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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】チューブポンプシステム
(51)【国際特許分類】
   F04C 5/00 20060101AFI20240328BHJP
【FI】
F04C5/00 341D
F04C5/00 341K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020091401
(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公開番号】P2021188522
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】591257111
【氏名又は名称】サーパス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】今井 弘
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-080545(JP,U)
【文献】米国特許第05388972(US,A)
【文献】米国特許第05533877(US,A)
【文献】特開2013-240135(JP,A)
【文献】国際公開第2007/038364(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 5/00
F04B 43/12
A61M 60/279
F16B 2/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1チューブポンプと第2チューブポンプとを備えるチューブポンプシステムであって、
前記第1チューブポンプは、
可撓性を有する第1チューブを第1回転軸回りに円弧状に配置する第1内周面を有する第1収容部と、
前記第1収容部に収容されるとともに前記第1チューブを閉塞した状態で前記第1回転軸回りに回転する第1ローラ部と、
前記第1収容部には、第1軸線方向に沿って延びる第1挿入溝が形成されており、
前記第1チューブを前記第1軸線方向に沿って前記第1挿入溝に保持する第1チューブ保持部材を有し、
前記第2チューブポンプは、
可撓性を有する第2チューブを第2回転軸回りに円弧状に配置する第2内周面を有する第2収容部と、
前記第2収容部に収容されるとともに前記第2チューブを閉塞した状態で前記第2回転軸回りに回転する第2ローラ部と、
前記第2収容部には、第2軸線方向に沿って延びる第2挿入溝が形成されており、
前記第2チューブを前記第2軸線方向に沿って前記第2挿入溝に保持する第2チューブ保持部材を有し、
前記第1挿入溝の形状は、前記第2挿入溝の形状と異なっており、
前記第1チューブ保持部材は、前記第1挿入溝と対応する形状を有し、
前記第2チューブ保持部材は、前記第2挿入溝と対応する形状を有し、
前記第1チューブ保持部材は、前記第1チューブを挟んだ状態で保持するように前記第1軸線方向と直交する第1幅方向に間隔を空けて配置される一対の第1壁部を有し、
前記第2チューブ保持部材は、前記第2チューブを挟んだ状態で保持するように前記第2軸線方向と直交する第2幅方向に間隔を空けて配置される一対の第2壁部を有し、
一対の前記第1壁部の前記第1幅方向の第1間隔と一対の前記第2壁部の前記第2幅方向の第2間隔とが異なるチューブポンプシステム。
【請求項2】
前記第1挿入溝の溝幅と前記第2挿入溝の溝幅が異なる請求項1に記載のチューブポンプシステム。
【請求項3】
前記第1挿入溝は、前記第1軸線方向の各位置での形状が同一であり、
前記第2挿入溝は、前記第2軸線方向の各位置での形状が異なる請求項1または請求項2に記載のチューブポンプシステム。
【請求項4】
前記第1チューブ保持部材には、前記第1チューブを識別するための第1識別情報を表示する第1表示部が設けられており、
前記第2チューブ保持部材には、前記第2チューブを識別するための第2識別情報を表示する第2表示部が設けられている請求項1から請求項のいずれか一項に記載のチューブポンプシステム。
【請求項5】
前記第1ローラ部が前記第1回転軸回りに回転する際の第1角速度と、前記第2ローラ部が前記第2回転軸回りに回転する際の第2角速度とが異なる請求項1から請求項のいずれか一項に記載のチューブポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可撓性を有するチューブを複数のローラによって間欠的に押し潰すことによってチューブ内の液体を圧送するチューブポンプが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されるチューブポンプは、可撓性のチューブを押し潰した状態で軸線回りにローラ部を回転させることにより、チューブ内の液体を流出側へ吐出させる。
【0003】
特許文献1では、ローラ部との接触による外力が働いた場合でもチューブの位置を保持するために、チューブに一対のチューブ押さえリングが取り付けられている。特許文献1では、一対のチューブ押さえリングをチューブケースに形成される一対の固定穴に収容することにより、チューブケースに対してチューブの位置を固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-131946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数種類の液体を搬送するために複数のチューブポンプを備えるチューブポンプシステムを利用する場合、各チューブポンプは、そのチューブポンプに取り付けられるチューブの形状やチューブで搬送する液体の種類等に応じて予めローラの動作(角速度等)を調整しておくのが望ましい。そして、各チューブポンプで液体を適切に搬送するには、各チューブポンプにはそのチューブポンプに応じた適切なチューブを取り付ける必要がある。
【0006】
しかしながら、チューブをチューブケースに取り付けるチューブ押さえリングの形状およびチューブ押さえリングを収容する固定穴の形状が複数のチューブポンプで共通していると、特定のチューブポンプに対してその特定のチューブポンプに適していないチューブが誤って取り付けられてしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、複数のチューブポンプを備えるチューブポンプシステムにおいて、特定のチューブポンプに対してその特定のチューブポンプに適していないチューブが誤って取り付けられることを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明の一態様に係るチューブポンプシステムは、第1チューブポンプと第2チューブポンプとを備えるチューブポンプシステムであって、前記第1チューブポンプは、可撓性を有する第1チューブを第1回転軸回りに円弧状に配置する第1内周面を有する第1収容部と、前記第1収容部に収容されるとともに前記第1チューブを閉塞した状態で前記第1回転軸回りに回転する第1ローラ部と、前記第1収容部には、第1軸線方向に沿って延びる第1挿入溝が形成されており、前記第1チューブを前記第1軸線方向に沿って前記第1挿入溝に保持する第1チューブ保持部材を有し、前記第2チューブポンプは、可撓性を有する第2チューブを第2回転軸回りに円弧状に配置する第2内周面を有する第2収容部と、前記第2収容部に収容されるとともに前記第2チューブを閉塞した状態で前記第2回転軸回りに回転する第2ローラ部と、前記第2収容部には、第2軸線方向に沿って延びる第2挿入溝が形成されており、前記第2チューブを前記第2軸線方向に沿って前記第2挿入溝に保持する第2チューブ保持部材を有し、前記第1挿入溝の形状は、前記第2挿入溝の形状と異なっており、前記第1チューブ保持部材は、前記第1挿入溝と対応する形状を有し、前記第2チューブ保持部材は、前記第2挿入溝と対応する形状を有する。
【0009】
本発明の一態様に係るチューブポンプシステムによれば、第1チューブポンプの第1収容部に第1軸線方向に沿って延びる第1挿入溝が形成されており、第2チューブポンプの第2収容部に第2軸線方向に沿って延びる第2挿入溝が形成されている。第1チューブは第1チューブ保持部材により第1軸線方向に沿って第1挿入溝に保持され、第2チューブは第2チューブ保持部材により第2軸線方向に沿って第2挿入溝に保持される。
【0010】
本発明の一態様に係るチューブポンプシステムによれば、第1挿入溝の形状は、第2挿入溝の形状と異なっている。また、第1チューブ保持部材は第1挿入溝と対応する形状を有し、第2チューブ保持部材は、第2挿入溝と対応する形状を有する。そのため、第1チューブを保持する第1チューブ保持部材が、第1挿入溝の形状と対応しない第2挿入溝に取り付けられることが防止される。
【0011】
同様に、第2チューブを保持する第2チューブ保持部材が、第2挿入溝の形状と対応しない第1挿入溝に取り付けられることが防止される。よって、複数のチューブポンプを備えるチューブポンプシステムにおいて、特定のチューブポンプに対してその特定のチューブポンプに適していないチューブが誤って取り付けられることを防止することができる。
【0012】
本発明の一態様に係るチューブポンプシステムにおいて、前記第1チューブ保持部材は、前記第1チューブを挟んだ状態で保持するように前記第1軸線方向と直交する第1幅方向に間隔を空けて配置される一対の第1壁部を有し、前記第2チューブ保持部材は、前記第2チューブを挟んだ状態で保持するように前記第2軸線方向と直交する第2幅方向に間隔を空けて配置される一対の第2壁部を有し、一対の前記第1壁部の前記第1幅方向の第1間隔と一対の前記第2壁部の前記第2幅方向の第2間隔とが異なる構成が好ましい。
【0013】
本構成のチューブポンプシステムによれば、第1チューブ保持部材の一対の第1壁部の第1幅方向の第1間隔と第2チューブ保持部材の一対の第2壁部の第2幅方向の第2間隔とが異なる。そのため、第1チューブ保持部材の一対の第1壁部の間に第2チューブを挿入しても第2チューブが適切に保持されない。同様に、第2チューブ保持部材の一対の第2壁部の間に第1チューブを挿入しても第1チューブが適切に保持されない。よって、第1チューブ保持部材に第2チューブが誤って保持されること、および第2チューブ保持部材に第1チューブが誤って保持されることを防止することができる。
【0014】
本発明の一態様に係るチューブポンプシステムにおいて、前記第1挿入溝の溝幅と前記第2挿入溝の溝幅が異なる構成が好ましい。
本構成のチューブポンプシステムによれば、第1挿入溝の溝幅と第2挿入溝の溝幅が異なるため、第1チューブ保持部材が第2挿入溝に取り付けられることが防止される。同様に、第2チューブ保持部材が第1挿入溝に取り付けられることが防止される。
【0015】
本発明の一態様に係るチューブポンプシステムにおいて、前記第1挿入溝は、前記第1軸線方向の各位置での形状が同一であり、前記第2挿入溝は、前記第2軸線方向の各位置での形状が異なる構成が好ましい。
本構成のチューブポンプシステムによれば、第1挿入溝の第1軸線方向の各位置での形状が同一である一方、第2挿入溝の第2軸線方向の各位置での形状が異なる。そのため、第1チューブ保持部材が第2挿入溝に取り付けられること、および第2チューブ保持部材が第1挿入溝に取り付けられることが防止される。
【0016】
本発明の一態様に係るチューブポンプシステムにおいて、前記第1チューブ保持部材には、前記第1チューブを識別するための第1識別情報を表示する第1表示部が設けられており、前記第2チューブ保持部材には、前記第2チューブを識別するための第2識別情報を表示する第2表示部が設けられている構成が好ましい。
【0017】
本構成のチューブポンプシステムによれば、操作者は、第1チューブ保持部材の第1表示部に表示される第1識別情報を認識することにより、第1チューブ保持部材に取り付けられる第1チューブを適切に識別することができる。同様に、操作者は、第2チューブ保持部材の第2表示部に表示される第2識別情報を認識することにより、第2チューブ保持部材に取り付けられる第2チューブを適切に識別することができる。
【0018】
本発明の一態様に係るチューブポンプシステムにおいては、前記第1ローラ部が前記第1回転軸回りに回転する際の第1角速度と、前記第2ローラ部が前記第2回転軸回りに回転する際の第2角速度とが異なっている構成が好ましい。
本構成のチューブポンプシステムによれば、第1チューブポンプに第2チューブが誤って取り付けられて第2チューブに対して第1ローラ部が第1角速度で回転して第2チューブから吐出される液体の脈動が大きくなってしまうことが防止される。同様に、第2チューブポンプに第1チューブが誤って取り付けられて第1チューブに対して第2ローラ部が第2角速度で回転して第1チューブから吐出される液体の脈動が大きくなってしまうことが防止される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数のチューブポンプを備えるチューブポンプシステムにおいて、特定のチューブポンプに対してその特定のチューブポンプに適していないチューブが誤って取り付けられることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】チューブポンプシステムの一実施形態を示す平面図である。
図2】蓋部を開状態とした第1チューブポンプの一実施形態を示す平面図である。
図3図2に示すB部分の部分拡大図であり、第1チューブおよび第1チューブ保持部材が収容部に取付けられていない状態を示す図である。
図4図2に示すB部分の部分拡大図であり、第1チューブおよび第1チューブ保持部材が収容部に取付けられている状態を示す図である。
図5図3のC-C矢視断面図である。
図6図4のD-D矢視断面図である。
図7図5のE-E矢視断面図である。
図8】蓋部を開状態とした第2チューブポンプの一実施形態を示す平面図である。
図9図8に示すF部分の部分拡大図であり、第2チューブおよび第2チューブ保持部材が収容部に取付けられていない状態を示す図である。
図10図8に示すF部分の部分拡大図であり、第2チューブおよび第2チューブ保持部材が収容部に取付けられている状態を示す図である。
図11図9のG-G矢視断面図である。
図12図10のH-H矢視断面図である。
図13図11のI-I矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態のチューブポンプシステム1について図面を参照して説明する。図1は、チューブポンプシステム1の一実施形態を示す平面図である。図2は、蓋部185を開状態とした第1チューブポンプ100の一実施形態を示す平面図である。
【0022】
本実施形態のチューブポンプシステム(蠕動ポンプシステム)1は、第1チューブポンプ100と、第2チューブポンプ200とを備える。第1チューブポンプ100が有する第1チューブT1と、第1チューブポンプ100が有する第1チューブT1とは、例えば、異なる種類の液体を流通させる。
【0023】
図1に示す本実施形態の第1チューブポンプ100は、軸線(第1回転軸)X1回りにローラ部(第1ローラ部)110とローラ部(第1ローラ部)120とを同方向(図1に矢印で示す方向)に回転させることにより、流入側T1aから流入する第1チューブT1内の液体を流出側T1bへ吐出させる装置である。
【0024】
図1の平面図に示すように、第1チューブポンプ100は、可撓性を有する第1チューブT1を軸線X1回りに円弧状に配置する内周面(第1内周面)182aを有する収容部(第1収容部)182を有する。内周面182aは、軸線X1回りに円弧状に形成されるとともに第1チューブT1が配置される面である。収容部182は、軸線X1に沿った一端側に向けて開口するとともにローラ部110およびローラ部120を収容する凹所182bを有する。
【0025】
図1に示すように、第1チューブポンプ100は、収容部182に収容されるとともに第1チューブT1を閉塞した状態で軸線X1回りに回転するローラ部110およびローラ部120を有する。ローラ部110およびローラ部120は、第1チューブT1に接触しながら反時計回りの回転方向(図1中に矢印で示す方向)に沿って軸線X1回りに回転することで、流入側T1aから流出側T1bへ向けて液体を搬送する。
【0026】
第1チューブポンプ100は、ローラ部110を軸線X1回りに回転させる駆動力を発生する第1駆動モータ(図示略)と、ローラ部120を軸線X1回りに回転させる駆動力を発生する第2駆動モータ(図示略)と、第1駆動モータおよび第2駆動モータを制御する第1制御部(図示略)を備える。
【0027】
ローラ部110およびローラ部120の角速度(第1角速度)は、流入側T1aから流入する液体が流出側T1bへ流出する際に、脈動(流出側T1bから流出する液体の流量の変化)が減少するように調整される。具体的には、ローラ部110およびローラ部120が第1チューブT1を閉塞する状態を解除する際の各ローラの上流側と下流側の液体の圧力差が減少するように、ローラ部110およびローラ部120のなす角θ1(図1参照)が調整される。
【0028】
図1に示す本実施形態の第2チューブポンプ200は、軸線(第2回転軸)X2回りにローラ部(第2ローラ部)210とローラ部(第2ローラ部)220とを同方向(図1に矢印で示す方向)に回転させることにより、流入側T2aから流入する第2チューブT2内の液体を流出側T2bへ吐出させる装置である。
【0029】
図1の平面図に示すように、第2チューブポンプ200は、可撓性を有する第2チューブT2を軸線X2回りに円弧状に配置する内周面(第2内周面)282aを有する収容部(第2収容部)282を有する。内周面282aは、軸線X2回りに円弧状に形成されるとともに第2チューブT2が配置される面である。収容部282は、軸線X2に沿った一端側に向けて開口するとともにローラ部210およびローラ部220を収容する凹所282bを有する。
【0030】
図1に示すように、第2チューブポンプ200は、収容部282に収容されるとともに第2チューブT2を閉塞した状態で軸線X2回りに回転するローラ部210およびローラ部220を有する。ローラ部210およびローラ部220は、第2チューブT2に接触しながら反時計回りの回転方向(図1中に矢印で示す方向)に沿って軸線X2回りに回転することで、流入側T2aから流出側T2bへ向けて液体を搬送する。
【0031】
第2チューブポンプ200は、ローラ部210を軸線X2回りに回転させる駆動力を発生する第3駆動モータ(図示略)と、ローラ部220を軸線X1回りに回転させる駆動力を発生する第4駆動モータ(図示略)と、第3駆動モータおよび第4駆動モータを制御する第2制御部(図示略)を備える。
【0032】
ローラ部210およびローラ部220の角速度(第2角速度)は、流入側T2aから流入する液体が流出側T2bへ流出する際に、脈動(流出側T2bから流出する液体の流量の変化)が減少するように調整される。具体的には、ローラ部210およびローラ部220が第2チューブT2を閉塞する状態を解除する際の各ローラの上流側と下流側の液体の圧力差が減少するように、ローラ部210およびローラ部220のなす角θ2(図1参照)が調整される。
【0033】
第1チューブポンプ100のローラ部110およびローラ部120の角速度(第1角速度)は、第1チューブT1の内径および外径に合わせて、脈動が減少するように第1制御部により制御される。同様に、第2チューブポンプ200のローラ部210およびローラ部220の角速度(第2角速度)は、第2チューブT2の内径および外径に合わせて、脈動が減少するように第2制御部により制御される。
【0034】
そして、第1チューブポンプ100に取り付けられる第1チューブT1と、第2チューブポンプ200に取り付けられる第2チューブT2とは、内径または外径の少なくとも一方が異なっている。そのため、第1チューブポンプ100のローラ部110およびローラ部120の角速度(第1角速度)と、第2チューブポンプ200のローラ部210およびローラ部220の角速度(第2角速度)とは異なっている。
【0035】
そして、第1チューブポンプ100に誤って第2チューブT2を取り付けてしまうと、第1チューブT1の内径および外径に合わせて調整されたローラ部110およびローラ部120の角速度(第1角速度)により、流出側T1bから流出する液体の脈動が大きくなってしまう。
【0036】
同様に、第2チューブポンプ200に誤って第1チューブT1を取り付けてしまうと、第2チューブT2の内径および外径に合わせて調整されたローラ部210およびローラ部220の角速度(第2角速度)により、流出側T1bから流出する液体の脈動が大きくなってしまう。そこで、本実施形態では、脈動を適切に減少した状態で液体を搬送させるため、第1チューブポンプ100に第2チューブT2を誤って取り付けること、および第2チューブポンプ200に第1チューブT1を誤って取り付けることを防止している。
【0037】
次に、本実施形態の第1チューブポンプ100が備える第1チューブ保持部材300について、図面を参照して説明する。図2は、蓋部185を開状態とした第1チューブポンプ100の一実施形態を示す平面図である。図3は、図2に示すB部分の部分拡大図であり、第1チューブT1および第1チューブ保持部材300が収容部182に取付けられていない状態を示す図である。図4は、図2に示すB部分の部分拡大図であり、第1チューブT1および第1チューブ保持部材300が収容部182に取付けられている状態を示す図である。
【0038】
図2に示すように、本実施形態の第1チューブポンプ100は、第1チューブ保持部材300と、軸線Y1を中心に揺動することにより開閉状態を切り替え可能な蓋部185と、を備える。図2に示す第1チューブポンプ100は、ローラ部110およびローラ部120の軸線X1回りの回転角度を固定し、ローラ部110およびローラ部120の双方が第1チューブT1に接触しない退避状態を示している。
【0039】
蓋部185には、内周面に雌ねじが形成された貫通穴185fが形成されている。貫通穴185fの雌ねじには、操作者が回転させることが可能なつまみ部(図示略)に取り付けられた雄ねじが締結される。貫通穴185fは、蓋部185を閉状態とした場合に、収容部182に形成された締結穴182cと同軸の位置に配置される。
【0040】
締結穴182cの内周面には、雌ねじが形成されている。操作者は、蓋部185を閉状態とした場合に、つまみ部を回転させることにより、つまみ部に取り付けられた雄ねじを締結穴182cの雌ねじに係合させることができる。つまみ部に取り付けられた雄ねじが締結穴182cの雌ねじに係合すると、蓋部185が閉状態を維持するように固定される。これにより、蓋部185が閉状態に固定されている場合には、第1チューブ保持部材300が収容部182から取り外されることが防止される。
【0041】
蓋部185には、閉状態において、一対の第1チューブ保持部材300を収容する一対の貫通穴185bが形成されている。そのため、操作者は、閉状態において、後述する表示部321bに表示される第1チューブT1を識別するための識別情報を認識することができる。
【0042】
第1チューブ保持部材300は、収容部182に形成される第1挿入溝182eに挿入され、第1チューブT1を第1軸線方向AD1に沿って第1挿入溝182eに保持する部材である。図4および図6に示すように、第1挿入溝182eは、収容部182に形成されるとともに軸線Z1が延びる方向である第1軸線方向AD1に沿って延びる溝である。
【0043】
第1挿入溝182eは、第1軸線方向AD1に直交する第1幅方向WD1に第1幅W11を有する。図3に示すように、第1挿入溝182eの第1幅W11は、第1軸線方向AD1の各位置で同一の幅となっている。図4に示すように、第1挿入溝182eの第1幅W11は、第1チューブ保持部材300が第1挿入溝182eに挿入される第1深さ方向DD1の各位置で同一の幅となっている。
【0044】
第1挿入溝182eは、図3に示すように、第1軸線方向AD1に第1長さL11を有する。第1挿入溝182eの第1長さL11は、第1チューブ保持部材300の第1幅方向WD1の各位置で同一の長さとなっている。
【0045】
図5は、図3のC-C矢視断面図である。図6は、図4のD-D矢視断面図である。図7は、図5のE-E矢視断面図である。
図5および図6に示すように、第1チューブ保持部材300は、挿入部310と、腕部321と、腕部322と、を備える。挿入部310、腕部321および腕部322は、弾性変形可能な可撓性を有する樹脂材料(例えば、ポリカーボネート)により一体に成形されている。
【0046】
挿入部310は、第1チューブT1を第1軸線方向AD1に沿って配置した状態で第1挿入溝182eに挿入される。腕部321および腕部322は、第1軸線方向AD1に沿って延びるとともに挿入部310が第1挿入溝182eの底部182fまで挿入された状態で第1挿入溝182eから突出する部分である。
【0047】
挿入部310は、壁部311と、壁部312と、連結部313とを有する。壁部311は、第1軸線方向AD1に沿って延びるとともに腕部321に連結される部材である。壁部312は、第1軸線方向AD1に沿って延びるとともに腕部322に連結される部材である。壁部311および壁部312は、第1チューブT1を挟んだ状態で保持するように第1幅方向WD1に間隔を空けて配置される。
【0048】
連結部313は、第1軸線方向AD1に沿って延びるとともに壁部311および壁部312を連結する部材である。図5に示すように、連結部313は、挿入部310が第1挿入溝182eに挿入された状態で、第1挿入溝182eの底部182fに対向して配置される。連結部313は、樹脂材料により形成されているため、操作者が腕部321および腕部322を指先でつまんでこれらの第1幅方向WD1の間隔を狭めることにより第1幅方向WD1に沿って縮むように弾性変形可能な部材である。
【0049】
図5に示すように、壁部311および壁部312は、挿入部310が第1挿入溝182eに挿入されない状態で第1幅方向WD1に第1幅W11よりも長い第2幅W12を有する。図6に示すように、壁部311および壁部312は、挿入部310が第1挿入溝182eに挿入された状態で第1幅方向WD1に第1幅W11を有するように第1挿入溝182eに接触して配置される。
【0050】
図5および図6に示すように、壁部311の第1チューブT1と接触する面には、第1チューブT1に向けて突出するとともに第1軸線方向AD1に直交する第1深さ方向DD1に沿って延びる突起部314が形成されている。壁部312の第1チューブT1と接触する面には、第1チューブT1に向けて突出するとともに第1軸線方向AD1に直交する方向に延びる突起部315が形成されている。
【0051】
図7に示すように、突起部314は、壁部311に第1軸線方向AD1に直交する第1深さ方向DD1に沿って延びるように形成され、かつ第1軸線方向AD1に沿って間隔を空けて2箇所に配置されている。図示を省略するが、突起部315も、壁部312に第1軸線方向AD1に直交する第1深さ方向DD1に沿って延びるように形成され、かつ第1軸線方向AD1に沿って間隔を空けて2箇所に配置されている。
【0052】
図7に示すように、突起部314は、腕部321から壁部311の下方へ向けて第1チューブT1の外径D1o以上の長さを有する。図示を省略するが、突起部315も、腕部322から壁部312の下方へ向けて第1チューブT1の外径D1o以上の長さを有する。
【0053】
そのため、操作者が第1チューブT1を腕部321および腕部322の上方から壁部311および壁部312の間に挿入する際に、第1チューブT1の外周面に突起部314および突起部315が突き当てられる。そのため、第1チューブT1が第1チューブ保持部材300に対して第1軸線方向AD1に沿って移動することが防止される。
【0054】
また、突起部314および突起部315は、第1チューブT1が第1チューブ保持部材300に取り付けられた状態においても、第1チューブT1の外周面に対して強く突き当てられる。そのため、壁部311および壁部312に挟んだ状態で保持される第1チューブT1を第1軸線方向AD1に沿って移動しないように保持することができる。
【0055】
図7に示すように、第1挿入溝182eは、第1深さ方向DD1に沿って第1深さD11を有する。第1深さD11は、第1軸線方向AD1の各位置で同一の長さとなっている。すなわち、第1挿入溝182eは、第1軸線方向AD1の各位置での第1深さ方向DD1での形状が同一となっている。
【0056】
第1チューブ保持部材300の連結部313は、第1軸線方向AD1の各位置での形状が、第1挿入溝182eの底部182fと同じ形状となっている。このように、第1チューブ保持部材300は、第1挿入溝182eと対応する形状を有するため、第1挿入溝182eに挿入可能となっている。
【0057】
腕部321および腕部322は、第1チューブ保持部材300を第1挿入溝182eへ挿入する際に、操作者が指先でつまむ部分である。腕部321の先端部321aは、第1幅方向WD1の外側(第1チューブT1から遠ざかる側)に向けて突出する形状に形成されている。腕部322の先端部322aは、第1幅方向WD1の外側に向けて突出する形状に形成されている。
【0058】
操作者は、第1チューブT1が連結部313の内周面と接触する位置まで第1チューブT1を挿入した後、先端部321aおよび先端部322aを2本の指でつまみ、壁部311および壁部312の第1幅方向WD1の長さを第1挿入溝182eの第1幅W11よりも短くする。操作者は、挿入部310を第1挿入溝182eの底部182fまで挿入した後、先端部321aおよび先端部322aを指先でつまんだ状態を解除する。
【0059】
操作者が先端部321aおよび先端部322aを指先でつまむ状態を解除すると、連結部313の弾性変形の一部が解除され、壁部311および壁部312の第1幅方向WD1の長さが第1挿入溝182eの第1幅W11まで広がり、壁部311および壁部312がそれぞれ第1挿入溝182eに接触する。連結部313の弾性変形の一部は解除されないまま保持されているため、連結部313の弾性力により挿入部310が第1挿入溝182eに保持される。
【0060】
図4に示すように、腕部321の先端部321aには、壁部311および壁部312により保持される第1チューブT1を識別するための第1識別情報を表示する表示部321bが設けられている。図4に示す表示部321bは、第1チューブT1の内径D1i(図7参照)が0.80mmであることを示す「80」との識別情報が表示されている。
【0061】
表示部321bは、例えば、他の部分とは異なる色の塗料等により識別情報を表示する。また、表示部321bは、識別情報を示す形状に成形されたものであってもよい。また、表示部321bは、識別情報が印刷されたシール等を貼り付けたものであってもよい。また、表示部321bが表示する識別情報は、第1チューブT1の内径D1iを示す情報とは異なる他の情報であってもよい。
【0062】
例えば、第1チューブT1の内径D1iと対応付けられた文字コード、第1チューブT1の外径D1oを示す情報、第1チューブT1の外径D1oと対応付けられた文字コード、第1チューブT1の材質を示す情報、一対の第1チューブ保持部材300の一方と他方を識別するための情報、あるいはこれらの情報を組み合わせた情報でもよい。また、表示部321bを設けるのに替えて、第1チューブ保持部材300を形成する樹脂材料を、第1チューブT1に対応する所望の色に着色してもよい。
【0063】
次に、本実施形態の第2チューブポンプ200が備える第2チューブ保持部材400について、図面を参照して説明する。図8は、蓋部285を開状態とした第2チューブポンプ200の一実施形態を示す平面図である。図9は、図8に示すF部分の部分拡大図であり、第2チューブT2および第2チューブ保持部材400が収容部282に取付けられていない状態を示す図である。図10は、図8に示すF部分の部分拡大図であり、第2チューブT2および第2チューブ保持部材400が収容部282に取付けられている状態を示す図である。
【0064】
図8に示すように、本実施形態の第2チューブポンプ200は、第2チューブ保持部材400と、軸線Y2を中心に揺動することにより開閉状態を切り替え可能な蓋部285と、を備える。図8に示す第2チューブポンプ200は、ローラ部210およびローラ部220の軸線X2回りの回転角度を固定し、ローラ部210およびローラ部220の双方が第2チューブT2に接触しない退避状態を示している。
【0065】
蓋部285には、内周面に雌ねじが形成された貫通穴285fが形成されている。貫通穴285fの雌ねじには、操作者が回転させることが可能なつまみ部(図示略)に取り付けられた雄ねじが締結される。貫通穴285fは、蓋部285を閉状態とした場合に、収容部282に形成された締結穴282cと同軸の位置に配置される。
【0066】
締結穴282cの内周面には、雌ねじが形成されている。操作者は、蓋部285を閉状態とした場合に、つまみ部を回転させることにより、つまみ部に取り付けられた雄ねじを締結穴282cの雌ねじに係合させることができる。つまみ部に取り付けられた雄ねじが締結穴282cの雌ねじに係合すると、蓋部285が閉状態を維持するように固定される。これにより、蓋部285が閉状態に固定されている場合には、第2チューブ保持部材400が収容部282から取り外されることが防止される。
【0067】
蓋部285には、閉状態において、一対の第2チューブ保持部材400を収容する一対の貫通穴285bが形成されている。そのため、操作者は、閉状態において、後述する表示部421bに表示される第2チューブT2を識別するための識別情報を認識することができる。
【0068】
第2チューブ保持部材400は、収容部282に形成される第2挿入溝282eに挿入され、第2チューブT2を第2軸線方向AD2に沿って第2挿入溝282eに保持する部材である。図9および図11に示すように、第2挿入溝282eは、収容部282に形成されるとともに軸線Z2が延びる方向である第2軸線方向AD2に沿って延びる溝である。
【0069】
図9に示すように、第2挿入溝282eは、第2軸線方向AD2に直交する第2幅方向WD2に第1幅W21を有する第1領域R1と第2幅W22を有する第2領域R2とを備える。図9に示すように、第2挿入溝282eの第1領域R1の第1幅W21は、第2軸線方向AD2の各位置で同一の幅となっている。第2挿入溝282eの第2領域R2の第2幅W22は、第2軸線方向AD2の各位置で同一の幅となっている。
【0070】
図11に示すように、第2挿入溝282eの第1領域R1の第1幅W21は、第2チューブ保持部材400が第2挿入溝282eに挿入される第2深さ方向DD2の各位置で同一の幅となっている。また、第2挿入溝282eの第2領域R2の第2幅W22は、第2深さ方向DD2の各位置で同一の幅となっている。
【0071】
図9に示すように、第2挿入溝282eの第1領域R1は、第2軸線方向AD2に第1長さL21を有する。第1長さL21は、第2チューブ保持部材400の第2幅方向WD2の各位置で同一の長さとなっている。第2挿入溝282eの第2領域R2は、第2軸線方向AD2に第2長さL22を有する。第2長さL22は、第2チューブ保持部材400の第2幅方向WD2の各位置で同一の長さとなっている。
【0072】
図11は、図9のG-G矢視断面図である。図12は、図10のH-H矢視断面図である。図13は、図11のI-I矢視断面図である。図11および図12に示すように、第2チューブ保持部材400は、挿入部410と、腕部421と、腕部422と、を備える。挿入部410、腕部421および腕部422は、弾性変形可能な可撓性を有する樹脂材料(例えば、ポリカーボネート)により一体に成形されている。
【0073】
挿入部410は、第2チューブT2を第2軸線方向AD2に沿って配置した状態で第2挿入溝282eに挿入される。腕部421および腕部422は、第2軸線方向AD2に沿って延びるとともに挿入部410が第2挿入溝282eの底部282fまで挿入された状態で第2挿入溝282eから突出する部分である。
【0074】
挿入部410は、壁部411と、壁部412と、連結部413とを有する。壁部411は、第2軸線方向AD2に沿って延びるとともに腕部421に連結される部材である。壁部412は、第2軸線方向AD2に沿って延びるとともに腕部422に連結される部材である。壁部411および壁部412は、第2チューブT2を挟んだ状態で保持するように第2幅方向WD2に間隔を空けて配置される。
【0075】
連結部413は、第2軸線方向AD2に沿って延びるとともに壁部411および壁部412を連結する部材である。図12に示すように、連結部413は、挿入部410が第2挿入溝282eに挿入された状態で、第2挿入溝282eの底部282fに対向して配置される。連結部413は、樹脂材料により形成されているため、操作者が腕部421および腕部422を指先でつまんでこれらの第2幅方向WD2の間隔を狭めることにより第2幅方向WD2に沿って縮むように弾性変形可能な部材である。
【0076】
図11に示すように、壁部411および壁部412は、挿入部410が第2挿入溝282eに挿入されない状態で第2幅方向WD2に第1幅W21よりも長い第3幅W23を有する。図12に示すように、壁部411および壁部412は、挿入部410が第2挿入溝282eに挿入された状態で第2幅方向WD2に第2幅W22を有するように第2挿入溝282eに接触して配置される。
【0077】
図11および図12に示すように、壁部411の第2チューブT2と接触する面には、第2チューブT2に向けて突出するとともに第2軸線方向AD2に直交する第2深さ方向DD2に沿って延びる突起部414が形成されている。壁部412の第2チューブT2と接触する面には、第2チューブT2に向けて突出するとともに第2軸線方向AD2に直交する方向に延びる突起部415が形成されている。
【0078】
図13に示すように、突起部414は、壁部411に第2軸線方向AD2に直交する第2深さ方向DD2に沿って延びるように形成され、かつ第2軸線方向AD2に沿って間隔を空けて2箇所に配置されている。図示を省略するが、突起部415も、壁部412に第2軸線方向AD2に直交する第2深さ方向DD2に沿って延びるように形成され、かつ第2軸線方向AD2に沿って間隔を空けて2箇所に配置されている。
【0079】
図13に示すように、突起部414は、腕部421から壁部411の下方へ向けて第2チューブT2の外径D2o以上の長さを有する。図示を省略するが、突起部415も、腕部422から壁部412の下方へ向けて第2チューブT2の外径D2o以上の長さを有する。
【0080】
そのため、操作者が第2チューブT2を腕部421および腕部422の上方から壁部411および壁部412の間に挿入する際に、第2チューブT2の外周面に突起部414および突起部415が突き当てられる。そのため、第2チューブT2が第2チューブ保持部材400に対して第2軸線方向AD2に沿って移動することが防止される。
【0081】
また、突起部414および突起部415は、第2チューブT2が第2チューブ保持部材400に取り付けられた状態においても、第2チューブT2の外周面に対して強く突き当てられる。そのため、壁部411および壁部412に挟んだ状態で保持される第2チューブT2を第2軸線方向AD2に沿って移動しないように保持することができる。
【0082】
図13に示すように、第2挿入溝282eの第1領域R1は、第2深さ方向DD2に沿って第1深さD21を有する。第1深さD21は、第2軸線方向AD2の各位置で同一の長さとなっている。第2挿入溝282eの第2領域R2は、第2深さ方向DD2に沿って第1深さD21よりも長い第2深さD22を有する。第2深さD22は、第2軸線方向AD2の各位置で同一の長さとなっている。
【0083】
図13に示すように、第2チューブ保持部材400の連結部413は、第2挿入溝282eの第1領域R1に対応する第1領域413aと、第2挿入溝282eの第2領域R2に対応する第2領域413bとを有する。第2チューブ保持部材400の連結部413は、第2軸線方向AD2の各位置での形状が、第1挿入溝182eの底部282fと同じ形状となっている。このように、第2チューブ保持部材400は、第2挿入溝282eと対応する形状を有するため、第2挿入溝282eに挿入可能となっている。
【0084】
腕部421および腕部422は、第2チューブ保持部材400を第2挿入溝282eへ挿入する際に、操作者が指先でつまむ部分である。腕部421の先端部421aは、第2幅方向WD2の外側(第2チューブT2から遠ざかる側)に向けて突出する形状に形成されている。腕部422の先端部422aは、第2幅方向WD2の外側に向けて突出する形状に形成されている。
【0085】
操作者は、第2チューブT2が連結部413の内周面と接触する位置まで第2チューブT2を挿入した後、先端部421aおよび先端部422aを2本の指でつまみ、壁部411および壁部412の第2幅方向WD2の長さを第2挿入溝282eの第1幅W21よりも短くする。操作者は、挿入部410を第2挿入溝282eの底部282fまで挿入した後、先端部421aおよび先端部422aを指先でつまんだ状態を解除する。
【0086】
操作者が先端部421aおよび先端部422aを指先でつまむ状態を解除すると、連結部413の弾性変形の一部が解除され、壁部411および壁部412の第2幅方向WD2の長さが第2挿入溝282eの第1幅W21まで広がり、壁部411および壁部412がそれぞれ第2挿入溝282eに接触する。連結部413の弾性変形の一部は解除されないまま保持されているため、連結部413の弾性力により挿入部410が第2挿入溝282eに保持される。
【0087】
図10に示すように、腕部421の先端部421aには、壁部411および壁部412により保持される第2チューブT2を識別するための第2識別情報を表示する表示部421bが設けられている。図10に示す表示部421bは、第2チューブT2の内径D2i(図13参照)が0.25mmであることを示す「25」との識別情報が表示されている。
【0088】
表示部421bは、例えば、他の部分とは異なる色の塗料等により識別情報を表示する。また、表示部421bは、識別情報を示す形状に成形されたものであってもよい。また、表示部421bは、識別情報が印刷されたシール等を貼り付けたものであってもよい。また、表示部421bが表示する識別情報は、第2チューブT2の内径D2iを示す情報とは異なる他の情報であってもよい。
【0089】
例えば、第2チューブT2の内径D2iと対応付けられた文字コード、第2チューブT2の外径D2oを示す情報、第2チューブT2の外径D2oと対応付けられた文字コード、第2チューブT2の材質を示す情報、一対の第2チューブ保持部材400の一方と他方を識別するための情報、あるいはこれらの情報を組み合わせた情報でもよい。また、表示部421bを設けるのに替えて、第2チューブ保持部材400を形成する樹脂材料を、第2チューブT2に対応する所望の色に着色してもよい。
【0090】
次に、第1チューブポンプ100の第1挿入溝182eに第2チューブT2が取り付けられることが防止され、第2チューブポンプ200の第2挿入溝282eに第1チューブT1が取り付けられることが防止されることについて説明する。
【0091】
以上で説明したように、第1チューブポンプ100の第1挿入溝182eの形状は、第2チューブポンプ200の第2挿入溝282eの形状と異なっている。例えば、第1挿入溝182eの第1幅W11は、第2挿入溝282eの第1領域R1の第1幅W21よりも広く、かつ第2挿入溝282eの第2領域R2の第2幅W22よりも狭く設定される。
【0092】
第2挿入溝282eの第1幅W21が第1挿入溝182eの第1幅W11よりも狭いため、第1チューブ保持部材300が第2挿入溝282eへ挿入されることが防止される。また、第1挿入溝182eの第1幅W11が第2挿入溝282eの第2幅W22よりも狭いため、第2チューブ保持部材400が第1挿入溝182eへ挿入されることが防止される。
【0093】
図5に示すように、第1チューブ保持部材300は、壁部311および壁部312の第1幅方向WD1の間隔が第1間隔W13である。一方、図11に示すように、第2チューブ保持部材400は、壁部411および壁部412の第2幅方向WD2の間隔が第1間隔W13よりも短い第2間隔W24である。第1間隔W13が第1チューブT1の外径D1oと一致し、第2間隔W24が第2チューブT2の外径D2oと一致している。そのため、第1チューブ保持部材300に第2チューブT2が誤って保持されること、および第2チューブ保持部材400に第1チューブT1が誤って保持されることを防止することができる。
【0094】
以上説明した本実施形態が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態のチューブポンプシステム1によれば、第1チューブポンプ100の収容部182に第1軸線方向AD1に沿って延びる第1挿入溝182eが形成されており、第2チューブポンプ200の収容部282に第2軸線方向AD2に沿って延びる第2挿入溝282eが形成されている。第1チューブT1は第1チューブ保持部材300により第1軸線方向AD1に沿って第1挿入溝182eに保持され、第2チューブT2は第2チューブ保持部材400により第2軸線方向AD2に沿って第2挿入溝282eに保持される。
【0095】
本実施形態のチューブポンプシステム1によれば、第1挿入溝182eの形状は、第2挿入溝282eの形状と異なっている。また、第1チューブ保持部材300は第1挿入溝182eと対応する形状を有し、第2チューブ保持部材400は、第2挿入溝282eと対応する形状を有する。そのため、第1チューブT1を保持する第1チューブ保持部材300が、第1挿入溝182eの形状と対応しない第2挿入溝282eに取り付けられることが防止される。
【0096】
同様に、第2チューブT2を保持する第2チューブ保持部材400が、第2挿入溝282eの形状と対応しない第1挿入溝182eに取り付けられることが防止される。よって、第1チューブポンプ100および第2チューブポンプ200を備えるチューブポンプシステム1において、特定のチューブポンプに対してその特定のチューブポンプで搬送させる液体の種類に応じていない不適切なチューブが取り付けられることを防止することができる。
【0097】
本実施形態のチューブポンプシステム1によれば、第1チューブ保持部材300の壁部311,312の第1幅方向WD1の第1間隔W13と第2チューブ保持部材400の壁部411,412の第2幅方向WD2の第2間隔W24とが異なる。そのため、第1チューブ保持部材300の壁部311,312の間に第2チューブT2を挿入しても第2チューブT2が適切に保持されない。同様に、第2チューブ保持部材400の壁部411,412の間に第1チューブT1を挿入しても第1チューブT1が適切に保持されない。よって、第1チューブ保持部材300に第2チューブT2が誤って保持されること、および第2チューブ保持部材400に第1チューブT1が誤って保持されることを防止することができる。
【0098】
本実施形態のチューブポンプシステム1によれば、第1挿入溝182eの溝幅と第2挿入溝282eの溝幅が異なるため、第1チューブ保持部材300が第2挿入溝282eに取り付けられることが防止される。同様に、第2チューブ保持部材400が第1挿入溝182eに取り付けられることが防止される。
【0099】
本実施形態のチューブポンプシステム1によれば、操作者は、第1チューブ保持部材300の表示部321bに表示される第1識別情報を認識することにより、第1チューブ保持部材300に取り付けられる第1チューブT1を適切に識別することができる。同様に、操作者は、第2チューブ保持部材400の表示部421bに表示される第2識別情報を認識することにより、第2チューブ保持部材400に取り付けられる第2チューブT2を適切に識別することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 チューブポンプシステム
100 第1チューブポンプ
110,120 ローラ部(第1ローラ部)
182 収容部(第1収容部)
182e 第1挿入溝
182f 底部
200 第2チューブポンプ
210,220 ローラ部(第2ローラ部)
282 収容部(第2収容部)
282e 第2挿入溝
282f 底部
300 第1チューブ保持部材
311,312 壁部(第1壁部)
321b 表示部
400 第2チューブ保持部材
411,412 壁部(第2壁部)
421b 表示部
AD1 第1軸線方向
AD2 第2軸線方向
T1 第1チューブ
T2 第2チューブ
X1,X2,Z1,Z2 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13