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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240328BHJP
   B60K 35/00 20240101ALI20240328BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
G06F3/041 480
B60K35/00
G06F3/041 600
B60R16/02 630L
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020091817
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021189572
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】矢田 直人
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/123661(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/062078(WO,A1)
【文献】特開2018-124792(JP,A)
【文献】特開2011-220476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
B60K 35/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる支持部と、
画像を表示するディスプレイ及び前記ディスプレイを覆い使用者によるタッチ操作を検出するタッチセンサが設けられ、前記支持部に板バネにより振動可能に支持される振動表示部とを備え、
前記振動表示部には、前記タッチセンサが前記タッチ操作を検出すると前記振動表示部を前記車両の左右方向に振動させる駆動部が設けられ、
前記板バネは、前記左右方向に延在して前記振動表示部に取り付けられる第一の取付片と、前記第一の取付片の左端又は右端から前記車両の前方に延在する第一の延長片と、前記左右方向に延在して前記支持部に取り付けられる第二の取付片と、前記第二の取付片の右端又は左端から前記車両の後方に延在する第二の延長片と、前記第一の延長片の前端及び前記第二の延長片の後端を連結する連結片とを備え、
前記支持部と前記振動表示部との間には、前記使用者による前記振動表示部の押込操作を検出するフォースセンサが設けられ
前記車両の前後方向から見たとき、前記第一の取付片と前記第二の取付片と前記連結片が重なっていることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記連結片は、前記使用者により前記振動表示部が押し込まれていない状態で前記左右方向に延在することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記連結片は、前記使用者により前記振動表示部が押し込まれた状態で前記左右方向に延在することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者によるタッチ操作を検出し、その検出を使用者に振動でフィードバックする車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、使用者によるタッチ操作を検出し、その検出を使用者に振動でフィードバックするハプティクス機能を有する表示装置が知られている。例えば特許文献1に記載の触覚伝達装置では、携帯情報端末等の電子機器の表示部(ディスプレイ)を含むタッチ入力モジュールが、表示部のタッチ操作面に交差する弾性厚さを有する弾性ゴム材により筐体に支持され、振動アクチュエータによりタッチ操作面に沿った横振動をして触覚フィードバックを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-200533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の触覚伝達装置では、タッチ入力モジュールが弾性ゴム材により筐体に支持されているが、車両において、大型化が進むディスプレイが設けられて使用者のタッチ操作により振動する振動表示部を弾性ゴム材により支持しようとすると、車両の走行時に不用意に振動しない支持剛性(支持強度)とハプティクスのために必要な振動のしやすさとを両立させる弾性ゴム材の設計が難しいという問題がある。
【0005】
また、特許文献1においてタッチ入力モジュールがタッチ操作面に沿ったx方向に振動するように、ハプティクス機能を有する表示装置は、一般に、タッチ操作面に沿った一方向の振動を許容する構成を有し、タッチ操作面を押し込む方向への力が加わっても機構的に変形しない。したがって、表示装置がタッチ操作のみならず押込操作を受け付けようとしても、押込操作を検出することが困難である。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、振動表示部を弾性ゴム材によらずに振動可能に支持することができ、タッチ操作とともに押込操作も検出可能な車両用表示装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両用表示装置は、車両に設けられる支持部と、画像を表示するディスプレイ及び前記ディスプレイを覆い使用者によるタッチ操作を検出するタッチセンサが設けられ、前記支持部に板バネにより振動可能に支持される振動表示部とを備え、前記振動表示部には、前記タッチセンサが前記タッチ操作を検出すると前記振動表示部を前記車両の左右方向に振動させる駆動部が設けられ、前記板バネは、前記左右方向に延在して前記振動表示部に取り付けられる第一の取付片と、前記第一の取付片の左端又は右端から前記車両の前方に延在する第一の延長片と、前記左右方向に延在して前記支持部に取り付けられる第二の取付片と、前記第二の取付片の右端又は左端から前記車両の後方に延在する第二の延長片と、前記第一の延長片の前端及び前記第二の延長片の後端を連結する連結片とを備え、前記支持部と前記振動表示部との間には、前記使用者による前記振動表示部の押込操作を検出するフォースセンサが設けられ、前記車両の前後方向から見たとき、前記第一の取付片と前記第二の取付片と前記連結片が重なっていることを特徴とする。
【0008】
前記連結片は、前記使用者により前記振動表示部が押し込まれていない状態で前記車両の左右方向に延在してもよく、あるいは、前記使用者により前記振動表示部が押し込まれた状態で前記車両の左右方向に延在してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る車両用表示装置によれば、振動表示部を弾性ゴム材によらずに振動可能に支持することができ、タッチ操作とともに押込操作も検出可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】発明を実施するための形態に係る車両用表示装置を示す説明図である。
図2図1の車両用表示装置のA-A線に沿った断面図である。
図3図1の車両用表示装置の固定部、板バネ及び振動部の分解図である。
図4図1の車両用表示装置の板バネを示す説明図である。
図5図1の車両用表示装置の板バネの変形及び振動を示す説明図である。
図6】板バネの他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
【0012】
図1乃至図3に示すように、本実施の形態に係る車両用表示装置1は、図示を略す車両のクラスターに設けられ、車両の車体に固定される固定部2と、弾性部材である板バネ3により固定部2に振動可能に支持される振動部4とを備え、固定部2と振動部4との間には、フォースセンサ5が設けられている。
【0013】
詳しくは、固定部2は、金属製の車体側支持体6と、樹脂製のカバー7とを備える。
【0014】
車体側支持体6は、長方形状の基部8と、基部8の(長方形の)短辺に2つずつ設けられて車体にねじ止め固定される固定片9と、基部8の左右方向(図1の左右方向で、車両の左右方向に合致)の両端部において前方(図1の下方で、車両の前方に合致)に突出する前側凸部10と、基部8の左右方向の両端部で後方(図1の上方で、車両の後方に合致)に突出する後側凸部11と、基部8に形成された4つの矩形状の孔部12とを有し、フォースセンサ5は、後側凸部11の後端面の固定片9に近接する位置に計4つ設けられている。
【0015】
カバー7は、車体側支持体6を固定片9を除いて前方側から覆い、車体側支持体6の前側凸部10が当接する長方形状の前壁部13と、前壁部13の(長方形の)4辺に沿って後方に延在する周壁部14とを有する。周壁部14には、固定片9がカバー7の外部に露出するように、固定片9が挿通する挿通部15が設けられている。
【0016】
振動部4は、金属製のディスプレイ側支持体16と、表示部17と、カバーガラス18と、タッチセンサ19と、アクチュエータ20とを備える。
【0017】
ディスプレイ側支持体16は、長方形状の前壁部21と、前壁部21の(長方形の)4辺に沿って後方に延在する周壁部22と、周壁部22の後端に設けられたフランジ部23とを有する。前壁部21には、左右方向の両端部において前方に突出する凸部24が設けられるとともに、4つの矩形状の孔部25が形成されている。
【0018】
表示部17は、ディスプレイ26を有し、例えば車両のメーターパネルの画像を表示するものであっても、CID(Center Information Display)として機能するものであってもよい。表示部17の前面27の側(ディスプレイ26の反対側)には、前方に突出する凸部28が設けられ、凸部28がディスプレイ側支持体16の前壁部21の後面29に当接することにより、前面27と後面29との間に空間30が形成されている。
【0019】
カバーガラス18は、ディスプレイ側支持体16のフランジ部23に固着され、タッチセンサ19は、ディスプレイ26を覆うようにカバーガラス18に貼着されている。使用者がディスプレイ26の表示画像に応じてカバーガラス18に指を接近させるタッチ操作を行うと、タッチセンサ19はそのタッチ操作を検出する。
【0020】
アクチュエータ20は、ディスプレイ側支持体16の前壁部21の前面31において略中央の重心位置(図2の紙面平行な面における振動部4の重心位置)Gに設けられ、使用者によるタッチ操作をタッチセンサ19が検出すると、振動部4を左右方向に振動させる。
【0021】
板バネ3は、図4に示すように、帯状の金属板が長手方向の4か所で略直角に折り曲げられてなり、振動部4のディスプレイ側支持体16に取り付けられる取付片32と、取付片32の左端から屈曲して同図の下方に延在する延長片33と、固定部2の車体側支持体6に取り付けられる取付片34と、取付片34の右端から屈曲して同図の上方に延在する延長片35と、延長片33の下端及び延長片35の上端を連結する連結片36とを有する。取付片32,34には、円形の挿通穴37,38がそれぞれ設けられている。
【0022】
振動部4が固定部2に支持された状態で、ディスプレイ側支持体16の4つの孔部25は、それぞれ、車体側支持体6の4つの孔部12と左右方向にオフセットして対向し、板バネ3は、その孔部12と孔部25との組ごとに計4つ設けられる。すなわち、延長片33が孔部25を挿通し、延長片35が孔部12を挿通した状態で、取付片32は、挿通穴37を挿通するネジ39により、ディスプレイ側支持体16の前壁部21の後面29に取り付けられ、取付片34は、挿通穴38を挿通するネジ40により、車体側支持体6の基部8の前面41に取り付けられる。
【0023】
板バネ3が固定部2及び振動部4に取り付けられると、取付片32,34及び連結片36は車両の左右方向に、延長片33は車両の前方に、延長片35は車両の後方にそれぞれ延在し、4つの板バネ3は、重心位置Gを通り左右方向に延びる直線Lから略等距離の位置に2つずつ上下対になって、向きを揃えて配置される。
【0024】
車両用表示装置1では、使用者によるタッチ操作が検出されると、図5に示すように、ディスプレイ側支持体16を含む振動部4は、車両の前後方向の位置を変えずに、車体側支持体6を含む固定部2に対して左右方向に振動する。このとき、取付片32,34に対して延長片33,35が斜めに傾くが、連結片36は取付片32,34と同様に左右方向に延在するので、4つの板バネ3が向きを揃えて直線Lから略等距離に位置することとも相まって、振動部4は効率的に左右に揺れる。
【0025】
また、車両用表示装置1は、使用者がカバーガラス7を指で押し込む押込操作も受け付け、これに応じて振動部4が振動する。つまり、使用者による押込操作で板バネ3が潰れるように変形し、ディスプレイ側支持体16が前方に移動して凸部24からフォースセンサ5に閾値を超える圧力が加わると、その押込操作が検出され、振動部4は、車両の前方に押し込まれた位置で固定部2に対して左右方向に振動するが、このとき、連結片36は、延長片33,35に対して直角ではなく鋭角をなして斜めに傾き、取付片32,34に対しては平行でなくなる。
【0026】
本実施の形態に係る車両用表示装置1は、車両に設けられる固定部2と、画像を表示するディスプレイ26及びディスプレイ26を覆い使用者によるタッチ操作を検出するタッチセンサ19が設けられ、固定部2に板バネ3により振動可能に支持される振動部4とを備え、振動部4には、タッチセンサ19がタッチ操作を検出すると振動部4を振動させるアクチュエータ20が設けられ、板バネ3は、車両の左右方向に延在して振動部4に取り付けられる取付片32と、取付片32の左端から車両の前方に延在する延長片33と、車両の左右方向に延在して固定部2に取り付けられる取付片34と、取付片34の右端から車両の後方に延在する延長片35と、延長片33の前端及び延長片35の後端を連結する連結片36とを備え、固定部2と振動部4との間には、使用者による振動部4の押込操作を検出するフォースセンサ5が設けられているので、取付片32,34に対して延長片33,35が斜めに傾くように変形する板バネ3により、振動部4を弾性ゴム材によらずに振動可能に支持することができ、その板バネ3が、延長片33,35に対して連結片36が斜めに傾くように変形することによって振動部4の押し込みが許容され、振動部4と固定部2との間のフォースセンサ5により押込操作も検出可能である。
【0027】
ところで、図1乃至図5では、連結片36が、使用者により振動部4が押し込まれていない状態で左右方向に延在することによって、タッチ操作時に振動部4が振動しやすいように最適化されていたが、図6に示すように、連結片36が、使用者により振動部4が押し込まれていない状態では延長片33,35に対して直角ではなく鈍角をなし、使用者により振動部4が押し込まれた状態で左右方向に延在するように形成されてもよい。これにより、タッチ操作時ではなく押込操作時に振動部4が振動しやすいように最適化される。
【0028】
以上、本発明を実施するための形態について例示したが、本発明の実施形態は上述したものに限られず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更等してもよい。
【0029】
例えば、板バネの仕様(具体的な形状を含む。)、数、配置及び取付方法、並びに、ディスプレイやアクチュエータの数及び配置等も任意でよい。
【符号の説明】
【0030】
1 車両用表示装置
2 固定部(支持部)
3 板バネ
4 振動部(振動表示部)
5 フォースセンサ
19 タッチセンサ
20 アクチュエータ(駆動部)
26 ディスプレイ
32 取付片(第一の取付片)
33 延長片(第一の延長片)
34 取付片(第二の取付片)
35 延長片(第二の延長片)
36 連結片
図1
図2
図3
図4
図5
図6