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  • 特許-旋回性の良い四輪駆動車制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】旋回性の良い四輪駆動車制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60K 17/348 20060101AFI20240328BHJP
   B60K 23/08 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
B60K17/348 B
B60K23/08 C
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020098928
(22)【出願日】2020-05-08
(65)【公開番号】P2021176734
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2023-01-24
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】511229341
【氏名又は名称】佐藤 良明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 良明
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-172819(JP,U)
【文献】特開平05-338455(JP,A)
【文献】米国特許第05332060(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/348
B60K 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力を締結・解除可能な電子制御のカップリング装置を介して、原動機の駆動力を前輪に伝える四輪駆動車において、
アクセルの開度を検出する手段を有し、ある閾値以上のアクセル開度からアクセルの閉状態となった場合には、当該の電子制御カップリング装置の締結を解除または緩和し、後輪駆動車または前輪に対して後輪の駆動力が大きい四輪駆動車として走行し、その後、アクセルの開状態を検出した場合には、当該の電子力ップリング装置を締結して、元の四輪駆動車として走行することを特徴とする四輪駆動車の駆動力制御方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四輪駆動車の前輪を駆動する制御方法に関する
【背景技術】
【0002】
現在の自動車の多くは、車室より前に搭載されたエンジンが発生する駆動力を前輪または後輪に伝えている。後輪のみ駆動する後輪駆動車、前輪のみ駆動する前輪駆動車、前輪と後輪の両方を駆動する四輪駆動車が存在する。3種類の自動車は、エンジンの駆動力を前後輪にどうやって伝えるかの違いであり、エンジン、ドライブシャフト、差動ギヤを原理とするディファレンシャル装置の構成要素で説明することができる(図1)。
【0003】
自動車が直線を走行する際は、左右のタイヤに均等の駆動力を分配すればよい。しかし、自動車がカーブを曲がる際、内側のタイヤが描く円と外側のタイヤが描く円の大きさが異なるため、エンジンの駆動力を左右のタイヤに対して均等の駆動力を分配すると、スムーズに曲がることができない。このため、駆動輪である内側のタイヤと外側のタイヤを異なる速度で回転させるためのディファレンシャル装置(差動ギヤ)が必要となる。後輪駆動車(図1a)では後輪軸上に、前輪駆動車(図1b)では前輪軸上に、ディファレンシャル装置が存在する。四輪駆動車(図1c)では、前後にディファレンシャル装置を具備するのはもちろん、前後の回転差を吸収するセンターディファレンシャル装置も具備する。
【0004】
前輪駆動車は、後輪駆動車のようにエンジンの出力を後輪に伝えるドライブシャフトが不要あり、エンジンとトランスミッションを一体化できるため、室内空間を広くしやすく、軽自動車からミニバン、セダンなど、多くの車に採用されている。後輪駆動車は、前輪が操舵、後輪が駆動と役割が分かれているため、加速やコーナリングの感覚が自然であり、走りの質感が求められるスポーツカーや高級セダンに採用されている。四輪駆動車は、トラクションが高いため雪道などの滑りやすい道での走破性が高い。一方、後輪駆動と同様にドライブシャフトが必要であり、さらに前後及びセンターの計3つのディファレンシャル装置が必要である。このため、車重も重くなり、価格が高くなるデメリットを有している。元々四輪駆動車は、不整地用の自動車として生まれたが、近年では雨や雪などの滑りやすい路面でも安定に走行できることや、ハイパワーのエンジン出力を四輪に分散して、路面に伝えることができることから、後輪駆動同様にスポーツカーや高級セダンに採用されるようなってきた。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の四輪駆動車は、不整地を走行する特殊な自動車ではなく、舗装路を安定走行のできる究極の自動車と進化してきている。一方、この舗装路用に最適化された四輪駆動車の残された欠点がカーブを曲がる際の旋回性である。一例として、図2の180度のUターン道路を用いて、四輪駆動車のカーブにおける旋回性の問題点ついて説明する。
【0006】
全ての駆動方式の自動車は、カーブ直前の区間において、アクセルを離し(以下、アクセルオフ)、ブレーキを使用して減速する(減速区間)。この時、各車の駆動輪は、ディファレンシャル装置を介してエンジンに接続されているため、ブレーキとエンジンブレーキが併用されていることになる。減速区間では、駆動方式による大きな性能の違いはない。減速区間の後、カーブに侵入する。運転者は、ブレーキを離し、ステアリングを切って、前輪を曲がる方向にむけて車の向きを変え始める(旋回区間)。Uターン道路の場合、中心より奥側にある最もカーブ道路の内側に接近する点(クリッピングポイント)を過ぎたら、アクセルを踏み始め(以下、アクセルオン)、加速を開始する(加速区間)。駆動方式の違いが現れるのは、旋回区間と加速区間である。以下、違いを説明する。
【0007】
最初に前輪駆動の旋回区間を説明する。減速区間の後、ブレーキから足を離し、ハンドル操作によって前輪の向きを変えて、旋回を開始する。この時、前輪駆動の前輪タイヤはエンジンブレーキによる制動により、縦方向にグリップ力を使っている。一方、この前輪タイヤは、遠心力に打ち勝って曲がろうとするため、横方向にもグリップ力を使うことになる。タイヤの総グリップ力は、図3のタイヤ摩擦円の半径として示され、あらゆる走行中において総力が一定であり、縦方向である制動や加速に使用するグリップの大きさと、コーナリング時に外側に出ないようにする横方向のグリップの大きさのベクトル和で表される。旋回区間における前輪駆動の前輪タイヤは、エンジンブレーキによる制動を行なっている分、カーブを曲がるために必要な横方向のグリップ力が減っていることになる。もし、この横方向のグリップ力で支えられない速度で旋回区間に突入してしまうと、前輪は横滑りを始めるので、思った以上に車がカーブの外側に出てしまう。これをアンダーステアと呼び、前輪駆動車の曲がりにくい特徴となっている。
【0008】
次に四輪駆動と後輪駆動の旋回区間を説明する。四輪駆動車の前輪は、前輪駆動車の前輪と同じように、エンジンブレーキで縦方向のグリップを使っている分、横方向のグリップが制限されている。このため、四輪駆動車の旋回は前輪駆動と同様に、アンダーステアとなる。しかし、エンジンブレーキによる制動を四輪に分散して行なっているため、前輪駆動車の前輪よりも四輪駆動車の前輪の方が横方向のグリップは大きく、アンダーステアは小さい。一方、後輪駆動車の前輪は、旋回だけを担っている。このため、旋回区間に入った後輪駆動車の前輪は、タイヤの総グリップ力の全てを横方向に利用することができる。このため、後輪駆動車では自然なコーナリング、ニュートラルステアを実現できる。以上、旋回区間における曲がりやすさを駆動方式で比較すると、後輪駆動>四輪駆動>前輪駆動となる。
【0009】
今度は、加速区間における各駆動方式の違いを説明する。最初に前輪駆動車の加速区間を説明する。アクセルを開け始め、前輪に駆動力を加えると、タイヤの総グリップ力は、前進するための縦方向のグリップ力と遠心力に打ち勝つグリップ力に分けられる。アクセルを開け過ぎ、縦方向のグリップ力を使いすぎると、横方向のグリップ力が失われ、車が外側に出てしまうアンダーステアとなってしまう。これは、旋回区間と同様である。つまり、前輪駆動車は、加速区間において、横方向にグリップ力を必要とする限り、前輪に加えられる縦方向の駆動力は制限されてしまう。
【0010】
四輪駆動車の加速区間を説明する。四輪駆動車は、加速区間において、アクセルオンで前後輪全てのタイヤを使って、エンジンの駆動力を路面に伝えて加速することができる。四輪駆動の前輪は、前輪駆動車の前輪と同じであるが、後輪でも駆動力を担っていることから、エンジン出力は四輪に分散され、各タイヤの縦方向のグリップ力を使うことができる。加速区間では、わずかにステアリングを切っており、前輪駆動と同様に、前輪のグリップ力に制限があるため、ややアンダーステアとはなるが、四輪駆動のメリットで力強く立ち上がることができる。
【0011】
最後に、後輪駆動車の加速区間を説明する。後輪自動車は、後輪タイヤの総グリップ力のほとんどを縦方向の駆動力に割り当てることができる。ただし、四輪でエンジンパワーを受け止める四輪駆動車と比較して、後輪駆動車は、後輪のみでエンジンパワーを受け止めるため、後輪タイヤの総グリップ力を超えて、エンジン出力を駆動することはできない。もし、加速区間で、極端にアクセルを開け、タイヤの縦方向グリップ力を超えてしまうと、遠心力で後輪が外側へスライドし始め、前輪はグリップを保っていることから、オーバーステアとなり、最悪は車がスピンに陥る可能性がある。以上、やや曲がりながら加速する加速区間で各社の性能を比較すると、四輪駆動>後輪駆動>前輪駆動となる。
【0012】
以上、Uターン道路を事例に各駆動方式の旋回性能を説明した。直線区間の制動区間では、各駆動方式の大きな違いはない。四輪駆動車は、加速区間で最も優れているものの、旋回区間は、前輪駆動よりは良いもののアンダーステアを有しており、曲がりにくい問題点が残っていた。
【0013】
四輪駆動車の旋回性の問題は、旋回区間のアンダーステアと加速区間のアンダーステアの2つがある。言い方を変えれば、アクセルオフ時のアンダーステアとアクセルオン時のアンダーステアである。加速区間における四輪駆動のアンダーステアは、前輪駆動のアンダーステアと違い、致命的な問題ではない。加速区間は、アクセルオン時であり、前後左右の車輪への駆動トルクを制御して、旋回性を高める解決策が多数存在するからである。しかしながら、旋回区間における四輪駆動車は、前輪がエンジンブレーキで縦方向のグリップを使用しており、横方向のグリップが不足してしまうことによるアンダーステアの問題が残っていた。
【課題を解決するための手段】
【0014】
四輪駆動の旋回時デメリットであるアンダーステアを解決するためには、旋回区間時に後輪駆動車と同様に、前輪にエンジンブレーキをかからないようにすれば良い。つまり、旋回区間は後輪駆動、加速区間は四輪駆動と駆動方式を変化させることができれば、本問題は解決する。しかしながら、通常の四輪駆動車は、前輪が機械的なディファレンシャル装置によって、エンジンに接続されており、走行状態に応じて駆動方式を変化させることは不可能である。
【0015】
近年、前輪駆動車の後輪を必要に応じて駆動するオンデマンド型の四輪駆動が実用化されている。この形態の四輪駆動車は、ディファレンシャル装置ではなく、駆動力を柔軟に締結・解除可能な電子制御の駆動力カップリング装置(以下、電子制御カップリング)を用いて後輪を駆動している。このオンデマンド型四輪駆動車の構造を応用し、前輪を必要に応じて駆動するオンデマンド型の四輪駆動車を前提とすれば、旋回区間は後輪駆動、加速区間は四輪駆動と駆動方式を変化させることができる。
【0016】
電子制御カップリングの締結・解除を行なって駆動方式を変化させる先行例がある。特願2011-96238は、エンジンブレーキの制動がかけられた旋回区間において、前輪が路面から受けるトルクの大きさよって、電子制御カップリングの締結を行い、前輪駆動から四輪駆動に駆動方式を切り替えることによって旋回性を高める技術である。特願2011-96238は、本発明と同様に、自動車の旋回性を改善するために電子制御カップリングを制御するものであるが、本発明が目標とする四輪駆動車の旋回性の問題を解決するものではない。
【0017】
第6292239号は、エンジンとモータを具備するハイブリット動力源を用いる四輪駆動車において、制動時に後輪とハイブリッド動力源を結ぶ電子制御カップリングの締結を解除し、四輪駆動から前輪駆動に切り替えることによって回生ブレーキのショックを緩和する技術である。第6292239号は、本発明が目標とする四輪駆動車の旋回性の問題を解決するものではない。
【0018】
本発明は、電子制御カップリングによって前輪へ駆動力を伝達する四輪駆動車において、アクセルオフを検出した際には、旋回準備に向けて制動区間に入ると想定し、電子制御カップリングの締結を解除する。電子制御カップリングの締結を解除された四輪駆動車は、制動区間では、後輪駆動車としてブレーキによる制動を行う。この後、カーブの旋回区間においては、後輪駆動車としてアクセルオフのまま、ステアリングを切り、後輪のエンジンブレーキによる制動で旋回区間を走行する。そして、加速区間においては、アクセルオンを検出し、電子制御カップリングを締結し、四輪駆動車として加速する。
【0019】
アクセルオフのみをトリガーにして、四輪駆動から後輪駆動へ切り替える制御では、街中で直進走行している際も、高速道路を直進している際も、アクセルオフにより四輪駆動と後輪駆動が不要に切り替わる可能性がある。本発明では、四輪駆動車の旋回性が求められるスポーツドライビングのアクセル操作に注目する。スポーツドライビングは、カーブの連続するワインディングロードやサーキットで行われる。スポーツドライビングでは、加速区間でアクセルを全開または強く踏んでおり、制動区間でアクセルオフをして、ブレーキで急減速する。つまり、スポーツドライビングでは、制動区間に入る直前に、アクセルを強く踏んでいる状態からアクセルオフへの遷移が存在する。
【0020】
本発明では、駆動力を締結・解除可能な電子制御のカップリング装置を介して、原動機の駆動力を前輪に伝えて走行する四輪駆動車において、アクセルの開度を検出する手段を有し、ある閾値以上のアクセル開度からアクセルの閉状態となった場合には、当該の電子制御カップリング装置の締結を解除し、後輪駆動車として走行し、アクセルの開状態を検出した場合には、当該の電子制御カップリングを締結して、元の四輪駆動車として走行する。本発明の制御方法によれば、四輪駆動から後輪駆動への駆動方式の変化は、旋回性を求められるスポーツドライビングの時に動作し、一般の走行中に不要な駆動方式の切り替えは抑えられる。当該の電子制御カップリング装置の締結を完全に解除するのではなく、締結状態を緩和することにより、前輪に対して後輪の駆動力が大きい四輪駆動車として走行し、アクセルの開状態を検出した場合には、当該の電子制御カップリングを締結して、元の四輪駆動車として走行することも効果がある。
【0021】
以上本発明によれば、四輪駆動車が持っていた問題点である旋回区間におけるアンダーステアを解決することができる。四輪駆動車においては、多数のセンサーによって検知した運転者の走行意図や路面状況を車載コンピュータに入力して、その瞬間に最適な前後輪または左右輪に最適な駆動力を決定することが知られている。アクセルの開度は、四輪駆動の駆動力を制御するセンサーの一つであるが、アクセルオフをトリガーにして駆動力を変更することは一般的ではない。特にセンサーのリアルタイム値ではなく、時間的に前の値を利用して駆動力を変更することはない。本発明の新規性は、旋回性の向上を目的として、アクセルオフの状態を検出した際、そのアクセルオフとなる前のアクセル開度がある閾値以上の場合のみ、電子制御カップリングの制御を行うことである。具体的には、車載コンピュータにおいて、アクセル開度を常にメモリに記録・上書きを行い、アクセルオフ状態を検出した際、アクセルオフとなる前の状態を読み出して重ね合わせ、条件が一致した場合、前輪を駆動する電子制御カップリングの締結を解除または緩和する制御を行えば良い。
【先行技術文献】
【0022】
【特許文献】
【文献】特願2011-96238 第6292239号
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】駆動方法による自動車の構成を示す図である
図2】カーブの制動区間、旋回区間、加速区間を示す図である
図3】タイヤのグリップ力を示す摩擦円の図である。
図4】本発明の前提となる四輪駆動車の構成を示す図である。
図5】本発明の四輪駆動車の駆動力制御フローを示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 エンジン
2 トランスミッション(変速機)
3 前輪
4 ディファレンシャル装置(差動ギヤ)
5 プロペラシャフト
6 後輪
7 トランスファ
8 電子制御カップリング
9 180度のUターン道路
10 制動区間
11 旋回区間
12 加速区間
13 クリッピングポイント
14 アンダーステア
15 オーバーステア
16 加速方向
17 減速方向
18 左旋回方向
19 右旋回方向
20 タイヤの総グリップ力
21 減速に使用するグリップ力
22 旋回に使用するグリップ力
【実施例1】
【0025】
本発明の実施例1を説明する。図4は、本発明の前提となる四輪駆動車の実現例であり、電子制御カップリングを締結すると四輪駆動車となり、電子制御カップリングの締結を解除すると、後輪駆動車となる。図4(a)は、前後左右のタイヤをそれぞれ独立に電子制御カップリングにより、駆動力を制御する構成である。図4(b)は、後輪駆動を前提として、電子制御カップリングを締結すると四輪駆動車となる構成である。いずれも前輪への電子制御カップリングの締結を解除すると後輪駆動車となる。図4(a)または図4(b)の四輪駆動車において、本発明の実施例1を説明する。この四輪駆動車において、図5のフローチャートで示す制御を行う。アクセルオフを検出し、そのアクセルオフの前の状態が、ある閾値以上のアクセル開度であった場合、高い旋回性の必要なカーブ手前の制動区間と判断し、前輪を駆動する電子制御カップリングの締結を解除する。車載コンピュータとしては、アクセル開度を常にメモリに記録・上書きを行い、アクセルオフ状態を検出した際、メモリからアクセルオフとなる前の状態を読み出して演算すれば良い。この後、後輪駆動車として、旋回区間に侵入する。その後、クリッピングポイントを超えてアクセルを踏み始めると、アクセルオフを検出できなくなるため、電子制御カップリングを締結して四輪駆動となり、力強く加速することができる。街中の交差点に侵入する場合は、アクセルオフにし、ゆっくりと前進する。このアクセルオフの前の状態は、強くアクセルを踏んでいることはなく、ある閾値以上のアクセル開度ではないため、駆動方式の変更は行われない。以上、本発明の四輪駆動制御方法は、カーブの連続する道路を運転するスポーツドライビングを行う際に最適である。常に四輪駆動で走行するモード、常に後輪駆動で走行するモード、本発明のモードを備え、運転者が必要に応じて走行モードを切り替えることも可能である。
【実施例2】
【0026】
本発明の実施例2を説明する。前提となる四輪駆動車は、実施例1と同じ、図4の構成である。通常時は、前後の駆動トルク配分を均等の四輪駆動車として走行する。実施例1との違いは、アクセルオフを検出し、そのアクセルオフの前の状態が、ある閾値以上のアクセル開度であった場合、前輪を駆動する電子制御カップリングの締結を完全に解除するのではなく、締結状態を緩和する。この制御により、制動区間と旋回区間においては、前輪に対して後輪の駆動トルク配分が大きい四輪駆動車として走行する。その後、アクセルの開状態を検出した場合には、当該の電子制御カップリングを締結して、前後輪を均等にトルク配分する通常の四輪駆動車として走行する。実施例2の制御フローでは、実施例1の制御フローを一部変更する。図5において、「電子制御カップリングの締結を解除」を「電子制御カップリングの締結を緩和」、「後輪駆動」を「前輪に対して後輪の駆動トルク配分が大きい四輪駆動車」とすれば良い。
図1
図2
図3
図4
図5