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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 31/00 20060101AFI20240328BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20240328BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20240328BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20240328BHJP
   F21V 29/74 20150101ALI20240328BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240328BHJP
【FI】
F21V31/00 100
H01L33/60
H01L33/00 L
F21V29/503
F21V29/74
F21Y115:10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020180397
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071434
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2022-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青 孝次
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 浩史
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-061137(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0039415(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 31/00
H01L 33/60
H01L 33/00
F21V 29/503
F21V 29/74
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線を有する基板と、
前記基板上に実装された発光素子と、
前記基板の配線に接続されたケーブルと、
前記基板上において前記発光素子の周囲を囲む環状のリフレクターと、
前記リフレクターの上に、前記発光素子の上方を覆うように設置された、前記発光素子から発せられる光を透過する防水シートと、
前記防水シート上に設置された、前記発光素子の上方に開口部を有するカバーと、
を備え、
前記リフレクターが、前記防水シートと接する上面の前記カバーに上方を覆われた位置に環状の第1の突起を有し、前記第1の突起が前記防水シートに押し当てられて圧縮されることによって、前記リフレクターと前記防水シートの界面からの液体の浸入を防ぎ、
前記リフレクターが、前記基板と接する下面の前記カバーに上方を覆われた位置に環状の第2の突起を有し、前記第2の突起が前記基板に押し当てられて圧縮されることによって、前記リフレクターと前記基板の界面からの液体の浸入を防ぐ、
発光装置。
【請求項2】
前記リフレクターが下方に開口する凹部を有し、
前記凹部の内部に前記ケーブルの前記基板上に位置する部分が収容され、
前記凹部の外側に前記第2の突起が位置する、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記基板の前記発光素子の反対側にヒートシンクが設置され、
前記カバーと前記ヒートシンクを固定することにより、前記第1の突起が前記防水シートに押し当てられて圧縮され、前記第2の突起が前記基板に押し当てられて圧縮される、
請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記カバーと前記ヒートシンクの固定に爪嵌合が用いられた、
請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記基板と前記ヒートシンクに設けられた貫通孔にケーブルブッシュが固定され、
前記ケーブルブッシュを通して前記ケーブルが外部に引き出された、
請求項3又は4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記防水シートと前記カバーの間に、前記発光素子の上方に開口部を有する平板状のスペーサーが設置され、
前記スペーサーが、前記スペーサーの開口部の縁に沿った突起を有し、
前記突起が前記カバーの開口部を通って前記カバーの上面よりも上側に突出した、
請求項1~5のいずれか1項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源である発光素子の実装領域が密閉された、水中での使用も可能な防水性を有する発光装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の発光装置は、基板上に実装された発光素子を囲むように設置された環状のシール部材と、発光素子及びシール部材の上方を覆うように設置された、発光素子から発せられる光を透過する防水シートと、防水シート上に設置され、発光素子の上方の領域において開口する環状のカバーと、を備え、防水シートをシール部材と前記カバーとで挟むことにより前記防水シートが固定されている。そのため、基板上の発光素子の実装領域は、シール部材に側方を囲まれ、防水シートに上方を覆われて、密閉されている。
【0004】
また、特許文献1に記載の発光装置は、発光素子と前記シール部材との間に設置された環状の側壁を有する。この側壁は、発光素子から発せられた光を反射するリフレクターとして機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-43235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の発光装置は、防水性を有し、リフレクターにより光取出効率の向上が図られているものの、部品点数が多いため、組み立ての難度や工数が大きいという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、光源である発光素子の実装領域が密閉された発光装置であって、水中での使用も可能な優れた防水性を有しながら、部品点数が抑えられた発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]~[6]の発光装置を提供する。
【0009】
[1]配線を有する基板と、前記基板上に実装された発光素子と、前記基板の配線に接続されたケーブルと、前記基板上において前記発光素子の周囲を囲む環状のリフレクターと、前記リフレクターの上に、前記発光素子の上方を覆うように設置された、前記発光素子から発せられる光を透過する防水シートと、前記防水シート上に設置された、前記発光素子の上方に開口部を有するカバーと、を備え、前記リフレクターが、前記防水シートと接する上面の前記カバーに上方を覆われた位置に環状の第1の突起を有し、前記第1の突起が前記防水シートに押し当てられて圧縮されることによって、前記リフレクターと前記防水シートの界面からの液体の浸入を防ぎ、前記リフレクターが、前記基板と接する下面の前記カバーに上方を覆われた位置に環状の第2の突起を有し、前記第2の突起が前記基板に押し当てられて圧縮されることによって、前記リフレクターと前記基板の界面からの液体の浸入を防ぐ、発光装置。
[2]前記リフレクターが下方に開口する凹部を有し、前記凹部の内部に前記ケーブルの前記基板上に位置する部分が収容され、前記凹部の外側に前記第2の突起が位置する、上記[1]に記載の発光装置。
[3]前記基板の前記発光素子の反対側にヒートシンクが設置され、前記カバーと前記ヒートシンクを固定することにより、前記第1の突起が前記防水シートに押し当てられて圧縮され、前記第2の突起が前記基板に押し当てられて圧縮される、上記[1]又は[2]に記載の発光装置。
[4]前記カバーと前記ヒートシンクの固定に爪嵌合が用いられた、上記[3]に記載の発光装置。
[5]前記基板と前記ヒートシンクに設けられた貫通孔にケーブルブッシュが固定され、前記ケーブルブッシュを通して前記ケーブルが外部に引き出された、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の発光装置。
[6]前記防水シートと前記カバーの間に、前記発光素子の上方に開口部を有する平板状のスペーサーが設置され、前記スペーサーが、前記スペーサーの開口部の縁に沿った突起を有し、前記突起が前記カバーの開口部を通って前記カバーの上面よりも上側に突出した、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の発光装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光源である発光素子の実装領域が密閉された発光装置であって、水中での使用も可能な優れた防水性を有しながら、部品点数が抑えられた発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1(a)、(b)は、実施の形態に係る発光装置の上方からと下方からの斜視図である。
図2図2(a)、(b)は、実施の形態に係る発光装置の上面図と側面図である。
図3図3は、図2(a)の切断線A-Aに沿って切断された実施の形態に係る発光装置の垂直断面図である。
図4図4(a)、(b)は、発光装置の組み立て前のリフレクターの上方からと下方からの斜視図である。
図5図5は、貫通孔の断面を含む、発光装置の垂直断面図である。
図6図6は、実施の形態に係る発光装置の変形例の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施の形態〕
(紫外光照射装置の構成)
図1(a)、(b)は、実施の形態に係る発光装置1の上方(光取り出し側)からと下方からの斜視図である。図2(a)、(b)は、発光装置1の上面図と側面図である。図3は、図2(a)の切断線A-Aに沿って切断された発光装置1の垂直断面図である。
【0013】
発光装置1は、配線を有する基板10と、基板10上に実装された発光素子11と、基板10の配線に接続されたケーブル15と、基板10上において発光素子11の周囲を囲む環状のリフレクター12と、リフレクター12の上に、発光素子11の上方を覆うように設置された、発光素子11から発せられる光を透過する防水シート13と、防水シート13上に設置された、発光素子11の上方に開口部141を有するカバー14とを備える。
【0014】
発光装置1は、発光素子11を光源とする発光装置であり、発光素子11の実装領域が密閉された防水構造を有するため、水などの流体中での使用が可能である。
【0015】
発光素子11は、例えば、光源としての発光ダイオード(LED)又はレーザーダイオード(LD)と、配光を調節するためのレンズを備える。発光素子11は、1個の光源を有してもよいし、複数の光源を有してもよい。また、発光装置1は、1個の発光素子11を有してもよいし、複数の発光素子11を有してもよい。
【0016】
発光素子11が紫外光を発する発光素子である場合は、例えば、発光装置1を紫外光の照射により照射対象の殺菌を実施する殺菌装置として用いることができる。この場合の発光素子11の発する紫外光の波長は特に限定されないが、例えば、UV-Aと呼ばれる波長域(400~315nm)の紫外光、UV-Bと呼ばれる波長域(315~280nm)の紫外光、UV-Cと呼ばれる波長域(280nm未満)の紫外光であり、このうち最も殺菌効果の高いUV-Cであることが好ましい。発光装置1は流体中での使用が可能であるため、例えば、流体の殺菌装置として用いることができる。
【0017】
また、発光素子11が可視光を発する発光素子である場合は、例えば、発光装置1を照明として用いることができる。
【0018】
基板10は、図示されない配線を有する基板であり、その配線に発光素子11の電極が接続されている。基板10は、発光素子11から発せられる熱を効率的に排出するため、アルミナ基板やアルミ基板(絶縁性のレジストで覆われたアルミ板)などの熱伝導率の高い基板であることが好ましい。
【0019】
また、発光素子11から発せられる熱をより効率的に排出するため、図1図3に示されるように、基板10の裏側(発光素子11の反対側)にヒートシンク16が設けられることが好ましい。
【0020】
リフレクター12は、発光素子11から発せられる光を反射し、発光装置1の光取出効率を向上させる。このため、図3に示されるように、リフレクター12の内側(発光素子11側)の側面125が上方を向くように傾斜していることが好ましい。これによって、発光素子11から発せられて側面125に入射する光が上方へ反射される。なお、側面125の傾斜角度は、発光装置1の照射角度などに応じて適宜設定することができる。
【0021】
また、リフレクター12は、防水シート13と接する上面121のカバー14に上方を覆われた位置(カバー14の一部が真上にある位置)に環状の第1の突起(リブ)122を有し、第1の突起122が防水シート13に押し当てられて圧縮されることによって、リフレクター12に囲まれた発光素子11の実装領域へのリフレクター12と防水シート13の界面からの水などの液体の浸入を防ぐ。
【0022】
環状の第1の突起122は、全体的に防水シート13と接する。すなわち、第1の突起122と防水シート13の接触部は環状に連続しており、リフレクター12と防水シート13の界面におけるあらゆる方向からの液体の浸入を防ぐことができる。
【0023】
また、リフレクター12は、基板10と接する下面123のカバー14に上方を覆われた位置に環状の第2の突起(リブ)124を有し、第2の突起124が基板10に押し当てられて圧縮されることによって、リフレクター12に囲まれた発光素子11の実装領域へのリフレクター12と基板10の界面からの水などの液体の浸入を防ぐ。すなわち、第1の突起122と第2の突起124は、シール部材として機能する。
【0024】
環状の第2の突起124は、全体的に基板10と接する。すなわち、第2の突起124と基板10の接触部は環状に連続しており、リフレクター12と基板10の界面におけるあらゆる方向からの液体の浸入を防ぐことができる。
【0025】
図4(a)、(b)は、発光装置1の組み立て前、すなわち第1の突起122と第2の突起124が圧縮されていない状態のリフレクター12の上方からと下方からの斜視図である。
【0026】
第1の突起122と第2の突起124を弾性変形させてシール部品として効果的に機能させるため、リフレクター12は、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどの弾性材料からなることが好ましい。
【0027】
また、リフレクター12は、下方(基板10側)に開口する凹部126を有し、凹部126の内部にケーブル15の基板10上に位置する部分が収容されていることが好ましい。これによって、発光素子11から発せられる光のケーブル15への照射を防ぐことができるため、発光素子11から発せられる光が紫外光である場合の紫外光暴露によるケーブル15の劣化を防ぐことができる。ケーブル15の劣化を防ぐことにより、発光素子11の動作不良を防ぐことができる。また、この場合、凹部126内への水などの液体の浸入を防ぐため、図3図4に示されるように、凹部126の外側(下面123の外周側)に第2の突起124を設ける。また、凹部126には、シリコーン樹脂などの防水性能を有する材料が充填されていてもよい。この場合、凹部126に収容されたケーブル15の防水性能がより高まる。
【0028】
ケーブル15は、発光素子11を駆動させるための電源線を含み、外部電源からケーブル15と基板10の配線を介して発光素子11へ電力が供給される。ケーブル15は、典型的には、図2図3に示されるようなケーブルハーネス(ワイヤーハーネス)であり、端部にハーネスコネクター151を有する。リフレクター12が凹部126を有する場合は、基板10の配線に接続されるハーネスコネクター151が、凹部126内に収容される。
【0029】
また、防水シート13は、上述のように発光素子11から発せられる光を透過する。このため、防水シート13の材料は、発光素子11の発光波長に応じて選択される。例えば、発光素子11がUV-AやUV-Bの波長域の紫外光を発する場合は、フッ素樹脂やシリコーン樹脂が防水シート13の材料として用いられ、発光素子11がUV-Cの波長域の紫外光を発する場合は、フッ素樹脂が防水シート13の材料として用いられる。
【0030】
防水シート13の形態は、フィルムでも板でもよい。例えば、平板状の防水シート13を用いる場合、例えば、上述の材料に加えて、石英ガラスを材料に用いることにより、紫外光を透過することができる。
【0031】
カバー14は、上述のように、発光素子11の上方に位置する開口部141を有する。発光素子11から発せられた光は、防水シート13を透過し、カバー14の開口部141から取り出される。カバー14は、例えば、ポリカーボネートからなる。
【0032】
カバー14は、リフレクター12の上方及び側方を覆い、基板10又は基板10に固定された部材に対して固定される。それにより、基板10とカバー14に挟まれたリフレクター12と防水シート13に厚さ方向に圧縮する力が加わり、リフレクター12の第1の突起122が防水シート13に押し当てられて圧縮され、また、第2の突起124が基板10に押し当てられて圧縮され、防水構造が形成される。
【0033】
図1図3に示される例では、カバー14は基板10に固定されたヒートシンク16に固定される。カバー14とヒートシンク16の固定には、図1図3に示されるように、スナップフィットなどの爪嵌合が用いられることが好ましい。カバー14とヒートシンク16の固定に爪嵌合とネジ止めを併用することにより、ネジ止めによる固定箇所を減らすことができる。ネジ止めによる固定箇所を減らすことにより、カバー14の組み付けが容易になり、また、ネジ止め時や使用時においてネジ止め箇所に力が集中することによる部材間の隙間の形成、すなわち防水性の破れを防ぐことができる。
【0034】
通常、カバー14とヒートシンク16をネジ止めのみで固定する場合、例えば、カバー14の平面形状が四角形である場合は、防水性を確保するために4箇所以上でのネジ止めが必要となる。しかしながら、爪嵌合を用いる場合、図2(a)に示されるように、四角形の対向する2つの角においてネジ17を用いてネジ止めをすることにより、十分な防水性を確保することができる。
【0035】
カバー14は、その外周部からヒートシンク16側に向かって延びる平板状の弾性部142と、弾性部142の内側(カバー14の中心側)に設けられたツメ143を有する。また、ヒートシンク16は、基板10に接触する、基板10に平行な平板状の基体161と、基体161から垂直方向に延びるフィン162を有する。カバー14のツメ143は、基体161の下側の縁165のフィン162が延びていない領域に嵌合される(掛けられる)。
【0036】
カバー14における弾性部142及びツメ143の位置や個数は特に限定されないが、例えば、カバー14の平面形状が四角形である場合は、図1~3に示されるように、四角形の対向する2辺の中央から延びる弾性部142の各々の先端にツメ143が1つずつ設けられる。
【0037】
カバー14が弾性部142及びツメ143を有する場合は、カバー14の材料としては、ポリカーボネートなどの、取り付けの際に弾性部142が弾性変形でき、かつ取り付け後に各部品を十分に固定できるだけの強度を有する材料が用いられる。
【0038】
カバー14を防水シート13の上から被せ、下側(ヒートシンク16側)へ押し込むと、弾性部142が弾性変形した状態で、ツメ143がヒートシンク16の基体161の側面上を滑りながら基体161の下側の縁165へ向かって移動する。そして、ツメ143が縁165へ達すると、弾性部142の復元力によってツメ143が縁165に嵌合され、カバー14とヒートシンク16及びそれらに挟まれた基板10、リフレクター12、防水シート13が固定される。
【0039】
カバー14は、防水シート13側の面144の開口部141を囲む位置に、Oリング19を設置するための環状の凹部145を有することが好ましい。凹部145内にOリング19を設置することにより、カバー14とリフレクター12との間でOリング19を圧縮させ、カバー14と防水シート13の界面からの水などの液体の浸入を効果的に防ぐことができる。なお、Oリング19の硬さと第1の突起122(リフレクター12)の硬さに差がある場合、軟らかい方のみが圧縮されて防水性が弱まることを避けるため、図3に示されるように、Oリング19と第1の突起122が重ならないように位置をずらすことが好ましい。また、Oリング19の代わりに他の環状のシール部品を用いてもよい。
【0040】
また、カバー14は、図1~3に示されるように、その上面146の開口部141を囲む位置に、Oリングなどのシール部品を設置するための環状の凹部147を有することが好ましい。凹部147内にシール部品を設置することにより、流体殺菌装置などの外部装置に上面146を接触させて発光装置1を組み付けたときに、凹部147内のシール部材を圧縮して、発光装置1と外部装置との界面からの水などの液体の漏れ出し又は浸入を防ぐことができる。
【0041】
発光装置1は、例えば、ネジ止めにより外部装置に組み付けられる。図1図3に示される例では、発光装置1は、重なったカバー14の孔148とヒートシンク16の孔166により形成されるネジ止め用の貫通孔を有する。
【0042】
ケーブル15は、基板10とヒートシンク16に設けられた貫通孔18から発光装置1の外部に引き出される。このケーブル15が引き出される貫通孔は、重なった基板10の孔101とヒートシンク16の孔163により形成される。
【0043】
図5は、貫通孔18の断面を含む、発光装置1の垂直断面図である。図5に示される断面は、図2(a)の切断線B-Bに沿って切断されたときの断面である。図5に示されるように、貫通孔18内にケーブルブッシュ21が固定され、ケーブルブッシュ21を通してケーブル15が外部に引き出されることが好ましい。ケーブルブッシュ21を用いることにより、ケーブル15を通した貫通孔18をコーキングなどにより塞ぐことなく貫通孔18における防水性を確保することができる。
【0044】
また、図5に示される例では、ケーブルブッシュ21は、その円筒形状の側面に、円周方向に連続する突起(リブ)211を有し、貫通孔18を構成するヒートシンク16の孔163が、突起211を嵌め込むための段差を有している。そのため、基板10とヒートシンク16で突起211を両側(図5の上下方向)から挟み込むように貫通孔18内にケーブルブッシュ21を嵌め込むことにより、ケーブルブッシュ21が強く固定される。
【0045】
また、ヒートシンク16は、図1に示されるような、基体161の外周部と孔163とをつなげるスリット164を有することが好ましい。この場合、貫通孔18を構成する基板10の孔101にケーブル15を通し、ケーブル15の一端のハーネスコネクター151を基板10に接続した後、ヒートシンク16を基板10に組み付ける際に、ケーブル15をヒートシンク16の外周部からスリット164を通して孔163まで移動させることにより、ケーブル15の他端のハーネスコネクター152を貫通孔18に通すことなく、ケーブル15を貫通孔18に納めることができる。これにより、孔163をハーネスコネクターが通る大きさにする必要がなく、その面積を抑えることができるため、孔163の形成によるヒートシンク16の放熱性の低下を抑えることができる。
【0046】
図6は、実施の形態に係る発光装置1の変形例である発光装置2の垂直断面図である。発光装置2は、防水シート13とカバー14の間に、発光素子11の上方に開口部203を有するスペーサー20が設置されている点において、発光装置1と異なる。
【0047】
スペーサー20は、防水シート13とカバー14に挟まれて設置される。スペーサー20は、開口部203の縁に沿った突起部201を有する。
【0048】
突起部201は、カバー14の開口部141を通ってカバー14の上面146よりも上側に突出している。このため、発光装置2を他の装置などに組み付ける際に、突起部201が圧縮されてシール部品として機能し、発光装置2と組み付け対象物との界面からの、水などの液体の漏れ出し又は浸入を防ぐことができる。すなわち、スペーサー20を用いることにより、凹部147内に設置して用いられるシール部品を用いなくても、発光装置2と組み付け対象物との間の防水性を確保することができる。また、凹部147を設ける必要がないため、カバー14の防水シート13を覆う部分を薄くすることができる。スペーサー20及び突起部201は、典型的には環状であり、環状である場合にはシール効果が特に大きくなる。
【0049】
また、スペーサー20は、防水シート13側の面204の開口部203を囲む位置に、環状の突起(リブ)205を有することが好ましい。この場合、スペーサー20とリフレクター12との間で突起205を圧縮させ、スペーサー20と防水シート13の界面からの水などの液体の浸入を効果的に防ぐことができる。ここで、突起205と突起部201の平面方向(図6の紙面に垂直な面内の方向)の位置を重ねることにより、両者のシール機能をより向上させることができる。
【0050】
突起部201と突起205を弾性変形させてシール部品として効果的に機能させるため、スペーサー20は、リフレクター12と同様に、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどの弾性材料からなることが好ましい。
【0051】
(実施の形態の効果)
上記の本発明の実施の形態に掛かる発光装置1、2によれば、リフレクター12が第1の突起122と第2の突起124によるシール機能を有することにより、Oリングなどのシール部材などの使用数が抑えられている。このため、発光素子11の実装領域が密閉された、水中での使用も可能な防水性に優れた構造を有しながら、構成部品点数が抑えられている。
【0052】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【0053】
また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0054】
1、2 発光装置
10 基板
11 発光素子
12 リフレクター
121 上面
122 第1の突起
123 下面
124 第2の突起
126 凹部
13 防水シート
14 カバー
141 開口部
142 弾性部
143 ツメ
15 ケーブル
16 ヒートシンク
18 貫通孔
21 ケーブルブッシュ
20 スペーサー
201 突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6