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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】検査器具
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20240328BHJP
【FI】
G01N1/10 V
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020122846
(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公開番号】P2022019173
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】591132210
【氏名又は名称】株式会社アラクス
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】坂部 名奈子
(72)【発明者】
【氏名】牧野 巨樹
(72)【発明者】
【氏名】小原 昭仁
【審査官】岩永 寛道
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05900379(US,A)
【文献】特開2000-356638(JP,A)
【文献】特開2011-017689(JP,A)
【文献】特表2015-509594(JP,A)
【文献】特表2018-528411(JP,A)
【文献】韓国意匠登録第30-0605831(KR,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00- 1/10
G01N 33/48- 33/98
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿をかけて、前記尿に含まれる物質を用いて検査するための検査器具であって、
内部に空間を有する筒状の本体部と、
前記本体部の長手方向において一方の端部に設けられ、検査対象となる前記尿を直接かけることにより、前記尿が採集される採集部と、
前記本体部に収容され、一方の端部が前記採集部に接し、含浸された物質と前記尿に含まれる特定の成分との化学的な反応によって可視的な目印を表示する試験片と、
前記本体部と同一の材料で継ぎ目なく一体に、前記本体部において前記採集部から他方の端部までの間に設けられ、前記試験片が表示する前記目印を視認するための視認部と、
前記本体部と同一の材料で前記視認部とともに継ぎ目なく一体に、前記本体部において前記採集部と前記視認部との間に設けられ、前記視認部よりも透過度が低く設定されるとともに、前記採集部から前記試験片へ前記尿の浸透を視認可能な程度の透過度に設定されている低透過部と、
を備え
前記本体部は、軸に垂直な断面が六角形であり、
前記断面における3対の辺のうち1対の辺は、他の2対の辺に比較して長く、前記採集部の幅方向に伸びている検査器具。
【請求項2】
前記視認部は、前記低透過部に比較して、前記本体部の板厚方向の厚みが薄く設定されている請求項1記載の検査器具。
【請求項3】
前記低透過部は、半透明となる処理が施されている請求項1または2記載の検査器具。
【請求項4】
前記低透過部は、前記本体部の表面に形成されている微細な凹凸を有する請求項3記載の検査器具。
【請求項5】
前記採集部を覆う蓋部をさらに備える請求項1から4のいずれか一項記載の検査器具。
【請求項6】
前記蓋部は、前記本体部から着脱可能であるとともに、前記本体部の前記採集部と反対側の端部に取り付け可能である請求項5記載の検査器具。
【請求項7】
前記試験片は、前記視認部において前記本体部の外壁までの距離が小さく設定されるとともに、前記低透過部において前記本体部の外壁までの距離が大きく設定されている請求項1から6のいずれか一項記載の検査器具。
【請求項8】
前記視認部は、前記本体部の厚さ方向において、一方の端部側から他方の端部側へ窪んだ凹部である請求項1から7のいずれか一項記載の検査器具。
【請求項9】
前記試験片は、前記尿に特定の成分が含まれていることを示す反応表示領域、および検査が終了したことを示す終了表示領域を有し、
前記本体部の幅方向において、前記反応表示領域の長さは、前記終了表示領域よりも長い請求項1から8のいずれか一項記載の検査器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、液体に含まれる物質を用いて検査するための検査器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば体液や尿などの液体に含まれる物質を用いて検査する検査器具が広く知られている。このような検査器具は、例えば尿を用いて妊娠の有無や尿のpH、尿中に含まれる糖分などを検査する。検査器具は、大まかに液体を採集する採集部、および採集部で採集した液体を検査する試験片を有している。採集部で採集された液体に含まれる成分は、試験片に達することにより、試験片に含まれる物質と化学的に反応し、検査結果を示す可視的な目印を表示する。
【0003】
検査器具は、棒状の本体部を備えており、本体部の一端に採集部を有するとともに、試験片の目印に対応する位置にこの目印を視認するための窓などの視認部を有している。そのため、検査器具の本体部は、視認部となる開口が設けられている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、従来の本体部は、光の透過性がないため、採集部で採集された液体が試験片に適切に導かれているか否かを確認するのは困難である。また、液体として尿などを用いる場合、飛散した液体が試験片に直接付着すると、検査結果の精度の低下を招く。そのため、本体部は、視認部に相当する位置に透明なカバーなどが取り付ける必要がある。その結果、本体部は、視認部に相当する位置に別部材を必要とし、部品点数の増加および製造工数の増加を招くという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-20960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、部品点数および製造工数の増加を招くことなく、採集部で採集された液体の浸透および試験片の目印を視認可能な検査器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の検査器具は、視認部および低透過部が本体部とともに同一の材料で継ぎ目なく一体に設けられている。すなわち、検査器具の本体部は、光の透過度が高く試験片の目印が容易に視認される視認部と、この視認部よりも光の透過度が低い低透過部とが同一の材料で継ぎ目なく一体に設けられている。したがって、部品点数および製造工数の増加を招くことなく、採集部で採集された浸透の進行を視認することができる。
【0008】
また、本実施形態の検査器具では、本体部は、視認部において他の部分である低透過部に比較して相対的に透過度が高く、低透過部において相対的に透過度が低くなっている。低透過部は、視認部よりも透過度が低いものの、採集部から試験片、そして試験片を浸透する液体を視認可能な程度の透過度に設定されている。これらにより、使用者に対して、より視線を誘導したい視認部では十分な視認性を確保しつつ、液体の浸透が確認可能であれば十分な低透過部では視認性を落としている。したがって、検査器具に求める情報、つまり液体の浸透、および試験片による試験結果の目印を、その必要性に応じた水準で視覚的に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による検査器具を示す模式的な斜視図
図2】一実施形態による検査器具を示す模式的な平面図
図3図2の矢印III方向から見た模式図
図4図2のIV-IV線における断面を示す模式図
図5図3のV-V線における断面を示す模式図
図6】一実施形態による検査器具に適用される試験片を示す模式図
図7】一実施形態による検査器具において、視認部の近傍を拡大した模式図
図8】一実施形態による検査器具において、蓋部を取付部に取り付けた状態を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態による検査器具を図面に基づいて詳細に説明する。
図1図4に示すように検査器具10は、本体部11、採集部12、試験片13、視認部14および低透過部15を備える。本体部11は、図4に示すように内側に長手方向へ伸びる空間16を有する筒状に形成されている。本体部11の長手方向は、本体部11の軸方向である。なお、本体部11が形成する空間16は、本体部11を軸方向に貫いてもよく、本体部11の途中まで形成してもよい。本体部11は、図5に示すように軸に垂直な断面が扁平な六角形である。つまり、本体部11は、六角形の断面における3対の辺のうち1対の辺が他の2対の辺に比較して長く設定されている。本実施形態の場合、本体部11は、厚さ方向において、上端および下端に対応する面17が他の面18に比較して一辺が長く形成されている。そして、視認部14は、この上端に対応する位置の面17に設けられている。このように、本体部11を扁平な六角形の断面形状とすることにより、筆記具と同様の持ちやすさを確保するとともに、厚さ方向の上下を使用者は直感的に把握することができる。
【0011】
採集部12は、図1図4に示すように本体部11の長手方向つまり軸方向において一方の端部に設けられている。採集部12は、検査対象となる液体を採集する。採集部12は、例えば不織布、紙、スポンジなどの吸水性の高い材料で形成されている。採集部12は、筒状の本体部11に挿入されている。検査対象となる液体はこの採集部12で採集され、採集された液体は採集部12に浸透する。
【0012】
試験片13は、本体部11の空間16に収容されている。試験片13は、長手方向の一方の端部が採集部12に接続している。これにより、採集部12で採集された液体は、採集部12を浸透して試験片13に達する。本実施形態の場合、採集部12と試験片13とは、一体に形成されている。試験片13は、採集部12と別体に形成し、採集部12と接することにより採集された液体が浸透する構成としてもよい。
【0013】
試験片13は、液体に含まれる特定の成分と化学的に反応する物質が含浸されている。試験片13は、液体に含まれる特定の成分と含浸された物質とが反応することにより、図6に示すように可視的な目印21および目印22を表示する。これら目印21および目印22は、液体に含まれる成分によって、一方のみまたは両方が表示される。本実施形態の場合、試験片13は、反応表示領域23および終了表示領域24を有している。反応表示領域23は、採集部12で採集した液体に特定の成分が含まれているか否かを表示する。すなわち、液体に特定の成分が含まれているとき、この特定の成分と試験片13に含浸されている物質とが反応する。反応表示領域23は、この反応の結果、液体に特定の成分が含まれているとき、目印21を表示する。終了表示領域24は、採集部12で採集した液体に含まれる特定の成分と試験片13に含浸されている物質との反応が終了すると、目印22を表示する。反応表示領域23は、終了表示領域24よりも採集部12に近い側に設けられている。本実施形態の場合、反応表示領域23は、本体部11の幅方向において、終了表示領域24よりも長く設定されている。
【0014】
例えば、検査器具10を妊娠の有無を検査する妊娠検査薬に用いる場合、試験片13は尿中に含まれる特定の成分であるhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)と反応する物質が含浸されている。この試験片13に含まれている物質は、hCGと反応する抗体である。試験片13を採集部12で採集された尿が浸透することにより、試験片13に含まれる抗体と尿に含まれるhCGとが反応する。尿にhCGが含まれているとき、試験片13は、反応表示領域23に妊娠していることを判定するための目印21を表示する。一方、尿にhCGが含まれていないとき、試験片13は反応表示領域23に目印21を表示しない。また、試験片13は、尿と抗体との反応が終了すると、尿にhCGが含まれているか否かにかかわらず、終了表示領域24に検査が終了したことを示すための目印22を表示する。妊娠検査薬を用いる使用者は、妊娠の有無を判定する反応表示領域23の目印21を終了表示領域24の目印22よりも重視する。本実施形態のように反応表示領域23を終了表示領域24よりも大きく設定することにより、使用者の視線はより容易に反応表示領域23へ誘導される。これにより、反応表示領域23に表示される目印21の視認が容易になる。目印21および目印22は、例えば赤、青、紫、黒といった視認が容易な色で表示することが好ましい。
【0015】
図1図4に示すように視認部14および低透過部15は、本体部11と同一の材料で継ぎ目なく一体に形成されている。例えば本体部11は、ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂によって形成されている。そして、本体部11は、軸方向の途中に、同一の材料で継ぎ目なく一体に設けられた視認部14および低透過部15が一体に設けられている。視認部14は、採集部12と他方の端部までの間に設けられている。試験片13の目印21および目印22は、図7に示すように視認部14を通して視認される。低透過部15は、本体部11において採集部12から視認部14までの間に設けられている。低透過部15は、視認部14よりも光の透過度が低く設定されている。これとともに、低透過部15は、採集部12から試験片13へ進行する液体の浸透を視認可能な程度の光の透過度に設定されている。
【0016】
上述のように検査器具10を妊娠検査薬に用いる場合、検査器具10は検査対象となる液体として尿が用いられる。このような場合、採集部12から試験片13へ浸透する尿の流れは、検査が確実に実施されていることを確認するために視覚的に認識可能であることが求められる。反面、対象となる液体が尿であることから、過剰な視認性は避けることが好ましい。そこで、本実施形態の検査器具10の場合、低透過部15は、視認部14よりも相対的な視認性を低下させつつ、液体の流れが視覚的に追える程度の透過度に設定している。これにより、本実施形態の検査器具10は、液体の浸透を追いたいものの鮮明な視認性が不要であるという相反する要求に対応している。これに対し、視認部14は、試験片13の目印21および目印22を視認するために十分な透過度が確保されている。つまり、視認部14と低透過部15とは相対的に視認性が異なり、視認部14は低透過部15と比較して相対的に透過度が高く設定されている。これにより、使用者は、視認部14を通して、試験片13の目印21および目印22を容易に視認することができるとともに、浸透する尿の流れを適度に確認することができる。
【0017】
本実施形態の場合、視認部14と低透過部15とは、本体部11と同一の材料で一体に形成されているものの、本体部11を構成する材料の厚みが異なっている。すなわち、視認部14は、低透過部15に比較して本体部11の板厚方向の厚みが薄く設定されている。また、本体部11は、視認部14に相当する位置において、本体部11の厚さ方向に窪んだ凹部である。このように、本体部11は、厚みの薄い部分に視認部14を有するとともに、厚みの厚い部分に低透過部15を有している。本体部11の透過度は、当然ながら材料の厚みに相関する。そのため、本体部11の厚みが薄い部分は視認性の高い視認部14となり、本体部11の厚みが厚い部分は低透過部15となる。つまり、試験片13と本体部11の外壁までの距離は、視認部14において小さく、低透過部15において大きくなる。本体部11は視認部14に相当する位置に凹部31を有していることから、使用者の視線は凹部31の視認部14へ誘導されやすい。また、凹部31は、本体部11の平面視において例えば長円または楕円などの曲線状の境界を有している。そのため、使用者の視線は、柔らかな印象を与える曲線状の境界を有する凹部31からなる視認部14へ誘導されやすい。
【0018】
また、本実施形態の場合、本体部11の全体を透明な材料で形成するとともに、低透過部15に対応する部分は半透明としてもよい。この場合、低透過部15は、本体部11の表面に微細な凹凸を形成したり、ヘアライン加工を施したりすることで半透明とすることが好ましい。つまり、低透過部15は、磨りガラス状としてもよい。この他にも、低透過部15は、本体部11の内側に微細な気泡や粒子を含ませることにより、半透明としてもよい。なお、本体部11は、比較的透明度の低い材料で全体を形成し、視認部14と低透過部15とで厚さを変えることにより視認性を変化させてもよい。
【0019】
本実施形態の検査器具10は、上記に加え、図2および図3に示すように蓋部40をさらに備えていてもよい。蓋部40は、本体部11に取り付け、および本体部11から取り外し可能である。蓋部40は、検査器具10の使用前において、図2に示すように採集部12側に設けられ、採集部12を覆っている。採集部12は、上述の通り不織布や紙などの液体の浸透性が高い材料で形成されており強度が低い。そこで、蓋部40は、この採集部12を覆うことにより、検査器具10を使用するまで採集部12を保護している。また、この蓋部40は、本体部11から着脱可能である。そして、本体部11から取り外された蓋部40は、図8に示すように本体部11の採集部12と反対側の端部の取付部41に取り付け可能である。すなわち、本体部11は、長手方向である軸方向の両端部の形状が概ね同一に設定されている。そのため、検査器具10の使用前に採集部12を覆う位置に取り付けられていた蓋部40は、検査器具10の使用時に本体部11の反対側の取付部41に取り付けられる。これにより、本体部11は、蓋部40と一体化することにより軸方向の全長が長くなる。その結果、検査器具10は、例えば妊娠検査薬のように液体として尿を用いる場合、全長が増大することにより手元への尿の到達が低減され、使用感の向上が図られる。
【0020】
以上説明した一実施形態では、視認部14および低透過部15が本体部11とともに同一の材料で継ぎ目なく一体に設けられている。すなわち、検査器具10の本体部11は、光の透過度が高く試験片13の目印21および目印22が容易に視認される視認部14と、この視認部14よりも光の透過度が低い低透過部15とが同一の材料で継ぎ目なく一体に設けられている。したがって、部品点数および製造工数の増加を招くことなく、採集部12で採集された液体の浸透を視認することができる。
【0021】
また、本実施形態の検査器具10では、本体部11は、視認部14において他の部分である低透過部15に比較して相対的に透過度が高く、低透過部15において相対的に透過度が低くなっている。低透過部15は、視認部14よりも透過度が低いものの、採集部12から試験片13への液体の浸透、および試験片13における液体の浸透を視認可能な程度の透過度に設定されている。これらにより、使用者に対して、より視線を誘導したい視認部14では十分な視認性を確保しつつ、液体の浸透が確認可能であれば十分な低透過部15では視認性を落としている。したがって、検査器具10に求める情報、つまり液体の浸透、および試験片13による試験結果の目印21および目印22を、その必要性に応じた水準で視覚的に提供することができる。
【0022】
一実施形態では、視認部14と低透過部15とは、本体部11を構成する材料の厚みを変更することにより形成されている。そのため、視認部14および低透過部15は、本体部11とともに同一の材料で容易に形成される。したがって、部品点数および製造工数の増加を招くことなく、構造を簡略化することができる。
【0023】
一実施形態では、低透過部15は、例えば本体部11の表面の微細な凹凸などのように半透明となる処理が施されている。これにより、低透過部15は、例えば本体部11の成形時、または本体部11の成形後の簡単な加工で形成される。したがって、部品点数および製造工数の増加を招くことなく、視認部14における視認性の確保と、低透過部15における視認性の相対的な低下とを両立することができる。
【0024】
一実施形態では、蓋部40を備えている。蓋部40は、採集部12を覆うことにより採集部12を保護する。これにより、強度が比較的低い採集部12を検査まで保護することができる。これとともに、検査器具10の使用時に蓋部40を本体部11の採集部12とは反対側の端部の取付部41に取り付けることにより、検査器具10は全長が増大する。そのため、検査器具10の取り扱いは容易になる。特に尿を用いる妊娠検査薬に検査器具10を適用する場合、全長の増大によって、検査器具10を保持する使用者の手への跳ね返った尿の到達が低減される。したがって、採集部12の保護とともに、使用感の向上を図ることができる。
【0025】
一実施形態では、視認部14は、本体部11に設けられた凹部31である。凹部31と本体部11との境界は、柔らかな印象を与える曲線状に設定されている。そのため、低透過部15における視認性を確保しつつ、使用者の視線は自然と重要度の高い視認部14へ誘導される。したがって、検査対象となる液体の流れについて視認性を確保しつつ、検査結果となる目印21および目印22が表示される視認部14へ自然な視線の移動を促すことができる。
【0026】
一実施形態では、試験片13に設けられている反応表示領域23と終了表示領域24とは大きさが異なっている。目印21および目印22のいずれも検査の判定には必要であるものの、より重要な反応表示領域23は大きく設定されている。そのため、使用者の視線は、より見やすく重要度の高い反応表示領域23の目印21へ誘導される。したがって、反応表示領域23と終了表示領域24との間に視覚的な境界を設けなくても、必要となる情報を適切に提供することができる。
【0027】
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
すなわち、上述の実施形態では、検査器具10を妊娠検査薬に適用する例について説明した。しかし、妊娠検査薬に限らず、試験片13に含浸する薬剤を選択することにより、例えば排卵日、尿のpH、尿中に含まれる糖分など、尿を用いる各種の検査薬に本実施形態の検査器具10を適用することができる。また、検査器具10は、液体として尿を用いる例に限らず、例えば唾液や血液など任意の生体的な液体の検査に適用することができる。さらに、上述の実施形態では、妊娠検査薬を例に反応表示領域23に目印21を表示し、終了表示領域24に目印22を表示する例について説明した。しかし、他の検査薬に本実施形態の検査器具10を適用する場合、2本以上の線状の目印を表示可能に設定して、その目印の本数、線幅、濃淡などによって検査結果および検査の終了を表示する構成としてもよい。また、目印は、線状に限らず、例えば円形、多角形、×印など任意の形状としてもよい。
【符号の説明】
【0028】
図面中、10は検査器具、11は本体部、12は採集部、13は試験片、14は視認部、15は低透過部、16は空間、21、22は目印、23は反応表示領域、24は終了表示領域、31は凹部、40は蓋部を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8