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  • 特許-フロート式スチームトラップ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】フロート式スチームトラップ
(51)【国際特許分類】
   F16T 1/38 20060101AFI20240328BHJP
   F16T 1/22 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
F16T1/38 A
F16T1/22 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019139290
(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公開番号】P2021021460
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】梅田 光太郎
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02550643(US,A)
【文献】特開平05-071695(JP,A)
【文献】特開昭59-069596(JP,A)
【文献】国際公開第2017/175744(WO,A1)
【文献】特開2013-245760(JP,A)
【文献】特開2001-050487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16T 1/00 - 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から流体が流入する第一流入口及び第二流入口、該第一流入口及び第二流入口と連通された弁室、及び、該弁室内の流体を外部に排出させる第一排出口及び第二排出口、該弁室と該第一排出口及び第二排出口とを連通する排出通路を有するケーシングと、
前記弁室と前記排出通路とを連通するオリフィスを有する弁座部材と、
前記弁室に昇降自在に配置され、前記弁座部材に離着座することで前記オリフィスを開閉するフロートと、
を備え、
前記第一流入口は前記ケーシングの側面に配置され、前記第一排出口は前記ケーシングの前記第一流入口に対向する側面に配置され、
前記第二流入口は前記ケーシングの上面に配置され、前記第二排出口は前記ケーシングの底面に配置されたことを特徴とするフロート式スチームトラップ。
【請求項2】
前記第一流入口及び第二流入口は、一方の流入口が配管に接続され、他方の流入口が閉栓部材で閉栓され、
前記第一排出口及び第二排出口は、一方の排出口が配管に接続され、他方の排出口が閉栓部材で閉栓されることを特徴とする請求項1に記載のフロート式スチームトラップ。
【請求項3】
前記第一流入口及び第二流入口は、一方の流入口が配管に接続され、他方の流入口が閉栓部材で閉栓され、
前記第一排出口は配管に接続され、前記第二排出口は該第二排出口からの流体の流量を調整自在な制御弁に接続されることを特徴とする請求項1に記載のフロート式スチームトラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蒸気配管系統で発生するドレンを外部に排出するフロート式スチームトラップに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気プラントなどのプラント(プロセスシステム)の蒸気配管系統では、蒸気が凝縮してドレン(復水)が発生する。発生したドレンは、スチームトラップ等を用いて外部等に排出される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、スチームトラップとしては、フロートの昇降に応じてオリフィスを開閉することで弁室に流入したドレンを排出するフロート式スチームトラップがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-050487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したフロート式スチームトラップの構成では、フロートとオリフィスとの位置関係を考慮しつつ上記配管系統を設計してトラップの取り付けを行わなければ、水平配管に接続する場合と垂直配管に接続する場合とで性能に差が出てしまう虞がある。
【0006】
この発明は、ドレン等の排出性能を維持しつつ、多様な配管方向の配管に取り付けることができるフロート式スチームトラップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提供されるフロート式スチームトラップは、ケーシング、弁座部材及びフロートを備える。ケーシングは、外部から流体が流入する第一流入口及び第二流入口、第一流入口及び第二流入口と連通された弁室、及び、弁室内の流体を外部に排出させる第一排出口及び第二排出口、弁室と第一排出口及び第二排出口とを連通する排出通路、を有する。弁座部材は、弁室と排出通路とを連通するオリフィスを有する。フロートは、弁室に昇降自在に配置され、弁座部材に離着座することでオリフィスを開閉する。また、第一流入口はケーシングの側面に配置され、第一排出口はケーシングの第一流入口に対向する側面に配置される。第二流入口はケーシングの上面に配置され、第二排出口はケーシングの底面に配置される。
【0008】
上記第一流入口及び第二流入口は、一方の流入口が配管に接続され、他方の流入口が閉栓部材で閉栓され、第一排出口及び第二排出口は、一方の排出口が配管に接続され、他方の排出口が閉栓部材で閉栓されるようにしてもよい。
【0009】
また、上記第一流入口及び第二流入口は、一方の流入口が配管に接続され、他方の流入口が閉栓部材で閉栓され、第一排出口は配管に接続され、第二排出口は第二排出口からの流体の流量を調整自在な制御弁に接続されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、フロートとオリフィスとの位置関係が維持された状態で、水平配管、垂直配管、直角エルボ配管のエルボ部にフロート式スチームトラップを配置することが可能となる。すなわち、ドレン等の排出性能を維持しつつ、多様な配管方向の配管に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の実施形態に係るフロート式スチームトラップの断面図である。
図2】この発明の実施形態に係るフロート式スチームトラップの使用形態の一例を示す断面図である。
図3】この発明の実施形態に係るフロート式スチームトラップの使用形態の一例を示す断面図である。
図4】この発明の実施形態に係るフロート式スチームトラップの使用形態の一例を示す断面図である。
図5】この発明の実施形態に係るフロート式スチームトラップの使用形態の一例を示す断面図である。
図6】この発明の実施形態に係るフロート式スチームトラップの使用形態の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照してこの発明の実施形態に係るフロート式スチームトラップについて説明する。なお、この発明の構成は、実施形態に限定されるものではない。
【0013】
図1は、この発明の実施形態に係るフロート式スチームトラップ(トラップ)1の断面図である。トラップ1は、例えば、蒸気プラント等に含まれる蒸気配管系統に配設され、配管内で発生するドレン等を外部に排出する。なお、Z軸方向が高さ方向(垂直方向)であり、X軸、Y軸方向が水平方向を示している。
【0014】
図1に示すように、トラップ1は、弁ケーシング(ケーシング)10、フロート20、弁座部材30及び閉栓部材40等を有している。
【0015】
ケーシング10は、本体11と蓋12とをボルト(不図示)等で結合することによって形成される。ケーシング10は、弁室2、第一流入口3A、第二流入口3B、第一排出口4A及び第二排出口4B、及び、第一排出通路5等を有する。
【0016】
弁室2は、ケーシング10の内部に位置する空間として形成される。第一流入口3Aは、弁室2と連通するようにケーシング10の側面に形成される。第二流入口3Bは、弁室2と連通するようにケーシング10の上面に形成される。第一流入口3A及び第二流入口3Bは、ケーシング10の外部から流入する蒸気やドレン等の流体を受け入れる。
【0017】
第一排出口4Aは、第一流入口3Aに対向するように、ケーシング10の側面に配置される。第二排出口4Bは、ケーシング10の底面に配置される。第一排出出口4A及び第二排出口4Bは、弁室2に流入したドレン等を外部に流出させる。第一排出通路5は、オリフィス31及び第二排出通路32を介して、弁室2と第一排出口4A及び第二排出口4Bとを連通するように形成される。
【0018】
フロート20は、弁室2に遊置(昇降自在に配置)される中空の球状物体である。フロート20は、弁室2に貯留されるドレンの量によって、弁室2を上下に移動する。
【0019】
弁座部材30は、弁室2の下方に位置する蓋12の弁座部材取付空間に取り付けられる。すなわち、弁座部材30は、弁室2の下部に配置される。弁座部材30は、オリフィス(弁口)31及び第二排出通路32を有する。弁室2は、オリフィス31を介して第二排出通路32と連通する。また、第二排出通路32は、第一排出通路5を介して、第一排出口4A及び第二排出口4Bと連通している。
【0020】
オリフィス31は、フロート20の移動によって開閉される。例えば、弁室2に貯留されているドレンが所定量以下のときは、フロート20が弁座部材30に着座し、オリフィス31は閉じられる。一方、弁室2に貯留されているドレンが所定量より多いときは、フロート20が弁座部材30から離座し、オリフィス31は開放される。オリフィス31が開放された状態で、流入口3A,3Bから弁室2に流入したドレン等は、オリフィス31を経由して排出口4A,4Bからケーシング10の外部に流出する。
【0021】
閉栓部材(プラグ)40は、蓋12の閉栓部材取付空間に取り付けられ、閉栓部材取付空間を閉栓する。なお、閉栓部材40は、トラップ内のドレンやサビを直接排出させるための部材である。
【0022】
次に、上述したトラップ1の使用形態について説明する。本実施形態に係るトラップ1は、接続される配管の方向(配管方向)に合わせて、使用する流入口3A,3B、排出口4A,4Bを選択可能である。
【0023】
最初に、トラップ1を水平配管に接続した例を説明する。すなわち、上流側の配管551が水平方向であって、下流側の配管552も水平方向の形態について説明する。図2に示すように、上流側の配管551は、第一流入口3Aにねじ結合によって接続され、下流側の配管552は第一排出口4Aにねじ結合によって接続される。一方、第二流入口3B及び第二排出口4Bは、閉栓部材(プラグ)56とのねじ結合によって閉栓される。なお、ねじ溝の図示は省略する。これにより、蒸気、ドレン等が上流側の配管551から第一流入口3Aを経由して弁室2に流入する。そして、弁室2のドレン等は、オリフィス31を経由して第一排出口4Aから下流側の配管552に流出する。
【0024】
なお、第一排出通路5の下方部分にドレン等の一部が滞留する場合は、例えば、定期的に第二排出口4Bのプラグ56を外し、滞留しているドレン等を外部に排出してやればよい。
【0025】
次に、トラップ1を垂直配管に接続した例を説明する。すなわち、上流側の配管553が垂直方向であって、下流側の配管554も垂直方向の形態について説明する。図3に示すように、上流側の配管553は、第二流入口3Bにねじ結合によって接続され、下流側の配管は第二排出口4Bにねじ結合によって接続される。一方、第一流入口3A及び第一排出口4Aは、プラグ56とのねじ結合によって閉栓される。これにより、蒸気、ドレン等が上流側の配管553から第二流入口3Bを経由して弁室2に流入する。そして、弁室2のドレン等は、オリフィス31を経由して第二排出口4Bから下流側の配管554に流出する。
【0026】
また、トラップ1は、直角エルボ配管のエルボ部にも取り付けることができる。例えば、図4に示すように、上流側の配管551が水平方向であって、下流側の配管554が垂直方向である直角エルボ配管のエルボ部にトラップ1を取り付けることができる。この場合、第二流入口3B及び第一排出口4Aは、プラグ56によって閉栓される。また、例えば、図5に示すように、上流側の配管553が垂直方向であって、下流側の配管552が水平方向である直角エルボ配管のエルボ部にトラップ1を取り付けることもできる。この場合、第一流入口3A及び第二排出口4Bは、プラグ56によって閉栓される。
【0027】
なお、閉栓にプラグ56を用いているが、各流入口3A,3B、排出口4A,4Bを閉栓できる構成であれば、任意の構成を適用可能である。
【0028】
以上のように、複数の流入口3A,3B、及び、複数の流出口4A,4Bをケーシング10に設けているので、フロート20とオリフィス31との位置関係が維持された状態で、水平配管、垂直配管、直角エルボ配管のエルボ部にトラップ1を配置することが可能となる。すなわち、ドレン等の排出性能を維持しつつ、多様な配管方向の配管に取り付けることができる。
【0029】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、図2図5で例示したように、第一排出口4Aが配管55に接続される場合、第二排出口4Bはプラグ56で閉栓されるが、プラグ56で閉栓しなくてもよい。
【0030】
例えば、図6に示すように、第二排出口4Bに垂直方向の配管60を接続し、配管60の蓋フランジに制御弁70を設けてもよい。制御弁70は、詳細な構造は省略するが、流体の流量を調整自在な制御弁であれば、任意の制御弁を適用可能である。上記例の場合、制御弁70を開弁状態に制御することで、第一排出通路5の下方部分に滞留したドレン等を、制御弁70を介して外部に自動排出することができる。なお、配管60を用いずに、直接、制御弁70を第二排出口4Bに接続するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明は、蒸気プラントなどの蒸気配管系統で発生するドレンを外部に排出するフロート式スチームトラップにおいて、多様な配管方向の配管に取り付けるのに有用である。
【符号の説明】
【0032】
1 フロート式スチームトラップ
2 弁室
3A 第一流入口
3B 第二流入口
4A 第一排出口
4B 第二排出口
5 第一排出通路
10 弁ケーシング
20 フロート
30 弁座部材
31 オリフィス
32 第二排出路
56 閉栓部材(プラグ)
70 制御弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6