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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】格納ベッド
(51)【国際特許分類】
   A47C 19/12 20060101AFI20240328BHJP
   A47C 21/00 20060101ALI20240328BHJP
   E06C 7/48 20060101ALI20240328BHJP
   E06C 1/06 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
A47C19/12 Z
A47C21/00
E06C7/48
E06C1/06
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020094524
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021186249
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 大輔
【審査官】黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-174450(JP,U)
【文献】実開昭55-109454(JP,U)
【文献】特開2006-149642(JP,A)
【文献】特開2003-339486(JP,A)
【文献】米国特許第4257492(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 19/12
A47C 21/00
E06C 7/48
E06C 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部と、
縦方向に起立した第1位置と、横方向に延びた第2位置と、の間で回動可能に前記支持部に支持されたベッド本体と、
前記第2位置にあるベッド本体に対して着脱可能な梯子部と、
前記ベッド本体に設けられロッド状をなすとともに第1先端部を有する第1係合部と、
前記梯子部に設けられ前記第1先端部と係合可能な第2係合部と、
を備え、
前記第2係合部は、
前記第1先端部と当接して前記第1先端部の横方向への移動を許容する第1滑面と、
前記第1滑面に隣接して設けられ前記第1先端部が落ち込むとともに、落ち込んだ前記第1先端部が前記横方向に移動することを規制する第1凹部と、
前記第1凹部から上方向に延びる第1溝部であって、前記第1凹部内に位置する前記第1先端部の上方向への移動を許容する第1溝部と、
を有する格納ベッド。
【請求項2】
前記第1先端部は、前記第1係合部の軸方向に沿って進退可能であり、
前記第1係合部の前記第1先端部は、前記第1凹部内に落ち込む方向にばねで付勢される請求項1に記載の格納ベッド。
【請求項3】
前記第1係合部は、ロッド状をなしたロッド部と、前記ロッド部から外側に突出したり、前記ロッド部内に収納されたりする前記第1先端部と、を有し、
前記第1滑面は、前記第1凹部に近づくにつれて前記ロッド部に近づくように斜めである請求項2に記載の格納ベッド。
【請求項4】
前記ベッド本体は、前記横方向に延びる柵部材を有し、
前記第2係合部は、前記梯子部の先端側に設けられ、
前記梯子部は、前記第2係合部よりもさらに先端側に前記柵部材に引っ掛けることが可能なフックを有する請求項1~3のいずれか1項に記載の格納ベッド。
【請求項5】
前記第1係合部は、前記ベッド本体の底部に設けられ、前記ベッド本体を第1位置と第2位置との間で移動させる際の操作用ハンドルを兼ねる請求項1~4のいずれか1項に記載の格納ベッド。
【請求項6】
前記第1係合部から吊り下げられ前記横方向に延びる操作用ロッドを備える請求項1~5のいずれか1項に記載の格納ベッド。
【請求項7】
前記第1係合部は、前記第1先端部とは反対側に設けられる第2先端部を有し、
前記第2係合部は、
前記第2先端部と当接して前記第2先端部の横方向への移動を許容する第2滑面と、
前記第2滑面に隣接して設けられ前記第2先端部が落ち込むとともに、落ち込んだ前記第2先端部が前記横方向に移動することを規制する第2凹部と、
前記第2凹部から上方向に延びる第2溝部であって、前記第2凹部内に位置する前記第2先端部の上方向への移動を許容する第2溝部と、
を有する請求項1~6のいずれか1項に記載の格納ベッド。
【請求項8】
前記第2先端部は、前記第1係合部の軸方向に沿って進退可能であり、
前記第1係合部の前記第2先端部は、前記第2凹部内に落ち込む方向にばねで付勢される請求項7に記載の格納ベッド。
【請求項9】
前記第1係合部は、ロッド状をなしたロッド部と、前記ロッド部から外側に突出したり、前記ロッド部内に収納されたりする前記第2先端部と、を有し、
前記第2滑面は、前記第2凹部に近づくにつれて前記ロッド部に近づくように斜めである請求項8に記載の格納ベッド。
【請求項10】
支持部と、
縦方向に起立した第1位置と、横方向に延びた第2位置と、の間で回動可能に前記支持部に支持されたベッド本体と、
前記第2位置にあるベッド本体に対して着脱可能な梯子部と、
前記ベッド本体に設けられた第3係合部と、
前記梯子部に設けられロッド状をなすとともに前記第3係合部と係合可能な第1先端部を有する第4係合部と、
を備え、
前記第3係合部は、
前記第4係合部の第1先端部と当接して前記第1先端部の横方向への移動を許容する第1滑面と、
前記第1滑面に隣接して設けられ前記第1先端部が落ち込むとともに、落ち込んだ前記第1先端部が前記横方向に移動することを規制する第1凹部と、
前記第1凹部から下方向に延びる第1溝部であって、前記第1凹部内に位置する前記第1先端部の下方向への移動を許容する第1溝部と、
を有する格納ベッド。
【請求項11】
前記第1先端部は、前記第4係合部の軸方向に沿って進退可能であり、
前記第4係合部の前記第1先端部は、前記第1凹部内に落ち込む方向にばねで付勢される請求項10に記載の格納ベッド。
【請求項12】
前記第4係合部は、ロッド状をなしたロッド部と、前記ロッド部から外側に突出したり、前記ロッド部内に収納されたりする前記第1先端部と、を有し、
前記第1滑面は、前記第1凹部に近づくにつれて前記ロッド部に近づくように斜めである請求項11に記載の格納ベッド。
【請求項13】
前記ベッド本体は、前記横方向に延びる柵部材を有し、
前記第4係合部は、前記梯子部の先端側に設けられ、
前記梯子部は、前記第4係合部よりもさらに先端側に前記柵部材に引っ掛けることが可能なフックを有する請求項10~12のいずれか1項に記載の格納ベッド。
【請求項14】
前記第4係合部は、前記第1先端部とは反対側に設けられる第2先端部を有し、
前記第3係合部は、
前記第2先端部と当接して前記第2先端部の横方向への移動を許容する第2滑面と、
前記第2滑面に隣接して設けられ前記第2先端部が落ち込むとともに、前記第2先端部が前記横方向に移動することを規制する第2凹部と、
前記第2凹部から下方向に延びる第2溝部であって、前記第2凹部内に位置する前記第2先端部の下方向への移動を許容する第2溝部と、
を有する請求項10~13のいずれか1項に記載の格納ベッド。
【請求項15】
前記第2先端部は、前記第4係合部の軸方向に沿って進退可能であり、
前記第4係合部の前記第2先端部は、前記第2凹部内に落ち込む方向にばねで付勢される請求項14に記載の格納ベッド。
【請求項16】
前記第4係合部は、ロッド状をなしたロッド部と、前記ロッド部から外側に突出したり、前記ロッド部内に収納されたりする前記第2先端部と、を有し、
前記第2滑面は、前記第2凹部に近づくにつれて前記ロッド部に近づくように斜めである請求項15に記載の格納ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非使用状態でベッドを格納することが可能な格納ベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
直立状態で、ベッドをキャビネット内に格納可能な格納ベッドが知られている(特許文献1:実開昭62-78150号公報)。この格納ベッドは、脚板が回動可能になっており、脚板は、ベッドを引き出し時にベッド本体に対して直交し、脚を構成するようになっている。ベッドの格納時には、広い室内空間を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭62-78150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、広い室内空間を確保できるというメリットを有する格納ベッドであるが、ベッドの格納時および引き出し時にベッド本体の回転移動を伴うこととなる。このために、事故防止の観点から、その設計には細心の注意を払う必要がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、使用状態において梯子部が容易には脱落しない格納ベッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の格納ベッドは、
支持部と、
縦方向に起立した第1位置と、横方向に延びた第2位置と、の間で回動可能に前記支持部に支持されたベッド本体と、
前記第2位置にあるベッド本体に対して着脱可能な梯子部と、
前記ベッド本体に設けられロッド状をなすとともに第1先端部を有する第1係合部と、
前記梯子部に設けられ前記第1先端部と係合可能な第2係合部と、
を備え、
前記第2係合部は、
前記第1先端部と当接して前記第1先端部の横方向への移動を許容する第1滑面と、
前記第1滑面に隣接して設けられ前記第1先端部が落ち込む第1凹部と、
前記第1凹部の周囲に形成された第1段部であって、前記第1凹部内に位置する前記第1先端部が前記横方向に移動することを規制する第1段部と、
前記第1凹部から上方向に延びる第1溝部であって、前記第1凹部内に位置する前記第1先端部の上方向への移動を許容する第1溝部と、
を有する。
【0007】
また、本発明(2)の格納ベッドは、(1)記載の格納ベッドであって、
前記第1先端部は、前記第1係合部の軸方向に沿って進退可能であり、
前記第1係合部の前記第1先端部は、前記第1凹部内に落ち込む方向にばねで付勢される。
【0008】
また、本発明(3)の格納ベッドは、(2)記載の格納ベッドであって、
前記第1係合部は、ロッド状をなしたロッド部と、前記ロッド部から外側に突出したり、前記ロッド部内に収納されたりする前記第1先端部と、を有し、
前記第1滑面は、前記第1凹部に近づくにつれて前記ロッド部に近づくように斜めである。
【0009】
また、本発明(4)の格納ベッドは、(1)~(3)記載の格納ベッドであって、
前記ベッド本体は、前記横方向に延びる柵部材を有し、
前記第2係合部は、前記梯子部の先端側に設けられ、
前記梯子部は、前記第2係合部よりもさらに先端側に前記柵部材に引っ掛けることが可能なフックを有する。
【0010】
また、本発明(5)の格納ベッドは、(1)~(4)記載の格納ベッドであって、
前記第1係合部は、前記ベッド本体の底部に設けられ、前記ベッド本体を第1位置と第2位置との間で移動させる際の操作用ハンドルを兼ねる。
【0011】
また、本発明(6)の格納ベッドは、(1)~(5)のいずれか1項に記載の格納ベッドであって、
前記第1係合部から吊り下げられ前記横方向に延びる操作用ロッドを備える。
【0012】
また、本発明(7)の格納ベッドは、(1)~(6)のいずれか1項に記載の格納ベッドであって、
前記第1係合部は、前記第1先端部とは反対側に設けられる第2先端部を有し、
前記第2係合部は、
前記第2先端部と当接して前記第2先端部の横方向への移動を許容する第2滑面と、
前記第2滑面に隣接して設けられ前記第2先端部が落ち込むとともに、落ち込んだ前記第2先端部が前記横方向に移動することを規制する第2凹部と、
前記第2凹部から上方向に延びる第2溝部であって、前記第2凹部内に位置する前記第2先端部の上方向への移動を許容する第2溝部と、
を有する。
【0013】
また、本発明(8)の格納ベッドは、(7)記載の格納ベッドであって、
前記第2先端部は、前記第1係合部の軸方向に沿って進退可能であり、
前記第1係合部の前記第2先端部は、前記第2凹部内に落ち込む方向にばねで付勢される。
【0014】
また、本発明(9)の格納ベッドは、(8)記載の格納ベッドであって、
前記第1係合部は、ロッド状をなしたロッド部と、前記ロッド部から外側に突出したり、前記ロッド部内に収納されたりする前記第2先端部と、を有し、
前記第2滑面は、前記第2凹部に近づくにつれて前記ロッド部に近づくように斜めである。
【0015】
また、本発明(10)の格納ベッドは、
支持部と、
縦方向に起立した第1位置と、横方向に延びた第2位置と、の間で回動可能に前記支持部に支持されたベッド本体と、
前記第2位置にあるベッド本体に対して着脱可能な梯子部と、
前記ベッド本体に設けられた第3係合部と、
前記梯子部に設けられロッド状をなすとともに前記第3係合部と係合可能な第1先端部を有する第4係合部と、
を備え、
前記第3係合部は、
前記第4係合部の第1先端部と当接して前記第1先端部の横方向への移動を許容する第1滑面と、
前記第1滑面に隣接して設けられ前記第1先端部が落ち込むとともに、落ち込んだ前記第1先端部が前記横方向に移動することを規制する第1凹部と、
前記第1凹部から下方向に延びる第1溝部であって、前記第1凹部内に位置する前記第1先端部の下方向への移動を許容する第1溝部と、
を有する。
【0016】
また、本発明(11)の格納ベッドは、(10)記載の格納ベッドであって、
前記第1先端部は、前記第4係合部の軸方向に沿って進退可能であり、
前記第4係合部の前記第1先端部は、前記第1凹部内に落ち込む方向にばねで付勢される。
【0017】
また、本発明(12)の格納ベッドは、(11)記載の格納ベッドであって、
前記第4係合部は、ロッド状をなしたロッド部と、前記ロッド部から外側に突出したり、前記ロッド部内に収納されたりする前記第1先端部と、を有し、
前記第1滑面は、前記第1凹部に近づくにつれて前記ロッド部に近づくように斜めである。
【0018】
また、本発明(13)の格納ベッドは、(10)~(12)のいずれか1項に記載の格納ベッドであって、
前記ベッド本体は、前記横方向に延びる柵部材を有し、
前記第4係合部は、前記梯子部の先端側に設けられ、
前記梯子部は、前記第4係合部よりもさらに先端側に前記柵部材に引っ掛けることが可能なフックを有する。
【0019】
また、本発明(14)の格納ベッドは、(10)~(13)のいずれか1項に記載の格納ベッドであって、
前記第4係合部は、前記第1先端部とは反対側に設けられる第2先端部を有し、
前記第3係合部は、
前記第2先端部と当接して前記第2先端部の横方向への移動を許容する第2滑面と、
前記第2滑面に隣接して設けられ前記第2先端部が落ち込むとともに、前記第2先端部が前記横方向に移動することを規制する第2凹部と、
前記第2凹部から下方向に延びる第2溝部であって、前記第2凹部内に位置する前記第2先端部の下方向への移動を許容する第2溝部と、
を有する。
【0020】
また、本発明(15)の格納ベッドは、(14)記載の格納ベッドであって、
前記第2先端部は、前記第4係合部の軸方向に沿って進退可能であり、
前記第4係合部の前記第2先端部は、前記第2凹部内に落ち込む方向にばねで付勢される。
【0021】
また、本発明(16)の格納ベッドは、(15)記載の格納ベッドであって、
前記第4係合部は、ロッド状をなしたロッド部と、前記ロッド部から外側に突出したり、前記ロッド部内に収納されたりする前記第2先端部と、を有し、
前記第2滑面は、前記第2凹部に近づくにつれて前記ロッド部に近づくように斜めである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、使用状態において梯子部が容易には脱落しない格納ベッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態の格納ベッドにおいてベッド本体が第2位置にある状態を示す斜視図である。
図2図1に示す格納ベッドにおいてベッド本体が第1位置にある状態を示す斜視図である。
図3図1に示す格納ベッドの第1係合部を一部破断して示す断面図である。
図4図1に示す格納ベッドの梯子部を正面方向から示した正面図である。
図5図4に示す梯子部のF5-F5の位置に沿った断面図である。
図6図1に示す格納ベッドのベッド本体側の第1係合部と、梯子部側の第2係合部と、を示す上面図である。
図7図6に示す第2係合部の左部材を上方から示す上面図である。
図8図7に示す第2係合部の左部材を側方から示す側面図である。
図9図6に示す第2係合部の左部材を正面から示す正面図である。
図10図8に示す左部材のF10-F10線の位置に沿った断面図である。
図11図6に示す第2係合部の右部材を側方から示す側面図である。
図12図2に示す格納ベッドのベッド本体を第1位置から第2位置に移動する途中の状態を示す斜視図である。
図13図12に示す格納ベッドを第2位置にした状態で、フックを柵部材に引っ掛ける作業工程を示す側面図である。
図14図13に示す格納ベッドのフックを柵部材に引っ掛けた状態で、フック・柵部材を支点に梯子部を回動させる工程を示す斜視図である。
図15図14に示す格納ベッドの梯子部をさらに回動させて第1係合部と第2係合部とが係合した状態の梯子部を示す側面図である。
図16図15に示す格納ベッドの第1係合部と第2係合部とが係合した状態を示す斜視図である。
図17図1に示す格納ベッドにおいて、第2位置にあるベッド本体を第1位置に向けて回動させるとともに、梯子部を手前方向に回動させる工程を示す斜視図である。
図18図17に示す格納ベッドにおいて、第2位置にあるベッド本体を第1位置に向けて回動させるとともに、梯子部を手前方向に回動させる工程の詳細を示す斜視図である。
図19】第2実施形態の格納ベッドのベッド本体側の第3係合部と、梯子部側の第4係合部を示す上面図である。
図20図19に示す第4係合部の左部材を上方から示す上面図である。
図21図20に示す第4係合部の左部材を側方から示す側面図である。
図22図19に示す第4係合部の右部材を側方から示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面を参照して、本発明の格納ベッドの実施形態について説明する。格納ベッドは、例えば、ホテルの客室等に設置され、ユーザである宿泊者が格納ベッドを展開したり格納したりすることで、客室内のスペースを適宜に活用できるものである。また、下記実施形態の格納ベッドは、室内の比較的に高い位置に設置されるものであり、その下方に収納スペースを有する。この収納スペースには、格納ベッドの直下にソファーやその他の家具、家電等を配置することができる。このため、本発明は、室内のスペースを有効活用できるものである。
[第1実施形態]
【0025】
図1図18を参照して、第1実施形態の格納ベッド11について説明する。図1図2に示すように、格納ベッド11は、支持部12と、支持部12に対して回動可能に固定されたベッド本体13と、後述する第2位置P2にあるベッド本体13に対して着脱可能に構成された梯子部14と、ベッド本体13に設けられロッド状をなすとともに第1先端部21および第2先端部22を有する第1係合部15(図3参照)と、梯子部14に設けられ第1先端部21および第2先端部22と係合可能な第2係合部16と、第1係合部15に吊下げられた操作用ロッド17と、を備える。
【0026】
支持部12は、鋼材等の金属製のフレーム23と、ベッド本体13を回動可能に支持する枢軸24と、を有する。フレーム23は、室の床および側壁に対してボルト・ナットを介して固定されている。枢軸24は、鋼材等の金属材料によって円柱形に形成されている。フレーム23には、ベッド本体13が第2位置P2と第1位置P1との間で回動することを禁止するロックレバー25が設けられている。
【0027】
ベッド本体13は、上方から見て長方形をなした金属製の枠体31と、枠体31の上側に渡された平板状の底板32と、枠体31から上方に起立するように設けられた柵部材33と、枠体31の下面に設けられた化粧板34と、枠体31の下面に設けられたクッション26と、を有する。底板32は、複数の鋼線を網目状に組み合わせて平板状に形成されている。化粧板34は、板や木目調パネルで構成されている。柵部材33は、鋼材等の金属材料によって形成された、中空の棒材を溶接等で枠組みして形成されている。クッション26は、ユーザがベッド本体13に頭部などをぶつけた際の衝撃を吸収できる。
【0028】
操作用ロッド17は、ロッド状の第1係合部15から吊下げられた帯状の吊りシート35と、吊りシート35の下端に固定されたロッド状のロッド本体36と、を有する。吊りシート35は、皮や合皮によって形成されている。ロッド本体36は、例えば、円柱形の鋼材によって形成されている。吊りシート35は、ロッド本体36を手で把持する際に手を差し入れることが可能な開口部37(一対のスリットの間に形成された開口部)を有する。ユーザは、開口部37に手を差し入れて、ベッド本体13を回動させることができる。また、ユーザは、場合により、第1係合部15そのものを操作用ハンドルとして用いてベッド本体13を回動させてもよい。
【0029】
梯子部14は、一般的なベッド用の梯子と略同様の構成を有する。図4図6に示すように、梯子部14は、一対の柱部41と、一対の柱部41の下端にそれぞれ設けられた一対の脚部42と、一対の柱部41同士の間に渡された横木部43と、を有する。第2係合部16は、一対の柱部41の先端側に設けられている。梯子部14は、第2係合部16よりもさらに先端側に一対のフック44を有する。一対のフック44のそれぞれは、一対の柱部41のそれぞれに対応するように設けられている。フック44は、金属板によって略「L」字形に形成されている。フック44は、ベッド本体13の柵部材33に対して引掛けることができる。柵部材33に引っ掛けられたフック44を支点に、ユーザは、ベッド本体13側の第1係合部15に対して、梯子部14側の第2係合部16を位置合わせして係合させることができる。
【0030】
図3に示すように、第1係合部15は、ベッド本体13の枠体31の下面にボルト・ナットを介して固定されている。第1係合部15は、ロッド部45と、ロッド部45の一方の端部に設けられた第1先端部21と、ロッド部45の他方の端部(第1先端部21とは反対側)に設けられた第2先端部22と、第1先端部21をロッド部45から外側に突出する方向(第1凹部56に落ち込む方向)に付勢するばね46と、第2先端部22をロッド部45から外側に突出する方向(第2凹部66に落ち込む方向)に付勢するばね46と、を有する。
【0031】
第1先端部21は、ロッド部45の軸方向に対して進退可能に構成された軸部21Aと、ロッド部45の内部で軸部21Aの末端に設けられピン21Bと、を有する。軸部21Aは、ピストン状の形態をなしている。軸部21Aの先端に位置する頭部は、円柱形をなしている。軸部21Aは、ばね46の作用によって、ロッド部45の内側に収納されたり、ロッド部45から外側に突出したりすることができる。ピン21Bは、軸部21Aがロッド部45から所定長さ以上突出してしまうことを防止することができる。第2先端部22は、第1先端部21と同様の構成を有し、第1先端部21と同様に動作することができる。
【0032】
図4図6等に示すように、第2係合部16は、左右一対に形成されている。第2係合部16は、左部材51と、右部材52と、を有する。左部材51は、一対の柱部41の一方に金属製のブラケットを介して固定されている。右部材52は、一対の柱部41の他方に金属製のブラケットを介して固定されている。
【0033】
図7図10に示すように、左部材51は、金属材料によって形成されており、上方から見て「L」字形に形成されている。
【0034】
左部材51は、横板部53と、横板部53から起立した縦板部54と、縦板部54の先端側(ベッド本体13と対向する側)に設けられ縦板部54に対して斜めに形成された第1折り曲げ部55と、第1折り曲げ部55の第1係合部15と当接する側の面に設けられた第1滑面56と、縦板部54の第1係合部15と当接する側の面に設けられた第1凹部57と、第1凹部57の周囲に形成された第1段部58と、第1凹部57から上方向に延びる第1溝部61と、を有する。
【0035】
縦板部54は、2枚の金属板を溶接することで一体に形成されている。第1係合部15と当接する側の金属板には、第1凹部57、第1段部58、および第1溝部61が形成されている。
【0036】
第1折り曲げ部55は、縦板部54から遠ざかるにつれて外側に拡開するように斜めになっている。このため、第1折り曲げ部55に設けられた第1滑面56は、第1凹部57に近づくにつれて、これに当接する第1係合部15のロッド部45に近づくように斜めであるといえる(図6参照)。第1滑面56は、第1係合部15の第1先端部21と当接し、第1先端部21が横方向に移動(相対移動)することを許容できる。
【0037】
第1凹部57は、第1係合部15の第1先端部21(軸部21A)の形状に倣うように円形(半円形)に窪んでいる。第1段部58は、第1凹部57の周囲に形成され、第1凹部57の外縁を規定している。第1段部58は、第1凹部57の内側に位置した第1係合部15の第1先端部21が横方向および下方向に移動することを規制することができる。
【0038】
第1溝部61は、第1凹部57と一体的に形成され、第1凹部57から上方向に延びるように形成されている。第1溝部61は、第1凹部57と同一の深さで周囲よりも窪んでいる。第1溝部61の幅は、第1凹部57の直径と同じに形成され、第1先端部21(軸部21A)の直径よりも若干大きい寸法で形成されている。このため、第1溝部61の内側を第1係合部15の第1先端部21が移動することができる。したがって、第1溝部61は、第1凹部57の内側に保持された第1係合部15の第1先端部21が上方に移動(相対移動)することを許容することができる。
【0039】
図4図6に示すように、右部材52は、左部材51と左右対称形の形態を有している。右部材52は、金属材料によって形成されており、上方から見て「L」字形に形成されている。
【0040】
図11に示すように、右部材52は、第2横板部62と、第2横板部62から起立した第2縦板部63と、第2縦板部63の先端側(ベッド本体13と対向する側)に設けられ第2縦板部63に対して斜めに形成された第2折り曲げ部64と、第2折り曲げ部64の第1係合部15と当接する側の面に設けられた第2滑面65と、第2縦板部63の第1係合部15と当接する側の面に設けられた第2凹部66と、第2凹部66の周囲に形成された第2段部67と、第2凹部66から上方向に延びる第2溝部68と、を有する。
【0041】
第2縦板部63は、2枚の金属板を溶接することで一体に形成されている。第1係合部15と当接する側の金属板には、第2凹部66、第2段部67、および第2溝部68が形成されている。
【0042】
第2折り曲げ部64は、第2縦板部63から遠ざかるにつれて外側に拡開するように斜めになっている。このため、第2折り曲げ部64に設けられた第2滑面65は、第2凹部66に近づくにつれて、これに当接する第1係合部15のロッド部45に近づくように斜めであるといえる(図6参照)。第2滑面65は、第1係合部15の第2先端部22と当接し、第2先端部22が横方向に移動(相対移動)することを許容できる。
【0043】
第2凹部66は、第1係合部15の第2先端部22(軸部21A)の形状に倣うように円形(半円形)に窪んでいる。第2段部67は、第2凹部66の周囲に形成され、第2凹部66の外縁を規定している。第2段部67は、第2凹部66の内側に位置した第1係合部15の第2先端部22が横方向および下方向に移動することを規制することができる。
【0044】
第2溝部68は、第2凹部66と一体的に形成され、第2凹部66から上方向に延びるように形成されている。第2溝部68は、第2凹部66と同一の深さで周囲よりも窪んでいる。第2溝部68の幅は、第2凹部66の直径と同じに形成され、第2先端部22(軸部21A)の直径よりも若干大きい寸法で形成されている。このため、第2溝部68の内側を第1係合部15の第2先端部22が移動することができる。したがって、第2溝部68は、第2凹部66の内側に保持された第1係合部15の第2先端部22が上方に移動(相対移動)することを許容することができる。
【0045】
図1図2図12図18を参照して、格納ベッド11の引き出し動作および格納動作について説明する。
【0046】
図2に示す起立状態の第1位置P1から図1に示す横置き状態(使用状態)の第2位置P2にする引き出し動作について説明する。
【0047】
ユーザは、フレーム23に設けられた図示しない安全ロックを解除して、ベッド本体13を回動可能な状態にする。ユーザは、図12に示すように、ベッド本体13側に設けられた操作用ロッド17を下方に引っ張って、ベッド本体13を第1位置P1から第2位置P2に回動させる。そして、ユーザは、支持部12のフレーム23に設けられたロックレバー25を操作して、第2位置P2においてベッド本体13を固定する。
【0048】
第2位置P2にしたベッド本体13の柵部材33に対して、ユーザは、図13に示すように、梯子部14のフック44を引っ掛けるようにする。ユーザは、この柵部材33・フック44を支点に、図14に示すように梯子部14を回動させ、第2係合部16の左部材51と右部材52との間に第1係合部15を位置させる。これによって、第1係合部15の第1先端部21が第2係合部16の左部材51の第1滑面56に当接し、第1係合部15の第2先端部22が第2係合部16の右部材52の第2滑面65に当接する。これによって、第1先端部21がロッド部45の内部に押し込まれ、第2先端部22がロッド部45の内部に押し込まれる。また、第2係合部16に対して第1係合部15の位置がずれている場合には、第1滑面56および第2滑面65に第1係合部15のロッド部45が当接し、梯子部14が微小距離だけ移動されることで、梯子部14の左右方向の位置が微調整される。ユーザが柵部材33・フック44を支点とする梯子部14の回動をそのまま継続すると、図15図16に示すように、第1凹部57の内側に第1係合部15の第1先端部21が落ち込み、第2凹部66の内側に第1係合部15の第2先端部22が落ち込む。これによって、第1係合部15に対して第2係合部16が係合した状態となる。これによって、ベッド本体13が第2位置P2にするときに、梯子部14がベッド本体13から外れないようになる。ユーザは、この状態で、寝具等をベッド本体13に載置することで、ベッドを使用することができる。本実施形態の格納ベッド11は、通常の使用状態では、ベッド本体13から梯子部14が外れることはない。すなわち、梯子部14は、ベッド本体13を上方に持ち上げない限り、ベッド本体13から外れることがなく、ユーザの安全が確保される。
【0049】
ユーザがベッド本体13を格納したい場合には、ベッド本体13から寝具等を降ろす。ユーザは、ロックレバー25を解除して、ベッド本体13が第2位置P2から第1位置P1に回動できる状態にする。図17図18に示すように、ユーザは、一方の手でベッド本体13を第2位置P2から第1位置P1に回動するように持ち上げる。これによって、第1係合部15の第1先端部21が第2係合部16の第1溝部61を通って上方向に移動し、第1係合部15の第2先端部22が第2係合部16の第2溝部68を通って上方向に移動する。これによって、第1係合部15と第2係合部16の係合状態が解除される。このため、ユーザは、図18に示すように、他方の手で梯子部14をベッド本体13から引き離すことができる。
【0050】
ユーザがそのままベッド本体13を上方向に回動させ、図示しない安全ロックをすることで、ベッド本体13を第1位置P1に固定することができる。
【0051】
第1実施形態によれば、以下のことがいえる。格納ベッド11は、支持部12と、縦方向に起立した第1位置P1と、横方向に延びた第2位置P2と、の間で回動可能に支持部12に支持されたベッド本体13と、第2位置P2にあるベッド本体13に対して着脱可能な梯子部14と、ベッド本体13に設けられロッド状をなすとともに第1先端部21を有する第1係合部15と、梯子部14に設けられ第1先端部21と係合可能な第2係合部16と、を備え、第2係合部16は、第1先端部21と当接して第1先端部21の横方向への移動を許容する第1滑面56と、第1滑面56に隣接して設けられ第1先端部21が落ち込むとともに、落ち込んだ第1先端部21が前記横方向に移動することを規制する第1凹部57と、第1凹部57から上方向に延びる第1溝部61であって、第1凹部57内に位置する第1先端部21の上方向への移動を許容する第1溝部61と、を有する。
【0052】
この構成によれば、第1凹部57によって第1係合部15の第1先端部21が横方向に移動することが規制されるために、ベッド本体13が第2位置P2にあるときに、第1滑面56を経由して第1係合部15の第1先端部21が第1凹部57から外れてしまうことがない。このため、使用状態である第2位置P2において、ベッド本体13から梯子部14が容易には外れない構造を実現することができる。これによって、ベッド使用時に梯子部14がベッド本体13から脱落して、ベッド本体13からユーザが下りられなくなる不具合を生じる危険を防止できる。また、ベッド本体13を第2位置P2から第1位置P1に戻す際に、ベッド本体13が上方に回動するために、そのベッド本体13の回動に伴い半自動的に、第1溝部61を経由して第1先端部21を第1凹部57から離脱させることができる。このため、ユーザが簡単にベッド本体13から梯子部14を分離させることができる。
【0053】
第1先端部21は、第1係合部15の軸方向に沿って進退可能であり、第1係合部15の第1先端部21は、第1凹部57内に落ち込む方向にばね46で付勢される。
【0054】
この構成によれば、第1先端部21が第1凹部57から容易に脱落しない構成を実現できる。また、ベッド本体13を第1位置P1から第2位置P2にして使用状態にしようとするユーザの手に対して、第1係合部15の第1先端部21が第1凹部57内に落ち込む際に、クリック感を付与することができる。これによって、梯子部14がベッド本体13に対して正しく固定されたことをユーザが認識できる。
【0055】
第1係合部15は、ロッド状をなしたロッド部45と、ロッド部45から外側に突出したり、ロッド部45内に収納されたりする第1先端部21と、を有し、第1滑面56は、第1凹部57に近づくにつれてロッド部45に近づくように斜めである。
【0056】
この構成によれば、第1滑面56と第1係合部15との当接を介して、ベッド本体13に対して梯子部14を正しい位置に案内することができる。また、第1係合部15が第1凹部57に近づくにつれて、ばね46の反発力に抗して第1先端部21をロッド部45内に押し込むことができる。これによって、第1先端部21が第1凹部57の周囲の段部を容易に乗り越えることができる。
【0057】
ベッド本体13は、前記横方向に延びる柵部材33を有し、第2係合部16は、梯子部14の先端側に設けられ、梯子部14は、第2係合部16よりもさらに先端側に柵部材33に引っ掛けることが可能なフック44を有する。
【0058】
この構成によれば、フック44および柵部材33を支点に、第1係合部15に対して第2係合部16を位置合わせすることができる。これによって、ユーザは、ベッド本体13に梯子部14を取り付ける際に、梯子部14の重量を柵部材33およびフック44に負担させた状態で、第1係合部15に対して第2係合部16を係合させることができる。これによって、ユーザの作業負担を低減して、梯子部14の装着作業を楽に行うことができる。
【0059】
第1係合部15は、ベッド本体13の底部に設けられ、ベッド本体13を第1位置P1と第2位置P2との間で移動させる際の操作用ハンドルを兼ねる。この構成によれば、別途に操作用ハンドルを設ける場合に比して、部品点数を削減して製造コストを低減できる。
【0060】
第1係合部15から吊り下げられ前記横方向に延びる操作用ロッド17を備える。ベッド本体13を起立した第1位置P1に回動させると、第1係合部15が高い位置に移動する場合がある。この構成によれば、背が小さな女性や子供でも、ベッド本体13を第1位置P1と第2位置P2との間で容易に回動させることができる。
【0061】
格納ベッド11は、第1係合部15は、第1先端部21とは反対側に設けられる第2先端部22を有し、第2係合部16は、第2先端部22と当接して第2先端部22の横方向への移動を許容する第2滑面65と、第2滑面65に隣接して設けられ第2先端部22が落ち込むとともに、落ち込んだ第2先端部22が前記横方向に移動することを規制する第2凹部66と、第2凹部66から上方向に延びる第2溝部68であって、第2凹部66内に位置する第2先端部22の上方向への移動を許容する第2溝部68と、を有する。
【0062】
この構成によれば、第2凹部66によっても第1係合部15の第2先端部22が横方向に移動することが規制されるために、ベッド本体13が第2位置P2にあるときに、梯子部14が第2滑面65を経由して第1係合部15の第2先端部22が第2凹部66から外れてしまうことがない。このため、使用状態である第2位置P2において、ベッド本体13から梯子部14が容易には外れない構造を実現することができる。これによって、ベッド使用時に梯子部14がベッド本体13から脱落して、ベッド本体13からユーザが下りられなくなる不具合を生じる危険を防止できる。また、ベッド本体13を第2位置P2から第1位置P1に戻す際に、ベッド本体13が上方に回動するために、そのベッド本体13の回動に伴い半自動的に、第2溝部68を経由して第2先端部22を第2凹部66から離脱させることができる。このため、ユーザが簡単にベッド本体13から梯子部14を分離させることができる。
【0063】
第2先端部22は、第1係合部15の軸方向に沿って進退可能であり、第1係合部15の第2先端部22は、第2凹部66内に落ち込む方向にばね46で付勢される。
【0064】
この構成によれば、第2先端部22が第2凹部66から容易に脱落しない構成を実現できる。また、ベッド本体13を第1位置P1から第2位置P2にして使用状態にしようとするユーザの手に対して、第1係合部15の第2先端部22が第2凹部66内に落ち込む際に、クリック感を付与することができる。これによって、梯子部14がベッド本体13に対して正しく固定されたことをユーザが認識できる。
【0065】
第1係合部15は、ロッド状をなしたロッド部45と、ロッド部45から外側に突出したり、ロッド部45内に収納されたりする第2先端部22と、を有し、第2滑面65は、第2凹部66に近づくにつれてロッド部45に近づくように斜めである。
【0066】
これによって、第2滑面65と第2先端部22との当接を介して、ベッド本体13に対して梯子部14を正しい位置に案内することができる。また、第1係合部15が第2凹部66に近づくにつれて、ばね46の反発力に抗して第2先端部22をロッド部45内に押し込むことができる。これによって、第2先端部22が第2凹部66の周囲の段部を容易に乗り越えることができる。
【0067】
以下の実施形態では、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と共通する部分については、図示又は説明を省略する。
[第2実施形態]
【0068】
図19図22を参照して、第2実施形態の格納ベッド11について説明する。本実施形態の格納ベッド11は、第3係合部71および第4係合部72の配置が、第1実施形態のこれらに対応する第1係合部15および第2係合部16とは逆の配置になっている。
【0069】
格納ベッド11は、支持部12と、支持部12に対して回動可能に固定されたベッド本体13と、後述する第2位置P2にあるベッド本体13に対して着脱可能に構成された梯子部14と、ベッド本体13に設けられる第3係合部71と、梯子部14に設けられロッド状をなすとともに第3係合部71と係合可能な第4係合部72と、を備える。
【0070】
第4係合部72は、第1実施形態の第1係合部15と同様の構成を有する。図19に示すように、第4係合部72は、梯子部14の先端側に固定されている。梯子部14は、第4係合部72よりもさらに先端側に柵部材33に引っ掛けることが可能なフック44を有する。第4係合部72は、ロッド部45と、ロッド部45の一方の端部に設けられた第1先端部21と、ロッド部45の他方の端部(第1先端部21とは反対側)に設けられた第2先端部22と、第1先端部21をロッド部45から外側に突出する方向(第1凹部57内に落ち込む方向)に付勢するばね46と、第2先端部22をロッド部45から外側に突出する方向(第2凹部66内に落ち込む方向)に付勢するばね46と、を有する。
【0071】
第1先端部21は、ロッド部45の軸方向に対して進退可能に構成された軸部21Aと、ロッド部45の内部で軸部21Aの末端に設けられピン21Bと、を有する。軸部21Aは、ばね46の作用によって、ロッド部45の内側に収納されたり、ロッド部45から外側に突出したりすることができる。第2先端部22は、第1先端部21と同様の構成を有し、第1先端部21と同様に動作することができる。
【0072】
第3係合部71は、第1実施形態の第2係合部16と略同様の構成を有する。第3係合部71は、左右一対に形成されている。第3係合部71は、左部材51と、右部材52と、を有する。第3係合部71は、固定用のプレート73を介してベッド本体13に固定されている。第3係合部71は、図20図22に示す一点鎖線の位置でボルト・ナットを介して固定用のプレート73に固定されている。
【0073】
図20図21に示すように、左部材51は、金属材料によって形成されており、上方から見て「L」字形に形成されている。
【0074】
左部材51は、横板部53と、横板部53から起立した縦板部54と、縦板部54の先端側(ベッド本体13と対向する側)に設けられ縦板部54に対して斜めに形成された第1折り曲げ部55と、第1折り曲げ部55の第1係合部15と当接する側の面に設けられた第1滑面56と、縦板部54の第1係合部15と当接する側の面に設けられた第1凹部57と、第1凹部57の周囲に形成された第1段部58と、第1凹部57から下方向に延びる第1溝部61と、を有する。
【0075】
縦板部54は、2枚の金属板を溶接することで一体に形成されている。第4係合部72と当接する側の金属板には、第1凹部57、第1段部58、および第1溝部61が形成されている。
【0076】
第1折り曲げ部55は、縦板部54から遠ざかるにつれて外側に拡開するように斜めになっている。このため、第1折り曲げ部55に設けられた第1滑面56は、第1凹部57に近づくにつれて、これに当接する第4係合部72のロッド部45に近づくように斜めであるといえる(図19参照)。第1滑面56は、第4係合部72の第1先端部21と当接し、第1先端部21が横方向に移動(相対移動)することを許容できる。
【0077】
第1凹部57は、第1係合部15の第1先端部21(軸部21A)の形状に倣うように円形(半円形)に窪んでいる。第1段部58は、第1凹部57の周囲に形成され、第1凹部57の外縁を規定している。第1段部58は、第1凹部57の内側に位置した第1係合部15の第1先端部21が横方向および上方向に移動することを規制することができる。
【0078】
第1溝部61は、第1凹部57と一体的に形成され、第1凹部57から下方向に延びるように形成されている。第1溝部61は、第1凹部57と同一の深さで周囲よりも窪んでいる。第1溝部61の幅は、第1凹部57の直径と同じに形成され、第1先端部21(軸部21A)の直径よりも若干大きい寸法で形成されている。このため、第1溝部61の内側を第1係合部15の第1先端部21が移動することができる。したがって、第1溝部61は、第1凹部57の内側に保持された第1係合部15の第1先端部21が下方に移動(相対移動)することを許容することができる。
【0079】
図22に示すように、右部材52は、左部材51と左右対称形の形態を有している。右部材52は、金属材料によって形成されており、上方から見て「L」字形に形成されている。
【0080】
右部材52は、第2横板部62と、第2横板部62から起立した第2縦板部63と、第2縦板部63の先端側(ベッド本体13と対向する側)に設けられ第2縦板部63に対して斜めに形成された第2折り曲げ部64と、第2折り曲げ部64の第1係合部15と当接する側の面に設けられた第2滑面65と、第2縦板部63の第1係合部15と当接する側の面に設けられた第2凹部66と、第2凹部66の周囲に形成された第2段部67と、第2凹部66から下方向に延びる第2溝部68と、を有する。
【0081】
第2縦板部63は、2枚の金属板を溶接することで一体に形成されている。第1係合部15と当接する側の金属板には、第2凹部66、第2段部67、および第2溝部68が形成されている。
【0082】
第2折り曲げ部64は、第2縦板部63から遠ざかるにつれて外側に拡開するように斜めになっている。このため、第2折り曲げ部64に設けられた第2滑面65は、第2凹部66に近づくにつれて、これに当接する第4係合部72のロッド部45に近づくように斜めであるといえる(図19参照)。第2滑面65は、第4係合部72の第2先端部22と当接し、第2先端部22が横方向に移動(相対移動)することを許容できる。
【0083】
第2凹部66は、第4係合部72の第2先端部22(軸部21A)の形状に倣うように円形(半円形)に窪んでいる。第2段部67は、第2凹部66の周囲に形成され、第2凹部66の外縁を規定している。第2段部67は、第2凹部66の内側に位置した第4係合部72の第2先端部22が横方向および上方向に移動することを規制することができる。
【0084】
第2溝部68は、第2凹部66と一体的に形成され、第2凹部66から下方向に延びるように形成されている。第2溝部68は、第2凹部66と同一の深さで周囲よりも窪んでいる。第2溝部68の幅は、第2凹部66の直径と同じに形成され、第2先端部22(軸部21A)の直径よりも若干大きい寸法で形成されている。このため、第2溝部68の内側を第1係合部15の第2先端部22が移動することができる。したがって、第2溝部68は、第2凹部66の内側に保持された第4係合部72の第2先端部22が下方に移動(相対移動)することを許容することができる。
【0085】
図1図2図19図22を参照して、格納ベッド11の引き出し動作および格納動作について説明する。
【0086】
図2に示す起立状態の第1位置P1から図1に示す横置き状態(使用状態)の第2位置P2にする引き出し動作について説明する。
【0087】
ユーザは、フレーム23に設けられた図示しない安全ロックを解除して、ベッド本体13を回動可能な状態にする。ユーザは、ベッド本体13に手をかけて、ベッド本体13を第1位置P1から第2位置P2に回動させる。そして、ユーザは、支持部12のフレーム23に設けられたロックレバー25を操作して、第2位置P2においてベッド本体13を固定する。
【0088】
第2位置P2にしたベッド本体13の柵部材33に対して、ユーザは、梯子部14のフック44を引っ掛けるようにする。ユーザは、この柵部材33・フック44を支点に、梯子部14を回動させ、第2係合部16の左部材51と右部材52との間に第1係合部15を位置させる。これによって、第4係合部72の第1先端部21が第3係合部71の左部材51の第1滑面56に当接し、第4係合部72の第2先端部22が第3係合部71の右部材52の第2滑面65に当接する。これによって、第1先端部21がロッド部45の内部に押し込まれ、第2先端部22がロッド部45の内部に押し込まれる。また、第3係合部71に対して第4係合部72の位置がずれている場合には、第1滑面56および第2滑面65に第4係合部72のロッド部45が当接し、梯子部14の左右方向の位置が微調整される。ユーザが柵部材33・フック44を支点とする梯子部14の回動をそのまま継続すると、第1凹部57の内側に第4係合部72の第1先端部21が落ち込み、第2凹部66の内側に第4係合部72の第2先端部22が落ち込む。これによって、第3係合部71に対して第4係合部72が係合した状態となる。これによって、ベッド本体13が第2位置P2にするときに、梯子部14がベッド本体13から外れないようになる。ユーザは、この状態で、寝具等をベッド本体13に載置することで、ベッドを使用することができる。
【0089】
ユーザがベッド本体13を格納したい場合には、ベッド本体13から寝具等を降ろす。ユーザは、ロックレバー25を解除して、ベッド本体13が第2位置P2から第1位置P1に回動できる状態にする。ユーザは、一方の手でベッド本体13を第2位置P2から第1位置P1に回動するように持ち上げる。これによって、第4係合部72の第1先端部21が第3係合部71の第1溝部61を通って下方向に相対移動(実際には第3係合部71が上方に移動)し、第4係合部72の第2先端部22が第3係合部71の第2溝部68を通って下方向に相対移動(実際には第3係合部71が上方に移動)する。これによって、第3係合部71と第4係合部72の係合状態が解除される。このため、ユーザは、他方の手で梯子部14を手前に引くことでベッド本体13から引き離すことができる。
【0090】
ユーザがそのままベッド本体13を上方向に回動させ、図示しない安全ロックをすることで、ベッド本体13を第1位置P1に固定することができる。
【0091】
第2実施形態によれば、以下のことがいえる。格納ベッド11は、支持部12と、縦方向に起立した第1位置P1と、横方向に延びた第2位置P2と、の間で回動可能に支持部12に支持されたベッド本体13と、第2位置P2にあるベッド本体13に対して着脱可能な梯子部14と、ベッド本体13に設けられた第3係合部71と、梯子部14に設けられロッド状をなすとともに第3係合部71と係合可能な第1先端部21を有する第4係合部72と、を備え、第3係合部71は、第4係合部72の第1先端部21と当接して第1先端部21の横方向への移動を許容する第1滑面56と、第1滑面56に隣接して設けられ第1先端部21が落ち込むとともに、落ち込んだ第1先端部21が前記横方向に移動することを規制する第1凹部57と、第1凹部57から下方向に延びる第1溝部61であって、第1凹部57内に位置する第1先端部21の下方向への移動を許容する第1溝部61と、を有する。
【0092】
この構成によれば、第1凹部57によって第4係合部72の第1先端部21が横方向に移動することが規制されるために、梯子部14が第1滑面56を経由して第4係合部72の第1先端部21が第1凹部57から外れてしまうことがない。このため、使用状態である第2位置P2において、ベッド本体13から梯子部14が容易には外れない構造を実現することができる。これによって、ベッド使用時に梯子部14がベッド本体13から脱落して、ベッド本体13からユーザが下りられなくなる不具合を生じる危険を防止できる。また、ベッド本体13を第2位置P2から第1位置P1に戻す際に、ベッド本体13が上方に回動するために、そのベッド本体13の動作に伴い半自動的に、第1溝部61を経由して第1先端部21を第1凹部57から離脱させることができる。このため、ユーザが簡単にベッド本体13から梯子部14を分離させることができる。
【0093】
第1先端部21は、第4係合部72の軸方向に沿って進退可能であり、第4係合部72の第1先端部21は、第1凹部57内に落ち込む方向にばね46で付勢される。
【0094】
これによって、第1先端部21が第1凹部57から容易に脱落しない構成を実現できる。また、ベッド本体13を第1位置P1から第2位置P2にして使用状態にしようとするユーザの手に対して、第4係合部72の第1先端部21が第1凹部57内に落ち込む際に、クリック感を付与することができる。これによって、梯子部14がベッド本体13に対して正しく固定されたことをユーザが認識できる。
【0095】
第4係合部72は、ロッド状をなしたロッド部45と、ロッド部45から外側に突出したり、ロッド部45内に収納されたりする第1先端部21と、を有し、第1滑面56は、第1凹部57に近づくにつれてロッド部45に近づくように斜めである。
【0096】
これによって、第1滑面56と第4係合部72との当接を介して、ベッド本体13に対して梯子部14を正しい位置に案内することができる。
【0097】
ベッド本体13は、前記横方向に延びる柵部材33を有し、第4係合部72は、梯子部14の先端側に設けられ、梯子部14は、第4係合部72よりもさらに先端側に柵部材33に引っ掛けることが可能なフック44を有する。
【0098】
この構成によれば、フック44および柵部材33を支点に、第3係合部71に対して第4係合部72を位置合わせすることができる。これによって、ユーザは、ベッド本体13に梯子部14を取り付ける際に、梯子部14の重量を柵部材33およびフック44に負担させた状態で、第3係合部71に対して第4係合部72を係合させることができる。これによって、ユーザの作業負担を低減して、梯子部14の装着作業を楽に行うことができる。
【0099】
第4係合部72は、第1先端部21とは反対側に設けられる第2先端部22を有し、第3係合部71は、第2先端部22と当接して第2先端部22の横方向への移動を許容する第2滑面65と、第2滑面65に隣接して設けられ第2先端部22が落ち込むとともに、第2先端部22が前記横方向に移動することを規制する第2凹部66と、第2凹部66から下方向に延びる第2溝部68であって、第2凹部66内に位置する第2先端部22の下方向への移動を許容する第2溝部68と、を有する。
【0100】
この構成によれば、第2凹部66によっても第4係合部72の第2先端部22が横方向に移動することが規制されるために、ベッド本体13が第2位置P2にあるときに、梯子部14が第2滑面65を経由して第4係合部72の第2先端部22が第2凹部66から外れてしまうことがない。このため、使用状態である第2位置P2において、ベッド本体13から梯子部14が容易には外れない構造を実現することができる。これによって、ベッド使用時に梯子部14がベッド本体13から脱落して、ベッド本体13からユーザが下りられなくなる不具合を生じる危険を防止できる。また、ベッド本体13を第2位置P2から第1位置P1に戻す際に、ベッド本体13が上方に回動するために、そのベッド本体13の回動に伴い半自動的に、第2溝部68を経由して第2先端部22を第2凹部66から離脱させることができる。このため、ユーザが簡単にベッド本体13から梯子部14を分離させることができる。
【0101】
第2先端部22は、第4係合部72の軸方向に沿って進退可能であり、第4係合部72の第2先端部22は、第2凹部66内に落ち込む方向にばね46で付勢される。
【0102】
これによって、第2先端部22が第2凹部66から容易に脱落しない構成を実現できる。また、ベッド本体13を第1位置P1から第2位置P2にして使用状態にしようとするユーザの手に対して、第4係合部72の第2先端部22が第2凹部66内に落ち込む際に、クリック感を付与することができる。これによって、梯子部14がベッド本体13に対して正しく固定されたことをユーザが認識できる。
【0103】
第4係合部72は、ロッド状をなしたロッド部45と、ロッド部45から外側に突出したり、ロッド部45内に収納されたりする第2先端部22と、を有し、第2滑面65は、第2凹部66に近づくにつれてロッド部45に近づくように斜めである。
【0104】
これによって、第2滑面65と第4係合部72との当接を介して、ベッド本体13に対して梯子部14を正しい位置に案内することができる。また、第4係合部72が第2凹部66に近づくにつれて、ばね46の反発力に抗して第2先端部22をロッド部45内に押し込むことができる。これによって、第2先端部22が第2凹部66の周囲の段部を容易に乗り越えることができる。
【0105】
上記した実施形態は、種々の置き換えや変形を加えて実施できる。すなわち、上記実施形態では、第1係合部および第4係合部の先端部が一対に形成され、第2係合部および第3係合部が一対に形成されているが、本発明の実施態様はこれに限られるものではない。本発明は、第1係合部および第4係合部の先端部が一対ではなく1個で構成され、第2係合部および第3係合部が一対ではなく1個で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0106】
11 格納ベッド
12 支持部
13 ベッド本体
14 梯子部
15 第1係合部
16 第2係合部
17 操作用ロッド
21 第1先端部
22 第2先端部
33 柵部材
44 フック
45 ロッド部
46 ばね
51 左部材
52 右部材
56 第1滑面
57 第1凹部
61 第1溝部
65 第2滑面
66 第2凹部
68 第2溝部
71 第3係合部
72 第4係合部
P1 第1位置
P2 第2位置
図1
図2
図3
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図5
図6
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