(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】二次元コード付カード用カードケース
(51)【国際特許分類】
B42D 15/00 20060101AFI20240328BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20240328BHJP
G06K 19/00 20060101ALI20240328BHJP
A45C 11/18 20060101ALI20240328BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
B42D15/00 341D
G06K19/06 037
G06K19/00 050
A45C11/18 Z
G02F1/13 505
(21)【出願番号】P 2023064498
(22)【出願日】2023-03-27
【審査請求日】2023-03-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517120116
【氏名又は名称】みらいみる株式会社
(72)【発明者】
【氏名】江原 泰蔵
(72)【発明者】
【氏名】西川 和憲
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-077281(JP,A)
【文献】特開2009-86255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/00
G09F 1/10- 1/14
G06K 19/06
G06K 19/00
A45C 11/18
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶シャッター機能として、液晶調光フィルムまたはワイヤグリッド偏光フィルムを用いたTN液晶シャッターを備えたカードケースであって、前記液晶シャッターの背後にある
二次元コード付カードの
二次元コードを瞬時に表示したり、隠したりして
二次元コードが不正に読み取られることを防止する機能を
備えた二次元コード付カード用カードケース
であって、
前記液晶シャッターのサイズは前記
二次元コード付カードと同じ大きさで構成し、前記カードケースは前記液晶シャッターの前面に配置した透明な前カバーと前記液晶シャッターの後面に配置した不透明な後カバーで構成され、前記前カバーと前記後カバーそれぞれの外周縁部分の三辺を接合した帯状のスペーサを備えて、前記前カバーと前記後カバーの間の収納空間に前記液晶シャッターと前記
二次元コード付カードを
挿入して収納可能としたことを特徴とする
二次元コード付カード用カードケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶シャッターを用いたカードケースであって、液晶シャターの背後に二次元コード付カードを収納することができ、二次元コードが不正に読み取られることを防止する機能を備えたカードケースに関する。
【背景技術】
【0002】
二次元コードの代表的なQRコード(登録商標)の主な用途は、電子決済をはじめ、チラシや広告からホームページへ誘導することや商品の情報や生産者の情報をみることができること、さらにコンサートやイベントなどの電子チケットとして使用できることなど、いろいろな分野に拡大している。QRコードが普及している要因のひとつが手軽さであり、専用のリーダー(読み取り機)を必要とせず、スマホやガラケーのカメラの画像処理でデータを読み取れることにある。
【0003】
マイナンバーカードにもQRコードが使用され始めた。現在、政府は総合経済対策として健康保険証、運転免許証などをマイナンバーカードへの一本化を進めているので、マイナンバーカードの利便性が増して、今後、利用者は頻繁に持ち歩くものと予想される。
【0004】
しかしながら、マイナンバーカードを含む一部のカードのQRコードには個人に関わる重要な情報が含まれており、QRコードは、スマホやガラケーのカメラの画像処理でデータを読み取れるので、むやみに露出させることは、個人情報保護の観点から好ましくない。
【0005】
特許文献1では、IDカードを隠して収納するカードケース1とそのカードケース1を収納して、隠し情報を可視画像に表示するカードケース2で構成されているが、同時に二つのカードケースを持ち歩くのは利便性に欠ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【文献】「製品カタログ2016」、サンテックディスプレイ株式会社、p.3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、QRコードの表示を適切に保護できるように、通常はカードのQRコードを目隠し状態にして、QRコードの開示が必要な場合に、カードケースからQRコード付カードを取り出すことなく、QRコードを開示できるカードケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、液晶シャッター機能として、液晶調光フィルムまたはワイヤグリッド偏光フィルムを用いたTN液晶シャッターを備えたカードケースであって、前記液晶シャッターの背後にある二次元コード付カードの二次元コードを瞬時に表示したり、隠したりして二次元コードが不正に読み取られることを防止する機能を備えた二次元コード付カード用カードケースであって、
前記液晶シャッターのサイズは前記二次元コード付カードと同じ大きさで構成し、前記カードケースは前記液晶シャッターの前面に配置した透明な前カバーと前記液晶シャッターの後面に配置した不透明な後カバーで構成され、前記前カバーと前記後カバーそれぞれの外周縁部分の三辺を接合した帯状のスペーサを備えて、前記前カバーと前記後カバーの間の収納空間に前記液晶シャッターと前記二次元コード付カードを挿入して収納可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のカードケースは、液晶シャター機能が備わっているので、重要なQRコードをむやみに露出させることなく、安心して持ち歩くことができ、QRコード開示の度にカードケースから取り出すことなく、瞬時にQRコードを見せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】電圧オフ状態と電圧オン状態の液晶シャッターの正面図
【
図8】液晶シャッターがカードケースに収納された正面図
【
図12】TN液晶シャッターがカードケースに収納された正面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、
図1~
図13に基づいて説明する。
【0014】
[第一の実施の形態]
一般的に、液晶シャッターは外部から透明電極膜を通して印加される電圧によって透過光量を制御するデバイスであり、主にカメラ、レーザーシャッター、またはマイクロスコープ等に応用されている。
【0015】
図1は、非特許文献1から引用した液晶調光ガラスの液晶シャッター原理の説明図である。
図1の左に示す様に、液晶シャッターは、スポンジのような細かい網目構造のポリマーの隙間を液晶分子が埋めて、そのポリマーと液晶分子が集合した液晶相を透明電極膜付の透明ガラスで挟んだ構造をしており、電圧オフの状態では、液晶分子はランダムな方向を向き、無配向状態になって、液晶相と網目状ポリマーとの屈折率の差により、入射光が散乱光となって、液晶シャッターの面が白濁不透明になる。
【0016】
上下の透明電極膜に電圧(E)をかけると、
図1の右に示す様に、液晶分子が電圧をかけた方向に沿って直線的に並び、液晶相の屈折率が(膜厚方向から見て)小さくなり、液晶相と網目状ポリマーの屈折率差がほとんど無くなるので、入射光の散乱の度合が小さくなり、液晶シャッター面が透明に見える。
【0017】
図1では、液晶シャッターに透明電極膜付の透明ガラスを用いているが、液晶調光フィルムを用いてもよい。液晶シャッターの原理・機能については両方とも全く同じである。さらに液晶調光フィルムの製造方法は、現在では、フィルム基板としたITO膜付フィルム(ポリエチレンテレフタレート)を用いてロールツーロール(RTR)のプロセスで生産するのが一般的であり、ロールから取り出された液晶調光フィルムは、種々の用途サイズに裁断され、主に既存のガラスに貼られての使用や、ガラスに挟まれた液晶調光ガラスとして建材用途などに使用されている。
【0018】
液晶調光フィルムは、ディスプレイ用液晶素子(TN,TFTなど)と異なり、液晶の配向処理や偏光フィルタが不要になるので、電圧オン時の全光線透過率は約90%、平行光線透過率が約80%となり、表示が明るく、製造工程上も簡便である。また、電圧オフ時の全光線透過率は約2%である。
【0019】
図2は、本発明の請求項1の液晶シャッター1の正面図であり、その背後にQRコード2を表示したQRコード付カード3を配置して、液晶シャッター1とQRコード付カード3の平面サイズを比較したものである。液晶シャッター1は、電圧印加のスイッチ4を備えたカバーユニット5とシャッターユニット6が一体化して構成される。
【0020】
図3は、
図2のA―A′線の断面図である。シャッターユニット6は、光シャッター機能を有する液晶調光フィルム7とアクリル透明板8が重なった二層で構成される。
【0020】
液晶調光フィルム7の平行光線透過率は、電圧オフ時では約2%であり、0%ではないので、液晶調光フィルム7にQRコード付カード3を密着させると、背後のQRコード2が視認できる程度にうっすら透けて見える。液晶調光フィルム7とQRコード付カード3の間隔を広くすれば、液晶調光フィルム7からQRコード2へ向かう光の散乱度が増して、シャッターユニット6の背後に配置されたQRコード2が見えにくくなる。その間隔が少なくとも3mm以上であれば、背後のQRコード2が視認できなくなる。従って、
図3に示す様に、シャッターユニット6は、液晶調光フィルム7とアクリル透明板8(厚さ約3mm以上)の二層構造になる。
【0021】
カバーユニット5には、指でスイッチ4を軽く押すと、電圧が印加されて液晶調光フィルム7が透明になるように、3V電圧のコイン型電池(図示せず)と液晶調光フィルム7の電極取り出し端子(図示せず)が内蔵されている。
【0022】
シャッターユニット6の平面サイズは、表示・非表示の目的に使用するQRコード付カード3と同じである。そのサイズは、国際規格「ISO/IEC7810 ID-1」の(縦53.98mm、横85.60mm、厚さ0.8mm)を参考にしたものであり、マイナンバーカードに加え、IDカード、クレジットカード、運転免許証などと同じである。
【0023】
シャッターユニット6は、
図3に示す様に、両面に透明な表面保護フィルム(図示せず)を用いた液晶調光フィルム7(厚さ約0.4mm)とアクリル透明板8(厚さ約3mm以上)の二層で構成からなり、その厚みは合算して約3.4mm以上になるので、カバーユニット5の厚みも、同じく約3.4mm以上とする。
【0024】
カバーユニット5は、厚さ約0.5mmの不透明な硬質プラスチック樹脂の枠体からなり、カバーユニット5には、直径約6mmの電圧印加スイッチ5と直径約9mm、高さ約2.5mmのコイン型電池(図示せず)が縦向きに内蔵されるので、カバーユニット5の縦の長さは少なくとも約10mm必要であり、厚さ(奥行)と横の長さは、
図2及び
図3に示す様に、シャッターユニット7と同じ長さである。
【0025】
図4の左は、シャッターユニット6の背後にQRコード付カード3が重なって配置された、液晶シャッター1の電圧オフ状態の正面図である。シャッターユニット6の液晶調光フィルム7は白濁不透明の状態であり、
図3に示す様に、その背後には厚さが約3mm以上のアクリル透明板8を備えているので、QRコード2は透けて見えない。
【0026】
図4の右は、液晶シャッター1が電圧オン状態になった正面図である。シャッターユニット6の背後に白濁不透明状態で目隠しされていたQRコード2が、指でスイッチ4を軽く押して電圧オンされることにより、瞬時に表示された状態である。平行光線透過率が約80%になるので、QRコード2がはっきり見える。
【0027】
図5は、カードケース9の本体の正面図である。カードケース9は、液晶シャッター1とQRコード付カード3を重ねて収納し、普段持ち歩くことができて、QRコード2の開示が必要な場合、QRコード付カード3をカードケース9から取り出すことなく、その中に収納・保持したまま、QRコード2が読み取り可能な状態で開示できるものが望ましい。
【0028】
カードケース9は、
図5に示す様に、全体して矩形の平板形状を有し、カードケース9の両面が前カバー10と後カバー11で構成される。帯状のスペーサ12で囲われた前カバー10と後カバー11の内側の平面サイズは、シャッターユニット6及びQRコード付カード3の平面サイズと同じであるか、若干大きくすることが望ましい。液晶シャッター1とQRコード付カード3は、挿入口13Aを通して、カードケース9に収納される。
【0029】
図6は
図5のB-B’線の断面図である。帯状のスペーサ12は、厚みを有し、前カバー10と後カバー11とを接合した後、前カバー10と後カバー11との間隔を一定に保持する役目をする。
【0030】
前カバー10と後カバー11は、厚みを有した帯状のスペーサ12によって接合され、前カバー10と後カバー11の間に、液晶シャッター1とQRコード付カード3の収納空間13が形成される。この収納空間13は、後カバー11を背に、前カバー10が開くポケット状になっているので、シャッターカバー5に備られたスイッチ4を押しやすく、またカードケース9の挿入口13Aを通して、液晶シャッター1とQRコード付カード3が出し入れしやすい。
【0031】
図7は、カードケース9を作成する工程図の一例である。カードケース9は、以下の方法で製造される。透明な前カバー10は薄板の硬質塩ビ樹脂、不透明な後カバー11も薄板の硬質塩ビ樹脂、帯状のスペーサ12は弾力性を有する軟質塩ビ樹脂であって、
図7に示す様に、前カバー10と後カバー11が、互いに対向するように前後に配置され、後カバー11の外周縁部分の三辺に沿って、コの字形に帯状のスペーサ12が配置され、前カバー10が帯状のスペーサ12を挟んで、後カバー11と接合し一体化されて、
図6に示す様に、QRコード付カード3及び液晶シャッター1の収納空間13が確保される。
【0032】
帯状のスペーサ12を配置しない後カバー11の一方の長辺には、前カバー10と後カバー11との間に挿入口13Aを形成することにより、液晶シャッター1とQRコード付カード3を重ねてカードケース9の収納空間13に収納することができる。
【0033】
前カバー10と後カバー11及び帯状のスペーサ12の三層の接合は、両面が接着剤となる帯状のスペーサ12を用いてよく、また帯状のスペーサ12の両面を前カバー10と後カバー11の各々と、接着剤を用いて接合してよく、さらに高周波誘電加熱によりこれらの三層を同時に溶着させてもよい。
【0034】
図8は、液晶シャッター1とQRコード付カード3が挿入口13Aからカードケース9の収納空間13に収納・保持された電圧オフ状態の正面図である。電圧オフ状態では、シャッターユニット6は、白濁不透明であり、厚さ約3mm以上のアクリル透明板8を備えているので、背後のQRコード2が視認不可能であり、スマホやガラケーのカメラでQRコード2を読み取ることができない。またカバーユニット5の前面に、前カバー10がないので、カバーユニット5に備られたスイッチ4を指で押しやすい。
【0035】
スイッチ4を指で軽く押すことにより、液晶シャッター1が電圧オン状態となり、
図4の左に示す様に、シャッターユニット6の背後に、白濁不透明状態で目隠しされていたQRコード2が、
図4の右に示す様に、瞬時に表示される。平行光線透過率が約80%になるので、QRコード2がはっきり見える。
【0036】
図9は、
図8のC-C′線の断面図である。前カバー10と後カバー11の間のカードケース9の収納空間13に、液晶シャッター1とQRコード付カード3が収納される。
図8に示すスイッチ4を指で軽く押すことにより、液晶シャッター1が電圧オン状態になり、背後にあるQRコード2が瞬時に表示されるので、QRコード2を開示する場合、QRコード付カード3をカードケース9から取り出す必要はない。
【0037】
帯状のスペーサ12の厚さの寸法は、カードケース9の収納空間13に挿入される液晶シャッター1とQRコード付カード3を重ねた厚さ寸法と同じかまたは、それよりも若干厚くなるように形成されることが必要である。
【0038】
シャッターユニット6の厚さは、両面に表面保護フィルム(図示せず)を用いた液晶調光フィルム7の厚さ(約0.4mm)、アクリル透明板8の厚さ(約3.0mm以上)、さらにQRコード付カード3の厚さ(約0.8mm)を合わせて約4.2mmになる。従って、収納空間13を形成する帯状のスペーサ12の厚さ寸法が約4.2mmまたはそれよりも若干厚くなれば、液晶シャッター1とQRコード付カード3がードケース9に隙間なく収納できる。
【0039】
通常、マイナンバーカードの裏面にはQRコード2が表示されており、表面には個人情報が登録・記載されている。カードケース9の後カバー11が不透明なので、マイナンバーカードの表裏面を入れ替えて、カードケース9に収納し、マイナンバーカードの表面に記載の個人情報を、カードケース9に保持した状態のまま、開示・非開示にすることもできる。
【0040】
[第二の実施の形態]
以下は、液晶調光フィルム7に代わって、TN液晶ガラスセルをTN液晶シャッターとして用いた実施例である。
【0041】
一般的に、光が通らないように偏光方向を直交させた上下2枚の偏光フィルタの間に、TN液晶セルを挟むと、電圧オフ状態では上側の偏光フィルタから入った光は液晶分子の隙間に沿って90度ねじれるので、下側の偏光フィルタを通過できる。電圧オン状態では、液晶分子が直立してねじれが取れるので、上側の偏光フィルタから入った光は、そのまま下側に向かうので、下側の偏光フィルタを通過できない。つまり、偏光フィルタが直交したTN液晶シャッターでは、電圧オフ状態では光が通り、電圧オン状態では光が遮断される。
【0042】
上記一般的な偏光フィルタの直行とは逆に、偏光フィルタが平行したTN液晶シャッターでは、電圧オフ状態では光が通り、電圧オン状態では光が遮断される。
【0043】
しかしながら、液晶ディスプレイ用に幅広く使用されている偏光フィルタは、ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素などの二色性色素染料を含浸させたフィルムを一定方向に引き伸ばす方法で製造されるので、偏光フィルタが平行に貼り付けられたTN液晶シャッターでは、電圧オン状態で平行光線透過率が半分以下となり、サングラスをかけて見たように背後の対象物の表示が暗く見える。
【0044】
一方、ワイヤグリッド偏光フィルタは、フィルムの表面上に微細な金属のグリッド(スリット状)を100nmピッチの間隔で、厚さ1μmに形成することにより,ワイヤグリッドと直交に振動する光を透過させ、ワイヤグリッドと平行に振動する光を反射させて、偏光機能を高めたものであり、前記有機系染料からなるディスプレイ用途の偏光フィルタに比べ、平行光線透過率がかなり高く、耐熱性に優れるので、主にヘッドアップディスプレイやVR機器に使用されている。
【0045】
図10は、第二の実施の形態のTN液晶シャッター14の正面図である。
TN液晶シャッター14は、第一の実施の形態の液晶シャッター1と同様に、TNシャッターユニット15とTNカバーユニット16が一体化して構成され、その平面サイズも同じである。TNカバーユニット16もまた、第一の実施の形態と同じく、スイッチ5、コイン型電池(図示せず)が備えられ、TN液晶ガラスセル18の基板からのITO電極取り出し端子(図示せず)が備えられている。
【0046】
図11は
図10のD-D′線の断面図である。TNシャッターユニット15は、ワイヤグリッド偏光フィルタ17を用いたTN液晶ガラスセル18のみで構成される。第一の実施の形態に用いた
図9のアクリル透明板8を省けるので、TNシャッターユニット15の厚さは、第一の実施の形態の
図9のシャッターユニット6の場合に比べて、かなり薄くなる。
【0047】
TN液晶シャッター14として、TN液晶ガラスセル18に代わり、TN液晶フィルムセルを用いても良いが、生産量の観点からTN液晶ガラスセル18を用いる方が好ましい。
【0048】
TNシャッターユニット15のTN液晶ガラスセル18は、下記の一般的なプロセスを経て作成される。TNシャッター用として、スタティック駆動用にパターン化した大判サイズのITOガラス膜付基板(厚さ約0.7mm)の洗浄から始まり、配向膜塗布、ラビング、スペーサー(粒径約10μm)の塗布、そして2枚のITOガラス基板を貼り合わせた後、TNシャッターユニット15の平面サイズにカットされたガラスセルが完成し、次に、液晶の注入と封止及びワイヤグリッド偏光フィルタ17の両面貼り付けて工程を経て、TN液晶ガラスセル18が完成する。そのセルギャップ19は約10μmである。
【0049】
電圧オフ状態では、ワイヤグリッド偏光フィルタ17を用いたTNシャッターユニット15の平行光線透過率がほぼ0%なので、第一の実施の形態の
図4の左と同様に、TNシャッターユニット15の背後にあるQRコード2は全く見えない。この場合、TNシャッターユニット15の表面は反射光により銀鏡状に見える。従って、第一の実施の形態で用いたアクリル透明板8は必要ない。
【0050】
電圧オンの状態では、このワイヤグリッド偏光フィルタ17を用いたTNシャッターユニット15は、80%以上の平行光線透過率を有するので、
図4の右の様に、背後のQRコード2がはっきり見え、ガラケーやスマホのカメラでQRコード2が読み取り可能になる。
【0051】
図12は、TN液晶シャッター14とQRコード付カード3が、第二の実施の形態のカードケース20に収納・保持された電圧オフ状態の正面図であり、第一の実施の形態の
図8に相当するものである。
【0052】
カードケース20は、TN液晶シャッター14とQRコード付カード3を重ねて収納して、普段持ち歩くことができて、QRコード2の開示が必要な場合、QRコード付カード3をカードケース20から取り出すことなく、QRコード2を開示できるものであり、第一の実施の形態の場合と同様に使用される。
【0053】
さらに、カードケース20は、その平面サイズや形状及び前カバー10、後カバー11などの部材、さらに第一の実施の形態のカードケース9と同じなので、詳細な説明は省略する。
【0054】
前記液晶シャッター1とTN液晶シャッター14は、各々のカバーユニット5、16も含めて同じ平面サイズなので、
図8と
図12において、異なった部分は見当たらない。
【0055】
図13は、
図12のE-E′線の断面図である。前カバー10と後カバー11の間のカードケース20の収納空間13に、TN液晶シャッター14とQRコード付カード3が収納される。
図12に示すスイッチ4を指で軽く押すことにより、TN液晶シャッター1が電圧オン状態になり、背後にあるQRコード2が瞬時に表示されるので、QRコード2を開示する場合、QRコード付カード3をカードケース20から取り出す必要はない
【0056】
この場合の帯状のスペーサ12の厚さの寸法も、第一の実施の形態と同様に、カードケース20の収納空間13に挿入されるTN液晶シャッター1とQRコード付カード3を重ねた厚さ寸法と同じかまたは、それよりも若干厚くなるように形成されることが必要である。
【0057】
TNシャッターユニット15の厚さは、TN液晶ガラスセル18(2枚)の厚さ(約1.4mm)、表面保護フィルム(図示せず)を用いたワイヤグリッド偏光フィルタ17(2枚)の厚さ(約0.4mm)、さらにQRコード付カード3の厚さ(約0.8mm)を合算して、約2.6mmとなる。従って、帯状のスペーサ12の厚さ寸法が約2.6mmまたはそれよりも若干厚くなれば、TN液晶シャッター1とQRコード付カード3は、カードケース20に隙間なく収納できる。
【符号の説明】
【0058】
1 液晶シャッター
2 QRコード
3 QRコード付カード
4 スイッチ
5 カバーユニット
6 シャッターユニット
7 液晶調光フィルム
8 アクリル透明板
9 カードケース(第一の実施の形態)
10 前カバー
11 後カバー
12 帯状のスペーサ
13A 挿入口
13 収納空間
14 TN液晶シャッター
15 TNシャッターユニット
16 TNカバーユニット
17 ワイヤグリッド偏光フィルタ
18 TN液晶ガラスセル
19 セルギャップ
20 カードケース(第二の実施の形態)
【要約】
【課題】QRコードが不正に読み取られることを防止する機能を備えた、QRコード付カード用カードケース
【解決手段】液晶シャター面の背後にQRコード付カードを重ねて、カードケースに収納する。通常の電圧オフ時は、液晶シャター面が白濁不透明なので、QRコードが読み取れない。電圧オンすることにより、液晶シャッター面が透明になり、カードケースに収納・保持されたQRコード付カードのQRコードが瞬時に表示され、はっきり視認できて読み取れる。
【選択図】
図9