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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】注文飲食物搬送装置
(51)【国際特許分類】
   A47G 23/08 20060101AFI20240328BHJP
【FI】
A47G23/08 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020054437
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021153705
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390010319
【氏名又は名称】株式会社石野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】松井 智史
(72)【発明者】
【氏名】新村 武史
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-029785(JP,A)
【文献】特開2019-137510(JP,A)
【文献】特表2003-509213(JP,A)
【文献】特開2012-051655(JP,A)
【文献】特開2005-219859(JP,A)
【文献】特開2019-189384(JP,A)
【文献】特開2002-177122(JP,A)
【文献】特開2019-042277(JP,A)
【文献】実公平03-000132(JP,Y2)
【文献】国際公開第2018/037692(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食店の厨房側から客席へ至る搬送路を形成する第1のベルトコンベアと、
前記第1のベルトコンベアの前記厨房側に延設されており、前記搬送路を延伸する第2のベルトコンベアと、
前記第2のベルトコンベアを、前記第2のベルトコンベアが形成する搬送路の方向に沿って前記第1のベルトコンベアから離れる方向にスライド可能なスライド機構が設けられた基部と、
搬送開始操作が行われると前記第2のベルトコンベアと前記第1のベルトコンベアを作動させ、前記第2のベルトコンベアに載置された飲食物を前記客席へ搬送する制御手段と、
前記第2のベルトコンベアに載置されている飲食物を検知する第1のセンサと、
前記基部に固定されており、前記第2のベルトコンベアが形成する搬送路を横切るセンサ光で飲食物を検知する光学式の第2のセンサと、を備え、
前記第2のベルトコンベアは、前記第2のベルトコンベアの搬送路の両側沿いに延在するガイド壁と、前記ガイド壁に貫通形成される前記第2のセンサのセンサ光挿通用のセンサ孔と、を有し、
前記制御手段は、前記第1のセンサが飲食物を検知しておらず、前記第2のセンサのセンサ光が遮られている場合、前記第2のベルトコンベアが前記第1のベルトコンベアから離れた位置にスライドされたスライド状態と判定し、前記スライド状態においては、前記搬送開始操作が行われても前記第2のベルトコンベアを作動させない、
注文飲食物搬送装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第2のベルトコンベアが前記スライド状態の場合、スライド状態である旨を通知する処理を更に実行する、
請求項1に記載の注文飲食物搬送装置。
【請求項3】
前記スライド機構は、スライドレールを有する、
請求項1又は2に記載の注文飲食物搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注文飲食物搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食店においては、搬送装置を使った飲食物の提供が行なわれている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-147019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
注文された飲食物を客席へ効率的に搬送する搬送装置として、例えば、特許文献1に開示されているように、厨房から客席へ至る搬送路を複数のベルトコンベアで構成した注文飲食物搬送装置が提案されている。このような注文飲食物搬送装置であれば、客席側のベルトコンベアが飲食物を搬送している最中であっても、厨房側のベルトコンベアが停止することにより、次に搬送する飲食物をベルトコンベアに載せることが可能となる。このため、飲食物が客席に到着し、客が飲食物をベルトコンベアから取り除き次第、次に搬送する飲食物の搬送を速やかに開始することができる。
【0005】
しかし、複数のベルトコンベア同士を接続して搬送路を構成すると、搬送路の途中のベルトコンベア同士の接続部分に隙間が不可避的に形成される。このような隙間には、飲食物の皿に付着した付着物等が落下し得る。よって、このようなベルトコンベア同士の接続部分の隙間に落下した異物を除去可能にするための方策の一つとして、ベルトコンベアをスライドさせるスライド機構を設けておき、清掃作業時にベルトコンベアをスライドさせて隙間を広げることが考えられる。ところが、このようなスライド機構を設けると、隙間が開いた状態のままで飲食物の搬送が行われる可能性がある。
【0006】
そこで、本願は、ベルトコンベアにスライド機構を設けたことによる誤搬送を防止する注文飲食物搬送装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、ベルトコンベアがスライド状態にある場合には、搬送開始操作が行われても副ベルトコンベアを作動させないことにした。
【0008】
詳細には、本発明は、注文飲食物搬送装置であって、飲食店の厨房側から客席へ至る搬送路を形成する第1のベルトコンベアと、第1のベルトコンベアの厨房側に延設されており、搬送路を延伸する第2のベルトコンベアと、第2のベルトコンベアを、第2のベルトコンベアが形成する搬送路の方向に沿って第1のベルトコンベアから離れる方向にスライド可能なスライド機構が設けられた基部と、搬送開始操作が行われると第2のベルトコンベアと第1のベルトコンベアを作動させ、副ベルトコンベアに載置された飲食物を客席へ搬送する制御手段と、を備え、制御手段は、第2のベルトコンベアが第1のベルトコンベアから離れた位置にスライドされたスライド状態においては、搬送開始操作が行われても副ベルトコンベアを作動させない。
【0009】
ここで、スライド状態とは、第2のベルトコンベアの位置が、注文飲食物搬送装置によ
る飲食物の搬送を行うことが可能な通常状態の位置に無い場合を意味している。よって、スライド状態には、例えば、第2のベルトコンベアがスライドされて動いている最中の状態のみならず、第2のベルトコンベアが第1のベルトコンベアから離れた位置で止まっている状態も含まれる。また、スライド機構とは、副ベルトコンベアを基部に対して前後、左右あるいは上下に相対移動させる機構であり、例えば、副ベルトコンベアを基部上で水平方向に移動させることが可能なスライドレールが挙げられる。
【0010】
このような注文飲食物搬送装置であれば、第2のベルトコンベアがスライド状態にあると、副ベルトコンベアが作動しない。よって、第2のベルトコンベアがスライド状態の場合に搬送開始操作が誤って行われても、第1のベルトコンベアと第2のベルトコンベアとの間が開いた状態で飲食物の搬送が行われる可能性が無い。したがって、このような注文飲食物搬送装置であれば、スライド機構を設けたことによる誤搬送を防止することが可能である。
【0011】
なお、上記の注文飲食物搬送装置は、第2のベルトコンベアに載置されている飲食物を検知する第1のセンサと、基部に固定されており、第2のベルトコンベアが形成する搬送路を横切るセンサ光で飲食物を検知する光学式の第2のセンサと、を更に備え、第2のベルトコンベアは、第2のベルトコンベアの搬送路の両側沿いに延在するガイド壁と、ガイド壁に貫通形成される第2のセンサのセンサ光挿通用のセンサ孔と、を有し、制御手段は、第1のセンサが飲食物を検知しておらず、第2のセンサのセンサ光が遮られている場合、第2のベルトコンベアがスライド状態と判定するものであってもよい。
【0012】
第2のベルトコンベアがスライド状態であるか否かを検知するためにセンサを追加する場合、コストの増大を招くことになる。この点、第2のベルトコンベアに載置されている飲食物を検知するための光学式センサを使ってスライド状態の判定を行えば、スライド状態の検知を目的とするセンサの追加が不要となる。
【0013】
また、制御手段は、第2のベルトコンベアがスライド状態の場合、スライド状態である旨を通知する処理を更に実行するものであってもよい。第2のベルトコンベアがスライド状態にある場合に、制御手段がこのような通知の処理を行えば、搬送開始操作が行われても副ベルトコンベアが作動しない理由を操作者が速やかに把握可能である。
【発明の効果】
【0014】
上記注文飲食物搬送装置であれば、ベルトコンベアにスライド機構を設けたことによる誤搬送を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係る注文飲食物搬送装置の全体構成図である。
図2図2は、各光学センサ間で受発光される光の方向を示した図である。
図3図3は、遮断部材の開閉状態を示した図である。
図4図4は、副ベルトコンベアのスライド機構を示した図である。
図5図5は、副ベルトコンベアのスライド状態を示した図である。
図6図6は、注文飲食物搬送装置の制御装置が実行する制御内容のフローチャートを示した図である。
図7図7は、皿の搬送状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本願発明の一態様であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。下記に示す各実施形態や変形例は、例えば、寿司や飲料物、そばやうどんといった丼物、から揚げや天ぷらといった各
種の飲食物を提供する飲食店に好適である。
【0017】
図1は、実施形態に係る注文飲食物搬送装置10の全体構成図である。注文飲食物搬送装置10は、客の注文を受けて用意された飲食物の皿1を飲食店の厨房2からテーブル3へ搬送する装置であり、図1に示すように、客が飲食するテーブル3の横を通る搬送路を形成する。注文飲食物搬送装置10は、飲食店の厨房2側からテーブル3へ至る搬送路を形成する主ベルトコンベア20(本願でいう「第1のベルトコンベア」の一例である)と、主ベルトコンベア20の厨房2側に延設され、搬送路を延伸する副ベルトコンベア30(本願でいう「第2のベルトコンベア」の一例である)と、を備えている。なお、本実施形態では、主ベルトコンベア20が直線状に形成されているが、主ベルトコンベア20を複数組み合わせることにより、主ベルトコンベア20がコーナー部分を有する搬送路を形成するようにしてもよい。また、図1では、注文飲食物搬送装置10が2つ図示されているが、注文飲食物搬送装置10は1つであってもよいし3つ以上であってもよい。
【0018】
主ベルトコンベア20と副ベルトコンベア30は、飲食物の皿1を搭載可能な横幅を有する。また、主ベルトコンベア20と副ベルトコンベア30には、互いに独立して回転制御可能な駆動モータが各々設けられている。そして、各駆動モータは、図示しない制御装置に繋がっており、操作パネルに入力された操作内容や各センサからの信号に基づいて制御される。
【0019】
注文飲食物搬送装置10には、光学センサ21,24,31,32,33が備わっている。光学センサ21は、主ベルトコンベア20が形成する搬送路の終点に設置されている。また、光学センサ31は、副ベルトコンベア30が形成する搬送路の起点に設置されている。また、光学センサ24は、主ベルトコンベア20と副ベルトコンベア30との境界付近に設置されている。光学センサ24は、棒状の遮断部材22の先端部付近に内蔵されており、遮断部材22を動かすモータ内蔵の開閉装置23によって搬送路上に出し入れされる。光学センサ24,31は、本願でいう「第1のセンサ」の一例である。また、光学センサ32,33は、本願でいう「第2のセンサ」の一例である。
【0020】
また、光学センサ32と光学センサ33は、副ベルトコンベア30の搬送路の左右両側に設置されている。副ベルトコンベア30には、皿1を載せるスペースが4枚分用意されている。よって、副ベルトコンベア30の搬送路の左右両側には、図1に示されるように、光学センサ32と光学センサ33が4組配置されている。
【0021】
図2は、各光学センサ21,24,31,32,33間で受発光される光の方向を示した図である。制御装置は、光学センサ21と光学センサ24との間で受発光される光の検出状態に基づいて、主ベルトコンベア20に載っている皿1等の物品の有無を検知する。また、制御装置は、光学センサ31と光学センサ24との間で受発光される光の検出状態に基づいて、副ベルトコンベア30に載っている皿1等の物品の有無を検知する。また、制御装置は、光学センサ32と光学センサ33との間で受発光される光の検出状態に基づいて、副ベルトコンベア30に載っている物品の有無を検知する。
【0022】
図3は、遮断部材22の開閉状態を示した図である。光学式センサ24は、遮断部材22に内蔵されている。遮断部材22は、開閉装置23に備わっている駆動軸に取り付けられている。開閉装置23は、内蔵するモータで駆動軸を約90度の回転角の範囲内で動かし、遮断部材22を上げ下ろしする。
【0023】
遮断部材22が上がった状態になると、皿1の進路が開かれた状態になる。よって、皿1は、遮断部材22に接触することなく、遮断部材22の横を通過することができる。しかし、遮断部材22が上がった状態になると、光センサ24が光センサ21,31の光軸
から外れた状態になり、皿1の有無を検知不能となる。一方、遮断部材22が下りた状態になると、皿1の進路が閉じられた状態になる。よって、皿1は、遮断部材22が設置されている部分を通過できない状態になる。しかし、遮断部材22が下りた状態になると、光センサ24が光センサ21,31の光軸上に位置する状態になり、皿1の有無を検知可能となる。
【0024】
図4は、副ベルトコンベア30のスライド機構を示した図である。副ベルトコンベア30には、皿1を載せて運ぶためのベルト31Bと、ベルト31Bを動かすローラー31Rが備わっている。また、副ベルトコンベア30には、ローラー31Rやその他の部材を固定するためのフレームメンバー31Fが備わっている。
【0025】
フレームメンバー31Fには、スライドレール34(本願でいう「スライド機構」の一例である)が設けられている。スライドレール34は、ベルト31Bが形成する搬送路の左右両側に対称に設けられている。スライドレール34は、リニアガイドであり、インナーメンバー34Nとアウターメンバー34Sとを有する。インナーメンバー34Nは、ボールリテーナーに保持されたボールを介して、アウターメンバー34S内に形成されたボール溝に嵌合されている。インナーメンバー34Nは、フレームメンバー31Fに固定されている。また、アウターメンバー34Sは、図示しない取付金具を介して架台11(本願でいう「基部」の一例である)に固定されている。よって、副ベルトコンベア30の主要部分は、インナーメンバー34Nとアウターメンバー34Sが直線状に相対移動することにより、架台11の上でスライドさせることができる。なお、副ベルトコンベア30の主要部分は、スライドレール34によって支持されるのみならず、架台11の上面に貼着された摩擦力低減用の樹脂製プレートにより、下側からも支持されている。
【0026】
また、フレームメンバー31Fには、ガイド壁35が設けられている。ガイド壁35は、ベルト31Bに載置された飲食物の皿1がベルト31Bから落ちるのを防ぐためのガイドである。ガイド壁35は、ベルト31Bが形成する搬送路の左右両側沿いに延在する状態でフレームメンバー31Fに固定されている。また、ガイド壁35には、センサ孔36が設けられている。センサ孔36は、光学センサ33から出射されたセンサ光を通すための貫通孔である。よって、ガイド壁35には、4組ある光学センサ32及び光学センサ33にそれぞれ対応する位置にセンサ孔36が設けられている。
【0027】
また、副ベルトコンベア30には、フレームメンバー31Fがスライド可能な範囲を制限するためのストッパーや、通常状態において予期せずにスライドするのを防ぐための固定用のマグネット、ベルト31Bの張力を調整するための調整機構が設けられている。また、副ベルトコンベア30の付近には、副ベルトコンベア30の位置が通常状態であるか否かを示す位置表示マークが設けられている。よって、作業者は、この位置表示マークを確認することにより、副ベルトコンベア30の位置が通常状態であるか否かを確認することができる。これらの機構や部材は、搬送路の両側に取り付けられるカバーで覆われる。よって、通常の使用状態ではこれらの機構や部材を外部から視認できない。
【0028】
図5は、副ベルトコンベア30のスライド状態を示した図である。上述したように、副ベルトコンベア30にはスライドレール34が設けられているため、副ベルトコンベア30の主要部分は、架台11の上でスライドさせることができる。よって、例えば、図5(A)に示すような通常状態において、副ベルトコンベア30と主ベルトコンベア20との間にある隙間に落下した異物を清掃作業で取り除きたい場合、作業者は、副ベルトコンベア30が主ベルトコンベア20から離れる方向に副ベルトコンベア30を手で動かしてスライドさせることができる。副ベルトコンベア30が主ベルトコンベア20から離れる方向に副ベルトコンベア30をスライドさせると、図5(B)に示されるように、主ベルトコンベア20と副ベルトコンベア30との間が開いたスライド状態になる。副ベルトコン
ベア30がスライド状態になっていれば、作業者は、主ベルトコンベア20と副ベルトコンベア30との間に手や掃除機を入れて清掃作業を行うことができる。このため、副ベルトコンベア30と主ベルトコンベア20との間にある隙間から落下した異物を容易に除去することができる。
【0029】
ところで、センサ孔36は、副ベルトコンベア30がスライド状態ではなく通常状態において、光学センサ32や光学センサ33に対応する位置に設けられている。そして、光学センサ32と光学センサ33は、図5に示されるように、架台11に固定されたセンサ台座12に取り付けられている。よって、副ベルトコンベア30をスライドさせると、センサ台座12を介して架台11に固定されている光学センサ32及び光学センサ33に対し、センサ孔36が相対移動することになる。よって、副ベルトコンベア30がスライド状態の場合、光学センサ33から出射されたセンサ光がセンサ孔36を通らずにガイド壁35で遮られ、光学センサ32に入射しなくなる。そこで、注文飲食物搬送装置10の制御装置は、以下のような内部処理を行うことにより、副ベルトコンベア30がスライド状態の場合に搬送開始操作が行われても、各ベルトコンベアが作動するのを防ぐ措置を講じている。
【0030】
以下、制御装置によって実現される注文飲食物搬送装置10の動作を説明する。図6は、注文飲食物搬送装置10の制御装置が実行する制御内容のフローチャートを示した図である。
【0031】
注文飲食物搬送装置10の制御装置は、厨房に設けられた操作パネルで搬送開始ボタンが押下されたことを検知すると、以下の処理を実行する。すなわち、制御装置は、副ベルトコンベア30に皿1が載っているか否かの判定処理を行う(S101)。制御装置は、副ベルトコンベア30に皿1が載っているか否かの判定を、光学センサ24から出射されたセンサ光が光学センサ31に受光されているか否かに基づいて行う。遮断部材22が下がった状態で光学センサ24から出射されたセンサ光が光学センサ31に受光されている場合、制御装置は、副ベルトコンベア30に皿1が載っていないと判定する。また、光学センサ24から出射されたセンサ光が光学センサ31に受光されていない場合、制御装置は、副ベルトコンベア30に皿1が載っていると判定する。
【0032】
制御装置は、ステップS101の処理で肯定判定を行った場合、開閉装置23を作動させて遮断部材22を上げると共に、主ベルトコンベア20と副ベルトコンベア30を起動する(S102)。そして、制御装置は、ステップS102の処理を実行した後、起動した副ベルトコンベア30に載っていた飲食物が主ベルトコンベア20に載ったか否かを判定する(S103)。制御装置は、副ベルトコンベア30に載っていた飲食物が主ベルトコンベア20に載ったことを、図示しない通過センサ等により検知する。制御装置は、ステップS103の処理で肯定判定を下した場合、副ベルトコンベア30を停止すると共に、開閉装置23を作動させて遮断部材22を下げる(S104)。副ベルトコンベア30が停止すれば、飲食物の皿1が主ベルトコンベア20で搬送中であっても、次に搬送したい飲食物の皿1を副ベルトコンベア30に載せることができる。
【0033】
制御装置は、ステップS104の処理を実行した後、主ベルトコンベア20に載っている飲食物の皿1が搬送先のテーブル3に到着したか否かを判定する(S105)。制御装置は、飲食物が到着したか否かの判定を、例えば、搬送先のテーブル3付近に設置したセンサの検知結果に基づいて判定してもよいし、搬送先のテーブル3の位置毎に予め設定された搬送開始からの経過時間に基づいて判定してもよい。制御装置は、ステップS105の処理において肯定判定を下した場合、主ベルトコンベア20を停止する(S106)。
【0034】
一方、制御装置は、ステップS101の処理で否定判定を行った場合、副ベルトコンベ
ア30がスライド状態であるか否かの判定処理を行う(S107)。制御装置は、副ベルトコンベア30がスライド状態であるか否かの判定を、光学センサ33から出射されたセンサ光が光学センサ32に受光されているか否かに基づいて行う。ステップS101の処理で否定判定が行われている場合、すなわち、光学センサ24から出射されたセンサ光が光学センサ31で受光されているにも関わらず、光学センサ33から出射されたセンサ光が光学センサ32に受光されていなければ、上述したようにスライド状態であると言えるため、副ベルトコンベア30がスライド状態であると判定される。一方、光学センサ24から出射されたセンサ光が光学センサ31で受光されており、光学センサ33から出射されたセンサ光が光学センサ32に受光されていれば、副ベルトコンベア30がスライド状態ではないと判定される。
【0035】
制御装置は、副ベルトコンベア30に皿1が載っていない場合、すなわち、ステップS107の処理で否定判定を行った場合、一連の処理を終了する。また、制御装置は、副ベルトコンベア30がスライド状態にある場合、すなわち、ステップS107の処理で肯定判定を行った場合、副ベルトコンベア30がスライド状態にある旨を厨房2のスタッフに通知する処理を実行する(S108)。副ベルトコンベア30がスライド状態にある旨の通知は、例えば、厨房2に設置されている操作パネルにおける表示、警告音の発報、表示灯の点滅、その他各種の通知手段が適用可能である。
【0036】
図7は、皿1の搬送状態を示した図である。例えば、図7(A)に示されるように、副ベルトコンベア30に皿1が載置された状態で搬送開始操作が行われと、ステップS101で肯定判定が行われ、ステップS102の処理が実行される。ステップS102の処理が実行されると、図7(B)に示されるように、飲食物の皿1が厨房2からテーブル3へ向かって移動する。そして、ステップS105の処理で肯定判定が行われ、ステップS106の処理が実行されると、図7(C)に示されるように、飲食物の皿1が、指定された搬送先のテーブル3付近で停止する。
【0037】
一方、ステップS101で否定判定が行われると、ステップS102からステップS106までの一連の処理が実行されないため、主ベルトコンベア20と副ベルトコンベア30は作動しない。また、ステップS107で肯定判定が行われた場合、副ベルトコンベア30がスライド状態にある旨の通知が厨房2のスタッフに対して行われる。よって、本実施形態の注文飲食物搬送装置10であれば、副ベルトコンベア30をスライド状態にして清掃作業が行われた後、副ベルトコンベア30が通常状態に戻されないままで搬送開始操作が行われても、飲食物の皿1が主ベルトコンベア20と副ベルトコンベア30との間に誤って落ちることが無い。また、本実施形態の注文飲食物搬送装置10では、副ベルトコンベア30のスライド状態を検知するためのセンサを、副ベルトコンベア30に載っている飲食物の皿1の有無を検知するためのセンサで代用しているので、副ベルトコンベア30をスライドさせる機構を設けるに際し、スライド状態を検知するためのセンサを追加する必要が無い。
【0038】
なお、上記実施形態の注文飲食物搬送装置10は、1本の搬送路が主ベルトコンベア20と副ベルトコンベア30の2つのコンベアで構成されていたが、搬送路は3つ以上のベルトコンベアで構成されていてもよい。この場合、スライド機構は、厨房2側の端部を構成するベルトコンベアに設けることが合理的であるが、その他の部分のベルトコンベアに設けてもよい。また、スライド機構は、電動式であってもよい。また、センサ24,31については、光学式センサの代わりにカメラの画像解析等を使ったものや、その他各種の物品検出手段を適用してもよい。また、光学センサ32と光学センサ33は、4組配置されたものに限定されるものでなく、例えば、3組以下、あるいは5組以上であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1・・皿
2・・厨房
3・・テーブル
10・・注文飲食物搬送装置
11・・架台
12・・センサ台座
20・・主ベルトコンベア
21,24,31,32,33・・光学センサ
22・・遮断部材
23・・開閉装置
30・・副ベルトコンベア
31B・・ベルト
34・・スライドレール
35・・ガイド壁
36・・センサ孔
31R・・ローラー
31F・・フレームメンバー
34S・・アウターメンバー
34N・・インナーメンバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7