(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】管継手構造、及び管継手の接続方法
(51)【国際特許分類】
F16L 23/032 20060101AFI20240328BHJP
【FI】
F16L23/032
(21)【出願番号】P 2020103810
(22)【出願日】2020-06-16
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】396020361
【氏名又は名称】株式会社水道技術開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀川 剛
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-054772(JP,A)
【文献】特開平08-210570(JP,A)
【文献】実開平06-028474(JP,U)
【文献】特表平07-504021(JP,A)
【文献】特開2003-287168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 23/032
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管の受口管に形成された受口フランジと、前記受口管に挿入される挿口管と前記受口管との間を密封するシール部材と、前記挿口管とは別個にまたは一体に形成され前記挿口管が前記受口管から抜けることを規制する挿口フランジと、前記受口フランジと前記挿口フランジとを締結する締結部材と、を備え、
前記受口フランジ及び前記挿口フランジは、前記締結部材が挿入される挿通孔を有し、
前記締結部材の締結状態において、前記受口フランジ及び前記挿口フランジは、前記挿通孔よりも管径方向内側で互いに接触し、前記受口フランジ及び前記挿口フランジのうち前記挿通孔よりも管径方向外側の部位が互いに離間
し、
前記挿口フランジの前記受口フランジと対面する面は、管径方向内側の基端から管径方向の外側に向かうにつれて前記挿口フランジの管軸方向に沿った幅が狭くなる傾斜面を有し、
前記締結部材を締結する前の状態において、前記シール部材の最も前記挿口管側の端を前記挿口フランジ又は前記挿口管に接触させた際に、前記シール部材における前記接触箇所よりも管径方向外側の端面が前記傾斜面から離れた状態となり、
前記締結状態において、前記シール部材は前記挿口フランジの前記傾斜面、前記受口管の内周面及び前記挿口管の外周面に接触する、管継手構造。
【請求項2】
前記挿口管の外周面のうち前記シール部材に対応する部位には、管径方向内側に凹み且つ管周方向に延びる溝が形成されて
おり、
前記締結状態において前記挿口フランジに接触している前記シール部材の管径方向内側の面が前記溝に接触している、請求項1に記載の管継手構造。
【請求項3】
管軸方向のうち前記受口管側が第1側であり、前記管軸方向のうち前記挿口管側が第2側であり、前記シール部材の前記第1側の先端と前記シール部材の前記第2側の基端との間に、前記溝の前記第1側の端が位置する、請求項2に記載の管継手構造。
【請求項4】
前記締結状態において、前記傾斜面が前記シール部材に接触し、前記シール部材よりも管径方向外側且つ前記挿通孔の管径方向内側において前記傾斜面が前記受口フランジと接触し、前記挿通孔の管径方向外側において前記傾斜面が前記受口フランジから離間する、請求項1~3のいずれかに記載の管継手構造。
【請求項5】
流体管の挿口管にシール部材を装着する工程と、
流体管の受口管に前記挿口管を挿入して、前記挿口管と前記受口管との間に前記シール部材を配置する工程と、
前記挿口管とは別個にまたは一体に形成され前記挿口管が前記受口管から抜けることを規制する挿口フランジと、前記受口管に形成された受口フランジとを締結部材で締結する工程と、を含み、
前記受口フランジ及び前記挿口フランジは、前記締結部材が挿入される挿通孔を有し、
前記締結部材の締結状態において、前記受口フランジ及び前記挿口フランジは、前記挿通孔よりも管径方向内側で互いに接触し、前記受口フランジ及び前記挿口フランジのうち前記挿通孔よりも管径方向外側の部位が互いに離間
し、
前記挿口フランジの前記受口フランジと対面する面は、管径方向内側の基端から管径方向の外側に向かうにつれて前記挿口フランジの管軸方向に沿った幅が狭くなる傾斜面を有し、
前記締結部材を締結する前の状態において、前記シール部材の最も前記挿口管側の端を前記挿口フランジ又は前記挿口管に接触させた際に、前記シール部材における前記接触箇所よりも管径方向外側の端面が前記傾斜面から離れた状態となり、
前記締結状態において、前記シール部材は前記挿口フランジの前記傾斜面、前記受口管の内周面及び前記挿口管の外周面に接触する、管継手の接続方法。
【請求項6】
前記締結状態において、前記傾斜面が前記シール部材に接触し、前記シール部材よりも管径方向外側且つ前記挿通孔の管径方向内側において前記傾斜面が前記受口フランジと接触し、前記挿通孔の管径方向外側において前記傾斜面が前記受口フランジから離間する、請求項5に記載の管継手の接続方法。
【請求項7】
流体管の受口管に形成された受口フランジと、前記受口管に挿入される挿口管と前記受口管との間を密封するシール部材と、前記挿口管とは別個にまたは一体に形成され前記挿口管が前記受口管から抜けることを規制する挿口フランジと、前記受口フランジと前記挿口フランジとを締結する締結部材と、を備え、
前記受口フランジ及び前記挿口フランジは、前記締結部材が挿入される挿通孔を有し、
前記締結部材の締結状態において、前記受口フランジ及び前記挿口フランジは、前記挿通孔よりも管径方向内側で互いに接触し、
前記挿口管の外周面のうち前記シール部材に対応する部位には、管径方向内側に凹み且つ管周方向に延びる溝が形成されて
おり、
前記挿口フランジの前記受口フランジと対面する面は、管径方向内側の基端から管径方向の外側に向かうにつれて前記挿口フランジの管軸方向に沿った幅が狭くなる傾斜面を有し、
前記締結部材を締結する前の状態において、前記シール部材の最も前記挿口管側の端を前記挿口フランジ又は前記挿口管に接触させた際に、前記シール部材における前記接触箇所よりも管径方向外側の端面が前記傾斜面から離れた状態となり、
前記締結状態において、前記シール部材は前記挿口フランジの前記傾斜面、前記受口管の内周面及び前記挿口管の外周面に接触する、管継手構造。
【請求項8】
前記締結状態において前記挿口フランジに接触している前記シール部材の管径方向内側の面が前記溝に接触している、請求項7に記載の管継手構造。
【請求項9】
流体管の挿口管にシール部材を装着する工程と、
流体管の受口管に前記挿口管を挿入して、前記挿口管と前記受口管との間に前記シール部材を配置する工程と、
前記挿口管とは別個にまたは一体に形成され前記挿口管が前記受口管から抜けることを規制する挿口フランジと、前記受口管に形成された受口フランジとを締結部材で締結する工程と、を含み、
前記受口フランジ及び前記挿口フランジは、前記締結部材が挿入される挿通孔を有し、
前記締結部材の締結状態において、前記受口フランジ及び前記挿口フランジは、前記挿通孔よりも管径方向内側で互いに接触し、
前記受口管に前記挿口管を挿入する際に、前記挿口管の外周面のうち前記シール部材に対応する部位には、管径方向内側に凹み且つ管周方向に延びる溝が形成されて
おり、
前記挿口フランジの前記受口フランジと対面する面は、管径方向内側の基端から管径方向の外側に向かうにつれて前記挿口フランジの管軸方向に沿った幅が狭くなる傾斜面を有し、
前記締結部材を締結する前の状態において、前記シール部材の最も前記挿口管側の端を前記挿口フランジ又は前記挿口管に接触させた際に、前記シール部材における前記接触箇所よりも管径方向外側の端面が前記傾斜面から離れた状態となり、
前記締結状態において、前記シール部材は前記挿口フランジの前記傾斜面、前記受口管の内周面及び前記挿口管の外周面に接触する、管継手の接続方法。
【請求項10】
前記締結状態において前記挿口フランジに接触している前記シール部材の管径方向内側の面が前記溝に接触している、請求項9に記載の管継手の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管継手構造、及び管継手の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水道管等の流体管に分岐管を不断水で接続するために用いられる耐震型の分岐管接続装置として、特許文献1に記載の装置が知られている。特許文献1の
図1に示されるように、分岐管接続装置の受口管に、シール部材と共に挿口管を挿し込み、シール部材を押輪で押さえ、押輪と受口管のフランジとをボルト等の締結部材で締結することで、受口管と挿口管とが固定される。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の管継手構造では、受口管に対して挿口管の軸が平行になるように、複数の締結部材のトルクを管理することが重要であり、施工作業が煩雑となる。また、トルク管理ミスによって継手部が屈曲してしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、締結部材のトルク管理を不要として、作業性を向上させる管継手構造、及び管継手の接続方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の管継手構造は、流体管の受口管に形成された受口フランジと、前記受口管に挿入される挿口管と前記受口管との間を密封するシール部材と、前記挿口管とは別個にまたは一体に形成され前記挿口管が前記受口管から抜けることを規制する挿口フランジと、前記受口フランジと前記挿口フランジとを締結する締結部材と、を備え、前記受口フランジ及び前記挿口フランジは、前記締結部材が挿入される挿通孔を有し、前記締結部材の締結状態において、前記受口フランジ及び前記挿口フランジは、前記挿通孔よりも管径方向内側で互いに接触し、前記受口フランジ及び前記挿口フランジのうち前記挿通孔よりも管径方向外側の部位が互いに離間する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の管継手構造が適用されている受口管と挿口管を示す図。
【
図2】
図1におけるA1部位の一部破断拡大断面図であり、受口管と挿口管とを締結部材で接合した状態を示す図。
【
図3A】受口管と挿口管とシール部材の寸法関係を示す断面図。
【
図4】シール部材を挿口管に装着した状態を示す断面図。
【
図6】分岐管接続装置の受口管と挿口管との管継手構造の使用例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
以下、本開示の第1実施形態の管継手構造について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本開示の管継手構造が適用されている受口管20と挿口管30を示す図である。
図2は、
図1におけるA1部位の一部破断拡大断面図であり、受口管20と挿口管30とを締結部材6で接合した状態を示す。
図3は、接合前の受口管20と挿口管30を示す断面図である。
【0009】
図1に示すように、分岐管接続装置2は、流体管(水道管)である既設管1を包囲する分岐ケース21と、分岐ケース21に接続されるバルブ装置22と、バルブ装置22に接続される受口管20と、を有する。本開示の管継手構造は、分岐管接続装置2の受口管20と挿口管30との接合構造に関する。
図2及び
図3に示す管継手構造は、流体管の受口管20と、受口管20に挿入される挿口管30と、受口管20の内周面と挿口管30の外周面31との間を密封するシール部材4と、挿口フランジ5と、締結部材6と、を有する。締結部材6は、T字ボルト61と、ナット60とであるが、これに限定されない。
【0010】
図2及び
図3に示すように、受口管20は、管先端に向かって内径が広がる内周テーパ面20tと、受口管20の先端部に形成される受口フランジ23と、を有する。内周テーパ面20tは、管軸方向ADのうち受口管側AD1である第1側AD1から、挿口管側AD2である第2側AD2に向かって内径が広がっている。内周テーパ面20tには、シール部材4が接触する。受口フランジ23は、受口管20の管先端から管径方向に突出する。受口フランジ23は、締結部材6を通すための挿通孔23sを有する。受口フランジ23の挿口フランジ5に対する対向面23aは、管径方向RDに平行である。
【0011】
図3に示すように、シール部材4は、ゴム製であり、挿口管側AD2から第1側AD1へ向かって管径方向RDの厚みが薄くなる先細り状のシール本体部40と、シール本体部40の先端(第1側AD1)に設けられ、圧縮によりシール機能を発揮する断面部分円形状のシール丸部41と、を有する。シール本体部40は、挿口フランジ5から受けた押圧力をシール丸部41に伝えるために、シール丸部41よりもゴム硬度が高く硬い。シール丸部41は、圧縮変形によりシール機能を発揮させるためにシール本体部40よりもゴム硬度が低く柔らかい。ゴム硬度は、JISK6253のデュロメータ硬さ試験(タイプA)に準じて測定した硬度を意味する。シール部材4のシール丸部41は、内周テーパ面20tによって奥側(受口管側AD1)へ案内される。内周テーパ面20tの更に奥側にある、シール機能が発揮させる想定部位である非溝外周面32及び非溝外周面32に平行に対面する平行部20sにてシール丸部41が圧縮される。
【0012】
図2及び
図3に示すように、挿口フランジ5は、挿口管30と一体に形成される。挿口フランジ5は、締結部材6を通すための挿通孔5sを有する。締結部材6のT字ボルト61が、挿口フランジ5の挿通孔5s及び受口フランジ23の挿通孔23sに挿入され、締結部材6が受口フランジ23と挿口フランジ5とを締結することにより、挿口管30が受口管20から抜けることを規制する。
【0013】
挿口フランジ5の受口フランジ23とは反対側の面5bは、管径方向RDに平行である。挿口フランジ5の受口フランジ23と対面する面は、管径方向内側RD1の基端から管径方向外側RD2の先端に向かうにつれて挿口フランジ5の管軸方向に沿った幅が狭くなるように傾斜面5aを有する。これにより、
図2に示すように、挿口管30を受口管20に差し込み、締結部材6の締結状態において、受口フランジ23及び挿口フランジ5は、挿通孔23s,5sよりも管径方向内側RD1の部位P1で互いに接触する。このように、受口フランジ23と挿口フランジ5が互いに接触するので、締結部材6のトルク管理が不要となる。また、傾斜面5aが鋳型に対する抜け勾配であり且つ挿口フランジ5が先細り形状であるので、鋳型から抜きやすく、製造コストを低減可能となる。
図2に示すように、受口フランジ23及び挿口フランジ5のうち挿通孔23s,5sよりも管径方向外側RD2の部位P2が互いに離間する。このように隙間が形成されているので、当該隙間に工具を差し込むことで解体時の離脱が容易となる。工具が挿入可能となるように、この隙間は、少なくとも1.5mm以上あることが好ましい。本実施形態の場合、挿通孔23s,5sよりも管径方向外側RD2にある隙間のうち最も狭い部分は、挿通孔23s,5sの端となり、この部分が、上記数値以上あればよい。
【0014】
図2及び
図3に示すように、挿口管30の外周面31のうちシール部材4に対応する部位には、管径方向内側RD1に凹み且つ管周方向に延びる溝33が形成されている。溝33よりも挿口管30の先端側(受口管側AD1)には、外径が溝33よりも大きい非溝外周面32が配置されている。非溝外周面32は、平行部20sと共にシール丸部41を圧縮する。本実施形態の溝33は、周方向の全周に亘って延びる環状溝であるが、これに限定されず、溝33が周方向の複数箇所に間欠的に配置されていてもよく、溝33が全周にわたりほぼ連続しているものの、一部のみが連続していないように配置されていてもよい。この溝33は、挿口管30の挿し込み時に圧縮されるシール部材4の逃げ代となり、挿口管30と受口管20の組み付け誤差や製造誤差があったとしても、シール部材4を溝33に逃がしてフランジ同士23,5を的確に接触させることが可能となる。
【0015】
図3Aは、受口管と挿口管とシール部材の寸法関係を示す断面図である。
図3Aの上部は、シール部材4を図示しない挿口管30と受口管20の締結状態を示す。
図3Aの中部は、挿口管30と受口管20の締結状態におけるシール部材4の大きさを示す図。
図3Aの下部は、シール部材4のサイズを示す図である。
図3Aに示すように、溝33の管軸方向ADに沿った長さL1は、シール部材4の管軸方向ADに沿った長さL2の20%以上且つ80%以下であることが好ましい。適切なシール機能を発揮するためである。シール丸部41が非溝外周面32と平行部20sに挟まれてシールするため、管軸方向ADに沿った溝33の長さL1の最大値は、シール丸部41を除いたシール本体部40の管軸方向ADに沿った長さL3となる。シール丸部41の直径(L2-L3)は、平行部20sと非溝外周面32の隙間よりも大きく、これにより、
図3Aに示すシール丸部41のP3部分が圧縮されて適切にシールされる。平行部20sの管軸方向ADに沿った長さL4はシール丸部41の直径と同程度である。受口フランジ23の対向面23aと、挿口フランジ5の傾斜面5aとの間の隙間L5は1mm以上あればよい。本実施形態では、L5=1.5mmである。受口フランジ23と挿口フランジ5との隙間の長さL6は、フランジ角部のアール部を含めて6mmであり、L6は少なくとも5mmある方が好ましい。
【0016】
図4に示すように、シール部材4を挿口管30に装着した状態において、シール部材4の第1側AD1の先端4aとシール部材4の第2側AD2の基端4bとの間に、溝33の第1側AD1の端33aが位置することが好ましい。
図2に示すように、締結部材6の締結状態において、シール部材4と溝33が上記位置関係にあれば、シール部材4を挿口管30に装着した状態においてもシール部材4と溝33が上記位置関係になる。この位置関係が成立すれば、
図4に示すように、シール部材4の第2側AD2の基端4b(シール本体部40)が溝33に落ち、シール部材4の第1側AD1の先端(シール丸部41)に対して管径方向外側RD2に押し付けられる力F1が発現する。よって、シール部材4の第1側AD1の先端4a(シール丸部41)を所望の位置(非溝外周面32及び平行部20s)に押し付けやすくなり、止水に必要なシール部材4の先端4a(シール丸部41)の圧縮を確実に行うことが可能となる。さらに、溝33によってシール部材4の基端4b(シール本体部40)の圧縮抵抗を抑制でき、より一層挿入抵抗を低減して、スムーズに挿入でき、作業性を向上させることが可能となる。
【0017】
<管継手の接続方法>
管継手の接続方法について説明する。
図5(a)に示すように、既設管1に対して分岐管接続装置2を取り付ける。分岐ケース21で既設管1を包囲しつつバルブ装置22を挟み込み、分岐ケース21を固定する。その後、穿孔装置7を受口管20に取り付け、既設管1を穿孔する。穿孔後にバルブ装置22の弁を閉め、穿孔装置7を受口管20から取り外す。
【0018】
次に、
図4に示すように、流体管の挿口管30にシール部材4を装着する。次に、
図3及び
図2に示すように、流体管の受口管20に挿口管30を挿入して、挿口管30と受口管20との間にシール部材4を配置する。次に、受口管20に形成された受口フランジ23と挿口フランジ5とを締結部材6で締結する。
図5(b)及び
図2は、締結後の管継手構造を示す。
【0019】
図5(b)に示す挿口管30は、管軸方向ADの両端が挿口である。
図5(b)に示すように、挿口管30に第1の挿口(第1側AD1の挿口)に挿口管30を接続した後に、
図5(c)に示すように、挿口管30の第2の挿口(第2側AD2の挿口)に受口管20とは別個の第2の受口管90を接続する。挿口管30の第2の挿口と第2の受口管90は、離脱防止装置8によって固定される。離脱防止装置8は、第2の挿口と第2の受口管の間を密閉するパッキン8aと、パッキン8aを押さえる押輪8bと、押輪8b内に配置され、第2の挿口の外周面に食い込む爪を有する係止部材8cと、係止部材8cを第2の挿口の外周面へ向けて押圧するボルト8dと、押輪8bと第2の受口管90のフランジとを締結する第2の締結部材8eと、を有する。
【0020】
<第1実施形態の他の使用例>
図6(a)及び
図6(b)は、分岐管接続装置2の受口管20と挿口管30との管継手構造の使用例を示す平面図である。他の使用例1として、
図6(a)に示すように、第2の受口管として、流路の向きを変更するベンド部91を有する受口管92(ベンド管)を接続してもよい。
図6(a)に示す挿口管30の外径はD1である。
【0021】
他の使用例2として、
図6(b)に示すように、
図6(a)に示す挿口管30よりも小さい外径D2の挿口管30’を接続し、第2の受口管として、流路の向きを変更するベンド部91を有する受口管92’を接続してもよい。このようにすれば、挿口管30として、
図6(a)に示す外径D1よりも小さい外径D2の挿口管30’(径落ち)を使用することで、分岐配管(受口管92’)を小径にする場合であっても、分岐管接続装置2(分岐ケース21、バルブ装置22及び受口管20)を流用可能となる。
【0022】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態の管継手構造を示す断面図である。
図2に示す第1実施形態において挿口フランジ5と挿口管30は一体に形成されていたが、
図7に示す第2実施形態においては、挿口フランジ105と挿口管130は、別体である。
図7に示すように、挿口フランジ105は、挿口管130の管径方向内側RD1に配置され、管周方向に連続する環状をなす非分割体の押輪である。挿口管130は、管径方向RDに突出する突起135を有する。挿口フランジ105は、挿口管130の突起135に接触して挿口管130が抜けることを規制する規制面150を有する。挿口フランジ105は、規制面150を形成する段差部を有する。締結部材6の締結状態において、突起135の挿口管側AD2に段差部(規制面150)を位置させ、挿口管130の脱抜を阻止する。挿口フランジ105は、非分割体であるために、挿口管側AD2(第2側AD2)から挿口管30に挿入される。挿口フランジ105が、締結部材6の挿通孔よりも管径方向内側RD1の部位P1にて受口フランジ23に接触すること、その他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0023】
なお、第2実施形態では、突起135と挿口管130とが一体に形成されているが、別体でもよい。その場合は、挿口管130の外周面に溝が形成され、溝に突起としてのリング部材を嵌めることが考えられる。
【0024】
また、
図7に示す実施形態では、突起135が部位P1よりも管径方向内側に配置されているが、突起135は部位P1と接触する高さにしてもよい。これにより、挿口管130が受口管に入り込む力が作用した際は、直接接触して入り込みが抑制される。
【0025】
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態の管継手構造を示す断面図である。
図8に示すように、第3実施形態においては、挿口フランジ205と挿口管230は、別体である。挿口フランジ205は、挿口管230の管径方向内側RD1に配置され、管周方向に沿って隣接して配置される分割体の押輪である。本実施形態では、2分割であるが、複数分割であれば、分割数は変更可能である。挿口管230は、管径方向RDに突出する突起235を有する。挿口フランジ205は、挿口管230の突起235に接触して挿口管230が抜けることを規制する規制面250と、挿口管230の突起235に接触して挿口管230が受口管20に入り込むことを規制する第2規制面251と、を有する。挿口フランジ205は、規制面250及び第2規制面251を形成する溝を有する。締結部材6の締結状態において、挿口フランジ205の溝に突起235を挿入することで、突起235の挿口管側AD2に規制面250を位置させて挿口管230の脱抜を阻止すると共に、突起235の受口管側AD1に第2規制面251を位置させて挿口管230の過度な挿入を阻止する。挿口フランジ205は、分割体であるために、管径方向外側RD2から挿口管230に装着される。挿口フランジ205が、締結部材6の挿通孔よりも管径方向内側RD1の部位P1にて受口フランジ23に接触すること、その他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0026】
なお、第3実施形態では、突起235と挿口管230とが一体に形成されているが、別体でもよい。その場合は、挿口管230の外周面に溝が形成され、溝に突起としてのリング部材を嵌めることが考えられる。
【0027】
<第4実施形態>
図9は、第4実施形態の管継手構造を示す断面図である。
図9に示すように、第4実施形態においては、挿口フランジ305と挿口管330は、別体である。挿口フランジ305は、挿口管330の管径方向内側RD1に配置され、管周方向に沿って隣接して配置される分割体の押輪である。本実施形態では、2分割であるが、複数分割であれば、分割数は変更可能である。挿口フランジ305は、管径方向RDに突出する突起335を有する。挿口管330の外周面には、溝352が形成される。挿口管330は、挿口フランジ305の突起335に接触して挿口管330が抜けることを規制する規制面350と、挿口フランジ305の突起335に接触して挿口管330が受口管20に入り込むことを規制する第2規制面351と、を有する。締結部材6の締結状態において、挿口フランジ305の突起335が挿口管330の溝352に挿入されることで、突起335の受口管側AD1に規制面350を位置させて挿口管330の脱抜を阻止すると共に、突起335の挿口管側AD2に第2規制面351を位置させて挿口管330の過度な挿入を阻止する。挿口フランジ305は、分割体であるために、管径方向外側RD2から挿口管330に装着される。挿口フランジ305が、締結部材6の挿通孔よりも管径方向内側RD1の部位P1にて受口フランジ23に接触すること、その他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0028】
<変形例>
第1~4実施形態の管継手構造は、次の構成(1)~(4)を備えている。
(1)締結部材6の締結状態において、受口フランジ及び挿口フランジは、挿通孔よりも管径方向内側で互いに接触する構成
(2)受口フランジ23及び挿口フランジのうち挿通孔よりも管径方向外側RD2の部位P2が互いに離間する構成
(3)挿口管の外周面のうちシール部材4に対応する部位には、管径方向内側RD1に凹み且つ管周方向に延びる溝33が形成されている構成
(4)挿口フランジの受口フランジと対面する面は、管径方向内側RD1の基端から管径方向外側RD2の先端に向かうにつれて挿口フランジの管軸方向ADに沿った幅が狭くなるように傾斜面5aを有する構成
しかし、本開示の管継手構造において、上記構成(1)~(4)の少なくともいずれか一つを採用すればよく、上記構成(1)~(4)の組み合わせは任意に変更可能である。
【0029】
以上のように、特に限定されないが、第1、第2、第3又は第4実施形態の管継手構造は、流体管の受口管20に形成された受口フランジ23と、受口管20に挿入される挿口管(30,30’,130,230,330)と受口管20との間を密封するシール部材4と、挿口管(30,30’,130,230,330)とは別個にまたは一体に形成され挿口管(30,30’,130,230,330)が受口管20から抜けることを規制する挿口フランジ(5,105,205,305)と、受口フランジ23と挿口フランジ(5,105,205,305)とを締結する締結部材6と、を備え、受口フランジ23及び挿口フランジ(5,105,205,305)は、締結部材6が挿入される挿通孔23s,5sを有し、締結部材6の締結状態において、受口フランジ23及び挿口フランジ(5,105,205,305)は、挿通孔23s,5sよりも管径方向内側RD1で互いに接触し、受口フランジ23及び挿口フランジ(5,105,205,305)のうち挿通孔23s,5sよりも管径方向外側RD2の部位P2が互いに離間する。
【0030】
特に限定されないが、第1、第2、第3又は第4実施形態の管継手の接続方法は、流体管の挿口管(30,30’,130,230,330)にシール部材4を装着する工程と、流体管の受口管20に挿口管(30,30’,130,230,330)を挿入して、挿口管(30,30’,130,230,330)と受口管20との間にシール部材4を配置する工程と、挿口管(30,30’,130,230,330)とは別個にまたは一体に形成され挿口管(30,30’,130,230,330)が受口管20から抜けることを規制する挿口フランジ(5,105,205,305)と、受口管20に形成された受口フランジ23とを締結部材6で締結する工程と、を含み、受口フランジ23及び挿口フランジ(5,105,205,305)は、締結部材6が挿入される挿通孔23s,5sを有し、締結部材6の締結状態において、受口フランジ23及び挿口フランジ(5,105,205,305)は、挿通孔23s,5sよりも管径方向内側RD1で互いに接触し、受口フランジ23及び挿口フランジ(5,105,205,305)のうち挿通孔23s,5sよりも管径方向外側RD2の部位P2が互いに離間する。
【0031】
このように、締結部材6で締結される受口フランジ23及び挿口フランジ(5,105,205,305)が互いに接触するので、締結部材6のトルク管理が不要となる。トルク管理ミスにより継手部が屈曲することを防止できる。さらに、フランジのうち挿通孔23s,5sよりも管径方向外側RD2は互いに離間しているので、解体時に工具を差し込むことで離脱させることができ、作業性が向上する。
【0032】
特に限定されないが、第1、第2、第3又は第4実施形態のように、挿口管(30,30’,130,230,330)の外周面31のうちシール部材4に対応する部位には、管径方向内側RD1に凹み且つ管周方向に延びる溝33が形成されていることが好ましい。
【0033】
この構成によれば、挿口管(30,30’,130,230,330)の挿し込み時にシール部材4が圧縮され、溝33が圧縮されたシール部材4の逃げ空間となるので、挿口管(30,30’,130,230,330)と受口管20の組み付け誤差や製造誤差があったとしてもシール部材4を溝に逃がしてフランジ同士を接触させることが可能となる。
溝33によって受口管20と挿口管(30,30’,130,230,330)の間の隙間が大きくなり、シール部材4による挿入抵抗を低減でき、スムーズに挿入でき、作業性を向上させることが可能となる。
【0034】
特に限定されないが、第1、第2、第3又は第4実施形態のように、管軸方向ADのうち受口管側が第1側AD1であり、管軸方向ADのうち挿口管側が第2側AD2であり、シール部材4の第1側AD1の先端4aとシール部材4の第2側AD2の基端4bとの間に、溝33の第1側AD1の端33aが位置することが好ましい。
【0035】
この構成によれば、シール部材4の第2側AD2の基端4b(シール本体部40)が溝33に落ちて、シール部材4の第1側AD1の先端4a(シール丸部41)を管径方向外側RD2に押し付ける力F1が発現するので、シール部材4の第1側AD1の先端4aを所望の位置に押し付けやすくなり、止水に必要なシール部材4の先端4aの圧縮を確実に行うことが可能となる。
溝33によってシール部材4の基端4bの圧縮抵抗を抑制でき、より一層挿入抵抗を低減して、スムーズに挿入でき、作業性を向上させることが可能となる。
【0036】
特に限定されないが、第1実施形態のように、挿口フランジ5と挿口管30は一体に形成されており、挿口フランジ5の受口フランジ23と対面する面は、管径方向内側RD1の基端から管径方向外側RD2の先端に向かうにつれて挿口フランジ5の管軸方向ADに沿った幅が狭くなるように傾斜面5aを有することが好ましい。
【0037】
この構成によれば、傾斜面5aが鋳型に対する抜け勾配であり且つ挿口フランジ5が先細り形状であるので、鋳型から抜きやすく、製造コストを低減可能となる。
【0038】
特に限定されないが、第2~4実施形態のように、挿口フランジ(105,205,305)と挿口管(130,230,330)は、別体であり、挿口フランジ(105,205,305)及び挿口管(130,230,330)のいずれか一方が突起(135,235,335)を有し、挿口フランジ(105,205,305)及び挿口管(130,230,330)のいずれか他方が突起(135,235,335)に接触して挿口管(130,230,330)が抜けることを規制する規制面(150,250,350)を有することが好ましい。
【0039】
この構成によれば、挿口フランジを挿口管に装着しやすく、施工作業を容易にすることが可能となる。
【0040】
特に限定されないが、第1、第2、第3又は第4実施形態の管継手構造は、流体管の受口管20に形成された受口フランジ23と、受口管20に挿入される挿口管(30,30’,130,230,330)と受口管20との間を密封するシール部材4と、挿口管(30,30’,130,230,330)とは別個にまたは一体に形成され挿口管(30,30’,130,230,330)が受口管20から抜けることを規制する挿口フランジ(5,105,205,305)と、受口フランジ23と挿口フランジ(5,105,205,305)とを締結する締結部材6と、を備え、受口フランジ23及び挿口フランジ(5,105,205,305)は、締結部材6が挿入される挿通孔23s,5sを有し、締結部材6の締結状態において、受口フランジ23及び挿口フランジ(5,105,205,305)は、挿通孔23s,5sよりも管径方向内側RD1で互いに接触し、挿口管(30,30’,130,230,330)の外周面31のうちシール部材4に対応する部位には、管径方向内側RD1に凹み且つ管周方向に延びる溝33が形成されている。
【0041】
特に限定されないが、第1、第2、第3又は第4実施形態の管継手の接続方法は、流体管の挿口管(30,30’,130,230,330)にシール部材4を装着する工程と、流体管の受口管20に挿口管(30,30’,130,230,330)を挿入して、挿口管(30,30’,130,230,330)と受口管20との間にシール部材4を配置する工程と、挿口管(30,30’,130,230,330)とは別個にまたは一体に形成され挿口管(30,30’,130,230,330)が受口管20から抜けることを規制する挿口フランジ(5,105,205,305)と、受口管20に形成された受口フランジ23とを締結部材6で締結する工程と、を含み、受口フランジ23及び挿口フランジ(5,105,205,305)は、締結部材6が挿入される挿通孔23s,5sを有し、締結部材6の締結状態において、受口フランジ23及び挿口フランジ(5,105,205,305)は、挿通孔23s,5sよりも管径方向内側RD1で互いに接触し、受口管20に挿口管(30,30’,130,230,330)を挿入する際に、挿口管(30,30’,130,230,330)の外周面31のうちシール部材4に対応する部位には、管径方向内側RD1に凹み且つ管周方向に延びる溝33が形成されている。
【0042】
このように、締結部材6で締結される受口フランジ23及び挿口フランジ(5,105,205,305)が互いに接触するので、締結部材6のトルク管理が不要となる。トルク管理ミスにより継手部が屈曲することを防止できる。
挿口管(30,30’,130,230,330)の挿し込み時にシール部材4が圧縮され、溝33が圧縮されたシール部材4の逃げ空間となるので、挿口管(30,30’,130,230,330)と受口管20の組み付け誤差や製造誤差があったとしてもシール部材4を溝に逃がしてフランジ同士を接触させることが可能となる。
溝33によって受口管20と挿口管(30,30’,130,230,330)の間の隙間が大きくなり、シール部材4による挿入抵抗を低減でき、スムーズに挿入でき、作業性を向上させることが可能となる。
【0043】
特に限定されないが、第1、第2、第3又は第4実施形態のように、挿口管(30,30’,130,230,330)は、管軸方向ADの両端が挿口であり、挿口管(30,30’,130,230,330)の第1の挿口を受口管20に接続した後、挿口管(30,30’,130,230,330)の第2の挿口を受口管20とは別個の第2の受口管90に接続してもよい。
【0044】
このようにすれば、分岐管接続装置2に接続したい配管が受口管92であっても、受口管20を挿口管にした別個の分岐管接続装置2を設計する必要がなく、受口管20を有する分岐管接続装置2を使用しても、受口管92を接続できるので、装置を共用でき、在庫コストや設計コストを低減可能となる。
【0045】
以上、本開示の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0046】
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0047】
20…受口管
23…受口フランジ
23s…挿通孔
30,30’ ,130,230,330…挿口管
33…溝
4…シール部材
5,105,205,305…挿口フランジ
5s…挿通孔
6…締結部材
135,235,335…突起
150,250,350…規制面
RD…管径方向
RD1…管径方向内側
RD2…管径方向外側
AD…管軸方向
AD1…第1側(受口管側)
AD2…第2側(挿口管側)