取得部26からの俯瞰画像2をさらに重畳することにより、俯瞰画像5を生成することができる。
【0064】
このように、車載俯瞰画像48を用いることで、死角40の面積を低減することが可能となり、障害物が固定障害物30の死角40から出てくる可能性を考慮した動作を実施することが可能となる。
表示切換え部47は、車載俯瞰画像48と俯瞰画像5(周囲俯瞰画像)をボタン式またはモニタのタッチスクリーンなどで切り換えることが可能である。
【0065】
<俯瞰画像生成処理の詳細>
図15は、第3の実施形態による俯瞰画像5を生成する処理の詳細を説明するためのフローチャートである。以下説明する各ステップでは、各処理部(現況地形情報取得部25、元地形情報取得部26、死角演算部39、俯瞰画像合成部28、判定部38、車体方位角度演算部、車体位置検出部44、車載俯瞰画像作成部45、表示切換え部47)を動作主体とするが、上述のように、これらに相当するプログラムがメモリからコンピュータ(情報提示装置)のプロセッサによって読み込まれて実現されるため、プロセッサを動作主体としてもよい。
【0066】
(i)ステップ301
元地形情報取得部26は、ドローンや衛星などより撮影した俯瞰画像、もしくは設計図を基に描写した画像(俯瞰画像2)を取得し、当該俯瞰画像2を俯瞰画像合成部28に送信する。なお、この俯瞰画像2は、例えば、あらかじめデータベースや記憶装置に格納されている画像であってもよいし、オペレータや施工管理者が改めて撮像あるいは入手し、情報提示装置に入力した画像であってもよい。
【0067】
(ii)ステップ302
現況地形情報取得部25は、少なくとも1つの撮影装置33が撮像し、そこから送信されてきた現況地形の画像を受信する。
【0068】
(iii)ステップ303
現況地形情報取得部25は、ステップ302で受信した画像(複数の撮影装置33からの画像)を、予め決められた所定の基準点(例えば、いずれか1つの画像の任意の画素あるいは領域)に合わせて統合して俯瞰画像(俯瞰画像1)に変換する。そして、現況地形情報取得部25は、生成した俯瞰画像1を死角演算部39に送信する。
【0069】
(iv)ステップ304
車載俯瞰画像補正部46は、車載俯瞰画像作成部45から作業機械1の車載俯瞰画像を、車体方位角度演算部43から作業機械1の方位角度の情報を、車体位置検出部44から作業機械1の位置の情報をそれぞれ取得する。そして、車載俯瞰画像補正部46は、作業機械1の方位角度および位置の情報に基づいて、作業機械1の車載俯瞰画像を補正し、補正された車載俯瞰画像を俯瞰画像合成部28に送信する。
【0070】
(v)ステップ305
死角演算部39は、死角40の有無(図9Aから図9Cを参照)、死角40の面積(図9Aから図9Cを参照)、および死角40までの距離(距離:例えば、作業機械1Aおよび1Bの可動範囲24Aあるいは可動範囲24から死角40までの最短距離)を演算する。そして、死角演算部39は、俯瞰画像1とともに死角40の情報(有無、面積、および距離)を俯瞰画像合成部28に送信する。
【0071】
(vi)ステップ306
俯瞰画像合成部28は、元地形情報取得部26から受信した俯瞰画像2と、死角演算部39から受信した俯瞰画像1および死角40の情報と、車載俯瞰画像補正部46から受信した車載俯瞰画像(補正された車載俯瞰画像)48とに基づいて(これらを合成して)、死角40および車載俯瞰画像を反映した俯瞰画像5(図14参照)を生成する。そして、俯瞰画像合成部28は、俯瞰画像5を判定部38に送信する。
【0072】
(vii)ステップ307
判定部38は、俯瞰画像合成部28から受信した情報に基づいて、必要な情報(作業機械1(車体)を安全に動作させるために必要な情報)が取得できているか否か判断する。例えば、作業機械1から死角40までの距離(作業機械1Aおよび1Bの可動範囲24Aあるいは可動範囲24から死角40までの最短距離)が所定の閾値(距離閾値)より大きい、かつ死角40の面積が所定閾値以下である場合に、必要な情報が取得できていると判定される。必要な情報が取得できていると判定された場合(ステップ307でYesの場合)、処理はステップ308に移行する。必要な情報が取得できていないと判定された場合(ステップ307でNoの場合)、処理はステップ309に移行する。
【0073】
(viii)ステップ308
表示部29は、俯瞰画像5を表示画面上に表示する。これにより、施工管理者、油圧ショベル(作業機械)1のオペレータ、周囲作業員、および/または現場監督は、施工現場の状況を俯瞰的に把握することができ、施工現場31において作業機械1を安全に操縦することが可能となる。
【0074】
(ix)ステップ309
表示部29は、俯瞰画像5に「警告」(警告という文字や危険を知らせるためのマークなど)を重畳して表示画面上に表示する。これにより、施工管理者、油圧ショベル(作業機械)1のオペレータ、周囲作業員、および/または現場監督などは、施工現場の状況を俯瞰的に把握することができ、施工現場31における作業機械1の操縦の危険性を把握することが可能となる。
【0075】
以上のように、施工現場31の死角40の面積を演算し、必要な情報の不足をオペレータ、施工管理者、周囲作業員および/または現場監督などに警告することで、窓外物が固定障害物30の死角40から出てくる可能性を考慮した動作を実施することが可能となる。さらに、表示部29において死角40を表示することで、現況地形情報取得部25の配置変更を促すことが可能となる。
【0076】
(4)まとめ
(i)第1の実施形態によれば、情報提示装置は、施工現場31の現況地形を俯瞰的に表す第1俯瞰画像(俯瞰画像1)と、施工現場に設置された撮影装置33による撮影以外の方法(例えば、ドローンや衛星による撮影)によって取得された施工現場の元々の地形を俯瞰的に表す第2俯瞰画像(俯瞰画像2)とを重ね合わせて第1合成俯瞰画像(俯瞰画像3)を生成し、出力(表示部29の表示画面上に表示)する。このように、撮影装置で取得した現況画像に元々存在する俯瞰画像2を補完的に用いて現在の施工現場全体の俯瞰画像を生成するので、施工現場における撮影装置33の設置台数が少なくても有益な施工現場の俯瞰画像を作業者に提供することができる。
【0077】
(ii)第2の実施形態によれば、情報提示装置は、撮影装置33で取得した第1俯瞰画像(俯瞰画像1)を用いて、施工現場における死角40を特定し、この死角40の画像を第1合成俯瞰画像(俯瞰画像3)に反映して第2合成俯瞰画像(俯瞰画像4)を生成し、出力する。これにより、死角40から別の作業機械などが出てくる可能性を俯瞰的に把握することができるので、安全に作業機械を動作させることが可能となる。
【0078】
(iii)第3の実施形態によれば、情報提示装置は、作業機械1に設置された車載撮影装置によって撮影された画像を基に生成した車載俯瞰画像を第2合成俯瞰画像(俯瞰画像4)に反映して第3合成俯瞰画像(俯瞰画像5)を生成し、出力する。これにより、死角40の面積を低減することができ、より安全に作業機械を操縦することが可能となる。
【0079】
(iv)本開示の実施形態の機能は、ソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或は装置に提供し、そのシステム或は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本開示を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
【0080】
また、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータ上のメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータのCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。
【0081】
さらに、実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することにより、それをシステム又は装置のハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、使用時にそのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしても良い。
【0082】
最後に、ここで述べたプロセス及び技術は本質的に如何なる特定の装置に関連することはなく、コンポーネントの如何なる相応しい組み合わせによってでも実装できることを理解する必要がある。更に、汎用目的の多様なタイプのデバイスがここで記述した教授に従って使用可能である。ここで述べた方法のステップを実行するのに、専用の装置を構築するのも有益である。
【0083】
本開示は、具体例に関連して記述したが、これらは、すべての観点において限定のためではなく説明のためである。本分野にスキルのある者には、本開示の技術を実施するのに相応しいハードウェア、ソフトウェア、及びファームウエアの多数の組み合わせがあることが解るであろう。例えば、記述したソフトウェアは、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
【0084】
さらに、上述の実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていても良い。
【0085】
以上、本開示における各実施形態について詳述したが、本開示の要旨は、各実施形態の内容に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された趣旨を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、上述した実施形態は本開示の技術を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 作業機械
25 現況地形情報取得部
26 元地形情報取得部
27 俯瞰画像処理部
28 俯瞰画像合成部
29 表示部(表示装置)
30 固定障害物
31 施工現場
32 施工現場外
33 撮影装置
38 判定部
39 死角演算部
43 車体方位角度演算部
44 車体位置検出部
45 車載俯瞰画像作成部
46 車載俯瞰画像補正部
47 表示切換え部
49 通信部(通信装置)
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16